充電システム、充電器、および携帯端末装置
【課題】簡易な構成で携帯端末装置を充電器に強固に保持させ、安全かつ確実に充電を遂行する。
【解決手段】携帯端末装置100は、端末側端子130と、磁性材料からなる端末側金属部140と、を備え、充電器200は、充電側端子230と、磁性材料からなり端末側金属部140に対向して位置する充電側金属部240と、充電側金属部240に巻回されたコイル270と、スイッチ214と、を備え、端末側端子130と充電側端子230とを接触させた後、スイッチ214がオンされると、端末側端子130と充電側端子230とを通じて電池への充電が開始され、かつ、コイル270と充電側金属部240とを電磁石として機能させ、端末側金属部140との磁力によって携帯端末装置100が吸引保持される。
【解決手段】携帯端末装置100は、端末側端子130と、磁性材料からなる端末側金属部140と、を備え、充電器200は、充電側端子230と、磁性材料からなり端末側金属部140に対向して位置する充電側金属部240と、充電側金属部240に巻回されたコイル270と、スイッチ214と、を備え、端末側端子130と充電側端子230とを接触させた後、スイッチ214がオンされると、端末側端子130と充電側端子230とを通じて電池への充電が開始され、かつ、コイル270と充電側金属部240とを電磁石として機能させ、端末側金属部140との磁力によって携帯端末装置100が吸引保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置の電池を充電する充電システム、充電器、および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)に代表される携帯端末装置の進歩はめざましく、軽量化、低コスト化が進んでいる。
【0003】
従来より、携帯端末装置から電池を取り外すことなく、電源を投入したままでも充電可能なクレードルと称する充電器が利用されている。しかし、近年の携帯端末装置の軽量化により、充電器への取付が甘くなってきており、十分な端子間の接触がなされないまま、充電不良を起こすことがあった。
【0004】
このような取付の問題を回避するため、充電器に永久磁石を設け、その磁力によって携帯端末装置を吸引する技術が知られている。しかし、このような永久磁石は、クリップやホチキスの針といった金属片を吸引するため、携帯端末装置の接触不良を引き起こすばかりか、短絡事故の恐れさえある。
【0005】
かかる問題に鑑みて、充電器に常に磁力が働く構成をやめ、携帯端末装置を電磁石で吸引し、携帯端末装置が着信を受けたときに任意のキーを操作することで電磁石の駆動電流を停止する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−162959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の技術では、充電器の装着時に充電が開始される構成となっており、携帯端末装置が充電器の端子に接触すると同時に充電電流が流れる。このような構成では、電池と充電回路との間で放電によるスパークが生じる場合があり、そのような現象が重なると、充電回路が損傷を受けたり、周囲回路の劣化が進んだりする。
【0007】
従って、充電器は、携帯端末装置を強固に固定すると共に、このようなスパークの発生を防止しなくてはならない。
【0008】
そこで、本発明者らは、掛止構造をとらずとも強い吸引力を得ることができ、休止時には吸引力を止めることができる電磁石に着目し、離脱しようとする力に対する保持力が弾性部材より非常に大きい磁石による保持構造を見出し、上記スパーク防止回路と並行して動作させることで安全かつ確実に充電を遂行できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、従来の電池の取付構造が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡易な構成で携帯端末装置を充電器に強固に保持させ、安全かつ確実に充電を遂行することが可能な、新規かつ改良された充電システム、充電器、および携帯端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の観点によれば、充電器と、充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置と、からなる充電システムであって、携帯端末装置は、端末側端子と、磁性材料からなる端末側金属部と、を備え、充電器は、充電側端子と、磁性材料からなり端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、スイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電が開始され、かつ、コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、端末側金属部との磁力によって携帯端末装置が吸引保持されることを特徴とする、充電システムが提供される。
【0011】
電磁石は、掛止等の物理的な固定構造なしで、強い吸引力を得ることができる。また、離脱に対する保持力が弾性部材より非常に優れている。かかるコイルと充電側金属部とによる電磁石と、端末側金属部との磁力により携帯端末装置と電池とを強固に吸引保持することが可能となり、接触不良等を回避し、安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0012】
ここで、電磁石を動作させる動作電流を流すためのトリガが必要となる。かかるスイッチを、既存のスパーク防止回路と兼用することで、新たに別途のスイッチを準備することなく、簡易な構成で、携帯端末装置の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となり、さらに安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0013】
スイッチは、端末側端子と充電側端子とを接触させるための掛止によって、オンされてもよい。充電器は携帯端末装置を掛止して、端末側端子と充電側端子との接触を支援する。かかる掛止時に生じる携帯端末装置本体と充電器間の圧接力を利用してスイッチをオンさせる構成により、ユーザにスイッチがオンされたことを意識させることなく、携帯端末装置の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となる。
【0014】
充電側金属部は、スイッチがオフされるまで、端末側金属部を追従可能に構成されていてもよい。
【0015】
携帯端末装置を離脱する際、スイッチをオフにすると充電側金属部と端末側金属部間の電磁力が消え携帯端末装置が着脱自在になる。しかし、上述した掛止機構を用いると、携帯端末装置が離脱しないとスイッチがオフにならないので、理論上、着脱不可能となってしまう。本発明では、充電側金属部を回動または可動自在に設けることで、端末側金属部との吸引を継続させつつ、スイッチをオフすることが可能となり、容易に携帯端末装置を離脱することができる。
【0016】
端末側端子と充電側端子とは弾性力によって圧接してもよい。端末側金属部と充電側金属部との吸引には弾性が無いため、携帯端末装置と充電器との位置は固定される。端末側端子と充電側端子との弾性力により、かかる携帯端末装置と充電器との間隔の変動に拘わらず常時端子を圧接することが可能となる。
【0017】
端末側金属部は、端末側端子を兼ね、充電側金属部は、充電側端子を兼ねてもよい。ここでは、端末側金属部と充電側金属部とが吸引しつつ、並行して電力を給電することができる。
【0018】
充電側金属部は、一時磁石となる軟鉄で形成されてもよい。ここで、軟鉄とは、炭素の含有率が低い(0.1%〜0.3%)鉄を言う。充電側金属部を軟鉄で構成することにより、効率よく磁力を発生でき、携帯端末装置を強固に保持することが可能となる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、携帯端末装置の電池を充電する充電器であって、携帯端末装置に設けられた端末側端子に当接する充電側端子と、磁性材料からなり、携帯端末装置に設けられた磁性材料からなる端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、スイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電を開始し、かつ、コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、端末側金属部との磁力によって携帯端末装置を吸引保持することを特徴とする、充電器が提供される。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置であって、充電器に設けられた充電側端子に当接する端末側端子と、磁性材料からなり、充電器に設けられた磁性材料からなる充電側金属部に対向して位置する端末側金属部と、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、充電器のスイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電が開始され、かつ、充電器のコイルと充電側金属部とが電磁石として機能し、端末側金属部との磁力によって吸引保持されることを特徴とする、携帯端末装置が提供される。
【0021】
上述した、充電システムの技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該充電器や携帯端末装置にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の充電システムでは、電磁石を用いた簡易な構成で携帯端末装置を充電器に強固に保持させ、スパークも防止し、安全かつ確実に充電を遂行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
携帯電話やPHS等の携帯端末装置は、携帯可能な大きさに形成される。従って、有線を通じた電力の供給を受けることができず、携帯端末装置に装着される電池から電力の供給を受ける。かかる電池は、有限であるが、充電を繰り返すことにより容量以上の使用時間を提供することができる。ここで、本実施形態による充電システムの理解を容易にするため、まず、電池を装着する携帯端末装置と、その電池に電力を蓄積する充電器の機能を説明する。
【0025】
(携帯端末装置100)
図1は、携帯端末装置100および充電器200の概略的な機能を示した機能ブロック図である。携帯端末装置100は、上述した携帯電話やPHSの他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な様々な電子機器で構成され、構成要素として、制御部110と、メモリ112と、表示部114と、操作部116と、音声入出力部118と、無線部120と、電池122とを含んでいる。
【0026】
上記制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯端末装置100全体を管理および制御する。制御部110は、メモリ112のプログラムを用いて、携帯端末装置100を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。
【0027】
上記メモリ112は、ROM、RAM、E2PROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部110で処理されるプログラム等を記憶する。
【0028】
上記表示部114は、カラーまたはモノクロのディスプレイで構成され、メモリ112に記憶された、または通信網を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0029】
上記操作部116は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0030】
上記音声入出力部118は、マイクやスピーカから構成され、通話時に入力されたユーザの音声を音声信号に変換し、また、通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や操作部116による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0031】
上記無線部120は、携帯電話網における基地局300と無線通信を行う。かかる無線通信としては、基地局300内でフレームを時分割した複数のタイムスロットをそれぞれ携帯端末装置100のチャネルに割り当てて通信を行う時分割多重方式等がある。
【0032】
上記電池122は、所定量の電力を蓄電し、携帯端末装置100の上述した各要素に電力を供給する。かかる電池122は、着脱可能に埋設されるが、通常時は蓋部で覆われているので目視できなくなっている。また、携帯端末装置100では、電池122を装着したままで、露呈する外部端子から電池122に充電することもでき、通常時の電池の着脱はほとんど不要となっている。
【0033】
このような無線通信システムでは、携帯端末装置100によって他の携帯端末装置に電話しようと試みた場合、ユーザは、自己の携帯端末装置100を操作して、無線通信可能領域にある基地局300と無線通信を確立し、通信網、および、他の携帯端末装置の無線通信可能領域にある基地局を介して、対象となる携帯端末装置と音声通話を開始する。
【0034】
充電器200は、電力変換部210と、電流制御部212と、スイッチ214とを含んで構成される。
【0035】
上記電力変換部210は、例えば、外部電力として100Vの交流電圧を受け、4.2Vの直流電圧に変換する。かかる4.2Vの電圧が電池122の充電電圧となる。
【0036】
上記電流制御部212は、電池122に供給する電流を制御する。かかる電流制御部212によって、特に、リチウムイオンバッテリー等の電流値や温度条件が厳しい電池122に対しては、突入電流の制限等、規格に沿った充電が行われる。
【0037】
上記スイッチ214は、ロックスイッチ、プッシュスイッチ、スライドスイッチ、回転スイッチ、トグルスイッチ等様々なスイッチを用いることができ、スパーク防止回路の一部として機能する。スパーク防止回路は、携帯端末装置100の受電端子(端末側端子)と充電器200側の給電端子(充電側端子)とを接触させた後、充電回路と電池との閉回路を確保して充電を開始する回路である。
【0038】
図2は、携帯端末装置100と充電器200との接続(装着)を示した外観図である。かかる図2を参照すると、充電器200には、電力を送るために用いられる2つの充電側端子230と、その両端近辺に2つの充電側金属部240と、上述したスイッチ214とが設けられ、携帯端末装置100には、充電側端子230と当接する端末側端子130と、充電側金属部240に対向して位置する端末側金属部140とが設けられている。
【0039】
また、携帯端末装置100を充電器200に載置する場合、充電器200の嵌合凹部に携帯端末装置100を嵌設し、端末側端子130の反対側端面は充電器200によって掛止される(掛止機構250)。また、スイッチ214が嵌合凹部中央に設けられ、携帯端末装置100の着脱に合わせてオン/オフされる。携帯端末装置100を嵌設した後、即ち、携帯端末装置100の充電中は、スイッチ214は押圧され続ける。
【0040】
図3は、充電器200と携帯端末装置100との接続を説明するための説明図である。図3においては、充電側端子230と端末側端子130とが対向し、また、充電側金属部240と端末側金属部140とが対向している。
【0041】
充電側端子230は端子溝232の案内により携帯端末装置100方向に可動自在であり、携帯端末装置100との接触端の他端には弾性部材、例えばバネ234が設けられ、当該充電側端子230が端末側端子130に当接される。充電側金属部240と端末側金属部140との吸引には弾性が無いため、充電器200と携帯端末装置100との位置は固定されてしまう。かかる充電側端子230の弾性力により、充電器200と携帯端末装置100との間隔の変動に拘わらず常時端子を圧接することが可能となる。
【0042】
また、端末側端子130や端末側金属部140の周辺には凸部が形成され、充電側端子230や充電側金属部240が嵌合し易いようになっている。かかる案内で、充電側端子230と端末側端子130とを、また、充電側金属部240と端末側金属部140とを容易に位置合わせすることができる。本実施形態では、充電側端子230と端末側端子130とが接触することで充電器200の電力が携帯端末装置100に供給される。
【0043】
端末側金属部140および充電側金属部240は鉄(軟鉄)やフェライトといった磁性材料で形成される。図3に示すように、端末側金属部140と充電側金属部240とは対向配置され、充電側金属部240に巻回されたコイル270に電流を流すことで、その間には吸引力が生じる。端末側金属部140と充電側金属部240とは、その吸引力を最大に利用するために密着させるのが望ましいが、十分な吸引力を得ることができれば離隔していてもよい。
【0044】
端末側金属部140に対向配置される充電側金属部240は、掛止等の物理的な固定構造なしで、端末側金属部140との強い吸引力を起こすことができる。また、離脱に対する保持力も非常に優れている。そこで、充電側金属部240に充電側端子230を、端末側金属部140に端末側端子130を連動させることで、充電側金属部240と端末側金属部140との吸引力を充電側端子230と端末側端子130との吸引にも利用する。
【0045】
従って、充電側金属部240や端末側金属部140は、電池側および端末側端子に近い位置、例えば、10mm以内の位置に設けるのが望ましい。これは、充電側金属部240や端末側金属部140に近ければ近いほど、両者による吸引力の効果を得ることができるからである。かかる観点から、図3に示すように、電池側および端末側端子は、充電側金属部240と端末側金属部140との2つの組み合わせの間に配置されている。
【0046】
このような磁力による簡易かつ低コストな構成で携帯端末装置100を充電器200に強固に吸引保持することが可能となり、接触不良等を回避し、安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0047】
ただし、上記充電側金属部240とコイル270との電磁石を動作させるためには、動作電流を流すためのトリガが必要となる。かかるスイッチを、既存のスパーク防止回路のスイッチ214と兼用することで、新たに別途のスイッチを準備することなく、簡易な構成で、携帯端末装置100の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となり、さらに安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0048】
また、スイッチ214は、端末側端子130と充電側端子230とを接触させるための掛止機構250によって、オンされてもよい。充電器200は携帯端末装置100を掛止して、端末側端子130と充電側端子230との接触を支援する。かかる掛止機構250による掛止時に生じる携帯端末装置100本体と充電器200間の圧接力を利用してスイッチ214をオンさせる構成により、ユーザにスイッチ214がオンされたことを意識させることなく、携帯端末装置100の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となる。
【0049】
このように携帯端末装置100の電池122が充電されると、充電器200から携帯端末装置100が離脱される。携帯端末装置100と充電器200とは、上述したように充電側金属部240とコイル270による電磁石の機構により強固な吸引力を得ることができる。しかし、この吸引力は、意図的に携帯端末装置100を離脱する場合には障害となってしまう。
【0050】
携帯端末装置100を離脱する際、スイッチ214をオフにすると充電側金属部240と端末側金属部140間の電磁力が消え携帯端末装置100が着脱自在になる。しかし、上述した掛止機構250を用いると、携帯端末装置100が離脱しないとスイッチ214がオフにならないので、理論上、着脱不可能となってしまう。本実施形態では、充電側金属部240を回動または可動自在に設けることで、端末側金属部140との吸引を継続させつつ、スイッチ214をオフすることが可能となり、容易に携帯端末装置100を離脱することができる。
【0051】
図4は、携帯端末装置100と充電器200との離脱を説明するための説明図である。ここでは、形態端末装置100と充電器200との離脱動作を側面図で示している。図4(a)では、携帯端末装置100が充電器200に嵌合され、掛止機構250により掛止されている。従って、スイッチ214はオンされ続け、充電側金属部240は、電磁石として機能している。
【0052】
このとき充電側金属部240と端末側金属部140とは携帯端末装置100長手方向には強固に吸引されているが、充電側金属部240を、端末側金属部140を追従可能に構成することで、矢印の方向(回動方向)には回転することができる。従って、図4(b)のように携帯端末装置100を掛止機構250から外すことができ、それと同時にスイッチ214がオフになる。その結果、充電側金属部240と端末側金属部140との磁力も消すことができ、携帯端末装置100を自由に離脱することが可能となる。
【0053】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、充電側金属部240と充電側端子230とが別体に設けられていたが、第2の実施形態おいては、充電側金属部240に充電側端子230の機能を兼ねさせ、一体的に機能させる、即ち、充電側端子230を充電側金属部240で形成する構成を説明する。この場合、対応する端末側金属部140も端末側端子130を兼ねることとなる。
【0054】
図5は、充電側金属部240を通じた充電を説明するための説明図である。図5においては、充電器200の出力が充電側金属部240に直接接続され、充電側金属部240が通電経路となり、対向する位置には、端末側端子130の機能も兼ねる端末側金属部140が固定されている。従って、第1の実施形態おいて2種類の端子に分離していた吸引と電力供給の機能が本実施形態では統合され、充電側金属部240と端末側金属部140とに担わせている。
【0055】
かかる構成では、充電側金属部240と端末側金属部140との吸引力で携帯端末装置100を保持できるので、第1の実施形態における端子間圧接のためのバネ234を設ける必要がなくなる。また、充電側端子230の低い電気抵抗値を維持しつつ(電力損失を抑制しつつ)、1カ所の端子接続により端子間をより強固に吸引保持することが可能となる。
【0056】
以上説明したような第1、2の実施形態によって、磁石を用いた簡易な構成で電池を携帯端末装置に強固に保持させ、スパークも防止し、安全かつ確実に充電を遂行することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、携帯端末装置の電池を充電する充電システム、充電器、および携帯端末装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態による携帯端末装置および充電器の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態による携帯端末装置と充電器との接続を示した外観図である。
【図3】第1の実施形態による充電器と携帯端末装置との接続を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施形態による携帯端末装置と充電器との離脱を説明するための説明図である。
【図5】第2の実施形態による充電側金属部を通じた充電を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0060】
100 携帯端末装置
122 電池
130 端末側端子(受電端子)
140 端末側金属部
200 充電器
214 スイッチ
230 充電側端子(給電端子)
234 バネ
240 充電側金属部
250 掛止機構
270 コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置の電池を充電する充電システム、充電器、および携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)に代表される携帯端末装置の進歩はめざましく、軽量化、低コスト化が進んでいる。
【0003】
従来より、携帯端末装置から電池を取り外すことなく、電源を投入したままでも充電可能なクレードルと称する充電器が利用されている。しかし、近年の携帯端末装置の軽量化により、充電器への取付が甘くなってきており、十分な端子間の接触がなされないまま、充電不良を起こすことがあった。
【0004】
このような取付の問題を回避するため、充電器に永久磁石を設け、その磁力によって携帯端末装置を吸引する技術が知られている。しかし、このような永久磁石は、クリップやホチキスの針といった金属片を吸引するため、携帯端末装置の接触不良を引き起こすばかりか、短絡事故の恐れさえある。
【0005】
かかる問題に鑑みて、充電器に常に磁力が働く構成をやめ、携帯端末装置を電磁石で吸引し、携帯端末装置が着信を受けたときに任意のキーを操作することで電磁石の駆動電流を停止する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−162959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の技術では、充電器の装着時に充電が開始される構成となっており、携帯端末装置が充電器の端子に接触すると同時に充電電流が流れる。このような構成では、電池と充電回路との間で放電によるスパークが生じる場合があり、そのような現象が重なると、充電回路が損傷を受けたり、周囲回路の劣化が進んだりする。
【0007】
従って、充電器は、携帯端末装置を強固に固定すると共に、このようなスパークの発生を防止しなくてはならない。
【0008】
そこで、本発明者らは、掛止構造をとらずとも強い吸引力を得ることができ、休止時には吸引力を止めることができる電磁石に着目し、離脱しようとする力に対する保持力が弾性部材より非常に大きい磁石による保持構造を見出し、上記スパーク防止回路と並行して動作させることで安全かつ確実に充電を遂行できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、従来の電池の取付構造が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡易な構成で携帯端末装置を充電器に強固に保持させ、安全かつ確実に充電を遂行することが可能な、新規かつ改良された充電システム、充電器、および携帯端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の観点によれば、充電器と、充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置と、からなる充電システムであって、携帯端末装置は、端末側端子と、磁性材料からなる端末側金属部と、を備え、充電器は、充電側端子と、磁性材料からなり端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、スイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電が開始され、かつ、コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、端末側金属部との磁力によって携帯端末装置が吸引保持されることを特徴とする、充電システムが提供される。
【0011】
電磁石は、掛止等の物理的な固定構造なしで、強い吸引力を得ることができる。また、離脱に対する保持力が弾性部材より非常に優れている。かかるコイルと充電側金属部とによる電磁石と、端末側金属部との磁力により携帯端末装置と電池とを強固に吸引保持することが可能となり、接触不良等を回避し、安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0012】
ここで、電磁石を動作させる動作電流を流すためのトリガが必要となる。かかるスイッチを、既存のスパーク防止回路と兼用することで、新たに別途のスイッチを準備することなく、簡易な構成で、携帯端末装置の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となり、さらに安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0013】
スイッチは、端末側端子と充電側端子とを接触させるための掛止によって、オンされてもよい。充電器は携帯端末装置を掛止して、端末側端子と充電側端子との接触を支援する。かかる掛止時に生じる携帯端末装置本体と充電器間の圧接力を利用してスイッチをオンさせる構成により、ユーザにスイッチがオンされたことを意識させることなく、携帯端末装置の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となる。
【0014】
充電側金属部は、スイッチがオフされるまで、端末側金属部を追従可能に構成されていてもよい。
【0015】
携帯端末装置を離脱する際、スイッチをオフにすると充電側金属部と端末側金属部間の電磁力が消え携帯端末装置が着脱自在になる。しかし、上述した掛止機構を用いると、携帯端末装置が離脱しないとスイッチがオフにならないので、理論上、着脱不可能となってしまう。本発明では、充電側金属部を回動または可動自在に設けることで、端末側金属部との吸引を継続させつつ、スイッチをオフすることが可能となり、容易に携帯端末装置を離脱することができる。
【0016】
端末側端子と充電側端子とは弾性力によって圧接してもよい。端末側金属部と充電側金属部との吸引には弾性が無いため、携帯端末装置と充電器との位置は固定される。端末側端子と充電側端子との弾性力により、かかる携帯端末装置と充電器との間隔の変動に拘わらず常時端子を圧接することが可能となる。
【0017】
端末側金属部は、端末側端子を兼ね、充電側金属部は、充電側端子を兼ねてもよい。ここでは、端末側金属部と充電側金属部とが吸引しつつ、並行して電力を給電することができる。
【0018】
充電側金属部は、一時磁石となる軟鉄で形成されてもよい。ここで、軟鉄とは、炭素の含有率が低い(0.1%〜0.3%)鉄を言う。充電側金属部を軟鉄で構成することにより、効率よく磁力を発生でき、携帯端末装置を強固に保持することが可能となる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、携帯端末装置の電池を充電する充電器であって、携帯端末装置に設けられた端末側端子に当接する充電側端子と、磁性材料からなり、携帯端末装置に設けられた磁性材料からなる端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、スイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電を開始し、かつ、コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、端末側金属部との磁力によって携帯端末装置を吸引保持することを特徴とする、充電器が提供される。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置であって、充電器に設けられた充電側端子に当接する端末側端子と、磁性材料からなり、充電器に設けられた磁性材料からなる充電側金属部に対向して位置する端末側金属部と、を備え、端末側端子と充電側端子とを接触させた後、充電器のスイッチがオンされると、端末側端子と充電側端子とを通じて電池への充電が開始され、かつ、充電器のコイルと充電側金属部とが電磁石として機能し、端末側金属部との磁力によって吸引保持されることを特徴とする、携帯端末装置が提供される。
【0021】
上述した、充電システムの技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該充電器や携帯端末装置にも適用可能である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の充電システムでは、電磁石を用いた簡易な構成で携帯端末装置を充電器に強固に保持させ、スパークも防止し、安全かつ確実に充電を遂行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
携帯電話やPHS等の携帯端末装置は、携帯可能な大きさに形成される。従って、有線を通じた電力の供給を受けることができず、携帯端末装置に装着される電池から電力の供給を受ける。かかる電池は、有限であるが、充電を繰り返すことにより容量以上の使用時間を提供することができる。ここで、本実施形態による充電システムの理解を容易にするため、まず、電池を装着する携帯端末装置と、その電池に電力を蓄積する充電器の機能を説明する。
【0025】
(携帯端末装置100)
図1は、携帯端末装置100および充電器200の概略的な機能を示した機能ブロック図である。携帯端末装置100は、上述した携帯電話やPHSの他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯可能な様々な電子機器で構成され、構成要素として、制御部110と、メモリ112と、表示部114と、操作部116と、音声入出力部118と、無線部120と、電池122とを含んでいる。
【0026】
上記制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯端末装置100全体を管理および制御する。制御部110は、メモリ112のプログラムを用いて、携帯端末装置100を利用した通話機能やメール配信機能を遂行する。
【0027】
上記メモリ112は、ROM、RAM、E2PROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部110で処理されるプログラム等を記憶する。
【0028】
上記表示部114は、カラーまたはモノクロのディスプレイで構成され、メモリ112に記憶された、または通信網を介してアプリケーションサーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0029】
上記操作部116は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0030】
上記音声入出力部118は、マイクやスピーカから構成され、通話時に入力されたユーザの音声を音声信号に変換し、また、通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や操作部116による操作音、アラーム音等も出力できる。
【0031】
上記無線部120は、携帯電話網における基地局300と無線通信を行う。かかる無線通信としては、基地局300内でフレームを時分割した複数のタイムスロットをそれぞれ携帯端末装置100のチャネルに割り当てて通信を行う時分割多重方式等がある。
【0032】
上記電池122は、所定量の電力を蓄電し、携帯端末装置100の上述した各要素に電力を供給する。かかる電池122は、着脱可能に埋設されるが、通常時は蓋部で覆われているので目視できなくなっている。また、携帯端末装置100では、電池122を装着したままで、露呈する外部端子から電池122に充電することもでき、通常時の電池の着脱はほとんど不要となっている。
【0033】
このような無線通信システムでは、携帯端末装置100によって他の携帯端末装置に電話しようと試みた場合、ユーザは、自己の携帯端末装置100を操作して、無線通信可能領域にある基地局300と無線通信を確立し、通信網、および、他の携帯端末装置の無線通信可能領域にある基地局を介して、対象となる携帯端末装置と音声通話を開始する。
【0034】
充電器200は、電力変換部210と、電流制御部212と、スイッチ214とを含んで構成される。
【0035】
上記電力変換部210は、例えば、外部電力として100Vの交流電圧を受け、4.2Vの直流電圧に変換する。かかる4.2Vの電圧が電池122の充電電圧となる。
【0036】
上記電流制御部212は、電池122に供給する電流を制御する。かかる電流制御部212によって、特に、リチウムイオンバッテリー等の電流値や温度条件が厳しい電池122に対しては、突入電流の制限等、規格に沿った充電が行われる。
【0037】
上記スイッチ214は、ロックスイッチ、プッシュスイッチ、スライドスイッチ、回転スイッチ、トグルスイッチ等様々なスイッチを用いることができ、スパーク防止回路の一部として機能する。スパーク防止回路は、携帯端末装置100の受電端子(端末側端子)と充電器200側の給電端子(充電側端子)とを接触させた後、充電回路と電池との閉回路を確保して充電を開始する回路である。
【0038】
図2は、携帯端末装置100と充電器200との接続(装着)を示した外観図である。かかる図2を参照すると、充電器200には、電力を送るために用いられる2つの充電側端子230と、その両端近辺に2つの充電側金属部240と、上述したスイッチ214とが設けられ、携帯端末装置100には、充電側端子230と当接する端末側端子130と、充電側金属部240に対向して位置する端末側金属部140とが設けられている。
【0039】
また、携帯端末装置100を充電器200に載置する場合、充電器200の嵌合凹部に携帯端末装置100を嵌設し、端末側端子130の反対側端面は充電器200によって掛止される(掛止機構250)。また、スイッチ214が嵌合凹部中央に設けられ、携帯端末装置100の着脱に合わせてオン/オフされる。携帯端末装置100を嵌設した後、即ち、携帯端末装置100の充電中は、スイッチ214は押圧され続ける。
【0040】
図3は、充電器200と携帯端末装置100との接続を説明するための説明図である。図3においては、充電側端子230と端末側端子130とが対向し、また、充電側金属部240と端末側金属部140とが対向している。
【0041】
充電側端子230は端子溝232の案内により携帯端末装置100方向に可動自在であり、携帯端末装置100との接触端の他端には弾性部材、例えばバネ234が設けられ、当該充電側端子230が端末側端子130に当接される。充電側金属部240と端末側金属部140との吸引には弾性が無いため、充電器200と携帯端末装置100との位置は固定されてしまう。かかる充電側端子230の弾性力により、充電器200と携帯端末装置100との間隔の変動に拘わらず常時端子を圧接することが可能となる。
【0042】
また、端末側端子130や端末側金属部140の周辺には凸部が形成され、充電側端子230や充電側金属部240が嵌合し易いようになっている。かかる案内で、充電側端子230と端末側端子130とを、また、充電側金属部240と端末側金属部140とを容易に位置合わせすることができる。本実施形態では、充電側端子230と端末側端子130とが接触することで充電器200の電力が携帯端末装置100に供給される。
【0043】
端末側金属部140および充電側金属部240は鉄(軟鉄)やフェライトといった磁性材料で形成される。図3に示すように、端末側金属部140と充電側金属部240とは対向配置され、充電側金属部240に巻回されたコイル270に電流を流すことで、その間には吸引力が生じる。端末側金属部140と充電側金属部240とは、その吸引力を最大に利用するために密着させるのが望ましいが、十分な吸引力を得ることができれば離隔していてもよい。
【0044】
端末側金属部140に対向配置される充電側金属部240は、掛止等の物理的な固定構造なしで、端末側金属部140との強い吸引力を起こすことができる。また、離脱に対する保持力も非常に優れている。そこで、充電側金属部240に充電側端子230を、端末側金属部140に端末側端子130を連動させることで、充電側金属部240と端末側金属部140との吸引力を充電側端子230と端末側端子130との吸引にも利用する。
【0045】
従って、充電側金属部240や端末側金属部140は、電池側および端末側端子に近い位置、例えば、10mm以内の位置に設けるのが望ましい。これは、充電側金属部240や端末側金属部140に近ければ近いほど、両者による吸引力の効果を得ることができるからである。かかる観点から、図3に示すように、電池側および端末側端子は、充電側金属部240と端末側金属部140との2つの組み合わせの間に配置されている。
【0046】
このような磁力による簡易かつ低コストな構成で携帯端末装置100を充電器200に強固に吸引保持することが可能となり、接触不良等を回避し、安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0047】
ただし、上記充電側金属部240とコイル270との電磁石を動作させるためには、動作電流を流すためのトリガが必要となる。かかるスイッチを、既存のスパーク防止回路のスイッチ214と兼用することで、新たに別途のスイッチを準備することなく、簡易な構成で、携帯端末装置100の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となり、さらに安全かつ確実に充電を遂行することができる。
【0048】
また、スイッチ214は、端末側端子130と充電側端子230とを接触させるための掛止機構250によって、オンされてもよい。充電器200は携帯端末装置100を掛止して、端末側端子130と充電側端子230との接触を支援する。かかる掛止機構250による掛止時に生じる携帯端末装置100本体と充電器200間の圧接力を利用してスイッチ214をオンさせる構成により、ユーザにスイッチ214がオンされたことを意識させることなく、携帯端末装置100の吸引保持とスパーク防止を同時に遂行することが可能となる。
【0049】
このように携帯端末装置100の電池122が充電されると、充電器200から携帯端末装置100が離脱される。携帯端末装置100と充電器200とは、上述したように充電側金属部240とコイル270による電磁石の機構により強固な吸引力を得ることができる。しかし、この吸引力は、意図的に携帯端末装置100を離脱する場合には障害となってしまう。
【0050】
携帯端末装置100を離脱する際、スイッチ214をオフにすると充電側金属部240と端末側金属部140間の電磁力が消え携帯端末装置100が着脱自在になる。しかし、上述した掛止機構250を用いると、携帯端末装置100が離脱しないとスイッチ214がオフにならないので、理論上、着脱不可能となってしまう。本実施形態では、充電側金属部240を回動または可動自在に設けることで、端末側金属部140との吸引を継続させつつ、スイッチ214をオフすることが可能となり、容易に携帯端末装置100を離脱することができる。
【0051】
図4は、携帯端末装置100と充電器200との離脱を説明するための説明図である。ここでは、形態端末装置100と充電器200との離脱動作を側面図で示している。図4(a)では、携帯端末装置100が充電器200に嵌合され、掛止機構250により掛止されている。従って、スイッチ214はオンされ続け、充電側金属部240は、電磁石として機能している。
【0052】
このとき充電側金属部240と端末側金属部140とは携帯端末装置100長手方向には強固に吸引されているが、充電側金属部240を、端末側金属部140を追従可能に構成することで、矢印の方向(回動方向)には回転することができる。従って、図4(b)のように携帯端末装置100を掛止機構250から外すことができ、それと同時にスイッチ214がオフになる。その結果、充電側金属部240と端末側金属部140との磁力も消すことができ、携帯端末装置100を自由に離脱することが可能となる。
【0053】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、充電側金属部240と充電側端子230とが別体に設けられていたが、第2の実施形態おいては、充電側金属部240に充電側端子230の機能を兼ねさせ、一体的に機能させる、即ち、充電側端子230を充電側金属部240で形成する構成を説明する。この場合、対応する端末側金属部140も端末側端子130を兼ねることとなる。
【0054】
図5は、充電側金属部240を通じた充電を説明するための説明図である。図5においては、充電器200の出力が充電側金属部240に直接接続され、充電側金属部240が通電経路となり、対向する位置には、端末側端子130の機能も兼ねる端末側金属部140が固定されている。従って、第1の実施形態おいて2種類の端子に分離していた吸引と電力供給の機能が本実施形態では統合され、充電側金属部240と端末側金属部140とに担わせている。
【0055】
かかる構成では、充電側金属部240と端末側金属部140との吸引力で携帯端末装置100を保持できるので、第1の実施形態における端子間圧接のためのバネ234を設ける必要がなくなる。また、充電側端子230の低い電気抵抗値を維持しつつ(電力損失を抑制しつつ)、1カ所の端子接続により端子間をより強固に吸引保持することが可能となる。
【0056】
以上説明したような第1、2の実施形態によって、磁石を用いた簡易な構成で電池を携帯端末装置に強固に保持させ、スパークも防止し、安全かつ確実に充電を遂行することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、携帯端末装置の電池を充電する充電システム、充電器、および携帯端末装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態による携帯端末装置および充電器の概略的な機能を示した機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態による携帯端末装置と充電器との接続を示した外観図である。
【図3】第1の実施形態による充電器と携帯端末装置との接続を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施形態による携帯端末装置と充電器との離脱を説明するための説明図である。
【図5】第2の実施形態による充電側金属部を通じた充電を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0060】
100 携帯端末装置
122 電池
130 端末側端子(受電端子)
140 端末側金属部
200 充電器
214 スイッチ
230 充電側端子(給電端子)
234 バネ
240 充電側金属部
250 掛止機構
270 コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器と、該充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置と、からなる充電システムであって、
前記携帯端末装置は、端末側端子と、磁性材料からなる端末側金属部と、を備え、
前記充電器は、充電側端子と、磁性材料からなり前記端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、該充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記スイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電が開始され、かつ、前記コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、前記端末側金属部との磁力によって前記携帯端末装置が吸引保持されることを特徴とする、充電システム。
【請求項2】
前記スイッチは、前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させるための掛止によって、オンされることを特徴とする、請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電側金属部は、前記スイッチがオフされるまで、前記端末側金属部を追従可能に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記端末側端子と前記充電側端子とは弾性力によって圧接することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記端末側金属部は、端末側端子を兼ね、前記充電側金属部は、充電側端子を兼ねることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電側金属部は、一次磁石となる軟鉄で形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の充電システム。
【請求項7】
携帯端末装置の電池を充電する充電器であって、
前記携帯端末装置に設けられた端末側端子に当接する充電側端子と、
磁性材料からなり、前記携帯端末装置に設けられた磁性材料からなる端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、
前記充電側金属部に巻回されたコイルと、
スイッチと、
を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記スイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電を開始し、かつ、前記コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、前記端末側金属部との磁力によって前記携帯端末装置を吸引保持することを特徴とする、充電器。
【請求項8】
充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置であって、
前記充電器に設けられた充電側端子に当接する端末側端子と、
磁性材料からなり、前記充電器に設けられた磁性材料からなる充電側金属部に対向して位置する端末側金属部と、
を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記充電器のスイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電が開始され、かつ、前記充電器のコイルと充電側金属部とが電磁石として機能し、前記端末側金属部との磁力によって吸引保持されることを特徴とする、携帯端末装置。
【請求項1】
充電器と、該充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置と、からなる充電システムであって、
前記携帯端末装置は、端末側端子と、磁性材料からなる端末側金属部と、を備え、
前記充電器は、充電側端子と、磁性材料からなり前記端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、該充電側金属部に巻回されたコイルと、スイッチと、を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記スイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電が開始され、かつ、前記コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、前記端末側金属部との磁力によって前記携帯端末装置が吸引保持されることを特徴とする、充電システム。
【請求項2】
前記スイッチは、前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させるための掛止によって、オンされることを特徴とする、請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記充電側金属部は、前記スイッチがオフされるまで、前記端末側金属部を追従可能に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記端末側端子と前記充電側端子とは弾性力によって圧接することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記端末側金属部は、端末側端子を兼ね、前記充電側金属部は、充電側端子を兼ねることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電側金属部は、一次磁石となる軟鉄で形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の充電システム。
【請求項7】
携帯端末装置の電池を充電する充電器であって、
前記携帯端末装置に設けられた端末側端子に当接する充電側端子と、
磁性材料からなり、前記携帯端末装置に設けられた磁性材料からなる端末側金属部に対向して位置する充電側金属部と、
前記充電側金属部に巻回されたコイルと、
スイッチと、
を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記スイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電を開始し、かつ、前記コイルと充電側金属部とを電磁石として機能させ、前記端末側金属部との磁力によって前記携帯端末装置を吸引保持することを特徴とする、充電器。
【請求項8】
充電器に載置して自己に備わる電池を充電する携帯端末装置であって、
前記充電器に設けられた充電側端子に当接する端末側端子と、
磁性材料からなり、前記充電器に設けられた磁性材料からなる充電側金属部に対向して位置する端末側金属部と、
を備え、
前記端末側端子と前記充電側端子とを接触させた後、前記充電器のスイッチがオンされると、前記端末側端子と前記充電側端子とを通じて前記電池への充電が開始され、かつ、前記充電器のコイルと充電側金属部とが電磁石として機能し、前記端末側金属部との磁力によって吸引保持されることを特徴とする、携帯端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−167560(P2008−167560A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353443(P2006−353443)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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