説明

光ディスク記録装置及び方法並びにカメラ一体型ディスク記録装置

【課題】DVD+RWをメディアとして用いた場合に、撮影可能回数を増やす。
【解決手段】DVD+RW1をメディアとして用いるDVDビデオカメラ10は、被写体を撮像し、撮像した動画像信号を所定の符号化モードで符号化する撮像手段31,32と、撮像手段31,32により生成された撮像データをDVD+RW1に記録するディスク記録手段33,36とを備える。ディスク記録手段33,36は、撮像が開始された場合、DVD+RW1に既に記録済みのタイトルのうちの最終タイトルに含め、チャプタのみを新たに更新して記録を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVD等の光ディスクに対してデータを記録する光ディスク記録装置及び方法並びにカメラが一体化されたカメラ一体型ディスク記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、民生用ビデオカメラでは、記録媒体として、記録型のDVDであるDVD−RW及びDVD+RWを用いるようになってきている。
【0003】
DVD−RW及びDVD+RWは、直径12cm、厚さ1.2mmの片面で4.7Gバイトの容量の記録可能な光ディスクである。DVD−RWは、DVDの民間規格団体である“DVDフォーラム” (例えば非特許文献1を参照。)で提案されたディスクであり、DVD+RWは、DVDフォーラムとは異なる民間規格団体である“DVD+RWアライアンス” (例えば非特許文献2を参照。)で提案されたディスクである。
【0004】
DVD−RW及びDVD+RWは、両者とも、“DVDフォーラム”により規定されている再生専用のDVD(DVD-VIDEO)とのフォーマットの互換性が取られたディスクであり、再生専用のDVDプレーヤによって参照をすることができる。
【0005】
また、DVDフォーラムにより提案されているDVD-VIDEO規格では、データ単位として“タイトル”と呼ばれる単位が規定されている。本規格で規定された“タイトル”とは、例えば、映画の1作品や音楽アルバムの1作品等の1つのコンテンツの再生単位を示す概念である。DVD-VIDEO規格では、1つのDVDディスクに対して99個のタイトルまで記録することができるとしている。
【0006】
DVD−RW及びDVD+RWでも、DVD-VIDEO規格との互換性を保つために、“タイトル”という単位を用いて、記録したコンテンツを管理している。DVD−RWでは、1つのディスクに対して99個のタイトルを記録することが可能であり、DVD+RWでは、1つのディスクに対して49個のタイトルを記録することが可能となっている。
【0007】
【非特許文献1】DVDフォーラム公式サイト、[平成16年12月16日検索]、インターネット<URL :http://www.dvdforum.org />
【非特許文献2】DVD+RWアライアンス公式サイト、[平成16年12月16日検索]、インターネット<URL :http://www.dvdrw.com/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来、記録媒体としてDVD−RW及びDVD+RWを用いたDVDレコーダでは、1回の録画動作(録画開始ボタンが押されてから停止ボタンが押されるまでの動作)で生成された動画像コンテンツを、1つのタイトルに割り当てて記録をしている。そのため、空き容量の有無に関わらず、そのディスクに対してある一定回数の録画動作を行うと、それ以上の追加記録を行うことができなかった。例えばDVD+RWであれば、一枚のディスクに対して49回の録画しか行うことができなかった。
【0009】
もっとも、テレビジョン放送を録画する場合には、1回の録画操作で1時間や2時間とった長時間の記録が行われるので、通常は、録画回数が一定の回数に達する前に先にディスクの空き領域がなくなり、特に問題はなかった。
【0010】
ところが、民生用ビデオカメラで撮影を行う場合、テレビジョン放送を録画するのとは異なり、1回の撮影に要する時間(録画開始ボタンが押されてから停止ボタンが押されるまでの時間)が比較的に短く、且つ、撮影の操作も何度も行われるのが通常である。
【0011】
そのため、民生用ビデオカメラの記録媒体としてDVD−RW及びDVD+RWを用いた場合、撮影という特殊性から、ディスクの空き領域が大量に残っているにも関わらず、タイトル数が所定数に達してしまい、追加記録が不可能となる可能性があった。
【0012】
特に、DVD+RWの場合には、1つのディスクに49個のタイトルまでしか記録することができないために問題であった。
【0013】
本発明は、以上のような問題を解決するものであり、記録済みコンテンツの管理単位としてタイトルが規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、コンテンツを記録する際に、より多い回数の録画又は撮影動作を可能とし、光ディスクの記録領域を有効に利用することができる光ディスク記録装置及び方法並びにカメラ一体型ディスク記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る光ディスク記録装置は、連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、データを記録する光ディスク記録装置において、コンテンツデータが入力され、当該コンテンツデータを上記フォーマットに対応したデータストリームに符号化し、符号化したデータストリームを上記光ディスクに記録する記録手段と、上記光ディスクに対する記録制御をする制御手段とを備え、上記制御手段は、新たなコンテンツデータを上記光ディスクに記録する場合、その新たなコンテンツデータを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その新たなコンテンツデータをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る光ディスク記録方法は、連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、コンテンツデータを符号化して記録する光ディスク記録方法において、新たなコンテンツデータを上記光ディスクに記録する場合、その新たなコンテンツデータを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その新たなコンテンツデータをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るカメラ一体型ディスク記録装置は、被写体を撮像し、撮像した動画像信号を所定の符号化モードで符号化する撮像手段と、上記撮像手段により生成された撮像データを、光ディスクに記録するディスク記録手段とを備え、上記ディスク記録手段は、連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、そのフォーマットに従ってデータを記録し、上記撮像手段により撮像が開始された場合、その撮像データを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その撮像データをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、新たなコンテンツデータを光ディスクに記録する場合、その新たなコンテンツデータを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その新たなコンテンツデータをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録する。
【0018】
このことにより本発明では、記録済みコンテンツの管理単位としてタイトルが規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、コンテンツを記録する際に、より多い回数の録画又は撮影動作を可能とし、光ディスクの記録領域を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明が適用されたカメラ一体型のDVD記録装置(以下、単にビデオカメラと呼ぶ。)について説明をする。
【0020】
図1は、本発明が適用されたビデオカメラ10の外観斜視図である。
【0021】
ビデオカメラ10は、図1に示すように、片手で持ち運びできる程度の小型の動画像撮像装置である。ビデオカメラ10は、カメラ装置とDVD記録装置とが一体的に構成されている。つまり、ビデオカメラ10は、動画像の撮影をして動画像信号及び音声信号を生成し、生成した動画像信号及び音声信号をMPEG-1又はMPEG-2方式で圧縮符号化し、光ディスクメディアであるDVDに記録を行う。
【0022】
ここで、ビデオカメラ10が用いている記録メディアは、DVD+RWディスク1である。
【0023】
DVD+RWディスク1は、直径12cm、厚さ1.2mmの一層で4.7Gバイトの容量の記録可能な光ディスクである。DVD+RWディスク1は、民間規格団体である“DVD+RWアライアンス”で提案されたフォーマットに対応したディスクであり、 “DVDフォーラム”により規定されている再生専用のDVD(DVD-VIDEO)とのフォーマットの互換性が取られている。
【0024】
DVD+RWのフォーマット
まず、DVD+RWの記録フォーマットについて説明をする。
【0025】
図2に、DVD+RWディスク1上にコンテンツデータを記録した場合の各ファイル等の記録位置を示す。
【0026】
DVD+RWディスク1の記録領域には、図2に示すように、内周側(Lead−in側)から外周側(Lead−out側)に向い、第1のFSエリア11と、VRMエリア12と、VMGエリア13と、VTSエリア14と、第2のFSエリア15とが形成されている。
【0027】
第1のFSエリア11及び第2のFSエリア15には、UDF(ユニバーサルディスクフォーマット)ファイルシステムが記録される。UDFファイルシステムは、当該記録領域内に記録されている全ファイルの管理を行うための情報であり、各ファイルの開始位置及びサイズ、ファイル名、記録日時等の情報が記述されている。第1のFSエリア11はディスクの最内周に形成されており、第2のFSエリア15は外周側に形成されている。
【0028】
VRMエリア12は、第1のFSエリア11の外周側に形成されている。VRMエリア12には、DVD-VIDEO規格で規定されているデータではない、DVD+RWで独自に定められているVRM.Scratch、VRMI(Video Recording Manager Information)、VRM UserDataが記録される。VRMIには、タイトル等に関する管理情報が記録されている。具体的には、VTSエリア14に記録されている各タイトルの実体データの位置、各タイトルの記録日時、タイトルのタイトル名、ディスク名、並びに、そのタイトルのプロテクト情報(そのタイトルが消去禁止又は変更禁止になっているか否かを示す情報)等が記述されている。
【0029】
VMGエリア13は、VRMエリア12の外周側に形成されている。VMGエリア13には、DVD-VIDEO規格で規定されているVMG(Video Manager)が記録される。VMGは、VTSエリア14に記録されている各VTSの記録アドレス、VTS数等の情報、及び、タイトルを再生するためのユーザインタフェース画面であるメニュー画面を表示及び制御させるためのメニューデータ(MPEG-2データム及び管理制御データ)が記録されている。
【0030】
VMGは、具体的には、VMGI、VMGM_VOBS、VMGIBackupで構成されている。VMGM_VOBSには、メニューデータの実体データ(MPEG-2データ等)が記述されている。VMGIは、メニューデータを再生するとともにメニュー画面を制御するための管理データが記述されている。VMGI Backupは、VMGIのバックアップデータである。
【0031】
VTSエリア14は、VMGエリア13の外周側に形成されている。
【0032】
VTSエリア14には、図3に示すように、DVD-VIDEO規格で規定されているVTS(Video Title Set)、及び、VRMIのバックアップデータであるVRMI Backupが記録される。
【0033】
DVD+RWの場合、VTSは、タイトルの管理単位であり、管理データと実体データとから構成されるタイトルセットとなる。
【0034】
DVD+RWの場合、VTSエリア14内に、各タイトルの符号化方式により1〜3個のVTSが形成される。例えば、全てのタイトルでビデオの符号化方式が同じならば、VTSが1個形成され、3種類の異なる符号化方式からなるタイトルが1つのディスクに混在する場合にはVTSは3個となる。
【0035】
各VTSは、図3に示すように、VTSI#n21-nと、VTSTT_VOBS#n22-nと、VTSI#n Backup23-nから構成されている。ここで“n”は、VTS番号を示した1から3までの整数である。
【0036】
VTSI#n21-nは、そのVTSの管理情報が含まれたファイルである。具体的には、そのVTSで管理されているタイトルの名称、各タイトルの記録位置、各タイトルの時間、各タイトル内に含まれているチャプタの数、各チャプタの名称、各チャプタの先頭の記録位置、等々が記述されている。
【0037】
VTSTT_VOBS#n22-nは、VTSの実体データ、すなわち、動画像及び音声等の符号化データが含まれたファイルである。
【0038】
VTSI#n Backup23-nは、VTSI#n21-nのバックアップデータである。
【0039】
なお、DVD+RWでは、VTSI#121-1〜VTSI#321-3の各管理情報は、VTSエリア14の先頭部分にまとめて記録される。また、VTSTT_VOBS#1は、VTSエリア14内の所定の固定のアドレスから記録が開始される。
【0040】
さらに、VTSI#n Backup23-nの直後には、VRMI42のバックアップデータであるVRMI Backup24が記録される。
【0041】
また、VRMI Backup24の直後、及び、VTSエリア14の最後の部分(第2のFSエリア15の直前)には、所定量のパディングデータが記録される。
【0042】
タイトル,チャプタ
つぎに、DVD−VIDEO規格におけるVTS、タイトル、チャプタの関係について説明をする。
【0043】
図4は、VTS、タイトル、チャプタの関係を示す図である。
【0044】
DVD−VIDEO規格では、記録するコンテンツを“タイトル”及び“チャプタ”という再生単位で管理をしている。
【0045】
“タイトル”とは、例えば、映画の1作品や音楽アルバムの1作品等の1つのコンテンツの再生単位を示す概念である。DVD+RWでも、当該規格と互換を有するように“タイトル”という単位でコンテンツを管理している。DVD+RWでは、1つのディスク内に対して49個のタイトルまで記録することができるとしている。
【0046】
VTSは、このようなタイトルが複数集合した管理単位である。DVD+RWでは、最大で3個のVTSが形成される。DVD+RWでは、そのタイトルの動画像の符号化方式がMPEG-1であった場合には1番目のVTS(VTS#1)に含め、そのタイトルの動画像の符号化方式がMPEG-2のハーフモード(水平ライン数352本)であった場合には2番目のVTS(VTS#2)に含め、そのタイトルの動画像の符号化方式がMPEG-2の標準モード(水平ライン数720本)であった場合には3番目のVTS(VTS#3)に含めるようにしている。
【0047】
また、DVD-VIDEO規格では、もともと読み出し専用のROM規格を想定して規定されているため、“途中で途切れることなくシームレスに再生されるタイトルを構成するデータは必ず物理上連続した記録領域に記録されていなければならない”、と規定されている。すなわち、シームレスに再生されるタイトルを構成するデータが、未記録領域や他のタイトルのデータを挟んで、複数の物理領域にわたって記録されていてはならない、と規定されている。
【0048】
また、DVDフォーラムにより提案されているDVD-VIDEO規格では、“チャプタ”と呼ばれる単位も規定されている。本規格で規定された“チャプタ”とは、タイトル内を複数に分割した単位であり、検索等を容易にするために設定された単位である。DVD-VIDEO規格では、1つのタイトル内に99個のチャプタまで記録することができるとしている。
【0049】
従って、DVD-VIDEO規格と互換性を有するDVD+RWディスクに対して、コンテンツの記録を行う場合には、通常のDVDレコーダ(本ビデオカメラ10ではない装置)では、1回の録画(録画開始ボタンが押されてから停止ボタンが押されるまでの動作)で生成された動画像及び音声符号化データを、1つのタイトルとして記録をする。また、通常のDVDレコーダ(本ビデオカメラ10ではない装置)では、例えば、場面の切換タイミング等で、チャプタの切換を行って記録をしている。
【0050】
ビデオカメラ10の構成及び動作
つぎに、ビデオカメラ10の内部構成及び録画動作について説明をする。
【0051】
図5は、ビデオカメラ10のブロック構成図である。
【0052】
ビデオカメラ10は、図5に示すように、カメラ部31と、符号化処理部32と、DVD記録ドライブ33と、操作入力部34と、表示部35と、制御部36とを備えている。
【0053】
カメラ部31は、被写体からの光が入射される光学系41と、光学系41を介して被写体像光を受光して画像信号に変換するイメージセンサ42と、イメージセンサ42により生成された画像信号に対して各種信号処理を行ってデジタルの動画像信号を生成するカメラ信号処理部43と、外部音を検出して音声信号に変換するマイクロフォン44と、マイクロフォン44により検出された音声信号に対してデジタル化等の処理を行ってデジタルの音声信号を生成する音声処理部45とを備えている。
【0054】
符号化処理部32は、カメラ部31から出力された動画像信号及び音声信号を、MPEG-1又はMPEG-2の符号化方式で符号化する。
【0055】
DVD記録ドライブ33は、DVD+RWディスク1の着脱が行われ、DVD+RWディスク1が装着されている状態の時に当該ディスク1にデータを記録する記録装置である。
【0056】
操作入力部34は、録画開始ボタン、停止ボタン等を含んだユーザインタフェースであり、当該ビデオカメラ10の筐体外部に設けられている。
【0057】
表示部35は、ユーザに対して撮像中の画像を表示するファインダである。
【0058】
制御部36は、カメラ部31,符号化処理部32,操作入力部34及び表示部35の制御を行う。さらに、制御部36は、DVD+RWディスク1に記録する際に、DVD+RWのフォーマットで規定された各種の管理制御情報を生成する。また、制御部36は、符号化処理部32により生成されたMPEG-2データ、及び、当該制御部36により生成した管理制御情報を、DVD+RWのフォーマットに従ったディスク1上の所定の物理位置に記録するように、記録アドレスの制御等を行う。
【0059】
以上のようなビデオカメラ10の撮影動作は次のようになる。
【0060】
ビデオカメラ10は、操作入力部34の録画開始ボタンがユーザにより押されると、カメラ部31から出力されている動画像信号及び音声信号を、符号化処理部32がMPEG-1,2等の所定の符号化方式で符号化する。制御部34は、符号化処理部32により生成された符号化データ及び管理制御情報を、フォーマットに従いDVD+RWディスク1に記録する。そして、ビデオカメラ10は、操作入力部34の停止ボタンがユーザにより押されると、撮影動作及び記録動作を停止する。
【0061】
ビデオカメラ10のタイトル管理方法
つぎに、本発明が適用されたビデオカメラ10による撮影時におけるタイトルの管理方法について説明する。
【0062】
本発明が適用されたビデオカメラ10では、DVD+RWディスク1に対して新たな符号化データを記録する場合、原則として、最後に記録されたタイトル(以下、最終タイトルという。)の符号化データに続く物理領域にその新たな符号化データを記録するとともに、その新たな符号化データを最終タイトル中の新たなチャプタとして記録する。
【0063】
つまり、ビデオカメラ10では、撮像処理により生成された新たな符号化データを、独立した一つのタイトルとして記録せずに、原則として、最終タイトルの最後尾に連続しているコンテンツとして記録を行う。また、このとき、チャプタを新たな番号に更新をする。DVD+RWにおいて、チャプタの番号は1から昇順に連続番号で付けられてゆくので、新たな符号化データは、最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録される。
【0064】
ただし、新たな符号化データを最終タイトルに追加記録してチャプタのみを更新する処理は、あくまで原則であり、以下の(1)〜(5)の場合には、例外的に、新たな符号化データを、新たなタイトルとしてDVD+RWディスクに記録する。
【0065】
(1)最終タイトルのチャプタ数が既にDVD+RWで規定された最大数(99個)となっており、最終タイトルのチャプタをこれ以上増やすことができない場合
(2)VTSの切換が必要な場合。つまり、動画像の符号化モード(MPEG-1、MPEG-2(ハーフモード)、MPEG-2(標準モード))が、最終タイトルと新たな符号化データとで異なる場合
(3)最終タイトルの音声信号の符号化方式と、新たな符号化データの音声信号の符号化方式とが異なる場合。例えば、AC3(2ch)から、AC3(5.1ch)に変わった場合
(4)最終タイトルを自機で記録していない場合。つまり、最終タイトルが他機器により記録がされている場合
(5)最終タイトルがプロテクト(そのタイトルが消去禁止又は変更禁止になっている状態)されている場合。
【0066】
以上の判断は、具体的には、撮影開始に制御部36が行う。以下、図6、図7にその処理フローを示し、具体的な判断処理について説明をする。
【0067】
制御部36は、録画開始ボタンが押されると、以下のステップS1から処理を開始する。
【0068】
まず、ステップS1において、制御部36は、装着されているDVD+RWディスク1の全てのタイトルのチャプタ数を合計した総チャプタ数を参照し、DVD+RWディスク1に記録できる残りのチャプタ数が0であるか否かを判断する。DVD+RWの場合、1枚のディスクに含まれているチャプタ数が所定数(例えば254)を超えた場合、それ以上の追加記録をすることができないので、当該ステップS1では、総チャプタ数がその所定数(例えば254)を超えているか否かを判断している。記録可能な残りチャプタ数が0である場合(ステップS1のYes)には、ステップS11に進み、記録中止処理を行う。記録可能な残りチャプタ数が0ではない場合(ステップS1のNo)には、ステップS2に進む。
【0069】
続いて、ステップS2において、制御部36は、装着されているDVD+RWディスク1の総セル(Cell)数を参照し、DVD+RWディスク1に記録できる残りセル数が0であるか否かを判断する。DVD+RWの場合、1枚のディスクに記録されているセル(Cell)の数が所定数(例えば254)を超えた場合、それ以上の追加記録をすることができないので、当該ステップS2では、総セル数がその所定数(例えば254)を超えているか否かを判断している。記録可能な残りセル数が0である場合(ステップS2のYes)には、ステップS11に進み、記録中止処理を行う。記録可能な残りセル数が0ではない場合(ステップS2のNo)には、ステップS3に進む。
【0070】
続いて、ステップS3において、制御部36は、装着されているDVD+RWディスク1に記録済みのタイトルが存在するか否かを判断する。つまり、ステップS3では、DVD+RWディスク1がフォーマット直後のディスク又は全消去された直後のディスクであるかを判断する。記録済みのタイトルが存在しない場合(ステップS3のYes)には、ステップS14に進み、初回記録処理を行う。記録済みのタイトルが存在する場合(ステップS3のNo)には、ステップS4に進む。
【0071】
続いて、ステップS4において、制御部36は、装着されているDVD+RWディスク1の最終タイトル(記録済みのタイトルのうちの最後に記録されたタイトル)が、自機で記録したものか否かを判断する。つまり、ステップS4では、上記(4)の場合の判断を行う。最終タイトルを自機で記録していない場合、すなわち、他機で記録した場合(ステップS4のNo)には、ステップS9の総タイトル数の判断処理に進む。最終タイトルを自機で記録した場合(ステップS4のYes)には、ステップS5に進む。
【0072】
続いて、ステップS5において、制御部36は、最終タイトルの動画像の符号化モードと、撮影して新たに記録する動画像の符号化モードとが同一か否かを判断する。つまり、ステップS5では、上記(2)の場合の判断を行う。動画像の符号化モードが同一ではない場合(ステップS5のNo)には、ステップS9の総タイトル数の判断処理に進む。動画像の符号化モードが同一である場合(ステップS5のYes)には、ステップS6に進む。
【0073】
続いて、ステップS6において、制御部36は、最終タイトルの音声の符号化方式と、撮影して新たに記録する音声の符号化方式とが同一か否かを判断する。つまり、ステップS5では、上記(3)の場合の判断を行う。音声の符号化方式が同一ではない場合(ステップS6のNo)には、ステップS9の総タイトル数の判断処理に進む。音声の符号化方式が同一である場合(ステップS6のYes)には、ステップS7に進む。
【0074】
続いて、ステップS7において、制御部36は、装着されているDVD+RWディスク1の最終タイトルのチャプタ数を参照し、最終タイトルのチャプタ数が最大数(99個)であるか否かを判断する。つまり、ステップS7では、上記(1)の場合の判断を行う。
【0075】
最終タイトルのチャプタ数が最大数(99個)である場合(ステップS7のYes)は、ステップS9の総タイトル数の判断処理に進む。最終タイトルのチャプタ数が最大数(99個)である場合(ステップS7のNo)には、ステップS8に進む。
【0076】
続いて、ステップS8において、制御部36は、最終タイトルがプロテクト(そのタイトルが消去禁止又は変更禁止になっている状態)されているか否かを判断する。つまり、ステップS8では、上記(5)の場合の判断を行う。最終タイトルがプロテクトされている場合(ステップS8のYes)にはステップS12に進み、別タイトル記録処理を行う。最終タイトルがプロテクトされていない場合(ステップS8のNo)にはステップS13に進み、同一タイトル記録処理を行う。
【0077】
続いて、ステップS9において、制御部36は、最終タイトルのタイトル番号が、ディスク最大タイトル数(49個)となっているか否かを判断する。つまり、これ以上タイトルを増加させることができないか否かを判断する。最終タイトルのタイトル番号がディスク最大タイトル数(49個)となっている場合には、ステップS11に進み、記録中止処理を行う。最終タイトルのタイトル番号がディスク最大タイトル数(49個)となっていない場合には、ステップS12に進み、別タイトル記録処理を行う。
【0078】
ステップS11の記録中止処理では、制御部36は、撮影処理を中止させるとともに、表示部35に中止した旨及びその理由等を表示する。
【0079】
ステップS12の別タイトル記録処理では、制御部36は、タイトル番号を、最終タイトルのタイトル番号+1に設定した新たなタイトルとして、撮影して生成される新たな符号化データを記録する。
【0080】
ステップS13の同一タイトル記録処理では、制御部36は、タイトル番号を最終タイトルのタイトル番号に設定するとともにチャプタ番号を最終チャプタ番号+1に設定して、採取タイトルの新たなチャプタとして、撮影して生成される新たな符号化データを記録する。
【0081】
ステップS14の初回記録処理では、制御部36は、タイトル番号を1に設定した新たなタイトルとして、撮影して生成される新たな符号化データを記録する。
【0082】
バッファセルについて
DVD+RWでは、最終タイトルの最後尾の物理領域に続けて、バッファセル(Buffer Cell)と呼ぶデータを記録することがフォーマットで定められている。バッファセルには、実際の情報内容は含まれていない。
【0083】
ビデオカメラ10に装着された直後のDVD+RWディスク1は、図8(A)に示すように、最終タイトル(例えばタイトル#2)の直後に、バッファセルが記録されている。
【0084】
そのため、ビデオカメラ10は、新たな符号化データが最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録される場合、図8(B)に示すように、既に記録されているバッファセルの先頭から当該新たな符号化データの記録を開始し、ディスク排出時には、図8(C)に示すように、新たな符号化データの直後に再度バッファセルを記録する。
【0085】
効果
本発明が適用されたビデオカメラ10では、新たな符号化データを光ディスクに記録する場合、その新たな符号化データを最終タイトルに含めて記録するとともに、その新たな符号化データをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録する。
【0086】
このことにより本発明が適用されたビデオカメラ10では、DVD+RWディスク1に対して符号化データを記録する際に、録画可能回数をより多くし、記録領域を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明が適用されたビデオカメラの外観斜視図である。
【図2】DVD+RWディスク上にコンテンツデータを記録した場合の各ファイル等の記録位置を示す図である。
【図3】VTSエリアに記録されている情報及びその記録位置を示す図である。
【図4】VTS、タイトル、チャプタの関係を示す図である。
【図5】本発明が適用されたビデオカメラのブロック図である。
【図6】撮影開始に制御部が行う処理を示したフローチャートである。
【図7】図6に続くフローチャートである。
【図8】バッファセルの記録方法について説明をする図である。
【符号の説明】
【0088】
1 DVD+RWディスク、10 ビデオカメラ、31 カメラ部、32 符号化処理部、33 DVD記録ドライブ、34 操作入力部、35 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、データを記録する光ディスク記録装置において、
コンテンツデータが入力され、当該コンテンツデータを上記フォーマットに対応したデータストリームに符号化し、符号化したデータストリームを上記光ディスクに記録する記録手段と、
上記光ディスクに対する記録制御をする制御手段とを備え、
上記制御手段は、
新たなコンテンツデータを上記光ディスクに記録する場合、その新たなコンテンツデータを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その新たなコンテンツデータをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録すること
を特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項2】
上記フォーマットには、1つのタイトル内に含まれる最大のチャプタ数がN(Nは2以上の自然数。)であると規定されており、
上記制御手段は、上記最終のタイトルに含まれているチャプタ数が既にNである場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項1記載の光ディスク記録装置。
【請求項3】
上記記録手段は、入力されたコンテンツデータを、複数の符号化モード及び符号化方式で符号化が可能であり、
上記制御手段は、最終のタイトルとして記録されているコンテンツデータの符号化モード又は符号化方式と、新たなコンテンツデータの符号化モード又は符号化方式とが異なる場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項2記載の光ディスク記録装置。
【請求項4】
上記制御手段は、上記最終のタイトルが他の光ディスク記録装置により記録されている場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項2記載の光ディスク記録装置。
【請求項5】
上記制御手段は、上記最終のタイトルが消去及び変更禁止状態とされている場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項2記載の光ディスク記録装置。
【請求項6】
上記光ディスクは、DVD+RWディスクであること
を特徴とする請求項1記載の光ディスク記録装置。
【請求項7】
連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、コンテンツデータを符号化して記録する光ディスク記録方法において、
新たなコンテンツデータを上記光ディスクに記録する場合、その新たなコンテンツデータを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その新たなコンテンツデータをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録すること
を特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項8】
上記フォーマットには、1つのタイトル内に含まれる最大のチャプタ数がN(Nは2以上の自然数。)であると規定されており、
上記最終のタイトルに含まれているチャプタ数が既にNである場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項7記載の光ディスク記録方法。
【請求項9】
最終のタイトルとして記録されているコンテンツデータの符号化モード又は符号化方式と、新たなコンテンツデータの符号化モード又は符号化方式とが異なる場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項8記載の光ディスク記録方法。
【請求項10】
上記最終のタイトルが他の光ディスク記録方法により記録されている場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項8記載の光ディスク記録方法。
【請求項11】
上記最終のタイトルが消去及び変更禁止状態とされている場合には、上記新たなコンテンツデータを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項8記載の光ディスク記録方法。
【請求項12】
上記光ディスクは、DVD+RWディスクであること
を特徴とする請求項7記載の光ディスク記録方法。
【請求項13】
被写体を撮像し、撮像した動画像信号を所定の符号化モードで符号化する撮像手段と、
上記撮像手段により生成された撮像データを、光ディスクに記録するディスク記録手段とを備え、
上記ディスク記録手段は、
連続した物理領域に記録されたコンテンツの再生単位であるタイトル、及び、当該タイトル内を複数に分割したときの各分割単位であるチャプタが、データの管理単位として規定されたフォーマットが採用されている光ディスクに対して、そのフォーマットに従ってデータを記録し、
上記撮像手段により撮像が開始された場合、その撮像データを記録済みのタイトルのうちの最終のタイトルに続く物理領域に記録するとともに、その撮像データをその最終タイトルの最終のチャプタに続くチャプタとして記録すること
を特徴とするカメラ一体型ディスク記録装置。
【請求項14】
上記フォーマットには、1つのタイトル内に含まれる最大のチャプタ数がN(Nは2以上の自然数。)であると規定されており、
上記ディスク記録手段は、上記最終のタイトルに含まれているチャプタ数が既にNである場合には、上記撮像データを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項13記載のカメラ一体型ディスク記録装置。
【請求項15】
上記撮像手段は、撮像した動画像信号を複数の符号化モード及び符号化方式で符号化が可能であり、
上記ディスク記録手段は、最終のタイトルとして記録されているコンテンツデータの符号化モード又は符号化方式と、撮像データの符号化モード又は符号化方式とが異なる場合には、上記撮像データを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項14記載のカメラ一体型ディスク記録装置。
【請求項16】
上記ディスク記録手段は、上記最終のタイトルが他のカメラ一体型ディスク記録装置により記録されている場合には、上記撮像データを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項14記載のカメラ一体型ディスク記録装置。
【請求項17】
上記ディスク記録手段は、上記最終のタイトルが消去及び変更禁止状態とされている場合には、上記撮像データを新たなタイトルとして記録すること
を特徴とする請求項14記載のカメラ一体型ディスク記録装置。
【請求項18】
上記光ディスクは、DVD+RWディスクであること
を特徴とする請求項13記載のカメラ一体型ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−190382(P2006−190382A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−890(P2005−890)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】