光コネクタ
【課題】小型のキャビネット等への収容性を高めることができ、しかも、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することのできる光コネクタを提供する。
【解決手段】光コネクタフェルール85に取り付けられた短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3とを融着接続した融着接続部13を収容保持する光コネクタ1Bであって、融着接続部13を補強する保護スリーブ87の一端が光コネクタフェルール85に結合されており、光コネクタフェルール85の先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレーム83と、保護スリーブ87を内部空間に配置してプラグフレーム83に接続するリアハウジング91と、を備え、リアハウジング31にはプラグフレーム83に穿設した係止穴83aが係合する係止爪91bが備えられている。
【解決手段】光コネクタフェルール85に取り付けられた短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3とを融着接続した融着接続部13を収容保持する光コネクタ1Bであって、融着接続部13を補強する保護スリーブ87の一端が光コネクタフェルール85に結合されており、光コネクタフェルール85の先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレーム83と、保護スリーブ87を内部空間に配置してプラグフレーム83に接続するリアハウジング91と、を備え、リアハウジング31にはプラグフレーム83に穿設した係止穴83aが係合する係止爪91bが備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタフェルールに予め取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
構内光配線等においては、現地で光ファイバケーブルに光コネクタを取り付ける必要がある。
【0003】
従来、現地で、光ファイバ心線端に光コネクタフェルールを接続する構造の一形態として、特許文献1(図26)に示す光コネクタがある。
上記特許文献1に示された光コネクタ110は、予め光コネクタフェルール102に取り付けられた短尺光ファイバ103と、現地の光ファイバ心線100とが融着接続により接続され、その融着接続部105の周囲が保護スリーブ101で覆われて補強されている。
そして、コネクタハウジング121は、光コネクタフェルール102から保護スリーブ101の後方の光ファイバ心線100の一部までを内部に収容する構成となっている。
また、コネクタハウジング121は、光コネクタフェルール102の先端を突出させた状態に収容したプラグフレーム122と、光ファイバ心線100の端部を収容したブーツ123と、一端がプラグフレーム122に嵌合・一体化すると共に他端がブーツ123に嵌合・一体化する筒状のストップリング124とを備えている。プラグフレーム122内の光コネクタフェルール102は、圧縮コイルばね125により先端側に付勢されている。この圧縮コイルばね125は、コネクタ接続時に、光コネクタフェルール102の後退を許容し、当該光コネクタフェルール102と相手側光コネクタの光コネクタフェルールとの接触圧を規定範囲に保つ。
【0004】
上記した光コネクタ110の、光ファイバ心線端と光コネクタフェルールとの接続は、コネクタハウジングを省略した形態の図28(a)に示すように、現地の光ファイバ心線100の端部を、予め、融着部を保護するための保護スリーブ101に挿通させた状態にしておく。そして、SCコネクタなどのプラグフレームに保持される光コネクタフェルール102に予め取り付けられた短尺光ファイバ103の端部と、光ファイバ心線100の端部とを、それぞれ所定長に渡って被覆を剥いだ状態にして、端部相互を付き合わせて、融着させる。その後、図28(b)に示すように、光ファイバ心線100に装着しておいた保護スリーブ101を融着接続部105の上に移動させ、保護スリーブ101が融着接続部105を覆った補強状態にする。これにより、光コネクタ110は融着接続部105を確実に保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−82257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記の接続において、融着されるそれぞれの光ファイバの端部は、治具で調芯・位置決めする関係で、被覆を剥いだ部位100a,103aの長さを10mm程度に設定する必要があり、また、確実に各光ファイバの被覆部に保護スリーブ101が被さるようにするには、各光ファイバの被覆部と保護スリーブ101との重なりが10mm程度となるように、保護スリーブ101の長さを設定しておく必要があった。
【0007】
即ち、保護スリーブ101の長さは、40mm以上となってしまう。その結果、光コネクタ110は、短尺光ファイバ103の露出した被覆部の長さLと保護スリーブ101の長さ40mmを含んだL+40mm以上と長大化して、十分な収容スペースの確保が難しく、小型のキャビネット等に組み込むことが困難になる場合があった。
なお、光コネクタ110の長大化を阻止するために、保護スリーブ101の長さ寸法を短くすることも考えられるが、この場合、作業者の熟練差又は誤操作等で保護スリーブ101の固定位置が軸方向に位置ずれして、裸の光ファイバが露出してしまう虞があり、各光ファイバ心線の被覆部への重ね代をそれほど短縮することができない。
従って、保護スリーブ101の短縮等には効果が小さく、キャビネット等への収容が難しいという課題は残ったままであった。
【0008】
更に、上記の光コネクタ110の場合は、コネクタ接続時に、相手側の光コネクタフェルールとの当接により光コネクタフェルール102が後退した場合には、光コネクタフェルール102と保護スリーブ101との間の短尺光ファイバ103に圧縮荷重が作用し、この圧縮荷重によって短尺光ファイバ103に曲げが生じ、曲げ損失の増大を招く虞があった。
【0009】
本発明の目的は、小型のキャビネット等への収容性を高めることができ、しかも、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することのできる光コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決することのできる本発明の光コネクタは、光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタであって、
前記融着接続部を補強する保護スリーブの一端が前記光コネクタフェルールに結合されており、
前記光コネクタフェルールの先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレームと、
前記保護スリーブを内部空間に配置して前記プラグフレームに接続するリアハウジングと、を備え、
前記リアハウジングには前記プラグフレームに穿設した係止穴が係合する係止爪が備えられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光コネクタにおいて、前記保護スリーブは熱収縮チューブと該熱収縮チューブに挿通した心棒及び接着チューブとを備え、該保護スリーブが前記光コネクタフェルールと結合されていることが好ましい。
【0012】
本発明の光コネクタにおいて、前記光ファイバ心線は、光コードの端部の外被を所定長除去した状態で前記光コネクタ内に装着され、前記保護スリーブは前記光コネクタフェルールとは結合していない他端側において前記光ファイバ心線の外周を覆っていることが好ましい。
【0013】
本発明の光コネクタにおいて、前記光コードに配された抗張力繊維はリアハウジング後端部にかしめ固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の光コネクタにおいて、前記保護スリーブ内に配置される前記短尺光ファイバ及び前記光ファイバ心線のファイバ位置と、前記光コネクタフェルールの軸中心とが一致していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光コネクタによれば、保護スリーブの一端が光コネクタフェルールに結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、融着接続部を中央位置に設定する保護スリーブの位置決めが正確になされる。その結果、保護スリーブの端部と光ファイバ心線の被覆部との重なり代を短縮でき、これにより、保護スリーブの長さを大幅に短縮して、光コネクタの長さをコンパクトにすることができる。
従って、光コネクタのコンパクト化により、小型キャビネット等への収容性を高めることができる。
また、融着接続部の周囲を覆う保護スリーブは、光コネクタフェルールに結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルールが後退した場合に、光コネクタフェルールと一体に保護スリーブも後退するため、短尺光ファイバに大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際、光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバに大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0016】
また、光ファイバ心線は、たとえ光コードの外被が除去された状態で光コネクタの後方より露出しても、この露出部分が、補強チューブで覆われて補修される。
従って、現地で行なう融着接続作業を良好にするために、光コードの外被を大きく除去して光ファイバ心線が光コネクタより露出されても、補強チューブで覆うことで、光ファイバの曲げ損失の増加等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る光コネクタの参考形態の外観斜視図である。
【図2】図1に示した光コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1に示した光コネクタの分解平面図である。
【図4】図1に示した光コネクタの分解側面図である。
【図5】図1に示した光コネクタの縦断面図である。
【図6】図2に示したプラグフレームと、該プラグフレームに収容保持される光コネクタフェルールとの分解斜視図である。
【図7】図6に示した光コネクタフェルールと、該光コネクタフェルールに接続された保護スリーブの縦断面図である。
【図8】図5のA−A断面図である。
【図9】図2に示した保護スリーブの熱収縮処理前の側面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】図10のC−C断面図である。
【図12】図7に示した光コネクタフェルールの後方の保護スリーブの長さの説明図である。
【図13】本発明に係る光コネクタの他の参考形態を示す縦断面図である。
【図14】図13のB部拡大断面図である。
【図15】(a)〜(c)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図16】(d)〜(g)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図17】(h)〜(k)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図18】本発明に係る光コネクタの一実施形態を示す縦断面図である。
【図19】(a)図18に示した光コネクタの縦断面図、(b)補強チューブを装着した変形例の要部縦断面図である。
【図20】(a)光コネクタフェルールの側面図、(b)光コネクタフェルールを短尺光ファイバ側から見た正面図である。
【図21】(a)図20に示した光コネクタフェルールと、(b)該光コネクタフェルールに接続された熱収縮チューブの縦断面図である。
【図22】図18に示した光コネクタが心線型に適用された変形例の構成を表す縦断面図である。
【図23】(a)〜(e)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図24】(f)〜(k)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図25】(l)〜(q)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図26】従来の光コネクタフェルールに予め取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続する構造の説明図である。
【図27】従来の光コネクタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光コネクタの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る光コネクタの参考形態の外観斜視図、図2は図1に示した光コネクタの分解斜視図、図3は光コネクタの分解平面図、図4は光コネクタの分解側面図、図5は光コネクタの縦断面図である。
【0019】
この参考形態の光コネクタ1は、現地の光コード70の外被72(いずれも図13参照)を所定長除去して露出した光ファイバ心線3の端部に取り付けられるもので、光ファイバ心線3に融着接続する短尺光ファイバ5が予め取り付けられた光コネクタフェルール7と、この光コネクタフェルール7を収容・保持するプラグフレーム9と、光コネクタフェルール7が挿入されるプラグフレーム9の基端側開口に嵌合装着される略円筒状のストッパ11と、光ファイバ心線3と短尺光ファイバ5との融着接続部13(図11参照)の外周を覆って融着接続部13を外装する保護スリーブ15と、保護スリーブ15を配置するための内部空間17を有すると共に先端がプラグフレーム9に結合されてプラグフレーム9に一体化されるリアハウジング18と、短尺光ファイバ5に融着接続される光ファイバ心線3の端部付近を収容して該光ファイバ心線3を保護すると共に先端がリアハウジング18の基端に結合一体化されるブーツ21とを具備している。
【0020】
光コネクタフェルール7は、相手側の光コネクタフェルールに突き合わせ接続される先端軸部7aの後方に、外径が拡径された拡径部7bが装備された形状で、先端軸部7aと中心軸が一致するように、短尺光ファイバ5が取り付けられている。また、光コネクタフェルール7の短尺光ファイバ5が延出される基端側の外周には、図6及び図7に示すように、後述する保護スリーブ15を結合するためのスリーブ結合突起7cが突設されている。
【0021】
光コネクタフェルール7は、プラグフレーム9の基端側開口に挿入されると、図5に示すように、拡径部7bの前端がプラグフレーム9の内周に突設された縮径部9aに当接することで、前方への移動が規制された状態になる。この状態では、図5に示すように、光コネクタフェルール7の先端が所定長L1だけ、プラグフレーム9の先端から突出した状態に位置規制される。
【0022】
また、図2乃至図5に示すように、プラグフレーム9に位置決めされた光コネクタフェルール7の先端には、保管時等にファイバ端面に塵埃等が付着することを防止するために、ダストキャップ22が被冠装着される。
なお、光コネクタフェルール7の先端面は予め鏡面研磨されていて、現地での研磨加工が不要になされている。
【0023】
光コネクタフェルール7が挿入されたプラグフレーム9内には、フェルール押えばね23が挿入される。このフェルール押えばね23は、プラグフレーム9の基端側開口の内周に嵌合装着されるストッパ11の前端と光コネクタフェルール7の拡径部7bとの間に挟まれて保持される圧縮コイルばねで、光コネクタフェルール7の拡径部7bを上記したプラグフレーム9の縮径部9aに当接させると同時に、後退可能に弾性支持する。
【0024】
プラグフレーム9の基端側開口の内周に嵌合装着されるストッパ11は、その外周に周方向に沿って突設した突起11a(図2参照)を、プラグフレーム9の内壁部に形成された係止溝9b(図5参照)に係合させることで、プラグフレーム9の基端側に固定される。
【0025】
融着接続部13は、図11に示すように、短尺光ファイバ5の端部の被覆5aを剥いだ部分5bと、光ファイバ心線3の端部の被覆3aを剥いだ部分3bとを付き合わせて、付き合わせたファイバ端面同士を融着させることにより形成される。
なお、被覆5aを剥いだ短尺光ファイバ5の端面は、予め、光ファイバに曲げ応力をかけて切断する劈開により、あるいは、研磨によって鏡面加工され、現地での鏡面加工を不要にしている。
また、短尺光ファイバ5の端面は、融着接続前に放電処理してエッジを落としておくと、研磨によって生じるエッジからのチッピングを防ぐことができて好ましい。さらに、短尺光ファイバ5は、被覆を除去した状態で現地まで搬送されるため、傷や吸水による強度低下が抑えられることから、カーボンコートファイバを用いることが好ましい。また、短尺光ファイバ5は、MFDを小さくした曲げに強いファイバであることが好ましい。
【0026】
保護スリーブ15は、図7及び図8に示すように、熱収縮チューブ25と、該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29と、熱収縮チューブ25の一端に固着される連結部品31とを備え、該連結部品31が光コネクタフェルール7に結合される。
【0027】
熱収縮チューブ25は、加熱機によって所定温度に加熱すると、熱収縮して、挿通されている心棒27に密着した状態になる。
心棒27は、図8及び図10に示すように、横断面形状が円形状の中実の丸棒で、補強用の心材として、熱収縮チューブ25に挿通されている。心棒27としては、鋼線、ガラスなどを用いることができる。
接着チューブ29は、心棒27に縦添えした形態で熱収縮チューブ25内に挿通された接着剤製のチューブであり、熱収縮チューブ25を熱収縮させる際の加熱で軟化して、熱収縮チューブ25と心棒27との間の隙間34を埋める接着剤となる。
【0028】
保護スリーブ15は、当初、図11に示すように熱収縮チューブ25の一端に、心棒27の端部と接着チューブ29の端部とが、所定長L2だけ突出した状態に、熱収縮チューブ25と心棒27と接着チューブ29とを位置決めし、この位置決め状態で図9に示すように熱収縮チューブ25の一端に連結部品31の基端が固定される。
連結部品31は、熱収縮チューブ25及び心棒27の端部が圧入又は接着又は溶着されることにより、これらに固定・一体化されている。
【0029】
連結部品31は、図6に示すように、光コネクタフェルール7側の端部が、光コネクタフェルール7の基端に外嵌する筒部31aになっており、この筒部31aには図9に示すように光コネクタフェルール7のスリーブ結合突起7cが係合する係合穴31bが形成されている。
係合穴31bとスリーブ結合突起7cとを係合することで、保護スリーブ15の一端が光コネクタフェルール7に結合・一体化された状態になる。
【0030】
以上の保護スリーブ15は、光コネクタ1を組み立てる際には、予め、図2に示したリアハウジング18やブーツ21と共に、光ファイバ心線3を挿通させておき、光ファイバ心線3と短尺光ファイバ5との融着接続後に、融着接続部13の上に戻す。そして、連結部品31を光コネクタフェルール7の基端に結合すると、融着接続部13が丁度保護スリーブ15の長さ方向の略中間位置に位置決めされるように、短尺光ファイバ5及び保護スリーブ15の熱収縮チューブ25,心棒27,接着チューブ29の長さ寸法が設定されている。
【0031】
更に詳述すると、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3の融着接続後、その融着接続部13を覆うように、保護スリーブ15を融着接続部13上に移動させ、保護スリーブ15の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合させた後、熱収縮チューブ25に熱を加えて、融着接続部13の前後の光ファイバ心線3及び短尺光ファイバ5を心棒27に縦添えした状態に固定する。
このように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた時、図12に示すように、熱収縮チューブ25の端部が、光ファイバ心線3の被覆3a及び短尺光ファイバ5の被覆5aの上に3mm以上重なるように、各部品の寸法が設定されている。
【0032】
本参考の形態の場合、図7に示すように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた状態では、保護スリーブ15内に配置される短尺光ファイバ5及び光ファイバ心線3のファイバ位置と、光コネクタフェルール7の軸中心とが一致するように、連結部品31及び心棒27等の径寸法等が設定されている。
【0033】
図2及び図6に示すように、前述した連結部品31の外周面には、軸方向に沿って延在する位置決め突起31cが設けられている。そして、プラグフレーム9の基端側に固定されるストッパ11には、位置決め突起31cをファイバ軸方向に移動可能に案内する案内溝11cが設けられている。
従って、保護スリーブ15を結合・一体化した光コネクタフェルール7をプラグフレーム9に挿入するとき、位置決め突起31cを案内溝11cの位置に合わせて挿入することで、円滑に、光コネクタフェルール7及び保護スリーブ15を、プラグフレーム9内に装着することができる。
【0034】
リアハウジング18は、保護スリーブ15の周囲を覆う筒状構造体で、樹脂の射出成形等により形成されている。このリアハウジング18の先端は、図3乃至図5に示すように、プラグフレーム9の基端に外嵌する筒部18aになっている。そして、この筒部18aには、プラグフレーム9の基端に外嵌させたときに、プラグフレーム9の基端外周に突出形成されている係止爪9cに係合する係止穴18bが備えられている。
以上のリアハウジング18は、保護スリーブ15の熱収縮処理後に、保護スリーブ15の上に被せられ、先端側の係止穴18bをプラグフレーム9の係止爪9cに係合させることにより、プラグフレーム9に結合されて一体化される。
【0035】
本参考の形態の場合、リアハウジング18が結合されたプラグフレーム9の外周には、コネクタ接続する際のつまみ部となるSCコネクタつまみ33が被冠装着される。このSCコネクタつまみ33は、光コネクタ1の先端側の外観を提供する外装部材で、外側面には、つかみ易くするための滑り止め用の凹凸33aが形成されている。
【0036】
ブーツ21は、リアハウジング18の後方に延出する光ファイバ心線3に急激な曲げが作用しないように、光ファイバ心線3を保護するもので、先端がリアハウジング18の基端に嵌合又は螺着することにより、リアハウジング18に結合一体化される。
但し、樹脂の射出成形により、リアハウジング18と一体形成するようにしても良い。
【0037】
本参考の形態の場合、図5に示すように、保護スリーブ15の他端15aとこの他端15aに対向するブーツ21内の内壁端21aとの間には、保護スリーブ15の後退を許容する空間35が形成されている。
【0038】
更に、図2及び図5に示すように、ブーツ21の内壁端21aの後方には、光ファイバ心線3に被せられる補強チューブ37が挿入装着される。
補強チューブ37は、先端に拡径した抜け止め部37aが設けられており、抜け止め部37aが引っかかることで、ブーツ21の後方側への移動が規制される。補強チューブ37は適度な弾性を有したチューブで、光ファイバ心線3が急激に曲げられることを防止する。
【0039】
以上に説明した光コネクタ1によれば、保護スリーブ15の一端が光コネクタフェルール7に結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、保護スリーブ15の位置決めが正確になる。その結果、保護スリーブ15の端部と光ファイバ心線3の被覆部との重なり代を図12に示したように3mm程度まで短縮でき、これにより、保護スリーブ15の長さを大幅に短縮して、光コネクタ1の長さを短尺光ファイバ5の露出した被覆部の長さLと保護スリーブ15の長さ26mmを含んだL+26mm程度にしてコンパクトにできる。
従って、光コネクタ1のコンパクト化により、小型の架空クロージャ等への収容性を高めることができる。
【0040】
また、光コネクタフェルール7に予め取り付けられている短尺光ファイバ5や融着接続部13の周囲を覆う保護スリーブ15は、光コネクタフェルール7に結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退した場合には、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15も後退するため、短尺光ファイバ5に大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際に、光コネクタフェルール7に取り付けられた短尺光ファイバ5に大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0041】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、保護スリーブ15は熱収縮チューブ25と該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29と熱収縮チューブ25の一端に固着された連結部品31とを備え、該連結部品31が光コネクタフェルール7と結合する構成となっている。
そのため、保護スリーブ15は、光コネクタフェルール7に取り付けられた短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3とを融着接続する前に、現地の光ファイバ心線3の端部を挿通させた状態にしておき、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3との融着接続後に、保護スリーブ15を光コネクタフェルール7側に移動させて、保護スリーブ15の一端の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合させることで、簡単に保護スリーブ15を光コネクタフェルール7に結合した状態にできる。
【0042】
そして、保護スリーブ15は、その一端の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合した後、その外周囲にある熱収縮チューブ25を加熱機による加熱処理で熱収縮させるという簡単な操作で、短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3との融着接続部13を心棒27に縦添えした状態にしっかりと保持することができ、融着接続部13を堅牢に補強することができる。
即ち、作業設備等を整え難い現地でも、簡単且つ確実に、保護スリーブ15により融着接続部13を保護することができる。
【0043】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、連結部品31は、熱収縮チューブ25及び心棒27が圧入又は接着又は溶着により固定された構成となっている。
即ち、光コネクタフェルール7に結合される保護スリーブ15は、融着接続部13に縦添えされる心棒27やこの心棒27に融着接続部13を押え付ける熱収縮チューブ25が、光コネクタフェルール7に結合される連結部品31に固定されているため、連結部品31と心棒27とのつなぎ目で屈曲等が起こることがなく、保護スリーブ15内の光ファイバ及び融着接続部13を、曲げがかかりにくい良好な状態に維持することができる。また、本参考の形態の光コネクタ1では、連結部品31は、熱収縮チューブと心棒を固定する構造としたが、心棒のみを固定して結合しても良い。
【0044】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、光コネクタフェルール7の先端部を突出させると共に、該フェルールを収納保持するプラグフレーム9を備え、該プラグフレーム9には保護スリーブ15の外周面に突出した位置決め突起31cをファイバ軸方向に移動可能に案内する案内溝11cが形成されている。
即ち、一端の連結部品31が光コネクタフェルール7に結合される保護スリーブ15は、その外周に突設された位置決め突起31cが光コネクタフェルール7を収容保持するプラグフレーム9の案内溝11cに係合することで、プラグフレーム9に対して、ファイバ軸方向にのみ移動可能に保持される。
従って、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退する場合に、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15が後退する動作を円滑にすることができる。
【0045】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、保護スリーブ15を内部空間17に配置した状態でプラグフレーム9に接続すると共に光ファイバ心線3を保護するブーツ21を一体に形成したリアハウジング18を備え、該リアハウジング18にはプラグフレーム9に突出形成した係止爪9cが係合する係止穴18bが備えられている。
従って、保護スリーブ15の外周囲はリアハウジング18により覆われて保護されるため、架空クロージャ等への収容する際の取り扱いが容易になる。
【0046】
また、リアハウジング18は、プラグフレーム9寄りの位置に形成された係止穴18bに、プラグフレーム9に装備された係止爪9cを係合させるだけで、プラグフレーム9に接続できるため、現地で簡単に組み立てでき、現地での作業を容易にすることができる。
【0047】
また、本参考の形態の光コネクタ1において、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退した場合には、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15も後退するが、保護スリーブ15の他端とリアハウジング18の内壁端との間には空間35が形成されているため、保護スリーブ15の後退動作が規制されることがなく、コネクタ接続時における光コネクタフェルール7の後退を無理なく受け入れることができる。
【0048】
次に、本発明に係る光コネクタの他の参考の形態について説明する。
この参考形態の光コネクタは、現地の光コードの端部に取り付けられた際、光コネクタの後方より露出する光ファイバ心線上に被せられて当該光ファイバ心線を保護する補強チューブを備える。なお、補強チューブは先の参考形態でも装備されたが、本参考形態では、その構成および装着方法について具体的に詳述する。
なお、本参考形態において、補強チューブを除く構成は先の参考形態と同じなので、同一部分、部位には同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0049】
図13は本発明に係る光コネクタの他の参考形態の縦断面図、図14は図13のB部拡大断面図、図15は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【0050】
本参考形態に係る光コネクタ1Aは、現地の光コード70の外被72を除去して露出した光ファイバ心線3に光コネクタフェルール7の短尺光ファイバ5を融着接続する際、融着接続時の作業が良好となるように光コード70の端部の外被72を大きく剥ぐと、光コネクタ1Aの後方より光ファイバ心線3が露出することになるので、この露出した光ファイバ心線3の部分に被せられて、当該光ファイバ心線3を保護する補強チューブ42を備える。
【0051】
なお、光コード70は、端部において外被72を剥ぐ(除去する)と、外周囲を抗張力繊維74のケブラー(図14参照)で覆われた光ファイバ心線3が露出する。
【0052】
補強チューブ42は、ブーツ21を挿通した先端が、連結部材となるかしめリング44によりリアハウジング18の後端に連結されている。詳述すれば、かしめリング44は、図14に示すように、一端に形成した大径部44aと他端に形成した小径部44bとが中間部44cを介して連続した略円筒体とされている。
【0053】
大径部44aは、リアハウジング18の後端外周面上に緩やかに係合する大きさに開口され、外径方向より圧縮かしめすると縮径してリアハウジング18上に固定係合する。そこで、光コード70をかしめリング44の小径部44b側より挿入すると共に、光コード70の外被72を所定長除去して露出した抗張力繊維74をリアハウジング18上に配置した状態で大径部44aを圧縮かしめすると、抗張力繊維74がリアハウジング18とかしめリング44とで挟持された状態となって、リアハウジング18に固定される。
【0054】
小径部44bは、当該小径部44bの外周面上でかしめ可能に形成されたリング46を備える。このリング46を外径方向よりかしめることにより、補強チューブ42は端部がかしめリング44の小径部44bとリング46とで挟持された状態とされて固定される。つまり、補強チューブ42は端部にリアハウジング18との連結部材となるかしめリング44を一体的に装備して後述する補強チューブ組立体40を形成する。なお、リング46はかしめられた状態で、ブーツ21の内壁面21a(図5参照)に引っかかって、補強チューブ42のブーツ21の後方側への移動を規制する。このリング46は、先の参考形態での抜け止め部37aに相当する。
【0055】
補強チューブ42は他端側において一部が該補強チューブ42上に配置され、一部が光コード70の外被72上に配置される熱収縮チューブ48によって位置決め固定される。つまり、補強チューブ42は、光コード70の外被72を所定長除去して光コネクタ1Aの後方より露出している光ファイバ心線3の部分を覆う長さに形成され、光コネクタ1Aに結合して位置ずれすることなく光ファイバ心線3を覆うことができる。
【0056】
次に補強チューブを装着する際の組立手順について説明する。
先ず、図15(a)に示すように、現地の光コード70の端部に、ブーツ21、かしめリング44を結合した補強チューブ組立体40、リアハウジング18の順番に当該各部を挿入しておく。
【0057】
補強チューブ組立体40は、補強チューブ42のブーツ21側端部に熱収縮チューブ48を装着すると共に、リアハウジング18側の端部に連結部材となるかしめリング44を予めかしめ固定したものである。
熱収縮チューブ48は、補強チューブ42の部分のみ加熱収縮させて補強チューブ42に固定されている。かしめリング44の固定は、補強チューブ42の端部にかしめリング44の小径部44bを嵌入させた状態で、小径部44b上をリング46により補強チューブ42を圧縮かしめして達成される。
【0058】
リアハウジング18の先端から引き出された光コード70は、図15(b)に示すように、端部の外被72が所定長除去されて、抗張力繊維74及び光ファイバ心線3を露出させている。露出した抗張力繊維74は、図15(c)に示すように、後作業の邪魔とならないよう、補強チューブ42側に折り返される一方、光ファイバ心線3には、保護スリーブ15が挿通される。
【0059】
保護スリーブ15から引き出された光ファイバ心線3は、図15(d)に示すように、被覆3aを除去して裸ファイバの部分3bを露出させた後、さらに当該部分3bを清掃後、所定長に鏡面カットされる。そして、図15(e)に示すように、光ファイバ心線3の被覆3aを剥いだ部分3bとプラグフレーム9に嵌合装着された短尺光ファイバ5の被覆を剥いだ部分5bとを付き合せて、付き合わせたファイバ端面同士を融着接続する。
【0060】
保護スリーブ15は、図16(f)に示すように、融着接続部を覆うように移動して、光コネクタフェルール7を介してプラグフレーム9に結合される。
次いで、リアハウジング18は、図16(g)に示すように、保護スリーブ15と同様に移動して、保護スリーブ15上に被せた状態で、プラグフレーム9に結合して一体化される。
【0061】
引き続き、光コード70の端部から露出した光ファイバ心線3を、補強チューブ42で覆うために、補強チューブ組立体40を移動させてリアハウジング18に結合するが、先ず、図17(h)に示すように、抗張力繊維74をリアハウジング18の後端外周面上に配置した状態で、補強チューブ組立体40を移動した後、抗張力繊維74を連結部材となるかしめリング44の大径部44aでかしめ固定する。これにより、補強チューブ組立体40はリアハウジング18に結合して一体化される。その後、ブーツ21は、図17(i)に示すように、補給チューブ組立体40上を移動してリアハウジング18に装着する。
【0062】
補強チューブ組立体40はその他端が、図17(j)に示すように、熱収縮チューブ48を加熱収縮して光コード70上に位置決め固定される。
以上の工程を経ることで、補強チューブ組立体40は一端がリアハウジング18とブーツ21とによって位置決めされ、他端が熱収縮チューブ48によって位置決めされる。これにより、補強チューブ組立体40はファイバ軸方向の動きが規制され、光コネクタ1Aの後方より露出した光ファイバ心線3部分での位置ずれが防止される。
【0063】
最後に、図17(k)に示すように、プラグフレーム9にSCコネクタつまみ33を装着して組み立てが完了する。
【0064】
上記の参考形態によれば、融着接続作業を良好に行なうために、現地の光コードの外被を大きく除去して光ファイバ心線が光コネクタより露出するような場合でも、露出した光ファイバ心線は補強チューブで覆われるため、曲げなどの外力が作用しても、許容値以下の曲げを阻止して光伝送特性の低下を防止することができる。
【0065】
次に、本発明に係る光コネクタの実施の形態について説明する。
図18は本発明に係る光コネクタの実施形態を示す縦断面図である。なお、本実施形態において、上記の参考形態と同一部分、部位には同一符号を付して説明する。
この実施形態の光コネクタは、光コード70を接続するコード型、光ファイバ心線3を接続する心線型の双方に適用することができる。心線型光コネクタは、SCコネクタつまみの形状がやや異なる他はコード型光コネクタと略共通の部品が用いられる。以下の説明では主にコード型光コネクタ(単に「光コネクタ」とも称す)1Bについて説明する。
【0066】
光コネクタ1Bは、相手側光コネクタの結合される先端側(図18の左側)から、SCコネクタつまみ81と、プラグフレーム83と、ファイバ内蔵フェルール(光コネクタフェルール)85と、保護スリーブ87と、フェルール押えばね89と、リアハウジング91と、かしめリング93と、ブーツ95とを主要な部材として有している。つまり、上記実施形態で説明したストッパ11、連結部品31を使用しない構造となっている。
【0067】
図19は(a)図18に示した光コネクタの縦断面図、(b)補強チューブを装着した変形例の要部縦断面図、図20は(a)光コネクタフェルールの側面図、(b)光コネクタフェルールを短尺光ファイバ側から見た正面図である。
光コネクタフェルール85は、相手側の光コネクタフェルールに突き合わせ接続される先端軸部7aの後方に、外径が拡径された拡径部7bが装備された形状で、先端軸部7aと中心軸が一致するように、短尺光ファイバ5が取り付けられている。また、光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5が延出される基端側の外周には、後述する保護スリーブ87を結合するためのスリーブ結合突起7cが突設されている。
【0068】
光コネクタフェルール85は、プラグフレーム83の基端側開口に挿入されると、図19に示すように、拡径部7bの前端がプラグフレーム83の内周に突設された縮径部9aに当接することで、前方への移動が規制された状態になる。この状態では、光コネクタフェルール85の先端が所定長L1だけ、プラグフレーム83の先端から突出した状態に位置規制される。
【0069】
プラグフレーム83に位置決めされた光コネクタフェルール85の先端には、保管時等にファイバ端面に塵埃等が付着することを防止するために、不図示のダストキャップ(図2中、符号22参照)が被冠装着される。
なお、光コネクタフェルール85の先端面は予め鏡面研磨されていて、現地での研磨加工が不要になされている。
【0070】
光コネクタフェルール85が挿入されたプラグフレーム83内には、フェルール押えばね89が挿入される。このフェルール押えばね89は、後述するプラグフレーム83に係合するリアハウジング91と光コネクタフェルール85の拡径部7bとの間に挟まれて保持される圧縮コイルばねで、光コネクタフェルール85の拡径部7bを上記したプラグフレーム83の縮径部9aに当接させると同時に、後退可能に弾性支持する。
【0071】
図21は(a)図20に示した光コネクタフェルールと該光コネクタフェルールに接続された熱収縮チューブの縦断面図、(b)熱収縮チューブの(a)におけるA−A縦断面図である。
融着接続部13は、短尺光ファイバ5の端部の被覆5aを剥いだ部分5bと、光ファイバ心線3の端部の被覆3aを剥いだ部分3bとを付き合わせて、付き合わせたファイバ端面同士を融着させることにより形成される。
なお、被覆5aを剥いだ短尺光ファイバ5の端面は、予め、光ファイバに曲げ応力をかけて切断する劈開により、あるいは、研磨によって鏡面加工され、現地での鏡面加工を不要にしている。
また、短尺光ファイバ5の端面は、融着接続前に放電処理してエッジを落としておくと、研磨によって生じるエッジからのチッピングを防ぐことができて好ましい。さらに、短尺光ファイバ5は、被覆を除去した状態で現地まで搬送されるため、傷や吸水による強度低下が抑えられることから、カーボンコートファイバを用いることが好ましい。また、短尺光ファイバ5は、MFDを小さくした曲げに強いファイバであることが好ましい。
【0072】
保護スリーブ87は、図21(b)に示すように、熱収縮チューブ25と、該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29(図10参照)とを備え、該熱収縮チューブ25が光コネクタフェルール85に結合される。光ファイバ心線3は、光コード70の端部の外被72を所定長除去した状態で光コネクタ1B内に装着され、保護スリーブ87は光コネクタフェルール85とは結合していない他端側において光ファイバ心線3の外周を覆っている。
【0073】
熱収縮チューブ25は、加熱機によって所定温度に加熱すると、熱収縮して、挿通されている心棒27に密着した状態になる。
接着チューブ29は、熱収縮チューブ25を熱収縮させる際の加熱で軟化して、熱収縮チューブ25と心棒27との間の隙間34を埋める接着剤となる。
【0074】
保護スリーブ87は、一端に、心棒27の端部と接着チューブ29の端部とが、一致した状態に、熱収縮チューブ25と心棒27と接着チューブ29とを位置決めし、この位置決め状態で光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに固定される。
光コネクタフェルール85は、熱収縮チューブ25及び心棒27の端部が圧入又は接着又は溶着されることにより、これらに固定・一体化されている。
【0075】
保護スリーブ87は、光コネクタフェルール85の基端のスリーブ結合突起7cに結合すると、融着接続部13が丁度保護スリーブ87の長さ方向の略中間位置に位置決めされるように、短尺光ファイバ5及び保護スリーブ87の熱収縮チューブ25,心棒27,接着チューブ29の長さ寸法が設定されている。
【0076】
保護スリーブ87は、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3の融着接続後、その融着接続部13を覆うように移動させ、光コネクタフェルール85に当接した後、熱収縮チューブ25に加熱を加えて、光ファイバ心線3及び短尺光ファイバ5を心棒27に縦添えした状態に固定する。
このように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた時、熱収縮チューブ25の端部が、光ファイバ心線3の被覆3a及びスリーブ結合突起7cの上に2mm以上重なるように、各部品の寸法が設定されている。
【0077】
リアハウジング91は、保護スリーブ87の周囲を覆う筒状構造体で、樹脂の射出成形等により形成されている。このリアハウジング91の先端は、プラグフレーム83の基端に嵌入する筒部91aになっている。そして、この筒部91aには、プラグフレーム83の基端に嵌入したときに、プラグフレーム83の基端外周に穿設されている係止穴83aに係合する係止爪91bが備えられている。
以上のリアハウジング91は、保護スリーブ87の熱収縮処理後に、保護スリーブ87の上に移動して被せられ、先端側の係止爪91bをプラグフレーム83の係止穴83aに係合させることにより、プラグフレーム83に結合されて一体化される。
【0078】
リアハウジング91が結合されたプラグフレーム83の外周には、コネクタ接続する際のつまみ部となるSCコネクタつまみ81が被冠装着される。このSCコネクタつまみ81は、光コネクタ1Bの先端側の外観を提供する外装部材で、外側面には、つかみ易くするための滑り止め用の凹凸33aが形成されている。
【0079】
ブーツ95は、リアハウジング91の後方に延出する光コード70に急激な曲げが作用しないように、光コード70を保護するもので、先端がリアハウジング91の基端に嵌合又は螺着することにより、リアハウジング91に結合一体化される。
但し、樹脂の射出成形により、リアハウジング91と一体形成するようにしても良い。
【0080】
保護スリーブ87の他端87a(図21参照)とこの他端87aに対向するブーツ95内の内壁端との間には、保護スリーブ87の後退を許容する空間35(図19参照)が形成されている。
なお、ブーツ95は、図19(b)に示すように、内壁端の後方に、光コード70に被せられる補強チューブ37が挿入装着される構成であっても良い。
補強チューブ37は、先端に拡径した抜け止め部37aが設けられており、抜け止め部37aがブーツ95内の内壁端に引っかかることで、移動が規制される。補強チューブ37は適度な弾性を有したチューブで光コード70が急激に曲げられることを防止する。
【0081】
光コネクタフェルール85の拡径部7bの側面には方向合わせマーク97aが設けられる。一方、プラグフレーム83の側壁には方向合わせマーク97bと、視認溝99が設けられている。光コネクタフェルール85は、視認溝99で方向合わせマーク97aを確認しながら方向合わせマーク97bと一致させることで、正規の向きでプラグフレーム83に嵌合されるようになっている。
【0082】
光コネクタ1Bは、現地の光コード70の外被72を除去して露出した光ファイバ心線3に光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5を融着接続する際、融着接続時の作業が良好となるように光コード70の端部の外被72を大きく剥ぐ。光コード70は、端部において外被72を剥ぐ(除去する)と、外周囲を抗張力繊維(ケブラー)74で覆われた光ファイバ心線3が露出する。
【0083】
抗張力繊維74と外被72は、所定長に切断されて、リアハウジング91の後端部91cに外挿される。外挿された外被72の外周にはかしめリング93が被せられ、かしめリング93は縮径方向にかしめられる。かしめリング93が縮径することにより、外被72と抗張力繊維74はかしめリング93と後端部91cに圧着され、リアハウジング91に固定される。
【0084】
図22は図18に示した光コネクタが心線型に適用された変形例の構成を表す縦断面図である。
上記のように本実施の形態による光コネクタ1Bは、心線型としても用いることができる。この場合、その部品構成は、SCコネクタつまみ81の形状が若干異なる点、抗張力繊維74、外被72を固定するためのかしめリング93が不要となる点のみで他は同一である。なお、図22中、37は光ファイバ心線3用の補強チューブを示す。
【0085】
以上に説明した光コネクタ1Bによれば、保護スリーブ87の一端が光コネクタフェルール85に結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、保護スリーブ87の位置決めが正確になる。その結果、保護スリーブ87の端部と光ファイバ心線3の被覆部との重なり代を3mm程度まで短縮でき、これにより、保護スリーブ87の長さを大幅に短縮して、光コネクタ1Bの長さをコンパクトにできる。
従って、光コネクタ1Bのコンパクト化により、小型の架空クロージャ等への収容性を高めることができる。
【0086】
また、光コネクタフェルール85に予め取り付けられている短尺光ファイバ5や融着接続部13の周囲を覆う保護スリーブ87は、光コネクタフェルール85に結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール85が後退した場合には、光コネクタフェルール85と一体に保護スリーブ87も後退するため、短尺光ファイバ5に大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際に、光コネクタフェルール85に取り付けられた短尺光ファイバ5に大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0087】
また、本実施の形態の光コネクタ1Bでは、保護スリーブ87は熱収縮チューブ25と該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29とを備え、保護スリーブ87が光コネクタフェルール85と結合する構成となっている。
【0088】
そして、保護スリーブ87は、その一端を光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに結合した後、その外周囲にある熱収縮チューブ25を加熱機による加熱処理で熱収縮させるという簡単な操作で、短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3との融着接続部13を心棒27に縦添えした状態にしっかりと保持することができ、融着接続部13を堅牢に補強することができる。
即ち、作業設備等を整え難い現地でも、簡単且つ確実に、保護スリーブ87により融着接続部13を保護することができる。
【0089】
次に、上記の構成を有する光コネクタ1Bの組立手順について説明する。
図23(a)〜(e)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図、図24(f)〜(k)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図、図25(l)〜(q)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
光コネクタ1Bを組立てるには、先ず、図23(a)に示すように、現地の光コード70の端部に、ブーツ95、かしめリング93、リアハウジング91、フェルール押えばね89の順番に当該各部を挿入しておく。
【0090】
図23(b)に示すように、光コード70の先端側の外被72を除去し、余分な抗張力繊維74はカットする。図23(c)に示すように、外被72に軸線方向の切れ目103を入れて割く。図23(d)に示すように、外被72及び露出した抗張力繊維74は、後作業の邪魔とならないよう折り返す。図23(e)に示すように、光ファイバ心線3に、保護スリーブ87を挿通する。
【0091】
保護スリーブ87から引き出された光ファイバ心線3は、図24(f)に示すように、被覆3aを除去して裸ファイバの部分3bを露出させた後、さらに当該部分3bを清掃する。図24(g)に示すように、保護スリーブ87及び光ファイバ心線3を融着用ファイバホルダ105Aにセットする。図24(h)に示すように所定長に鏡面カットした後、保護スリーブ87及び光ファイバ心線3を不図示の融着機にセットする。
【0092】
一方、図24(i)に示すように、短尺光ファイバ5を内蔵した光コネクタフェルール85をフェルールホルダ105Bにセットする。なお、図中22はダストキャップを示す。図24(j)に示すように、光コネクタフェルール85を保持したフェルールホルダ105Bを不図示の融着機にセットする。図24(k)に示すように、融着機にて、光ファイバ心線3の被覆3aを剥いだ部分3bと光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5の被覆を剥いだ部分5bとを付き合せて融着接続する。
【0093】
図25(l)に示すように、保護スリーブ87の先端を光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに挿入し、融着接続部13を覆い、保護スリーブ87を加熱収縮させる。図25(m)に示すように、折り返していた抗張力繊維74と外被72とを戻す。
【0094】
図25(n)に示すように、光コネクタフェルール85からダストキャップ22を外し、光コネクタフェルール85の先端側からプラグフレーム83を挿入し、フェルール押えばね89を収容しながらリアハウジング91をプラグフレーム83に組み付ける。図25(o)に示すように、抗張力繊維74と外被72とをリアハウジング91の後端部91c上に被せる。
【0095】
図25(p)に示すように、かしめリング93を圧着し、抗張力繊維74と外被72とを後端部91cに固定する。最後に、SCコネクタつまみ81とブーツ95とをそれぞれプラグフレーム83とリアハウジング91とに結合して光コネクタ1Bの組立を完成する。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B:光コネクタ、3:光ファイバ心線、5:短尺光ファイバ、7,85:光コネクタフェルール、7b:拡径部、7c:スリーブ結合突起、9,83:プラグフレーム、9a:縮径部、9b:係止溝、11:ストッパ、11a:突起、11c:案内溝、13:融着接続部、15,87:保護スリーブ、17:内部空間、21,95:ブーツ、23,89:フェルール押えばね、25:熱収縮チューブ、27:心棒、29:接着チューブ、31:連結部品、31b:係合穴、31c:位置決め突起、33:SCコネクタつまみ、35:空間、37,42:補強チューブ、38:熱収縮チューブ、40:補強チューブ組立体、44,93:かしめリング、70:光コード、72:抗張力繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタフェルールに予め取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
構内光配線等においては、現地で光ファイバケーブルに光コネクタを取り付ける必要がある。
【0003】
従来、現地で、光ファイバ心線端に光コネクタフェルールを接続する構造の一形態として、特許文献1(図26)に示す光コネクタがある。
上記特許文献1に示された光コネクタ110は、予め光コネクタフェルール102に取り付けられた短尺光ファイバ103と、現地の光ファイバ心線100とが融着接続により接続され、その融着接続部105の周囲が保護スリーブ101で覆われて補強されている。
そして、コネクタハウジング121は、光コネクタフェルール102から保護スリーブ101の後方の光ファイバ心線100の一部までを内部に収容する構成となっている。
また、コネクタハウジング121は、光コネクタフェルール102の先端を突出させた状態に収容したプラグフレーム122と、光ファイバ心線100の端部を収容したブーツ123と、一端がプラグフレーム122に嵌合・一体化すると共に他端がブーツ123に嵌合・一体化する筒状のストップリング124とを備えている。プラグフレーム122内の光コネクタフェルール102は、圧縮コイルばね125により先端側に付勢されている。この圧縮コイルばね125は、コネクタ接続時に、光コネクタフェルール102の後退を許容し、当該光コネクタフェルール102と相手側光コネクタの光コネクタフェルールとの接触圧を規定範囲に保つ。
【0004】
上記した光コネクタ110の、光ファイバ心線端と光コネクタフェルールとの接続は、コネクタハウジングを省略した形態の図28(a)に示すように、現地の光ファイバ心線100の端部を、予め、融着部を保護するための保護スリーブ101に挿通させた状態にしておく。そして、SCコネクタなどのプラグフレームに保持される光コネクタフェルール102に予め取り付けられた短尺光ファイバ103の端部と、光ファイバ心線100の端部とを、それぞれ所定長に渡って被覆を剥いだ状態にして、端部相互を付き合わせて、融着させる。その後、図28(b)に示すように、光ファイバ心線100に装着しておいた保護スリーブ101を融着接続部105の上に移動させ、保護スリーブ101が融着接続部105を覆った補強状態にする。これにより、光コネクタ110は融着接続部105を確実に保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−82257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記の接続において、融着されるそれぞれの光ファイバの端部は、治具で調芯・位置決めする関係で、被覆を剥いだ部位100a,103aの長さを10mm程度に設定する必要があり、また、確実に各光ファイバの被覆部に保護スリーブ101が被さるようにするには、各光ファイバの被覆部と保護スリーブ101との重なりが10mm程度となるように、保護スリーブ101の長さを設定しておく必要があった。
【0007】
即ち、保護スリーブ101の長さは、40mm以上となってしまう。その結果、光コネクタ110は、短尺光ファイバ103の露出した被覆部の長さLと保護スリーブ101の長さ40mmを含んだL+40mm以上と長大化して、十分な収容スペースの確保が難しく、小型のキャビネット等に組み込むことが困難になる場合があった。
なお、光コネクタ110の長大化を阻止するために、保護スリーブ101の長さ寸法を短くすることも考えられるが、この場合、作業者の熟練差又は誤操作等で保護スリーブ101の固定位置が軸方向に位置ずれして、裸の光ファイバが露出してしまう虞があり、各光ファイバ心線の被覆部への重ね代をそれほど短縮することができない。
従って、保護スリーブ101の短縮等には効果が小さく、キャビネット等への収容が難しいという課題は残ったままであった。
【0008】
更に、上記の光コネクタ110の場合は、コネクタ接続時に、相手側の光コネクタフェルールとの当接により光コネクタフェルール102が後退した場合には、光コネクタフェルール102と保護スリーブ101との間の短尺光ファイバ103に圧縮荷重が作用し、この圧縮荷重によって短尺光ファイバ103に曲げが生じ、曲げ損失の増大を招く虞があった。
【0009】
本発明の目的は、小型のキャビネット等への収容性を高めることができ、しかも、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することのできる光コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決することのできる本発明の光コネクタは、光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタであって、
前記融着接続部を補強する保護スリーブの一端が前記光コネクタフェルールに結合されており、
前記光コネクタフェルールの先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレームと、
前記保護スリーブを内部空間に配置して前記プラグフレームに接続するリアハウジングと、を備え、
前記リアハウジングには前記プラグフレームに穿設した係止穴が係合する係止爪が備えられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光コネクタにおいて、前記保護スリーブは熱収縮チューブと該熱収縮チューブに挿通した心棒及び接着チューブとを備え、該保護スリーブが前記光コネクタフェルールと結合されていることが好ましい。
【0012】
本発明の光コネクタにおいて、前記光ファイバ心線は、光コードの端部の外被を所定長除去した状態で前記光コネクタ内に装着され、前記保護スリーブは前記光コネクタフェルールとは結合していない他端側において前記光ファイバ心線の外周を覆っていることが好ましい。
【0013】
本発明の光コネクタにおいて、前記光コードに配された抗張力繊維はリアハウジング後端部にかしめ固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の光コネクタにおいて、前記保護スリーブ内に配置される前記短尺光ファイバ及び前記光ファイバ心線のファイバ位置と、前記光コネクタフェルールの軸中心とが一致していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光コネクタによれば、保護スリーブの一端が光コネクタフェルールに結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、融着接続部を中央位置に設定する保護スリーブの位置決めが正確になされる。その結果、保護スリーブの端部と光ファイバ心線の被覆部との重なり代を短縮でき、これにより、保護スリーブの長さを大幅に短縮して、光コネクタの長さをコンパクトにすることができる。
従って、光コネクタのコンパクト化により、小型キャビネット等への収容性を高めることができる。
また、融着接続部の周囲を覆う保護スリーブは、光コネクタフェルールに結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルールが後退した場合に、光コネクタフェルールと一体に保護スリーブも後退するため、短尺光ファイバに大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際、光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバに大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0016】
また、光ファイバ心線は、たとえ光コードの外被が除去された状態で光コネクタの後方より露出しても、この露出部分が、補強チューブで覆われて補修される。
従って、現地で行なう融着接続作業を良好にするために、光コードの外被を大きく除去して光ファイバ心線が光コネクタより露出されても、補強チューブで覆うことで、光ファイバの曲げ損失の増加等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る光コネクタの参考形態の外観斜視図である。
【図2】図1に示した光コネクタの分解斜視図である。
【図3】図1に示した光コネクタの分解平面図である。
【図4】図1に示した光コネクタの分解側面図である。
【図5】図1に示した光コネクタの縦断面図である。
【図6】図2に示したプラグフレームと、該プラグフレームに収容保持される光コネクタフェルールとの分解斜視図である。
【図7】図6に示した光コネクタフェルールと、該光コネクタフェルールに接続された保護スリーブの縦断面図である。
【図8】図5のA−A断面図である。
【図9】図2に示した保護スリーブの熱収縮処理前の側面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】図10のC−C断面図である。
【図12】図7に示した光コネクタフェルールの後方の保護スリーブの長さの説明図である。
【図13】本発明に係る光コネクタの他の参考形態を示す縦断面図である。
【図14】図13のB部拡大断面図である。
【図15】(a)〜(c)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図16】(d)〜(g)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図17】(h)〜(k)は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図18】本発明に係る光コネクタの一実施形態を示す縦断面図である。
【図19】(a)図18に示した光コネクタの縦断面図、(b)補強チューブを装着した変形例の要部縦断面図である。
【図20】(a)光コネクタフェルールの側面図、(b)光コネクタフェルールを短尺光ファイバ側から見た正面図である。
【図21】(a)図20に示した光コネクタフェルールと、(b)該光コネクタフェルールに接続された熱収縮チューブの縦断面図である。
【図22】図18に示した光コネクタが心線型に適用された変形例の構成を表す縦断面図である。
【図23】(a)〜(e)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図24】(f)〜(k)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図25】(l)〜(q)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【図26】従来の光コネクタフェルールに予め取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続する構造の説明図である。
【図27】従来の光コネクタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る光コネクタの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る光コネクタの参考形態の外観斜視図、図2は図1に示した光コネクタの分解斜視図、図3は光コネクタの分解平面図、図4は光コネクタの分解側面図、図5は光コネクタの縦断面図である。
【0019】
この参考形態の光コネクタ1は、現地の光コード70の外被72(いずれも図13参照)を所定長除去して露出した光ファイバ心線3の端部に取り付けられるもので、光ファイバ心線3に融着接続する短尺光ファイバ5が予め取り付けられた光コネクタフェルール7と、この光コネクタフェルール7を収容・保持するプラグフレーム9と、光コネクタフェルール7が挿入されるプラグフレーム9の基端側開口に嵌合装着される略円筒状のストッパ11と、光ファイバ心線3と短尺光ファイバ5との融着接続部13(図11参照)の外周を覆って融着接続部13を外装する保護スリーブ15と、保護スリーブ15を配置するための内部空間17を有すると共に先端がプラグフレーム9に結合されてプラグフレーム9に一体化されるリアハウジング18と、短尺光ファイバ5に融着接続される光ファイバ心線3の端部付近を収容して該光ファイバ心線3を保護すると共に先端がリアハウジング18の基端に結合一体化されるブーツ21とを具備している。
【0020】
光コネクタフェルール7は、相手側の光コネクタフェルールに突き合わせ接続される先端軸部7aの後方に、外径が拡径された拡径部7bが装備された形状で、先端軸部7aと中心軸が一致するように、短尺光ファイバ5が取り付けられている。また、光コネクタフェルール7の短尺光ファイバ5が延出される基端側の外周には、図6及び図7に示すように、後述する保護スリーブ15を結合するためのスリーブ結合突起7cが突設されている。
【0021】
光コネクタフェルール7は、プラグフレーム9の基端側開口に挿入されると、図5に示すように、拡径部7bの前端がプラグフレーム9の内周に突設された縮径部9aに当接することで、前方への移動が規制された状態になる。この状態では、図5に示すように、光コネクタフェルール7の先端が所定長L1だけ、プラグフレーム9の先端から突出した状態に位置規制される。
【0022】
また、図2乃至図5に示すように、プラグフレーム9に位置決めされた光コネクタフェルール7の先端には、保管時等にファイバ端面に塵埃等が付着することを防止するために、ダストキャップ22が被冠装着される。
なお、光コネクタフェルール7の先端面は予め鏡面研磨されていて、現地での研磨加工が不要になされている。
【0023】
光コネクタフェルール7が挿入されたプラグフレーム9内には、フェルール押えばね23が挿入される。このフェルール押えばね23は、プラグフレーム9の基端側開口の内周に嵌合装着されるストッパ11の前端と光コネクタフェルール7の拡径部7bとの間に挟まれて保持される圧縮コイルばねで、光コネクタフェルール7の拡径部7bを上記したプラグフレーム9の縮径部9aに当接させると同時に、後退可能に弾性支持する。
【0024】
プラグフレーム9の基端側開口の内周に嵌合装着されるストッパ11は、その外周に周方向に沿って突設した突起11a(図2参照)を、プラグフレーム9の内壁部に形成された係止溝9b(図5参照)に係合させることで、プラグフレーム9の基端側に固定される。
【0025】
融着接続部13は、図11に示すように、短尺光ファイバ5の端部の被覆5aを剥いだ部分5bと、光ファイバ心線3の端部の被覆3aを剥いだ部分3bとを付き合わせて、付き合わせたファイバ端面同士を融着させることにより形成される。
なお、被覆5aを剥いだ短尺光ファイバ5の端面は、予め、光ファイバに曲げ応力をかけて切断する劈開により、あるいは、研磨によって鏡面加工され、現地での鏡面加工を不要にしている。
また、短尺光ファイバ5の端面は、融着接続前に放電処理してエッジを落としておくと、研磨によって生じるエッジからのチッピングを防ぐことができて好ましい。さらに、短尺光ファイバ5は、被覆を除去した状態で現地まで搬送されるため、傷や吸水による強度低下が抑えられることから、カーボンコートファイバを用いることが好ましい。また、短尺光ファイバ5は、MFDを小さくした曲げに強いファイバであることが好ましい。
【0026】
保護スリーブ15は、図7及び図8に示すように、熱収縮チューブ25と、該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29と、熱収縮チューブ25の一端に固着される連結部品31とを備え、該連結部品31が光コネクタフェルール7に結合される。
【0027】
熱収縮チューブ25は、加熱機によって所定温度に加熱すると、熱収縮して、挿通されている心棒27に密着した状態になる。
心棒27は、図8及び図10に示すように、横断面形状が円形状の中実の丸棒で、補強用の心材として、熱収縮チューブ25に挿通されている。心棒27としては、鋼線、ガラスなどを用いることができる。
接着チューブ29は、心棒27に縦添えした形態で熱収縮チューブ25内に挿通された接着剤製のチューブであり、熱収縮チューブ25を熱収縮させる際の加熱で軟化して、熱収縮チューブ25と心棒27との間の隙間34を埋める接着剤となる。
【0028】
保護スリーブ15は、当初、図11に示すように熱収縮チューブ25の一端に、心棒27の端部と接着チューブ29の端部とが、所定長L2だけ突出した状態に、熱収縮チューブ25と心棒27と接着チューブ29とを位置決めし、この位置決め状態で図9に示すように熱収縮チューブ25の一端に連結部品31の基端が固定される。
連結部品31は、熱収縮チューブ25及び心棒27の端部が圧入又は接着又は溶着されることにより、これらに固定・一体化されている。
【0029】
連結部品31は、図6に示すように、光コネクタフェルール7側の端部が、光コネクタフェルール7の基端に外嵌する筒部31aになっており、この筒部31aには図9に示すように光コネクタフェルール7のスリーブ結合突起7cが係合する係合穴31bが形成されている。
係合穴31bとスリーブ結合突起7cとを係合することで、保護スリーブ15の一端が光コネクタフェルール7に結合・一体化された状態になる。
【0030】
以上の保護スリーブ15は、光コネクタ1を組み立てる際には、予め、図2に示したリアハウジング18やブーツ21と共に、光ファイバ心線3を挿通させておき、光ファイバ心線3と短尺光ファイバ5との融着接続後に、融着接続部13の上に戻す。そして、連結部品31を光コネクタフェルール7の基端に結合すると、融着接続部13が丁度保護スリーブ15の長さ方向の略中間位置に位置決めされるように、短尺光ファイバ5及び保護スリーブ15の熱収縮チューブ25,心棒27,接着チューブ29の長さ寸法が設定されている。
【0031】
更に詳述すると、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3の融着接続後、その融着接続部13を覆うように、保護スリーブ15を融着接続部13上に移動させ、保護スリーブ15の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合させた後、熱収縮チューブ25に熱を加えて、融着接続部13の前後の光ファイバ心線3及び短尺光ファイバ5を心棒27に縦添えした状態に固定する。
このように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた時、図12に示すように、熱収縮チューブ25の端部が、光ファイバ心線3の被覆3a及び短尺光ファイバ5の被覆5aの上に3mm以上重なるように、各部品の寸法が設定されている。
【0032】
本参考の形態の場合、図7に示すように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた状態では、保護スリーブ15内に配置される短尺光ファイバ5及び光ファイバ心線3のファイバ位置と、光コネクタフェルール7の軸中心とが一致するように、連結部品31及び心棒27等の径寸法等が設定されている。
【0033】
図2及び図6に示すように、前述した連結部品31の外周面には、軸方向に沿って延在する位置決め突起31cが設けられている。そして、プラグフレーム9の基端側に固定されるストッパ11には、位置決め突起31cをファイバ軸方向に移動可能に案内する案内溝11cが設けられている。
従って、保護スリーブ15を結合・一体化した光コネクタフェルール7をプラグフレーム9に挿入するとき、位置決め突起31cを案内溝11cの位置に合わせて挿入することで、円滑に、光コネクタフェルール7及び保護スリーブ15を、プラグフレーム9内に装着することができる。
【0034】
リアハウジング18は、保護スリーブ15の周囲を覆う筒状構造体で、樹脂の射出成形等により形成されている。このリアハウジング18の先端は、図3乃至図5に示すように、プラグフレーム9の基端に外嵌する筒部18aになっている。そして、この筒部18aには、プラグフレーム9の基端に外嵌させたときに、プラグフレーム9の基端外周に突出形成されている係止爪9cに係合する係止穴18bが備えられている。
以上のリアハウジング18は、保護スリーブ15の熱収縮処理後に、保護スリーブ15の上に被せられ、先端側の係止穴18bをプラグフレーム9の係止爪9cに係合させることにより、プラグフレーム9に結合されて一体化される。
【0035】
本参考の形態の場合、リアハウジング18が結合されたプラグフレーム9の外周には、コネクタ接続する際のつまみ部となるSCコネクタつまみ33が被冠装着される。このSCコネクタつまみ33は、光コネクタ1の先端側の外観を提供する外装部材で、外側面には、つかみ易くするための滑り止め用の凹凸33aが形成されている。
【0036】
ブーツ21は、リアハウジング18の後方に延出する光ファイバ心線3に急激な曲げが作用しないように、光ファイバ心線3を保護するもので、先端がリアハウジング18の基端に嵌合又は螺着することにより、リアハウジング18に結合一体化される。
但し、樹脂の射出成形により、リアハウジング18と一体形成するようにしても良い。
【0037】
本参考の形態の場合、図5に示すように、保護スリーブ15の他端15aとこの他端15aに対向するブーツ21内の内壁端21aとの間には、保護スリーブ15の後退を許容する空間35が形成されている。
【0038】
更に、図2及び図5に示すように、ブーツ21の内壁端21aの後方には、光ファイバ心線3に被せられる補強チューブ37が挿入装着される。
補強チューブ37は、先端に拡径した抜け止め部37aが設けられており、抜け止め部37aが引っかかることで、ブーツ21の後方側への移動が規制される。補強チューブ37は適度な弾性を有したチューブで、光ファイバ心線3が急激に曲げられることを防止する。
【0039】
以上に説明した光コネクタ1によれば、保護スリーブ15の一端が光コネクタフェルール7に結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、保護スリーブ15の位置決めが正確になる。その結果、保護スリーブ15の端部と光ファイバ心線3の被覆部との重なり代を図12に示したように3mm程度まで短縮でき、これにより、保護スリーブ15の長さを大幅に短縮して、光コネクタ1の長さを短尺光ファイバ5の露出した被覆部の長さLと保護スリーブ15の長さ26mmを含んだL+26mm程度にしてコンパクトにできる。
従って、光コネクタ1のコンパクト化により、小型の架空クロージャ等への収容性を高めることができる。
【0040】
また、光コネクタフェルール7に予め取り付けられている短尺光ファイバ5や融着接続部13の周囲を覆う保護スリーブ15は、光コネクタフェルール7に結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退した場合には、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15も後退するため、短尺光ファイバ5に大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際に、光コネクタフェルール7に取り付けられた短尺光ファイバ5に大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0041】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、保護スリーブ15は熱収縮チューブ25と該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29と熱収縮チューブ25の一端に固着された連結部品31とを備え、該連結部品31が光コネクタフェルール7と結合する構成となっている。
そのため、保護スリーブ15は、光コネクタフェルール7に取り付けられた短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3とを融着接続する前に、現地の光ファイバ心線3の端部を挿通させた状態にしておき、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3との融着接続後に、保護スリーブ15を光コネクタフェルール7側に移動させて、保護スリーブ15の一端の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合させることで、簡単に保護スリーブ15を光コネクタフェルール7に結合した状態にできる。
【0042】
そして、保護スリーブ15は、その一端の連結部品31を光コネクタフェルール7に結合した後、その外周囲にある熱収縮チューブ25を加熱機による加熱処理で熱収縮させるという簡単な操作で、短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3との融着接続部13を心棒27に縦添えした状態にしっかりと保持することができ、融着接続部13を堅牢に補強することができる。
即ち、作業設備等を整え難い現地でも、簡単且つ確実に、保護スリーブ15により融着接続部13を保護することができる。
【0043】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、連結部品31は、熱収縮チューブ25及び心棒27が圧入又は接着又は溶着により固定された構成となっている。
即ち、光コネクタフェルール7に結合される保護スリーブ15は、融着接続部13に縦添えされる心棒27やこの心棒27に融着接続部13を押え付ける熱収縮チューブ25が、光コネクタフェルール7に結合される連結部品31に固定されているため、連結部品31と心棒27とのつなぎ目で屈曲等が起こることがなく、保護スリーブ15内の光ファイバ及び融着接続部13を、曲げがかかりにくい良好な状態に維持することができる。また、本参考の形態の光コネクタ1では、連結部品31は、熱収縮チューブと心棒を固定する構造としたが、心棒のみを固定して結合しても良い。
【0044】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、光コネクタフェルール7の先端部を突出させると共に、該フェルールを収納保持するプラグフレーム9を備え、該プラグフレーム9には保護スリーブ15の外周面に突出した位置決め突起31cをファイバ軸方向に移動可能に案内する案内溝11cが形成されている。
即ち、一端の連結部品31が光コネクタフェルール7に結合される保護スリーブ15は、その外周に突設された位置決め突起31cが光コネクタフェルール7を収容保持するプラグフレーム9の案内溝11cに係合することで、プラグフレーム9に対して、ファイバ軸方向にのみ移動可能に保持される。
従って、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退する場合に、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15が後退する動作を円滑にすることができる。
【0045】
また、本参考の形態の光コネクタ1では、保護スリーブ15を内部空間17に配置した状態でプラグフレーム9に接続すると共に光ファイバ心線3を保護するブーツ21を一体に形成したリアハウジング18を備え、該リアハウジング18にはプラグフレーム9に突出形成した係止爪9cが係合する係止穴18bが備えられている。
従って、保護スリーブ15の外周囲はリアハウジング18により覆われて保護されるため、架空クロージャ等への収容する際の取り扱いが容易になる。
【0046】
また、リアハウジング18は、プラグフレーム9寄りの位置に形成された係止穴18bに、プラグフレーム9に装備された係止爪9cを係合させるだけで、プラグフレーム9に接続できるため、現地で簡単に組み立てでき、現地での作業を容易にすることができる。
【0047】
また、本参考の形態の光コネクタ1において、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール7が後退した場合には、光コネクタフェルール7と一体に保護スリーブ15も後退するが、保護スリーブ15の他端とリアハウジング18の内壁端との間には空間35が形成されているため、保護スリーブ15の後退動作が規制されることがなく、コネクタ接続時における光コネクタフェルール7の後退を無理なく受け入れることができる。
【0048】
次に、本発明に係る光コネクタの他の参考の形態について説明する。
この参考形態の光コネクタは、現地の光コードの端部に取り付けられた際、光コネクタの後方より露出する光ファイバ心線上に被せられて当該光ファイバ心線を保護する補強チューブを備える。なお、補強チューブは先の参考形態でも装備されたが、本参考形態では、その構成および装着方法について具体的に詳述する。
なお、本参考形態において、補強チューブを除く構成は先の参考形態と同じなので、同一部分、部位には同一符号を付して説明を省略するものとする。
【0049】
図13は本発明に係る光コネクタの他の参考形態の縦断面図、図14は図13のB部拡大断面図、図15は光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
【0050】
本参考形態に係る光コネクタ1Aは、現地の光コード70の外被72を除去して露出した光ファイバ心線3に光コネクタフェルール7の短尺光ファイバ5を融着接続する際、融着接続時の作業が良好となるように光コード70の端部の外被72を大きく剥ぐと、光コネクタ1Aの後方より光ファイバ心線3が露出することになるので、この露出した光ファイバ心線3の部分に被せられて、当該光ファイバ心線3を保護する補強チューブ42を備える。
【0051】
なお、光コード70は、端部において外被72を剥ぐ(除去する)と、外周囲を抗張力繊維74のケブラー(図14参照)で覆われた光ファイバ心線3が露出する。
【0052】
補強チューブ42は、ブーツ21を挿通した先端が、連結部材となるかしめリング44によりリアハウジング18の後端に連結されている。詳述すれば、かしめリング44は、図14に示すように、一端に形成した大径部44aと他端に形成した小径部44bとが中間部44cを介して連続した略円筒体とされている。
【0053】
大径部44aは、リアハウジング18の後端外周面上に緩やかに係合する大きさに開口され、外径方向より圧縮かしめすると縮径してリアハウジング18上に固定係合する。そこで、光コード70をかしめリング44の小径部44b側より挿入すると共に、光コード70の外被72を所定長除去して露出した抗張力繊維74をリアハウジング18上に配置した状態で大径部44aを圧縮かしめすると、抗張力繊維74がリアハウジング18とかしめリング44とで挟持された状態となって、リアハウジング18に固定される。
【0054】
小径部44bは、当該小径部44bの外周面上でかしめ可能に形成されたリング46を備える。このリング46を外径方向よりかしめることにより、補強チューブ42は端部がかしめリング44の小径部44bとリング46とで挟持された状態とされて固定される。つまり、補強チューブ42は端部にリアハウジング18との連結部材となるかしめリング44を一体的に装備して後述する補強チューブ組立体40を形成する。なお、リング46はかしめられた状態で、ブーツ21の内壁面21a(図5参照)に引っかかって、補強チューブ42のブーツ21の後方側への移動を規制する。このリング46は、先の参考形態での抜け止め部37aに相当する。
【0055】
補強チューブ42は他端側において一部が該補強チューブ42上に配置され、一部が光コード70の外被72上に配置される熱収縮チューブ48によって位置決め固定される。つまり、補強チューブ42は、光コード70の外被72を所定長除去して光コネクタ1Aの後方より露出している光ファイバ心線3の部分を覆う長さに形成され、光コネクタ1Aに結合して位置ずれすることなく光ファイバ心線3を覆うことができる。
【0056】
次に補強チューブを装着する際の組立手順について説明する。
先ず、図15(a)に示すように、現地の光コード70の端部に、ブーツ21、かしめリング44を結合した補強チューブ組立体40、リアハウジング18の順番に当該各部を挿入しておく。
【0057】
補強チューブ組立体40は、補強チューブ42のブーツ21側端部に熱収縮チューブ48を装着すると共に、リアハウジング18側の端部に連結部材となるかしめリング44を予めかしめ固定したものである。
熱収縮チューブ48は、補強チューブ42の部分のみ加熱収縮させて補強チューブ42に固定されている。かしめリング44の固定は、補強チューブ42の端部にかしめリング44の小径部44bを嵌入させた状態で、小径部44b上をリング46により補強チューブ42を圧縮かしめして達成される。
【0058】
リアハウジング18の先端から引き出された光コード70は、図15(b)に示すように、端部の外被72が所定長除去されて、抗張力繊維74及び光ファイバ心線3を露出させている。露出した抗張力繊維74は、図15(c)に示すように、後作業の邪魔とならないよう、補強チューブ42側に折り返される一方、光ファイバ心線3には、保護スリーブ15が挿通される。
【0059】
保護スリーブ15から引き出された光ファイバ心線3は、図15(d)に示すように、被覆3aを除去して裸ファイバの部分3bを露出させた後、さらに当該部分3bを清掃後、所定長に鏡面カットされる。そして、図15(e)に示すように、光ファイバ心線3の被覆3aを剥いだ部分3bとプラグフレーム9に嵌合装着された短尺光ファイバ5の被覆を剥いだ部分5bとを付き合せて、付き合わせたファイバ端面同士を融着接続する。
【0060】
保護スリーブ15は、図16(f)に示すように、融着接続部を覆うように移動して、光コネクタフェルール7を介してプラグフレーム9に結合される。
次いで、リアハウジング18は、図16(g)に示すように、保護スリーブ15と同様に移動して、保護スリーブ15上に被せた状態で、プラグフレーム9に結合して一体化される。
【0061】
引き続き、光コード70の端部から露出した光ファイバ心線3を、補強チューブ42で覆うために、補強チューブ組立体40を移動させてリアハウジング18に結合するが、先ず、図17(h)に示すように、抗張力繊維74をリアハウジング18の後端外周面上に配置した状態で、補強チューブ組立体40を移動した後、抗張力繊維74を連結部材となるかしめリング44の大径部44aでかしめ固定する。これにより、補強チューブ組立体40はリアハウジング18に結合して一体化される。その後、ブーツ21は、図17(i)に示すように、補給チューブ組立体40上を移動してリアハウジング18に装着する。
【0062】
補強チューブ組立体40はその他端が、図17(j)に示すように、熱収縮チューブ48を加熱収縮して光コード70上に位置決め固定される。
以上の工程を経ることで、補強チューブ組立体40は一端がリアハウジング18とブーツ21とによって位置決めされ、他端が熱収縮チューブ48によって位置決めされる。これにより、補強チューブ組立体40はファイバ軸方向の動きが規制され、光コネクタ1Aの後方より露出した光ファイバ心線3部分での位置ずれが防止される。
【0063】
最後に、図17(k)に示すように、プラグフレーム9にSCコネクタつまみ33を装着して組み立てが完了する。
【0064】
上記の参考形態によれば、融着接続作業を良好に行なうために、現地の光コードの外被を大きく除去して光ファイバ心線が光コネクタより露出するような場合でも、露出した光ファイバ心線は補強チューブで覆われるため、曲げなどの外力が作用しても、許容値以下の曲げを阻止して光伝送特性の低下を防止することができる。
【0065】
次に、本発明に係る光コネクタの実施の形態について説明する。
図18は本発明に係る光コネクタの実施形態を示す縦断面図である。なお、本実施形態において、上記の参考形態と同一部分、部位には同一符号を付して説明する。
この実施形態の光コネクタは、光コード70を接続するコード型、光ファイバ心線3を接続する心線型の双方に適用することができる。心線型光コネクタは、SCコネクタつまみの形状がやや異なる他はコード型光コネクタと略共通の部品が用いられる。以下の説明では主にコード型光コネクタ(単に「光コネクタ」とも称す)1Bについて説明する。
【0066】
光コネクタ1Bは、相手側光コネクタの結合される先端側(図18の左側)から、SCコネクタつまみ81と、プラグフレーム83と、ファイバ内蔵フェルール(光コネクタフェルール)85と、保護スリーブ87と、フェルール押えばね89と、リアハウジング91と、かしめリング93と、ブーツ95とを主要な部材として有している。つまり、上記実施形態で説明したストッパ11、連結部品31を使用しない構造となっている。
【0067】
図19は(a)図18に示した光コネクタの縦断面図、(b)補強チューブを装着した変形例の要部縦断面図、図20は(a)光コネクタフェルールの側面図、(b)光コネクタフェルールを短尺光ファイバ側から見た正面図である。
光コネクタフェルール85は、相手側の光コネクタフェルールに突き合わせ接続される先端軸部7aの後方に、外径が拡径された拡径部7bが装備された形状で、先端軸部7aと中心軸が一致するように、短尺光ファイバ5が取り付けられている。また、光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5が延出される基端側の外周には、後述する保護スリーブ87を結合するためのスリーブ結合突起7cが突設されている。
【0068】
光コネクタフェルール85は、プラグフレーム83の基端側開口に挿入されると、図19に示すように、拡径部7bの前端がプラグフレーム83の内周に突設された縮径部9aに当接することで、前方への移動が規制された状態になる。この状態では、光コネクタフェルール85の先端が所定長L1だけ、プラグフレーム83の先端から突出した状態に位置規制される。
【0069】
プラグフレーム83に位置決めされた光コネクタフェルール85の先端には、保管時等にファイバ端面に塵埃等が付着することを防止するために、不図示のダストキャップ(図2中、符号22参照)が被冠装着される。
なお、光コネクタフェルール85の先端面は予め鏡面研磨されていて、現地での研磨加工が不要になされている。
【0070】
光コネクタフェルール85が挿入されたプラグフレーム83内には、フェルール押えばね89が挿入される。このフェルール押えばね89は、後述するプラグフレーム83に係合するリアハウジング91と光コネクタフェルール85の拡径部7bとの間に挟まれて保持される圧縮コイルばねで、光コネクタフェルール85の拡径部7bを上記したプラグフレーム83の縮径部9aに当接させると同時に、後退可能に弾性支持する。
【0071】
図21は(a)図20に示した光コネクタフェルールと該光コネクタフェルールに接続された熱収縮チューブの縦断面図、(b)熱収縮チューブの(a)におけるA−A縦断面図である。
融着接続部13は、短尺光ファイバ5の端部の被覆5aを剥いだ部分5bと、光ファイバ心線3の端部の被覆3aを剥いだ部分3bとを付き合わせて、付き合わせたファイバ端面同士を融着させることにより形成される。
なお、被覆5aを剥いだ短尺光ファイバ5の端面は、予め、光ファイバに曲げ応力をかけて切断する劈開により、あるいは、研磨によって鏡面加工され、現地での鏡面加工を不要にしている。
また、短尺光ファイバ5の端面は、融着接続前に放電処理してエッジを落としておくと、研磨によって生じるエッジからのチッピングを防ぐことができて好ましい。さらに、短尺光ファイバ5は、被覆を除去した状態で現地まで搬送されるため、傷や吸水による強度低下が抑えられることから、カーボンコートファイバを用いることが好ましい。また、短尺光ファイバ5は、MFDを小さくした曲げに強いファイバであることが好ましい。
【0072】
保護スリーブ87は、図21(b)に示すように、熱収縮チューブ25と、該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29(図10参照)とを備え、該熱収縮チューブ25が光コネクタフェルール85に結合される。光ファイバ心線3は、光コード70の端部の外被72を所定長除去した状態で光コネクタ1B内に装着され、保護スリーブ87は光コネクタフェルール85とは結合していない他端側において光ファイバ心線3の外周を覆っている。
【0073】
熱収縮チューブ25は、加熱機によって所定温度に加熱すると、熱収縮して、挿通されている心棒27に密着した状態になる。
接着チューブ29は、熱収縮チューブ25を熱収縮させる際の加熱で軟化して、熱収縮チューブ25と心棒27との間の隙間34を埋める接着剤となる。
【0074】
保護スリーブ87は、一端に、心棒27の端部と接着チューブ29の端部とが、一致した状態に、熱収縮チューブ25と心棒27と接着チューブ29とを位置決めし、この位置決め状態で光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに固定される。
光コネクタフェルール85は、熱収縮チューブ25及び心棒27の端部が圧入又は接着又は溶着されることにより、これらに固定・一体化されている。
【0075】
保護スリーブ87は、光コネクタフェルール85の基端のスリーブ結合突起7cに結合すると、融着接続部13が丁度保護スリーブ87の長さ方向の略中間位置に位置決めされるように、短尺光ファイバ5及び保護スリーブ87の熱収縮チューブ25,心棒27,接着チューブ29の長さ寸法が設定されている。
【0076】
保護スリーブ87は、短尺光ファイバ5と光ファイバ心線3の融着接続後、その融着接続部13を覆うように移動させ、光コネクタフェルール85に当接した後、熱収縮チューブ25に加熱を加えて、光ファイバ心線3及び短尺光ファイバ5を心棒27に縦添えした状態に固定する。
このように、熱収縮チューブ25を熱収縮させた時、熱収縮チューブ25の端部が、光ファイバ心線3の被覆3a及びスリーブ結合突起7cの上に2mm以上重なるように、各部品の寸法が設定されている。
【0077】
リアハウジング91は、保護スリーブ87の周囲を覆う筒状構造体で、樹脂の射出成形等により形成されている。このリアハウジング91の先端は、プラグフレーム83の基端に嵌入する筒部91aになっている。そして、この筒部91aには、プラグフレーム83の基端に嵌入したときに、プラグフレーム83の基端外周に穿設されている係止穴83aに係合する係止爪91bが備えられている。
以上のリアハウジング91は、保護スリーブ87の熱収縮処理後に、保護スリーブ87の上に移動して被せられ、先端側の係止爪91bをプラグフレーム83の係止穴83aに係合させることにより、プラグフレーム83に結合されて一体化される。
【0078】
リアハウジング91が結合されたプラグフレーム83の外周には、コネクタ接続する際のつまみ部となるSCコネクタつまみ81が被冠装着される。このSCコネクタつまみ81は、光コネクタ1Bの先端側の外観を提供する外装部材で、外側面には、つかみ易くするための滑り止め用の凹凸33aが形成されている。
【0079】
ブーツ95は、リアハウジング91の後方に延出する光コード70に急激な曲げが作用しないように、光コード70を保護するもので、先端がリアハウジング91の基端に嵌合又は螺着することにより、リアハウジング91に結合一体化される。
但し、樹脂の射出成形により、リアハウジング91と一体形成するようにしても良い。
【0080】
保護スリーブ87の他端87a(図21参照)とこの他端87aに対向するブーツ95内の内壁端との間には、保護スリーブ87の後退を許容する空間35(図19参照)が形成されている。
なお、ブーツ95は、図19(b)に示すように、内壁端の後方に、光コード70に被せられる補強チューブ37が挿入装着される構成であっても良い。
補強チューブ37は、先端に拡径した抜け止め部37aが設けられており、抜け止め部37aがブーツ95内の内壁端に引っかかることで、移動が規制される。補強チューブ37は適度な弾性を有したチューブで光コード70が急激に曲げられることを防止する。
【0081】
光コネクタフェルール85の拡径部7bの側面には方向合わせマーク97aが設けられる。一方、プラグフレーム83の側壁には方向合わせマーク97bと、視認溝99が設けられている。光コネクタフェルール85は、視認溝99で方向合わせマーク97aを確認しながら方向合わせマーク97bと一致させることで、正規の向きでプラグフレーム83に嵌合されるようになっている。
【0082】
光コネクタ1Bは、現地の光コード70の外被72を除去して露出した光ファイバ心線3に光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5を融着接続する際、融着接続時の作業が良好となるように光コード70の端部の外被72を大きく剥ぐ。光コード70は、端部において外被72を剥ぐ(除去する)と、外周囲を抗張力繊維(ケブラー)74で覆われた光ファイバ心線3が露出する。
【0083】
抗張力繊維74と外被72は、所定長に切断されて、リアハウジング91の後端部91cに外挿される。外挿された外被72の外周にはかしめリング93が被せられ、かしめリング93は縮径方向にかしめられる。かしめリング93が縮径することにより、外被72と抗張力繊維74はかしめリング93と後端部91cに圧着され、リアハウジング91に固定される。
【0084】
図22は図18に示した光コネクタが心線型に適用された変形例の構成を表す縦断面図である。
上記のように本実施の形態による光コネクタ1Bは、心線型としても用いることができる。この場合、その部品構成は、SCコネクタつまみ81の形状が若干異なる点、抗張力繊維74、外被72を固定するためのかしめリング93が不要となる点のみで他は同一である。なお、図22中、37は光ファイバ心線3用の補強チューブを示す。
【0085】
以上に説明した光コネクタ1Bによれば、保護スリーブ87の一端が光コネクタフェルール85に結合されるため、作業者の熟練度に関係なく、保護スリーブ87の位置決めが正確になる。その結果、保護スリーブ87の端部と光ファイバ心線3の被覆部との重なり代を3mm程度まで短縮でき、これにより、保護スリーブ87の長さを大幅に短縮して、光コネクタ1Bの長さをコンパクトにできる。
従って、光コネクタ1Bのコンパクト化により、小型の架空クロージャ等への収容性を高めることができる。
【0086】
また、光コネクタフェルール85に予め取り付けられている短尺光ファイバ5や融着接続部13の周囲を覆う保護スリーブ87は、光コネクタフェルール85に結合されていて、コネクタ接続時に相手側の光コネクタフェルールとの当接により当該光コネクタフェルール85が後退した場合には、光コネクタフェルール85と一体に保護スリーブ87も後退するため、短尺光ファイバ5に大きな圧縮荷重が作用することがない。
従って、コネクタ接続作業の際に、光コネクタフェルール85に取り付けられた短尺光ファイバ5に大きな曲げ荷重が作用することを防止して、光ファイバの曲げ損失の増加や破損等の問題を回避することもできる。
【0087】
また、本実施の形態の光コネクタ1Bでは、保護スリーブ87は熱収縮チューブ25と該熱収縮チューブ25に挿通した心棒27及び接着チューブ29とを備え、保護スリーブ87が光コネクタフェルール85と結合する構成となっている。
【0088】
そして、保護スリーブ87は、その一端を光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに結合した後、その外周囲にある熱収縮チューブ25を加熱機による加熱処理で熱収縮させるという簡単な操作で、短尺光ファイバ5と現地の光ファイバ心線3との融着接続部13を心棒27に縦添えした状態にしっかりと保持することができ、融着接続部13を堅牢に補強することができる。
即ち、作業設備等を整え難い現地でも、簡単且つ確実に、保護スリーブ87により融着接続部13を保護することができる。
【0089】
次に、上記の構成を有する光コネクタ1Bの組立手順について説明する。
図23(a)〜(e)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図、図24(f)〜(k)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図、図25(l)〜(q)は図18に示した光コネクタの組立手順を説明する工程図である。
光コネクタ1Bを組立てるには、先ず、図23(a)に示すように、現地の光コード70の端部に、ブーツ95、かしめリング93、リアハウジング91、フェルール押えばね89の順番に当該各部を挿入しておく。
【0090】
図23(b)に示すように、光コード70の先端側の外被72を除去し、余分な抗張力繊維74はカットする。図23(c)に示すように、外被72に軸線方向の切れ目103を入れて割く。図23(d)に示すように、外被72及び露出した抗張力繊維74は、後作業の邪魔とならないよう折り返す。図23(e)に示すように、光ファイバ心線3に、保護スリーブ87を挿通する。
【0091】
保護スリーブ87から引き出された光ファイバ心線3は、図24(f)に示すように、被覆3aを除去して裸ファイバの部分3bを露出させた後、さらに当該部分3bを清掃する。図24(g)に示すように、保護スリーブ87及び光ファイバ心線3を融着用ファイバホルダ105Aにセットする。図24(h)に示すように所定長に鏡面カットした後、保護スリーブ87及び光ファイバ心線3を不図示の融着機にセットする。
【0092】
一方、図24(i)に示すように、短尺光ファイバ5を内蔵した光コネクタフェルール85をフェルールホルダ105Bにセットする。なお、図中22はダストキャップを示す。図24(j)に示すように、光コネクタフェルール85を保持したフェルールホルダ105Bを不図示の融着機にセットする。図24(k)に示すように、融着機にて、光ファイバ心線3の被覆3aを剥いだ部分3bと光コネクタフェルール85の短尺光ファイバ5の被覆を剥いだ部分5bとを付き合せて融着接続する。
【0093】
図25(l)に示すように、保護スリーブ87の先端を光コネクタフェルール85のスリーブ結合突起7cに挿入し、融着接続部13を覆い、保護スリーブ87を加熱収縮させる。図25(m)に示すように、折り返していた抗張力繊維74と外被72とを戻す。
【0094】
図25(n)に示すように、光コネクタフェルール85からダストキャップ22を外し、光コネクタフェルール85の先端側からプラグフレーム83を挿入し、フェルール押えばね89を収容しながらリアハウジング91をプラグフレーム83に組み付ける。図25(o)に示すように、抗張力繊維74と外被72とをリアハウジング91の後端部91c上に被せる。
【0095】
図25(p)に示すように、かしめリング93を圧着し、抗張力繊維74と外被72とを後端部91cに固定する。最後に、SCコネクタつまみ81とブーツ95とをそれぞれプラグフレーム83とリアハウジング91とに結合して光コネクタ1Bの組立を完成する。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B:光コネクタ、3:光ファイバ心線、5:短尺光ファイバ、7,85:光コネクタフェルール、7b:拡径部、7c:スリーブ結合突起、9,83:プラグフレーム、9a:縮径部、9b:係止溝、11:ストッパ、11a:突起、11c:案内溝、13:融着接続部、15,87:保護スリーブ、17:内部空間、21,95:ブーツ、23,89:フェルール押えばね、25:熱収縮チューブ、27:心棒、29:接着チューブ、31:連結部品、31b:係合穴、31c:位置決め突起、33:SCコネクタつまみ、35:空間、37,42:補強チューブ、38:熱収縮チューブ、40:補強チューブ組立体、44,93:かしめリング、70:光コード、72:抗張力繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタであって、
前記融着接続部を補強する保護スリーブの一端が前記光コネクタフェルールに結合されており、
前記光コネクタフェルールの先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレームと、
前記保護スリーブを内部空間に配置して前記プラグフレームに接続するリアハウジングと、を備え、
前記リアハウジングには前記プラグフレームに穿設した係止穴が係合する係止爪が備えられていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記保護スリーブは熱収縮チューブと該熱収縮チューブに挿通した心棒及び接着チューブとを備え、該保護スリーブが前記光コネクタフェルールと結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記光ファイバ心線は、光コードの端部の外被を所定長除去した状態で前記光コネクタ内に装着され、前記保護スリーブは前記光コネクタフェルールとは結合していない他端側において前記光ファイバ心線の外周を覆っていることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光コードに配された抗張力繊維はリアハウジング後端部にかしめ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記保護スリーブ内に配置される前記短尺光ファイバ及び前記光ファイバ心線のファイバ位置と、前記光コネクタフェルールの軸中心とが一致していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【請求項1】
光コネクタフェルールに取り付けられた短尺光ファイバと光ファイバ心線とを融着接続した融着接続部を収容保持する光コネクタであって、
前記融着接続部を補強する保護スリーブの一端が前記光コネクタフェルールに結合されており、
前記光コネクタフェルールの先端部を突出させると共に該フェルールを収納するプラグフレームと、
前記保護スリーブを内部空間に配置して前記プラグフレームに接続するリアハウジングと、を備え、
前記リアハウジングには前記プラグフレームに穿設した係止穴が係合する係止爪が備えられていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記保護スリーブは熱収縮チューブと該熱収縮チューブに挿通した心棒及び接着チューブとを備え、該保護スリーブが前記光コネクタフェルールと結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記光ファイバ心線は、光コードの端部の外被を所定長除去した状態で前記光コネクタ内に装着され、前記保護スリーブは前記光コネクタフェルールとは結合していない他端側において前記光ファイバ心線の外周を覆っていることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光コードに配された抗張力繊維はリアハウジング後端部にかしめ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記保護スリーブ内に配置される前記短尺光ファイバ及び前記光ファイバ心線のファイバ位置と、前記光コネクタフェルールの軸中心とが一致していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−252365(P2012−252365A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−213757(P2012−213757)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2007−292462(P2007−292462)の分割
【原出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000110309)SEIオプティフロンティア株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2007−292462(P2007−292462)の分割
【原出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000110309)SEIオプティフロンティア株式会社 (80)
【Fターム(参考)】
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