説明

充電コネクタ

【課題】省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタを提供する。
【解決手段】充電コネクタ10のハウジング11の凹部11B内には、第1給電コネクタ40および第2給電コネクタ50を選択的に接続可能な受電部14,17が一体的に設けられている。受電部14,17には、第1給電コネクタ40が接続される第1受電部14を開閉可能な第1蓋部20と、受電部のうち第1受電部14以外の受電部17を開閉可能な第2蓋部30とが取り付けられている。第2蓋部30には、第1蓋部20側に張り出し形成され、第2受電部17に取り付けられた状態で、第1受電部14に接続された第1給電コネクタ40に押されることで第2蓋部30の移動を規制する張出部33が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
直流用および交流用の二種類の給電コネクタにより充電可能な充電コネクタとしては例えば特許文献1に記載のものなどが知られている。
特許文献1に記載の充電コネクタにおいては、受電側のコネクタの凹部内に直流用給電コネクタおよび交流用給電コネクタが接続される受電部が設けられている。また、この充電コネクタは、受電側コネクタの凹部の開口端面全域を開閉自在に閉塞する第1のキャップと、第1のキャップの外側において、交流受電部に相当する位置に設けられた開口部を開閉自在に閉塞する第2のキャップとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3112226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記充電コネクタにおいては、急速充電の際には第1のキャップを開いて直流用給電コネクタを嵌挿させて充電し、低速充電の際には第2のキャップのみを開いて受電部に交流用給電コネクタを嵌挿させて充電することができ、これにより充電作業の際に他の受電部と接触するのを回避することが可能である。
【0005】
しかしながら、上記充電コネクタでは、第1のキャップと第2のキャップとが給電コネクタの嵌合方向において2段に重なるように配置されるので、嵌合方向において大きいスペースが必要であった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして、本発明は、ハウジングの凹部内に、第1給電コネクタおよび第2給電コネクタを選択的に接続可能な受電部が一体的に設けられた充電コネクタであって、前記受電部には、前記第1給電コネクタが接続される第1受電部を開閉可能な第1蓋部と、前記受電部のうち前記第1受電部以外の第2受電部を開閉可能な第2蓋部とが取り付けられ、前記第2蓋部には、前記第1蓋部側に張り出し形成され、前記第2受電部に取り付けられた状態で、前記第1受電部に接続された前記第1給電コネクタに押されることで前記第2蓋部の移動を規制する張出部が設けられているところに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、第1受電部に第1給電コネクタを接続して充電を行うときに、第2受電部に第2蓋部を取り付けておく。本発明において、第2蓋部には第1受電部側に張り出し形成され、第2受電部に取り付けられた状態で、第1受電部に接続された第1給電コネクタに押されることで第2蓋部の移動を規制する張出部が設けられている。したがって、第1受電部に第1給電コネクタを接続して充電作業を行っている際には、第2蓋部の張出部が第1給電コネクタに押されて移動を規制されるので、第2蓋部は第2受電部に取り付けられた状態で保持され、他の受電部(第2受電部)への接触の問題は生じない。
【0009】
また、第2給電コネクタを受電部全体に接続して充電作業を行う場合には、受電部全体に給電コネクタが接続されるので他の受電部への接触の問題は生じず、第2給電コネクタを第2受電部に接続する場合には、第1受電部に第1蓋部を取り付けておけば他の受電部(第1受電部)への接触の問題は生じない。したがって第2給電コネクタを接続して充電作業を行う際にも他の受電部への接触の問題は生じない。
【0010】
また、本発明では、2つ給電コネクタを選択的に接続可能な受電部が一体的に設けられた充電コネクタにおいて、第1蓋部と第2蓋部とをそれぞれ取り付ければよいので、2つの蓋部を重ねて配置することは不要である。したがって、本発明によれば、第1蓋部および第2蓋部を配置するために給電コネクタの嵌合方向におけるスペースは不要である。
その結果、本発明によれば、省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタを提供することができる。
【0011】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記張出部は、前記第1受電部に前記第1蓋部が取り付けられているときには前記第1蓋部に押されることで前記第2蓋部の移動を規制するように形成されていてもよい。このような構成とすると第1受電部に第1蓋部が取り付けられている状態でも、第2蓋部の移動が規制されるので、受電部が開放状態になりにくく安全性が高まる。
【0012】
前記第1蓋部には前記ハウジングに係止される係止部が形成される一方、前記ハウジングには前記第2蓋部を係止する被係止部が形成されていてもよい。
このような構成においては、第1蓋部がハウジングに係止可能となり、第1蓋部の移動が規制されるので、第1受電部が開放状態となるのを防止することができる。特に、張出部が第1蓋部に押されることで第2蓋部の移動を規制するように形成されている構成のときには、第2蓋部についても確実に移動が規制されるので、第2受電部が開放状態になるのを確実に防止することもできる。
【0013】
前記第2給電コネクタは、前記受電部の全体を覆うように接続される構成であってもよい。このような構成とすれば、第2給電コネクタによる充電作業の際に、他の受電部への接触の問題は生じなくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の充電コネクタの正面図
【図2】充電コネクタの斜視図
【図3】充電コネクタの背面図
【図4】図1のA−A線における断面図
【図5】第1蓋部の背面図
【図6】第1蓋部の斜視図
【図7】図5におけるB−B断面図
【図8】図7の一部拡大断面図
【図9】第2蓋部の背面図
【図10】第2蓋部の斜視図
【図11】図9におけるC−C断面図
【図12】第1蓋部および第2蓋部を外した状態の充電コネクタの正面図
【図13】第1蓋部および第2蓋部を外した状態の充電コネクタの斜視図
【図14】図12のD−D線における断面図
【図15】第1受電部に第1給電コネクタを接続させた状態の充電コネクタの斜視図
【図16】第1受電部に第1給電コネクタを接続させた状態の充電コネクタの断面図
【図17】受電部全体に第2給電コネクタを接続させた状態の充電コネクタの正面図
【図18】受電部全体に第2給電コネクタを接続させた状態の充電コネクタの斜視図
【図19】図17のE−E線における断面図
【図20】実施形態2の充電コネクタの断面図
【図21】第1蓋部の背面図
【図22】図21のF−F線における断面図
【図23】第1受電部に第1給電コネクタを接続させた状態の充電コネクタの断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1の充電コネクタ10を図1ないし図19によって説明する。上下方向は各図に基づく。
本実施形態の充電コネクタ10は図1ないし図4に示すように、全体として略直方体状をなし前方方向(図4の右方向)に開口したハウジング11を有している(図14を参照)。
【0017】
ハウジング11の内部11B(凹部11B)には、受電部14,17が設けられている。ハウジング11の開口11Aには図1および図2に示すように、上下方向に並んだ2つの蓋部20,30が受電部14,17を開閉可能に取り付けられている。受電部14,17のうち、上側の蓋部20が取り付けられている受電部14が交流受電部14(第1受電部14の一例)であり、この交流受電部14を含めた受電部14,19全体が直流受電部19である。本実施形態において、下側の蓋部30が取り付けられている受電部17が、第1受電部14以外の受電部(第2受電部17)である。
【0018】
ハウジング11の上壁11Dには上側の蓋部20(第1蓋部20)に設けられた係止爪25(係止部の一例)が係止される略方形状の係止孔12(被係止部の一例)が形成されている。ハウジング11の上壁11Dには給電コネクタ40,50の着脱状態を監視するユニット等(図示せず)を取付可能なユニット取付部13が設けられている。ハウジング11の奥壁11Cは平板状をなしており、図3に示すように、受電部14,17に配された端子15,18と接続された電線Wが導出されている。
【0019】
第1受電部14には、交流用給電コネクタ40(第1給電コネクタ40の一例)が接続可能とされる。第1受電部14には、図12に示すように、3段に並んだ合計7つの端子15が設けられている。これらの端子15は、それぞれ円筒状の端子室16A,16B内に配されている。
【0020】
第1受電部14において、下段に並んでいる2つの端子15Aおよび中段の右端の端子15Aは、三相交流用端子15AでありU相、V相、W相に対応する。第1受電部14において、中段の中央の端子15Bは中性端子15B、中段の左端の端子15Cはグランド端子15C、上段の2つの端子15Dは信号線端子15Dである。これらの端子15は図3に示すように、それぞれハウジング11の奥壁11Cの外側面(図4における左側の壁)から外側に導出された電線Wと電気的に接続されている。
【0021】
受電部14,17の全体には、直流用給電コネクタ50(第2給電コネクタ50の一例)が接続可能とされる。直流受電部19を構成する受電部14,17(第1受電部14および第2受電部17)のうち、第2受電部17には、図12に示すように、2段に並んだ合計5つの端子18が設けられている。これらの端子18はそれぞれ円筒状の端子室16C,16D,16E内に配されている。
【0022】
第2受電部17の5つの端子18のうち、下段に並んでいる3つの端子18Aは信号線端子18A、上段に並んでいる2つの端子18Bは急速充電用の端子18Bである。これらの端子18は、図3に示すように、それぞれハウジング11の奥壁11C(図4における左側の壁)から外側に導出された電線Wと電気的に接続されている。
【0023】
第1受電部14を開閉可能に取り付けられている第1蓋部20は、図1、図2および図6に示すように、ハウジング11の上半分に嵌めこまれる外嵌部21と、外嵌部21の内側に設けられ第1受電部14に嵌めこまれる筒状の外筒部23と、外筒部23の内側に設けられ筒状をなす2つの内筒部26と、を有している。
【0024】
第1受電部14の外嵌部21はハウジング11の側壁11Eに沿って配される側壁21Bとハウジング11の開口11Aを閉じるように配される前壁21Aとを備える。外嵌部21の前壁21Aには、図2および図6に示すように、上面視半円形状をなしている第1把手部22が前方に突出形成されている。第1把手部22は長手方向を左右方向に配するように設けられている。また、外嵌部21の前壁21Aからは、第1把手部22と並んで係止片24(後述する)の端部24Aが突出している。
【0025】
外筒部23は第1受電部14の外周縁に沿って配される。外筒部23の上面23Aの略中央部には、図5〜図7に示すように、係止片24が設けられている。係止片24には、上方に突出形成されハウジング11の上壁11Dに形成された係止孔12に係止される係止爪25が設けられている。係止片24は、外嵌部21の前壁21Aのところで下方向に(略垂直に)屈曲したのち、前方へ(略垂直に)屈曲して、その端部24Aが外嵌部21の前壁21Aから突出するように配されている。係止片24の下方には、図7及び図8に示すように、空間Sが設けられており、係止片24の端部24Aを下方に押すと係止片24が下方の空間S内に撓んでハウジング11の係止孔12による係止状態が解除可能とされる。
【0026】
第1蓋部20の2つの内筒部26は、外嵌部21の前壁21Aの内側面から内側方向に突出形成され、第1受電部14の中段の右端の端子15Aおよび左端の端子15Cの端子室16A,16Aをそれぞれ嵌めこみ可能とされる。
【0027】
第2受電部17を開閉可能に取り付けられている下側の蓋部30(第2蓋部30の一例)は、図1、図2および図10に示すように、ハウジング11の下半分に嵌めこまれる外嵌部31と、外嵌部31の内側に設けられ第2受電部17に嵌めこまれるスリーブ状の第1スリーブ部34と、第1スリーブ部34の内側に設けられ筒状をなす2つの内筒部35およびスリーブ状をなす2つの第2スリーブ部36と、を有している。
【0028】
第2受電部17の外嵌部31はハウジング11の側壁11Eに沿って配される側壁31Bとハウジング11の開口11Aを閉じるように配される前壁31Aとを備え、その上面は開口している。外嵌部31の前壁31Aには、図2および図11に示すように、側面視半円形状をなしている第2把手部32が前方に突出形成されている。第2把手部32は、長手方向を上下方向に配するように設けられている。
【0029】
第2蓋部30の外嵌部31の前壁31Aの上端からは、図9〜図11に示すように、上方(第1蓋部20側)に張り出し形成された張出部33が2つ形成されている。この張出部33は、第2蓋部30が第2受電部17に取り付けられた状態で、第1蓋部20に第1給電コネクタ40が接続されたときに、第1給電コネクタ40により押されて第2蓋部30の移動を規制する機能を有する。
【0030】
また、第2蓋部30の外嵌部31の前壁31Aの内側面には、2つの第2スリーブ内に配される一対のバネ片38,38と、2つの第2スリーブの間に配され端子室16Eに沿って配される一対の端子室保持片39,39とを備えるバネ部材37が取り付けられている。
【0031】
第1スリーブ部34は上面が開口した形状をなしており、第2受電部17の外周縁に沿って配される。
【0032】
第2蓋部30の2つの内筒部35および2つの第2スリーブ部36は、外嵌部31の前壁31Aの内側面から内側方向に突出形成されている。2つの内筒部35は筒状をなし、急速充電用端子18Bの端子室16C,16Cを嵌めこみ可能とされる。2つの第2スリーブ部36の一部はスリット状に開口した形状をなしており、その内部には、バネ部材37のバネ片38,38がそれぞれ配されている。第2スリーブ部36は左端側の信号線端子18Aと右端側の信号線端子18Aの端子室16D,16Dに沿って配され、第2スリーブ部36内に配されたバネ片38,38は各端子室16D,16D内に配される。一対の端子室保持片39,39は中央の信号線端子18Aの端子室16Eに沿って配される。
【0033】
次に、本実施形態の充電コネクタ10を用いた充電方法について説明する。
本実施形態の充電コネクタ10は充電作業を行っていないときには、図4に示すように、ハウジング11の開口11Aが第1蓋部20および第2蓋部30により閉じられることで各受電部14,17の開放が阻止された状態である。この状態においては、第1蓋部20は、係止爪25がハウジング11の係止孔12に係止されることで移動を規制されている。
【0034】
交流受電部14(第1受電部14)に充電を行う方法について説明する。まず、交流受電部14を閉じている第1蓋部20を取り外す。第1蓋部20を取り外す際には、第1蓋部20の係止片24の端部24Aを下方に押しながら第1把手部22を手前側に引っ張ると、係止片24が下方の空間S側に下がり、ハウジング11の係止孔12との係止状態が解除される。ここで、本実施形態において、第1把手部22は、長手方向が左右方向に配されるように設けられているので、係止片24の端部24Aと第1把手部22を同時につまむことが容易である。さらに第1蓋部20を手前側に引っ張ると第1蓋部20が交流受電部14から取り外され、交流受電部14は開放状態となる。
【0035】
開放状態となった交流受電部14に交流用給電コネクタ40を接続する。図15〜図16に示すように、交流用給電コネクタ40のフード部41を交流受電部14の外周縁に沿うようにハウジング11内に挿入する。交流用給電コネクタ40のフード部41の先端が、ハウジング11の奥壁11Cの近傍に至ると嵌合が完了し、交流用給電コネクタ40の端子42が交流受電部14の端子15と電気的に接続され、充電作業が可能となる。
【0036】
このとき、第2受電部17には、図16に示すように、第2蓋部30が取り付けられた状態であるとともに、第2蓋部30は、外嵌部31の前壁31Aの一部と張出部33が、交流用給電コネクタ40のフード部41により押されて取り外すことができない状態となっている。つまり、交流受電部14の充電作業の際には、他の受電部(第2受電部17)の開放が阻止されているので、他の受電部との接触の問題は生じない。
【0037】
充電作業が終了したら交流用給電コネクタ40を交流受電部14から外して、第1蓋部20を交流受電部14に取り付ける。第1蓋部20を、2つの内筒部26を、それぞれ、第1受電部14の中段の右端の端子15Aおよび左端の端子15Cの端子室16A,16Aに対応するように配してから、交流受電部14に取り付ける。ここで、係止片24の端部24Aと第1把手部22とを同時につまんで、係止片24を下方に押しながら第1蓋部20をハウジング11の奥壁11C側へ押すと、係止片24が下方の空間Sに撓んだ状態でハウジング11に取り付けられるので、円滑に取り付けることができる。第1蓋部20の外筒部23の後端部がハウジング11の奥壁11Cの近傍に至ったところで係止片24を下方に押すのを中止すると、下方に撓んでいた係止片24が弾性復帰してハウジング11の係止孔12に係止爪25が嵌り込み、第1蓋部20がハウジング11に対して係止され、その移動が規制される。これにより、第1受電部14の開放が阻止される(図4を参照)。
【0038】
直流受電部19に充電を行う方法について説明する。まず、直流受電部19を閉じている第1蓋部20および第2蓋部30をそれぞれハウジング11から取り外す。本実施形態ではどちらの蓋部20,30を先に外してもよい。第1蓋部20は、交流受電部14の充電を行う方法で説明した方法と同様の方法で取り外すことができる。第2蓋部30は、第2把手部32をつまんで手前側に引っ張れば、ハウジング11から取り外すことができる。第1蓋部20および第2蓋部30をそれぞれハウジング11から取り外すと、図12〜図14に示すように受電部全体(第1受電部14および第2受電部17)が開放状態となる。
【0039】
開放状態となった受電部14,17に直流用給電コネクタ50を接続する。図17〜図19に示すように、直流用給電コネクタ50をハウジング11の開口11A全体を覆うように嵌合させて、直流用給電コネクタ50のフード部51の先端がハウジング11の奥壁11Cの近傍に至ると嵌合が完了し、直流用給電コネクタ50の端子52が直流受電部19の端子15,18と電気的に接続され、充電作業が可能となる。このとき、図18に示すように、受電部14,17の全体が直流用給電コネクタ50により覆われるので、直流受電部19の充電作業の際に他の受電部との接触の問題は生じることはない。
【0040】
充電作業が終了したら直流用給電コネクタ50を直流受電部19から外して、第1蓋部20および第2蓋部30をハウジング11に取り付ける。本実施形態ではどちらの蓋部20,30を先に取り付けてもよい。第1蓋部20は、交流受電部14の充電を行う方法で説明した方法と同様の方法で取り付けることができる。
【0041】
第2蓋部30を取り付ける際には、2つの内筒部35を、第2受電部17の急速充電用端子18Bの端子室16C,16Cに対応させるとともに、2つの第2スリーブ部36を左端側の信号線端子18Aと右端側の信号線端子18Aの端子室16D,16Dに沿うように配し、一対の端子室保持片39,39を中央の信号線端子18Aの端子室16Eに沿うように配する。このように配置した第2蓋部30をハウジング11の奥壁11C方向に押し、第2蓋部30の第1スリーブ部34の後端がハウジング11の奥壁11Cの近傍に至るまで押しこむと第2蓋部30が第2受電部17を覆うように配されて第2受電部17の開放が阻止される(図4を参照)。
【0042】
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態において、第2蓋部30には第1受電部14側に張り出し形成され、第2受電部17に取り付けられた状態で、第1受電部14に接続された第1給電コネクタ40に押されることで第2蓋部30の移動を規制する張出部33が設けられている。
【0043】
したがって、第1受電部14に第1給電コネクタ40を接続して充電作業を行うときに、第2受電部17に第2蓋部30を取り付けておけば、第2蓋部30の張出部33が第1給電コネクタ40に押されて移動を規制されるので、第2蓋部30は第2受電部17に取り付けられた状態で保持される。その結果第1受電部14に第1給電コネクタ40を接続して充電作業を行う際に、他の受電部への接触の問題は生じない。
また、第2給電コネクタ50を接続して充電作業を行うときには、受電部14,17の全体に第2給電コネクタ50が接続されるので他の受電部への接触の問題は生じない。
【0044】
さらに、本実施形態では、2つの給電コネクタ40,50を選択的に接続可能な受電部14,17が一体的に設けられた充電コネクタ10において、第1蓋部20と第2蓋部30とをそれぞれ取り付ければよいので、2つの蓋部を重ねて配置することは不要である。したがって、本実施形態によれば、第1蓋部20および第2蓋部30を配置するために給電コネクタ40,50の嵌合方向におけるスペースは不要である。
その結果、本実施形態によれば、省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタ10を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、第1蓋部20にはハウジング11に係止される係止爪25が形成される一方、ハウジング11には第2蓋部30を係止する係止孔12が形成されているから、第1蓋部20がハウジング11に係止可能となり、第1蓋部20の移動が規制されるので、第1受電部14が開放状態となるのを防止することができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、実施形態2の充電コネクタ60を図20ないし図23によって説明する。
本実施形態の充電コネクタ60は第2蓋部70の第1スリーブ部34に第1蓋部20側に張り出す第2張出部71が設けられている点で実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複した説明は省略する。
【0047】
本実施形態において、第2蓋部70の第1スリーブ部34の上面34Aの後端部(図22の右端部)には、上側(第1蓋部20側)に張り出す第2張出部71が形成されている。その他の構成は実施形態1とおおむね同様である。
【0048】
次に、本実施形態の充電コネクタ60を用いた充電方法について説明する。
本実施形態の充電コネクタ60は充電作業を行っていないときには、図20に示すように、ハウジング11の開口11Aが第1蓋部20および第2蓋部70により閉じられることで各受電部14,17の開放が阻止された状態である。この状態においては、第1蓋部20は、係止爪25がハウジング11の係止孔12に係止されることで移動を規制されており、第2蓋部70は、第1蓋部20側に張出形成された第2張出部71が、第1蓋部20の外筒部23の後端部により押されて移動を規制された状態である。
【0049】
交流受電部14(第1受電部14)に充電を行う方法について説明する。まず、交流受電部14を閉じている第1蓋部20を取り外して交流受電部14を開放状態とする。第1蓋部20を取り外す際には、実施形態1と同様の方法により行うことができる。
【0050】
開放状態となった交流受電部14に交流用給電コネクタ40を接続する。交流用給電コネクタ40のフード部41を交流受電部14の外周縁に沿うようにハウジング11内に挿入させ、交流用給電コネクタ40のフード部41の先端が、ハウジング11の奥壁11Cの近傍に至ると嵌合が完了し、交流用給電コネクタ40の端子42が交流受電部14の端子15と電気的に接続され、充電作業が可能となる。
【0051】
このとき、第2受電部17には、図23に示すように、第2蓋部70が取り付けられた状態であるとともに、第2蓋部70は、外嵌部31の前壁31Aの一部と張出部33が、交流用給電コネクタ40のフード部41により押されて取り外すことができない状態となっている。さらに本実施形態では第2蓋部70の第2張出部71が交流用給電コネクタ40のフード部41の先端に押されて、第2蓋部70の移動が規制されている。つまり、交流受電部14の充電作業の際には、他の受電部(第2受電部17)の開放が阻止されているので、他の受電部との接触の問題は生じない。
【0052】
充電作業が終了したら交流用給電コネクタ40を交流受電部14から外して、第1蓋部20を交流受電部14に取り付けると、第1蓋部20がハウジング11に対して係止されて移動が規制されるとともに、第1受電部14の開放が阻止される(図20を参照)。
【0053】
直流受電部19に充電を行う方法について説明する。まず、直流受電部19を閉じている第1蓋部20および第2蓋部70をそれぞれハウジング11から取り外す。本実施形態では第2蓋部70が第1蓋部20により移動を規制されているので、第1蓋部20を先に取り外す。第1蓋部20は、実施形態1と同様の方法により取り外すことができる。第1蓋部20を取り外した後、第2蓋部70の第2把手部32をつまんで手前側に引っ張れば、第2蓋部70をハウジング11から容易に取り外すことができる。
【0054】
第1蓋部20および第2蓋部70をそれぞれハウジング11から取り外して開放状態となった受電部14,17に直流用給電コネクタ50を接続する。直流用給電コネクタ50の接続は実施形態1と同様の方法により行うことができる。直流用給電コネクタ50をハウジング11の開口11A全体を覆うように嵌合させて、直流用給電コネクタ50のフード部51の先端がハウジング11の奥壁11Cの近傍に至ると嵌合が完了し、直流用給電コネクタ50の端子52が受電部14,17(直流受電部19)の端子15,18と電気的に接続され、充電作業が可能となる。本実施形態においても、受電部14,17の全体が直流用給電コネクタ50により覆われるので、直流受電部19の充電作業の際に他の受電部との接触の問題は生じない。
【0055】
充電作業が終了したら直流用給電コネクタ50を受電部14,17から外して、第1蓋部20および第2蓋部70をハウジング11に取り付ける。本実施形態では、第2蓋部70を先に取り付けた後、第1蓋部20を取り付けてハウジングに係止することで、第2蓋部70の移動および第1蓋部20の移動が規制される(図20を参照)。
【0056】
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によっても、実施形態1と同様に、省スペースでありながらも他の受電部への接触を防止した充電コネクタ60を提供することができる。
また、本実施形態によってもば、第1蓋部20にはハウジング11に係止される係止爪25が形成される一方、ハウジング11には第2蓋部70を係止する係止孔12が形成されているから、第1蓋部20がハウジング11に係止可能となり、第1蓋部20の移動が規制されるので、第1受電部14が開放状態となるのを防止することができる。
【0057】
さらに本実施形態では、第2蓋部70が張出部33を備えるだけでなく、第1給電コネクタ40が第1受電部14に取り付けられているときには第1給電コネクタ40に押されることで第2蓋部70の移動を規制するとともに、第1受電部14に第1蓋部20が取り付けられているときには第1蓋部20に押されることで第2蓋部70の移動を規制するように形成されている第2張出部71を備える。その結果、本実施形態によれば、第1受電部14に第1蓋部20が取り付けられている状態でも、第2蓋部70の移動が規制されるので、第2受電部17が開放状態になりにくく安全性が高まる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では、外嵌部の前壁に設けた張出部を備える第2蓋部を示し、上記実施形態2では、外嵌部の前壁に設けた張出部と、第1スリーブ部に設けた第2張出部とを備える第2蓋部を示したが、これに限定されない。
たとえば、第1受電部に第1給電コネクタを接続したときには第1給電コネクタに押されることで第2蓋部の移動を規制し、かつ、第1受電部に第1蓋部がとりつけられているときには第1蓋部に押されることで第2蓋部の移動を規制する張出部(例えば実施形態2の第2張出部)のみを設けた第2蓋部であってもよい。
(2)上記実施形態では、第1蓋部に係止部(係止爪)を設けハウジングに被係止部(係止孔)を設けたものを示したが、第1蓋部に係止孔を設け、ハウジングに係止突部等を設けてもよい。また、第1蓋部がハウジングにより係止される構造を有していなくてもよい。
(3)上記実施形態では受電部全体に接続される第2給電コネクタを示したが、第2給電コネクタは、第2受電部のみに接続される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10,60…充電コネクタ
11…ハウジング
11B…ハウジングの凹部
12…係止孔(被係止部)
14…交流受電部(第1受電部)
17…第2受電部
19…直流受電部
20…第1蓋部
25…係止爪(係止部)
30,70…第2蓋部
40…交流用給電コネクタ(第1給電コネクタ)
50…直流用給電コネクタ(第2給電コネクタ)
71…第2張出部(張出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの凹部内に、第1給電コネクタおよび第2給電コネクタを選択的に接続可能な受電部が一体的に設けられた充電コネクタであって、
前記受電部には、前記第1給電コネクタが接続される第1受電部を開閉可能な第1蓋部と、前記受電部のうち前記第1受電部以外の第2受電部を開閉可能な第2蓋部とが取り付けられ、
前記第2蓋部には、前記第1蓋部側に張り出し形成され、前記第2受電部に取り付けられた状態で、前記第1受電部に接続された前記第1給電コネクタに押されることで前記第2蓋部の移動を規制する張出部が設けられていることを特徴とする充電コネクタ。
【請求項2】
前記張出部は、前記第1受電部に前記第1蓋部が取り付けられているときには前記第1蓋部に押されることで前記第2蓋部の移動を規制するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の充電コネクタ。
【請求項3】
前記第1蓋部には前記ハウジングに係止される係止部が形成される一方、前記ハウジングには前記第2蓋部を係止する被係止部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電コネクタ。
【請求項4】
前記第2給電コネクタは、前記受電部の全体を覆うように接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の充電コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2012−238413(P2012−238413A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105088(P2011−105088)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】