説明

優れた吸収性及び保持性を有する生分解性超吸収性ポリマー組成物

【課題】従来の衛生用品の保持性、吸収性、更には透過性を損なうことなく、適当な超吸収体を提供すること。
【解決手段】超吸収性組成物の製造方法であって、i.少なくとも1種のモノマーを含むモノマー水溶液のラジカル重合によってヒドロゲルを製造する工程と、ii.ヒドロゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、iii.吸水性ポリマー構造体を表面架橋させて表面架橋吸水性ポリマー構造体を得る工程と、V1.工程i.において澱粉化合物をモノマー溶液に導入する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超吸収性組成物の製造方法、本発明の方法によって得られる超吸収性組成物、粒子状超吸収性組成物、複合体、衛生用品のコア、衛生用品、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節手段用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料等の吸収性組成物を含む化学製品、化学製品における超吸収性組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は大量の水性液体(特に体液、好ましくは尿又は血液)を吸収することができる非水溶性架橋ポリマーであり、水性液体を吸収することにより膨潤し、ヒドロゲルを形成すると共に圧力下で水性液体を保持する。通常、吸収される液体の量は、超吸収体の乾燥重量又は水中の超吸収性組成物の少なくとも10倍又は少なくとも100倍である。これらのポリマーは上述した特性を有するため、おむつや失禁用品、生理用ナプキン等の衛生用品に使用されている。超吸収体、超吸収性組成物及びその用途と製造についての概要は、F.L.Buchholz及びA.T.Graham編「現代の超吸収性ポリマー技術(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」、Wiley−VCH、ニューヨーク、1998年に記載されている。
【0003】
超吸収体は、部分的に中和された酸性基含有モノマーを架橋剤の存在下でラジカル重合することによって通常は製造する。モノマー組成、架橋剤、重合条件、重合によって得られるヒドロゲルの加工条件を選択することにより、異なる吸収特性を有するポリマーを製造することができる。
【0004】
国際公開第WO2004/085481 A1号に記載されているように、主としてセルロースや澱粉等の糖類からなる吸収性ポリマーが知られているが、おむつに使用する際の適合性を向上させることを目的として研究が続けられている。吸水性や保持性を向上させるために、多糖類をアクリル酸と共重合させる。しかし、共重合によって吸水性や保持性は向上するが、共重合体の生分解性が低下する。軽度に架橋され、部分的に中和されたポリアクリレートは多糖類や多糖類とアクリレートの共重合体と比較して高い吸水性、保持性、透過性を有するため、近年ではアクリル酸又はアクリレートからなる超吸収体の製造が主流となっている。特に、表面架橋又は後架橋された超吸収性ポリマーは、超吸収体の充填率(通常は超吸収体の50%以上)の高い吸収層の製造に適しており、装着性や機能性に優れた生理用品、おむつ、失禁用品等の衛生用品の製造に適している。
【0005】
しかし、主としてアクリル酸やアクリレートからなる超吸収性ポリマーは不十分な生分解性を有する。衛生用品を必要とする消費者の環境に対する意識が高まる中で、近年は衛生用品に求められる要件も非常に増加している。しかし、環境に配慮した衛生用品は、環境に対する配慮が低い従来の製品よりも機能性が劣らないものでなくては首尾よく販売することができない。
【特許文献1】国際公開第WO2004/085481 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、全体として従来技術から生じる欠点を軽減又は克服することにある。
【0007】
本発明の目的は、従来の衛生用品の保持性、吸収性、更には透過性を損なうことなく、適当な超吸収体を提供することによって衛生用品の環境適合性を向上させることにある。これにより、超吸収体の充填率が50%を超えるコアや吸収層を使用しても、ゲルブロッキングやそれに伴う漏出を軽減又は防止することができる。
【0008】
本発明の別の目的は、機能性を大きく損なうことなく、衛生用品の環境適合性を向上させる超吸収体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
カテゴリを形成する請求項及び各独立請求項は上述した目的を達成するために寄与し、カテゴリを形成する請求項又は独立請求項に従属する請求項は本発明の好適な実施形態を表すものである。
【0010】
上述した目的の少なくとも一部は、以下の工程を含む超吸収性組成物の製造方法によって達成される。
【0011】
i.少なくとも1種のモノマーを含むモノマー水溶液のラジカル重合によってヒドロゲルを製造する工程と、
ii.ヒドロゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
iii.吸水性ポリマー構造体を表面架橋させて表面架橋吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
iv.以下の変形の1つ又は少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つ又はそれぞれにおいて澱粉化合物を導入する工程。
V1.工程i.において澱粉化合物をモノマー溶液に導入する。
V2.工程i.の後であって工程ii.の前に澱粉化合物をヒドロゲルに導入する。
V3.工程ii.において澱粉化合物を導入する。
V4.工程ii.の後であって工程iii.の前に澱粉化合物を吸水性ポリマー構造体に導入する。
V5.工程iii.において澱粉化合物を導入する。
V6.工程iii.の後に澱粉化合物を表面架橋吸水性ポリマー構造体に導入する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
原則として、変形V1〜V6の考えられ得る各組み合わせは本発明に係る方法の実施形態を表す。以下に示す変形の各組み合わせ(数字の組み合わせ)は、本発明の好適な実施形態を表す。V1V2,V1V3,V1V4,V1V5,V1V6,V2V3,V2V4,V2V5,V2V6,V3V4,V3V5,V3V6,V4V5,V4V6,V1V2V3,V1V2V4,V1V2V5,V1V2V6,V1V3V4,V1V3V5,V1V3V6,V1V4V5,V1V4V6,V1V5V6,V2V3V4,V2V3V5,V2V3V6,V3V4V5,V3V4V6,V4V5V6,V1V2V3V4,V2V3V4V5,V3V4V5V6,V1V2V4V5V6,V1V2V3V5V6,V1V2V3V4V6,V1V2V3V4V5,V2V3V4V5V6,V1V3V4V5V6。ここで、V1V4,V1V5,V1V6,V2V4,V2V5,V2V6,V1V2V5,V1V2V6が特に好ましい。
【0013】
澱粉化合物としては、当業者に公知であって、本発明に適当であると考えられる任意の澱粉化合物を使用することができる。本明細書において使用する「澱粉化合物」という用語は、澱粉及び澱粉誘導体を意味する。澱粉化合物は、当業者に公知であって、適当であると考えられる任意の形態で導入することができる。例えば、変形V1によれば、澱粉化合物及びモノマー溶液を工程iで混合することができる。この場合、澱粉化合物は水溶性澱粉化合物であり、モノマー溶液はモノマー水溶液であることができる。この方法によれば、澱粉化合物をモノマー溶液にできる限り均質的に導入することができ、澱粉化合物はモノマー水溶液の重合生成物(ヒドロゲル)にできる限り均質的に分散される。また、澱粉化合物を粉末又は粉末懸濁液としてモノマー溶液に導入し、重合させてヒドロゲルを得ることができる。このようにして得られたヒドロゲルは、通常は30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の水分含有量を有し、容易に混練することができる生地状の材料として得られる。変形V2によれば、得られた容易に混練・粉砕することができる材料を、澱粉化合物粉末に混練することにより澱粉化合物に非常に均質的に分散させることができる。混練は、好ましくはヒドロゲルの粉砕と共に行う。
【0014】
変形V3に係る澱粉化合物の導入では、乾燥工程前又は乾燥工程時に、予め粉砕したヒドロゲルに澱粉化合物を塗布することが有利である。この操作を行うことにより、好ましくは粉末状である澱粉化合物の付着性を向上させることができる。澱粉化合物は、乾燥させるヒドロゲル又は乾燥中の湿潤状態のヒドロゲルに塗布するか、バインダーに混合する。湿潤操作とバインダーの使用の組み合わせも本発明に係る実施形態である。変形V4では、乾燥及び粉砕し、篩で分級した吸水性ポリマーに澱粉化合物を導入することができる。澱粉化合物は塗布によって導入することが好ましい。好ましくは粉末状の澱粉化合物を、湿潤させた吸水性ポリマー又はバインダーを混合した吸水性ポリマーに塗布することが好ましい。変形V3と同様に、湿潤操作とバインダーの使用を同時に採用することが有利である。変形V4では、混合によって乾燥したほぼ粉末状の澱粉化合物を吸水性ポリマー構造体に塗布し、水性表面架橋剤、例えば、アルミニウム−硫酸塩−炭酸エチレン水溶液又はアルミニウム−硫酸塩−ポリオール水溶液を塗布すると共に工程iiiにおいて湿潤させて付着性を向上させることができる。
【0015】
変形V5では、ほぼ粉末状の澱粉化合物の塗布を表面架橋剤の塗布と共に行うことが好ましい。これは、溶液、例えば上述したアルミニウム−硫酸塩−炭酸エチレン又はポリオール溶液を塗布するか、非常に微細に粉砕した硫酸アルミニウム等の固体の表面架橋剤を塗布することによって行うことができる。後者の場合には、粉末状の澱粉化合物と固体の表面架橋剤を予め混合し、吸水性ポリマー構造体に混合する。表面架橋剤を液体又は固体として塗布する場合には、塗布後には表面架橋を生じさせるために通常は150〜300℃、場合により170〜250℃の温度範囲で熱処理を行う。
【0016】
変形V6では、澱粉化合物を表面架橋後又は表面架橋された吸水性ポリマー構造体に導入することができる。これは、湿潤させた化合物とバインダーを使用して澱粉化合物を表面架橋吸水性ポリマー構造体に付着させるか、湿潤とバインダー(好ましいポリマーバインダー)の使用を組み合わせることにより行うことができる。通常、変形V6における澱粉化合物の塗布後には、澱粉化合物をゆっくりと慎重に混合するか、適度な熱処理に供するか、これらの手段を組み合わせて熟成工程を行う。可能な変形の組み合わせとしては特にV1V6、V4V6、V2V6が挙げられ、V1では好ましくは澱粉化合物SIの特性を有する澱粉化合物を使用する。
【0017】
本発明に係る方法では、1種以上の澱粉化合物が水溶性であることが好ましい。少なくとも30gの澱粉化合物を20℃の温度で1リットルの脱イオン水に溶解することができる場合、澱粉化合物は水溶性であるとみなされる。
【0018】
本発明に係る方法では、澱粉化合物の少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%が、100μm未満、好ましくは75μm未満、特に好ましくは50μm未満の粒径を有することが好ましい。また、澱粉化合物は20〜80μm、好ましくは25〜75μm、特に好ましくは30〜70μmの重量平均粒径を有し、粒子の10重量%未満が5μm未満の粒径を有し、粒子の10重量%未満が90μmを超える粒径を有することが好ましい。
【0019】
澱粉化合物は、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは全てを有することが好ましい。
S1 自由吸収率(free absorption:FA)が少なくとも9g/g、好ましくは少なくとも15g/g、さらに好ましくは少なくとも18g/g。
S2 保持率(CRC)が少なくとも7g/g、好ましくは少なくとも10g/g、特に好ましくは少なくとも12g/g、さらに好ましくは少なくとも13g/g、好ましくは少なくとも12g/g。
S3 圧力下吸収率(AAP0.3)が少なくとも2g/g、好ましくは少なくとも3/g、特に好ましくは少なくとも4g/g、さらに好ましくは少なくとも4.5g/g。
S4 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも2g/g、好ましくは少なくとも3/g、特に好ましくは少なくとも4g/g、さらに好ましくは少なくとも5g/g。
【0020】
澱粉化合物の吸収率、保持率、圧力下吸収率は25〜35g/gに達する場合がある。このような澱粉化合物は変形V1で好ましく使用される。
【0021】
本発明に係る方法では、少なくとも1種の澱粉化合物SIを変形V1又はV2又は変形V1及びV2において導入することが好ましい。特に好ましい澱粉化合物SIは、アミロース含有量が澱粉化合物の総量の60%未満、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満の澱粉化合物である。澱粉化合物SIは好ましくは馬鈴薯澱粉からなる。澱粉化合物SIは、少なくとも部分的にカルボキシアルキル化されていることが好ましい。好適なアルキル化合物は、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル等の低級アルキル化合物であり、メチル及びエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。澱粉化合物SIは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%がカルボキシアルキル化されていることが好ましい。好ましい澱粉化合物SIは、馬鈴薯澱粉からなり、20未満%のアミロースを含み、75%超がカルボキシメチル化されている。
【0022】
本発明に係る方法では、第1の澱粉化合物SIに加えて、少なくとも1種の澱粉化合物SIIを変形V1及びV2以外の変形において導入することが好ましい。少なくとも1種の澱粉化合物SIIは、変形5(すなわち、工程iii)の表面架橋において導入することが好ましい。本発明に係る方法では、第1の澱粉化合物SIと澱粉化合物SIIは少なくとも1つの特性において異なることが好ましい。第1の澱粉化合物SIと澱粉化合物SIIは、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは全てにおいて異なることが好ましい。
D1 自由吸収率(free absorption:FA)が少なくとも0.1g/g、好ましくは少なくとも1g/g、特に好ましくは少なくとも5g/g、さらに好ましくは少なくとも15g/g異なる。
D2 保持率(CRC)が少なくとも0.1g/g、好ましくは少なくとも1g/g、特に好ましくは少なくとも3g/g、さらに好ましくは少なくとも6g/g異なる。
D3 pH値が少なくとも0.1、好ましくは少なくとも1、特に好ましくは少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも6異なる。
D4 化学組成、好ましくはカルボキシアルキル化度又はアミロース含有量、特に好ましくはカルボキシアルキル化度及びアミロース含有量において異なる。
好ましくは、澱粉化合物SI及びSIIは特性D1〜D3において異なる。
【0023】
本発明に係る方法では、澱粉化合物SIIは以下の特性の少なくとも1つを有することが好ましい。
d1 自由吸収率(FA)が9g/g未満、好ましくは8g/g未満、さらに好ましくは6g/g未満。
d2 保持率(CRC)が7g/g未満、好ましくは6g/g未満、さらに好ましくは5.5g/g未満。
d3 pH値が3〜<9、好ましくは4〜8.5、特に好ましくは5〜8。
【0024】
澱粉化合物SIIは、特性d3と共に少なくとも特性d1又はd2を有することが好ましい。
【0025】
澱粉化合物SIIは、澱粉化合物SIよりも高いアミロース含有量を有することが好ましい。例えば、澱粉化合物SIIは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、さらに好ましくは少なくとも70%のアミロースを含むことが好ましい。本発明に係る方法の一実施形態では、澱粉化合物SIIのみを使用することもできる。
【0026】
本発明に係る方法では、澱粉化合物を、使用するモノマーに対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下の量で使用することができる。2種以上の澱粉化合物、特に第1の澱粉化合物SI及び少なくとも1種の澱粉化合物SIIを使用する場合にも、澱粉化合物の全量に対する上述した澱粉化合物の最大使用量が適用される。
【0027】
本発明に係る方法では、澱粉化合物SIIは変形V3〜V6の少なくとも1つにおいて導入することが好ましい。澱粉化合物SIIは、1種の澱粉化合物SI又は2種以上の澱粉化合物SIa,SIbが既に導入された吸水性ポリマー構造体に導入することができる。ただし、本発明に係る方法の実施形態では、1種又は少なくとも2種の澱粉化合物SIIを変形V3〜V6の1つにおいて導入することもできる。
【0028】
本発明に係る方法では、モノマー溶液は、モノマー溶液に対して、15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、さらに好ましくは22.5〜27.5重量%のモノマー含有量を有することが好ましい。変形V1に係る1種以上の澱粉化合物をモノマー溶液に導入する場合に上記含有量は特に有利である。
【0029】
本発明に係る方法では、澱粉化合物は、5,000〜300,000mPas、好ましくは10,000〜100,000mPas、より好ましくは20,000〜50,000mPasの本明細書において規定する方法によって測定した溶液粘度を有することが好ましい。
【0030】
本発明に係る方法では、澱粉化合物は、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、さらに好ましくは3重量%未満の環状又は分岐状の多糖類を含むことが好ましい。
【0031】
有用な澱粉化合物は、ドイツのRoquette社からTackidex(登録商標),例えばTackidex(登録商標) 009、Tackidex(登録商標) Q106、Eurylon(登録商標)、例えばEurylon(登録商標) 7、Flo−ralys(登録商標)、例えばFloralys(登録商標) 380、又はT 547、T 548、T 549として市販されている。
【0032】
本発明に係る方法では、超吸収性組成物は、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは全てを有することが好ましい。
Z1 保持率(CRC)が少なくとも25g/g、好ましくは少なくとも27g/g、特に好ましくは少なくとも29g/g。
Z2 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも17g/g、特に好ましくは少なくとも19g/g。
Z3 透過性(SFC)が少なくとも20×10−7cmsec/g、好ましくは少なくとも24×10−7cmsec/g、特に好ましくは少なくとも28×10−7cmsec/g。
Z4 本明細書に記載した試験によって測定した28日後の生分解性が少なくとも25%、好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%。
【0033】
上記特性Z1〜Z4のあらゆる組み合わせは本発明に係る好ましい実施形態を表すものであり、組み合わせZ1Z2,Z1Z3,Z1Z4,Z1Z2Z4,Z1Z2Z3,Z2Z3Z4が好ましく、Z4との組み合わせが特に好ましい。Z4との組み合わせとしては、Z4Z1,Z4Z2,Z4Z3が挙げられ、Z4Z1及びZ4Z2は本発明に係る方法により得られる超吸収性組成物の特性の特に好適な実施形態を表す。通常、圧力下吸収率の最大値は30〜50g/gであり、保持値の最大値は50〜70g/gであり、透過性の最大値は90×10−7cmsec/g〜110×10−7cmsec/gであり、生分解性の上限は75〜95%である。
【0034】
本発明に係る超吸収性組成物及びその製造方法の別の実施形態では、超吸収性組成物には、吸水性ポリマー構造体とは異なり、本発明により製造された組成物に含まれるバインダー又はポリマーバインダーを使用することが好ましい。原則として、適当なポリマーバインダーとしては、澱粉化合物を固定するために当業者に公知であって、適当であると考えられるあらゆるポリマーバインダーが挙げられる。これらのうち、熱可塑性ポリマーが好ましい。熱可塑性ポリマーとしては、国際公開第WO2005/011860号に記載されている熱可塑性ポリマーが挙げられる。ポリマーバインダーは、1,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜15,000g/モルの、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定し、光散乱によって検出可能な分子量を有することが好ましい。また、ポリマーバインダーは2つ以上のOH基を含むことが好ましい。適当なポリマーバインダーの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールが挙げられ、ポリエチレングリコール、特に5,000〜15,000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコールが特に好ましい。なお、上記分子量は重量平均分子量である。
【0035】
本発明に係る好ましいポリマー構造体は繊維、発泡体又は粒子であり、繊維及び粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。本発明に係る超吸収性組成物も同様である。
【0036】
本発明に係る好ましいポリマー繊維は、織糸として織物に組み込むか、織物に直接組み込むことができる寸法を有する。本発明では、ポリマー繊維としてのポリマー構造体は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0037】
本発明に係る好ましいポリマー粒子は、10〜3,000μm、好ましくは20〜2,000μm、特に好ましくは150〜850μm又は150〜600μmの、ERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する。この場合、300〜600μmの粒径を有するポリマー粒子の量は、後架橋された吸水性ポリマー粒子の総重量に対して、少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%であることが特に好ましい。
【0038】
本発明に係る吸水性ポリマー構造体の好ましい実施形態では、吸水性ポリマー構造体は、
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%のエチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩、又はプロトン化又は四級化窒素を含有するエチレン性不飽和モノマー、又はそれらの混合物(少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物が特に好ましい)と、
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーと、
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の1種以上の架橋剤と、
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマーと、
(α5)0〜20重量%、好ましくは2.5〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%の水と、
(α6)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤と、からなるポリマー構造体である((α1)〜(α6)の合計重量は100重量%である)。
【0039】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的または完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、より好ましくは50〜80モル%が中和されていることが好ましい。ここでは、ドイツ特許出願公開第195 29 348 A1号を参照し、その開示内容はこの参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。また、重合後に部分的又は完全に中和を行うこともできる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸と共に水溶性塩を生成する塩基を使用することもできる。異なる塩基による中性化も考えられる。アンモニア及びアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウム及びアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0040】
また、遊離酸基がポリマー中に多く含まれるため、ポリマーは酸性領域のpHを有する。酸性の吸水性ポリマーは、遊離塩基性基、好ましくはアミン基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中和されていてもよい。この塩基性基含有ポリマーは上記酸性ポリマーに比べて塩基性である。これらのポリマーは「混合床イオン交換性吸収性ポリマー」(MBIEAポリマー)として文献に記載されており、特に国際公開第WO99/34843 A1号に開示されている。国際公開第WO99/34843 A1号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。通常、MBIEAポリマーは、アニオンを交換できる塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換できるポリマーとからなる組成物である。塩基性ポリマーは塩基性基を含み、塩基性基又は塩基性基に変換できる基を有するモノマーを重合することによって通常得られる。これらのモノマーは、第1級、第2級又は第3級アミン、対応するホスフィン又は上述した官能基を少なくとも2つ有するモノマーである。これらのモノマーとしては、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシシクレン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルマールダシン、メラミン、それらの第2級又は第3級アミン誘導体等が挙げられる。
【0041】
好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、国際公開第WO2004/037903 A2号においてエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)として記載されている化合物である。国際公開第WO2004/037903 A2号の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。特に好ましいエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)はアクリル酸及びメタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)がアクリルアミド、メタアクリルアミド又はビニルアミドである吸水性ポリマー構造体を使用する。
【0043】
アクリルアミド及びメタクリルアミド以外の好ましい(メタ)アクリルアミドは、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体である。使用できるビニルアミドは、例えばN−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンである。これらのモノマーのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0044】
本発明の別の実施形態によれば、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)が水溶性モノマーである吸水性ポリマー構造体を使用する。水溶性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレンオキシド(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0045】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては水分散性モノマーも好ましい。水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルである。
【0046】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンも挙げられる。
【0047】
架橋剤(α3)としては、国際公開第WO2004/037903 A2号において架橋剤(α3)として記載されている化合物を好ましくは使用する。これらの架橋剤の中では水溶性架橋剤が特に好ましい。水溶性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、塩化トリアリルメチルアンモニウム、塩化テトラアリルアンモニウム、アクリル酸1モル当たり9モルのエチレンオキシドを使用して製造されたアリルノナエチレングリコールアクリレートが最も好ましい。
【0048】
水溶性ポリマー(α4)としては、部分的または完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリグリコール、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーをポリマー構造体に含有させることができ、好ましくは重合させることができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば特に限定されない。好ましい水溶性ポリマーはポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコール等の合成ポリマーは、重合されるモノマーのグラフト基材としても機能する。
【0049】
添加剤(α6)としては、懸濁化剤、臭気結合剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー構造体の製造に使用された添加剤(重合開始剤等)を好ましくはポリマー構造体に使用することができる。
【0050】
本発明では、吸水性ポリマー構造体としては、以下の工程を含む方法によって得られたポリマーを使用することが好ましい。
a)必要に応じて部分的に中和された酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下でラジカル重合してヒドロゲルを形成する。
b)必要に応じてヒドロゲルを粉砕する。
c)必要に応じて粉砕されたヒドロゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る。
d)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じて粉砕し、所望の粒径に篩い分ける。
e)得られた吸水性ポリマー構造体を必要に応じてさらに表面変性する。
【0051】
表面変性及び臭気結合剤又はその成分の少なくとも1種の塗布のための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0052】
工程a)におけるラジカル重合は水溶液中で行うことが好ましく、水溶液は、溶媒としての水に加え、以下の成分を含むことが好ましい。
(α1)エチレン性不飽和酸性基含有モノマー又はその塩(アクリル酸が酸性基含有モノマーとして最も好ましい)。
(α2)必要に応じて(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー。
(α3)架橋剤。
(α4)必要に応じて水溶性ポリマー。
(α6)必要に応じて1種以上の添加剤。
【0053】
エチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)、架橋剤(α3)、水溶性ポリマー(α4)、添加剤(α6)としては、本発明に係るポリマー構造体に関連して、エチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)、架橋剤(α3)、水溶性ポリマー(α4)、添加剤(α6)として上述した化合物が好ましい。
【0054】
吸水性ポリマー構造体は、各種重合法によって上記モノマー、コモノマー、架橋剤、水溶性ポリマー、添加剤を重合することにより製造することができる。重合方法としては、例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行う塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。
【0055】
溶液重合は水を溶媒として行うことが好ましい。溶液重合は、ドイツ特許第35 44 770 A1号に開示されているように、反応混合物をさらに運搬するベルト上での重合によって連続的又は非連続的に行うことができる。従来技術においては、開始剤と反応溶液の温度、種類、量などの反応条件に関して、幅広い様々な可能性があることが開示されている。下記の特許明細書に典型的な製法が記載されている: 米国特許第4,286,082号、ドイツ特許第27 06 135号、米国特許第4,076,663号、ドイツ特許第35 03 458号、ドイツ特許第35 44 770号、ドイツ特許第40 20 780号、ドイツ特許第42 44 548号、ドイツ特許第43 23 001号、ドイツ特許第43 33 056号、ドイツ特許第44 18 818号に記載されている。これらの文献の開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0056】
通常、重合は開始剤を使用して開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、超吸収体の製造に通常使用される重合条件下でラジカルを生成する開始剤が使用できる。また、重合性水性混合物に電子線を照射することによって重合を開始させることもできる。また、上記の開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下における高エネルギー放射線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマー溶液に溶解又は分散させることができる。開始剤としては、ラジカルに分解する公知の化合物が挙げられる。特に、国際公開第WO2004/037903 A2号に開始剤として記載されている開始剤が挙げられる。
【0057】
過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系を吸水性ポリマー構造体を製造するために特に好ましく使用する。
【0058】
ポリマー構造体の製造には、逆懸濁重合及び乳化重合を適用することもできる。これらの方法では、保護コロイド又は乳化剤を使用し、モノマー(α1),(α2)の部分的に中和された水溶液を疎水性有機溶媒中に分散させ、ラジカル開始剤によって重合を開始させる。架橋剤は、モノマー溶液に溶解するか、モノマー溶液と共に添加するか、重合時に必要に応じて個別に添加する。グラフト基材としての水溶性ポリマー(α4)は、必要に応じてモノマー溶液として添加してもよく、油相に直接添加してもよい。次に、水を混合物から共沸除去し、ポリマーを濾別する。
【0059】
溶液重合、逆懸濁重合、乳化重合のいずれの場合にも、架橋は、モノマー溶液に溶解した多官能架橋剤内での重合及び/又は重合工程における適当な架橋剤とポリマーの官能基との反応によって行うことができる。この方法は、例えば米国特許第4,340,706号、ドイツ特許第37 13 601号、ドイツ特許第28 40 010号、国際公開第WO96/05234 A1号に記載されている。これらの文献の対応する開示内容はこの参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0060】
工程a)において溶液重合又は逆懸濁重合及び乳化共重合によって得られたヒドロゲルは、工程c)において乾燥させる。
【0061】
特に、溶液重合の場合には、乾燥前に工程b)においてヒドロゲルを粉砕することが好ましい。粉砕は、例えばチョッピングナイフ(ドイツ特許第195 18 645 C1号を参照)又はチョッピングナイフの下流に配置することができる肉挽き器等の当業者に公知の粉砕装置を使用して行う。
【0062】
ヒドロゲルの乾燥は、適当な乾燥機又は加熱炉内で行うことが好ましい。例えば、ドラム型加熱炉、流動床乾燥機、ディスク乾燥機、パドル乾燥機、赤外線乾燥機が挙げられる。本発明では、工程c)におけるヒドロゲルの乾燥は、水分が0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%となるまで行うことが好ましく、乾燥温度は通常100〜200℃である。
【0063】
工程c)で得られた乾燥した吸水性ポリマー構造体は、特に溶液重合によって得た場合には、工程d)で粉砕し、所望の粒径に篩い分けることができる。乾燥した吸水性ポリマー構造体の粉砕は、ボールミル等の適当な機械的粉砕装置内で行うことが好ましい。
【0064】
ヒドロゲルを乾燥し、乾燥した吸水性ポリマー構造体を必要に応じて加工した後、工程e)において表面領域を変性させることができる。変性は、金属塩、金属塩と金属酸化物との組み合わせ又は別の変性剤によって行うことができ、上記物質を水溶液又は固体状で塗布することができる。加工は、吸水性ポリマー構造体及び既に臭気結合剤を含む超吸収性組成物に対して行うことができる。
【0065】
好ましい変性手段としては、表面後架橋が挙げられ、乾燥したポリマー構造体又は乾燥していないが好ましくは粉砕したヒドロゲルを好ましくは有機化学表面後架橋剤と接触させる。特に、後架橋剤が後架橋条件下で液体ではない場合には、後架橋剤を溶媒によってポリマー粒子又はヒドロゲルと接触させる。溶媒としては、水、水と混和する有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール又はそれらの少なくとも2種の混合物を使用することが好ましい。後架橋剤は、溶媒又は溶媒混合物の総重量に対して、5〜75重量%、特に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%の量で溶媒又は溶媒混合物に含有させることが好ましい。
【0066】
本発明に係る方法では、ポリマー構造体又は粉砕したヒドロゲルと、後架橋剤を含む溶媒又は溶媒混合物との接触は、溶媒又は溶媒混合物をポリマー構造体と十分に混合することによって行うことが好ましい。
【0067】
混合するための適当なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、ロディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。
【0068】
本発明に係る方法では、後架橋時に、ポリマー構造体を、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の溶媒(好ましくは水)と接触させる。
【0069】
好ましくはほぼ球状粒子であるポリマー構造体を使用する場合には、本発明では、粒子状のポリマー構造体の外部領域のみを溶媒又は溶媒混合物(後架橋剤)と接触させることが好ましい。
【0070】
本発明に係る方法で使用される後架橋剤としては、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応又は開環反応によってポリマーの官能基と反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましい。本発明に係る方法において好ましい後架橋剤は、国際公開第WO2004/037903 A2号に架橋剤IIとして記載されている化合物である。
【0071】
これらの化合物のうち、縮合後架橋剤としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オンが特に好ましい。
【0072】
後架橋剤又は後架橋剤を含む流体と接触させたポリマー構造体又はヒドロゲルは、50〜300℃、好ましくは75〜275℃、特に好ましくは150〜250℃に加熱し、ポリマー構造体の外部領域を内部領域よりも架橋させる(後架橋)。加熱時間は、ポリマー構造体の所望の特性プロファイルが熱によって損なわれる時間によって制限される。
【0073】
また、本発明の少なくとも1つの目的は、本発明に係る製造方法によって得られた超吸収性組成物によって達成される。これは、組成物が上述した変形における特性Z(Z1〜Z4)を有する場合に特に該当する。
【0074】
本発明の少なくとも1つの目的は、粒子状超吸収性組成物であって、
超吸収性組成物に対して70〜95重量%の、部分的に中和されたアクリル酸からなる架橋内部領域と、
内部領域を少なくとも部分的に取り囲み、内部領域よりも強固に架橋された外部領域と、を含み、
少なくとも1種の澱粉化合物が、超吸収性組成物に対して少なくとも1重量%の量で超吸収性組成物に導入されており、
少なくとも以下の特性の1つを有する超吸収性組成物によって達成される。
z1 保持率(CRC)が少なくとも25g/g、好ましくは少なくとも27g/g、特に好ましくは少なくとも29g/g。
z2 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも17g/g、特に好ましくは少なくとも19g/g。
z3 透過性(SFC)が少なくとも20×10−7cmsec/g、好ましくは少なくとも24×10−7cmsec/g、特に好ましくは少なくとも28×10−7cmsec/g。
z4 本明細書に記載した試験によって測定した28日後の生分解性が少なくとも25%、好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%。
【0075】
前段落に記載した本発明に係る超吸収性組成物は、少なくとも部分的にコアシェル構造を含み、後架橋によって全体としてより強固に架橋された外部領域がシェルを形成していることが好ましい。好適な実施形態としては、Z1〜Z4に関する説明を参照されたい。組成物に含まれる澱粉化合物の粒径についても同様である。
【0076】
本発明に係る組成物では、澱粉化合物は内部領域に導入されていることが好ましい。澱粉化合物は非常に均質的に導入されていなくてはならない。超吸収性組成物の別の実施形態では、澱粉化合物は外部領域に導入されている。本発明に係る超吸収性組成物では、内部領域に導入されている第1の澱粉化合物SIとは異なる澱粉化合物SIIが外部領域に導入されていることができる。異なる澱粉化合物SI及びSIIに関する説明を参照されたい。超吸収性組成物は200〜650μmの平均粒径を有することが好ましく、粒子の5%未満が150μm未満又は850μmを超える粒径を有することが好ましい。これは、150μm又は850μmの網目サイズを有する篩で篩い分けることによって通常は達成することができる。
【0077】
また、上述した目的は、本発明に係る超吸収性組成物及び基材を含む複合体によって達成される。本発明に係る超吸収性組成物と基材とは強固に結合されていることが好ましい。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのポリマー、金属、不織布、綿毛、薄織物、織布、天然または合成繊維、その他の発泡体からなるシートが好ましい。本発明では、複合体は、複合体の総重量に対して、約15〜100重量%、好ましくは約30〜100重量%、特に好ましくは約50〜99.99重量%、より好ましくは約60〜99.99重量%、さらに好ましくは約70〜99重量%の量で本発明に係る超吸収性組成物を含む少なくとも1つの領域を含み、当該領域は少なくとも0.01cm3、好ましくは少なくとも0.1cm3、最も好ましくは少なくとも0.5cm3の体積を有することが好ましい。
【0078】
本発明に係る複合体の一実施形態では、複合体は「吸収性材料」として国際公開第WO02/056812 A1号に記載されているような平坦な複合体である。国際公開第WO02/056812号の特に複合体、構成要素の単位面積当たりの質量及び厚みに関する開示内容は、この参照によって本明細書の開示内容の一部をなすものとする。
【0079】
また、上述した目的は、本発明に係る超吸収性組成物と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させる複合体の製造方法によって達成される。基材としては、本発明に係る方法に関連して上述した基材が好ましく使用される。
【0080】
また、上述した目的は、上記方法によって得られ、本発明に係る上記複合体と同一の特性を好ましくは有する複合体によって達成される。
【0081】
本発明の一態様によれば、複合体は、衛生用品コアに対して少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の本発明に係る吸水性組成物と、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の基材と、必要に応じて添加物又は接着剤と、を含む衛生用品コアとして形成する(衛生用品コアに含まれる各成分の重量%の合計は100重量%である)。衛生用品コアに関する基材としては、通常粒状の本発明に係る超吸収性組成物を固定する機能を有する材料が特に好ましい。そのような材料としては、繊維、織物材料、織布、メッシュが挙げられる。また、例えば粉末状(粒子状)の超吸収性組成物をにかわ等の接着剤によって基板に接合することもできる。同様に、一実施形態では、超吸収性組成物を基材の溝に収容するように基材を設計する。衛生用品コアに同様に組み込むことができる通常の添加物は、例えば、材料、皮膚耐性を強化する化粧品材料、消毒剤、抗菌物質等である。
【0082】
別の態様では、本発明は、液体透過性上層と、液体非透過性下層と、上層と下層との間に配置された本発明に係る複合体と、を含む衛生用品に関する。衛生用品としては、婦人用衛生用品、成人用失禁用品、幼児、乳児及び小児用おむつが挙げられる。衛生用品は上述した衛生用品コアを含むことが好ましい。液体透過性上層としては、原則として、当業者に公知かつ適当であると思われ、通常はセルロース又はセルロース誘導体を含み、必要に応じてポリプロピレン又はポリエチレン等のプラスチックに接合された織布材料、織物材料が挙げられる。また、液体非透過性下層としては、通常はポリプロピレン又はポリエチレンからなるプラスチックシートでシールされ、当業者にとって公知であり、セルロース又はセルロース誘導体からなる不織布材料、マット、縫合布、織物材料を使用する。
【0083】
また、上述した目的は、本発明に係る超吸収性組成物又は本発明に係る複合体を含む化学製品によって達成される。好ましい化学製品は、発泡体、成形体、繊維、フィルム、シート、ケーブル、シール材、液体吸収性衛生用品(特におむつ及び生理用ナプキン)、植物・菌類生育・駆除調節手段用担体、建設材料の添加剤、包装材料、土壌添加剤である。
【0084】
また、上述した目的は、本発明に係るポリマー構造体又は本発明に係る複合体の化学製品、好ましくは上述した化学製品、特におむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品における使用及び超吸収性粒子の植物・菌類生育・駆除調節手段の担体における使用によって達成される。植物・菌類生育・駆除調節手段用担体として使用する場合には、植物・菌類生育・駆除調節手段は、担体によって制御される時間が経過した後に放出することができることが好ましい。
【0085】
以下、本発明を実施例を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0086】
試験方法
【0087】
一般事項
試験方法について特に記載がない場合には、当業者に公知であり、一般的であると考えられる試験方法を使用し、特に、通常は「ERT法」として知られているEDANA(欧州不織布協会)の試験方法を使用する。
【0088】
保持率
保持率は、ERT441.2−02に準拠した全体部分に対するCRC(遠心分離保持容量)として測定し、3分間の遠心分離直後に30分間にわたって吸収させた。
【0089】
吸収率
圧力下吸収率は、ERT442.2−02に準拠した全体部分に対するAAP(圧力下吸収率)として測定した。下付数字の0.3と0.7は、吸収率を測定した圧力(psi)を示す。FA(自由吸収率)は全体部分に対してERT441.2−02に準拠して測定し、ERT441.2−02に記載された方法とは異なり、対応する重りを省略して圧力を印加しなかった。
【0090】
透過性
透過性は、欧州特許第0 752 892 B1号に準拠した全体部分に対するSFC(Saline Flow Conductivity(生理食塩水流れ誘導性))として測定した。
【0091】
吸収時間及び液体分散性
図1〜図3は、コアの吸収時間と液体分散性を測定するための測定装置を模式的に示す。図1は測定装置の横断面を示し、衛生用品を着用している人の臀部に似せて作成した透明プレキシガラス製インサート2が、柔軟性を有していない平滑なプラスチック膜6(幅:200mm、厚み:約1mm)を介して実験室ロッドである懸架体1に保持されている。インサート2は実質的に半円形であって、平滑な表面を有し、図3に詳細に示すように下部開口部に篩4を有する中心溝7を備えている。コア3の中央部は溝7の下部開口部の下に位置している。次に、測定用重り5をインサート2に載せる。試験液を溝7の上部開口部を介して測定装置に注ぎ込む。図2は、前方及び側方から見た測定装置の寸法を示す(単位:mm)。
【0092】
コア(長さ:300mm、幅:120mm)の重量を測定し、体状の試験装置に入れ、9kgの荷重をかけた。次に、酸フクシン原液5mL/L(0.9%食塩水1Lに酸フクシン10.0gを添加し、溶液のpHを0.3%NaOH水溶液を添加することによって6.0に調節した)によって着色した0.9%食塩水60gを、試験装置の開口部を介してメスシリンダーによって20分間隔で3回添加した。ストップウォッチを使用して、添加開始から試験液の浸潤終了までの浸潤時間を測定した。試験液を添加した後、20分間放置した。次に、重りを除去した。20分間が経過した後に液体分散性を測定した。液体分散性を測定するために、コアの長さにわたる液体の分散を測定した。
【0093】
粘度
澱粉の粘度は、ブルックフィールド粘度計を使用して6%水溶液内において20℃で測定した。
【0094】
pH値
pH値は20℃で3%水溶液内において測定した。
【0095】
粒径
ERT420.02−02に準拠して吸水性ポリマー及び超吸収性組成物のふるい分析と評価を行った。澱粉化合物の場合には、Beckmann Coutler LS粒径分析計を使用した。MMPSD(重量平均粒径)は、50%の準対数型スケーリングにより1回の測定から算出した(欧州特許第0 304 319 B1号を参照)。
【0096】
生分解性
生分解性は、指令67/548/EECの付属書Vに準拠した修正Sturm試験を使用して28日後に測定した。
【0097】
(実施例)
出発材料
新たに精製した出発材料を使用した。また、表1に記載した市販の澱粉化合物(ドイツのRoquet−Te製)を使用した。
【0098】
【表1】

【実施例1】
【0099】
(ヒドロゲル状の非後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料a)
50%水酸化ナトリウム溶液によって72モル%まで中和したアクリル酸300g(表2では水の量を「WS」で示す)、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート0.38g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステル1.14gを含むモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去した。次に、モノマー溶液を開始温度の4℃に冷却した。表2に示す澱粉化合物を添加した後、十分に混合し、開始温度に到達した時に、開始剤溶液(10gのHOに溶解した0.3gのペルオキシ二硫酸ナトリウム、1gのHOに溶解した0.07gの30%過酸化水素溶液、2gのHOに溶解した0.015gのアスコルビン酸)を添加した。約100℃の最終温度に達した後、得られたゲルを粉砕し、約1〜3mmの粒子を有する顆粒を表2aに示す試料a1〜a4として得た。乾燥していないヒドロゲルの水分は45〜65%であった。
【0100】
【表2a】

【0101】
(実施例1e−1〜1e−24)
(ヒドロゲルへの澱粉化合物の導入−試料V2の試料a)
澱粉化合物を含有しない実施例1で得られたヒドロゲルを、さらに粉砕する前に表2bに示す量の澱粉化合物と混合し、実施例2a及び3aに準拠して乾燥し、篩い分け、後架橋させた。
【0102】
【表2b】

【実施例2】
【0103】
(粉末状の未後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料b)
試料a1〜a4を150℃で120分間にわたって乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、粒径が150〜850μmの粉末を篩い分け、520〜540μmnoERT420.2−02に準拠して測定した平均粒径を有する試料b1〜b4を得た。ERT430.1−99に準拠して測定した試料b1〜b4の水分は5%であった。その他の特性は表3aに示す。
【0104】
【表3a】

【0105】
(実施例2e−1〜2e−24)
(粉末状の非後架橋吸水性ポリマー構造体への澱粉化合物の導入:試料V4の試料a)
実施例2で得られた試料b4を、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して、表3bに示す量の澱粉化合物と混合し、実施例3aに従って後架橋させた。
【0106】
【表3b】

【0107】
(実施例3a)
(粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体の製造:試料c)
【0108】
後架橋のために、得られた試料b1〜b4の粉末100gを、1,3−ジオキサラン(dioxalan)−2−オン1g及び水3gを溶解した溶液と激しく混合し、オーブン内において180℃で30分間加熱した。得られた試料c1〜c4は、525〜573μmのERT420.2−02に準拠した平均粒径を有していた。ERT430.1−99に準拠して測定した試料cの水分は4.5%であった。詳細を表4aに示す。
【0109】
【表4a】

【0110】
(実施例3e−1〜3e−24)
(粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体への澱粉化合物の導入:試料V6の試料a)
実施例3aで得られた試料c4を、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して、表4bに示す量の澱粉化合物と混合した。
【0111】
【表4b】

【0112】
(実施例3e−25〜3e−48)
(澱粉化合物を含む粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体への澱粉化合物の導入:試料V1V6の試料a)
実施例3aで得られた試料c3を、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して、表4cに示す量の澱粉化合物と混合した。
【0113】
【表4c】


【0114】
(試料V2V6の実施例4.1)
(澱粉化合物を含む粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体への澱粉化合物の導入:試料V2V6の試料a)
試料V2−1a〜V2−4cを、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して、5%、10%、20%.の量の澱粉化合物1〜4と混合した。
【0115】
(試料V4V6の実施例4.2)
(粉末状の後架橋吸水性ポリマー構造体への澱粉化合物の導入:試料V4V6の試料a)
試料V4−1a〜V4−4cを、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して、5%、10%、20%の量の澱粉化合物1〜4と混合した。
【0116】
(実施例4)
重合
水酸化ナトリウム溶液によって70モル%まで中和したアクリル酸280g、水466.8g、ポリエチレングリコール−300−ジアクリレート1.4g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリル酸エステル1.68gを含むモノマー溶液から窒素パージにより溶存酸素を除去した。次に、モノマー溶液を開始温度の4℃に冷却した。開始温度に達した後、開始剤溶液(10gのHOに溶解した0.3gの2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン−ジヒドロクロリド、10gのHOに溶解した0.3gのペルオキシ二硫酸ナトリウム、1gのHOに溶解した0.07gの30%過酸化水素溶液、2gのHOに溶解した0.015gのアスコルビン酸)を添加した。最終温度(約100℃)に達した後、得られたゲルを粉砕し、150℃で90分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く砕き、粉砕し、篩い分けて150〜850μmの粒径を有する粉末Aを得た。
【0117】
後架橋のために、粉末A 100gを、1,3−ジオキサラン−2−オン1g、水3g、アルミニウム硫酸塩18水和物0.5gを溶解した溶液と激しく撹拌しながら混合した後、オーブン内において180℃で40分間加熱した。得られた粉末Bは、530μmのERT420.2−02に準拠した平均粒径を有していた。ERT430.1−99に準拠して測定した粉末Aの水分は4.5%であった。
【0118】
粉末Bを、乾燥条件下で4:1のポリマー:澱粉重量比で澱粉化合物3と混合し、BTR 10ローラーミキサー(ドイツのFrobel社製)を使用して45分間均質化した。
【0119】
粉末Cは、39%の修正Sturm試験(28日間)によって測定した生分解性と、29.9g/gのCRC値を有していた。
【0120】
コアの製造
M&J機器(幅40cm、有効幅36cm、操作設定;ベルト速度:3m/分、ハンマーミルの綿毛供給速度:3.1m/分、ポリマー供給速度:380g/分、10g部分の二成分繊維:約1回/分放出)を使用したエアレイド法により、コアに対して48.6重量%の超吸収性組成物V6−2b又はV6−2c、48.6重量%の半加工済セルロース繊維Stora Fluff EF(スウェーデンのStora−Enzo社製)、2.8重量%のPPコア及びPEジャケット(デンマークのFibrevision社製)を有するポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)50重量%を含む二成分繊維からなる混合物によってコアを形成し、吸収性ポリマーを均一に投入した。756g/mの坪量及び0.2g/cmの密度を有するコアを試験に使用した。コアの長さは300mm、幅は120mmであった。表5a及び5bに、液体添加のコア分析結果を示す。
【0121】
【表5a】


【表5b】

【0122】
本発明に係る超吸収性組成物は、澱粉化合物を含まない参考試料よりも優れた吸収時間と液体分散性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】コアの吸収時間と液体分散性を測定するための測定装置の横断面を示す模式図。
【図2】前方(左側の図)又は側方(右側の図)から見た測定装置の寸法を示す。
【図3】図1の破線で示す丸印部分の拡大図。
【符号の説明】
【0124】
1 懸架体
2 透明プレキシガラス製インサート
3 コア
4 篩
5 測定用重り
6 プラスチック膜
7 溝7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超吸収性組成物の製造方法であって、
i.少なくとも1種のモノマーを含むモノマー水溶液のラジカル重合によってヒドロゲルを製造する工程と、
ii.前記ヒドロゲルを乾燥して吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
iii.前記吸水性ポリマー構造体を表面架橋させて表面架橋吸水性ポリマー構造体を得る工程と、
iv.以下の変形の1つ又は少なくとも2つにおいて澱粉化合物を導入する工程と、を含む方法。
V1.前記工程i.において澱粉化合物を前記モノマー溶液に導入する。
V2.前記工程i.の後であって前記工程ii.の前に澱粉化合物を前記ヒドロゲルに導入する。
V3.前記工程ii.において澱粉化合物を導入する。
V4.前記工程ii.の後であって前記工程iii.の前に澱粉化合物を前記吸水性ポリマー構造体に導入する。
V5.前記工程iii.において澱粉化合物を導入する。
V6.前記工程iii.の後に澱粉化合物を前記表面架橋吸水性ポリマー構造体に導入する。
【請求項2】
前記澱粉化合物が水溶性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記澱粉化合物の少なくとも70重量%が100μm未満の粒径を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記澱粉化合物が以下の特性の少なくとも1つを有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
S1 自由吸収率(FA)が少なくとも9g/g
S2 保持率(CRC)が少なくとも7g/g
S3 圧力下吸収率(AAP0.3)が少なくとも2g/g
S4 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも2g/g
S5 pH値が9〜14
【請求項5】
少なくとも1種の第1の澱粉化合物SIを前記変形V1又はV2において導入する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の第1の澱粉化合物SIに加えて、少なくとも1種の澱粉化合物SIIを前記変形V1及びV2以外の変形において導入する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の澱粉化合物SIと前記澱粉化合物SIIが少なくとも1つの特性において異なる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の澱粉化合物SIと前記澱粉化合物SIIが以下の特性の少なくとも1つにおいて異なる、請求項7に記載の方法。
D1 自由吸収率(FA)
D2 保持率(CRC)
D3 pH値
D4 化学組成
【請求項9】
前記澱粉化合物SIIが以下の特性の少なくとも1つを有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
d1 自由吸収率(FA)が9g/g未満
d2 保持率(CRC)が7g/g未満
d3 pH値が4〜<9
【請求項10】
前記澱粉化合物を使用するモノマーに対して30重量%以下の量で使用する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記澱粉化合物SIIを前記変形V3〜V6の少なくとも1つにおいて導入する、請求項1〜3及び10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記澱粉化合物SIIを前記変形V6で導入する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー溶液が、前記モノマー溶液に対して15〜35重量%のモノマー含有量を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記澱粉化合物が、5,000〜300,000mPasの明細書において規定する方法によって測定した溶液粘度を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記澱粉化合物及び前記澱粉化合物SIがカルボキシアルキル化された澱粉化合物である、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記澱粉化合物が10重量%未満の環状又は分岐状多糖類を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記超吸収性組成物が以下の特性の少なくとも1つを有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
Z1 保持率(CRC)が少なくとも25g/g
Z2 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも15g/g
Z3 透過性(SFC)が少なくとも20×10−7cmsec/g
Z4 明細書に記載した試験によって測定した28日後の生分解性が少なくとも25%
【請求項18】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物。
【請求項19】
粒子状超吸収性組成物であって、
前記超吸収性組成物に対して70〜95重量%の部分的に中和されたアクリル酸からなる架橋内部領域と、
前記内部領域を少なくとも部分的に取り囲み、前記内部領域よりも強固に架橋された外部領域と、を含み、
少なくとも1種の澱粉化合物が、前記超吸収性組成物に対して少なくとも1重量%の量で前記超吸収性組成物に導入されており、
少なくとも以下の特性の1つを有する超吸収性組成物。
z1 保持率(CRC)が少なくとも25g/g
z2 圧力下吸収率(AAP0.7)が少なくとも20g/g
z3 透過性(SFC)が少なくとも20×10−7cmsec/g
z4 明細書に記載した試験によって測定した28日後の生分解性が少なくとも25%
【請求項20】
前記澱粉化合物の少なくとも70重量%が100μm未満の粒径を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記澱粉化合物が前記内部領域に導入されている、請求項19又は20に記載の組成物。
【請求項22】
前記澱粉化合物が前記外部領域に導入されている、請求項19〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記内部領域に導入されている第1の澱粉化合物SIとは異なる澱粉化合物SIIが前記外部領域に導入されている、請求項19〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物と、基材と、を含む複合体。
【請求項25】
衛生用品コアとして形成され、前記衛生用品コアに対して、少なくとも30重量%の請求項18〜23のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物と、少なくとも1重量%の前記基材と、を含む、請求項24に記載の複合体。
【請求項26】
液体透過性上層と、液体非透過性下層と、前記上層と前記下層との間に配置された請求項24又は25に記載の複合体と、を含む衛生用品。
【請求項27】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物又は請求項24又は25に記載の複合体を含む、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節手段用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料。
【請求項28】
請求項18〜23のいずれか1項に記載の超吸収性組成物又は請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法によって得られる超吸収性組成物又は請求項24又は25に記載の複合体の、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、封止材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節手段用担体、包装材料、土壌添加剤又は建設材料における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−528412(P2009−528412A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556709(P2008−556709)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001712
【国際公開番号】WO2007/098932
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(308007985)エフォニック ストックハウゼン ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】