説明

光ディスクケース、光ディスクトレイ、カード部材、および製造方法

【課題】光ディスクの記録面と垂直なケース側面からリーダ/ライタを近づけた場合でも、光ディスク上の非接触型ICチップと容易に通信できるようにする。
【解決手段】ベース部31とカバー部32とはそれぞれの端部側を中心として回転可能な状態で接続されて、ディスクトレイ33がベース部31の内面に嵌着される。ディスクトレイ33には、光ディスクを保持するための凸状のディスク保持部36が設けられるとともに、アンテナコイル21および22が基板上に形成されたブースタアンテナユニット20aが固着される。そして、アンテナコイル21が、その中央部がディスク保持部36の中心と一致し、かつ、カバー部32の主面と平行になるように配置され、アンテナコイル22が、ケース筐体の側面38に対して平行な状態で当接または近接するように、ブースタアンテナユニット20aがディスクトレイ33上に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクが収納される光ディスクケース、このケースに搭載される光ディスクトレイおよびカード部材、光ディスクケースおよび光ディスクトレイの製造方法に関し、特に、非接触型ICチップが搭載された光ディスクを収納するのに適した光ディスクケース、光ディスクトレイ、カード部材、光ディスクケースおよび光ディスクトレイの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像などの大容量データを記録可能な記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスクが広く普及している。また、光ディスクとしては、ROM(Read Only Memory)型と呼ばれる再生専用ディスクだけでなく、“Recordable”と呼ばれる追記型ディスクや“ReWritable”と呼ばれる書き換え型ディスクも一般的となっている。
【0003】
一方、端末側のリーダ/ライタとの間で非接触で情報の受け渡しが可能な非接触型IC(Integrated Circuit)チップは、端末装置との通信時に物理的接触が不要という要因などによって接続開始から接続終了までの処理時間を短くでき、また、高度な相互認証および暗号処理による高いセキュリティを持つといった特徴を有している。このため、電子マネーや交通乗車券、入館証などの用途で普及が進んでいる。
【0004】
そして、このような優れた特徴を持つ非接触型ICチップを、光ディスクの基板上に搭載することが従来から考えられている。例えば、2枚のディスク基板のそれぞれに凹部を形成したうえで、ディスク基板を貼り合わせたときにそれぞれの凹部の間に形成される間隙に、ICチップやその送受信用のアンテナを一体のモジュールとして配置した光ディスクが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、非接触型ICチップとリーダ/ライタとの間では、それぞれが備えているアンテナによって電磁波を用いて通信を行っている。しかし、それぞれのアンテナの形状によっては、電磁波の特性上、送受信の際に指向性が生じる場合があるため、各アンテナが発生する電磁波の強度や互いのアンテナの位置関係によっては、通信できない事態が生じる。
【0006】
特に、通信周波数13.56MHzの場合に代表される電磁誘導方式の非接触型ICカードやRFID(Radio Frequency Identification)では、非接触型ICチップのアンテナコイルとリーダ/ライタ側のアンテナコイルとが対向しているときに、通信状態が良好になるようにされており、各アンテナコイルの方向が直交しているとき(すなわち、アンテナコイルの法線が直交しているとき)には通信できない場合がある。
【0007】
これに対して、アンテナ同士の位置関係の問題から良好な通信ができない場合に、ブースタアンテナと呼ばれる中継用のアンテナを用いて、通信状態を改善する技術が知られている。例えば、記録媒体の収納ケースにブースタアンテナを設けることで、記録媒体に搭載された非接触型ICチップと、収納棚に設けられたリーダ/ライタとの間で通信できるようにした情報記憶媒体管理システムが考えられていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−245381号公報(段落番号〔0011〕〜〔0014〕、図1)
【特許文献2】特開2005−339170号公報(段落番号〔0020〕〜〔0025〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、光ディスクは通常、専用の収納ケースに入れられて保管されることが多く、収納ケースに入れられた光ディスクが多数、収納棚に載置されることも多い。従って、上述したような非接触型ICチップが搭載された光ディスクについても、同様に収納ケースに入れられた状態で収納棚に載置される事態が当然考えられる。しかし、このような状態では、収納棚の光ディスクは互いに記録面が近接して対向した状態となるので、記録面に平行にリーダ/ライタのアンテナ面を近づけることはできず、非接触型ICチップと通信することは非常に困難になる。
【0009】
例えば、収納ケースにおいて光ディスクの記録面と平行をなす面(以下、ケース主面と呼ぶ)が互いに近接して並べられた場合において、通信を良好に行うためにリーダ/ライタのアンテナ面と光ディスク上のアンテナとを対向状態に近づけるためには、隣接する収納ケース同士の間隔を空けたり、個々の収納ケースを引き出すといった動作を行わなければならない。このため、収納ケース内の複数の光ディスクの非接触型ICチップに対して順次連続して通信しようとすると、上記のような煩雑な動作が必要となり、時間がかかってしまう。
【0010】
このように、光ディスクが収納ケースに入れられて収納棚に載置された状態でも、ケース主面に対して垂直なケース側面からリーダ/ライタをかざすことで、光ディスク上の非接触型ICチップとの間で容易に通信できるようにすることが望まれている。特に、光ディスクの収納ケースとしては、ジュエルケース、トールケースなどに代表される、いくつかの特定の構造を持つものが広く普及しており、これらの収納ケースの構造を大きく変えることなく、上記の状態で非接触型ICチップと容易に通信できることが要望されている。
【0011】
また、上記の特許文献2では、光ディスクが収納ケースに入れられて収納棚に載置された状態で、光ディスクの非接触型ICチップと通信するための方法として、非接触型ICチップのための読取コイル、またはその読取コイルが複数配置されたアンテナボードを、仕切り板や棚板と一体となるように配置した収納棚を用い、その所定の位置に収納ケースを載置したときにケース内の非接触型ICチップと通信可能になるよう、収納ケースにブースタを設けている。しかし、この構成では読取装置と一体となった専用の収納棚が必要であるので、すでにユーザが使用している収納棚では対応できず、また、持ち運び可能な汎用の読取装置を使用することもできない。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、光ディスクの記録面と垂直なケース側面からリーダ/ライタを近づけた場合でも、光ディスク上の非接触型ICチップと容易に通信でき、かつ、既存のものと基本構造に大きな変化のない光ディスクケース、この光ディスクケース用の光ディスクトレイおよびカード部材、光ディスクケースおよび光ディスクトレイの各製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では上記課題を解決するために、光ディスクが収納される光ディスクケースにおいて、表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成され、前記裏面カバー部の主面の内側に、前記光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持するための凸状保持部が設けられ、さらに、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを備え、前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記ブースタアンテナが配設されたことを特徴とする光ディスクケースが提供される。
【0014】
このような光ディスクケースでは、裏面カバー部の主面の内側において、光ディスクが凸状保持部によって保持される。また、ブースタアンテナの第1のアンテナは、その中央部が凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置される。従って、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが凸状保持部に保持されたときに、光ディスク上のアンテナと第1のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となる。
【0015】
一方、ブースタアンテナの第2のアンテナは、表面カバー部と裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように配置される。従って、光ディスクケースを閉じた状態で、第2のアンテナの位置に対応する側面にICチップのリーダ/ライタが近接されたとき、このリーダ/ライタが備えるアンテナと第2のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となり、この状態でリーダ/ライタと光ディスク上のICチップとが通信できるようになる。
【0016】
また、本発明では上記課題を解決するために、光ディスクを保持する機能を備え、また、表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて構成されるケース筐体の内部に、前記光ディスクの保持面を前記ケース筐体の内側に向けて前記裏面カバー部に嵌着されて配設されることで、前記光ディスクが収納される光ディスクケースを構成する光ディスクトレイにおいて、一方の面に設けられて、前記光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持する凸状保持部と、略平板状に形成され、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナとを有し、前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致するように、前記光ディスクの保持面またはその裏面に配置されて固着され、前記第2のアンテナが、前記光ディスクトレイの端部から突出するように、前記ブースタアンテナが配設されたことを特徴とする光ディスクトレイが提供される。
【0017】
このような光ディスクトレイでは、凸状保持部に対して光ディスクの中心孔を嵌合させることで、この光ディスクが保持される。また、ブースタアンテナの第1のアンテナは、その中央部が凸状保持部の中心と一致するように、光ディスクの保持面またはその裏面に配置されて固着される。従って、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが凸状保持部に保持されたときに、光ディスク上のアンテナと第1のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となる。
【0018】
一方、ブースタアンテナの第2のアンテナは、光ディスクトレイの端部から突出するように配置されるので、光ディスクトレイを光ディスクケースの裏面カバー部に嵌着したときに、この第2のアンテナは、表面カバー部と裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように配置される。従って、光ディスクケースを閉じた状態で、第2のアンテナの位置に対応する側面にICチップのリーダ/ライタが近接されたとき、このリーダ/ライタが備えるアンテナと第2のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となり、この状態でリーダ/ライタと光ディスク上のICチップとが通信できるようになる。
【0019】
また、本発明では上記課題を解決するために、表面カバー部と裏面カバー部とが、閉塞時に1つの側面を構成する側面部の両端においてそれぞれ折り曲げ可能な状態で接続されて、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースに対して、前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部の外面を覆うように搭載可能なカード部材において、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを有し、前記第1のアンテナが前記裏面カバー部に対応する領域に配置され、前記第2のアンテナが前記側面部に対応する領域に配置されるように、前記ブースタアンテナが配設され、かつ、前記ブースタアンテナは、前記裏面カバー部と前記側面部との境界に対応する部分で折り曲げ可能であることを特徴とするカード部材が提供される。
【0020】
このようなカード部材において、ブースタアンテナの第1のアンテナは、このカード部材を光ディスクケースの表面カバー部、裏面カバー部、および側面部の外面を覆うように配設したときに、光ディスクケースの裏面カバー部に対応する領域に配置される。従って、光ディスクケースの裏面カバー部の内部に、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが保持されたときに、光ディスク上のアンテナと第1のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となる。
【0021】
一方、ブースタアンテナの第2のアンテナは、このカード部材を光ディスクケースの表面カバー部、裏面カバー部、および側面部の外面を覆うように配設したときに、光ディスクケースの側面部に対応する領域に配置される。従って、光ディスクケースを閉じた状態で、光ディスクケースの側面部にICチップのリーダ/ライタが近接されたとき、このリーダ/ライタが備えるアンテナと第2のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となり、この状態でリーダ/ライタと光ディスク上のICチップとが通信できるようになる。
【0022】
また、本発明では上記課題を解決するために、それぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続された表面カバー部および裏面カバー部と、前記裏面カバー部に嵌着され、一方の面に設けられた凸状保持部を光ディスクに形成された中央孔に嵌合させることによって前記光ディスクを保持するディスクトレイ部材とを備え、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が前記ディスクトレイ部材を挟んで対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースにおいて、前記ディスクトレイ部材と前記裏面カバー部との間に収容されるカード部材であって、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを有し、前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記ディスクトレイ部材側または前記裏面カバー部側のいずれか一方の面に前記ブースタアンテナが固着されたことを特徴とするカード部材が提供される。
【0023】
このようなカード部材において、ブースタアンテナの第1のアンテナは、このカード部材をディスクトレイ部材と裏面カバー部との間に収容したときに、その中央部が凸状保持部の中心と一致するように配置される。従って、光ディスクケースの裏面カバー部の内部に、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが保持されたときに、光ディスク上のアンテナと第1のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となる。
【0024】
一方、ブースタアンテナの第2のアンテナは、このカード部材をディスクトレイ部材と裏面カバー部との間に収容したときに、光ディスクケースを閉じた状態における1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように配置される。従って、光ディスクケースを閉じた状態で、第2のアンテナの位置に対応する側面にICチップのリーダ/ライタが近接されたとき、このリーダ/ライタが備えるアンテナと第2のアンテナとの間で信号を送受信することが可能となり、この状態でリーダ/ライタと光ディスク上のICチップとが通信できるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の光ディスクケースによれば、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが凸状保持部に保持され、かつ、この光ディスクケースを閉じた状態で、第2のアンテナの位置に対応するケース側面にICチップのリーダ/ライタを近接させることで、リーダ/ライタと光ディスク上のICチップとの間で確実に通信できるようになる。また、すでに広く普及している光ディスクケースの基本構成を変えることなく、その光ディスクケースにブースタアンテナを配設して、上記効果を得ることが可能になる。
【0026】
また、本発明の光ディスクトレイによれば、この光ディスクトレイを、表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて構成される光ディスクケースのケース筐体の内部に、光ディスクの保持面をケース筐体の内側に向けて裏面カバー部に嵌着することで配設し、かつ、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクを凸状保持部によって保持して、その光ディスクケースを閉じた状態において、第2のアンテナの位置に対応するケース側面にICチップのリーダ/ライタを近接させることで、リーダ/ライタと光ディスク上のICチップとの間で確実に通信できるようになる。また、すでに広く普及している光ディスクケースの基本構成を変えることなく、その光ディスクケースを構成する光ディスクトレイにブースタアンテナを配設して、上記効果を得ることが可能になる。
【0027】
さらに、本発明のカード部材によれば、このカード部材が光ディスクケースの表面カバー部、裏面カバー部、および側面部の外面を覆うように配設され、かつ、その光ディスクケースの裏面カバー部の内部に、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが保持されて、その光ディスクケースが閉じられた状態において、光ディスクケースの側面部にICチップのリーダ/ライタを近接させることで、リーダ/ライタと光ディスク上のICチップとの間で確実に通信できるようになる。また、すでに広く普及している光ディスクケースの構成を何ら変更することなく、その光ディスクケースの外面を覆うようにカード部材を配設するだけで、上記効果を得ることが可能になる。
【0028】
また、本発明のカード部材によれば、このカード部材がディスクトレイ部材と裏面カバー部との間に収容され、かつ、その光ディスクケースの裏面カバー部の内部に、非接触型のICチップと、光ディスクの回転中心を中心として形成された非接触通信用のアンテナとが設けられた光ディスクが保持されて、その光ディスクケースが閉じられた状態において、光ディスクケースの側面部にICチップのリーダ/ライタを近接させることで、リーダ/ライタと光ディスク上のICチップとの間で確実に通信できるようになる。また、すでに広く普及している光ディスクケースの構成を何ら変更することなく、ディスクトレイ部材と裏面カバー部との間にカード部材を配設するだけで、上記効果を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。始めに、各実施の形態で用いられる非接触型ICチップ付きの光ディスクの基本的な構造と、この光ディスク上のICチップとの間の通信方法について説明する。
【0030】
図1は、非接触型ICチップが搭載された光ディスクの構成例を示す平面図である。
図1に示す光ディスク1は、CDやDVD、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc,ソニー株式会社の登録商標)、HD DVD(登録商標)などの一般的な光ディスク媒体に共通する、以下のような基本的構造を有している。すなわち、この光ディスク1には、中央部に中心孔2が設けられており、この光ディスク1がディスクドライブに挿入されたときに、この中心孔2を中心に回転され、信号記録面にレーザ光が照射されて、その反射光の光量に応じて信号が読み取られる。
【0031】
光ディスク1の中心孔2から所定距離分だけ外側の領域は、Ag(銀)あるいはAl(アルミニウム)などの導電性材料からなる反射膜が成膜された信号記録領域3となっている。なお、書き込み可能な光ディスクの場合には、この信号記録領域3には反射膜の他、記録膜や誘電体膜などがさらに成膜される。
【0032】
信号記録領域3と中心孔2との間は、ディスクドライブ内でこの光ディスク1をチャッキングするための領域であり、チャッキング領域4などと呼ばれる。そして、このチャッキング領域4には、非接触型のICチップ5と、このICチップ5が外部のリーダ/ライタとの間で非接触で通信するためのアンテナコイル6とが設けられている。図1の例では、アンテナコイル6を3ターンのスパイラル状のものとしている。このような形状のアンテナコイル6は、例えば、通信周波数として13.56MHzに代表される短波帯を用いた場合に好適である。
【0033】
なお、ICチップ5の非接触通信のためのアンテナは、光ディスク1の回転時における重量バランスを保つために、中心孔2の周囲領域に、回転軸を中心としたスパイラル状(あるいはループ状)に設けられることが望ましい。また、このようなアンテナは、図1のようなチャッキング領域4に限らず、例えば、反射膜が成膜された領域の裏面や、その領域よりさらに外側のディスク縁部のディスク基板に設けられてもよい。ただし、チャッキング領域4およびその近傍にアンテナを配置した場合には、光ディスク1に対する加工領域を小さくできるというメリットがある。また、反射膜の成膜領域を避けてアンテナを配置することで、ディスク両面に信号を記録できることや、反射膜による電磁効果を軽減できることなどのメリットも生まれる。
【0034】
図2は、非接触で通信する際のICチップ側およびリーダ/ライタ側のアンテナ配置について説明するための図である。
光ディスク1上のICチップ5と良好な通信を行う場合、リーダ/ライタ側のアンテナコイル11は、図2(A)に示すようにICチップ5側のアンテナコイル6と近接して対向し、かつ互いに同軸上にあることが望ましい。しかし、ICチップ5側のアンテナコイル6とリーダ/ライタ側のアンテナコイル11との位置関係が上記の状態からずれるに従って、これらの間の通信状態は悪化する。そして、図2(B)に示すように、リーダ/ライタ側のアンテナコイル11が光ディスク1の外縁のさらに外側にあり、かつ、このアンテナコイル11とICチップ5側のアンテナコイル6のそれぞれの軸が直交するような状態のときには、ほぼ通信が不可能であることが多い。
【0035】
このように、各アンテナの位置関係によって良好な通信が不可能の場合でも、各アンテナの間の通信を仲介するブースタアンテナを用いることで、良好な通信が可能になる。図2(B)に示すブースタアンテナは、ICチップ5側のアンテナコイル6と対向するアンテナコイル21と、リーダ/ライタ側のアンテナコイル11と対向するアンテナコイル22とが、同調回路23を介して互いに接続されて構成される。このようなブースタアンテナを用いることで、ICチップ5側のアンテナコイル6とリーダ/ライタ側のアンテナコイル11との間の通信状態を改善できる。
【0036】
図3は、ブースタアンテナを介したICチップとリーダ/ライタとの通信に必要な回路の構成を概略的に示す図である。
まず、光ディスク1に設けられるICチップ5は、リーダ/ライタ10との間で送受信する信号の変復調回路や制御回路、不揮発性記憶媒体などから構成される。ここでは一例として、ICチップ5はリーダ/ライタ10との間で電磁波を使用して通信するとともに、このICチップ5はバッテリを持たず、リーダ/ライタ10側から供給される電磁波から電磁誘導によって動作電力を得るものとする。また、リーダ/ライタ10側と電磁波を送受信するためのアンテナコイル6は、同調回路7を介してICチップ5と接続される。同調回路7は例えばコイル、コンデンサ、抵抗などからなり、これらの回路部品のパラメータは、アンテナコイル6および同調回路7を含む回路が通信周波数に共振する共振回路を形成するように選択される。
【0037】
一方、リーダ/ライタ10の主回路12は、例えば、ICチップ5との間で送受信する信号や電源供給用電磁波の変復調回路などから構成される。この主回路12は、ICチップ5側と電磁波を送受信するためのアンテナコイル11と、同調回路13を介して接続される。同調回路13の機能は、ICチップ5側の同調回路7と同様である。
【0038】
ブースタアンテナ20は、上述したように、ICチップ5側およびリーダ/ライタ10側にそれぞれ対応するアンテナコイル21および22と、それらを接続する同調回路23とから構成される。同調回路23の機能は、同調回路7および13と同様であって、ICチップ5とリーダ/ライタ10との間で送受信する信号の通信周波数に対してインピーダンスが整合するように調整するものであり、例えばコイル、コンデンサ、抵抗などから構成される。
【0039】
なお、各アンテナコイル21および22のインピーダンスが通信周波数と整合している場合には特に同調回路23は不要であり、この場合にはアンテナコイル21および22を直接接続することができる。また、ICチップ5側の同調回路7、およびリーダ/ライタ10側の同調回路13も、同様に必要に応じて設けられればよい。
【0040】
次に、実施の形態に係る光ディスクケースについて具体的に説明するが、以下の各実施の形態では、ICチップ5側のアンテナコイル6とリーダ/ライタ10側のアンテナコイル11とが図2(B)のような位置関係となるようなブースタアンテナ20を、光ディスク1を収納する光ディスクケースに設ける。これにより、光ディスク1が光ディスクケースに収容された状態で、図2(B)のように光ディスク1の法線方向からリーダ/ライタ10を近づけた場合でも、良好な通信ができるようにする。
【0041】
[実施の形態1−1]
図4は、実施の形態1−1に係る光ディスクケースの外形を示す図である。
図4において、光ディスクケース30は、光ディスク1がその内部に装着される樹脂製の収納ケースであり、その外形は、ディスク面に対して垂直な方向が薄くされた直方体をなしている。また、ディスク面に平行な面(ケース主面)の一辺に接続する側面には、これに近接して、外部のリーダ/ライタ10との間で信号を受け渡すためのブースタアンテナ20を構成するアンテナコイル22が設けられている。図4の例では、光ディスクケース30のベース部に対してカバー部が回転可能に連結する連結部側の側面に、リーダ/ライタ10と通信するためのアンテナコイル22が設けられている。また、ブースタアンテナ20を構成する他方のアンテナコイル21(図示せず)は、装着された光ディスク1上のアンテナコイル6に近接して対向するように、光ディスクケース30の内部に設けられている。なお、光ディスクケース30およびブースタアンテナ20の詳細な構成については後述する。
【0042】
このように、光ディスクケース30の側面に沿ってブースタアンテナ20のアンテナコイル22を設けたことにより、図4に示すように、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11を対向させた状態でリーダ/ライタ10を近接させると、リーダ/ライタ10と光ディスク1上のICチップ5との間で通信できるようになる。
【0043】
特に、このような光ディスクケース30を多数、収納棚に収容した場合には、光ディスクケース30同士はディスク面に平行な面(ケース主面)で互いに接触(または近接)するので、このケース主面にリーダ/ライタ10をかざしてICチップ5と通信させることは不可能になる。しかし、収納棚に収容した状態でも、光ディスクケース30の少なくとも1つの側面は外部に露出しているので、この側面に図4のようにブースタアンテナ20のアンテナコイル22を設けておけば、この側面にリーダ/ライタ10をかざすことでICチップ5との通信が可能となる。
【0044】
収納棚に収容した状態で光ディスク1上のICチップ5と通信できれば、例えば、ICチップ5に楽曲などの情報を記録しておき、この情報をリーダ/ライタ10で読み出して表示装置に表示することや、指定したキーワードに合致する情報がICチップ5に記録されていたときに、音声や光などで知らせるなど、所望の楽曲やデータが収録された光ディスク1の検索を容易にするといった使い方が可能になる。
【0045】
なお、図4では、非接触型ICチップ専用のリーダ/ライタ10の例を示したが、このリーダ/ライタ10の形状や構成はあくまで一例である。リーダ/ライタの他の構成としては、例えば、光ディスク1の再生・記録機器などのためのリモートコントローラにリーダ/ライタ機能を設け、そのリモートコントローラの先端部にアンテナコイルを配置しておくことなども考えられる。
【0046】
図5は、実施の形態1−1に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
図5に示すように、本実施の形態の光ディスクケース30は、基本的に、外部筐体を構成するベース部31およびカバー部32と、それらの内部に収容されるディスクトレイ33とから構成される。ベース部31とカバー部32とは連結部34において回転可能な状態で連結され、ベース部31に対してカバー部32が連結部34を中心として開閉するようになっている。また、カバー部32が閉じられた状態では、カバー部32がベース部31に対して嵌合して箱形の外形が形成され、その内部が密閉される。
【0047】
ディスクトレイ33は、光ディスク1が装着される部材であり、ベース部31の内側に嵌着される。このディスクトレイ33には、光ディスク1が載置される円形凹状のディスク載置面35が形成され、その中心部には凸状のディスク保持部36が形成されている。ディスク保持部36の周囲は弾性を有し、このディスク保持部36に光ディスク1の中心孔2が嵌合されて、光ディスク1が保持される。
【0048】
このようなベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33の3つの部材から構成される光ディスクケース30は、主にCD用の収納ケースとして最も一般的に流通されているものであり、“ジュエルケース”などと呼ばれる。なお、ベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33は、例えばポリスチレン樹脂材料によって形成され、一般には、少なくともベース部31およびカバー部32が透明樹脂材料により形成される。また、ベース部31およびカバー部32と、内部のディスクトレイ33とがそれぞれ別のメーカによって製造され、別々に流通される場合もある。
【0049】
そして、本実施の形態では、この光ディスクケース30に収容された光ディスク1上のICチップ5と通信するためのブースタアンテナ20が、ディスクトレイ33に設けられる。図6に示すように、本実施の形態において、ブースタアンテナ20は、アンテナコイル21および22が基板と一体化されたブースタアンテナユニット20aとして構成される。
【0050】
図6は、ブースタアンテナユニットの構成を示す図である。
図6に示すように、ブースタアンテナユニット20aは、ICチップ5との通信用のアンテナコイル21と、リーダ/ライタ10との通信用のアンテナコイル22と、各アンテナコイル21および22を接続する接続配線24とからなるブースタアンテナ20が、フレキシブル基板25の上に形成された構成をなしている。各アンテナコイル21および22、接続配線24は、例えば、アルミニウム(Al)などの金属材料をフレキシブル基板25上に印刷などによって薄板状(または薄膜状)に形成したものである。
【0051】
また、ICチップ5側のアンテナコイル21の中心領域には、フレキシブル基板25にディスクトレイ33のディスク保持部36を貫通させるための中心孔26が形成されている。さらに、この例では、フレキシブル基板25におけるアンテナコイル21および22の間の領域に、ディスクトレイ33の表面形状に合わせるための折り曲げ部27a〜27cが形成されている。
【0052】
なお、アンテナコイル21および22のアンテナ径や巻き数などは、それぞれICチップ5側のアンテナコイル6およびリーダ/ライタ10側のアンテナコイル11のアンテナ径や巻き数などに応じて、良好な通信ができるように適切に決められればよい。
【0053】
また、このブースタアンテナユニット20aに形成されるブースタアンテナ20の回路構成は、図3に示した通りである。図6では、同調回路23が形成されていないブースタアンテナユニット20aの例を示している。同調回路23が必要な場合には、図6において、例えば、フレキシブル基板25における接続配線24が形成された領域に同調回路23が設けられればよい。
【0054】
前述のように、同調回路23は、例えばコイル、コンデンサ、抵抗などから構成される。同調回路23の具体的な構成例としては、例えば、コンデンサ(チップコンデンサ)の一対の電極を一対の接続配線24にそれぞれ接続することで、アンテナコイル21および22に対して並列にコンデンサを接続させる。このとき、コンデンサの容量を調節することでインピーダンスを変化させることができ、結果として通信周波数に対するインピーダンス整合を調整することができる。
【0055】
図7は、光ディスクケースを構成するディスクトレイおよびブースタアンテナユニットの分解斜視図である。
本実施の形態の光ディスクケース30は、例えば、以下のような工程により製造される。まず、上述したように、フレキシブル基板25上に、アンテナコイル21および22と接続配線24とが印刷などにより形成されたブースタアンテナユニット20aが、図6に示したように平坦な状態で作製される。一方、射出成型などによりディスクトレイ33が形成される。
【0056】
次に、ブースタアンテナユニット20aの折り曲げ部27a〜27cが、所定の方向に折り曲げ加工された後、そのブースタアンテナユニット20aが、中心孔26をディスクトレイ33のディスク保持部36に位置合わせした状態で、ディスクトレイ33の上面(ディスク載置面35側の面)に固着される。この例では、フレキシブル基板25のうち、アンテナコイル21および接続配線24の形成面の裏面が、ディスクトレイ33に対して固着される。この結果、ディスク保持部36の周囲を囲むようにアンテナコイル21が配置され、ディスク保持部36に光ディスク1が嵌合されたときに、ディスク側のアンテナコイル6とトレイ側のアンテナコイル21との間で確実に電磁結合し、信号を送受信できるようになる。
【0057】
ここで、フレキシブル基板25とディスクトレイ33とは、例えば、紫外線硬化樹脂、ホットメルト樹脂、エポキシ樹脂系、シアノアクリレート系、合成ゴム系(好ましくはスチレン−ブタジエンゴム系)などの接着剤あるいは粘着材などによって接着される。このとき、接着面にあらかじめプライマを塗布して、より確実に接着されるように接着面を改質しておいてもよい。
【0058】
なお、本実施の形態では、ディスクトレイ33には、後にベース部31に配置されたときにベース部31とカバー部32とが連結する連結部34側の領域に凸部37が形成されており、ブースタアンテナユニット20aの折り曲げ部27a〜27cはこの凸部37の表面に密着するように折り曲げられる。この結果、アンテナコイル22が形成されたフレキシブル基板25の領域は、凸部37の端部において、ディスク載置面35と垂直になるように下側に折り曲げられる。このような凸部37を有するディスクトレイ33はジュエルケース型の光ディスクケース30では最も一般的であり、このような既存のディスクトレイ33に対して何の加工も施すことなく、上記構成のブースタアンテナユニット20aを固着することができる。
【0059】
また、ブースタアンテナユニット20aの取り付けの際には、ディスクトレイ33に対する取り付けの前に折り曲げ加工しておかずに、例えば、平坦状態のまま中心孔26をディスクトレイ33のディスク保持部36に位置合わせした状態で上面から押圧することで、折り曲げ部27a〜27cを折り曲げ加工してもよい。
【0060】
また、別の構成として、例えば、ディスクトレイ33の凸部37に対して、ブースタアンテナユニット20aの接続配線24の領域が嵌め込まれるような切り欠き部を設けておき、ブースタアンテナユニット20aを、折り曲げ部27bおよび27cを折り曲げずに平坦な状態のままディスクトレイ33に固着できるようにしてもよい。この場合、アンテナコイル22は、折り曲げ部27aにおいて上側に折り曲げ加工されてもよい。
【0061】
また、ブースタアンテナ20は、本実施の形態のように基板と一体化した構成に限らず、例えば、細い金属線のみから構成されてもよい。この場合、アンテナコイル21および22は、例えば、それぞれ巻き線機などにより巻き線された空芯コイルとして形成されればよい。
【0062】
上記の工程によりブースタアンテナユニット20aがディスクトレイ33に取り付けられる一方で、ベース部31とカバー部32とが射出成型により形成されて、それらが連結部34において回転可能に連結される。そして、カバー部32を開いた状態で、ベース部31の内部に、ブースタアンテナユニット20aが固着されたディスクトレイ33が嵌め込まれて固定される。このとき、ブースタアンテナユニット20aのアンテナコイル22は、ディスクトレイ33の凸部37の端部の下部において、ベース部31の回転中心側の側面38(図5参照)の内側に密着するように配置される。
【0063】
なお、上記構成の光ディスクケース30では、ディスクトレイ33にブースタアンテナユニット20aが固着された状態の部品が流通され、この部品がこれとは別に流通されたベース部31およびカバー部32に対して別のメーカあるいはユーザによって取り付けられてもよい。
【0064】
また、当然ながら、ベース部31に対してディスクトレイ33が嵌着された後、そのベース部31にカバー部32を連結してもよい。あるいは、ベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33がすべて組み立てられた後で、ディスクトレイ33上にブースタアンテナユニット20aを固着してもよい。
【0065】
以上説明した実施の形態1−1では、既存のジュエルケース型の光ディスクケースの構造や形状を変えることなく(あるいは元の形状に対してわずかに加工もしくは形状変更するだけで)、簡易な工程でブースタアンテナ20を搭載させることができる。この結果、ベース部31の側面38にこの側面38と対向させた状態でリーダ/ライタ10を近づけることで、リーダ/ライタ10と光ディスク1のICチップ5との間で通信させることが可能になる。
【0066】
また、ブースタアンテナユニット20aが固着された状態のディスクトレイ33が単独で販売された場合には、既存のジュエルケース型の光ディスクケースをすでに所有しているユーザは、そのケース全体を交換するのではなく、内部のディスクトレイのみを購入して交換するだけで、上記の付加機能によるメリットを享受できるようになる。
【0067】
なお、ブースタアンテナユニット20aのアンテナコイル22は、基本的に、ベース部31のトレイ取り付け面の4辺にそれぞれ接続する側面のいずれかに当接(または近接)するように配設されればよい。すなわち、アンテナコイル22が当接された側面にリーダ/ライタ10をかざすことで、光ディスク1上のICチップ5と通信できるようになる。
【0068】
ただし、上記構成の光ディスクケース30では、一般的に、カバー部32の回転中心側の側面38の内部に紙部材が配設されて、この側面38を通して光ディスク1に記録されたコンテンツのタイトルなどが表示されることが多い。このため、この光ディスクケース30を収納棚に収納した際には、側面38が収納棚の外部に露出する状態となることが多い。また、側面38の側にアンテナコイル22を配設することで、他の側面に配設した場合と比較して、光ディスク1の着脱の際にユーザがアンテナコイル22に接触してこれを破損する事態を防止できる。このような点から、アンテナコイル22は側面38に当接するように配設されることが最も好ましく、本明細書に記載したすべての実施の形態では、カバー部の回転中心側の側面にリーダ/ライタ10との通信用のアンテナコイル22を配設した例を示すこととする。
【0069】
[実施の形態1−2]
図8は、実施の形態1−2に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
図8に示す光ディスクケース30aは、実施の形態1−1の光ディスクケース30を変形したものであり、ブースタアンテナユニット20bが、ディスクトレイ33のディスク載置面35側でなく、その裏面に配設されたものである。光ディスクケース30aに搭載されるブースタアンテナユニット20bでは、リーダ/ライタ10との通信用のアンテナコイル22が、接続配線24と間の折り曲げ部27aを境界として上側に折り曲げられて、ケース主面と垂直な状態とされる。
【0070】
このような光ディスクケース30aを製造する場合、例えば、ブースタアンテナユニット20bは、折り曲げ部27aでの折り曲げ加工が施された後、ディスクトレイ33のディスク載置面35とは反対の面に固着される。そして、ブースタアンテナユニット20bが固着されたディスクトレイ33が、ベース部31の内側に嵌着され、このベース部31にカバー部32が連結部34において連結される。なお、ブースタアンテナユニット20bにおいては、全体が平坦な状態でディスクトレイ33に固着された後、このディスクトレイ33をベース部に取り付ける際に押圧されることで、折り曲げ部27aが折り曲げられてもよい。また、ブースタアンテナユニット20bが固着されたディスクトレイ33が流通されてもよい。さらに、ブースタアンテナユニット20bをベース部31の内側に固着した後、その上からディスクトレイ33を嵌着する手順としてもよい。
【0071】
このような工程において、ブースタアンテナユニット20bを配設する際に、ディスク保持部36とブースタアンテナユニット20bの中心孔26のそれぞれの中心位置が合わせられることで、ディスクトレイ33に光ディスク1を収容したとき、ICチップ5側のアンテナコイル6とブースタアンテナユニット20b側のアンテナコイル21とが電磁結合して、これらの間での信号の送受信が可能となる。また、組み立て後の光ディスクケース30aにおいては、ブースタアンテナユニット20bの他方のアンテナコイル22は、カバー部32の側面38の内側に当接した状態となる。これにより、外部から側面38にリーダ/ライタ10を近接させることで、リーダ/ライタ10とICチップ5との間での通信が可能となる。
【0072】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2に係る光ディスクケースの構成を示す斜視図である。
この図9に示す光ディスクケース40は、ベース部41とカバー部42とから構成されており、ベース部41とカバー部42とは連結部43において回転可能に連結されている。また、実施の形態1−1〜1−2とは異なり、ベース部41の内面にディスク載置面44およびディスク保持部45が一体に形成されていて、ベース部41の内側に光ディスク1が収容される構成となっている。ベース部41およびカバー部42は、例えばポリスチレン樹脂材料によって形成される。このような基本的な構成を持つ光ディスクケース40は、実施の形態1−1〜1−2に示した構成の光ディスクケースより薄型のCD用、DVD用などの収納ケースとして、すでに広く流通しているものである。
【0073】
そして、本実施の形態では、このような光ディスクケース40のディスク載置面44に、ブースタアンテナが形成されたブースタアンテナユニット20cが固着されている。ここで示すブースタアンテナユニット20cの構成は、図8に示したブースタアンテナユニット20bとほぼ同様であり、リーダ/ライタ10側のアンテナコイル22は、接続配線24との間の折り曲げ部27aにおいて折り曲げられて、ICチップ5用のアンテナコイル21とは垂直な状態とされる。なお、フレキシブル基板25の接続配線24が形成された領域では、実際にはベース部41の内面の凹凸に沿って適宜折り曲げられて、その内面と接触するように形成されればよい。あるいは、ベース部41の内面におけるフレキシブル基板25を固着する領域を平坦な状態にあらかじめ形成しておいてもよい。
【0074】
このブースタアンテナユニット20cのアンテナコイル22は、カバー部42を閉じたときに、カバー部42の連結部43側の端面46の内側に当接した状態となり、これにより、光ディスク1を収容した状態でカバー部42を閉じたときに、外部から端面46にリーダ/ライタ10を近接させることで、リーダ/ライタ10とICチップ5との間での通信が可能となる。一方、アンテナコイル21の内側に形成された中心孔26の中心と、ディスク保持部45の中心の位置が合わせられて、アンテナコイル21と光ディスク1上のICチップ5とが確実に電磁結合される。
【0075】
なお、以上の実施の形態2では、ブースタアンテナユニット20cをベース部41の内面に固着したが、このブースタアンテナユニット20cをカバー部42の内面に固着してもよい。
【0076】
[実施の形態3−1]
図10〜図13は、実施の形態3−1に係る光ディスクケースの構成を示す図である。図10は正面図を、図11は図10のA−A矢視による断面図を、図12は図10のB−B矢視による断面図を、図13は背面図をそれぞれ示す。
【0077】
本実施の形態の光ディスクケース50は、基本的に、表面カバー部51aと裏面カバー部51bとを備えた2つ折りの箱形形状を有している。表面カバー部51aと裏面カバー部51bとはケース側面部51cを介して折り曲げ可能に接続されており、これらは例えばポリプロピレンなどの樹脂材料によって一体に形成されている。すなわち、表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bは、それぞれケース側面部51cとの境界部である折り曲げ部52aおよび52bにおいて90度折り曲げられ、このとき、表面カバー部51aと裏面カバー部51bとが対向する状態となって内部が密閉される。また、このときケース側面部51cは、表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bに対して垂直な状態となって、光ディスクケース50の1つの側面を構成するようになる。
【0078】
裏面カバー部51bの内面には、光ディスク1が載置されるディスク載置面53aと、光ディスク1を保持するための凸状のディスク保持部53bが一体に形成されている。前述した各実施の形態と同様に、ディスク保持部53bの周囲は弾性を有し、このディスク保持部53bに光ディスク1の中心孔2が嵌合されることで、光ディスク1が保持される。一方、表面カバー部51aの内面は、例えば光ディスク1に収録されたコンテンツを説明するための冊子などを収容するための冊子収容面54aとなっており、この面には冊子を保持し、かつ係止するための凸状の係止部54bが形成されている。
【0079】
さらに、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの外面(すなわち、ディスク載置面53aおよび冊子収容面54aの反対面)は、1枚の透明シート55によって覆われている。この透明シート55は、その4辺のうち3辺において、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの端部と固着されているが、残る一辺は固着されずに開放されている。なお、ここでは例として、図13(および図10)における上側を開放端部55aとしている。そして、この開放端部55aから透明シート55の内部に、例えばジャケット写真などが印刷されたパッケージ表示用のカード部材(図示せず)を挿入することが可能になっている。
【0080】
以上のような基本構成を有する光ディスクケース50は、主にDVD用の収納ケースとして最も一般的に流通されているものであり、“トールケース”などと呼ばれる。そして、本実施の形態では、このような既存の光ディスクケース50に対して、ブースタアンテナ20が形成されたブースタアンテナユニット20dが搭載される。
【0081】
ブースタアンテナユニット20dの基本的な構成は上述した各実施の形態と同様であり、アンテナコイル21および22と接続配線24とがフレキシブル基板25上に形成された構成となっている。このブースタアンテナユニット20dは、裏面カバー部51bの内面に、アンテナコイル21の中心領域に設けた中心孔26にディスク保持部53bを貫通させた状態で固着される。このとき、アンテナコイル22は、光ディスクケース50を閉じた状態でケース側面部51cの内面に当接するように配設される。なお、ブースタアンテナユニット20dの固着には、実施の形態1−1で説明した接着剤および接着手順が適用されればよい。
【0082】
ここで、ブースタアンテナユニット20dは、例えば、平坦な状態のままでそのフレキシブル基板25の裏面全体が光ディスクケース50の内面に固着される。そして、光ディスクケース50が閉じられるときには、折り曲げ部52aおよび52bが折り曲げられるのに連動して、アンテナコイル22の形成領域と接続配線24の形成領域との境界の折り曲げ部27aも折り曲げられる。この結果、ケース側面部51cの外側にリーダ/ライタ10をかざしたときに、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11とアンテナコイル22とが電磁結合されるようになる。
【0083】
また、ブースタアンテナユニット20dは、あらかじめ折り曲げ部27aを境界とした90度の折り曲げ加工が施された後、裏面カバー部51bの内面に固着されてもよい。この場合、フレキシブル基板25の裏面では、アンテナコイル21および接続配線24の形成領域のみが裏面カバー部51bに固着されればよい。
【0084】
なお、ブースタアンテナユニット20dを裏面カバー部51bに固着する際には、フレキシブル基板25の裏面が裏面カバー部51bの内面に密着するように、フレキシブル基板25を裏面カバー部51bの凹凸に合わせて適宜折り曲げ加工する。この折り曲げ加工は、裏面カバー部51bへの取り付け前に行ってもよいし、裏面カバー部51bへ取り付ける際に押圧することで行ってもよい。また、フレキシブル基板25(特に接続配線24の形成領域)を平坦な状態のまま固着できるように、フレキシブル基板25が固着される領域において裏面カバー部51bの内面を平坦に形成しておいてもよい。
【0085】
以上説明した実施の形態3−1では、既存のトールケース型の光ディスクケースの構造や形状を変えることなく(あるいは元の形状に対してわずかに加工もしくは形状変更するだけで)、簡易な工程でブースタアンテナを搭載させることができる。この結果、ケース側面部51cにこの面と対向させた状態でリーダ/ライタ10のアンテナコイル11を近づけることで、リーダ/ライタ10と光ディスク1のICチップ5との間で通信させることが可能になる。
【0086】
[実施の形態3−2]
図14は、実施の形態3−2に係る光ディスクケースの構成を示す図である。
図14に示す光ディスクケース50aは、実施の形態3−1の光ディスクケース50を変形したものであり、ブースタアンテナユニット20eが、裏面カバー部51bおよびケース側面部51cの内面でなく、その外面に配設されたものである。なお、図14は光ディスクケース50aの背面図であり、図13に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0087】
ブースタアンテナユニット20eは、アンテナコイル21の中心とディスク保持部53bの中心とが位置合わせされ、アンテナコイル22がケース側面部51cの外面に位置するように配設されて、その全面が裏面カバー部51bおよびケース側面部51cに対して固着される。そして、光ディスクケース50aが閉じられるときには、裏面カバー部51bとケース側面部51cとの境界部が折り曲げられるのに連動して、アンテナコイル22の形成領域と接続配線24の形成領域との境界の折り曲げ部27aも折り曲げられる。これにより、ケース側面部51cの外側にリーダ/ライタ10をかざしたときに、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11とアンテナコイル22とが電磁結合されるようになる。
【0088】
なお、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの外面が透明シートで覆われている場合には、ブースタアンテナユニット20eはこの透明シートの内側に配設される。
【0089】
[実施の形態3−3]
図15および図16は、実施の形態3−3に係る光ディスクケースの構成を示す図である。図15は背面図を、図16は図15中のC−C矢視による断面図をそれぞれ示し、これらの図では図13および図11に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0090】
図15に示す光ディスクケース50bの基本的な構成は、上述した実施の形態3−1と同様であり、表面カバー部51aと裏面カバー部51bとがケース側面部51cを介して折り曲げ可能に接続された構造となっている。
【0091】
この光ディスクケース50bでは、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cの外面が透明シート55で覆われており、透明シート55とケース本体との間に、パッケージ表示用のカード部材56が挿入される。この例では、図15中の上側が透明シート55の開放端部55aとされており、この開放端部55aからカード部材56が挿入可能になっている。そして、このカード部材56に対して、ブースタアンテナユニット20fが搭載される。ブースタアンテナユニット20fは、基本的には、カード部材56のケース本体側に固着され、カード部材56のパッケージ表示面に影響を与えないようにされている。
【0092】
図17は、ブースタアンテナユニットが搭載されたカード部材の構成を示す図である。
図17(A)は、カード部材56をパッケージ表示面の裏側から見たときの図を示している。この図のように、カード部材56の領域56a〜56cは、ケース挿入時にそれぞれ表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cに当接される領域となっており、図17(B)に示すように、光ディスクケース50bを閉じたときには各領域56a〜56cの境界部が折り曲げられる。
【0093】
そして、これらのうち領域56bおよび56cに対してブースタアンテナユニット20fが固着される。ブースタアンテナユニット20fにおいては、アンテナコイル22の形成領域と接続配線24の形成領域との境界が折り曲げ部27aとされ、この折り曲げ部27aがカード部材56の折り曲げに連動して折り曲げ可能となっている。
【0094】
このようなカード部材56が、透明シート55とケース本体との間に挿入されると、アンテナコイル21の中心がディスク保持部53bの中心と合うようにブースタアンテナユニット20fが配置され、光ディスクケース50bに光ディスク1が収容されたときに、光ディスク1側のアンテナコイル6とブースタアンテナユニット20fのアンテナコイル21とが電磁結合されるようになる。また、アンテナコイル22はケース側面部51cの外面に位置するように配置され、これにより、ケース側面部51cの外側にリーダ/ライタ10をかざしたときに、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11とアンテナコイル22とが電磁結合されて、リーダ/ライタ10とICチップ5との通信が可能になる。
【0095】
本実施の形態の光ディスクケース50bを製造する場合には、基本的に、表面カバー部51a、裏面カバー部51b、およびケース側面部51cからなるケース本体が射出成型により一体に形成された後に、そのケース本体の外面に透明シート55が取り付けられる。透明シート55は、その3辺に対応する端部がケース本体の端部に接続(例えば接着)され、残りの一辺に対応する開放端部から、あらかじめブースタアンテナユニット20fが固着された状態のカード部材56が挿入される。
【0096】
従って、本実施の形態によれば、既存のトールケース型の光ディスクケースに対して何の加工も施すことなく、その光ディスクケースに対してブースタアンテナユニット20fが搭載されたカード部材56を挿入するだけで、ケース側面部51cからICチップ5と通信できるようになる。また、ブースタアンテナユニット20fが搭載されたカード部材56を、光ディスクケース本体とは別に流通させることもできる。
【0097】
なお、本実施の形態では、ブースタアンテナを構成する金属配線などをフレキシブル基板25に形成したブースタアンテナユニット20fを、カード部材56に固着する構成としたが、フレキシブル基板25を用いずに、金属配線をカード部材56に対して印刷などによって直接的に形成してもよい。
【0098】
また、上記のトールケース型と同じ基本構成を有する光ディスクケースの例として、ケース内面に光ディスク1の載置面に隣接して、フラッシュメモリなどを備えるメモリカードを脱着可能な脱着部が設けられた光ディスクケースも存在する。このような光ディスクケースに対しても、上記の実施の形態3−1〜3−3に示した手法によってブースタアンテナを搭載させることが可能である。
【0099】
ところで、上記各実施の形態における光ディスクケースを、収納棚などに多数並列して収納した場合には、隣り合う光ディスクケースがそれぞれ備えるブースタアンテナが非常に近接して配置されることになる。このとき、特に各ブースタアンテナの中のICチップとの通信を担うアンテナコイル同士は、各アンテナコイル面が平行の状態で近接して配置されるために、一方のアンテナを通じてICチップと通信する際に、アンテナ間で通信の干渉が発生してしまう場合がある。従って、例えば、単独の光ディスクケースで良好に通信していた状態から、その両側に同様の光ディスクケースを隣接させると、通信が不安定になる現象、あるいは通信できなくなる現象が生じる。また、並列している光ディスクケースの中から、ある1つの光ディスクケースの側面にリーダ/ライタを近接させたとき、目標とするものの隣りの光ディスクケース内の記憶情報を読み取ってしまうといった現象も生じる。
【0100】
これらの現象は、リーダ/ライタが、複数の光ディスクケース内の複数のICチップと通信しようとするために各ICチップに対する電力の供給が不足すること、あるいは、コリジョン状態が発生することなどの原因により、所望のICチップとの正常な通信ができなくなることで生じると考えられる。また、隣接する別のアンテナコイルに対応するICチップの方が高い通信能力を持つ場合には、そのICチップとの通信が行われてしまい、所望していたICチップとの通信ができなくなってしまうことも、上記の現象が生じる一因になると考えられる。
【0101】
そこで、以下の実施の形態4−1〜4−8では、上述した構造の光ディスクケースに対して、ブースタアンテナ中のICチップ側アンテナコイルよりさらに外側に、シート状の高透磁率部材を設けることで、隣接する光ディスクケース間での通信の干渉を防止し、通信性能を向上させるようにする。
【0102】
[実施の形態4−1]
図18は、実施の形態4−1に係る光ディスクケースの分解斜視図である。また、図19は、ディスクトレイに対するブースタアンテナユニットおよび高透磁率部材の取り付け構造を示す分解斜視図である。なお、これらの図18および図19では、図5および図6に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0103】
図18に示す光ディスクケース30bは、実施の形態1−1の光ディスクケース30に対して、ブースタアンテナユニット20aのICチップ5側のアンテナコイル21と、ディスクトレイ33との間に、高透磁率部材311を配設したものである。高透磁率部材311は、アンテナコイル21の形成領域より広い円環状のシート材として形成され、アンテナコイル21と互いに中心を合わせた状態でディスク保持部36の周囲に配設される。
【0104】
この高透磁率部材311により、同構造の光ディスクケース30bを例えば収納棚に同じ方向で並べて収納した場合でも、ベース部31を介して隣接する光ディスクケース30b内のブースタアンテナユニット20aのアンテナコイル21同士を電気的、電磁的に分離することができる。従って、所望の光ディスクケース30bの側面38の外側からリーダ/ライタ10を近接させることで、そのケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0105】
図19に示すように、ブースタアンテナユニット20aおよび高透磁率部材311は、例えば、ディスクトレイ33にあらかじめ取り付けられた後、ベース部31に対して嵌着される。ディスクトレイ33への取り付け時には、例えば、アンテナコイル21の下面側に高透磁率部材311を接着剤などで固着した後、この高透磁率部材311の下面とディスクトレイ33に接着剤などで固着する。あるいは、高透磁率部材311をディスクトレイ33に固着した後、その上からブースタアンテナユニット20aを固着してもよい。このように、ブースタアンテナユニット20aおよび高透磁率部材311があらかじめ搭載された状態のディスクトレイ33が、ベース部31およびカバー部32とは別に流通されてもよい。
【0106】
なお、ベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33からなる既存の光ディスクケースに対して、ブースタアンテナユニット20aおよび高透磁率部材311を後から取り付けるようにしてもよい。また、ブースタアンテナユニット20aをディスクトレイ33のディスク保持面に固着し、高透磁率部材311をディスクトレイ33の裏面に固着してもよい。あるいは、高透磁率部材311のみベース部31の内面または外面に固着してもよい。
【0107】
また、上記の高透磁率部材311は、例えば、軟磁性材料を磁性粉末として、その磁性粉末を焼結させる方法、あるいは、その磁性粉末をバインダーに混入して成形する方法などによって製造されればよい。軟磁性材料としては、例えば、センダスト(Fe−Al−Si系)、パーマロイ(Ni−Fe系)、アモルファス合金(Fe−Si−B系、Co−Fe−Si−B系など)、フェライト(Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライトなど)などを用いることができる。
【0108】
磁性粉末を焼結させる方法(焼結体を形成する方法)としては、例えば、フェライト材料の微粉末を有機溶剤中に分散させて形成した金属ペーストをシート状に塗布した後、有機溶媒の加熱分解を行い、本焼成した焼結フェライト板を得る方法を利用できる。また、磁性粉末をバインダーに混入して成型する方法としては、例えば、バインダーとしてナイロン12、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリエチレンなどの合成樹脂材料を用い、磁性粉末をバインダーに混入させた上で、例えば射出成形などによりシート状またはプレート状に成形する方法を利用できる。
【0109】
また、同様な磁性材料を用いたシート材は、例えば、RFID用磁性シート、電磁ノイズ抑制シートなどとして広く流通しており、このような既製のシート材を利用して上記の高透磁率部材311を形成することもできる。
【0110】
[実施の形態4−2]
図20は、実施の形態4−2に係る光ディスクケースの分解斜視図である。なお、この図20では、図8に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0111】
図20に示す光ディスクケース30cは、実施の形態1−2の光ディスクケース30aに対して、ブースタアンテナユニット20bとベース部31との間に、高透磁率部材312を配設したものである。高透磁率部材312は、アンテナコイル21の形成領域より広い円状のシート材として形成され、アンテナコイル21と互いに中心を合わせた状態で配設される。
【0112】
なお、ここでは、高透磁率部材312を円状に形成しているが、この部材が少なくともアンテナコイル21の形成領域を覆い尽くすような状態となれば、円環状などの他の形状とされてもよい。
【0113】
この高透磁率部材312により、同構造の光ディスクケース30cを例えば収納棚に同じ方向で並べて収納した場合でも、ベース部31を介して隣接する光ディスクケース30c内のブースタアンテナユニット20bのアンテナコイル21同士を電気的、電磁的に分離することができる。従って、所望の光ディスクケース30cの側面38の外側からリーダ/ライタ10を近接させることで、そのケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0114】
この光ディスクケース30cを製造する際には、例えば、ブースタアンテナユニット20bのアンテナコイル21の下面(ベース部31側の面)に高透磁率部材312を固着した後、これらをディスクトレイ33の裏面に固着する。そして、ブースタアンテナユニット20bおよび高透磁率部材312が搭載されたディスクトレイ33が、ベース部31の内面に嵌着される。この場合、ブースタアンテナユニット20bおよび高透磁率部材312をあらかじめ搭載したディスクトレイ33を、ベース部31およびカバー部32とは別に流通させることもできる。
【0115】
また、ブースタアンテナユニット20bをディスクトレイ33の裏面に固着した後、さらに、アンテナコイル21を挟んで高透磁率部材312をディスクトレイ33の側に固着してもよい。また、ブースタアンテナユニット20bと高透磁率部材312とを一体化した部品を、ディスクトレイ33ではなく、ベース部31の内面に固着するようにしてもよい。あるいは、高透磁率部材312をベース部31に固着し、ブースタアンテナユニット20bをディスクトレイ33に固着してもよい。この場合、高透磁率部材312を、ベース部31の外面に固着してもよい。
【0116】
[実施の形態4−3]
図21は、実施の形態4−3に係る光ディスクケースの分解斜視図である。なお、この図21では、図8および図20に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0117】
図21に示す光ディスクケース30dでは、実施の形態4−2で示した高透磁率部材312を、紙などからなるカード部材321に固着した状態で配設したものである。また、この例では、ブースタアンテナユニット20bも、高透磁率部材312を介してカード部材321に固着されている。そして、このようなカード部材321がベース部31の内面に配設され、ディスクトレイ33は、このカード部材321を挟んだ状態で、ベース部31の内面に嵌着される。このような構成とした場合には、ブースタアンテナユニット20bおよび高透磁率部材312をあらかじめ搭載したカード部材321を、ベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33からなるケース本体とは別に流通させることもできる。
【0118】
なお、高透磁率部材312のみをカード部材321に固着し、ブースタアンテナユニット20bをディスクトレイ33に固着する構成としてもよい。この場合、図5に示した形状のブースタアンテナユニット20bを、ディスクトレイ33の表側に配設する構成としてもよい。
【0119】
また、この実施の形態4−3では、ブースタアンテナユニット20bのベース部31側に加えて、カバー部32側にも、高透磁率部材313を配設している。高透磁率部材313は、アンテナコイル21の形成領域より広い円状のシート材として形成され、ベース部31とカバー部32の閉塞時に、アンテナコイル21と互いに中心が合う位置に配設される。
【0120】
この高透磁率部材313を配設したことにより、同構造の光ディスクケース30dを例えば収納棚に異なる方向で並べて収納した場合でも、また、高透磁率部材を備えていないブースタアンテナ搭載の光ディスクケースが並列された場合であっても、ベース部31を介して隣接する光ディスクケースのみならず、カバー部32を介して隣接する光ディスクケースとの間でも、ブースタアンテナユニット20bのアンテナコイル21同士を電気的、電磁的に分離することができる。従って、光ディスクケースを並列させた状態で、所望の光ディスクケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0121】
ところで、高透磁率部材313は、例えば、カバー部32の内面あるいは外面に固着されてもよいが、ここでは例として、高透磁率部材313を、紙などからなるカード部材322に固着した状態で、カバー部32の内面に配設している。カバー部32の内面は、例えば光ディスク1に収録されたコンテンツを説明するための冊子などを収容するための冊子収容面となっており、この面には冊子を保持するための保持部材331aおよび331bが、カバー部32と一体に形成されている。高透磁率部材313があらかじめ固着されたカード部材322は、カバー部32と保持部材331aおよび331bとの間に、図中の矢印Dの方向に挿入され、所定の位置で係止される。このような構成とすることで、高透磁率部材313をあらかじめ搭載したカード部材322を、ベース部31、カバー部32、およびディスクトレイ33からなるケース本体とは別に流通させることもできる。
【0122】
なお、高透磁率部材312および313は、それぞれカード部材321および322のどちらの面に固着されてもよい。ただし、高透磁率部材312および313をカード部材321および322のケース内面側に固着することで、カード部材321および322のケース外面側の面には、例えば、光ディスク1に収録されたコンテンツを説明するテキストやジャケット写真などを表示することができる。
【0123】
[実施の形態4−4]
図22は、実施の形態4−4に係る光ディスクケースの構成を示す斜視図である。なお、この図22では、図9に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0124】
図22に示す光ディスクケース40aは、実施の形態2の光ディスクケース40に対して、そのベース部41およびカバー部42に高透磁率部材47aおよび47bをそれぞれ配設したものである。高透磁率部材47aは、アンテナコイル21の形成領域より広い円環状のシート材として形成され、アンテナコイル21とベース部41との間において、アンテナコイル21と互いに中心が合う状態でディスク保持部45の周囲に配設される。
【0125】
一方、高透磁率部材47bは、アンテナコイル21の形成領域より広い円状のシート材として形成され、ベース部31とカバー部32の閉塞時に、アンテナコイル21と互いに中心が合う位置に配設される。なお、ここでは、高透磁率部材47bを円状に形成しているが、この部材が少なくともアンテナコイル21の形成領域を覆い尽くすような状態となれば、円環状などの他の形状とされてもよい。
【0126】
このような構成により、同構造のブースタアンテナユニットを備えた光ディスクケースが、例えば収納棚に並列して収納された場合でも、この光ディスクケース40a内のアンテナコイル21を、隣接する光ディスクケース内のアンテナコイル21と電気的、電磁的に分離することができる。従って、光ディスクケースを並列させた状態で、所望の光ディスクケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0127】
また、この光ディスクケース40aを製造する場合には、例えば、ブースタアンテナユニット20cの下面(ベース部41側の面)に高透磁率部材47aをあらかじめ固着し、これらをベース部41の内面に固着する。この場合、ブースタアンテナユニット20cと高透磁率部材47aとが一体化された部品を、ケース本体とは別に流通させることもできる。また、高透磁率部材47aをベース部41の内面に固着した後、その上からブースタアンテナユニット20cを固着してもよい。また、高透磁率部材47aを、ベース部41の外面に固着してもよい。
【0128】
一方、高透磁率部材47bは、カバー部42の内面あるいは外面に固着される。また、この高透磁率部材47bについては、カバー部42に固着する代わりに、図21に示したカード部材322に固着した状態で、カバー部42の内面に配設することもできる。この場合、高透磁率部材47bを固着した状態のカード部材322を、ケース本体とは別に流通させることもできる。
【0129】
[実施の形態4−5]
図23は、実施の形態4−5に係る光ディスクケースの構成を示す正面図である。なお、この図23では、図10に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0130】
図23に示す光ディスクケース50cは、実施の形態3−1の光ディスクケース50に対して、ブースタアンテナユニット20dのアンテナコイル21と裏面カバー部51bとの間に、高透磁率部材511を配設したものである。高透磁率部材511は、アンテナコイル21の形成領域より広い円環状のシート材として形成され、アンテナコイル21と裏面カバー部51bとの間において、アンテナコイル21と互いに中心が合う状態でディスク保持部53bの周囲に配設される。
【0131】
この高透磁率部材511により、同構造の光ディスクケース50cを例えば収納棚に同じ方向で並べて収納した場合でも、裏面カバー部51bを介して隣接する光ディスクケース50c内のブースタアンテナユニット20dのアンテナコイル21同士を電気的、電磁的に分離することができる。従って、所望の光ディスクケース50cのケース側面部51cの外側からリーダ/ライタ10を近接させることで、そのケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0132】
この光ディスクケース50cを製造する際には、例えば、ブースタアンテナユニット20dの下面(裏面カバー部51b側の面)に高透磁率部材511をあらかじめ固着し、これらを裏面カバー部51bの内面に固着する。この場合、ブースタアンテナユニット20dと高透磁率部材511とが一体化された部品を、ケース本体とは別に流通させることもできる。また、高透磁率部材511を裏面カバー部51bの内面に固着した後、その上からブースタアンテナユニット20dを固着してもよい。また、高透磁率部材511を、裏面カバー部51bの外面に固着してもよい。
【0133】
[実施の形態4−6]
図24は、実施の形態4−6に係る光ディスクケースの構成を示す背面図である。なお、この図24では、図14に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0134】
図24に示す光ディスクケース50dは、実施の形態3−2の光ディスクケース50aに対して、ブースタアンテナユニット20eのブースタアンテナ20のさらに外面側に、高透磁率部材512を配設したものである。高透磁率部材512は、アンテナコイル21の形成領域より広い円状のシート材として形成され、アンテナコイル21と互いに中心が合う状態で、このアンテナコイル21のさらに外面側に固着される。
【0135】
この高透磁率部材512により、同構造の光ディスクケース50dを例えば収納棚に同じ方向で並べて収納した場合でも、裏面カバー部51bを介して隣接する光ディスクケース50d内のブースタアンテナユニット20eのアンテナコイル21同士を電気的、電磁的に分離することができる。従って、所望の光ディスクケース50dのケース側面部51cの外側からリーダ/ライタ10を近接させることで、そのケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0136】
この光ディスクケース50dを製造する際には、例えば、ブースタアンテナユニット20eの外面側に高透磁率部材512をあらかじめ固着し、これらを裏面カバー部51bの外面に固着する。この場合、ブースタアンテナユニット20eと高透磁率部材512とが一体化された部品を、ケース本体とは別に流通させることもできる。また、ブースタアンテナユニット20eを裏面カバー部51bの外面に固着した後、その上から高透磁率部材512を固着してもよい。
【0137】
なお、ここでは図示しないが、上記の実施の形態4−5,4−6のいずれの場合でも、表面カバー部51aにもシート状の高透磁率部材を配設して、これらの光ディスクケース50cおよび50d内のアンテナコイル21と、表面カバー部51aを介して隣接する光ディスクケースのアンテナコイル21とが、電気的、電磁的に分離されるようにしてもよい。この場合、この高透磁率部材は、アンテナコイル21の形成領域より広い円状などの形状に成型され、表面カバー部51aと裏面カバー部51bの閉塞時に、アンテナコイル21と互いに中心が合うように、表面カバー部51aの内面あるいは外面に固着される。
【0138】
[実施の形態4−7]
図25は、実施の形態4−7に係る光ディスクケースの構成を示す背面図である。また、図26は、実施の形態4−7において、ブースタアンテナユニットが搭載されたカード部材の構成を示す図である。なお、これらの図25および図26では、図15および図17に対応する部位には同じ符号を付して示している。
【0139】
図25に示す光ディスクケース50eは、実施の形態3−3の光ディスクケース50bに対して、ブースタアンテナユニット20fとカード部材56との間に、高透磁率部材513を配設したものである。高透磁率部材513は、アンテナコイル21(図26参照)の形成領域より広い円状のシート材として形成され、カード部材56を表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bと透明シート55との間に挿入したときに、アンテナコイル21と互いに中心が合うように配設される。なお、ここでは、高透磁率部材513を円状に形成しているが、この部材が少なくともアンテナコイル21の形成領域を覆い尽くすような状態となっていれば、円環状などの他の形状とされてもよい。
【0140】
この高透磁率部材513により、この光ディスクケース50eを例えば収納棚に並べて収納した場合でも、隣接する光ディスクケース50e内のブースタアンテナ(特にICチップ側のアンテナコイル)同士を電気的、電磁的に分離することができ、リーダ/ライタ10を用いて所望のICチップと確実に通信できるようになる。
【0141】
高透磁率部材513は、例えば、ブースタアンテナユニット20fに対して接着剤などであらかじめ固着された後、カード部材56に固着される。あるいは、カード部材56に対して高透磁率部材513が固着された後、その上にブースタアンテナユニット20fを固着してもよい。そして、ブースタアンテナユニット20fと高透磁率部材513とが固着されたカード部材56(図26参照)が、光ディスクケース50eのケース本体と透明シート55との間に挿入される。
【0142】
従って、あらかじめブースタアンテナユニット20fと高透磁率部材513とを取り付けたカード部材56を、ケース本体と別の商品として流通させることで、既存のトールケース型の光ディスクケースに対してICチップとの高性能な通信機能を容易に付加することが可能になる。
【0143】
なお、高透磁率部材513を、カード部材56のケース内面側ではなく、ケース外面側に固着してもよい。また、ブースタアンテナユニット20fをケース外面側に配設し、高透磁率部材513をさらにその外面側に配設してもよい。
【0144】
[実施の形態4−8]
図27は、実施の形態4−8に係る光ディスクケースに搭載されるカード部材の構成を示す図である。
【0145】
図27に示すカード部材56では、実施の形態4−7の構成に加えて、カード部材56における表面カバー部51aに当接する領域56aにも、高透磁率部材514が設けられている。高透磁率部材514は、ブースタアンテナユニット20fのアンテナコイル21の形成領域より広い円状のシート材として形成され、カード部材56を表面カバー部51aおよび裏面カバー部51bと透明シート55との間に挿入したときに、アンテナコイル21と互いに中心が合うように配設される。
【0146】
なお、ここでは、高透磁率部材514を円状に形成しているが、この部材が少なくともアンテナコイル21の形成領域を覆い尽くすような状態となっていれば、円環状などの他の形状とされてもよい。また、ここでは高透磁率部材514をカード部材56のケース内側面に固着しているが、この高透磁率部材514をケース外側面に固着してもよい。
【0147】
このように、高透磁率部材513に加えて高透磁率部材514を配設したことにより、同構造のブースタアンテナユニットを備えた光ディスクケースが、例えば収納棚に並列して収納された場合でも、この光ディスクケース50e内のアンテナコイル21を、隣接する光ディスクケース内のアンテナコイル21と電気的、電磁的に分離することができる。従って、光ディスクケースを並列させた状態で、所望の光ディスクケース内のICチップとより確実に通信できるようになる。
【0148】
なお、以上の実施の形態4−1〜4−8において、高透磁率部材311〜313,47a,511〜514のそれぞれは、アンテナコイル21の形成領域の大きさと同じか、あるいはそれより広いことが望ましい。しかしながら、ケース形状に由来する制約やコストに由来する制約などがある場合には、高透磁率部材311〜313,47a,511〜514を、アンテナコイル21の形成領域より狭いものとしてもよい。ただし、ケース閉塞時において、高透磁率部材311〜313,47a,511〜514のそれぞれとアンテナコイル21の形成領域とが、互いに中心が合うように配設されることが望ましい。
【0149】
すなわち、上記の高透磁率部材を配設することで、ある1つのアンテナコイルを通じてICチップと通信する際に、そのアンテナコイルのICチップとは反対側に対して電磁界を完全にシールドできなくても、通信対象ではない隣接する光ディスクケース内のICチップに対して、ある程度電磁界を弱める効果が得られればよい。従って、高透磁率部材の大きさとしては、隣接する光ディスクケースへの電磁界の漏れを弱める効果が得られ、その光ディスクケース内のICチップとの通信が実質的に不可能となる大きさとされていればよい。
【0150】
また、上記の実施の形態4−1〜4−8では、ベース部とカバー部との間、あるいは表面カバー部と裏面カバー部との間には、ケース本体の厚さ分だけの距離が存在する。このため、このような構成の光ディスクケースを収納棚などに並列して配置した場合には、隣接するケース内のICチップ側アンテナコイル同士の間には、例えば2mm〜10mm程度の距離が生じる場合が多くなり、その距離の分だけ、互いのICチップ側アンテナコイルに与える電気的、電磁的影響は少なくなる。
【0151】
従って、この場合には、ICチップ側アンテナコイルからケース外部への電磁界を完全にシールドするだけの厚さを高透磁率部材に持たせる必要はなく、高透磁率部材をより薄くしても、隣接する光ディスクケース内のアンテナコイルと意図せずに通信してしまう、あるいはコリジョン発生により通信不能になるといった事態を防止できる。すなわち、上記の高透磁率部材311〜313,47a,511〜514については、電磁界の漏れを弱める効果が得られ、通信対象ではない隣接する光ディスクケース内のICチップとの通信が実質的に不可能となる厚さを備えていれば、より薄いものを用いることも可能である。
【0152】
例えば、ICチップの通信周波数を13.56MHzとした場合、高透磁率部材の厚さは、既存の光ディスクケースの厚さを変えずに配設したいという観点から、概ね100μm以下とすることが望ましい。しかし、上記構造の光ディスクケースでは、高透磁率部材の厚さを50μm以下としても、隣接するケース内のICチップ側アンテナコイルの間において十分なシールド効果を得ることが可能である。また、高透磁率部材を薄くすることで、材料コストを抑制することもできる。
【0153】
以下、高透磁率部材による電磁界のシールド効果について、補足説明する。まず、図28は、高透磁率部材が配設されていない場合の光ディスクケースにおける電磁界のシールド効果を説明するための図である。なお、図28では、図8に対応する部位には同じ符号を付して示し、それらの説明を省略する。
【0154】
図28に示す光ディスクケース130aは、図8で示した実施の形態1−2の光ディスクケース30aとほぼ同様の構成を有し、ブースタアンテナユニット20bは、ディスクトレイ33のディスク載置面35の裏面に配設されている。なお、図28は、光ディスク1がディスクトレイ33に装着された状態での、光ディスクケース130aの断面図を示している。
【0155】
また、この図28では、光ディスクケース130aの下側に、これと同様の構成を有する光ディスクケース130bが、同じ向きで重ねて配置されている。すなわち、これらは、光ディスクケース130aのベース部31と、光ディスクケース130bのカバー部32とがそれぞれの主面で接触されるように、並列されている。
【0156】
このように光ディスクケース130aと光ディスクケース130bとが並列されている状態で、光ディスクケース130aに対してリーダ/ライタ10を近接させ、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11を、光ディスクケース130a内のアンテナコイル22に対向させた場合、通信時に発生する電磁場は図中の矢印Eのように概略的に表すことができる。また、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11と、光ディスクケース130a内のアンテナコイル22との間で発生した電磁場に対応して、このアンテナコイル22とともにブースタアンテナ20bを構成している他方のアンテナコイル21においても電磁場が発生し、この電磁場は図中の矢印F1のように概略的に表すことができる。
【0157】
このような通信時に、図28のように、光ディスクケース130aにおけるアンテナコイル21の外側に高透磁率部材が配設されていない場合、このアンテナコイル21に生じる電磁場(矢印F1に対応)は、対応するケース内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)に作用するだけでなく、隣接する光ディスクケース130b内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)に作用する可能性がある。そして、双方の光ディスク1上のICチップにともに作用した場合、上述したように、通信が不安定になる現象、通信ができなくなる現象、目標とするものの隣りのケース内の記憶情報が読み取られてしまう現象などが生じ得る。
【0158】
図29は、シールド効果が高い高透磁率部材が配設された場合の電磁界のシールド効果を説明するための図である。なお、図29では、図28に対応する部位には同じ符号を付して示し、それらの説明を省略する。
【0159】
この図29に示した光ディスクケース130cおよび130dは、図20に示した実施の形態4−2の光ディスクケース30cとほぼ同様の構成を有する。すなわち、図28に示した光ディスクケース130aおよび130bのそれぞれにおいて、ブースタアンテナユニット20bのICチップ側のアンテナコイル21と、ベース部31との間に、シート状の高透磁率部材312aを配設したものである。
【0160】
この図29では、隣接する他の光ディスクケースに対する電磁界のシールド効果が高い高透磁率部材321aが配設されているものとする。そして、このような高透磁率部材321aを備えた光ディスクケース130cと光ディスクケース130dとが並列されている状態で、光ディスクケース130cに対してリーダ/ライタ10を近接させ、リーダ/ライタ10のアンテナコイル11を、光ディスクケース130c内のアンテナコイル22に対向させて、通信を実行させる。このとき、光ディスクケース130c内のアンテナコイル22で発生した電磁場に対応して、これに接続された他方のアンテナコイル21においても電磁場が発生し、この電磁場は図中の矢印F2のように概略的に表すことができる。
【0161】
この場合、アンテナコイル21に生じる電磁場(矢印F2に対応)は、これに近接する高透磁率部材312aのシールド効果により、光ディスクケース130c内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)に作用するだけであり、隣接する光ディスクケース130d内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)には作用しない。従って、上述したように、隣接する光ディスクケース130d内のアンテナコイル6aと意図せずに通信してしまう、あるいはコリジョン発生により通信不能になるといった事態を防止できる。
【0162】
一方、図30は、シールド効果が低い高透磁率部材が配設された場合の電磁界のシールド効果を説明するための図である。なお、図30では、図29に対応する部位には同じ符号を付して示し、それらの説明を省略する。
【0163】
図30に示す光ディスクケース130eおよび130fは、ともに図29に示したものと同様の基本構成を有するが、高透磁率部材321bのシールド効果が、図29の高透磁率部材321aと比較して低い点が異なる。例えば、高透磁率部材321bの方が薄く形成されている、あるいは、小さな面積で形成されているといった場合が想定される。
【0164】
このような光ディスクケース130eと光ディスクケース130fとが重ねられた状態で、リーダ/ライタを光ディスクケース130eのアンテナコイル22に近接させて通信を試みた場合、このアンテナコイル22で発生した電磁場に対応して、これに接続された他方のアンテナコイル21においても電磁場が発生し、この電磁場は図中の矢印F3のように概略的に表すことができる。
【0165】
このとき、アンテナコイル21に生じる電磁場(矢印F3に対応)は、これに近接する高透磁率部材312bのシールド効果により、光ディスクケース130a内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)に作用するだけでなく、この電磁場は、隣接する光ディスクケース130f内の光ディスク1のアンテナコイル6aおよびICチップ(図示せず)の側にも漏洩している。
【0166】
しかしながら、双方の光ディスク1の位置の間で電磁界の強度比が大きく、光ディスクケース130f側に漏洩する電磁界が、この中のICチップが動作しないレベルとなっていれば、上述したように、隣接する光ディスクケース130f内のアンテナコイル6aと意図せずに通信してしまう、あるいはコリジョン発生により通信不能になるといった事態を防止できる。
【0167】
また、漏洩した電磁界によりたとえ光ディスクケース130f内のICチップが動作したとしても、光ディスクケース130eと光ディスクケース130fとの間で、リーダ/ライタ10への応答信号のレベルに大きな差が与えられていれば、結果的に、リーダ/ライタ10と、光ディスクケース130f内のICチップとの通信は実行不能になる。従ってこの場合でも、上記と同様に、隣接する光ディスクケース130f内のアンテナコイル6aと意図せずに通信してしまう、あるいはコリジョン発生により通信不能になるといった事態を防止できる。
【0168】
以上のように、高透磁率部材の厚さまたは大きさ、あるいはそれらの両方を適宜調整することで、得られる電磁界のシールド効果を調整することができるので、通信対象ではない隣接する光ディスクケース内のICチップに対して実質的に通信できなくなるように、上記の各設計値を適宜選択することが可能である。
【0169】
以上説明した各実施の形態によれば、すでに広く普及している各種光ディスクケースの構造を大きく変えることなく、その光ディスクケースにブースタアンテナを簡易な工程で搭載させることが可能となり、これによって、光ディスクケースの側面(ケース主面に対して垂直な面)からリーダ/ライタを近接させて光ディスク上のICチップと通信することができるようになる。
【0170】
このため、光ディスクケースの製造に必要な金型や、製造工程、製造設備などの大幅な変更が必要とならないので、従来と比較して製造コストを大きく上昇させることなく、上述したような付加機能を備えた光ディスクケースを製造することができる。
【0171】
また、実施の形態4−1〜4−8で示したように、ケース外面側の部材に高透磁率シート部材をさらに設けることで、光ディスクケースを収納棚などに並列して収納した場合でも、所望の光ディスクケース内のICチップと確実に、かつ安定的に通信できるようになり、このような効果を、既存の光ディスクケースの構造を大きく変えることなく、容易に得ることができる。
【0172】
また、ユーザの観点では、上述した付加機能が備えられたにもかかわらず、光ディスクケースの持ち運びや開閉操作、光ディスクの着脱操作に関しては従来と何ら変わることがないというメリットがある。さらに、光ディスクケースの形状や大きさについても特に変更されないので、すでに光ディスクケースが収納されている収納棚に、付加機能が備えられた光ディスクケースを問題なく収納することができ、収納棚を買い換えるといった不都合が生じない。
【0173】
また、光ディスク(または光ディスクに収録したコンテンツ)の販売店などに設けられた収納棚や、光ディスクケース(またはこのケースに収容された状態の光ディスク)を輸送するためのケース(段ボール箱などの梱包材を含む輸送用コンテナなど)についても、従来のものをそのまま使用できる。従って、流通過程でのコストをまったく上昇させることなく、ICチップを用いた商品管理など、上記の付加機能によるメリットを流通側も享受できる。
【0174】
なお、上記の各実施の形態では、ブースタアンテナの備える非接触型ICチップ側、リーダ/ライタ側の各アンテナをコイル状(スパイラル状)としたが、これらのアンテナはこのような形状に限定されるものではなく、非接触型ICチップの通信仕様(通信周波数、通信に必要な電波・電磁波の強度、アンテナによる電波・電磁波の放射パターンなど)に応じて適宜選択されればよい。例えば、ブースタアンテナの非接触型ICチップ側のアンテナは、光ディスクケースのディスク保持部を中心としてその周囲に近接して配設されればよい。そして、そのアンテナとしてダイポール型アンテナを用いた場合には、例えば単純な直線状ではなく、折り曲げた形状や曲線状として、ディスク保持部の周囲に近接して配置されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】非接触型ICチップが搭載された光ディスクの構成例を示す平面図である。
【図2】非接触で通信する際のICチップ側およびリーダ/ライタ側のアンテナ配置について説明するための図である。
【図3】ブースタアンテナを介したICチップとリーダ/ライタとの通信に必要な回路の構成を概略的に示す図である。
【図4】実施の形態1−1に係る光ディスクケースの外形を示す図である。
【図5】実施の形態1−1に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
【図6】ブースタアンテナユニットの構成を示す図である。
【図7】光ディスクケースを構成するディスクトレイおよびブースタアンテナユニットの分解斜視図である。
【図8】実施の形態1−2に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
【図9】実施の形態2に係る光ディスクケースの構成を示す斜視図である。
【図10】実施の形態3−1に係る光ディスクケースの構成を示す図(正面図)である。
【図11】実施の形態3−1に係る光ディスクケースの構成を示す図(A−A矢視による断面図)である。
【図12】実施の形態3−1に係る光ディスクケースの構成を示す図(B−B矢視による断面図)である。
【図13】実施の形態3−1に係る光ディスクケースの構成を示す図(背面図)である。
【図14】実施の形態3−2に係る光ディスクケースの構成を示す図である。
【図15】実施の形態3−3に係る光ディスクケースの構成を示す図(背面図)である。
【図16】実施の形態3−3に係る光ディスクケースの構成を示す図(C−C矢視による断面図)である。
【図17】ブースタアンテナユニットが搭載されたカード部材の構成を示す図である。
【図18】実施の形態4−1に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
【図19】実施の形態4−1における、ディスクトレイに対するブースタアンテナユニットおよび高透磁率部材の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図20】実施の形態4−2に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
【図21】実施の形態4−3に係る光ディスクケースの分解斜視図である。
【図22】実施の形態4−4に係る光ディスクケースの構成を示す斜視図である。
【図23】実施の形態4−5に係る光ディスクケースの構成を示す正面図である。
【図24】実施の形態4−6に係る光ディスクケースの構成を示す背面図である。
【図25】実施の形態4−7に係る光ディスクケースの構成を示す背面図である。
【図26】実施の形態4−7において、ブースタアンテナユニットが搭載されたカード部材の構成を示す図である。
【図27】実施の形態4−8に係る光ディスクケースに搭載されるカード部材の構成を示す図である。
【図28】高透磁率部材が配設されていない場合の光ディスクケースにおける電磁界のシールド効果を説明するための図である。
【図29】シールド効果が高い高透磁率部材が配設された場合の電磁界のシールド効果を説明するための図である。
【図30】シールド効果が低い高透磁率部材が配設された場合の電磁界のシールド効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0176】
1……光ディスク、2,26……中心孔、3……信号記録領域、4……チャッキング領域、5……ICチップ、6,11,21,22……アンテナコイル、7,13,23……同調回路、10……リーダ/ライタ、12……主回路、20……ブースタアンテナ、24……接続配線、25……フレキシブル基板、27a〜27c……折り曲げ部、30……光ディスクケース、31……ベース部、32……カバー部、33……ディスクトレイ、34……連結部、35……ディスク載置面、36……ディスク保持部、37……凸部、38……側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクが収納される光ディスクケースにおいて、
表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成され、
前記裏面カバー部の主面の内側に、前記光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持するための凸状保持部が設けられ、
さらに、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを備え、
前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記ブースタアンテナが配設されたことを特徴とする光ディスクケース。
【請求項2】
前記ブースタアンテナは、前記表面カバー部と前記裏面カバー部とが閉塞されたときのケース内部に配設され、
前記第1のアンテナは、前記裏面カバー部の主面の内側に、前記凸状保持部を囲むように固着されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項3】
前記第1のアンテナと前記裏面カバー部の主面との間に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項2記載の光ディスクケース。
【請求項4】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項3記載の光ディスクケース。
【請求項5】
前記裏面カバー部における前記第1のアンテナの裏面に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項2記載の光ディスクケース。
【請求項6】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項5記載の光ディスクケース。
【請求項7】
前記表面カバー部の主面のいずれか一方に、シート状の高透磁率部材が、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように配設されたことを特徴とする請求項2記載の光ディスクケース。
【請求項8】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項7記載の光ディスクケース。
【請求項9】
前記ブースタアンテナは、前記第1のアンテナが前記裏面カバー部の主面の外側に配置されるように、前記表面カバー部と前記裏面カバー部とが閉塞されたときのケース外面に固着されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項10】
前記第1のアンテナのさらに外側に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項9記載の光ディスクケース。
【請求項11】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項10記載の光ディスクケース。
【請求項12】
前記表面カバー部の主面のいずれか一方に、シート状の高透磁率部材が、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように配設されたことを特徴とする請求項9記載の光ディスクケース。
【請求項13】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項12記載の光ディスクケース。
【請求項14】
前記第2のアンテナが、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の回転中心側の側面に対して当接または近接するように、前記ブースタアンテナが配設されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項15】
前記ブースタアンテナは、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナがフレキシブル基板上に一体に形成されたブースタアンテナユニットとして構成されることを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項16】
前記第1のアンテナと前記第2のアンテナは、スパイラル状またはループ状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項17】
一方の面が前記光ディスクが載置されるディスク載置面とされ、前記ディスク載置面の中心部に前記凸状保持部が設けられたディスクトレイ部材を備え、
前記ディスクトレイ部材が前記裏面カバー部の内側に嵌着され、前記裏面カバー部に対して、別部材として構成された前記表面カバー部が回転可能な状態で連結された構成を有し、
前記ブースタアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部とが閉塞されたときのケース内部に配設されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項18】
前記ブースタアンテナは、前記第1のアンテナが前記凸状保持部を囲むように前記ディスク載置面に固着された状態で配設されたことを特徴とする請求項17記載の光ディスクケース。
【請求項19】
前記第1のアンテナと前記ディスクトレイ部材との間に、シート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項18記載の光ディスクケース。
【請求項20】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項19記載の光ディスクケース。
【請求項21】
前記ディスクトレイ部材における前記第1のアンテナの裏面に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項18記載の光ディスクケース。
【請求項22】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項21記載の光ディスクケース。
【請求項23】
前記ブースタアンテナは、前記ディスクトレイ部材と前記裏面カバー部との間に載置されたことを特徴とする請求項17記載の光ディスクケース。
【請求項24】
前記ブースタアンテナは、前記ディスクトレイ部材の前記ディスク載置面の反対面に固着されたことを特徴とする請求項23記載の光ディスクケース。
【請求項25】
前記第1のアンテナと前記裏面カバー部との間に、シート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項23記載の光ディスクケース。
【請求項26】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項25記載の光ディスクケース。
【請求項27】
前記ディスクトレイ部と前記裏面カバー部との間にパッケージ表示用のカード部材が挿入され、
前記カード部材のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材が前記第1のアンテナと対向するように固着されたことを特徴とする請求項17記載の光ディスクケース。
【請求項28】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項27記載の光ディスクケース。
【請求項29】
前記第1のアンテナと前記裏面カバー部との間に前記高透磁率部材が位置するように、前記ブースタアンテナが前記カード部材のいずれか一方の面に固着されたことを特徴とする請求項27記載の光ディスクケース。
【請求項30】
前記表面カバー部の主面の内側にパッケージ表示用のカード部材が保持され、
前記カード部材のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材が、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着されたことを特徴とする請求項17記載の光ディスクケース。
【請求項31】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項30記載の光ディスクケース。
【請求項32】
前記裏面カバー部の主面の内側に前記凸状保持部が一体に形成され、別部材として構成された前記表面カバー部が、前記裏面カバー部に対して回転可能な状態で連結された構成を有することを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項33】
前記表面カバー部の主面の内側にパッケージ表示用のカード部材が保持され、
前記カード部材のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材が、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着されたことを特徴とする請求項32記載の光ディスクケース。
【請求項34】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項33記載の光ディスクケース。
【請求項35】
前記裏面カバー部の主面の内側に前記凸状保持部が一体に形成され、前記表面カバー部と前記裏面カバー部とが、閉塞時に1つの側面を構成する側面部の両端においてそれぞれ折り曲げ可能な状態で接続された構成を有し、前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部が一体に形成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスクケース。
【請求項36】
前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部の外面を覆うように四角形状の透明フィルムが配設され、
前記透明フィルムと前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部との間にパッケージ表示用のカード部材が挿入され、
前記第1のアンテナが前記裏面カバー部の外面に配置され、前記第2のアンテナが前記側面部の外面に配置されるように、前記カード部材に前記ブースタアンテナが設けられたことを特徴とする請求項35記載の光ディスクケース。
【請求項37】
前記第1のアンテナより外面側に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が配置されるように、前記カード部材と前記ブースタアンテナと前記高透磁率部材とが一体に設けられたことを特徴とする請求項36記載の光ディスクケース。
【請求項38】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項37記載の光ディスクケース。
【請求項39】
前記カード部材における前記表面カバー部に当接する領域のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材が、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着されたことを特徴とする請求項36記載の光ディスクケース。
【請求項40】
前記高透磁率部材は、前記第1のアンテナの形成領域より広く形成されたことを特徴とする請求項39記載の光ディスクケース。
【請求項41】
光ディスクを保持する機能を備え、また、表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて構成されるケース筐体の内部に、前記光ディスクの保持面を前記ケース筐体の内側に向けて前記裏面カバー部に嵌着されて配設されることで、前記光ディスクが収納される光ディスクケースを構成する光ディスクトレイにおいて、
一方の面に設けられて、前記光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持する凸状保持部と、
略平板状に形成され、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナと、
を有し、
前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致するように、前記光ディスクの保持面またはその裏面に配置されて固着され、前記第2のアンテナが、前記光ディスクトレイの端部から突出するように、前記ブースタアンテナが配設されたことを特徴とする光ディスクトレイ。
【請求項42】
前記第1のアンテナは、前記光ディスクの保持面に、前記凸状保持部を囲むように固着されたことを特徴とする請求項41記載の光ディスクトレイ。
【請求項43】
前記第1のアンテナと前記光ディスクトレイとの間に、シート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項42記載の光ディスクトレイ。
【請求項44】
前記光ディスクトレイにおける前記第1のアンテナの裏面に、当該第1のアンテナの形成領域と対応する位置にシート状の高透磁率部材が固着されたことを特徴とする請求項42記載の光ディスクトレイ。
【請求項45】
前記光ディスクの保持面の裏面に前記ブースタアンテナが配設され、シート状の高透磁率部材が、前記第1のアンテナを挟んで前記光ディスクの保持面の裏面に配設されたことを特徴とする請求項41記載の光ディスクトレイ。
【請求項46】
前記第2のアンテナの外形が前記第1のアンテナの外形と垂直になるように、前記光ディスクトレイの端面において前記ブースタアンテナが折り曲げられていることを特徴とする請求項41記載の光ディスクトレイ。
【請求項47】
表面カバー部と裏面カバー部とが、閉塞時に1つの側面を構成する側面部の両端においてそれぞれ折り曲げ可能な状態で接続されて、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースに対して、前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部の外面を覆うように搭載可能なカード部材において、
第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを有し、
前記第1のアンテナが前記裏面カバー部に対応する領域に配置され、前記第2のアンテナが前記側面部に対応する領域に配置されるように、前記ブースタアンテナが配設され、かつ、前記ブースタアンテナは、前記裏面カバー部と前記側面部との境界に対応する部分で折り曲げ可能であることを特徴とするカード部材。
【請求項48】
シート状の高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記カード部材との間に配設されるように、前記ブースタアンテナが前記カード部材の前記裏面カバー部側の面に固着されたことを特徴とする請求項47記載のカード部材。
【請求項49】
前記カード部材における前記表面カバー部に当接する領域のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材が、前記カード部材を前記光ディスクケースに搭載して前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着されたことを特徴とする請求項47記載のカード部材。
【請求項50】
それぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続された表面カバー部および裏面カバー部と、前記裏面カバー部に嵌着され、一方の面に設けられた凸状保持部を光ディスクに形成された中央孔に嵌合させることによって前記光ディスクを保持するディスクトレイ部材とを備え、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が前記ディスクトレイ部材を挟んで対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースにおいて、前記ディスクトレイ部材と前記裏面カバー部との間に収容されるカード部材であって、
第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを有し、
前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記ディスクトレイ部材側または前記裏面カバー部側のいずれか一方の面に前記ブースタアンテナが固着されたことを特徴とするカード部材。
【請求項51】
前記ブースタアンテナが前記ディスクトレイ部材側の面に配設され、前記第1のアンテナと前記カード部材との間に、シート状の高透磁率部材が配設されたことを特徴とする請求項50記載のカード部材。
【請求項52】
それぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続された表面カバー部および裏面カバー部と、前記裏面カバー部に嵌着され、一方の面に設けられた凸状保持部を光ディスクに形成された中央孔に嵌合させることによって前記光ディスクを保持するディスクトレイ部材とを備え、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が前記ディスクトレイ部材を挟んで対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースの製造方法において、
略平板状に形成されて、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを、前記ディスクトレイ部材に取り付けるブースタアンテナ取り付け工程を含み、
前記ブースタアンテナ取り付け工程は、
前記第1のアンテナを、その中央部が前記凸状保持部の中心に一致するように、前記ディスクトレイ部材の前記光ディスクの保持面またはその裏面に配置して固着し、前記第2のアンテナが前記光ディスクトレイの端部から突出した状態とする固着工程と、
前記第2のアンテナが前記第1のアンテナに対して垂直になるように前記ブースタアンテナを折り曲げて、前記ディスクトレイ部材が前記裏面カバー部の内側に嵌着されたときに、前記第2のアンテナが、前記裏面カバー部の1つの内側面に対して平行な状態で当接または近接するようにする折り曲げ工程と、
を含むことを特徴とする光ディスクケースの製造方法。
【請求項53】
前記折り曲げ工程は、前記ブースタアンテナが取り付けられた前記ディスクトレイ部材を前記裏面カバー部の内側に押圧して嵌着する際に、前記第2のアンテナが前記裏面カバー部の1つの内側面に沿って折り曲げられることで行われることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項54】
前記ブースタアンテナは、前記ブースタアンテナ取り付け工程の前に、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナがフレキシブル基板上に一体に形成されたブースタアンテナユニットとしてあらかじめ製造されることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項55】
前記ブースタアンテナ取り付け工程の前に、中央孔を有するシート状の高透磁率部材を、前記第1のアンテナの一方の面に互いの中心を合わせて固着する工程を含み、
前記固着工程では、前記第1のアンテナと前記ディスクトレイ部材との間に前記高透磁率部材が配設されるように、前記ブースタアンテナが前記光ディスクの保持面に固着されることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項56】
前記ブースタアンテナ取り付け工程の前に、シート状の高透磁率部材を、前記第1のアンテナの一方の面と互いの中心を合わせて固着する工程を含み、
前記固着工程では、前記高透磁率部材と前記ディスクトレイ部材との間に前記第1のアンテナが配設されるように、前記ブースタアンテナが前記光ディスクの保持面の裏面に固着されることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項57】
前記ブースタアンテナ取り付け工程の前に、中央孔を有するシート状の高透磁率部材を、前記光ディスクの保持面における前記凸状保持部の周囲に固着する工程を含み、
前記固着工程では、前記ブースタアンテナが前記光ディスクの保持面に固着されることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項58】
シート状の高透磁率部材を、前記光ディスクの保持面の反対面に、前記凸状保持部と互いに中心が合うように固着する工程を含み、
前記固着工程では、前記ブースタアンテナが前記光ディスクの保持面に固着されることを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項59】
前記表面カバー部の主面のいずれか一方に、シート状の高透磁率部材を、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着する工程をさらに含むことを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項60】
シート状の高透磁率部材が一方の面に固着されたカード部材を、前記表面カバー部の主面の内側に、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと対向するように配設する工程をさらに含むことを特徴とする請求項52記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項61】
それぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続された表面カバー部および裏面カバー部と、前記裏面カバー部に嵌着され、一方の面に設けられた凸状保持部を光ディスクに形成された中央孔に嵌合させることによって前記光ディスクを保持するディスクトレイ部材とを備え、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が前記ディスクトレイ部材を挟んで対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成された光ディスクケースの製造方法において、
略平板状に形成されて、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを、カード部材の一方の面に固着する工程と、
前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記カード部材を前記ディスクトレイ部材と前記裏面カバー部との間に配設する工程と、
を含むことを特徴とする光ディスクケースの製造方法。
【請求項62】
前記ブースタアンテナを前記カード部材に固着する前に、シート状の高透磁率部材を前記第1のアンテナの一方の面に互いに中心を合わせて固着する工程を含み、
前記ブースタアンテナは、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記カード部材との間に配設されるように、前記カード部材の前記ディスクトレイ部材側に対応する面に固着されることを特徴とする請求項61記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項63】
前記ブースタアンテナを前記カード部材に固着する工程では、シート状の高透磁率部材を前記カード部材の前記ディスクトレイ部材側に対応する面に固着した後、前記第1のアンテナを前記高透磁率部材を挟んだ状態で前記カード部材に固着することを特徴とする請求項61記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項64】
表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて、前記表面カバー部および前記裏面カバー部の各主面が対向するように閉塞された時に箱形の外形をなすように構成され、前記裏面カバー部の主面の内側に、光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持するための凸状保持部が設けられた光ディスクケースの製造方法において、
略平板状に形成されて、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを、前記第1のアンテナが、その中央部が前記凸状保持部の中心と一致し、かつ、その外形が前記裏面カバー部の主面と平行な状態となるように配置され、前記第2のアンテナが、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときの1つの側面に対して、その外形が平行な状態で当接または近接するように、前記裏面カバー部に対して取り付ける工程を含むことを特徴とする光ディスクケースの製造方法。
【請求項65】
前記第1のアンテナが前記凸状保持部を囲むように、前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部の内側に配置して固着することを特徴とする請求項64記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項66】
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部の内側に押圧して固着することで、前記ブースタアンテナの前記第2のアンテナの形成部を、前記裏面カバー部の1つの内側面に沿って折り曲げるようにしたことを特徴とする請求項65記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項67】
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に取り付ける前に、中央孔を有するシート状の高透磁率部材を、前記第1のアンテナの一方の面に互いに中心を合わせて固着する工程を含み、
前記ブースタアンテナは、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記裏面カバー部との間に配設されるように、前記裏面カバー部に固着されることを特徴とする請求項65記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項68】
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に取り付ける前に、中央孔を有するシート状の高透磁率部材を、前記裏面カバー部の前記凸状保持部の周囲に固着する工程を含み、
前記ブースタアンテナは、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記裏面カバー部との間に配設されるように、前記裏面カバー部に固着されることを特徴とする請求項65記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項69】
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に取り付ける前に、シート状の高透磁率部材を前記第1のアンテナの一方の面に互いに中心を合わせて固着する工程を含み、
前記ブースタアンテナは、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記裏面カバー部との間に配設されるように、前記裏面カバー部の外面に固着されることを特徴とする請求項64記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項70】
前記ブースタアンテナは、前記裏面カバー部の外面に固着され、
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に固着した後、シート状の高透磁率部材を、当該第1のアンテナを挟んで前記裏面カバー部の外面に固着することを特徴とする請求項64記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項71】
前記表面カバー部の主面のいずれか一方に、シート状の高透磁率部材を、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記第1のアンテナと対向するように固着する工程をさらに含むことを特徴とする請求項64記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項72】
シート状の高透磁率部材が一方の面に固着されたカード部材を、前記表面カバー部の主面の内側に、前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと対向するように配設する工程をさらに含むことを特徴とする請求項64記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項73】
表面カバー部と裏面カバー部とが、閉塞時に1つの側面を構成する側面部の両端においてそれぞれ折り曲げ可能な状態で接続されたケース筐体を射出成型により一体に形成する工程と、
前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部の外面を覆うように四角形状の透明フィルムを配設する工程と、
前記透明フィルムと前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部との間に挿入可能なパッケージ表示用のカード部材に、ブースタアンテナを取り付ける工程と、
をさらに含み、
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に取り付ける工程では、第1のアンテナが前記裏面カバー部の外面に配置され、第2のアンテナが前記側面部の外面に配置されるように、前記ブースタアンテナが取り付けられた前記カード部材を、前記透明フィルムと前記表面カバー部、前記裏面カバー部、および前記側面部との間に挿入することを特徴とする光ディスクケースの製造方法。
【請求項74】
前記カード部材に前記ブースタアンテナを取り付ける工程では、シート状の高透磁率部材を前記第1のアンテナの一方の面に互いに中心を合わせて固着した後、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記カード部材の前記裏面カバー部側に対応する面との間に配設されるように、前記カード部材に前記ブースタアンテナが固着されることを特徴とする請求項73記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項75】
前記カード部材に前記ブースタアンテナを取り付ける工程では、シート状の高透磁率部材を前記カード部材の前記裏面カバー部側に対応する面に固着した後、前記高透磁率部材が前記第1のアンテナと前記カード部材との間に挟まれた状態になるように、前記カード部材に前記ブースタアンテナが固着されることを特徴とする請求項73記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項76】
前記ブースタアンテナを前記裏面カバー部に取り付ける工程の前に、前記カード部材における前記表面カバー部に当接する領域のいずれか一方の面に、シート状の高透磁率部材を、前記カード部材を前記光ディスクケースに搭載して前記表面カバー部と前記裏面カバー部を閉塞したときに、当該第1のアンテナと対向するように固着する工程を含むことを特徴とする請求項73記載の光ディスクケースの製造方法。
【請求項77】
光ディスクに形成された中央孔に嵌合して前記光ディスクを保持するための凸状保持部を備え、また、表面カバー部と裏面カバー部とがそれぞれの主面の端部側を中心として回転可能な状態で接続されて構成されるケース筐体の内部に、前記光ディスクの保持面を前記ケース筐体の内側に向けて前記裏面カバー部に嵌着されて配設されることで、前記光ディスクが収納される光ディスクケースを構成する光ディスクトレイの製造方法において、
略平板状に形成されて、第1のアンテナと第2のアンテナとが接続されてそれぞれが送受信する信号を中継するブースタアンテナを前記光ディスクトレイに取り付ける工程であって、前記第1のアンテナを、その中央部が前記凸状保持部の中心に一致するように、前記光ディスクトレイの前記光ディスクの保持面またはその裏面に配置して固着し、前記第2のアンテナが前記光ディスクトレイの端部から突出した状態とする工程を含むことを特徴とする光ディスクトレイの製造方法。
【請求項78】
中央孔を有するシート状の高透磁率部材を前記第1のアンテナの一方の面に互いの中心を合わせて固着した後、前記第1のアンテナと前記ディスクトレイ部材との間に前記高透磁率部材が配設されるように、前記ブースタアンテナを前記光ディスクの保持面に固着することを特徴とする請求項77記載の光ディスクトレイの製造方法。
【請求項79】
シート状の高透磁率部材を前記第1のアンテナの一方の面に互いに中心を合わせて固着した後、前記高透磁率部材と前記ディスクトレイ部材との間に前記第1のアンテナが配設されるように、前記ブースタアンテナを前記光ディスクの保持面の裏面に固着することを特徴とする請求項77記載の光ディスクトレイの製造方法。
【請求項80】
中央孔を有するシート状の高透磁率部材を前記光ディスクの保持面における前記凸状保持部の周囲に固着した後、前記ブースタアンテナを前記光ディスクの保持面に固着することを特徴とする請求項77記載の光ディスクトレイの製造方法。
【請求項81】
シート状の高透磁率部材を、前記光ディスクの保持面の反対面に前記凸状保持部と互いに中心が合うように固着する工程を含み、
前記ブースタアンテナは、前記光ディスクの保持面に固着されることを特徴とする請求項77記載の光ディスクトレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−207875(P2008−207875A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212424(P2007−212424)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】