説明

充電装置およびその制御方法

【課題】 蓄電池の充電中に交流電源プラグが引き抜かれた場合、警告を表示し、且つ、次回の充電において強制的に開始不能とする。
【解決手段】 蓄電池16の充電中に、交流検出回路17によって交流電力の停止を検出し(S3否定)、タイマー29によって所定時間を計測(S7)した後、充電装置の操作の異常を警告表示部27aによって警告した場合(S9)には、その後に交流電力を検出しても充電装置は作動しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーフォークリフト等の電気自動車の蓄電池を充電する場合に適応され、特に、充電時における安全な取り扱いを促すための充電装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリーフォークリフトにおいては、夜間に充電するという使用方法が一般的であり、充電は夜間8〜12時間かけてゆっくりと充電を行っていた。このような充電を行う充電装置は、下記の文献において既に紹介されている。
【特許文献1】実開平5−48544号公報の段落[0006]〜[0007]
【特許文献2】特開平8−45555号公報の段落[0009]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の充電装置は、充電の終了後、または、充電途中であっても途中終了動作を正常に行ってから、蓄電池を作動させるのが普通であるが、充電を終了させるために、交流電源プラグを引き抜いて停止させるといった誤った取り扱いをする場合があった。この場合、交流電源プラグに火花が発生し、人体に危険を及ぼすばかりでなく、これを頻繁に行うと、交流電源プラグ端子の劣化による発煙・発火事故が発生する可能性が大きくなるという問題を有していた。従来の充電装置においては、このような誤った停止動作を行っても、警告を出す等の手段がなかった。
【0004】
そこで本発明では、蓄電池の充電中に交流電源プラグが引き抜かれた場合、警告を表示し、且つ、次回の充電において強制的に開始不能とし、使用者に警告を促し適切な充電停止操作を認識させることができる充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の充電装置は、
商用交流電源に交流電源プラグを接続して蓄電池の充電を行う充電装置において、
前記商用交流電源から交流電源プラグを介して交流電力を検出する交流電力検出手段と、当該充電装置の操作の異常を警告する警告手段と、
前記蓄電池の充電を制御する制御部の動作をリセットするリセット手段と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載発明の充電装置は、請求項1に記載の充電装置に加えて、
前記交流電力検出手段による交流電力の不検出を信号として動作する時間計測手段、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の充電装置の制御方法は、
商用交流電源に交流電源プラグを接続して蓄電池の充電を行う充電装置の制御方法において、
前記蓄電池の充電中に交流電力の停止を検出してから所定時間経過した後、充電装置の操作の異常を警告した場合には、その後に交流電力を検出しても前記充電装置は作動しない、
ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の充電装置の制御方法は、請求項3に記載の充電装置の制御方法に加えて、
前記充電装置を制御する制御装置をリセットすることにより、前記充電装置の作動停止を解除する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の充電装置およびその制御方法によれば、
前記蓄電池の充電中に、前記交流電力検出手段によって交流電力の停止を検出し、時間計測手段によって所定時間を計測した後、充電装置の操作の異常を警告手段によって警告した場合には、その後に交流電力を検出しても前記充電器は作動しないようにしたので、商用交流電力の停電の他、例えば、充電中に前記交流電源プラグが引き抜かれるような操作異常が生じた場合、使用者に警告を与えるとともに、その後の充電装置の操作を容易にできないようにすることによって適切な充電停止操作を認識させることができる。
【0010】
また、リセット手段(例えばリセット釦)を設けることによって、充電装置の操作停止を解除できることとした。これは、制御装置内の制御基板などに設けられ、通常の操作パネル等、容易に操作できる箇所には設置しないようにすることで、この効果を向上させることができる。また、前記蓄電池の充電中に、前記交流電力検出手段によって交流電力の停止を検出した直後に、充電装置の操作の異常を警告手段によって警告し、その後に交流電力を検出しても前記充電器は作動しないようにしてもよい。この場合、時間計測手段を省くことができる。また、リセット手段として、蓄電池から供給される直流電力を遮断して、制御装置をリセットすることもできる。
【0011】
以上の発明の充電装置および充電装置の制御方法によって、蓄電池の充電中に交流電源プラグが引き抜かれた場合、警告を表示し、且つ、次回の充電において強制的に開始不能とすることによって、使用者に警告を促し適切な充電停止操作を認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本実施形態の構成を示す。最初に、充電装置の一般的な構成を説明する。交流電源11、例えば商用電源に対して電源プラグ12により充電器を接続するようにされており、この電源プラグ12は電磁開閉器13を通じて変圧器14に接続され、変圧器14によって適当な電圧に通常下げられて、交流電力が整流回路15に供給され、整流回路15で直流化された電力が蓄電池16に供給されて蓄電池16に対する充電が行われる。この場合、電源プラグ12より交流電力が入力されると、交流検出回路17で検出され、これが制御部18に与えられる。制御部18はマイクロコンピュータで構成され、その交流電力入力の検知信号が与えられるとインターフェース19を通じで電磁開閉器13をオンにして充電の開始が行われる。
【0013】
蓄電池16の端子電圧が電圧検出回路22で検出され、その電圧の状態に応じて制御部18が充電を制御する。また充電状態がインターフェース15を通じて表示器27に与えられ、充電の経過が、例えば発光素子L1 乃至L6 の点灯で表示される。更に、普通充電しているか均等充電しているかの表示も行われる。
【0014】
制御部18に対しては充電開始スイッチ23aによってその充電の開始の制御を行い、また、蓄電池16よりの電力が電源回路21を通じて各部に対する動作電源電圧として供給される。蓄電池16の充電が満了した場合には、自動的に充電を停止する。一方、充電途中であっても、充電停止スイッチ23bをオンすると強制的に充電を停止する。
(実施例)
【0015】
本実施例では、表示器27には、操作異常の警告表示部27aを設け、充電装置の操作異常を知らせるようにしてある。また、リセット釦28を制御部18に接続され、制御部18のリセットを行うことができる。このリセット釦28は、制御基板上に設けられているため、操作パネルからは操作できないようにされている。また、制御部18には、タイマー29が接続されており、時間を計測することができる。
【0016】
次に、商用電力の停電時、あるいは、充電中に電源プラグ12が引き抜かれた場合における充電装置の制御方法について図2を用いて説明する。交流電源11に電源プラグ12を接続し(S1)、充電が開始された(S2)後、交流検出回路17によって交流電力を検出しているかどうかを充電中に常時調べ(S3)、充電が満了すれば(S4肯定)、充電を終了する。ステップS4において充電が満了しなくても、充電停止スイッチ23bをオンすれば強制的に充電終了となる(S12)。
【0017】
一方、ステップS3において、商用電力が停電、あるいは、電源プラグ12が引き抜かれると、交流検出回路17は、交流を検出できなくなり(S3否定)、タイマー29によって時間を計測し始める(S6)。所定時間内、例えば、1時間以内に交流電力が検出されるかどうかを調べ(S7)、この間に停電が回復し受電されるか、あるいは、電源プラグ12が接続されると(S8肯定)、タイマー29をリセットし(S11)、通常の充電状態に復帰する。通常の停電は、1時間以内に復電するため、本実施例においては、復電までに1時間以上かかる場合、停電ではなく、電源プラグ12を引き抜く等の操作異常と判断している。
【0018】
ステップS7において、所定時間が経過すると(S7肯定)、警告表示部27aに警告を表示し(S9)、リセット釦28がオンされるのを待つ(S10否定)。この間、停電が回復するか、電源プラグ12が接続され、交流電力を受電しても、充電装置の充電は復帰しない。リセット釦がオンされると(S10肯定)、制御装置はリセットされ、初期の状態、即ち、充電終了となる(S12)。
【0019】
このようにすることによって、蓄電池16の充電中に、交流検出回路17によって交流電力の停止を検出し、タイマー29によって所定時間を計測した後、充電装置の操作の異常を警告表示部27aによって警告した場合には、その後に交流電力を検出しても充電装置は作動しないようにしたので、商用交流電力の停電の他、例えば、充電中に電源プラグ12が引き抜かれるような操作異常が生じた場合、使用者に警告を与えるとともに、その後の充電装置の操作を容易にできないようにすることによって適切な充電停止操作を認識させることができる。
【0020】
また、リセット釦28を設けたことによって、充電装置の操作停止を解除できることとした。これは、制御部18内の制御基板などに設けられ、通常の操作パネル等、容易に操作できる箇所には設置しないようにすることで、この効果を向上させることができる。
【0021】
(応用例等)
なお、本発明は上記の実施例に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。例えば、蓄電池16の充電中に、交流検出回路17によって交流電力の停止を検出した直後に、充電装置の操作の異常を警告表示部27aによって警告し、その後に交流電力を検出しても充電装置を作動しないようにしてもよい。この場合、タイマー29を省くことができる。また、リセット釦に替えて、蓄電池16から供給される直流電力を遮断するスイッチを別途設けてもよい。
【0022】
また、本発明の警告手段は警告表示部27aに限るものではなく、スピーカを設けて音声警告としても良い。また、時間計測手段は、タイマー29に限ることはなく、制御部18に時計を接続して時刻を算出し、制御部18にて時間を算出しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の充電装置の構成図である。
【図2】本実施例の充電装置の制御方法の手順を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
11 交流電源、12 電源プラグ、13 開閉器、14 変圧器、15 整流回路、16 蓄電池、17 交流検出回路、18 制御部、19 インターフェイス、21 電源回路、22 電圧検出回路、23a 充電開始スイッチ、23b 充電停止スイッチ、25 インターフェイス、27 表示器、27a 警告表示部、28 リセット釦、29 タイマー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源に交流電源プラグを接続して蓄電池の充電を行う充電装置において、
前記商用交流電源から交流電源プラグを介して交流電力を検出する交流電力検出手段と、当該充電装置の操作の異常を警告する警告手段と、
前記蓄電池の充電を制御する制御部の動作をリセットするリセット手段と、
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記交流電力検出手段による交流電力の不検出を信号として動作するタイマー、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
商用交流電源に交流電源プラグを接続して蓄電池の充電を行う充電装置の制御方法において、
前記蓄電池の充電中に交流電力の停止を検出してから所定時間経過した後、充電装置の操作の異常を警告した場合には、その後に交流電力を検出しても前記充電装置は作動しない、
ことを特徴とする充電装置の制御方法。
【請求項4】
前記充電装置を制御する制御装置をリセットすることにより、前記充電装置の作動停止を解除する、
ことを特徴とする請求項3に記載の充電装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−6039(P2006−6039A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180391(P2004−180391)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】