説明

光エネルギー変換触媒及びその作製方法

【課題】光エネルギー変換触媒及びその作製方法を提供する。
【解決手段】光エネルギー変換触媒の作製方法であって、正の原子価を有するIB族元素を含む溶液と、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液とを混合して、前記IB族元素と、前記IIIA族元素と、前記VIA族元素間のモル比が1:1〜0.1:1〜10であり、前記IB族元素と前記IIIA族元素間のモル比が1:0.01〜1:10である組成物を調製するステップ、及び基板上に、液相堆積によって前記組成物から、前記IB族元素と、前記IIIA族元素と、前記VIA族元素とを有する化合物を含む薄膜を形成するステップを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒及びその作製方法に関し、特に、光エネルギー変換触媒及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化石燃料源の枯渇が近づいており、且つ化石燃料の使用は、深刻な公害と環境破壊をもたらすことが知られている。よって、有害廃棄物を生み出さない、例えば、風力エネルギー、バイオマスエネルギーと、太陽エネルギーなどのクリーンエネルギー源が必要である。よって、化石燃料への依存を減らし、汚染を抑制する、化石燃料に代わるエネルギー源が提案されている。
【0003】
このような代替エネルギー源の中で、太陽エネルギーは、既に広く用いられている。太陽エネルギーを利用する技術は、クリーンで、安全で、電源を枯渇させないことを目指して開発が進められている。太陽エネルギー技術は、太陽熱エネルギーか太陽光エネルギーのいずれかに分類されることができる。特に、太陽エネルギーは通常、光電池(すなわち太陽電池)を用いることにより、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換している。
【0004】
太陽電池の変換効率は、それに用いられる半導体材料によって決まる。太陽電池の半導体材料は、ケイ素、無機化合物と、有機半導体材料に分類される。シリコンウエハー系の太陽電池は、高い変換効率(約25%)を有するが、高価、大型と、エネルギー問題の欠点を有する。
【0005】
上述の問題を解決するために、半導体薄膜の太陽電池が開発され、これがソーラー技術で用いられる太陽電池の主なタイプとなっている。半導体薄膜の太陽電池の材料例は、Cu(InGa)Se2 (CIGS)、CdTeと、アモルファス水素化シリコン(NRELグループから開示された)を含み、薄膜CIGS太陽電池は、高い変換効率を有する。
【0006】
太陽光の全スペクトルを電気エネルギーに効率的に変換するには、異なるバンドギャップエネルギーを有する光吸収層が多層膜構造に配置されなければならない。このように、“多層セル”と呼ばれる太陽電池は、連続的または非連続的に光吸収層の組成を変えることで作製されることができる。2つ以上の光吸収層(異なるバンドギャップエネルギーを有する)を有する積層の理論的なエネルギー変換効率は40%以上であることが知られている。
【0007】
銀インジウム鉱物(AgInS2)は、1.87〜2.03eVの間のバンドギャップエネルギーを有し、AgIn5S8は、1.80〜1.90eVの間のバンドギャップエネルギーを有し、CIGS(1.0〜1.7eV)のバンドギャップエネルギーに適合するのに適切であるため、太陽電池の変換効率を高めることができる。
【0008】
粉末状の硫化銀を粉末状の硫化インジウムと混合させることでAgInS2を作り、コロイドを形成して、コロイドを基板にコーティングし、コーティングに熱処理を施す方法が提供されている(特許文献1参照)。しかしながら、得たAgInS2薄膜の均一性と粘着性を制御することは難しい。また、スパッタリング法によってAgInS2薄膜を作製する方法が提供されている(特許文献2参照)。しかし、スパッタリング法の真空設備が高価であることから、コスト高となり、AgInS2薄膜の大量生産を制限する。
【0009】
よって、本発明は、高品質で低コストのAgInS2/AgIn5S8の作製法を提供する。また、本発明の方法は、銀、インジウムと、硫黄間の特定の比率を有する化合物を調製することができる。AgInS2またはAgIn5S8の薄膜のいずれも薄膜の太陽電池に適する材料である。AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合(hybrid combination)が水分解に適する価電子帯(valance band)と伝導帯(conduction band)を有することから、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合は、水分解によって水素ガスを生成するか、または二酸化炭素からC1燃料を生成するのに適用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−263442号公報
【特許文献2】特開平5−234894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
光エネルギー変換触媒及びその作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
光エネルギー変換触媒の作製方法の実施例は、正の原子価を有するIB族元素を含む溶液と、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液とを混合することで組成物を調製するステップ、及び基板上に、液相堆積プロセスによって組成物から薄膜を形成するステップを含み、前記薄膜は、IB族元素と、IIIA族元素と、VIA族元素とを有する化合物を含む。特に、IB族元素と、IIIA族元素と、VIA族元素間のモル比は、1:1〜0.1:1〜10であり、IB族元素とIIIA族元素間のモル比は、1:0.01〜1:10である。また、前記方法は、薄膜にアニール処理を施して、薄膜の結晶構造を強化するステップを含む。
【0013】
本発明の他の実施例において、薄膜は、IB族元素/IIIA族元素/VIA族元素の異なる原子比率を有する少なくとも2つの化合物を含み、少なくとも2つの化合物のIB族元素/IIIA族元素/VIA族元素の原子比率は、組成物のIB族元素とIIIA族元素間のモル比によって変えられる。本発明の方法は、銀、インジウムと、硫黄間の特定の比率を有する化合物を含む光エネルギー変換触媒を調製することができる。
【0014】
本発明のもう1つの実施例は、銀/インジウム/硫黄化合物を含む光エネルギー変換触媒を提供する。また、光エネルギー変換触媒は、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合を含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光エネルギー変換触媒及びその作製方法によれば、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合が水分解に適する価電子帯と伝導帯を有することから、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合は、水分解によって水素ガスを生成、または二酸化炭素からC1燃料を生成するのに適用されることができる。また、明状態と暗状態間の高い光電流差により、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合は、太陽電池技術の応用に適合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の薄膜A〜Fの斜入射X線回折パターンである。
【図2】明状態と暗状態における実施例1の薄膜E(銀とインジウム間のモル比は4である)の光電流に対する電圧を示すグラフを表示している。
【図3】実施例1の薄膜E(銀とインジウム間のモル比は4である)の価電子帯(valance band)と伝導帯(conduction band)を示すグラフである。
【図4】実施例1の薄膜E(銀とインジウム間のモル比は4である)の吸収度に対する波長を示すグラフを表示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【0018】
本発明は、光エネルギー変換触媒の作製方法を提供する。前記方法は、正の原子価を有するIB族元素を含む溶液と、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液とを混合することで組成物を調製するステップ、及び基板上に、液相堆積プロセスによって組成物から薄膜を形成するステップを含み、前記薄膜は、IB族元素と、IIIA族元素と、VIA族元素とを有する化合物を含む。特に、IB族元素と、IIIA族元素と、VIA族元素間のモル比は、1:1〜0.1:1〜10であり、IB族元素とIIIA族元素間のモル比は、1:0.01〜1:10である。また、前記方法は、薄膜にアニール処理を施して、薄膜の結晶構造を強化するステップを含む。
【0019】
特に、IB族元素は、銅、銀、または金を含み、正の原子価を有するIB族元素を含む溶液は、硝酸銀を含む。IIIA族元素は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、またはタリウムを含み、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液は、硝酸インジウムを含む。VIA族元素は、酸素、硫黄、セレン、テルル、またはポロニウムを含み、VIA族元素の正の原子価を含む溶液は、チオアセトアミド(TAA)を含む。正の原子価を有するIB族元素を含む溶液および正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液との間の体積比は、1:1〜1:20である。
【0020】
本発明の実施例に基づくと、液相堆積は、化学浴析出法(CBD)プロセスを含み、化学浴析出法プロセスの温度は、40〜90℃の間である。基板は、例えば金属基板、導電層を有するガラス基板、シリコンウエハー、またはプラスチック基板などの導電基板であることができる。
【0021】
また、組成物は、錯化剤を更に含むことができる。即ち、組成物は、正の原子価を有するIB族元素を含む溶液、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液と、錯化剤を混合することによって調製されることができる。錯化剤を含む組成物を調製した後、pH値が最高で1までで、より好ましくは1より小さく、最も好ましくは0.5より大きくない範囲で、組成物の中に酸性溶液が加えられる。注意するのは、特定のpH値は、化学浴析出法プロセスを容易にすることができる。錯化剤は、0.3M〜0.5Mの間の濃度を有し、アンモニア硝酸水溶液、トリエタノールアミン(TEA)、またはこれらの組み合わせを含むことができ、好ましくは、アンモニア硝酸水溶液である。酸性溶液は、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、またはリン酸を含むことができる。
【0022】
本発明の実施例に基づくと、光エネルギー変換触媒の作製方法は、銀、インジウムと、硫黄間の特定の原子比率を有する、銀/インジウム/硫黄化合物(i.e. 銀、インジウムと、硫黄から成る化合物)を作製することができる。銀/インジウム/硫黄化合物の例は、AgInS2 、AgIn5S8、またはそのハイブリッド結合を含むことができる。本発明の光エネルギー変換触媒の作製方法は、変更可能なモル比を有するAgInS2 、AgIn5S8のハイブリッド結合を調製することができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施例において、銀/インジウム/硫黄薄膜は、化学浴析出法プロセスによって形成される。ここでは、硝酸銀から成る溶液は、銀イオンとインジウムイオンを作製するのに用いられる。チオアセトアミドから成る溶液は、酸性条件で硫黄イオンを作製するのに用いられる。また、アンモニア硝酸水溶液とトリエタノールアミン溶液は、錯化剤となる。化学浴析出法プロセスによって形成された銀/インジウム/硫黄薄膜の化学反応方程式は、下記に示される。
【0024】
CH3CSNH2+H+→H2S+CH3CNH+
【0025】
H2S+H20→HS-+H3O+
【0026】
HS-+H2O→S2-+H3O+
【0027】
Ag+ + (5-4x)In3+ + (8-6x)S2- → x AgInS2/ (1-x) AgIn5S8
【0028】
X = 0〜1
【0029】
光エネルギー変換触媒の作製方法において、基板は洗浄された後に提供される。次に、正(銀とインジウムイオン)と負(例えば硫黄イオン)イオンの特定のモル比に基づいて組成物が調製される。次に、制御された温度下で基板が組成物の中に浸され、基板上に銀/インジウム/硫黄薄膜を形成する。この方法の重要点は、金属イオンの濃度、硫黄イオンの濃度、pH値、錯化剤とその濃度と、反応温度を含み、これらは、銀/インジウム/硫黄薄膜の均一性と厚さに影響を及ぼす。
【実施例】
【0030】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明をより詳細に説明するためのものである。
【0031】
光エネルギー変換触媒から成る薄膜の調製
【0032】
実施例1: 異なる比率のAgInS2/AgIn5S8を有する薄膜
【0033】
インジウムスズ酸化物(ITO)の薄膜(1cm ×5cm)を有するガラス基板が提供され、30分間、超音波かくはんでメタノールによって洗浄される。脱イオン化水で乾燥させた後、基板は30分間、超音波かくはんでアセトンによって洗浄される。脱イオン化水で乾燥させた後、基板に窒素フローが施される。
【0034】
続いて、10mlの硝酸銀と10mlの硝酸インジウムが混合される。特に、[Ag]/[In]のモル比は、1、1.5、2、3、4と、5のようにそれぞれ変えられて、組成物A、B、C、D、Eと、Fを調製する。硝酸銀の濃度は、0.4Mに固定され、硝酸インジウムの濃度は、0.4M、0.266M、0.2M、0.133M、0.1M、または0.08Mで選択可能である。続いて、5mlのアンモニア硝酸水溶液(0.4M)と5mlのトリエタノールアミン(7.4M)(錯化剤となる)が組成物A、B、C、D、Eと、Fの中にそれぞれ加えられる。30分かくはん後、pH値が約0.5になるまで硫酸が組成物内に加えられる。
【0035】
次に、0.4Mのチオアセトアミドが組成物A〜Fの中にそれぞれ加えられる。組成物とチオアセトアミド間の体積比は、1:4である。続いて組成物A〜Fは、化学浴析出法によって30分間80度で薄膜を形成するように用いられる。
【0036】
最後に、薄膜はアニール処理に1時間それぞれ施され、薄膜A、B、C、D、Eと、F([Ag]/[In]のモル比は、それぞれ1、1.5、2、3、4と、5である)を得る。
【0037】
銀/インジウム/硫黄薄膜の特性
【0038】
実施例2: 結晶構造の分析
【0039】
図1に示されるように、薄膜A〜Fは、約2°/sec.のスキャン速度と、約20〜70度のスキャン速度で斜入射X線回折装置(MAC SIENCE MXP−18、Japan)を用いてスキャンされる。薄膜A([Ag]/[In]=1)の結晶は、JCPDS CARD NUMBER 25-1329に適合することが観察されたので、AgIn5S8の立方構造から構成されていることがわかる。[Ag]/[In]のモル比が1.5(薄膜B)から4(薄膜E)に増加された時、ピークの強さ[200]と[320](AgInS2の斜方晶系構造)は、明らかである。よって、薄膜B〜Eは、AgInS2とAgIn5S8のハイブリッド結合である。[Ag]/[In]のモル比が5(薄膜F)の時、薄膜F([Ag]/[In]=5)の結晶は、JCPDS CARD NUMBER 25-1328に適合することが観察されたので、AgInS2の斜方晶系構造から構成されていることがわかる。よって、本発明の方法は、銀、インジウムと、硫黄間の特定の比率を有する化合物を調製することができる。
【0040】
実施例3: 暗/明状態の電流測定
【0041】
暗状態と明状態の薄膜A〜Fの電流は、下記に示す方法によって測定される。
【0042】
光電流は、3極システムによって測定され、得られた薄膜は作用電極となり、飽和カロメル電極(飽和KCl溶液を含む)は、基準電極となり、白金板は、補助電極となる。インジウムスズ酸化物(ITO)と銀/インジウム/硫黄薄膜の基板は、サンプルとして切断されて薄膜(1cm)を得る。銀線は、接着剤によってサンプルのITO表面上に固定される。銀/インジウム/硫黄薄膜と銀線間の距離は、0.5cmである。続いてサンプルは、エポキシ樹脂によって密閉され、乾燥される。測定のプロセス中、光反応器は、電解質で充填される。サンプルと光反応器の石英ガラス間の距離は5cmである。補助レンズ(AM0とAM1.5)付のキセノンランプ(300W)は、光源として用いられる。また、光強度測定器は、光強度が100mW/cmで保持されるように用いられる。電流は、1time/secの周波数と2.5mV/sec.のスキャン速度の定電位電解装置(chopperモードの測定)によって測定される。明状態と暗状態で生じた電流は、両方とも−1V〜1Vのバイアス電圧で測定される。
【0043】
[Ag]/[In]のモル比が4(薄膜E)の時、AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合は、高い光電流を示す。図2に示されるように、明状態と暗状態間の差は、1Vのバイアス電圧下で13mA/cmである。
【0044】
実施例4: 伝導帯と価電子帯のエネルギーギャップ
【0045】
実施例4の測定方法は、3極システムによってあらかじめフラットバンド電圧を測定し、薄膜の伝導帯と価電子帯を測定するステップを含む。I2(λ)(電圧に対して)から I2(λ) = 0への外挿電圧値が測定されてフラットバンド電圧を得る。図3に示されるように、薄膜Eの伝導帯と価電子帯が測定される。薄膜E(AgInS2/AgIn5S8のハイブリッド結合)が水分解に適する価電子帯と伝導帯を有することから、薄膜Eは、水分解によって水素ガスを生成するのに適用されることができる。
【0046】
実施例5: 吸収スペクトル
【0047】
薄膜の吸収スペクトルが5nm/sec.のスキャン速度のUv-vis-NIR吸光光度計によって測定される。図4に示されるように、薄膜Eは、波長400〜800nmの間により強い吸収度を有し、可視光の光反応素子に適する。
【0048】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能である。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギー変換触媒の作製方法であって、
正の原子価を有するIB族元素を含む溶液と、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液とを混合して、前記IB族元素と、前記IIIA族元素と、前記VIA族元素間のモル比が1:1〜0.1:1〜10であり、前記IB族元素と前記IIIA族元素間のモル比が1:0.01〜1:10である組成物を調製するステップ、及び
基板上に、液相堆積によって前記組成物から、前記IB族元素と、前記IIIA族元素と、前記VIA族元素とを有する化合物を含む薄膜を形成するステップを含む方法。
【請求項2】
前記薄膜にアニール処理を施して、結晶構造を強化するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IB族元素は、銅、銀、または金を含み、前記IIIA族元素は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、またはタリウムを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記VIA族元素は、酸素、硫黄、セレン、テルル、またはポロニウムを含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記液相堆積は、化学浴析出法(CBD)プロセスを含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記基板は、導電基板を含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記基板は、金属基板、導電層を有するガラス基板、シリコンウエハー、またはプラスチック基板を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記正の原子価を有するIB族元素を含む溶液は、硝酸銀を含む請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液は、硝酸インジウムを含む請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記VIA族元素の正の原子価を含む溶液は、チオアセトアミド(TAA)を含む請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記薄膜は、IB族元素/IIIA族元素/VIA族元素の異なる原子比率を有する少なくとも1つの化合物を含む請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記薄膜は、IB族元素/IIIA族元素/VIA族元素の異なる原子比率を有する少なくとも2つの化合物を含み、前記少なくとも2つの化合物のIB族元素/IIIA族元素/VIA族元素の原子比率は、前記組成物の前記IB族元素と前記IIIA族元素間のモル比によって変えられる請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つの化合物は、AgInS2 とAgIn5S8を含み、前記組成物の銀とインジウム間の前記モル比は、1〜5である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、錯化剤を更に含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
正の原子価を有するIB族元素を含む溶液、正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液、負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液と、前記錯化剤を有する前記組成物を調製した後、pH値が1を越えないまで前記組成物の中に酸性溶液を加えるステップを更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記錯化剤は、0.3M〜0.5Mの間の濃度を有する請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記錯化剤は、アンモニア硝酸水溶液、トリエタノールアミン(TEA)、またはこれらの組み合わせを含む請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記酸性溶液は、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、またはリン酸を含む請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記正の原子価を有するIB族元素を含む溶液および前記正の原子価を有するIIIA族元素を含む溶液と、前記負の原子価を有するVIA族元素を含む溶液との体積比は、1:1〜1:20である請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記化学浴析出法プロセスの温度は、40〜90℃の間である請求項5〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法によって調製された薄膜を含む光エネルギー変換触媒。
【請求項22】
AgInS2 /AgIn5S8のハイブリッド結合を含む薄膜を含む光エネルギー変換触媒。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−290202(P2009−290202A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108782(P2009−108782)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】