光コネクタ、コネクタ接続ユニット
【課題】光コネクタ(光コネクタプラグ)との接続(結合)を、低コストで実現する光コネクタの提供。
【解決手段】光コネクタ挿入穴11aが前側に開口するコネクタ嵌合ハウジング20と、該コネクタ嵌合ハウジング20の後部に一体的に設けられた前側ハウジング30の後側にストップリング41を嵌合してなるユニット部ハウジング51内に内蔵フェルール61を収納する結合ユニット部50とを有し、光コネクタ挿入穴11aに挿入された挿入光コネクタのフェルールが前記内蔵フェルール61に突き合わせられる光コネクタ10、この光コネクタ10をプレートに取り付けてなるコネクタ接続ユニットを提供する。
【解決手段】光コネクタ挿入穴11aが前側に開口するコネクタ嵌合ハウジング20と、該コネクタ嵌合ハウジング20の後部に一体的に設けられた前側ハウジング30の後側にストップリング41を嵌合してなるユニット部ハウジング51内に内蔵フェルール61を収納する結合ユニット部50とを有し、光コネクタ挿入穴11aに挿入された挿入光コネクタのフェルールが前記内蔵フェルール61に突き合わせられる光コネクタ10、この光コネクタ10をプレートに取り付けてなるコネクタ接続ユニットを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ、コネクタ接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタとしては、例えばSC形光コネクタ(JIS C5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)のように、プラグ−アダプタ−プラグ方式で結合して、光ファイバ同士のコネクタ接続に用いられるものが広く提供されている。
この結合方式の光コネクタ(プラグ)は、フェルールをスリーブ状のハウジングに収納した構造が一般的であり(例えば特許文献1)、アダプタに挿入したときに、前記ハウジングがアダプタ内の係合爪と係脱可能に係合してアダプタに嵌合する。そして、この光コネクタは、アダプタにその両側からそれぞれ挿入して嵌合し、アダプタ内にて互いに突き合わせることで、結合できる。また、アダプタに嵌合状態の光コネクタは、そのハウジングに対するアダプタの係合爪の係合を解除することで、アダプタから抜き去ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アダプタを用いた光コネクタ同士の結合、結合解除は、アダプタの一方の側に光コネクタを嵌合したまま、アダプタの他方の側でのコネクタ操作(アダプタに対する光コネクタの挿脱)のみによって行う方式が多く採られている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光コネクタ(光コネクタプラグ)との接続(結合)を、低コストで実現する光コネクタ、コネクタ接続ユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光コネクタ挿入穴が前側に開口するコネクタ嵌合ハウジングと、該コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールが、前記位置決めスリーブに挿入され位置決めされて前記内蔵フェルールに突き合わされる光コネクタを提供する。
第2の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴に連通する前側ハウジング挿入穴を有し、前記前側ハウジングを前記前側ハウジング挿入穴に挿入して前記ベース部と前記コネクタ嵌合ハウジングとを嵌合させることによって前記結合ユニット部を前記コネクタ嵌合ハウジングに取り付ける第1の発明の光コネクタを提供する。
第3の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記前側ハウジング挿入穴に挿入された前記前側ハウジングと係合して、該前側ハウジングの前記コネクタ嵌合ハウジングに対する前後方向の移動を規制する係止手段を有し、前記係止手段は、前側へ行くにしたがって前記前側ハウジング挿入穴内面からの突出寸法が増大するテーパ状に突設されて、挿入された前記ベース部の外周に突設されている固定用突部が乗り越え可能かつ乗り越えた前記固定用突部の後方への移動を規制する係止突部と、該係止突部から前側に離隔させて突設されて、前記係止突部をその後側から前側へ乗り越えた前記固定用突部が当接されることで該固定用突部の前方への移動を規制するストッパ突部とを有する第2の発明の光コネクタを提供する。
第4の発明は、前記係止突部は、前記コネクタ嵌合ハウジングにその前後方向に延在形成した一対の長孔の間の弾性壁部に突設されている第3の発明の光コネクタを提供する。
第5の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングの外周面に形成されたコネクタ前側に行くにしたがって外周面からの離隔距離が増大する突片である係止用弾性片と、この係止用弾性片の前端からコネクタ前側に離隔させて突設されたリブ状の突部とを有する第1〜4のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第6の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明の光コネクタの前記コネクタ嵌合ハウジングをプレートに開口する窓孔に挿入して取り付けたコネクタ接続ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る光コネクタは、コネクタ嵌合ハウジングの光コネクタ挿入穴に挿入した挿入光コネクタのフェルールを突き合わせ接合させる内蔵フェルールが組み込まれ、前記挿入光コネクタに直接接続(結合)出来る結合ユニット部を有する。結合ユニット部の内蔵フェルールは、前側ハウジングに設けられた位置決めスリーブに内挿されている。挿入光コネクタのフェルールは、位置決めスリーブに挿入されることで、該位置決めスリーブによって内蔵フェルールに対して位置決めされて、位置決めスリーブ内にて内蔵フェルールに突き合わせ接合される。このため、本発明に係る光コネクタは、挿入光コネクタとの接続、それによる、挿入光コネクタのフェルールに内挿固定した光ファイバと内蔵フェルールに内挿固定した光ファイバとのコネクタ接続(光接続)をアダプタ無しに、低コストで実現できる。本発明によれば、プラグ−アダプタ−プラグ結合方式に比べて少ない部品点数で光ファイバ同士のコネクタ接続を実現でき、低コスト化も容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1実施形態の光コネクタをその前側から構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態の光コネクタをその後側から構造を示す斜視図である。
【図3】図1、図2の光コネクタの分解斜視図である。
【図4】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、後側延出片の調心溝及び被覆部収納溝と2つの蓋部材との関係を説明する図である。
【図5】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、クランプ部の2つの蓋部材を説明する図である。
【図6】図1、図2の光コネクタの構造を説明する図であって、該光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てた状態を示す断面図(平断面図)である。
【図7】(a)〜(e)は、図1、図2の光コネクタの結合ユニット部の前側ハウジングを説明する図である。
【図8】(a)〜(d)は、図1、図2の光コネクタのコネクタ嵌合ハウジングを説明する図である。
【図9】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールのクランプ部の半割り構造の把持用素子部と該把持用素子部に割り込ませる介挿片との関係を説明する断面図である。
【図10】図1、図2の光コネクタのコネクタ嵌合部付近の構造を示す断面図(側断面図)である。
【図11】図1、図2の光コネクタと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとの嵌合状態を説明する断面図(平断面図)である。
【図12】図1、図2の光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てる組立方法を説明する斜視図である。
【図13】図1、図2の光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てる際に、光ファイバケーブル端末に引留用固定部材として組み付ける外被把持部材を説明する斜視図である。
【図14】図1、図2の光コネクタの挿入補助スライダー及び引き留めカバーと、光ファイバケーブル端末に固定された引留用固定部材との関係を説明する図であって、(a)は側断面図、(b)は光コネクタ後側から見た図である。
【図15】図1、図2の光コネクタをプレート(コネクタ取付プレート)に取り付けたコネクタ接続ユニットの一例を説明する図である。
【図16】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、プレート(コネクタ取付プレート)の窓孔を介してプレート裏面側から表面側に引き出した光ファイバケーブルの端末に光コネクタを組み立てる工程を有する組立方法を説明する図である。
【図17】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、プレート(コネクタ取付プレート)に取り付けた光コネクタに固定部材付きケーブル端末を押し込む工程を有する組立方法を説明する図である。
【図18】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、光ファイバケーブル端末に組み立てた結合ユニット部を、プレート(コネクタ取付プレート)に取り付けたコネクタ嵌合ハウジングに嵌合3する工程を有する組立方法を説明する図である。
【図19】図1、図2の光コネクタの光コネクタ挿入孔に挿入して嵌合させる挿入光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る実施形態の光コネクタの別態様を示す図であって、光ファイバ先端部に組み立てられる現場組立形の光コネクタの一例を示す図である。
【図21】図20の光コネクタの結合ユニットを示す図であって、(a)は後側から見た斜視図、(b)は前側から見た斜視図である。
【図22】図20の光コネクタの結合ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【図23】図20の光コネクタのストップリング内側の段差面(スプリング受け面)とスプリングとの関係を示す断面図である。
【図24】本発明に係る実施形態の光コネクタの結合ユニット部の別態様の一例を説明する図であって、光ファイバ先端に直接取り付けられたフェルールを内蔵する結合ユニットをその後側から見た斜視図である。
【図25】図24の結合ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【図26】図24の結合ユニットのフェルール、スプリング、ストップリングの関係を説明する図である。
【図27】図15のコネクタ取付プレートの一例を示す図である。
【図28】本発明に係る実施形態のコネクタ接続ユニットを上下多段に設けた構成の光配線盤の一例を示す図である。
【図29】コネクタ嵌合ハウジングの別態様を示す斜視図である。
【図30】(a)〜(d)は図29のコネクタ嵌合ハウジングの構造を示す図である。
【図31】図1、図2の光コネクタを組み立てる光ファイバケーブルの構造の一例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図3に示す実施形態の光コネクタ10は、角筒状のコネクタ嵌合ハウジング20(具体的には後述する角筒状の嵌合ハウジング本体20f)と、このコネクタ嵌合ハウジング20の内側に嵌合して一体的に設けた前側ハウジング30に後側ハウジング40を取り付けてなるハウジング51にクランプ部付きフェルール60(後述)を収納した結合ユニット部50とを有する。
なお、結合ユニット部50のハウジング51を、以下、ユニット部ハウジングとも言う。
【0010】
図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20はプラスチック製の一体成形品である。
このコネクタ嵌合ハウジング20は、角筒状の嵌合ハウジング本体20fの両側に、リブ状の突部25と、係止用弾性片20e(後述)とを突設した概略構成になっている。
図8(a)〜(d)に示すように、前記突部25は、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向中央部の外周面から両側に突出している。この突部25は、例えば図15に示すように、嵌合ハウジング本体20fをプレート5(以下、コネクタ取付プレートとも言う)に形成された窓孔5aに挿入してコネクタ嵌合ハウジング20をプレート5に取り付ける際に、プレート5に当接させるものである。以下、この突部25を当接突部とも言う。
なお、前記コネクタ取付プレート5に光コネクタ10を取り付けたユニットを、以下、コネクタ接続ユニット200とも言う。
【0011】
コネクタ嵌合ハウジング20の係止用弾性片20eは、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において前記突部25が突設されている中央部から片方の側(後述の後筒部20b。後部)の外周面から突出している。この係止用弾性片20eは、前記当接突部25側に行くにしたがって嵌合ハウジング本体20f外周面からの距離が増大するように突出している。嵌合ハウジング本体20fから突出する係止用弾性片20eの突端は当接突部25から離隔した位置にある。係止用弾性片20eの突端と当接突部25との間には隙間が確保されている。
図3、図15に示すように、図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、係止用弾性片20eが突設されている後筒部20bをコネクタ取付プレート5の窓孔5aに挿入し、前記当接突部25と係止用弾性片20eとの間にコネクタ取付プレート5を挟み込むことでコネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【0012】
図6、図8(b)〜(d)に示すように、前記嵌合ハウジング本体20fの内側を貫通する貫通孔(以下、ハウジング貫通孔26とも言う)は、その軸線に垂直の断面(ハウジング貫通孔26について、以下、単に断面とも言う)が概略長方形状となっている。
前記当接突部25は、角筒状の嵌合ハウジング20fの4つの壁部のうち、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の断面長手方向両側の一対の壁部(側壁部23、24)の外面(ハウジング貫通孔26に臨む内面とは反対の側の面)側に突設されている。図示例のコネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の断面長手方向に直交する幅方向両側に位置する壁部(主壁部21、22)には当接突部25は突設されていない。
係止用弾性片20eも、嵌合ハウジング20fの側壁部23、24の外面のみに突設されている。
【0013】
図1〜図3に示すように、結合ユニット部50の前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に内挿され、後筒部20b(コネクタ嵌合ハウジング20の後部)に嵌合されている。図3、図10に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fの後筒部20bの内面には、前側ハウジング30の後筒部20bに内挿した部分に係合して前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20に固定するための係止突部27及びストッパ突部28が突設されている。
【0014】
本明細書においては、コネクタ嵌合ハウジング20について、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において係止突部27及びストッパ突部28が突設されている側を後、反対側を前として説明する。係止突部27及びストッパ突部28は、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において当接突部25から前側に位置する前筒部20aには突設されていない。なお、係止突部27及びストッパ突部28については、後で詳述する。
【0015】
図11に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20とその嵌合ハウジング本体20f内側に嵌合して取り付けた前側ハウジング30とは、光コネクタ90(光コネクタプラグ)を挿入、嵌合可能なコネクタ嵌合部11を構成する。以下、光コネクタ90を挿入光コネクタとも言う。
図6、図10に示すように、図示例の光コネクタ10は、その前端部にコネクタ嵌合部11を有し、このコネクタ嵌合部11から後側に前記結合ユニット部50が突出する構成となっている。換言すれば、この光コネクタ10は、結合ユニット部50の前端部に、前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合してなるコネクタ嵌合部11を有する構成となっている。
なお、本明細書において、前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20に対する嵌合は、前側ハウジング30を嵌合ハウジング本体20f内側、さらに詳しくは嵌合ハウジング本体20fの後筒部20b内側に嵌合することを指す。
【0016】
図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合部11は、挿入光コネクタ90としてSC形光コネクタを挿入、嵌合可能となっている。この挿入光コネクタ90を図19に示す。
図6、図10に示すように、コネクタ嵌合部11は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26のうち、コネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合された前側ハウジング30のベース部31から前側の部分である光コネクタ挿入穴11aを有している。光コネクタ挿入穴11aは、コネクタ嵌合ハウジング20の前側に開口している。
図11に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11前端(コネクタ嵌合ハウジング20前端)から、コネクタ嵌合ハウジング20内側の光コネクタ挿入穴11aに挿入して、コネクタ嵌合部11に嵌合される。
図示例のコネクタ嵌合部11に嵌合可能な挿入光コネクタとしては、SC形光コネクタからつまみ(カップリング)を省略した構成の、いわゆるSC2形光コネクタも採用可能である。
【0017】
図6、図10に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20は、その軸線方向(嵌合ハウジング本体20fの軸線方向。換言すればハウジング貫通孔26の軸線方向。前後方向)において中央部の前記当接突部25から前側の部分である前筒部20aと、該前筒部20aとは反対側の後筒部20b(後部)とを有している。コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26のうち、後筒部20b内側に位置する部分は、前側ハウジング30が内挿嵌合される前側ハウジング挿入穴26aとして機能する。コネクタ嵌合ハウジング20は、その内側に、前記光コネクタ挿入穴11aと、該光コネクタ挿入穴11aに連通する前側ハウジング挿入穴26aとを有している。前記前側ハウジング30は、外観ブロック状のベース部31(図3参照)をコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの内側に嵌合してコネクタ嵌合ハウジング20に取り付けられている。
【0018】
前側ハウジング30は、前記ベース部31から前側に突出する突筒部32を有している。前側ハウジング30には、前記ベース部31を貫通して前記突筒部32前端に開口する貫通孔33(フェルール挿入孔)が形成されている。この貫通孔33は、前記突筒部32の内側孔と、該内側孔を後側へ延長するようにしてベース部31に貫通させた部分とからなり、前記突筒部32の内側孔を含み、前記ベース部31後端に開口している。
【0019】
前記貫通孔33には位置決めスリーブ52が貫通孔33の軸線方向に移動可能に収納されている。また、この位置決めスリーブ52の内側には、後述するクランプ部付きフェルール60のフェルール61(内蔵フェルール。フェルール本体)が内挿されている。
【0020】
挿入光コネクタ90は、スリーブ状のつまみ91(図19参照)外周に突設されているキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20の前筒部20aにその前端から後側に向かって延在形成された細長のキー挿入用切り欠き20d(図2等参照)に挿入することで、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入できる。図2に示すように、キー挿入用切り欠き20dは、コネクタ嵌合ハウジング20において、一対の主壁部21、22の片方(符号22の主壁部)の前筒部20aに位置する部分のみに形成されている。挿入光コネクタ90は、つまみ91のキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20のキー挿入用切り欠き20dに挿入する向きでのみ、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入可能である。
【0021】
図11に示すように、この挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aへの押し込み(挿入)によって、プラグフレーム92内側のフェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入(圧入)できる。また、挿入光コネクタ90は、フェルール93を結合ユニット部50の前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入することで、プラグフレーム92が前記前側ハウジング30の突筒部32に外挿され外嵌めされる。
挿入光コネクタ90は、フェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入し、プラグフレーム92を前記前側ハウジング30の突筒部32に外嵌めすることで、コネクタ嵌合部11に対する挿入、嵌合を達成できる。
【0022】
図11、図19に示すように、挿入光コネクタ90は、光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである光ファイバ94の先端部に組み立てられている。図示例の挿入光コネクタ90のフェルール93には光ファイバ94の先端部が内挿固定されている。フェルール93先端の接合端面93aには、光ファイバ94先端に口出しされた裸光ファイバ94a(図11参照)の先端面が露出されている。裸光ファイバ94aの先端面は、フェルール93の接合端面93aと連続する面を形成するように、フェルール93の接合端面93aに対して位置合わせされている。
【0023】
位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタ90のフェルール93と、結合ユニット部50側のフェルール61とを、互いに同軸上となるように高精度に位置決めするものである。このため、位置決めスリーブ52内にてフェルール93、61同士を互いに突き当てる(接合端面93a、61b同士を接合する)ことで、各フェルール93、61にそれぞれ内挿固定されている光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続(光接続)を実現できる。
光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続は、具体的には、挿入光コネクタ90が組み立てられた光ファイバ94の裸光ファイバ94aと、光コネクタ10の結合ユニット部50のフェルール61に内挿固定されている内蔵光ファイバ62との突き合わせ接続である。
【0024】
図3等に示すように、図示例の光コネクタ10は、具体的には、位置決めスリーブ52として、断面C形のスリーブ状に形成された金属製の割スリーブを採用している。
但し、位置決めスリーブ52としては、割スリーブに限定されず、例えば円筒状の弾性スリーブ、非弾性スリーブ等も採用可能である。
【0025】
図6、図11に示すように、前側ハウジング30には、光コネクタ挿入穴11aに挿入、嵌合した挿入光コネクタ90のハウジング(詳細にはプラグフレーム92)に両側から係脱可能に係合する一対の爪付き係合片34が突設されている。図3、図11に示すように、爪付き係合片34は、前記ベース部31から前側に延出(突出)する弾性延出片34aの先端に、SC形光コネクタである挿入光コネクタ90のハウジング(具体的にはプラグフレーム92)に係合する突爪34bを突設した構成である。一対の爪付き係合片34は、前記突筒部32の両側に配置されている。
【0026】
コネクタ嵌合部11前側から光コネクタ挿入穴11aに押し込んだ挿入光コネクタ90は一対の爪付き係合片34の間に挿入される。そして、挿入光コネクタ90は、各爪付き係合片34先端の突爪34bがつまみ91の両側の窓孔91aを介してプラグフレーム92の両側の係合突部92aに係合する。挿入光コネクタ90は、爪付き係合片34の係合によってコネクタ嵌合部11からの引き抜きが規制され、コネクタ嵌合部11に対する嵌合状態が保たれる。
なお、突爪34bは、一対の爪付き係合片34先端に、互いに対向する相手側の爪付き係合片34先端に向かって突設されている。
【0027】
なお、前側ハウジング30のベース部31から前側部分は、JIS C 5973に準拠して、挿入光コネクタ90との間にスライドロック構造を構成する。
すなわち、挿入光コネクタ90をコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合したときに、一対の爪付き係合片34とプラグフレーム92の係合突部92aとの係合によって、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの抜き去りがロックされる。また、コネクタ嵌合部11に嵌合状態の挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向に引っ張り操作すると、一対の爪付き係合片34のプラグフレーム92に対する係合を解除しながら、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの離脱(抜き去り)が可能である。
【0028】
図3、図7(a)、(b)、(e)に示すように、爪付き係合片34の先端(前端)には、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除するための係合解除用突部34cが突設されている。係合解除用突部34cは、各爪付き係合片34先端に、一対の爪付き係合片34の間隔方向に垂直、かつコネクタ前後方向(ここではコネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向、及び貫通孔33の軸線方向に一致)に垂直の両側に突設されている。この係合解除用突部34cは、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、つまみ91の前記窓孔91aに臨む位置に形成された係合解除用テーパ壁部91b(図19参照)に押圧されて、プラグフレーム92の係合突部92aに係合している爪付き係合片34先端をプラグフレーム92から離隔方向に変位させ、係合突部92aに対する係合を解除する。
【0029】
図11に示すように、つまみ91の前記係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端の突爪34bがプラグフレーム92の係合突部92aに係合しているとき、光コネクタ10前後方向において爪付き係合片34の係合解除用突部34cの後側に位置する。挿入光コネクタ90において、前記係合解除用テーパ壁部91bは、フェルール93先端の接合端面93a側である挿入コネクタ前側に行くにしたがって、つまみ91のプラグフレーム92に臨む内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。このため、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91を引っ張り操作によってコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ移動(図11において光コネクタ10前側への移動)させると、爪付き係合片34の係合解除用突部34cが前記係合解除用テーパ壁部91bに乗り上げるようにしてプラグフレーム92から離隔方向に変位し、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除できる。
【0030】
なお、図19に示すように、挿入光コネクタ90の係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端両側の係合解除用突部34cに対応して、つまみ91の両側に2つづつ設けられている。また、プラグフレーム92の係合突部92aに係合した爪付き係合片34先端の弾性延出片34aは、つまみ91の両側にて、2つの係合解除用テーパ壁部91bの間に確保された延出片収納溝91cに収納される。
【0031】
図3、図6に示すように、この光コネクタ10の結合ユニット部50は、ユニット部ハウジング51に、クランプ部付きフェルール60と、該クランプ部付きフェルール60をコネクタ前方へ弾性付勢するスプリング53とを収納した概略構成になっている。
【0032】
この実施形態の光コネクタ10は、現場組立形の光コネクタであり、光ファイバケーブル1端末に組み立てられるものである。
【0033】
図31に示すように、光ファイバケーブル1は、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体4とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被3によって一括被覆したものである。抗張力体4は、光ファイバ2の両側に互いに並行に2本設けられている。
光ファイバ2は、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。本実施形態において光ファイバ2は単心の被覆付き光ファイバである。裸光ファイバ2aは、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2bは、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。抗張力体4としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。光ファイバケーブル1としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
【0034】
図3、図6に示すように、前記後側ハウジング40は、ユニット部ハウジング51内にその後側から光ファイバ2を挿入するためのファイバ導入孔42aが貫設されたブロック部42に、スリーブ状(図示例では円筒状)の胴部41eを突設したストップリング部41と、前記ブロック部42から前記胴部41eとは反対の側(後側)に延出する断面コ字形の固定部材受け部43とを有している。
結合ユニット部50のユニット部ハウジング51は、具体的には、前側ハウジング30と後側ハウジング40のストップリング部41とによって構成されている。この結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0035】
なお、本明細書においては、結合ユニット部50、ユニット部ハウジング51について、前側ハウジング30の突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、反対側を後として扱う。結合ユニット部50A、ユニット部ハウジング51Aについては、突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、固定部材受け部43が設けられている側を後として扱う。
【0036】
後側ハウジング40の固定部材受け部43には、その後方から、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を押し込んで収納(挿入)できる。
図12に示すように、光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる作業では、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を前記固定部材受け部43に押し込むとともに、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、ブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図6参照)に押し込んでいくことで、前記光ファイバ2をユニット部ハウジング51A内に挿入できる。
【0037】
図3、図6に示すように、前記前側ハウジング30は、ベース部31から後側に延出するスリーブ状のプラグフレーム部35を有している。図示例の前側ハウジング30はプラスチック製の一体成形品であり、前記プラグフレーム部35は、ベース部31から後側に突出する筒状突部である。
【0038】
ユニット部ハウジング51Aは、前記プラグフレーム部35に、後側ハウジング40のストップリング部41の前端部(胴部41eの前端部。ブロック部42とは反対側の端部)を内嵌めして、前側ハウジング30と後側ハウジング40とを一体化したものである。
後側ハウジング40のストップリング部41は、その前側の胴部41eをプラグフレーム部35内側に後側から押し込み、胴部41e前端部外周に突設されている係合突起41aを、プラグフレーム部35の両側に形成された係止孔35aに嵌め込むことで、プラグフレーム部35に嵌合して固定される。
【0039】
図4,図5、図6に示すように、前記クランプ部付きフェルール60は、光ファイバ62を内挿固定したフェルール61を有する。フェルール61に内挿固定した光ファイバ2を、以下、内蔵光ファイバ62とも言う。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61から後側に突出させた部分(以下、後側突出部62aとも言う)を有する。内蔵光ファイバ62の前端の端面は、フェルール61先端(前端)の接合端面61bに揃えられている。
【0040】
次に、クランプ部付きフェルール60について説明する。
クランプ部付きフェルール60は、前記フェルール61の後側に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、ユニット部ハウジング51Aにその後側から挿入して内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを把持固定して光ファイバ62、2同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部63を組み立てたものである。
クランプ部63は、フェルール61のフランジ部64から後側に延出するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67とからなる半割り構造の把持用素子部を有する。クランプ部63は、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0041】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは、把持用素子部を構成するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に配置されている。内蔵光ファイバ62後端に突き当てる光ファイバ2は、クランプ部63の後側からベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に挿入される。内蔵光ファイバ62と光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しされた裸光ファイバ2a)とは、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間にて突き合わせ接続される。内蔵光ファイバ62後端に光ファイバ2を突き合わせ接続した突き合わせ接続部に図6中符号Pを付す。
【0042】
光コネクタ10のユニット部ハウジング51Aに挿入して、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する光ファイバ2を、以下、挿入光ファイバとも言う。この実施形態において、前記挿入光ファイバ2は、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の、光ファイバケーブル1先端の外被3を除去して光ファイバケーブル1端末から突出状態に露出させた部分を、ユニット部ハウジング51A内への挿入に用いる。
【0043】
図4,図5、図6に示すように、クランプ部付きフェルール60のフェルール61は、SC形光コネクタ等にて使用されるキャピラリ状の単心用フェルールである。このフェルール61の材質としては、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス等を挙げることができる。
前記内蔵光ファイバ62は、ここでは裸光ファイバであり、例えば石英系光ファイバである。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔61aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール61に固定されている。
【0044】
前記フェルール61の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部64が一体化されている。このフランジ部64は、例えば、金属、プラスチック等によってリング状に形成されている。
前記クランプ部63は、前記フランジ部64からフェルール61後側へ延出された後側延出片65と、蓋部材66、67とを、金属板を断面C形あるいはコ字形(図示例では断面C形)の細長形状に成形したクランプばね68の内側に一括保持した構成になっている。クランプばね68は、蓋部材66、67を後側延出片65に向かって弾性付勢する。そして、このクランプ部63は、前記後側延出片65と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続する光ファイバ2とを、クランプばね68の弾性によって挟み込んで把持固定するものである。
後側延出片65と蓋部材66、67とは、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2とを把持固定する半割り構造の把持用素子部を構成する。
【0045】
前記後側延出片65は、前記フェルール61の軸線に沿う方向を長手方向とする細長形状に形成されている。図示例の後側延出片65は、前記フランジ部64と一体に形成されており、フェルール61と一体化されている。
図4,図5に示すように、前記クランプ部63は、前記後側延出片65との間に光ファイバ62、2を把持固定する蓋部材として、前蓋部材66、及び該前蓋部材66の後側(前蓋部材66を介してフェルール61とは反対の側)の後蓋部材67の2部材を有している。これら2つの蓋部材66、67は、後側延出片65の長手方向に沿って配列設置されている。
【0046】
後側延出片65及び蓋部材66、67には互いに対向する対向面が形成されている。クランプ部63のクランプばね68は、その弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67とをその対向面同士が接近する方向(すなわち、互いに閉じ合わせる方向)に弾性付勢する。
【0047】
図4に示すように、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面65aは、前記内蔵光ファイバ62の後側突出部62aを前記フェルール61のファイバ孔61aの後方延長上に位置決めする調心溝69a、及び該調心溝69aの後端から後方に延在する被覆部収納溝69bが形成された溝形成面とされている。以下、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面を溝形成面とも言う。
前記調心溝69aは溝形成面65aの前記前蓋部材66に対面する部分に形成され、被覆部収納溝69bは溝形成面65aの前記後蓋部材67に対面する部分に形成されている。また、後側延出片65の溝形成面65aに対面する後蓋部材67の対向面67aにも、後側延出片65の被覆部収納溝69bに対応する位置に被覆部収納溝69cが延在形成されている。
【0048】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは調心溝69aに配置されている。内蔵光ファイバ62の後端(後側突出部62a後端)は、調心溝69aの長手方向中央部に配置されている。内蔵光ファイバ62は、フェルール61先端の接合端面61bに揃えられた前端と前記後端とを長手方向両端とする短尺の光ファイバである。
前記調心溝69aには、挿入光ファイバ2先端の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の後側から、後側延出片65及び後蓋部材67の対向面65a、67aの互いに対応する位置に形成された被覆部収納溝69b、69cを介して挿入される。
【0049】
図9に示すように、調心溝69aはV溝であり、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを、突き合わせ接続可能に高精度に位置決め、調心する機能を果たす。調心溝69aとしては、V溝以外に、例えばU溝、半円溝なども採用できる。
被覆部収納溝69b、69cは、挿入光ファイバ2の被覆付き部分(被覆部)を収納するべく、調心溝69aに比べて溝幅を若干大きく形成した溝である。被覆部収納溝69b、69cとしては、特に限定されるものではなく、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
【0050】
図9に示すように、後側延出片65と前蓋部材66との間には、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aの調心溝69aへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片81が抜き去り可能に介挿されている。また、後側延出片65と後蓋部材67との間には、挿入光ファイバ2の被覆部収納溝69b,69cへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片82(図1、図2参照)が抜き去り可能に介挿されている。
【0051】
図示例の介挿片81、82は薄板状に形成されている。これら介挿片81、82は、クランプ部60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に挟み込まれている。図1、図2、図12に示すように、ユニット部ハウジング51Aには、その軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に、その内外に介挿片81、82を通すための介挿片挿通孔41bが形成されている。図示例の光コネクタ10において、前記介挿片挿通孔41bは、具体的には、後側ハウジング40の胴部41eの軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に該胴部41eの肉厚を貫通して形成されている。介挿片81、82は、前記介挿片挿通孔41bに挿通され、ユニット部ハウジング51Aの外側に突出されている。
【0052】
前記介挿片挿通孔41bは、胴部41eのうち、プラグフレーム部35に覆われた部位を避けて形成されている。図示例の光コネクタ10において、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bの一方は、プラグフレーム部35にその後端から前側へ向かって細長に延在形成された細長切り欠き部35cに連通する位置に形成されている。また、2つの介挿片挿通孔41bの他方は、胴部41eにおいてプラグフレーム部35後側に位置する部分に形成されている。
【0053】
また、図示例の介挿片81、82は、ユニット部ハウジング51A外側に突出した部分に、クランプ部63からの抜き去り作業を容易にするための抜き去り用操作部81a、82aが設けられた構成となっている。図示例の抜き去り用操作部81a、82aは、介挿片81、82に垂直の板状であり、介挿片に一体化されている。介挿片は、抜き去り用操作部81a、82aを作業者が手指で把持して引っ張り操作することで、クランプ部63からの抜き去り作業を手作業で楽に行える。抜き去り用操作部の具体的構成は、介挿片に垂直の板状に限定されず、適宜変更可能である。
【0054】
図示例の介挿片81、82は、板状の抜き去り用操作部の片面側に突設した突片である。
図12に例示した光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、抜き去り用操作部81a、82aに介挿片81、82を突設した構造の光コネクタ組立用工具83、84をひとつづつ設けた構成(工具付き光コネクタ110)となっている。但し、抜き去り用操作部に介挿片を突設した構成の光コネクタ組立用工具としては、ひとつの抜き去り用操作部に、クランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、2つの介挿片を突設した構成のものも採用可能である。
【0055】
光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の後側延出片65と蓋部材66、67との間に、光コネクタ組立用工具の介挿片を抜き去り可能に介挿した工具付き光コネクタ110の状態で現場に供給できる。この場合、現場にて後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を介挿する作業を省略できる。
【0056】
また、介挿片としては、薄板状のものに限定されず、例えば柔軟なシート等も採用可能である。
図9に例示したように、先端が先細りのテーパ状に形成された板状(薄板状)の介挿片は、後側延出片65と蓋部材66、67との間の境界に押圧するだけで割り込ませる(介挿する)ことができる。このため、後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を割り込ませる(介挿する)作業を、例えば光コネクタ10の光ファイバへの組み立て作業を行う現場にて行うことも容易である。
【0057】
図6に示すように、前側ハウジング30の突筒部32の前端内周には、貫通孔33(フェルール孔)内に収納された位置決めスリーブ52(図示例では割スリーブ)の軸線方向片端が当接される抜け止め突起32aが突設されている。位置決めスリーブ52は、抜け止め突起32aによって、突筒部32から前側への抜け出しが規制されている。
前側ハウジング30の貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分は、結合ユニット部50A後側に行くにしたがってその内径が次第に大きくなるテーパ状に形成されている。貫通孔33後端の内径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分(主孔部)の前端の内径に比べて僅かに大きい。
なお、位置決めスリーブ52外径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分である主孔部の前端の内径と同じか、該内径に比べて僅かに径小とされている。
【0058】
図6、図10に示すように、プラグフレーム部35の内側孔は、前側ハウジング30の貫通孔33と同軸に該貫通孔33後端に比べて径大に形成された丸孔状となっている。前側ハウジング30の貫通孔33とプラグフレーム部35の内側孔との境界には段差面36が形成されている。この段差面36は、貫通孔33後端周囲全周に形成されている。
プラグフレーム部35に内嵌めして固定されている胴部41eの前端面41fは、前側ハウジング30の前記段差面36の後側に離隔した位置に配置されている。クランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、プラグフレーム部35の内側孔内において、前側ハウジング30の前記段差面36と胴部41e前端との間に収納されている。
【0059】
図6、図10に示すように、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿して、前記位置決めスリーブ52と、フェルール61のフランジ部64との間に介挿したスペーサリング54を有する。このスペーサリング54の内径及び外径は、位置決めスリーブ52(フェルール61が内挿されている状態の位置決めスリーブ52)の内径及び外径と概ね同じに揃えられている。
【0060】
位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分の軸線方向寸法と同じに揃えてある。クランプ部付きフェルール60は、そのフランジ部64が前側ハウジング30の前記段差面36に当接する位置が前側ハウジング30に対する前側移動限界位置となっている。また、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64(具体的にはその前側面64d)にスペーサリング54の後端面が当接し、前側ハウジング30の突筒部32前端の抜け止め突起32aに位置決めスリーブ52の軸線方向片端(前端)が当接する。
【0061】
なお、位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の主孔部の軸線方向寸法と厳密に同じに揃える必要はなく、例えば、貫通孔主孔部の軸線方向寸法に比べて僅かに短い寸法としても良い。
また、結合ユニット部50Aとしては、スペーサリング54を省略して、軸線方向寸法が貫通孔主孔部の軸線方向寸法と同じあるいは僅かに短い長さの位置決めスリーブ52を採用した構成としても良い。
【0062】
図6、図10に示すように、クランプ部付きフェルール60は、前記ストップリング部41の胴部41e内に収納されたクランプ部63の把持用素子部の後端部と、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されたスプリング53によってコネクタ前側へ弾性付勢され、前記前側移動限界に配置されている。また、前側移動限界位置のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部41e前端から前側へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60は、前記スプリング53の弾性付勢力に抗して、スプリング53を押し縮めつつ、前記前側移動限界位置からユニット部ハウジング51Aに対して後側へ押し込み可能である。
【0063】
なお、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から後側への押し込みよってスプリング53が圧縮限界に達したときに、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64がストップリング部41の胴部41e前端に当接せず、フランジ部64と胴部41e前端との間にクリアランスが確保される構成となっている。つまり、クランプ部付きフェルール60は、スプリング53が圧縮限界に達したときの位置がユニット部ハウジング51Aに対する押し込み限界位置となっている。
【0064】
図6に示すように、前記スプリング53は具体的にはコイルスプリングであり、その内側に、クランプ部63の把持用素子部の後側延出片65及び後蓋部材67の後端部にそれぞれ突片状に形成された後側張出部65b、67bを収納している。後側延出片65及び後蓋部材67は、それぞれ後側に張り出す前記後側張出部65b、67bを含む。
【0065】
図4,図5に示すように、後側延出片65及び後蓋部材67の互いに対面する対向面65a、67aの一部は、後側張出部65b、67bに形成されている。後側張出部65b、67bには、被覆部収納溝69b、69cの後端部をテーパ状に拡張したテーパ状開口部69bw、69cwが形成されている。被覆部収納溝69b、69cのテーパ状開口部69bw、69cwは、後側張出部65b、67bの後端面に開口している。
後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67bはクランプ部63のクランプばね68から後側に突出されている。
【0066】
後側張出部65b、67bは、後側延出片65、後蓋部材67における該後側張出部65b、67bから前側の部分に比べて細い突片状に形成したものである。後側延出片65及び後蓋部材67には、後側張出部65b、67bとその前側部分との境界に段差面65c、67cが形成されている。なお、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cは、後側延出片65、後蓋部材67の後端部に形成されている。
【0067】
図6に示すように、スプリング53は、その中心軸線がユニット部ハウジング51Aの中心軸線(本実施形態では、前側ハウジング30の貫通孔33の中心軸線と一致)と平行の向きでストップリング部41の胴部41eの内側孔内に収納され、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cと、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されている。
後側延出片65及び後蓋部材67の後端部の段差面65c、67cは、スプリング53の前端が当接されるスプリング受け面として機能する。
【0068】
後側ハウジング40のストップリング部41の胴部41eの内側孔は、ブロック部42のファイバ導入孔42aに比べて大きい断面積で、ファイバ導入孔42aと同軸に延在形成されている。図示例の後側ハウジング40の胴部41eの内側孔及びファイバ導入孔42aは具体的には丸孔であり、胴部41eの内側孔はファイバ導入孔42aに比べて径大に形成されている。ブロック部42は、胴部41eの内側孔に臨む部分の中央部に突設されたリング状突起42bを有している。ファイバ導入孔42aの前端は、前記リング状突起42bの突端(前端)に開口している。
【0069】
スプリング53の後端部は、ブロック部42の前記リング状突起42bに外挿され、ブロック部42前端部のうち前記リング状突起42bの周囲の胴部41eの内側孔に臨む部位によってリング状に確保されたスプリング受け面42cに当接されている。
前記スプリング53は、具体的には、クランプ部付きフェルール60の後側張出部65b、67bの段差面65c、67cとブロック部42のスプリング受け面42cとの間に介挿されている。そしてスプリング53は、前記ブロック部42に反力をとって、クランプ部付きフェルール60をユニット部ハウジング51Aに対して前方へ向かって弾性付勢している。
【0070】
クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67b後端は、ブロック部42(詳細にはリング状突起42b)から前側へ離隔した位置に配置される。このときの後側張出部65b、67b後端とブロック部42との間の離隔距離c2は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。このため、クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置に移動されたときに、ブロック部42から前側へ離隔した位置に配置され、ブロック部42に当接しない。
【0071】
なお、図10に示すように、前側移動限界位置にあるクランプ部付きフェルール60のフランジ部64とストップリング部41の胴部41e前端との間の離隔距離c1も、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対して前側移動限界位置と押し込み限界位置との間で前後動可能となっている。
また、図示例の光コネクタ10の上述の符号c1、c2の離隔距離は同じに揃えられている。クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)は、前記離隔距離c1、c2とほぼ同じ(僅かに短い)に設定してある。
【0072】
図4、図5に示すように、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の外周部の複数箇所(図示例では2箇所)にはキー溝64aが形成されている。図6、図10に示すように、クランプ部付きフェルール60は、フランジ部64のキー溝64aに、前側ハウジング30のプラグフレーム部35の前端部内面に突設されているキー35bを収納して、ユニット部ハウジング51Aに対して回り止めして組み込まれている。
【0073】
結合ユニット部50Aは、ストップリング部41の胴部41e内にスプリング53、及びクランプ部付きフェルール60のクランプ部63を挿入した構成の後部組立ユニットを組み立て、この後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35にその後側から押し込んで嵌合する組立方法を採用できる。この組立方法は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41eをプラグフレーム部35に嵌合させることで、ユニット部ハウジング51Aにクランプ部付きフェルール60及びスプリング53を収納した状態に結合ユニット部50Aを組み立てることができる。
【0074】
この組立方法の場合、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のうち、ストップリング部41の胴部前端から突出した部分を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。すなわち、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のフェルール61及びフランジ部64を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。
【0075】
なお、位置決めスリーブ52及びスペーサリング54は、例えば、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿した状態で、フェルール61とともに前側ハウジング30の貫通孔33に内挿する。但し、これに限定されず、貫通孔33に挿入しておいた位置決めスリーブ52及びスペーサリング54にクランプ部付きフェルール60のフェルール61を内挿しても良い。
【0076】
図4、図5に示すように、図示例のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64には、その後面64bから後側に突出する突起64c(以下、フランジ後部キーとも言う)が形成されている。クランプ部63をストップリング部41の胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60は、フランジ部64の前記フランジ後部キー64cを、前記胴部41eにその前端面41fから窪む切り欠き状に形成された回り止め凹部41c(図3参照)に挿入して、ストップリング部41に対する軸線回り方向の回転を規制(回り止め)する。これにより、プラグフレーム部35に胴部41eを挿入したストップリング部41のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整によって、クランプ部付きフェルール60のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整を行える。その結果、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35b(図6参照)を収納する作業を楽に行える。
【0077】
ストップリング部41は、胴部41eに形成された前記介挿片挿通孔41bを目印にして、プラグフレーム部35に対するその軸線回り方向の向きの調整を調整を行える。胴部41eにクランプ部付きフェルール60のクランプ部63が挿入されたストップリング部41は、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bのうち前側のものを、プラグフレーム部35の細長切り欠き部35cに連通する位置とすることで、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0078】
後側ハウジング40のプラグフレーム部35に対する嵌合は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41e前端外周の係合突起41a(図3参照)をプラグフレーム部35の係止孔35aに嵌め込むことで達成される。但し、胴部41eの係合突起41aのプラグフレーム部35の係止孔35aへの嵌め込みは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61の前側ハウジング30の貫通孔33への挿入、及びクランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bが挿入されないと実現できない。
【0079】
後側ハウジング40がプラグフレーム部35から離脱状態にあるとき、クランプ部63を胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部前端面41fからブロック部42とは反対の前方へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60のストップリング部41に対する押し込み限界位置は、胴部41e内のクランプ部63と後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されているスプリング53が圧縮限界に達する位置である。クランプ部付きフェルール60がストップリング部41に対する押し込み限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の後面64bは、胴部前端面41fに当接せず、胴部前端面41fから前方に離隔した位置に配置される。また、胴部41e前端の回り止め凹部41cは、前記押し込み限界位置に配置されたクランプ部付きフェルール60のフランジ部64の前記フランジ後部キー64cが、該回り止め凹部41c奥端(後端)の内面(奥底面41d)が当接せず、該奥底面41dから前側へ離隔して配置されるように、胴部前端面41fからの形成深さを調整してある。
【0080】
また、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の複数のフランジ後部キー64cのうち1以上は、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるように、フランジ部64の後面64bから後側への突出寸法を設定してある。
図示例の結合ユニット部50Aにおいては、フランジ部64の周方向に互いに離隔する2箇所に突設されたフランジ後部キー64cのフランジ部後面64bからの突出寸法を互いに異ならせてある。そして、前記結合ユニット部50Aは、フランジ部後面64bからの突出寸法が大きい方のフランジ後部キー64cのみ、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるようにしてある。
【0081】
図4、図5に示すように、前記フランジ後部キー64cは、フランジ部64の周方向の複数箇所(図示例では2箇所)に形成されている。図示例のクランプ部付きフェルール60のキー溝64aは、フランジ部64の前側面64dからフランジ後部キー64cにも切り込んで、フランジ部後面64bの後方にまで延在形成されている。
図6に示すように、キー溝64aは、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるときに、該キー溝64aに挿入されたプラグフレーム部35のキー35bが、前記フランジ後部キー64cの前記キー溝64a後側を塞ぐ部分に当接せず、該部分から前側に離隔して配置されるように、フランジ部64の前側面64dから後側への延在長を設定してある。
【0082】
図3、図15に示すように、図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、既述のように、後筒部20bの両側から前側に行くにしたがって後筒部20b外周面からの距離が増大するように突出する係止用弾性片20eを有する。係止用弾性片20eの先端(突端)は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向に一致する前後方向における中央部の当接突部25との間に隙間を介してその後側に離隔した位置に配置されている。
光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、例えば図16に示すように、その後筒部20bをコネクタ取付プレート5の片面(図15、図16においてコネクタ取付プレート5の左側の面。以下、表面5bとも言う)側から窓孔5aに押し込んで行くだけでコネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【0083】
図27に示すように、コネクタ取付プレート5の窓孔5aは、コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの軸線方向に垂直の断面外形と略一致(一致あるいは僅かに大きい)する寸法の長方形状に形成される。長方形状の窓孔5aの長手方向(図15、図16、図27において上下方向)の寸法は、嵌合ハウジング本体20fの両側の係止用弾性片20eの突端間の離隔距離よりも小さくする。
また、コネクタ取付プレート5の厚みは、コネクタ嵌合ハウジング20前後方向における当接突部25と係止用弾性片20e突端との間の距離と同じに揃えられている。
【0084】
コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bは、前記窓孔5aに向かって押し込んで行くと、コネクタ取付プレート5に当接した係止用弾性片20eが後筒部20b外周面に接近するように弾性変形する結果、窓孔5aに挿入、貫通させることができる。コネクタ嵌合ハウジング20は、後筒部20bをコネクタ取付プレート5の窓孔5aに挿入して貫通させ、コネクタ取付プレート5の表面5bに当接突部25を当接させると、係止用弾性片20eが前記窓孔5aを通過して元の状態に弾性復帰する。その結果、コネクタ嵌合ハウジング20は、図15に示すように、弾性復帰した係止用弾性片20e先端がコネクタ取付プレート5の裏面5cに当接し、コネクタ取付プレート5を当接突部25と係止用弾性片20eとの間に挟み込んで、コネクタ取付プレート5に取り付けられる。
【0085】
図16は、光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付けて組み立てられるコネクタ接続ユニット200の組立方法(以下、ユニット組立方法)の一例を示す。
図16に示すユニット組立方法は、コネクタ取付プレート5の裏面5c側から窓孔5aを介して表面5b側に引き出した光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てた後、組み立ての完了した光コネクタ10をコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付けるものである。
【0086】
図12に示すように、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、工具付き光コネクタ110を用いる。そして、まず、既述のように、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を、光コネクタ10(工具付き光コネクタ110)の結合ユニット部50Aの前記固定部材受け部43に押し込む。これにより、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、前記固定部材受け部43前側のブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図6参照)からユニット部ハウジング51A内に送り込んでいく。
【0087】
引留用固定部材120は、光ファイバケーブル1端末の外周を取り囲むようにして設けられ、該端末に固定、一体化されている。光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2は、光ファイバケーブル1端末と該端末に固定した引留用固定部材120とからなる固定部材付きケーブル端末1aから突出されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120からその後側へ光ファイバケーブル1が延出し、引留用固定部材120から前側へ光ファイバ2が突出する構成となっている。
ブロック部42のファイバ導入孔42a(図6参照)への光ファイバ2の送り込みは、固定部材付きケーブル端末1aを固定部材受け部43後方からブロック部42に接近させるように前進させ、固定部材受け部43に押し込んでいくことで実現される。
【0088】
図示例の後側ハウジング40のブロック部42には、その後端から前側へ向かってテーパ状に窪むテーパ状凹所42dが形成されている。ブロック部42のファイバ導入孔42aの後端は、テーパ状凹所42dの前端部(ブロック部42を後側から見たときの奥端部)に開口している。
テーパ状凹所42dは、固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2の先端をファイバ導入孔42aに導いてファイバ導入孔42aへの挿入を円滑にする機能を果たす。
【0089】
ここで、光ファイバ2としては、予め、先端に裸光ファイバ2aを口出ししたものを用いる。図6に示すように、ブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入した光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、ファイバ導入孔42a前端からスプリング53内側を介して、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63後端に開口する被覆部収納溝69b、69cに挿入される。また、光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、裸光ファイバ2aを被覆部収納溝69b、69cから前記クランプ部63の調心溝69aに挿入できる。この光コネクタ10は、光ファイバ2を、ブロック部42後側からファイバ導入孔42aに送り込んでいくだけで、裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0090】
図3、図12等に示すように、ブロック部42の前記固定部材受け部43は、ブロック部42から後方へ延出しコネクタ前後方向を長手方向とする細長板状の底板部43aの幅方向両側に、該底板部43aの長手方向に沿って延在する側板部43bを立設した、断面コ字形に形成されている。
ここで、光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入する作業を、図12に示すように、光コネクタ10を、固定部材受け部43の一対の側板部43bが底板部43a上に位置する向きとして行う場合について説明する。光コネクタ10について、図12、図14(a)、(b)において上側を上、下側を下として説明する。また、光コネクタ10、結合ユニット部50Aについて、後側ハウジング40の固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向を左右方向として説明する。
【0091】
図3、図12に示すように、図示例の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40には、固定部材付きケーブル端末1aの、固定部材受け部43後方からブロック部42に接近する前進を案内する挿入補助スライダ45が設けられている。この挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40の固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられている。
【0092】
また、後側ハウジング40には、固定部材受け部43に押し込んだ固定部材付きケーブル端末1aを引き留めて、固定部材受け部43から後側への脱落を規制する引き留めカバー46が設けられている。
光コネクタ10の結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aは、後側ハウジング40に前記挿入補助スライダ45及び前記引き留めカバー46を設けてなる後部ユニット44を有している。
【0093】
図3、図12、図14(a)に示すように、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられた細長形状のスライダ本体45aを有している。前記スライダ本体45aは、その長手方向を結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aにその前後方向に揃えて、固定部材受け部43の底板部43a上に重ね合わせて設けられ、底板部43a上を前後方向にスライド移動する。
【0094】
また、前記挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの後端部上に突設した押圧用突起45bを有している。この挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの前記押圧用突起45bから後側に延出する部分である載せ台部45c上に固定部材付きケーブル端末1aを載置できる。前記押圧用突起45bには、前記載せ台部45c上に載置した固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120前端(光ファイバケーブル1が延出する引留用固定部材120後端とは反対の側)を、押圧用突起45bの後側から当接できる。
【0095】
図14(a)に示すように、この挿入補助スライダ45のスライダ本体45aは、ブロック部42下部を前後に貫通するスライダ挿通孔47にその後側から挿入可能である。挿入補助スライダ45は、ブロック部42の後側に配置された前記押圧用突起45bが、ブロック部42におけるテーパ状凹所42dとスライダ挿通孔47との間の中間壁部42eの後端に当接する位置まで後側ハウジング40に対して前進可能である。挿入補助スライダ45は、前記押圧用突起45bが前記ブロック部42(具体的には中間壁部42e後端)にその後側から当接する位置が、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置となっている。
挿入補助スライダ45は、ユニット部ハウジング51Aに対して前記前側移動限界位置から後側へスライド移動可能であり、このスライド移動によって、前記押圧用突起45b及び載せ台部45cを前記ブロック部42から後側へ離隔した位置に配置できる。
【0096】
図示例の光コネクタ10にあっては、挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40(ユニット部ハウジング51A)に対する前側移動限界位置に配置したとき、スライダ本体45aの後端(載せ台部45c後端)の結合ユニット部50Aにおける前後方向の位置が、固定部材受け部43の底板部43a後端と概ね揃う。
挿入補助スライダ45を利用して光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく作業は、図12、図14(a)に示すように、挿入補助スライダ45を後側ハウジング40に対して前側移動限界位置から適宜後側にずれた位置に配置し、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する。そして、固定部材付きケーブル端末1aをブロック部42からの距離を縮めるように前進させ、光ファイバケーブル1端末から突出させておいた光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく。
【0097】
固定部材付きケーブル端末1aは引留用固定部材120前端によって押圧用突起45bを押圧しながら前進する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの前進に伴い、挿入補助スライダ45も後側ハウジング40に対して前進動する。
後述のように、固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45が後側ハウジング40に対する前側移動限界位置に達する前に、後側ハウジング40に対する前進限界位置に到達する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する際には、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120が前記前進限界位置よりも後方から挿入補助スライダ45の押圧用突起45bを押圧しながら前進を開始するように、挿入補助スライダ45をその前側移動限界位置から後側へのずれ量を確保した位置に配置する。
【0098】
図12に示すように、引留用固定部材120の両側に突設された案内用突部128が突設されている。図3に示すように、図示例の後側ハウジング30の固定部材受け部43の、両側の側板部43bの互いに対面する内面側には、引留用固定部材120の両側の案内用突部128が挿入される突部ガイド溝43dが前後方向に延在形成されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120の案内用突部128が前記突部ガイド溝43dの前端の段差面43e(図3、図6参照)に突き当たる位置が、後側ハウジング30に対する前進限界位置となっている。
【0099】
固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、挿入補助スライダ45は、押圧用突起45bが後側ハウジング40のブロック部42に当接する前側移動限界位置には到達しない。挿入補助スライダ45は、固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、押圧用突起45bが、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120とブロック部42との間にて後側ハウジング40に対して前後動可能に配置される。
【0100】
固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2は、固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときに、該光ファイバ2の先端に口出ししておいた裸光ファイバ2aの内蔵光ファイバ62後端に対する突き合わせ接続状態を確保できるように、光ファイバケーブル1端末から裸光ファイバ2a先端までの突出長を調整しておく。
【0101】
固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置したときに、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に延在する状態に配置できる。
前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aを前進させたとき、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43aとその両側の側板部43bとによって案内されながら前進する。その結果、固定部材付きケーブル端末1aは、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2がブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に位置する状態を保ったまま前進する。このため、挿入補助スライダ45を利用して行う、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業は、例えば固定部材付きケーブル端末1aの前進中に、光ファイバ2が前記ファイバ導入孔42aの軸線に対して大きく傾動して折損するといった不都合を防止でき、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業を円滑に行える。
【0102】
図13は、引留用固定部材120の具体例を示す。
ここでは、引留用固定部材120として、光ファイバケーブル1端末をその両側から把持して光ファイバケーブル1端末に固定して取り付けられる外被把持部材を用いている。以下、引留用固定部材120が外被把持部材を指す場合、引留用固定部材120を外被把持部材とも言う。
この外被把持部材120は、光ファイバケーブル1を嵌め込むケーブル嵌合溝122が形成された断面コ字形の把持ベース121と、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125の一方に枢着された押さえ蓋123とを有する。
【0103】
この外被把持部材120は、把持ベース121の一対の側壁部125の互いに対向する面に複数突設した把持用突起125cを、ケーブル嵌合溝122に嵌め込まれた光ファイバケーブル1の外被3に食い込ませて、一対の側壁部125の間に光ファイバケーブル1を把持固定できる。把持ベース121は、底壁部124の片面側に突設された一対の側壁部125の間に前記ケーブル嵌合溝122が確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝122の溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝122を介して両側の側壁部125の間隔方向を指す。なお、図示例の外被把持部材120の把持用突起125cは、ケーブル嵌合溝122の深さ方向に延在する断面三角形状の突条に形成されている。
【0104】
そして、この外被把持部材120は、前記押さえ蓋123が他方の側壁部125から離隔する開放状態にて把持ベース121を光ファイバケーブル1端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋123を把持ベース121の一対の側壁部125の底壁部124とは反対側の端部間におけるケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋123を他方の側壁部125に係止して、光ファイバケーブル1端末に取り付けられる。
【0105】
図示例の外被把持部材120はプラスチック製の一体成形品である。前記押さえ蓋123は、一対の側壁部125の一方(以下、第1側壁部とも言う。図中符号125aを付記する)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部126を介して繋がっている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126によって、前記ケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース121の第1側壁部125aに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース121の一対の側壁部125の他方について、以下、第2側壁部125bとも言う。
【0106】
図示例の外被把持部材120の押さえ蓋123はL字板状に形成されている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126を介して把持ベース121の第1側壁部125aに枢着されている天板部123aと、この天板部123aの前記薄肉部126とは反対側の端部から該天板部123aに垂直に形成された係止板部123bとを有する。この押さえ蓋123は、前記天板部123aを把持ベース121の一対の側壁部125の突端に当接してケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、前記係止板部123bを把持ベース121の第2側壁部125bのケーブル嵌合溝122とは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋123は、前記係止板部123bに形成されている係止用窓孔123cに、把持ベース121の第2側壁部125b外面に突設されている係止用爪125dを入り込ませることで把持ベース121に係止され、把持ベース121に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0107】
図示例の外被把持部材120(引留用固定部材)は、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部127を有している。一対の前側突壁部127は、把持ベース121の両側の側壁部125a、125bから、該側壁部125a、125bを把持ベース121前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。以下、外被把持部材120について、前記前側突壁部127の側を前、反対側を後として説明する。
【0108】
図示例の外被把持部材120の一対の前側突壁部127には、後側ハウジング30の固定部材受け部43(図3参照)の両側の側板部43bに前後方向に延在形成された突部ガイド溝43dに挿入される案内用突部128が突設されている。前側突壁部127において、前記案内用突部128は、一対の前側突壁部127の互いに対面する内面側とは反対の外面側に突設されている。
【0109】
なお、外被把持部材としては、図示例の構成に限定されない。外被把持部材としては、例えば、押さえ蓋を、前記係止板部123bを省略し、前記天板部123aに、把持ベース121の第2側壁部125bの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋に変更した構成等も採用可能である。また、外被把持部材としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部材としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
引留用固定部材としては、外被把持部材に限定されず、例えば光ファイバケーブル1端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0110】
図12に示すように、引留用固定部材として前記外被把持部材120を用いて構成した固定部材付きケーブル端末1aは、その光ファイバケーブル1端末から突出する挿入光ファイバ2を結合ユニット部50Aのブロック部42のファイバ導入孔42aに送り込んでいく作業において、外被把持部材120の前側突壁部127が前側(ブロック部42側)となる向きで、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置する。固定部材付きケーブル端末1aは、外被把持部材120の前後方向(把持ベース121前後方向)を結合ユニット部50Aの前後方向に揃えて載せ台部45c上に載置する。
【0111】
挿入補助スライダ45の押圧用突起45bは、細長板状のスライダ本体45aの幅方向(結合ユニット部50Aの左右方向と一致)両側に突設されている。スライダ本体45a上に突設された一対の押圧用突起45bは、外被把持部材120の一対の前側突壁部127の間隔に応じた間隔で、スライダ本体45aの幅方向に互いに離隔して設けられている。固定部材付きケーブル端末1aは、載せ台部45c上に載置して前進(ブロック部42からの距離を縮める)させたときに、外被把持部材120の前記前側突壁部127の前端によって、挿入補助スライダ45の一対の押圧用突起45bを押圧する。
固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときには、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続された状態となる。
【0112】
光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、まず、前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aをユニット部ハウジング51A(具体的には後側ハウジング40)に対する前進限界位置まで前進させる。これにより、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aからクランプ部付きフェルール60の被覆部収納溝69b、69cを介して調心溝69aに送り込み、光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aを内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する。
固定部材付きケーブル端末1aは、前進によって、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその前側のブロック部42に向かって押し込まれ、前進限界位置に到達したときには固定部材受け部43内側に収納される。
【0113】
次いで、後側ハウジング40に枢着されている引き留めカバー46(後述)の後側ハウジング40に対する回動操作によって、固定部材受け部43内側の固定部材付きケーブル端末1aにその上側から引き留めカバー46を被せる(図1、図2参照)。これにより、図14(a)仮想線に示すように、引き留めカバー46に設けられている後退規制片46f(後述)を、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120(図示例では外被把持部材)の後端に当接させ、固定部材付きケーブル端末1aの前進限界位置からの後退を規制する。その結果、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を保つ。
【0114】
次に、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から、該クランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿されている介挿片81、82を抜き去る。
その結果、クランプ部付きフェルール60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と前蓋部材66との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定され、後側延出片65と後蓋部材67との間に光ファイバ2の被覆2b付き部分(被覆部)が把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0115】
前蓋部材66には、後側延出片65の対向面65aに対面する平坦な対向面66aが形成されている。クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間から介挿片81、82を抜き去ると、前蓋部材66は、平坦な対向面66aによって、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、該後側突出部62aの後端に突き合わせた挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを調心溝69aに押し付けて後側延出片65との間に把持固定する。これにより、挿入光ファイバ2の裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に対して高い調心精度を以て突き合わせ接続した状態を保つことができる。
【0116】
クランプ部付きフェルール60のクランプ部63に挿入光ファイバ2を把持固定することで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが完了する。
【0117】
図3、図12に示すように、引き留めカバー46は、後側ハウジング40の固定部材受け部43に押し込まれた固定部材付きケーブル端末1a上に配置される天板部46aの両側に細長板状のカバー側板部46bを設けた構成のカバー本体46Hを有している。天板部46aの両側のカバー側板部46bは、天板部46aの片面46c側に天板部46aに対して垂直に突設され、前記片面46cに沿う方向を長手方向として互いに平行に延在している。
【0118】
また、天板部46aの両側に設けられた一対のカバー側板部46bは、その長手方向片端側が前記天板部46aから突出されている。
引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの前記天板部46aから突出された先端部を、回動軸41g(図1、図12参照)によって、後側ハウジング40にその左右方向(固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向)の回動軸線を以て回動可能に枢着してハウジング100Hに設けられている。
【0119】
カバー側板部46bの、回動軸41gによって後側ハウジング40に枢着された先端部を、以下、枢着端部とも言う。
図示例の結合ユニット部50Aにおいて、前記回動軸41gは、後側ハウジング40の左右方向両側、より具体的にはブロック部42の左右方向両側に突起状に突設されている。引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの枢着端部をその板厚方向に貫通して形成した軸挿入孔46eに嵌め込まれた前記回動軸41gを中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着されている。
【0120】
なお、引き留めカバー46の後側ハウジング40に対する枢着構造としては、図示例の構造に限定されない。前記枢着構造としては、例えば、一対のカバー側板部46bの枢着端部の互いに対面する側に突設した軸部を、後側ハウジング40のブロック部42の左右両側に穿設した軸挿入穴に挿入し、引き留めカバー46を、前記軸部を中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着した構成等も採用可能である。
【0121】
図1、図14(a)、(b)に示すように、引き留めカバー46は、回転軸46dから延出するカバー本体46Hの回転軸46dとは反対側(以下、延出端側とも言う)に、前記後退規制片46fを有する構成となっている。
この引き留めカバー46は、その延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔して配置された状態から、前記回動軸41gを中心とする回動によって、固定部材受け部43にその上側から被せることができる。このときの引き留めカバー46の固定部材受け部43に対する位置を被せ位置(図1実線、図14(a)、(b)仮想線参照)とも言う。
【0122】
後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から固定部材付きケーブル端末1aを押し込む作業は、引き留めカバー46を、固定部材付きケーブル端末1aの押し込み作業の障害になることを回避するべく、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から充分に離隔させ、固定部材受け部43に対して開放した状態で行う。そして、引き留めカバー46は、固定部材受け部43に固定部材付きケーブル端末1aを押し込んだ後、前記回動軸41gを中心とする回動によって前記被せ位置に配置する。
【0123】
引き留めカバー46は、固定部材受け部43に対して被せ位置に配置したときに、天板部46aが固定部材受け部43の底板部43aに沿う向きとなる。また、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、天板部46aの片面46c(以下、内面とも言う)側にリブ状に張り出す一対のカバー側板部46bの間に、固定部材受け部43の底板部43aから突出する一対の側板部43bを収納する。
【0124】
図14(b)仮想線に示すように、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、その天板部46aの内面46cが固定部材受け部43の一対の側板部43bの底板部43aとは反対側の端部(上端)に当接する。また、この引き留めカバー46は、被せ位置に配置したときに、両側のカバー側板部46bに形成されている係止用窓46gに、固定部材受け部43の一対の側板部43bの外面(一対の側板部43bの互いに対面する内面とは反対の面)側に突設された係止突起43cが入り込んで固定部材受け部43に対して被せ位置に係止される。これにより、引き留めカバー46は、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔する方向への回動が規制され、固定部材受け部43に対して被せ位置にある状態が安定に保たれる。
【0125】
図1実線、図14(a)、(b)仮想線に示すように、引き留めカバー46は、前記被せ位置に配置したときに、後退規制片46fを、後側ハウジング40に対する前側移動限界位置にある引留用固定部材120の後側に配置して引留用固定部材120に当接させることができる。
引き留めカバー46のカバー本体46Hは、一対のカバー側板部46bと天板部46aとによって構成されて断面コ字状で延在するコ字形カバー部46dを有する。カバー本体46Hの延出端側の端部はコ字形カバー部46dによって構成されている。
【0126】
図示例の引き留めカバー46において、後退規制片46fは、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿って突設されたリブ状の突部であり、門形に形成されている。この後退規制片46fは、引き留めカバー46を被せ位置に配置したときに、引留用固定部材120から後方に延出する光ファイバケーブル1を避けて、固定部材受け部43の左右方向に一致する引留用固定部材120の左右両側の壁部の後側に配置され当接される。この結果、引き留めカバー46によって、固定部材付きケーブル端末1aを光コネクタ10に対して引き留めることができる。
なお、光ファイバケーブル1は、門形の後退規制片46fの内側のケーブル挿通凹部46kに通され、引き留めカバー46から後側に延出した状態となる。
【0127】
後退規制片46fとしては、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿う門形の形状に限定されない。後退規制片としては、例えば、カバー本体46Hの一対のカバー側板部46bの延出端側の端部の互いに対面する内面側のみに突設し、天板部46aからの突設を省略した構成等も採用可能である。
【0128】
なお、引留用固定部材120を結合ユニット部50Aに引き留めて前進限界位置に保持する引き留め手段としては、上述の引き留めカバーに限定されない。前記引き留め手段としては、例えば、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から押し込まれた固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120に係合する弾性爪等も採用可能である。
【0129】
光ファイバケーブル1端末に組み立てた光コネクタ10がコネクタ取付プレート5に取り付けられた構成のコネクタ接続ユニット200(図15参照)の組み立て方法としては、例えば、以下の3通りを挙げることができる。
【0130】
第1の組立方法は、例えば図16に示すように、まず、コネクタ取付プレート5の窓孔5aを介して該コネクタ取付プレート5の裏面5c側から表面5b側へ引き出した光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てる。次いで、光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bをコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付け、光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付けた状態とし、図15に示すようにコネクタ接続ユニット200を組み立てるものである。
【0131】
第2の組立方法は、例えば図17に示すように、まず、光ファイバケーブル1端末に組み立て前の光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付ける。光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、その後筒部20bをコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付ける。また、光コネクタ10は、結合ユニット部50Aの後側ハウジング40(図示例の光コネクタ10にあっては後部ユニット44)をコネクタ取付プレート5の裏面5c側に突出させておく。次いで、この光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から、光ファイバケーブル1端末に引留用固定部材120を取り付けて構成した固定部材付きケーブル端末1aを押し込んで、光ファイバケーブル1端末に露出させておいた挿入光ファイバ2を光コネクタ10の内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続し、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てる。光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立て完了によって、コネクタ接続ユニット200を組み立てることができる。
【0132】
第3の組立方法は、図18に示すように、まず、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10の結合ユニット部50Aを組み立て(組み付け)る。結合ユニット部50Aは、光コネクタ10からコネクタ嵌合ハウジング20を省略した構成であり、光ファイバケーブル1端末への結合ユニット部50Aの組み立ては、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てと同様に行うことができる。次いで、光ファイバケーブル1端末に組み立てた結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を、コネクタ取付プレート5に取り付けておいたコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20b側からハウジング貫通孔26に押し込み、ベース部31をネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させ、一体化する。これにより、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10が組み立てられた状態となり、その結果、光ファイバケーブル1端末に組み立てられた光コネクタ10がコネクタ取付プレート5に取り付けられた構成のコネクタ接続ユニット200が組み立てられる。
【0133】
第3の組立方法では、光ファイバケーブル1端末に組み立てた結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に後筒部20b側から押し込んでコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させることで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが実現される。
第1の組立方法における、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、例えば、コネクタ嵌合ハウジング20に結合ユニット部50Aが組み付けられた構成の光コネクタ10を用い、この光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる。但し、第1の組立方法は、光ファイバケーブル1端末に結合ユニット部50Aを組み立てた後、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させる手順で、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てを行っても良い。
【0134】
結合ユニット部50Aの前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に後筒部20b側から押し込んで行くことでコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させることができる。
図8(a)〜(d)に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の後筒部20bに位置する部分の内面には、前記コネクタ嵌合ハウジング20に挿入、嵌合した前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向(コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向)の移動を規制する係止手段として、係止突部27とストッパ突部28とが突設されている。係止突部27とストッパ突部28とは、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向に位置をずらして突設され、前記係止突部27が前記ストッパ突部28の後側に位置している。
【0135】
図8(a)〜(d)に示すように、前記係止突部27は、前側(ハウジング貫通孔26の前筒部20a側開口部の側)へ行くにしたがってハウジング貫通孔26内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成された突起である。
一方、ストッパ突部28の後側の面は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線に垂直に形成されている。
【0136】
図3、図6、図10に示すように、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30のベース部31には、その前後方向に互いに離隔する2箇所の外周に、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26内面に当接する孔内面当接突部31a、31bが周設されている。前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に押し込んで嵌合したときに、ベース部31の外周全周にわたって延在する孔内面当接突部31a、31bが、その延在方向全長にわたってハウジング貫通孔26内面に当接して、ハウジング貫通孔26内に位置決めして設けられる。
【0137】
前側ハウジング30のベース部31の前後方向の2箇所の孔内面当接突部31a、31bのうち、前側に位置する孔内面当接突部31aは、前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入したときに前記係止突部27を乗り越えて、係止突部27とストッパ突部28との間に入り込む(図10参照)。これにより、前記孔内面当接突部31aは、ハウジング貫通孔26内面のうち係止突部27とストッパ突部28との間に位置する部分に当接するとともに、係止突部27とストッパ突部28とによってコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。
このとき、孔内面当接突部31aの後側の孔内面当接突部31bは、コネクタ嵌合ハウジング20前後方向において係止突部27の後側に位置してハウジング貫通孔26内面に当接する。その結果、前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20に対してその前後方向の移動を規制して嵌合、固定される。
【0138】
前側ハウジング30のベース部31の前後方向の2箇所の孔内面当接突部31a、31bのうち、前側に位置する孔内面当接突部31aを、以下、固定用突部31aとも言う。
図3、図10に示すように、前記固定用突部31aは、その延在方向に垂直の断面が矩形であり、前後両側が、前側ハウジング30の前後方向に垂直の面に形成されている。
【0139】
図10に示すように、係止突部27の前側は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線に垂直の面となっている。係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aは、係止突部27にその前側から当接することで、コネクタ嵌合ハウジング20に対する後方への移動が規制される。係止突部27は、該係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aに係合して、固定用突部31aのコネクタ嵌合ハウジング20に対する後方への移動を規制する。
【0140】
一方、ストッパ突部28は、係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aの、コネクタ嵌合ハウジング20に対する前方への移動を規制する。
また、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向における係止突部27とストッパ突部28との間の離隔距離は、係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aのコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動を規制するべく、前側ハウジング30の前後方向における固定用突部31aの寸法(厚み寸法)と合致させてある。
【0141】
このため、係止突部27を乗り越えて該係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aは、係止突部27とストッパ突部28とによって前後から挟み込まれるようにして保持され、コネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。その結果、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入した前側ハウジング30のベース部31が、コネクタ嵌合ハウジング20に対して嵌合、固定され、コネクタ嵌合ハウジング20に一体化される。コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入した前側ハウジング30は、ベース部31がコネクタ嵌合ハウジング20に一体化することで、コネクタ嵌合ハウジング20に組み付けられる。
【0142】
図3、図8(a)〜(d)に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20の前記係止突部27は、前記コネクタ嵌合ハウジング20の一対の主壁部21、22のハウジング貫通孔26に臨む内面側にそれぞれ突設されている。
【0143】
コネクタ嵌合ハウジング20の前記主壁部21、22の後筒部20bに位置する部分には、それぞれ、前後方向に延在する一対の長孔29aが形成されている。前記係止突部27は、主壁部21、22における一対の長孔29aの間に位置する部位である弾性壁部29に突設されている。
前記長孔29aは、その延在方向両端のいずれも、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向の端面に達していない。長孔29aの延在方向両端は、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向の端面から離隔した所に位置する。
【0144】
前記弾性壁部29は、図示例の構成(以下、両持ち形弾性壁部とも言う)に限定されない。弾性壁部としては、主壁部21、22の後筒部20bに位置する部分において、コネクタ嵌合ハウジング20の後端面(後筒部20b側の端面)から前端面に向かって互いに平行に延在形成したスリット状の一対の切り込み部の間に位置する部位(以下、片持ち形弾性壁部とも言う)であっても良い。
【0145】
片持ち形弾性壁部は、コネクタ嵌合ハウジング20の後端面の一部を形成する後端部を、ハウジング貫通孔26軸線から離隔させる方向に変位操作することで弾性変形させることができる。これにより、係止突部27とストッパ突部28との間に保持された固定用突部31aに対する係止突部27の係合を解除可能とすることができる。コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの両側の主壁部21、22に形成した片持ち形弾性壁部の内面側に係止突部27を突設した構成は、片持ち形弾性壁部の後端部の操作によって、固定用突部31aに対する係止突部27の係合を解除できる。このため、コネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合固定状態の前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20からの抜き去りが可能である。
【0146】
一方、後筒部20bの両側の主壁部21、22に形成した両持ち形弾性壁部29の内面側に係止突部27を突設した構成のコネクタ嵌合ハウジング20は、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を嵌合した後では、弾性壁部29を外力を与えて弾性変形させることが容易でない。すなわち、弾性壁部29は、コネクタ嵌合ハウジング20に前側ハウジング30を嵌合した後は、外力の作用に対して弾性変形しにくい。このため、両持ち形弾性壁部29を採用したコネクタ嵌合ハウジング20は、片持ち形弾性壁部を採用した構成に比べて、固定用突部31aに対する係止突部27の係合状態を安定に保つことができる。
【0147】
なお、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の後筒部20bに位置する部分の内面に突設する係止突部27の突設位置、突設数は、図示例に限定されない。
後筒部20b内面に突設する係止突部27は、少なくとも1以上であれば良い。また、係止突部27の突設位置は、コネクタ嵌合ハウジング20の主壁部に限定されず、側壁部であっても良く、主壁部と側壁部の両方であっても良い。
係止突部27は、コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bに設けた両持ち形弾性壁部又は片持ち形弾性壁部に突設することが好ましい。
【0148】
図6、図11等に示すように、前記光コネクタ10は、挿入光コネクタ90を挿入可能な光コネクタ挿入穴11a(以下、コネクタ穴とも言う)を有し、このコネクタ穴11aに挿入して嵌合した挿入光コネクタ90と直接接続できる。前記コネクタ穴11aに挿入して嵌合した挿入光コネクタ90のフェルール93は、前側ハウジング30のフェルール挿入孔33に収納された位置決めスリーブ52内にてクランプ部付きフェルール60のフェルール61に突き合わせ(接合端面61b、93a同士の突き合わせ)ることができる。そして、前記光コネクタ10は、位置決めスリーブ52内でのフェルール61、93同士の突き合わせによって、光ファイバ2、94同士のコネクタ接続(光接続)を実現できる。
【0149】
前記光コネクタ10は、コネクタ嵌合ハウジング20に一体的に設けられた前側ハウジング30と、この前側ハウジング30から後側に延出するプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けた後側ハウジング40とからなるユニット部ハウジング51A内にクランプ部付きフェルール60を収納する構成である。プラグフレーム部35を有する前側ハウジング30の前側には、位置決めスリーブ52を収納する突筒部32、及び前記挿入光コネクタ90に係合する爪付き係合片34が突設されている。すなわち、挿入光コネクタ90に係合する爪付き係合片34及び突筒部32は、フェルール61を収納する結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aの前側ハウジング30に突設されている。
このため、この光コネクタ10と、コネクタ嵌合部11(図6、図11参照)のコネクタ穴11aに挿入される挿入光コネクタ90との接続は、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式に比べて、少ない部品点数で実現でき、低コスト化も容易に実現できる。
【0150】
図28は、コネクタ接続ユニット200を上下多段に設けた光配線盤300を示す。
前記光配線盤300は、コネクタ接続ユニット200を支持するためのユニット支持体310を有する。ユニット支持体310は、基台311上に支柱312を立設した構成になっている。
各コネクタ接続ユニット200は、コネクタ取付プレート5をユニット支持体310の支柱312に取り付ける取付用部材5dを有している。取付用部材5dはコネクタ取付プレート5に固定されている。コネクタ接続ユニット200は、取付用部材5dをユニット支持体310の支柱312に固定してユニット支持体310に取り付けられている。コネクタ接続ユニット200は、コネクタ取付プレート5が取付用部材5d上に立設状態となる姿勢で、ユニット支持体310に取り付けられる。
【0151】
図28に例示した光配線盤300に設けられるコネクタ接続ユニット200としては、例えば、図27に示すように、コネクタ取付用の窓孔5a(コネクタ挿入用窓孔)が横並びに複数形成されたコネクタ取付プレート5を用いた構成を採用できる。そして、このコネクタ接続ユニット200としては、前記窓孔5aを利用して前記コネクタ取付プレート5に光コネクタ10が横並びに複数取り付けられた構成のものを好適に用いることができる。
なお、光配線盤としては、ユニット支持体に複数のコネクタ接続ユニット200を取り付けた構成であれば良く、必ずしもコネクタ接続ユニット200が上下多段に設けられた構成のものに限定されない。ユニット支持体としては、複数のコネクタ接続ユニット200の配置に対応して適宜設計変更できる。
【0152】
光コネクタの結合ユニット部50は、コネクタ嵌合ハウジング20に一体的に設けられる前側ハウジング30と、この前側ハウジング30に取り付けた後側ハウジング40とからなるユニット部ハウジング51内にフェルールを収納する構成であれば良く、図1〜図19を参照して説明した構成に限定されない。
結合ユニット部としては、例えば、図20〜図23に示す結合ユニット部50B、図24〜図26に示す結合ユニット部50Cも採用可能である。
【0153】
図20〜図22に示す結合ユニット部50Bは、光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバである光ファイバ7の先端部に組み立て(取り付け)られるものである。
この結合ユニット部50Bは、既述の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後部ユニット44にかえて、スリーブ状のストップリング55を採用したものである。この結合ユニット部50Bは、後部ユニット44にかえて前記ストップリング55を採用した点のみが既述の結合ユニット部50Aと異なる。
【0154】
この結合ユニット部50Bは、既述の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの前側ハウジング30と、前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング55とからなるユニット部ハウジング51B内に、クランプ部付きフェルール60とスプリング53とを収納した構成になっている。
この結合ユニット部50Bは、光ファイバケーブル1端末に組み立てるものではなく、光ファイバケーブル1端末を引き留めるための引き留め手段を具備していない。
ここで用いる光ファイバ7としては、例えば、その全長にわたってケーブル化された部分が存在せず全長にわたって裸光ファイバ外周を覆う被覆が外周面(側面)を形成する構成、あるいは長手方向の一部に裸光ファイバが露出した部分が確保されている以外は全長にわたって裸光ファイバ外周を被覆が覆う構成のものである。
【0155】
前記ストップリング55は円筒状に形成されている。ストップリング55は、その前端部を、前側ハウジング30から後側に延出するプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けることができる。ストップリング55は、前端部をプラグフレーム部35にその後端から内挿し、前記前端部の両側に突設されている係合突起55c(図22参照)をプラグフレーム部35後端部の両側に形成されている係止孔35aに入り込ませることでプラグフレーム部35に嵌合する。
【0156】
ストップリング55の軸線方向の複数箇所(図示例では2箇所)には、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿する介挿片51、52を通すための介挿片挿通孔55aが形成されている。
この結合ユニット部50Bを採用した光コネクタは、現場組立形光コネクタである。この光コネクタの結合ユニット部50Bの光ファイバ7先端部への組み立て(取り付け)は、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片51、52を介挿した状態(介挿片付きユニット部の状態)で、ストップリング55後端の光ファイバ挿入口55bから光ファイバ7を挿入する。そして、光ファイバ7(挿入光ファイバ)先端に予め口出ししておいた裸光ファイバ7a(図22参照)を内蔵光ファイバ62後端に突き当てた状態(突き合わせ接続した状態)で、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から介挿片51、52を抜き去り、クランプ部63に光ファイバ7先端部を内蔵光ファイバ62(図4、図6参照)の後側突出部62aとともに把持固定する。
【0157】
図24、図25に示す結合ユニット部50Cは、既述の結合ユニット部50Aの前側ハウジング30と、この前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング56とからなるユニット部ハウジング51C内に、光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバである光ファイバ7の先端部に取り付けたフェルール57(内蔵フェルール)と、このフェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58(コイルスプリング)とを収納した構成になっている。
この結合ユニット部50Cは、光ファイバ7の先端部に組み立てられている。
光ファイバ7は、ストップリング56後端の後端開口部56aから延出されている。
【0158】
図26に示すように、前記フェルール57は、単心光コネクタ用のフェルールであり、ファイバ孔57aが貫通するキャピラリ状のフェルール本体57fにフランジ部品57gを固定したものである。フランジ部品57gは、フェルール本体57f前端の突き合わせ接合用の接合端面57bとは反対の後端部に固定されたリング状のフランジ部57hに、フェルール本体57f後端から後側へ延出するスリーブ部57iが突設された構成となっている。
フェルール57のファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在し、フェルール後端面、すなわちフランジ部品57hのスリーブ部57iの後端面に達している。このフェルール57には、前記ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部が内挿固定されている。ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部は、例えば、ファイバ孔57aに充填された接着剤による接着固定などによってフェルール57に固定される。
【0159】
図26に示すように、前記ファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在する微細孔である位置決め孔部57cを有する。このファイバ孔57aの位置決め孔部57c後端から後側の部分は、位置決め孔部57cに比べて径大に形成された被覆部収納孔部57dとされている。被覆部収納孔部57dは、位置決め孔部57c後端から後側へ延在しフェルール後端面に達している。
フェルール57には、ファイバ孔57aの位置決め孔部57cに、光ファイバ7の先端に口出しされた裸光ファイバ7aが内挿固定され、被覆部収納孔部57dに光ファイバ7の裸光ファイバ7aから後側の被覆7b付き部分である被覆部が内挿固定されている。
【0160】
本発明に係る実施形態の光コネクタは、挿入光コネクタ90が先端に取り付けられている光ファイバ94に対してコネクタ接続する光ファイバ7、光ファイバケーブル1といった光伝送体の構成に応じて、結合ユニット部50の構成を適宜選択できる。
【0161】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0162】
例えば、コネクタ嵌合ハウジングとしては、嵌合ハウジング本体20fから突出する係止用弾性片20eを含む全体が一体成形されたプラスチック製の一体成形品に限定されない。
コネクタ嵌合ハウジングとしては、例えば、図29、図30に示すように、既述のコネクタ嵌合ハウジング20から係止用弾性片20eを省略したプラスチック製の一体成形品とした構成のもの(コネクタ嵌合ハウジング20A)も採用可能である。
【0163】
図29、図30に例示したコネクタ嵌合ハウジング20Aは、既述のコネクタ嵌合ハウジング20から係止用弾性片20eを省略し、嵌合ハウジング本体20fの外筒部20b外周面に、コネクタ取付プレート5に対する取り付け用の金属板6を装着するための金属板装着凹所20cを形成したものである。このコネクタ嵌合ハウジング20Aの前筒部20a、後筒部20b、キー挿入用切り欠き20d、主板部21、22、側板部23、24、当接突部25、ハウジング貫通孔26については、図中、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと共通の符号を付記する。
【0164】
このコネクタ嵌合ハウジング20Aは、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fの外筒部20b外周面に前記金属板装着凹所20cを形成した構成の嵌合ハウジング本体20gを有する。この嵌合ハウジング本体20gは、係止用弾性片20eを省略し、前記金属板装着凹所20cを形成した点のみが、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと異なる。この嵌合ハウジング本体20gにも、係止突部27、ストッパ突部28、弾性壁部29、長孔29aが既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと同様に形成されている。この嵌合ハウジング本体20gの内側構造は、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと同じである。
【0165】
図29、図30に示すように、前記金属板6はコ字板状に形成されている。この金属板6は、角筒状の後筒部20b外周の4面の側面を形成する主壁部21、22及び側壁部23、24のうち、一対の主壁部21、22の片方(図示例では符号21の主壁部)と、その両側の側壁部23、24とに重ね合わせて後筒部20bに装着される。この金属板6は、主壁部21に重ね合わされる主板部6aの両側に、側壁部23、24に重ね合わされる立設板部6bを立設した構成となっている。主板部6aの両側の立設板部6bは、主板部6aに対して垂直に形成されている。
【0166】
嵌合ハウジング本体20gの金属板装着凹所20cは、後筒部20b外周に金属板6外形と一致する形状の溝状に形成されている。この金属板装着凹所20cは、その深さを金属板6の板厚に概ね揃えた浅溝状に形成されている。金属板6の一対の立設板部6bは、該金属板6を嵌合ハウジング本体20g外周に装着したときの嵌合ハウジング本体20g前後方向に一致する方向である前後方向において、主板部6aの両側に張り出す大きさに形成されている。金属板6は、後筒部20b外周に該金属板6外形に合致する形状に形成された金属板装着凹所20cに嵌め込むだけで、後筒部20bに対して位置ずれを規制して装着した状態を安定に維持できる。金属板6は、後筒部20bに対して、その前後方向をコネクタ嵌合ハウジング20の前後方向に一致させて装着される。
なお、金属板6としては、立設板部6bが、該金属板6の前後方向において主板部6aの両側に張り出す構成に限定されず、主板部6aの前後方向片側のみに張り出す構成のものも採用可能である。
【0167】
金属板6の係止用弾性片6cは、立設板部6bの後端部から前側に行くにしたがって、立設板部6bから、一対の立設板部6bの互いに対向する内面側とは反対の外面側に離隔距離が増大するように、立設板部6bに対して傾斜して突出する舌片状の突片である。金属板6は、立設板部6bから突出する係止用弾性片6cの突端側が前側、基端側が後側となる向きで、嵌合ハウジング本体20gの後筒部20b外周に装着される。
嵌合ハウジング本体20gの後筒部20b外周に装着した金属板6の係止用弾性片6cは、コネクタ嵌合ハウジング20Aの前筒部20a側に行くにしたがって後筒部20b外周面からの離隔距離が増大するように、後筒部20b外周面に対して傾斜して立設板部6bから突出する。この係止用弾性片6cの先端(突端)は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向に一致する前後方向における中央部の当接突部25との間に隙間を介してその後側に離隔した位置に配置される。
金属板6を装着したコネクタ嵌合ハウジング20Aは、コネクタ取付プレート5の窓孔5aに後筒部20bを挿入し、金属板6の係止用弾性片6cの突端と当接突部25との間にコネクタ取付プレート5を挟み込むことで、コネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0168】
1…光ファイバケーブル、2…光ファイバ(挿入光ファイバ)、7…光ファイバ(挿入光ファイバ)、10…光コネクタ、11a…光コネクタ挿入穴(コネクタ穴)、20…コネクタ嵌合ハウジング、26a…前側ハウジング挿入穴、30…前側ハウジング、40…後側ハウジング、31…ベース部、32…突筒部、33…フェルール挿入孔(貫通孔)、34…爪付き係合爪、35…プラグフレーム部、40…後側ハウジング、41…ストップリング(ストップリング部)、50、50A、50B…結合ユニット部、51、51A、51B、50C…ユニット部ハウジング、52…位置決めスリーブ(割スリーブ)、53…スプリング、55…ストップリング、56…ストップリング、57…内蔵フェルール(フェルール)、58…スプリング、60…クランプ部付きフェルール、61…内蔵フェルール(フェルール、フェルール本体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ、コネクタ接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタとしては、例えばSC形光コネクタ(JIS C5973に制定されるF04形光コネクタ。SC:Single fiberCoupling optical fiber connector)のように、プラグ−アダプタ−プラグ方式で結合して、光ファイバ同士のコネクタ接続に用いられるものが広く提供されている。
この結合方式の光コネクタ(プラグ)は、フェルールをスリーブ状のハウジングに収納した構造が一般的であり(例えば特許文献1)、アダプタに挿入したときに、前記ハウジングがアダプタ内の係合爪と係脱可能に係合してアダプタに嵌合する。そして、この光コネクタは、アダプタにその両側からそれぞれ挿入して嵌合し、アダプタ内にて互いに突き合わせることで、結合できる。また、アダプタに嵌合状態の光コネクタは、そのハウジングに対するアダプタの係合爪の係合を解除することで、アダプタから抜き去ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アダプタを用いた光コネクタ同士の結合、結合解除は、アダプタの一方の側に光コネクタを嵌合したまま、アダプタの他方の側でのコネクタ操作(アダプタに対する光コネクタの挿脱)のみによって行う方式が多く採られている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光コネクタ(光コネクタプラグ)との接続(結合)を、低コストで実現する光コネクタ、コネクタ接続ユニットの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光コネクタ挿入穴が前側に開口するコネクタ嵌合ハウジングと、該コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールが、前記位置決めスリーブに挿入され位置決めされて前記内蔵フェルールに突き合わされる光コネクタを提供する。
第2の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴に連通する前側ハウジング挿入穴を有し、前記前側ハウジングを前記前側ハウジング挿入穴に挿入して前記ベース部と前記コネクタ嵌合ハウジングとを嵌合させることによって前記結合ユニット部を前記コネクタ嵌合ハウジングに取り付ける第1の発明の光コネクタを提供する。
第3の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記前側ハウジング挿入穴に挿入された前記前側ハウジングと係合して、該前側ハウジングの前記コネクタ嵌合ハウジングに対する前後方向の移動を規制する係止手段を有し、前記係止手段は、前側へ行くにしたがって前記前側ハウジング挿入穴内面からの突出寸法が増大するテーパ状に突設されて、挿入された前記ベース部の外周に突設されている固定用突部が乗り越え可能かつ乗り越えた前記固定用突部の後方への移動を規制する係止突部と、該係止突部から前側に離隔させて突設されて、前記係止突部をその後側から前側へ乗り越えた前記固定用突部が当接されることで該固定用突部の前方への移動を規制するストッパ突部とを有する第2の発明の光コネクタを提供する。
第4の発明は、前記係止突部は、前記コネクタ嵌合ハウジングにその前後方向に延在形成した一対の長孔の間の弾性壁部に突設されている第3の発明の光コネクタを提供する。
第5の発明は、前記コネクタ嵌合ハウジングの外周面に形成されたコネクタ前側に行くにしたがって外周面からの離隔距離が増大する突片である係止用弾性片と、この係止用弾性片の前端からコネクタ前側に離隔させて突設されたリブ状の突部とを有する第1〜4のいずれか1つの発明の光コネクタを提供する。
第6の発明は、第1〜5のいずれか1つの発明の光コネクタの前記コネクタ嵌合ハウジングをプレートに開口する窓孔に挿入して取り付けたコネクタ接続ユニットを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る光コネクタは、コネクタ嵌合ハウジングの光コネクタ挿入穴に挿入した挿入光コネクタのフェルールを突き合わせ接合させる内蔵フェルールが組み込まれ、前記挿入光コネクタに直接接続(結合)出来る結合ユニット部を有する。結合ユニット部の内蔵フェルールは、前側ハウジングに設けられた位置決めスリーブに内挿されている。挿入光コネクタのフェルールは、位置決めスリーブに挿入されることで、該位置決めスリーブによって内蔵フェルールに対して位置決めされて、位置決めスリーブ内にて内蔵フェルールに突き合わせ接合される。このため、本発明に係る光コネクタは、挿入光コネクタとの接続、それによる、挿入光コネクタのフェルールに内挿固定した光ファイバと内蔵フェルールに内挿固定した光ファイバとのコネクタ接続(光接続)をアダプタ無しに、低コストで実現できる。本発明によれば、プラグ−アダプタ−プラグ結合方式に比べて少ない部品点数で光ファイバ同士のコネクタ接続を実現でき、低コスト化も容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1実施形態の光コネクタをその前側から構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態の光コネクタをその後側から構造を示す斜視図である。
【図3】図1、図2の光コネクタの分解斜視図である。
【図4】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、後側延出片の調心溝及び被覆部収納溝と2つの蓋部材との関係を説明する図である。
【図5】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールを示す分解斜視図であり、クランプ部の2つの蓋部材を説明する図である。
【図6】図1、図2の光コネクタの構造を説明する図であって、該光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てた状態を示す断面図(平断面図)である。
【図7】(a)〜(e)は、図1、図2の光コネクタの結合ユニット部の前側ハウジングを説明する図である。
【図8】(a)〜(d)は、図1、図2の光コネクタのコネクタ嵌合ハウジングを説明する図である。
【図9】図1、図2の光コネクタのクランプ部付きフェルールのクランプ部の半割り構造の把持用素子部と該把持用素子部に割り込ませる介挿片との関係を説明する断面図である。
【図10】図1、図2の光コネクタのコネクタ嵌合部付近の構造を示す断面図(側断面図)である。
【図11】図1、図2の光コネクタと、その光コネクタ挿入孔に挿入した挿入光コネクタとの嵌合状態を説明する断面図(平断面図)である。
【図12】図1、図2の光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てる組立方法を説明する斜視図である。
【図13】図1、図2の光コネクタを光ファイバケーブル端末に組み立てる際に、光ファイバケーブル端末に引留用固定部材として組み付ける外被把持部材を説明する斜視図である。
【図14】図1、図2の光コネクタの挿入補助スライダー及び引き留めカバーと、光ファイバケーブル端末に固定された引留用固定部材との関係を説明する図であって、(a)は側断面図、(b)は光コネクタ後側から見た図である。
【図15】図1、図2の光コネクタをプレート(コネクタ取付プレート)に取り付けたコネクタ接続ユニットの一例を説明する図である。
【図16】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、プレート(コネクタ取付プレート)の窓孔を介してプレート裏面側から表面側に引き出した光ファイバケーブルの端末に光コネクタを組み立てる工程を有する組立方法を説明する図である。
【図17】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、プレート(コネクタ取付プレート)に取り付けた光コネクタに固定部材付きケーブル端末を押し込む工程を有する組立方法を説明する図である。
【図18】図15のコネクタ接続ユニットの組立方法であって、光ファイバケーブル端末に組み立てた結合ユニット部を、プレート(コネクタ取付プレート)に取り付けたコネクタ嵌合ハウジングに嵌合3する工程を有する組立方法を説明する図である。
【図19】図1、図2の光コネクタの光コネクタ挿入孔に挿入して嵌合させる挿入光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る実施形態の光コネクタの別態様を示す図であって、光ファイバ先端部に組み立てられる現場組立形の光コネクタの一例を示す図である。
【図21】図20の光コネクタの結合ユニットを示す図であって、(a)は後側から見た斜視図、(b)は前側から見た斜視図である。
【図22】図20の光コネクタの結合ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【図23】図20の光コネクタのストップリング内側の段差面(スプリング受け面)とスプリングとの関係を示す断面図である。
【図24】本発明に係る実施形態の光コネクタの結合ユニット部の別態様の一例を説明する図であって、光ファイバ先端に直接取り付けられたフェルールを内蔵する結合ユニットをその後側から見た斜視図である。
【図25】図24の結合ユニットの構造を説明する分解斜視図である。
【図26】図24の結合ユニットのフェルール、スプリング、ストップリングの関係を説明する図である。
【図27】図15のコネクタ取付プレートの一例を示す図である。
【図28】本発明に係る実施形態のコネクタ接続ユニットを上下多段に設けた構成の光配線盤の一例を示す図である。
【図29】コネクタ嵌合ハウジングの別態様を示す斜視図である。
【図30】(a)〜(d)は図29のコネクタ嵌合ハウジングの構造を示す図である。
【図31】図1、図2の光コネクタを組み立てる光ファイバケーブルの構造の一例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図3に示す実施形態の光コネクタ10は、角筒状のコネクタ嵌合ハウジング20(具体的には後述する角筒状の嵌合ハウジング本体20f)と、このコネクタ嵌合ハウジング20の内側に嵌合して一体的に設けた前側ハウジング30に後側ハウジング40を取り付けてなるハウジング51にクランプ部付きフェルール60(後述)を収納した結合ユニット部50とを有する。
なお、結合ユニット部50のハウジング51を、以下、ユニット部ハウジングとも言う。
【0010】
図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20はプラスチック製の一体成形品である。
このコネクタ嵌合ハウジング20は、角筒状の嵌合ハウジング本体20fの両側に、リブ状の突部25と、係止用弾性片20e(後述)とを突設した概略構成になっている。
図8(a)〜(d)に示すように、前記突部25は、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向中央部の外周面から両側に突出している。この突部25は、例えば図15に示すように、嵌合ハウジング本体20fをプレート5(以下、コネクタ取付プレートとも言う)に形成された窓孔5aに挿入してコネクタ嵌合ハウジング20をプレート5に取り付ける際に、プレート5に当接させるものである。以下、この突部25を当接突部とも言う。
なお、前記コネクタ取付プレート5に光コネクタ10を取り付けたユニットを、以下、コネクタ接続ユニット200とも言う。
【0011】
コネクタ嵌合ハウジング20の係止用弾性片20eは、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において前記突部25が突設されている中央部から片方の側(後述の後筒部20b。後部)の外周面から突出している。この係止用弾性片20eは、前記当接突部25側に行くにしたがって嵌合ハウジング本体20f外周面からの距離が増大するように突出している。嵌合ハウジング本体20fから突出する係止用弾性片20eの突端は当接突部25から離隔した位置にある。係止用弾性片20eの突端と当接突部25との間には隙間が確保されている。
図3、図15に示すように、図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、係止用弾性片20eが突設されている後筒部20bをコネクタ取付プレート5の窓孔5aに挿入し、前記当接突部25と係止用弾性片20eとの間にコネクタ取付プレート5を挟み込むことでコネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【0012】
図6、図8(b)〜(d)に示すように、前記嵌合ハウジング本体20fの内側を貫通する貫通孔(以下、ハウジング貫通孔26とも言う)は、その軸線に垂直の断面(ハウジング貫通孔26について、以下、単に断面とも言う)が概略長方形状となっている。
前記当接突部25は、角筒状の嵌合ハウジング20fの4つの壁部のうち、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の断面長手方向両側の一対の壁部(側壁部23、24)の外面(ハウジング貫通孔26に臨む内面とは反対の側の面)側に突設されている。図示例のコネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の断面長手方向に直交する幅方向両側に位置する壁部(主壁部21、22)には当接突部25は突設されていない。
係止用弾性片20eも、嵌合ハウジング20fの側壁部23、24の外面のみに突設されている。
【0013】
図1〜図3に示すように、結合ユニット部50の前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に内挿され、後筒部20b(コネクタ嵌合ハウジング20の後部)に嵌合されている。図3、図10に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fの後筒部20bの内面には、前側ハウジング30の後筒部20bに内挿した部分に係合して前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20に固定するための係止突部27及びストッパ突部28が突設されている。
【0014】
本明細書においては、コネクタ嵌合ハウジング20について、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において係止突部27及びストッパ突部28が突設されている側を後、反対側を前として説明する。係止突部27及びストッパ突部28は、嵌合ハウジング本体20fの軸線方向において当接突部25から前側に位置する前筒部20aには突設されていない。なお、係止突部27及びストッパ突部28については、後で詳述する。
【0015】
図11に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20とその嵌合ハウジング本体20f内側に嵌合して取り付けた前側ハウジング30とは、光コネクタ90(光コネクタプラグ)を挿入、嵌合可能なコネクタ嵌合部11を構成する。以下、光コネクタ90を挿入光コネクタとも言う。
図6、図10に示すように、図示例の光コネクタ10は、その前端部にコネクタ嵌合部11を有し、このコネクタ嵌合部11から後側に前記結合ユニット部50が突出する構成となっている。換言すれば、この光コネクタ10は、結合ユニット部50の前端部に、前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合してなるコネクタ嵌合部11を有する構成となっている。
なお、本明細書において、前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20に対する嵌合は、前側ハウジング30を嵌合ハウジング本体20f内側、さらに詳しくは嵌合ハウジング本体20fの後筒部20b内側に嵌合することを指す。
【0016】
図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合部11は、挿入光コネクタ90としてSC形光コネクタを挿入、嵌合可能となっている。この挿入光コネクタ90を図19に示す。
図6、図10に示すように、コネクタ嵌合部11は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26のうち、コネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合された前側ハウジング30のベース部31から前側の部分である光コネクタ挿入穴11aを有している。光コネクタ挿入穴11aは、コネクタ嵌合ハウジング20の前側に開口している。
図11に示すように、挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11前端(コネクタ嵌合ハウジング20前端)から、コネクタ嵌合ハウジング20内側の光コネクタ挿入穴11aに挿入して、コネクタ嵌合部11に嵌合される。
図示例のコネクタ嵌合部11に嵌合可能な挿入光コネクタとしては、SC形光コネクタからつまみ(カップリング)を省略した構成の、いわゆるSC2形光コネクタも採用可能である。
【0017】
図6、図10に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20は、その軸線方向(嵌合ハウジング本体20fの軸線方向。換言すればハウジング貫通孔26の軸線方向。前後方向)において中央部の前記当接突部25から前側の部分である前筒部20aと、該前筒部20aとは反対側の後筒部20b(後部)とを有している。コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26のうち、後筒部20b内側に位置する部分は、前側ハウジング30が内挿嵌合される前側ハウジング挿入穴26aとして機能する。コネクタ嵌合ハウジング20は、その内側に、前記光コネクタ挿入穴11aと、該光コネクタ挿入穴11aに連通する前側ハウジング挿入穴26aとを有している。前記前側ハウジング30は、外観ブロック状のベース部31(図3参照)をコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの内側に嵌合してコネクタ嵌合ハウジング20に取り付けられている。
【0018】
前側ハウジング30は、前記ベース部31から前側に突出する突筒部32を有している。前側ハウジング30には、前記ベース部31を貫通して前記突筒部32前端に開口する貫通孔33(フェルール挿入孔)が形成されている。この貫通孔33は、前記突筒部32の内側孔と、該内側孔を後側へ延長するようにしてベース部31に貫通させた部分とからなり、前記突筒部32の内側孔を含み、前記ベース部31後端に開口している。
【0019】
前記貫通孔33には位置決めスリーブ52が貫通孔33の軸線方向に移動可能に収納されている。また、この位置決めスリーブ52の内側には、後述するクランプ部付きフェルール60のフェルール61(内蔵フェルール。フェルール本体)が内挿されている。
【0020】
挿入光コネクタ90は、スリーブ状のつまみ91(図19参照)外周に突設されているキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20の前筒部20aにその前端から後側に向かって延在形成された細長のキー挿入用切り欠き20d(図2等参照)に挿入することで、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入できる。図2に示すように、キー挿入用切り欠き20dは、コネクタ嵌合ハウジング20において、一対の主壁部21、22の片方(符号22の主壁部)の前筒部20aに位置する部分のみに形成されている。挿入光コネクタ90は、つまみ91のキー91dを、コネクタ嵌合ハウジング20のキー挿入用切り欠き20dに挿入する向きでのみ、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aに挿入可能である。
【0021】
図11に示すように、この挿入光コネクタ90は、コネクタ嵌合部11の光コネクタ挿入穴11aへの押し込み(挿入)によって、プラグフレーム92内側のフェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入(圧入)できる。また、挿入光コネクタ90は、フェルール93を結合ユニット部50の前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入することで、プラグフレーム92が前記前側ハウジング30の突筒部32に外挿され外嵌めされる。
挿入光コネクタ90は、フェルール93を前記前側ハウジング30の貫通孔33内の位置決めスリーブ52に挿入し、プラグフレーム92を前記前側ハウジング30の突筒部32に外嵌めすることで、コネクタ嵌合部11に対する挿入、嵌合を達成できる。
【0022】
図11、図19に示すように、挿入光コネクタ90は、光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである光ファイバ94の先端部に組み立てられている。図示例の挿入光コネクタ90のフェルール93には光ファイバ94の先端部が内挿固定されている。フェルール93先端の接合端面93aには、光ファイバ94先端に口出しされた裸光ファイバ94a(図11参照)の先端面が露出されている。裸光ファイバ94aの先端面は、フェルール93の接合端面93aと連続する面を形成するように、フェルール93の接合端面93aに対して位置合わせされている。
【0023】
位置決めスリーブ52は、挿入光コネクタ90のフェルール93と、結合ユニット部50側のフェルール61とを、互いに同軸上となるように高精度に位置決めするものである。このため、位置決めスリーブ52内にてフェルール93、61同士を互いに突き当てる(接合端面93a、61b同士を接合する)ことで、各フェルール93、61にそれぞれ内挿固定されている光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続(光接続)を実現できる。
光ファイバ94、62同士の突き合わせ接続は、具体的には、挿入光コネクタ90が組み立てられた光ファイバ94の裸光ファイバ94aと、光コネクタ10の結合ユニット部50のフェルール61に内挿固定されている内蔵光ファイバ62との突き合わせ接続である。
【0024】
図3等に示すように、図示例の光コネクタ10は、具体的には、位置決めスリーブ52として、断面C形のスリーブ状に形成された金属製の割スリーブを採用している。
但し、位置決めスリーブ52としては、割スリーブに限定されず、例えば円筒状の弾性スリーブ、非弾性スリーブ等も採用可能である。
【0025】
図6、図11に示すように、前側ハウジング30には、光コネクタ挿入穴11aに挿入、嵌合した挿入光コネクタ90のハウジング(詳細にはプラグフレーム92)に両側から係脱可能に係合する一対の爪付き係合片34が突設されている。図3、図11に示すように、爪付き係合片34は、前記ベース部31から前側に延出(突出)する弾性延出片34aの先端に、SC形光コネクタである挿入光コネクタ90のハウジング(具体的にはプラグフレーム92)に係合する突爪34bを突設した構成である。一対の爪付き係合片34は、前記突筒部32の両側に配置されている。
【0026】
コネクタ嵌合部11前側から光コネクタ挿入穴11aに押し込んだ挿入光コネクタ90は一対の爪付き係合片34の間に挿入される。そして、挿入光コネクタ90は、各爪付き係合片34先端の突爪34bがつまみ91の両側の窓孔91aを介してプラグフレーム92の両側の係合突部92aに係合する。挿入光コネクタ90は、爪付き係合片34の係合によってコネクタ嵌合部11からの引き抜きが規制され、コネクタ嵌合部11に対する嵌合状態が保たれる。
なお、突爪34bは、一対の爪付き係合片34先端に、互いに対向する相手側の爪付き係合片34先端に向かって突設されている。
【0027】
なお、前側ハウジング30のベース部31から前側部分は、JIS C 5973に準拠して、挿入光コネクタ90との間にスライドロック構造を構成する。
すなわち、挿入光コネクタ90をコネクタ嵌合部11に挿入、嵌合したときに、一対の爪付き係合片34とプラグフレーム92の係合突部92aとの係合によって、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの抜き去りがロックされる。また、コネクタ嵌合部11に嵌合状態の挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向に引っ張り操作すると、一対の爪付き係合片34のプラグフレーム92に対する係合を解除しながら、挿入光コネクタ90のコネクタ嵌合部11からの離脱(抜き去り)が可能である。
【0028】
図3、図7(a)、(b)、(e)に示すように、爪付き係合片34の先端(前端)には、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除するための係合解除用突部34cが突設されている。係合解除用突部34cは、各爪付き係合片34先端に、一対の爪付き係合片34の間隔方向に垂直、かつコネクタ前後方向(ここではコネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向、及び貫通孔33の軸線方向に一致)に垂直の両側に突設されている。この係合解除用突部34cは、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91をコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ引っ張り操作したときに、つまみ91の前記窓孔91aに臨む位置に形成された係合解除用テーパ壁部91b(図19参照)に押圧されて、プラグフレーム92の係合突部92aに係合している爪付き係合片34先端をプラグフレーム92から離隔方向に変位させ、係合突部92aに対する係合を解除する。
【0029】
図11に示すように、つまみ91の前記係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端の突爪34bがプラグフレーム92の係合突部92aに係合しているとき、光コネクタ10前後方向において爪付き係合片34の係合解除用突部34cの後側に位置する。挿入光コネクタ90において、前記係合解除用テーパ壁部91bは、フェルール93先端の接合端面93a側である挿入コネクタ前側に行くにしたがって、つまみ91のプラグフレーム92に臨む内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成されている。このため、コネクタ嵌合部11に嵌合した挿入光コネクタ90のつまみ91を引っ張り操作によってコネクタ嵌合部11から抜き去り方向へ移動(図11において光コネクタ10前側への移動)させると、爪付き係合片34の係合解除用突部34cが前記係合解除用テーパ壁部91bに乗り上げるようにしてプラグフレーム92から離隔方向に変位し、プラグフレーム92の係合突部92aに対する爪付き係合片34の係合を解除できる。
【0030】
なお、図19に示すように、挿入光コネクタ90の係合解除用テーパ壁部91bは、爪付き係合片34先端両側の係合解除用突部34cに対応して、つまみ91の両側に2つづつ設けられている。また、プラグフレーム92の係合突部92aに係合した爪付き係合片34先端の弾性延出片34aは、つまみ91の両側にて、2つの係合解除用テーパ壁部91bの間に確保された延出片収納溝91cに収納される。
【0031】
図3、図6に示すように、この光コネクタ10の結合ユニット部50は、ユニット部ハウジング51に、クランプ部付きフェルール60と、該クランプ部付きフェルール60をコネクタ前方へ弾性付勢するスプリング53とを収納した概略構成になっている。
【0032】
この実施形態の光コネクタ10は、現場組立形の光コネクタであり、光ファイバケーブル1端末に組み立てられるものである。
【0033】
図31に示すように、光ファイバケーブル1は、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体4とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被3によって一括被覆したものである。抗張力体4は、光ファイバ2の両側に互いに並行に2本設けられている。
光ファイバ2は、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。本実施形態において光ファイバ2は単心の被覆付き光ファイバである。裸光ファイバ2aは、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2bは、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。抗張力体4としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。光ファイバケーブル1としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
【0034】
図3、図6に示すように、前記後側ハウジング40は、ユニット部ハウジング51内にその後側から光ファイバ2を挿入するためのファイバ導入孔42aが貫設されたブロック部42に、スリーブ状(図示例では円筒状)の胴部41eを突設したストップリング部41と、前記ブロック部42から前記胴部41eとは反対の側(後側)に延出する断面コ字形の固定部材受け部43とを有している。
結合ユニット部50のユニット部ハウジング51は、具体的には、前側ハウジング30と後側ハウジング40のストップリング部41とによって構成されている。この結合ユニット部50に図中符号50A、ユニット部ハウジング51に図中符号51Aを付記する。
【0035】
なお、本明細書においては、結合ユニット部50、ユニット部ハウジング51について、前側ハウジング30の突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、反対側を後として扱う。結合ユニット部50A、ユニット部ハウジング51Aについては、突筒部32及び爪付き係合片34が突設されている側を前、固定部材受け部43が設けられている側を後として扱う。
【0036】
後側ハウジング40の固定部材受け部43には、その後方から、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を押し込んで収納(挿入)できる。
図12に示すように、光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる作業では、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を前記固定部材受け部43に押し込むとともに、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、ブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図6参照)に押し込んでいくことで、前記光ファイバ2をユニット部ハウジング51A内に挿入できる。
【0037】
図3、図6に示すように、前記前側ハウジング30は、ベース部31から後側に延出するスリーブ状のプラグフレーム部35を有している。図示例の前側ハウジング30はプラスチック製の一体成形品であり、前記プラグフレーム部35は、ベース部31から後側に突出する筒状突部である。
【0038】
ユニット部ハウジング51Aは、前記プラグフレーム部35に、後側ハウジング40のストップリング部41の前端部(胴部41eの前端部。ブロック部42とは反対側の端部)を内嵌めして、前側ハウジング30と後側ハウジング40とを一体化したものである。
後側ハウジング40のストップリング部41は、その前側の胴部41eをプラグフレーム部35内側に後側から押し込み、胴部41e前端部外周に突設されている係合突起41aを、プラグフレーム部35の両側に形成された係止孔35aに嵌め込むことで、プラグフレーム部35に嵌合して固定される。
【0039】
図4,図5、図6に示すように、前記クランプ部付きフェルール60は、光ファイバ62を内挿固定したフェルール61を有する。フェルール61に内挿固定した光ファイバ2を、以下、内蔵光ファイバ62とも言う。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61から後側に突出させた部分(以下、後側突出部62aとも言う)を有する。内蔵光ファイバ62の前端の端面は、フェルール61先端(前端)の接合端面61bに揃えられている。
【0040】
次に、クランプ部付きフェルール60について説明する。
クランプ部付きフェルール60は、前記フェルール61の後側に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、ユニット部ハウジング51Aにその後側から挿入して内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを把持固定して光ファイバ62、2同士の突き合わせ接続状態を維持するクランプ部63を組み立てたものである。
クランプ部63は、フェルール61のフランジ部64から後側に延出するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67とからなる半割り構造の把持用素子部を有する。クランプ部63は、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2先端部とを挟み込んで把持固定することができる。
【0041】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは、把持用素子部を構成するベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に配置されている。内蔵光ファイバ62後端に突き当てる光ファイバ2は、クランプ部63の後側からベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間に挿入される。内蔵光ファイバ62と光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しされた裸光ファイバ2a)とは、ベース部材67(後側延出片67)と蓋部材66、67との間にて突き合わせ接続される。内蔵光ファイバ62後端に光ファイバ2を突き合わせ接続した突き合わせ接続部に図6中符号Pを付す。
【0042】
光コネクタ10のユニット部ハウジング51Aに挿入して、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する光ファイバ2を、以下、挿入光ファイバとも言う。この実施形態において、前記挿入光ファイバ2は、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の、光ファイバケーブル1先端の外被3を除去して光ファイバケーブル1端末から突出状態に露出させた部分を、ユニット部ハウジング51A内への挿入に用いる。
【0043】
図4,図5、図6に示すように、クランプ部付きフェルール60のフェルール61は、SC形光コネクタ等にて使用されるキャピラリ状の単心用フェルールである。このフェルール61の材質としては、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス等を挙げることができる。
前記内蔵光ファイバ62は、ここでは裸光ファイバであり、例えば石英系光ファイバである。この内蔵光ファイバ62は、前記フェルール61にその軸線と同軸に貫設された微細孔であるファイバ孔61aに内挿され、接着剤を用いた接着固定等によってフェルール61に固定されている。
【0044】
前記フェルール61の後端部には、その外周に周設(突設)されたフランジ部64が一体化されている。このフランジ部64は、例えば、金属、プラスチック等によってリング状に形成されている。
前記クランプ部63は、前記フランジ部64からフェルール61後側へ延出された後側延出片65と、蓋部材66、67とを、金属板を断面C形あるいはコ字形(図示例では断面C形)の細長形状に成形したクランプばね68の内側に一括保持した構成になっている。クランプばね68は、蓋部材66、67を後側延出片65に向かって弾性付勢する。そして、このクランプ部63は、前記後側延出片65と蓋部材66、67との間に、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続する光ファイバ2とを、クランプばね68の弾性によって挟み込んで把持固定するものである。
後側延出片65と蓋部材66、67とは、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと内蔵光ファイバ62後端に突き当てた光ファイバ2とを把持固定する半割り構造の把持用素子部を構成する。
【0045】
前記後側延出片65は、前記フェルール61の軸線に沿う方向を長手方向とする細長形状に形成されている。図示例の後側延出片65は、前記フランジ部64と一体に形成されており、フェルール61と一体化されている。
図4,図5に示すように、前記クランプ部63は、前記後側延出片65との間に光ファイバ62、2を把持固定する蓋部材として、前蓋部材66、及び該前蓋部材66の後側(前蓋部材66を介してフェルール61とは反対の側)の後蓋部材67の2部材を有している。これら2つの蓋部材66、67は、後側延出片65の長手方向に沿って配列設置されている。
【0046】
後側延出片65及び蓋部材66、67には互いに対向する対向面が形成されている。クランプ部63のクランプばね68は、その弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67とをその対向面同士が接近する方向(すなわち、互いに閉じ合わせる方向)に弾性付勢する。
【0047】
図4に示すように、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面65aは、前記内蔵光ファイバ62の後側突出部62aを前記フェルール61のファイバ孔61aの後方延長上に位置決めする調心溝69a、及び該調心溝69aの後端から後方に延在する被覆部収納溝69bが形成された溝形成面とされている。以下、前記後側延出片65の蓋部材66、67に対面する対向面を溝形成面とも言う。
前記調心溝69aは溝形成面65aの前記前蓋部材66に対面する部分に形成され、被覆部収納溝69bは溝形成面65aの前記後蓋部材67に対面する部分に形成されている。また、後側延出片65の溝形成面65aに対面する後蓋部材67の対向面67aにも、後側延出片65の被覆部収納溝69bに対応する位置に被覆部収納溝69cが延在形成されている。
【0048】
内蔵光ファイバ62の後側突出部62aは調心溝69aに配置されている。内蔵光ファイバ62の後端(後側突出部62a後端)は、調心溝69aの長手方向中央部に配置されている。内蔵光ファイバ62は、フェルール61先端の接合端面61bに揃えられた前端と前記後端とを長手方向両端とする短尺の光ファイバである。
前記調心溝69aには、挿入光ファイバ2先端の被覆を除去して口出しした裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の後側から、後側延出片65及び後蓋部材67の対向面65a、67aの互いに対応する位置に形成された被覆部収納溝69b、69cを介して挿入される。
【0049】
図9に示すように、調心溝69aはV溝であり、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを、突き合わせ接続可能に高精度に位置決め、調心する機能を果たす。調心溝69aとしては、V溝以外に、例えばU溝、半円溝なども採用できる。
被覆部収納溝69b、69cは、挿入光ファイバ2の被覆付き部分(被覆部)を収納するべく、調心溝69aに比べて溝幅を若干大きく形成した溝である。被覆部収納溝69b、69cとしては、特に限定されるものではなく、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
【0050】
図9に示すように、後側延出片65と前蓋部材66との間には、挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aの調心溝69aへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片81が抜き去り可能に介挿されている。また、後側延出片65と後蓋部材67との間には、挿入光ファイバ2の被覆部収納溝69b,69cへの円滑な挿入を可能とする隙間を確保する介挿片82(図1、図2参照)が抜き去り可能に介挿されている。
【0051】
図示例の介挿片81、82は薄板状に形成されている。これら介挿片81、82は、クランプ部60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と蓋部材66、67との間に挟み込まれている。図1、図2、図12に示すように、ユニット部ハウジング51Aには、その軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に、その内外に介挿片81、82を通すための介挿片挿通孔41bが形成されている。図示例の光コネクタ10において、前記介挿片挿通孔41bは、具体的には、後側ハウジング40の胴部41eの軸線方向(コネクタ前後方向)2箇所に該胴部41eの肉厚を貫通して形成されている。介挿片81、82は、前記介挿片挿通孔41bに挿通され、ユニット部ハウジング51Aの外側に突出されている。
【0052】
前記介挿片挿通孔41bは、胴部41eのうち、プラグフレーム部35に覆われた部位を避けて形成されている。図示例の光コネクタ10において、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bの一方は、プラグフレーム部35にその後端から前側へ向かって細長に延在形成された細長切り欠き部35cに連通する位置に形成されている。また、2つの介挿片挿通孔41bの他方は、胴部41eにおいてプラグフレーム部35後側に位置する部分に形成されている。
【0053】
また、図示例の介挿片81、82は、ユニット部ハウジング51A外側に突出した部分に、クランプ部63からの抜き去り作業を容易にするための抜き去り用操作部81a、82aが設けられた構成となっている。図示例の抜き去り用操作部81a、82aは、介挿片81、82に垂直の板状であり、介挿片に一体化されている。介挿片は、抜き去り用操作部81a、82aを作業者が手指で把持して引っ張り操作することで、クランプ部63からの抜き去り作業を手作業で楽に行える。抜き去り用操作部の具体的構成は、介挿片に垂直の板状に限定されず、適宜変更可能である。
【0054】
図示例の介挿片81、82は、板状の抜き去り用操作部の片面側に突設した突片である。
図12に例示した光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、抜き去り用操作部81a、82aに介挿片81、82を突設した構造の光コネクタ組立用工具83、84をひとつづつ設けた構成(工具付き光コネクタ110)となっている。但し、抜き去り用操作部に介挿片を突設した構成の光コネクタ組立用工具としては、ひとつの抜き去り用操作部に、クランプ部63の2つの蓋部材66、67に対応して、2つの介挿片を突設した構成のものも採用可能である。
【0055】
光コネクタ10は、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の後側延出片65と蓋部材66、67との間に、光コネクタ組立用工具の介挿片を抜き去り可能に介挿した工具付き光コネクタ110の状態で現場に供給できる。この場合、現場にて後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を介挿する作業を省略できる。
【0056】
また、介挿片としては、薄板状のものに限定されず、例えば柔軟なシート等も採用可能である。
図9に例示したように、先端が先細りのテーパ状に形成された板状(薄板状)の介挿片は、後側延出片65と蓋部材66、67との間の境界に押圧するだけで割り込ませる(介挿する)ことができる。このため、後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片を割り込ませる(介挿する)作業を、例えば光コネクタ10の光ファイバへの組み立て作業を行う現場にて行うことも容易である。
【0057】
図6に示すように、前側ハウジング30の突筒部32の前端内周には、貫通孔33(フェルール孔)内に収納された位置決めスリーブ52(図示例では割スリーブ)の軸線方向片端が当接される抜け止め突起32aが突設されている。位置決めスリーブ52は、抜け止め突起32aによって、突筒部32から前側への抜け出しが規制されている。
前側ハウジング30の貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分は、結合ユニット部50A後側に行くにしたがってその内径が次第に大きくなるテーパ状に形成されている。貫通孔33後端の内径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分(主孔部)の前端の内径に比べて僅かに大きい。
なお、位置決めスリーブ52外径は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側に位置する部分である主孔部の前端の内径と同じか、該内径に比べて僅かに径小とされている。
【0058】
図6、図10に示すように、プラグフレーム部35の内側孔は、前側ハウジング30の貫通孔33と同軸に該貫通孔33後端に比べて径大に形成された丸孔状となっている。前側ハウジング30の貫通孔33とプラグフレーム部35の内側孔との境界には段差面36が形成されている。この段差面36は、貫通孔33後端周囲全周に形成されている。
プラグフレーム部35に内嵌めして固定されている胴部41eの前端面41fは、前側ハウジング30の前記段差面36の後側に離隔した位置に配置されている。クランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、プラグフレーム部35の内側孔内において、前側ハウジング30の前記段差面36と胴部41e前端との間に収納されている。
【0059】
図6、図10に示すように、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿して、前記位置決めスリーブ52と、フェルール61のフランジ部64との間に介挿したスペーサリング54を有する。このスペーサリング54の内径及び外径は、位置決めスリーブ52(フェルール61が内挿されている状態の位置決めスリーブ52)の内径及び外径と概ね同じに揃えられている。
【0060】
位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の前記抜け止め突起32aから後側の部分の軸線方向寸法と同じに揃えてある。クランプ部付きフェルール60は、そのフランジ部64が前側ハウジング30の前記段差面36に当接する位置が前側ハウジング30に対する前側移動限界位置となっている。また、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64(具体的にはその前側面64d)にスペーサリング54の後端面が当接し、前側ハウジング30の突筒部32前端の抜け止め突起32aに位置決めスリーブ52の軸線方向片端(前端)が当接する。
【0061】
なお、位置決めスリーブ52の軸線方向寸法とスペーサリング54の軸線方向寸法の合計は、貫通孔33の主孔部の軸線方向寸法と厳密に同じに揃える必要はなく、例えば、貫通孔主孔部の軸線方向寸法に比べて僅かに短い寸法としても良い。
また、結合ユニット部50Aとしては、スペーサリング54を省略して、軸線方向寸法が貫通孔主孔部の軸線方向寸法と同じあるいは僅かに短い長さの位置決めスリーブ52を採用した構成としても良い。
【0062】
図6、図10に示すように、クランプ部付きフェルール60は、前記ストップリング部41の胴部41e内に収納されたクランプ部63の把持用素子部の後端部と、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されたスプリング53によってコネクタ前側へ弾性付勢され、前記前側移動限界に配置されている。また、前側移動限界位置のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部41e前端から前側へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60は、前記スプリング53の弾性付勢力に抗して、スプリング53を押し縮めつつ、前記前側移動限界位置からユニット部ハウジング51Aに対して後側へ押し込み可能である。
【0063】
なお、図示例の結合ユニット部50Aは、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から後側への押し込みよってスプリング53が圧縮限界に達したときに、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64がストップリング部41の胴部41e前端に当接せず、フランジ部64と胴部41e前端との間にクリアランスが確保される構成となっている。つまり、クランプ部付きフェルール60は、スプリング53が圧縮限界に達したときの位置がユニット部ハウジング51Aに対する押し込み限界位置となっている。
【0064】
図6に示すように、前記スプリング53は具体的にはコイルスプリングであり、その内側に、クランプ部63の把持用素子部の後側延出片65及び後蓋部材67の後端部にそれぞれ突片状に形成された後側張出部65b、67bを収納している。後側延出片65及び後蓋部材67は、それぞれ後側に張り出す前記後側張出部65b、67bを含む。
【0065】
図4,図5に示すように、後側延出片65及び後蓋部材67の互いに対面する対向面65a、67aの一部は、後側張出部65b、67bに形成されている。後側張出部65b、67bには、被覆部収納溝69b、69cの後端部をテーパ状に拡張したテーパ状開口部69bw、69cwが形成されている。被覆部収納溝69b、69cのテーパ状開口部69bw、69cwは、後側張出部65b、67bの後端面に開口している。
後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67bはクランプ部63のクランプばね68から後側に突出されている。
【0066】
後側張出部65b、67bは、後側延出片65、後蓋部材67における該後側張出部65b、67bから前側の部分に比べて細い突片状に形成したものである。後側延出片65及び後蓋部材67には、後側張出部65b、67bとその前側部分との境界に段差面65c、67cが形成されている。なお、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cは、後側延出片65、後蓋部材67の後端部に形成されている。
【0067】
図6に示すように、スプリング53は、その中心軸線がユニット部ハウジング51Aの中心軸線(本実施形態では、前側ハウジング30の貫通孔33の中心軸線と一致)と平行の向きでストップリング部41の胴部41eの内側孔内に収納され、後側延出片65及び後蓋部材67の段差面65c、67cと、後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されている。
後側延出片65及び後蓋部材67の後端部の段差面65c、67cは、スプリング53の前端が当接されるスプリング受け面として機能する。
【0068】
後側ハウジング40のストップリング部41の胴部41eの内側孔は、ブロック部42のファイバ導入孔42aに比べて大きい断面積で、ファイバ導入孔42aと同軸に延在形成されている。図示例の後側ハウジング40の胴部41eの内側孔及びファイバ導入孔42aは具体的には丸孔であり、胴部41eの内側孔はファイバ導入孔42aに比べて径大に形成されている。ブロック部42は、胴部41eの内側孔に臨む部分の中央部に突設されたリング状突起42bを有している。ファイバ導入孔42aの前端は、前記リング状突起42bの突端(前端)に開口している。
【0069】
スプリング53の後端部は、ブロック部42の前記リング状突起42bに外挿され、ブロック部42前端部のうち前記リング状突起42bの周囲の胴部41eの内側孔に臨む部位によってリング状に確保されたスプリング受け面42cに当接されている。
前記スプリング53は、具体的には、クランプ部付きフェルール60の後側張出部65b、67bの段差面65c、67cとブロック部42のスプリング受け面42cとの間に介挿されている。そしてスプリング53は、前記ブロック部42に反力をとって、クランプ部付きフェルール60をユニット部ハウジング51Aに対して前方へ向かって弾性付勢している。
【0070】
クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるとき、後側延出片65及び後蓋部材67の後側張出部65b、67b後端は、ブロック部42(詳細にはリング状突起42b)から前側へ離隔した位置に配置される。このときの後側張出部65b、67b後端とブロック部42との間の離隔距離c2は、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。このため、クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置に移動されたときに、ブロック部42から前側へ離隔した位置に配置され、ブロック部42に当接しない。
【0071】
なお、図10に示すように、前側移動限界位置にあるクランプ部付きフェルール60のフランジ部64とストップリング部41の胴部41e前端との間の離隔距離c1も、クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)に比べて大きく(長く)設定されている。クランプ部付きフェルール60は、ユニット部ハウジング51Aに対して前側移動限界位置と押し込み限界位置との間で前後動可能となっている。
また、図示例の光コネクタ10の上述の符号c1、c2の離隔距離は同じに揃えられている。クランプ部付きフェルール60のユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置から押し込み限界位置までの移動量(移動距離)は、前記離隔距離c1、c2とほぼ同じ(僅かに短い)に設定してある。
【0072】
図4、図5に示すように、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の外周部の複数箇所(図示例では2箇所)にはキー溝64aが形成されている。図6、図10に示すように、クランプ部付きフェルール60は、フランジ部64のキー溝64aに、前側ハウジング30のプラグフレーム部35の前端部内面に突設されているキー35bを収納して、ユニット部ハウジング51Aに対して回り止めして組み込まれている。
【0073】
結合ユニット部50Aは、ストップリング部41の胴部41e内にスプリング53、及びクランプ部付きフェルール60のクランプ部63を挿入した構成の後部組立ユニットを組み立て、この後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35にその後側から押し込んで嵌合する組立方法を採用できる。この組立方法は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41eをプラグフレーム部35に嵌合させることで、ユニット部ハウジング51Aにクランプ部付きフェルール60及びスプリング53を収納した状態に結合ユニット部50Aを組み立てることができる。
【0074】
この組立方法の場合、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のうち、ストップリング部41の胴部前端から突出した部分を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。すなわち、後部組立ユニットのストップリング部41の胴部41eをプラグフレーム部35に挿入することで、クランプ部付きフェルール60のフェルール61及びフランジ部64を前記胴部41eとともにプラグフレーム部35に挿入できる。
【0075】
なお、位置決めスリーブ52及びスペーサリング54は、例えば、クランプ部付きフェルール60のフェルール61に外挿した状態で、フェルール61とともに前側ハウジング30の貫通孔33に内挿する。但し、これに限定されず、貫通孔33に挿入しておいた位置決めスリーブ52及びスペーサリング54にクランプ部付きフェルール60のフェルール61を内挿しても良い。
【0076】
図4、図5に示すように、図示例のクランプ部付きフェルール60のフランジ部64には、その後面64bから後側に突出する突起64c(以下、フランジ後部キーとも言う)が形成されている。クランプ部63をストップリング部41の胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60は、フランジ部64の前記フランジ後部キー64cを、前記胴部41eにその前端面41fから窪む切り欠き状に形成された回り止め凹部41c(図3参照)に挿入して、ストップリング部41に対する軸線回り方向の回転を規制(回り止め)する。これにより、プラグフレーム部35に胴部41eを挿入したストップリング部41のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整によって、クランプ部付きフェルール60のプラグフレーム部35の軸線回り方向の向き調整を行える。その結果、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35b(図6参照)を収納する作業を楽に行える。
【0077】
ストップリング部41は、胴部41eに形成された前記介挿片挿通孔41bを目印にして、プラグフレーム部35に対するその軸線回り方向の向きの調整を調整を行える。胴部41eにクランプ部付きフェルール60のクランプ部63が挿入されたストップリング部41は、胴部41eの軸線方向の2箇所に形成された前記介挿片挿通孔41bのうち前側のものを、プラグフレーム部35の細長切り欠き部35cに連通する位置とすることで、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35のキー35bを収納する作業を楽に行える。
【0078】
後側ハウジング40のプラグフレーム部35に対する嵌合は、プラグフレーム部35に挿入した胴部41e前端外周の係合突起41a(図3参照)をプラグフレーム部35の係止孔35aに嵌め込むことで達成される。但し、胴部41eの係合突起41aのプラグフレーム部35の係止孔35aへの嵌め込みは、クランプ部付きフェルール60のフェルール61の前側ハウジング30の貫通孔33への挿入、及びクランプ部付きフェルール60のフランジ部64のキー溝64aにプラグフレーム部35前端内側のキー35bが挿入されないと実現できない。
【0079】
後側ハウジング40がプラグフレーム部35から離脱状態にあるとき、クランプ部63を胴部41eに挿入したクランプ部付きフェルール60のフランジ部64は、胴部前端面41fからブロック部42とは反対の前方へ離隔した位置に配置される。クランプ部付きフェルール60のストップリング部41に対する押し込み限界位置は、胴部41e内のクランプ部63と後側ハウジング40のブロック部42との間に介挿されているスプリング53が圧縮限界に達する位置である。クランプ部付きフェルール60がストップリング部41に対する押し込み限界位置にあるとき、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の後面64bは、胴部前端面41fに当接せず、胴部前端面41fから前方に離隔した位置に配置される。また、胴部41e前端の回り止め凹部41cは、前記押し込み限界位置に配置されたクランプ部付きフェルール60のフランジ部64の前記フランジ後部キー64cが、該回り止め凹部41c奥端(後端)の内面(奥底面41d)が当接せず、該奥底面41dから前側へ離隔して配置されるように、胴部前端面41fからの形成深さを調整してある。
【0080】
また、クランプ部付きフェルール60のフランジ部64の複数のフランジ後部キー64cのうち1以上は、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるように、フランジ部64の後面64bから後側への突出寸法を設定してある。
図示例の結合ユニット部50Aにおいては、フランジ部64の周方向に互いに離隔する2箇所に突設されたフランジ後部キー64cのフランジ部後面64bからの突出寸法を互いに異ならせてある。そして、前記結合ユニット部50Aは、フランジ部後面64bからの突出寸法が大きい方のフランジ後部キー64cのみ、スプリング53が圧縮変形されていない状態において、胴部41eの回り止め凹部41cに対する挿入状態を確保できるようにしてある。
【0081】
図4、図5に示すように、前記フランジ後部キー64cは、フランジ部64の周方向の複数箇所(図示例では2箇所)に形成されている。図示例のクランプ部付きフェルール60のキー溝64aは、フランジ部64の前側面64dからフランジ後部キー64cにも切り込んで、フランジ部後面64bの後方にまで延在形成されている。
図6に示すように、キー溝64aは、クランプ部付きフェルール60が前側移動限界位置にあるときに、該キー溝64aに挿入されたプラグフレーム部35のキー35bが、前記フランジ後部キー64cの前記キー溝64a後側を塞ぐ部分に当接せず、該部分から前側に離隔して配置されるように、フランジ部64の前側面64dから後側への延在長を設定してある。
【0082】
図3、図15に示すように、図示例の光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、既述のように、後筒部20bの両側から前側に行くにしたがって後筒部20b外周面からの距離が増大するように突出する係止用弾性片20eを有する。係止用弾性片20eの先端(突端)は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向に一致する前後方向における中央部の当接突部25との間に隙間を介してその後側に離隔した位置に配置されている。
光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、例えば図16に示すように、その後筒部20bをコネクタ取付プレート5の片面(図15、図16においてコネクタ取付プレート5の左側の面。以下、表面5bとも言う)側から窓孔5aに押し込んで行くだけでコネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【0083】
図27に示すように、コネクタ取付プレート5の窓孔5aは、コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの軸線方向に垂直の断面外形と略一致(一致あるいは僅かに大きい)する寸法の長方形状に形成される。長方形状の窓孔5aの長手方向(図15、図16、図27において上下方向)の寸法は、嵌合ハウジング本体20fの両側の係止用弾性片20eの突端間の離隔距離よりも小さくする。
また、コネクタ取付プレート5の厚みは、コネクタ嵌合ハウジング20前後方向における当接突部25と係止用弾性片20e突端との間の距離と同じに揃えられている。
【0084】
コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bは、前記窓孔5aに向かって押し込んで行くと、コネクタ取付プレート5に当接した係止用弾性片20eが後筒部20b外周面に接近するように弾性変形する結果、窓孔5aに挿入、貫通させることができる。コネクタ嵌合ハウジング20は、後筒部20bをコネクタ取付プレート5の窓孔5aに挿入して貫通させ、コネクタ取付プレート5の表面5bに当接突部25を当接させると、係止用弾性片20eが前記窓孔5aを通過して元の状態に弾性復帰する。その結果、コネクタ嵌合ハウジング20は、図15に示すように、弾性復帰した係止用弾性片20e先端がコネクタ取付プレート5の裏面5cに当接し、コネクタ取付プレート5を当接突部25と係止用弾性片20eとの間に挟み込んで、コネクタ取付プレート5に取り付けられる。
【0085】
図16は、光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付けて組み立てられるコネクタ接続ユニット200の組立方法(以下、ユニット組立方法)の一例を示す。
図16に示すユニット組立方法は、コネクタ取付プレート5の裏面5c側から窓孔5aを介して表面5b側に引き出した光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てた後、組み立ての完了した光コネクタ10をコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付けるものである。
【0086】
図12に示すように、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、工具付き光コネクタ110を用いる。そして、まず、既述のように、光ファイバケーブル1端末に固定した引留用固定部材120を、光コネクタ10(工具付き光コネクタ110)の結合ユニット部50Aの前記固定部材受け部43に押し込む。これにより、光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2を、前記固定部材受け部43前側のブロック部42を前後に貫通する前記ファイバ導入孔42a(図6参照)からユニット部ハウジング51A内に送り込んでいく。
【0087】
引留用固定部材120は、光ファイバケーブル1端末の外周を取り囲むようにして設けられ、該端末に固定、一体化されている。光ファイバケーブル1端末に露出させた光ファイバ2は、光ファイバケーブル1端末と該端末に固定した引留用固定部材120とからなる固定部材付きケーブル端末1aから突出されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120からその後側へ光ファイバケーブル1が延出し、引留用固定部材120から前側へ光ファイバ2が突出する構成となっている。
ブロック部42のファイバ導入孔42a(図6参照)への光ファイバ2の送り込みは、固定部材付きケーブル端末1aを固定部材受け部43後方からブロック部42に接近させるように前進させ、固定部材受け部43に押し込んでいくことで実現される。
【0088】
図示例の後側ハウジング40のブロック部42には、その後端から前側へ向かってテーパ状に窪むテーパ状凹所42dが形成されている。ブロック部42のファイバ導入孔42aの後端は、テーパ状凹所42dの前端部(ブロック部42を後側から見たときの奥端部)に開口している。
テーパ状凹所42dは、固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2の先端をファイバ導入孔42aに導いてファイバ導入孔42aへの挿入を円滑にする機能を果たす。
【0089】
ここで、光ファイバ2としては、予め、先端に裸光ファイバ2aを口出ししたものを用いる。図6に示すように、ブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入した光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、ファイバ導入孔42a前端からスプリング53内側を介して、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63後端に開口する被覆部収納溝69b、69cに挿入される。また、光ファイバ2は、コネクタ前側への送り込みによって、裸光ファイバ2aを被覆部収納溝69b、69cから前記クランプ部63の調心溝69aに挿入できる。この光コネクタ10は、光ファイバ2を、ブロック部42後側からファイバ導入孔42aに送り込んでいくだけで、裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
【0090】
図3、図12等に示すように、ブロック部42の前記固定部材受け部43は、ブロック部42から後方へ延出しコネクタ前後方向を長手方向とする細長板状の底板部43aの幅方向両側に、該底板部43aの長手方向に沿って延在する側板部43bを立設した、断面コ字形に形成されている。
ここで、光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aに挿入する作業を、図12に示すように、光コネクタ10を、固定部材受け部43の一対の側板部43bが底板部43a上に位置する向きとして行う場合について説明する。光コネクタ10について、図12、図14(a)、(b)において上側を上、下側を下として説明する。また、光コネクタ10、結合ユニット部50Aについて、後側ハウジング40の固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向を左右方向として説明する。
【0091】
図3、図12に示すように、図示例の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40には、固定部材付きケーブル端末1aの、固定部材受け部43後方からブロック部42に接近する前進を案内する挿入補助スライダ45が設けられている。この挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40の固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられている。
【0092】
また、後側ハウジング40には、固定部材受け部43に押し込んだ固定部材付きケーブル端末1aを引き留めて、固定部材受け部43から後側への脱落を規制する引き留めカバー46が設けられている。
光コネクタ10の結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aは、後側ハウジング40に前記挿入補助スライダ45及び前記引き留めカバー46を設けてなる後部ユニット44を有している。
【0093】
図3、図12、図14(a)に示すように、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43a上に前後方向に移動可能に設けられた細長形状のスライダ本体45aを有している。前記スライダ本体45aは、その長手方向を結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aにその前後方向に揃えて、固定部材受け部43の底板部43a上に重ね合わせて設けられ、底板部43a上を前後方向にスライド移動する。
【0094】
また、前記挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの後端部上に突設した押圧用突起45bを有している。この挿入補助スライダ45は、スライダ本体45aの前記押圧用突起45bから後側に延出する部分である載せ台部45c上に固定部材付きケーブル端末1aを載置できる。前記押圧用突起45bには、前記載せ台部45c上に載置した固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120前端(光ファイバケーブル1が延出する引留用固定部材120後端とは反対の側)を、押圧用突起45bの後側から当接できる。
【0095】
図14(a)に示すように、この挿入補助スライダ45のスライダ本体45aは、ブロック部42下部を前後に貫通するスライダ挿通孔47にその後側から挿入可能である。挿入補助スライダ45は、ブロック部42の後側に配置された前記押圧用突起45bが、ブロック部42におけるテーパ状凹所42dとスライダ挿通孔47との間の中間壁部42eの後端に当接する位置まで後側ハウジング40に対して前進可能である。挿入補助スライダ45は、前記押圧用突起45bが前記ブロック部42(具体的には中間壁部42e後端)にその後側から当接する位置が、ユニット部ハウジング51Aに対する前側移動限界位置となっている。
挿入補助スライダ45は、ユニット部ハウジング51Aに対して前記前側移動限界位置から後側へスライド移動可能であり、このスライド移動によって、前記押圧用突起45b及び載せ台部45cを前記ブロック部42から後側へ離隔した位置に配置できる。
【0096】
図示例の光コネクタ10にあっては、挿入補助スライダ45は、後側ハウジング40(ユニット部ハウジング51A)に対する前側移動限界位置に配置したとき、スライダ本体45aの後端(載せ台部45c後端)の結合ユニット部50Aにおける前後方向の位置が、固定部材受け部43の底板部43a後端と概ね揃う。
挿入補助スライダ45を利用して光ファイバ2をブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく作業は、図12、図14(a)に示すように、挿入補助スライダ45を後側ハウジング40に対して前側移動限界位置から適宜後側にずれた位置に配置し、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する。そして、固定部材付きケーブル端末1aをブロック部42からの距離を縮めるように前進させ、光ファイバケーブル1端末から突出させておいた光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aから結合ユニット部50A内に送り込んでいく。
【0097】
固定部材付きケーブル端末1aは引留用固定部材120前端によって押圧用突起45bを押圧しながら前進する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの前進に伴い、挿入補助スライダ45も後側ハウジング40に対して前進動する。
後述のように、固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45が後側ハウジング40に対する前側移動限界位置に達する前に、後側ハウジング40に対する前進限界位置に到達する。このため、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120をスライダ本体45aの載せ台部45c上に載置する際には、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120が前記前進限界位置よりも後方から挿入補助スライダ45の押圧用突起45bを押圧しながら前進を開始するように、挿入補助スライダ45をその前側移動限界位置から後側へのずれ量を確保した位置に配置する。
【0098】
図12に示すように、引留用固定部材120の両側に突設された案内用突部128が突設されている。図3に示すように、図示例の後側ハウジング30の固定部材受け部43の、両側の側板部43bの互いに対面する内面側には、引留用固定部材120の両側の案内用突部128が挿入される突部ガイド溝43dが前後方向に延在形成されている。固定部材付きケーブル端末1aは、引留用固定部材120の案内用突部128が前記突部ガイド溝43dの前端の段差面43e(図3、図6参照)に突き当たる位置が、後側ハウジング30に対する前進限界位置となっている。
【0099】
固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、挿入補助スライダ45は、押圧用突起45bが後側ハウジング40のブロック部42に当接する前側移動限界位置には到達しない。挿入補助スライダ45は、固定部材付きケーブル端末1aが前進限界位置に達したとき、押圧用突起45bが、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120とブロック部42との間にて後側ハウジング40に対して前後動可能に配置される。
【0100】
固定部材付きケーブル端末1aから突出する光ファイバ2は、固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときに、該光ファイバ2の先端に口出ししておいた裸光ファイバ2aの内蔵光ファイバ62後端に対する突き合わせ接続状態を確保できるように、光ファイバケーブル1端末から裸光ファイバ2a先端までの突出長を調整しておく。
【0101】
固定部材付きケーブル端末1aは、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置したときに、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に延在する状態に配置できる。
前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aを前進させたとき、挿入補助スライダ45は、固定部材受け部43の底板部43aとその両側の側板部43bとによって案内されながら前進する。その結果、固定部材付きケーブル端末1aは、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2がブロック部42のファイバ導入孔42aの後方延長上に位置する状態を保ったまま前進する。このため、挿入補助スライダ45を利用して行う、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業は、例えば固定部材付きケーブル端末1aの前進中に、光ファイバ2が前記ファイバ導入孔42aの軸線に対して大きく傾動して折損するといった不都合を防止でき、光ファイバ2のファイバ導入孔42aへの送り込み作業を円滑に行える。
【0102】
図13は、引留用固定部材120の具体例を示す。
ここでは、引留用固定部材120として、光ファイバケーブル1端末をその両側から把持して光ファイバケーブル1端末に固定して取り付けられる外被把持部材を用いている。以下、引留用固定部材120が外被把持部材を指す場合、引留用固定部材120を外被把持部材とも言う。
この外被把持部材120は、光ファイバケーブル1を嵌め込むケーブル嵌合溝122が形成された断面コ字形の把持ベース121と、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の溝幅方向両側の側壁部125の一方に枢着された押さえ蓋123とを有する。
【0103】
この外被把持部材120は、把持ベース121の一対の側壁部125の互いに対向する面に複数突設した把持用突起125cを、ケーブル嵌合溝122に嵌め込まれた光ファイバケーブル1の外被3に食い込ませて、一対の側壁部125の間に光ファイバケーブル1を把持固定できる。把持ベース121は、底壁部124の片面側に突設された一対の側壁部125の間に前記ケーブル嵌合溝122が確保された断面コ字形の部材である。ケーブル嵌合溝122の溝幅方向は、該ケーブル嵌合溝122を介して両側の側壁部125の間隔方向を指す。なお、図示例の外被把持部材120の把持用突起125cは、ケーブル嵌合溝122の深さ方向に延在する断面三角形状の突条に形成されている。
【0104】
そして、この外被把持部材120は、前記押さえ蓋123が他方の側壁部125から離隔する開放状態にて把持ベース121を光ファイバケーブル1端末に外嵌めして固定した後、押さえ蓋123を把持ベース121の一対の側壁部125の底壁部124とは反対側の端部間におけるケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉位置に回動し、該押さえ蓋123を他方の側壁部125に係止して、光ファイバケーブル1端末に取り付けられる。
【0105】
図示例の外被把持部材120はプラスチック製の一体成形品である。前記押さえ蓋123は、一対の側壁部125の一方(以下、第1側壁部とも言う。図中符号125aを付記する)の突端に、ヒンジ部として機能する薄肉部126を介して繋がっている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126によって、前記ケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う軸線を以て、把持ベース121の第1側壁部125aに対して回転可能に枢着されている。なお、把持ベース121の一対の側壁部125の他方について、以下、第2側壁部125bとも言う。
【0106】
図示例の外被把持部材120の押さえ蓋123はL字板状に形成されている。この押さえ蓋123は、前記薄肉部126を介して把持ベース121の第1側壁部125aに枢着されている天板部123aと、この天板部123aの前記薄肉部126とは反対側の端部から該天板部123aに垂直に形成された係止板部123bとを有する。この押さえ蓋123は、前記天板部123aを把持ベース121の一対の側壁部125の突端に当接してケーブル嵌合溝122の開口部を閉じる閉じ位置に配置したときに、前記係止板部123bを把持ベース121の第2側壁部125bのケーブル嵌合溝122とは反対側の外面に重ね合わせることができる。そして、押さえ蓋123は、前記係止板部123bに形成されている係止用窓孔123cに、把持ベース121の第2側壁部125b外面に突設されている係止用爪125dを入り込ませることで把持ベース121に係止され、把持ベース121に対する閉じ状態を安定維持できる。
【0107】
図示例の外被把持部材120(引留用固定部材)は、前記把持ベース121のケーブル嵌合溝122の延在方向に沿う前後方向の片端から突出する一対の前側突壁部127を有している。一対の前側突壁部127は、把持ベース121の両側の側壁部125a、125bから、該側壁部125a、125bを把持ベース121前後方向に沿って延長するように突出する板片状に形成されている。以下、外被把持部材120について、前記前側突壁部127の側を前、反対側を後として説明する。
【0108】
図示例の外被把持部材120の一対の前側突壁部127には、後側ハウジング30の固定部材受け部43(図3参照)の両側の側板部43bに前後方向に延在形成された突部ガイド溝43dに挿入される案内用突部128が突設されている。前側突壁部127において、前記案内用突部128は、一対の前側突壁部127の互いに対面する内面側とは反対の外面側に突設されている。
【0109】
なお、外被把持部材としては、図示例の構成に限定されない。外被把持部材としては、例えば、押さえ蓋を、前記係止板部123bを省略し、前記天板部123aに、把持ベース121の第2側壁部125bの突端に係合する係合部を設けた構造の押さえ蓋に変更した構成等も採用可能である。また、外被把持部材としては、把持ベースのみからなる構成も採用可能である。また、外被把持部材としては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成のものも採用可能である。
引留用固定部材としては、外被把持部材に限定されず、例えば光ファイバケーブル1端末外周に接着剤による接着固定、熱溶着などによって固定する部材などであっても良い。
【0110】
図12に示すように、引留用固定部材として前記外被把持部材120を用いて構成した固定部材付きケーブル端末1aは、その光ファイバケーブル1端末から突出する挿入光ファイバ2を結合ユニット部50Aのブロック部42のファイバ導入孔42aに送り込んでいく作業において、外被把持部材120の前側突壁部127が前側(ブロック部42側)となる向きで、挿入補助スライダ45の前記載せ台部45c上に載置する。固定部材付きケーブル端末1aは、外被把持部材120の前後方向(把持ベース121前後方向)を結合ユニット部50Aの前後方向に揃えて載せ台部45c上に載置する。
【0111】
挿入補助スライダ45の押圧用突起45bは、細長板状のスライダ本体45aの幅方向(結合ユニット部50Aの左右方向と一致)両側に突設されている。スライダ本体45a上に突設された一対の押圧用突起45bは、外被把持部材120の一対の前側突壁部127の間隔に応じた間隔で、スライダ本体45aの幅方向に互いに離隔して設けられている。固定部材付きケーブル端末1aは、載せ台部45c上に載置して前進(ブロック部42からの距離を縮める)させたときに、外被把持部材120の前記前側突壁部127の前端によって、挿入補助スライダ45の一対の押圧用突起45bを押圧する。
固定部材付きケーブル端末1aが前進によって前進限界位置に到達したときには、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続された状態となる。
【0112】
光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、まず、前側移動限界位置から後側にずれた位置に配置した挿入補助スライダ45の載せ台部45cに載置した固定部材付きケーブル端末1aをユニット部ハウジング51A(具体的には後側ハウジング40)に対する前進限界位置まで前進させる。これにより、光ファイバケーブル1端末から突出する光ファイバ2を、ブロック部42のファイバ導入孔42aからクランプ部付きフェルール60の被覆部収納溝69b、69cを介して調心溝69aに送り込み、光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aを内蔵光ファイバ62後端に突き合わせ接続する。
固定部材付きケーブル端末1aは、前進によって、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその前側のブロック部42に向かって押し込まれ、前進限界位置に到達したときには固定部材受け部43内側に収納される。
【0113】
次いで、後側ハウジング40に枢着されている引き留めカバー46(後述)の後側ハウジング40に対する回動操作によって、固定部材受け部43内側の固定部材付きケーブル端末1aにその上側から引き留めカバー46を被せる(図1、図2参照)。これにより、図14(a)仮想線に示すように、引き留めカバー46に設けられている後退規制片46f(後述)を、固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120(図示例では外被把持部材)の後端に当接させ、固定部材付きケーブル端末1aの前進限界位置からの後退を規制する。その結果、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を保つ。
【0114】
次に、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から、該クランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿されている介挿片81、82を抜き去る。
その結果、クランプ部付きフェルール60のクランプばね68の弾性によって、後側延出片65と前蓋部材66との間に光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aが把持固定され、後側延出片65と後蓋部材67との間に光ファイバ2の被覆2b付き部分(被覆部)が把持固定される。これにより、クランプ部付きフェルール60の内蔵光ファイバ62に対する光ファイバ2(具体的にはその先端に口出しした裸光ファイバ2a)の突き合わせ接続状態を安定に保つことができる。
【0115】
前蓋部材66には、後側延出片65の対向面65aに対面する平坦な対向面66aが形成されている。クランプ部付きフェルール60のクランプ部63の半割り状の把持用素子部を構成する後側延出片65と蓋部材66、67との間から介挿片81、82を抜き去ると、前蓋部材66は、平坦な対向面66aによって、内蔵光ファイバ62の後側突出部62aと、該後側突出部62aの後端に突き合わせた挿入光ファイバ2先端の裸光ファイバ2aとを調心溝69aに押し付けて後側延出片65との間に把持固定する。これにより、挿入光ファイバ2の裸光ファイバ2a先端を内蔵光ファイバ62後端に対して高い調心精度を以て突き合わせ接続した状態を保つことができる。
【0116】
クランプ部付きフェルール60のクランプ部63に挿入光ファイバ2を把持固定することで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが完了する。
【0117】
図3、図12に示すように、引き留めカバー46は、後側ハウジング40の固定部材受け部43に押し込まれた固定部材付きケーブル端末1a上に配置される天板部46aの両側に細長板状のカバー側板部46bを設けた構成のカバー本体46Hを有している。天板部46aの両側のカバー側板部46bは、天板部46aの片面46c側に天板部46aに対して垂直に突設され、前記片面46cに沿う方向を長手方向として互いに平行に延在している。
【0118】
また、天板部46aの両側に設けられた一対のカバー側板部46bは、その長手方向片端側が前記天板部46aから突出されている。
引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの前記天板部46aから突出された先端部を、回動軸41g(図1、図12参照)によって、後側ハウジング40にその左右方向(固定部材受け部43の一対の側板部43bの間隔方向)の回動軸線を以て回動可能に枢着してハウジング100Hに設けられている。
【0119】
カバー側板部46bの、回動軸41gによって後側ハウジング40に枢着された先端部を、以下、枢着端部とも言う。
図示例の結合ユニット部50Aにおいて、前記回動軸41gは、後側ハウジング40の左右方向両側、より具体的にはブロック部42の左右方向両側に突起状に突設されている。引き留めカバー46は、一対のカバー側板部46bの枢着端部をその板厚方向に貫通して形成した軸挿入孔46eに嵌め込まれた前記回動軸41gを中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着されている。
【0120】
なお、引き留めカバー46の後側ハウジング40に対する枢着構造としては、図示例の構造に限定されない。前記枢着構造としては、例えば、一対のカバー側板部46bの枢着端部の互いに対面する側に突設した軸部を、後側ハウジング40のブロック部42の左右両側に穿設した軸挿入穴に挿入し、引き留めカバー46を、前記軸部を中心に、後側ハウジング40にその左右方向の軸線(回動軸線)を以て回動可能に枢着した構成等も採用可能である。
【0121】
図1、図14(a)、(b)に示すように、引き留めカバー46は、回転軸46dから延出するカバー本体46Hの回転軸46dとは反対側(以下、延出端側とも言う)に、前記後退規制片46fを有する構成となっている。
この引き留めカバー46は、その延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔して配置された状態から、前記回動軸41gを中心とする回動によって、固定部材受け部43にその上側から被せることができる。このときの引き留めカバー46の固定部材受け部43に対する位置を被せ位置(図1実線、図14(a)、(b)仮想線参照)とも言う。
【0122】
後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から固定部材付きケーブル端末1aを押し込む作業は、引き留めカバー46を、固定部材付きケーブル端末1aの押し込み作業の障害になることを回避するべく、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から充分に離隔させ、固定部材受け部43に対して開放した状態で行う。そして、引き留めカバー46は、固定部材受け部43に固定部材付きケーブル端末1aを押し込んだ後、前記回動軸41gを中心とする回動によって前記被せ位置に配置する。
【0123】
引き留めカバー46は、固定部材受け部43に対して被せ位置に配置したときに、天板部46aが固定部材受け部43の底板部43aに沿う向きとなる。また、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、天板部46aの片面46c(以下、内面とも言う)側にリブ状に張り出す一対のカバー側板部46bの間に、固定部材受け部43の底板部43aから突出する一対の側板部43bを収納する。
【0124】
図14(b)仮想線に示すように、被せ位置に配置した引き留めカバー46は、その天板部46aの内面46cが固定部材受け部43の一対の側板部43bの底板部43aとは反対側の端部(上端)に当接する。また、この引き留めカバー46は、被せ位置に配置したときに、両側のカバー側板部46bに形成されている係止用窓46gに、固定部材受け部43の一対の側板部43bの外面(一対の側板部43bの互いに対面する内面とは反対の面)側に突設された係止突起43cが入り込んで固定部材受け部43に対して被せ位置に係止される。これにより、引き留めカバー46は、延出端側の端部が後側ハウジング40の固定部材受け部43から離隔する方向への回動が規制され、固定部材受け部43に対して被せ位置にある状態が安定に保たれる。
【0125】
図1実線、図14(a)、(b)仮想線に示すように、引き留めカバー46は、前記被せ位置に配置したときに、後退規制片46fを、後側ハウジング40に対する前側移動限界位置にある引留用固定部材120の後側に配置して引留用固定部材120に当接させることができる。
引き留めカバー46のカバー本体46Hは、一対のカバー側板部46bと天板部46aとによって構成されて断面コ字状で延在するコ字形カバー部46dを有する。カバー本体46Hの延出端側の端部はコ字形カバー部46dによって構成されている。
【0126】
図示例の引き留めカバー46において、後退規制片46fは、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿って突設されたリブ状の突部であり、門形に形成されている。この後退規制片46fは、引き留めカバー46を被せ位置に配置したときに、引留用固定部材120から後方に延出する光ファイバケーブル1を避けて、固定部材受け部43の左右方向に一致する引留用固定部材120の左右両側の壁部の後側に配置され当接される。この結果、引き留めカバー46によって、固定部材付きケーブル端末1aを光コネクタ10に対して引き留めることができる。
なお、光ファイバケーブル1は、門形の後退規制片46fの内側のケーブル挿通凹部46kに通され、引き留めカバー46から後側に延出した状態となる。
【0127】
後退規制片46fとしては、カバー本体46Hの延出端側の断面コ字形の端部の内周に沿う門形の形状に限定されない。後退規制片としては、例えば、カバー本体46Hの一対のカバー側板部46bの延出端側の端部の互いに対面する内面側のみに突設し、天板部46aからの突設を省略した構成等も採用可能である。
【0128】
なお、引留用固定部材120を結合ユニット部50Aに引き留めて前進限界位置に保持する引き留め手段としては、上述の引き留めカバーに限定されない。前記引き留め手段としては、例えば、後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から押し込まれた固定部材付きケーブル端末1aの引留用固定部材120に係合する弾性爪等も採用可能である。
【0129】
光ファイバケーブル1端末に組み立てた光コネクタ10がコネクタ取付プレート5に取り付けられた構成のコネクタ接続ユニット200(図15参照)の組み立て方法としては、例えば、以下の3通りを挙げることができる。
【0130】
第1の組立方法は、例えば図16に示すように、まず、コネクタ取付プレート5の窓孔5aを介して該コネクタ取付プレート5の裏面5c側から表面5b側へ引き出した光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てる。次いで、光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bをコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付け、光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付けた状態とし、図15に示すようにコネクタ接続ユニット200を組み立てるものである。
【0131】
第2の組立方法は、例えば図17に示すように、まず、光ファイバケーブル1端末に組み立て前の光コネクタ10をコネクタ取付プレート5に取り付ける。光コネクタ10のコネクタ嵌合ハウジング20は、その後筒部20bをコネクタ取付プレート5の表面5b側から窓孔5aに押し込んでコネクタ取付プレート5に取り付ける。また、光コネクタ10は、結合ユニット部50Aの後側ハウジング40(図示例の光コネクタ10にあっては後部ユニット44)をコネクタ取付プレート5の裏面5c側に突出させておく。次いで、この光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後側ハウジング40の固定部材受け部43にその後側から、光ファイバケーブル1端末に引留用固定部材120を取り付けて構成した固定部材付きケーブル端末1aを押し込んで、光ファイバケーブル1端末に露出させておいた挿入光ファイバ2を光コネクタ10の内蔵光ファイバ62に突き合わせ接続し、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10を組み立てる。光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立て完了によって、コネクタ接続ユニット200を組み立てることができる。
【0132】
第3の組立方法は、図18に示すように、まず、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10の結合ユニット部50Aを組み立て(組み付け)る。結合ユニット部50Aは、光コネクタ10からコネクタ嵌合ハウジング20を省略した構成であり、光ファイバケーブル1端末への結合ユニット部50Aの組み立ては、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てと同様に行うことができる。次いで、光ファイバケーブル1端末に組み立てた結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を、コネクタ取付プレート5に取り付けておいたコネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20b側からハウジング貫通孔26に押し込み、ベース部31をネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させ、一体化する。これにより、光ファイバケーブル1端末に光コネクタ10が組み立てられた状態となり、その結果、光ファイバケーブル1端末に組み立てられた光コネクタ10がコネクタ取付プレート5に取り付けられた構成のコネクタ接続ユニット200が組み立てられる。
【0133】
第3の組立方法では、光ファイバケーブル1端末に組み立てた結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に後筒部20b側から押し込んでコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させることで、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てが実現される。
第1の組立方法における、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立ては、例えば、コネクタ嵌合ハウジング20に結合ユニット部50Aが組み付けられた構成の光コネクタ10を用い、この光コネクタ10を光ファイバケーブル1端末に組み立てる。但し、第1の組立方法は、光ファイバケーブル1端末に結合ユニット部50Aを組み立てた後、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させる手順で、光ファイバケーブル1端末への光コネクタ10の組み立てを行っても良い。
【0134】
結合ユニット部50Aの前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に後筒部20b側から押し込んで行くことでコネクタ嵌合ハウジング20に嵌合させることができる。
図8(a)〜(d)に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の後筒部20bに位置する部分の内面には、前記コネクタ嵌合ハウジング20に挿入、嵌合した前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向(コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向)の移動を規制する係止手段として、係止突部27とストッパ突部28とが突設されている。係止突部27とストッパ突部28とは、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向に位置をずらして突設され、前記係止突部27が前記ストッパ突部28の後側に位置している。
【0135】
図8(a)〜(d)に示すように、前記係止突部27は、前側(ハウジング貫通孔26の前筒部20a側開口部の側)へ行くにしたがってハウジング貫通孔26内面からの突出寸法が増大するテーパ状に形成された突起である。
一方、ストッパ突部28の後側の面は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線に垂直に形成されている。
【0136】
図3、図6、図10に示すように、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30のベース部31には、その前後方向に互いに離隔する2箇所の外周に、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26内面に当接する孔内面当接突部31a、31bが周設されている。前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に押し込んで嵌合したときに、ベース部31の外周全周にわたって延在する孔内面当接突部31a、31bが、その延在方向全長にわたってハウジング貫通孔26内面に当接して、ハウジング貫通孔26内に位置決めして設けられる。
【0137】
前側ハウジング30のベース部31の前後方向の2箇所の孔内面当接突部31a、31bのうち、前側に位置する孔内面当接突部31aは、前側ハウジング30をコネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入したときに前記係止突部27を乗り越えて、係止突部27とストッパ突部28との間に入り込む(図10参照)。これにより、前記孔内面当接突部31aは、ハウジング貫通孔26内面のうち係止突部27とストッパ突部28との間に位置する部分に当接するとともに、係止突部27とストッパ突部28とによってコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。
このとき、孔内面当接突部31aの後側の孔内面当接突部31bは、コネクタ嵌合ハウジング20前後方向において係止突部27の後側に位置してハウジング貫通孔26内面に当接する。その結果、前側ハウジング30は、コネクタ嵌合ハウジング20に対してその前後方向の移動を規制して嵌合、固定される。
【0138】
前側ハウジング30のベース部31の前後方向の2箇所の孔内面当接突部31a、31bのうち、前側に位置する孔内面当接突部31aを、以下、固定用突部31aとも言う。
図3、図10に示すように、前記固定用突部31aは、その延在方向に垂直の断面が矩形であり、前後両側が、前側ハウジング30の前後方向に垂直の面に形成されている。
【0139】
図10に示すように、係止突部27の前側は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線に垂直の面となっている。係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aは、係止突部27にその前側から当接することで、コネクタ嵌合ハウジング20に対する後方への移動が規制される。係止突部27は、該係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aに係合して、固定用突部31aのコネクタ嵌合ハウジング20に対する後方への移動を規制する。
【0140】
一方、ストッパ突部28は、係止突部27を乗り越えて係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aの、コネクタ嵌合ハウジング20に対する前方への移動を規制する。
また、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向における係止突部27とストッパ突部28との間の離隔距離は、係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aのコネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動を規制するべく、前側ハウジング30の前後方向における固定用突部31aの寸法(厚み寸法)と合致させてある。
【0141】
このため、係止突部27を乗り越えて該係止突部27とストッパ突部28との間に入り込んだ固定用突部31aは、係止突部27とストッパ突部28とによって前後から挟み込まれるようにして保持され、コネクタ嵌合ハウジング20に対する前後方向の移動が規制される。その結果、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入した前側ハウジング30のベース部31が、コネクタ嵌合ハウジング20に対して嵌合、固定され、コネクタ嵌合ハウジング20に一体化される。コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26に挿入した前側ハウジング30は、ベース部31がコネクタ嵌合ハウジング20に一体化することで、コネクタ嵌合ハウジング20に組み付けられる。
【0142】
図3、図8(a)〜(d)に示すように、コネクタ嵌合ハウジング20の前記係止突部27は、前記コネクタ嵌合ハウジング20の一対の主壁部21、22のハウジング貫通孔26に臨む内面側にそれぞれ突設されている。
【0143】
コネクタ嵌合ハウジング20の前記主壁部21、22の後筒部20bに位置する部分には、それぞれ、前後方向に延在する一対の長孔29aが形成されている。前記係止突部27は、主壁部21、22における一対の長孔29aの間に位置する部位である弾性壁部29に突設されている。
前記長孔29aは、その延在方向両端のいずれも、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向の端面に達していない。長孔29aの延在方向両端は、コネクタ嵌合ハウジング20の前後方向の端面から離隔した所に位置する。
【0144】
前記弾性壁部29は、図示例の構成(以下、両持ち形弾性壁部とも言う)に限定されない。弾性壁部としては、主壁部21、22の後筒部20bに位置する部分において、コネクタ嵌合ハウジング20の後端面(後筒部20b側の端面)から前端面に向かって互いに平行に延在形成したスリット状の一対の切り込み部の間に位置する部位(以下、片持ち形弾性壁部とも言う)であっても良い。
【0145】
片持ち形弾性壁部は、コネクタ嵌合ハウジング20の後端面の一部を形成する後端部を、ハウジング貫通孔26軸線から離隔させる方向に変位操作することで弾性変形させることができる。これにより、係止突部27とストッパ突部28との間に保持された固定用突部31aに対する係止突部27の係合を解除可能とすることができる。コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bの両側の主壁部21、22に形成した片持ち形弾性壁部の内面側に係止突部27を突設した構成は、片持ち形弾性壁部の後端部の操作によって、固定用突部31aに対する係止突部27の係合を解除できる。このため、コネクタ嵌合ハウジング20内側に嵌合固定状態の前側ハウジング30のコネクタ嵌合ハウジング20からの抜き去りが可能である。
【0146】
一方、後筒部20bの両側の主壁部21、22に形成した両持ち形弾性壁部29の内面側に係止突部27を突設した構成のコネクタ嵌合ハウジング20は、結合ユニット部50Aの前側ハウジング30を嵌合した後では、弾性壁部29を外力を与えて弾性変形させることが容易でない。すなわち、弾性壁部29は、コネクタ嵌合ハウジング20に前側ハウジング30を嵌合した後は、外力の作用に対して弾性変形しにくい。このため、両持ち形弾性壁部29を採用したコネクタ嵌合ハウジング20は、片持ち形弾性壁部を採用した構成に比べて、固定用突部31aに対する係止突部27の係合状態を安定に保つことができる。
【0147】
なお、コネクタ嵌合ハウジング20のハウジング貫通孔26の後筒部20bに位置する部分の内面に突設する係止突部27の突設位置、突設数は、図示例に限定されない。
後筒部20b内面に突設する係止突部27は、少なくとも1以上であれば良い。また、係止突部27の突設位置は、コネクタ嵌合ハウジング20の主壁部に限定されず、側壁部であっても良く、主壁部と側壁部の両方であっても良い。
係止突部27は、コネクタ嵌合ハウジング20の後筒部20bに設けた両持ち形弾性壁部又は片持ち形弾性壁部に突設することが好ましい。
【0148】
図6、図11等に示すように、前記光コネクタ10は、挿入光コネクタ90を挿入可能な光コネクタ挿入穴11a(以下、コネクタ穴とも言う)を有し、このコネクタ穴11aに挿入して嵌合した挿入光コネクタ90と直接接続できる。前記コネクタ穴11aに挿入して嵌合した挿入光コネクタ90のフェルール93は、前側ハウジング30のフェルール挿入孔33に収納された位置決めスリーブ52内にてクランプ部付きフェルール60のフェルール61に突き合わせ(接合端面61b、93a同士の突き合わせ)ることができる。そして、前記光コネクタ10は、位置決めスリーブ52内でのフェルール61、93同士の突き合わせによって、光ファイバ2、94同士のコネクタ接続(光接続)を実現できる。
【0149】
前記光コネクタ10は、コネクタ嵌合ハウジング20に一体的に設けられた前側ハウジング30と、この前側ハウジング30から後側に延出するプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けた後側ハウジング40とからなるユニット部ハウジング51A内にクランプ部付きフェルール60を収納する構成である。プラグフレーム部35を有する前側ハウジング30の前側には、位置決めスリーブ52を収納する突筒部32、及び前記挿入光コネクタ90に係合する爪付き係合片34が突設されている。すなわち、挿入光コネクタ90に係合する爪付き係合片34及び突筒部32は、フェルール61を収納する結合ユニット部50Aのユニット部ハウジング51Aの前側ハウジング30に突設されている。
このため、この光コネクタ10と、コネクタ嵌合部11(図6、図11参照)のコネクタ穴11aに挿入される挿入光コネクタ90との接続は、プラグ−アダプタ−プラグ方式の結合方式に比べて、少ない部品点数で実現でき、低コスト化も容易に実現できる。
【0150】
図28は、コネクタ接続ユニット200を上下多段に設けた光配線盤300を示す。
前記光配線盤300は、コネクタ接続ユニット200を支持するためのユニット支持体310を有する。ユニット支持体310は、基台311上に支柱312を立設した構成になっている。
各コネクタ接続ユニット200は、コネクタ取付プレート5をユニット支持体310の支柱312に取り付ける取付用部材5dを有している。取付用部材5dはコネクタ取付プレート5に固定されている。コネクタ接続ユニット200は、取付用部材5dをユニット支持体310の支柱312に固定してユニット支持体310に取り付けられている。コネクタ接続ユニット200は、コネクタ取付プレート5が取付用部材5d上に立設状態となる姿勢で、ユニット支持体310に取り付けられる。
【0151】
図28に例示した光配線盤300に設けられるコネクタ接続ユニット200としては、例えば、図27に示すように、コネクタ取付用の窓孔5a(コネクタ挿入用窓孔)が横並びに複数形成されたコネクタ取付プレート5を用いた構成を採用できる。そして、このコネクタ接続ユニット200としては、前記窓孔5aを利用して前記コネクタ取付プレート5に光コネクタ10が横並びに複数取り付けられた構成のものを好適に用いることができる。
なお、光配線盤としては、ユニット支持体に複数のコネクタ接続ユニット200を取り付けた構成であれば良く、必ずしもコネクタ接続ユニット200が上下多段に設けられた構成のものに限定されない。ユニット支持体としては、複数のコネクタ接続ユニット200の配置に対応して適宜設計変更できる。
【0152】
光コネクタの結合ユニット部50は、コネクタ嵌合ハウジング20に一体的に設けられる前側ハウジング30と、この前側ハウジング30に取り付けた後側ハウジング40とからなるユニット部ハウジング51内にフェルールを収納する構成であれば良く、図1〜図19を参照して説明した構成に限定されない。
結合ユニット部としては、例えば、図20〜図23に示す結合ユニット部50B、図24〜図26に示す結合ユニット部50Cも採用可能である。
【0153】
図20〜図22に示す結合ユニット部50Bは、光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバである光ファイバ7の先端部に組み立て(取り付け)られるものである。
この結合ユニット部50Bは、既述の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの後部ユニット44にかえて、スリーブ状のストップリング55を採用したものである。この結合ユニット部50Bは、後部ユニット44にかえて前記ストップリング55を採用した点のみが既述の結合ユニット部50Aと異なる。
【0154】
この結合ユニット部50Bは、既述の光コネクタ10の結合ユニット部50Aの前側ハウジング30と、前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング55とからなるユニット部ハウジング51B内に、クランプ部付きフェルール60とスプリング53とを収納した構成になっている。
この結合ユニット部50Bは、光ファイバケーブル1端末に組み立てるものではなく、光ファイバケーブル1端末を引き留めるための引き留め手段を具備していない。
ここで用いる光ファイバ7としては、例えば、その全長にわたってケーブル化された部分が存在せず全長にわたって裸光ファイバ外周を覆う被覆が外周面(側面)を形成する構成、あるいは長手方向の一部に裸光ファイバが露出した部分が確保されている以外は全長にわたって裸光ファイバ外周を被覆が覆う構成のものである。
【0155】
前記ストップリング55は円筒状に形成されている。ストップリング55は、その前端部を、前側ハウジング30から後側に延出するプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けることができる。ストップリング55は、前端部をプラグフレーム部35にその後端から内挿し、前記前端部の両側に突設されている係合突起55c(図22参照)をプラグフレーム部35後端部の両側に形成されている係止孔35aに入り込ませることでプラグフレーム部35に嵌合する。
【0156】
ストップリング55の軸線方向の複数箇所(図示例では2箇所)には、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿する介挿片51、52を通すための介挿片挿通孔55aが形成されている。
この結合ユニット部50Bを採用した光コネクタは、現場組立形光コネクタである。この光コネクタの結合ユニット部50Bの光ファイバ7先端部への組み立て(取り付け)は、クランプ部付きフェルール60の後側延出片65と蓋部材66、67との間に介挿片51、52を介挿した状態(介挿片付きユニット部の状態)で、ストップリング55後端の光ファイバ挿入口55bから光ファイバ7を挿入する。そして、光ファイバ7(挿入光ファイバ)先端に予め口出ししておいた裸光ファイバ7a(図22参照)を内蔵光ファイバ62後端に突き当てた状態(突き合わせ接続した状態)で、クランプ部付きフェルール60のクランプ部63から介挿片51、52を抜き去り、クランプ部63に光ファイバ7先端部を内蔵光ファイバ62(図4、図6参照)の後側突出部62aとともに把持固定する。
【0157】
図24、図25に示す結合ユニット部50Cは、既述の結合ユニット部50Aの前側ハウジング30と、この前側ハウジング30のプラグフレーム部35に嵌合して前側ハウジング30に取り付けたスリーブ状のストップリング56とからなるユニット部ハウジング51C内に、光ファイバ心線等の被覆付き光ファイバである光ファイバ7の先端部に取り付けたフェルール57(内蔵フェルール)と、このフェルール57をコネクタ前側へ向かって弾性付勢するスプリング58(コイルスプリング)とを収納した構成になっている。
この結合ユニット部50Cは、光ファイバ7の先端部に組み立てられている。
光ファイバ7は、ストップリング56後端の後端開口部56aから延出されている。
【0158】
図26に示すように、前記フェルール57は、単心光コネクタ用のフェルールであり、ファイバ孔57aが貫通するキャピラリ状のフェルール本体57fにフランジ部品57gを固定したものである。フランジ部品57gは、フェルール本体57f前端の突き合わせ接合用の接合端面57bとは反対の後端部に固定されたリング状のフランジ部57hに、フェルール本体57f後端から後側へ延出するスリーブ部57iが突設された構成となっている。
フェルール57のファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在し、フェルール後端面、すなわちフランジ部品57hのスリーブ部57iの後端面に達している。このフェルール57には、前記ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部が内挿固定されている。ファイバ孔57aに挿入された光ファイバ7の先端部は、例えば、ファイバ孔57aに充填された接着剤による接着固定などによってフェルール57に固定される。
【0159】
図26に示すように、前記ファイバ孔57aは、フェルール本体57f先端(前端)の接合端面57bからフェルール57後側に向かって延在する微細孔である位置決め孔部57cを有する。このファイバ孔57aの位置決め孔部57c後端から後側の部分は、位置決め孔部57cに比べて径大に形成された被覆部収納孔部57dとされている。被覆部収納孔部57dは、位置決め孔部57c後端から後側へ延在しフェルール後端面に達している。
フェルール57には、ファイバ孔57aの位置決め孔部57cに、光ファイバ7の先端に口出しされた裸光ファイバ7aが内挿固定され、被覆部収納孔部57dに光ファイバ7の裸光ファイバ7aから後側の被覆7b付き部分である被覆部が内挿固定されている。
【0160】
本発明に係る実施形態の光コネクタは、挿入光コネクタ90が先端に取り付けられている光ファイバ94に対してコネクタ接続する光ファイバ7、光ファイバケーブル1といった光伝送体の構成に応じて、結合ユニット部50の構成を適宜選択できる。
【0161】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0162】
例えば、コネクタ嵌合ハウジングとしては、嵌合ハウジング本体20fから突出する係止用弾性片20eを含む全体が一体成形されたプラスチック製の一体成形品に限定されない。
コネクタ嵌合ハウジングとしては、例えば、図29、図30に示すように、既述のコネクタ嵌合ハウジング20から係止用弾性片20eを省略したプラスチック製の一体成形品とした構成のもの(コネクタ嵌合ハウジング20A)も採用可能である。
【0163】
図29、図30に例示したコネクタ嵌合ハウジング20Aは、既述のコネクタ嵌合ハウジング20から係止用弾性片20eを省略し、嵌合ハウジング本体20fの外筒部20b外周面に、コネクタ取付プレート5に対する取り付け用の金属板6を装着するための金属板装着凹所20cを形成したものである。このコネクタ嵌合ハウジング20Aの前筒部20a、後筒部20b、キー挿入用切り欠き20d、主板部21、22、側板部23、24、当接突部25、ハウジング貫通孔26については、図中、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと共通の符号を付記する。
【0164】
このコネクタ嵌合ハウジング20Aは、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fの外筒部20b外周面に前記金属板装着凹所20cを形成した構成の嵌合ハウジング本体20gを有する。この嵌合ハウジング本体20gは、係止用弾性片20eを省略し、前記金属板装着凹所20cを形成した点のみが、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと異なる。この嵌合ハウジング本体20gにも、係止突部27、ストッパ突部28、弾性壁部29、長孔29aが既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと同様に形成されている。この嵌合ハウジング本体20gの内側構造は、既述のコネクタ嵌合ハウジング20の嵌合ハウジング本体20fと同じである。
【0165】
図29、図30に示すように、前記金属板6はコ字板状に形成されている。この金属板6は、角筒状の後筒部20b外周の4面の側面を形成する主壁部21、22及び側壁部23、24のうち、一対の主壁部21、22の片方(図示例では符号21の主壁部)と、その両側の側壁部23、24とに重ね合わせて後筒部20bに装着される。この金属板6は、主壁部21に重ね合わされる主板部6aの両側に、側壁部23、24に重ね合わされる立設板部6bを立設した構成となっている。主板部6aの両側の立設板部6bは、主板部6aに対して垂直に形成されている。
【0166】
嵌合ハウジング本体20gの金属板装着凹所20cは、後筒部20b外周に金属板6外形と一致する形状の溝状に形成されている。この金属板装着凹所20cは、その深さを金属板6の板厚に概ね揃えた浅溝状に形成されている。金属板6の一対の立設板部6bは、該金属板6を嵌合ハウジング本体20g外周に装着したときの嵌合ハウジング本体20g前後方向に一致する方向である前後方向において、主板部6aの両側に張り出す大きさに形成されている。金属板6は、後筒部20b外周に該金属板6外形に合致する形状に形成された金属板装着凹所20cに嵌め込むだけで、後筒部20bに対して位置ずれを規制して装着した状態を安定に維持できる。金属板6は、後筒部20bに対して、その前後方向をコネクタ嵌合ハウジング20の前後方向に一致させて装着される。
なお、金属板6としては、立設板部6bが、該金属板6の前後方向において主板部6aの両側に張り出す構成に限定されず、主板部6aの前後方向片側のみに張り出す構成のものも採用可能である。
【0167】
金属板6の係止用弾性片6cは、立設板部6bの後端部から前側に行くにしたがって、立設板部6bから、一対の立設板部6bの互いに対向する内面側とは反対の外面側に離隔距離が増大するように、立設板部6bに対して傾斜して突出する舌片状の突片である。金属板6は、立設板部6bから突出する係止用弾性片6cの突端側が前側、基端側が後側となる向きで、嵌合ハウジング本体20gの後筒部20b外周に装着される。
嵌合ハウジング本体20gの後筒部20b外周に装着した金属板6の係止用弾性片6cは、コネクタ嵌合ハウジング20Aの前筒部20a側に行くにしたがって後筒部20b外周面からの離隔距離が増大するように、後筒部20b外周面に対して傾斜して立設板部6bから突出する。この係止用弾性片6cの先端(突端)は、コネクタ嵌合ハウジング20の軸線方向に一致する前後方向における中央部の当接突部25との間に隙間を介してその後側に離隔した位置に配置される。
金属板6を装着したコネクタ嵌合ハウジング20Aは、コネクタ取付プレート5の窓孔5aに後筒部20bを挿入し、金属板6の係止用弾性片6cの突端と当接突部25との間にコネクタ取付プレート5を挟み込むことで、コネクタ取付プレート5に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0168】
1…光ファイバケーブル、2…光ファイバ(挿入光ファイバ)、7…光ファイバ(挿入光ファイバ)、10…光コネクタ、11a…光コネクタ挿入穴(コネクタ穴)、20…コネクタ嵌合ハウジング、26a…前側ハウジング挿入穴、30…前側ハウジング、40…後側ハウジング、31…ベース部、32…突筒部、33…フェルール挿入孔(貫通孔)、34…爪付き係合爪、35…プラグフレーム部、40…後側ハウジング、41…ストップリング(ストップリング部)、50、50A、50B…結合ユニット部、51、51A、51B、50C…ユニット部ハウジング、52…位置決めスリーブ(割スリーブ)、53…スプリング、55…ストップリング、56…ストップリング、57…内蔵フェルール(フェルール)、58…スプリング、60…クランプ部付きフェルール、61…内蔵フェルール(フェルール、フェルール本体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ挿入穴が前側に開口するコネクタ嵌合ハウジングと、該コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、
前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、
前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールが、前記位置決めスリーブに挿入され位置決めされて前記内蔵フェルールに突き合わされる光コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴に連通する前側ハウジング挿入穴を有し、前記前側ハウジングを前記前側ハウジング挿入穴に挿入して前記ベース部と前記コネクタ嵌合ハウジングとを嵌合させることによって前記結合ユニット部を前記コネクタ嵌合ハウジングに取り付ける請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記前側ハウジング挿入穴に挿入された前記前側ハウジングと係合して、該前側ハウジングの前記コネクタ嵌合ハウジングに対する前後方向の移動を規制する係止手段を有し、
前記係止手段は、前側へ行くにしたがって前記前側ハウジング挿入穴内面からの突出寸法が増大するテーパ状に突設されて、挿入された前記ベース部の外周に突設されている固定用突部が乗り越え可能かつ乗り越えた前記固定用突部の後方への移動を規制する係止突部と、該係止突部から前側に離隔させて突設されて、前記係止突部をその後側から前側へ乗り越えた前記固定用突部が当接されることで該固定用突部の前方への移動を規制するストッパ突部とを有する請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記係止突部は、前記コネクタ嵌合ハウジングにその前後方向に延在形成した一対の長孔の間の弾性壁部に突設されている請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合ハウジングの外周面に形成されたコネクタ前側に行くにしたがって外周面からの離隔距離が増大する突片である係止用弾性片と、この係止用弾性片の前端からコネクタ前側に離隔させて突設されたリブ状の突部とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光コネクタの前記コネクタ嵌合ハウジングをプレートに開口する窓孔に挿入して取り付けたコネクタ接続ユニット。
【請求項1】
光コネクタ挿入穴が前側に開口するコネクタ嵌合ハウジングと、該コネクタ嵌合ハウジングの後部に取り付けられ、内部に内蔵フェルールを収納して前側ハウジングとその後側のストップリングとを嵌合して形成される結合ユニット部とを有し、
前記前側ハウジングは、前記内蔵フェルールおよびそれの内挿される位置決めスリーブが貫通するベース部と、前記ストップリングと嵌合するスリーブ状のプラグフレーム部とを有し、
前記光コネクタ挿入穴に挿入される挿入光コネクタのフェルールが、前記位置決めスリーブに挿入され位置決めされて前記内蔵フェルールに突き合わされる光コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記光コネクタ挿入穴に連通する前側ハウジング挿入穴を有し、前記前側ハウジングを前記前側ハウジング挿入穴に挿入して前記ベース部と前記コネクタ嵌合ハウジングとを嵌合させることによって前記結合ユニット部を前記コネクタ嵌合ハウジングに取り付ける請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ嵌合ハウジングは、前記前側ハウジング挿入穴に挿入された前記前側ハウジングと係合して、該前側ハウジングの前記コネクタ嵌合ハウジングに対する前後方向の移動を規制する係止手段を有し、
前記係止手段は、前側へ行くにしたがって前記前側ハウジング挿入穴内面からの突出寸法が増大するテーパ状に突設されて、挿入された前記ベース部の外周に突設されている固定用突部が乗り越え可能かつ乗り越えた前記固定用突部の後方への移動を規制する係止突部と、該係止突部から前側に離隔させて突設されて、前記係止突部をその後側から前側へ乗り越えた前記固定用突部が当接されることで該固定用突部の前方への移動を規制するストッパ突部とを有する請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記係止突部は、前記コネクタ嵌合ハウジングにその前後方向に延在形成した一対の長孔の間の弾性壁部に突設されている請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合ハウジングの外周面に形成されたコネクタ前側に行くにしたがって外周面からの離隔距離が増大する突片である係止用弾性片と、この係止用弾性片の前端からコネクタ前側に離隔させて突設されたリブ状の突部とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光コネクタの前記コネクタ嵌合ハウジングをプレートに開口する窓孔に挿入して取り付けたコネクタ接続ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−15727(P2013−15727A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149389(P2011−149389)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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