説明

充電システムおよび充電方法

【課題】小さな容量のスイッチング素子を採用して大きな充電電流で充電することができる充電システムを提供する。
【解決手段】充電制御回路150は、FET103、105をPWM制御方式でスイッチング制御して急速充電が可能なリチウム二次電池を含む電池パック21を充電する。充電制御回路は定電流充電においてスイッチング周波数を200KHzに設定し、定電流充電の末期近くにおいて400KHzに設定する。スイッチング周波数の切り換えは、周波数切換回路130は出力電圧が所定値に到達したときに生成した切換信号に基づいて行う。切換信号は、出力電圧のリップル電圧で電池パックの保護回路が動作しないように生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に使用する半導体スイッチの発熱を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
DC/DCコンバータで二次電池を充電する充電器は、直流の入力電圧をMOS−FETのような半導体素子のスイッチング素子をパルス幅制御(PWM:Pulse Width Modulation)方式または周波数制御(PFM:Pulse Frequency Modulation)方式でスイッチング制御して直流の出力電圧を生成する。PWM方式ではスイッチング素子がオン期間とオフ期間の合計時間に相当する周期に対応するスイッチング周波数を一定にしてオン期間を制御し、PFM方式ではオン期間を一定にしてオフ期間を制御することでスイッチング周波数を変化させて出力電圧を一定の範囲に制御する。
【0003】
充電器は、スイッチング素子の他に、制御用のICチップ、インダクタ、および平滑コンデンサを含んで構成されている。スイッチング素子は、動作中の発熱による温度上昇を所定の範囲以下に抑える必要がある。スイッチング素子は、オン抵抗、ゲート充電電荷量、ターンオン時間、およびターンオフ時間などの素子に固有の定数と入力電圧および出力電流(充電電流)などの回路定数とスイッチング周波数で発熱量が決まる。
【0004】
充電器の設計では、入力電圧および出力電流が決まるとスイッチング素子を選定してスイッチング周波数を決める。DC/DCコンバータは、原理上出力電圧にリップル成分を含むのでこのとき許容されるリップル含有率も考慮する。リップル含有率は、スイッチング周波数が低いほど多くなる。その後、出力電流に適合するインダクタを選定し、最後にリップル電圧を許容範囲に収めるためのコンデンサを決める。ここで、スイッチング周波数が低いほど発熱量が少なくなるため小型のスイッチング素子を使用することができるが、逆にリップル電流は大きくなるためリップル電圧を所定の範囲に収めるためのインダクタおよび平滑コンデンサが大型化するという問題が残る。
【0005】
リチウム二次電池は、定電圧定電流方式で充電される。リチウム二次電池の充電では、安全を維持し劣化の促進を抑制する上で電池セルに対する充電電圧の上限を厳しく管理する必要があり、過電圧保護回路を設けて充電電圧の最大値を制御している。定電圧領域で充電している間は、充電器の出力電圧が最大値に到達しているため、出力電圧に重畳されるリップル電圧が大きいと過電圧保護回路が動作する。
【0006】
また、定電圧領域での出力電圧の設定を下げてリップル電圧が大きくなっても過電圧保護回路が動作しないようにすると、充電が終了したときの満充電容量が小さくなるため必要以上に出力電圧を下げることは好ましくない。したがって、これまではPWM方式のDC/DCコンバータを採用した充電器では、定電圧領域で過電圧保護回路が動作しないように、ある程度高いスイッチング周波数を定電流領域の充電から定電圧領域の充電まで固定して使用していた。
【0007】
特許文献1および特許文献2は、軽負荷時に発振周波数を下げて効率を改善し、重負荷時に発振周波数を上げて良好な応答特性と低リップル電圧を得るスイッチング・レギュレータを開示する。特許文献3は、ピークホールド回路により、脈流のピーク値をモニタして定電流定電圧方式によりリチウム電池を充電する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−155281号公報
【特許文献2】特開2010−178608号公報
【特許文献3】特許第3620118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年リチウム二次電池に、大きな充電電流を流して短時間で充電することができる急速充電型のものが採用されてきている。急速充電型のリチウム二次電池を急速充電する充電器は大電流を流す必要があるために、DC/DCコンバータのスイッチング素子の電力損失による発熱が問題になる。大容量のスイッチング素子を採用して対応する方法もあるが、サイズが大きくなりまたコストも上昇するといった問題がある。
【0010】
二次電池の充電特性を分析すると、充電器はデバイスに電力を供給するDC/DCコンバータと異なって、充電の初期から終了までの全充電期間にわたってリップル含有率を所定の範囲に収める必要がないことがわかってきた。したがって、この充電特性に基づいて充電期間中の一定の範囲でスイッチング周波数を下げることができれば、必要以上に大きな容量のスイッチング素子を採用しない充電器で急速充電をすることができる。
【0011】
そこで本発明の目的は、小さな容量のスイッチング素子を採用して大きな充電電流で充電することができる充電システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、通常充電に適合するスイッチング素子を採用して急速充電が可能な充電システムを提供することにある。さらに本発明の目的は、そのような充電システムに採用する充電方法およびそのような充電システムを搭載した携帯式コンピュータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、直流の入力電圧をパルス幅制御方式でスイッチング制御する充電システムに関する。パルス幅制御方式では、スイッチング周波数を一定にしてデューティ比を調整し出力電圧を制御する。スイッチング周波数が高いほうが出力電圧に含まれるリップル電圧が減少するので質のよい出力電圧を生成することができる。出力電圧に重畳されるリップル電圧は過電圧保護回路を動作させる。
【0013】
他方においてスイッチング周波数が高くなるとスイッチング素子の発熱量が多くなり大型のスイッチング素子を採用する必要がある。充電器において問題になるリップル電圧は、直流成分に対する交流成分の割合から計算するリップル含有率ではなく、リップル電圧が重畳された直流電圧のピーク値、すなわち、交流成分を含む出力電圧のピーク値である。本発明は、充電器では充電の進行に伴って出力電圧が変化するため、充電の全期間に渡って高いスイッチング周波数でリップル電圧を抑制する必要がないという新たな知見に基づいて、スイッチング素子の小型化を図るものである。
【0014】
スイッチング素子は、直流の入力電圧を所定のスイッチング周波数でスイッチングして生成した出力電圧で二次電池を充電する。制御回路はスイッチング素子を充電の開始直後は第1のスイッチング周波数で動作させ、周波数切換条件が成立したときに第1のスイッチング周波数よりも高い第2のスイッチング周波数で動作させる。充電の開始直後は低いスイッチング周波数であっても出力電圧も低いので充電回路ではリップル電圧の大きさが問題にならない。そして、充電が進行して出力電圧が上昇したときに高いスイッチング周波数に切り換えることでリップル電圧を小さくして、充電の開始から充電の終了までの間に直流成分に交流成分が重畳された出力電圧のピーク値を所定値以下にすることができる。
【0015】
周波数切換条件は、出力電圧に含まれるリップル電圧で二次電池を保護する保護回路が動作しない範囲で、かつ、最も充電電気量が多くなるタイミングに設定することが望ましい。保護回路が動作しない範囲はリップル電圧のピーク値に所定のマージンを見込んで決定することができる。このマージンは第2のスイッチング周波数で動作するときの保護回路の動作に対するマージンと同等に設定することができる。
【0016】
最も充電電気量が多くなるタイミングは最も充電時間が進行したタイミングということもできる。できるだけ充電が進行してから第2のスイッチング周波数に切り換えることで、第2のスイッチング周波数で動作する時間を短くしてスイッチング素子の発熱を効果的に抑制することができる。また、スイッチング素子は、同期整流方式で動作する第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子で構成することもできる。このとき、第2のスイッチング素子は、ダイオードで構成することもできる。
【0017】
本発明にかかる充電システムは、出力電流が大きい定電流充電期間と出力電圧が高い定電圧充電期間を含む定電流定電圧制御方式の充電に適している。この場合、制御部はスイッチング素子を、定電流充電期間の大部分では第1のスイッチング周波数で動作させ、定電流充電期間の一部と定電圧充電期間のすべてにおいては第2のスイッチング周波数で動作させることができる。このときスイッチング周波数の切り換えのタイミングは、定電流充電期間の末期の近くになる。
【0018】
制御部は、定電流充電期間中に出力電圧の平均値が所定値に到達したとき、二次電池の残存電気量が所定値に到達したとき、スイッチング素子のデューティ比が所定値に到達したとき、またはリップル電圧を含む出力電圧のピークが所定値に到達したときのいずれかまたはその組み合わせに基づいて周波数切換条件が成立したと判断することができる。出力電圧の平均値は、電池セルの電圧の平均値とすることもできる。二次電池はリチウム二次電池を採用することができる。また、二次電池は1Cを越える充電電流で充電することが可能な急速充電型とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、小さな容量のスイッチング素子を採用して大きな充電電流で充電することができる充電システムを提供することができた。さらに本発明により、通常充電に適合するスイッチング素子を採用して急速充電が可能な充電システムを提供することができた。さらに本発明により、そのような充電システムに採用する充電方法およびそのような充電システムを搭載した携帯式コンピュータを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態にかかるノートPCの構成を示す概略の機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる充電器の構成を示す概略の機能ブロック図である。
【図3】充電制御回路の構成を示す概略の機能ブロック図である。
【図4】定電流充電の末期近くにおいて、スイッチング周波数を切り換えるときにリップル電流が変化する様子を示す図である。
【図5】スイッチング周波数を切り換えるタイミングを決定する方法を説明する図である。
【図6】充電器の動作を示すフローチャートである。
【図7】充電中の充電器および電池パックの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[ノートPCの構成]
図1は、本実施の形態にかかるノートPC10の構成を示す概略の機能ブロック図である。図1において要素間を接続する太いラインは電力ラインを示し、細い線は信号ラインを示している。ノートPC10は、CPU11、メイン・メモリ13、ハードディスク・ドライブ(HDD)15、LCD17などがバス19に接続されている。これらの要素は本発明との関係では周知の機能を果たすだけであるため説明は省略する。バス19には、エンベデッド・コントローラ(EC)23が接続されている。
【0022】
EC23は、CPU、ROM、RAMなどで構成されたマイクロ・コンピュータであり、さらに複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマー、およびディジタル入出力端子を備えている。EC23には信号ラインで、電池パック21、充電器100、およびDC/DCコンバータ25が接続されている。EC23は、CPU11とは独立して動作してDC/DCコンバータ25の動作を制御し、ノートPC10の電力を管理したり、図示しない放熱ファンの回転速度を制御してデバイスの温度を管理したりする。
【0023】
EC23と電池パック21はSMバスで接続されており、EC23は電池パック21から定電流充電期間中に出力電流を制御する基準となる設定電流値および定電圧充電期間中に出力電圧を制御する基準となる設定電圧値、電池セルの電圧および残存電気量(SOC:State of Charge)などの情報を受け取ることができる。EC23は、電池パック21から受け取った情報に基づいて充電器100に設定電流値および設定電圧値を設定する。
【0024】
AC/DCアダプタ27は、商用電源の交流電圧を20Vの直流電圧に変換して充電器100およびDC/DCコンバータ25に電力を供給する。電池パック21はスマート・バッテリィ・システム(SBS)規格に準拠しており、ノートPC10にAC/DCアダプタ27が電力を供給しないときにDC/DCコンバータ25に電力を供給する。電池パック21は3個のリチウム二次電池のセルが直列に接続されて構成された電池セット、過電圧過電流保護回路、温度保護回路、および残存電気量を計算する残存電気量計などを含む。リチウム二次電池のセルは、充電電圧を4.2Vに設定するため、充電器100の設定電圧は12.6Vになる。
【0025】
過電圧保護回路は2段階で構成されており、電池セルの充電電圧が1段目の閾値を越えたときに復帰可能なスイッチング素子が動作し、さらに高い2段目の閾値を超えたときに保護ヒューズが溶断するようになっている。保護ヒューズは、充電電圧が所定値を越えたときに発熱素子に電流が流れて低融点金属を溶断し電池セルを保護する。電池セルは急速充電が可能なタイプである。
【0026】
リチウム二次電池は1Cの充電電流で充電することを基準にするが、寿命を延ばすために、0.7Cまたは0.5Cといったより小さな充電電流で充電することが多い。充電電流の単位Cは、公称の容量を有する電池セルを定電流で充電したときに、1時間で充電が完了する電流値に相当し、たとえば1Ahの電池セルを1Aで充電するときには1Cとなり5Aで充電するときは5Cとなる。本明細書では、1C以下の充電電流で充電する場合を通常充電といい、1Cを越える充電電流で充電する場合を急速充電ということにする。
【0027】
急速充電が可能か否かは電池の性能に依存しており、急速充電できない電池を1C以上の充電電流で充電すると安全上の問題がでてくる。電池パックはEC23を通じて要求する充電電流で急速充電か通常充電かを表明する。充電器100はスイッチング素子が、通常充電に適合するように選定されているが本発明によるスイッチング周波数の切り換えにより急速充電に対応できるようになっている。ただし、充電器100はEC23を通じて、電池パック21から通常充電の充電電流が要求されたときは、要求された充電電流で充電するように動作する。
【0028】
充電器100は、電池パック21から定格の出力電流を越える充電電流での充電が要求されたときは、定格の出力電流で充電するように動作する。DC/DCコンバータ25は、ノートPC10を構成するデバイスに所定の電圧で電力を供給する。DC/DCコンバータ25は、AC/DCアダプタ27が接続されている間は、AC/DCアダプタ27から電力の供給を受けるので、充電器100のスイッチング周波数を変更しても影響を受けない。
【0029】
[充電器の構成]
図2は、本実施の形態にかかる充電器100の構成を示す機能ブロック図で、図3は充電制御回路150の構成を示す機能ブロック図である。充電器100は、充電制御回路150、ハイサイドのFET103、ローサイドのFET105、インダクタ107、平滑コンデンサ109、電流電圧検出回路120、および周波数切換回路130で構成されている。充電器100は同期整流方式、PWM方式、定電流定電圧(CCCV)制御方式で電池パック21を充電する降圧型(ステップ・ダウン型)のDC/DCコンバータとして動作する。
【0030】
充電器100を構成する要素は、ノートPC10のマザーボードまたはドーターボードに表面実装されている。充電制御回路150は半導体チップで構成され、PWM制御回路151、ハイサイド・ドライバ153、ローサイド・ドライバ155、周波数設定回路157、および充電条件設定回路159で構成されている。なお、図3の点線で示したピーク電圧検出回路161および信号の経路については後に説明する。周波数設定回路157は、周波数切換回路130から受け取った周波数切換信号に基づいてPWM制御回路151にスイッチング周波数を設定する。充電条件設定回路159は、EC23から受け取った設定電流値および設定電圧値をPWM制御回路151に設定する。
【0031】
ハイサイド・ドライバ153はFET103のゲートに接続され、ローサイド・ドライバ155はFET105のゲートに接続されて、PWM制御回路151からの信号に基づいて対応するFET103、105を所定のスイッチング周波数で動作させるための電圧を印加する。PWM制御回路151は、FET103とFET105を交互にオン/オフして同期整流方式で動作させる。PWM制御回路151は、FET103とFET105が同時にオンになることを防止するシュート・スルー(shoot through)防止回路を含む。
【0032】
PWM制御回路151は、演算増幅器、三角波発振回路、およびコンパレータなどで構成され、電流電圧検出回路120から充電器100の出力電圧および出力電流に相当する電圧を受け取る。PWM制御回路151は、周波数設定回路157から受け取った信号に基づいて三角波発振回路の周波数をダイナミックに変更してFET103、105のスイッチング周波数を設定することができる。
【0033】
PWM制御回路151は、定電流充電期間は電流電圧検出回路120から受け取った出力電流に相当する電圧で帰還制御してデューティ比を調整し設定電流値を維持する。PWM制御回路151は、定電圧充電期間は電流電圧検出回路120から受け取った出力電圧に相当する電圧で帰還制御してデューティ比を調整し設定電圧値を維持する。PWM制御回路151が定電流充電の動作をするか定電圧充電の動作をするかは、電流電圧検出回路120の出力による。すなわち、PWM制御回路151は、電池セルの電圧が低くて出力電流が設定電流を越えようとする場合は定電流充電をするように動作するが、電池セルの電圧が高くなって出力電圧が設定電圧を超えようとしたときには定電圧充電をするように動作する。
【0034】
デューティ比とは、スイッチング周波数の1周期に対するハイサイドのFET103がオンしている期間の割合をいう。充電器100は降圧型であり、デューティ比Dに基づいて入力電圧Viをそれより低い出力電圧Voに変換する。リップル電流が断続しない連続導通の条件下でスイッチング制御が行われる場合は、デューティ比D、入力電圧Viおよび出力電圧Voの関係は、Vo=Vi×Dになり、デューティ比が大きくなると出力電圧は増加し、逆にデューティ比が小さくなると出力電圧は低下する。
【0035】
図2に戻って、入力端子101にはAC/DCアダプタ27から入力電圧Viが供給される。入力端子101には、FET103のドレインが接続され、FET103のソースには出力部104でFET105のドレインが接続されている。また、FET105のソースはグラウンドに接続されている。FET103、105はいずれもnチャネルMOS型のFETからなるスイッチング素子である。
【0036】
電流電圧検出回路120は、出力電流に相当する電圧を生成するセンス抵抗121と出力電圧に相当する電圧を生成するブリーダ抵抗(分圧抵抗)123、125で構成されている。出力部104はインダクタ107の一方の端子に接続され、インダクタ107の他方の端子はセンス抵抗121の一方の端子に接続され、センス抵抗121の他方の端子は出力端子111に接続されている。出力端子111には電池パック21が接続され出力電圧Voが出力される。センス抵抗121の他方の端子には、直列に接続されたブリーダ抵抗123、125、平滑コンデンサ109および周波数切換回路130がそれぞれグラウンドとの間に接続されている。
【0037】
周波数切換回路130は、ツェナー・ダイオード131、pチャネルMOS型のFET135およびnチャネルMOS型のFET137を含んでいる。出力端子111には、ツェナー・ダイオード131のカソードが接続され、ツェナー・ダイオード131のアノードは抵抗133の一方の端子に接続され、抵抗133の他方の端子はグラウンドに接続されている。抵抗133の一方の端子は、FET137のゲートと周波数設定回路157に接続されている。FET135のドレインは周波数設定回路157に接続され、ソースは電源Vccに接続され、ゲートはFET137のドレインに接続されている。FET137のソースはグラウンドに接続されている。
【0038】
ここで、周波数切換回路130の動作を説明する。後に説明するように出力電圧Voはリップル成分を含むため、周波数切換回路130は出力電圧Voから安定した周波数切換信号を生成して周波数設定回路157に送る必要がある。定電流充電期間中においてリップル電圧を含む出力電圧Voがツェナー・ダイオード131の降伏電圧に達する前は、FET137およびFET135はオフになっている。したがって、周波数設定回路157の入力電圧はローになって周波数切換信号はネゲートされている。出力電圧Voが降伏電圧に到達すると、FET137およびFET135がオンになって、周波数設定回路157の入力は電源電圧Vccでハイになり周波数切換信号がアサートされる。
【0039】
周波数設定回路157は、入力がローのときにはスイッチング周波数がたとえば200KHzになるようにPWM制御回路151に設定し、入力がハイのときにはスイッチング周波数がたとえば400KHzになるようにPWM制御回路151に設定する。一旦周波数切換信号がアサートされると、FET137のゲートが周波数切換回路130の出力に接続されているので、出力電圧Voが変動してもその状態は維持される。したがって、出力電圧Voが大きなリップル電圧を含んでいても周波数切換回路130は安定した動作をする。
【0040】
そして、充電器100が動作を停止するときに制御回路150またはEC23が電源電圧Vccを停止することで、周波数切換回路130はリセットされる。なお、電源電圧Vccは、つぎに充電器100が動作するときに供給される。本実施の形態では、充電器100のスイッチング周波数を2段階で切り換える例を説明するが、3段階以上でスイッチング周波数が増大するように切り換えることもできる。スイッチング周波数の切り換え段数を多くすれば、充電器は定電流充電期間中に保護ヒューズが動作しない範囲における最も発熱量が少ないスイッチング周波数で動作することができるようになる。なお、スイッチング周波数をダイナミックに切り換えることができる半導体チップは周知である。
【0041】
なお、図2、図3は本実施の形態を説明するために、本実施の形態に関連する主要なハードウエアの構成および接続関係を簡略化して記載したに過ぎないものである。図で記載した複数のブロックを1個の集積回路もしくは装置としたり、逆に1個のブロックを複数の集積回路もしくは装置に分割して構成したりすることも、当業者が任意に選択することができる範囲においては本発明の範囲に含まれる。
【0042】
[FETの発熱]
MOS型のFETがオン/オフするときに発生する損失(以下、FET損失という。)としては、主として導通損失、ゲート充電損失、およびスイッチング損失がある。導通損失はオンしているFETを流れる電流とオン抵抗により発生する損失である。ハイサイドのFET103の導通損失をPchとし、ローサイドのFET105の導通損失Pclとすると、それぞれ式(1)、式(2)で計算することができる。
【0043】
Pch=D×Io2×Ron×α (1)
Pcl=(1−D)×Io2×Ron×α (2)
ここで、Dはデューティ比で、Ioは出力電流の実効値で、Ronは各FETのオン抵抗で、αは定数である。式(1)、(2)から明らかなように導通損失は、電流が流れている時間、出力電流の2乗およびオン抵抗に比例する。ゲート充電損失Pgcは、FETのゲート容量を充電するときに発生する損失でハイサイドのFETおよびローサイドのFETについて式(3)で計算することができる。
【0044】
Pgc=Vgs×Qg×f (3)
ここで、Vgsはゲート・ソース間電圧で、Qgはゲート充電電荷量で、fはスイッチング周波数である。式(3)から明らかなようにゲート充電損失Pgcは、ゲート・ソース間電圧、ゲート充電電荷量およびスイッチング周波数に比例する。スイッチング損失Pswは、FETがターンオンまたはターンオフするときの過渡期間中に、ゲート・ソース間の電圧と過渡期間中に流れる電流により生ずる損失でハイサイドのFETにのみ発生し、式(4)で計算することができる。
【0045】
Psw=β×Vi×Io×(tr+tf)×f (4)
ここで、βは定数で、Viは入力電圧で、Ioは出力電流で、trはターンオン時間で、tfはターンオフ時間で、fはスイッチング周波数である。ターンオン時間とターンオフ時間の合計時間をスイッチング時間という。式(4)から明らかなように、スイッチング損失Pswは、入力電圧、出力電流、スイッチング時間、およびスイッチング周波数に比例する。
【0046】
なお、FET103とFET105が切りかわる瞬間には、シュート・スルー防止回路がデッドタイムを形成してグラウンドに流れる電流を阻止するために一旦両方のFETがオフになる。したがって、ローサイドのFET105がターンオンするタイミングでは入力電圧Viと出力電流Ioがオーバーラップせず、また、環流電流が流れ始めるタイミングではローサイドのFET105の寄生ダイオードが作用するのでインダクタ107の電圧も印加されないためローサイドのFET105にはスイッチング損失が発生しない。
【0047】
式(1)から式(4)によれば、FET損失はスイッチング周波数が高いほど大きくなることがわかる。FET損失はFETの発熱量に対応し、FETの温度を上昇させる。したがって、入力電圧Viと出力電圧Ioが一定の場合には、スイッチング周波数を低くしたほうがFETの温度上昇を抑制することができる。FETのオン抵抗は定格電流が小さいほど大きいので、発熱量を同一にする場合にはスイッチング周波数が低い方が定格電流の小さなFETを選択することができる。
【0048】
[リップル電圧と周波数切換信号の生成タイミング]
充電器100は、定電流領域での充電の際に当初は200KHzという低いスイッチング周波数で動作し、定電流領域の末期に近付いたときは400KHzという高いスイッチング周波数で動作する。以下においては、このスイッチング周波数の切り換えについて説明する。充電器100は、FET103がオンでFET105がオフになっているオン期間またはデューティ期間は、入力端子101から流れ込んだ電流が出力部104からインダクタ107を経由して出力端子111から電池パック21に流れ出る。オン期間にはインダクタ107にエネルギーが蓄積される。FET103がオフでFET105がオンになっているオフ期間または環流期間は、インダクタ107に蓄積されたエネルギーが出力端子111、電池パック21およびFET105を通じて環流電流として流れる。
【0049】
インダクタ107には、平均値としての出力電流Ioにリップル電流ΔI(ピーク間値)が重畳された電流が流れる。平滑コンデンサ109には交流成分であるリップル電流ΔIが流れ、電池パック21には平滑コンデンサ109に流れたリップル電流を除いた出力電流Ioが流れる。充電器100が連続導通でかつ定常状態で動作するときは、インダクタ107に流れるリップル電流ΔIは、入力電圧をVi、出力電圧をVo、デューティ比をD、インダクタ107のインダクタンスをL、スイッチング周波数をfとしたときに、式(5)で表すことができる。
ΔI=Vo(1−D)/(fL)=(Vi−Vo)D/(fL) (5)
【0050】
ここで、Vo=Vi×Dの関係になる。リップル電流ΔIが平滑コンデンサ109に流れ込むとき、コンデンサ109の等価直列抵抗をESR(Equivalent Series Resistance)とすれば、出力端子111に発生するリップル電圧ΔVo(ピーク間値)は、式(6)となる。
ΔVo=ESR×ΔI (6)
したがって、リップル電圧ΔVoはスイッチング周波数fに反比例するので、充電器100が定電流領域の末期において出力電圧が高くなった状態で低いスイッチング周波数fで動作すると、リップル電圧が重畳された出力電圧のピーク値が高くなる。
【0051】
図4は、定電流領域の末期近くにおいて、スイッチング周波数を切り換えるときにリップル電流が変化する様子を示している。ライン201は、スイッチング周波数に対応する周期Tsで入力電圧Viをスイッチング制御して平均値としての出力電圧Voを生成している様子を示す。ライン203は、定電流領域の初期から末期近くまでスイッチング周波数を200KHzに設定したときのリップル電流を示す。ライン205は、定電流領域の充電末期の近くにおいてスイッチング周波数を200KHzに切り換えたときのリップル電流を示す。
【0052】
リップル電圧ΔVoは、電池パック21を充電する充電電圧Voに重畳される。充電電圧にリップル電圧が重畳されると、保護ヒューズはリップル電圧に反応して動作する。充電器100の出力電圧Voの平均値は、リップル電圧で保護ヒューズが動作しない値に設定する必要がある。リップル電圧が大きい場合は出力電圧を下げる必要があるが、出力電圧を下げると満充電に到達したときに十分に充電することができなくなる。
【0053】
これまでのように充電器が定電流領域および定電圧領域の全域に渡って一定のスイッチング周波数で動作していた場合は、出力電圧が最も高くなる定電圧領域で保護ヒューズが溶断しないようにたとえば400KHZといったスイッチング周波数で動作していた。定電流流域のスイッチング周波数を従来よりも低い200KHzにすると、リップル電圧が大きくなる。充電が進行して出力電圧が上昇しているにも関わらず200KHzのスイッチング周波数でのスイッチング動作を継続すると、定電流領域においてリップル電圧が保護ヒューズを溶断する危険性があるので、適当なタイミングでスイッチング周波数を切り換える必要がある。
【0054】
図5は、スイッチング周波数を切り換えるタイミングまたは周波数切換条件の成立を決定する方法を説明する図である。縦軸は充電器100の出力電圧Voを示している。出力電圧波形211は、充電器100が200KHzのスイッチング周波数で動作したときに定電流充電期間の末期に近い時刻での電圧を示し、出力電圧波形213は定電圧充電期間の電圧を示している。出力電圧波形211、213には、直流電圧にリップル電圧が重畳されている。
【0055】
ここでは、出力電圧をセル電圧に換算して説明する。ライン215は、電池パック21の保護ヒューズが動作する保護電圧Vovpで一例では4.3Vである。ライン217は出力電圧波形211、213のピーク値に一致するピーク電圧Vpである。ライン219は、出力電圧波形211の平均電圧Vf1を示し、ライン221は出力電圧波形213の平均電圧Vf2を示している。一例では平均電圧Vf1は4.15Vで、平均電圧Vf2は4.2Vである。
【0056】
定電圧充電期間は出力電圧が設定電圧(Vf2)に維持され、全充電期間の中で充電電圧が最も高くなっている。ピーク電圧Vpと保護電圧Vovpとの間には、保護ヒューズが動作しないようにマージンを設けている。そして、出力電圧波形213のピーク値がピーク電圧Vpに一致するように平均電圧Vf2が充電器100の設定電圧として設定される。電池パック21の電池セルの充電電圧は、定電流領域での充電が進行するにしたがって上昇する。
【0057】
したがって定電流領域で、充電器100がスイッチング周波数200KHzで動作して充電電圧が上昇したときに、出力電圧波形211のピーク値がピーク電圧Vpに一致する時点またはその直前でスイッチング周波数を400KHzに切り換えてリップル電圧を下げると、その後さらに充電電圧が上昇しても、保護電圧Vovpに対するマージンを定電圧領域でのマージンと同等以下に確保することができる。平均電圧Vf1、Vf2とピーク電圧Vpとの関係は実験で求めることができる。出力電圧波形211のピーク値がピーク電圧Vpに到達する前にスイッチング周波数を400KHzに切り換えると、無駄にFET103、105の温度が上昇するので好ましくない。
【0058】
[充電方法]
図6はノートPC10に搭載された充電器100の動作を示すフローチャートである。図7は、充電中の充電器および電池パックの状態を示す図である。図6のブロック301では、ノートPC10にAC/DCアダプタ27が接続されている。周波数切換回路130はリセットされ、周波数設定回路157にはロー信号が入力されて周波数切換信号はネゲートされている。ブロック303では電池パック21は、内部で残存電気量を検出して充電が必要になったと判断して、SMバスを通じてEC23に設定電流Ichgおよび設定電圧をVchg通知する。このとき、電池パック21は急速充電を要求するために、2Cの設定電流で充電を要求する。
【0059】
電池パック21が充電要求をして充電が開始するときは、充電器100は最初に定電流領域での充電を行う。ブロック305では、周波数設定回路157にはロー信号が入力されているためPWM制御回路151はスイッチング周波数を200KHZに設定して動作する。残存電気量の少ない電池セルの電圧は低いため、PWM制御回路151は設定電流Ichgを維持するのに必要な比較的小さなデューティ比でFET103、105を動作させる。
【0060】
図7では、ライン351は充電器100の出力電圧Voを示し、ライン353は充電電流Ioを示し、ライン355は残存電気量または充電電気量を示し、ライン359はFET103の温度を示している。また、時刻0から時刻t2までは定電流充電期間を示し、時刻t2から時刻t3までは定電圧充電期間を示している。また、ライン357はスイッチング周波数以外の条件を同じにした従来の充電器が、本発明を適用しないでスイッチング周波数を充電の開始から充電の終了までの間400KHzに設定して充電する場合のFET103の温度を示している。
【0061】
定電流領域での充電が進行すると電池セルの電圧が上昇するため、PWM制御回路151は設定電流Ichgを維持するためにデューティ比を次第に大きくして、FET103、105の動作を制御する。FET103、105は、200KHzで動作するため、400KHzで動作する場合に比べてFET損失が少なく温度上昇はライン359に示すように緩慢になる。ブロック307では、周波数切換回路130は周波数切換条件が成立したか否かを判断している。周波数切換条件は、図5で説明したように出力電圧Voに重畳されたリップル電圧のピーク値が、ライン217のピーク値Vpに一致したときに成立する。周波数切換条件は、出力電圧に含まれるリップル電圧で電池パック21を保護する保護ヒューズが溶断しない範囲で、かつ、最も充電電気量が多くなるタイミングに設定することが望ましい。
【0062】
時刻t1で出力電圧Voのピーク値がピーク電圧Vpに対応するツェナー・ダイオード131の降伏電圧を越えると、周波数切換回路130は周波数設定回路157に周波数切換信号を送る。ブロック309では、時刻t1でPWM制御回路151はスイッチング周波数を400KHzに切り換える。時刻t1は定電流充電期間のなかで、定電流充電から定電圧充電に切り換わる直前の時刻である。一例では定電流充電期間中に200KHzで動作する時間と400KHzで動作する時間の割合は9:1で、充電器100はほとんどの時間帯を200KHzでスイッチング制御する。
【0063】
時刻t1から時刻t2までの間は、充電電流Ioが設定電流Ichgに等しくなっており、かつ、スイッチング周波数は400KHzであるため、FET103の発熱量はライン357の発熱量と同じになるため、ライン359の温度上昇勾配はライン357と一致する。そして、さらに定電流充電が進行して、ブロック311ではPWM制御回路151は、電流電圧検出回路120からの電圧信号で、出力電圧Voが設定電圧Vchgに到達したと判断する。
【0064】
時刻0から時刻t1までの間のFET103の温度上昇は抑制されているので、時刻t2でライン359が示すFET103の温度は、ライン357が示すFET103の温度よりも低くなっている。ブロック313で定電圧充電に移行すると、PWM制御回路151は出力電圧Voが設定電圧Vchgを越えないように、FET103、105をより小さなデューティ比で制御する。定電圧領域に入ると出力電圧Voとセル電圧の差が次第に小さくなって、設定電圧Vchgを維持するためのデューティ比もそれに応じて下がり出力電流も次第に低下する。
【0065】
したがって、定電圧領域に入ると導通損失が低下するのでFET103の温度は下降する。定電圧領域ではスイッチング周波数は400KHzに設定されるため、200kHzの場合に比べてリップル電圧が小さく、電池パック21の保護ヒューズが溶断することはない。PWM制御方式の充電器は、入力電圧と出力電圧の差が大きいような場合に、出力電流が微少になったときにすべての連続する周期にオン期間を設けないで、複数の周期をスキップしてオン期間を設ける場合がある。このように出力電流が小さいときに、見かけ上スイッチング周波数が変化するような動作をする充電器も本発明にかかるPWM制御方式の充電器の範疇に含む。
【0066】
ブロック315では電流電圧検出回路120が、時刻t3で出力電流が所定値まで低下したことを検出すると、PWM制御回路151は充電を停止し、周波数切換回路130をリセットする。ブロック307では、周波数切換条件を充電器100の出力電圧Vo(平均電圧)で判断する例を示したが、電池パック21から受け取った電池セルの電圧(平均電圧)で判断することもできる。また、スイッチング周波数を200KHzにしたときに出力電圧Voに混入するリップル電圧のピーク値が、ピーク電圧Vpに到達するタイミングは、電圧以外の方法で特定することもできる。
【0067】
1つには、電池セルの残存電気量を利用する方法がある。図7に示したように充電中の電池セルの電圧が増大すると残存電気量も増大する。したがって残存電気量が所定値に到達したことを電池パック21がEC23に通知し、EC23が図3に示すように周波数設定回路157に周波数切換信号を送る。切換条件としての残存電気量は、一例としてはSOC70%とすることができる。
【0068】
他には、デューティ比を利用する方法がある。定電流充電期間中は、電池セルの電圧の上昇に伴い、出力電流Ioを設定電流Ichgに維持するためにデューティ比が次第に上昇する。したがって、図3に示すようにPWM制御回路151はデューティ比が所定値に到達したときに周波数設定回路157に周波数切換信号を送って、スイッチング周波数を切り換えるようにすることもできる。さらに他には、図3に示すように、充電制御回路150にピーク電圧検出回路161を設け、リップル電圧を含む出力電圧のピーク値がピーク電圧Vpに到達したことを検出して周波数設定回路157に周波数切換信号を送り、スイッチング周波数を切り換えるようにする方法がある。
【0069】
本実施の形態にかかる充電システムは、ノートPCへ実装するだけでなく、自動車用の電池や工具の電池を充電する機器に広く適用することができる。これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0070】
10…ノートPC
100…充電器
150…充電制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅制御方式の充電システムであって、
二次電池と、
直流の入力電圧を所定のスイッチング周波数でスイッチングして生成した出力電圧で前記二次電池を充電するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を充電の開始直後は第1のスイッチング周波数で動作させ、周波数切換条件が成立したときに前記第1のスイッチング周波数よりも高い第2のスイッチング周波数で動作させる制御部と
を有する充電システム。
【請求項2】
前記周波数切換条件を、前記出力電圧に含まれるリップル電圧で前記二次電池を保護する保護回路が動作しない範囲で、かつ、最も充電電気量が多くなるタイミングに設定した請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記スイッチング素子は、同期整流方式で動作する第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子を含む請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記制御部は前記二次電池を定電流充電期間と定電圧充電期間を含む定電流定電圧制御方式で制御する請求項1から請求項3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記制御部は前記スイッチング素子を、前記定電流充電期間の大部分では前記第1のスイッチング周波数で動作させ、前記定電流充電期間の一部と前記定電圧充電期間のすべてにおいて前記第2のスイッチング周波数で動作させる請求項4に記載の充電システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記定電流充電期間中に前記出力電圧の平均値が所定値に到達したときに前記周波数切換条件が成立したと判断する請求項4または請求項5に記載の充電システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記定電流充電期間中に前記二次電池の残存電気量が所定値に到達したときに前記周波数切換条件が成立したと判断する請求項4または請求項5に記載の充電システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記定電流充電期間中に前記スイッチング素子のデューティ比が所定値に到達したときに前記周波数切換条件が成立したと判断する請求項4または請求項5に記載の充電システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記定電流充電期間中にリップル電圧を含む前記出力電圧のピーク値が所定値に到達したときに前記周波数切換条件が成立したと判断する請求項4または請求項5に記載の充電システム。
【請求項10】
前記二次電池がリチウム二次電池である請求項1から請求項9のいずれかに記載の充電システム。
【請求項11】
前記二次電池が1Cを越える充電電流で充電することが可能な急速充電型である請求項10に記載の充電システム。
【請求項12】
二次電池と、
直流の入力電圧をパルス幅制御方式でスイッチングして生成した出力電圧で前記二次電池を充電するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子を充電の開始直後は第1のスイッチング周波数で動作させ、周波数切換条件が成立したときに前記第1のスイッチング周波数よりも高い第2のスイッチング周波数で動作させる制御部と
を有する携帯式コンピュータ。
【請求項13】
直流電圧をパルス幅制御方式でスイッチング制御する充電器で二次電池を充電する方法であって、
前記充電器に設定電流および設定電圧を設定するステップと、
前記設定電流を維持するようにスイッチング素子を第1のスイッチング周波数で動作させるステップと、
周波数切換条件が成立するか否かを判断するステップと、
前記周波数切換条件が成立したときに前記スイッチング素子を前記第1のスイッチング周波数よりも高い第2のスイッチング周波数で動作させるステップと
を有する方法。
【請求項14】
前記設定電圧を維持するように前記スイッチング素子を前記第2のスイッチング周波数で動作させるステップを有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記判断するステップを、前記スイッチング素子が前記第1のスイッチング周波数で動作している間に行う請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記判断するステップを、前記充電器の出力電圧が含むリップル電圧のピーク値が所定値に到達したか否かを基準にして判断する請求項13から請求項15のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−80696(P2012−80696A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224851(P2010−224851)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
【復代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
【Fターム(参考)】