説明

光ディスク再生装置

【課題】光ディスク再生装置に係わり、光ディスクの記録密度以外の要因により再生信号特性が変化する場合にも、拘束長の異なるPRMLにより対応でき、読み取りの精度を向上できる技術を提供する。
【解決手段】本光ディスク再生装置において、第1の拘束長(例:4)のPRML回路(106)と第2の拘束長(例:5)のPRML回路(107)とを有し、それら各回路における等化学習の演算中に得られる等化誤差値を、判定回路117で比較し、それが小さくなる方のPRML回路の出力を選択するように、スイッチ116を切り替え制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクからデータ信号を読み取り再生する光ディスク再生装置に関し、特に、パーシャルレスポンス(PR)等化及び最尤復号の処理方式(PRML:Partial Response Maximum Likelihood)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ディスク再生装置及びPRML処理に係わり、特開2006−48737号公報(特許文献1)には、光ディスクの記録密度の高/低の領域に応じてPRML処理機能を切り替えることについて記載されている(段落0006,0007等)。
【0003】
また、特開2004−178627号公報(特許文献2)には、入力値と生成情報ビットによりパス毎の基準値(基準レベル)を基準値生成回路で生成してブランチメトリック演算回路の基準値として入力するようにしたビタビ復号回路及び情報再生装置について記載されている(段落0023等)。また、ブランチメトリック演算のための基準レベルを適応処理することにより、チャネル特性の変動に追随することが可能となる、と記載されている(段落0023)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−48737号公報
【特許文献2】特開2004−178627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の技術では、記録密度の異なる領域において夫々に適したPRMLのクラスを使用することは可能である。しかし、同じ種類のディスクで同じ記録密度の領域において、記録密度変化以外の要因によって再生信号の符号間干渉量などの特性が変化した場合については、対応することができない。
【0006】
また、前記特許文献2記載の技術では、PR(a,b,c,d)で表されるような拘束長(以下kとする)が4(一定)のPR特性(PRML処理)へは適応的に特性を変化させることができる。しかし、PR(a,b,c)(k=3)やPR(a,b,c,d,e)(k=5)といった別の拘束長のPR特性へ適応的に切り替えることはできない。
【0007】
ディスクの高記録密度化に伴い、従来のような一定の拘束長(例:k=4)のPRML処理では、データ再生時の信号の読み取りの精度に関して、望ましい効果が得られるとは限らない問題がある。第1の問題として、従来は、PRML処理機能の切り替えの方法が固定されているので、最適なPRMLのクラス(PR係数)を選択できるとは限らなかった。第2の問題として、従来は、PRMLの拘束長(k)が固定であったので、ある程度の幅の再生信号特性には対応できるが、狭帯域に対応する拘束長のPRMLに固定してしまうと、広帯域の信号に対しては誤りが発生しやすくなる。
【0008】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、PRML処理を行う光ディスク再生装置に係わり、記録密度以外の要因でも変化する再生信号特性に対して適切なPRML処理により対応でき、また、異なる拘束長(k)のPR特性で対応でき、データ再生時の信号の読み取りの精度(性能)を向上できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記目的を達成するために、本発明は、光ディスク再生装置の技術であって、以下の構成を特徴とする。
【0010】
本光ディスク再生装置では、データ再生時のPRML処理に際し、前提技術として前記特許文献2の技術のように適応的にPR特性のPR係数(PRのクラスの係数)を変化させるだけでなく、特徴として、再生信号特性に応じて適応的に、拘束長(k)の異なる複数のPRML処理を選択(切り替え)するように制御するものである。また、本装置では、記録密度以外に再生信号の周波数特性などを測定・検出等して条件判定することにより、常に最適な拘束長(k)のPRML処理回路を選択するようにする。
【0011】
本光ディスク再生装置は、例えば以下の構成である。本装置は、光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路(A/Dコンバータ)と、拘束長m(m:自然数)のPRML方式の第1のPRML処理回路と、拘束長n(n≧m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、前記第1または第2のPRML処理回路の出力を選択して出力するスイッチと、前記スイッチの出力をデコード処理して再生データ信号を出力するデコーダと、前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を備える。
【0012】
前記第1のPRML処理回路は、前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と第1の最尤復号回路の出力とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、前記第1の等化信号と前記第1の目標信号と前記多値信号とから前記第1の等化回路のパラメータ(フィルタ係数)を決定する第1の適応学習回路と、前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路とを有する。同様に、前記第2のPRML処理回路は、前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と第2の最尤復号回路の出力とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、前記第2の等化信号と前記第2の目標信号と前記多値信号とから前記第2の等化回路のパラメータ(フィルタ係数)を決定する第2の適応学習回路と、前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路とを有する。
【0013】
そして、前記判定回路では、前記第1の適応学習回路で演算される、前記第1の等化信号と前記第1の目標信号との差分である第1の等化誤差値と、前記第2の適応学習回路で演算される、前記第2の等化信号と前記第2の目標信号との差分である第2の等化誤差値と、を比較し条件判定した結果に基づいて、前記拘束長mまたはnのPRML方式の、前記第1または第2の最尤復号回路の出力(第1または第2の二値化信号)から適切な方(再生信号特性とPR特性が近くなる方)を選択するように、前記スイッチを切り替え制御する。
【0014】
また特に、前記判定回路は、前記第2の等化誤差値(C2)が前記第1の等化誤差値(C1)を下回る(C2<C1)期間が一定時間以上続く期間のみに、前記第2の最尤復号回路の出力(第2の二値化信号)を選択するように制御する。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明によれば、PRML処理を行う光ディスク再生装置に係わり、記録密度以外の要因でも変化する再生信号特性に対して適切なPRML処理により対応でき、また、異なる拘束長(k)のPR特性で対応でき、データ再生時の信号の読み取りの精度(性能)を向上できる。
【0016】
特に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することで、精度向上が可能となる。また、光ディスクの線記録密度、再生倍速、光ディスク再生装置の電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより再生信号波形の符号間干渉量などの特性が状況によって異なる場合に、適切な拘束長(k)のPRML処理回路を選択することで、精度向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の各実施の形態に係わる、光ディスクの再生信号特性とパーシャルレスポンス特性の関係を示す図である。
【図3】(a),(b)は、本発明の各実施の形態の光ディスク再生装置において、パーシャルレスポンスの拘束長と存在する状態数の関係及び基準レベルの例を示す図である。
【図4】(a),(b)は、本発明の各実施の形態の光ディスク再生装置において、パーシャルレスポンスにおける等化目標と等化出力及びそれらから求められる等化誤差の例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態4における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態5における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態6における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態7における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態8における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の他の実施の形態における光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、PRML処理回路におけるPR特性を、PR(a,b,c,d)といった形で表す。このa〜d等は、PRのクラスの係数(PR係数)である。
【0019】
(実施の形態1)
図1〜図4を用いて、本発明の実施の形態1を説明する。実施の形態1では、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、記録媒体の線記録密度、再生倍速、電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより符号間干渉が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる構成である。本装置では、特徴として、等化誤差の判定に基づき、拘束長(k)の異なるPRMLを切り替える。
【0020】
図1において、実施の形態1である光ディスク再生装置及びそれを含んで構成されるシステムの構成を示している。本装置は、拘束長(k)が異なる2つのPRML処理回路(106,107)を備え、判定回路117によりそれらの等化誤差値を比較し判定した結果に基づき、2つのPRML処理回路(106,107)の出力を切り替える。本装置は、通常は、k=4の第1のPRML処理回路(106)の側を選択し、等化誤差値(s21,s22)が所定条件を満たす場合に、k=5の第2のPRML処理回路(107)の側を選択する。
【0021】
本実施の形態1及びその他の各実施の形態においては、第1の拘束長(k1)のPRMLを、k=4のPRMLとし、第2の拘束長(k2)のPRMLを、k=5のPRMLとする。
【0022】
<符号間干渉>
ここで、図2を用いて、上記符号間干渉について説明する。例えば記録媒体の線記録密度を高めると、光ピックアップの集光ビーム径は有限であることから、読み出し信号間の干渉(符号間干渉)が大きくなり、高い周波数成分の振幅が低下する。例えば、容量が15GB/sideのHD DVD−ROMを再生した場合の再生信号(1)と、容量が20GB/sideのHD DVD−ROMを再生した場合の再生信号(2)とにおける、再生信号の周波数に対する振幅特性を示している。尚、周波数は再生クロックで正規化され、振幅値はDCでの値で正規化されている。この2つの特性を比較したとき、20GB/sideの方の再生信号(2)は、高域での振幅が15GB/sideの方の再生信号(1)の振幅よりも低下していることがわかる。
【0023】
また、図2では、上記再生信号(1),(2)の特性と共に、拘束長(k)が異なるPR特性として、k=4のPR(1,2,2,1)と、k=5のPR(1,2,2,2,1)とにおける周波数に対する振幅特性も示している。これらの特性を比較すると、PR(1,2,2,2,1)の特性は、20GB/sideの方の再生信号(2)の特性に近い。このことから、高域の振幅が低下している場合、k=5のPR(1,2,2,2,1)で等化する方が望ましい。ただし、k=5のPR(1,2,2,2,1)は、k=4のPR(1,2,2,1)に比べて、復号誤りを起し易い。
【0024】
<状態遷移及び基準レベル>
また、図3において、(a)でk=5のPR(1,2,2,2,1)、(b)でk=4のPR(1,2,2,1)、における状態遷移図及び状態によるレベル(基準レベル)の分布を示している。k=5の方がk=4よりも存在する状態数が多く、それに伴って存在する基準レベル数も多い。基準レベル数は、k=5では9個、k=4では7個である。基準レベル数が多いことから、k=5の方では、隣接するレベルとの差(レベル間隔(a2等))が小さく、ビタビ復号時にパスメトリックの差が小さくなり復号を誤る可能性が高くなる。よって、図2の15GB/sideの方の再生信号(1)のように、k=4のPR(1,2,2,1)の特性に近く、k=4で等化できる時は、k=4のPRMLで処理するのが望ましい。
【0025】
<等化誤差>
またここで、図4を用いて、等化誤差について説明する。等化誤差(:Cで示す)とは、PR特性と二値化データの畳み込みで得られる目標となる波形(等化目標:Aで示す)と、実際に等化回路で等化を行った出力(等化出力:Bで示す)との差分である。この等化誤差(C)は、等化目標(A)に対して、どの程度等化できているかを示す指標としても用いることができ、等化誤差(C)が小さい程、目標となるPR特性に近いと言える。
【0026】
<装置構成>
図1において本光ディスク再生装置の詳細構成を説明する。本光ディスク再生装置は、LSI(光ディスク再生LSI)100、セットされる光ディスク(ディスク)101、ピックアップ102、モータ103、及びマイコン120等を備える。LSI100とマイコン120が接続される。尚、LSI100とマイコン120は、一体的なIC基板として構成されることも可能である。また、本装置(特にデコーダ118)に対してホスト119が接続される。本装置は、例えば、HD DVDドライブ等である。マイコン120は、制御部であり、LSI100部分を含む本システムを統括する。ホスト119は、光ディスク再生装置の外部に設けられた、例えばユーザのPC等の情報処理装置である。
【0027】
光ディスク101は、データが記録された記録媒体であり、例えばHD DVDである。ピックアップ102は、光ディスク101のデータ信号の読み取りを行う。スピンドルモータ103は、光ディスク101を回転させる。
【0028】
LSI100は、AFE104、A/Dコンバータ105、第1拘束長PRML処理回路106、第2拘束長PRML処理回路107、スイッチ116、判定回路(拘束長判定回路)117、デコーダ118を有する。
【0029】
アナログ・フロント・エンド(Analog Front End:AFE)104は、光ディスク101からピックアップ102により読み取られたデータ(s1)におけるアナログ処理を行う。A/Dコンバータ105は、AFE104からのアナログ信号(s2)をデジタル信号(多値信号)(s3)に変換する。
【0030】
第1拘束長PRML処理回路(第1のPRML回路)106は、第1の拘束長(k1)のPRML方式でのPRML処理を行う。第2拘束長PRML処理回路(第2のPRML回路)107は、第2の拘束長(k2)のPRML方式でのPRML処理を行う。例として、第1の拘束長(k1)のPRML(第1のPRML106)を、PR(a,b,c,d)のようなk=4のPRMLとし、第2の拘束長(k2)のPRML(第2のPRML107)を、PR(a,b,c,d,e)のようなk=5のPRMLとする。PR係数(a〜e等)は、適宜設定可能である。
【0031】
k=4の第1のPRML回路106は、第1適応等化回路108、第1適応学習回路110、第1基準値生成回路112、第1最尤復号回路114を有している。
【0032】
第1適応等化回路108は、入力信号(s3)を所望のPR特性(係数)に等化する処理を行う。第1適応等化回路108は、第1適応学習回路110で決定されるフィルタ係数(s51)に基づき等化処理した信号(s31)を各部へ出力する。
【0033】
第1適応学習回路110は、第1適応等化回路108の等化処理に必要なフィルタ係数(s51)を計算する。第1適応学習回路110は、入力値(s31)と、基準値(s71)と、出力値(s41)とから、フィルタ係数(s51)を演算により決定する。また、第1適応学習回路110は、等化値(s31)と基準値(s71)とから演算される等化誤差(C)の信号(s21)を判定回路117へ出力する。
【0034】
第1基準値生成回路112は、入力値(s31)と、第1最尤復号回路114で生成した情報ビット(二値化信号)(s41)のパターンとにより、各パスの基準値(基準レベル)(s61,s71)を生成する。なお、基準値生成回路が最尤復号回路内に含まれる構成でも同様である。
【0035】
第1最尤復号回路114は、第1基準値生成回路112で生成される各パスの基準値(s61)をブランチメトリック演算回路の基準値として入力するようにした回路であり、これにより最尤復号処理し、二値化信号(s41)を出力する。
【0036】
また、k=5の第2のPRML回路107は、第1のPRML回路106と同様に、第2適応等化回路109、第2適応学習回路111、第2基準値生成回路113、第2最尤復号回路115を有している。それらの各部の機能は、特性や処理値が異なるが、第1のPRML回路106の側と同様である。
【0037】
スイッチ116は、第1最尤復号回路114と第2最尤復号回路115の出力(s11,s12)から一方のみを選択して出力する。その切り替えの制御は、判定回路117からの信号(s23)により行われる。
【0038】
デコーダ118は、スイッチ116で選択された二値化データ(s13)についての、復調処理、誤り訂正演算処理、デスクランブル処理、及び外部(ホスト119)へのデータ(s14)の出力の制御を行う。
【0039】
判定回路117は、第1と第2のPRML回路(106,107)からの等化誤差値の信号(s21,s21)の入力に基づき、再生信号の特性(符号間干渉量)に応じた、適した拘束長(k)のPRML回路(106,107)を判定し、信号(s23)によりスイッチ116の切り替えを制御する。
【0040】
<再生動作>
本光ディスク再生装置における再生動作について説明する。ディスク101からピックアップ102を介して読み取られた信号(s1)は、AFE104においてアナログ処理が行われ、その信号(s2)がA/Dコンバータ105に入力される。A/Dコンバータ105でデジタル化された信号(s3)は、k=4の第1のPRML回路106及びk=5の第2のPRML回路107に入力される。
【0041】
k=4の第1のPRML回路106では、以下の処理が行われる。第1基準値生成回路112で生成された基準値(s71)から等化目標となるPR(a,b,c,d)が決定される。そして、第1適応学習回路110において、第1最尤復号回路114の復号データ(s41)と基準値(s71)即ちPR(a,b,c,d)とから等化目標信号(A)を生成する。そして、第1適応学習回路110において、その等化目標信号(A)と、第1適応等化回路108の出力信号(s31)即ち等化出力(B)と、の差分である等化誤差(C)が小さくなるように、第1適応等化回路108のフィルタ係数(s51)を計算する。A/Dコンバータ105の出力信号(s3)を第1適応等化回路108で等化処理した信号(s31)は、第1最尤復号回路114に入力され、第1基準値生成回路112の基準値(s61)をもとに、ビタビ復号などを用いて最も確からしい二値の符号(s41)に復号される。
【0042】
また、k=5の第2拘束長PRML処理回路107では、同様に、以下の処理が行われる。第2基準値生成回路113で生成された基準値(s72)から等化目標となるPR(a,b,c,d,e)が決定される。そして、第2適応学習回路111において、第2最尤復号回路115の復号データ(s42)と基準値(s72)即ちPR(a,b,c,d,e)とから等化目標信号(A)を生成する。そして、第2適応学習回路111において、その等化目標信号(A)と、第2適応等化回路109の出力信号(s32)即ち等化出力(B)と、の差分である等化誤差(B)が小さくなるように、第2適応等化回路109のフィルタ係数(s52)を計算する。A/Dコンバータ105の出力信号(s3)を第2適応等化回路109で等化処理した信号(s32)は、第2最尤復号回路115に入力され、第2基準値生成回路113の基準値をもとに、ビタビ復号などを用いて最も確からしい二値の符号(s42)に復号される。
【0043】
ここで、k=4の第1のPRML回路106内にある第1適応学習回路110で演算されている等化誤差値(s21)と、k=5の第2のPRML回路107内にある第2適応学習回路111で演算されている等化誤差値(s22)とを、判定回路117に入力して比較する。判定回路117は、判定条件及び制御として、一定期間以上等化誤差値(s21,s22)が小さくなる方のPRML回路(106,107)の出力を選択するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。換言すれば、判定回路117は、第2の等化誤差値(s22)が第1の等化誤差値(s21)を下回る(C2<C1)状態が一定時間(閾値)以上続く場合、その期間のみに、第2最尤復号回路115の出力(s42)を選択するように制御する。
【0044】
また、前述のようにk=5のPRML(107)の方がk=4のPRML(106)よりも復号誤りを起し易いため、上記判定回路117の判定によってk=4からk=5の側に出力を切り替える時は、等化誤差値(s21,s22)の差が所定の閾値を超えた時に限るようにする。これにより、復号誤りを避けることが可能となる。
【0045】
スイッチ116から出力された復号データ(s13)は、デコーダ118に入力され、復調処理、誤り訂正処理、デスクランブル処理が行われた後、その信号(s14)即ち再生データが、ホスト119へ転送される。
【0046】
以上で説明した、等化処理時の等化誤差(C)によりPRMLの拘束長(k)を切り替える、即ち第1と第2のPRML回路(106,107)を切り替える回路構成及び判定方法によれば、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を、再生信号特性に応じて適応的に変更することができ、常に等化し易い方の拘束長(k)のPRML回路が選択されることから、読み取り精度を上げることができる。
【0047】
なお、前記PR係数は、基準値生成回路(112等)によって適応的に変化させることを想定して、PR(a,b,c,d)といったように変数(a〜d等)で記述している。これは、可変値ではなく固定値とした形態としてもよい(例えば図2に示すPR特性)。また、PRMLの拘束長(k)も、前述した長さ(k=4,5)に制限されるものではない。さらに、上記で適応等化回路(108等)は適応学習回路(110等)によって特性を適応的に変化させているが、等化回路(108等)のフィルタ係数を固定にするなどして特性を固定にして使用する形態としてもよい。これらは実施の形態1に限らず以降の実施の形態においても同様である。
【0048】
(実施の形態2)
図5等を用いて、本発明の実施の形態2を説明する。図5において、実施の形態2である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態2は、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、記録媒体の線記録密度、再生倍速、電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより高周波数成分の振幅が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。
【0049】
実施の形態2の光ディスク再生装置(図5)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、周波数特性測定回路501である。また、判定回路117での判定内容が異なり、高周波数成分振幅の判定を行う。
【0050】
周波数特性測定回路501は、スイッチ116で選択された最尤復号回路(114,115)の出力の二値化データ(s13)から、そのビット列中の“0”または“1”の連続回数であるランレングスを測定し、ランレングス毎のA/Dコンバータ105の出力信号(s3)の振幅を測定する。
【0051】
本装置では、通常は、復号誤りの少ないk=4の第1のPRML回路106の方を使用するようにスイッチ116を切り替え制御する。また、周波数特性測定回路501において、遅延調整したA/Dコンバータ105の出力(s3)から各ランレングスに対応する振幅値を検出し、一定期間で平均化する。その平均化した信号(s24)を判定回路117へ入力する。なお上記遅延調整は、一般に信号が回路の後段に流れるに従って遅延するのでそれを調整することである。
【0052】
判定回路117では、上記の結果(s24)から、低周波数成分である長いランレングスの振幅値と、高周波数成分である2T,3T(Tは周期)に相当するランレングスの振幅値との比を算出する。そして、判定回路117は、その振幅比が、予め設定された高周波数成分の振幅比(閾値)よりも小さくなる期間に、k=5の第2のPRML回路107の方を使用するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。
【0053】
以上で説明した、再生信号の高周波数成分の振幅によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、k=4のPRML(106)で等化し難い高周波数成分の振幅が小さい信号では、k=5のPRML(107)の側が選択される。そして、通常は、復号誤りを起し難いk=4の側が選択される。これらのことから、読み取り精度を上げることができる。また本実施の形態2は、実施の形態1の等化誤差で判定する方法よりも、判定位置が回路の前段にあるため、早く判定することが可能である。
【0054】
尚、本実施の形態2では、周波数特性測定回路501においてランレングスに対する振幅値を算出することで簡易的に周波数特性を得ているが、周波数特性を算出する方法としてはこれに限らない。例えば、再生信号をフーリエ変換するなど別の方法により算出して判定を行う形態としてもよい。
【0055】
(実施の形態3)
図6等を用いて、本発明の実施の形態3を説明する。図6において、実施の形態3である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態3は、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、光学系特性に依存して符号間干渉が変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。実施の形態3の装置では、特徴として、フォーカス判定を行う。
【0056】
ここで、光学系特性により符号間干渉が変化する場合について説明する。光学系による符号間干渉量増大の要因としては、例えばフォーカスずれがある。再生媒体(101)の面振れなどが発生し光ピックアップ(102)がそれに追従できない場合、記録層上での集光ビーム径が最小となる位置から外れるフォーカスずれが発生する。この時、ビーム径が大きくなることから、より遠いマークの信号まで受光し、符号間干渉が大きくなる。また、光ピックアップ(102)の個体差から、常にビーム径が最小とはならない可能性も考えられる。
【0057】
実施の形態3の光ディスク再生装置(図6)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、AFE104の出力が判定回路117にも入力されていることである。判定回路117では、その信号(s25)により判定を行う。
【0058】
本装置では、通常は、復号誤りの少ないk=4の第1のPRML回路106の方を使用するように、スイッチ116を切り替え制御する。またAFE104からフォーカスずれの状態を示すフォーカスエラー信号(s25)が判定回路117に入力される。判定回路117では、再生時のフォーカスエラー信号(s25)と、判定回路117に予め設定されたフォーカスエラー量の閾値と、を比較する。判定回路117は、フォーカスエラー信号(s25)がその閾値を超え、且つ、その状態が一定期間以上続く場合、あるいはその状態が頻発する場合に、k=5の第2のPRML処理回路107の方を使用するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。
【0059】
以上で説明した、フォーカスエラー量によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、符号間干渉の増大が予測されるフォーカスずれ時にはk=5のPRML(107)側が選択され、通常は、復号誤りを起し難いk=4のPRML(106)側が選択されることから、読み取り精度を上げることができる。また本実施の形態3は、実施の形態2の高周波数成分の振幅で判定する方法よりも、判定位置が前段にあるため、早く判定することが可能である。
【0060】
(実施の形態4)
図7等を用いて、本発明の実施の形態4を説明する。図7において、実施の形態4である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態4は、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、電子回路素子特性、伝送線路特性などの影響により、再生倍速(再生速度)に依存して高周波数成分の振幅が変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。実施の形態4の装置では、特徴として、再生倍速の判定を行う。
【0061】
ここで、再生倍速に依存して高周波数成分の振幅が変化する場合について説明する。電子回路素子や伝送線路が高周波の信号に対応できていない場合、更に再生倍速が上がることで、高周波数成分が伝送できず、線記録密度が高い時と同様に、再生信号の高周波数成分の振幅が低下する。
【0062】
実施の形態4の光ディスク再生装置(図7)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、再生倍速判定回路701である。再生倍速判定回路701は、例えばマイコン120から、再生媒体(101)の種類とその再生倍速の情報を取得する。判定回路117では、その再生倍速の情報をもとに判定を行う。
【0063】
本装置では、通常は、復号誤りの少ないk=4の第1のPRML回路106を使用するようにスイッチ116を切り替え制御する。また前述のように高速再生時には再生信号の高周波数成分の振幅が低下するため、この時は、k=5の第2のPRML回路107の方を使用するように切り替え制御する。
【0064】
上記高周波数成分の振幅低下については、再生媒体(101)の種類とその再生倍速によって予測することが可能である。以下予めシステム的に予測、決定、設定等を行う。まず再生媒体(101)の種類と再生倍速から、再生信号の周波数帯域を算出し、電子回路素子特性、伝送線路特性などから予め判明している光ディスク再生装置全体の周波数特性と比較する。この結果から再生信号の特性がk=5のPR特性に近い、再生媒体の種類と再生倍速の組み合わせを求めることができる。光ディスク再生装置全体の周波数特性は固有のものであり状況によって変化し難いことから、k=5のPR特性に近くなると予測される再生媒体の種類と再生倍速の組み合わせを求める。この組み合わせ情報を、判定回路117内に予め記録しておく。
【0065】
データ再生時には、再生倍速判定回路701により、例えばマイコン120を介して再生媒体の種類と再生倍速の情報を取得し、その信号(s26)を判定回路117に入力する。そして、判定回路117では、その入力された情報(s26)と、予め判定回路117に記録しておいた再生媒体の種類と再生倍速の組み合わせの情報と、が一致した場合、k=5の第2のPRML回路107の方を使用するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。
【0066】
以上で説明した、再生媒体の種類と再生倍速によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、符号間干渉の増大が予測される高密度媒体(101)における高速再生時にはk=5のPRML(107)側が選択され、通常は復号誤りを起し難いk=4のPRML(106)側が選択されることから、読み取り精度を上げることができる。また本実施の形態4は、実施の形態3のフォーカスエラー量で判定する方法よりも、判定位置が前段にあるため、早く判定することが可能である。尚、本実施の形態4において再生媒体の種類と再生倍速の情報を取得・判定する手段として、マイコン120を使用する例を挙げたが、これに限らない。例えば、AFE104等の部位から再生倍速判定回路701へ情報を取得して判定すること等も可能である。
【0067】
(実施の形態5)
図8等を用いて、本発明の実施の形態5を説明する。実施の形態5の装置では、特徴として、同時に処理が可能な2つのデコーダを備え、エラーレート(誤り検出数)の判定を行う。図8において、実施の形態5である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態5は、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、記録媒体の線記録密度、再生倍速、電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより誤り訂正時の誤り検出数が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。
【0068】
ここで、誤り検出数が拘束長(k)によって異なる場合について説明する。まず夫々の拘束長(k)のPRMLで復号して得られた二値化データの誤り訂正時に、その誤り検出数を取得し、比較する。この時、k=4のPRMLの復号結果に誤り検出数が多い例として、入力信号の高周波数成分の振幅が小さい等の、k=4のPRMLで等化できない場合が挙げられる。またk=5のPRMLの復号結果に誤り検出数が多い例としては、入力信号の高周波数成分の振幅が大きい等、k=4のPRMLでも等化できる場合が挙げられる。これはk=5のPRMLは基準レベル数が多いことにより、k=4のPRMLよりも復号誤りを起し易いことが原因である。
【0069】
実施の形態5の光ディスク再生装置(図8)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、2つのデコーダ801,802である。デコーダ(第1のデコーダ)801は、第1最尤復号回路114の出力(s41)である二値化データ(s11)の一連のデコード処理、即ち、復調処理、誤り訂正処理、及びデスクランブル処理を行う。デコーダ(第2のデコーダ)802は、第2最尤復号回路115の出力(s42)である二値化データ(s12)の一連のデコード処理、即ち、復調処理、誤り訂正処理、及びデスクランブル処理を行う。また、スイッチ116は、2つのデコーダ801,802の出力(s141,s142)を切り替えて、外部(ホスト119)へのデータ(s15)の出力を行う。また、各デコーダ801,802からは、判定回路117へ、誤り検出処理における誤り検出数(s151,s152)が入力されている。
【0070】
本装置では、第1のデコーダ801で、第1最尤復号回路114の復号結果(s11)に対して誤り訂正を行い、ECCブロック単位データにおける誤り検出数(s151)を取得する(ECC:誤り訂正符号)。また、第2のデコーダ802で、第2最尤復号回路115の復号結果(s12)に対して誤り訂正を行い、ECCブロック単位データにおける誤り検出数(s152)を取得する。各デコーダの内部の詳細構成は公知技術同様である。
【0071】
判定回路117において、入力された夫々の誤り検出数(s151,s152)を比較して、誤り検出数が少ない方のPRML回路(106,107)のデコード処理された出力(s141,s142)を選択するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。
【0072】
以上で説明した、誤り検出数によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、常に誤り検出数が少なくなる方の拘束長(k)のPRMLが選択されるため、読み取り精度を上げることができる。また本実施の形態5は、最終的な出力データに含まれる誤り検出数で判定するため、確実な判定方法と言える。
【0073】
尚、本実施の形態5では、誤り訂正時のECCブロック単位での誤り検出数を用いているが、これに限らず、例えばECCブロック内の行方向の誤り訂正時の誤り検出数などにより行ってもよい。
【0074】
(実施の形態6)
図9等を用いて、本発明の実施の形態6を説明する。実施の形態6では、特徴として、共通化して処理する1つのデコーダを備え、エラーレートの判定を行う。図9において、実施の形態6である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態6は、実施の形態5と同様に、誤り訂正時の誤り検出数が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。
【0075】
実施の形態6の光ディスク再生装置(図9)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、デコーダ118から判定回路117に誤り検出数(s27)が入力されていることである。
【0076】
本実施の形態6の光ディスク再生装置における切り替え制御について説明する。制御の一例(第1の構成例)として、通常のデータ再生前に行う初期化処理において、以下のように実行する。本装置では、初めに一定期間、k=4の第1のPRML回路106を使用するようにスイッチ116を切り替え制御する。デコーダ118からの信号(s27)により、この一定期間(第1の期間)の誤り検出数(第1の誤り検出数)を、まず判定回路117内に記録しておく。また本装置では、それとは別の一定期間(第2の期間)、今度はk=5の第2のPRML回路107を使用するようにスイッチ116を切り替え制御する。この誤り検出数(第2の誤り検出数)を、同様に判定回路117内に入力する。判定回路117では、この第2の誤り検出数を、先に記録しておいた第1の誤り検出数と比較し、誤り検出数が少ない方のPRML回路(106,107)の出力(s11,s12)を選択するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。また、この誤り検出数は、入力信号によって変動するため、定期的に上記切り替え及び判定を実施する必要がある。また、通常再生中に、定期的に判定を実行してもよい。
【0077】
また、上記初期化処理時の制御(第1の構成例)以外にも、リトライ時、即ち通常のデータ再生時に誤り訂正不能等によりデータの再処理を行う時に、同様の制御を実施することも可能である(第2の構成例)。この場合、本装置は、初めは復号誤りの少ないk=4の第1のPRML回路106を使用するように制御しておき、データ再生中に誤り訂正不能を検出してリトライが必要となった時、k=5の第2のPRML回路107を使用するように制御して、リトライを実行する。このリトライにより当該データが再生できた場合、次のリトライ時までは、k=5の第2のPRML回路107を使用するようにする。また、誤り訂正不能が依然発生する場合には、k=4の第1のPRML回路106の方に戻し、他のパラメータを変更してリトライを実行する。以後のリトライでも同様に他方の拘束長(k)のPRML回路に切り替えてリトライを実行する。
【0078】
以上で説明した、誤り検出数によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、実施の形態5と同様に誤り検出数が少なくなる拘束長(k)のPRMLが選択されるため、読み取り精度を上げることができる。また本実施の形態6は、実施の形態5のようにデコーダを余分に持つ必要がなく、回路規模及び消費電力を小さくできる。
【0079】
(実施の形態7)
図10等を用いて、本発明の実施の形態7を説明する。実施の形態7の装置では、特徴として、基準レベル間隔判定を行う。図10において、実施の形態7である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態7は、PRML方式を用いた光ディスク再生装置において、記録媒体の線記録密度、再生倍速、電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより最尤復号に用いる基準レベル(基準値)の間隔が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。
【0080】
実施の形態7の光ディスク再生装置(図10)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、主に、第2基準値生成回路113の出力(s72)が第2の基準レベルの信号(s282)として判定回路117に入力されていることである。また、それに対応して、第1基準値生成回路112の出力(s71)が第2の基準レベルの信号(s281)として判定回路117に入力されている。
【0081】
ここで、一般にk=5のPRMLはk=4のPRMLに比べて再生信号の高周波数成分の振幅が小さい場合でも復号できるなどの優位点があるが、基準レベル数が多いために復号誤りを起し易い。このように基準レベル数が多いことから、基準レベル同士が接近すると更に誤り易くなると考えられる。
【0082】
そこで、本装置では、通常は、高周波数成分の振幅が小さい信号も等化することができるk=5の第2のPRML回路107を使用するように制御する。但し、第1基準値生成回路112、第2基準値生成回路113で生成される基準レベル(s71,s72)の間隔(基準レベル間隔)を、判定回路117で観測する。特に、第2基準値生成回路113で生成される各基準レベル(s72)におけるすべての間隔を観測する。なお基準レベル間隔は、図3のa1,a2のような値である。そして、判定回路117では、予め記録された値(閾値)よりも小さい基準レベル間隔が存在する期間では、k=4の第1のPRML回路106の方を選択するように、信号(s23)によりスイッチ116を切り替え制御する。
【0083】
さらに、本実施の形態7の方法及び構成を、前述した他の実施の形態と組み合わせて使用することで、他の実施の形態での判定を保護することも可能である。これは、例えば、他の判定方法によりk=5の第2のPRML回路107が選択されていても、復号誤りが多いと予想される状態ではk=4の第1のPRML回路106を使用するように、処理する拘束長(k)を切り替えること(逆側に戻す判定制御)ができるからである。
【0084】
以上で説明した、最尤復号に使用する基準レベル(間隔)によりPRMLの拘束長(k)を切り替える方法によれば、復号誤りを起し易いk=5のPRML(107)を選択した時にも誤り検出数の増加を回避し、読み取り精度を上げることができる。このことから、本実施の形態7は、独立して使用するだけでなく、他の実施の形態と組み合わせて使用することで、他の実施の形態における判定結果の信頼性を高めることができる。
【0085】
(実施の形態8)
図11等を用いて、本発明の実施の形態8を説明する。図11において、実施の形態8である光ディスク再生装置の構成を示している。本実施の形態8は、前述した実施の形態に対して、2種類の拘束長(k1,k2)のPRML回路(106,107)に含まれる回路の共有化を実現した例である。
【0086】
実施の形態8の光ディスク再生装置(図11)は、実施の形態1の装置(図1)と相違するのは、補間回路1101、適応等化回路1102、適応学習回路1103、基準値生成回路1104、最尤復号回路1105である。
【0087】
本実施の形態8において、実施の形態1における第1の拘束長(k1)のPRMLをk=4のPRMLとし、第2の拘束長(k2)のPRMLをk=5のPRMLとして、k=4のPRML回路とk=5のPRML回路の回路共有化の構成について説明する。
【0088】
一般的に、k=4のPRML回路における最尤復号回路に入力される信号のサンプリング位置と、k=5のPRML回路における最尤復号回路に入力される信号のサンプリング位置とが異なり、適応等化回路のフィルタのタップ数が奇数と偶数の2種類必要となる。このことから、実施の形態1の第1適応等化回路108、第2適応等化回路109のように回路が2つ必要となる。
【0089】
ここで、最尤復号回路に入力する信号のサンプリング位置を変える必要性について説明する。例えば、RLL(1,10)等の変調方式の場合においてk=4のPR(a,b,b,a)等では一般的に7個の基準レベルを持ち、k=5のPR(a,b,c,b,a)等では一般的に10個の基準レベルを持つ。この基準レベルをもとに等化学習時に目標となる波形を作成すると、k=4では波形がゼロクロスする時にサンプリングされるビット境界サンプリングとなり、k=5ではゼロクロスする前後でサンプリングされるビット中央サンプリングとなる。よって、安定した適応学習を行うためには、拘束長(k)によって適応等化回路出力のサンプリング位置を変えることが望ましい。
【0090】
しかし、拘束長(k)によって適応等化回路に入力されるデータのサンプリング位置を切り替えれば、適応等化回路は1つでもよい。本実施の形態8では、上記サンプリング位置を拘束長で切り替えるために、等化回路(適応等化回路)の前段の補間回路1101によりサンプリング位置を変更することにより実現している。例えばA/Dコンバータ105の出力(s3)がビット中央サンプリングの場合、k=5の時は、補間回路1101を使用せず、奇数タップの適応等化回路1102で等化する。またk=4の時は、補間回路1101の使用によってビット中央サンプリングの信号をビット境界に変換し、その後、奇数タップの適応等化回路1102で等化する。このように同じ奇数タップの適応等化回路1102を用いることで、k=4とk=5に対応することができる。なお、補間回路1101は、等化回路後段に配置することも、学習方法を変更すれば、可能である。
【0091】
また、k=4のPRML回路における適応等化回路のタップ配置と、k=5のPRML回路における適応等化回路のタップ配置とが異なる場合、夫々のタップ配置に対応するために、実施の形態1の第1適応学習回路110、第2適応学習回路111のように回路が2つ必要となる。しかし、適応等化回路のタップ配置を拘束長(k)によらず同じにした場合は、適応学習回路は1つでもよい。本実施の形態8では、補間回路1101を使用することにより、適応等化回路1102を異なる拘束長(k)で共有している。よって、1つの適応学習回路1103によりk=4とk=5に対応することができる。
【0092】
また、k=4のPRMLとk=5のPRMLとで存在する状態数が異なり、これによって基準レベルの数が異なるため、夫々の基準レベル数に対応するために、実施の形態1の第1基準値生成回路112、第2基準値生成回路113のように回路が2つ必要となる。しかし、これらの基準値生成回路の演算自体は基準レベル数によらず同じであるので、多い基準レベル数に対応した基準値生成回路を、少ない基準レベル数の拘束長(k)の時にも部分的に使用して共有すれば、基準値生成回路は1つでもよい。よって本実施の形態8のように、1つの基準値生成回路1104でk=4とk=5に対応することができる。
【0093】
また、k=4のPRMLとk=5のPRMLとで参照するデータ量が異なり、復号時の最尤復号演算が異なるため、実施の形態1の第1最尤復号回路114、第2最尤復号回路115のように回路が2つ必要となる。しかし、これら最尤復号時に参照されるデータ量を拘束長(k)によらず同じにした場合は、最尤復号回路は1つでもよい。例えば、本実施の形態8の最尤復号回路1105においてk=5のPR(a,b,c,d,e)に対応した復号回路をk=4の復号回路と共有化するために、PR(0,a,b,c,d)若しくはPR(a,b,c,d,0)として最尤復号演算する。これにより、参照するデータ量を同じにすることができる。これによって1つの最尤復号回路1105で複数の拘束長(k)に対応することが可能となる。
【0094】
本実施の形態8において、k=4とk=5のPRML回路を例に説明してきたが、k=5とk=3のPRML回路の場合はPR(0,a,b,c,0)とすることで共有が可能であり、同様に他の拘束長(k)に対しても適応可能である。
【0095】
ここで、本実施の形態8の光ディスク再生装置における切り替え制御について説明する。上記回路共有化を行っても、拘束長(k)が異なるPRMLを使用する場合、k=4の時は最尤復号回路1105においてPR(0,a,b,c,d)とする、k=5の時は補間回路1101を使用しない、等の切り替えが必要となる。よって、本光ディスク再生装置では、判定回路117は、通常は、復号誤りの少ないk=4のPRMLを使用するように、信号(s291,s292)により、補間回路1101及び最尤復号回路1105を制御する。また、適応学習回路1103で演算されている等化誤差値(s290)を判定回路117に入力し、判定回路117において、予め記録されている値(閾値)を超える期間に、k=5のPRMLを使用するように、補間回路1101及び最尤復号回路1105を制御する。尚、本実施の形態8では、切り替え制御については、実施の形態1の等化誤差で判断する方法に従っているが、これに限らず、他の実施の形態の方法を用いてもよい。
【0096】
以上のように本実施の形態8において、実施の形態1におけるk=4とk=5のPRML回路(106,107)に含まれる回路を共有化することが可能となる。これにより回路規模の削減ができる。尚、本実施の形態8の説明では、実施の形態1との比較を行ったが、他の実施の形態に対しても同様に適用可能である。
【0097】
<組み合わせ>
図12において、他の実施の形態として、前述した各実施の形態の構成及び方法を組み合わせた光ディスク再生装置の構成例を示している。本構成例は、実施の形態1〜4及び6,7を組み合わせたものである。尚、実施の形態6に対応した場合を示しているが、実施の形態5に対応する場合でも同様である。本実施の形態では、記録媒体の線記録密度、再生倍速、電子回路素子特性、伝送線路特性、光学系特性などにより最尤復号に用いる基準レベル間隔が状況によって変化する場合に、PRMLの拘束長(k)及びPR係数を適応的に変更することができる。本構成例のように、複数の判定方法を組み合わせて使用することで、様々な状況に対応して、読み取り精度を上げることができる。
【0098】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、CD、DVD、ブルーレイディスク等の各種記録媒体の再生装置や記録再生装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
101…光ディスク、102…ピックアップ、103…スピンドルモータ、104…AFE(アナログ・フロント・エンド)、105…A/Dコンバータ、106…第1拘束長PRML処理回路、107…第2拘束長PRML処理回路、108…第1適応等化回路、109…第2適応等化回路、110…第1適応学習回路、111・・・第2適応学習回路、112…第1基準値生成回路、113…第2基準値生成回路、114…第1最尤復号回路、115…第2最尤復号回路、116…スイッチ、117…判定回路、118…デコーダ、119…ホスト、120…マイコン、501…周波数特性測定回路、701…再生倍速判定回路、801,802…デコーダ、1101…補間回路、1102…適応等化回路、1103…適応学習回路、1104…基準値生成回路、1105…最尤復号回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1または第2の最尤復号回路の出力を選択して出力するスイッチと、
前記スイッチの出力をデコード処理して再生データ信号を出力するデコーダと、
前記多値信号と前記スイッチの出力とから前記多値信号の高周波数成分の振幅値を測定する測定回路と、
前記測定回路の出力に基づいて、前記第1または第2の最尤復号回路の出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記測定回路の出力である高周波数成分の振幅値が、予め設定された値を下回る期間のみ、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項3】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1または第2の最尤復号回路の出力を選択して出力するスイッチと、
前記スイッチの出力をデコード処理して再生データ信号を出力するデコーダと、
前記アナログフロントエンドの出力であるフォーカスの状態を示す信号に基づいて、前記第1または第2の最尤復号回路の出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項4】
請求項3記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記フォーカスの状態を示す信号が、一定時間以上もしくは一定頻度以上で発生する期間のみ、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項5】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRMLの第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRMLのの第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1または第2の最尤復号回路の出力を選択して出力するスイッチと、
前記スイッチの出力をデコード処理して再生データ信号を出力するデコーダと、
再生中または再生する前記光ディスクの種類と再生速度の情報を取得または判定する回路と、
前記光ディスクの種類または再生速度の情報に基づいて、前記第1または第2の最尤復号回路の出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項6】
請求項5記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記光ディスクの種類と再生速度が、予め設定された組み合わせである場合のみ、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項7】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1の二値化信号からデコード処理を行う第1のデコーダと、
前記第2の二値化信号からデコード処理を行う第2のデコーダと、
前記第1または第2のデコーダの出力を選択して出力するスイッチと、
前記第1のデコーダにおける誤り訂正処理中に得られる第1の誤り検出数と、前記第2のデコーダにおける誤り訂正処理中に得られる第2の誤り検出数と、を比較した結果に基づいて、前記第1または第2のデコーダの出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項8】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記第1の誤り検出数が前記第2の誤り検出数を下回る期間が一定時間以上続く期間に、前記第1の最尤復号回路の出力を選択するように制御し、前記第2の誤り検出数が前記第1の誤り検出数を下回る期間が一定時間以上続く期間に、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御すること、を特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項9】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1または第2の最尤復号回路の出力を選択して出力するスイッチと、
前記スイッチの出力である二値化信号からデコード処理を行う1つのデコーダと、
前記デコーダにおける誤り訂正処理中に得られる誤り検出数に基づいて、前記第1または第2の最尤復号回路の出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項10】
請求項9記載の光ディスク再生装置において、
前記第1及び第2の最尤復号回路の出力である二値化信号から得られる誤り検出数を時系列で測定して、前記第1の二値化信号から得られる第1の誤り検出数と、前記第2の二値化信号から得られる第2の誤り検出数とを、前記判定回路に記録し、
前記判定回路は、前記記録された第2の誤り検出数が前記第1の誤り検出数を下回る場合のみ、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御すること、を特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項11】
請求項9記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記第1の最尤復号回路の出力を選択している状態で、前記デコーダで誤り訂正処理ができない誤り訂正不能が発生した場合、前記第2の最尤復号回路の出力を選択するように制御し、前記第2の最尤復号回路の出力を選択している状態で、前記デコーダで誤り訂正処理ができない誤り訂正不能が発生した場合、前記第1の最尤復号回路の出力を選択するように制御すること、を特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項12】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
拘束長mのPRML方式の第1のPRML処理回路と、
拘束長n(n>m)のPRML方式の第2のPRML処理回路と、を有し、
前記第1のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長mのPRML方式の目標信号に等化する第1の等化回路と、
前記第1の等化回路の出力である第1の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長mのPRML方式の第1の目標信号を生成する第1の基準値生成回路と、
前記第1の等化信号と前記第1の目標信号とから前記第1の等化回路のパラメータを決定する第1の適応学習回路と、
前記第1の目標信号と前記第1の等化信号とから拘束長mのPRML方式に基づいて第1の二値化信号を得る第1の最尤復号回路と、を有し、
前記第2のPRML処理回路は、
前記多値信号を拘束長nのPRML方式の目標信号に等化する第2の等化回路と、
前記第2の等化回路の出力である第2の等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから拘束長nのPRML方式の第2の目標信号を生成する第2の基準値生成回路と、
前記第2の等化信号と前記第2の目標信号とから前記第2の等化回路のパラメータを決定する第2の適応学習回路と、
前記第2の目標信号と前記第2の等化信号とから拘束長nのPRML方式に基づいて第2の二値化信号を得る第2の最尤復号回路と、を有し、
前記第1または第2の最尤復号回路の出力を選択して出力するスイッチと、
前記スイッチの出力である二値化信号からデコード処理を行うデコーダと、
前記第1の目標信号または前記第2の目標信号またはその両方に基づいて、前記第1または第2の最尤復号回路の出力から選択するように前記スイッチを切り替え制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項13】
請求項12記載の光ディスク再生装置において、
前記判定回路は、前記第2の目標信号における各基準レベル間の間隔が、予め記録された値を下回る期間のみ、前記第1の最尤復号回路の出力を選択するように制御すること、を特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項14】
光ディスクにレーザー光を照射してその反射光を電気信号に変換するピックアップと、
前記ピックアップの出力である電気信号にアナログ処理を行うアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドの出力であるアナログ信号をデジタル化して多値信号を出力するデジタル化回路と、
前記多値信号を、拘束長mのPRML方式の目標信号、または、拘束長n(n>m)のPRML方式の目標信号、に等化する等化回路と、
前記等化回路の出力である等化信号と最尤復号出力である二値化信号とから、拘束長mのPRML方式の第1の目標信号、または、拘束長nのPRML方式の第2の目標信号、を生成する基準値生成回路と、
前記等化回路の出力である等化信号と前記基準値生成回路の出力である目標信号とから、前記等化回路のパラメータを決定する適応学習回路と、
前記基準値生成回路の出力である目標信号と前記等化回路の出力である等化信号とから、拘束長mのPRML方式または拘束長nのPRML方式に基づいて二値化信号を得る最尤復号回路と、
前記最尤復号回路の前段に配置され、前記拘束長m,nによって、前記最尤復号回路に入力されるデータのサンプリング位置を切り替える補間回路と、
前記最尤復号回路の出力である二値化信号をデコード処理するデコーダと、
前記拘束長mのPRML方式または前記拘束長nのPRML方式から選択するように前記補間回路と前記基準値生成回路を制御する判定回路と、を具備することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ディスク再生装置において、
前記mは4であり、前記nは5であることを特徴とする光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−38412(P2012−38412A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203444(P2011−203444)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【分割の表示】特願2007−37360(P2007−37360)の分割
【原出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】