説明

光を用いた移動式昆虫捕獲器

【課題】 飛翔手段と光源と捕獲手段でより高い捕虫効率を持つ移動式昆虫捕獲器を提供する。
【解決手段】 作物に留まっている昆虫を強制的に飛翔させる手段、昆虫を引き寄せる光源、放射光を昆虫の生息場所に効率良く照射しさらに光源をめがけて飛翔してきた昆虫を捕獲手段に導く反射板、捕虫網付送風機等の捕獲手段からなることを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園、倉庫、工場、商店、一般家庭等での飛翔昆虫を捕獲して防除する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農園に飛来し増殖し加害活動する昆虫として、ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマなどのアザミウマ類、シルバ−リ−フコナジラミ、オンシツコナジラミなどのコナジラミ類、ハモグリバエ類、アブラムシ類(有翅)、ハエ類等があり、ピ−マン、ナス、トマト、ネギ等の野菜類、カ−ネ−ション、キクなどの花き類を加害する。
【0003】
これらの飛翔昆虫の農作物被害防止方法として粘着板で誘引捕殺するものがある。代表的粘着板として青色と黄色のものがある。青色の粘着板はアザミウマ類等を誘引し、黄色はコナジラミ類等を誘引捕獲する。
【0004】
粘着板は日中、太陽光の特定の波長域の光を反射させ、その光に誘引されて飛来してきた昆虫を捕獲する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昆虫は常に飛翔行動をしているのでわなく、ほとんどは葉の裏に留まっているため粘着板の存在を認識する確率は低い。
【0006】
粘着板による太陽の反射光は弱く、昆虫を引き寄せる効果が低い。しかも反射光は一方向のみであるため、特定の場所にいる飛翔昆虫しか引き寄せることができない。
【0007】
粘着板は晴天時のみ有効で、曇天、雨天、夜間、あるいは屋内、遮光ネットで覆われた場所等では機能を発揮できない。
【0008】
粘着板は防除する必要のない昆虫、ほこり等が付着するため使用期間が限られ、短期間で取り替える必要がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消し、より捕獲効率の高い防虫器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、昆虫が飛翔行動ができる温度条件で、作物の葉の裏側など光が直接届かない場所に留まっている昆虫を振動、音、風などの物理的方法、フェロモン剤などの化学的方法で飛翔させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、飛翔昆虫を効率良く引き寄せる光源を用いている。光源の形状を球形、環形、直管、スパイラル管等にし特定方向を集中的に放射するものであることを特徴とする。ここで光源は白熱電球、蛍光灯、LED、HID光等を用いるが、それぞれ飛翔昆虫を引き寄せる波長域の光を効率良く放射する必要がある。たとえば、コナジラミ類は520nm付近の波長光が最も効率良く引き寄せられる。さらに飛翔昆虫を忌避する波長域の光は染料や顔料等を用いて排除しておく必要がある。点灯方法は連続点灯、パルス点灯、ゆやらぎ点灯、更にそれらを組み合わしたものがある。
【0012】
また、本発明は、飛翔昆虫が活動できる温度条件下であれば、どのような天候でも、夜間でも、園芸施設や露地等でも使用できることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、飛翔昆虫が生息している場所を強い光で照射するため、さらに光に引き寄せられた昆虫を捕獲部分に効率良く吸引するために光源と同色の反射板を用いていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、反射板と光源近辺は光源と同色でそれ以外の部分は白色などの忌避させる色で塗布されていることを特徴とする。ここで反射板は光りの反射効率をたかめるため、最初白色その上を光源と同色で塗布されている。
【0015】
また、本発明は、光りに寄ってきた飛翔昆虫を捕虫網、高電圧、水盤、粘着板、殺虫剤、界面活性剤などの殺虫機能を持ったものに、送風機などの物理的方法、あるいは誘引物質たとえばフェロモンなどの化学的方法、あるいは両方法で飛翔昆虫を送り込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば昆虫の飛翔行動が活発になる温度条件で稼動すれば、昆虫の捕獲頭数、種類を飛躍的に増加することができ、高い防除効果が期待できる。また、薬剤散布のように耐性化という問題が生じることがなく、永続的に使用できる。果樹、野菜、花きなどの農園、畜舎、工場、商店などで防虫が不可欠な分野で有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の移動式昆虫捕獲器の正面図で、図2はその側面図である。図3は飛翔昆虫を上方に捕獲する移動式昆虫捕獲器の側面図である。図4は昆虫を飛翔さすための送風機が本体の送風機の向かい側にある場合の移動式昆虫捕獲器である。1は送風機のモ−タ−、2は環形黄色蛍光灯、3はファン(黄色)、4は黄色反射板(昆虫が吸引される側は黄色、裏は白色)、5は網(4mm目)、6は捕虫網(0.4mm目)、7は昆虫を飛翔させる送風機、8は支柱、9は車輪を示す。矢印は風向を示す。
【0018】
本発明の移動式昆虫捕獲器は、図に示すように、飛翔昆虫を引き寄せる光源2と反射板4、更に昆虫捕獲用送風機1と3、捕虫網6、昆虫を飛翔さす送風機7などからなる飛翔手段、光源、さらに殺傷捕獲手段で構成されたものである。光源2は0.50μm以上の波長域の放射光を持ち、0.545μm付近で最大放射ピ−ク波長を持つ40W環形黄色蛍光灯を用いる。捕虫網の目はコナジラミ類、アザミウマ類を捕獲する必要がある場合0.2mm以下にする必要がある。稼動は20℃以上35℃以下で行なう。それ以外の温度では昆虫の飛翔活動が低下する。
【0019】
本発明の移動式昆虫捕獲器は、送風機7で作物の葉の裏にいる昆虫を飛翔させ昆虫を光源2で引き寄せ、その横あるいは上にある送風機で吸引、殺傷して捕獲網6で集める。
【0020】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、種々の変形が可能である。昆虫を引き寄せる光源として環状の蛍光灯を用いたが、直管、電球型蛍光灯、あるいは白熱、ナトリウム灯などのHID光、LED等蛍光灯以外の光源を用いても良い。より高い照度が要求される時は、光源の灯数、あるいはワット数を増やすことによって調整しても良い。送風機を構成するファン、電動機の音が不快に感じられる時は、吸気ホ−スを利用して、捕獲部を別の場所に設置しても良い。殺傷捕獲手段として、送風機と水盤、粘着板、高電圧、殺虫剤等を組み合わせたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の移動式昆虫捕獲器の実施例を示す正面図である。
【図2】 本発明の移動式昆虫捕獲器の実施例を示す図1の側面図である。
【図3】 本発明の移動式昆虫捕獲器の側面図である。
【図4】 本発明の移動式昆虫捕獲器の側面図である。
【符号の説明】
1 電動機、2 光源、3 ファン(黄色)、4 黄色反射板、5 網(黄色)、6 捕虫網、7 送風機、8 支柱、9 車輪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風、振動、音など物理的刺激、匂などの化学的刺激を昆虫に与え飛翔させ、それを光りで引き寄せ、 捕虫網付送風機などの物理的手段あるいは誘引物質などを使った化学的手段で捕獲することを特徴とする移動式昆虫捕獲器。
【請求項2】
捕獲手段を光源の放射光と同色にし、他の部分を昆虫が忌避する色にすることを特徴とする請求項1記載の移動式昆虫捕獲器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−180855(P2006−180855A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382851(P2004−382851)
【出願日】平成16年12月25日(2004.12.25)
【出願人】(592181783)エヌビイテイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】