説明

充填機、及び、物品の製造方法

【課題】充填機において容器の外面に液体が垂れ落ちること、又は、容器に垂れ落ちた液体が容器の外面で固化することを防止する。
【解決手段】充填機100は、充填ノズルを通して容器1に液体を充填する。充填機100は、充填ノズル及び容器1の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズル50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機、及び、充填ノズルを通して容器に液体を充填して物品を製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機では、充填ノズルの先端部を容器の口部を通して容器内に挿入して、又は、充填ノズルを容器の口部に接触させて容器に液体を充填する。
【特許文献1】特開2000−346223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器への液体の充填が完了した後又は容器への液体の充填を開始する前に、充填ノズルの先端から液体が垂れて、充填後の容器又は充填前の容器に付着しうる。糖分を含む液体を容器に充填する場合には、容器の外面にそのような液体が垂れ落ちると、シュガーセメントと呼ばれる糖の塊が形成されうる。
【0004】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、充填機において容器の外面に液体が垂れ落ちること、又は、容器に垂れ落ちた液体が容器の外面で固化することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機に係り、前記充填機は、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズルを備える。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記充填機は、前記噴射ノズルに供給される気体を加熱するヒーターを更に備えうる。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記充填機は、前記噴射ノズルに対向して配置された吸引口を通して液滴及び気体を吸引する吸引ユニットを更に備えうる。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記吸引ユニットは、前記吸引口を通して異物が吸引されることを防止するフィルタを含みうる。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記吸引ユニットは、前記吸引口を洗浄する洗浄ユニットを含みうる。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記充填機は、複数の前記充填ノズルと複数の容器を公転軌道に沿って移動させながら複数の前記充填ノズルを通して複数の容器に対して並行して液体を充填するように構成され、前記噴射ノズルは、前記公転軌道の内側に向けて気体を噴射するように前記公転軌道の外側に配置されうる。
【0011】
本発明の第2の側面は、充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機を含む製造設備において、前記充填ノズルを通して容器に液体を充填し、容器に液体が充填された物品を製造する製造方法に係り、前記製造方法は、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体を吹き付ける工程を含む。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、前記工程では、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に対して加熱された気体が吹き付けられうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、充填機において容器の外面に液体が垂れ落ちること、又は、容器に垂れ落ちた液体が固化することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の好適な実施形態の充填機100の概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示す充填機100を図1に示すA方向から見た側面図である。
【0016】
充填機100は、充填ノズル21を通して容器1に液体を充填するように構成されている。液体の例としては、例えば、梅酒、紹興酒、焼酎等のアルコール飲料、清涼飲料等の非アルコール飲料、薬品等を挙げることができる。
【0017】
充填機100は、容器1を支持する複数の支持部12が円周(公転軌道)に沿って配置された容器側回転部10と、複数の支持部12に対向するように円周(公転軌道)に沿って複数の充填バルブ22が配置された充填バルブ側回転部20とを備える。容器側回転部10及び充填バルブ側回転部20は、同期して回転しながら、複数の支持部12(容器1)及び複数の充填バルブ22を公転させる。複数の支持部12によってそれぞれ支持された複数の容器1には、この公転中に、並行して充填バルブ22の充填ノズル21を通して液体が充填される。
【0018】
容器1は、コンベアによって1列に整列した状態で充填機100に搬送されてきて、タイミングスクリュー34、スターホイール30及びガイド32によって案内されて充填機100の本体部分に取り込まれて複数の支持部12に順に供給される。液体の充填が完了した容器1は、スターホイール40及びガイド42によって充填機100の本体部分から排出される。
【0019】
この実施形態では、充填機100は、容器側回転部10は、支持部12の公転動作に応じて該支持部12を昇降させる昇降機構(例えば、エアーシリンダ)を有し、これにより、公転動作、即ち充填動作に応じて容器1と充填ノズル21との位置関係が制御される。他の実施形態では、公転動作に応じて充填ノズル21或いは充填バルブ22が昇降駆動されうる。
【0020】
充填機100は、充填ノズル21及び容器1の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズル50を備える。充填ノズル21に気体を吹き付けることによって充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体が吹き飛ばされるので、充填ノズル21から容器1に液体が垂れ落ちることが防止される。容器1に気体を吹き付けることによって、容器1の外面に垂れ落ちた液体を容器1から吹き飛ばすことができ、容器1に垂れ落ちた液体が容器1の外面で固化すること、例えば、液体が糖分を含む場合にはシュガーセメントが形成されることを防止することができる。
【0021】
充填機100は、更に、噴射ノズル50に供給される気体を加熱するヒーター52を備えることが好ましい。ヒーター52は、例えば、噴射ノズル50に気体を供給する供給ライン58に配置されうる。ヒーター52は、例えば、容器1に充填すべき液体が糖分を含む場合に、その液体の粘性を低下させ、容器1からの液体の離脱を容易にするために好適である。
【0022】
供給ライン58には、異物を除去するためのフィルタ54が配置されることが好ましい。供給ライン58には、ブロアー56によって気体が送り込まれる。
【0023】
充填機100は、噴射ノズル50に対向して配置された吸引口62を通して液滴(噴射ノズル50によって吹き付けられる気体によって吹き飛ばされた液体)及び気体を吸引する吸引ユニット60を更に備えることが好ましい。図3は、吸引ユニット60の構成例を示す図である。吸引ユニット60は、吸引口62を有するフレーム61と、フレーム61の内側空間から液体及び気体を排出する吸引ライン68とを備えうる。吸引ライン68は、不図示の吸引ポンプに接続される。吸引ライン68は、フレーム61の側面又は上面に接続されることが好ましい。このような構成は、吸引ライン68や吸引ポンプの汚れを抑えることに効果がある。フレーム61の面のうち下面や噴射ノズル50に対向する面に吸引ライン68を接続すると、フレーム61内(即ち、吸引口62)に取り込まれた液体の殆どが吸引ライン68に吸引され、吸引ライン68や吸引ポンプの汚れが大きくなりうる。
【0024】
吸引ユニット60は、異物が吸引口62を通して吸引されることを防止するためにフィルタ64を含むことが好ましい。吸引ユニット60は、吸引口62を洗浄する洗浄ユニット66を含むことが好ましい。洗浄ユニット66は、例えば、加熱された水又は洗浄液を噴射するノズルを含みうる。
【0025】
噴射ノズル50は、例えば、図1に例示されるように、支持部12及び充填バルブ22の公転軌道の内側に向けて気体を噴射するように該公転軌道の外側に配置されていることが好ましい。この場合、容器1に充填すべき液体が噴射ノズル50から噴射される気体によって充填機100の外側に飛散することを防止することができる。また、このような液体を吸引する吸引口62を前記公転軌道の内側に配置することができるので、充填機100の設置面積を小さくすることができる。
【0026】
図1、図2に示す構成例では、噴射ノズル50は、容器1への液体の充填が完了し、充填ノズル21と容器1とが離隔(或いは、分離)される位置又はその付近に向けて配置されている。このような配置では、充填を終えた充填ノズル及び容器の両方に気体が吹き付けられるので、充填ノズル及び容器の双方から液体を吹き飛ばすことができる。
【0027】
図4、図5は、噴射ノズル50の他の配置例を示す図である。図4に示す例では、噴射ノズル50は、容器1への充填が完了する位置と支持部12に容器が供給される位置との間の位置に向けて配置されている。このような配置では、充填を終えた充填ノズル21から垂れ落ちそうな液体を当該充填ノズル21の下に新たな容器1が供給される前に吹き飛ばすことができる。図5に示す例では、噴射ノズル50は、充填を完了した容器1が通る位置に向けて配置されていて、充填が完了した容器1に付着している液体を吹き飛ばすことができる。
【0028】
上記のような充填機100を含む製造設備により、容器1に液体が充填された物品(製品)が製造される。このような製造設備は、例えば、容器を洗浄する洗浄装置、容器1の口部をシール(又はキャッピング)するシール装置(又はキャッピング装置)、容器を搬送するコンベア、物品を包装する包装機等を更に含みうる。なお、シール装置(又はキャッピング装置)は、充填機の一部として備えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の好適な実施形態の充填機の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す充填機を図1に示すA方向から見た側面図である。
【図3】吸引ユニットの構成例を示す図である。
【図4】噴射ノズルの他の配置例を示す図である。
【図5】噴射ノズルの他の配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 容器
10 容器側回転部
12 支持部
20 充填バルブ側回転部
21 充填ノズル
22 充填バルブ
30 スターホイール
32 ガイド
34 タイミングスクリュー
40 スターホイール
42 ガイド
50 噴射ノズル
52 ヒーター
54 フィルタ
56 ブロアー
60 吸引ユニット
61 フレーム
62 吸引口
64 フィルタ
66 洗浄ユニット
68 吸引ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機であって、
前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体が吹き付けられるように気体を噴射する噴射ノズルを備えることを特徴とする充填機。
【請求項2】
前記噴射ノズルに供給される気体を加熱するヒーターを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の充填機。
【請求項3】
前記噴射ノズルに対向して配置された吸引口を通して液滴及び気体を吸引する吸引ユニットを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の充填機。
【請求項4】
前記吸引ユニットは、前記吸引口を通して異物が吸引されることを防止するフィルタを含むことを特徴とする請求項3に記載の充填機。
【請求項5】
前記吸引ユニットは、前記吸引口を洗浄する洗浄ユニットを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の充填機。
【請求項6】
複数の前記充填ノズルと複数の容器を公転軌道に沿って移動させながら複数の前記充填ノズルを通して複数の容器に対して並行して液体を充填するように構成され、前記噴射ノズルは、前記公転軌道の内側に向けて気体を噴射するように前記公転軌道の外側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の充填機。
【請求項7】
充填ノズルを通して容器に液体を充填する充填機を含む製造設備において、前記充填ノズルを通して容器に液体を充填し、容器に液体が充填された物品を製造する製造方法であって、
前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に気体を吹き付ける工程を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項8】
前記工程では、前記充填ノズル及び容器の少なくとも一方に対して加熱された気体を吹き付けることを特徴とする請求項7に記載の物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−150059(P2008−150059A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337507(P2006−337507)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000110918)ニッカウヰスキー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】