説明

光クロージャ

【課題】光ケーブルの径が変動しても、その変動を吸収して水密的に良好な状態で装着する。
【解決手段】クロージャ本体5の中心軸を通るクロージャ軸線CL上に位置する支持棒7と、この支持棒7の両端側に前記光ケーブル3をクランプすべくクロージャ本体5の内部に設けたケーブルクランプ部材17と、クロージャ本体5の両端面に位置して光ケーブル3を水密的に導入するケーブル導入部39とを備える。ケーブルクランプ部材17は、支持棒7に固定されたクランプベース部材19と、異なる径の光ケーブル3をほぼクロージャ軸線CL上に位置してクランプベース部材19と挟み込むクランプ可動部材とでなる。ケーブル導入部39には、ケーブルクランプ部材17でクランプされる光ケーブル3の径が変化してもケーブル通過位置とケーブル径の変化に対応して光ケーブル3を水密的に挿通可能な大きさのケーブル挿通穴41を有するケーブル導入端面部材43を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光クロージャに関し、特に架空の光ファイバケーブル(以下、単に「光ケーブル」という)から分岐接続される光ファイバを収納すると共に異なる径の光ケーブルに対応可能な光クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布設が完了した光ケーブルの途中から光線路を分岐する、所謂、中間後分岐作業においては、中間後分岐位置に光ケーブルを引き寄せて湾曲させ、この光ケーブルから光ファイバを引き出す作業が必要となる。この中間後分岐した光ケーブルの光ファイバを収納するために光クロージャが用いられている。
【0003】
一般に、従来の光クロージャは、架空の光ケーブルから取り出された光ファイバを分岐接続すべく収納するためのクロージャ本体が設けられており、前記クロージャ本体を架空支持する支持棒がクロージャ本体の中心軸を通る鉛直線のクロージャ軸線上に位置している。前記支持棒の両端側にはクロージャ本体の内部に導入される光ケーブルをクランプするケーブルクランプ部材が前記クロージャ本体の内部に設けられている。また、前記クロージャ本体の両端面には、前記各ケーブルクランプ部材の外側に位置して前記光ケーブルを水密的に導入するケーブル導入部が設けられている。
【0004】
このとき、光ケーブルの軸心がクロージャ軸線上に位置するように構造設計されており、これに対応して前記ケーブルクランプ部材と前記ケーブル導入部の構造も、クロージャ軸線上に位置するように構造設計されている。
【0005】
また、従来の光クロージャ及びこれに類するものとしての例えば特許文献1の光ケーブル用接続端子函では、光ケーブルは端子函本体の長手方向の両端部に設けた固定金具でクランプされている。また、端子函本体の長手方向の両端面板には光ケーブルを挿入可能な導入口が3箇所、開口されている。これらのケーブル導入口は長穴状に形成されており、光ケーブルの延在方向に対する垂直平面上にある互いに平行な複数の配列軸線上に、これら配列軸線の延在方向に互いに隣接同士を異なる配列軸線として分散配置している。さらに、端面板の外側には、光ケーブルを端面板に対して安定に装着し、かつ端子函本体内への水の浸入を防止するための防水カバーが装着される。この防水カバーにも、端面板に対応する3箇所に光ケーブルの挿通口が開口されている。
【0006】
特許文献2の光クロージャでは、光ケーブルに沿って延在配置された細長形状の連結棒と、この連結棒の長手方向の両端部に対向配置され、それぞれ前記光ケーブルを把持固定する把持部品とを備えている。さらには、光ケーブルの後分岐作業を簡便に行うために、前記連結棒の長手方向の一方あるいは両方の把持部品をヒンジ機構を介して前記連結棒に対して連結棒に取り付けた把持部品を回動することにより、対向する把持部品の間にて光ケーブルを湾曲できるようにしている。また、前記把持部品は、連結棒から連続的に配置された板状の端部板と、この端部板上に立設状態に固定されたI字状の台部と、この台部に螺着された把持部品本体とを具備している。前記台部の内側に挿通した光ケーブルは一対の把持部品本体により両側から把持固定される構成である。
【0007】
特許文献3のケーブル導入穴封止構造は、ケーブル接続箱等に形成されたケーブル導入穴内面と該ケーブル導入穴に挿入したケーブルの外周面との間を水密に封止するための構造である。
【0008】
すなわち、ケーブル導入穴封止部材は、光ケーブルが内挿される内挿穴を中央部に有する支持弾性体を有し、該支持弾性体に比して軟質の弾性体からなる変形層が、支持弾性体のケーブル導入穴の内面に臨む外周面及び内挿穴の内面に形成されている。また、光ケーブルを内挿穴に挿入するためのスリットが内挿穴の内外に連通しており、前記スリットの変形層を分断する部分をこれら変形層のケーブル導入穴や内挿面に臨む面に対して垂直以外の角度を傾斜させている。
【0009】
したがって、光ケーブルがスリットを経て内挿穴に挿入されてから、ケーブル導入穴封止部材をケーブル接続箱等に形成されたケーブル導入穴内面に装着すると、ケーブル導入穴と光ケーブルとの間に嵌合状態となった際に生じる圧縮力でスリットが閉塞する。その結果、内挿穴に臨む変形層が光ケーブルの外周面に隙間無く密着し、支持弾性体の外周面にある変形層がケーブル導入穴に隙間無く密着することで、封止の信頼性が向上する。
【特許文献1】特開平8−240723号公報
【特許文献2】特開平11−295575号公報
【特許文献3】特開平9−65548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の一般的な光クロージャにおいては、光クロージャに挿通される光ケーブルの径が想定寸法以上に変化すると、光ケーブルの軸心がクロージャ軸線と大きく離れて(ずれて)しまうために、ケーブル導入部における把持力不足やシール不完全(水密性が不十分)という問題点が起きる。そのために、光ケーブルの後分岐工程のように異なる径の光ケーブルの工事を対象とする場合は、複数個の光クロージャを準備する必要があるので、工事時間がかかると共にコストアップとなるという問題点があった。
【0011】
また、特許文献1の光ケーブル用接続端子函では、端子函本体のコンパクト化を図ることを目的としており、端子函本体の長手方向の両端部のケーブル導入口並びに防水カバーは、ケーブル径の異なる光ケーブルに対応できるようには考慮されていない。したがって、光ケーブルの径が想定寸法以上に変化すると、ケーブル軸心が端子函本体の軸線と大きく離れてしまうために、防水カバーの把持力不足やシール不完全が生じるという問題点があった。
【0012】
特許文献2の光クロージャでは、対向する把持部品の間にて光ケーブルを湾曲できるようにすることで、光ケーブルの後分岐作業を簡便に行うことを目的としており、クロージャスリーブ(クロージャ本体に該当)の長手方向の両端部において光ケーブルを光クロージャの内部へ導入する際の水密構造は記載されていない。
【0013】
特許文献3のケーブル導入穴封止構造では、ケーブル接続箱等に形成されたケーブル導入穴と光ケーブルの間の封止の信頼性が向上するが、ケーブル径の異なる光ケーブルに対しては、その都度、ケーブル径に合わせたケーブル導入穴封止部材を用意する必要がある。しかも、ケーブル接続箱等の内部で把持される光ケーブルの軸心が、ケーブル接続箱の軸線と大きく離れてしまう場合は、ケーブル導入穴封止部材の内挿穴の中心位置と大きくずれてしまうために、光ケーブルが局部的に曲がってしまうので光ケーブル内の光ファイバに良くない影響を与えるという問題点があった。
【0014】
この発明は、光ケーブル後分岐工程のように導入される光ケーブルの径が変動しても、その変動を吸収して水密的に良好な状態で装着することができる光クロージャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明の光クロージャは、架空の光ファイバケーブルから取り出された光ファイバを分岐接続すべく収納するクロージャ本体と、このクロージャ本体の中心軸を通る鉛直線のクロージャ軸線上に位置して前記クロージャ本体を架空支持する支持棒と、この支持棒の両端側に前記光ファイバケーブルをクランプ・アンクランプすべく前記クロージャ本体の内部に設けたケーブルクランプ部材と、前記各ケーブルクランプ部材の外側に位置して前記光ファイバケーブルを水密的に導入すべく前記クロージャ本体の両端面に設けたケーブル導入部と、を備えた光クロージャにおいて、
前記ケーブルクランプ部材は、前記支持棒の両端側に固定されたクランプベース部材と、異なるケーブル径の光ファイバケーブルをほぼ前記クロージャ軸線上に位置して前記クランプベース部材とで挟み込んでクランプ・アンクランプ自在に設けたクランプ可動部材で構成され、
前記ケーブル導入部には、前記クランプベース部材とクランプ可動部材でクランプされた前記光ファイバケーブルの径が変化したことで、ケーブル軸心が前記クロージャ軸線上から動いた場合に想定されるケーブル通過位置とケーブル径の変化に対応して前記光ファイバケーブルを水密的に挿通可能な大きさのケーブル挿通穴を有するケーブル導入端面部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の光クロージャは、前記光クロージャにおいて、前記ケーブル導入端面部材は、変化する前記ケーブル通過位置に対応して前記ケーブル導入部で水密的に移動可能であることが好ましい。
【0017】
また、この発明の光クロージャは、前記光クロージャにおいて、前記ケーブル導入端面部材は、前記ケーブル挿通穴を備えた弾力性を有するリング状の端面シールと、この端面シールを保持して前記クロージャ本体に装着されるリング状の端面シール保持部と、で構成されることが好ましい。
【0018】
また、この発明の光クロージャは、前記光クロージャにおいて、前記端面シールと前記端面シール保持部は、それぞれ対応した半割形状であることが好ましい。
【0019】
また、この発明の光クロージャは、前記光クロージャにおいて、前記クランプベース部材と前記クランプ可動部材は、それぞれ互いに対応する位置に前記光ファイバケーブルをクランプするクランプ面を有すると共に、前記各クランプ面が標準的な径の光ファイバケーブルから想定される最大径と最小径の光ファイバケーブルを収納できる程度の曲率半径を持った断面半円形の湾曲凹部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、想定範囲内の光ファイバケーブルの径の変動に対応できるケーブルクランプ部材とケーブル導入端面部材の構造により、多少の光ファイバケーブルの径変動を吸収することができるため、光ファイバケーブルの後分岐工程のように異なる径の光ファイバケーブルの工事を対象とする場合には、複数個の光クロージャを準備しなくて良いので、工事時間を短縮することができ、工事費用を抑えることができる。
【0021】
また、ケーブルクランプ部材では、クランプベース部材が支持棒と一体的な構造とされ、クランプ可動部材が光ファイバケーブルをクランプベース部材と挟み込んでクランプ・アンクランプ自在に設けたので、異なるケーブル径の光ファイバケーブルはクランプベース部材を基準としてほぼ一定位置に定めることができる。その結果、柔軟性を有するケーブル挿通穴は上記の異なるケーブル径の光ファイバケーブルの範囲を含むように位置決めすることで、上述した効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1、図2及び図3を参照するに、この実施の形態に係る光クロージャ1は、架空の光ファイバケーブル3(以下、単に「光ケーブル3」という)から取り出された光ファイバを分岐接続すべく収納するためのクロージャ本体5が設けられており、前記クロージャ本体5を架空支持する支持棒7がクロージャ本体5の中心軸を通る鉛直線のクロージャ軸線CLの上に位置している。
【0024】
なお、この実施の形態では、クロージャ本体5は樹脂製からなり、内部がほぼ空洞の収納ケーシングの構造であり、上記のクロージャ軸線CLの上とほぼ同じ位置で分離される半割構造となっている。すなわち、詳しくは後述するが、上記の支持棒7に一体的に吊り下げられる収納ケース支持フレーム9や、この収納ケース支持フレーム9に装着される複数の収納ケース11などを全体的に保護し、かつ防水すべく水密的に収納するカバー構造となっている。なお、支持棒7の両端側はクロージャ本体5の長手方向の両端面の外側に突出する。
【0025】
また、クロージャ本体5の長手方向の両端面から突出した支持棒7の両端には、架空の支持線13(ワイヤ)に吊り下げるための吊り金具15が設けられている。なお、吊り金具15で支持線13を把持する位置は、図3に示されているように、支持線13の中心がクロージャ軸線CLの上にほぼ位置する構成である。
【0026】
さらに、前記支持棒7の長手方向のほぼ中央部には、図2に示されているように、収納ケース支持フレーム9が一体的に吊り下げられた状態で固定されており、光ケーブル3から取り出されて分岐接続した光ファイバを収納するための収納ケース11が複数個、この実施の形態では6個の収納ケース11が前記収納ケース支持フレーム9のほぼ中央部に装着されている。
【0027】
また、前記支持棒7の両端側には、クロージャ本体5の内部に導入される光ケーブル3をクランプ・アンクランプするケーブルクランプ部材17が前記クロージャ本体5の内部に設けられている。
【0028】
図4を併せて参照するに、前記ケーブルクランプ部材17は、前記支持棒7の両端側に固定されたクランプベース部材19と、このクランプベース部材19とで異なる径の光ケーブル3を挟み込んでクランプ・アンクランプ自在に設けたクランプ可動部材21と、で構成される。なお、クランプベース部材19の上端側はボルト23により支持棒7に一体的に固定されており、クランプベース部材19の下端側は収納ケース支持フレーム9にクランプ爪24により一体的に固定されている。したがって、クランプベース部材19は支持棒7と収納ケース支持フレーム9と一体構造である。
【0029】
図5及び図6を併せて参照するに、前記ケーブルクランプ部材17は、クロージャ本体5の内部に導入される光ケーブル3をほぼクロージャ軸線CLの上に位置してクランプする構成である。すなわち、前記クランプベース部材19とクランプ可動部材21は、それぞれ互いに対応する位置に前記光ケーブル3をクランプするクランプ面を有している。前記各クランプ面は、標準的な径Dの光ケーブル3Bから想定される最小径DMINの光ケーブル3Aと最大径DMAXの光ケーブル3Cを収納できる程度の曲率半径を持った断面半円形の湾曲凹部25、27であり、これらの湾曲凹部25、27でクランプされる標準的な径の光ケーブル3Bがクロージャ軸線CLの上に位置するように構成されている。なお、前記各クランプ面には、図5に示されているように、光ケーブル3を確実にクランプするために複数の突起部29が設けられている。
【0030】
また、クランプ可動部材21は、異なる径の光ケーブル3をクランプベース部材19に対して接近離反自在に挟み込めるように、クランプベース部材19に設けたネジ穴31に螺合する2本のボルト33で締め付けられる構成である。しかも、クランプ可動部材21には2本のボルト33が挿通する2つの穴部35のうちの一方には外周に連通する切欠き部37が設けられている。したがって、2本のボルト33をネジ穴31から外すことなく軽く緩めるだけで、図4の二点鎖線に示されているように切欠き部37を通過するようにクランプ可動部材21を回動し、クランプ可動部材21の一端側をボルト33から外すことができる。したがって、異なる径の光ケーブル3を容易に着脱可能となる。
【0031】
この実施の形態では、異なる径の光ケーブル3として想定される最小径DMINと最大径DMAXの範囲は、直径が8〜15mmであるので、標準的なケーブル径Dは11.5mmである。図6では、最小径DMINと標準径Dと最大径DMAXの3つの光ケーブル3A、3B、3Cを示しており、標準径Dの光ケーブル3Bの軸心Fがクロージャ軸線CLの上に位置してクランプされる構成となっている。したがって、最小径DMINの光ケーブル3Aの軸心Eはクロージャ軸線CLに対して図6において右側にずれることになり、一方、最大径DMAXの光ケーブル3Cの軸心Gはクロージャ軸線CLに対して図6において左側にずれることになる。
【0032】
また、前記クロージャ本体5の両端面には、図1に示されているように、前記各ケーブルクランプ部材17の外側に位置して前記光ケーブル3を水密的に導入するケーブル導入部39が設けられている。
【0033】
前記ケーブル導入部39は、前記クランプベース部材19の湾曲凹部25とクランプ可動部材21の湾曲凹部27でクランプされた前記光ケーブル3の径が変化したことで、ケーブル軸心がクロージャ軸線CLの上から動いた場合に想定されるケーブル通過位置とケーブル径の変化に対応して前記光ケーブル3を水密的に挿通可能な大きさのケーブル挿通穴41を有するケーブル導入端面部材43で構成されている。
【0034】
図2及び図7を併せて参照するに、この実施の形態では、ケーブル導入端面部材43は、弾力性を有するリング状の端面シール45と、この端面シール45を保持して前記クロージャ本体5に装着されるリング状の端面シール保持部47と、で構成される。なお、端面シール45には、前記ケーブル挿通穴41と、支持棒7を挿通可能な支持棒用挿通穴49が備えられている。このとき、前記ケーブル挿通穴41はケーブル径が異なる多種の光ケーブル3の場合に対応して光ケーブル3の軸心が移動しても、光ケーブル3の挿通を妨げない程度の柔軟性を有する大径に構成されている。
【0035】
より具体的には、上記の端面シール45と端面シール保持部47は、それぞれ互いに対応する半割形状となっており、半割の端面シール45A、45Bが半割の端面シール保持部47A、47Bの溝部51に嵌合して一体的に装着されている。この半割の端面シール付きの半割の端面シール保持部47A、47Bを重ね合わせることで、半割の端面シール45A、45Bの重ね合わせ面に前記ケーブル挿通穴41と支持棒用挿通穴49が形成されたケーブル導入端面部材43となる。
【0036】
一方、クロージャ本体5は、前述したように半割構造となっており、その長手方向の両端面のケーブル導入部39には、図8に示されているように、上記の端面シール保持部47を嵌入するためのシール保持部用溝部53が形成されている。なお、端面シール保持部47はシール保持部用溝部53の内部で水密的に移動可能となっている。
【0037】
したがって、半割の端面シール付きの半割の端面シール保持部47A、47Bを支持棒用挿通穴49の位置で支持棒7の両端側に挟むようにして重ね合わせてリング状のケーブル導入端面部材43を形成すると共に、ケーブル挿通穴41に光ケーブル3を挿通した状態で、図8に示されているように、リング状のケーブル導入端面部材43をクロージャ本体5の両端のケーブル導入部39のシール保持部用溝部53に嵌入すると、支持棒7に一体構造のケーブルクランプ部材17と収納ケース支持フレーム9並びに複数の収納ケース11が一方の半割のクロージャ本体5に収納される状態になる。次いで、他方の半割のクロージャ本体5を重ね合わせて図示しない把持具でクランプすることで、図1に示されているように、クロージャ本体5の長手方向の両端面のケーブル導入部39は、端面シール45付きのケーブル導入端面部材43で水密的にシールされた状態になる。
【0038】
したがって、端面シール45が柔軟性を有しているので、ケーブル挿通穴41はケーブルクランプ部材17でクランプされる光ケーブル3A、3B、3Cのように異なる径の変化に応じて水密性を保持しながら大きさを変化することができる。
【0039】
しかも、端面シール保持部47がシール保持部用溝部53の内部で水密的に移動可能となっているので、支持棒7に一体構造の各種部材がクロージャ本体5の内部に収納された状態において、図6に示されているように、ケーブルクランプ部材17でクランプされた光ケーブル3A、3B、3Cのように変化するケーブル通過位置に対応して水密状態を保持しながら図6に示されているように、ケーブル導入端面部材43A、43B、43Cの位置に移動することになる。したがって、ケーブル導入端面部材43のケーブル挿通穴41も光ケーブル3A、3B、3Cの外周に密着した状態でケーブル通過位置に対応して移動することになるので、十分な水密状態を維持することができる。
【0040】
以上のことから、想定範囲内の光ケーブル3の径の変動に対応できるケーブルクランプ部材17とケーブル導入端面部材43の構造により、多少の光ケーブル3の径変動を吸収することができるため、光ケーブル3の後分岐工程のように異なる径の光ケーブル3の工事を対象とする場合には、従来のように複数個の光クロージャを準備しなくて良いので、工事時間を短縮することができ、工事費用を抑えることができる。
【0041】
また、ケーブルクランプ部材17では、クランプベース部材19を支持棒7と一体的な構造とし、クランプ可動部材21をクランプベース部材19のクランプ面に対して接近離反自在に設けたので、異なる径の光ケーブル3の範囲はクランプベース部材19のクランプ面を基準として一定位置に位置決めすることができる。その結果、柔軟性を有するケーブル挿通穴41は上記の異なる径の光ケーブル3の範囲を含むように位置決めすることで、上述した効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態の光クロージャの要部断面を含む斜視図である。
【図2】図1の光クロージャで、クロージャ本体を除いた各種部材の組立状態の斜視図である。
【図3】図1の光クロージャの右端側から視た側面図である。
【図4】クランプベース部材を示す斜視図である。
【図5】クランプベース部材を分解した状態の斜視図である。
【図6】クランプベース部材の部分的な側面図である。
【図7】半割のケーブル導入端面部材の斜視図である。
【図8】クロージャ本体を開いた状態でケーブル導入端面部材を装着したケーブル導入部の付近の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 光クロージャ
3、3A、3B、3C 光ファイバケーブル
5 クロージャ本体
7 支持棒
9 収納ケース支持フレーム
11 収納ケース
13 支持線
15 吊り金具
17 ケーブルクランプ部材
19 クランプベース部材
21 クランプ可動部材
23 ボルト
24 クランプ爪
25 湾曲凹部
27 湾曲凹部
29 突起部
31 ネジ穴
33 ボルト
35 穴部
37 切欠き部
39 ケーブル導入部
41 ケーブル挿通穴
43、43A、43B、43C ケーブル導入端面部材
45 端面シール
45A、45B 半割の端面シール
47 端面シール保持部
47A、47B 半割の端面シール保持部
49 支持棒用挿通穴
51 溝部
53 シール保持部用溝部
CL クロージャ軸線
MIN 最小径(光ファイバケーブル3Aの径)
標準径(光ファイバケーブル3Bの径)
MAX 最大径(光ファイバケーブル3Cの径)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空の光ファイバケーブルから取り出された光ファイバを分岐接続すべく収納するクロージャ本体と、このクロージャ本体の中心軸を通る鉛直線のクロージャ軸線上に位置して前記クロージャ本体を架空支持する支持棒と、この支持棒の両端側に前記光ファイバケーブルをクランプ・アンクランプすべく前記クロージャ本体の内部に設けたケーブルクランプ部材と、前記各ケーブルクランプ部材の外側に位置して前記光ファイバケーブルを水密的に導入すべく前記クロージャ本体の両端面に設けたケーブル導入部と、を備えた光クロージャにおいて、
前記ケーブルクランプ部材は、前記支持棒の両端側に固定されたクランプベース部材と、異なるケーブル径の光ファイバケーブルをほぼ前記クロージャ軸線上に位置して前記クランプベース部材とで挟み込んでクランプ・アンクランプ自在に設けたクランプ可動部材で構成され、
前記ケーブル導入部には、前記クランプベース部材とクランプ可動部材でクランプされた前記光ファイバケーブルの径が変化したことで、ケーブル軸心が前記クロージャ軸線上から動いた場合に想定されるケーブル通過位置とケーブル径の変化に対応して前記光ファイバケーブルを水密的に挿通可能な大きさのケーブル挿通穴を有するケーブル導入端面部材が設けられていることを特徴とする光クロージャ。
【請求項2】
前記ケーブル導入端面部材は、変化する前記ケーブル通過位置に対応して前記ケーブル導入部で水密的に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の光クロージャ。
【請求項3】
前記ケーブル導入端面部材は、前記ケーブル挿通穴を備えた弾力性を有するリング状の端面シールと、この端面シールを保持して前記クロージャ本体に装着されるリング状の端面シール保持部と、で構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の光クロージャ。
【請求項4】
前記端面シールと前記端面シール保持部は、それぞれ対応した半割形状であることを特徴とする請求項3記載の光クロージャ。
【請求項5】
前記クランプベース部材と前記クランプ可動部材は、それぞれ互いに対応する位置に前記光ファイバケーブルをクランプするクランプ面を有すると共に、前記各クランプ面が標準的な径の光ファイバケーブルから想定される最大径と最小径の光ファイバケーブルを収納できる程度の曲率半径を持った断面半円形の湾曲凹部であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光クロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237340(P2009−237340A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84443(P2008−84443)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】