光センサ内蔵表示装置
【課題】外光やバックライト光による誤動作がなく、低コストで安定な光センサ内蔵表示装置を作製する。
【解決手段】光センサ内蔵表示装置のアレイ基板に於ける単位画素は、ガラス基板1上に形成された画素スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタと、画素スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極9とを含んでいる。画素スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、近赤外光の波長帯域に感度を有する微結晶シリコン膜4と、外光の可視光に対して感度を有するノンドープ非晶質シリコン膜23との2層構造から成る。
【解決手段】光センサ内蔵表示装置のアレイ基板に於ける単位画素は、ガラス基板1上に形成された画素スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタと、画素スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極9とを含んでいる。画素スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、近赤外光の波長帯域に感度を有する微結晶シリコン膜4と、外光の可視光に対して感度を有するノンドープ非晶質シリコン膜23との2層構造から成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液晶表示装置やEL(Electroluminescence)表示デバイスに用いられる光センサを内蔵した薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板と、それを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、特許文献1に記載された、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(TFT)を光センサとする2次元ホトセンサアレイの縦断面図である。この特許文献1の記載によれば、液晶ディスプレイ部の画素とホトセンサ部の画素とを一致させ、液晶駆動用TFTのゲート絶縁膜/チャネル用非晶質シリコンの積層構造と、光電変換用TFTのゲート絶縁膜/チャネル用非晶質シリコンの積層構造とを同時に形成する。又、図14及び図15は、画素の構成図を示す図である。図13及び図14によれば、単位画素内に、液晶画素駆動用TFTと、光電変換用TFTと、保持容量を有する回路とを構成し、周辺に外部回路を接続して信号を読み出す装置が、開示されている。
【0003】
又、図16は、特許文献2に示された光電変換素子を内蔵したTFTアレイの構造を示す縦断面図である。特許文献2に記載されている光センサ内蔵液晶表示装置は、絶縁膜を介して活性層下部を遮光層である非晶質シリコン層で遮光したトップゲート構造の低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)と、その非晶質シリコン膜を光電変換層とする光センサから構成される。図16中、参照符号1は透明基板としてのガラス基板、3は非晶質シリコン膜、12は走査線、25は画素電極、27は表示用のスイッチング薄膜トランジスタ、28は光電変換素子としての受光用の薄膜トランジスタである。又、特許文献2の平面図から、単位画素は、液晶駆動用のスイッチングTFTと保持容量、及び、光センサ用TFTとその保持容量から構成されており、その信号は、パネル周辺部に形成された多結晶シリコンTFTから成る駆動回路によって検出される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−121715号公報
【特許文献2】特開平10−90655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様に、従来の光センサ内蔵型表示装置に於いては、光電変換素子として、非晶質シリコンTFTが用いられている。非晶質シリコンTFTは、その特性の安定性が悪く、その光感度が動作時のストレスによって時間と共に変化すると言う課題を有している。又、非晶質シリコンTFTのみで形成した場合の光センサ内蔵型表示装置においては、TFTの移動度が小さいため、全ての読み出し回路を外部回路として接続する必要があり、回路規模の増大、及び、実装工程による歩留り低下により、製造コストが増大すると言う問題点もある。
【0006】
他方、特許文献2に記載の光センサ内蔵型表示装置に於いては、読み出し回路を多結晶シリコンTFTで形成できるため、実装工程及び回路コストの問題点を克服することが出来る。しかしながら、多結晶シリコンのスイッチングTFTの下部に、非晶質シリコン膜を光電変換層として形成する必要がある。そのため、多結晶シリコンTFTの製造プロセスに於いて、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜の形成時に400℃以上のプロセスがあるため、非晶質シリコン膜中の水素が離脱し、欠陥準位が増加して、光感度が低下すると言う問題点が発生する。又、液晶表示装置に於いては、一般的にカラーフィルタ基板を表面側の基板として使用し、TFTアレイ基板はバックライト側に配置することが多いが、トップゲート構造の光電変換用TFTの場合には、TFTアレイ基板を表面側の基板として使用する必要があり、TFTアレイ基板に形成された配線又はTFTの電極の金属配線パターンでの外光の反射光によって表示特性が低下すると言う問題点が発生する。
【0007】
更に、非晶質シリコン層を光電変換層に用いることは、可視光の中心となる550nm〜600nmの光に対する高い感度を有効に活用出来ると言う利点を有する反面、バックライト光又は外光の影響による外乱で、光センサのS/N比が低下するというデメリットをも有している。
【0008】
以上の様に、非晶質シリコンTFTを光電変換素子とする光センサ内蔵表示装置に於いては、低コストで、簡単な構造で、且つ、高感度な光センサ内蔵TFTアレイ基板を形成することが困難であった。しかも、非晶質シリコンTFTを光電変換素子として利用する方式は、可視光に対する優れた感度を有する反面、外光又はバックライト光による誤動作を回避することが難しく、実用的な光センサ内蔵表示装置を構成することが出来なかった。
【0009】
更に、多結晶シリコン膜から成る光電変換素子に於いては、安定した特性を確保出来るが、膜のバンドギャップが1.2eV程度と非晶質シリコンに比べて小さくなるため、リーク電流が増大し、光センサとしての性能を示す、明暗比が低下すると言う問題点があった。
【0010】
この発明は、以上に記載した様な問題点を解消するために成されたものであり、その主目的は、製造工程を増加させること無く、非晶質シリコンTFT又は多結晶シリコンTFTを光電変換素子とする光センサ内蔵表示装置の欠点を克服し、リーク電流を低減化して低コストで誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題は、単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、前記単位画素は、透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする。
【0012】
以下、この発明の主題の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の主題によれば、光センサ内蔵表示装置に使用する、光検出用薄膜トランジスタ及びスイッチング用薄膜トランジスタの各々のチャネル層を微結晶シリコン膜と非晶質シリコン膜との多層構造で、且つ、同一工程で形成することにより、可視光領域から近赤外光領域の広い範囲に感度を有し、オフ電流が小さく、閾値電圧のシフト等の小さい高信頼性の光センサ及び画素薄膜トランジスタを形成することが出来るため、誤動作が少なく、高感度で安定な光センサを内蔵した表示装置を実現することが出来る。
【0014】
しかも、微結晶シリコンTFTは、従来の非晶質シリコンTFTに比べて数倍の移動度を有するため、光センサの信号検出回路の一部を微結晶シリコンTFTで以って形成することが出来、外部に接続される読み出し回路の規模を低減することが可能となる結果、従来の光センサ内蔵表示装置よりも低コスト化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置の特徴点は、画素のスイッチング用TFTのチャネル層と光検出用TFTのチャネル層とを共に、微結晶シリコン膜及びその上に形成された非晶質シリコン膜の多層構造で形成した点にある。これにより、微結晶シリコン膜による近赤外光を用いたフォトセンシングと主に非晶質シリコン膜による外光等の可視光を用いたフォトセンシングとの併用によって、タッチパネル部分への人の指押し等を誤動作が少なく高感度で検出することが可能となる。以下、マトリクス状に配置された各単位画素が含む構成要素を示す図1及び図2、本発明による光センサ内蔵表示装置の回路ブロック図及び全体構成図を各々示す図3及び図4、並びに、その他の図面(図5及び図6)を参照しつつ、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置の構成及び製造方法を詳述する。
【0016】
図1に於いて、金属膜から成るゲート電極2は、透明なガラス基板1上に形成されており、シリコン窒化膜或いはシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜3は、光センサ側及び画素TFT側の各ゲート電極2を全体的に被覆している。又、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの各チャネル層は、ゲート絶縁膜3の上面上に形成された島状のノンドープ微結晶シリコン膜4と、微結晶シリコン膜4の上面上に全面的に形成されたノンドープ非晶質シリコン膜23とから成る。又、オーミックコンタクト層は、ノンドープ非晶質シリコン膜23の上面両端の各々の上に形成された、リンを不純物として添加したn型のリンドープ非晶質シリコン膜24から成る。更に、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの各ソース電極6及びドレイン電極7は、それぞれに対応するリンドープ非晶質シリコン膜24の上面上に形成されている。そして、保護膜8は、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの両方を全体的に被覆している。又、画素スイッチング用TFTによって制御される画素電極9は、画素スイッチング用TFTのドレイン電極7に接続されている。又、コモン配線16がガラス基板1上に形成され、その一部の領域は光検出用TFTのドレイン電極7の一部とゲート絶縁膜7を介して基板に垂直方向に重なり合っている。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の平面図であり、図2に於けるA1−A2に関するアレイ基板の縦断面図が、図1に相当している。
【0018】
図3は、本実施の形態1の光センサ内蔵表示装置の等価回路のブロック図を示す。光センサを内蔵した画素部分には、本実施の形態による光センサ19と、コモン配線16との間に設けられて光センサ用電荷保持容量31が設けられ、光電流に比例した電荷として、検出するものである。尚、図2では、光センサのドレイン電極7とゲート絶縁膜2を介して重なりあう領域が光センサ用電荷保持容量31となっている。又、光センサ用電荷保持容量31を省略して、光センサとコモン配線をコンタクトホールにて接続、光電流として直接検出してもよい。図3中、12は、画素TFT、13は、画素電極に蓄積された電荷を保持し、液晶に印加される電圧の低下を防止する目的で設けられた、電荷蓄積容量、19は、本発明による微結晶シリコンTFTからなる光センサ、14は、データ配線、15は、ゲート配線、16は、前述の電荷保持容量に電圧を供給するコモン配線、18は、光センサの信号を取り出す配線ための光センサ信号配線、30は画素部液晶容量、31は光センサ用電荷蓄積容量、35は、本発明による微結晶シリコンTFTで形成した垂直走査回路、36は、外付け水平走査回路、37は、外付け光センサ回路との間に形成した、本発明の微結晶シリコンと非晶質シリコンの多層構造のTFTを用いて形成した、マルチプレクサ回路等からなる光センサ回路、38は、電荷や電流検出回路からなる、外付け光センサ回路である。又、39は光センサを内蔵した画素部分を示している。
【0019】
更に、図4は、TFTのチャネル層を成す微結晶シリコン膜4が後述の通り吸収し得る波長帯域内の近赤外光、例えば、700nm〜900nmの波長の光を放出する光源を、補助光源として、バックライトの導光板の片側に配置したときの表示装置を示す図である。図4中、50は、表示用バックライト光源、51は、近赤外光光源、52は、バックライト導光板、53は、カラーフィルタ基板、54は、TFTアレイ基板、55は、指押しの指を示す。即ち、当該補助光源より出射された近赤外光線は、ゲート電極2間の間隙を透過してパネル表面側に伝播し、タッチパネルに触れる人の指先に反射した後、近赤外の反射光線は、光検出用TFTのチャネル層の微結晶シリコン膜4によって吸収される。又、近赤外の補助光源を本発明による光センサ内蔵型表示装置の上方に配置して、指押しによる、影の有無を検出することも可能である。更に、強い外光が存在する場合や、強いバックライト光で使用する場合においては、前述の近赤外の補助光源を消灯でき、システムの消費電力を低減することが出来る。
【0020】
ここで、図5は、微結晶シリコン膜及び非晶質シリコン膜の各々の吸収係数の波長依存性を示す。更に、図6は、TFTのチャネル層が非晶質シリコン膜の単層構造から成る場合と、TFTのチャネル層が微結晶シリコン膜4と非晶質シリコン膜23との2層構造から成る場合とに於ける、光電変換特性を示している。尚、図6のTFTのチャネル層が微結晶シリコン膜4と非晶質シリコン膜23との2層構造から成る場合の光電変換特性は、図示されてはいないが、波長900nmまで、得られるものと、考える。図5及び図6の特性曲線より、図1に示す本構造では、光センサは、約400nmから約900nm迄の可視光から近赤外光に迄至る幅広い波長帯域に感度を有することが理解される。
【0021】
この様な波長帯域が約750nm〜約900nm迄の近赤外光を効率良く吸収し得る微結晶シリコン膜4としては、その結晶サイズが50nm以下であり、換言すれば、その結晶粒径が5nm以上、100nm以下であり、その結晶シリコン相とアモルファス相のラマン分光の信号強度比(Ic/Ia)が、3〜10程度の膜、即ち、結晶領域に対する非晶質領域の体積の比率が1/10〜1/5である膜を用いるのが良い。この場合には、その光学的バンドギャップが1.4eV近傍の微結晶シリコン膜4が得られる。従って、微結晶シリコン膜4のバンドギャップは、従来技術で用いられている多結晶シリコン膜のバンドギャップ1.2eV程度よりも大きくなり、リーク電流の低減化を図ることが出来る。尚、これらの光学的バンドギャップとラマン分光の信号強度比は、光センサとして要求される分光感度特性に合わせて調整することが望ましい。又、リーク電流の低減化の観点から、ノンドープ非晶質シリコン膜23には、光学的バンドギャップが1.7eVから1.8eV程度の膜を採用すると良い。上記の様な微結晶シリコン膜4は容量結合型プラズマCVD法(通常のPCVD)又は誘導結合型プラズマCVD法によって製造することが出来る。
【0022】
次に、図1に示す光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の製造方法について記載する。
【0023】
先ず、ガラス基板1上に金属膜をスパッタ法等で形成し、液晶表示装置の画素部分を駆動するゲート電極線2、コモン電極線(図12参照)及び光検出用TFTのゲート電極線を、写真製版工程によりパターニングする。
【0024】
次に、ゲート絶縁膜3を成す、200nmから500nmの範囲内の膜厚を有するシリコン窒化膜を、100nmから300nmの範囲内の膜厚を有するノンドープ微結晶シリコン膜4を、100nmから200nmの範囲内の膜厚を有するノンドープ非晶質シリコン膜23を、30nmから100nmの範囲内の膜厚を有するリンドープ非晶質シリコン膜24を、プラズマCVD装置で、ガラス基板1の上面上に順次に積層形成する。
【0025】
ここで、微結晶シリコン膜4は、平行平板型プラズマCVD装置において、H2ガスとSiH4ガスの流量比を10以上とし、プラズマの放電条件である圧力や投入電力あるいは、基板温度や電極間距離を調整することで得ることが出来る。特に、H2ガスとSiH4ガス流量比120、圧力800Pa、基板温度300℃とすることで、所望の微結晶シリコン膜が得られる。又、H2ガスの替わりとして、Arガスや、SiH4に替わってSiF4等のガスを用いても良い。更に、平行平板のプラズマCVD装置に替わって、誘導結合型プラズマCVD装置でも、良好な微結晶シリコン膜が作製可能である。
【0026】
又、ノンドープ非晶質シリコン膜23は微結晶シリコン膜4で用いた装置と同様な装置を用いて、その成膜条件を変更して形成することができる。一般に、平行平板型プラズマCVD装置においてはプラズマを発生する電極間隔を広げ、投入する電力密度が小さく、H2ガスに対するSiH4ガスの流量比が増すほうが非晶質となりやすい。微結晶シリコン膜4とノンドープ非晶質シリコン膜23とを積層するには、それぞれの成膜条件に最適化した成膜装置を複数連結して連続的に成膜すると良い。
【0027】
次に、光検出用薄膜トランジスタ及び画素スイッチング用薄膜トランジスタの各チャネル層を形成するために、積層形成したノンドープ微結晶シリコン膜4、ノンドープ非晶質シリコン膜23及びリンドープ非晶質シリコン膜24を島状にパターニングする。更に、金属膜をスパッタ法等で形成してパターニングすることで、画素スイッチング用薄膜トランジスタのソース電極線及びドレイン電極線、並びに、光検出用薄膜トランジスタのドレイン電極線及びソース電極線を形成する。その後、画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層上及び光検出用薄膜トランジスタの両電極間にあるリンドープ非晶質シリコン膜24をエッチングにより除去する(バックチャネルエッチング)。この際、ノンドープ非晶質シリコン膜23がチャネル層の上部層として残る様に、エッチング量を調整する。尚、このバックチャネルエッチングにより、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上部層を成すノンドープ非晶質シリコン膜23の上面部分はダメージを受けるため、ノンドープ非晶質シリコン膜23の上面側部分の、外光等より成る可視光の吸収係数が、若干低下する。この点の改善を図るのが、後述する実施の形態3である。
【0028】
次に、シリコン窒化膜或いはシリコン窒化膜とシリコン酸化膜との2層膜から成る保護膜8を形成する。
【0029】
最後に、電極上にコンタクトホールを形成した後、透明電極から成る画素電極9を形成して、光センサを内蔵した表示装置用薄膜トランジスタアレイ基板が完成する。
【0030】
本実施の形態に係る画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層は、その移動度が非晶質シリコン膜のそれよりも数倍大きい微結晶シリコン膜4を、その下部部分に有している。このため、画素スイッチング用薄膜トランジスタのスイッチング特性を向上し得る。しかも、本実施の形態に係る光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の下部部分に於ける微結晶シリコン膜4は、波長が約750nm〜約900nmの範囲内にある近赤外光を高効率で吸収し得る近赤外光センサとして機能し得る(図5及び図6参照)。加えて、本実施の形態に係る光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上部部分に於けるノンドープ非晶質シリコン膜23は、外光やバックライトの散乱光等より成る可視光を高効率で吸収し得る可視光センサとして機能し得る。加えて、画素スイッチング用薄膜トランジスタと光検出用薄膜トランジスタとを、製造工程上、同一工程で作製することが出来、図3に示した様に、垂直走査回路や光センサ回路の一部或いは全てを本発明による薄膜トランジスタで基板内部に形成できるため、従来技術よりも低コストで、高性能な光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板を実現することが出来る。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、製造工程の増加無しに、電気的に高性能な画素スイッチング用薄膜トランジスタと、可視光領域から近赤外光領域までの範囲に渡って感度を持つ光検出用薄膜トランジスタとを、同一ガラス基板1上に形成できる。このため、従来技術よりも低コストで、しかも、従来技術よりもリーク電流を低減可能で、スイッチング特性がより良好な、高性能な光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板を実現することが出来る。この薄膜トランジスタアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成することにより、人に視認されない近赤外光によるセンシングが可能と成るため、指押し等の検出を補助する補助光として、近赤外光を使用出来る。しかも、近赤外光によるセンシングと併用して、バックライトの散乱光又は外光より成る可視光によるセンシングを行うことも可能である。この場合には、外光等の可視光が人の指で遮光されることにより、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層上部部分のノンドープ非晶質シリコン膜23によって吸収される可視光の光量が減少することによって、指押し等の検出のセンシングが可能と成る。よって、従来技術と比較して誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。特に、夜間、或いは、暗い室内又は車内等の操作環境が暗い場合に於いては、バックライト光や外光の輝度が小さくなるので、可視光を用いて指押し等の検出をセンシングすることが難しくなるが、指押し等の検出を補助する補助光として近赤外光をも用いる本実施の形態の場合には、その様な問題点が生じることはなく、この点でも、本実施の形態の光センサ内蔵表示装置は有利であると、言える。
【0032】
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0033】
実施の形態1では、光センサを薄膜トランジスタ構造としたが、本実施の形態に係る光センサは、図7に示す様に、ゲート電極が形成されておらず、画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層と同様に、微結晶シリコン膜4及び微結晶シリコン膜4上に全面的に形成されたノンドープ非晶質シリコン膜23の2層構造から成る「光導電素子」として用いられる。又、指押し等の検出用補助光源は、近赤外光を放出し得る光源であり、バックライト側に配設される。従って、当該光センサは、光導電素子の下部部分を成す微結晶シリコン膜4が人の指等に於いて反射されて入射して来た近赤外光を吸収することによる抵抗値の変化により、当該光導電素子の両端に設けられた両電極6,7間の電圧の変化に応じて、指押し等を検出する。加えて、当該光センサは、光導電素子の上部部分を成すノンドープ非晶質シリコン膜23に於ける、人の指等によって遮光された外光より成る可視光の吸収量の低下に起因した抵抗値の変化によっても、指押し等を検出し得る。
【0034】
特に、本実施の形態では、通常の配置とは逆に、図7のアレイ基板を光センサ内蔵型液晶表示装置のパネルの表面側に配設し、当該アレイ基板と対向する様に当該アレイ基板と接着される対向基板ないしはカラーフィルタ基板を、本表示装置のパネルの裏面側に配設する。従って、対向基板の背後に、バックライト及び近赤外光の補助光源が配置されており、人は図7のアレイ基板のガラス基板1側から画像を視認することになる。
【0035】
この様な両基板の逆転配置とすることで、補助光源から放射されて人の指等で反射された近赤外光線は、パネル表面のガラス基板1を透過して、当該光導電素子の微結晶シリコン膜4から成る下面4FS1側から入射して微結晶シリコン膜4によって吸収される。同様に、人の指等でその一部の光量が遮られた外光等の可視光は、パネル表面のガラス基板1を透過して、一部は微結晶シリコン膜4によって吸収された上で、ノンドープ非晶質シリコン膜23によって吸収される。この様に、本実施の形態のアレイ基板に於いても、実施の形態1と同様に、外光の可視光によるセンシングを、近赤外光によるセンシングと併用している。特に本実施の形態の場合、光導電素子の微結晶シリコン膜4の下面4FS1側部分及びノンドープ非晶質シリコン膜23の下面23FS1側部分は、共に、光導電素子の製造時に於けるバックチャネルエッチングによってエッチングされてはいない面であり、ダメージ部分を有してはいない。この様なバックチャネルエッチングによるノンドープ非晶質シリコン膜23のダメージ部分がある場合には、このダメージ部分では、外光より成る可視光が吸収されにくくなり、光電流として取り出しにくくなる。従って、ノンドープ非晶質シリコン膜23の下面23FS1の表面部に於ける可視光の吸収率ないしは感度は、バックチャネルエッチングによってエッチングされた上面の表面部よりも大きく且つ均一である。従って、本実施の形態の構造とすることで、既述した製造時に於けるバックチャネルエッチングによるダメージに起因した可視光に対する光感度の低下を改善することが出来る。しかも、本構造とすることにより、光導電素子の各電極部分6,7の直下層に該当するノンドープ非晶質シリコン膜23の部分23A及び微結晶シリコン膜4の部分4Aにも、それぞれ、検出すべき可視光及び近赤外光が入射されて吸収されることとなるため、可視光及び近赤外光の各々に関して、より大きな光電流を当該光導電素子の電極部分6,7から取り出すことが可能となる。
【0036】
尚、本構造の場合には、バックライトからの可視光は、光導電素子に入射しない様にするため、パネル裏面側に配置される対向基板であるカラーフィルタ基板のブラックマトリックスで以って遮光される。
【0037】
(実施の形態3)
図8は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0038】
本実施の形態は、実施の形態1(図1参照。)の改良に関するものであり、その特徴点は、光検出用薄膜トランジスタが、当該光検出用薄膜トランジスタのチャネル層(4+23)の上面に形成された透明なチャネル保護膜10を備える点にある。同様に、スイッチング用薄膜トランジスタも、そのチャネル層(4+23)の上面に形成されたチャネル保護膜10を備える。
【0039】
ここで、実施の形態1では、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの両方を、チャネルエッチング型構造としていた。
【0040】
しかし、本実施の形態では、図8に示す様に、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの両方を、チャネル保護型の薄膜トランジスタとする。即ち、図8に示すアレイ基板の製造工程に於いて、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各チャネル層(4+23)の上面上に、窒化膜又は酸化膜から成る透明なチャネル保護膜10を形成した上で、リンドープ非晶質シリコン膜24の層及び各電極6,7の配線層を形成する。その後に、実施の形態1で既述した様に、エッチング後のリンドープ非晶質シリコン膜24がチャネル保護膜10の両端側部分を被覆する様に、チャネル保護膜10の上面が露出するまで、スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル部上及び光検出用薄膜トランジスタの電極間にあるリンドープ非晶質シリコン膜24をエッチングで除去する(バックチャネルエッチ)。その際、本実施の形態ではチャネル保護膜10が存在するので、当該エッチングにより光検出用薄膜トランジスタのチャネル層(4+23)のノンドープ非晶質シリコン膜23の上面側部分がダメージを受けると言う事態は発生しない。
【0041】
以上の様に、アレイ基板の製造時に於いてチャネル保護膜10を設けた上でバックチャネルエッチングを行っているので、バックチャネル側、即ち、チャネル保護膜10とノンドープ非晶質シリコン膜23との界面側部分のシリコン層に於ける欠陥(可視光の吸収係数の低下)を低減することが出来る。このため、完成品としての図8の光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板は、図1に記載した光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板と比較して、より一層感度の高い可視光センサを有することが可能となる。
【0042】
又、実施の形態2(図7)に係る光導電素子に対して、本実施の形態に係るチャネル保護膜10を適用することも可能であり、その場合には、実施の形態2の場合よりも、可視光に対する光感度をより一層向上させることが出来る。
【0043】
(実施の形態4)
本実施の形態の特徴点の第1は、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜のみから成る点である。これにより、微結晶シリコン膜の光感度特性を利用することにより、補助光源として近赤外光源を用いて人には視認出来ない近赤外光によるセンシングのみによって指押し等の検出を可能とする。特徴点の第2は、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々について、チャネル層とドレイン電極との間及びチャネル層とソース電極との間には、ノンドープ非晶質シリコン膜が配設されている点にある。この構成により、微結晶シリコン膜及び多結晶シリコン膜よりも大きなバンドギャップを有する非晶質シリコン膜が光センサの各電極直下に配設されることになるので、リーク電流を実施の形態1の場合よりも一層低減化して光センサの明暗比を一層向上させることが可能となる。
【0044】
ここで、図9は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0045】
実施の形態1では、光センサを成す光検出用薄膜トランジスタのチャネル層は微結晶シリコン膜4とノンドープの非晶質シリコン膜23とから成る2層構造としていた。しかし、図9では、バックチャネルエッチング工程によりチャネル層上の非晶質シリコン膜23の部分を除去して、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層として動作する部分を微結晶シリコン膜4のみとしている。この構成により、波長帯域が600nmから900nm程度の、可視光から近赤外光にのみ感度を有する光センサを形成することが出来る。
【0046】
この様な形態にすることにより、バックライト光等の回り込みによる感度の低下を防止し、人には視認出来ない近赤外光を用いた検出の感度を向上させることが出来る。しかも、保護膜8との界面が微結晶シリコン膜4に接することになり、光センサの感度及び画素TFTの特性をより一層安定化させることが可能となる。
【0047】
(実施の形態5)
本実施の形態は、実施の形態4の改良に関するものである。その特徴点は、非晶質シリコン膜から成る可視光フィルタ層を光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の直上方に配設した点にある。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0048】
ここで、図10は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構造を示す縦断面図である。同図中、図9と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0049】
図10に示す様に、実施の形態4の光検出用薄膜トランジスタのチャネル4上に、その膜厚が200nm〜500nmの範囲内にある非晶質シリコン膜から成る可視光フルタ11が形成されている。非晶質シリコン膜を可視光フルタ11として光センサ上の保護膜8の部分上に形成することにより、光検出用薄膜トランジスタに対しては、エネルギーの大きな可視光がカットされ、650nm程度以上の長波長の光のみが到達するため、外光等による光検出用薄膜トランジスタの誤動作を一層低減することが出来る。
【0050】
(実施の形態6)
本実施の形態は、実施の形態5の改良に関するものである。その特徴点は、可視光フィルタ層が、その両端の各々の直下に形成された各電極とコンタクトホールを介して電気的に接続されて、可視光の光導電素子として用いられる点にある。
【0051】
ここで、図11は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図10と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0052】
図11に示される様に、非晶質シリコン膜11の両端に電極(図示せず。)を形成し、更に、非晶質シリコン膜11の各電極直下に該当するゲート絶縁膜3の上面部分上に、電極E1及びE2を形成する。そして、保護膜8内に形成したコンタクトホール25で以って、非晶質シリコン膜11の各端の上記電極(図示せず。)と対応する電極E1又はE2を電気的に接続する。この構成により、微結晶シリコン膜4から成る近赤外光検出用薄膜トランジスタに加えて、非晶質シリコン膜11から成る可視光検出用光導電素子も形成される。
【0053】
以上の様に、ガラス基板1上に形成される光センサとして、可視光に大きな感度を有する非晶質シリコン膜11の光導電素子と、近赤外光に高い感度を有する微結晶シリコン膜4をチャネル層とする光検出用薄膜トランジスタとを積層構造で形成することで、更に一層誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。特に、本実施の形態では、太陽光に起因した誤動作を防止出来ると言う利点を有する。即ち、微結晶シリコン膜4の光検出用薄膜トランジスタによる検出と同時に、非晶質シリコン膜11の光導電素子による検出が得られるときには、人の指押し等を検出したのではなくて、可視光及び近赤外光を含む太陽光がノイズとして光センサ内蔵表示装置の光センサに入射したものと、判断される。
【0054】
(実施の形態7)
本実施の形態は、既述した実施の形態1、3、4、5及び6に対する変形例であり、その特徴点は、光検出用薄膜トランジスタの信号読み出し回路の一部のトランジスタが、そのチャネル層が微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタで構成されている点にある。
【0055】
本特徴点により、非晶質シリコン薄膜トランジスタで形成していた光センサ内蔵表示装置では、検出が不可能であった、750 nm〜900nmの波長帯に属する近赤外光に対して感度を有する光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。そして、非晶質シリコンに比べて、移動度が数倍大きく、且つ、閾値電圧変動も小さい、微結晶シリコン膜をそのチャネル層に含む薄膜トランジスタで以って、画素スイッチング用薄膜トランジスタと同一の工程で、光センサ信号の読み出し回路の一部を形成することが可能となり、表示装置の低コスト化及び小型化を実現することが可能となる。以下、図面を参照して、本実施の形態を記載する。
【0056】
実施の形態1、3、4、5及び6の何れかに記載した光センサを組み込んだ光センサ内蔵型液晶表示装置の回路及びシステム構成を、図12に示す。この回路及びシステムは、既知の方式であり、簡単に2値化した信号として、光センサの信号を取り出せる長所を有するが、チャネル層が非晶質シリコン膜のみから成るTFTを用いた場合には、TFTの閾値電圧のシフトのために感度が変化すると言う問題点があった。加えて、周辺に作り込んだ回路の動作が遅く、大型化や高精細化が困難であると言う課題もあった。
【0057】
本実施の形態は、この回路及びシステムに対して、実施の形態1、3、4、5及び6の何れかに記載した光センサTFT19及びスイッチング用画素TFT12を採用したものである。しかも、図12に記載の周辺回路の全てのトランジスタ20〜22を、そのチャネル層が微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタで以って構成されている。このため、光センサTFT19の信号読み出し回路の一部が同一基板上に内蔵回路として光センサTFT19及びスイッチング用画素TFT12と共に作成され、光センサTFT19の信号読み出し回路の特性及び信頼性が向上する。
【0058】
尚、光センサTFT19を実施の形態2(図7)に記載した光導電素子に置き換えても、その周辺回路20〜22に対して同様の構成を採用する事が出来、従って、同様の利点が得られる。
【0059】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【0060】
例えば、表示装置のパネル上面(表面)側に、上記波長帯の近赤外光を放射可能な光源を配設しても良い。この場合には、各実施の形態1〜6で既述した光センサは、人の指等で影となった部分の発生の有無を、当該光センサに入射し吸収された近赤外光の光量の減少の有無から検出することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、タッチセンサとして光センサを内蔵したディスプレイ装置に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵型表示装置の回路ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵型表示装置の全体構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る微結晶シリコン膜の吸収係数を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る微結晶シリコン膜/非晶質シリコン膜の2層構造の分光感度特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施の形態6に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図12】本発明の実施の形態7に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の単位画素の等価回路を示す図である。
【図13】特許文献1に記載の光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図14】特許文献1に記載の光センサ内蔵表示装置のシステム構成を示す図である。
【図15】特許文献1に記載の光センサ内蔵表示装置のシステム構成を示す図である。
【図16】特許文献2に記載の光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ガラス基板、2 ゲート電極、3 ゲート絶縁膜、4 ノンドープ微結晶シリコン膜、6 ソース電極、7 ドレイン電極、8 保護膜、9 画素電極、10 チャネル保護膜、11 非晶質シリコン膜可視光フィルタ、23 ノンドープ非晶質シリコン膜、24 リンドープ非晶質シリコン膜、25 コンタクトホール。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液晶表示装置やEL(Electroluminescence)表示デバイスに用いられる光センサを内蔵した薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)アレイ基板と、それを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、特許文献1に記載された、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(TFT)を光センサとする2次元ホトセンサアレイの縦断面図である。この特許文献1の記載によれば、液晶ディスプレイ部の画素とホトセンサ部の画素とを一致させ、液晶駆動用TFTのゲート絶縁膜/チャネル用非晶質シリコンの積層構造と、光電変換用TFTのゲート絶縁膜/チャネル用非晶質シリコンの積層構造とを同時に形成する。又、図14及び図15は、画素の構成図を示す図である。図13及び図14によれば、単位画素内に、液晶画素駆動用TFTと、光電変換用TFTと、保持容量を有する回路とを構成し、周辺に外部回路を接続して信号を読み出す装置が、開示されている。
【0003】
又、図16は、特許文献2に示された光電変換素子を内蔵したTFTアレイの構造を示す縦断面図である。特許文献2に記載されている光センサ内蔵液晶表示装置は、絶縁膜を介して活性層下部を遮光層である非晶質シリコン層で遮光したトップゲート構造の低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)と、その非晶質シリコン膜を光電変換層とする光センサから構成される。図16中、参照符号1は透明基板としてのガラス基板、3は非晶質シリコン膜、12は走査線、25は画素電極、27は表示用のスイッチング薄膜トランジスタ、28は光電変換素子としての受光用の薄膜トランジスタである。又、特許文献2の平面図から、単位画素は、液晶駆動用のスイッチングTFTと保持容量、及び、光センサ用TFTとその保持容量から構成されており、その信号は、パネル周辺部に形成された多結晶シリコンTFTから成る駆動回路によって検出される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−121715号公報
【特許文献2】特開平10−90655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様に、従来の光センサ内蔵型表示装置に於いては、光電変換素子として、非晶質シリコンTFTが用いられている。非晶質シリコンTFTは、その特性の安定性が悪く、その光感度が動作時のストレスによって時間と共に変化すると言う課題を有している。又、非晶質シリコンTFTのみで形成した場合の光センサ内蔵型表示装置においては、TFTの移動度が小さいため、全ての読み出し回路を外部回路として接続する必要があり、回路規模の増大、及び、実装工程による歩留り低下により、製造コストが増大すると言う問題点もある。
【0006】
他方、特許文献2に記載の光センサ内蔵型表示装置に於いては、読み出し回路を多結晶シリコンTFTで形成できるため、実装工程及び回路コストの問題点を克服することが出来る。しかしながら、多結晶シリコンのスイッチングTFTの下部に、非晶質シリコン膜を光電変換層として形成する必要がある。そのため、多結晶シリコンTFTの製造プロセスに於いて、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜の形成時に400℃以上のプロセスがあるため、非晶質シリコン膜中の水素が離脱し、欠陥準位が増加して、光感度が低下すると言う問題点が発生する。又、液晶表示装置に於いては、一般的にカラーフィルタ基板を表面側の基板として使用し、TFTアレイ基板はバックライト側に配置することが多いが、トップゲート構造の光電変換用TFTの場合には、TFTアレイ基板を表面側の基板として使用する必要があり、TFTアレイ基板に形成された配線又はTFTの電極の金属配線パターンでの外光の反射光によって表示特性が低下すると言う問題点が発生する。
【0007】
更に、非晶質シリコン層を光電変換層に用いることは、可視光の中心となる550nm〜600nmの光に対する高い感度を有効に活用出来ると言う利点を有する反面、バックライト光又は外光の影響による外乱で、光センサのS/N比が低下するというデメリットをも有している。
【0008】
以上の様に、非晶質シリコンTFTを光電変換素子とする光センサ内蔵表示装置に於いては、低コストで、簡単な構造で、且つ、高感度な光センサ内蔵TFTアレイ基板を形成することが困難であった。しかも、非晶質シリコンTFTを光電変換素子として利用する方式は、可視光に対する優れた感度を有する反面、外光又はバックライト光による誤動作を回避することが難しく、実用的な光センサ内蔵表示装置を構成することが出来なかった。
【0009】
更に、多結晶シリコン膜から成る光電変換素子に於いては、安定した特性を確保出来るが、膜のバンドギャップが1.2eV程度と非晶質シリコンに比べて小さくなるため、リーク電流が増大し、光センサとしての性能を示す、明暗比が低下すると言う問題点があった。
【0010】
この発明は、以上に記載した様な問題点を解消するために成されたものであり、その主目的は、製造工程を増加させること無く、非晶質シリコンTFT又は多結晶シリコンTFTを光電変換素子とする光センサ内蔵表示装置の欠点を克服し、リーク電流を低減化して低コストで誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題は、単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、前記単位画素は、透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする。
【0012】
以下、この発明の主題の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の主題によれば、光センサ内蔵表示装置に使用する、光検出用薄膜トランジスタ及びスイッチング用薄膜トランジスタの各々のチャネル層を微結晶シリコン膜と非晶質シリコン膜との多層構造で、且つ、同一工程で形成することにより、可視光領域から近赤外光領域の広い範囲に感度を有し、オフ電流が小さく、閾値電圧のシフト等の小さい高信頼性の光センサ及び画素薄膜トランジスタを形成することが出来るため、誤動作が少なく、高感度で安定な光センサを内蔵した表示装置を実現することが出来る。
【0014】
しかも、微結晶シリコンTFTは、従来の非晶質シリコンTFTに比べて数倍の移動度を有するため、光センサの信号検出回路の一部を微結晶シリコンTFTで以って形成することが出来、外部に接続される読み出し回路の規模を低減することが可能となる結果、従来の光センサ内蔵表示装置よりも低コスト化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置の特徴点は、画素のスイッチング用TFTのチャネル層と光検出用TFTのチャネル層とを共に、微結晶シリコン膜及びその上に形成された非晶質シリコン膜の多層構造で形成した点にある。これにより、微結晶シリコン膜による近赤外光を用いたフォトセンシングと主に非晶質シリコン膜による外光等の可視光を用いたフォトセンシングとの併用によって、タッチパネル部分への人の指押し等を誤動作が少なく高感度で検出することが可能となる。以下、マトリクス状に配置された各単位画素が含む構成要素を示す図1及び図2、本発明による光センサ内蔵表示装置の回路ブロック図及び全体構成図を各々示す図3及び図4、並びに、その他の図面(図5及び図6)を参照しつつ、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置の構成及び製造方法を詳述する。
【0016】
図1に於いて、金属膜から成るゲート電極2は、透明なガラス基板1上に形成されており、シリコン窒化膜或いはシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜3は、光センサ側及び画素TFT側の各ゲート電極2を全体的に被覆している。又、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの各チャネル層は、ゲート絶縁膜3の上面上に形成された島状のノンドープ微結晶シリコン膜4と、微結晶シリコン膜4の上面上に全面的に形成されたノンドープ非晶質シリコン膜23とから成る。又、オーミックコンタクト層は、ノンドープ非晶質シリコン膜23の上面両端の各々の上に形成された、リンを不純物として添加したn型のリンドープ非晶質シリコン膜24から成る。更に、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの各ソース電極6及びドレイン電極7は、それぞれに対応するリンドープ非晶質シリコン膜24の上面上に形成されている。そして、保護膜8は、画素スイッチング用TFT及び光検出用TFTの両方を全体的に被覆している。又、画素スイッチング用TFTによって制御される画素電極9は、画素スイッチング用TFTのドレイン電極7に接続されている。又、コモン配線16がガラス基板1上に形成され、その一部の領域は光検出用TFTのドレイン電極7の一部とゲート絶縁膜7を介して基板に垂直方向に重なり合っている。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の平面図であり、図2に於けるA1−A2に関するアレイ基板の縦断面図が、図1に相当している。
【0018】
図3は、本実施の形態1の光センサ内蔵表示装置の等価回路のブロック図を示す。光センサを内蔵した画素部分には、本実施の形態による光センサ19と、コモン配線16との間に設けられて光センサ用電荷保持容量31が設けられ、光電流に比例した電荷として、検出するものである。尚、図2では、光センサのドレイン電極7とゲート絶縁膜2を介して重なりあう領域が光センサ用電荷保持容量31となっている。又、光センサ用電荷保持容量31を省略して、光センサとコモン配線をコンタクトホールにて接続、光電流として直接検出してもよい。図3中、12は、画素TFT、13は、画素電極に蓄積された電荷を保持し、液晶に印加される電圧の低下を防止する目的で設けられた、電荷蓄積容量、19は、本発明による微結晶シリコンTFTからなる光センサ、14は、データ配線、15は、ゲート配線、16は、前述の電荷保持容量に電圧を供給するコモン配線、18は、光センサの信号を取り出す配線ための光センサ信号配線、30は画素部液晶容量、31は光センサ用電荷蓄積容量、35は、本発明による微結晶シリコンTFTで形成した垂直走査回路、36は、外付け水平走査回路、37は、外付け光センサ回路との間に形成した、本発明の微結晶シリコンと非晶質シリコンの多層構造のTFTを用いて形成した、マルチプレクサ回路等からなる光センサ回路、38は、電荷や電流検出回路からなる、外付け光センサ回路である。又、39は光センサを内蔵した画素部分を示している。
【0019】
更に、図4は、TFTのチャネル層を成す微結晶シリコン膜4が後述の通り吸収し得る波長帯域内の近赤外光、例えば、700nm〜900nmの波長の光を放出する光源を、補助光源として、バックライトの導光板の片側に配置したときの表示装置を示す図である。図4中、50は、表示用バックライト光源、51は、近赤外光光源、52は、バックライト導光板、53は、カラーフィルタ基板、54は、TFTアレイ基板、55は、指押しの指を示す。即ち、当該補助光源より出射された近赤外光線は、ゲート電極2間の間隙を透過してパネル表面側に伝播し、タッチパネルに触れる人の指先に反射した後、近赤外の反射光線は、光検出用TFTのチャネル層の微結晶シリコン膜4によって吸収される。又、近赤外の補助光源を本発明による光センサ内蔵型表示装置の上方に配置して、指押しによる、影の有無を検出することも可能である。更に、強い外光が存在する場合や、強いバックライト光で使用する場合においては、前述の近赤外の補助光源を消灯でき、システムの消費電力を低減することが出来る。
【0020】
ここで、図5は、微結晶シリコン膜及び非晶質シリコン膜の各々の吸収係数の波長依存性を示す。更に、図6は、TFTのチャネル層が非晶質シリコン膜の単層構造から成る場合と、TFTのチャネル層が微結晶シリコン膜4と非晶質シリコン膜23との2層構造から成る場合とに於ける、光電変換特性を示している。尚、図6のTFTのチャネル層が微結晶シリコン膜4と非晶質シリコン膜23との2層構造から成る場合の光電変換特性は、図示されてはいないが、波長900nmまで、得られるものと、考える。図5及び図6の特性曲線より、図1に示す本構造では、光センサは、約400nmから約900nm迄の可視光から近赤外光に迄至る幅広い波長帯域に感度を有することが理解される。
【0021】
この様な波長帯域が約750nm〜約900nm迄の近赤外光を効率良く吸収し得る微結晶シリコン膜4としては、その結晶サイズが50nm以下であり、換言すれば、その結晶粒径が5nm以上、100nm以下であり、その結晶シリコン相とアモルファス相のラマン分光の信号強度比(Ic/Ia)が、3〜10程度の膜、即ち、結晶領域に対する非晶質領域の体積の比率が1/10〜1/5である膜を用いるのが良い。この場合には、その光学的バンドギャップが1.4eV近傍の微結晶シリコン膜4が得られる。従って、微結晶シリコン膜4のバンドギャップは、従来技術で用いられている多結晶シリコン膜のバンドギャップ1.2eV程度よりも大きくなり、リーク電流の低減化を図ることが出来る。尚、これらの光学的バンドギャップとラマン分光の信号強度比は、光センサとして要求される分光感度特性に合わせて調整することが望ましい。又、リーク電流の低減化の観点から、ノンドープ非晶質シリコン膜23には、光学的バンドギャップが1.7eVから1.8eV程度の膜を採用すると良い。上記の様な微結晶シリコン膜4は容量結合型プラズマCVD法(通常のPCVD)又は誘導結合型プラズマCVD法によって製造することが出来る。
【0022】
次に、図1に示す光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の製造方法について記載する。
【0023】
先ず、ガラス基板1上に金属膜をスパッタ法等で形成し、液晶表示装置の画素部分を駆動するゲート電極線2、コモン電極線(図12参照)及び光検出用TFTのゲート電極線を、写真製版工程によりパターニングする。
【0024】
次に、ゲート絶縁膜3を成す、200nmから500nmの範囲内の膜厚を有するシリコン窒化膜を、100nmから300nmの範囲内の膜厚を有するノンドープ微結晶シリコン膜4を、100nmから200nmの範囲内の膜厚を有するノンドープ非晶質シリコン膜23を、30nmから100nmの範囲内の膜厚を有するリンドープ非晶質シリコン膜24を、プラズマCVD装置で、ガラス基板1の上面上に順次に積層形成する。
【0025】
ここで、微結晶シリコン膜4は、平行平板型プラズマCVD装置において、H2ガスとSiH4ガスの流量比を10以上とし、プラズマの放電条件である圧力や投入電力あるいは、基板温度や電極間距離を調整することで得ることが出来る。特に、H2ガスとSiH4ガス流量比120、圧力800Pa、基板温度300℃とすることで、所望の微結晶シリコン膜が得られる。又、H2ガスの替わりとして、Arガスや、SiH4に替わってSiF4等のガスを用いても良い。更に、平行平板のプラズマCVD装置に替わって、誘導結合型プラズマCVD装置でも、良好な微結晶シリコン膜が作製可能である。
【0026】
又、ノンドープ非晶質シリコン膜23は微結晶シリコン膜4で用いた装置と同様な装置を用いて、その成膜条件を変更して形成することができる。一般に、平行平板型プラズマCVD装置においてはプラズマを発生する電極間隔を広げ、投入する電力密度が小さく、H2ガスに対するSiH4ガスの流量比が増すほうが非晶質となりやすい。微結晶シリコン膜4とノンドープ非晶質シリコン膜23とを積層するには、それぞれの成膜条件に最適化した成膜装置を複数連結して連続的に成膜すると良い。
【0027】
次に、光検出用薄膜トランジスタ及び画素スイッチング用薄膜トランジスタの各チャネル層を形成するために、積層形成したノンドープ微結晶シリコン膜4、ノンドープ非晶質シリコン膜23及びリンドープ非晶質シリコン膜24を島状にパターニングする。更に、金属膜をスパッタ法等で形成してパターニングすることで、画素スイッチング用薄膜トランジスタのソース電極線及びドレイン電極線、並びに、光検出用薄膜トランジスタのドレイン電極線及びソース電極線を形成する。その後、画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層上及び光検出用薄膜トランジスタの両電極間にあるリンドープ非晶質シリコン膜24をエッチングにより除去する(バックチャネルエッチング)。この際、ノンドープ非晶質シリコン膜23がチャネル層の上部層として残る様に、エッチング量を調整する。尚、このバックチャネルエッチングにより、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上部層を成すノンドープ非晶質シリコン膜23の上面部分はダメージを受けるため、ノンドープ非晶質シリコン膜23の上面側部分の、外光等より成る可視光の吸収係数が、若干低下する。この点の改善を図るのが、後述する実施の形態3である。
【0028】
次に、シリコン窒化膜或いはシリコン窒化膜とシリコン酸化膜との2層膜から成る保護膜8を形成する。
【0029】
最後に、電極上にコンタクトホールを形成した後、透明電極から成る画素電極9を形成して、光センサを内蔵した表示装置用薄膜トランジスタアレイ基板が完成する。
【0030】
本実施の形態に係る画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層は、その移動度が非晶質シリコン膜のそれよりも数倍大きい微結晶シリコン膜4を、その下部部分に有している。このため、画素スイッチング用薄膜トランジスタのスイッチング特性を向上し得る。しかも、本実施の形態に係る光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の下部部分に於ける微結晶シリコン膜4は、波長が約750nm〜約900nmの範囲内にある近赤外光を高効率で吸収し得る近赤外光センサとして機能し得る(図5及び図6参照)。加えて、本実施の形態に係る光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上部部分に於けるノンドープ非晶質シリコン膜23は、外光やバックライトの散乱光等より成る可視光を高効率で吸収し得る可視光センサとして機能し得る。加えて、画素スイッチング用薄膜トランジスタと光検出用薄膜トランジスタとを、製造工程上、同一工程で作製することが出来、図3に示した様に、垂直走査回路や光センサ回路の一部或いは全てを本発明による薄膜トランジスタで基板内部に形成できるため、従来技術よりも低コストで、高性能な光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板を実現することが出来る。
【0031】
従って、本実施の形態によれば、製造工程の増加無しに、電気的に高性能な画素スイッチング用薄膜トランジスタと、可視光領域から近赤外光領域までの範囲に渡って感度を持つ光検出用薄膜トランジスタとを、同一ガラス基板1上に形成できる。このため、従来技術よりも低コストで、しかも、従来技術よりもリーク電流を低減可能で、スイッチング特性がより良好な、高性能な光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板を実現することが出来る。この薄膜トランジスタアレイ基板を用いて液晶表示装置を構成することにより、人に視認されない近赤外光によるセンシングが可能と成るため、指押し等の検出を補助する補助光として、近赤外光を使用出来る。しかも、近赤外光によるセンシングと併用して、バックライトの散乱光又は外光より成る可視光によるセンシングを行うことも可能である。この場合には、外光等の可視光が人の指で遮光されることにより、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層上部部分のノンドープ非晶質シリコン膜23によって吸収される可視光の光量が減少することによって、指押し等の検出のセンシングが可能と成る。よって、従来技術と比較して誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。特に、夜間、或いは、暗い室内又は車内等の操作環境が暗い場合に於いては、バックライト光や外光の輝度が小さくなるので、可視光を用いて指押し等の検出をセンシングすることが難しくなるが、指押し等の検出を補助する補助光として近赤外光をも用いる本実施の形態の場合には、その様な問題点が生じることはなく、この点でも、本実施の形態の光センサ内蔵表示装置は有利であると、言える。
【0032】
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0033】
実施の形態1では、光センサを薄膜トランジスタ構造としたが、本実施の形態に係る光センサは、図7に示す様に、ゲート電極が形成されておらず、画素スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層と同様に、微結晶シリコン膜4及び微結晶シリコン膜4上に全面的に形成されたノンドープ非晶質シリコン膜23の2層構造から成る「光導電素子」として用いられる。又、指押し等の検出用補助光源は、近赤外光を放出し得る光源であり、バックライト側に配設される。従って、当該光センサは、光導電素子の下部部分を成す微結晶シリコン膜4が人の指等に於いて反射されて入射して来た近赤外光を吸収することによる抵抗値の変化により、当該光導電素子の両端に設けられた両電極6,7間の電圧の変化に応じて、指押し等を検出する。加えて、当該光センサは、光導電素子の上部部分を成すノンドープ非晶質シリコン膜23に於ける、人の指等によって遮光された外光より成る可視光の吸収量の低下に起因した抵抗値の変化によっても、指押し等を検出し得る。
【0034】
特に、本実施の形態では、通常の配置とは逆に、図7のアレイ基板を光センサ内蔵型液晶表示装置のパネルの表面側に配設し、当該アレイ基板と対向する様に当該アレイ基板と接着される対向基板ないしはカラーフィルタ基板を、本表示装置のパネルの裏面側に配設する。従って、対向基板の背後に、バックライト及び近赤外光の補助光源が配置されており、人は図7のアレイ基板のガラス基板1側から画像を視認することになる。
【0035】
この様な両基板の逆転配置とすることで、補助光源から放射されて人の指等で反射された近赤外光線は、パネル表面のガラス基板1を透過して、当該光導電素子の微結晶シリコン膜4から成る下面4FS1側から入射して微結晶シリコン膜4によって吸収される。同様に、人の指等でその一部の光量が遮られた外光等の可視光は、パネル表面のガラス基板1を透過して、一部は微結晶シリコン膜4によって吸収された上で、ノンドープ非晶質シリコン膜23によって吸収される。この様に、本実施の形態のアレイ基板に於いても、実施の形態1と同様に、外光の可視光によるセンシングを、近赤外光によるセンシングと併用している。特に本実施の形態の場合、光導電素子の微結晶シリコン膜4の下面4FS1側部分及びノンドープ非晶質シリコン膜23の下面23FS1側部分は、共に、光導電素子の製造時に於けるバックチャネルエッチングによってエッチングされてはいない面であり、ダメージ部分を有してはいない。この様なバックチャネルエッチングによるノンドープ非晶質シリコン膜23のダメージ部分がある場合には、このダメージ部分では、外光より成る可視光が吸収されにくくなり、光電流として取り出しにくくなる。従って、ノンドープ非晶質シリコン膜23の下面23FS1の表面部に於ける可視光の吸収率ないしは感度は、バックチャネルエッチングによってエッチングされた上面の表面部よりも大きく且つ均一である。従って、本実施の形態の構造とすることで、既述した製造時に於けるバックチャネルエッチングによるダメージに起因した可視光に対する光感度の低下を改善することが出来る。しかも、本構造とすることにより、光導電素子の各電極部分6,7の直下層に該当するノンドープ非晶質シリコン膜23の部分23A及び微結晶シリコン膜4の部分4Aにも、それぞれ、検出すべき可視光及び近赤外光が入射されて吸収されることとなるため、可視光及び近赤外光の各々に関して、より大きな光電流を当該光導電素子の電極部分6,7から取り出すことが可能となる。
【0036】
尚、本構造の場合には、バックライトからの可視光は、光導電素子に入射しない様にするため、パネル裏面側に配置される対向基板であるカラーフィルタ基板のブラックマトリックスで以って遮光される。
【0037】
(実施の形態3)
図8は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0038】
本実施の形態は、実施の形態1(図1参照。)の改良に関するものであり、その特徴点は、光検出用薄膜トランジスタが、当該光検出用薄膜トランジスタのチャネル層(4+23)の上面に形成された透明なチャネル保護膜10を備える点にある。同様に、スイッチング用薄膜トランジスタも、そのチャネル層(4+23)の上面に形成されたチャネル保護膜10を備える。
【0039】
ここで、実施の形態1では、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの両方を、チャネルエッチング型構造としていた。
【0040】
しかし、本実施の形態では、図8に示す様に、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの両方を、チャネル保護型の薄膜トランジスタとする。即ち、図8に示すアレイ基板の製造工程に於いて、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各チャネル層(4+23)の上面上に、窒化膜又は酸化膜から成る透明なチャネル保護膜10を形成した上で、リンドープ非晶質シリコン膜24の層及び各電極6,7の配線層を形成する。その後に、実施の形態1で既述した様に、エッチング後のリンドープ非晶質シリコン膜24がチャネル保護膜10の両端側部分を被覆する様に、チャネル保護膜10の上面が露出するまで、スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル部上及び光検出用薄膜トランジスタの電極間にあるリンドープ非晶質シリコン膜24をエッチングで除去する(バックチャネルエッチ)。その際、本実施の形態ではチャネル保護膜10が存在するので、当該エッチングにより光検出用薄膜トランジスタのチャネル層(4+23)のノンドープ非晶質シリコン膜23の上面側部分がダメージを受けると言う事態は発生しない。
【0041】
以上の様に、アレイ基板の製造時に於いてチャネル保護膜10を設けた上でバックチャネルエッチングを行っているので、バックチャネル側、即ち、チャネル保護膜10とノンドープ非晶質シリコン膜23との界面側部分のシリコン層に於ける欠陥(可視光の吸収係数の低下)を低減することが出来る。このため、完成品としての図8の光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板は、図1に記載した光センサ内蔵薄膜トランジスタアレイ基板と比較して、より一層感度の高い可視光センサを有することが可能となる。
【0042】
又、実施の形態2(図7)に係る光導電素子に対して、本実施の形態に係るチャネル保護膜10を適用することも可能であり、その場合には、実施の形態2の場合よりも、可視光に対する光感度をより一層向上させることが出来る。
【0043】
(実施の形態4)
本実施の形態の特徴点の第1は、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜のみから成る点である。これにより、微結晶シリコン膜の光感度特性を利用することにより、補助光源として近赤外光源を用いて人には視認出来ない近赤外光によるセンシングのみによって指押し等の検出を可能とする。特徴点の第2は、スイッチング用薄膜トランジスタ及び光検出用薄膜トランジスタの各々について、チャネル層とドレイン電極との間及びチャネル層とソース電極との間には、ノンドープ非晶質シリコン膜が配設されている点にある。この構成により、微結晶シリコン膜及び多結晶シリコン膜よりも大きなバンドギャップを有する非晶質シリコン膜が光センサの各電極直下に配設されることになるので、リーク電流を実施の形態1の場合よりも一層低減化して光センサの明暗比を一層向上させることが可能となる。
【0044】
ここで、図9は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図1と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0045】
実施の形態1では、光センサを成す光検出用薄膜トランジスタのチャネル層は微結晶シリコン膜4とノンドープの非晶質シリコン膜23とから成る2層構造としていた。しかし、図9では、バックチャネルエッチング工程によりチャネル層上の非晶質シリコン膜23の部分を除去して、光検出用薄膜トランジスタのチャネル層として動作する部分を微結晶シリコン膜4のみとしている。この構成により、波長帯域が600nmから900nm程度の、可視光から近赤外光にのみ感度を有する光センサを形成することが出来る。
【0046】
この様な形態にすることにより、バックライト光等の回り込みによる感度の低下を防止し、人には視認出来ない近赤外光を用いた検出の感度を向上させることが出来る。しかも、保護膜8との界面が微結晶シリコン膜4に接することになり、光センサの感度及び画素TFTの特性をより一層安定化させることが可能となる。
【0047】
(実施の形態5)
本実施の形態は、実施の形態4の改良に関するものである。その特徴点は、非晶質シリコン膜から成る可視光フィルタ層を光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の直上方に配設した点にある。以下、図面を参照して、その特徴点を記載する。
【0048】
ここで、図10は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構造を示す縦断面図である。同図中、図9と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0049】
図10に示す様に、実施の形態4の光検出用薄膜トランジスタのチャネル4上に、その膜厚が200nm〜500nmの範囲内にある非晶質シリコン膜から成る可視光フルタ11が形成されている。非晶質シリコン膜を可視光フルタ11として光センサ上の保護膜8の部分上に形成することにより、光検出用薄膜トランジスタに対しては、エネルギーの大きな可視光がカットされ、650nm程度以上の長波長の光のみが到達するため、外光等による光検出用薄膜トランジスタの誤動作を一層低減することが出来る。
【0050】
(実施の形態6)
本実施の形態は、実施の形態5の改良に関するものである。その特徴点は、可視光フィルタ層が、その両端の各々の直下に形成された各電極とコンタクトホールを介して電気的に接続されて、可視光の光導電素子として用いられる点にある。
【0051】
ここで、図11は、本実施の形態に係る光センサ内蔵表示装置のアレイ基板の構成を示す縦断面図である。同図中、図10と同一符号のものは同一又は相当するものを示す。
【0052】
図11に示される様に、非晶質シリコン膜11の両端に電極(図示せず。)を形成し、更に、非晶質シリコン膜11の各電極直下に該当するゲート絶縁膜3の上面部分上に、電極E1及びE2を形成する。そして、保護膜8内に形成したコンタクトホール25で以って、非晶質シリコン膜11の各端の上記電極(図示せず。)と対応する電極E1又はE2を電気的に接続する。この構成により、微結晶シリコン膜4から成る近赤外光検出用薄膜トランジスタに加えて、非晶質シリコン膜11から成る可視光検出用光導電素子も形成される。
【0053】
以上の様に、ガラス基板1上に形成される光センサとして、可視光に大きな感度を有する非晶質シリコン膜11の光導電素子と、近赤外光に高い感度を有する微結晶シリコン膜4をチャネル層とする光検出用薄膜トランジスタとを積層構造で形成することで、更に一層誤動作の少ない光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。特に、本実施の形態では、太陽光に起因した誤動作を防止出来ると言う利点を有する。即ち、微結晶シリコン膜4の光検出用薄膜トランジスタによる検出と同時に、非晶質シリコン膜11の光導電素子による検出が得られるときには、人の指押し等を検出したのではなくて、可視光及び近赤外光を含む太陽光がノイズとして光センサ内蔵表示装置の光センサに入射したものと、判断される。
【0054】
(実施の形態7)
本実施の形態は、既述した実施の形態1、3、4、5及び6に対する変形例であり、その特徴点は、光検出用薄膜トランジスタの信号読み出し回路の一部のトランジスタが、そのチャネル層が微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタで構成されている点にある。
【0055】
本特徴点により、非晶質シリコン薄膜トランジスタで形成していた光センサ内蔵表示装置では、検出が不可能であった、750 nm〜900nmの波長帯に属する近赤外光に対して感度を有する光センサ内蔵表示装置を実現することが出来る。そして、非晶質シリコンに比べて、移動度が数倍大きく、且つ、閾値電圧変動も小さい、微結晶シリコン膜をそのチャネル層に含む薄膜トランジスタで以って、画素スイッチング用薄膜トランジスタと同一の工程で、光センサ信号の読み出し回路の一部を形成することが可能となり、表示装置の低コスト化及び小型化を実現することが可能となる。以下、図面を参照して、本実施の形態を記載する。
【0056】
実施の形態1、3、4、5及び6の何れかに記載した光センサを組み込んだ光センサ内蔵型液晶表示装置の回路及びシステム構成を、図12に示す。この回路及びシステムは、既知の方式であり、簡単に2値化した信号として、光センサの信号を取り出せる長所を有するが、チャネル層が非晶質シリコン膜のみから成るTFTを用いた場合には、TFTの閾値電圧のシフトのために感度が変化すると言う問題点があった。加えて、周辺に作り込んだ回路の動作が遅く、大型化や高精細化が困難であると言う課題もあった。
【0057】
本実施の形態は、この回路及びシステムに対して、実施の形態1、3、4、5及び6の何れかに記載した光センサTFT19及びスイッチング用画素TFT12を採用したものである。しかも、図12に記載の周辺回路の全てのトランジスタ20〜22を、そのチャネル層が微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタで以って構成されている。このため、光センサTFT19の信号読み出し回路の一部が同一基板上に内蔵回路として光センサTFT19及びスイッチング用画素TFT12と共に作成され、光センサTFT19の信号読み出し回路の特性及び信頼性が向上する。
【0058】
尚、光センサTFT19を実施の形態2(図7)に記載した光導電素子に置き換えても、その周辺回路20〜22に対して同様の構成を採用する事が出来、従って、同様の利点が得られる。
【0059】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【0060】
例えば、表示装置のパネル上面(表面)側に、上記波長帯の近赤外光を放射可能な光源を配設しても良い。この場合には、各実施の形態1〜6で既述した光センサは、人の指等で影となった部分の発生の有無を、当該光センサに入射し吸収された近赤外光の光量の減少の有無から検出することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば、タッチセンサとして光センサを内蔵したディスプレイ装置に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵型表示装置の回路ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光センサ内蔵型表示装置の全体構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る微結晶シリコン膜の吸収係数を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る微結晶シリコン膜/非晶質シリコン膜の2層構造の分光感度特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施の形態6に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図12】本発明の実施の形態7に係る光センサ内蔵TFTアレイ基板の単位画素の等価回路を示す図である。
【図13】特許文献1に記載の光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【図14】特許文献1に記載の光センサ内蔵表示装置のシステム構成を示す図である。
【図15】特許文献1に記載の光センサ内蔵表示装置のシステム構成を示す図である。
【図16】特許文献2に記載の光センサ内蔵TFTアレイ基板の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ガラス基板、2 ゲート電極、3 ゲート絶縁膜、4 ノンドープ微結晶シリコン膜、6 ソース電極、7 ドレイン電極、8 保護膜、9 画素電極、10 チャネル保護膜、11 非晶質シリコン膜可視光フィルタ、23 ノンドープ非晶質シリコン膜、24 リンドープ非晶質シリコン膜、25 コンタクトホール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記光検出用薄膜トランジスタは、
当該光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上面に形成されたチャネル保護膜を備えることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項3】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜から成り、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々について、チャネル層とドレイン電極との間及び前記チャネル層とソース電極との間には、ノンドープ非晶質シリコン膜が配設されていることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
前記光検出用薄膜トランジスタの直上方に形成された、非晶質シリコン膜から成る可視光フィルタ層を更に含むことを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記可視光フィルタ層は、その両端の各々の直下に形成された各電極とコンタクトホールを介して電気的に接続されて、可視光の光導電素子として用いられることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記光検出用薄膜トランジスタの信号読み出し回路の一部のトランジスタは、そのチャネル層が前記微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタから成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項7】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板をパネル表面側の基板として具備する光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光導電素子と、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層及び前記光導電素子は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記微結晶シリコン膜の結晶粒径は5nm以上100nm以下であり、前記微結晶シリコン膜の結晶領域に対する非晶質領域の体積の比率が1/10〜1/5であることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記表示装置の上面側又は裏面側の一方に配設された、近赤外光を含む光源を備えることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項1】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記光検出用薄膜トランジスタは、
当該光検出用薄膜トランジスタのチャネル層の上面に形成されたチャネル保護膜を備えることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項3】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板を具備した光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光検出用薄膜トランジスタと、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々のチャネル層は、共に、微結晶シリコン膜から成り、
前記スイッチング用薄膜トランジスタ及び前記光検出用薄膜トランジスタの各々について、チャネル層とドレイン電極との間及び前記チャネル層とソース電極との間には、ノンドープ非晶質シリコン膜が配設されていることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
前記光検出用薄膜トランジスタの直上方に形成された、非晶質シリコン膜から成る可視光フィルタ層を更に含むことを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項5】
請求項4記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記可視光フィルタ層は、その両端の各々の直下に形成された各電極とコンタクトホールを介して電気的に接続されて、可視光の光導電素子として用いられることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記光検出用薄膜トランジスタの信号読み出し回路の一部のトランジスタは、そのチャネル層が前記微結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタから成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項7】
単位画素をマトリクス状に配置したアレイ基板をパネル表面側の基板として具備する光センサ内蔵表示装置であって、
前記単位画素は、
透明基板上に形成されたスイッチング用薄膜トランジスタと、
前記透明基板上に形成された光導電素子と、
前記スイッチング用薄膜トランジスタによって制御される画素電極とを含んでおり、
前記スイッチング用薄膜トランジスタのチャネル層及び前記光導電素子は、共に、微結晶シリコン膜及び前記微結晶シリコン膜上に形成された非晶質シリコン膜から成ることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記微結晶シリコン膜の結晶粒径は5nm以上100nm以下であり、前記微結晶シリコン膜の結晶領域に対する非晶質領域の体積の比率が1/10〜1/5であることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の光センサ内蔵表示装置であって、
前記表示装置の上面側又は裏面側の一方に配設された、近赤外光を含む光源を備えることを特徴とする、
光センサ内蔵表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−93050(P2009−93050A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265323(P2007−265323)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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