光クロージャ、光ケーブル分岐方式
【課題】光ファイバケーブルからドロップケーブルを分岐する光クロージャにおいて、ドロップケーブルの増設作業を、短時間で簡単に行えるようにする技術の開発が求められていた。
【解決手段】本発明の光クロージャ1は、光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41と、ドロップケーブル5とを、コネクタ接続するための光コネクタアダプタ371が実装されている光コネクタモジュール37を内部に収納している。該光クロージャ1の組み立て時に、光ファイバケーブル4の光ファイバ41をコネクタ成端する光コネクタ43を光コネクタアダプタ371に接続しておくことで、光クロージャ1の組み立て後に導入されるドロップケーブル5との接続を、コネクタ接続によって簡単に行える。
【解決手段】本発明の光クロージャ1は、光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41と、ドロップケーブル5とを、コネクタ接続するための光コネクタアダプタ371が実装されている光コネクタモジュール37を内部に収納している。該光クロージャ1の組み立て時に、光ファイバケーブル4の光ファイバ41をコネクタ成端する光コネクタ43を光コネクタアダプタ371に接続しておくことで、光クロージャ1の組み立て後に導入されるドロップケーブル5との接続を、コネクタ接続によって簡単に行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光クロージャに係り、特に、光ファイバケーブル(主ケーブル)と、分岐(引き落とし)用の光ファイバケーブルとの接続部の収納に用いられる光クロージャ、光ケーブル分岐方式に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブル(主ケーブル)と分岐(引き落とし)用の光ファイバケーブル(ドロップケーブル)との分岐接続に用いられる光クロージャ(接続端子函)は、一般に、主ケーブル心線(光ファイバ心線)とドロップケーブル心線(光ファイバ心線)との融着接続部を収納する。この光クロージャでは、外装ケースとして機能するクロージャスリーブ内に、融着接続部やカプラ等の光部品を収納するための薄形ケース状の余長収納カセットを複数積層してなるカセット積層体を収納した構造が広く採用されている(例えば特許文献1)。余長収納カセットには、光ファイバ心線の余長も収納される。
【特許文献1】特開平10−260318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の光クロージャでは、ドロップケーブルの導入(増設)の度に、心線接続作業が必要となる。心線接続作業では、光クロージャの近くに融着機を搬入する必要があり、作業に手間が掛かる、といった問題があった。また、多くの場合、屋外での作業になるため、融着機の設置状態を安定させにくい、足場が悪いなど、といった、作業環境に係る問題が避けがたく、作業性の確保が問題となるケースが発生していた。
例えば、架空の既設クロージャは、余長収納カセット内に、加入者増に備えて予備心線(光ファイバ心線)を収納することが広く行われている。増設工事はバケット上で、クロージャスリーブの開閉と、光ファイバ心線の融着接続作業とを行う。
しかし、空中での作業環境は良くない上、光ファイバ心線の融着接続のために融着機をバケット上に持ち上げる必要があり、融着接続作業に支障を来す場合が多々生じている。
また、バケット車は交通の支障になるから作業時間の短縮が求められている。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑みて、光ファイバケーブルに対するドロップケーブルの分岐接続を、短時間で簡単に行える、光クロージャ、光ケーブル分岐方式の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、第1の光ファイバケーブルと、該第1の光ファイバケーブルとは別の第2の光ファイバケーブルとの接続部を収納し、第1の光ファイバケーブルからの第2の光ファイバケーブルの分岐に用いられる光クロージャにおいて、前記第1、第2の光ファイバケーブルが引き込まれるクロージャスリーブ内に、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバの余長を収納する余長収納ケースと、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続するための光コネクタモジュールとが積層されてなるケース積層体が収納され、前記光コネクタモジュールは、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバが引き込まれるモジュールケースと、このモジュールケースの側壁部に実装された光コネクタアダプタとを具備し、前記光コネクタアダプタには、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバの先端をコネクタ接続可能に成端する第1光コネクタが前記モジュールケースの内側から接続され、前記光コネクタモジュールの外側から、前記光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブルの光ファイバの先端に取り付けられた第2光コネクタを挿入して接続することで、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続できるように構成され、前記ケース積層体は、ケース積層体を構成する全ての光コネクタモジュール及び余長収納ケースに連通する渡り配線空間を内部に具備し、この渡り配線空間に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通されていることを特徴とする光クロージャを提供する。
請求項2に係る発明は、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバに、光コネクタが先端に取り付けられている光ファイバであるコネクタ付き光ファイバのピグテイル光ファイバが接続され、前記コネクタ付き光ファイバの先端の光コネクタが前記第1光コネクタとして機能することを特徴とする請求項1記載の光クロージャを提供する。
請求項3に係る発明は、前記余長収納ケースが、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと前記コネクタ付き光ファイバとの接続部を余長とともに収納するものであることを特徴とする請求項2記載の光クロージャを提供する。
請求項4に係る発明は、前記クロージャスリーブ内に、連結棒と、該連結棒の長手方向両端に取り付けられ、クロージャスリーブの対向する両側のケーブル導入穴から引き込まれる第1、第2の光ファイバケーブルを把持固定するケーブル固定具とを具備してなる連結ユニットが収納され、前記ケース積層体が、前記連結棒上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項5に係る発明は、前記ケース積層体は、前記連結棒上に1又は複数を積層して設けられた前記余長収納ケースの上に、1又は複数の前記光コネクタモジュールが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光クロージャを提供する。
請求項6に係る発明は、前記光コネクタアダプタが、前記光コネクタモジュールの対向する両側の側壁部に実装されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項7に係る発明は、さらに、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、このドロップケーブルの余長を巻いた状態で保持する余長処理部材(7)が、前記クロージャスリーブの内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項8に係る発明は、前記余長処理部材が、前記ドロップケーブルの余長を巻き付けて湾曲処理するものであることを特徴とする請求項7記載の光クロージャを提供する。
請求項9に係る発明は、最上段の余長収納ケース上にて、前記連結棒の長手方向に沿った中央部に、前記光コネクタモジュールが積層され、ドロップケーブルである第2の光ファイバケーブルの余長を湾曲処理して吸収するための余長処理部材が、前記最上段の余長収納トレー上に、前記光コネクタモジュールを介して前記連結棒の長手方向に沿った両側に対向配置して設けられていることを特徴とする請求項5記載の光クロージャを提供する。
請求項10に係る発明は、光ファイバケーブルに組み立てられた光クロージャに、ドロップケーブルを導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、前記光クロージャが、請求項1〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタに、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタを接続しておき、前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタを前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されることを特徴とする光ケーブル分岐方式を提供する。
請求項11に係る発明は、光ファイバケーブルに組み立てられた光クロージャに、ドロップケーブルを導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、前記光クロージャが、請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタに、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタを接続しておき、前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタを前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されるように構成され、さらに、前記光コネクタアダプタにて前記光ファイバケーブル側の光ファイバとコネクタ接続した前記ドロップケーブルの余長を巻いた状態で前記余長処理部材に保持して、前記光クロージャ内に収納できることを特徴とする光ケーブル分岐方式を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光コネクタモジュールの光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブル(本発明に係る光ケーブル分岐方式ではドロップケーブル)の光ファイバの先端の第2光コネクタを挿入して接続するだけで、第2の光ファイバケーブルの光ファイバと第1の光ファイバケーブルの光ファイバとの光接続を極めて簡単に実現できる。
第2の光ファイバケーブルの増設に備えて、第1の光ファイバケーブルの光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタをモジュールケース内側から光コネクタアダプタに接続して組み立てられた光コネクタモジュールを、クロージャスリーブに収納しておくことで、第2の光ファイバケーブルの増設にあたり、現場での光ファイバ同士の融着接続作業を無くすことが可能であり、増設作業を極めて簡単に短時間で行える。
光コネクタアダプタを実装した光コネクタモジュールの採用は、クロージャスリーブ内における光コネクタアダプタの高密度実装に適している。一つの光コネクタモジュールに実装する光コネクタアダプタの数、又は、光コネクタアダプタを実装した光コネクタモジュールの収納数によって、多数回線の接続に対応できる。
光コネクタモジュールにおける光コネクタアダプタの実装位置を区分けすることにより、一つの光コネクタモジュールで多数の回線の接続を、整理して、効率良く実現することが可能である。
また、本発明では、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通される渡り配線空間を内部に具備するケース積層体を採用しているため、ケース積層体の外側に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間の光ファイバの配線用のスペースを確保する必要が無い。クロージャスリーブ内に、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバ(第1の光ファイバケーブルから第1光コネクタまでの光線路を構成する光ファイバ)を引き回すスペースを確保する必要が無いため、省スペース化することができ、クロージャスリーブ、ひいては、光クロージャ全体の小型化を実現できる。光コネクタモジュールが複数積層されているケース積層体、あるいは、余長収納ケースが複数積層されているケース積層体を採用した場合は、渡り配線空間を、複数の光コネクタモジュールあるいは複数の余長収納ケースに対して、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバを振り分け配線するためのスペースとして活用できるため、省スペース化の効果が大きい。また、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバ(第1の光ファイバケーブルから第1光コネクタまでの光線路を構成する光ファイバ)が、光コネクタモジュールの光コネクタアダプタに対する、第2の光ファイバケーブルの光ファイバのコネクタ接続、接続切替、接続解除といった作業の障害になるといった不都合を回避できるため、コネクタ接続、接続切替、接続解除といった作業の作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光クロージャ1を示す分解斜視図、図2(a)、(b)は前記光クロージャ1のクロージャスリーブ2の端面板を示す図、図3は前記光クロージャ1の内部ユニット3(後述)を示す正面図、図4は前記内部ユニット3を示す平面図である。
なお、以下、図1、図2、図3において上側を「上」、下側を「下」として説明する。
この光クロージャ1によって、本発明に係る光ケーブル分岐方式も具現化されている。
【0008】
図1、図3、図4に示すように、前記光クロージャ1は、該光クロージャ1の外装ケースとして機能するクロージャスリーブ2と、このクロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3とで概略構成されている。
ここで説明する光クロージャ1は、架空布設される光ファイバケーブル4(主ケーブル。第1の光ファイバケーブル)からドロップケーブル5(第2の光ファイバケーブル)を分岐する分岐用の光クロージャである。
ドロップケーブル5は、例えば、光ファイバ素線等の光ファイバを該光ファイバと並列に配置した抗張力線(抗張力繊維等)とともに、樹脂被覆中に埋設固定して一体化したものであり、1心あるは数心程度の、少心の細い光ファイバケーブルである。また、このドロップケーブル5は、手で湾曲変形させることができる程度の柔軟性を有する。
光ファイバケーブル4は、ドロップケーブル5よりも心数が多く、かつ、ドロップケーブル5よりも太いものである。
【0009】
まず、内部ユニット3について説明する。
この内部ユニット3は、連結棒31と、該連結棒31の長手方向両端に取り付けられたケーブル固定具32(主ケーブル固定具)及びドロップケーブル固定具33(ケーブル固定具)と、前記連結棒31上に取り付けて設置されたケース積層体34とを具備して構成されている。
【0010】
クロージャスリーブ2の軸方向両端部(具体的には、端面板22)には、該クロージャスリーブ2内に光ファイバケーブル4を導入するためのケーブル導入孔22a(図2(a)等参照)と、ドロップケーブル5を導入するためのドロップケーブル導入孔22b(ケーブル導入孔)とが形成されている。
内部ユニット3のケーブル固定具32は、ケーブル導入孔22aから導入された光ファイバケーブル4を把持固定するものである。
ドロップケーブル固定具33は、ドロップケーブル導入孔22bから導入されたドロップケーブル5を把持固定するものである。
【0011】
図5に示すように、図示例の内部ユニット3のドロップケーブル固定具33は、ドロップケーブル5が嵌め込まれるスリット状の嵌め込み溝331が側面332に複数配列形成されたブロック状の部材である。嵌め込み溝331は、前記側面332からドロップケーブル固定具33に切り込まれた形状であり、ドロップケーブル5を側面332から嵌め込み溝331に押し込むようにして嵌め込んで固定できる。また、ドロップケーブル固定具33の側面332には、該側面332における嵌め込み溝331の開口部を塞ぐ着脱自在のカバー333(図1参照)が装着される。
【0012】
図3に示すように、連結棒31は、ケース積層体34が載せられる細長形状の連結棒本体311と、この連結棒本体311の長手方向両端に固定され、連結棒本体311を延長するようにして延出する端部部品312とを具備しており、全体として細長形状になっている。連結棒本体311及び端部部品312は、いずれも、金属等の剛性の高い部材で形成されている。ケーブル固定具32及びドロップケーブル固定具33は、具体的には、端部部品312に固定されている。
連結棒31は、長手方向両端のケーブル固定具32間を連結するとともに、該連結棒31に固定された各ドロップケーブル固定具33にドロップケーブル5から作用する引っ張り力等の外力を負担する。
【0013】
図示例の光クロージャ1では、光ファイバケーブル4が、クロージャスリーブ2に引き通され、クロージャスリーブ2内で、内部ユニット3の連結棒31に沿って延在されている。内部ユニット3の両端のケーブル固定具32は、クロージャスリーブ2に引き通された光ファイバケーブル4の長手方向に異なる2箇所を把持固定する機能を果たしている。
但し、内部ユニット3の両端のケーブル固定具32は、クロージャスリーブ2に引き通された光ファイバケーブル4の把持固定に限定されず、クロージャスリーブ2の軸方向両端のケーブル導入孔22aからそれぞれ個別に引き込まれた光ファイバケーブル4の個別の把持固定、に利用可能であることも言うまでも無い。
【0014】
連結棒31と、ケーブル固定具32と、ドロップケーブル固定具33とは、クロージャスリーブ2内に導入された光ファイバケーブル(光ファイバケーブル4及びドロップケーブル5)を固定する連結ユニット35を構成している。この連結ユニット35は、クロージャスリーブ2の内面形状によって、クロージャスリーブ2内の所定位置に収納される。
【0015】
(ケース積層体)
ケース積層体34は、連結棒31上に取り付けられた余長収納ケース36と、この余長収納ケース36上に積層された光コネクタモジュール37とで構成されている。
【0016】
図6に示すように、余長収納ケース36には、光ファイバケーブル4から引き出された光ファイバ41が引き込まれる。余長収納ケース36は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41の余長収納等に用いられる。
光コネクタモジュール37は、光ファイバケーブル4側の光ファイバ(ここでは、具体的には図6のコネクタ付き光ファイバ42)と、ドロップケーブル5の光ファイバとをコネクタ接続するための光コネクタアダプタ371を、薄形ケースであるモジュールケース372(筐体)に実装したものである。
【0017】
前記光コネクタアダプタ371には、光ファイバケーブル4側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ43(光コネクタプラグ)が、モジュールケース372の内側から挿入して接続されている。この光コネクタ43は、本発明に係る第1光コネクタとして機能する。
ここで、「コネクタ接続可能に成端」の語(以下、コネクタ成端、とも言う)は、光ファイバの先端に光コネクタ(光コネクタプラグ)を取り付けた状態にすることを意味する。但し、本明細書では、光ファイバの一端に、予め光コネクタ(光コネクタプラグ)が取り付けられているコネクタ付き光ファイバ42を、融着接続等によって接続することも含むものとする。
【0018】
コネクタ付き光ファイバ42を光ファイバ41に接続する場合は、コネクタ付き光ファイバ42の一端の光コネクタ(以下、符号43を付して説明する)が本発明に係る第1光コネクタとして機能する。光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41には、コネクタ付き光ファイバ42の光コネクタ43から延びるピグテイル光ファイバが融着接続等によって接続される。
【0019】
この光クロージャ1では、該光クロージャ1(クロージャスリーブ2)内に引き込まれたドロップケーブル5の先端に取り付けた光コネクタ6(光コネクタプラグ)を、光コネクタモジュール37の外から、光コネクタアダプタ371に挿入して接続することで、光コネクタアダプタ371内で、光ファイバケーブル4側の光ファイバとドロップケーブル5の光ファイバとがコネクタ接続される。これにより、光ファイバケーブル4側の光回線に対するドロップケーブル5の光接続が実現される。
前記光コネクタ6は、本発明に係る第2光コネクタとして機能する。
【0020】
図6は、光ファイバケーブル4側の光ファイバに係る配線の一例を示す。
図6において、光ファイバケーブル4のケーブル外皮から露出させた光ファイバ41は、余長収納ケース36に引き込まれ、一端に光コネクタ43が取り付けられているコネクタ付き光ファイバ42の他端と融着接続されている。余長収納ケース36には、光ファイバ41、42同士の融着接続部44(接続部)と、光ファイバ41、42の余長41a、42aとが収納される。
コネクタ付き光ファイバ42の一端側は、光コネクタモジュール37のモジュールケース372に引き込まれる。コネクタ付き光ファイバ42の光コネクタ43は、モジュールケース372内側から、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371に接続される。
【0021】
図7は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41が多心光ファイバテープ心線(図7では4心)である場合の具体例を示す光配線図である。
コネクタ付き光ファイバ42は、多心光ファイバテープ心線である多心光ファイバ部421と、この多心光ファイバ部421の片端に設けられた分岐部422から分岐された複数本(図7では4本)の分岐光ファイバ部423とを具備する分岐接続用の光ファイバである(以下、このコネクタ付き光ファイバ42を、分岐接続用光ファイバとも言う)。この分岐接続用光ファイバ42の各分岐光ファイバ部423の分岐部422から延びる先端は、それぞれ、光コネクタ43によってコネクタ接続可能に成端されている。
分岐光ファイバ部423は、多心光ファイバ部421を分割したものである。複数本の分岐光ファイバ部423の合計心数は多心光ファイバ部421の心数と同じである。
【0022】
分岐接続用光ファイバ42の分岐部422及び各分岐光ファイバ部423は、光コネクタモジュール37のモジュールケース372内に収納される。各分岐光ファイバ部423の先端の光コネクタ43は、モジュールケース372内側から、光コネクタアダプタ371に接続される。
なお、図7中仮想線で示すように、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421には、補強チューブ424を被せておくことが好ましい。補強チューブ424は、図9(b)、図10(a)にも、図示している。
【0023】
図7に例示した分岐接続用光ファイバ42は、多心光ファイバ部421と、この多心光ファイバ部421から単心分岐された複数本の分岐光ファイバ部423とを具備する構成である。分岐接続用光ファイバ42は、多心光ファイバ部421の心数が、光ファイバ41と同じものを採用することが好ましい。
図7に例示した分岐接続用光ファイバ42は、4心の多心光ファイバ部421と、単心光ファイバ心線である4本の分岐光ファイバ部423とを備えている。但し、多心光ファイバ部421の心数、及び、分岐光ファイバ部423の本数は、適宜、決めることができることは言うまでも無い。
分岐光ファイバ部423先端に取り付けられる光コネクタ43は、単心用の光コネクタプラグであり、例えば、JIS C 5973に制定されるSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)や、JIS C 5983に制定されるMU形光コネクタ(MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等を採用できる。
【0024】
光ファイバケーブル4の光ファイバ41の先端には、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421(詳細には、多心光ファイバ部421の分岐部422とは逆側の端部)が融着接続される。これにより、光ファイバケーブル4の多心の光ファイバ41が、分岐接続用光ファイバ42の複数本の分岐光ファイバ部423に分岐される。
【0025】
(余長収納ケース)
図1〜図4に示すように、図示例のケース積層体34の余長収納ケース36は、細長形状の薄形容器であり、長手方向を連結棒31の長手方向に揃えて連結棒31上に設けられる。図示例の光クロージャ1では、連結棒31上に複数(図示例では2つ)の余長収納ケース36を積層状態に設けている。但し、連結棒31上に設置する余長収納ケース36の数は、1つでも良い。
【0026】
余長収納ケース36としては、例えば図8に示すように、トレーを採用できる。
余長収納ケース36の側壁部には、光ファイバケーブル4の光ファイバ41を引き込むための光ファイバ挿通口36aが設けられている。
図8において、積層された複数の余長収納ケース36は、隣り合う余長収納ケース36の間が、ヒンジ38によって連結されており、余長収納ケース36のヒンジ38を中心とする回転で、隣り合う余長収納ケース36の間を開閉できる。隣り合う余長収納ケース36の間を開放することで(図8中、仮想線参照)、所望の余長収納ケース36の作業面361を開放でき、余長収納ケース36内への光ファイバ等の収納、余長収納ケース36からの光ファイバ等の取り出し、といった作業を行える。余長収納ケース36を積層状態に戻せば、隣り合う余長収納ケース36の間が閉じ合わされて、光ファイバ等を内部に収納した状態を維持できる。また、積層の最上段の余長収納ケース36(積層された複数の余長収納ケース36の内、連結棒31から最も遠い位置にあるもの)については、閉塞用の蓋板362を取り付けてある。この蓋板362は、余長収納ケース36を開閉可能であることが好ましい。
【0027】
なお、ケース積層体34は、該ケース積層体34を構成する余長収納ケース36が、個別に開閉できるようになっていれば良く、余長収納ケース36同士をヒンジ38で回転可能に連結した構成に限定されない。例えば、隣り合う余長収納ケース36を、係合爪の係脱可能な係合によって、離脱可能に連結した構成等、様々な連結構造を採用できる。
但し、ケース積層体34の余長収納ケース36は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41及びコネクタ付き光ファイバ42の余長や、光ファイバ41、42同士の融着接続部44を収納した後、例えば、図1に示すように、固定具363を用いて連結棒31に固定することが好ましい。図1に例示した固定具363は、ケース積層体34の複数の余長収納ケース36を内側に収納する概略門形の枠体であり、締結部品(図示略)によって連結棒31に固定されることで、ケース積層体34の複数の余長収納ケース36を連結棒31に一括固定する。締結部品による連結棒31に対する固定を解除すれば、各余長収納ケース36の開閉(例えば、前述のヒンジ38を中心とする回転による開閉)が可能となる。
また、余長収納ケース36としては、トレー状に限定されない。例えば、開閉可能な蓋板を有する余長収納ケース36のみを複数積層することも可能である。
【0028】
(光コネクタモジュール)
図9(a)、(b)、図10(a)、(b)等に示すように、光コネクタモジュール37は、具体的には、薄形ケースであるモジュールケース372の対向する一対の側壁部373a、373bに、それぞれ光コネクタアダプタ371を複数実装した構成である。
この光コネクタモジュール37は、全体として、外観薄板状に形成されており、ケース積層体34の最上段の余長収納ケース36上に積層されている。この光コネクタモジュール37は、余長収納ケース36上に積み重ねるようにして、複数設けることができる。図1〜図3、図8に示した例では、最上段の余長収納ケース36上に、2つの光コネクタモジュール37を積み重ねるようにして積層した構成を例示している。
【0029】
図10(a)、(b)に示すように、モジュールケース372は、トレー状のケース本体374と、このケース本体374に着脱可能な蓋板375とを有する。蓋板375は、ケース本体374の外周面(外周壁374bの外面)に形成された係止部374aに係脱可能な係合片375a(弾性爪)を有しており、この係止部374aと係合片375aとの係脱によって、ケース本体374に対して着脱できる。
なお、このモジュールケース372において、光コネクタアダプタ371が実装されている一対の側壁部373a、373bは、ケース本体374の底板374cの外周部に立設されている外周壁374bの一部である。図示例のモジュールケース372は、外観長方形(正方形を含む)板状の薄形ケースであり、ケース本体374に長方形枠状に形成された外周壁374bの4辺の壁部の内、モジュールケース372の内部空間Sを介して丁度対面する一組の壁部が、光コネクタアダプタ371が実装されている一対の側壁部373a、373bとして機能する。
【0030】
この光コネクタモジュール37は、対向する両側に光コネクタアダプタ371が、それぞれ、クロージャスリーブ2の軸方向両端部に対面する向きで設けられる。これにより、クロージャスリーブ2の軸方向両端部からのドロップケーブル5の導入、光ファイバケーブル4側の光線路との接続に、容易に対応できるといった利点がある。また、光コネクタアダプタ371の実装数を多く確保することができるといった利点もある。
【0031】
前述したように、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371には、光ファイバケーブル4側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ43(光コネクタプラグ)が、モジュールケース372の内側から接続されている。
モジュールケース372には、コネクタ付き光ファイバ42の内、光コネクタ43から延びるピグテイル部分(具体的には、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421)を、該モジュールケース372の外に引き出すための光ファイバ挿通窓376(図6参照)が開口されている。
この光ファイバ挿通窓376は、具体的には、光コネクタモジュール37のモジュールケース372の底板374cと、光コネクタモジュール37の蓋板375とに形成されている。モジュールケース372の底板374cの光ファイバ挿通窓376(区別のため、376aを付す)と、蓋板375の光ファイバ挿通窓376(区別のため、符号376bを付す)とは、光コネクタモジュール37の内部空間Sを介して丁度対応する位置で、底板374cと蓋板375とに開口されている。
【0032】
余長収納ケース36上に設けられる光コネクタモジュール37は、固定具によって、連結棒31又は余長収納ケース36に固定される。
図8に示す図示例のケース積層体34では、固定具377として、最上段の光コネクタモジュール37上から、余長収納ケース36上の全ての光コネクタモジュール37に貫通させて、最上段の余長収納ケース36の蓋板362に取り付けられたナット367にねじ込まれる締結ボルトを採用している(以下、この固定具を、締結ボルトとも言う)。
なお、図示例のケース積層体34では、ナット367は、蓋体362の内面側(余長収納ケース36の内部空間に臨む側)に取り付けられており、締結ボルト377は、蓋体362に形成されているボルト孔に貫通させてナット367にねじ込まれるようになっている。
【0033】
前記締結ボルト377は、ナット367へのねじ込みによる締結力によって、最上段の光コネクタモジュール37を最上段の余長収納ケース36の蓋板362に押し付けるようにして、余長収納ケース36上の全ての光コネクタモジュール37を、最上段の余長収納ケース36の蓋板362に固定する。これにより、全ての光コネクタモジュール37が、連結棒31に固定された余長収納ケース36を介して、連結棒31に対して固定することができる。締結ボルト377を回転操作してナット367から抜き出せば、光コネクタモジュール37を余長収納ケース36上から離脱させることができる。なお、締結ボルト377は、各光コネクタモジュール37のケース本体374から内部空間S内に突設されたボルト挿通スリーブ378内に挿通されるため、光コネクタモジュール37内の光ファイバと接触しないようになっている。
【0034】
余長収納ケース36や光コネクタモジュール37を連結棒31に対して固定するための固定具としては、上述したものに限定されず、例えば、ケース積層体34の外側に巻き掛けて、ケース積層体34全体を連結棒31に一括固定する結束ベルト等も採用可能である。
なお、この固定具としては、余長収納ケース36及び光コネクタモジュール37の連結棒31に対する固定を解除できるものを採用することが好ましい。
【0035】
(渡り配線空間)
図8に示すように、光コネクタモジュール37のみならず、トレー状の各余長収納ケース36の底板364にも、光ファイバ挿通窓365が開口されている。また、最上段の余長収納ケース36に装着される蓋板362にも、底板364の光ファイバ挿通窓365に対応する位置に、光ファイバ挿通窓366が開口されている。余長収納ケース36の光ファイバ挿通窓365、366も、コネクタ付き光ファイバ42を通すことができるものである。
図示例のケース積層体34は、該ケース積層体34の全ての余長収納ケース36の光ファイバ挿通窓365、366と、全ての光コネクタモジュール37の底板374c及び蓋板375に形成された光ファイバ挿通窓376とによって、ケース積層体34を構成する全てのケース(余長収納ケース36及び光コネクタモジュール37)に連通する渡り配線空間341を、内部に具備している。この渡り配線空間341は、ケース積層体34の上下方向(図8上下方向)に延在している。
【0036】
光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間にわたって配線される光ファイバ(ここではコネクタ付き光ファイバ42)は、この渡り配線空間341に通される。
したがって、このケース積層体34では、光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間にわたって配線される渡り配線(光ファイバ)が、該ケース積層体34の内部に収納され、ケース積層体34の外に配線されることが無い。このため、ケース積層体34の外に、渡り配線の配線スペースを確保したり、渡り配線を振動しないように固定する固定具等を設ける必要が無く、クロージャスリーブ2内の空間を有効利用できる。結局、光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間の渡り配線(光ファイバ)の引き回しを、ケース積層体34の外に配線する場合に比べて簡単に行える。クロージャスリーブ2を小型化できる、といった利点もある。
【0037】
(余長処理部材)
ケース積層体34の最上段の余長収納ケース36の上には、ドロップケーブル5の余長52を湾曲処理して吸収するための余長処理部材7が設けられている。
図1、図3、図4等に例示した余長処理部材7は、リング状に形成されたマンドレルであり、ドロップケーブル5の余長52を外周面に巻き付けて湾曲処理するものである。
細長形状の余長収納ケース36(最上段の余長収納ケース)上には、光コネクタモジュール37と一対の余長処理部材7とが、光コネクタモジュール37の両側に余長処理部材7が配置されるようにして、該余長収納ケース36の長手方向に沿って配列して設けられている。つまり、一対の余長処理部材7は、最上段の余長収納ケース36の長手方向において、余長収納ケース36の長手方向中央部に設置された光コネクタモジュール37の両側となるように配置される。
【0038】
余長処理部材7は、最上段の余長収納ケース36上の蓋板362に固定状態になっている。この余長処理部材7は、ここでは、合成樹脂製の蓋板362に一体成形されたものである(余長処理部材付き蓋板の一部になっている)。
また、余長処理部材7は、余長収納ケース36(蓋板362を含む)とは別体のもの採用し、ねじ等の固定部材を用いて最上段の余長収納ケース36上に固定しても良い。
【0039】
この実施形態に示した光クロージャ1の余長処理部材7は、ケース積層体34の一部である。クロージャスリーブ2を組み立てて、クロージャスリーブ2内に内部ユニット3を収納すると、余長処理部材7及び該余長処理部材7に巻き付けたドロップケーブル5の余長52もクロージャスリーブ2内に収納される。
従来、架空設置された光クロージャに導入したドロップケーブルの余長は、リング状に巻くなどして、光クロージャの外側に確保することが一般的である。このため、光ファイバ同士の融着接続等の光クロージャの内部についての作業の他に、光クロージャの外側でのドロップケーブルの余長処理作業が発生し、これらの作業を、足場の悪い高所作業で行わねばならない。高所作業用のバケットの移動が必要になる場合もあり、作業に手間が掛かる。
これに対して、本発明に係る光クロージャ1では、導入したドロップケーブル5の余長を、余長処理部材7への巻き付けによって簡単に湾曲処理できる。しかも、余長処理部材7は、クロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3の一部であるため、ドロップケーブル5の余長の余長処理部材7への巻き付け作業のために、高所作業用のバケットを移動させるといった手間を無くすことができる、といった利点がある。
【0040】
さらに、余長処理部材7の設置形態としては、例えば、連結棒31上に立設した取付台に取り付けたり、連結棒31に直接取り付ける、といった設置形態を採用することも可能である。
余長処理部材7を連結棒31に直接又は間接的に取り付ける設置形態では、余長処理部材7は、ケース積層体34の一部では無いが、クロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3の一部であり、クロージャスリーブ2を組み立てたときにクロージャスリーブ2の内部に収納される。
【0041】
なお、余長処理部材7としては、ドロップケーブル5の余長52を巻き付けて湾曲処理するものに限定されず、例えば、コイル状に巻くなどして湾曲処理したドロップケーブル5の余長52を内側に収納して湾曲状態を維持する容器状のものであっても良い。例えば、図1等に例示したリング状の余長処理部材7と同様にリング状に形成して、コイル状に巻いて湾曲処理したドロップケーブル5の余長を収納する内側空間を有する構造の余長処理部材等であっても良い。また、外観箱形等のケース状のものであっても良い。
【0042】
(集合保持部品)
図1、図3、図4において、符号313は、ドロップケーブル5用の集合保持部品である。この集合保持部品313は、クロージャスリーブ2の軸方向両端部から引き込まれる複数本のドロップケーブル5を集合保持するリング状に形成されている。
図示例の光クロージャ1において、集合保持部品313は、ドロップケーブル固定具33と余長処理部材7との間に配置されており、複数本のドロップケーブル5を集合保持して、クロージャスリーブ2内におけるドロップケーブル5の引き回し用スペースを縮小する役割を果たす。
図示例の光クロージャ1では、集合保持部品313は、連結棒31に取り付けているが、例えば、端面板22あるいはドロップケーブル固定具33から突設した取付台に取り付ける、といった設置形態を採用することも可能である。
【0043】
(ドロップケーブル用光コネクタ)
ドロップケーブル5の先端をコネクタ接続可能に成端する光コネクタ6としては、現場(光クロージャ1の設置場所あるいはその付近)で、ドロップケーブル5の先端に簡単に取り付けることができるものを採用することが好ましい。
図11(a)〜(c)は、光コネクタ6の一例を示す。
図11(a)に示すように、光コネクタ6は、光コネクタ本体61と、ドロップケーブル5の先端部を把持固定し、前記光コネクタ本体61に組み付けられる引き留め部材62(構造の詳細は図12参照)とを具備して構成されている。
【0044】
光コネクタ本体61は、フェルール63と後述のクランプ部64とからなるクランプ部付きフェルール65を、スリーブ状のハウジング66の内側に収納した構造になっている。
【0045】
フェルール63は、該フェルール63を貫通する微細孔632を有している。前記微細孔632内には、光ファイバ67(裸光ファイバ。以下、内蔵光ファイバとも言う)が内挿固定されている。
内蔵光ファイバ67の先端は、フェルール63先端の、突き合わせ接続用の接合端面631に露出されている。また、内蔵光ファイバ67の後端(先端とは逆の端部)は、フェルール63の後端(接合端面631とは反対側)から突出されて、フェルール63の後端側に組み立てられているクランプ部64の二つ割り構造の素子641、642の間に挿入されている。
【0046】
内蔵光ファイバ67のフェルール63後端から突出した部分は、素子641、642同士の合わせ面641a、642aの一方又は両方に形成されている調心溝643(図11(c)参照)に配置されている。前記調心溝643は、前記内蔵光ファイバ67と、クランプ部64の後端側(フェルール63とは逆の側)から素子641、642間に挿入される、ドロップケーブル5の光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aとを、突き合わせ接続可能に高精度に調心する機能を果たすものである。この調心溝643としては、例えばV溝、丸溝(断面半円形の溝)、U溝等を採用できる(図11(c)ではV溝)。
この調心溝643は、フェルール63の後端から、クランプ部64の後端(クランプ部64においてフェルール63とは逆の側の端部)に向かって、クランプ部64の前後方向(図11(a)、(b)左右)の中央部まで延在形成されている。
なお、図示例の光コネクタ6では、調心溝643は、一対の素子641、642の内、フェルール63に固定されているベース側素子641の合わせ面643aに形成されている。
【0047】
内蔵光ファイバ67のフェルール63後端から突出した部分は、調心溝643のフェルール63側の端部から調心溝643の長手方向中央部にわたって配置される。調心溝634は、フェルール63を貫通する微細孔632の延長上に形成されており、微細孔632の調心軸線の延長上に、内蔵光ファイバ67を調心して位置決め支持できる。
クランプ部64では、別途、クランプ部64の後端側(フェルール63とは逆側)から素子641、642間に挿入される、ドロップケーブル5の光ファイバ51(詳細には、光ファイバ素線である光ファイバ51の先端に露出させた裸光ファイバ51a)と、内蔵光ファイバ67とが、調心溝643にて精密に位置決め調心されて突き合わせ接続される。
【0048】
また、素子641、642同士の合わせ面641a、642aの一方又は両方には、素子641、642間に挿入されるドロップケーブル5の光ファイバ51(裸光ファイバ51aが露出されていない被覆部)を収納する被覆部収納溝644が形成されている。
被覆部収納溝644は、調心溝643の、フェルール63側とは逆側の端部から、クランプ部64の後端側に延びている。また、この被覆部収納溝644は、裸光ファイバ67、51aよりも太い、被覆付きの光ファイバ51を収納するために、調心溝643を拡張した形状になっている。クランプ部64の後端部には、被覆部収納溝644にドロップケーブル5の光ファイバ51を挿入するための、被覆部収納溝644の開口部645が開口されている。この開口部645は、光ファイバ51の挿入を容易にするために、テーパ状に形成されている。
【0049】
クランプ部64は、一対の素子641、642からなる二つ割り構造の素子部640と、この素子部640を内側に収納するスリーブ状のばね646とを具備して構成されている。
【0050】
素子部640の一対の素子641、642の内の一方は、フェルール63の後端部に固定されているベース側素子641である。他方の素子642は、ベース側素子641に対して開閉可能である。以下、素子642を、蓋側素子とも言う。
一対の素子641、642は、合わせ面641a、642a同士を合わせると、ロッド状となる。
【0051】
ばね646は、一対の素子641、642間に挿入された光ファイバ(内蔵光ファイバ67、ドロップケーブル5の光ファイバ51(先端の裸光ファイバ51aを含む))を一対の素子641、642間にクランプするクランプ力を、一対の素子641、642に与える機能を果たす。
このばね646はスリーブ状であり、しかも、該ばね646の軸方向全長にわたって延在するスリット状の開口部647を有する断面コ字形あるいはC形(図示例(図11(c)参照)では断面コ字形)に形成されている。バネ646の開口部647は、素子部640の一対の素子641、642の閉じ合わせ境界640aに位置合わせされている。ばね646は、開口部647を介して両側の部分が、素子部640に、一対の素子641,642を互いに押し付けるクランプ力を付与するように機能する。
なお、図11(c)では、一対の素子641、642を閉じ合わせたときに断面角形のロッド状となる素子部640を例示したが、素子部640としてはこれに限定されず、例えば、一対の素子641、642を閉じ合わせたときに断面円形、楕円形になるものであっても良い。
【0052】
図11(c)に示すように、クランプ部64の一対の素子641、642の間には、ばね646のクランプ力に抗して一対の素子641、642間が開放した状態を保つための、介挿部材648を割り込ませることができる。介挿部材648としては、例えば楔状のものや、板状のものが採用される。
図示例の光コネクタ6では、介挿部材648は、一対の素子641、642間に割り込ませてある(図11(c)以外の図では、介挿部材648の図示を省略してある)。この介挿部材648は、ばね646の開口部647からばね646の外側に突出されている。
但し、楔状等、先端が尖った形状の介挿部材648については、ばね646の開口部645から一対の素子641、642の間に挿脱することで、素子641、642間の開閉操作に用いることができる。
ばね646の開口部647に露出する素子部640の側面には、一対の素子641、642の間に介挿部材648を割り込ませるための窪みである介挿部材挿入口649が開口されている。この介挿部材挿入口649の形成位置は、丁度、一対の素子641、642の閉じ合わせ境界640aに対応している。図11(c)に例示した介挿部材挿入口649は、両側の素子641、642にそれぞれ形成した窪みによって構成されているが、片側の素子に形成した窪みのみからなるものであっても良い。
【0053】
図11(a)、(b)に示すように、クランプ部64の蓋側素子642は、クランプ部64の前後方向に配列された2つのピースからなる。以下、フェルール63に近い側のピースに符号642a、このピース642aよりもクランプ部64の後端側に配置されているピースに符号642bを付して説明する。
フェルール63側のピース642aは調心溝643によって位置決めされた光ファイバを、ばね646の弾性によって、ベース側素子641との間にクランプする機能を果たすものである。ピース642bは、被覆部収納溝644によって位置決めされた光ファイバ51(被覆部)を、ばね646の弾性によって、ベース側素子641との間にクランプする機能を果たすものである。クランプ部64の前後方向において、フェルール63側のピース642aは調心溝643に対応する領域に設けられ、ピース642bは被覆部収納溝644に対応する領域に設けられている。
【0054】
また、ばね646は、軸方向中央部に形成されたスリット646aによって、それぞれ独立したばねとして機能する2つのクランプばね部646A、646Bに2分されている。2つのクランプばね部646A、646Bは、蓋側素子642の2つのピース642a、642bに対応して設けられている。このため、2つのピース642a、642bは、個別にベース側素子641に対して開閉可能であり、しかも、2つのクランプばね部646A、646Bによって、クランプ力も、それぞれ個別に付与される。
ばね646において、スリット646aは、開口部647から両側に切り込んだ形状に形成されている。但し、前記スリット646aは、ばね646において、ばね646の内側に収納された素子部640を介して開口部647と対向する部分(背部646b)には切り込まれない。背部646bは、2つのクランプばね部646A、646Bを連結する連結部として機能する。
【0055】
次に、引き留め部材62について説明する。
図12に示すように、引き留め部材62は、ドロップケーブル5が嵌め込まれるケーブル嵌合溝621が形成されている引き留め部材本体622と、この引き留め部材本体622に重ね合わされるようにして装着される蓋板623とを具備している。
ケーブル嵌合溝621は、引き留め部材本体622において蓋板623が重ね合わされる上面624から窪んだ形状に形成されている。蓋板623は、引き留め部材本体62に装着して固定されることで、引き留め部材本体622の上面624におけるケーブル嵌合溝621の開口部を塞ぎ、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれたドロップケーブル5のケーブル嵌合溝621から浮き上がりによる離脱を防ぐ。
【0056】
引き留め部材62は、ドロップケーブル5の先端に口出しした光ファイバ51及び該光ファイバ51先端に露出させた裸光ファイバ51aを、光コネクタ本体61の後端側から、クランプ部付きフェルール65のクランプ部64の一対の素子641、642間に挿入する作業に用いられる。
引き留め部材62は、光コネクタ本体61の後端部(フェルール63とは反対の側)に設けられた枠状の引き留め部材受け部661内に押し込んで、光コネクタ本体61に組み付ける。ドロップケーブル5の先端に口出しした光ファイバ51及び該光ファイバ51先端に露出させた裸光ファイバ51aの、光コネクタ本体61のクランプ部付きフェルール65のクランプ部64への挿入は、光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661への引き留め部材62の押し込みによって実現される(詳細は後述する)。
引き留め部材受け部661には、押し込まれた引き留め部材62を保持して組み付け状態を維持するために、例えば、引き留め部材62に係合する弾性爪などといった、保持手段を設けておくことが好ましい。
【0057】
前記ケーブル嵌合溝621は、引き留め部材本体622の、光コネクタ本体61の後端部に対する押し込み方向前側の前端壁625から、押し込み方向後側(前端壁625とは逆の側)に向かって延在し、引き留め部材62の後端面626(図11(a)参照)に開口されている。
前記前端壁625には、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれるドロップケーブル5の先端に口出しされた光ファイバ51(ここでは光ファイバ素線)を通すためのスリット状の光ファイバ挿通溝627が形成されている。光ファイバ挿通溝627は、ケーブル嵌合溝621に連通されている。また光ファイバ挿通溝627は、ケーブル嵌合溝621に比べて、かなり狭く形成されている。前端壁625は、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれるドロップケーブル5の被覆部53先端が引き留め部材本体622から突き出すことを規制するストッパ壁としての機能、及び、ケーブル嵌合溝621に対するドロップケーブル5の嵌め込み位置の目安としての機能、を果たす。
【0058】
ケーブル嵌合溝621の内面には、該ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれたドロップケーブル5の被覆部53に食い込んで、ケーブル嵌合溝621の延在方向へのドロップケーブル5の位置ずれを規制する引き留め突起628が複数突設されている。これにより、ドロップケーブル5は、ケーブル嵌合溝621に圧入するだけで、引き留め突起628によって、しっかりと引き留められる。さらに、前述の蓋板623を引き留め部材本体622の上面624に重ね合わせて固定することで、ドロップケーブル5の先端部が引き留め部材62にしっかりと固定される。
蓋板623と引き留め部材本体622との固定構造は、例えば、蓋板623及び引き留め部材本体622の一方又は両方に形成した係合爪による係合等が適している。
【0059】
この光コネクタ6をドロップケーブル5先端に取り付け(組み立て)るには、まず、光ファイバ51を口出ししたドロップケーブル5の先端に引き留め部材62を組み立てて固定する。
ドロップケーブル5の先端(被覆部53)は、前述したように、ケーブル嵌合溝621に嵌め込んで固定する。また、ドロップケーブル5先端に口出ししておいた光ファイバ51は、引き留め部材本体622の前端壁625の光ファイバ挿通溝627に通して、引き留め部材本体622の前側に突出させておく。
なお、光ファイバ51の先端には、裸光ファイバ51aを露出させておく。
【0060】
次いで、引き留め部材62を光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661に押し込んで、引き留め部材受け部661に組み付ける。
このとき、引き留め部材62の、光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661への押し込みによって、引き留め部材62から突出されている光ファイバ51を、クランプ部付きフェルール65の素子部640後端に開口する被覆部収納溝644の開口部645から、被覆部収納溝644に挿入する。また、この押し込みにより、光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aを、被覆部収納溝644から、該被覆部収納溝644に連通されている調心溝643に挿入し、調心溝643にて、フェルール63側の内蔵光ファイバ67と突き合わせ接続させる。
【0061】
光ファイバ51は、調心溝643への挿入長と、被覆部収納溝644への挿入長とに鑑みて、引き留め部材62からの突出長及び裸光ファイバ51aの露出長を、素子部640への挿入前に、予め、確保しておくことは言うまでも無い。
引き留め部材受け部661の内部には、引き留め部材62から突出されている光ファイバ51を、素子部640後端に開口する被覆部収納溝644の開口部645に誘導するための誘導壁等を設けておくことが好ましい。
なお、クランプ部付きフェルール65のクランプ部64は、光コネクタ本体61の引き留め部材受け部661に引き留め部材62を押し込む前に、介挿部材648によって、素子部640の一対の素子641、642の間を開放して、被覆部収納溝644への光ファイバ51の挿入、及び、調心溝643への裸光ファイバ51aの挿入が可能な状態にしておく。
【0062】
次いで、クランプ部64の素子部640の一対の素子641、642の間から介挿部材648を引き抜く。
これにより、クランプ部64のばね646の弾性によって、一対の素子641、642の間が閉じられ、一対の素子641、642の間に光ファイバ67、51がクランプ固定される。また、このクランプ固定によって、内蔵光ファイバ67と、光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aとの突き合わせ接続状態が維持される。
【0063】
以上により、ドロップケーブル5先端への光コネクタ6の取り付け(組み立て)を行える。
光コネクタ6によってコネクタ接続可能に成端されたドロップケーブル5は、光コネクタ6を、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371に挿入して接続することで、光ファイバケーブル4側の光ファイバに対して簡単に光接続することができる。また、光コネクタ6の光コネクタアダプタ371に対する切替接続によって、接続対象の光ファイバケーブル4側の光ファイバを簡単に切り替えることができる。
【0064】
(クロージャスリーブ)
クロージャスリーブ2は、内部ユニット3を、防水性を確保して収納するための外装体である。また、このクロージャスリーブ2は、必要に応じて、気密性も得られるようにする。
クロージャスリーブ2としては、様々な構造のものを採用できる。
図1に例示したクロージャスリーブ2は、一対のスリーブ半体211、212をヒンジ部213で相対回転可能に連結してなる二つ割り構造のスリーブ本体21と、筒状に組み立てられるスリーブ本体21の軸方向両端を塞ぐ一対の端面板22とで構成されている。
【0065】
スリーブ本体21はプラスチック製であり、前記ヒンジ部213は、具体的には、一対のスリーブ半体211、212の間に形成された屈曲容易な薄肉部である。
一対のスリーブ半体211、212は、ヒンジ部213を中心とする回転によって開閉できる。
クロージャスリーブ2の組み立ては、ヒンジ部213を中心とする回転によって一対のスリーブ半体211、212を閉じ合わせ、スリーブ本体21の軸方向両端に配置した端面板22を、それぞれ、一対のスリーブ半体211、212の間に両側から挟み込む。
一対のスリーブ半体211、212は、ボルト、ナット式の締結部品214(図2(a)参照)等によって締結して、強固に一体化する。締結部品214の締結を解除すれば、一対のスリーブ半体211、212を開放でき、クロージャスリーブ2を解体できる。
【0066】
図2(a)、(b)に示すように、前記端面板22には、クロージャスリーブ2内に光ファイバケーブル4を導入するためのケーブル導入孔22a、及び、ドロップケーブル5を導入するためのドロップケーブル導入孔22bが形成されている。ケーブル導入孔22a及びドロップケーブル導入孔22bは、端面板22を貫通する貫通孔である。
この端面板22は、プラスチック製であり、一対の端面板半体221、222を、一対のスリーブ半体211、212の間に形成された屈曲容易な薄肉部であるヒンジ部223で回転可能に連結して、開閉可能とした構造になっている。この端面板22は、開閉可能な二つ割り構造であるため、例えば、既設の光ファイバケーブル4に対して簡単に組み付けることができる、といった利点がある。
【0067】
ケーブル導入孔22aは、一対の端面板半体221、222を一体化したときに、各端面板半体221、222の合わせ面221a、222aから窪む半円状に形成された半円状凹部221b、222b同士が一体化されることで形成される。
一対の端面板半体221、222を一体化して端面板22を組み立てて、ケーブル導入孔22aに光ファイバケーブル4を収納する場合、ケーブル導入孔22aは、光ファイバケーブル4の外周面と、ケーブル導入孔22aの内面との間に挟み込まれるゴム状弾性部材であるパッキン224によって封止される。これにより、ケーブル導入孔22aに高い水密性を確保できる。
パッキン224の材質は、例えば、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(特にEPDM)等の、特に柔軟性に優れたものである。
クロージャスリーブ2を組み立てたときには、スリーブ本体21の一対のスリーブ半体211、212を一体化する締結力が、端面板22の一対の端面板半体221、222同士を互いに圧接させる力として働き、さらに、パッキン224の圧縮力としても働くため、パッキン224によってケーブル導入孔22aが確実に封止され、高い水密性が得られる。
【0068】
なお、図2(a)、(b)に例示したように、両端面板半体221、222の合わせ面221a、222aに形成された半円状凹部221b、222b同士が一体化されることで形成されるケーブル導入孔22aを複数有する端面板22の場合は(図2(a)、(b)は、ケーブル導入孔22aが2つの例)、隣り合うケーブル導入孔22a同士を、端面板半体221、222間に確保される狭幅の連通空間22cで連通させ、全てのケーブル導入孔22aをひと繋がりとした、多連導入孔22dを形成する。
また、パッキン224としては、多連導入孔22dの両側の端面板半体221、222の多連導入孔22dに臨む側面に沿って配置される一対のパッキン半体224a、224bからなるものを採用する。
【0069】
図2(a)、(b)に例示した端面板22のドロップケーブル導入孔22bは、端面板22を構成する一対の端面板半体221、222の内の片方(ここでは、符号222の端面板半体)の、合わせ面222aとは反対側の側面222c(外周面の一部)から端面板半体222に切り込む溝状に形成されている。このドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体22の側面222cにおける開口部が、端面板22の外周面の全周にわたって圧接されるスリーブ本体21の内面によって塞がれることで、孔状となる。
スリーブ本体21を開いて、ドロップケーブル導入孔22bの端面板半体22の側面222cにおける開口部を開放すれば、ドロップケーブル導入孔22bに対する、ドロップケーブル5の嵌め込み、及び、取り出し等の作業を、簡単に、楽に行える。
【0070】
ドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体222の側面222cの複数箇所に形成されている。また、図示例の端面板22では、図4、図5に示すように、端面板半体222を端面板22の厚み方向に貫通する溝状のドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体22の側面222cにおける端面板22の厚み方向中央部に形成された溝225によって、長手方向中央部が分断されている。
【0071】
なお、ドロップケーブル導入孔22bとしては、図示例のような、端面板半体22の側面222cから切り込んだ形状の溝からなるものに限定されず、例えば、端面板22に穿設した孔状のものであっても良い。この場合、孔状のドロップケーブル導入孔22bは、ドロップケーブル5を、端面板22の外面側(クロージャスリーブ2の外側)から、ドロップケーブル導入孔22bに挿し通して挿通できるように、大きさ等を調整する。
孔状のドロップケーブル導入孔22bの端面板22における形成位置は、ドロップケーブル5の導入作業に支障が無い位置であれば良く、特には限定されない。
また、図示例のような、端面板22の側面に形成された溝からなるドロップケーブル導入孔22bは、端面板22の外周部における形成位置は、図示例に限定されず、適宜、変更可能である。
【0072】
図示を略すが、ドロップケーブル導入孔22bも、例えば、前述したパッキン224と同様の材質からなる封止材料等を用いて、封止することが好ましい。
また、ドロップケーブル5が挿通されていない、空きのドロップケーブル導入孔22bは、例えば取り外し可能な盲栓(図示略)の嵌め込み等により、封止しておく。
【0073】
(吊り下げ具)
図2(a)、(b)、図3に示すように、光クロージャ1には、該光クロージャ1を架空布設された光ファイバケーブル4に組み立てる場合に、光クロージャ1を、光ファイバケーブル4上に布設されている支持線8から吊り下げるための吊り下げ具9が設けられている。
この吊り下げ具9は、内部ユニット3の連結棒31の長手方向両端に取り付けられている。また、この吊り下げ具9は、クロージャスリーブ2の端面板22を貫通して、クロージャスリーブ2の外側に突出される突出部材91と、この突出部材91のクロージャスリーブ2の外側に突出される部分に取り付けられ、支持線8を把持固定する支持線固定部92とを具備している。
【0074】
(導入するドロップケーブルの増設)
前記光クロージャ1は、光ファイバケーブル4に組み立てる際に、光ファイバケーブル4から、ドロップケーブル5の増設を見込んだ本数(あるいは心数)の光ファイバ41を引き出し、各光ファイバ41のコネクタ成端(ここでは、光コネクタ43でコネクタ成端されたコネクタ付き光ファイバ42の融着接続)、余長処理等を行って、ケース積層体34全体を組み立てることで(図6、図10(a)に示すように、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371への光コネクタ43の接続等も完了した状態)、ドロップケーブル5の増設を極めて簡単に行える。
【0075】
上述のように、ドロップケーブル5の増設を見込んだ本数(あるいは心数)の光ファイバ41をコネクタ成端して、組み立てた光クロージャ1(光コネクタ43の)は、ドロップケーブル5がコネクタ接続されていない、空きの光コネクタアダプタ371を有する。光クロージャ1に導入するドロップケーブル5の増設は、クロージャスリーブ2のスリーブ本体21を取り外し、ドロップケーブル5の先端に取り付けた光コネクタ6を、前述した空きの光コネクタアダプタ371に挿入して接続した後、クロージャスリーブ2を組み立てれば良い。
【0076】
したがって、光クロージャ1によれば、ドロップケーブル5先端の光コネクタ6の光コネクタアダプタ371への接続によって、光ファイバケーブル4の光ファイバとドロップケーブル5の光ファイバ51との光接続を簡単に実現できるため、ドロップケーブル5の増設を非常に簡単に行える。
従来のように、高所作業での光ファイバ同士(光ファイバケーブル側の光ファイバとドロップケーブルの光ファイバ)の融着接続は不要であり、増設作業を短時間で迅速に行える。
【0077】
光ファイバケーブル4に対する光クロージャ1の組み立て(最初の組み立て)を、地上等の、作業性を充分に確保できる場所で行い、組み立て完了後に、光ファイバケーブル4を電柱間に張設することで、光クロージャ1を架空設置すれば、光ファイバケーブル4に対する光クロージャ1の最初の組み立てでも、高所作業での光ファイバ同士の融着接続を回避することができる。光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41とコネクタ付き光ファイバ42との融着接続や、光ファイバ41、42の余長処理、ケース積層体34全体の組み立て等の作業性を充分に確保できることは言うまでも無い。
【0078】
(別実施形態)
図13は、コネクタ付き光ファイバ42を用いずに、光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41の先端に、直接、光コネクタ43を取り付け、この光コネクタ43を、光コネクタモジュール37の内側から光コネクタアダプタ371に挿入して、接続した例を示す。
光コネクタ43としては、ドロップケーブル5用の光コネクタ6と同様に、現場付け光コネクタを採用する。この光コネクタ43としては、例えば、光コネクタ6と同様の構造のものを採用できる。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、渡り配線空間341を内部に有するケース積層体34を採用した例を説明したが、本発明は、余長収納ケース36と光コネクタモジュール37との間の渡り配線が、ケース積層体34の外側での引き回しによって配線される構成であっても良い。この場合、余長収納ケース36の側壁部、光コネクタモジュール37の側壁部に、渡り配線の光ファイバを通すための挿通口を形成しておく。但し、上述の実施形態のように、渡り配線空間341を内部に有するケース積層体34の採用は、クロージャスリーブ2内における光ファイバの配線スペース確保、クロージャスリーブ2の小型化の点で、ケース積層体34の外側に渡り配線を引き回す構成に比べて有利である。
光コネクタアダプタ371内にて接続される光コネクタ43、6(光コネクタプラグ)としては、単心、多心のいずれでも良く、また、その種類も、特に限定は無い。光コネクタ43、6の心数は、コネクタ成端する光ファイバの心数に応じたものを採用する。
光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41とコネクタ付き光ファイバ42との接続は、融着接続に限定されず、例えば、メカニカルスプライス等を利用した突き合わせ接続(機械的接続)であっても良い。
本発明は、架空光ファイバケーブル用の光クロージャに限定されず、光ファイバケーブルへの組み立て後に、第2の光ファイバケーブルの導入、及び、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバとの接続作業を行えるようにする光クロージャに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る光クロージャを示す分解斜視図である。
【図2】図1の光クロージャの端面板を示す図であって、(a)は端面板を光ファイバケーブルに組み付けた状態、(b)は端面板の一対の端面板半体を開いた状態を示す。
【図3】図1の光クロージャの内部ユニットを示す正面図である。
【図4】図1の光クロージャの内部ユニットを示す平面図である。
【図5】図1の光クロージャのドロップケーブル固定具及び端面板を示す拡大斜視図である。
【図6】図1の光クロージャのケース積層体の構造を示す断面図である。
【図7】図1の光クロージャのケース積層体における、光ファイバケーブルの光ファイバ及びコネクタ付き光ファイバの引き回しを示す光配線図である。
【図8】図6のケース積層体の構造を示す図であって、図3のA−A線断面矢視図である。
【図9】(a)、(b)は、図1の光クロージャの光コネクタモジュールの外観構造を示す図である。
【図10】(a)、(b)は、図1の光クロージャの光コネクタモジュールの、蓋板を取り外した状態を示す図である。
【図11】図1の光クロージャに適用されるドロップケーブル用の光コネクタを示す図であって、(a)は光コネクタと引き留め部材とを分離して示した図、(b)はクランプ部付きフェルールを示す断面図、(c)はクランプ部付きフェルールのクランプ部を示す断面図である。
【図12】図11のドロップケーブル用光コネクタの引き留め部材を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る光クロージャの別実施形態を示す図であり、ケース積層体の構造の別態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1…光クロージャ、2…クロージャスリーブ、22a…ケーブル導入孔、22b…ケーブル導入孔(ドロップケーブル導入孔)、31…連結棒、32…ケーブル固定具、33…ドロップケーブル固定具、34…ケース積層体、341…渡り配線空間、35…連結ユニット、36…余長収納ケース、37…光コネクタモジュール、371…光コネクタアダプタ、372…モジュールケース、373a,373b…側壁部、4…第1の光ファイバケーブル(光ファイバケーブル)、41…光ファイバ、42…コネクタ付き光ファイバ、42a…余長、43…第1光コネクタ(光コネクタプラグ)、44…接続部(融着接続部)、5…第2の光ファイバケーブル(ドロップケーブル)、51…光ファイバ(光ファイバ素線)、6…第2光コネクタ(光コネクタプラグ)、7…余長処理部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光クロージャに係り、特に、光ファイバケーブル(主ケーブル)と、分岐(引き落とし)用の光ファイバケーブルとの接続部の収納に用いられる光クロージャ、光ケーブル分岐方式に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブル(主ケーブル)と分岐(引き落とし)用の光ファイバケーブル(ドロップケーブル)との分岐接続に用いられる光クロージャ(接続端子函)は、一般に、主ケーブル心線(光ファイバ心線)とドロップケーブル心線(光ファイバ心線)との融着接続部を収納する。この光クロージャでは、外装ケースとして機能するクロージャスリーブ内に、融着接続部やカプラ等の光部品を収納するための薄形ケース状の余長収納カセットを複数積層してなるカセット積層体を収納した構造が広く採用されている(例えば特許文献1)。余長収納カセットには、光ファイバ心線の余長も収納される。
【特許文献1】特開平10−260318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の光クロージャでは、ドロップケーブルの導入(増設)の度に、心線接続作業が必要となる。心線接続作業では、光クロージャの近くに融着機を搬入する必要があり、作業に手間が掛かる、といった問題があった。また、多くの場合、屋外での作業になるため、融着機の設置状態を安定させにくい、足場が悪いなど、といった、作業環境に係る問題が避けがたく、作業性の確保が問題となるケースが発生していた。
例えば、架空の既設クロージャは、余長収納カセット内に、加入者増に備えて予備心線(光ファイバ心線)を収納することが広く行われている。増設工事はバケット上で、クロージャスリーブの開閉と、光ファイバ心線の融着接続作業とを行う。
しかし、空中での作業環境は良くない上、光ファイバ心線の融着接続のために融着機をバケット上に持ち上げる必要があり、融着接続作業に支障を来す場合が多々生じている。
また、バケット車は交通の支障になるから作業時間の短縮が求められている。
【0004】
本発明は、前記課題に鑑みて、光ファイバケーブルに対するドロップケーブルの分岐接続を、短時間で簡単に行える、光クロージャ、光ケーブル分岐方式の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、第1の光ファイバケーブルと、該第1の光ファイバケーブルとは別の第2の光ファイバケーブルとの接続部を収納し、第1の光ファイバケーブルからの第2の光ファイバケーブルの分岐に用いられる光クロージャにおいて、前記第1、第2の光ファイバケーブルが引き込まれるクロージャスリーブ内に、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバの余長を収納する余長収納ケースと、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続するための光コネクタモジュールとが積層されてなるケース積層体が収納され、前記光コネクタモジュールは、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバが引き込まれるモジュールケースと、このモジュールケースの側壁部に実装された光コネクタアダプタとを具備し、前記光コネクタアダプタには、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバの先端をコネクタ接続可能に成端する第1光コネクタが前記モジュールケースの内側から接続され、前記光コネクタモジュールの外側から、前記光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブルの光ファイバの先端に取り付けられた第2光コネクタを挿入して接続することで、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続できるように構成され、前記ケース積層体は、ケース積層体を構成する全ての光コネクタモジュール及び余長収納ケースに連通する渡り配線空間を内部に具備し、この渡り配線空間に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通されていることを特徴とする光クロージャを提供する。
請求項2に係る発明は、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバに、光コネクタが先端に取り付けられている光ファイバであるコネクタ付き光ファイバのピグテイル光ファイバが接続され、前記コネクタ付き光ファイバの先端の光コネクタが前記第1光コネクタとして機能することを特徴とする請求項1記載の光クロージャを提供する。
請求項3に係る発明は、前記余長収納ケースが、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと前記コネクタ付き光ファイバとの接続部を余長とともに収納するものであることを特徴とする請求項2記載の光クロージャを提供する。
請求項4に係る発明は、前記クロージャスリーブ内に、連結棒と、該連結棒の長手方向両端に取り付けられ、クロージャスリーブの対向する両側のケーブル導入穴から引き込まれる第1、第2の光ファイバケーブルを把持固定するケーブル固定具とを具備してなる連結ユニットが収納され、前記ケース積層体が、前記連結棒上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項5に係る発明は、前記ケース積層体は、前記連結棒上に1又は複数を積層して設けられた前記余長収納ケースの上に、1又は複数の前記光コネクタモジュールが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光クロージャを提供する。
請求項6に係る発明は、前記光コネクタアダプタが、前記光コネクタモジュールの対向する両側の側壁部に実装されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項7に係る発明は、さらに、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、このドロップケーブルの余長を巻いた状態で保持する余長処理部材(7)が、前記クロージャスリーブの内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光クロージャを提供する。
請求項8に係る発明は、前記余長処理部材が、前記ドロップケーブルの余長を巻き付けて湾曲処理するものであることを特徴とする請求項7記載の光クロージャを提供する。
請求項9に係る発明は、最上段の余長収納ケース上にて、前記連結棒の長手方向に沿った中央部に、前記光コネクタモジュールが積層され、ドロップケーブルである第2の光ファイバケーブルの余長を湾曲処理して吸収するための余長処理部材が、前記最上段の余長収納トレー上に、前記光コネクタモジュールを介して前記連結棒の長手方向に沿った両側に対向配置して設けられていることを特徴とする請求項5記載の光クロージャを提供する。
請求項10に係る発明は、光ファイバケーブルに組み立てられた光クロージャに、ドロップケーブルを導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、前記光クロージャが、請求項1〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタに、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタを接続しておき、前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタを前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されることを特徴とする光ケーブル分岐方式を提供する。
請求項11に係る発明は、光ファイバケーブルに組み立てられた光クロージャに、ドロップケーブルを導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、前記光クロージャが、請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタに、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタを接続しておき、前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタを前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されるように構成され、さらに、前記光コネクタアダプタにて前記光ファイバケーブル側の光ファイバとコネクタ接続した前記ドロップケーブルの余長を巻いた状態で前記余長処理部材に保持して、前記光クロージャ内に収納できることを特徴とする光ケーブル分岐方式を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光コネクタモジュールの光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブル(本発明に係る光ケーブル分岐方式ではドロップケーブル)の光ファイバの先端の第2光コネクタを挿入して接続するだけで、第2の光ファイバケーブルの光ファイバと第1の光ファイバケーブルの光ファイバとの光接続を極めて簡単に実現できる。
第2の光ファイバケーブルの増設に備えて、第1の光ファイバケーブルの光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタをモジュールケース内側から光コネクタアダプタに接続して組み立てられた光コネクタモジュールを、クロージャスリーブに収納しておくことで、第2の光ファイバケーブルの増設にあたり、現場での光ファイバ同士の融着接続作業を無くすことが可能であり、増設作業を極めて簡単に短時間で行える。
光コネクタアダプタを実装した光コネクタモジュールの採用は、クロージャスリーブ内における光コネクタアダプタの高密度実装に適している。一つの光コネクタモジュールに実装する光コネクタアダプタの数、又は、光コネクタアダプタを実装した光コネクタモジュールの収納数によって、多数回線の接続に対応できる。
光コネクタモジュールにおける光コネクタアダプタの実装位置を区分けすることにより、一つの光コネクタモジュールで多数の回線の接続を、整理して、効率良く実現することが可能である。
また、本発明では、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通される渡り配線空間を内部に具備するケース積層体を採用しているため、ケース積層体の外側に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間の光ファイバの配線用のスペースを確保する必要が無い。クロージャスリーブ内に、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバ(第1の光ファイバケーブルから第1光コネクタまでの光線路を構成する光ファイバ)を引き回すスペースを確保する必要が無いため、省スペース化することができ、クロージャスリーブ、ひいては、光クロージャ全体の小型化を実現できる。光コネクタモジュールが複数積層されているケース積層体、あるいは、余長収納ケースが複数積層されているケース積層体を採用した場合は、渡り配線空間を、複数の光コネクタモジュールあるいは複数の余長収納ケースに対して、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバを振り分け配線するためのスペースとして活用できるため、省スペース化の効果が大きい。また、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバ(第1の光ファイバケーブルから第1光コネクタまでの光線路を構成する光ファイバ)が、光コネクタモジュールの光コネクタアダプタに対する、第2の光ファイバケーブルの光ファイバのコネクタ接続、接続切替、接続解除といった作業の障害になるといった不都合を回避できるため、コネクタ接続、接続切替、接続解除といった作業の作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る光クロージャ1を示す分解斜視図、図2(a)、(b)は前記光クロージャ1のクロージャスリーブ2の端面板を示す図、図3は前記光クロージャ1の内部ユニット3(後述)を示す正面図、図4は前記内部ユニット3を示す平面図である。
なお、以下、図1、図2、図3において上側を「上」、下側を「下」として説明する。
この光クロージャ1によって、本発明に係る光ケーブル分岐方式も具現化されている。
【0008】
図1、図3、図4に示すように、前記光クロージャ1は、該光クロージャ1の外装ケースとして機能するクロージャスリーブ2と、このクロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3とで概略構成されている。
ここで説明する光クロージャ1は、架空布設される光ファイバケーブル4(主ケーブル。第1の光ファイバケーブル)からドロップケーブル5(第2の光ファイバケーブル)を分岐する分岐用の光クロージャである。
ドロップケーブル5は、例えば、光ファイバ素線等の光ファイバを該光ファイバと並列に配置した抗張力線(抗張力繊維等)とともに、樹脂被覆中に埋設固定して一体化したものであり、1心あるは数心程度の、少心の細い光ファイバケーブルである。また、このドロップケーブル5は、手で湾曲変形させることができる程度の柔軟性を有する。
光ファイバケーブル4は、ドロップケーブル5よりも心数が多く、かつ、ドロップケーブル5よりも太いものである。
【0009】
まず、内部ユニット3について説明する。
この内部ユニット3は、連結棒31と、該連結棒31の長手方向両端に取り付けられたケーブル固定具32(主ケーブル固定具)及びドロップケーブル固定具33(ケーブル固定具)と、前記連結棒31上に取り付けて設置されたケース積層体34とを具備して構成されている。
【0010】
クロージャスリーブ2の軸方向両端部(具体的には、端面板22)には、該クロージャスリーブ2内に光ファイバケーブル4を導入するためのケーブル導入孔22a(図2(a)等参照)と、ドロップケーブル5を導入するためのドロップケーブル導入孔22b(ケーブル導入孔)とが形成されている。
内部ユニット3のケーブル固定具32は、ケーブル導入孔22aから導入された光ファイバケーブル4を把持固定するものである。
ドロップケーブル固定具33は、ドロップケーブル導入孔22bから導入されたドロップケーブル5を把持固定するものである。
【0011】
図5に示すように、図示例の内部ユニット3のドロップケーブル固定具33は、ドロップケーブル5が嵌め込まれるスリット状の嵌め込み溝331が側面332に複数配列形成されたブロック状の部材である。嵌め込み溝331は、前記側面332からドロップケーブル固定具33に切り込まれた形状であり、ドロップケーブル5を側面332から嵌め込み溝331に押し込むようにして嵌め込んで固定できる。また、ドロップケーブル固定具33の側面332には、該側面332における嵌め込み溝331の開口部を塞ぐ着脱自在のカバー333(図1参照)が装着される。
【0012】
図3に示すように、連結棒31は、ケース積層体34が載せられる細長形状の連結棒本体311と、この連結棒本体311の長手方向両端に固定され、連結棒本体311を延長するようにして延出する端部部品312とを具備しており、全体として細長形状になっている。連結棒本体311及び端部部品312は、いずれも、金属等の剛性の高い部材で形成されている。ケーブル固定具32及びドロップケーブル固定具33は、具体的には、端部部品312に固定されている。
連結棒31は、長手方向両端のケーブル固定具32間を連結するとともに、該連結棒31に固定された各ドロップケーブル固定具33にドロップケーブル5から作用する引っ張り力等の外力を負担する。
【0013】
図示例の光クロージャ1では、光ファイバケーブル4が、クロージャスリーブ2に引き通され、クロージャスリーブ2内で、内部ユニット3の連結棒31に沿って延在されている。内部ユニット3の両端のケーブル固定具32は、クロージャスリーブ2に引き通された光ファイバケーブル4の長手方向に異なる2箇所を把持固定する機能を果たしている。
但し、内部ユニット3の両端のケーブル固定具32は、クロージャスリーブ2に引き通された光ファイバケーブル4の把持固定に限定されず、クロージャスリーブ2の軸方向両端のケーブル導入孔22aからそれぞれ個別に引き込まれた光ファイバケーブル4の個別の把持固定、に利用可能であることも言うまでも無い。
【0014】
連結棒31と、ケーブル固定具32と、ドロップケーブル固定具33とは、クロージャスリーブ2内に導入された光ファイバケーブル(光ファイバケーブル4及びドロップケーブル5)を固定する連結ユニット35を構成している。この連結ユニット35は、クロージャスリーブ2の内面形状によって、クロージャスリーブ2内の所定位置に収納される。
【0015】
(ケース積層体)
ケース積層体34は、連結棒31上に取り付けられた余長収納ケース36と、この余長収納ケース36上に積層された光コネクタモジュール37とで構成されている。
【0016】
図6に示すように、余長収納ケース36には、光ファイバケーブル4から引き出された光ファイバ41が引き込まれる。余長収納ケース36は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41の余長収納等に用いられる。
光コネクタモジュール37は、光ファイバケーブル4側の光ファイバ(ここでは、具体的には図6のコネクタ付き光ファイバ42)と、ドロップケーブル5の光ファイバとをコネクタ接続するための光コネクタアダプタ371を、薄形ケースであるモジュールケース372(筐体)に実装したものである。
【0017】
前記光コネクタアダプタ371には、光ファイバケーブル4側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ43(光コネクタプラグ)が、モジュールケース372の内側から挿入して接続されている。この光コネクタ43は、本発明に係る第1光コネクタとして機能する。
ここで、「コネクタ接続可能に成端」の語(以下、コネクタ成端、とも言う)は、光ファイバの先端に光コネクタ(光コネクタプラグ)を取り付けた状態にすることを意味する。但し、本明細書では、光ファイバの一端に、予め光コネクタ(光コネクタプラグ)が取り付けられているコネクタ付き光ファイバ42を、融着接続等によって接続することも含むものとする。
【0018】
コネクタ付き光ファイバ42を光ファイバ41に接続する場合は、コネクタ付き光ファイバ42の一端の光コネクタ(以下、符号43を付して説明する)が本発明に係る第1光コネクタとして機能する。光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41には、コネクタ付き光ファイバ42の光コネクタ43から延びるピグテイル光ファイバが融着接続等によって接続される。
【0019】
この光クロージャ1では、該光クロージャ1(クロージャスリーブ2)内に引き込まれたドロップケーブル5の先端に取り付けた光コネクタ6(光コネクタプラグ)を、光コネクタモジュール37の外から、光コネクタアダプタ371に挿入して接続することで、光コネクタアダプタ371内で、光ファイバケーブル4側の光ファイバとドロップケーブル5の光ファイバとがコネクタ接続される。これにより、光ファイバケーブル4側の光回線に対するドロップケーブル5の光接続が実現される。
前記光コネクタ6は、本発明に係る第2光コネクタとして機能する。
【0020】
図6は、光ファイバケーブル4側の光ファイバに係る配線の一例を示す。
図6において、光ファイバケーブル4のケーブル外皮から露出させた光ファイバ41は、余長収納ケース36に引き込まれ、一端に光コネクタ43が取り付けられているコネクタ付き光ファイバ42の他端と融着接続されている。余長収納ケース36には、光ファイバ41、42同士の融着接続部44(接続部)と、光ファイバ41、42の余長41a、42aとが収納される。
コネクタ付き光ファイバ42の一端側は、光コネクタモジュール37のモジュールケース372に引き込まれる。コネクタ付き光ファイバ42の光コネクタ43は、モジュールケース372内側から、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371に接続される。
【0021】
図7は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41が多心光ファイバテープ心線(図7では4心)である場合の具体例を示す光配線図である。
コネクタ付き光ファイバ42は、多心光ファイバテープ心線である多心光ファイバ部421と、この多心光ファイバ部421の片端に設けられた分岐部422から分岐された複数本(図7では4本)の分岐光ファイバ部423とを具備する分岐接続用の光ファイバである(以下、このコネクタ付き光ファイバ42を、分岐接続用光ファイバとも言う)。この分岐接続用光ファイバ42の各分岐光ファイバ部423の分岐部422から延びる先端は、それぞれ、光コネクタ43によってコネクタ接続可能に成端されている。
分岐光ファイバ部423は、多心光ファイバ部421を分割したものである。複数本の分岐光ファイバ部423の合計心数は多心光ファイバ部421の心数と同じである。
【0022】
分岐接続用光ファイバ42の分岐部422及び各分岐光ファイバ部423は、光コネクタモジュール37のモジュールケース372内に収納される。各分岐光ファイバ部423の先端の光コネクタ43は、モジュールケース372内側から、光コネクタアダプタ371に接続される。
なお、図7中仮想線で示すように、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421には、補強チューブ424を被せておくことが好ましい。補強チューブ424は、図9(b)、図10(a)にも、図示している。
【0023】
図7に例示した分岐接続用光ファイバ42は、多心光ファイバ部421と、この多心光ファイバ部421から単心分岐された複数本の分岐光ファイバ部423とを具備する構成である。分岐接続用光ファイバ42は、多心光ファイバ部421の心数が、光ファイバ41と同じものを採用することが好ましい。
図7に例示した分岐接続用光ファイバ42は、4心の多心光ファイバ部421と、単心光ファイバ心線である4本の分岐光ファイバ部423とを備えている。但し、多心光ファイバ部421の心数、及び、分岐光ファイバ部423の本数は、適宜、決めることができることは言うまでも無い。
分岐光ファイバ部423先端に取り付けられる光コネクタ43は、単心用の光コネクタプラグであり、例えば、JIS C 5973に制定されるSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)や、JIS C 5983に制定されるMU形光コネクタ(MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)等を採用できる。
【0024】
光ファイバケーブル4の光ファイバ41の先端には、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421(詳細には、多心光ファイバ部421の分岐部422とは逆側の端部)が融着接続される。これにより、光ファイバケーブル4の多心の光ファイバ41が、分岐接続用光ファイバ42の複数本の分岐光ファイバ部423に分岐される。
【0025】
(余長収納ケース)
図1〜図4に示すように、図示例のケース積層体34の余長収納ケース36は、細長形状の薄形容器であり、長手方向を連結棒31の長手方向に揃えて連結棒31上に設けられる。図示例の光クロージャ1では、連結棒31上に複数(図示例では2つ)の余長収納ケース36を積層状態に設けている。但し、連結棒31上に設置する余長収納ケース36の数は、1つでも良い。
【0026】
余長収納ケース36としては、例えば図8に示すように、トレーを採用できる。
余長収納ケース36の側壁部には、光ファイバケーブル4の光ファイバ41を引き込むための光ファイバ挿通口36aが設けられている。
図8において、積層された複数の余長収納ケース36は、隣り合う余長収納ケース36の間が、ヒンジ38によって連結されており、余長収納ケース36のヒンジ38を中心とする回転で、隣り合う余長収納ケース36の間を開閉できる。隣り合う余長収納ケース36の間を開放することで(図8中、仮想線参照)、所望の余長収納ケース36の作業面361を開放でき、余長収納ケース36内への光ファイバ等の収納、余長収納ケース36からの光ファイバ等の取り出し、といった作業を行える。余長収納ケース36を積層状態に戻せば、隣り合う余長収納ケース36の間が閉じ合わされて、光ファイバ等を内部に収納した状態を維持できる。また、積層の最上段の余長収納ケース36(積層された複数の余長収納ケース36の内、連結棒31から最も遠い位置にあるもの)については、閉塞用の蓋板362を取り付けてある。この蓋板362は、余長収納ケース36を開閉可能であることが好ましい。
【0027】
なお、ケース積層体34は、該ケース積層体34を構成する余長収納ケース36が、個別に開閉できるようになっていれば良く、余長収納ケース36同士をヒンジ38で回転可能に連結した構成に限定されない。例えば、隣り合う余長収納ケース36を、係合爪の係脱可能な係合によって、離脱可能に連結した構成等、様々な連結構造を採用できる。
但し、ケース積層体34の余長収納ケース36は、光ファイバケーブル4の光ファイバ41及びコネクタ付き光ファイバ42の余長や、光ファイバ41、42同士の融着接続部44を収納した後、例えば、図1に示すように、固定具363を用いて連結棒31に固定することが好ましい。図1に例示した固定具363は、ケース積層体34の複数の余長収納ケース36を内側に収納する概略門形の枠体であり、締結部品(図示略)によって連結棒31に固定されることで、ケース積層体34の複数の余長収納ケース36を連結棒31に一括固定する。締結部品による連結棒31に対する固定を解除すれば、各余長収納ケース36の開閉(例えば、前述のヒンジ38を中心とする回転による開閉)が可能となる。
また、余長収納ケース36としては、トレー状に限定されない。例えば、開閉可能な蓋板を有する余長収納ケース36のみを複数積層することも可能である。
【0028】
(光コネクタモジュール)
図9(a)、(b)、図10(a)、(b)等に示すように、光コネクタモジュール37は、具体的には、薄形ケースであるモジュールケース372の対向する一対の側壁部373a、373bに、それぞれ光コネクタアダプタ371を複数実装した構成である。
この光コネクタモジュール37は、全体として、外観薄板状に形成されており、ケース積層体34の最上段の余長収納ケース36上に積層されている。この光コネクタモジュール37は、余長収納ケース36上に積み重ねるようにして、複数設けることができる。図1〜図3、図8に示した例では、最上段の余長収納ケース36上に、2つの光コネクタモジュール37を積み重ねるようにして積層した構成を例示している。
【0029】
図10(a)、(b)に示すように、モジュールケース372は、トレー状のケース本体374と、このケース本体374に着脱可能な蓋板375とを有する。蓋板375は、ケース本体374の外周面(外周壁374bの外面)に形成された係止部374aに係脱可能な係合片375a(弾性爪)を有しており、この係止部374aと係合片375aとの係脱によって、ケース本体374に対して着脱できる。
なお、このモジュールケース372において、光コネクタアダプタ371が実装されている一対の側壁部373a、373bは、ケース本体374の底板374cの外周部に立設されている外周壁374bの一部である。図示例のモジュールケース372は、外観長方形(正方形を含む)板状の薄形ケースであり、ケース本体374に長方形枠状に形成された外周壁374bの4辺の壁部の内、モジュールケース372の内部空間Sを介して丁度対面する一組の壁部が、光コネクタアダプタ371が実装されている一対の側壁部373a、373bとして機能する。
【0030】
この光コネクタモジュール37は、対向する両側に光コネクタアダプタ371が、それぞれ、クロージャスリーブ2の軸方向両端部に対面する向きで設けられる。これにより、クロージャスリーブ2の軸方向両端部からのドロップケーブル5の導入、光ファイバケーブル4側の光線路との接続に、容易に対応できるといった利点がある。また、光コネクタアダプタ371の実装数を多く確保することができるといった利点もある。
【0031】
前述したように、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371には、光ファイバケーブル4側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ43(光コネクタプラグ)が、モジュールケース372の内側から接続されている。
モジュールケース372には、コネクタ付き光ファイバ42の内、光コネクタ43から延びるピグテイル部分(具体的には、分岐接続用光ファイバ42の多心光ファイバ部421)を、該モジュールケース372の外に引き出すための光ファイバ挿通窓376(図6参照)が開口されている。
この光ファイバ挿通窓376は、具体的には、光コネクタモジュール37のモジュールケース372の底板374cと、光コネクタモジュール37の蓋板375とに形成されている。モジュールケース372の底板374cの光ファイバ挿通窓376(区別のため、376aを付す)と、蓋板375の光ファイバ挿通窓376(区別のため、符号376bを付す)とは、光コネクタモジュール37の内部空間Sを介して丁度対応する位置で、底板374cと蓋板375とに開口されている。
【0032】
余長収納ケース36上に設けられる光コネクタモジュール37は、固定具によって、連結棒31又は余長収納ケース36に固定される。
図8に示す図示例のケース積層体34では、固定具377として、最上段の光コネクタモジュール37上から、余長収納ケース36上の全ての光コネクタモジュール37に貫通させて、最上段の余長収納ケース36の蓋板362に取り付けられたナット367にねじ込まれる締結ボルトを採用している(以下、この固定具を、締結ボルトとも言う)。
なお、図示例のケース積層体34では、ナット367は、蓋体362の内面側(余長収納ケース36の内部空間に臨む側)に取り付けられており、締結ボルト377は、蓋体362に形成されているボルト孔に貫通させてナット367にねじ込まれるようになっている。
【0033】
前記締結ボルト377は、ナット367へのねじ込みによる締結力によって、最上段の光コネクタモジュール37を最上段の余長収納ケース36の蓋板362に押し付けるようにして、余長収納ケース36上の全ての光コネクタモジュール37を、最上段の余長収納ケース36の蓋板362に固定する。これにより、全ての光コネクタモジュール37が、連結棒31に固定された余長収納ケース36を介して、連結棒31に対して固定することができる。締結ボルト377を回転操作してナット367から抜き出せば、光コネクタモジュール37を余長収納ケース36上から離脱させることができる。なお、締結ボルト377は、各光コネクタモジュール37のケース本体374から内部空間S内に突設されたボルト挿通スリーブ378内に挿通されるため、光コネクタモジュール37内の光ファイバと接触しないようになっている。
【0034】
余長収納ケース36や光コネクタモジュール37を連結棒31に対して固定するための固定具としては、上述したものに限定されず、例えば、ケース積層体34の外側に巻き掛けて、ケース積層体34全体を連結棒31に一括固定する結束ベルト等も採用可能である。
なお、この固定具としては、余長収納ケース36及び光コネクタモジュール37の連結棒31に対する固定を解除できるものを採用することが好ましい。
【0035】
(渡り配線空間)
図8に示すように、光コネクタモジュール37のみならず、トレー状の各余長収納ケース36の底板364にも、光ファイバ挿通窓365が開口されている。また、最上段の余長収納ケース36に装着される蓋板362にも、底板364の光ファイバ挿通窓365に対応する位置に、光ファイバ挿通窓366が開口されている。余長収納ケース36の光ファイバ挿通窓365、366も、コネクタ付き光ファイバ42を通すことができるものである。
図示例のケース積層体34は、該ケース積層体34の全ての余長収納ケース36の光ファイバ挿通窓365、366と、全ての光コネクタモジュール37の底板374c及び蓋板375に形成された光ファイバ挿通窓376とによって、ケース積層体34を構成する全てのケース(余長収納ケース36及び光コネクタモジュール37)に連通する渡り配線空間341を、内部に具備している。この渡り配線空間341は、ケース積層体34の上下方向(図8上下方向)に延在している。
【0036】
光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間にわたって配線される光ファイバ(ここではコネクタ付き光ファイバ42)は、この渡り配線空間341に通される。
したがって、このケース積層体34では、光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間にわたって配線される渡り配線(光ファイバ)が、該ケース積層体34の内部に収納され、ケース積層体34の外に配線されることが無い。このため、ケース積層体34の外に、渡り配線の配線スペースを確保したり、渡り配線を振動しないように固定する固定具等を設ける必要が無く、クロージャスリーブ2内の空間を有効利用できる。結局、光コネクタモジュール37と余長収納ケース36との間の渡り配線(光ファイバ)の引き回しを、ケース積層体34の外に配線する場合に比べて簡単に行える。クロージャスリーブ2を小型化できる、といった利点もある。
【0037】
(余長処理部材)
ケース積層体34の最上段の余長収納ケース36の上には、ドロップケーブル5の余長52を湾曲処理して吸収するための余長処理部材7が設けられている。
図1、図3、図4等に例示した余長処理部材7は、リング状に形成されたマンドレルであり、ドロップケーブル5の余長52を外周面に巻き付けて湾曲処理するものである。
細長形状の余長収納ケース36(最上段の余長収納ケース)上には、光コネクタモジュール37と一対の余長処理部材7とが、光コネクタモジュール37の両側に余長処理部材7が配置されるようにして、該余長収納ケース36の長手方向に沿って配列して設けられている。つまり、一対の余長処理部材7は、最上段の余長収納ケース36の長手方向において、余長収納ケース36の長手方向中央部に設置された光コネクタモジュール37の両側となるように配置される。
【0038】
余長処理部材7は、最上段の余長収納ケース36上の蓋板362に固定状態になっている。この余長処理部材7は、ここでは、合成樹脂製の蓋板362に一体成形されたものである(余長処理部材付き蓋板の一部になっている)。
また、余長処理部材7は、余長収納ケース36(蓋板362を含む)とは別体のもの採用し、ねじ等の固定部材を用いて最上段の余長収納ケース36上に固定しても良い。
【0039】
この実施形態に示した光クロージャ1の余長処理部材7は、ケース積層体34の一部である。クロージャスリーブ2を組み立てて、クロージャスリーブ2内に内部ユニット3を収納すると、余長処理部材7及び該余長処理部材7に巻き付けたドロップケーブル5の余長52もクロージャスリーブ2内に収納される。
従来、架空設置された光クロージャに導入したドロップケーブルの余長は、リング状に巻くなどして、光クロージャの外側に確保することが一般的である。このため、光ファイバ同士の融着接続等の光クロージャの内部についての作業の他に、光クロージャの外側でのドロップケーブルの余長処理作業が発生し、これらの作業を、足場の悪い高所作業で行わねばならない。高所作業用のバケットの移動が必要になる場合もあり、作業に手間が掛かる。
これに対して、本発明に係る光クロージャ1では、導入したドロップケーブル5の余長を、余長処理部材7への巻き付けによって簡単に湾曲処理できる。しかも、余長処理部材7は、クロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3の一部であるため、ドロップケーブル5の余長の余長処理部材7への巻き付け作業のために、高所作業用のバケットを移動させるといった手間を無くすことができる、といった利点がある。
【0040】
さらに、余長処理部材7の設置形態としては、例えば、連結棒31上に立設した取付台に取り付けたり、連結棒31に直接取り付ける、といった設置形態を採用することも可能である。
余長処理部材7を連結棒31に直接又は間接的に取り付ける設置形態では、余長処理部材7は、ケース積層体34の一部では無いが、クロージャスリーブ2内に収納される内部ユニット3の一部であり、クロージャスリーブ2を組み立てたときにクロージャスリーブ2の内部に収納される。
【0041】
なお、余長処理部材7としては、ドロップケーブル5の余長52を巻き付けて湾曲処理するものに限定されず、例えば、コイル状に巻くなどして湾曲処理したドロップケーブル5の余長52を内側に収納して湾曲状態を維持する容器状のものであっても良い。例えば、図1等に例示したリング状の余長処理部材7と同様にリング状に形成して、コイル状に巻いて湾曲処理したドロップケーブル5の余長を収納する内側空間を有する構造の余長処理部材等であっても良い。また、外観箱形等のケース状のものであっても良い。
【0042】
(集合保持部品)
図1、図3、図4において、符号313は、ドロップケーブル5用の集合保持部品である。この集合保持部品313は、クロージャスリーブ2の軸方向両端部から引き込まれる複数本のドロップケーブル5を集合保持するリング状に形成されている。
図示例の光クロージャ1において、集合保持部品313は、ドロップケーブル固定具33と余長処理部材7との間に配置されており、複数本のドロップケーブル5を集合保持して、クロージャスリーブ2内におけるドロップケーブル5の引き回し用スペースを縮小する役割を果たす。
図示例の光クロージャ1では、集合保持部品313は、連結棒31に取り付けているが、例えば、端面板22あるいはドロップケーブル固定具33から突設した取付台に取り付ける、といった設置形態を採用することも可能である。
【0043】
(ドロップケーブル用光コネクタ)
ドロップケーブル5の先端をコネクタ接続可能に成端する光コネクタ6としては、現場(光クロージャ1の設置場所あるいはその付近)で、ドロップケーブル5の先端に簡単に取り付けることができるものを採用することが好ましい。
図11(a)〜(c)は、光コネクタ6の一例を示す。
図11(a)に示すように、光コネクタ6は、光コネクタ本体61と、ドロップケーブル5の先端部を把持固定し、前記光コネクタ本体61に組み付けられる引き留め部材62(構造の詳細は図12参照)とを具備して構成されている。
【0044】
光コネクタ本体61は、フェルール63と後述のクランプ部64とからなるクランプ部付きフェルール65を、スリーブ状のハウジング66の内側に収納した構造になっている。
【0045】
フェルール63は、該フェルール63を貫通する微細孔632を有している。前記微細孔632内には、光ファイバ67(裸光ファイバ。以下、内蔵光ファイバとも言う)が内挿固定されている。
内蔵光ファイバ67の先端は、フェルール63先端の、突き合わせ接続用の接合端面631に露出されている。また、内蔵光ファイバ67の後端(先端とは逆の端部)は、フェルール63の後端(接合端面631とは反対側)から突出されて、フェルール63の後端側に組み立てられているクランプ部64の二つ割り構造の素子641、642の間に挿入されている。
【0046】
内蔵光ファイバ67のフェルール63後端から突出した部分は、素子641、642同士の合わせ面641a、642aの一方又は両方に形成されている調心溝643(図11(c)参照)に配置されている。前記調心溝643は、前記内蔵光ファイバ67と、クランプ部64の後端側(フェルール63とは逆の側)から素子641、642間に挿入される、ドロップケーブル5の光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aとを、突き合わせ接続可能に高精度に調心する機能を果たすものである。この調心溝643としては、例えばV溝、丸溝(断面半円形の溝)、U溝等を採用できる(図11(c)ではV溝)。
この調心溝643は、フェルール63の後端から、クランプ部64の後端(クランプ部64においてフェルール63とは逆の側の端部)に向かって、クランプ部64の前後方向(図11(a)、(b)左右)の中央部まで延在形成されている。
なお、図示例の光コネクタ6では、調心溝643は、一対の素子641、642の内、フェルール63に固定されているベース側素子641の合わせ面643aに形成されている。
【0047】
内蔵光ファイバ67のフェルール63後端から突出した部分は、調心溝643のフェルール63側の端部から調心溝643の長手方向中央部にわたって配置される。調心溝634は、フェルール63を貫通する微細孔632の延長上に形成されており、微細孔632の調心軸線の延長上に、内蔵光ファイバ67を調心して位置決め支持できる。
クランプ部64では、別途、クランプ部64の後端側(フェルール63とは逆側)から素子641、642間に挿入される、ドロップケーブル5の光ファイバ51(詳細には、光ファイバ素線である光ファイバ51の先端に露出させた裸光ファイバ51a)と、内蔵光ファイバ67とが、調心溝643にて精密に位置決め調心されて突き合わせ接続される。
【0048】
また、素子641、642同士の合わせ面641a、642aの一方又は両方には、素子641、642間に挿入されるドロップケーブル5の光ファイバ51(裸光ファイバ51aが露出されていない被覆部)を収納する被覆部収納溝644が形成されている。
被覆部収納溝644は、調心溝643の、フェルール63側とは逆側の端部から、クランプ部64の後端側に延びている。また、この被覆部収納溝644は、裸光ファイバ67、51aよりも太い、被覆付きの光ファイバ51を収納するために、調心溝643を拡張した形状になっている。クランプ部64の後端部には、被覆部収納溝644にドロップケーブル5の光ファイバ51を挿入するための、被覆部収納溝644の開口部645が開口されている。この開口部645は、光ファイバ51の挿入を容易にするために、テーパ状に形成されている。
【0049】
クランプ部64は、一対の素子641、642からなる二つ割り構造の素子部640と、この素子部640を内側に収納するスリーブ状のばね646とを具備して構成されている。
【0050】
素子部640の一対の素子641、642の内の一方は、フェルール63の後端部に固定されているベース側素子641である。他方の素子642は、ベース側素子641に対して開閉可能である。以下、素子642を、蓋側素子とも言う。
一対の素子641、642は、合わせ面641a、642a同士を合わせると、ロッド状となる。
【0051】
ばね646は、一対の素子641、642間に挿入された光ファイバ(内蔵光ファイバ67、ドロップケーブル5の光ファイバ51(先端の裸光ファイバ51aを含む))を一対の素子641、642間にクランプするクランプ力を、一対の素子641、642に与える機能を果たす。
このばね646はスリーブ状であり、しかも、該ばね646の軸方向全長にわたって延在するスリット状の開口部647を有する断面コ字形あるいはC形(図示例(図11(c)参照)では断面コ字形)に形成されている。バネ646の開口部647は、素子部640の一対の素子641、642の閉じ合わせ境界640aに位置合わせされている。ばね646は、開口部647を介して両側の部分が、素子部640に、一対の素子641,642を互いに押し付けるクランプ力を付与するように機能する。
なお、図11(c)では、一対の素子641、642を閉じ合わせたときに断面角形のロッド状となる素子部640を例示したが、素子部640としてはこれに限定されず、例えば、一対の素子641、642を閉じ合わせたときに断面円形、楕円形になるものであっても良い。
【0052】
図11(c)に示すように、クランプ部64の一対の素子641、642の間には、ばね646のクランプ力に抗して一対の素子641、642間が開放した状態を保つための、介挿部材648を割り込ませることができる。介挿部材648としては、例えば楔状のものや、板状のものが採用される。
図示例の光コネクタ6では、介挿部材648は、一対の素子641、642間に割り込ませてある(図11(c)以外の図では、介挿部材648の図示を省略してある)。この介挿部材648は、ばね646の開口部647からばね646の外側に突出されている。
但し、楔状等、先端が尖った形状の介挿部材648については、ばね646の開口部645から一対の素子641、642の間に挿脱することで、素子641、642間の開閉操作に用いることができる。
ばね646の開口部647に露出する素子部640の側面には、一対の素子641、642の間に介挿部材648を割り込ませるための窪みである介挿部材挿入口649が開口されている。この介挿部材挿入口649の形成位置は、丁度、一対の素子641、642の閉じ合わせ境界640aに対応している。図11(c)に例示した介挿部材挿入口649は、両側の素子641、642にそれぞれ形成した窪みによって構成されているが、片側の素子に形成した窪みのみからなるものであっても良い。
【0053】
図11(a)、(b)に示すように、クランプ部64の蓋側素子642は、クランプ部64の前後方向に配列された2つのピースからなる。以下、フェルール63に近い側のピースに符号642a、このピース642aよりもクランプ部64の後端側に配置されているピースに符号642bを付して説明する。
フェルール63側のピース642aは調心溝643によって位置決めされた光ファイバを、ばね646の弾性によって、ベース側素子641との間にクランプする機能を果たすものである。ピース642bは、被覆部収納溝644によって位置決めされた光ファイバ51(被覆部)を、ばね646の弾性によって、ベース側素子641との間にクランプする機能を果たすものである。クランプ部64の前後方向において、フェルール63側のピース642aは調心溝643に対応する領域に設けられ、ピース642bは被覆部収納溝644に対応する領域に設けられている。
【0054】
また、ばね646は、軸方向中央部に形成されたスリット646aによって、それぞれ独立したばねとして機能する2つのクランプばね部646A、646Bに2分されている。2つのクランプばね部646A、646Bは、蓋側素子642の2つのピース642a、642bに対応して設けられている。このため、2つのピース642a、642bは、個別にベース側素子641に対して開閉可能であり、しかも、2つのクランプばね部646A、646Bによって、クランプ力も、それぞれ個別に付与される。
ばね646において、スリット646aは、開口部647から両側に切り込んだ形状に形成されている。但し、前記スリット646aは、ばね646において、ばね646の内側に収納された素子部640を介して開口部647と対向する部分(背部646b)には切り込まれない。背部646bは、2つのクランプばね部646A、646Bを連結する連結部として機能する。
【0055】
次に、引き留め部材62について説明する。
図12に示すように、引き留め部材62は、ドロップケーブル5が嵌め込まれるケーブル嵌合溝621が形成されている引き留め部材本体622と、この引き留め部材本体622に重ね合わされるようにして装着される蓋板623とを具備している。
ケーブル嵌合溝621は、引き留め部材本体622において蓋板623が重ね合わされる上面624から窪んだ形状に形成されている。蓋板623は、引き留め部材本体62に装着して固定されることで、引き留め部材本体622の上面624におけるケーブル嵌合溝621の開口部を塞ぎ、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれたドロップケーブル5のケーブル嵌合溝621から浮き上がりによる離脱を防ぐ。
【0056】
引き留め部材62は、ドロップケーブル5の先端に口出しした光ファイバ51及び該光ファイバ51先端に露出させた裸光ファイバ51aを、光コネクタ本体61の後端側から、クランプ部付きフェルール65のクランプ部64の一対の素子641、642間に挿入する作業に用いられる。
引き留め部材62は、光コネクタ本体61の後端部(フェルール63とは反対の側)に設けられた枠状の引き留め部材受け部661内に押し込んで、光コネクタ本体61に組み付ける。ドロップケーブル5の先端に口出しした光ファイバ51及び該光ファイバ51先端に露出させた裸光ファイバ51aの、光コネクタ本体61のクランプ部付きフェルール65のクランプ部64への挿入は、光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661への引き留め部材62の押し込みによって実現される(詳細は後述する)。
引き留め部材受け部661には、押し込まれた引き留め部材62を保持して組み付け状態を維持するために、例えば、引き留め部材62に係合する弾性爪などといった、保持手段を設けておくことが好ましい。
【0057】
前記ケーブル嵌合溝621は、引き留め部材本体622の、光コネクタ本体61の後端部に対する押し込み方向前側の前端壁625から、押し込み方向後側(前端壁625とは逆の側)に向かって延在し、引き留め部材62の後端面626(図11(a)参照)に開口されている。
前記前端壁625には、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれるドロップケーブル5の先端に口出しされた光ファイバ51(ここでは光ファイバ素線)を通すためのスリット状の光ファイバ挿通溝627が形成されている。光ファイバ挿通溝627は、ケーブル嵌合溝621に連通されている。また光ファイバ挿通溝627は、ケーブル嵌合溝621に比べて、かなり狭く形成されている。前端壁625は、ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれるドロップケーブル5の被覆部53先端が引き留め部材本体622から突き出すことを規制するストッパ壁としての機能、及び、ケーブル嵌合溝621に対するドロップケーブル5の嵌め込み位置の目安としての機能、を果たす。
【0058】
ケーブル嵌合溝621の内面には、該ケーブル嵌合溝621に嵌め込まれたドロップケーブル5の被覆部53に食い込んで、ケーブル嵌合溝621の延在方向へのドロップケーブル5の位置ずれを規制する引き留め突起628が複数突設されている。これにより、ドロップケーブル5は、ケーブル嵌合溝621に圧入するだけで、引き留め突起628によって、しっかりと引き留められる。さらに、前述の蓋板623を引き留め部材本体622の上面624に重ね合わせて固定することで、ドロップケーブル5の先端部が引き留め部材62にしっかりと固定される。
蓋板623と引き留め部材本体622との固定構造は、例えば、蓋板623及び引き留め部材本体622の一方又は両方に形成した係合爪による係合等が適している。
【0059】
この光コネクタ6をドロップケーブル5先端に取り付け(組み立て)るには、まず、光ファイバ51を口出ししたドロップケーブル5の先端に引き留め部材62を組み立てて固定する。
ドロップケーブル5の先端(被覆部53)は、前述したように、ケーブル嵌合溝621に嵌め込んで固定する。また、ドロップケーブル5先端に口出ししておいた光ファイバ51は、引き留め部材本体622の前端壁625の光ファイバ挿通溝627に通して、引き留め部材本体622の前側に突出させておく。
なお、光ファイバ51の先端には、裸光ファイバ51aを露出させておく。
【0060】
次いで、引き留め部材62を光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661に押し込んで、引き留め部材受け部661に組み付ける。
このとき、引き留め部材62の、光コネクタ本体61後端部の引き留め部材受け部661への押し込みによって、引き留め部材62から突出されている光ファイバ51を、クランプ部付きフェルール65の素子部640後端に開口する被覆部収納溝644の開口部645から、被覆部収納溝644に挿入する。また、この押し込みにより、光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aを、被覆部収納溝644から、該被覆部収納溝644に連通されている調心溝643に挿入し、調心溝643にて、フェルール63側の内蔵光ファイバ67と突き合わせ接続させる。
【0061】
光ファイバ51は、調心溝643への挿入長と、被覆部収納溝644への挿入長とに鑑みて、引き留め部材62からの突出長及び裸光ファイバ51aの露出長を、素子部640への挿入前に、予め、確保しておくことは言うまでも無い。
引き留め部材受け部661の内部には、引き留め部材62から突出されている光ファイバ51を、素子部640後端に開口する被覆部収納溝644の開口部645に誘導するための誘導壁等を設けておくことが好ましい。
なお、クランプ部付きフェルール65のクランプ部64は、光コネクタ本体61の引き留め部材受け部661に引き留め部材62を押し込む前に、介挿部材648によって、素子部640の一対の素子641、642の間を開放して、被覆部収納溝644への光ファイバ51の挿入、及び、調心溝643への裸光ファイバ51aの挿入が可能な状態にしておく。
【0062】
次いで、クランプ部64の素子部640の一対の素子641、642の間から介挿部材648を引き抜く。
これにより、クランプ部64のばね646の弾性によって、一対の素子641、642の間が閉じられ、一対の素子641、642の間に光ファイバ67、51がクランプ固定される。また、このクランプ固定によって、内蔵光ファイバ67と、光ファイバ51先端の裸光ファイバ51aとの突き合わせ接続状態が維持される。
【0063】
以上により、ドロップケーブル5先端への光コネクタ6の取り付け(組み立て)を行える。
光コネクタ6によってコネクタ接続可能に成端されたドロップケーブル5は、光コネクタ6を、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371に挿入して接続することで、光ファイバケーブル4側の光ファイバに対して簡単に光接続することができる。また、光コネクタ6の光コネクタアダプタ371に対する切替接続によって、接続対象の光ファイバケーブル4側の光ファイバを簡単に切り替えることができる。
【0064】
(クロージャスリーブ)
クロージャスリーブ2は、内部ユニット3を、防水性を確保して収納するための外装体である。また、このクロージャスリーブ2は、必要に応じて、気密性も得られるようにする。
クロージャスリーブ2としては、様々な構造のものを採用できる。
図1に例示したクロージャスリーブ2は、一対のスリーブ半体211、212をヒンジ部213で相対回転可能に連結してなる二つ割り構造のスリーブ本体21と、筒状に組み立てられるスリーブ本体21の軸方向両端を塞ぐ一対の端面板22とで構成されている。
【0065】
スリーブ本体21はプラスチック製であり、前記ヒンジ部213は、具体的には、一対のスリーブ半体211、212の間に形成された屈曲容易な薄肉部である。
一対のスリーブ半体211、212は、ヒンジ部213を中心とする回転によって開閉できる。
クロージャスリーブ2の組み立ては、ヒンジ部213を中心とする回転によって一対のスリーブ半体211、212を閉じ合わせ、スリーブ本体21の軸方向両端に配置した端面板22を、それぞれ、一対のスリーブ半体211、212の間に両側から挟み込む。
一対のスリーブ半体211、212は、ボルト、ナット式の締結部品214(図2(a)参照)等によって締結して、強固に一体化する。締結部品214の締結を解除すれば、一対のスリーブ半体211、212を開放でき、クロージャスリーブ2を解体できる。
【0066】
図2(a)、(b)に示すように、前記端面板22には、クロージャスリーブ2内に光ファイバケーブル4を導入するためのケーブル導入孔22a、及び、ドロップケーブル5を導入するためのドロップケーブル導入孔22bが形成されている。ケーブル導入孔22a及びドロップケーブル導入孔22bは、端面板22を貫通する貫通孔である。
この端面板22は、プラスチック製であり、一対の端面板半体221、222を、一対のスリーブ半体211、212の間に形成された屈曲容易な薄肉部であるヒンジ部223で回転可能に連結して、開閉可能とした構造になっている。この端面板22は、開閉可能な二つ割り構造であるため、例えば、既設の光ファイバケーブル4に対して簡単に組み付けることができる、といった利点がある。
【0067】
ケーブル導入孔22aは、一対の端面板半体221、222を一体化したときに、各端面板半体221、222の合わせ面221a、222aから窪む半円状に形成された半円状凹部221b、222b同士が一体化されることで形成される。
一対の端面板半体221、222を一体化して端面板22を組み立てて、ケーブル導入孔22aに光ファイバケーブル4を収納する場合、ケーブル導入孔22aは、光ファイバケーブル4の外周面と、ケーブル導入孔22aの内面との間に挟み込まれるゴム状弾性部材であるパッキン224によって封止される。これにより、ケーブル導入孔22aに高い水密性を確保できる。
パッキン224の材質は、例えば、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム(特にEPDM)等の、特に柔軟性に優れたものである。
クロージャスリーブ2を組み立てたときには、スリーブ本体21の一対のスリーブ半体211、212を一体化する締結力が、端面板22の一対の端面板半体221、222同士を互いに圧接させる力として働き、さらに、パッキン224の圧縮力としても働くため、パッキン224によってケーブル導入孔22aが確実に封止され、高い水密性が得られる。
【0068】
なお、図2(a)、(b)に例示したように、両端面板半体221、222の合わせ面221a、222aに形成された半円状凹部221b、222b同士が一体化されることで形成されるケーブル導入孔22aを複数有する端面板22の場合は(図2(a)、(b)は、ケーブル導入孔22aが2つの例)、隣り合うケーブル導入孔22a同士を、端面板半体221、222間に確保される狭幅の連通空間22cで連通させ、全てのケーブル導入孔22aをひと繋がりとした、多連導入孔22dを形成する。
また、パッキン224としては、多連導入孔22dの両側の端面板半体221、222の多連導入孔22dに臨む側面に沿って配置される一対のパッキン半体224a、224bからなるものを採用する。
【0069】
図2(a)、(b)に例示した端面板22のドロップケーブル導入孔22bは、端面板22を構成する一対の端面板半体221、222の内の片方(ここでは、符号222の端面板半体)の、合わせ面222aとは反対側の側面222c(外周面の一部)から端面板半体222に切り込む溝状に形成されている。このドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体22の側面222cにおける開口部が、端面板22の外周面の全周にわたって圧接されるスリーブ本体21の内面によって塞がれることで、孔状となる。
スリーブ本体21を開いて、ドロップケーブル導入孔22bの端面板半体22の側面222cにおける開口部を開放すれば、ドロップケーブル導入孔22bに対する、ドロップケーブル5の嵌め込み、及び、取り出し等の作業を、簡単に、楽に行える。
【0070】
ドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体222の側面222cの複数箇所に形成されている。また、図示例の端面板22では、図4、図5に示すように、端面板半体222を端面板22の厚み方向に貫通する溝状のドロップケーブル導入孔22bは、端面板半体22の側面222cにおける端面板22の厚み方向中央部に形成された溝225によって、長手方向中央部が分断されている。
【0071】
なお、ドロップケーブル導入孔22bとしては、図示例のような、端面板半体22の側面222cから切り込んだ形状の溝からなるものに限定されず、例えば、端面板22に穿設した孔状のものであっても良い。この場合、孔状のドロップケーブル導入孔22bは、ドロップケーブル5を、端面板22の外面側(クロージャスリーブ2の外側)から、ドロップケーブル導入孔22bに挿し通して挿通できるように、大きさ等を調整する。
孔状のドロップケーブル導入孔22bの端面板22における形成位置は、ドロップケーブル5の導入作業に支障が無い位置であれば良く、特には限定されない。
また、図示例のような、端面板22の側面に形成された溝からなるドロップケーブル導入孔22bは、端面板22の外周部における形成位置は、図示例に限定されず、適宜、変更可能である。
【0072】
図示を略すが、ドロップケーブル導入孔22bも、例えば、前述したパッキン224と同様の材質からなる封止材料等を用いて、封止することが好ましい。
また、ドロップケーブル5が挿通されていない、空きのドロップケーブル導入孔22bは、例えば取り外し可能な盲栓(図示略)の嵌め込み等により、封止しておく。
【0073】
(吊り下げ具)
図2(a)、(b)、図3に示すように、光クロージャ1には、該光クロージャ1を架空布設された光ファイバケーブル4に組み立てる場合に、光クロージャ1を、光ファイバケーブル4上に布設されている支持線8から吊り下げるための吊り下げ具9が設けられている。
この吊り下げ具9は、内部ユニット3の連結棒31の長手方向両端に取り付けられている。また、この吊り下げ具9は、クロージャスリーブ2の端面板22を貫通して、クロージャスリーブ2の外側に突出される突出部材91と、この突出部材91のクロージャスリーブ2の外側に突出される部分に取り付けられ、支持線8を把持固定する支持線固定部92とを具備している。
【0074】
(導入するドロップケーブルの増設)
前記光クロージャ1は、光ファイバケーブル4に組み立てる際に、光ファイバケーブル4から、ドロップケーブル5の増設を見込んだ本数(あるいは心数)の光ファイバ41を引き出し、各光ファイバ41のコネクタ成端(ここでは、光コネクタ43でコネクタ成端されたコネクタ付き光ファイバ42の融着接続)、余長処理等を行って、ケース積層体34全体を組み立てることで(図6、図10(a)に示すように、光コネクタモジュール37の光コネクタアダプタ371への光コネクタ43の接続等も完了した状態)、ドロップケーブル5の増設を極めて簡単に行える。
【0075】
上述のように、ドロップケーブル5の増設を見込んだ本数(あるいは心数)の光ファイバ41をコネクタ成端して、組み立てた光クロージャ1(光コネクタ43の)は、ドロップケーブル5がコネクタ接続されていない、空きの光コネクタアダプタ371を有する。光クロージャ1に導入するドロップケーブル5の増設は、クロージャスリーブ2のスリーブ本体21を取り外し、ドロップケーブル5の先端に取り付けた光コネクタ6を、前述した空きの光コネクタアダプタ371に挿入して接続した後、クロージャスリーブ2を組み立てれば良い。
【0076】
したがって、光クロージャ1によれば、ドロップケーブル5先端の光コネクタ6の光コネクタアダプタ371への接続によって、光ファイバケーブル4の光ファイバとドロップケーブル5の光ファイバ51との光接続を簡単に実現できるため、ドロップケーブル5の増設を非常に簡単に行える。
従来のように、高所作業での光ファイバ同士(光ファイバケーブル側の光ファイバとドロップケーブルの光ファイバ)の融着接続は不要であり、増設作業を短時間で迅速に行える。
【0077】
光ファイバケーブル4に対する光クロージャ1の組み立て(最初の組み立て)を、地上等の、作業性を充分に確保できる場所で行い、組み立て完了後に、光ファイバケーブル4を電柱間に張設することで、光クロージャ1を架空設置すれば、光ファイバケーブル4に対する光クロージャ1の最初の組み立てでも、高所作業での光ファイバ同士の融着接続を回避することができる。光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41とコネクタ付き光ファイバ42との融着接続や、光ファイバ41、42の余長処理、ケース積層体34全体の組み立て等の作業性を充分に確保できることは言うまでも無い。
【0078】
(別実施形態)
図13は、コネクタ付き光ファイバ42を用いずに、光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41の先端に、直接、光コネクタ43を取り付け、この光コネクタ43を、光コネクタモジュール37の内側から光コネクタアダプタ371に挿入して、接続した例を示す。
光コネクタ43としては、ドロップケーブル5用の光コネクタ6と同様に、現場付け光コネクタを採用する。この光コネクタ43としては、例えば、光コネクタ6と同様の構造のものを採用できる。
【0079】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、各種変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、渡り配線空間341を内部に有するケース積層体34を採用した例を説明したが、本発明は、余長収納ケース36と光コネクタモジュール37との間の渡り配線が、ケース積層体34の外側での引き回しによって配線される構成であっても良い。この場合、余長収納ケース36の側壁部、光コネクタモジュール37の側壁部に、渡り配線の光ファイバを通すための挿通口を形成しておく。但し、上述の実施形態のように、渡り配線空間341を内部に有するケース積層体34の採用は、クロージャスリーブ2内における光ファイバの配線スペース確保、クロージャスリーブ2の小型化の点で、ケース積層体34の外側に渡り配線を引き回す構成に比べて有利である。
光コネクタアダプタ371内にて接続される光コネクタ43、6(光コネクタプラグ)としては、単心、多心のいずれでも良く、また、その種類も、特に限定は無い。光コネクタ43、6の心数は、コネクタ成端する光ファイバの心数に応じたものを採用する。
光ファイバケーブル4から引き出した光ファイバ41とコネクタ付き光ファイバ42との接続は、融着接続に限定されず、例えば、メカニカルスプライス等を利用した突き合わせ接続(機械的接続)であっても良い。
本発明は、架空光ファイバケーブル用の光クロージャに限定されず、光ファイバケーブルへの組み立て後に、第2の光ファイバケーブルの導入、及び、第1の光ファイバケーブル側の光ファイバとの接続作業を行えるようにする光クロージャに広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る光クロージャを示す分解斜視図である。
【図2】図1の光クロージャの端面板を示す図であって、(a)は端面板を光ファイバケーブルに組み付けた状態、(b)は端面板の一対の端面板半体を開いた状態を示す。
【図3】図1の光クロージャの内部ユニットを示す正面図である。
【図4】図1の光クロージャの内部ユニットを示す平面図である。
【図5】図1の光クロージャのドロップケーブル固定具及び端面板を示す拡大斜視図である。
【図6】図1の光クロージャのケース積層体の構造を示す断面図である。
【図7】図1の光クロージャのケース積層体における、光ファイバケーブルの光ファイバ及びコネクタ付き光ファイバの引き回しを示す光配線図である。
【図8】図6のケース積層体の構造を示す図であって、図3のA−A線断面矢視図である。
【図9】(a)、(b)は、図1の光クロージャの光コネクタモジュールの外観構造を示す図である。
【図10】(a)、(b)は、図1の光クロージャの光コネクタモジュールの、蓋板を取り外した状態を示す図である。
【図11】図1の光クロージャに適用されるドロップケーブル用の光コネクタを示す図であって、(a)は光コネクタと引き留め部材とを分離して示した図、(b)はクランプ部付きフェルールを示す断面図、(c)はクランプ部付きフェルールのクランプ部を示す断面図である。
【図12】図11のドロップケーブル用光コネクタの引き留め部材を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る光クロージャの別実施形態を示す図であり、ケース積層体の構造の別態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1…光クロージャ、2…クロージャスリーブ、22a…ケーブル導入孔、22b…ケーブル導入孔(ドロップケーブル導入孔)、31…連結棒、32…ケーブル固定具、33…ドロップケーブル固定具、34…ケース積層体、341…渡り配線空間、35…連結ユニット、36…余長収納ケース、37…光コネクタモジュール、371…光コネクタアダプタ、372…モジュールケース、373a,373b…側壁部、4…第1の光ファイバケーブル(光ファイバケーブル)、41…光ファイバ、42…コネクタ付き光ファイバ、42a…余長、43…第1光コネクタ(光コネクタプラグ)、44…接続部(融着接続部)、5…第2の光ファイバケーブル(ドロップケーブル)、51…光ファイバ(光ファイバ素線)、6…第2光コネクタ(光コネクタプラグ)、7…余長処理部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ファイバケーブル(4)と、該第1の光ファイバケーブルとは別の第2の光ファイバケーブル(5)との接続部を収納し、第1の光ファイバケーブルからの第2の光ファイバケーブルの分岐に用いられる光クロージャにおいて、
前記第1、第2の光ファイバケーブルが引き込まれるクロージャスリーブ(2)内に、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバの余長(41a)を収納する余長収納ケース(36)と、第1の光ファイバケーブルの光ファイバ(41)と第2の光ファイバケーブルの光ファイバ(51)とを光接続するための光コネクタモジュール(37)とが積層されてなるケース積層体(34)が収納され、
前記光コネクタモジュールは、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバが引き込まれるモジュールケース(372)と、このモジュールケースの側壁部(373a、373b)に実装された光コネクタアダプタ(371)とを具備し、前記光コネクタアダプタには、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバの先端をコネクタ接続可能に成端する第1光コネクタ(43)が前記モジュールケースの内側から接続され、
前記光コネクタモジュールの外側から、前記光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブルの光ファイバの先端に取り付けられた第2光コネクタ(6)を挿入して接続することで、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続できるように構成され、
前記ケース積層体は、ケース積層体を構成する全ての光コネクタモジュール及び余長収納ケースに連通する渡り配線空間(341)を内部に具備し、
この渡り配線空間に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通されていることを特徴とする光クロージャ(1)。
【請求項2】
第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバに、光コネクタが先端に取り付けられている光ファイバであるコネクタ付き光ファイバ(42)のピグテイル光ファイバが接続され、前記コネクタ付き光ファイバの先端の光コネクタが前記第1光コネクタとして機能することを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記余長収納ケースが、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと前記コネクタ付き光ファイバとの接続部(44)を余長(41a、42a)とともに収納するものであることを特徴とする請求項2記載の光クロージャ。
【請求項4】
前記クロージャスリーブ内に、連結棒(31)と、該連結棒の長手方向両端に取り付けられ、クロージャスリーブの対向する両側のケーブル導入穴(22a、22b)から引き込まれる第1、第2の光ファイバケーブルを把持固定するケーブル固定具(32、33)とを具備してなる連結ユニット(35)が収納され、
前記ケース積層体が、前記連結棒上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項5】
前記ケース積層体は、前記連結棒上に1又は複数を積層して設けられた前記余長収納ケースの上に、1又は複数の前記光コネクタモジュールが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光クロージャ。
【請求項6】
前記光コネクタアダプタが、前記光コネクタモジュールの対向する両側の側壁部(373a、373b)に実装されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項7】
さらに、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、このドロップケーブルの余長を巻いた状態で保持する余長処理部材(7)が、前記クロージャスリーブの内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項8】
前記余長処理部材が、前記ドロップケーブルの余長を巻き付けて湾曲処理するものであることを特徴とする請求項7記載の光クロージャ。
【請求項9】
最上段の余長収納ケース上にて、前記連結棒の長手方向に沿った中央部に、前記光コネクタモジュールが積層され、ドロップケーブルである第2の光ファイバケーブルの余長を湾曲処理して吸収するための余長処理部材が、前記最上段の余長収納トレー上に、前記光コネクタモジュールを介して前記連結棒の長手方向に沿った両側に対向配置して設けられていることを特徴とする請求項5記載の光クロージャ。
【請求項10】
光ファイバケーブル(4)に組み立てられた光クロージャ(1)に、ドロップケーブル(5)を導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、
前記光クロージャが、請求項1〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、
前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタ(371)に、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ(43)を接続しておき、
前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタ(6)を前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されることを特徴とする光ケーブル分岐方式。
【請求項11】
光ファイバケーブル(4)に組み立てられた光クロージャ(1)に、ドロップケーブル(5)を導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、
前記光クロージャが、請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、
前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタ(371)に、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ(43)を接続しておき、
前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタ(6)を前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されるように構成され、
さらに、前記光コネクタアダプタにて前記光ファイバケーブル側の光ファイバとコネクタ接続した前記ドロップケーブルの余長を巻いた状態で前記余長処理部材に保持して、前記光クロージャ内に収納できることを特徴とする光ケーブル分岐方式。
【請求項1】
第1の光ファイバケーブル(4)と、該第1の光ファイバケーブルとは別の第2の光ファイバケーブル(5)との接続部を収納し、第1の光ファイバケーブルからの第2の光ファイバケーブルの分岐に用いられる光クロージャにおいて、
前記第1、第2の光ファイバケーブルが引き込まれるクロージャスリーブ(2)内に、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバの余長(41a)を収納する余長収納ケース(36)と、第1の光ファイバケーブルの光ファイバ(41)と第2の光ファイバケーブルの光ファイバ(51)とを光接続するための光コネクタモジュール(37)とが積層されてなるケース積層体(34)が収納され、
前記光コネクタモジュールは、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバが引き込まれるモジュールケース(372)と、このモジュールケースの側壁部(373a、373b)に実装された光コネクタアダプタ(371)とを具備し、前記光コネクタアダプタには、前記第1の光ファイバケーブル側の光ファイバの先端をコネクタ接続可能に成端する第1光コネクタ(43)が前記モジュールケースの内側から接続され、
前記光コネクタモジュールの外側から、前記光コネクタアダプタに、第2の光ファイバケーブルの光ファイバの先端に取り付けられた第2光コネクタ(6)を挿入して接続することで、第1の光ファイバケーブルの光ファイバと第2の光ファイバケーブルの光ファイバとを光接続できるように構成され、
前記ケース積層体は、ケース積層体を構成する全ての光コネクタモジュール及び余長収納ケースに連通する渡り配線空間(341)を内部に具備し、
この渡り配線空間に、光コネクタモジュールと余長収納ケースとの間にわたって配線される光ファイバが通されていることを特徴とする光クロージャ(1)。
【請求項2】
第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバに、光コネクタが先端に取り付けられている光ファイバであるコネクタ付き光ファイバ(42)のピグテイル光ファイバが接続され、前記コネクタ付き光ファイバの先端の光コネクタが前記第1光コネクタとして機能することを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記余長収納ケースが、第1の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと前記コネクタ付き光ファイバとの接続部(44)を余長(41a、42a)とともに収納するものであることを特徴とする請求項2記載の光クロージャ。
【請求項4】
前記クロージャスリーブ内に、連結棒(31)と、該連結棒の長手方向両端に取り付けられ、クロージャスリーブの対向する両側のケーブル導入穴(22a、22b)から引き込まれる第1、第2の光ファイバケーブルを把持固定するケーブル固定具(32、33)とを具備してなる連結ユニット(35)が収納され、
前記ケース積層体が、前記連結棒上に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項5】
前記ケース積層体は、前記連結棒上に1又は複数を積層して設けられた前記余長収納ケースの上に、1又は複数の前記光コネクタモジュールが設けられていることを特徴とする請求項4記載の光クロージャ。
【請求項6】
前記光コネクタアダプタが、前記光コネクタモジュールの対向する両側の側壁部(373a、373b)に実装されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項7】
さらに、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、このドロップケーブルの余長を巻いた状態で保持する余長処理部材(7)が、前記クロージャスリーブの内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光クロージャ。
【請求項8】
前記余長処理部材が、前記ドロップケーブルの余長を巻き付けて湾曲処理するものであることを特徴とする請求項7記載の光クロージャ。
【請求項9】
最上段の余長収納ケース上にて、前記連結棒の長手方向に沿った中央部に、前記光コネクタモジュールが積層され、ドロップケーブルである第2の光ファイバケーブルの余長を湾曲処理して吸収するための余長処理部材が、前記最上段の余長収納トレー上に、前記光コネクタモジュールを介して前記連結棒の長手方向に沿った両側に対向配置して設けられていることを特徴とする請求項5記載の光クロージャ。
【請求項10】
光ファイバケーブル(4)に組み立てられた光クロージャ(1)に、ドロップケーブル(5)を導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、
前記光クロージャが、請求項1〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、
前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタ(371)に、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ(43)を接続しておき、
前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタ(6)を前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されることを特徴とする光ケーブル分岐方式。
【請求項11】
光ファイバケーブル(4)に組み立てられた光クロージャ(1)に、ドロップケーブル(5)を導入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバと接続する光ケーブル分岐方式であって、
前記光クロージャが、請求項7〜9のいずれかに記載の光クロージャであり、第2の光ファイバケーブルがドロップケーブルであり、
前記光クロージャの前記トレー積層体の光コネクタモジュールに実装されている光コネクタアダプタ(371)に、前記光コネクタモジュールの内側から、前記光ファイバケーブル側の光ファイバをコネクタ接続可能に成端する光コネクタ(43)を接続しておき、
前記ドロップケーブルの先端に取り付けた光コネクタ(6)を前記光コネクタアダプタに挿入して、前記光ファイバケーブル側の光ファイバ先端の光コネクタと接続することで、光ファイバケーブル側の光ファイバにドロップケーブルが接続されて、光ファイバケーブルにドロップケーブルが分岐接続されるように構成され、
さらに、前記光コネクタアダプタにて前記光ファイバケーブル側の光ファイバとコネクタ接続した前記ドロップケーブルの余長を巻いた状態で前記余長処理部材に保持して、前記光クロージャ内に収納できることを特徴とする光ケーブル分岐方式。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−279216(P2007−279216A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103173(P2006−103173)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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