説明

光ダクト

【課題】異なる形状の部材が少なくなり、筒状体を簡単に組み立てるとともに、筒状体の断面形状の自由度を高めることができる光ダクトを提供することを課題とする。
【解決手段】筒状体10の内面に鏡面材40が取り付けられた光ダクト1であって、筒状体10は、複数の壁部材20,30を接続することで形成されており、各壁部材20,30は平板部を有し、平板部の一方の側縁部に係合部が形成され、他方の側縁部に被係合部が形成され、壁部材20,30の係合部と、他の壁部材20,30の被係合部とが接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋などの建物に設置される光ダクトは、内面に鏡面材が取り付けられた筒状体を備えており、この筒状体に入射された太陽光を鏡面材の鏡面に反射させながら室内に導くように構成されている。
このような光ダクトとしては、複数の壁部材を接続して筒状体を形成しているものがある。具体的には、各壁部材の側縁部にフランジ部を形成し、隣り合う壁部材のフランジ部を重ね合わせ、重なった二つのフランジ部をコの字形状のファスナーによって挟み込むことで各壁部材を接続している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−16409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の光ダクトでは、異なる形状の部材が多くなり、それらを接続する作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、異なる形状の部材が少なくなり、筒状体を簡単に組み立てることができるとともに、筒状体の断面形状の自由度を高めることができる光ダクトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、筒状体の内面に鏡面材が取り付けられた光ダクトであって、前記筒状体は、少なくとも三体の壁部材を接続することで形成されており、前記各壁部材は平板部を有し、前記平板部の一方の側縁部に係合部が形成され、他方の側縁部に被係合部が形成され、前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部とが接続されていることを特徴としている。
【0007】
この構成では、壁部材に係合部と被係合部とが形成されており、各壁部材を簡単に接続することができるため、筒状体を簡単に組み立てることができる。
また、壁部材の個数や接続角度を変化させることで、筒状体の断面形状を変化させることができる。そのため、筒状体の断面形状の自由度を高めることができ、光ダクトを適用可能な設置環境を広げることができる。
また、筒状体を細分化された部材の組み合わせによって形成することで、各壁部材の寸法が小さくなるため、各壁部材を精度良く成形することができる。特に、壁部材がアルミニウム合金などの押出し形材である場合には、小型の押出し成形装置によって、各壁部材を精度良く形成することができる。したがって、筒状体の内面を平坦に形成することができ、鏡面の平面度を高めることができる。これにより、光ダクト内の乱反射が抑制されるため、光ダクトが室内に導く入光量を大きくすることができる。
【0008】
前記した光ダクトにおいて、前記係合部が前記平板部の一方の側縁部に形成された突出部であるとともに、前記被係合部が前記平板部の他方の側縁部に形成された溝部である場合には、前記係合部を前記被係合部に挿入することで、前記係合部と前記被係合部とを簡単に接続することができる。
【0009】
前記した光ダクトにおいて、前記係合部が前記平板部の一方の側縁部に形成された係合片であるとともに、前記被係合部が前記平板部の他方の側縁部に形成された係合片である場合には、前記係合部と前記被係合部とを当接させて係合することで、前記係合部と前記被係合部とを簡単に接続することができる。
【0010】
前記した光ダクトにおいて、前記壁部材には、前記平板部の外面に突設したリブ片が設けられており、前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部とが接続された状態では、前記壁部材の前記リブ片の先端部と、他の前記壁部材の前記リブ片の先端部とが接続されることで、前記筒状体の外面に中空のリブを形成することができる。
この構成では、筒状体の外面に形成された中空のリブによって、筒状体の強度を高めることができる。
【0011】
前記した光ダクトにおいて、前記壁部材の前記リブ片の先端部と、他の前記壁部材の前記リブ片の先端部とを、固定部材によって固着させることができる。この構成では、隣り合う壁部材のリブ片をリベットやねじなどの固定部材によって固着させることで、各壁部材を確実に接続することができる。
【0012】
前記した光ダクトにおいて、前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部との接続部位にシール部材を設けることで、筒状体の気密性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光ダクトでは、各壁部材を簡単に接続することができるため、筒状体を簡単に組み立てることができる。
また、筒状体の断面形状の自由度を高めることができ、光ダクトを適用可能な設置環境を広げることができる。
また、筒状体の内面を平坦に形成することができ、鏡面の平面度を高めることができるため、光ダクト内の乱反射が抑制され、光ダクトが室内に導く入光量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態の光ダクトを示した斜視図である。
【図2】第一実施形態の筒状体の一辺を示した正面図である。
【図3】第一実施形態のコーナー用壁部材を示した斜視図である。
【図4】第一実施形態の平面用壁部材を示した斜視図である。
【図5】第一実施形態の壁部材の接続部位を示した図で、(a)は筒状体のコーナーにおける接続部位の正面図、(b)は筒状体の平面における接続部位の正面図である。
【図6】第一実施形態の光ダクトを連結させた状態の側面図である。
【図7】第一実施形態のコーナー用壁部材の変形例を示した図で、(a)は被係合部が内側に傾斜した構成の正面図、(b)は被係合部が外側に傾斜した構成の正面図である。
【図8】第二実施形態のコーナー用壁部材を示した斜視図である。
【図9】第二実施形態の平面用壁部材を示した斜視図である。
【図10】第二実施形態の壁部材の接続部位を示した図で、(a)は筒状体のコーナーにおける接続部位の正面図、(b)は筒状体の平面における接続部位の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0016】
[第一実施形態]
図1に示す第一実施形態の光ダクト1は、家屋などの建物に設置されるものであり、内面に鏡面材40が取り付けられた筒状体10を備えており、この筒状体10に入射された太陽光を鏡面材40の鏡面に反射させながら室内に導くものである。
【0017】
筒状体10は、複数の壁部材20,30によって形成されており、断面形状が正方形の部材である。筒状体10の各辺は、図2に示すように、一体のコーナー用壁部材20と二体の平面用壁部材30,30とを幅方向(短手方向)に並べて接続することで形成されている。
【0018】
コーナー用壁部材20は、図3に示すように、平板部21が形成されたアルミニウム合金製の押出形材であり、図3の左側の側縁部21aに係合部22が形成され、図3の右側の側縁部21bに被係合部23が形成されている。
なお、コーナー用壁部材20に関する説明では、便宜上、図3に示されたコーナー用壁部材20の上下左右方向に基づいて各部を説明している。そして、平板部21の上側の面は内面21dとなり、下側の面は外面21cとなっている。
平板部21の外面21cには、左右方向に間隔を空けて係合側リブ片24と支持用リブ片25とが突設されている。さらに、平板部21の右側の側縁部21bには被係合側リブ片26が右側に向けて突設されている。
【0019】
コーナー用壁部材20の係合部22は、平板部21の左側の側縁部21aから下側に突出した突出部である。この係合部22は、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
【0020】
係合側リブ片24は、平板部21の外面21cにおいて、左側の側縁部21aよりも右側に設けられている。係合側リブ片24には、平板部21の外面21cから下側に突出した第一壁部24aと、第一壁部24aの先端部から左側に突出した第二壁部24bと、が形成されている。この係合側リブ片24は、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
係合側リブ片24と一方の側縁部21aとは、断面がコの字形状となるように形成されている。
また、係合側リブ片24の第二壁部24bには、複数の取付孔24cが長手方向に間隔を空けて形成されている。
【0021】
コーナー用壁部材20の被係合部23は、平板部21の右側の側縁部21bに形成された溝部である。
被係合部23は、右側に向けて窪んだ凹溝であり、平板部21の内面21dから上側に突出した突出部27の基端部に形成され、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
この被係合部23は、後記する平面用壁部材30の係合部32(図4参照)が挿入される部位である。
また、突出部27の先端部は、図5(a)に示すように、平面用壁部材30の外面31cに重ね合わされる部位である。
【0022】
被係合側リブ片26は、図3に示すように、平板部21の右側の側縁部21bに設けられている。被係合側リブ片26は、平板部21の右側の側縁部21bから右側に突出した第一壁部26aと、第一壁部26aの先端部から上側に突出した第二壁部26bとが形成されている。この被係合リブ片26は、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
被係合側リブ片26と突出部27とは、断面がコの字形状となるように形成されている。
また、被係合側リブ片26の第二壁部26bには、複数の取付孔26cが長手方向に間隔を空けて形成されている。
被係合側リブ片26の第二壁部26bは、図5(a)に示すように、平面用壁部材30の係合側リブ片34の第二壁部34bの右側(外側)に重ね合わされる部位である。
【0023】
支持用リブ片25は、図3に示すように、平板部21の右側の側縁部21bに設けられている。支持用リブ片25は、平板部21の右側の側縁部21bから下側に突出した第一壁部25aと、第一壁部25aの先端部から左側に突出した第二壁部25bと、が形成されている。この支持用リブ片25は、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
そして、コーナー用壁部材20の外面21cを下側にして、コーナー用壁部材20を作業面上に載置したときには、支持用リブ片25と係合側リブ片24とによってコーナー用壁部材20全体が支持されるため、コーナー用壁部材20を安定して作業面上に載置することができる。
【0024】
平板部21の内面21dにおいて突出部27よりも左側には、鏡面材40の側縁部が載置される支持面21eが形成されている。
支持面21eは、平板部21の内面21dよりも上側に形成され、被係合部23よりも下側に形成されており、平板部21の長手方向の全長に亘って形成されている。
図5(a)に示すように、鏡面材40の側縁部が支持面21eに載置された状態では、平板部21の内面21dと鏡面材40との間に隙間が形成される。この隙間は、鏡面材40を平板部21の内面21dに固着させるための両面テープ(図示せず)を設けるための空間である。
また、平面用壁部材30の係合部32が被係合部23内に挿入されたときには、平面用壁部材30の係合部32と支持面21eとの間に鏡面材40の側縁部が入り込むことになる。
【0025】
平面用壁部材30は、図4に示すように、平板部31が形成されたアルミニウム合金製の押出形材であり、図4の左側の側縁部31aに係合部32が形成され、図4の右側の側縁部31bに被係合部33が形成されている。
なお、平面用壁部材30に関する説明では、便宜上、図4に示された平面用壁部材30の上下左右方向に基づいて各部を説明している。そして、平板部31の上側の面は内面31dとなり、下側の面は外面31cとなっている。
平板部31の外面31cには、左右方向に間隔を空けて係合側リブ片34と被係合側リブ片36とが突設されている。
【0026】
平面用壁部材30の係合部32は、平板部31の左側の側縁部31aから下側に突出した突出部である。この係合部32は、平板部31の長手方向の全長に亘って形成されている。
【0027】
係合側リブ片34は、平板部31の外面31cにおいて、左側の側縁部31aよりも右側に設けられている。係合側リブ片34は、平板部31の外面31cから下側に突出した第一壁部34aと、第一壁部34aの先端部から左側に突出した第二壁部34bと、が形成されている。この係合側リブ片34は、平板部31の長手方向の全長に亘って形成されている。
係合側リブ片34と一方の側縁部31aとは、断面がコの字形状となるように形成されている。
また、係合側リブ片34の第二壁部34bには、複数の取付孔34cが長手方向に間隔を空けて形成されている。
【0028】
平面用壁部材30の被係合部33は、平板部31の右側の側縁部31bに形成された溝部である。
被係合部33は、下側に向けて窪んだ凹溝であり、平板部31の右側の側縁部31bから右側に突出した突出部37の基端部に形成され、平板部31の長手方向の全長に亘って形成されている。
この被係合部33は、コーナー用壁部材20の係合部22(図3参照)または他の平面用壁部材30の係合部32が挿入される部位である。
【0029】
突出部37の先端部は、図5(b)に示すように、コーナー用壁部材20の外面21cに重ね合わされる部位である。また、図示しないが、平面用壁部材30と他の平面用壁部材30との接続部位においては、突出部37の先端部は他の平面用壁部材30の外面31cに重ね合わされる。
そして、図2に示すように、平面用壁部材30がコーナー用壁部材20および他の平面用壁部材30に接続された状態では、各壁部材20,30,30の平板部21,31,31の内面21d,31d,31dが同一平面を形成することになる。
【0030】
被係合側リブ片36は、図4に示すように、平板部31の右側の側縁部31bに設けられている。被係合側リブ片36は、平板部31の右側の側縁部31bから下側に向けて突出した第一壁部36aと、第一壁部36aの先端部から右側に突出した第二壁部36bと、が形成されている。この被係合側リブ片36は、平板部31の長手方向の全長に亘って形成されている。
被係合側リブ片36と突出部37とは、断面がコの字形状となるように形成されている。
また、被係合側リブ片36の第二壁部36bには、複数の取付孔36cが長手方向に間隔を空けて形成されている。
被係合側リブ片36の第二壁部36bは、図5(b)に示すように、コーナー用壁部材20の係合側リブ片24の第二壁部24bの下側(外側)に重ね合わされる部位である。また、図示しないが、平面用壁部材30と他の平面用壁部材30との接続部位においては、被係合側リブ片36の第二壁部36bは、他の平面用壁部材30(図4参照)の係合側リブ片34の第二壁部34bの下側に重ね合わされる。
【0031】
次に、図1に示す光ダクト1の組み付け手順について説明する。
筒状体10の平面におけるコーナー用壁部材20と平面用壁部材30との接続は、図5(b)に示すように、コーナー用壁部材20の係合部22を平面用壁部材30の被係合部33に挿入するとともに、コーナー用壁部材20の係合側リブ片24の第二壁部24bを、平面用壁部材30の被係合側リブ片36の第二壁部36bの上側に重ね合わせる。
これにより、コーナー用壁部材20と平面用壁部材30とが接続され、コーナー用壁部材20の内面21dと平面用壁部材30の内面31dとが同一平面となる。
【0032】
コーナー用壁部材20の係合部22を平面用壁部材30の被係合部33に挿入するときには、予め係合部22にシール部材(図示せず)を塗布するか、被係合部33にシール部材を充填することで、係合部22と被係合部33との接合部位にシール部材を設けている。なお、シール部材としては、例えばシリコン系の充填材を用いることができる。
【0033】
コーナー用壁部材20と平面用壁部材30との接続部位の下側(外側)には、係合側リブ片24と被係合側リブ片36によって中空のリブが形成される。
また、係合側リブ片24の取付孔24cと被係合側リブ片36の取付孔36cとは連通した状態となる。そして、各取付孔24c,36cに挿通させたリベットR(特許請求の範囲における「固定手段」)によって、係合側リブ片24の先端部と被係合側リブ片36の先端部とを固着させる。
【0034】
前記したコーナー用壁部材20と平面用壁部材30との接続と同様にして、図4に示す平面用壁部材30の係合部32を、他の平面用壁部材30の被係合部33に挿入して、二体の平面用壁部材30,30を接続する。これにより、図2に示すように、一体のコーナー用壁部材20と二体の平面用壁部材30,30とによって筒状体10の一辺が形成される。
【0035】
接続された各壁部材20,30,30の内面21d,31d,31dに両面テープ(図示せず)を取り付けた後に、各壁部材20,30,30の内面21d,31d,31d上に鏡面材40を載置することで、筒状体10の一辺の内側に鏡面材40を貼り付ける。このとき、図5(a)に示すように、鏡面材40の側縁部は、コーナー用壁部材20の支持面21e上に載置される。
【0036】
このようにして、筒状体10の各辺をそれぞれ形成し、図5(a)に示すように、一辺のコーナー用壁部材20の被係合部23に、他の一辺の平面用壁部材30の係合部32を接続することで、筒状体10のコーナーを形成する。
具体的には、平面用壁部材30の係合部32をコーナー用壁部材20の被係合部23に挿入するとともに、平面用壁部材30の係合側リブ片34の第二壁部34bを、コーナー用壁部材20の被係合側リブ片26の第二壁部26bの左側に重ね合わせる。
これにより、一辺のコーナー用壁部材20の内面21dと、他の一辺の平面用壁部材30の内面31dとが垂直に接続され、筒状体10の二辺が垂直に接続される。
なお、平面用壁部材30の係合部32とコーナー用壁部材20の被係合部23との接合部位にはシール部材が設けられている。
【0037】
また、コーナー用壁部材20の支持面21eに載置された鏡面材40の側縁部は、平面用壁部材30の係合部32と支持面21eとの間に入り込んだ状態となる。したがって、一辺の鏡面材40の鏡面上に、他の一辺の鏡面材40の側縁部が当接し、二辺の鏡面材40,40の鏡面が連続した状態となる。
【0038】
一辺のコーナー用壁部材20と、他の一辺の平面用壁部材30との接続部位の右側(外側)には、被係合側リブ片26と係合側リブ片34とによって中空のリブが形成される。
また、被係合側リブ片26の取付孔26cと係合側リブ片34の取付孔34cとは連通した状態となる。そして、各取付孔26c,34cに挿通されたリベットRによって、被係合側リブ片26の先端部と係合側リブ片34の先端部とを固着させる。
【0039】
そして、筒状体10の各辺を順次に接続して、図1に示す光ダクト1を形成する。さらに、図6に示すように、筒状体10の長手方向の両端部に形成された開口縁部にフランジ部材11を取り付け、このフランジ部材11を他の筒状体10のフランジ部材11に対してボルトなどの固定手段によって接続することで、複数の光ダクト1を連結させることができる。
【0040】
以上のような第一実施形態の光ダクト1では、図2に示すように、各壁部材20,30に係合部22,32と被係合部23,33とが形成されており、各壁部材20,30を簡単に接続することができるため、筒状体10を簡単に組み立てることができる。
前記した第一実施形態では、係合部22,32は平板部21,31の一方の側縁部21a,31aに形成された突出部であるとともに、被係合部23,33は平板部21,31の他方の側縁部21b,31bに形成された溝部であるため、係合部22,32を被係合部23,33に挿入することで、係合部22,32と被係合部23,33とを簡単に接続することができる。
【0041】
また、筒状体10を細分化された部材の組み合わせによって形成することで、各壁部材20,30の寸法が小さくなるため、アルミニウム合金製の押出し形材である壁部材20,30を、小型の押出し成形装置によって精度良く形成することができる。したがって、筒状体10の内面を平坦に形成することができ、鏡面材40の平面度を高めることができる。これにより、光ダクト1内の乱反射が抑制されるため、光ダクト1が室内に導く入光量を大きくすることができる。
【0042】
また、筒状体10の外面には各リブ片24,26,34,36によって中空のリブが形成されるため、筒状体10の強度を高めることができる。
また、各リブ片24,26,34,36をリベットRによって固着させることで、各壁部材20,30が確実に接続されている。なお、リブ片24,26,34,36を固着させるための固定手段は、リベットRに限定されるものではなく、ねじなどの各種の固定部材を用いることができる。
【0043】
また、係合部22,32と被係合部23,33との接続部位にシール部材を設けることで、筒状体10の気密性が高くなっている。なお、第一実施形態では、シール部材としてシリコン系の充填材を用いているが、ゴム製のシール部材を接続部位に取り付けてもよく、その構成は限定されるものではない。
【0044】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第一実施形態では、図1に示すように、筒状体10の一辺が三体の壁部材20,30,30によって形成されており、十二体の壁部材20,30によって筒状体10が形成されているが、四体のコーナー用壁部材20によって、断面形状が方形の筒状体を形成することもできる。また、縦辺および横辺を異なる個数の壁部材20,30によって形成することで、断面形状が長方形の筒状体を簡単に形成することができる。
【0045】
また、図7(a)に示すように、被係合部23を上側に向けて傾斜させたコーナー用壁部材20Aや、図7(b)に示すように、被係合部23を下側に傾斜させたコーナー用壁部材20Bを用いることで、各壁部材20,30の接続角度を変化させることができる。そして、各壁部材20,30の接続角度を変化させることで、筒状体の断面形状を三角形や五角形など様々な多角形に形成することができる。
なお、三体の壁部材によって断面形状が三角形の筒状体を形成した場合には、最も少ない個数の壁部材によって筒状体を形成することができる。
【0046】
このように、第一実施形態の光ダクト1では、壁部材20,30の個数や接続角度を変化させることで、筒状体10の断面形状を変化させることができるため、筒状体10の断面形状の自由度を高めることができ、光ダクト1を適用可能な設置環境を広げることができる。
【0047】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態の光ダクトについて説明する。
第二実施形態の光ダクトでは、前記した第一実施形態の光ダクト1(図1参照)に対して、筒状体を構成する壁部材50,60の係合部52,62、被係合部53,63およびリブ片54,56,64,66の形状が異なっている。
【0048】
コーナー用壁部材50の係合部52は、図8に示すように、平板部51の左側の側縁部51aから下側に突出した係合片である。この係合部52の左側の部位には傾斜面が形成されている。
【0049】
係合側リブ片54は、平板部51の左側の側縁部51aに設けられている。係合側リブ片54は、平板部51の外面51cから下側に突出した第一壁部54aと、第一壁部54aの先端部から左側に突出した第二壁部54bと、が形成されている。
また、第二壁部54bの上側の面には、上側に突出した係合片54cが形成されている。この係合片54cの左側の部位には傾斜面が形成されている。
【0050】
コーナー用壁部材50の被係合部53は、後記する平面用壁部材60の係合部62(図9参照)に当接して係合される係合片である。
被係合部53は、平板部51の右側の側縁部51bにおいて、内面51dから上側に突出した突出部57の先端部に形成されており、左側に向けて突出している。この被係合部53の上側の部位には傾斜面が形成されている。
【0051】
被係合側リブ片56は、平板部51の右側の側縁部51bに設けられている。被係合側リブ片56は、平板部51の右側の側縁部51bから右側に突出した第一壁部56aと、第一壁部56aの先端部から上側に突出した第二壁部56bとが形成されている。
また、第二壁部56bの右側の面には、右側に突出した係合片56cが形成されている。この係合片56cの上側の部位には傾斜面が形成されている。
【0052】
平面用壁部材60の係合部62は、図9に示すように、平板部61の左側の側縁部61aから下側に突出した係合片である。この係合部62の左側の部位には傾斜面が形成されている。
【0053】
係合側リブ片64は、平板部61の左側の側縁部61aに設けられている。係合側リブ片64は、平板部61の外面61cから下側に突出した第一壁部64aと、第一壁部64aの先端部から左側に突出した第二壁部64bと、が形成されている。
また、第二壁部64bの上側の面には、上側に突出した係合片64cが形成されている。この係合片64cの左側の部位には傾斜面が形成されている。
【0054】
平面用壁部材60の被係合部63は、コーナー用壁部材50の係合部52(図8参照)に当接して係合される係合片である。
被係合部63は、平板部61の右側の側縁部61bから右側に突出した突出部67の先端部に形成されており、上側に突出している。この被係合部63の右側の部位には傾斜面が形成されている。
【0055】
被係合側リブ片66は、平板部61の右側の側縁部61bに設けられている。被係合側リブ片66は、外面61cから下側に突出した第一壁部66aと、第一壁部66aの先端部から右側に突出した第二壁部66bとが形成されている。
また、第二壁部66bの下側の面には、下側に突出した係合片66cが形成されている。この係合片66cの右側の部位には傾斜面が形成されている。
【0056】
第二実施形態の筒状体の平面におけるコーナー用壁部材50と平面用壁部材60とを接続する場合には、図10(b)に示すように、コーナー用壁部材50の平板部51の左側の側縁部51aを、平面用壁部材60の突出部67の上側に重ね合わせ、係合部52を被係合部63の左側に当接させて引っ掛けることで、係合部52と被係合部63とを左右方向に係合させる。
また、コーナー用壁部材50の係合側リブ片54の第二壁部54bを、平面用壁部材60の被係合側リブ片66の第二壁部66bの下側に重ね合わせ、係合側リブ片54の係合片54cを被係合側リブ片66の係合片66cの左側に当接させて引っ掛けることで、各係合片54c,66cを左右方向に係合させる。
すなわち、平面用壁部材60の突出部67および被係合側リブ片66の第二壁部66bを、コーナー用壁部材50の平板部51の左側の側縁部51aおよび係合側リブ片54の第二壁部54cの間に押し込むことで、コーナー用壁部材50と平面用壁部材60とを簡単に接続することができる。
【0057】
第二実施形態の筒状体のコーナーにおけるコーナー用壁部材50と平面用壁部材60とを接続する場合には、図10(a)に示すように、平面用壁部材60の平板部61の下側の側縁部61aを、コーナー用壁部材50の突出部57の左側に重ね合わせ、係合部62を被係合部53の下側に当接させて引っ掛けることで、係合部62と被係合部53とを上下方向に係合させる。
また、平面用壁部材60の係合側リブ片64の第二壁部64bを、コーナー用壁部材50の被係合側リブ片56の第二壁部56bの右側に重ね合わせ、係合側リブ片64の係合片64cを被係合側リブ片56の係合片56cの下側に当接させて引っ掛けることで、各係合片64c,56cを上下方向に係合させる。
すなわち、コーナー用壁部材50の突出部57および被係合側リブ片56の第二壁部56bを、平面用壁部材60の平板部61の下側の側縁部61aおよび係合側リブ片64の第二壁部64bの間に押し込むことで、コーナー用壁部材50と平面用壁部材60とを簡単に接続することができる。
【0058】
なお、図9に示す平面用壁部材60の係合部62と、他の平面用壁部材60の被係合部63との接続は、前記した筒状体の平面におけるコーナー用壁部材50と平面用壁部材60との接続(図10(b)参照)と同じ構成である。
【0059】
以上のような第二実施形態の光ダクトでは、図8および図9に示すように、各壁部材50,60に係合部52,62と被係合部53,63とが形成されており、各壁部材50,60を簡単に接続することができるため、筒状体を簡単に組み立てることができる。
また、第二実施形態では、係合部52,62は平板部51,61の左側の側縁部51a,61aに形成された係合片であるとともに、被係合部53,63は平板部51,61の右側の側縁部51b,61bに形成された係合片であるため、係合部52,62を被係合部53,63に当接させて係合させることで、係合部52,62と被係合部53,63とを簡単に接続することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 光ダクト
10 筒状体
11 フランジ部材
20 コーナー用壁部材(第一実施形態)
21 平板部(コーナー用壁部材)
22 係合部(コーナー用壁部材)
23 被係合部(コーナー用壁部材)
24 係合側リブ片(コーナー用壁部材)
25 支持用リブ片(コーナー用壁部材)
26 被係合側リブ片(コーナー用壁部材)
27 突出部(コーナー用壁部材)
30 平面用壁部材(第一実施形態)
31 平板部(平面用壁部材)
32 係合部(平面用壁部材)
33 被係合部(平面用壁部材)
34 係合側リブ片(平面用壁部材)
36 被係合側リブ片(平面用壁部材)
37 突出部(平面用壁部材)
40 鏡面材
50 コーナー用壁部材(第二実施形態)
51 平板部(コーナー用壁部材)
52 係合部(コーナー用壁部材)
53 被係合部(コーナー用壁部材)
54 係合側リブ片(コーナー用壁部材)
54c 係合片(コーナー用壁部材)
56 被係合側リブ片(コーナー用壁部材)
56c 係合片(コーナー用壁部材)
57 突出部(コーナー用壁部材)
60 平面用壁部材(第二実施形態)
61 平板部(平面用壁部材)
62 係合部(平面用壁部材)
63 被係合部(平面用壁部材)
64 係合側リブ片(平面用壁部材)
64c 係合片(平面用壁部材)
66 被係合側リブ片(平面用壁部材)
66c 係合片(平面用壁部材)
67 突出部(平面用壁部材)
R リベット(固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体の内面に鏡面材が取り付けられた光ダクトであって、
前記筒状体は、少なくとも三体の壁部材を接続することで形成されており、
前記各壁部材は平板部を有し、前記平板部の一方の側縁部に係合部が形成され、他方の側縁部に被係合部が形成され、
前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部とが接続されていることを特徴とする光ダクト。
【請求項2】
前記係合部は、前記平板部の一方の側縁部に形成された突出部であるとともに、前記被係合部は、前記平板部の他方の側縁部に形成された溝部であり、前記係合部が前記被係合部に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の光ダクト。
【請求項3】
前記係合部は、前記平板部の一方の側縁部に形成された係合片であるとともに、前記被係合部は、前記平板部の他方の側縁部に形成された係合片であり、前記係合部と前記被係合部とが当接して係合されることを特徴とする請求項1に記載の光ダクト。
【請求項4】
前記壁部材には、前記平板部の外面に突設したリブ片が設けられており、
前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部とが接続された状態では、前記壁部材の前記リブ片の先端部と、他の前記壁部材の前記リブ片の先端部とが接続されることで、前記筒状体の外面に中空のリブが形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ダクト。
【請求項5】
前記壁部材の前記リブ片の先端部と、他の前記壁部材の前記リブ片の先端部とは、固定部材によって固着されていることを特徴とする請求項4に記載の光ダクト。
【請求項6】
前記壁部材の前記係合部と、他の前記壁部材の前記被係合部との接続部位に、シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−100580(P2011−100580A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253311(P2009−253311)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(592186803)日軽形材株式会社 (9)
【Fターム(参考)】