説明

優先的に耐摩耗性をもった表面を有する多用途のプラスティックス製品の製造法

【課題】耐摩耗性等の高い特性表面を有するプラスティックス製品を提供する。
【解決手段】(a)硬化可能な液体のワニス調合物の形の保護層で被覆された基質材料をつくり、(b)少なくともワニスの側において、低い表面粗さをもち、および/または曇り値が5%以下である低い濁度をもつカバー層で該基質を多い、(c)カバー層を通してワニス層を硬化させ、(d)カバー層をを取り外す、工程を含んでなるプラスティック製品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多用途のプラスティックス製品、好ましくは特に高い表面特性、特に光学的性質に関して高い表面特性をもつことを特徴とする優先的に耐摩耗性および可撓性をもった保護層を備えた片側が自己接着性の製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスティックスは種々の用途に対し久しい以前から確立された材料であり、現在例えば構成要素、ライニング要素、またグレイジング(glazing)システムのような非常に広範な形で使用されている。多くの分野においてプラスティックスはこれらの用途における金属、木材、セラミックスまたは珪酸塩ガラスのような従来の材料の代わりに用いられるようになった。また或る種の用途はプラスティックスなしでは全く実現できない。疑いもなくプラスティックスの成功の物語りはその一部を極めて簡単な加工方法に基礎を置いている。フィルム、シート、およびプロフィール(profile)は例えば押し出しのような連続操作で有利に製造することができる。もっと複雑な幾何学的形状をもった要素は例えば射出成形法によって実現することができる。成形法は比較的低温で行うことができる。他の利点は従来の原料に比べて重量が減少していることである。しかしこれらの利点にも拘わらず、プラスティックスにはその種類に依存し特殊な用途においてなお改良すべき点が潜んでいる。一般的に言えば、プラスティックスを用いた場合、老化安定性、もっと一般的には外部の影響に対する抵抗性は多くの従来の材料の性質と同じではない。老化特性に関しプラスティックスをベースにした改善された材料を得る試みには、添加剤、例えば老化防止剤、酸化防止剤、および紫外線保護剤を使用する方法が含まれる。プラスティックスをベースにした材料を最適化し、これをもっと多くの種類の用途にも使用できるようにする方法は、製品の素材の表面を保護用のワニスで被覆する方法である。この種の方法は、素材製品が異なった種類の外部の影響、即ち摩耗または引掻きによる表面の機械的応力に対してもっと丈夫でなければならない場合に特に適している。
【0003】
プラスティックスの基質にこのような機械的応力に対する抵抗性をもたせるために、或る一定範囲の供給業者から多くのワニス系を入手するできることができる。入手できるワニス処方(formula)の大部分は熱的に硬化させ得る系である。従って複雑な設計をもった三次元の構造物の上でも被膜を完全に硬化させることができる。しかしこのような硬化の過程において、硬化温度はプラスティックス基質の安定化温度の上限を越えてはならず、プラスティックスの種類および硬化機構に依存してこのことは必ずしも可能ではない。
【0004】
従ってこの問題を回避するために、照射により、特に紫外線または電子ビームを照射することによって硬化させ得るワニス処方が開発された。ポリカーボネートの基質に対する応用の一例は特許文献1に記載されている。この種の硬化操作は一般に比較的低温で進行するので、プラスティックスの基質に対する熱的な負荷は熱硬化性ワニス系を使用する場合に比べて実質的に低い。照射線でワニスを硬化させるさらに他の利点は、特にウエッブの形の基質に対して容易に連続操作を行うことができることである。照射線で硬化させるワニスおよびそれを使用する種々の可能性に対する概説は、例えば非特許文献1〜4に記載された研究総説で得ることができる。
【0005】
上記に例示した成形製品に加えて、プラスティックスは他の形の設計製品、例えば包装の分野において、或いは装飾的な理由または保護用の理由のいずれかで被覆表面をつくるのに使用されるシートとして、或いは自己接着性の製品に対する基質材料として広範な用途が見出されている。これらの例においては、同様に外界の環境に露出された側面、即ち特に程度の大きな外界の影響に露出されたシートの部分の、例えば摩耗または引掻きのような機械的負荷に対するような抵抗性を最適化するという要望が存在している。この場合も保護用のワニスを使用することが適切である。
【0006】
一連の範囲の文献にはプラスティックスのシートを被覆するのに用いられる照射線で硬化し得るワニス調合物(formulations)が記載されている。これらの調合物が典型的に共通にもっていることは、処方の中に種々の多官能性の(メタ)アクリレートが少なくとも1種存在することである。適当な照射線に露出することにより、紫外線による硬化の場合には光反応開始剤によって反応が開始され、これらの(メタ)アクリレート単量体、オリゴマーまたは重合体は重合が誘起されて緻密な網状構造を生じる。これらの処方は種々の他の種類の成分を含んでいることができる。特に無機性の粒子はワニス・フィルムの硬さが高い点でに有利に使用できる可能性があると記述されている。照射線で硬化し得る調合物の例は特許文献2〜7に記載されている。
【0007】
現在、上記の文献の記述に従って保護用のワニスを備えたまたは備え得る種々のシート状の製品が知られている。これらの製品の場合保護用のワニスの機能は、外界の影響に対してより抵抗性をもったシート材料自身、或いはさらに他の機能層をつくることである。その例は特許文献8〜10に記載されている。
【0008】
しかしながら、耐摩耗性および可撓性をもったワニス層を備え、高度の光学的性質をもつことで注目される一般的な用途の製品(適当な場合、例えば片側が自己接着性をもった特殊な製品)を製造できる方法に対する要求は今なお引続き存在している。片側が自己接着性をもった製品は例えば基質に対して、一時的に、長期間に亙り、或いは永久に固定するための製品、例えば特に自己接着性の装飾用シート、自己接着性の情報保有製品、或いは自己接着性のデータ保存製品であり、この場合表面の機械的応力にも拘わらず、装飾の視覚的印象、情報の可読性、またはデータの可読性および/またはデータの書込み性に関するデータ保存の機能が長期間に亙り保証されるべきである。耐摩耗性および可撓性をもったワニス層で仕上げられたこの種の片側自己接着性の製品のグループは、また敏感で貴重な表面を強化するのに使用でき、またそうする際に保護すべき表面ばかりではなく保護用のシート自身の光学的な表面の品質を、外部からの機械的負荷にも拘わらずできるだけ長く保つ意図をもっている。
【0009】
上記に例示した片側接着性の自己接着製品の製造では、光学的な保護用のワニス層の部分に対する特に高い光学的要求に合致するような方法で、この保護用ワニスの層を前駆体材料に好ましくはシートの形で被覆する場合がある。このことは、一方では特別なワニスの調合物を必要とし、他方ではこれらの要求に協調する特別な被覆法および硬化法が必要になる。照射線で硬化させ得る調合物の一つの利点は、溶媒を全く使用せずに硬化させ得る点にある。しかしこのような場合、ワニス調合物の粘度および組成に依存して、被覆パターンの品質は被覆法の特質に著しく依存することがある。被覆装置にによって生じる液体のワニス層の流れの悪さに起因するワニス表面の構造は、高価値の製品が要求される用途においては典型的には許容されない。従って高い表面品質をもったワニス層、特にワニス層の中または上に被覆装置の跡が残らない層を、シートの形で被覆する方法が要求される。
【0010】
さらに、生産過程にあるワニスフィルムの品質に対して他の重要な点は硬化段階である。効率的なワニスの硬化を確実に行うためには、ワニス層も実際に完全に硬化することが保証される必要がある。もちろん、結果の成否は使用する照射線の投与量に依存する。恣意的に高い値で照射線の出力を得ることはできないから、これによってウエッブの速度、従って時間当たりの製品の生産量が制限される。従って先ず照射線に露出した際に特に迅速に反応する処方を探索し、次に特に加速操作を行い得る方法を研究する。一般に、ワニス調合物の反応性を減少させるような影響をもたらす変数によって生産性に対する負の効果が得られる。この点に関し特に重要な変数は大気中の酸素の影響であり、これは特に薄いフィルム、例えばプラスティックス・シートの基質にワニスを被覆するような場合に生じ得る。
【0011】
すべてのフリーラジカル重合過程のように、照射線で硬化させ得るワニス調合物の照射線で誘起される硬化も、周囲の空気中に存在するような分子状の酸素の存在によって妨害される。この場合、硬化はずっと遅く進行するか、不完全にしか行われない。その結果、例えば表面の硬さに関してワニス層の品質が悪化するか、或いは最適の速度で製造ができなくなる。
【0012】
文献には、硬化過程に対する大気中の酸素の負の効果を抑制できる種々の可能性が提案されている。
【0013】
即ち例えば平らな基質を使用することにより硬化しているフィルムから酸素を隔離することができる。例えば特許文献11にはポリエステルシートの使用が記載され、Peinadoおよび共同研究者はLDPEシートを使用しており(非特許文献5)、Studer等はポリプロピレンシートを使用している(非特許文献6)。これらのすべての場合において、表面の粗さに関する品質が不満足な保護シートが使用されている。人間の眼にはワニスの表面が光沢をもっているように見えるが、ワニスの表面がつくられるシートの表面は、表面の滑らかさに対する要求に正確に合致した高価値の用途に対しては不十分である。この種の高価値の用途では、それに代えて例えばRz値(例えばDIN EN ISO 4287参照)により実質的にもっと正確な方法で表現される表面の品質が要求される。Rz値はワニス層またはシートの表面の粗さの輪郭を特性付け、このような要求をもつ用途に対しては100nmより小さい範囲にあることができる。
【0014】
上記に例示した好ましくは片側が自己接着性をもった製品に対しては、例えば表面が耐摩耗性をもつようにつくられるという要求が唯一の要求ではなく、視覚的な印象に対する要求も必要である。視覚的な印象は特に耐摩耗性のワニスの表面の性質が高品質であることによって決定される。従ってこれらの場合には表面が優れた平滑性をもつこと、換言すれば表面の粗さが特に小さいこと、および特に優れた光沢をもち、従って濁り(曇り)が極端に低いことが特に望まれている。従って被覆および硬化に対して選ばれる工程の設計については、ワニス層の硬化特性に関して最適化が行われているばかりでなく、硬化工程の後で欠点のない表面品質をもつ被覆されたシート製品が確実に得られることが必要である。
【特許文献1】General Electric社に対する米国特許第4,198,465号明細書。
【特許文献2】Martin Processing Inc.に対する米国特許第4,557,980号明細書。
【特許文献3】GAF Corp.に対する米国特許第4,319,811号明細書。
【特許文献4】Mitsui Petrochemicalに対するヨーロッパ特許第50 996 B1号明細書。
【特許文献5】American Hoechst Corp.に対する米国特許第4,310,600号明細書。
【特許文献6】Sunstarに対するJP 01 266 155号明細書。
【特許文献7】3Mに対する米国特許第5,104,929号明細書。
【特許文献8】CPFilmsによる米国特許第6,440,551号明細書。
【特許文献9】Dai Nippon Printingによる米国特許第6,329,041号明細書。
【特許文献10】Dai Nippon Printingによる米国特許第6,638,606号明細書。
【特許文献11】Mitsui Petrochemicalのヨーロッパ特許第50 996 B1号明細書。
【非特許文献1】R.Dowbenko,C.Friedlander,G.Gruber,P.Prucnal,M.Wismer,Progr.Org.Coat誌,1983年,11巻,71頁。
【非特許文献2】R.Holman,P.Oldring(編),UV and EB Curing Formulations for Printing Inks,Coatings and Paints,第2版.1988年,SITA−Technology,London。
【非特許文献3】P.Oldring(編),Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings,Inks & Paints,1991年,SITA−Technology,London。
【非特許文献4】C.Decker in Materials Science and Technology,R.W.Cahn,P.Hansen,E.J.Kramer(編),第18巻,1997年,Wiley−VCH,Weinheim。
【非特許文献5】C.Peinado,E.F.Salvador,A.Alonso,T.Corrales,J.Baselga,F.Catalina,J.Polym.Sci.誌,A − Polym.Chem.,2002年,40巻,4236頁。
【非特許文献6】K.Studer,C.Decker,E.Beck,R.Schwalm,Progr.Org.Coat誌,2003年,48巻,92頁。
【発明の開示】
【0015】
本発明の目的
従って本発明の基礎となる目的は、プラスティックス製品、特にシート状のウエッブにワニスの保護層を取り付けることができ、得られた製品はワニスの側の表面の品質が優れていることを特徴とする製品の製造法を提供することである。
【0016】
本発明の特徴
上記目的は、耐摩耗性および可撓性をもった保護用のワニスを用い、種々のプラスティックス製品、特にシートの形の材料を被覆する特殊な方法によって有利に達成することができる。一方では硬化しているワニス層から大気中の酸素を実質的に排除することにより速い硬化速度が保証され、他方では同時にこの方法によって硬化しているワニス層の表面の品質は極めて高くなる。本発明方法は、被覆操作の後で、まだ硬化していないワニス層に対しカバー層を、例えば特定の品質をもった保護用のシートを積層化し、これを通して好ましくは照射を行ってワニス層を硬化させ、硬化が完了した後にカバー層を再び取り外すことを特徴としている。使用される被覆層は特にその表面の粗さおよび光学的品質に関して特定の性質をもっている。下記の説明、実施例および添付特許請求の範囲において本発明方法をさらに詳細に説明する。
【0017】
多用途のプラスティックス製品を製造する本発明方法は、
(a)硬化可能な液体のワニス調合物の形の保護層で被覆された基質材料をつくり、
(b)少なくともワニスの側においてRz値が0.3μm以下である低い表面の粗さをもち、および/または曇り値が5%以下である低い濁度をもつカバー層で該基質材料を覆い、
(c)カバー層を通してワニス層を硬化させ、
(d)カバー層を取り外す
段階を含んで成っている。基質材料は、好ましくはシートの形をし、随時予備処理を受けているかおよび/または少なくとも一つの他の機能層をもっている。本発明の多用途のプラスティックス製品は、作業幅が少なくとも30cm、好ましくは少なくとも50cmのウエッブの中に存在していることが好ましい。
【0018】
随時このプラスティックス製品は接着剤の層、好ましくは感圧性接着剤の層をもち、この層は最終製品または予備製品に選択的に被覆することができる。片側に少なくとも一つの自己接着剤の層を含んで成るプラスティックス製品をつくることが特に好適である。
【0019】
本発明に従って製造される製品は、特に高い耐摩耗性が可撓性と組み合わされたワニスの表面をもっていることを特徴としており、これに加えてさらに他の光学的性質、例えば反射防止性、高い屈折率または低い屈折率等を示す。耐摩耗性の他に、またはその代わりに、これらの製品は例えば特定の電気的、磁気的、または電気光学的性質を示す任意所望の機能性の被膜を含んで成っていることができる。
【0020】
また特に本発明によれば、耐摩耗性および可撓性をもち、特に光学的性質に関し極めて高い表面の品質を示す保護層が予め取り付けられた片側が自己接着性をもつ製品が提供される。
【0021】
本発明に従えば、照射線で硬化し得る液体のワニス調合物を好ましくはシートの形をした基質材料の上に被覆し、該被覆されてまだ硬化していないワニス層の上にカバー層を積層化し、カバー層を通して好ましくは照射することにより硬化させる。本発明に従えば、酸素障壁層として特殊なカバー層を使用し、このカバー層で覆うことにより光学的に特に高い品質をもつワニス層の表面を得ることができる。この層を通して照射すると固化が起こり、従って高品質のワニス表面が保存できるばかりではなく、同時にワニス層を効率的に硬化させることができる。何故なら、カバー層が存在すると反応しているワニス層から硬化の妨害になる大気中の酸素が隔離されるからである。本発明に従って使用できるカバー層は、表面の粗さが特に低く、ワニスの硬化に好適に使用される照射線に対する透明性が高く、曇り値が低く、破壊を起こすことなく或いは硬化後に残留物を生じることなくワニスの表面から取り外し得ることを特徴としている。本発明方法は、幅が好ましくは少なくとも30cm、極めて好ましくは少なくとも50cmのウエッブの形をした材料の製造に特に役に立つ。
【0022】
本発明の目的に対しては、原理的には基質材料、好ましくはシートの形の材料をワニス調合物により被覆するための当業界の専門家には公知の任意の方法を選ぶことができる。限定を行うつもりはないが、例えばナイフ被覆法、刃(blade)、ローラ、噴霧、浸漬、ブラシ、キャスティング(casting)および印刷による方法、例えばオフセット印刷法またはフレキソ印刷法を挙げることができる。この場合種々の方法の組み合わせ、例えばメイヤー・バー(mayer bar)法、ローラとナイフを他の一つの方法と組み合わせた被覆法、またはローラとナイフを他の一つと組み合わせさらにキャスティング法の原理を組み込んだロール/キャスティング法も考えられる。本発明に従って使用できるいくつかの被覆法は、例えばScharenbergにより集積されている(R.T.Scharenberg著、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,H.F.Mark,N.M.Bikales,C.G.Overberger,G.Menges(編),第3巻、第2版、1985年,米国、New York、Wiley社発行)]。有利な一つの方法では、型彫ロール(engraved roll)による被覆の原理を利用する。これは例えば、型彫ロールによりワニス調合物がシート状の材料に直接転写される直接グラビア操作の中で、或いはワニスが型彫ロールにより先ずオフセット・ロールに通され、その後でシート状の材料に移されるオフセット・グラビア操作の中で実行することができる。ワニス調合物を型彫ロールの上に載せるには、クローズト・チャンバー・ナイフ(closed chamber knife)を用いるか、或いは型彫ロールを水槽の中に浸漬することにより行うことが有利であり、この場合これに加えて型彫ロールの表面上のワニスの量は典型的には金属のストリッピング・プレート(stripping plate)によりコントロールされる。
【0023】
本発明の操作にロールを使用する場合、これらには例えば計量ロール、転写ロールまたは背圧ロール(バックアップ・ロール)の機能をもたせることができる。外殻の材料および表面の種類に関して種々の種類のロールを有利に使用することができる、本発明に従って使用できるロールの例には鋼製のロール、特に高級ステンレス鋼またはクロムメッキ鋼のロール、他の金属の表面をもつロール、白鋳鉄のロール、セラミックスのロール、およびゴムのロール(エラストマーのロール)がある。
【0024】
ゴムのロールに使用できるエラストマーは例えばEPDM、ポリウレタン(PU)、ニトリル−ブタジエン・ゴム(NBR)またはシリコーン・ゴムをベースにしていることができる。またロールは接着防止性のシリコーンまたはPTFEの被膜をもっていることができる。レーザーで彫刻またはエッチングされ、また正方形、六角形、または陰影模様が付いたパターンのような種々の彫刻されたパターンをもっていることができる平らなロールを型彫ロールと全く同じ方法で使用することができる。温度制御可能なロール、即ち冷却または加熱し得るロールを随時使用することができる。ロールは自由に動く形で駆動するか使用することができ、また同期して動かすことができ、さらにまたウエッブの方向と同じ方向または反対方向に回転させることができる。ロールの対、即ち一緒になってロールのニップをつくっている二つのロールの組み合せを同方向または反対方向に回転させ、また二つのロールの回転速度は同一または相異なることができる。また選ばれるロールは同一または相異なる直径をもっていることができる。本発明に従って被覆工程で使用できる他の操作機素には、例えば被覆ナイフ、空気ナイフ、および金属のストリッピング・プレートが含まれる。被覆工程で少なくとも1個の型彫ロールを使用することが好ましい。
【0025】
多用途のプラスティックス製品を製造するための本発明の方法はさらに、好ましくはシートの形をした被覆された材料をカバー層(例えばシート)で覆う工程を含んで成っている。被覆されたワニス層を本発明に従って使用される層を用い本発明方法により覆うためには、当業界の専門家には公知の任意の方法を使用することができる。適切な方法には、特に例えば積層シートを使用する公知の任意のすべての方法が含まれる。本発明のこの点に関し原理的に使用できるいくつかの方法はH.Kleinにより集積されている[H.Klein,Coating誌、1996年,29巻,246頁]。有利な方法では、カバーシートをワニスの被膜を備えたシート状の材料と同じ速度で合体させ(married)、加圧ロールを用いてカバーシートをシート状の被覆された材料と接触させる。加圧ロールは滑らかな表面をもっていることが極めて好適である。直線的に圧力をかけて加圧ロールを操作することが有利である。接触圧力はこのアセンブリーから空気の泡をちょうど押し出すのに十分な程度の小さい値であることが極めて好適である。この種の低い接触圧力が必要な場合、ゴムのロールまたは当業界の専門家に公知の他の種類のロール、或いは異なった設計の装置を用いてワニス層を有利に覆うことができる。
【0026】
カバー層を覆う操作に加圧ロールと下方のロールから成るロールの対を使用する場合には、この2個のロールの直径は同一または相異なることができ、同様に例えば表面の材料および/または構造についても同一または相異なることができる。加圧ロールは駆動することができ、或いはそれ以外の自由に動くような方法で操作を行うことができる。加圧ロールおよび下方のロールは同じ角速度で動くことが好適である。
【0027】
複合シートを製造する典型的な積層化の方法とは対照的に、本発明の目的におけるカバーシートは、それでワニス層を覆い且つワニス層が硬化した後、破壊されたり残渣を残したりすることなくワニス層から再びカバーシートを取り外し得るように選ばれる。
【0028】
本発明に従って使用できるカバーシートは少なくともワニスに面する側において面の滑らかさが高く、少なくとも一つの硬化工程の照射に関連した波長範囲において高い透明性をもち、また照射を行った後に硬化したワニス層から破壊したり残渣を残したりすることなく取り外すことができるという特徴をもっている。
【0029】
少なくともワニスに面した側が、試験Dで決定された平面の粗さとして0.3μm以下、好ましくは0.15μm以下、極めて好ましくは0.08μm以下のRz値をもつ場合、そのカバーシートは本発明において使用することができる。
【0030】
本発明の特定の一具体化例、即ち紫外線を照射して硬化を行う場合に使用される具体化例においては、400nmの波長で照射した場合試験Eによるその透明度が少なくとも80%、極めて好ましくは少なくとも85%であれば、そのカバーシートは本発明のカバーシートである。少なくとも一つのワニス層を硬化させるために電子ビームを使用する場合、このシートは400nmの波長並びに可視領域において透明である必要はない。
【0031】
本発明のカバーシートは試験Fによる曇りの値が5%以下、好ましくは2.5%以下、極めて好ましくは1%以下である。
【0032】
本発明のカバーシートは好ましくは5〜150μm(ench inclusive)、さらに好ましくは15〜100μm(ench inclusive)の範囲の層の厚さをもっている。
【0033】
本発明のカバーシートはポリオレフィンをベースにしていることが有利である。好適なポリオレフィンはエチレン、プロピレン、ブチレン、および/またはヘキシレンからつくられ、それぞれの場合単一の単量体を重合させるか、これらの単量体の混合物を共重合させることができる。重合法を用い単量体を選ぶことにより重合体シートの物理的および機械的性質、例えば軟化温度および/または引張り強さをコントロールすることができる。他の可能性はポリ酢酸ビニルを使用することである。ポリ酢酸ビニルは酢酸ビニルの他に共重合単量体としてビニルアルコールを含んでおり、遊離のアルコールの割合は広い範囲で変動する。また本発明のカバーシートの基質材料としてポリエステルを用いることもできる。本発明の特に好適な具体化例においては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)をベースにしたポリエステルを使用する。さらに、本発明のカバーシートをつくるのにポリメタクリル酸メチルを用いることができる。この場合には単量体(メタクリレートおよび或る場合にはアクリレートも)を選ぶことによりシートのガラス転移温度をコントロールすることができる。さらに、例えばシートの可撓性を増加させるか、またはガラス転移温度を上昇または低下させるか、或いは結晶化区域を最低限度に抑制するために、ポリメタクリル酸メチルは添加物を含んでいることができる。本発明に有用なカバーシートのベースとなるさらに他の材料は部分的にフッ素化されたまたはパーフルオロ化された重合炭化水素を含んでいる。紙も使用することができる。
【0034】
別法として、本発明のカバーシートは特に一軸配向、二軸配向、或いは無配向のいずれか形であることができる。
【0035】
シートの形の材料をつくるためには、フィルム形成特性を強化し、結晶化区域が形成する傾向を減少させ、および/または特定的に機械的性質を改善させ、或いは適切な場合にはこれを低下させる添加物または他の成分を加えることが適切である。随時使用できる他の添加物として老化防止剤、光安定剤、例えば特に紫外線防止剤、酸化防止剤、他の安定剤、燃焼遅延剤、顔料、染料、および/または膨張剤を存在させることができる。
【0036】
本発明のカバーシートは単一層の構造物、或いは例えば同時押し出しで得られる多層複合体、或いはシートの積層体として使用することができる。さらにまた本発明のカバーシートは片側および/または両側が予備処理されているか、および/または機能性をもった層を備えていることができる。両側が予備処理されているかおよび/または被覆されている場合、予備処理および/または被覆の種類および/または程度は同一または相異なることができる。このような予備処理および/または被覆により例えば少なくとも一つの硬化したワニス層からの取り外し特性が改善される。この目的に対してはワニスに接する(pointing to)側がポリシロキサン、部分的にフッ素化されたまたはパーフルオロ化された重合炭素化合物またはポリオレフィン、例えば特にポリエチレンの被膜をもっている場合、および/またはそれがコロナおよび/または焔および/またはプラズマによる処理、および/または他の表面予備処理法によって変性されている場合、特に有利である。
【0037】
少なくとも片側がワニス層に面した本発明のカバー層は無機性のおよび/または粒子状のブロッキング防止剤、例えば珪酸塩またはタルクを含んでいないことが好ましい。
【0038】
多用途のプラスティックス製品を製造するための本発明の方法はさらに少なくとも一つの硬化工程を含んで成っている。この少なくとも一つの硬化工程は、ワニス調合物を被覆してそれから交叉結合により耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層をつくり、本発明のカバー層で覆った後に硬化が起こるように本発明方法の中に組み込まれている。本発明の目的に対しては、これは好ましくは照射−化学的な方法を使用することによって達成される。これには電磁照射線、例えば紫外線および/または粒子の照射線、特に電子ビームに露出する方法が含まれる。被覆されたワニス材料を200〜500nmの波長範囲の光および/または加速された電子に短時間露出して硬化させる。紫外線で照射する場合、特に出力80〜240W/cmの高圧または中圧の水銀ランプを使用する。本発明の目的に使用できる他の照射線源は当業界の専門家には良く知られている。ランプからの発光スペクトルに対して使用される光重合開始剤を選択的に調整するか、或いは光重合開始剤の種類をランプのスペクトルに対して適合させる。照射の強度は紫外線重合開始剤のそれぞれの量子収率およびウエッブの速度に合わせる。
【0039】
ワニス層を硬化させるために加速された電子で照射する場合、これは紫外線による交叉結合と組み合せて行うこともでき、この場合典型的な照射装置は線形陰極システム、走査システムを含んでおり、或いは電子ビーム加速器を含む場合には区分けされた(segmented)陰極システムを含んでいる。典型的な加速電圧は50kV〜1MV、好ましくは80〜300kVの範囲にある。使用する照射量は5〜250kGy、特に20〜100kGyの間にある。
【0040】
本発明方法で製造される製品は好ましくは片側に自己接着剤を備えた製品であり、これは少なくとも一つの感圧性接着剤の層を含んでいる。この少なくとも一つの感圧性接着剤の層は特にアクリレート、天然ゴム、合成ゴム、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体をベースにした任意の従来法の感圧性接着剤の層から構成されている(この点に関しては例えばD.Satas(編),Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,第2版,1989年,米国、New York,Van Nostrand Reinhold発行を参照のこと)。これらの系と他の系との組み合せも本発明によるものである。アクリレート共重合体をベースにした圧感性接着剤の層を使用することが極めて好ましい。
【0041】
本発明に従って使用できる圧感性接着剤の例には直鎖の、星形の、分岐した、グラフト型の、或いは他の構造のすべての重合体、好ましくは単独重合体、ランダム共重合体、またはブロック共重合体がある。限定を行うつもりはないが、本発明に対して特に有利なものとして挙げることができる例は、α,β−不飽和エステルを原料とするものおよび/またはアルキルビニルエーテルを原料とするものである。一般構造式
CH=CH(R)(COOR) (I)
のα,β−不飽和エステルを用いることが特に好適である。ここでRはHまたはCH、RはHまたは直鎖の、分岐した、或いは環式の飽和または不飽和の炭素数が1〜30のアルキル基である。
【0042】
一般構造式(I)の意味において極めて好適に使用される単量体にはアルキル基の炭素数が4〜18のアクリル酸およびメタクリル酸のエステルが含まれる。下記に挙げることにより限定を行うつもりはないが、このような化合物の特定の例にはアクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、これらの分岐した異性体、例えばアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソデシル、およびアクリル酸トリデシル、並びに環式単量体、例えばアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸イソボルニルが含まれる。
【0043】
芳香族の基を含むアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、例えばアクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、エトキシル化されたフェノールアクリレートまたはエトキシル化されたノニルフェノールアクリレートも同様に単量体として使用できる。
【0044】
さらに他の可能性としては随時下記のグループから選ばれるビニル単量体を使用することができる:ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、α−位に芳香環または複素環を含むビニル化合物。随時使用できるビニル単量体としては、例えば本発明に従って使用できる下記の単量体から選ばれるものを挙げることができる:酢酸ビニル、ビニルカプロラクタム、ビニルフォルムアミド、ビニルピリジン、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、およびα−メチルスチレン。
【0045】
本発明に従って使用できるさらに他の単量体はメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリロイルモルフォリン、メタクリロイルモルフォリン、トリメチロールプロパンフォルマールモノアクリレート、プロポキシル化されたネオペンチルメチルエーテルモノアクリレート、トリプロピレングリコールメチルエーテルモノアクリレート、エトキシル化されたエチルアクリレート、例えばエチルジグリコールアクリレート、プロポキシル化されたプロピルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそのエステル、クロトン酸およびそのエステル、マレイン酸およびそのエステル、フマル酸およびそのエステル、マレイン酸無水物、メタクリルアミドおよびN−アルキル化された誘導体、例えばN−メチロールメタクリルアミド、アクリルアミドおよびN−アルキル化された誘導体、例えばN−メチロールアクリルアミド、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、および4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0046】
随時使用できる少なくとも1種の感圧性接着剤層の中の感圧性接着剤の原料として合成ゴムまたは他のゴムを使用する場合、天然ゴムまたは合成ゴムのいずれかのグループから得られるか、または天然ゴムおよび/または合成ゴムの所望の配合物から得られるものであるかに従ってさらに種々の可能性があり、原理的には必要とされる純度のレベルおよび粘度のレベルに依存して天然ゴムまたはすべての入手できる等級の天然ゴム、例えばクレープ(crepe)、RSS、ADS、TSRまたはCV級から選ぶことができ、或いは合成ゴムまたはランダム共重合体のスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、合成ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロゲン化されたブチルゴム、アクリレートゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびポリウレタンおよび/またはこれらの配合物から成る群から選ぶことができる。
【0047】
少なくとも一つの感圧性接着剤層に随時使用できる粘着付与用の樹脂には、例外なくすべての公知の粘着付与用の樹脂および文献記載の粘着付与用の樹脂が含まれる。挙げることができる代表的な例はロジン、それらの不均化された、水素化された、重合した、およびエステル化された誘導体および塩、脂肪族および芳香族の炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール樹脂を含んでいる。得られる接着剤の性質を要求に従って調節するために、これらの樹脂の、およびそれらと他の樹脂との任意の組み合わせを使用することができる。
【0048】
同様に随時使用できる可塑剤としては、自己接着性テープの技術に公知のすべての可塑化物質を使用することができる。これらには特にパラフィン油およびナフテン油、(官能基をもった)オリゴマー、例えばオリゴブタジエンおよびオリゴイソプレン、液体ニトリルゴム、液体テルペン樹脂、植物性および動物性の油脂、フタレートおよび官能性をもったアクリレートが含まれる。上記の感圧性接着剤はまたさらに他の成分、例えばレオロジー活性をもった添加物、触媒、反応開始剤、安定剤、相溶化剤、カップリング試薬、交叉結合剤、酸化防止剤、他の老化防止剤、光安定剤、燃焼遅延剤、顔料、染料、充填剤、および/または膨張剤を含んでいることができる。
【0049】
この少なくとも1種の随時存在する感圧性接着剤の層は典型的には2〜500g/m(inclusive)、好ましくは5〜100g/m(inclusive)の範囲の単位面積当たりの重量をもっている。
【0050】
本発明に従って製造される製品は少なくとも一つの基質シートを含んでいる。この少なくとも一つの基質シートは、原理的にはすべての押出し可能なフィルム生成重合体から得ることができる。この点に関してはNentwigの著書[J.Nentwig著,Kunststofffolien(重合体フィル),第5章、第2版、ドイツ、MunichのC.Hanser社、2000年発行,97頁以降]を参照されたい。この種の好適な基質シートはポリオレフィンをベースにしたものが有利である。好適なポリオレフィンはエチレン、プロピレン、ブチレン、および/またはヘキシレンから製造され、それぞれの場合単一の単量体を重合させるか、これらの単量体の混合物を共重合させることができる。単量体の重合により、そして単量体を選ぶことにより、例えば軟化温度および/または引張り強さのような重合体シートの物理的および機械的性質をコントロールすることができる。
【0051】
さらに他の可能性はポリ酢酸ビニルを使用することである。ポリ酢酸ビニルは酢酸ビニルの他に共重合単量体の形でビニルアルコールを含んでおり、遊離のアルコールの割合は広い範囲で変動する。また本発明の少なくとも一つの基質シートの基質材料としてポリエステルを用いることもできる。本発明の特に好適な具体化例においては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)をベースにしたポリエステルを使用する。さらにポリ塩化ビニル(PVC)を基質シート材料として用いることができる。温度安定性を増加させるために硬さを賦与するための共重合単量体を用いこれらのシートの重合体構成成分をつくることができる。またこれらのシートは種々の性質を同様に改善するために照射線を用い交叉結合させることができる。原料シート材料としてPVCを用いる場合、これは随時可塑化成分(可塑剤)を含んでいることができる。ポリアミドもこれらのシートをつくるために用いることができる。ポリアミドは1種のジカルボン酸と1種のジアミン、または2種またはそれ以上のジカルボン酸とジアミンから成っていることができる。ジカルボン酸およびジアミンの他に、高級の多価カルボン酸およびアミンを、両者だけで、或いは上記のジカルボン酸およびジアミンと組み合わせて、同様に使用することができよう。シートに剛性を与えるためには環式の、芳香族の、或いは複素芳香族の原料単量体を使用することが好ましい。さらに、シートをつくるのにポリメタクリレートを用いることができる。この場合には単量体(メタクリレートおよび或る場合にはアクリレートも)を選ぶことによりシートのガラス転移温度をコントロールすることができる。さらに、例えばシートの可撓性を増加させるか、またはガラス転移温度を上昇または低下させるか、或いは結晶化区域を最低限度に抑制するために、ポリメタクリル酸メチルは添加物を含んでいることができる。またシートをつくるためにポリカーボネートを用いることができる。他の可能性としては、ビニル芳香族およびビニル複素芳香族の化合物をベースにした重合体および共重合体を使用して少なくとも一つの基質シートBをつくることができる。
【0052】
少なくとも一つの基質シートは特に選択的に一軸配向または二軸配向した形、或いは無配向の形で存在することができる。
【0053】
シートの形の材料をつくるためには、フィルム形成特性を強化し、結晶化区域が形成する傾向を減少させ、および/または機械的性質を特定的に改善させ、或いは適切な場合にはこれを低下させる添加物または他の成分を加えることが適切である。存在することができる随時使用される他の添加物として老化防止剤、光安定剤、例えば特に紫外線防止剤、酸化防止剤、他の安定剤、燃焼遅延剤、顔料、染料、および/または膨張剤が含まれる。
【0054】
少なくとも一つの基質シートは単一層の構造物としてそれ自身で使用されるか、或いは例えば同時押し出しで得られる多層複合体として使用することができる。さらに基質シートはまた片側および/または両側に予備処理がなされているか、および/または機能性をもった層を備えていることができる。両側が予備処理されているかおよび/または被覆されている場合、予備処理および/または被覆の種類および/または程度は同一または相異なることができる。このような予備処理および/または被覆は例えば他の層、例えば少なくとも一つの感圧性接着剤の層、または少なくとも一つのワニス層、或いは随時使用される他の層との固定を改善する役目をすることができる。この目的に対しては基質シートの片側または両側が1種のまたは種々の種類のプライマーで予備処理されているか、および/または基質シートの片側または両側ががコロナ、および/または焔および/またはプラズマによる処理、および/または他の表面賦活法による予備処理がなされている場合、特に有利である。
【0055】
基質材料の少なくとも一つの層は典型的には5〜500μm(inclusive)、好ましくは10〜100μm(inclusive)の範囲の厚さをもっている。
【0056】
本発明方法は、耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層を得るための、好ましくは照射線で硬化し得る調合物を被覆し硬化させることを含んでいる。この種のワニス調合物は少なくとも一つの(メタ)アクリレート官能性を、好ましくは少なくとも二つの(メタ)アクリレート官能性をもつ少なくとも1種の化合物を含み、さらに好ましくは、少なくとも二つの(メタ)アクリレート官能性、好ましくは三つの(メタ)アクリレート官能性をもつ少なくとも1種の化合物を含んでいる。少なくとも一つの(メタ)アクリレート官能性を、好ましくはさらに多くの(メタ)アクリレート官能性をもった化合物を使用することが本発明の目的に対して有利である。
【0057】
単に一つの(メタ)アクリレート官能性をもった化合物を使用する場合、少なくとも一つの感圧性接着剤の層の感圧性接着剤に対する単量体として、既に述べたような(メタ)アクリレート単量体を、特に一般構造式(I)に合致する単量体を使用することが本発明の目的に対しては好適である。これに加えて、脂肪族または芳香族の、特にエトキシル化またはプロポキシル化されたモノ(メタ)アクリレート、脂肪族または芳香族のポリエステルモノ(メタ)アクリレート、脂肪族または芳香族のウレタンモノ(メタ)アクリレート、または脂肪族または芳香族のエポキシモノ(メタ)アクリレートを(メタ)アクリレート官能性をもった化合物として使用することができる。
【0058】
少なくとも二つの(メタ)アクリレート官能性をもつ化合物としては、二官能性の脂肪族(メタ)アクリレート、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、三官能性の脂肪族(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、四官能性の脂肪族(メタ)アクリレート、 例えばジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、五官能性の脂肪族(メタ)アクリレート、例えばジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、および六官能性の脂肪族(メタ)アクリレート、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0059】
これに加えて、高級の多官能化された化合物を使用する場合、脂肪族または芳香族の、特にエトキシル化またはプロポキシル化されたポリエーテル(メタ)アクリレート、特に2個、3個、4個、または6個の(メタ)アクリレート官能性をもったもの、例えばエトキシル化されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化されたグリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化されたネオペンチルグリセリンジ(メタ)アクリレート、エトキシル化されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化されたトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシル化されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化されたネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化されたトリメチロールプロパンメチルエーテルジ(メタ)アクリレート、特に2個、3個、4個または6個の(メタ)アクリレート官能性をもった脂肪族または芳香族のポリエステル(メタ)アクリレート、特に2個、3個、4個または6個の(メタ)アクリレート官能性をもった脂肪族または芳香族のウレタン(メタ)アクリレート、および特に2個、3個、4個または6個の(メタ)アクリレート官能性をもった脂肪族または芳香族のエポキシ(メタ)アクリレートを使用することができる。さらに他の可能性としてポリ不飽和ビニルエーテルが有利に使用される。
【0060】
本発明方法はさらに少なくとも1種の無機酸化物を粒子の形で含むワニス調合物を被覆し硬化させることを含んでいる。、これらの粒子がワニス樹脂マトリックスによってつくられる有機マトリックスの中で安定な懸濁液をつくるばかりでなく、硬化操作の際にそれがつくる有機性の網状構造と化学的に結合することができるように、これらの粒子の表面が官能化されていることが好ましい。この種の表面の官能化は、粒子をカップリング試薬、例えば特に不飽和のシランまたはチタネートと反応させることによって特に有利に達成することができる。この点に関しては、例えばL.N.Lewis,D.KatsamberisのJ.Appl.Polym.Sci.誌,1991年,42巻,1551頁の論文,Hansechemieのヨーロッパ特許1 366 112 B1号明細書、またはClariant SAの米国特許第6,136,912号明細書を参照されたい。特に有利なこのような調合物は平均粒径が典型的には100nmより小さい無定形のシリカまたはコランダムを含んでいる。粒子の有利な含量は最高50重量%、好ましくは最高30重量%である。
【0061】
本発明の目的に有利に使用できる原料は例えばClariant社からHighlink(R)の商品名(C.Vu,O.LaFerte,A.Eranian,Eur.Coat.J.誌,2002年,1〜2巻,64頁)で、またHansechemie社からNanocryl(R)の商品名(C.Roscher,Eur.Coat.J.誌,2003年,4巻,38頁)で市販されている。
【0062】
耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層を製造し得る本発明の調合物は、少なくとも5000g/モルのモル質量をもった重合体を最高50重量%の割合で含んでいることが有利である。このような材料を使用する場合、本発明の有利な一具体化例においてはこれらの材料は特にC−C二重結合のような反応性の基を実質的に含んでいない。さらに有利な具体化例においては、このような重合体は硬化反応に関与し得る例えば(メタ)アクリレートのような官能基をもっている。特に適切な重合体は(メタ)アクリレート共重合体を含んでいるが、他の飽和または不飽和の重合体も含んでいる(例えば、P.K.T.Oldring(編),Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings,Inks & Paints,第2巻,1991年,SITA,London,158〜184頁参照のこと)。重合体は、他のワニス樹脂成分との混合物中に可溶な場合、有利に使用することができる。
【0063】
またこれに加えて、例えば触媒、促進剤、光安定剤、例えば特に紫外線保護剤、老化防止剤、酸化防止剤、他の安定剤、燃焼遅延剤、流動制御剤、湿潤剤、潤滑剤、泡除去剤、揮発成分除去剤(devolatilizers)、接着促進剤、さらにレオロジー添加物、例えばチキソトロピー剤、艶消し剤および/または他の充填剤のような他の成分を随時含んで成りまた含むことが有利であるワニス調合物を被覆し硬化させるために、本発明の方法は有利に使用することができる。
【0064】
本発明の特殊な一具体化例においては、耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層がつくるための本発明の調合物はシリコーンを含む添加物を含んでいない。
【0065】
被覆した後に電磁波の照射により、特にこの場合は紫外線によりワニス調合物を硬化させる本発明の具体化例を使用する場合、少なくとも1種の光反応開始剤をワニス組成物に加える。
【0066】
このような光反応開始剤の適切な代表例はタイプIの光反応開始剤、換言すればα−開裂反応開始剤、例えばベンゾイン誘導体およびアセトフェノン誘導体、ベンジルケタールまたはアシルフォスフィンオキシド、タイプIIの光反応開始剤、換言すれば水素引抜き剤、例えばベンゾフェノン誘導体および或る種のキノン、ジケトンおよびチオキサントンである。他の可能性はフリーラジカル反応を開始するためにトリアジン誘導体を使用する方法である。
【0067】
有利に使用できるタイプIの光反応開始剤には例えば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、およびベンゾインイソブチルエーテル、メチロールベンゾイン誘導体、例えばメチロールベンゾインプロピルエーテル、4−ベンゾイル−1,3−ジオキソランおよびその誘導体、ベンジルケタール誘導体、例えば2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンまたは2−ベンゾイル−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、例えばα,α−ジメトキシアセトフェノンおよびα,α−ジエトキシアセトフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロパノンおよびその誘導体、α−アミノアルキルフェノン、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−2−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、アシルフォスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸エチル、およびO−アシルα−オキシイミノケトンが含まれる。
【0068】
有利に使用できるタイプIIの光反応開始剤には例えばベンゾフェノンおよびその誘導体、例えば2,4,6−トリメチルベンゾフェノンまたは4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントンおよびその誘導体、例えば2−イソプロピルチオキサントンおよび2,4−ジエチルチオキサントン、キサントンおよびその誘導体、およびアントラキノンおよびその誘導体が含まれる。
【0069】
タイプIIの光反応開始剤はアミン相乗剤(synergists)として知られている窒素含有共開始剤と組み合わせて特に有利に使用される。本発明の目的に対しては第3級アミンを使用することが好適である。さらにタイプIIの光反応開始剤と組み合わせて水素原子供与剤が有利に使用される。このような供与剤の例にはアミノ基を含む基質がある。アミン相乗剤の例にはメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−n−ブトキシエチル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸イソオクチル、2−(ジメチルアミノフェニル)エタノンおよび不飽和の従って共重合可能な第3級アミン、(メタ)アクリル化されたアミン、ポリエステルまたはポリエーテルをベースにした、不飽和の、アミンで変性されたオリゴマーおよびポリマー、およびアミンで変性された(メタ)アクリレートがある。
【0070】
さらに、タイプIおよび/またはタイプIIの重合可能な光反応開始剤を使用することもことができる。
【0071】
本発明の目的に対しては異なった種類のタイプIおよび/またはタイプIIの光反応開始剤の任意の組合せを使用することもできる。
【0072】
本発明の被覆および硬化を行った後、本発明の製品は耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層をもち、その単位面積当たりの重量は0.5〜50g/m(inclusive)、好ましくは2〜15g/m(inclusive)の範囲であることが好適である、
この耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は、好ましくは試験Bで決定された硬さが少なくとも4H、好ましくは少なくとも7Hであり、また試験Cに合格するような可撓性をもっていることが好適である。
【0073】
この耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は好ましくは表面の粗さが極めて低い。本発明のワニス層は試験Dによる表面の粗さがRz値で表して03μm以下、好ましくは0.15μm以下、極めて好ましくは0.08μm以下である。この耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は特に高い光学的品質をもつといういわば特徴をもっている。従ってこの耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は好ましくは透明である。本発明のこの具体化例においては該ワニス層は試験Eにおける400nm、600nmおよび800nmでの透過率が少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、極めて好ましくは少なくとも92%である。
【0074】
さらに、この製品は試験Fに従って決定された曇り値で与えられる濁度が特に低く、5%以下、好ましくは2.5%以下、極めて好ましくは1%以下の耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層Cを示す。
【0075】
少なくとも一つの随時存在する感圧性接着剤の層、少なくとも一つの基質層、および耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層を含んで成る本発明方法で製造された好適な自己接着性製品は、適時任意所望の順序で複合体の中に組み込むことができる。本発明による方法は例えば、少なくとも一つの基質シートを含む予備材料を少なくとも一つの随時使用される感圧性接着剤の層で被覆することを含んでいる。これはまた、剥離材料の上に載せられた感圧性接着剤の層の移動積層化(transfer lamination)により達成することができる。次に、硬化させて少なくとも一つのワニス層をつくる調合物を、少なくとも一つの随時使用される感圧性接着剤が既に備えられている該予備材料の上に被覆する。他の可能性としては例えば硬化させて少なくとも一つのワニス層をつくる調合物を、先ず少なくとも一つの基質層を含む予備材料に被覆する方法がある。次に既にワニス層が備えられている予備材料に少なくとも一つの随時使用される感圧性接着剤を取り付ける。これは、感圧性接着剤を被覆するか、或いは既製の感圧性接着剤のフィルムを積層化することによって行うことができる。
【0076】
少なくとも一つの随時使用される感圧性接着剤の層と少なくとも一つの基質シートの間には、同様なまたは異なった種類の他の層が任意の数だけ存在することができる。同様に耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層と少なくとも一つの基質シートの間には、同様なまたは異なった種類の他の層が任意の数だけ存在することができる。挙げることができるこのような他の層の例には、下記に列挙することによって限定を行うつもりはないが、積層用接着剤、他の基質シート、発泡した層、障壁層、プライマーの層、および/または自分自身でまたは他の層と組み合わされて光を反射できる層が含まれる。随時使用できるこのような層は、製品の組み立てが可能な時に任意所望の順序で複合体の中に同様に組み込むことができる。
【0077】
本発明の好ましくは片側が自己接着性をもった製品は、少なくとも一つの感圧性接着剤が存在する場所に、製品を所望の基質に取り付ける前に取り外される剥離用のフィルムまたは剥離紙を備えていることが好適である。
【0078】
少なくとも一つの硬化工程の後における任意の時点においてこのカバーシートを取り外すことができる。本発明の好適な一具体化例においては、被覆されたシート状の基質を巻き取る前にカバーシートの取り外しを行う。工程ラインの中でまたは梱包品として巻き取った後にシートのウエッブを変換することができる。このような変換は種々の方法で行うことができる。このような方法の中には縦切り操作およびダイカット操作が含まれ、これらの方法で片側が自己接着性をもったテープ、シートまたはラベルが得られる。
【0079】
これらの方法は、片側が自己接着性をもち、非接着性の側には耐摩耗性および可撓性をもった層が取り付けられた、本発明方法でつくられた高い光学的品質をもつ製品をつくるのに好適に使用される。各具体化例に依存してこれらの製品は例えば装飾の目的の自己接着性のテープ、シートまたはラベルとして、表面の保護用に、或いは情報を保有する製品として有利に使用することができる。
【0080】
本発明方法でつくられた装飾用に使用される製品は、一例としてではあるが好ましくは印刷の形をした装飾要素を含んで成り、これは耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層の下方にある本発明の複合材料の任意の層の上に配置されている。装飾要素は例えば任意の種類のパターンであることができる。また本発明の目的に対しては本発明の複合材料の少なくとも一つの任意の層が白色、灰色、黒色であるかまたは着色していることができる。該少なくとも一つ層が着色している場合、それに加えて且つ選択的に該層は透明であるかまたは透明でないことがことができる。製品の中に含まれた対応する装飾を所望の基質に賦与するようにするためには、この種の自己接着性製品を自己接着性シートの形で所望の形に切断して使用することが好ましい。例えば製品が着色しており且つ透明である場合、これは簡単な方法でグレイジング・システムをつくるのに使用することができる。この場合、耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は、ワニスが上記のように調合されていれば、保護用のワニス層をもたない同等な製品の場合に比べ、機械的な応力にも拘わらず例えば表面の光沢のような視覚的な印象は比較的長期間に亙って確実に保存されることができる。同様に、表面に取り付けられた自動車用機素、または自動車の部品を含む所望の構成要素の上に本発明のシートを重ねて張り付け、本発明の複合体の少なくとも一つの層が白色、灰色、黒色であるかまたは着色するように本発明の製品がつくられている場合、簡単な方法でこれらの構成要素を白色、灰色、黒色にするかまたは着色させることができる。少なくとも一つの随時使用される感圧性接着剤の層のために、本発明の製品は任意の基質に容易に被覆することができる。このことは本発明の製品の本発明における用途の一例にしか過ぎないことを了解された。同様に多くの他の設計および用途も可能である。
【0081】
本発明方法でつくられた情報を有する製品はこの情報を、例えばまた好ましくは印刷の形で含み、この印刷は耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層の下方にある本発明の複合材料の任意の層の上に存在している。情報は特に英数字の記号、バーコード、任意の種類のロゴマークおよび/またはパターンの任意の組合せである。本発明の目的に対し他の種類の情報も可能である。このような自己接着性の製品は、本発明の製品中の対応する情報を所望の基質に賦与する目的で、或る大きさに切断されるか所望の形にダイカットされた自己接着性のラベルとして好適に使用される。この場合、耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層により、機械的な応力にも拘わらず、保護用のワニス層をもたない同等な製品の場合に比べ、情報の可読性を長期間に亙って保存することができる。随時使用される感圧性接着性の層のために、本発明の製品は所望の基質に容易に被覆することができる。この場合も情報を保有する製品に対してここで指定された用途は単なる一例に過ぎないことを了解されたい。同様に他の設計および用途の多くの可能性が存在している。
【0082】
本発明方法でつくられたデータ保存能力を与える製品は、本発明の複合材料のどの層の中または上にもこのデータ保存能力を備えている。データの保存は特に、レーザーにより対応する層の中に書き込みおよび/または対応する層から読み出すことができるホログラムの形で行うことができる。このようなデータは特に英数字の記号、バーコード、任意の種類のロゴマークおよび/またはパターンの所望の組合せであることができる。本発明の目的に対してさらに他の種類のデータも同様に可能である。これに加えて個々のホログラム、個々のマイクロテキスト、個々のマイクロスクリプト(microscript)および/または個々の画像の形で、片側が自己接着性をもった製品の中にデータを保存することができ、個々のホログラムはデータとしてディジタル情報ばかりでなくマイクロテキスト、マイクロスクリプトおよび/またはマイクロ画像も含んでいることができる。この種の自己接着性の製品は、製品の中に存在するデータを所望の基質に賦与するか、および/または該製品にデータを書き込む能力を賦与する目的で、或る大きさに切断されるか任意の形にダイカットされたラベルとして好適に使用される。この場合耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層により、機械的な応力にも拘わらず、保護用のワニス層をもたない同等な製品の場合に比べ、情報の可読性および/または書き込み可能性を長期間に亙って保存することができる。随時使用される感圧性接着性の層のために、本発明の製品は所望の基質に容易に被覆することができる。この場合も情報を保有する製品に対してここで指定された用途は単なる一例に過ぎないことを了解されたい。同様に他の設計および用途の多くの可能性が存在している。
【0083】
試験法
試験A:単位面積当たりのワニスの重量
円形のカッターを用い、被覆された試料から5個の試験片Aを切り取り、秤量して全重量を決定する。基準試料として円形のカッターをを用い被覆されていない原料から5個の試験片Bを切り取り、秤量により全重量を決定する。単位面積当たりのワニスの重量は5個の試験片Aの全重量と5個の試験片Bの全重量との差の1/5である。単位面積当たりの重量はg/m単位で報告される。
【0084】
試験B:鉛筆によるワニスの硬さ
鉛筆によるワニスの硬さはASTM D3363に従って決定した。ワニスを被覆した試験片をワニスの面が上向きになるようにして平らで滑らかな硬い表面の上に置く。一連の異なった硬さ(最も軟らかい9Bから最も硬い9Hまで)をもつ英国、Derwent社のDerwent製図用の種類の鉛筆を用いて硬さの試験を行った。各試験の前に個々の鉛筆を削って尖らせる。次にSaint−Gobain Gerva B.V.製のSuperflex KJ−RR 16−1 P600サンドペーパーを用い、90°の角度で先端を平らにし、鉛筆の芯の先端に円形の区域をつくった。試験機により異なった硬さの鉛筆を用い45°の角度で試験表面の上に順次線を引く。ワニスの中に眼に見える軌跡をちょうど残さなかった最も硬い鉛筆に対応する鉛筆の硬さをワニスに割り当てる。最も硬い(9H)鉛筆の跡がワニスに残らなかった場合、結果は>9Hと報告される。
【0085】
試験C:ワニスを被覆した製品の可撓性
一定の厚さをもった鋳ばり(burr)をもたない平らな金属のテープのぴったりと隣接した二つの側縁部の周りで180°の角度で被覆した試料を折り曲げ、最も曲がった区域においてワニス層が破断したりまたは剥げ落ちたりしなかったかどうかを検査する。この目的のために厚さ100μmのPreisser社製のHorex(R)隙間ゲージ片を使用する。眼で見て縁の区域の中に含まれた空気が全く見えなくなるように二つの縁の周りに試料をきっちりと配置する。試験の間、隙間ゲージ片が向っていない複合体の側にワニスの面がくるようにする。ワニスがこの応力に耐えるならば、試験結果は「合格」と報告される。この応力の下でワニスが破断し底部の層から剥げ落ちた場合、試験結果は「不合格」と報告される。
【0086】
試験D:カバ−シートおよびワニス層Cの表面の粗さ
カバ−シートおよび硬化したワニス層Cの表面の粗さはMFW250の隙間ゲージ・チップ(feeler tip)を取り付けたMahr社製のパーソメータ(perthometer)PGKを用いて決定される。試料を約10×10cmの寸法の試験試料に切断し、磁石により測定板に固定する。円錐形の隙間ゲージ・チップを試料の方へ注意して動かし、それがちょうど試料の表面に接触するようにする。横方向の測定範囲は±25μmである。ついで隙間ゲージ・チップを試料の上方で0.1mm/秒の速度で1.75mmの距離だけ直線状に動かし、この操作の過程中における垂直方向の偏位を記録し、これを使用して垂直方向の輪郭をつくる。この生のデータからDIN EN ISO 4278に従って表面の粗さをこの輪郭Rzの最大の高さとして評価する。それぞれの場合において被覆の方向に3回測定を行い、個々の測定値の平均をμm単位で与える。
【0087】
試験E:カバーシートおよびワニス層Cの透明度
Bio−Tek Kontron Instruments製の二重ビームUVIKON 923 UV/VIS分光光度計の内部で測定できるようにカバーシートの試料を切断する。透過率は波長400nmで測定する。使用した基準物質は空気である。透過率は照射光の強度の%として報告される。
【0088】
ワニス層Cの透過率を測定するために、光学顕微鏡(例えばPaul Marienfeld GmbH & Co KG製,Lauda−Konigshofen)に使用されるような種類のスライドを、ワニス層Cをつくるための検査すべきワニス組成物を用い、5μmの重量で被覆し、次いで硬化させる。透過率は上記タイプの紫外/可視分光光度計を用い、400、600、および800nmの波長で測定する。使用する基準物質は上記のものと同じ種類の被覆しないスライドである。各測定波長に対し透過率は照射光の強度の%として報告される。
【0089】
試験F:ワニス層Cおよびカバーシートの濁度(曇り)
ワニスを被覆した試験片またはカバーシートの濁度、即ち曇りを決定するために、Ulbricht球の原理を用いた。getSpec製の測定用の球、getSphere−80を使用した。用いた光源はMikropack製のHL2000ハロゲンランプであった。測定の前に完全な拡散器(白色基準、getSpec)および完全な反射器(光学的な鏡)を用いて較正を行った。全可視領域において反射スペクトルを測定し、650nmで評価した。曇りは照射光の強度の%として報告される。
【実施例】
【0090】
少なくとも一つの感圧性接着剤の層A、少なくとも一つの基質層B、および耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層Cを具備した片側が自己接着性の製品をつくるために特に本発明方法を使用する。図1はこのような製品の構造の一例を示すが、これがこのような製品の唯一の具体化例ではない。随時使用される少なくとも一つの感圧性接着剤の層Aは該複合体の最も底部にある層を構成し、他方耐摩耗性および可撓性をもった少なくとも一つのワニス層は最も上部の層をなしている。少なくとも一つの基質層は上記二つの層の間にある。
【0091】
好ましくは片側が自己接着性をもった製品を製造する本発明の方法は、少なくとも一つのワニス層Cをつくるワニス調合物を好ましくはシート状の材料に被覆する被覆工程、被覆された予備材料を本発明の保護シートで覆う工程、および少なくとも一つの硬化工程を含んでいる。本発明の極めて好適な態様においては、これらの工程はライン中で、即ち互いに連続した操作工程で行われる。
【0092】
実施例1:他の成分と共に二官能性のアクリレート、三官能性のアクリレート、および光反応開始剤を含む照射線で硬化し得るワニス調合物を、ドクター・ナイフ(RK Print Coat Instruments製のワイヤーの直径が0.05mmのワイヤー・ドクター・ナイフ)により片側が自己接着性をもった厚さ50μmのポリエステルシートの上に被覆し、ゴムのローラを用いこの被膜を本発明に従って選ばれた50μmのポリエステルのシートで積層化して覆った。被膜を覆うのに使用したポリエステルシートは試験Eによる透明度が400nmにおいて86%であり、試験Dによるワニスの方に向いた表面の粗さが0.025μmであった。このシートの曇り値は0.38%であった。次いでカバーシートを通して紫外線を照射してこの複合体を硬化させた(投与量25mJ/cm、UV−C;水銀ランプ、ドーピングなし、Eltosch製)。次にカバーシートを破壊せずまたは残留物を残さずに取り外した。ワニス層は眼に見えるような被覆の痕跡を示さず、完全に硬化しており、試験Aによる単位面積当たりの重量は2.8g/mであり、試験Bによる鉛筆の硬さの値は6Hであった。試験Cによるワニスの可撓性を決定し、結果は「合格」であった。ワニス層の試験Dによる表面の粗さはRz=0.027μmであり、試験Eによる透明度は波長400nmで99.0%、600nmで99.6%、800nmで99.9%であり、試験Fの曇り値は0.32%であった。
【0093】
対照実施例1: 実施例1に指定された材料(調合物、基質)および方法を用いてワニスで被覆した試料をつくった。しかし試料をシートで覆わず、露出した状態で照射を行った。投与量はやはりUV−Cを用い25mJ/cmであった(照射装置は実施例1と同じ)。ワニス層は被覆の方向に明白な被覆の跡を示し、完全には硬化しなかった。この試料の単位面積当たりの重量、可撓性、表面の粗さ、および光学的性質は試験しなかった。
【0094】
対照実施例2: 実施例1に指定された材料(調合物、基質)および方法を用いてワニスで被覆した試料をつくった。しかし試料をポリエチレンのシートで覆い、照射を行った。使用したポリエチレンのシートは試験Eによる透明度が400nmにおいて69%であり、試験Dによるワニスの方を向いた面の粗さが0.34μmであった。曇りの値は23.6%であった。次いでこの複合体をカバーシートを通し紫外線で照射して硬化させた(投与量25mJ/cm、UV−C;水銀ランプ、ドーピングなし、Eltosch製)。次にカバーシートを破壊せずまたは残留物を残さずに取り外した。ワニス層は眼に見えるような被覆の痕跡を示さず、完全に硬化しており、試験Aによる単位面積当たりの重量は2.2g/mであり、試験Bによる鉛筆の硬さの値は6Hであった。試験Cによるワニスの可撓性を決定し、結果は「合格」であった。ワニス層の試験Dによる表面の粗さはRz=0.32μmであった。
【0095】
本発明の実施例および対照実施例が示すように、本発明方法によれば耐摩耗性および可撓性をもったワニス層を備えた高い光学的品質をもつ片側が自己接着性の製品が得られたが、従来法の方法では得られなかった。本発明のカバーシートを用いない場合(対照実施例1)、存在する大気中の酸素のためにワニス層の硬化が妨げられる。これとは対照的に対照実施例2では、任意のカバーシートが用いられているが、この場合表面の粗さおよび光学的性質に関して本発明に従っていないポリエチレンのシートは、ワニス層を十分硬化させ、被膜の痕跡を示さないが、顕微鏡的な領域において必要な表面の品質に対する要求を満たすことはできない。これとは対照的に本発明のシートを使用すると、ワニス層の効率的な硬化と表面の高い光学的性質の両方が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一具体化例の製品の構造の一例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)硬化可能な液体のワニス調合物の形の保護層で被覆された基質材料をつくり、
(b)少なくともワニスの側においてRz値が0.3μm以下である低い表面の粗さをもち、および/または曇り値が5%以下である低い濁度をもつカバー層で該基質材料を覆い、
(c)カバー層を通してワニス層を硬化させ、
(d)カバー層を取り外す
工程を含んで成ることを特徴とする多用途のプラスティックス製品を製造する方法。
【請求項2】
予備処理がなされているか、および/または少なくとも一つの他の機能層をもつシート状の基質材料を使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
プラスティックス製品は作業幅が少なくとも30cm、好ましくは少なくとも50cmのウエッブの中に存在していることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
プラスティックス製品は、最終製品または予備製品に選択的に被覆された接着剤の層、好ましくは感圧性接着剤の層を有していることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項5】
プラスティックス製品は基質層の下方の片側に少なくとも一つの接着剤の層をもっていることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
カバー層が積層化されていることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項7】
ワニスの被膜を備えたシート状の基質材料に、それと同じ速い速度でカバーシートが基質材料と合体され、それに押し付けられることを特徴とする請求項1〜6の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項8】
基質材料はフィルムを生成する押出し可能な重合体から得られることを特徴とする請求項1〜7の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項9】
基質材料は一軸配向または二軸配向した形、または配向していない形で提供され、単一層の構造物として、多層構造の複合体として、または積層品として使用され、またその片側または両側には同じように或いは異なった方法で予備処理されているかおよび/または少なくとも一つの機能層が取り付けられていることができることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
基質材料はポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリレート、および/またはそれらの配合物をベースにしており、さらにこれに性質を調整する他の添加物および/または成分が随時加えられていることを特徴とする請求項1〜9の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項11】
基質材料、ワニス調合物、およびまた随時使用される接着剤の層、並びにさらに他の機能層を任意の順序で導入して複合体にすることを特徴とする請求項1〜13の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項12】
基質材料は層の厚さが5〜500μm、好ましくは10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜11の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項13】
硬化可能なワニス調合物による基質材料の被覆は、ナイフ被覆法、刃、ローラ、噴霧、浸漬、ブラシを用いる方法、キャスティング、および印刷法によって行われることを特徴とする請求項1〜12の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項14】
ワニス調合物は照射線で硬化し得る組成物であり、硬化は照射により化学的に生じることを特徴とする請求項1〜13の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項15】
該ワニス調合物は、少なくとも一つの(メタ)アクリレート官能性をもつ化合物、好ましくは二つの(メタ)アクリレート官能性をもつ少なくとも一つの化合物を、好ましくは、少なくとも二つの(メタ)アクリレート官能性、好ましくは三つまたはそれ以上の(メタ)アクリレート官能性をもつ少なくとも一つの化合物との混合物の中に含んで成ることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
ワニス調合物は、硬化の過程中において有機マトリックス中で安定な懸濁液をつくるか、および/または生成する際に有機網状構造物と化学的に結合するような機能をもった粒子の形の1種またはそれ以上の無機酸化物を、粒子の含量として好ましくは最高50重量%含んで成っていることを特徴とする請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
該粒子は、粒径が100nmより、好ましくは25nmより小さい無定形シリカまたはコランダムであることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
ワニス調合物は、モル質量が少なくとも5000g/モルで好ましくはC−C二重結合をもたない可溶性の重合体を最高50重量%含んでいることを特徴とする請求項13〜17の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項19】
ワニス調合物は、シリコーン含有添加物を含んでいないことを特徴とする請求項13〜18の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項20】
ワニス層は、被覆して硬化させた後の単位面積当たりの重量が0.5〜50g/m、好ましくは2〜15mg/mであることを特徴とする請求項13〜19の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項21】
紫外線で硬化させるために、少なくとも1種の光反応開始剤がワニス調合物に加えられていることを特徴とする請求項13〜20の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項22】
カバー層は少なくともワニスの側に対して表面の粗さがRz値で0.15μm以下、好ましくは0.08μm以下であることを特徴とする請求項1〜21の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項23】
カバー層は曇り値が2.5%以下、好ましくは1%以下であることを特徴とする請求項1〜22の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項24】
カバー層はポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリメタクリレート、部分的にフッ素化されたまたはパーフルオロ化された炭化水素、紙、および/またはこれらの混合物をベースにし、これにさらに性質を調整する他の添加物および/または成分が随時加えられていることを特徴とする請求項1〜23の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項25】
カバー層は硬化に使用される照射線に対して規定された透明度をもっていることを特徴とする請求項1〜24の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項26】
硬化は電磁波、好ましくは200〜500nmの波長範囲の紫外線、および/または粒子の放射線、好ましくは電子ビームに露出することにより行われることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
紫外線によるワニス層の硬化のために照射を行う400nmの波長においてカバー層は少なくとも80%の透明度をもっていることを特徴とする請求項25または26記載の方法。
【請求項28】
電子ビームによる硬化の時、照射を行う400nmの波長および可視領域においてカバー層は透明性をもっていないことを特徴とする請求項25または26記載の方法。
【請求項29】
カバー層は層の厚さは5〜150μm、好ましくは15〜100μmであることを特徴とする請求項1〜28の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項30】
カバーシートの形のカバー層は一軸配向または二軸配向をしているか、或いは配向していない形をしており、単一層の構造物として、多相構造の複合体として、または積層品として使用され、またその片側または両側には同じように或いは異なった方法で予備処理されているかおよび/または少なくとも一つの機能層が取り付けられていることができることを特徴とする請求項1〜28の少なくとも一つに記載されたの方法。
【請求項31】
取り外しを改善する目的で、カバー層は少なくともワニスに接する側において、ポリシロキサン、部分的にフッ素化されたまたはパーフルオロ化された重合炭化水素化合物またはポリオレフィンをベースにした少なくとも一つの被膜をもっており、および/またはカバー層はコロナ、焔および/またはプラズマで処理されていることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
少なくともワニス層に面した側にあるカバー層は無機性のおよび/または粒子状のブロッキング防止剤を含んでいないことを特徴とする請求項1〜31の少なくとも一つに記載された方法。
【請求項33】
請求項1〜32の少なくとも一つに記載された方法で製造された耐摩耗性、可撓性および光学的透明性をもったプラスティックス製品。
【請求項34】
0.3μm以下の表面の粗さ、および/または5%以下の曇り値の濁度をもつ取り外し可能なカバー層の、機能層が取り付けられまたは取り付けられていない多用途のプラスティックス製品の製造においてワニス調合物を硬化させる際の酸素障壁層としての使用。
【請求項35】
装飾用、情報保有用またはデータ保存用のシートとしての、或いは基質を被覆するための、請求項1〜34の少なくとも一つに記載された方法で製造されたプラスティックス製品の使用。
【請求項36】
基質は自動車用の構成機素または車両の部材であることを特徴とする請求項35記載の使用。
【請求項37】
自己接着性のシート、テープまたはラベルとしての、請求項1〜36の少なくとも一つに記載されたプラスティックス製品の使用。
【請求項38】
装飾支持用、情報保有用、および/またはデータ保存用の自己接着性のシート、テープまたはラベルとしての、請求項1〜37の少なくとも一つに記載されたプラスティックス製品の使用。
【請求項39】
個々のホログラムのデータの内容がデイジタル情報ばかりではなく、マイクロテキスト、マイクロスクリプト、および/またはマイクロ画像も含んでいることができる個々のホログラム、マイクロテキスト、マイクロスクリプト、および/または画像を保存するための請求項39記載の使用。
【請求項40】
装飾、情報および/またはデータを包装材、製品、構成機素、自動車の部材、または車輛の部材の上に固定するための請求項38または39記載の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2007−191693(P2007−191693A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332292(P2006−332292)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】