説明

充電システム

【課題】給電源から給電対象の蓄電池へ供給される電力の盗難を抑制することができる充電システムを提供する。
【解決手段】携帯機33が住宅11の内部に存在しているかどうかが判定されて、当該携帯機33が屋内に存在する旨判定されるとき、携帯機33に対応する車両41に対してのみ給電が許可される。携帯機33の屋内における存否の確認は、当該携帯機33と屋内に設けられる通信装置32との無線通信を通じて行われる。そしてさらに当該無線通信を通じて取得される携帯機33のIDコードと、車両41に接続された充電ケーブル15を通じて取得される車両41のIDコードとの照合を通じて、当該携帯機33が当該車両41に対応するものであるか否かの判断がなされる。したがって、車両41に対応する携帯機33が住宅11の内部に存在しない限り、当該車両41への給電が許可されることはない。このため、電力の盗難を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物から給電対象への給電を通じて当該給電対象の蓄電池を充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン及びモータを駆動源として走行するいわゆるハイブリッド車、あるいはモータを駆動源として走行する電気自動車が普及しつつある。この種の車両においては、蓄電池に蓄えられた電力を使用してモータを駆動させるところ、その走行に伴い蓄電池の電圧は徐々に低下する。この場合には、当該蓄電池を充電する必要がある。蓄電池の充電は、例えば特許文献1に示されるように、家庭用電源(商用電源)を利用して行われる。すなわち、車両の蓄電池を充電する場合には、充電ケーブルを介して住宅の屋外コンセントと車両の充電用コネクタとの間を接続する。この後、電力線である充電ケーブルを通信線としても利用する電力線搬送通信を通じて、住宅と車両との間で各種の情報の授受が行われる。この電力線搬送通信を通じて、車両と住宅とが互いに対応する正規のものであるかどうかの認証が行われて、当該認証が成立することを条件として車両の蓄電池への充電が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−61432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の充電システムには、次のような懸念があった。すなわち、当該システムでは、住宅と車両との間が充電ケーブルにより接続された際には、住宅から車両への給電自体は行われる。これは、住宅と車両との間で充電ケーブルを通じた電力線搬送通信を行うためである。当該システムでは、車両側において充電用コネクタと蓄電池との間の給電経路が遮断されることにより、蓄電池への給電が禁止されているにすぎない。そして車両側において、充電ケーブルを介して接続された住宅の認証が成立する旨判断される場合にのみ、蓄電池への給電が許可される。すなわち、車両側では、充電用コネクタと蓄電池との間の給電経路が遮断された状態から導通する状態へ切り替えられることにより、蓄電池への給電に対する禁止状態が解除される。これに対し、車両側において、充電ケーブルを介して接続された住宅の認証が成立しない旨判断される場合には、蓄電池への給電に対する禁止状態は維持される。しかし、この場合であれ、車両への給電自体は継続して行われる。
【0005】
このように、特許文献1の充電システムでは、住宅側ではなく、車両側で住宅からの電力を蓄電池に供給するか否かの判断が行われる。すなわち、住宅と車両との間が充電ケーブルにより接続された状態においては、車両の蓄電池への給電が行われるかどうかに関係なく、住宅から車両への給電自体は継続して行われる。住宅の電力が車両に供給されることと、当該供給される電力を車両の蓄電池へ供給することとは、全く別の問題とされている。このため、住宅と車両との間の認証が成立しない場合においては、当該車両の蓄電池への給電は確かに規制されるものの、充電ケーブルが接続されている限り、車両への給電自体は継続される。したがって、住宅から車両へ供給される電力の盗難のおそれが懸念される。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、給電源から給電対象の蓄電池へ供給される電力の盗難を抑制することができる充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、給電源である住宅から給電対象である車両への給電を通じて当該車両の蓄電池を充電する充電システムにおいて、ユーザに所持されて対応する車両との無線通信を通じて当該車両を遠隔制御する携帯機が前記住宅の内部に存在しているかどうかを判定し、前記携帯機が屋内に存在する旨判定されるとき、当該携帯機に対応する車両に対してのみ給電を許可することをその要旨とする。
【0008】
住宅の電源を利用して車両の蓄電池の充電を行う者としては、その住宅の住人又は知人等の来訪者が想定される。そしてこれらの者は、蓄電池への充電の際には、屋内に入ることが多いと考えられる。これに対して、住人等に何ら関係のない第三者が住宅の内部に入る蓋然性は低いと想定される。このため、携帯機が住宅の内部に存在する場合には、この携帯機を所持する者は、その住宅の住人、又は知人等の信頼のおける来訪者である蓋然性が高いと推定される。すなわち、住宅の内部における携帯機の存否を通じて、当該携帯機を所持する者の正当性を判定可能となる。そして当該携帯機が住宅の内部に存在している旨判定されるとき、当該携帯機を所持する者は正当な者であって、ひいてはこの者が所持する携帯機に対応する車両への給電についても正当なものである旨推定可能である。したがって、本発明によるように、車両に対応する携帯機が住宅の内部に存在する場合に限り、当該車両への給電を許可することにより、第三者による電力の盗難を防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の充電システムにおいて、前記住宅の内部に設けられて前記携帯機との通信を通じて当該携帯機の識別情報を取得する通信装置と、前記住宅側に設けられて当該住宅から前記車両への給電を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記車両との通信を通じて取得される当該車両の識別情報と、前記通信装置との通信を通じて取得される前記携帯機の識別情報との照合が成立する旨判定されるとき、当該携帯機は屋内に存在するとともに当該携帯機と前記車両とは対応するものであるとして前記車両への給電を許可することをその要旨とする。
【0010】
本発明によれば、コントローラと通信装置との通信を通じて、携帯機の屋内における存否を簡単に判定することができる。すなわち、通信装置を通じて携帯機の識別情報が取得される場合には、当該携帯機は屋内に存在する旨推定される。また、携帯機の識別情報と車両の識別情報との照合を通じて、携帯機と車両とが対応するものであるかどうかを簡単に判定することができる。さらに、コントローラと通信装置とが別個に設けられることにより、これらを住宅の内部における別々の場所に配設する必要がある状況にも好適に対応可能である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の充電システムにおいて、前記通信装置は、前記携帯機に対してその識別情報の無線送信を要求する要求信号の無線送信を通じて前記住宅の内部に前記携帯機との通信エリアを形成し、当該通信エリアの内部に進入した前記携帯機から前記要求信号に応答して無線送信される応答信号の受信を通じて前記携帯機の識別情報を取得することをその要旨とする。
【0012】
本発明によれば、通信装置は携帯機との無線通信を通じて当該携帯機の識別情報を容易に取得することができる。また、携帯機はもともと車両との間で無線通信を行うものであるため、これを利用して住宅側では携帯機の識別情報を取得することが可能になる。この場合には、携帯機に他の通信インターフェイスを設ける必要はない。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の充電システムにおいて、前記通信装置は、屋内における住宅の出入り口の近傍に前記通信エリアを形成することをその要旨とする。
住宅に入る場合には、必ずその出入り口を通る。このため、本発明によるように、携帯機との通信エリアを、屋内における住宅の出入り口の近傍に設定することにより、携帯機を所持するユーザが出入り口を通過する際に、当該携帯機の識別情報を自動的に取得することが可能になる。すなわち、携帯機を所持する者に意識させることなく当該携帯機の屋内における存否等が認証されて、住宅側から車両側への給電が許可される。したがって、蓄電池の充電作業に対する利便性を確保することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の充電システムにおいて、前記コントローラは、前記住宅と前記車両との間に接続される充電ケーブルを通じて、前記住宅から前記車両への給電、及び前記住宅と前記車両との通信を行うことをその要旨とする。
【0015】
本発明によれば、給電及び情報の授受が同一の充電ケーブルを通じて行われるので、設備コスト等の点で利点がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、給電源から給電対象の蓄電池へ供給される電力の盗難を抑制することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態の充電システムの構成を示すブロック図。
【図2】(a),(b)は、同じく屋内の通信エリアを示すブロック図。
【図3】同じく充電システムの動作手順を示すフローチャート。
【図4】第2の実施の形態の充電システムの要部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る充電システムを具体化した第1の実施の形態を説明する。本例の充電システムでは、給電源として住宅を、また給電対象として電気自動車又はいわゆるハイブリッド車両を想定している。ちなみに、電気自動車はモータを走行用の動力源とするものであり、ハイブリッド車両は内燃機関及びモータの双方を走行用の動力源とするものである。
【0019】
<住宅側の構成>
まず、充電システムの住宅側の構成を説明する。図1に示すように、住宅11の内部には、商用電源(交流100V)12からの交流電力を図示しない各種の電気設備へ供給する多数の屋内電力線13が配設されている。これら屋内電力線13のいずれか一は、住宅の内部に設けられる接続端子14に接続されている。この接続端子14を介して商用電源12からの交流電力を外部へ取り出し可能とされている。この接続端子14には、充電ケーブル15が接続されている。この充電ケーブル15の接続端子14と反対側の端部には、車両に着脱可能に接続されるプラグ16が設けられている。
【0020】
また、屋内電力線13のうち、接続端子14に接続された屋内電力線13aには、電流センサ17及び接点18が設けられている。電流センサ17は、屋内電力線13aに生じる電流を検出する。また接点18は、その開閉動作を通じて当該屋内電力線13aを開閉する。接点18は、通常時は閉じた状態に保持される。
【0021】
また、屋内電力線13aにおいて、接続端子14と接点18との間には、コントローラ20がPLCモデム21を介して接続されている。
PLCモデム21は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)を行う際に使用されるアダプタ(接続機器)且つ通信装置であって、交流電力と通信用信号との重ね合わせ及びこれらの分離を行う。ちなみに、電力線搬送通信とは、電力線を通信回線として利用する技術をいう。
【0022】
コントローラ20は、マイクロコンピュータを中心として構成されて、給電対象である車両への給電を制御する。コントローラ20は、PLCモデム21を通じて屋内電力線13aを使用した各種信号(情報)の授受が可能とされている。コントローラ20の記憶装置22には、各種の制御プログラム、及び車両との間の通信の用に供される各種の情報が記憶されている。
【0023】
コントローラ20は、接点18を通じて屋内電力線13aの開閉、すなわち外部(屋外)への電力の供給を制御する。通常、コントローラ20は接点18を閉じた状態に維持する。また、コントローラ20は、電流センサ17の検出結果に基づき充電ケーブル15が車両に接続されたことを認識する。これは、接点18が閉じた状態において、充電ケーブル15が車両に接続されたとき、商用電源12からの電力が充電ケーブル15を通じて車両へ供給されることに基づく。そしてコントローラ20は、充電ケーブル15が車両に接続された旨検出されるとき、ID要求信号Srq-caridを生成し、この生成したID要求信号Srq-caridを、電力線搬送通信を通じて車両側へ送信する。このID要求信号Srq-caridは、車両に対してそのIDコード(識別情報)の送信を要求する旨の指令信号である。
【0024】
コントローラ20には、通信線31を介して通信装置32が接続されている。通信装置32は、車両のユーザ等に所持される携帯機33との間の無線通信を通じて各種情報の授受を行う。この通信装置32は、例えば次のような構成とされている。すなわち、通信装置32の通信制御装置32aには発信機34及び受信機35が接続されている。発信機34は、通信制御装置32aからの指令に基づき住宅11の内部にLF帯の無線信号を発信する。受信機35は、UHF帯の無線信号を受信する。通信制御装置32aは、発信機34及び受信機35を制御するとともに、コントローラ20との間で通信線31を通じた通信(有線通信)を行う。
【0025】
図2(a),(b)に示されるように、通信装置32は住宅11の内部、例えば玄関等の出入り口36の近傍に設けられる。通信装置32(正確には、発信機34)は、コントローラ20からの指令に基づきLF帯の無線信号であるID要求信号Srq-keyidを発信することにより、住宅11の内部に携帯機33との通信エリア37を形成する。このID要求信号Srq-keyidは、携帯機33が住宅11の内部に位置しているか否かの確認を行うべく携帯機33に対して応答を要求する旨の指令信号である。
【0026】
この通信エリア37は、住宅11の出入り口36に設けられたドア38及び住宅11の壁39を屋外側へ越えない程度の範囲に設定される。また、この通信エリア37は、携帯機33を所持するユーザ等が出入り口36から住宅11の内部に進入する際に、当該ユーザ等に所持される携帯機33が存在であろうと想定される単数又は複数の位置を含む程度の範囲に設定される。なお、通信装置32の設置場所は、住宅11の出入り口36の近傍に限られない。例えば、図2(a),(b)に二点鎖線で示されるように、通信装置32を居間40等に設けるようにしてもよい。
【0027】
携帯機33を所持するユーザが通信エリア37に進入して当該携帯機33がID要求信号Srq-keyidを受信したとき、当該携帯機33はこれに応答して自身の記憶装置33aに記憶されたIDコード(識別情報)を含むID応答信号Srp-keyidを生成し、この生成したID応答信号Srp-keyidをUHF帯の無線信号として送信する。なお、携帯機33は内蔵された電池を動作電源として駆動する。
【0028】
<車両側の構成>
次に、車両側の構成を説明する。ここで本例の充電システムでは、その給電対象として、いわゆる電子キーシステムを搭載した車両を前提としている。電子キーシステムは、ユーザ等に所持される携帯機との無線通信を通じてユーザ認証を行い、当該認証結果に基づき車両のドアを施錠あるいは解錠したり、それらの動作を許可したりする。ここではまず、電子キーシステムの概要を説明し、次いで充電システムの車両側の構成を説明する。
【0029】
図1に示すように、車両41の電子キーシステム42は、エンジンが停止して且つすべてのドアが閉じた状態である駐車状態において、LF帯の無線信号である応答要求信号Srqを発信する。この応答要求信号Srqは、携帯機33が車両41の近傍に位置しているか否かの確認を行うべく携帯機33に対して応答を要求する旨の指令信号である。この応答要求信号Srqが所定の制御周期で車室外に発信されることにより、車両41のドアの周辺には携帯機33との通信エリア43が形成される。
【0030】
携帯機33を所持するユーザが通信エリア43に進入して当該携帯機33が応答要求信号Srqを受信すると、当該携帯機33はこれに応答してUHF帯の無線信号である応答信号Srpを発信する。携帯機33は、自身の記憶装置33aに記憶されたIDコード(識別情報)を応答信号Srpに含ませる。電子キーシステム42は、この応答信号Srpを受信すると、自身の記憶装置42aに記憶されたIDコードと、応答信号Srpに含まれる携帯機33のIDコードとを照合する。電子キーシステム42は、これらIDコードの照合が成立する旨判断されるとき、ドアの解錠あるいは施錠に係る制御を実行する。
【0031】
次に、充電システムの車両側の構成を説明する。車両41には、前述した充電ケーブル15のプラグ16を外部から接続可能とした接続端子51が設けられている。この接続端子51に充電ケーブル15のプラグ16が差し込まれることにより、住宅11側から車両41への電力の供給が可能となる。また、車両41の内部において、接続端子51には、車内電力線52を介してAC/DCコンバータ53及び蓄電池54が接続されている。接続端子51を介して供給される住宅11側からの交流電力は、AC/DCコンバータ53を通じて直流電力に変換され、この変換された直流電流が蓄電池54に供給されることにより、当該蓄電池54の充電が行われる。なお、蓄電池54の充電は、その電圧低下時等において行われる。
【0032】
また、車内電力線52おいて、接続端子51とAC/DCコンバータ53との間には、車両41側のコントローラ55がPLCモデム56を介して接続されている。このコントローラ55は、マイクロコンピュータを中心として構成されて、PLCモデム56を通じて車内電力線52を使用した各種信号(情報)の授受が可能とされている。コントローラ55の記憶装置55aには、各種の制御プログラム、及び車両41に固有のIDコード(識別情報)等の各種の情報が記憶されている。当該IDコードは先の電子キーシステム42に格納されているものと同一のものである。コントローラ55は、電力線搬送通信を通じてID要求信号Srq-caridを受信したとき、自身の記憶装置55aに記憶されているIDコードを含むID応答信号Srp-caridを生成し、この生成したID応答信号Srp-caridを、電力線搬送通信を通じて住宅11側へ送信する。なお、コントローラ55と電子キーシステム42とは、車内ネットワーク網の一を構成する車内LAN(Local Area Network)57を介して相互に接続されている。
【0033】
<充電システムの動作>
次に、前述のように構成された充電システムの動作を図3に示されるフローチャートに従い説明する。当該フローチャートは、住宅11側のコントローラ20の記憶装置22に格納された制御プログラムに従い実行される。なお、通常、接点18は閉じた状態に保持される。
【0034】
さて、車両41の蓄電池54の充電を行う際には、充電ケーブル15のプラグ16が車両41の接続端子51に接続される。これにより、商用電源12からの電力が充電ケーブル15を通じて車両41に供給される。住宅11側のコントローラ20は、電流センサ17を通じて屋内電力線13aに電流が生じた旨検出されるとき、充電ケーブル15のプラグ16が車両41側の接続端子51に接続された旨判断する。
【0035】
コントローラ20は、充電ケーブル15のプラグ16が車両41側の接続端子51に接続された旨検出されるとき(ステップS101)、電力線搬送通信を通じて車両41のIDコードを取得する(ステップS102)。すなわち、コントローラ20は、車両41側のIDコードを取得するに際してはまず、電力線搬送通信を通じてID要求信号Srq-caridを車両41側へ送信する。車両41側のコントローラ55は、この住宅11側からのID要求信号Srq-caridを受信したとき、これに応答してID応答信号Srp-caridを、電力線搬送通信を通じて住宅11側へ送信する。住宅11側のコントローラ55は、車両41側からのID応答信号Srp-caridに含まれる車両41のIDコードを自身の記憶装置22に一時的に格納する。
【0036】
次に、住宅11側のコントローラ20は、通信装置32(正確には、その発信機34)を通じて住宅11の内部に携帯機33との通信エリア37を形成する(ステップS103)。この状態で、コントローラ20は、携帯機33からのID応答信号Srp-keyidの受信を待機する。
【0037】
そしてコントローラ20は、携帯機33からのID応答信号Srp-keyidの受信を通じて当該携帯機33のIDコードを取得したとき(ステップS104)、当該IDコードを自身の記憶装置22に一時的に格納する。また、コントローラ20は、携帯機33のIDコードが取得されたことをもって、当該携帯機33は屋内に存在する旨認識する。
【0038】
次に、コントローラ20は、先のステップS102において取得された車両41のIDコードと先のステップS104において取得された携帯機33のIDコードとの照合を行う(ステップS105)。
【0039】
コントローラ20は、これらIDコードの照合が成立しない旨判断される場合(ステップS105でNO)、屋内に存在する携帯機33と屋外に存在する車両41とは互いに対応するものではないとして、接点18の開動作を通じて車両41への給電を中止する(ステップS106)。このような状況は、例えば次のような場合に発生する。
【0040】
a.携帯機33が車両41に対応する正規のものではない場合。
b.車両41が携帯機33に対応する正規のものではない場合。
これに対し、コントローラ20は、これらIDコードの照合が成立する旨判断される場合(ステップS105でYES)、屋内に存在する携帯機33と屋外に存在する車両41とは互いに対応するものであるとして、そのまま車両41への給電を継続(許可)して(ステップS107)、処理を終了する。
【0041】
なお、コントローラ20は、携帯機33が屋内に存在している旨、すなわち車両41のIDコードと携帯機33のIDコードとの照合が成立する旨判定して、当該携帯機33に対応する車両41への給電を一度許可した後は、当該携帯機33が屋内、正確には通信エリア37内に存在しない場合であれ、当該車両41への給電を継続する。
【0042】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本例の充電システムでは、携帯機33が住宅11の内部に存在しているかどうかが判定されて、当該携帯機33が屋内に存在する旨判定されるとき、当該携帯機33に対応する車両41に対してのみ給電(正確には、その継続)が許可される。すなわち、車両41に対応する携帯機33が住宅11の内部に存在しない限り、当該車両41への給電が許可されることはない。このため、住宅11の内部に入る蓋然性の低い第三者の車両に対しては、例え充電ケーブル15を接続した場合であれ、電力が継続して供給されることはない。したがって、第三者による電力の盗難を防止することができる。
【0043】
ここで、携帯機33が住宅11の内部に存在することを車両41への給電の許可条件の一としたことには次のような理由がある。すなわち、住宅11の電源を利用して車両41の蓄電池54の充電を行う者としては、その住宅11の住人又は知人等の来訪者が想定される。そしてこれらの者は蓄電池54への充電の際には、屋内に入ることが多いと考えられる。これに対して、住宅11又はその住人等に何ら関係のない第三者が住宅11の内部に入る蓋然性は低いと想定される。このため、携帯機33が住宅11の内部に存在する場合には、この携帯機33を所持する者は、その住宅11の住人又は知人等の信頼のおける者である蓋然性が高いと推定される。すなわち、住宅11の内部における携帯機33の存否を通じて、当該携帯機33を所持する者の正当性を判定可能となる。そして当該携帯機33が住宅11の内部に存在している旨判定されるとき、当該携帯機33を所持する者は正当な者であって、ひいてはこの者が所持する携帯機33に対応する車両41への給電についても正当なものである旨推定可能である。したがって、本例では、携帯機33が住宅11の内部に存在することを車両41への給電の許可条件の一としている。
【0044】
(2)本例の充電システムは、住宅11の内部に設けられて携帯機33との通信を通じて当該携帯機33のIDコードを取得する通信装置32と、住宅11の内部における当該通信装置32と別の場所に設けられて当該住宅11側から車両41側への給電を制御するコントローラ20と、を備えてなる。このコントローラ20は、車両41との電力線搬送通信を通じて取得される当該車両41のIDコードと、通信装置32との有線通信を通じて取得される携帯機33のIDコードとの照合が成立する旨判定されるとき、当該携帯機33は屋内に存在するとともに当該携帯機33と車両41とは対応するものであるとして、車両41への給電を許可する。
【0045】
この構成によれば、コントローラ20と通信装置32との通信を通じて、携帯機33の屋内における存否を簡単に判定することができる。すなわち、通信装置32を通じて携帯機33のIDコードが取得される場合には、当該携帯機33は屋内に存在する旨推定される。これは、屋内において携帯機33と通信装置32との間で通信が行われない限り、携帯機33のIDコードが通信装置32、ひいてはコントローラ20に取得されることはないからである。また、携帯機33のIDコードと車両41のIDコードとの照合を通じて、携帯機33と充電ケーブル15に接続された車両41とが対応するものであるかどうかを簡単に判定することができる。当該照合を行うことにより、携帯機33に対応しない車両への給電を抑制することができる。さらに、コントローラ20と通信装置32とを別個に設けたことにより、これらを住宅11の内部における別々の場所に配設する必要がある状況にも好適に対応可能である。
【0046】
(3)通信装置32は、携帯機33に対してそのIDコードの無線送信を要求するID要求信号Srq-keyidの無線送信を通じて、住宅11の内部に携帯機33との通信エリア37を形成する。そして通信装置32は、ID要求信号Srq-keyidに応答して通信エリア37の内部に進入した携帯機33から無線送信されるID応答信号Srp-keyidの受信を通じて、携帯機33のIDコードを取得する。
【0047】
この構成によれば、通信装置32は携帯機33との無線通信を通じてそのIDコードを容易に取得することができる。また、携帯機33はもともと車両41(電子キーシステム42)との間で無線通信を行うものであるため、これを利用して住宅11側では携帯機33のIDコードを取得することが可能になる。したがって、携帯機33に何らかの通信インターフェイスを別途設ける必要はない。携帯機33の構成が複雑化したり、体格が大型化したりすることもない。
【0048】
(4)通信装置32は、屋内における住宅11の出入り口36の近傍に携帯機33との通信エリア37を形成する。
住宅11に入る場合には、必ずその出入り口36を通る。このため、携帯機33を所持するユーザ等が出入り口36を通過する際に携帯機33のIDコードが自動的に取得される。したがって、携帯機33を所持するユーザあるいは来訪者等に意識させることなく住宅11側から車両41側への給電が許可されるので、蓄電池54への充電作業に対する利便性を確保することができる。特に、来訪者は住宅11の玄関先で用を済ませる場合も多く、またこのような場合において、来訪者が住宅11の住人の許可を得て自車両の蓄電池への充電を行うことも想定される。本例は、このような状況に好適に対応することができる。
【0049】
(5)また、通信装置32を居間40等に設けるようにした場合には、電力の盗難をいっそう確実に抑制することが可能になる。これは、居間40等の住宅11の奥へ案内される者であれば、信頼できる者である旨推定されることに基づく。ただし、来訪者等に充電を許可する際には、当該来訪者等を居間等へ案内する必要が生じる。なお、通信装置32の住宅11内における設置場所は、前述した利便性及び電力の盗難防止性等の観点に基づき適宜設定すればよい。
【0050】
(6)充電ケーブル15の住宅11側の端部は、当該住宅11の内部に設けられる接続端子14に接続されている。このため、当該接続端子14が住宅11の壁面等に設けられて外部から接続可能とされる場合と異なり、電力の盗難を抑制することができる。例えば住宅11の外壁等にコンセントを設けて、これに充電ケーブルを接続する構成の採用も考えられるものの、この場合には、当該コンセントを通じた電力の盗難が懸念される。本例によれば、こうした懸念はない。
【0051】
(7)住宅11と車両41との間に接続される充電ケーブル15を通じて、住宅11から車両41への給電、及び住宅11と車両41との通信が行われる。
給電及び情報の授受が同一の充電ケーブル15を通じて行われるので、設備コスト等の点で利点がある。
【0052】
(8)住宅11の内部における携帯機33との通信エリア37が住宅11の外部に漏れて形成されることがない。住宅11の外部に携帯機33との通信エリア37が漏れて形成される場合には、次のような状況の発生が懸念される。すなわち、第三者が充電ケーブル15を介して自車両と住宅11とを接続した上で、屋外に漏れて形成された通信エリア37内に当該自車両に対応する携帯機を進入させることにより、当該自車両と携帯機とのIDコードの照合が成立し、第三者の自車両への給電が許可されるおそれがある。本例によれば、住宅11の内部における携帯機33との通信エリア37は屋内のみに形成されるので、こうした懸念はない。
【0053】
(9)住宅11側に登録されたIDコード等の識別情報を有する車両にのみ充電を許可する構成も考えられるものの、この場合には、来訪者等の車両に一時的に充電を許可するとき等にはその都度、識別情報を住宅11側に登録する必要がある。また、電力の盗難を防止する観点から、一時的に登録した来訪者の識別情報を後日、抹消することも必要である。このような作業は非常に面倒である。本例によれば、来訪者等の所持する携帯機が住宅11の内部に進入しさえすれば当該携帯機に対応する車両への充電が許可されるので、識別情報の面倒な登録作業等は不要である。
【0054】
(10)コントローラ20は、携帯機33に対応する車両41への給電を一度許可した後は、当該携帯機33が通信エリア37内に存在しない場合であれ、当該車両41への給電を継続する。このため、当該給電開始後において、携帯機33を通信エリア37内に位置させておく必要がない。したがって、ユーザ等は携帯機33を所持した状態で任意に移動したり、当該携帯機33を任意の場所に置いたりすることができるので、便利である。
【0055】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。本例は、通信装置の構成の点で前記第1の実施の形態と主に異なる。したがって、前記第1の実施の形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その重複した説明を省略する。なお、本例の通信装置も前記第1の実施の形態と同様に、玄関等の出入り口あるいは居間等の住宅の内部に設けられる。
【0056】
さて、図4に示すように、本例の通信装置61は、携帯機33を装着可能としたクレイドル62を備えてなる。このクレイドル62の内部には、携帯機33との通信(狭域通信)を制御する制御回路63が設けられている。この制御回路63は、通信線31を介して住宅11側のコントローラ20に接続されている。また、この制御回路63には、携帯機33のクレイドル62に対する装着の有無を検出するスイッチ64、及びアンテナコイル65が接続されている。スイッチ64は、有接点スイッチ及び無接点スイッチのいずれのタイプのものでもよい。制御回路63は、スイッチ64を通じて携帯機33がクレイドル62に装着された旨検出されるとき、アンテナコイル65への通電を通じて電波(電磁界)を発生させる。
【0057】
携帯機33は、トランスポンダ66を備えてなる。トランスポンダ66は、コイルアンテナ66a及び図示しない制御IC等を備えるとともに、当該制御ICには携帯機33に固有のIDコードが記憶されている。そしてトランスポンダ66は、クレイドル62のアンテナコイル65から発せられる電波を受けてコイルアンテナ66aに誘起される起電力により自動駆動するとともに、前記制御ICに記憶されたIDコードを含む無線信号を送信する。
【0058】
制御回路63は、このトランスポンダ66からの無線信号を受けて、当該信号に含まれる携帯機33のIDコードを取得する。この取得されるIDコードは通信線31を通じて住宅11側のコントローラ20に供給される。コントローラ20は、この通信装置61を通じて取得される携帯機33のIDコードと、充電ケーブル15を通じて取得される車両41のIDコードとの照合を行う。コントローラ20は、当該照合が成立する旨判定される場合には車両41への給電を継続(許可)し、当該照合が成立しない旨判定されるときには車両41への給電を中止(禁止)する。このように、本例の充電システムにおける充電処理の手順は、先の図3に示されるフローチャートに示される各処理に準じたものとなる。
【0059】
なお、前記第1の実施の形態と同様に、コントローラ20は、一度携帯機33に対応する車両41への給電を許可した後は、当該携帯機33が屋内に存在しない場合、正確にはクレイドル62に対する携帯機33の装着が検出されない場合であれ、当該車両41への給電を継続する。
【0060】
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)屋内には、クレイドル62を設けた。このクレイドル62は、通信線31を介して住宅11側のコントローラ20に接続するとともに、携帯機33を装着可能とした。そしてクレイドル62は、自身に装着された携帯機33(正確には、これに内蔵されたトランスポンダ66)との間の無線通信を通じて、そのIDコードを取得可能とした。住宅11側のコントローラ20は、クレイドル62との間の通信線31を介した有線通信を利用して携帯機33のIDコードを取得し、当該取得されるIDコードと車両41のIDコードとの照合を行う。トランスポンダ66は、クレイドル62からの電波による電力供給を受けて自動駆動するため、携帯機33とクレイドル62との間の無線通信の際に、当該携帯機33の動作電源である電池の電力が消費されることはない。また、携帯機33に内蔵される電池の電圧が低下した状態であれ、クレイドル62との間の無線通信を通じた情報の授受を行うことができるので、便利である。
【0061】
(2)また、車両41への給電を継続して行うに際しては、当該車両41に対応する携帯機33を、住宅11の内部に設けられるクレイドル62に装着する必要がある。このため、蓄電池54の充電時において、携帯機33を確実に屋内に存在させることができる。
【0062】
(3)コントローラ20は、携帯機33に対応する車両41への給電を一度許可した後は、クレイドル62に対する携帯機33の装着が検出されない場合であれ、当該車両41への給電を継続する。このため、ユーザ等は、携帯機33をクレイドル62に装着してから車両41への給電が許可されるまでの間だけ、一時的に携帯機33をクレイドル62に装着すればよく、当該給電が開始された後は、携帯機33をクレイドル62から取り外してこれを所持した状態で任意に移動したり、当該携帯機33を任意の場所に置いたりすることができるので、便利である。また、例えばクレイドル62を玄関等の出入り口に設けるようにした場合において、携帯機33のクレイドル62への装着状態が継続して検出されることを車両41への給電継続の条件として設定することも考えられる。しかしこの場合には、携帯機33を玄関等に置いた状態でユーザ等がその場を離れることも想定されることから、不用心である。この点、本例のように、車両41への充電開始後には携帯機33を任意の場所に移動させることができるので、防犯性に優れる。
【0063】
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・第1の実施の形態では、コントローラ20と通信装置32との間における情報の授受は、通信線31を通じた有線通信により行うようにしたが、両者間の情報の授受は無線通信により行うようにしてもよい。例えば通信装置32の受信機35を通じて取得された携帯機33のIDコードを、今度は発信機34を通じて無線送信する。住宅側のコントローラ20には、この発信機34からの無線信号を受信する図示しない受信機を設け、当該受信機を通じて携帯機33のIDコードを取得する。
【0064】
・第1の実施の形態では、通信装置32を住宅11の出入り口36の近傍、あるいは居間40に設けるようにしたが、当該通信装置32の設置場所は任意である。ただし、通信エリア37は屋外にはみ出さないように設定する。また、第2の実施の形態における通信装置61(クレイドル62)の屋内における設置場所も任意である。当該通信装置61と携帯機33との間の無線通信は、第1の実施の形態における通信装置32と携帯機33との通信(広域通信)に比べると、かなり狭い範囲で行われる。このため、第1の実施の形態のように、玄関等のある程度広い範囲に通信エリア37を形成する場合に比べて、通信エリアの屋外へのはみ出しに対する懸念は少ない。
【0065】
・第1及び第2の実施の形態において、住宅11側の接続端子14と充電ケーブル15との接続の態様は、次のような構成を採用してもよい。すなわち、充電ケーブル15の接続端子14側の端部にもプラグを設ける。また、住宅11の外壁等には接続端子14に接続されたコンセント設ける。このコンセントに充電ケーブル15のプラグを接続する。このようにすれば、充電を行わない場合などには、充電ケーブル15をコンセントから取り外して、収納することが可能になる。
【0066】
・第1及び第2の実施の形態では、住宅11側の電流センサ17の検出結果に基づき充電ケーブル15の車両への接続の有無を検出するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、充電ケーブル15のプラグ16に、当該プラグ16の車両41への接続(接続端子51への挿入等)の有無を検出する図示しないスイッチあるいはセンサを設ける。そして、住宅11側のコントローラ20は、当該スイッチ等を通じてプラグ16が車両41に接続された旨検出されるとき、通信装置32を通じて通信エリア37を形成、あるいは通信装置61を通じて電波を発生させる。そしてコントローラ20は、これら通信装置32,61と携帯機33との通信を通じて取得される携帯機33のIDコードと、充電ケーブル15を通じて取得される車両41のIDコードとの照合を行う。
【0067】
・第1及び第2の実施の形態では、車両41側のコントローラ55に当該車両41のIDコードを格納し、当該コントローラ55は住宅11側のコントローラ20からの要求に応じて自身に格納されたIDコードを住宅11側へ送信するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、車両41側のコントローラ55は、車内LAN57を通じて電子キーシステム42に格納されている車両41のIDコードを取得し、この取得されるIDコードを住宅11側に送信する。このようにすれば、車両41側のコントローラ55に、電子キーシステム42等の他の車載システムに格納されている同一の情報を重複して記憶させる必要がない。当該コントローラ55の記憶装置55aの記憶容量を節約することができる。
【0068】
・第2の実施の形態では、通信装置61は、携帯機33(正確には、そのトランスポンダ66)との無線通信を通じて、当該携帯機33のIDコードを取得するようにしたが、次のようにしてもよい。例えば、携帯機33がクレイドル62に装着された際に、当該携帯機33と通信装置61の制御回路63とが電気的に接続されるように、携帯機33及びクレイドル62にそれぞれ接続端子を設ける。そして、互いに接続される携帯機33側の端子、及びクレイドル62側の端子を通じて、携帯機33と通信装置61(正確には、その制御回路63)との間における情報の授受を行う。
【0069】
・第2の実施の形態において、トランスポンダ66に代えて、非接触式のICカードを採用してもよい。すなわち、RFID(Radio Frequency IDentification)を利用した無線通信を通じて携帯機33と通信装置61との間でIDコード等の情報の授受を行う。RFIDは、電池等の電力を使用して定期的に自ら電波を発信するアクティブタイプと、電池等の電力を必要とせず自らは電波を発信しないパッシブタイプとに大別されるところ、いずれのタイプを採用してもよい。例えばパッシブタイプを採用する場合、携帯機33は、IDコードが格納されるICチップ及びクレイドル62から発せられる電波(電磁波)を受けて起電力を発生させるアンテナを備えて構成される。この場合には、前記第2の実施の形態と同様に、携帯機33とクレイドル62との間の無線通信の際に、当該携帯機33の動作電源である電池の電力が消費されることはない。
【0070】
・第1及び第2の実施の形態では、住宅11と車両41とを充電ケーブル15を介して接続し、この充電ケーブル15を介して住宅11側から車両41側へ電力を供給するようにしたが、住宅11側から車両41側への電力の供給を無線により行う方式(無線電力伝送方式)を採用してもよい。例えば住宅11側の接続端子14に接続された1次コイルを地中に埋設する一方で、車両41に2次コイルを設ける。そして蓄電池54を充電するに際しては、車両41の2次コイルが1次コイルと対向するように車両41を駐車する。商用電源12の交流電力の供給を受けて、1次コイルに発生する磁束が2次コイルに印加される。この1次コイルの磁束の変化に基づき2次コイルには電磁誘導による電流が誘起される。この2次コイルに誘起される電流が蓄電池54に供給されることにより、当該蓄電池54は充電される。なお、住宅11と車両41との間の各種情報の授受についても、1次コイル及び2次コイルの磁気的な結合を通じて行われる。
【0071】
・第1及び第2の実施の形態では、給電源を住宅11としたが、これに限られない。例えば店舗等も給電源として想定される。例えば店舗等に入った客等に対して、無料で車両への充電サービスを提供するシステムの構築が考えられる。
【0072】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項2に記載の充電システムにおいて、前記通信装置は、通信線を介して住宅側のコントローラに接続されるとともに前記携帯機を装着可能としたクレイドルを備え、当該クレイドルは自身に装着された携帯機との通信を通じて、その識別情報を取得可能とされた充電システム。
【0073】
この構成によれば、コントローラは、クレイドルを介した有線通信を通じて携帯機の識別情報を取得することが可能になる。屋内のクレイドルに携帯機を装着しない限り、当該携帯機に対応する車両への給電が許可されることはない。このため、第三者による電力の盗難を抑制することができる。第三者が電力を盗難しようとする場合には、屋内に入って携帯機をクレイドルに装着する必要があるからである。
【0074】
(ロ)前記(イ)項に記載の充電システムにおいて、前記クレイドルは、屋内における住宅の出入り口の近傍に配設されてなる充電システム。
この構成によれば、住宅に入る場合には、必ずその出入り口を通る。その際に携帯機をクレイドルに装着することができるので、便利である。
【符号の説明】
【0075】
11…住宅(給電源)、15…充電ケーブル、20…コントローラ(住宅側)、32,61…通信装置、33…携帯機、36…出入り口、37…通信エリア(屋内)、41…車両(給電対象)、54…蓄電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電源である住宅から給電対象である車両への給電を通じて当該車両の蓄電池を充電する充電システムにおいて、
ユーザに所持されて対応する車両との無線通信を通じて当該車両を遠隔制御する携帯機が前記住宅の内部に存在しているかどうかを判定し、前記携帯機が屋内に存在する旨判定されるとき、当該携帯機に対応する車両に対してのみ給電を許可する充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電システムにおいて、
前記住宅の内部に設けられて前記携帯機との通信を通じて当該携帯機の識別情報を取得する通信装置と、
前記住宅側に設けられて当該住宅から前記車両への給電を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記車両との通信を通じて取得される当該車両の識別情報と、前記通信装置との通信を通じて取得される前記携帯機の識別情報との照合が成立する旨判定されるとき、当該携帯機は屋内に存在するとともに当該携帯機と前記車両とは対応するものであるとして前記車両への給電を許可する充電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の充電システムにおいて、
前記通信装置は、前記携帯機に対してその識別情報の無線送信を要求する要求信号の無線送信を通じて前記住宅の内部に前記携帯機との通信エリアを形成し、当該通信エリアの内部に進入した前記携帯機から前記要求信号に応答して無線送信される応答信号の受信を通じて前記携帯機の識別情報を取得する充電システム。
【請求項4】
請求項3に記載の充電システムにおいて、
前記通信装置は、屋内における住宅の出入り口の近傍に前記通信エリアを形成する充電システム。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の充電システムにおいて、
前記コントローラは、前記住宅と前記車両との間に接続される充電ケーブルを通じて、前記住宅から前記車両への給電、及び前記住宅と前記車両との通信を行う充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−114998(P2011−114998A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271271(P2009−271271)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】