説明

充填補助装置及び充填方法

【課題】本発明は、簡易な装置で低コストでありつつ充填作業を容易且つ確実に行い得る充填補助装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ吸着する一対の吸着部と、この一対の吸着部を相対的に接近・離反させるための接近離反手段と、この接近離反手段を、一対の吸着部を常時離反側に位置させるよう常時付勢する付勢手段とを備える充填補助装置である。付勢手段に抗して一対の吸着部を接近させて袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ一対の吸着部に吸着し、付勢手段によって一対の吸着部を離反させて袋の開口部を開口し、開口した袋の開口部から充填物を充填することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋へ充填物を充填する際に用いられる充填補助装置、及びこの充填補助装置を用いた充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋へ充填物を充填する装置としては、種々のものが発案されている。例えば、自動的に袋を供給し、この供給された袋に開口部から自動的に充填物を充填し、さらに充填物が充填された袋の開口部を自動機に閉塞する自動包装装置が公知である(例えば特開2011−25960号公報)。
【0003】
しかし、上記のような自動包装装置は各作業を行う部材が自動化されているため装置全体が高額となり、このため例えば個人的商店など比較的販売する商品量の少ない店舗においては採用することができない。
【0004】
このため、比較的販売する商品量の少ない店舗においては、袋の開口部を片手で開放して、他方の手で袋の開口部から商品(充填物)を充填することがなされている。かかる作業は煩雑であり、また液体などの流動物を充填することは困難である。このため、図10に示すようにコップ200の下方を切除して開口を形成して、このコップを袋Wの開口部から挿入着したものを複数用意しておき、この袋Wの開口部に挿入着したコップ200の上部開口から順次商品(充填物)を充填することもなされている。しかし、コップ200を袋Wの開口部に挿入する作業は煩雑であるばかりか、充填物が液体などの流動物の場合にはこの流動物が袋Wの開口部の内面に付着してしまうという問題がある。つまり、充填完了後にコップ200を袋から離脱する際に袋Wはその開口部がコップの外面を添うように変形し、このためコップ200の下方に形成した開口の縁部に付着している流動物が袋Wの開口部の内面に付着してしまうという問題を有している。このように袋の開口部に充填物が付着してしまうと、商品の美観を損ねるばかりか、袋Wの開口部をヒートシール等で閉塞する際にこの開口部に付着した充填物の存在のため開口部を確実に閉塞することができないという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−25960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの不都合に鑑みてなされたものであり、簡易な装置で低コストでありつつ充填作業を容易且つ確実に行い得る充填補助装置、及びこの充填補助装置を用いた充填方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ吸着する一対の吸着部と、
この一対の吸着部を相対的に接近・離反させるための接近離反手段と、
この接近離反手段を、一対の吸着部を常時離反側に位置させるよう常時付勢する付勢手段と
を備える充填補助装置である。
【0008】
当該充填補助装置は、付勢手段に抗して一対の吸着部を接近させることにより一対の吸着部に袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ吸着させて、その後付勢手段によって一対の吸着部を離反側に移動させることで袋の開口部を開放することができる。このため、作業者はこの開放された袋の開口部から充填物を容易且つ確実に充填することができる。この充填に際して仮にホッパーなどを用いていたとしても、一対の吸着部によって開放されている状態でホッパーを離脱することができるので、従来のような袋の開口部の内面に充填物が付着することを的確に防止される。さらに、当該充填補助装置は、一対の吸着部と、接近離反手段と、付勢手段とを基本的構成する簡易な構造とすることができるので、従来の自動包装装置に比べてコスト低減が図られる。
【0009】
また、当該充填補助装置にあっては、上記一対の吸着部の付近に配設されたホッパーをさらに備える構成を採用することが好ましい。これにより、一対の吸着部の付近に配設されたホッパーを利用して容易且つ確実に充填作業を行うことができる。
【0010】
上記のようにホッパーを有する場合には、ホッパーが、離反した一対の吸着部の間に下方開口部が位置するよう移動可能に設けられた構成を採用することが好ましい。これにより、一対の吸着部を離反させて袋の開口部を開放した状態でホッパーを移動させて、ホッパーの下方開口部を袋の開口部内に位置させることができ、このため充填作業をより容易且つ確実に行うことができる。また、ホッパーを一対の吸着部の間から離反する位置に移動させておくことによって、袋を一対の吸着部に装着する際、及び吸着部から離脱する際に、ホッパーが邪魔にならず作業性に優れる。
【0011】
また、上記のようにホッパーを有する場合には、ホッパーの下方開口部の開口面積を可変に設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、ホッパーを利用して充填する際に下方開口部の開口面積を広くすることで充填作業をより容易且つ確実に行うことができる。特に、牛丼の具材などのように固形物と液体とが混ざった充填物の場合であっても、開口面積を広げることにより容易且つ確実に充填することができる。
【0012】
さらに、当該充填補助装置にあっては、一対の吸着部のうち一方の吸着部が設けられた装置本体を備え、上記接近離反手段が、他方の吸着部が設けられるとともに下端側で装置本体に傾動可能に取付けられたアーム部材を有する構成を採用することが好ましい。つまり、当該充填補助装置にあっては、例えば装置本体にスライド可能で且つ吸着部が設けられたスライド部材から接近離反手段を構成することも可能であるが、スライド部材をスライドさせる構造が複雑となり、装置全体がコスト高となる可能性がある。これに対して、上記のように傾動するアーム部材の構成を採用することにより、装置の構成が簡素化でき、装置全体を低コストとすることができる。
【0013】
また、上記アーム部材を有する構成、及び上記ホッパーを有する構成を採用した場合には、アーム部材の上端側にホッパーが取付けられた構成を採用することが好ましい。これにより、ホッパーが袋の開口部付近に位置することになり、ホッパーを利用して容易且つ確実に充填作業を行うことができるとともに、作業者が装置本体側から作業を行う際に袋の装着、離脱に際してホッパーが邪魔にならない利点を有する。
【0014】
また、上記アーム部材を有する構成を有する構成を採用した場合には、上記付勢手段が、アーム部材を弾性付勢する弾性付勢部材を有する構成を採用することが好ましい。これにより、弾性付勢部材によって一対の吸着部を常時離反側に位置させることができ、また例えばシリンダなどの他の付勢手段に比して弾性付勢部材によるものであるので装置全体を低コストとすることができる。
【0015】
また、上記アーム部材及び弾性付勢部材を採用した場合には、装置本体が、アーム部材の離反側への一定以上の傾動を規制する傾動規制部材を有し、傾動規制部材が、アーム部材の傾動規制角度を変更すべく装置本体に位置調節可能に取付けられている構成を採用することが好ましい。これにより、袋の開口部を開放する際に、アーム部材の傾動が傾動規制部材によって一定角度で規制され、袋の開口部を所望の広さで開放させることができる。特に、この傾動規制部材を位置調節することによって、袋の開口部の開放する広さを適宜調節することができ、このため充填する袋の大きさに応じて傾動規制部材を位置調節することができ、種々の袋に的確に対応して充填作業を行うことができる。
【0016】
さらに、当該充填補助装置は、一対の吸着部の少なくとも一方の下方に設けられた袋受け部をさらに備える構成を採用することが好ましい。これにより、充填物が充填された袋の荷重を袋受け部によって受けることができ、充填作業中に不用意に吸着部から袋が離脱することを防止することができる。
【0017】
上記袋受け部は、上下位置を調節可能に設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、充填する袋の大きさ応じて袋受け部の上下位置を調節することができ、このため種々の袋に的確に対応して充填作業を行うことができる。
【0018】
また、上記袋受け部が磁力によって取付けられる装置本体を備え、袋受け部と装置本体との何れか一方の磁着面に、複数のN極及びS極が交互に略同一ピッチで配置された磁石群が設けられ、他方の磁着面に、少なくとも一対のN極及びS極が上記磁石群のピッチと略同一ピッチで配置された磁石が設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、一方の磁着面の磁石群の少なくとも一対のN極S極に、他方の磁着面の磁石の少なくとも一対のN極S極を磁着させることにより、容易且つ確実に袋受け部の上下位置を調節することができる。このように磁石を用いることにより、他の部材を用いる場合に比して構造が簡素化でき、装置全体のコスト減に寄与することができる。
【0019】
当該充填補助装置は、一対の吸着部のうち少なくとも一方の吸着部が、溝部と、この溝部の底面に設けられた吸着孔とを有する構成を採用することが好ましい。これにより、例えば平面に単に吸着孔を設ける場合に比して、袋の開口部を確実に開放することができる。つまり、一対の吸着部が接近して袋の開口部を吸着した際に、一対の吸着部が接近している状態でも袋の開口部に溝の深さ分の僅かな開口部位ができ、さらに一対の吸着部を離反した際に上記僅かな開口部位から空気が入り込んで、的確に袋の開口部を開放することができる。
【0020】
また、上記溝部が、底面から開口側にかけて幅広となるよう傾斜した側面を有する構成を採用することが好ましい。これにより、袋の開口部を吸着部に吸着した際に袋の開口部が傾斜した側面に添って変形して密接しやすく、溝と袋の開口部との間に空隙ができにくく、袋の開口部の吸着力が高くなる。つまり、溝と袋の開口部との間に空隙ができてしまうと、この空隙の存在によって袋の開口部の吸着力が弱められてしまうが、上記構成を採用することにより高い吸着力が得られる。
【0021】
さらに、上記溝部の底面の幅が、上記吸着孔の幅と略同一に設けられている構成を採用することが好ましい。これにより、袋の開口部と溝の底面との間に空隙ができにくく、袋の開口部の吸着力が高くなる。
【0022】
当該充填補助装置は、一対の吸着部のうち少なくとも一方の吸着部が、上下方向に配設された複数の吸着孔を有する構成を採用することが好ましい。これにより、上下方向の複数の吸着孔によって的確且つ確実に袋の開口部を開放することができる。つまり、例えば一つの吸着孔のみにより十分な吸着力を得ようとした場合には、吸着力が強くなり過ぎて、袋の開口部が吸着孔内に入り込んでしまい、開口部に傷やしわが発生するおそれがある。また、複数の吸着孔を上下方向ではなく横方向にのみ配設したのでは、袋の開口を的確に開放できない。従って、上記のように上下方向に複数の吸着孔を配設することにより、的確且つ確実に袋の開口部を開放することができる。
【0023】
また、当該充填補助装置は、一対の吸着部が吸着孔をそれぞれ有し、この吸着孔が、接近状態において吸着孔の法線方向から見て一方の吸着部の吸着孔と他方の吸着部の吸着孔とが互いに重なり且つ吸着孔の重心位置同士が位置ズレするよう配設されている構成を採用することが好ましく、これにより容易且つ確実に袋の開口部を開放することができる。つまり、吸着孔同士が互いに重ならない位置に設けた場合には、袋の開口部の開放に際して一方の吸着孔にのみ袋の開口部の前方側及び後方側の双方が吸着されてしまい、袋の開口部が的確に開放されないおそれがある。また、重なり合う吸着孔同士の重心位置が一致している場合には、吸着力の強い方の吸着孔にのみ袋の開口部の前方側及び後方側の双方が吸着されてしまうおそれがある。このため、上記のように重なり合い且つ重心位置が位置ズレした構成を採用することにより、的確且つ確実に袋の開口部を開放することができる。
【0024】
さらに、当該充填補助装置は、複数の未充填の袋を収容可能な収容部をさらに備えることが好ましい。これにより、作業者は充填作業終了後、順次収容部から未充填の袋を取り、その袋を吸着部に装着することができ、充填作業を効率的に行うことができる。
【0025】
また、当該充填補助装置は、吸着部に吸引力を与えるための吸引装置を内蔵する第一躯体と、この第一躯体の上方に設置され上記一対の吸着部のうち一方の吸着部が設けられた第二躯体とを備える構成を採用することが好ましい。これにより、第二躯体にはパイプなどの吸引系統のみを配するのみで足り、電気系統の部品が不要となるため、第二躯体を洗浄などすることが容易である。また、第一躯体には吸引装置が内蔵されているので、装置全体をホースなどによって水洗いしても、吸引装置に水がかかることを防止できる。このため、充填漏れなどによってこぼれて装置に付着した充填物を容易に洗い流すことができる。
【0026】
さらに、上記第二躯体の下部に排水可能な開口が形成されている構成を採用することが好ましい。これにより、上述のように装置全体を水洗した際に第二躯体の内部に侵入した水が上記開口から的確に排水されるので、充填漏れなどによってこぼれた充填物を容易に洗い流すことができる。
【0027】
さらに、吸引装置を有する場合には、吸着部が、吸引装置の駆動中に常時吸引状態であることが好ましい。つまり、仮に吸引装置と吸着部との間に電磁弁などを設けた場合には、装置が複雑化して装置全体のコスト高につながるばかりか、電磁弁のオンオフの作業が必要となり充填作業が煩雑となり、さらには水洗いに際して電磁弁のような電気系統に水がかからないように考慮しないといけなくなる。また、吸引装置自体を適宜オンオフする構成とするならば、吸引装置自体のコスト高となるとともに、そのオンオフ作業のため充填作業が煩雑となる。このため、上記のように常時吸引状態とすることにより、装置全体のコスト減が図られるとともに、充填作業の簡素化が図られる。
【0028】
また、本発明は、
当該充填補助装置を用いて袋に充填物を充填する充填方法であって、
付勢手段に抗して一対の吸着部を接近させて袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ一対の吸着部に吸着し、
付勢手段によって一対の吸着部を離反させて袋の開口部を開口し、
開口した袋の開口部から充填物を充填する充填方法である。
【0029】
当該充填方法によれば、作業者が当該充填補助装置を用いて、開放された袋の開口部から充填物を容易且つ確実に充填することができる。この充填に際して仮にホッパーなどを用いていたとしても、一対の吸着部によって開放されている状態でホッパーを離脱することができるので、従来のような袋の開口部の内面に充填物が付着することを的確に防止できる。さらに、当該充填補助装置は従来の自動包装装置に比べてコスト低減が図られているので、当該充填方法によって商品のコスト減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態の充填補助装置の概略的斜視図である。
【図2】図1の充填補助装置の概略的正面図である。
【図3】図1の充填補助装置において、ホッパーを離脱した状態の概略的斜視図である。
【図4】図1の充填補助装置を用いた充填作業を説明するための概略的説明図である。
【図5】図1の充填補助装置の吸着部の説明図であって、(a)は概略的正面図であり、(b)は(a)のX−X線断面矢視図である。
【図6】図1の充填補助装置の上面部材の概略的正面図である。
【図7】図1の充填補助装置の袋受け部の取付構造を説明するための概略的断面図である。
【図8】図1の充填補助装置のホッパーの説明図であって、(a)は概略的側面図であり、(b)は概略的背面図である。
【図9】図1の充填補助装置の躯体本体の概略的斜視図である。
【図10】従来の充填方法を説明するための概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
本実施形態の充填補助装置1は、被充填対象物たる上面開口した例えば合成樹脂フィルム等から製袋Wされた可撓性・非通気性を有する袋Wに、液体、固体、粉体及びこれらの混合物等の充填物を充填する際に用いられるものであり、床面等の設置面に設置される装置本体10と、この装置本体10に傾動可能に取付けられたアーム部材50と、このアーム部材50に取付けられたホッパー90とを備える。
【0033】
上記装置本体10は、吸引装置(図示省略)を内蔵する第一躯体11と、この第一躯体11の上方に載置された第二躯体21とを備える。なお、第一躯体11の下部には車輪13が設けられている。第二躯体21は、第一躯体11に載置される基台部23と、この基台部23の一側(図1において後方)から上方に立設された立設部25とを有する。この基台部23には、アーム部材50が下端において軸(図示省略)を介して回動(傾動)可能に取付けられ、立設部25と接近離反する方向(図1において前後方向)に傾動可能に設けられている。アーム部材50には、この軸付近においてコイルバネ(図示省略)が付設されており、この弾性付勢部材であるコイルバネが、アーム部材50を常時装置本体10(立設部25)から離反する方向に弾性付勢している。つまり、このコイルバネは、後述の一対の吸着部60を常時離反側に位置させるよう常時付勢する付勢手段として機能している。また、アーム部材50には、上端にホッパー取付孔(図示省略)が形成されている。
【0034】
また、当該充填補助装置1は、袋Wの開口部を前方側及び後方側からそれぞれ吸着する一対の吸着部60を有する。本実施形態においては、左右方向に二対の吸着部60が設けられ、二つの袋Wを同時に装着できるよう設けられている。なお、以下説明においては一対の吸着部60の説明を行う。
【0035】
この一対の吸着部60は、接近した際に互いに対向する位置に設けられ、具体的には、一方の吸着部60は、上記アーム部材50の先端付近且つ立設部25側の面に設けられ、他方の吸着部60は、上記アーム部材50が装置本体10側に近接するよう傾動した際にこのアーム部材50の吸着部60が対向する位置において装置本体10の立設部25に設けられている。つまり、アーム部材50は、一対の吸着部60を相対的に接近・離反させるための接近離反手段として機能している。また、アーム部材50は、先端付近において中途部分よりも立設部25側に膨出した膨出部50aを有しており(図4参照)、上記吸着部60は、この膨出部50aの立設部25側の面に設けられており、吸着部60は、アーム部材50の中途部分よりも立設部25側に位置するよう設けられており、このため吸着部60同士を接近させた状態においてアーム部材50の中途部分が後述の受け部80に当接しないよう構成されている。また、上記ホッパー取付孔も膨出部50aの上面に形成されている。
【0036】
この一対の吸着部60は、それぞれ略同一形状に形成されており、各吸着部60は、図5に示すように、上下方向に形成された溝部61と、この溝部61の底面63に形成された複数(図示例では3個)の吸着孔67とを有している。
【0037】
この溝部61は、上記吸着孔67が形成された底面63と、底面63から開口側にかけて幅広となるよう傾斜した側面65とを有している。この底面63及び側面65とは何れも平面から構成されている(吸着孔67の形成箇所を除く)。また、この溝部61の底面63の幅(図5における左右方向の距離)は、吸着孔67の幅と同一に設けられている。なお、上記溝部61は、底面63の幅が5mmに設けられており、この底面63の幅(吸着孔67の幅)は好ましくは3mm以上10mm以下であり、さらに好ましくは4mm以上8mm以下である。また、上記溝部61の開口の幅(側面65の上端同士の距離)は10mmに設けられており、この開口の幅は好ましくは5mm以上20mm以下であり、さらに好ましくは7mm以上15mm以下である。上記溝部61は、その深さ(上面から底面63までの高さ)が3mmに設けられおり、この溝部61の深さは好ましくは1mm以上8mm以下であり、さらに好ましくは2mm以上5mm以下である。また、上記吸着孔67は、上下方向の長さが10mmに設けられおり、この吸着孔67の上下方向の長さは好ましくは5mm以上20mm以下であり、さらに好ましくは8mm以上15mm以下である。さらに、上記複数の吸着孔67は略等間隔に配設されており、この複数の吸着孔67のピッチ(吸着孔67の重心位置同士の距離)は、10mmに設けられており、このピッチは、好ましくは5mm以上30mm以下であり、さらに好ましくは8mm以上20mm以下である。
【0038】
また、上記アーム部材50及び装置本体10の立設部25には、その内部に、図5(b)に示すように、上記吸引装置の駆動により負圧となる負圧室69が形成されており、上記吸着孔67は、この負圧室69に連通するよう設けられ、これにより袋Wの開口部を吸着可能に設けられている。
【0039】
さらに、アーム部材50の吸着孔67と装置本体10の吸着孔67とは、接近状態において吸着孔67の法線方向(図1における前方側)から見て互いに重なり且つ重心位置同士が位置ズレするよう配設されている(図5(a)の一点鎖線参照)。なお、本実施形態においては、吸着孔67同士は、重心位置が幅方向において吸着孔67の幅の略半分(2.5mm)で、また上下方向において吸着孔67の上下長さの略半分(5mm)ずれた位置に配置されている。
【0040】
また、当該充填補助装置1は、アーム部材50の離反側への一定以上の傾動を規制する傾動規制部材70を有している。この傾動規制部材70は、アーム部材50の傾動規制角度を変更調節すべく装置本体10に位置調節可能に取付けられている。具体的には、上記アーム部材50は下端が第二躯体21の基台部23の内部において軸支されており、第二躯体21の上面部にはアーム部材50の移動を許容するアーム傾動許容溝33が図6に示すように形成されており、そのアーム傾動許容溝33に傾動規制部材70が位置調節可能に取付けられている。より具体的に説明すると、傾動規制部材70は、上記アーム傾動許容溝33に出退可能に設けられアーム部材50が当接する規制部材本体71と、この規制部材本体71に螺着され規制部材本体71の位置を固定するためのボルト等からなる位置固定部73とを有し、上記第二躯体21の上面部には、位置固定部73の頭部が上面から突出し位置固定部73の軸部をスライド可能に支持する切欠き溝35が形成されている。そして、上記位置固定部73の螺着を緩めることにより、規制部材本体71をアーム傾動許容溝33に出退させることができ、所望位置に規制部材本体71が位置した状態で上記位置固定部73を螺着させることにより、位置固定部73の頭部と規制部材本体71とによって第二躯体21の上面部を挟持して、規制部材本体71の位置を固定することができる。
【0041】
また、当該充填補助装置1は、装置本体10の吸着部60の下方に、吸着部60に吸着された袋Wの下端を受ける袋受け部80を備えており、具体的には、袋受け部80は第二躯体21の前面側に配設されている。また、この袋受け部80は、上下位置を調節可能に設けられている。具体的には、袋受け部80は、側面断面形状が略J字状の受け部本体81と、第二躯体21に着脱可能に取付けられる取付部83とを有している。一方、上記第二躯体21の前面部には上記取付部83が介在可能な上下方向に沿った受け部用溝37が形成されており、第二躯体21には受け部用溝37の内側(図1における後方側)に上記取付部83が着脱可能に取付けられる被取付部39が形成されている。
【0042】
上記取付部83及び被取付部39は磁石によって形成されており、上記袋受け部80は磁力によって上下位置調節可能に取付けられている。ここで、被取付部39(磁着面)は、図7に示すように、複数(図示例では16個)のN極及びS極が交互に略同一ピッチで配置された磁石群から構成されており、また上記取付部83は、複数(図示例では4個)のN極及びS極が交互に上記被取付部39の磁石群のピッチと略同一ピッチで配置された磁石群から構成されている。これにより、取付部83を所望位置の被取付部39の磁石に磁着させることにより、袋受け部80の上下位置を調節可能に設けられている。
【0043】
上記ホッパー90は、充填物投入用の上方開口部と袋W内に向けて充填物を排出する下方開口部とを有する筒状に設けられている。このホッパー90は、図1及び図4に示すように上記アーム部材50に傾動可能且つ着脱可能に取付けられている。具体的には、ホッパー90は取付具96を介して上記アーム部材50に傾動可能に取付けられており、この取付具96は、アーム部材50の上端に形成されたホッパー取付孔(図示省略)に一端側が挿入着される略L字状の第一部材98と、この第一部材98の他端側に軸97を介して回動可能に取付けられ上記ホッパー90が固着される第二部材99とから構成されており、第一部材98に対して第二部材99が回動することにより、ホッパー90が傾動するよう設けられている。
【0044】
また、ホッパー90は、下方開口部が下方となるよう傾動させた際に、離反状態の一対の吸着部60間に位置するよう設けられており、図4に示すように、一対の吸着部60で袋Wの開口部を開放した際にホッパー90を傾動することによってホッパー90下端部が袋Wの開口部内に入り込むよう設けられている。
【0045】
また、ホッパー90は、図8(b)に示すように、正面視(前方から見て)上方開口部から下方開口部にかけて幅狭となるよう設けられている。また、ホッパー90は、下方開口部の開口面積が可変に設けられている。具体的には、図8(a)に示すように、ホッパー90を下方開口部が下となるよう傾動させた際にその下方開口部の開口面積が広くなるよう設けられている。より具体的に説明すると、ホッパー90は、上記取付具96が固着されたホッパー本体91、及びこのホッパー本体91とにより筒状となるよう設けられホッパー本体91に軸93を介して回動可能に取付けられた回動部材95を備え、ホッパー本体91を下方開口部が下方となるよう傾動させた際に回動部材95が自重によって回動して下方開口部の開口面積が広くなるよう設けられている。上記ホッパー本体91は、上記取付具96が固着された底部と、この底部の両側から突出した側部とを有している。また、回動部材95は、上記ホッパー本体91の底部に対向するよう配設された底部と、この底部の両側から突出した側部とを有している。そして、ホッパー本体91の側部の上方側且つ突出側において、上記回動部材95の側部が軸支されている。さらに、回動部材95の側部の上端には、一定角度回動した際にホッパー本体91の側部に当接する鍔部が外側に向けて突設されており、回動部材95が一定角度以上回動しないように設けられている。
【0046】
また、当該充填補助装置1は、装置本体10の後方側に複数の未充填の袋Wを収容可能な収容部100を有している。この収容部100は、第二躯体21の後方面と、この第二躯体21の後方に取付けられた収容部材101とから構成され、この収容部材101は、第二躯体21の後方面に対向するよう配設された対向壁と、この対向壁の両端からそれぞれ前方側に突設された一対の側壁とを有している。そして、収容部材101の側壁は、第二躯体21の側部に下方の軸(図示省略)を介して傾動可能に取付けられており、これにより収容部100の大きさが可変に設けられている。
【0047】
さらに、第二躯体21の下部には、排水可能な開口21aが形成されている。具体的には、第二躯体21は、図9に示すように、上記基台部23の側部及び底部と、上記立設部25の後方部、上部及び側部とを構成する躯体本体27を有し、さらに、第二躯体21は、図1等に示すように上記アーム傾動許容溝33等が形成され躯体本体27に取付けられて基台部23の上部を構成する上面部材29と、上記吸着部60等が形成され躯体本体27に取付けられて立設部25の前面部を構成する前面部材31とを有する。そして、上記躯体本体27の底部には、方形状の上記開口21aが形成されている。また、躯体本体27には、上面部材29及び前面部材31を取付けるための鍔部21bが内側に突設されており、この鍔部に上面部材29及び前面部材31は取付けられている。なお、本実施形態においては、前面部材31は、その下端が基台部23の内部まで延設されており、この前面部材31の下端にアーム部材50が軸支される軸が取付けられている。
【0048】
また、第二躯体21には、図9に示すように、吸引系統の一部を構成する接続管110が設けられており、この接続管110には、図2に示すように、第一躯体11に内蔵された吸引装置に接続される吸引ホース120が接続されている。また、第二躯体21は、上記接続管110に接続され、分岐して各吸着部60の負圧室69に接続される分岐ホース(図示省略)を内蔵している。なお、上記吸着部60は、上記吸引装置の駆動中に常時吸引状態であり、つまり上記のような吸引系統には開閉弁等が設けられていない。
【0049】
次に、上記充填補助装置1を用いた充填方法について、説明する。
【0050】
まず、充填作業を行う前に、収容部100に使用前の袋Wを多数収容させておく。また、袋Wの大きさに応じて、袋受け部80の位置決め及び傾動規制部材70の位置決めを行う。そして、吸引装置を駆動させる。
【0051】
作業者は、収容部100の袋Wを取り、袋Wの下端を袋受け部80に載置して、袋Wをセットすると、袋Wの開口部の後方側のフィルムが装置本体10の吸着部60に吸着される。なお、この際、アーム部材50は離反側に常時付勢されているので一対の吸着部60は離反状態であり、またホッパー90は水平状態(図1の右側のホッパー90の状態)としておく。
【0052】
次に、作業者は、アーム部材50を弾性付勢に抗して袋W側(立設部25側)に傾動させて、アーム部材50の吸着部60を袋Wの開口部に当接させると、アーム部材50の吸着部60には袋Wの開口部の前方側のフィルムが吸着される。なお、この際、袋Wの開口部には吸着部60の溝部61の深さ分だけの僅かな開口部位が形成される。
【0053】
そして、作業者がアーム部材50から手を離すと、常時付勢されているアーム部材50は離反側に傾動し、袋Wの開口部が開放される。
【0054】
その後、作業者がホッパー90を傾動させることにより、ホッパー90の下端開口部が袋Wの開口部の内側に入り込む。なお、この傾動に際して回動部材95が自重によって回動して下方開口部の開口面積が広くなる(図4参照)。
【0055】
そして、作業者は、上記ホッパー90の上方開口部から充填物を供給することにより、ホッパー90を介して袋W内に充填物を充填することができる。
【0056】
また、充填が終了すると、作業者はホッパー90を水平状態に戻す。この際に、袋Wの開口部は離反状態の一対の吸着部60に吸着され開放状態が維持されているので、ホッパー90を傾動させる際にホッパー90の下端と袋Wの内面とが接触しにくく、このため液状の充填物であってもホッパー90の下端に付着残存した充填物が袋W本体の開口部の内面に付着しない。
【0057】
その後、作業者は袋Wを把持して吸着部60の吸着に抗して離脱させることにより、一連の充填作業が完了する。
【0058】
本実施形態の充填補助装置1を用いて上記のような充填方法が行えるので以下のような利点を有する。
【0059】
作業者は、袋Wを装置本体10にセットして、アーム部材50を傾動させるのみで、袋Wの開口部を開放することができ、さらにホッパー90を傾動させて、このホッパー90によって容易且つ確実に充填作業を行うことができる。
【0060】
特に、ホッパー90が、離反した一対の吸着部60の間に下方開口部が位置するよう傾動するので、ホッパー90の下方開口部を袋Wの開口部内に位置させることができ、このため充填作業をより容易且つ確実に行うことができる。一方、充填作業以外の時にはホッパー90を待機場所に傾動させておくことができ、袋Wのセット等の際にホッパー90が邪魔にならず作業性に優れる。
【0061】
また、上記のようにホッパー90を有する場合には、ホッパー90の下方開口部の開口面積を可変に設けられているので、充填作業をより容易且つ確実に行うことができる。特に、牛丼の具材などのように固形物と液体とが混ざった充填物の場合であっても、開口面積を広げることにより容易且つ確実に充填することができる。また、ホッパー90の下方開口部はホッパー90を傾動した際に自重により自動的に広がるよう構成されているので、下方開口部を広げる作業が別途必要でなく、作業性に優れている。
【0062】
また、充填完了後にホッパー90を水平状態に戻す際には上述のように袋Wの開口部の内面に充填物が付着することが防止されているので、この袋Wの開口部をヒートシールによって容易且つ確実に閉塞することができる。
【0063】
また、吸着部60が溝部61の底面63に設けられた吸着孔67を有するので、一対の吸着部60が接近した状態で袋Wの開口部に溝の深さ分の僅かな開口部位ができ、さらに一対の吸着部60を離反した際に上記僅かな開口部位から空気が入り込んで、的確に袋Wの開口部を開放することができる。
【0064】
さらに、吸着部60は上下方向に配設された複数の吸着孔67を有するので、的確且つ確実に袋Wの開口部を開放することができる。つまり、例えば一つの吸着孔67のみにより十分な吸着力を得ようとした場合には、吸着力が強くなり過ぎて、袋Wの開口部が吸着孔67内に入り込んでしまい、開口部に傷やしわが発生するおそれがある。また、複数の吸着孔67を上下方向ではなく横方向にのみ配設したのでは、袋Wの開口を的確に開放できない。従って、上記のように上下方向に複数の吸着孔67を配設することにより、的確且つ確実に袋Wの開口部を開放することができる。
【0065】
また、溝部61が、底面63から開口側にかけて幅広となるよう傾斜した側面65を有するので、袋Wの開口部を吸着部60に吸着した際に袋Wの開口部が傾斜した側面65に添って変形して密接しやすく、溝と袋Wの開口部との間に空隙ができにくく、袋Wの開口部の吸着力が高い。さらに、溝部61の底面63の幅が吸着孔67の幅と同一に設けられているので、袋Wの開口部と溝部61の底面63との間に空隙ができにくく、袋Wの開口部の吸着力が高い。
【0066】
また、一対の吸着部60の吸着孔67が、接近状態において吸着孔67の法線方向から見て互いに重なり且つ重心位置同士が位置ズレするよう配設されているので、容易且つ確実に袋Wの開口部を開放することができる。つまり、吸着孔67同士が互いに重ならない位置に設けた場合には、袋Wの開口部の開放に際して一方の吸着孔67にのみ袋Wの開口部の前方側及び後方側の双方が吸着されてしまい、袋Wの開口部が的確に開放されないおそれがある。また、重なり合う吸着孔67同士の重心位置が一致している場合には、吸着力の強い方の吸着孔67にのみ袋Wの開口部の前方側及び後方側の双方が吸着されてしまうおそれがある。このため、上記のように重なり合い且つ重心位置が位置ズレした構成を採用することにより、的確且つ確実に袋Wの開口部を開放することができる。
【0067】
さらに、装置本体10の吸着部60の下方に袋受け部80が設けられているので、充填物が充填された袋Wの荷重を袋受け部80によって受けることができ、充填作業中に不用意に吸着部60から袋Wが離脱することを防止することができる。
【0068】
そして、この袋受け部80は、上下位置を調節可能に設けられているので、充填する袋Wの大きさ応じて袋受け部80の上下位置を調節することができ、このため種々の袋Wに的確に対応して充填作業を行うことができる。また、傾動規制部材70が、アーム部材50の傾動規制角度を変更すべく装置本体10に位置調節可能に取付けられているので、袋Wの開口部の開放する広さを適宜調節することができ、このため、種々の袋Wに的確に対応して充填作業を行うことができる。さらに、ホッパー90はアーム部材50に着脱可能に取付けられているので、袋Wの大きさや充填物に応じて所望のホッパー90をアーム部材50に取付けることができ、種々の袋Wや充填物に的確に対応して充填作業を行うことができる。
【0069】
また、袋受け部80と装置本体10との磁着面に、複数のN極及びS極が交互に略同一ピッチで配置された磁石群が設けられているので、容易且つ確実に袋受け部80の上下位置を調節することができる。このように磁石を用いることにより、他の部材を用いる場合に比して構造が簡素化でき、装置全体のコスト減に寄与することができる。
【0070】
さらに、当該充填補助装置1は、複数の未充填の袋Wを収容可能な収容部100を備えているので、作業者は充填作業終了後、順次収容部100から未充填の袋Wを取り、その袋Wを吸着部60にセットすることができ、充填作業を効率的に行うことができる。
【0071】
また、当該充填補助装置1は、比較的簡易な構造であるので、従来の自動包装装置に比べてコスト低減が図られる。
【0072】
さらに、吸引装置を内蔵する第一躯体11と、この第一躯体11の上方に設置された第二躯体21とを備えるので、第二躯体21にはパイプなどの吸引系統のみを配するのみで足り、電気系統の部品が不要となるため、第二躯体21を洗浄などすることが容易である。また、第一躯体11には吸引装置が内蔵されているので、装置全体をホースなどによって水洗いしても、吸引装置に水がかかることを防止できる。このため、充填漏れなどによってこぼれて装置に付着した充填物を容易に洗い流すことができる。さらに、第二躯体21の下部に排水可能な開口が形成されているので、装置全体を水洗した際に第二躯体21の内部に侵入した水が上記開口から的確に排水されるので、充填漏れなどによってこぼれた充填物を容易に洗い流すことができる。
【0073】
また、吸引装置の駆動中に常時吸着孔67が吸引状態であるため、吸引装置と吸着部60との間に電磁弁などを設ける場合に比して、装置が簡略化でき装置全体のコスト減が図られるとともに、電磁弁のオンオフの作業が不要であり、さらには水洗いに際して電磁弁のような電気系統に水がかからないように考慮しなくとも済む。また、吸引装置自体を適宜オンオフする場合に比しても、吸引装置自体のコスト減が図られるとともに、オンオフ作業が不要であり、作業効率が良い。
【0074】
なお、本実施形態は上記構成により上述の利点を有するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
【0075】
つまり、上記実施形態にあってはホッパー90が吸着部60付近に取付けられているものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばホッパーが別体で用意され、作業者がホッパーを把持し、当該充填補助装置1によって開放された袋Wの開口部にホッパーを挿入して、充填作業を行うようなものも本発明の意図する範囲内である。
【0076】
また、ホッパー90を取付ける場合にあっても、例えばホッパーがアーム部材等に固定されているようなものであっても良い。ただし、上記実施形態のように離反した一対の吸着部60の間に下方開口部が位置するよう移動可能にホッパー90を設けることが好ましく、これにより充填作業が容易且つ確実に行い得る。なお、このようにホッパー90を移動可能に設ける場合にあっても、上記実施形態のように傾動するものに限られず、例えばホッパー90が上下動可能に設けられたものであっても良い。但し、上下動するよう設けた場合には上下動させるためのレール等が必要となるため、上記実施形態のように傾動可能に設けることが好ましい。
【0077】
さらに、ホッパー90の具体的構造も上記実施形態のものに限定されず、種々の形態のホッパーを採用することができ、例えば従来公知の略逆円錐状のホッパーを採用することも可能である。
【0078】
また、一対の吸着部60を接近離反させる接近離反手段として上記実施形態では装置本体10に傾動可能に設けたアーム部材50を有するものであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、一端に吸着部が形成され他端が装置本体に前後方向にスライド可能に取付けられたスライド部材から接近離反手段を構成することも可能である。但し、上記のようにスライド部材を採用した場合にはスライド部材をスライドさせる構造が複雑となり、装置全体がコスト高となるため、上記実施形態のように傾動可能なアーム部材50から接近離反手段を構成することが好ましい。
【0079】
また、上記のように傾動するアーム部材50を有する場合、アーム部材50を付勢する手段は上記実施形態のものに限定されず、例えばシリンダなどによってアーム部材50を付勢することも可能である。しかし、上記実施形態のようにアーム部材50を弾性付勢部材によって弾性付勢する構成を採用することが好ましく、シリンダなどによって付勢するものに比して装置全体を低コストとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば店舗等において充填物(商品)を袋に充填する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 充填補助装置
10 装置本体
11 第一躯体
13 車輪
21 第二躯体
21a 開口
21b 鍔部
23 基台部
25 立設部
27 躯体本体
29 上面部材
31 前面部材
33 アーム傾動許容溝
35 切欠き溝
37 受け部用溝
39 被取付部
50 アーム部材
50a 膨出部
60 吸着部
61 溝部
63 底面
65 側面
67 吸着孔
69 負圧室
70 傾動規制部材
71 規制部材本体
73 位置固定部
80 受け部
81 受け部本体
83 取付部
90 ホッパー
91 ホッパー本体
93 軸
95 回動部材
96 取付具
97 軸
98 第一部材
99 第二部材
100 収容部
101 収容部材
110 接続管
120 吸引ホース
W 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ吸着する一対の吸着部と、
この一対の吸着部を相対的に接近・離反させるための接近離反手段と、
この接近離反手段を、一対の吸着部を常時離反側に位置させるよう常時付勢する付勢手段と
を備える充填補助装置。
【請求項2】
上記一対の吸着部の付近に配設されたホッパーをさらに備える請求項1に記載の充填補助装置。
【請求項3】
上記ホッパーが、離反状態の一対の吸着部間に下方開口部が位置するよう移動可能に設けられた請求項2に記載の充填補助装置。
【請求項4】
上記ホッパーが、下方開口部の開口面積を可変に設けられている請求項2又は請求項3に記載の充填補助装置。
【請求項5】
一対の吸着部のうち一方の吸着部が設けられた装置本体を備え、
上記接近離反手段が、他方の吸着部が設けられるとともに下端側で装置本体に傾動可能に取付けられたアーム部材を有し、
このアーム部材の上端側に上記ホッパーが取付けられている請求項2、請求項3又は請求項4に記載の充填補助装置。
【請求項6】
一対の吸着部のうち一方の吸着部が設けられた装置本体を備え、
上記接近離反手段が、他方の吸着部が設けられるとともに下端側で装置本体に傾動可能に取付けられたアーム部材を有し、
上記付勢手段が、アーム部材を弾性付勢する弾性付勢部材を有する請求項1から請求項4の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項7】
上記装置本体が、アーム部材の離反側への一定以上の傾動を規制する傾動規制部材を有し、
傾動規制部材が、アーム部材の傾動規制角度を変更すべく装置本体に位置調節可能に取付けられている請求項6に記載の充填補助装置。
【請求項8】
上記一対の吸着部の少なくとも一方の下方に設けられた袋受け部をさらに備える請求項1から請求項7の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項9】
上記袋受け部が、上下位置を調節可能に設けられている請求項8に記載の充填補助装置。
【請求項10】
上記袋受け部が磁力によって取付けられる装置本体を備え、
袋受け部と装置本体との何れか一方の磁着面に、複数のN極及びS極が交互に略同一ピッチで配置された磁石群が設けられ、
他方の磁着面に、少なくとも一対のN極及びS極が上記磁石群のピッチと略同一ピッチで配置された磁石が設けられている請求項9に記載の充填補助装置。
【請求項11】
上記一対の吸着部のうち少なくとも一方の吸着部が、溝部と、この溝部の底面に設けられた吸着孔とを有する請求項1から請求項10の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項12】
上記溝部が、底面から開口側にかけて幅広となるよう傾斜した側面を有する請求項11に記載の充填補助装置。
【請求項13】
上記溝部の底面の幅が、上記吸着孔の幅と略同一に設けられている請求項12に記載の充填補助装置。
【請求項14】
上記一対の吸着部のうち少なくとも一方の吸着部が、上下方向に配設された複数の吸着孔を有する請求項1から請求項13の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項15】
上記一対の吸着部がそれぞれ吸着孔を有し、この吸着孔が、接近状態において吸着孔の法線方向から見て一方の吸着部の吸着孔と他方の吸着部の吸着孔とが互いに重なり且つ吸着孔の重心位置同士が位置ズレするよう配設されている請求項1から請求項14の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項16】
複数の未充填の袋を収容可能な収容部をさらに備える請求項1から請求項15の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項17】
上記吸着部に吸引力を与えるための吸引装置を内蔵する第一躯体と、この第一躯体の上方に載置され上記一対の吸着部のうち一方の吸着部が設けられた第二躯体とを備える請求項1から請求項16の何れか1項に記載の充填補助装置。
【請求項18】
上記第二躯体の下部に排水可能な開口が形成されている請求項17に記載の充填補助装置。
【請求項19】
上記吸着部が、上記吸引装置の駆動中に常時吸引状態である請求項17または請求項18に記載の充填補助装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19の何れか1項に記載の充填補助装置を用いて袋に充填物を充填する充填方法であって、
付勢手段に抗して一対の吸着部を接近させて袋の開口部を前方側及び後方側からそれぞれ一対の吸着部に吸着し、
付勢手段によって一対の吸着部を離反させて袋の開口部を開口し、
開口した袋の開口部から充填物を充填する充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184012(P2012−184012A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46902(P2011−46902)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(597022469)有限会社日根冷機 (1)
【Fターム(参考)】