説明

僧帽弁の機能を改良するための方法及び装置

僧帽弁逆流を減じるための方法及び装置(s1)。前記装置は、患者の冠状静脈洞(30)内の僧帽弁(36)の後方弁膜(39)の近くに挿入される。前記装置は、僧帽弁(36)の後方弁膜(39)の近くで冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを真っ直ぐに延ばすようになされ、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良し且つ僧帽弁逆流を減らす。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、
(1)Daniel C. Tailorらによって2002年2月5日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第10/068,264号の一部継続出願であり、
(2)john Liddicoatらによって2002年3月29日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第10/112,354号の一部継続出願であり、
(3)Daniel C. Tailorらによって2002年8月14日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第10/218,649号の一部継続出願であり、
(4)Daniel C. Tailorらによって2002年2月5日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第10/068,264号の一部継続出願であり、
(5)Daniel C. Tailorらによって2003年1月14日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第10/342,034号の一部継続出願であり、
(6)William E. Cohnらによって2002年6月26日に出願された“僧帽弁機能を改良するための方法及び装置”という名称の係属中の先行米国特許出願第60/391,790号の一部継続出願である。
【0002】
これらの6つの上記の出願は、ここでは参考として組み入れられている。
【発明の分野】
【0003】
本発明は、概して外科方法及び装置に関し、より特別には、僧帽弁の機能を改良するための外科的方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0004】
僧帽弁の交換は、全ての病因の僧帽弁逆流を矯正するための選択処置である。現在の外科技術の使用は、70%乃至95%の逆流を起こしている僧帽弁を修復することができる。僧帽弁の交換より優れた僧帽弁の修復の利点は良く著書に記載されている。これらの利点には、心臓の機能のより良い保全と抗凝固因子に関する出血、血栓塞栓症及び心内膜炎の危険性が低いことが含まれる。
【0005】
現在の診療においては、僧帽弁の外科手術は、僧帽弁へのアクセスを得るために、胸壁の切開、心肺バイパス、心肺停止及び心臓自体に対する切開を必要とする。このような処置は、高い罹患率及び死亡率を伴う。この処置に伴う危険性により、最も重い病気の患者の多くは、僧帽弁逆流の外科的な矯正の潜在的な利点が否定される。更に、適度に症候性の僧帽弁逆流を有する患者は、早期の介入を拒絶され且つ心臓の機能不全が進行した後においてのみ外科的な矯正を受ける。
【0006】
僧帽弁逆流は、心臓の欠陥を有する患者における一般的な症状であり、これらの患者における重要な罹患率及び死亡率の発生源である。心臓の欠陥を有する患者における僧帽弁逆流は、左心室、乳頭筋及び僧帽弁輪の幾何学的構造の変化によって惹き起こされる。これらの幾何学的構造の変化は、心収縮期における僧帽弁膜の不完全な接合をもたらす。この状況においては、僧帽弁逆流は、縫合単独か、伸長した弁輪の周縁を小さくし且つ僧帽弁輪の本来の幾何学的構造を回復させるために支持リングと組み合わせた縫合かによって僧帽弁輪を扇畳みにすることによって矯正される。
【0007】
より特別には、僧帽弁の修復のための現在の外科的な処置は、一般的に、外科的に左心室を開き、次いで縫合を固定、より一般的には支持リングと組み合わせた縫合を弁輪の内側面に固定することによって、僧帽弁輪の半径を小さくすることを必要とし、この構造は、巾着のような形態で弁輪を締めてより小さい半径にし、それによって、弁膜の接合を改良することによって僧帽弁逆流を減じる。
【0008】
この僧帽弁修復方法は、一般的に、“輪状形成術”と称され、心臓の欠陥がある患者の僧帽弁逆流を効率良く減じる。心臓の欠陥症状を減じ、生命の質を改良し且つ寿命を長くする。しかしながら、不幸にも、僧帽弁の外科手術の侵襲性及びこれに付随する危険性は、殆どの心臓欠陥患者を不幸な外科候補者にする。このようにして、弁膜の接合を増し且つそれによって心臓欠陥患者の僧帽弁逆流を減らす侵襲性がより少ない手段は、この治療方法を、より高いパーセントの患者に利用可能とする。
【0009】
僧帽弁逆流はまた、急性心筋梗塞を患っている患者のほぼ20%において起こる。更に、僧帽弁逆流は、急性心筋梗塞の凝固において苛酷な血行力学的な不安定さを起こしている患者の約10%においては、心臓ショックの主な原因である。僧帽弁逆流と心臓ショックとを有する患者は、約50%の病因の死亡率を有している。これらの患者における僧帽弁逆流の排除は重要な利点を有する。しかしながら、不幸にも、急性心筋梗塞が複雑化した急性僧帽弁逆流を患っている患者は、特に危険性が高い外科候補者であり、従って、伝統的な輪状形成術処置のための良好な候補者ではない。従って、これらの危険な病気の患者における僧帽弁逆流の一時的な減少又は排除をもたらすための侵襲性が最も低い手段は、これらの患者に、心筋梗塞又はその他の急性の生命を脅かす現象から回復させ且つ医療的介入又は外科的治療のためのより良好な候補者とする時間を与える。
【発明の開示】
【0010】
本発明の目的は、僧帽弁逆流を減じるための改良された方法及び装置を提供することである。
本発明のもう一つ別の目的は、侵襲性が最少の僧帽弁逆流を減じるための方法及び装置を提供することである。
【0011】
本発明の更に別の目的は、(例えば、心臓欠陥を有している患者に対して)永久的に又は(例えば、急性心筋梗塞による僧帽弁逆流を患っている患者に対して)一時的に配備され得る僧帽弁逆流を減じるための方法及び装置を提供することである。
【0012】
これらの及びその他の目的は、僧帽弁逆流を減じるための改良された方法及び装置を含んでいる本発明によって達成される。
本発明の一つの形態においては、僧帽弁逆流を減じるための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くに冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを真っ直ぐにし、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0013】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分を前方へ動かし、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0014】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度を小さくし、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0015】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度を大きくし、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0016】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、末端と、基端と、中間部分とを有し、冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに配置されたときに、前記末端及び基端が後方への力を冠状静脈洞の壁にかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する。
【0017】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐな細長い本体を挿入することを含み、該ほぼ真っ直ぐな細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような長さとされている。
【0018】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに装置を挿入することを含み、この装置は、末端と、基端と、中間部分とを有し、冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに配置されたときに、前記末端及び基端が後方への力を冠状静脈洞の壁にかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する。
【0019】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐな細長い本体を挿入することを含み、該ほぼ真っ直ぐな細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような長さとされている。
【0020】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐな細長い本体を挿入することを含み、該ほぼ真っ直ぐな細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するような長さとされている。
【0021】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を挿入することからなり、前記真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を示すようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような大きさとされている。
【0022】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、末端と基端と中間部分とを有する本体であって、冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、前記僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する構造とされている本体を含んでいる。
【0023】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、末端と基端と中間部分とを有する本体であって、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、前記僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する構造とされている本体を含んでいる。
【0024】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に真っ直ぐな細長い本体であって、その全長が、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされている実質的に真っ直ぐな本体を含んでいる。
【0025】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に堅牢な細長い本体であって、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる構造を呈するようにさせ、それによって、後方弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような構造とされている実質的に堅牢な細長い本体を含んでいる。
【0026】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされたほぼ真っ直ぐな実質的に堅牢な細長い本体であって、その長さが、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされている実質的に真っ直ぐな本体を含んでいる。
【0027】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを真っ直ぐに延ばし、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁輪の接合を改良するようになされた装置を挿入することからなり、
前記装置は、冠状静脈洞内への挿入前の非応力状態で冠状静脈洞の湾曲度よりも小さい湾曲度を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への前記装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0028】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分を前方へ動かすことにより後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされた装置を挿入することからなり、
前記装置は、冠状静脈洞内への挿入前の非応力状態で冠状静脈洞の湾曲度よりも真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0029】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度を小さくするようになされた装置を挿入し、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0030】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度の本来の半径を増すようになされた装置を挿入し、それによって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0031】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、末端と基端と中間部分とを有し、該装置が僧帽弁の後方弁膜に近接した冠状静脈洞内に配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけて後方弁輪を前方へ動かし、それによって弁膜を改良する形状とされている装置を挿入することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0032】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐな本体を挿入することからなり、前記真っ直ぐな細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を示すようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような長さとされており、
前記ほぼ真っ直ぐ細長い本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0033】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ堅牢な細長い本体を挿入することからなり、前記実質的に堅牢な細長い本体は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かし、それによって弁膜の接合を改良するような形状とされており、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0034】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を挿入することからなり、前記真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような大きさとされており、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0035】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、
末端と基端と中間部分とを有する本体であって、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、前記僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する構造とされている本体を含み、
当該本体は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0036】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に真っ直ぐな細長い本体であって、その全長が、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造とさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされている実質的に真っ直ぐな本体を含み、
当該本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0037】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に堅牢な細長い本体であって、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる構造を呈するようにさせ、それによって、後方弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような構造とされている実質的に堅牢な細長い本体を含み、
当該本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0038】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための装置が提供され、この装置は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に真っ直ぐな実質的に堅牢な細長い本体であって、その長さが、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造とさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされている実質的に真っ直ぐな本体を含み、
当該本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている。
【0039】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が提供され、この方法は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを逆にし、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁輪の接合を改良するようになされた装置を挿入することからなり、
前記装置は、棒と、当該棒に結合された安定化骨格とを含んでいる。
【0040】
本発明のもう一つ別の形態においては、僧帽弁逆流を減らすための方法が装置され、この装置は、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ挿入されるようになされた細長い本体を含み、
前記装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを逆にし、それによって、僧帽弁輪を前方へ動かして僧帽弁膜の接合を改良し、前記装置は、棒と当該棒に結合された安定化骨格とを含んでいる。
【0041】
重要なことは、本発明は、僧帽弁逆流を減じるために、永久的に又は一時的に侵襲性が最少の方法で実施することができることである。
【好ましい実施形態の説明】
【0042】
本発明のこれらの及びその他の目的及び特徴を、添付図面と共に考慮される以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明により十分に説明し又は明らかにさせる。添付図面においては、同様の参照符号は同様の構成要素を示している。
【0043】
冠状静脈洞は、人間の心臓内の最も大きい静脈である。房室の溝内の経路の大部分において、冠状静脈洞は、典型的には、約5乃至10センチメートルの距離に亘って心臓の左心房に隣接して延びている。重要なことは、その長さの一部分、例えば典型的には7乃至9センチメートルに対して、冠状静脈洞は、僧帽弁の後方弁膜にほぼ隣接して延びている。本発明はこの事実を利用している。より特別には、新規な装置を冠状静脈洞内に配備することによって、僧帽弁の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞の本来の曲がりは、僧帽弁の後方弁膜の近くで変形され、それによって、後方弁膜が前方へ動かされて弁膜の接合が改良され、その結果、僧帽弁逆流が減じられる。
【0044】
本発明の一つの好ましい実施形態においては、この新規な装置は、ほぼ真っ直ぐな形状を有する細長い本体であって、その全長が、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁の弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされているほぼ真っ直ぐな本体を含んでいる。
【0045】
更に、本発明の一つの好ましい実施形態においては、冠状静脈洞へのアクセスは経皮的になされ、例えば、前記細長い本体は、頚静脈を介して又は左鎖骨下静脈を介して患者の脈管系内へ挿入され、上大静脈内を下方へ通され、右心房内を通され、次いで、冠状静脈洞内へ通され、該冠状静脈洞内に配備される。別の方法として、前記細長い本体は、心臓内の小さな切開部を介して冠状静脈洞内へ導入されるか又は他の何らかの切開部を介して患者の脈管系内へ導入することができる。
【0046】
更に、本発明の一つの好ましい実施形態においては、前記細長い本体は、(i)予め位置決めされたカテーテル内を通すことによって、及び/又は(ii)予め位置決めされたガイドワイヤの周囲に沿って通すことによって、及び/又は(iii)(例えば操作可能な給送器具の端部上で)ガイド無しで通すことによって外科部位へと通過させることによって、冠状静脈洞内の定位置内へとガイドされる。
【0047】
ひとたび配備されると、この新規な装置は、永久的に定位置に残しても良いし(例えば、心臓欠陥に伴う僧帽弁逆流を患っている患者の場合)、又は該新規な装置は、一時的にのみ定位置に残しても良い(例えば、急性心筋梗塞に伴う僧帽弁逆流を患っている患者の場合)。
【0048】
この処置の視覚化は、蛍光透視法、超音波心臓検査法、脈管内超音波血管鏡、リアルタイム核磁気共鳴撮像等によって得ることができる。この処置の効力は、他の撮像物理療法もまた適するかも知れないけれども、超音波心臓検査法によって測定することができる。
【0049】
図1を参照すると、患者の循環系3の形体が示されている。より特別には、循環系3は、一般的に、心臓6と、上大静脈9と、右鎖骨下静脈12と、左鎖骨下静脈15と、頚静脈18と、下大静脈21とを含んでいる。上大静脈9と下大静脈21とは、心臓の右心房24と連通している。冠状静脈小孔27は、冠状静脈洞30につながっている。冠状静脈洞30の遠位端31(図2)において、脈管構造は、垂直方向に下降している前室間静脈(“AIV”)32につながっている(図1及び図2参照)。本発明の目的のためには、“冠状静脈洞”という用語は、冠状静脈小孔27とAIV32との間に延びている脈管構造を意味するものと考えるのが一般的に便利である。
【0050】
図2に示されているように、冠状静脈小孔27とAIV32との間には、冠状静脈洞30が僧帽弁36の弁輪33の後方外周にほぼ隣接して延びている。僧帽弁36は、後方弁膜39と前方弁膜42とを含んでいる。僧帽弁が逆流する場合、後方弁膜39と前方弁膜42とが、概して心収縮期において適正に接合できず、それによって不所望な逆流を生じさせ得る介在空間45を残す。
【0051】
続いて、図3を参照すると、本発明の一つの好ましい実施形態を含んでいる装置100が示されている。より特別には、装置100は、概して、ガイドワイヤ103と、給送カテーテル106と、プッシュロッド109とを含んでいる。
【0052】
ガイドワイヤ103は、末端115と基端118とを有する可撓性の本体112を含んでいる。ガイドワイヤ103の末端115は、ガイドワイヤ103が患者の脈管系内を通過しつつある間にガイドワイヤ103の末端が脈管構造を傷を付けること無くあちこち移動するのを可能にするばね先端121を含んでいる。
【0053】
給送カテーテル106は、末端127と基端130とを有している可撓性の本体124を含んでおり、調整可能な弁133が取り付けられているのが好ましい。中心内腔136が末端127から基端130まで延びている。いくつかの状況においては、脈管構造内に、給送カテーテル106の末端127を固定するための固定機構を設けるのが好ましいかも知れない。限定的ではない例として、膨張可能なバルーン139は、末端127のすぐ隣に隣接した位置の可撓性本体124の外周に、膨張用内腔142がバルーン139と膨張用嵌合部145との間に延びる状態で配置しても良い。
【0054】
プッシュロッド109は、末端151と基端154とを有する可撓性本体148を含んでいる。種々の異なる長さを有していても良いほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が、末端151に隣接して可撓性本体148上に形成されている。取り外し可能な基端補強材(又はハンドル)160を、細長い本体157と基端154との間に配置して、例えば、進入又は後退の目的のために、可撓性本体148の手動による把持を容易にしても良い。
【0055】
装置100は、以下のように使用して僧帽弁逆流を減らすことができる。
まず最初に、ガイドワイヤ103の末端115が患者の頚静脈18(又は左鎖骨静脈15)内を下方へ通され、上大静脈9内を下方へ通され、心臓の右心房24内を通され、次いで、冠状静脈洞30に沿って進められる(図4参照)。可撓性のガイドワイヤ103が冠状静脈洞30内を下方へ通されると、ガイドワイヤは、その可撓性によって冠状静脈洞の本来の湾曲形状を呈する傾向があることはわかる。ガイドワイヤの非外傷性のばね先端121は、ガイドワイヤ103が定位置へと操作されるときに、脈管構造に対する最少の損傷を確保する助けとなるであろう。
【0056】
次に、給送カテーテル106が冠状静脈洞30内に配置されるまで、給送カテーテル106の末端127は、ガイドワイヤ103の基端118の周囲に配置され且つ下方へと進められる(図5参照)。同じく、可撓性の給送カテーテル106が冠状静脈洞を下方へと進められるときに、給送カテーテル106は、給送カテーテルの可撓性によって冠状静脈洞の本来の湾曲形状を呈する傾向があることがわかるであろう。
【0057】
ひとたび給送カテーテル106が冠状静脈洞内に配置されると、ガイドワイヤ103は取り出される(図6参照)。ガイドワイヤ103が取り出される前か後に、バルーン139は、給送カテーテル106の末端127を冠状静脈洞30内の定位置に固定するために膨張させることができる。
【0058】
次いで、プッシュロッド109が給送カテーテル106の中心内腔136内を下方へ進められる。プッシュロッドのほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が給送カテーテル106の中心内腔136内を下方へと進められると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、給送カテーテル106を、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が現在存在する場所でほぼ真っ直ぐな形状を呈するように付勢するであろう(図7)。プッシュロッド109が給送カテーテル106内を下方へと進められると、バルーン139は、給送カテーテル106の末端127を冠状静脈洞30内の定位置に保持する役目を果たす。
【0059】
プッシュロッド109は、必要に応じて基端のハンドル160(図3)を利用して、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が僧帽弁36の後方弁輪33に隣接して配置されるまで、給送カテーテル106内を下方へ押し込まれる(図7参照)。この動作がなされると、給送カテーテル106内のほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が、冠状静脈洞30の少なくとも一部分がこの場所でほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにして、僧帽弁36の後方弁輪33が前方へ押されるようにする。これは、僧帽弁の後方弁膜39を同じく前方へ動かして僧帽弁の弁膜の接合を改良し、それによって僧帽弁逆流を減じる(又は、完全に排除する)。この点に関して、後方弁輪は前方へずらされて、(例えば、左心室の変形によって弁膜が係留される場所で)解剖学的に可能な程度まで弁膜同士の係合又は弁膜と弁輪との係合を達成するか又は達成するように試みる。これらのタイプの係合又は目標とされた係合の両方が、“改良された弁膜の接合”及び/又は“高められた弁膜の接合”等という用語によって包含されることを意図されている。標準的な可視化手段(例えば、超音波心臓検査法及び/又は蛍光透視法)を使用して、僧帽弁36の逆流を減らす(か又は完全に排除する)ために、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の正確な位置が調整される。
【0060】
この点に関して、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、冠状静脈小孔27とAIV32との間の冠状静脈洞の長さよりも幾分短い長さとされるのが好ましい。しかしながら、いくつかの環境においては、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を、冠状静脈洞30から右心房24まで延びるような大きさとすることが望ましいかも知れない。
【0061】
更に、この装置は、配備中にユーザーにある程度の触覚的なフィードバックを提供することもまた理解されるべきである。より特別には、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が右心房24から冠状静脈洞30内へと押し込まれる際に、典型的にはかなりの抵抗を受けるであろう。次いで、本体157が冠状静脈洞中を動かされるときに、抵抗は典型的には低下するであろう。次いで、プッシュロッド109の末端151(図3)及び/又は本体157の前縁が冠状静脈洞の末端31のところに達すると、典型的には、抵抗は再び著しく増大するであろう。このようにして、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が冠状静脈小孔27とAIV32との間の冠状静脈洞内に配置されたときに、何らかの触覚的な“スイートスポット”が存在し、この触覚的な“スイートスポット”は、このほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を冠状静脈洞内に適正に位置決めする際のユーザーに対する助けとすることができる。
【0062】
この処置におけるこの時点で、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、例えば、給送カテーテルの調整可能な弁133(図3)を閉じることによって定位置に係止され、バルーン139を減圧することができる。
【0063】
装置100(ガイドワイヤ103が既に取り出されているのでより小さい)は、不要となるまでこの位置に残される。いくつか場合(例えば、急性の心筋梗塞に伴う僧帽弁逆流を患っている患者の場合)には、このことは、装置100が何時間か何日か何週間かに亘って定位置に残されることを意味している。他の場合(例えば、心臓の欠陥に伴う僧帽弁逆流を患っている患者の場合)には、装置100は実質的に永久的であっても良い。装置100が取り出される場合及び取り外されるべきときには、プッシュロッド109は、給送カテーテル106から取り出され、次いで、給送カテーテル106が患者から抜き取られる。
【0064】
このように、本発明においては、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、基本的には、僧帽弁の後方弁膜の通常の湾曲した部分内に圧入されることがわかるであろう。当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の長さを患者の解剖学的構造の本来の湾曲度に対して適正な大きさとすることにより及び該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を患者の冠状静脈洞内に適正に位置決めすることによって、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体によって、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁36の後方弁膜39に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにされるであろう。この作用は、次いで、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして、弁膜の接合を改良し、それによって、僧帽弁逆流を減じる。このように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を僧帽弁36の後方弁膜39に隣接した冠状静脈洞30内へ挿入することによって、僧帽弁の弁輪33は、大きくされた曲率半径を呈するように効率的に操作される。
【0065】
上記したように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を患者の解剖学的構造の本来の湾曲に対して適正な大きさとすることによって且つほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を患者の冠状静脈洞内に適正に位置決めすることによって、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を、冠状静脈洞の少なくとも一部分に僧帽弁36の後方弁膜39に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ駆動して弁膜の接合を改良して僧帽弁逆流を減じる。この目的のために、各々が異なる大きさの細長い本体157を有する複数の異なるプッシュロッド109を備えたキットの一部としてプッシュロッド109が設けられ、それによって、医師が特定の患者の解剖学的構造に対して適切な大きさとされた細長い本体157を選択し且つ配備することができるようにするのが好ましい。更に、配備の際に、異なる大きさの細長い本体157が必要とされることが、(例えば、超音波心臓検査法及び/又は蛍光透視法によって)発見された場合には、第1のプッシュロッド109は、所望の大きさの細長い本体157を有する第2のプッシュロッド109によって置き換えても良い。
【0066】
本発明の一つの好ましい形態においては、診断用プッシュロッド109が、最初に、特定の患者の解剖学的構造のための細長い本体157の適当な長さを最初に決定する目的で冠状静脈洞内に挿入しても良く、同じく、一連の異なる大きさの診断用プッシュロッド109を、続いて、患者の冠状静脈洞内に挿入して細長い本体157にとって好ましい大きさを決定する。その後に、弁膜の接合を改良して僧帽弁逆流を減じるために、適当な大きさの治療用プッシュロッド109を、冠状静脈洞内に挿入することができる。
【0067】
更に、診断用プッシュロッド109を患者の冠状静脈洞内へ挿入する前に、医師は、診断用プッシュロッド109の細長い本体157のための初期の予測長さを決定する目的で冠状静脈洞の大きさの仮の査定を行うことができる。このことは、放射線不透過性の標識を表面に有するガイドワイヤ103を使用する蛍光透視法によるか、放射線不透過性の標識を表面に有する給送カテーテル106を使用することによるか又は放射線不透過性の標識を表面に有する別の装置(例えば、可撓性部材)を冠状静脈洞内へ挿入することによるか又は当業者にとって明らかとなるその他の方法によって行うことができる。放射線不透過性の標識を使用して、医師は、冠状静脈洞の大きさの仮の査定を行い、それによって、診断用プッシュロッド109の細長い本体157のための初期の予測長さを決定し、次いで、この診断用プッシュロッド109は、適切な長さの細長い本体157が決定されるまで必要に応じて交換し、適当な大きさの診断用プッシュロッドを治療用プッシュロッド109によって置換される。
【0068】
ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を僧帽弁の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞内に挿入することによって、患者の左心室もまた鬱血性心不全を軽減する助けとするために改造することもできることもわかった。
【0069】
本発明においては、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の末端及び基端が冠状静脈洞30の壁に(例えば、図7において矢印Pによって示されているように)後方への力をかけ、一方、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、冠状静脈洞30の壁に(例えば、図7において矢印Aによって示されているように)前方への力をかけることを記載しておくことは重要である。
【0070】
いくつかの場合には、給送カテーテル106の基端130(図3)は、接着テープ、巾着縫合、皮膚用ステープル等のような標準的な患者管理方法を使用して患者の外皮に固定することができる。他の場合には、給送カテーテル106の基端130は、給送カテーテルが縫合によって患者の組織に固定できる縫い目カフを含んでいても良い。例えば、縫い目カフ166が給送カテーテル106の基端130に取り付けられた状態で示されている図8を参照のこと。所望ならば、部材169を調整可能な弁133の基端に設け、それによって、可撓性のプッシュロッド109が調整可能な弁133(図3)を使用することなく、カテーテル106に迅速に給送させても良い。例えば、部材169は、可撓性のプッシュロッド109を給送カテーテル106に固定するためのクリップできる部材を含んでいても良く、この給送カテーテル106は、次いで、例えば継ぎ目カフ166によって患者に固定される。所望ならば、アセンブリの基端は、例えば永久的な移植の場合には、患者の皮膚の下に埋め込んでも良い。
【0071】
上記したように、プッシュロッド109を給送カテーテル内に押し込む前に、給送カテーテル106の末端を冠状静脈洞内の定位置に固定することが便利である。このような構造は、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が右心房内で回転し且つ冠状静脈洞内へ入るときに給送カテーテルを定位置に維持するであろう。このような固定部材が無い場合には、プッシュロッドは、給送カテーテルを下大静脈21内を下方へ動かすことができる。より特別には、給送カテーテル106の末端を冠状静脈洞30の壁に固定することによって、給送カテーテルは、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157が冠状静脈洞内で回転を行うことに対する初期抵抗を受けるときに、下大静脈21を下方へ分岐することに対して安定化させることができる。バルーン139は、このような固定を行う一つの方法である。しかしながら、給送カテーテル106の末端127を冠状静脈洞30内の定位置に固定するための他のタイプの固定機構、例えば、ばねクリップ、リブ等を利用することも可能である。
【0072】
所望ならば、プッシュロッド109の末端151は、それ自体に、例えば図9に示されている末端アンカー172のような末端アンカーが設けられていても良い。プッシュロッド109上のこのような末端アンカーは、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157を冠状静脈洞30内の適正な位置に保持する助けとなり得る。
【0073】
冠状静脈洞の壁に給送カテーテルの末端を繋ぎ止めることなく給送カテーテル106が下大静脈21へと分岐するのを防止することもまた可能である。より特別には、図10を参照すると、給送カテーテル106の可撓性本体124よりも堅牢な材料によって作られている支持カテーテル173が示されている。支持カテーテル173は、その末端174を冠状静脈小孔27内に配置することができ、次いで、プッシュロッド109が給送カテーテル106へと下方へ進められたときに、その側壁174Aが下大静脈21に隣接した給送カテーテル106を支持し、それによって、給送カテーテル106が下大静脈21へと下方へ分岐するのを防止することができる。図10はまた、頚静脈18への入口に位置している導入器カテーテル174Bをも示している。
【0074】
上記した装置100の説明においては、プッシュロッド109は、給送カテーテル106を介して外科部位へ進入せしめられ且つ外科部位にある間は給送カテーテル106内に維持され、プッシュロッド109が取り出されるときには、次いで給送カテーテル106を取り出すものとして記載されている。しかしながら、所望ならば、ひとたびプッシュロッド109が外科部位に配備されると、次いで、給送カテーテル106を取り出し、プッシュロッド109のみを外科部位に残しても良い(例えば、図11参照)。
【0075】
プッシュロッド109を、給送カテーテル内を通過させることなく外科部位へ直接進入させることも可能であり、この場合には、プッシュロッド109は、冠状静脈洞30内に配備されるまで、介入脈管構造内を自力で進入させられる。
【0076】
上記したように、プッシュロッド109が僧帽弁の後方弁輪に隣接した領域へと進入せしめられると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、冠状静脈洞の本来の形状を変形させて、ほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせるであろう。この作用は、所望の弁改造を誘起するけれども、冠状静脈洞の壁、特に、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の末端及び基端に著しい応力を誘起することもできる。細長い本体157の末端及び基端応力は集中せしめられるであろう(図7の矢印Pを参照)。この目的のために、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の構造は、この応力をより良好に分布させるために幾分改造しても良い。
【0077】
より特別には、次いで図12を参照すると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の末端及び基端は、冠状静脈洞の壁上にかかる応力をより良く分配する助けとするために比較的可撓性の部分175を含んでいても良い。更に、及び/又は代替的に、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157の末端及び基端に適用されるテーパー部は、冠状静脈洞の壁にかかる応力をより良好に分布させるために、例えば図13において符号178によって示されているように長くしても良い。本発明の一つの好ましい形態においては、図14を参照すると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157は、比較的長いテーパー部178を備えた比較的長く且つ比較的可撓性の部分175を有していても良い。所望ならば、比較的長いテーパー178を備えた比較的長く比較的可撓性の部分175の各々は、細長い本体157のほぼ真っ直ぐで実質的堅牢な中間部分と同じ長さか又はより長くしても良い。
【0078】
次に図15を参照すると、本発明のもう一つ別の好ましい実施形態を含んでいる装置181が示されている。装置181は、より特別には、概して、ガイドワイヤ103、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184及び押し込みカニューレ187を含んでいる。
【0079】
ガイドワイヤ103は、既に説明したようなものである。ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、種々の異なる長さで提供され、末端188と基端190とを含んでいる。末端188と基端190との間には中心内腔193が延びている。中心内腔193はガイドワイヤ103を収容する。
【0080】
押し込みカニューレ187は、末端194と基端196とを含んでいる。末端194と基端196との間には中心内腔199が延びている。中心内腔199はガイドワイヤ103を収容する。
【0081】
装置181は、僧帽弁逆流を減じるために以下のように使用することができる。
第1に、ガイドワイヤ103の末端115は、患者の頚静脈18(又は、左鎖骨下静脈15)内を下方へ進められ、上大静脈9内を下方へ進められ、心臓の右心房24内へ進められ、冠状静脈洞30に沿って通される。可撓性のガイドワイヤ103が冠状静脈洞30内を下方へ通過せしめられるとき、ガイドワイヤは、その可撓性によって冠状静脈洞の本来の湾曲した形状を呈する傾向があるであろうということは理解されるであろう。ガイドワイヤの非外傷性のばね先端121は、ガイドワイヤが定位置へと進入せしめられるときに脈管構造に対する損傷を最少化する助けとなるであろう。
【0082】
次に、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の末端188は、ガイドワイヤ103の基端118の周囲に配置され、ガイドワイヤから若干の距離だけ下方へ進められる。次いで、押し込みカニューレ187の末端194がガイドワイヤ103の基端118の周囲に配置され、次いで、押し込みカニューレ187はガイドワイヤから下方へ進入せしめられる。押し込みカニューレ187がガイドワイヤから下方へ進入せしめられると、その末端194は、その進行方向に前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184を押す(図16参照)。
【0083】
ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が冠状静脈洞内を下方へ進められると、冠状静脈洞を付勢して、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が現在存在している場所においてほぼ真っ直ぐな形状を採らせる。押し込みカニューレは、必要に応じて、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が僧帽弁の後方弁輪に隣接して配置されるまでガイドワイヤに沿って下方へ押される。このことが起こるときに、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が冠状静脈洞内に存在することによって、冠状静脈洞はこの場所で実質的に真っ直ぐな形状を呈するようにされ、その結果、僧帽弁の後方弁輪は前方へ付勢される。このことにより、後方弁膜は同じく前方へ動かされて弁膜の接合を改良し、それによって、僧帽弁逆流を減らす(か又は完全に排除する)。標準的な可視化手段(例えば、超音波心臓検査法及び/又は蛍光透視法)を使用して、僧帽弁逆流を減らす(か又は完全に排除する)ために、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の正確な位置が調整される。
【0084】
所望ならば、押し込みカニューレ187には、該カニューレが該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の基端190を解除可能に固定できるように解除可能に取り付けることができる境界部(例えば、把手)を設けても良い。このような特徴によって、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体は、位置決めするか又は取り出すために、冠状静脈洞内で後方へ引っ張られるのが可能になるであろう。
【0085】
このようにして、本発明においては、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が本質的に僧帽弁の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞の通常湾曲した部分内へ嵌入される。ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の長さを適正なサイズとすることによって及びほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184を患者の冠状静脈洞内に適正に位置決めすることによって、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、冠状静脈洞の少なくとも一部分は、僧帽弁36の後方弁膜39に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにされるであろう。この作用は、次いで、僧帽弁の後方弁輪を前方へ駆動して弁膜の接合を改良し、それによって、僧帽弁逆流を減らす、このように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184を僧帽弁36の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞30内へ挿入することによって、僧帽弁の弁輪33は、大きな曲率半径を呈するように効率良く操作される。
【0086】
上記したように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の長さを患者の解剖学的構造の本来の曲率に対して適正なサイズとすること及びほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184を患者の冠状静脈洞内に適正に配置することによって、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁36の後方弁膜39に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良し、それによって僧帽弁逆流を減らす。この目的のために、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、各々が異なる大きさの細長い本体184を備えた複数の異なるほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184を有するキッの一部分として提供され、それによって、医師が特定の患者の解剖学的構造に対して適切な大きさの細長い本体184を選択し且つ配備させるようにするのが好ましい。更に、(例えば、超音波心臓検査法及び/又は蛍光透視法によって)、配備時に異なる大きさの細長い本体184が必要とされていることが発見された場合には、第1の細長い本体184は、所望の治療結果を得るために必要とされる大きさを有する第2の細長い本体184によって置き換えても良い。
【0087】
本発明の一つの好ましい形態においては、最初に、特定の患者の解剖学的構造に対する細長い本体184の適切な長さを最初に決定する目的で患者の冠状静脈洞内に診断用の細長い本体184が挿入される。以前と同じく、連続して一連の異なるサイズの診断用の細長い本体が患者の冠状静脈洞内へ挿入されて、治療用細長い本体184の好ましいサイズが決定される。その後に、適切なサイズの治療用の細長い本体184を冠状静脈洞内に挿入して弁膜の接合を改良し、それによって僧帽弁逆流が減じられる。
【0088】
更に、診断用の細長い本体184を患者の冠状静脈洞内に挿入する前に、医師は、診断用の細長い本体184のための最初に予測する長さを決定する目的で、冠状静脈洞のサイズの初期の査定を行っても良い。これは、放射線不透過性の標識を表面に有するガイドワイヤ103を使用する蛍光透視法によって又は放射線不透過性の標識を表面に有する別の装置(例えば可撓性部材)を冠状静脈洞内に挿入することによって、又は当業者にとって明らかな他の方法で行うことができる。放射線不透過性の標識を使用する場合には、医師は、冠状静脈洞のサイズの初期の査定を行い、それによって、診断用の細長い本体184の初期の予測される長さを決定し、次いで、この診断用の細長い本体184は、診断用の細長い本体184の適当な長さが決定されるまで必要に応じて変えられ、適当な長さの診断用の細長い本体184が決定されると、この適当なサイズの診断用の細長い本体184を治療用の細長い本体184と置き換える。
【0089】
同じく上記したように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184が僧帽弁の後方弁輪に隣接した領域へと進められると、該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、冠状静脈洞の本来の形状を変形してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせるであろう。この作用は所望の弁改造を惹き起こすけれども、これは、特に応力が集中するほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の末端及び基端における冠状静脈洞の壁に大きな応力を惹き起こし得る(例えば、図7における矢印Pを参照のこと)。この目的のために、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の形状は、この応力をより良好に分布させるように幾分改造しても良い。
【0090】
より特別には、次に図17を参照すると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の末端及び基端は、冠状静脈洞の壁にかかる応力をより良く分布させる助けとするために、比較的可撓性の部分188A,190Aを含んでいても良い。更に及び/又は代替的に、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184の末端及び基端に適用されたテーパーは、冠状静脈洞の壁にかけられる応力をより良好に分布させるために、例えば図18において188B,190Bで示されているように細長くしても良い。本発明の一つの好ましい形態においては、図19を参照すると、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体184は、比較的細長いテーパー部188B,190Bを備えた比較的長く且つ比較的可撓性の部分188A,190Aを備えていても良い。所望ならば、比較的長いテーパー部188B,190Bを備えたこの比較的長く且つ比較的可撓性の部分188A,190Aの各々は、細長い本体184のほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な中間部分と同じ長さか又はより長くても良い。以前の説明においては、細長い本体157(又は184)は、比較的可撓性の部分175(図12)(又は188A,190A,図17)及び/又はテーパー部178(図13)(又は188B,190B,図18)及び/又は細長く比較的可撓性のテーパー部(図14)(188A,188B,190A,190B,図19)を備えた又は備えていないほぼ真っ直ぐで且つ実質的に堅牢なものとして一般的に記載されている。しかしながら、“ほぼ真っ直ぐ”、“実質的に堅牢な”及び“比較的可撓性の”等の用語は、解剖学的組織の文脈において解釈されるべきものであり、絶対的な意味において解釈されるべきものではないことは理解されるべきである。
【0091】
基本的に、細長い本体157(又は184)は、(1)その中間部分が(例えば図7において矢印Aによって示されているように)冠状静脈洞の壁に前方への力を付与し、(2)その末端及び基端が(例えば図7において矢印Pによって示されているように)冠状静脈洞の壁に後方への力を付与する構造とされている。逆に、大きな中心負荷L1(図20)が僧帽弁の弁輪によって細長い本体157(又は184)の中間部分に付与され、より小さい端部負荷L2(図20)が冠状静脈洞の後方部分によって細長い本体157(又は184)の末端及び基端に導かれる。
【0092】
とりわけ、このような作用は、(1)僧帽弁輪の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞の部分の本来の湾曲度よりも真っ直ぐであり(しかしながら、必ずしも完全に真っ直ぐである必要はない)、配備された細長い本体157(又は184)によって変位せしめられるべき解剖学的組織よりも堅牢である(しかしながら、必ずしも完全に堅牢である必要はない)細長い本体157(又は184)を使用することによって形成することができる。
【0093】
上記したように、冠状静脈洞の基端部分上の負荷をより良好に分布させるために、細長い本体157(又は184)の末端及び基端は、比較的可撓性の部分175(図12)(又は、188A,190A,図17)及び/又はテーパー部178(図13)(又は188B,190B,図18)及び/又は細長い比較的可撓性のテーパー部175、178(図14)(188A,188B,190A,190B,図19)を有していても良い。更に、これらの部分175(188A,190A)、178(188B,190B)及び/又は175,178(188A,188B,190A,190B)の可撓性は、その長さに沿って変化し得る。従って、この細長い比較的可撓性のテーパー部175,178(図14)(188A,188B,190A,190B,図19)は、これらがその外側の端部に向かって延びるときにより可撓性となり得る。
【0094】
実際には、細長い本体157(又は184)の中間部分が絶対的に堅牢であることを必要とするようなものは本発明には存在せず、事実、僧帽弁によってかけられるより大きな中間負荷L1(図20)に対して実質的に耐える限り満足に機能するであろう。この設計は、細長い本体157(又は184)の末端及び基端を冠状静脈洞の後方壁によって導かれるより小さな端部負荷L2(図20)に対して幾分耐性を低くすることによって更に高める。このようにして、中心又は中心の近くの堅牢性が最も高く、2つの端部又は2つの端部の近くの堅牢性がより低くなされた長さ方向に沿った可撓性の勾配(又は、逆に、中心又は中心近くの可撓性が最も低く、2つの端部若しくは該2つの端部近くの可撓性がより高くなされた長さ方向に沿った可撓性の勾配)を備えた、その長さに沿った堅牢性の勾配を有する装置によって満足すべき設計を付与することができる。これは、細長い本体にテーパー部を設けることにより及び/又はその組成及び/又は材料特性を変えることにより及び/又は本発明に関する当業者に明らかとなるその他の技術によって達成することができる。或いは、満足すべき設計は、その全長に沿ってある程度の可撓性を有する装置によって付与することができ、この可撓性は長さに応じて変えることができ又は該細長い本体157(又は184)の全長に沿って実質的に一定であっても良い。
【0095】
このようにして、上記したように、満足すべき設計は、(1)僧帽弁の弁輪の後方弁膜に隣接した冠状静脈洞の部分の本体の曲がりよりも真っ直ぐであり(しかしながら、必ずしも完全に真っ直ぐである必要はない)、(2)配備された細長い本体157(又は184)によって変位されるべきである解剖学的組織よりも堅牢である(しかしながら、必ずしも完全に堅牢である必要はない)細長い本体157(又は184)によって実行することができる。他の代替的な実施形態においては、細長い本体157,184は、1以上の可撓性の区分Fによって相互に結合された2以上のほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な区分Rによって形成しても良い。例えば、このような構造を示している図21及び22を参照のこと。区分R及びFの相対的な長さを変えることにより並びに可撓性の区分Fの相対的な可撓性を変えることにより、優れた弁輪の変位をもたらし、それによって僧帽弁逆流を良好に減じることができる。
【0096】
図23及び24は、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体157,184が複数の区分S1,S2,S3を含んでおり、区分S1は選択された程度の可撓性を有するような構造とされており、区分S2は区分S1よりも低い可撓性を有するような構造とされており、区分S3は区分S1よりも高い可撓性を有する構造とされている。区分S1,S2,S3は、相互に一体に形成されても良いし又は継ぎ手によって相互に結合されても良い。この構造の結果として、区分S1は僧帽弁の弁輪を再構築する負荷を担持するであろうし、区部S2はこの負荷を中心から離れた区分S3へと伝達させ、区分S3は負荷を冠状静脈洞の側壁へと分散させるであろう。本発明の一つの好ましい形態においては、区分S1は、僧帽弁の弁輪の再形成を支援するある度合いの可撓性が、区分S1がこの場所における僧帽弁の弁輪の湾曲の弓形に大まかに合致するようにさせる構造とされており、区分S2は、僧帽弁の弁輪の再形成によって発生される負荷のほぼ全てが区分S3へ伝達されるように可撓性の度合いを十分に低くするような構造とされており、区分S2は、(例えば、図7において矢印Pによって示されているような)冠状静脈洞の壁に対する後方への力が弁の横連合の実質的に基端及び末端に適用されるように十分な長さを有している。この形態においては、純粋に真っ直ぐにする作用は、このような力が逆流を惹き起こす傾向があるかも知れない横連合間よりもむしろ心臓の基部の連続した繊維に張力をかける外方への圧力をかける。とりわけ、このような構造は、それ自体を後方弁膜の曲がりに自然に合致するように成形した。所望ならば、このような“5つの領域からなる”細長い本体は、種々の体の領域を形成するために使用される種々の直径を有する単一材料によって形成することができる。
【0097】
このように、種々の代替的な実施形態において、細長い本体157及び/又は184は、その長さの少なくとも一部分に沿って可撓性であっても良い。局部の可撓性及び局部の堅牢性は、冠状静脈洞の選択された位置及び後方弁輪の対応する位置を真っ直ぐにするのを可能にすることができる。これは、僧帽弁の弁輪領域を前方へ移動させて、弁膜の接合の局部的な改良をもたらすことができる。更に、この細長い本体は、微繊維によって相互に結合された2つの区分によって形成しても良く、2つの端区分を解剖学的構造に対して固定し且つ教えられた微繊維を引っ張ることによって、冠状静脈洞の本来の曲がりを真っ直ぐにして僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かし、それによって僧帽弁逆流を減じることができる。
【0098】
細長い本体157,184の堅牢性を変更することによって、ある範囲に亘る僧帽弁に対する解剖学的な変形をもたらすことができる。より特別には、図25は、弁膜39,42が適正に接合している正常な僧帽弁を示しており、図26は、弁膜39,42が適正に接合していない逆流する僧帽弁36を示している。
【0099】
細長い本体157,184の中心部分が解剖学的構造と比較して大きく且つ実質的に完全に堅牢であり、細長い本体157,184の2つの端部が比較的可撓性の部分(例えば、このような構造が図14及び19に示されている)で終わっており、解剖学的な変形は、実質的に図27及び28に示されているもののようにすることができる。
【0100】
細長い本手157,184が、中心部S1と2つの端部S3との両方に何らかの可撓性を備え且つ結合部分S2(例えば、このような構造は図23及び24に示されている)に比較的可撓性でない部分を備えた棒を有している場合には、この細長い本体は、弁輪を支持し且つ図29及び30に示されているもののような冠状静脈洞の壁との緩やかな係合をするための可撓性の吊り革を提供するように作ることができる。本発明の一つの好ましい形態においては、細長い本体157,184は、その長さに沿って形成された可撓性を有して、本来の弁輪の幾何学的構造にぴったりと合致して、後方弁輪を、図31及び32に示されたもののような本来の曲がり状態に後方弁輪を支持しつつ、後方弁輪(及び後方弁膜)を前方弁膜の方へ動かすようになされている。
【0101】
一つの好ましい構造においては、細長い本体157,184は、冠状静脈洞の壁に対する(例えば、図7において矢印Pによって示されているような)後方への力が、主として前方及び後方の横連合の基端側及び末端側の位置に各々適用されるように作られた幾何学的構造及び可撓性を有している。例えば、図30及び32を参照すべきであり、これらの図は、図示された構造が、患者の解剖学的構造すなわち冠状静脈洞の壁に(矢印Aによって示されているような)前方への力を付与する中間部分及び冠状静脈洞の壁に(矢印Pによって示されているような)後方への力を付与する末端及び基端に力を付与する形態を示している。弁の横連合の領域に後方への力Pをかけることによって、横連合の領域の側方蛇行が最少化され、優れた弁の接合が得られる。
【0102】
上記に加えて、僧帽弁の弁輪にかけられる力の大きさは、細長い本体157,184のサイズ及び幾何学的構造とその可撓性との関数であろうということは理解されるであろう。本発明の一つの好ましい形態においては、細長い本体157のサイズ、幾何学的構造及び弾性は、比較的大きな力(例えば、約0.91〜2.2キログラム(約2〜5ポンド)の力)が僧帽弁の中心部分にかけられ、それによって、ほぼ完全な改造が典型的には細長い本体157,184を冠状静脈洞内へ挿入するとすぐさま達成されるようにすることが好ましい。本発明の別の好ましい形態においては、細長い本体157,184のサイズ、幾何学的構造及び弾性は、著しく小さい力(例えば、約0.45〜1.36キログラム(約1〜3ポンド))が僧帽弁の弁輪にかけられ、それによって、ほんの部分的な改造が典型的には細長い本体157,184を冠状静脈洞内へ挿入するとすぐに達成されるようにすることが好ましい。しかしながら、細長い本体157,184をニチノールのような十分な弾性又は好ましくは超弾性材料によって作ることによって、この細長い本体は、その後に、かけられる負荷に応じて解剖学的構造が動き始める場合においてさえ僧帽弁に改造するための力をかけ続け、このようにして、所望の完全な改造が次第にもたらされるであろう。
【0103】
細長い本体157,184は、弾性材料によって作られ、所望の弁改造が常に次第にもたらされるようになされている後者の場合には、細長い本体157,184によってかけられる力は、常に、比較的一定のままであることが望ましい場合が多い。この目的のためには、ある種の材料は他の材料よりも望ましいかも知れない。より特別には、次に図33を参照すると、ニチノール及びステンレス鋼のような2つの材料のための力対変形の曲線を示している図が示されている。図33においてわかるように、ニチノールは初期の移植中に変形せしめられ、次いで、後続の組織改造中に弛緩されるので、これは、比較的一定の力を組織にかける。しかしながら、ステンレス鋼が変形せしめられ且つ次いで弛緩されるので、これは、広範囲に変化する力を組織にかける。細長い本体157,184は、少なくとも部分的にニチノール又はその他の超弾性材料によって作られることが一般的に望ましい。
【0104】
上記に加えて、細長い本体157及び/又は184は、その長さに沿って種々の非直線形状のうちのいずれかを有しても良い。例えば、該細長い本体は、その長さの全て又は一部分に沿って、波状、螺旋状又は湾曲状とされていても良い。例として、細長い本体157及び/又は184は、冠状静脈洞の本来の湾曲を逆にするために、すなわち、該細長い本体が前方弁輪に向かって曲げられるように湾曲した形状を有していても良い。又は、該細長い本体は、その長さに沿って複合形状を有していても良く、例えば、中心が前方弁輪の方を向いている“w”形状の種類を有していても良い。これらの又はその他の代替的な形状のうちのいずれもが、僧帽弁逆流の減少を生じさせる後方弁輪の前方への変位をもたらすことができる。
【0105】
次に図34〜36を参照すると、細長い本体157及び/又は184には本体157,184から径方向外方へ延びている冠状のリブ200を設けても良いことがわかるであろう(図34及び35)。これらのリブ200は、給送カテーテル106の壁と係合し、すなわち、給送カテーテル106が使用されていない場所若しくは給送カテーテル106が既に抜き取られた場所においては、冠状静脈洞30の壁は、始終本体157,184の移動を減じる。リブ200はまた、本体157,184内の環状の溝202(図36)によって形成され、この場合には、リブ200の外周面204は、本体の外周面205と一致している。リブ200には、ほぼ平らな外周端縁206(図34及び36)か又はほぼ切頭円錐形状(図35)の外周端縁207を設けても良い。後者の場合には、リブ200のうちのいくつかの端縁207の傾斜面208は基端方向を向いており、一方、残りのリブの傾斜面208は末端方向を向いているのが好ましい(図35)。細長い本体157,184が可撓性部分175(図12)(又は、188A,190A,図17)及び/又はテーパー部178(図13)(又は、188B,190B,図18)及び/又は細長い比較的可撓性のテーパー部175,178(図14)(又は、188A,188B,190A,190B,図19)を含んでいる場合には、リブ200は、同様に、これらの構造上に形成しても良い。
【0106】
図37には、安定化骨格210が図34に示されている細長い本体157,184と組み合わせて使用されている代替的な実施形態が示されている。この実施形態においては、安定化骨格210は、冠状静脈洞内に配置されるほぼ円筒形の円材を含んでおり且つ冠状静脈洞の壁に固定されており、その後、細長い本体157,184(表面にリブ200を備えている)が、この安定化骨格210内に配置される。細長い本体157,184のリブ200は、安定化骨格210のいくつかの部分と係合して、該細長い本体が冠状静脈洞30内の定位置に固定されるようになされている。例えば、安定化骨格210がその骨組みの円材間に開口部を含んでいる場合には、リブ200は、細長い本体157,184を安定化骨格210に係止する助けとなるようにこれらの円材及び開口部と相互作用することができる。
【0107】
より特別には、本発明のこの形態においては、安定化骨格210は、(例えば、外方伸長部及び/又は安定化骨格内への組織侵入によって及び/又は骨格によって担持されている棘状部等によって)冠状静脈洞の壁に固定され、細長い本体157,184(表面にリブ200を備えている)は、(例えば、リブと骨格との係合によって)安定化骨格210に固定されており、それによって、(1)細長い本体157,184を長手方向に進入しないように固定する助けとなって僧帽弁逆流の維持可能な減少を提供し、及び/又は(2)より大きな負荷L1(図20)が冠状静脈洞上にかけられる場合に冠状静脈洞30を支持する助けとなり、及び/又は(3)細長い本体157,184の集中した端部負荷L2(図20)を冠状静脈洞のより大きな領域へと分布させて宿主血管に対する外傷を最少化する助けとし、及び/又は(4)血管の内側に適用される負荷に応答して血管の断面の形態変化を制限して信頼性の高い血液の流れを確保し且つ脈管の外傷を最少化する助けとなる。この点に関して、冠状静脈洞は概してその長さに沿って種々の特性(例えば、直径、壁の堅牢さ等)を有し、安定化骨格210は、これに対応して、それ自体の長さに沿って異なる特性を呈するように作ることができる。非限定的例として、安定化骨格210は、冠状静脈洞の典型的な幾何学的構造に対応させるために、その末端の直径をより小さく、その基端の直径をより大きくすることができる。更に別の非限定的例として、安定化骨格210は、(静脈が比較的軟らかい場合が多い)冠状静脈洞の基端に、より大きな支持を提供し且つ(静脈が比較的硬い場合が多い)冠状静脈洞の末端に、より小さな支持を提供するように作っても良い。
【0108】
細長い本体157が冠状静脈洞30内の安定化骨格210の内側に配置される本発明の一つの形態においては、上記したように、ガイドワイヤ103が最初に冠状静脈洞内へと進入せしめられる。内部に安定化骨格210を有している骨格配備用カテーテル212(図38)が、ガイドワイヤ103に沿って冠状静脈洞内へと進入せしめられる。安定化骨格210が冠状静脈洞内の所望の位置に配置されると、ガイドワイヤ103上に載っている干渉部材214が安定化骨格と係合せしめられ、骨格配備用カテーテル212は、安定化骨格210を配備するために十分に後方へ引っ張られ、次いで緩衝部材214に沿って引き抜かれて安定化骨格210及びガイドワイヤ103が冠状静脈洞30内の定位置に残される。次いで、給送カテーテル106が、給送カテーテルの末端が冠状静脈洞内で安定化骨格内に位置決めされるまで、ガイドワイヤ103に沿って進入せしめられる。ひとたび、給送カテーテル106が冠状静脈洞内の安定化骨格内に位置決めされると、ガイドワイヤ103は抜き取られる。次いで、プッシュロッド109が、細長い本体157が僧帽弁36の後方弁輪に隣接して安定化骨格210内に配置されるまで給送カテーテル106の中心内腔136内を進入せしめられる。次いで、給送カテーテル106は引き抜かれ、そのとき、本体リブ200は、上記したように安定化骨格と係合して細長い本体157が安定化骨格210内に係止された状態でプッシュロッド109を定位置に残す。
【0109】
細長い本体184が冠状静脈洞内の安定化骨格210の内側に配置される本体のもう一つ別の形態においては、骨格210の内側に配置されるガイドワイヤ103は、上記したように、冠状静脈洞内へ進入せしめられる。安定化骨格210を備えている骨格配置用カテーテル212は、ガイドワイヤ103上に取り付けられ且つ冠状静脈洞30内へ進入せしめられる。次いで、緩衝部材214が安定化骨格210を定位置に保持している状態で、骨格配備カテーテル212は、安定化骨格210を配備するのに十分なだけ後方へ引っ張り、次いで、緩衝部材214に沿って引き抜かれてガイドワイヤ103及び安定化骨格210を定位置に残す。次いで、本体184及び押し込みカニューレ187が、細長い本体184が安定化骨格210内に配置されるまで、ガイドワイヤ103の周囲に沿って進入せしめられる。次いで、押し込みカニューレ187及びガイドワイヤ103が抜き取られ、細長い本体184と安定化骨格210とは、細長い本体184が安定化骨格内に係止された状態で定位置に残される。
【0110】
図39を参照すると、安定化骨格210上に最も大きな負荷(L1)が存在し、細長い本体157,184はその中間部分にあって安定化骨格従って本体157,184の末端方向か基端方向への移動を減少させていることがわかるであろう。
【0111】
次に図40及び41を参照すると、細長い本体157,184は安定化骨格210の直径よりも実質的に小さい直径を有することができることもわかるであろう。この場合には、安定化骨格210には、細長い本体157,184を受け入れるためのガイド211を設けることができる。例として、ガイド211は、安定化骨格210の内側壁上に形成された中空管を含んでいても良く、ガイド211は、細長い本体157,184を収容でき且つ安定化骨格210に対して固定するような大きさとされている。所望ならば、安定化骨格210は、例えば図40,41に示されているような細長い本体157,184の端部から離れた位置で終端していても良い。代替的には、安定化骨格210は、例えば、図42及び43に示された方法で、細長い本体157,184の端部で共に終端しても良く、又は、安定化骨格210は、例えば、図44及び45に示された方法で細長い本体157,184の端部を越えて延びていても良い。
【0112】
図40,41又は図42,43又は図44,45の安定化骨格210210及び細長い本体157,184を使用するための一つの好ましい方法においては、安定化骨格210210は、最初は、ガイドワイヤ103が例えば図46に示されている方法で安定化骨格210のガイド211内を通るように中心がずらされるように改造されている以外は図38に示されているものに似た骨格配備用カテーテル212及び緩衝部材214を使用して配備することができる。安定化骨格210210は、最初に、上記した方法で配備され、ガイドワイヤ103は、安定化骨格210のガイド211内を含む冠状静脈洞内の位置に細長い本体157,184を装填するために使用される。
【0113】
もう一つ別の構造においては、図47を参照すると、細長い本体157,184は、安定化骨格が骨格配備用カテーテル212内に装填されたときに安定化骨格のガイド211内に予め装填することができ、この構造においては、安定化骨格210210及び細長い本体157,184は冠状静脈洞内に同時に配備される。
【0114】
図48に示されているように、本体157,184は、安定化骨格210の一部分として形成しても良く、この組み合わせの安定化骨格部分は、冠状静脈洞が治療するために配置された冠状静脈洞の負荷である最も大きな負荷L1をかける本体157,184の中間部分に配置されている。同じく、安定化骨格210は細長い本体157,184の端部から離れて終端していても良く(図48)、又は、安定化骨格210は細長い本体157,184の端部で共に終端していても良く(図49)、又は、安定化骨格210は細長い本体157,184の端部を越えて延びていても良い(図50)。
【0115】
図51及び42に示されているもう一つ別の実施形態においては、細長い本体157,184と安定化骨格210との組み合わせは、部分210A及び210Bのような2以上の骨格部分を含んでおり、部分210Aはこの組み合わせの中間部分に配置されており、部分210Bは部分210A内を伸長しており且つそこから端部を形成するように延びており、より大きな弾性を有している端部を形成している。本体157,184は、本体157,184の中間部分に配置された概して円筒形状の骨格部分210A及び円筒形の骨格部分210Bに固定されている。細長い本体と安定化骨格との組み合わせの最も強い部分である中間部分210Aは、最も大きな負荷L1に耐える部分である。
【0116】
図53及び54には、細長い本体157,184が2列の一連のリブ215に固定されている代替的な実施形態が示されている。図54において見ることができるように、リブ215の線は、相対的にずらされて細長い本体157,184の一方の側上のリブが細長い本体の反対側上のリブと対向しないようにされているのが好ましい。このことは、リブ215が反対側のリブと係合することなく反対側に向かって撓ませられる。これらのリブの撓みは、リブがカテーテル内に配置されるように圧縮される。
【0117】
図55には、図54のものと似ているが脊椎216に結合されたリブ215を示している代替的な構造が示されており、脊椎216は、その中に細長い本体157,184を収容するようにカニューレを挿入されている。
【0118】
図56には、細長い本体と骨格組立体との代替的な組み合わせが示されており、安定化骨格210210は、骨格と一体化されたロッドの形態の細長い本体部分157,184を含んでいる。図56に示されている実施形態においては、少なくとも1つの本体部分157,184は、該組立体の一端から他端まで延びており、一方、他の本体部分157,184は、該組立体の中間部分内のみに延びている。従って、組立体の端部は、その中間部分よりも堅牢性が低い。
【0119】
図57を参照すると、本体157,184は、中間部分が3つの安定化骨格210’,210”及び210’”の全てを含み、中間部分の中心から離れた部分が安定化骨格210”,210’”を含み、一方、端部が唯一の安定化骨格210’”を含んでいる安定化骨格、例えば安定化骨格210’,210”及び210’”のみを含んでいても良い。このように、本体157,184の中間部分は、移動に対して最も抵抗し、一方、端部は、最も抵抗が小さく、安定化骨格210”における領域は、中間部分よりも小さいが端部よりも大きい抵抗を付与する。
【0120】
次に、図58〜60を参照すると、細長い本体と骨格組立体との代替的な組み合わせが示されており、該組み合わせにおいては、細長い本体は、図23及び24に示された種類の5つの領域からなる細長い本体157,184を含んでおり、該骨格は、3つの支持骨格を含んでおり、すなわち、図40〜47に示された種類の各々は、細長い本体157,184を収容するためのガイド211を有している。より特別には、この5つの領域からなる細長い本体157,184は、複数の区分S1,S2及びS3を含んでおり、区分S1は選択された可撓性度合いを有する構造とされており、S2は区分S1よりも低い可撓性度合いを有する構造とされており、区分S3は区分S1よりも高い可撓性度合いを有する構造とされている。この構造の結果として、区分S1は、僧帽弁の弁輪を再形成する負荷を担持し、区分S2は区分S3の遙か中心から離れた負荷を伝達し、区分S3は冠状静脈洞の側壁の中心から離れた負荷を分散させるであろう。本発明の好ましい形態においては、区分S1は、僧帽弁の弁輪の再形成を支援する可撓性度合いが、区分S1が依然として係合箇所における僧帽弁の弁輪の曲線の弓形に大まかに合致するようにさせる構造とされており、区分S2は僧帽弁の弁輪の再形成によって発生される負荷のほぼ全てが区分S3に伝達されるように十分に低い可撓性度合いを有するような構造とされており、区分S2は、例えば、(図7において矢印Fによって示されているような)冠状静脈洞の壁上に後方への力が弁の横連合の領域内に適用されるのに十分な長さを有している。支持骨格210は、一つの骨格210が区分S1を収容し、一つの骨格210が一つの区分S2を収容し、一つの骨格210が他の区分S3を収容するように、冠状静脈洞30内に位置決めされる。細長い本体157,184は、支持骨格210と同時に配備されても良いし、又は支持骨格210が配備された後に配備されても良い。好ましい区分S3は、特に、細長い本体157,184が長期間に亘って次第に組織を再形成するように設計されている骨格ガイド211内を摺動することができる。とりわけ、このような構造は、後方弁膜の周囲の領域に自然に自動的に中心に合うように形成され且つ後方弁膜の曲線に程良く一致する。所望ならば、このような“5つの領域からなる”細長い本体は、異なる本体領域を形成するために使用される異なる直径を有する単一の材料によって作ることができる。
【0121】
骨格210は、ステント形状を有していても良く又は図53及び54に示されているようなリブ形状を有していても良いことも理解されるべきである。
次に、図61〜63を参照すると、冠状静脈洞の壁と係合する3つの領域を有している端位置の骨格構造を形成するために、ガイド211が骨格領域の各々の間に延びている以外は図58〜60に示されているものと類似している細長い本体と骨格組立体との組み合わせが示されている。
【0122】
このように、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な本体の移動を防止するための種々の安定化骨格及び同様にこのような移動を防止するための本体と安定化骨格210との組み合わせが提供されている。
【0123】
本発明は、本明細書に開示され及び/又は図面に示されている特別な構造に決して限定されないばかりでなく、特許請求の範囲に包含されるあらゆる変形又は等価物を含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、人間の脈管系の一部の概略図である。
【図2】図2は、人間の心臓の一部分の概略図である。
【図3】図3は、本発明に従って形成された好ましい装置の概略図である。
【図4】図4は、僧帽弁逆流を減らすために図3の装置の使用方法を示している一連の図である。
【図5】図5は、僧帽弁逆流を減らすために図3の装置の使用方法を示している一連の図である。
【図6】図6は、僧帽弁逆流を減らすために図3の装置の使用方法を示している一連の図である。
【図7】図7は、僧帽弁逆流を減らすために図3の装置の使用方法を示している一連の図である。
【図8】図8は、給送カテーテルの代替的な形態を示している図である。
【図9】図9は、可撓性のプッシュロッドの代替的な形成を示している図である。
【図10】図10は、本発明のもう一つの別の代替的な形態を示している図である。
【図11】図11は、本発明のもう一つの別の代替的な形態を示している図である。
【図12】図12は、本発明の一つの形態を含んでいる細長い本体のための代替的な構造を示している図である。
【図13】図13は、本発明の一つの形態を含んでいる細長い本体のための代替的な構造を示している図である。
【図14】図14は、本発明の一つの形態を含んでいる細長い本体のための代替的な構造を示している図である。
【図15】図15は、本発明に従って形成された代替的な装置を示している図である。
【図16】図16は、この装置の細長い本体の配備中に図15の装置が形成される方法を示している図である。
【図17】図17は、細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図18】図18は、細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図19】図19は、細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図20】図20は、本発明のアセンブリの作動部分に係合する力の概略図である。
【図21】本発明のもう一つ別の代替的な形態の概略図である。
【図22】図22は、冠状静脈洞内に配備された図21の構造を示している概略図である。
【図23】図23は、本発明のもう一つ別の代替的な形態の概略図である。
【図24】図24は、冠状静脈洞内に配備された図23の構造を示している概略図である。
【図25】図25は、通常の僧帽弁の概略図である。
【図26】図26は、逆流する僧帽弁の概略図である。
【図27】図27は、冠状静脈洞内に挿入された細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な中心部分を含んでいる。
【図28】図28は、冠状静脈洞内に挿入された細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な中心部分を含んでいる。
【図29】図29は、冠状静脈洞内に挿入された別の細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、弾性の中心部分及び端部を含んでいる。
【図30】図30は、冠状静脈洞内に挿入された別の細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、弾性の中心部分及び端部を含んでいる。
【図31】図31は、冠状静脈洞内に挿入された別の細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、その長さ方向に沿って可変の弾性率を有している。
【図32】図32は、冠状静脈洞内に挿入された別の細長い本体を示している概略図であり、前記細長い本体は、その長さ方向に沿って可変の弾性率を有している。
【図33】図33は、ニチノール及びステンレス鋼の2つの材料の力による変形曲線を示している。
【図34】図34は、前記細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図35】図35は、前記細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図36】図36は、前記細長い本体の更に別の代替的な実施形態の側面図である。
【図37】図37は、安定化骨格と協働係合状態にある細長い本体を示している側面図である。
【図38】図38は、図27の安定化骨格の配備における一つのステップを示している断面図である。
【図39】図39は、冠状静脈洞内の定位置で示された図37の細長い本体の概略図である。
【図40】図40は、本発明のもう一つ別の形態の概略図である。
【図41】図41は、図40における栓41−41に沿った断面図である。
【図42】図42は、本発明のもう一つ別の形態の概略図である。
【図43】図43は、図42における線43−43に沿った断面図である。
【図44】図44は、本発明のもう一つ別の形態の概略図である。
【図45】図45は、図44における線44−44に沿った断面図である。
【図46】図46は、冠状静脈洞に配備された状態の図40乃至45の構造を示している概略図である。
【図47】図47は、本発明のもう一つ別の形態の概略図である。
【図48】図48は、細長い本体と安定化骨格とを係合するための代替的な構造を示している。
【図49】図49は、細長い本体と安定化骨格とを係合するための代替的な構造を示している。
【図50】図50は、細長い本体と安定化骨格とを係合するための代替的な構造を示している。
【図51】図51は、細長い本体と安定化骨格とを係合するための代替的な構造を示している。
【図52】図52は、図51の細長い本体と安定化骨格との結合体の斜視図である。
【図53】図53は、リブがそこから延びている細長い本体の斜視図である。
【図54】図54は、図53の細長い本体とリブ組立体との頂面図である。
【図55】図55は、細長い本体と安定化骨格とのもう一つ別の結合体の斜視図である。
【図56】図56は、細長い本体と安定化骨格との結合体の斜視図であり、前記安定化骨格の構造が複数の細長い本体構成要素を含んでいる。
【図57】図57は、安定化骨格部材によって全体が構成されている細長い本体の側面図である。
【図58】図58は、本発明に従って形成された細長い本体と安定化骨格とのもう一つ別の結合体を示している側面図である。
【図59】図59は、患者の冠状静脈洞内に配備された図57の安定化骨格を示している側面図である。
【図60】図60は、患者の冠状静脈洞内に配備された状態の図57の細長い本体と安定化骨格との結合体を示している側面図である。
【図61】図61は、本発明に従って形成された細長い本体と安定化骨格とのもう一つ別の結合体の側面図である。
【図62】図62は、患者の冠状静脈洞内に配備された状態の図60の安定化骨格を示している側面図である。
【図63】図63は、患者の冠状静脈洞内に配備された状態の図60の安定化骨格を示している側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを真っ直ぐに延ばして僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かし、それによって弁輪の接合を改良するようになされた装置を、挿入することからなり、
前記装置は、冠状静脈洞内への挿入前の非応力状態で冠状静脈洞の湾曲度よりも小さい湾曲度を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、冠状静脈洞内への前記装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が非応力状態でほぼ真っ直ぐである方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が非応力状態で少なくとも部分的に湾曲している方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が冠状静脈洞内へ挿入された後はほぼ真っ直ぐである方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が、冠状静脈洞内への挿入後に実質的に湾曲している方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が、中間部分によって相互に結合された第1及び第2の端部を含んでおり、該第1及び第2の端部は、前記細長い本体が冠状静脈洞内へ挿入された後は実質的に湾曲しており、更に、前記中間部分は、前記細長い本体が冠状静脈洞内へ挿入された後はほぼ真っ直ぐである方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が、中間部分によって相互に結合された第1及び第2の端部分を含んでおり、前記中間部分が、中央領域によって相互に結合された第1及び第2の領域を含んでおり、前記中央領域と前記第1及び第2の端部分とは、前記細長い本体が冠状静脈洞内に挿入された後は実質的に湾曲せしめられ、前記第1及び第2の領域は、前記細長い本体が冠状静脈洞内に挿入された後は実質的に真っ直ぐである方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記中央領域、前記第1及び第2の端部分並びに前記第1及び第2の領域は、前記細長い本体が僧帽弁の後方弁膜にほぼ隣接した冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ且つ僧帽弁の合わせ目にほぼ隣接した壁に後方への力をかけるような長さを有している方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記細長い本体が少なくとも部分的に弾性材料によって形成されている方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記細長い本体が、長期間に亘って連続的に弁の改造をもたらす方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記細長い本体が少なくとも部分的に超弾性材料によって作られている方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記装置が前記細長い本体に係合している安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記安定化骨格が、前記細長い本体が冠状静脈洞内へ挿入される前に冠状静脈洞内へ挿入される方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記安定化骨格が、前記細長い本体が冠状静脈洞内へ挿入されると同時に冠状静脈洞内へ挿入される方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
前記細長い本体が前記安定化骨格から分離されている方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、
前記細長い本体が前記安定化骨格に選択的に結合可能である方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、
前記安定化骨格が前記細長い本体と一体に形成されている方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、
前記安定化骨格が、内部に開口部を有している円筒形の支持枠を含んでいる方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記安定化骨格が、前記細長い本体を内部に受け入れるために前記円筒形の支持枠に結合されたガイドを含んでいる方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記安定化骨格が複数のリブを含んでいる方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
前記リブが前記細長い本体に結合されている方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、
前記リブが脊椎に結合されている方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記脊椎が前記細長い本体を受け入れることができる大きさの内腔を含んでいる方法。
【請求項24】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分を前方へ動かすことにより後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされた装置を挿入することからなり、
前記装置は、冠状静脈洞内への挿入前の非応力状態で冠状静脈洞の湾曲度よりも真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記装置が前記細長い本体に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項26】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度を小さくするようになされた装置を挿入し、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記装置が、前記細長い本体に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項28】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の湾曲度の本来の半径を増すようになされた装置を挿入し、それによって、後方弁輪を前方へ動かして後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記装置が前記細長い本体に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項30】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、末端と基端と中間部分とを有し、該装置が僧帽弁の後方弁膜に近接した冠状静脈洞内に配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけて後方弁輪を前方へ動かし、それによって弁膜を改良する形状とされている装置を挿入することからなり、
前記装置は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する細長い本体を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
前記装置が、前記細長い本体に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項32】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ真っ直ぐな本体を挿入することからなり、前記真っ直ぐな細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような長さとされており、
前記ほぼ真っ直ぐ細長い本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐな細長い本体は、患者の体内に挿入される前はほぼ真っ直ぐであり且つ患者の体内に挿入された後は実質的に湾曲する方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項35】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くにほぼ堅牢な細長い本体を挿入することからなり、前記実質的に堅牢な細長い本体は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かし、それによって弁膜の接合を改良するような形状とされており、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、前記装置と前記僧帽弁との間に配置されている解剖学的な組織よりも堅牢であるが依然として可撓性である方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項38】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の冠状静脈洞内の僧帽弁の後方弁膜の近くに、ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を挿入することからなり、前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の全長は、僧帽弁の後方の弁膜の近くの冠状静脈洞の本来の曲線に対して、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに、冠状静脈洞の少なくとも一部分が僧帽弁の後方弁膜に隣接してほぼ真っ直ぐな形状を呈するようにさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして弁膜の接合を改良するような大きさとされており、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有する棒を含んでおり、前記装置は、該装置と僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅固であり、それによって、冠状静脈洞内への装置の配置によって後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐな細長い本体は、患者の体内に挿入される前はほぼ真っ直ぐであり且つ患者の体内に挿入された後は実質的に湾曲している方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、前記装置と前記僧帽弁との間に配置されている解剖学的な組織よりも堅牢であるが依然として可撓性である方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる方法。
【請求項42】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が経皮的に冠状静脈洞内に挿入される方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を、患者の頸静脈内に導入し、上大静脈へと下方へ進入させ、右心房内を通過させ、次いで、冠状静脈洞内へと通すことによって冠状静脈洞内へ挿入される方法。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を、患者の左鎖骨下静脈内へ導入し、上大静脈へと下方へ進入させ、右心房内を通過させ、次いで、冠状静脈洞内へと通すことによって冠状静脈洞内へ挿入される方法。
【請求項45】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、患者の心臓の切開部を介して冠状静脈洞内へ挿入される方法。
【請求項46】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、当該細長い本体を予め位置決めされた給送カテーテル内を通過させることによって定位置へとガイドされる方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、ガイドワイヤを冠状静脈洞内へ挿入し、該ガイドワイヤの周囲に沿って前記給送カテーテルを冠状静脈洞内へと通過させ、前記ガイドワイヤを取り出し、次いで、前記ほぼ真っ直ぐで実質的に細長い本体を給送カテーテルへと下方へ進入させることによって定位置へとガイドされる方法。
【請求項48】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、当該細長い本体を予め位置決めされたガイドワイヤの周囲を通過させることによって定位置へとガイドされる方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、ガイドワイヤを冠状静脈洞内へ挿入し、次いで、前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を前記ガイドワイヤに沿って下方へ進入させることによって定位置へとガイドされる方法。
【請求項50】
請求項36に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を冠状静脈洞から取り出す後続のステップを更に含んでいる方法。
【請求項51】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が可視状態で挿入される方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、
前記可視状態が、蛍光法、超音波心臓検査法、脈管内超音波法、毛細血管顕微鏡法及びリアルタイム核磁気共鳴映像法からなる群から選択される方法を使用して行われる方法。
【請求項53】
請求項38に記載の方法であって、
前記選択された方法の効率を推定する付加的なステップを含んでいる方法。
【請求項54】
請求項38に記載の方法であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、ガイドカテーテル及びガイドワイヤを使用することなく定位置へとガイドされる方法。
【請求項55】
僧帽弁逆流を減らす装置であって、
末端と基端と中間部分とを有する本体であって、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に配置されたときに、前記末端及び基端が前記冠状静脈洞の壁に後方への力をかけ、前記中間部分が冠状静脈洞の壁に前方への力をかけ、それによって、前記僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良する構造とされている本体を含み、
当該本体は、非応力状態で比較的真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている装置。
【請求項56】
請求項55に記載の装置であって、
棒に結合された安定化骨格を更に含んでいる装置。
【請求項57】
僧帽弁逆流を減じるための装置であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされたほぼ真っ直ぐな細長い本体であって、その全長が、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該ほぼ真っ直ぐな細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造とさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされているほぼ真っ直ぐな本体を含み、
当該本体は、非応力状態でほぼ真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている装置。
【請求項58】
請求項57に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐな細長い本体は、患者の体内に挿入される前はほぼ真っ直ぐであり且つ患者の体内に挿入された後は解剖学的な構造との受動的な弾性相互作用によって実質的に湾曲する装置。
【請求項59】
請求項57に記載の装置であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる装置。
【請求項60】
僧帽弁逆流を減じるための装置であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされた実質的に堅牢な細長い本体であって、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して異なる構造を呈するようにさせ、それによって、後方弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような構造とされている実質的に堅牢な細長い本体を含み、
当該本体は、非応力状態でほぼ真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている装置。
【請求項61】
請求項60に記載の装置であって、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、前記装置と前記僧帽弁との間に配置されている解剖学的な組織よりも堅牢であるが依然として可撓性である装置。
【請求項62】
請求項60に記載の装置であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる装置。
【請求項63】
僧帽弁逆流を減じるための装置であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内に挿入されるようになされたほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体であって、その長さが、前記僧帽弁の後方弁膜の近くで前記冠状静脈洞の本来の曲率に対して、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されたときに、前記冠状静脈洞の少なくとも一部分が前記僧帽弁の後方弁膜に隣接して実質的に真っ直ぐな構造とさせ、それによって、僧帽弁輪の曲率半径を大きくして該弁輪を前方へ動かし且つそれによって弁膜の接合を改良するような長さとされているほぼ真っ直ぐな本体を含み、
当該本体は、非応力状態で実質的に真っ直ぐな形状を有している棒を含んでおり、当該装置は、当該装置と前記僧帽弁との間に配置された解剖学的組織よりも堅牢であり、それによって、冠状静脈洞内への該装置の配置によって、後方弁輪を前方へ動かして弁膜の接合を改良するようになされている装置。
【請求項64】
請求項63に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐな細長い本体は、患者の体内に挿入される前はほぼ真っ直ぐであり且つ患者の体内に挿入された後は実質的に湾曲する装置。
【請求項65】
請求項63に記載の装置であって、
前記実質的に堅牢な細長い本体は、前記装置と前記僧帽弁との間に配置されている解剖学的な組織よりも堅牢であるが依然として可撓性である装置。
【請求項66】
請求項63に記載の装置であって、
前記装置が、棒に結合された安定化骨格を含んでいる装置。
【請求項67】
請求項63に記載の装置であって、
患者の冠状静脈洞内に配置されるようになされた給送カテーテルを更に含み、前記給送カテーテルは、実質的に冠状静脈洞の形状を呈する可撓性材料によって作られており且つ前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体を内部に収容するようになされている装置。
【請求項68】
請求項67に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢で細長い本体がロッドに取り付けられており、当該ロッドは、該ロッドが冠状静脈洞の形状となるように可撓性材料によって作られており、更に、前記ロッドは、前記給送カテーテルに嵌合する大きさとされている装置。
【請求項69】
請求項63に記載の装置であって、
前記給送カテーテルを冠状静脈洞内に配置するための取り外し可能なガイドワイヤを更に含んでいる装置。
【請求項70】
請求項63に記載の装置であって、
冠状静脈洞内に配置されるようになされたガイドワイヤを更に含んでおり、当該ガイドワイヤは、実質的に冠状静脈洞の形状を呈するように可撓性材料によって作られており、更に、前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が前記ガイドワイヤに沿って運ばれるようにカニューレが挿入される装置。
【請求項71】
請求項63に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の末端と基端とのうちの少なくとも一方が、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに冠状静脈洞にかかる応力を解放するための可撓性部分を含んでいる装置。
【請求項72】
請求項63に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体の末端と基端とのうちの少なくとも一方が、当該ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が冠状静脈洞内に配置されているときに冠状静脈洞にかかる応力を解放するために傾斜が付けられている装置。
【請求項73】
請求項63に記載の装置であって、
前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が、前記冠状静脈小孔とAIVとの間に配置されている冠状静脈洞部分よりも長さが短い装置。
【請求項74】
請求項67に記載の装置であって、
前記給送カテーテルが、前記ほぼ真っ直ぐで実質的に堅牢な細長い本体が前記給送カテーテル内を通過せしめられるときに、前記給送カテーテルが下大静脈内へ給送されるのを防止するための支持カテーテルを更に含んでいる装置。
【請求項75】
僧帽弁逆流を減じるための方法であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを逆にし、それによって、僧帽弁の後方弁輪を前方へ動かして弁輪の接合を改良するようになされた装置を挿入することからなり、
前記装置は、棒と、当該棒に結合された安定化骨格とを含んでいる方法。
【請求項76】
僧帽弁逆流を減じるための装置であって、
患者の僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞内へ挿入されるようになされた細長い本体を含み、
前記装置は、僧帽弁の後方弁膜の近くの冠状静脈洞の少なくとも一部分の本来の曲がりを逆にし、それによって、僧帽弁輪を前方へ動かして僧帽弁膜の接合を改良し、前記装置は、棒と、当該棒に結合された安定化骨格とを含んでいる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【公表番号】特表2007−503287(P2007−503287A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533411(P2006−533411)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016472
【国際公開番号】WO2004/105584
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505177162)ビアカー・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】