光デバイスおよび光送信装置
【課題】マッハツェンダ部間のクロストークを抑制すること。
【解決手段】電気光学効果を有する基板10と、前記基板に設けられたメイン導波路14と、前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極24と、を備える第1マッハツェンダ部50と、前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路16と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極26と、を備える複数の第2マッハツェンダ部52と、を具備し、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられている光デバイス。
【解決手段】電気光学効果を有する基板10と、前記基板に設けられたメイン導波路14と、前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極24と、を備える第1マッハツェンダ部50と、前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路16と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極26と、を備える複数の第2マッハツェンダ部52と、を具備し、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられている光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスおよび光送信装置に関し、例えばマッハツェンダ部を備える光デバイスおよび光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、光変調器に例えばマッハツェンダ部が用いられる。マッハツェンダ干渉を用いたマッハツェンダ部においては、電気光学効果を有する基板に一対の光導波路が設けられている。電極を用い光導波路に電界を印加することにより、光導波路内の屈折率を変化させる。これにより、一対の光導波路間の位相差を変化させる。例えば、一対の光導波路を結合させ、マッハツェンダ干渉させることにより、光強度変調された信号光を出力することができる。
【0003】
QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調した信号光を出力するため、メインのマッハツェンダ部の一対の光導波路にそれぞれサブのマッハツェンダ部を接続する光変調器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このように、複数のマッハツェンダ部を1つの基板に集積化した場合、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制するため、マッハツェンダ部間の基板に溝を設けることが知られている(例えば、特許文献2)。また、基板の裏面に溝を設けることが知られている(例えば、特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許7272271号明細書
【特許文献2】特開2009−53444号公報
【特許文献3】特開2001−174766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基板に溝を設ける方法は、製造工程が増大する。また、基板の強度が小さくなる。よって、現実的な方法ではない。このように、マッハツェンダ部間のクロストークを簡単に抑制することが求められている。
【0007】
本光デバイスおよび光送信装置は、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、電気光学効果を有する基板と、前記基板に設けられたメイン導波路と、前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、を具備し、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイスを用いる。
【発明の効果】
【0009】
本光デバイスおよび光送信装置によれば、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は比較例1に係る光デバイスの上面図である。
【図2】図2は実施例1に係る光デバイスの上面図である。
【図3】図3は図2のA−A断面図である。
【図4】図4は実施例2に係る光デバイスの上面図である。
【図5】図5は実施例3に係る光デバイスの上面図である。
【図6】図6は実施例4に係る光デバイスの上面図である。
【図7】図7は実施例5に係る光デバイスの上面図である。
【図8】図8は比較例2に係る光デバイスの上面図である。
【図9】図9は実施例6に係る光デバイスの上面図である。
【図10】図10は実施例7に係る光デバイスの上面図である。
【図11】図11は実施例8に係る光デバイスの上面図である。
【図12】図12は実施例9に係る光送信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、比較例1に係る光デバイスについて説明する。比較例1は、QPSK変調された光信号を出力するための光デバイスの例である。図1は比較例1に係る光デバイスの上面図である。図1のように、光デバイス100aは、第1マッハツェンダ部50および複数の第2マッハツェンダ部52を備えている。電気光学効果を有する基板10には、光導波路として、メイン導波路12、第1導波路14および第2導波路16が設けられている。また、基板10上に第1DC(直流)電極24、第2DC電極26および高周波電極30が設けられている。第1マッハツェンダ部50は、メイン導波路12に結合された複数の第1導波路14(図では一対)と、第1導波路14内にDC電界を発生させる第1DC電極24と、を備える。第1DC電極24は、第1導波路14上に設けられ電圧Pが印加される電極と、第1導波路14間に設けられ、グランド電圧Gndが印加される電極とを含む。
【0012】
複数の第2マッハツェンダ部52(図1では一対)は、それぞれ第1マッハツェンダ部50の第1導波路14に対応している。複数の第2マッハツェンダ部52は、それぞれ第2導波路16内にDC電界を発生させる第2DC電極26と、第2導波路16内に高周波電界を印加する高周波電極30を備えている。1つの第2マッハツェンダ部52内の複数の第2導波路16は、対応する第1導波路14に結合している。第2DC電極26は、第2導波路16上に設けられ電圧C1またはC2が印加される電極と、第2導波路16間に設けられ、グランド電圧Gndが印加される電極とを含む。高周波電極30は、第2導波路16上に設けられた信号電極RF1およびRF2と、信号電極RF1およびRF2に沿って設けられたグランド電極Gndを含む。信号電極RF1とグランド電極Gnd、信号電極RF2とグランド電極Gndとはそれぞれコプレーナ線路を形成している。
【0013】
第1マッハツェンダ部50および第2マッハツェンダ部52が形成されたチップは短冊型をしている。光導波路は、チップの長辺に沿って延伸している。
【0014】
右側(第2DC電極26と高周波電極30のうち高周波電極30側)のメイン導波路12から入力された光信号は、一対の第2マッハツェンダ部52の4つの第2導波路16に分岐される。一対の第2マッハツェンダ部52では、まず、第2導波路16上に信号電極RF1、RF2が設けられた相互作用領域46、48において、光の伝搬方向と同じ方向に伝搬する高周波信号により、光信号の位相が変調される。例えば、相互作用領域46においては、I相信号に相当する光信号の変調がなされる。相互作用領域48においては、Q相信号に相当する光信号の変調がなされる。このように、相互作用領域46、48は高周波電極30に印加された信号が第2導波路16を伝搬する光に作用する領域である。次に、第2導波路16上に第2DC電極26が設けられた相互作用領域44において、動作点が調整される。このように、相互作用領域44は第2DC電極26に印加された電圧が第2導波路16を伝搬する光に作用する領域である。第2DC電極26は一対の第2マッハツェンダ部52間で独立に電圧C2およびC1を印加できる。したがって、一対の第2マッハツェンダ部52間で動作点を独立に制御できる。第2導波路16が結合されることにより、I相信号およびQ相信号がそれぞれマッハツェンダ干渉により強度変調される。
【0015】
I相信号およびQ相信号は、それぞれ第1マッハツェンダ部50の一対の第1導波路14を伝搬する。第1マッハツェンダ部50においては、第1導波路14上に第1DC電極24が設けられた相互作用領域42において、I相信号とQ相信号との位相差をλ/4(λは光信号の波長)とする。このように、相互作用領域42は第1DC電極24に印加された電圧が第1導波路14を伝搬する光に作用する領域である。第1導波路14が結合されることにより、I相信号とQ相信号とがメイン導波路12から出力される。
【0016】
比較例1のように、第1マッハツェンダ部50と第2マッハツェンダ部52とを同一基板に集積化した場合、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが問題となる。図1において、第2マッハツェンダ部52間隔を広くするとクロストークは抑制されるがチップサイズが大きくなってしまう。
【0017】
以下、第2マッハツェンダ部間のクロストークを抑制する実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は実施例1に係る光デバイスの上面図である。図2のように、光デバイス100は、第1マッハツェンダ部50において、第1DC電極24に、DC電圧P+およびP−が印加されている。一方の第1導波路14上の第1DC電極24には電圧P−が印加され、この第1導波路14の両側の第1DC電極24には電圧P+が印加される。一方、他方の第1導波路14上の第1DC電極24には電圧P+が印加され、この第1導波路14の両側の第1DC電極24には電圧P−が印加される。第1マッハツェンダ部50の相互作用領域42の長さが相互作用長Lpである。相互作用長Lpは例えば数mmである。第1DC電極24に電圧P+およびP−を印加することにより、I相信号とQ相信号との位相差を1/4λとする。
【0019】
第2マッハツェンダ部52において、第2DC電極26に、DC電圧C1+、C1−、C2+およびC2−が印加されている。図2の上側の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16において、一方の第2導波路16上の第2DC電極26には電圧C1−が、この第2導波路16の外側の第2DC電極26には電圧C1+が印加される。他方の第2導波路16上の第2DC電極26には電圧C1+が、この第2導波路16の外側の第2DC電極26には電圧C1−が印加される。図2の下側の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26においても電圧C2+およびC2−が同様に印加される。第2マッハツェンダ部52の相互作用領域44の長さが相互作用長Lc1およびLc2である。相互作用長Lc1およびLc2は例えば数mmである。第2DC電極26に電圧C1+、C1−、C2+およびC2−を印加することにより、一対の第2マッハツェンダ部52の動作点を独立に制御することができる。また、第2マッハツェンダ部52のうち高周波電極30が設けられた第2導波路16の長さは例えば数cmである。その他の構成は、比較例1の図1と同じであり、説明を省略する。
【0020】
図3は図2のA−A断面図である。図3のように、LiNbO3またはLiTaO3等の電気光学効果を有する基板10内に光導波路(図3では第2導波路16)が設けられている。光導波路は、例えば基板10上にTi等の金属膜を形成し基板10内に熱拡散させることにより形成される。または、光導波路は、安息香酸中でプロトン交換することにより形成される。光導波路の厚さは例えば数μm、幅は例えば数μmである。基板10上には、光導波路を伝搬する光が電極(図3では第1電極26aおよび第2電極26b)に漏れることを抑制するためのバッファ層11が設けられる。バッファ層11は、例えば酸化シリコン膜であり、例えば、0.2〜2μmの膜厚である。バッファ層11上に、例えば、下からTi膜およびAu膜等の金属膜である電極が形成されている。電極の膜厚は例えば数10nmから数μmである。
【0021】
図2のように、実施例1においては、第2マッハツェンダ部52において、第2DC電極26は、第2導波路16間に設けられていない。一般的に、マッハツェンダ部において、導波路間のDC電極をなくすことは、電極の非対称を生じさせ、導波路への電界の印加効率を低下させる。この結果、DC電極に印加すべき単位長当りの電圧Vπが増加してしまう。また、図2のように、高周波電極30が設けられた第2導波路16間隔Grfに比べ、第2DC電極26が設けられた第2導波路16間隔Gc1等が狭い。このため、高周波電極30が設けられ平行な第2導波路16と第2DC電極26が設けられ平行な第2導波路16の間に位置する第2導波路16間隔が変化する変化部36が設けられている。変化部36では、第2導波路16がS字状に曲がるため光信号の損失が生じる。さらに、第2導波路16間隔Gc1等が狭いと、第2導波路16間のクロストークが生じてしまう。特に長波長側では、この現象が顕著となる。さらに、第2導波路16間隔Gc1等を狭めると、製造が不安定になりやすい。
【0022】
しかしながら、実施例1においては、クロストークが生じ難い第1マッハツェンダ部50において、第1DC電極24が少なくとも第1導波路14間と第1導波路14上とに設けられている。一方、クロストークが問題となる複数の第2マッハツェンダ部52の少なくとも1つにおいて、第2DC電極26は、第2導波路16間に設けられておらず、少なくとも第2導波路16上に設けられている。これにより、クロストークの生じ難い第1マッハツェンダ部50において、第1導波路14への電界の印加効率を向上させることができる。一方、クロストークの問題となる第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26が設けられた領域において、第2導波路16間隔Gc1、Gc2を狭くできる。よって、第2マッハツェンダ部52間隔Gmを広くすることができ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0023】
例えば、図2の構造においてシミュレーションしたところ、比較例1から実施例1とすることで、増加する第2DC電極26に印加する制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2は、3〜5%である。一方、比較例1から実施例1とすることで、クロストークによる電圧Vπは2%改善する。よって、比較例1から実施例1とすることによる制御電圧Vπの増加は2%程度である。また、実施例1では比較例1に比べクロストークを43〜52%低減できる。第2マッハツェンダ部52間の間隔Gmを広げることにより同等の効果を得ようとすると、間隔Gmを約30%広くすることになる。このように、実施例1によれば、制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2が若干大きくなるが、第2マッハツェンダ部52間の間隔Gmを縮小し、チップサイズを縮小させることができる。
【0024】
このように、第2マッハツェンダ部52では、制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2が大きくなる。そこで、複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つの第2DC電極26と第2導波路16との相互作用長Lc1およびLc2は、第1マッハツェンダ部50の第1DC電極24と第1導波路14との相互作用長Lpより大きくすることが好ましい。例えば、相互作用長Lc1およびLc2を相互作用長Lpより5%〜10%大きくする。これにより、第1マッハツェンダ部50と第2マッハツェンダ部52の制御電圧Vπを同程度とすることができる。
【0025】
また、実施例1においては、図2のように、第2DC電極26が第2導波路16上と、複数の第2マッハツェンダ部52間に設けられていることが好ましい。これにより、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0026】
第1電極26aの間隔S2が狭いと第2導波路16を伝搬する光が互いに干渉し消光比が劣化する可能性がある。一方、間隔S2を広げると電界の印加効率が劣化し制御電圧Vπが大きくなる。また、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが大きくなる。そこで、図3のように、第2DC電極26は、第2導波路16上に設けられた第1電極26aと第2導波路16の外側に設けられた第2電極26bとを備え、第1電極26a間隔S2は、第1電極26aと第2電極26bとの間隔S1より広くすることが好ましい。これにより、第2導波路16間の干渉を抑えつつ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0027】
高周波電極30が設けられた領域の第2導波路16間隔Grfは、高周波の帯域を確保するため狭くしないことが好ましい。例えば間隔Grfは数10μmであることとが好ましい。一方、第2DC電極26が設けられた領域の第2導波路16間隔Gc1は、第2マッハツェンダ部52の間隔Gmを広く確保する(例えば数100μm)ため狭い方が好ましい。例えば間隔Gc1は数μmであることとが好ましい。このように、間隔Grfは、間隔Gc1より広いことが好ましい。
【0028】
一方、第1DC電極24が設けられた領域の第1導波路14間隔Gpは、第2マッハツェンダ部52の間隔Gm程度となる。よって、間隔Gpは間隔Grfより広いことが好ましい。
【0029】
複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つの第2DC電極26の本数は、第1マッハツェンダ部50の第1DC電極24の本数より少ないことが好ましい。これにより、第2マッハツェンダ部52間の間隔Gcを広げることができ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制できる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、第2DC電極26が変化部36まで延伸した例である。図4は、実施例2に係る光デバイスの上面図である。図4の第2DC電極26cのように、第2DC電極26が変化部36まで延伸して設けられている。これにより、相互作用長を長くすることができる。
【0031】
また、変化部36では、第2導波路16間隔が広くなるため、第2導波路16上に第2DC電極26を設けても、第2導波路16に印加される電界が弱くなってしまう。そこで、平行な第2導波路16の間には第2DC電極26を設けないが、変化部36の第2導波路16間に第2DC電極26dを設けることが好ましい。これにより、電界印加効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0032】
実施例3は、一方の第2マッハツェンダ部52において、第2導波路16間に第2DC電極26が設けられている例である。図5は、実施例3に係る光デバイスの上面図である。図5のように、下側の第2マッハツェンダ部52において、第2導波路16間に第2DC電極26eが設けられている。これにより、下側の第2マッハツェンダ部52の相互作用長Lc2は上側の相互作用長Lc1より短くてもよい。また、下側の第2マッハツェンダ部52には変化部36が設けられていなくてもよい。
【0033】
実施例3のように、第2導波路16間に第2DC電極26を設けないのは、複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つであればよい。また、複数の第2マッハツェンダ部52間で相互作用長Lc1およびLc2が異なっていてもよい。
【実施例4】
【0034】
図6は、実施例4の上面図である。図6のように、複数の第2マッハツェンダ部52のうち一方(図6の下側)の第2導波路16は記第2マッハツェンダ部52のうちは他方(図6の上側)の第2導波路16より長く、高周波電極30が設けられている。例えば、実施例3の図5では、高周波電極30のうち信号電極RF1およびRF2は、ともに基板10の下側長辺から上側長辺に配線されている。一方、図6では、信号電極RF2は、基板10の下側長辺から下側長辺(つまり同じ長辺)に配線されている。このため。図6では、上側の第2マッハツェンダ部52では、信号電極RF2を上側長辺に配線するための領域60分高周波電極30の長さが短くてすむ。
【0035】
そこで、一方(下側)の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間に、第2DC電極26を設ける。また、下側の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26と第2導波路16との相互作用長Lc2を、他方(上側)の第2マッハツェンダ部52より短くする。これにより、チップ配置を効率的に行なうことができる。
【実施例5】
【0036】
図7は、実施例5の上面図である。図7を参照に、第2導波路16に沿って設けられる第2DC電極26は幅が広い方が、第2導波路16に印加される電界を高めることができる。しかし、第2マッハツェンダ部52間の第2DC電極26は幅Wbcが広いと、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが大きくなる。そこで、複数の第2マッハツェンダ部52間に設けられた領域の第2DC電極26の幅Wcbを複数の第2マッハツェンダ部52の外側に設けられた領域の第2DC電極26の幅Wcaより狭くすることができる。これにより、電界の印加効率を向上させ、クロストークを抑制できる。
【0037】
また、第1マッハツェンダ部50においては、マッハツェンダ部間のクロストークの問題がない。そこで、第1導波路14に沿って設けられた領域の第1DC電極24の幅Wpを、第2導波路16に沿って設けられた領域の第2DC電極26の幅WcaおよびWcbより広くすることができる。
【0038】
複数の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26間にグランド電極34が設けられている。これにより、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制できる。また、変化部36における第2導波路16間隔Gcは、グランド電極34と第2DC電極26間隔Ggより狭いことが好ましい。間隔Gcが間隔Ggより広いと、グランド電極34と第2DC電極26間に電界が印加されてしまうためである。なお、図7では、間隔Gcが間隔Ggより広く図示されているが、実際は間隔Gcが間隔Ggより狭い。
【0039】
高周波電極30の信号電極RF2に沿ったグランド電極Gndの幅はコプレーナ線路として機能する範囲で狭くできる。しかし、グランド電極Gndを外部と設けるボンディングパッドを設ける場合がある。実施例5においては、図7のように高周波電極30の一部32(グランド電極Gnd)が第2DC電極26側に突出している。この一部32は、例えばグランド電極Gndのボンディングパッドとして用いられる。この一部32が第2導波路16の延伸方向に直交する方向に第2DC電極26と並んで設けられることが好ましい。これにより、第2導波路16の延伸方向のチップサイズを小さくできる。
【0040】
また、一部32と並んで設けられた箇所での第2DC電極26の幅Wca2は、一部32と並んで設けられた箇所以外の第2DC電極26の幅Wcaより狭くなっていることが好ましい。これにより、例えばボンディングパットを設ける場所を確保しつつ、第2導波路16に印加される電界を大きくすることができる。
【実施例6】
【0041】
実施例6は、第2導波路16が屈曲した例である。図8は、比較例2に係る光デバイスの上面図である。図8のように、比較例2においては、チップの長さを短くするため、高周波電極30の入力側で第2導波路16が屈曲している。屈曲部38における第2導波路16の曲げ角度θin、第2導波路16の間隔Swinとすると、屈曲部38の外側の第2導波路16は内側の第2導波路16よりSwin×sin(θin)長くなる。そこで、第2導波路16の出力側で、曲げ角度θoutの屈曲部39を設ける。屈曲部39における第2導波路16の曲げ角度θout、第2導波路16の間隔Swoutとすると、屈曲部39の外側の第2導波路16は内側の第2導波路16よりSwout×sin(θout)長くなる。Swin×sin(θin)とSwout×sin(θout)とを等しくすることにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることができる。
【0042】
しかしながら、比較例2と同様に、実施例1に屈曲部39を設けると、実施例1では、Swoutが小さいため、一対の第2導波路16の長さを等しくすることが難しい。
【0043】
図9は、実施例6の上面図である。図9のように、実施例6においては、複数の第2マッハツェンダ部52の少なくとも1つは、屈曲部38において第2導波路16が屈曲している。高周波電極30が設けられた領域の第2導波路16間隔は、第2DC電極26が設けられた領域の第2導波路16間隔より広い。第2導波路16間隔が変化する変化部36において、屈曲部38において内側となる第2導波路16は曲がっており、屈曲部38において外側となる第2導波路16は直線であることが好ましい。これにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることができる。
【0044】
また、変化部36において、一対の第2導波路16間の曲率半径を異ならせる。または、一対の第2導波路16間の曲がり角度を異ならせることにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることもできる。
【実施例7】
【0045】
実施例7は、DC電極用パッドを設けた例である。図10は、実施例7に係る光デバイスの上面図である。図10のように、第1DC電極24および第2DC電極26を引き出すパッド58(例えばボンディングパッド)が第1マッハツェンダ部50横から、複数の第2マッハツェンダ部52の一部の横まで長辺に沿って設けられている。これにより、パッド58を長くすることができる。第2マッハツェンダ部52の一部横までパッド58が設けられているため、複数の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間隔S10、S20は、第1マッハツェンダ部50から離れるに従い広くなる。
【0046】
また、複数の第2マッハツェンダ部52間にグランド電極34が設けられている場合、グランド電極34の幅は、第1マッハツェンダ部50から離れるに従い広くなる。これにより、第2導波路16とグランド電極34との幅を一定に保つことができる。
【実施例8】
【0047】
実施例8は、DP−QPSK(Dual Polarization Differential Quadrature Phase Shift Keying)変調器の例である。図11は、実施例8に係る光デバイスの上面図である。図11のように、第2マッハツェンダ部52が4つ、第1マッハツェンダ部50が2つ設けられている。各第2マッハツェンダ部52は、偏波直交した信号のそれぞれI相信号およびQ相信号を強度変調している。第1DC電極24には電圧Pa+、Pa−、Pb+およびPb−が印加される。第2DC電極26には電圧C1a+、C1a−、C2a+、C2a−、C1b+、C1b−、C2b+がC2b−印加される。高周波電極30は、信号電極RF1、RF2、RF3およびRF4を含む。
【0048】
図11のように、第2マッハツェンダ部52が3つ以上並列している場合、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔S11、S12およびS13が等しく、かつ間隔S21、S22およびS23が等しくなるように設定する。例えば、第2導波路16の延伸方向にわたり、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔が全て等しくなるように設定する。これにより、各第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0049】
また、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔が全て等しくなるように設定することが難しい場合、第2マッハツェンダ部52間の第2DC電極26が設けられた第2導波路16の間隔の第2導波路16の延伸方向の平均を等しくする。これにより、各第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【実施例9】
【0050】
実施例9は、実施例1〜実施例8に係る光デバイスを含む光送信装置の例である。図12は実施例9に係る光送信装置のブロック図である。図12のように、光送信装置110は、光デバイス100およびデータ生成部102を備えている。データ生成部102で生成されたデータは、光デバイス100によりQPSK変調された光信号として光ファイバ106に出力される。
【0051】
実施例9のように、光送信装置110に実施例1〜実施例8に係る光デバイスを用いることができる。
【0052】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0053】
実施例1〜9を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
付記1:
電気光学効果を有する基板と、
前記基板に設けられたメイン導波路と、
前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、
前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、
を具備し、
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイス。
付記2:
前記第2DC電極は、前記第2導波路上と前記複数の第2マッハツェンダ部間とに設けられたことを特徴とする付記1記載の光デバイス。
付記3:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記第2導波路上に設けられた第1電極と前記第2導波路の外側に設けられた第2電極とを備え、前記第1電極の間隔は、前記第1電極と前記第2電極との間隔より広いことを特徴とする付記1または2の光デバイス。
付記4:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記第1マッハツェンダ部の第1DC電極と第1導波路との相互作用長より大きいことを特徴とする付記1から3のいずれか一項記載の光デバイス。
付記5:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの前記第2DC電極の本数は、前記第1マッハツェンダ部の前記第1DC電極の本数より少ないことを特徴とする付記1から4のいずれか一項記載の光デバイス。
付記6:
前記複数の第2マッハツェンダ部間に設けられた前記第2DC電極の幅は、前記複数の第2マッハツェンダ部の外側に設けられた前記第2DC電極より狭いことを特徴とする付記1から5のいずれか一項記載の光デバイス。
付記7:
前記第1導波路に沿って設けられた前記第1DC電極の幅は、前記第2導波路に沿って設けられた前記第2DC電極の幅より広いことを特徴とする付記1から6のいずれか一項記載の光デバイス。
付記8:
前記複数の第2マッハツェンダ部は、それぞれ前記第2導波路上に設けられ前記第2導波路に高周波電界を印加する高周波電極を備えることを特徴とする付記1から7のいずれか一項記載の光デバイス。
付記9:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする付記8記載の光デバイス。
付記10:
前記第1DC電極が設けられた領域の前記第1導波路間隔は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする付記9記載の光デバイス。
付記11:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路と前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路との間に位置する前記第2導波路間隔が変化する変化部まで延伸して設けられていることを特徴とする付記9または10記載の光デバイス。
付記12:
前記第2DC電極は、前記変化部内の前記第2導波路間に設けられていることを特徴とする付記11記載の光デバイス。
付記13:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記一方の前記第2導波路は、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち他方の前記第2導波路より長く前記高周波電極が設けられ、
前記一方の前記第2導波路間には、前記第2DC電極が設けられ、前記一方の第2マッハツェンダ部の第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記他方の第2マッハツェンダ部より短いことを特徴とする付記8から12のいずれか一項記載の光デバイス。
付記14:
前記複数の第2マッハツェンダ部間にグランド電極が設けられ、
前記変化部における前記第2導波路間隔は、前記グランド電極と前記第2DC電極間隔より広いことを特徴とする付記11記載の光デバイス。
付記15:
前記高周波電極の一部が前記第2DC電極側に突出し、前記一部は前記第2DC電極と並んで設けられていることを特徴とする付記8から14記載の光デバイス。
付記16:
前記第2DC電極は、前記一部と並んで設けられた箇所において前記箇所以外より幅が狭くなっていることを特徴とする付記15記載の光デバイス。
付記17:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つは、屈曲部において前記第2導波路が屈曲しており、
前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広く、
前記第2導波路間隔が変化する変化部において、前記屈曲部において内側となる第2導波路は曲がっており、前記屈曲部において外側となる第2導波路は直線であることを特徴とする付記8から16のいずれか一項記載の光デバイス。
付記18:
前記第1DC電極および前記第2DC電極を引き出すパッドが前記第1マッハツェンダ部横から、前記複数の第2マッハツェンダ部の一部横まで設けられ、
前記複数の第2マッハツェンダ部の一方と他方との間の前記第2導波路間隔は、前記第1マッハツェンダ部から離れるに従い広くなることを特徴とする付記1から17のいずれか一項記載の光デバイス。
付記19:
前記第2マッハツェンダ部が3つ以上設けられ、
前記第2マッハツェンダ部間の前記第2DC電極が設けられた前記第2導波路の間隔の平均は等しいことを特徴とする付記1から18のいずれか一項記載の光デバイス。
付記20:
付記1から19のいずれか一項記載の光デバイスを含む光送信装置。
【符号の説明】
【0054】
10 基板
12 メイン導波路
14 第1導波路
16 第2導波路
24 第1DC電極
26 第2DC電極
30 高周波電極
34 グランド電極
36 変化部
38 屈曲部
50 第1マッハツェンダ部
52 第2マッハツェンダ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスおよび光送信装置に関し、例えばマッハツェンダ部を備える光デバイスおよび光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、光変調器に例えばマッハツェンダ部が用いられる。マッハツェンダ干渉を用いたマッハツェンダ部においては、電気光学効果を有する基板に一対の光導波路が設けられている。電極を用い光導波路に電界を印加することにより、光導波路内の屈折率を変化させる。これにより、一対の光導波路間の位相差を変化させる。例えば、一対の光導波路を結合させ、マッハツェンダ干渉させることにより、光強度変調された信号光を出力することができる。
【0003】
QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調した信号光を出力するため、メインのマッハツェンダ部の一対の光導波路にそれぞれサブのマッハツェンダ部を接続する光変調器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このように、複数のマッハツェンダ部を1つの基板に集積化した場合、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制するため、マッハツェンダ部間の基板に溝を設けることが知られている(例えば、特許文献2)。また、基板の裏面に溝を設けることが知られている(例えば、特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許7272271号明細書
【特許文献2】特開2009−53444号公報
【特許文献3】特開2001−174766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基板に溝を設ける方法は、製造工程が増大する。また、基板の強度が小さくなる。よって、現実的な方法ではない。このように、マッハツェンダ部間のクロストークを簡単に抑制することが求められている。
【0007】
本光デバイスおよび光送信装置は、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、電気光学効果を有する基板と、前記基板に設けられたメイン導波路と、前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、を具備し、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイスを用いる。
【発明の効果】
【0009】
本光デバイスおよび光送信装置によれば、マッハツェンダ部間のクロストークを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は比較例1に係る光デバイスの上面図である。
【図2】図2は実施例1に係る光デバイスの上面図である。
【図3】図3は図2のA−A断面図である。
【図4】図4は実施例2に係る光デバイスの上面図である。
【図5】図5は実施例3に係る光デバイスの上面図である。
【図6】図6は実施例4に係る光デバイスの上面図である。
【図7】図7は実施例5に係る光デバイスの上面図である。
【図8】図8は比較例2に係る光デバイスの上面図である。
【図9】図9は実施例6に係る光デバイスの上面図である。
【図10】図10は実施例7に係る光デバイスの上面図である。
【図11】図11は実施例8に係る光デバイスの上面図である。
【図12】図12は実施例9に係る光送信装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、比較例1に係る光デバイスについて説明する。比較例1は、QPSK変調された光信号を出力するための光デバイスの例である。図1は比較例1に係る光デバイスの上面図である。図1のように、光デバイス100aは、第1マッハツェンダ部50および複数の第2マッハツェンダ部52を備えている。電気光学効果を有する基板10には、光導波路として、メイン導波路12、第1導波路14および第2導波路16が設けられている。また、基板10上に第1DC(直流)電極24、第2DC電極26および高周波電極30が設けられている。第1マッハツェンダ部50は、メイン導波路12に結合された複数の第1導波路14(図では一対)と、第1導波路14内にDC電界を発生させる第1DC電極24と、を備える。第1DC電極24は、第1導波路14上に設けられ電圧Pが印加される電極と、第1導波路14間に設けられ、グランド電圧Gndが印加される電極とを含む。
【0012】
複数の第2マッハツェンダ部52(図1では一対)は、それぞれ第1マッハツェンダ部50の第1導波路14に対応している。複数の第2マッハツェンダ部52は、それぞれ第2導波路16内にDC電界を発生させる第2DC電極26と、第2導波路16内に高周波電界を印加する高周波電極30を備えている。1つの第2マッハツェンダ部52内の複数の第2導波路16は、対応する第1導波路14に結合している。第2DC電極26は、第2導波路16上に設けられ電圧C1またはC2が印加される電極と、第2導波路16間に設けられ、グランド電圧Gndが印加される電極とを含む。高周波電極30は、第2導波路16上に設けられた信号電極RF1およびRF2と、信号電極RF1およびRF2に沿って設けられたグランド電極Gndを含む。信号電極RF1とグランド電極Gnd、信号電極RF2とグランド電極Gndとはそれぞれコプレーナ線路を形成している。
【0013】
第1マッハツェンダ部50および第2マッハツェンダ部52が形成されたチップは短冊型をしている。光導波路は、チップの長辺に沿って延伸している。
【0014】
右側(第2DC電極26と高周波電極30のうち高周波電極30側)のメイン導波路12から入力された光信号は、一対の第2マッハツェンダ部52の4つの第2導波路16に分岐される。一対の第2マッハツェンダ部52では、まず、第2導波路16上に信号電極RF1、RF2が設けられた相互作用領域46、48において、光の伝搬方向と同じ方向に伝搬する高周波信号により、光信号の位相が変調される。例えば、相互作用領域46においては、I相信号に相当する光信号の変調がなされる。相互作用領域48においては、Q相信号に相当する光信号の変調がなされる。このように、相互作用領域46、48は高周波電極30に印加された信号が第2導波路16を伝搬する光に作用する領域である。次に、第2導波路16上に第2DC電極26が設けられた相互作用領域44において、動作点が調整される。このように、相互作用領域44は第2DC電極26に印加された電圧が第2導波路16を伝搬する光に作用する領域である。第2DC電極26は一対の第2マッハツェンダ部52間で独立に電圧C2およびC1を印加できる。したがって、一対の第2マッハツェンダ部52間で動作点を独立に制御できる。第2導波路16が結合されることにより、I相信号およびQ相信号がそれぞれマッハツェンダ干渉により強度変調される。
【0015】
I相信号およびQ相信号は、それぞれ第1マッハツェンダ部50の一対の第1導波路14を伝搬する。第1マッハツェンダ部50においては、第1導波路14上に第1DC電極24が設けられた相互作用領域42において、I相信号とQ相信号との位相差をλ/4(λは光信号の波長)とする。このように、相互作用領域42は第1DC電極24に印加された電圧が第1導波路14を伝搬する光に作用する領域である。第1導波路14が結合されることにより、I相信号とQ相信号とがメイン導波路12から出力される。
【0016】
比較例1のように、第1マッハツェンダ部50と第2マッハツェンダ部52とを同一基板に集積化した場合、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが問題となる。図1において、第2マッハツェンダ部52間隔を広くするとクロストークは抑制されるがチップサイズが大きくなってしまう。
【0017】
以下、第2マッハツェンダ部間のクロストークを抑制する実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は実施例1に係る光デバイスの上面図である。図2のように、光デバイス100は、第1マッハツェンダ部50において、第1DC電極24に、DC電圧P+およびP−が印加されている。一方の第1導波路14上の第1DC電極24には電圧P−が印加され、この第1導波路14の両側の第1DC電極24には電圧P+が印加される。一方、他方の第1導波路14上の第1DC電極24には電圧P+が印加され、この第1導波路14の両側の第1DC電極24には電圧P−が印加される。第1マッハツェンダ部50の相互作用領域42の長さが相互作用長Lpである。相互作用長Lpは例えば数mmである。第1DC電極24に電圧P+およびP−を印加することにより、I相信号とQ相信号との位相差を1/4λとする。
【0019】
第2マッハツェンダ部52において、第2DC電極26に、DC電圧C1+、C1−、C2+およびC2−が印加されている。図2の上側の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16において、一方の第2導波路16上の第2DC電極26には電圧C1−が、この第2導波路16の外側の第2DC電極26には電圧C1+が印加される。他方の第2導波路16上の第2DC電極26には電圧C1+が、この第2導波路16の外側の第2DC電極26には電圧C1−が印加される。図2の下側の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26においても電圧C2+およびC2−が同様に印加される。第2マッハツェンダ部52の相互作用領域44の長さが相互作用長Lc1およびLc2である。相互作用長Lc1およびLc2は例えば数mmである。第2DC電極26に電圧C1+、C1−、C2+およびC2−を印加することにより、一対の第2マッハツェンダ部52の動作点を独立に制御することができる。また、第2マッハツェンダ部52のうち高周波電極30が設けられた第2導波路16の長さは例えば数cmである。その他の構成は、比較例1の図1と同じであり、説明を省略する。
【0020】
図3は図2のA−A断面図である。図3のように、LiNbO3またはLiTaO3等の電気光学効果を有する基板10内に光導波路(図3では第2導波路16)が設けられている。光導波路は、例えば基板10上にTi等の金属膜を形成し基板10内に熱拡散させることにより形成される。または、光導波路は、安息香酸中でプロトン交換することにより形成される。光導波路の厚さは例えば数μm、幅は例えば数μmである。基板10上には、光導波路を伝搬する光が電極(図3では第1電極26aおよび第2電極26b)に漏れることを抑制するためのバッファ層11が設けられる。バッファ層11は、例えば酸化シリコン膜であり、例えば、0.2〜2μmの膜厚である。バッファ層11上に、例えば、下からTi膜およびAu膜等の金属膜である電極が形成されている。電極の膜厚は例えば数10nmから数μmである。
【0021】
図2のように、実施例1においては、第2マッハツェンダ部52において、第2DC電極26は、第2導波路16間に設けられていない。一般的に、マッハツェンダ部において、導波路間のDC電極をなくすことは、電極の非対称を生じさせ、導波路への電界の印加効率を低下させる。この結果、DC電極に印加すべき単位長当りの電圧Vπが増加してしまう。また、図2のように、高周波電極30が設けられた第2導波路16間隔Grfに比べ、第2DC電極26が設けられた第2導波路16間隔Gc1等が狭い。このため、高周波電極30が設けられ平行な第2導波路16と第2DC電極26が設けられ平行な第2導波路16の間に位置する第2導波路16間隔が変化する変化部36が設けられている。変化部36では、第2導波路16がS字状に曲がるため光信号の損失が生じる。さらに、第2導波路16間隔Gc1等が狭いと、第2導波路16間のクロストークが生じてしまう。特に長波長側では、この現象が顕著となる。さらに、第2導波路16間隔Gc1等を狭めると、製造が不安定になりやすい。
【0022】
しかしながら、実施例1においては、クロストークが生じ難い第1マッハツェンダ部50において、第1DC電極24が少なくとも第1導波路14間と第1導波路14上とに設けられている。一方、クロストークが問題となる複数の第2マッハツェンダ部52の少なくとも1つにおいて、第2DC電極26は、第2導波路16間に設けられておらず、少なくとも第2導波路16上に設けられている。これにより、クロストークの生じ難い第1マッハツェンダ部50において、第1導波路14への電界の印加効率を向上させることができる。一方、クロストークの問題となる第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26が設けられた領域において、第2導波路16間隔Gc1、Gc2を狭くできる。よって、第2マッハツェンダ部52間隔Gmを広くすることができ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0023】
例えば、図2の構造においてシミュレーションしたところ、比較例1から実施例1とすることで、増加する第2DC電極26に印加する制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2は、3〜5%である。一方、比較例1から実施例1とすることで、クロストークによる電圧Vπは2%改善する。よって、比較例1から実施例1とすることによる制御電圧Vπの増加は2%程度である。また、実施例1では比較例1に比べクロストークを43〜52%低減できる。第2マッハツェンダ部52間の間隔Gmを広げることにより同等の効果を得ようとすると、間隔Gmを約30%広くすることになる。このように、実施例1によれば、制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2が若干大きくなるが、第2マッハツェンダ部52間の間隔Gmを縮小し、チップサイズを縮小させることができる。
【0024】
このように、第2マッハツェンダ部52では、制御電圧Vπ×相互作用長Lc1またはLc2が大きくなる。そこで、複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つの第2DC電極26と第2導波路16との相互作用長Lc1およびLc2は、第1マッハツェンダ部50の第1DC電極24と第1導波路14との相互作用長Lpより大きくすることが好ましい。例えば、相互作用長Lc1およびLc2を相互作用長Lpより5%〜10%大きくする。これにより、第1マッハツェンダ部50と第2マッハツェンダ部52の制御電圧Vπを同程度とすることができる。
【0025】
また、実施例1においては、図2のように、第2DC電極26が第2導波路16上と、複数の第2マッハツェンダ部52間に設けられていることが好ましい。これにより、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0026】
第1電極26aの間隔S2が狭いと第2導波路16を伝搬する光が互いに干渉し消光比が劣化する可能性がある。一方、間隔S2を広げると電界の印加効率が劣化し制御電圧Vπが大きくなる。また、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが大きくなる。そこで、図3のように、第2DC電極26は、第2導波路16上に設けられた第1電極26aと第2導波路16の外側に設けられた第2電極26bとを備え、第1電極26a間隔S2は、第1電極26aと第2電極26bとの間隔S1より広くすることが好ましい。これにより、第2導波路16間の干渉を抑えつつ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0027】
高周波電極30が設けられた領域の第2導波路16間隔Grfは、高周波の帯域を確保するため狭くしないことが好ましい。例えば間隔Grfは数10μmであることとが好ましい。一方、第2DC電極26が設けられた領域の第2導波路16間隔Gc1は、第2マッハツェンダ部52の間隔Gmを広く確保する(例えば数100μm)ため狭い方が好ましい。例えば間隔Gc1は数μmであることとが好ましい。このように、間隔Grfは、間隔Gc1より広いことが好ましい。
【0028】
一方、第1DC電極24が設けられた領域の第1導波路14間隔Gpは、第2マッハツェンダ部52の間隔Gm程度となる。よって、間隔Gpは間隔Grfより広いことが好ましい。
【0029】
複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つの第2DC電極26の本数は、第1マッハツェンダ部50の第1DC電極24の本数より少ないことが好ましい。これにより、第2マッハツェンダ部52間の間隔Gcを広げることができ、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制できる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、第2DC電極26が変化部36まで延伸した例である。図4は、実施例2に係る光デバイスの上面図である。図4の第2DC電極26cのように、第2DC電極26が変化部36まで延伸して設けられている。これにより、相互作用長を長くすることができる。
【0031】
また、変化部36では、第2導波路16間隔が広くなるため、第2導波路16上に第2DC電極26を設けても、第2導波路16に印加される電界が弱くなってしまう。そこで、平行な第2導波路16の間には第2DC電極26を設けないが、変化部36の第2導波路16間に第2DC電極26dを設けることが好ましい。これにより、電界印加効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0032】
実施例3は、一方の第2マッハツェンダ部52において、第2導波路16間に第2DC電極26が設けられている例である。図5は、実施例3に係る光デバイスの上面図である。図5のように、下側の第2マッハツェンダ部52において、第2導波路16間に第2DC電極26eが設けられている。これにより、下側の第2マッハツェンダ部52の相互作用長Lc2は上側の相互作用長Lc1より短くてもよい。また、下側の第2マッハツェンダ部52には変化部36が設けられていなくてもよい。
【0033】
実施例3のように、第2導波路16間に第2DC電極26を設けないのは、複数の第2マッハツェンダ部52のうち少なくとも1つであればよい。また、複数の第2マッハツェンダ部52間で相互作用長Lc1およびLc2が異なっていてもよい。
【実施例4】
【0034】
図6は、実施例4の上面図である。図6のように、複数の第2マッハツェンダ部52のうち一方(図6の下側)の第2導波路16は記第2マッハツェンダ部52のうちは他方(図6の上側)の第2導波路16より長く、高周波電極30が設けられている。例えば、実施例3の図5では、高周波電極30のうち信号電極RF1およびRF2は、ともに基板10の下側長辺から上側長辺に配線されている。一方、図6では、信号電極RF2は、基板10の下側長辺から下側長辺(つまり同じ長辺)に配線されている。このため。図6では、上側の第2マッハツェンダ部52では、信号電極RF2を上側長辺に配線するための領域60分高周波電極30の長さが短くてすむ。
【0035】
そこで、一方(下側)の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間に、第2DC電極26を設ける。また、下側の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26と第2導波路16との相互作用長Lc2を、他方(上側)の第2マッハツェンダ部52より短くする。これにより、チップ配置を効率的に行なうことができる。
【実施例5】
【0036】
図7は、実施例5の上面図である。図7を参照に、第2導波路16に沿って設けられる第2DC電極26は幅が広い方が、第2導波路16に印加される電界を高めることができる。しかし、第2マッハツェンダ部52間の第2DC電極26は幅Wbcが広いと、第2マッハツェンダ部52間のクロストークが大きくなる。そこで、複数の第2マッハツェンダ部52間に設けられた領域の第2DC電極26の幅Wcbを複数の第2マッハツェンダ部52の外側に設けられた領域の第2DC電極26の幅Wcaより狭くすることができる。これにより、電界の印加効率を向上させ、クロストークを抑制できる。
【0037】
また、第1マッハツェンダ部50においては、マッハツェンダ部間のクロストークの問題がない。そこで、第1導波路14に沿って設けられた領域の第1DC電極24の幅Wpを、第2導波路16に沿って設けられた領域の第2DC電極26の幅WcaおよびWcbより広くすることができる。
【0038】
複数の第2マッハツェンダ部52の第2DC電極26間にグランド電極34が設けられている。これにより、第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制できる。また、変化部36における第2導波路16間隔Gcは、グランド電極34と第2DC電極26間隔Ggより狭いことが好ましい。間隔Gcが間隔Ggより広いと、グランド電極34と第2DC電極26間に電界が印加されてしまうためである。なお、図7では、間隔Gcが間隔Ggより広く図示されているが、実際は間隔Gcが間隔Ggより狭い。
【0039】
高周波電極30の信号電極RF2に沿ったグランド電極Gndの幅はコプレーナ線路として機能する範囲で狭くできる。しかし、グランド電極Gndを外部と設けるボンディングパッドを設ける場合がある。実施例5においては、図7のように高周波電極30の一部32(グランド電極Gnd)が第2DC電極26側に突出している。この一部32は、例えばグランド電極Gndのボンディングパッドとして用いられる。この一部32が第2導波路16の延伸方向に直交する方向に第2DC電極26と並んで設けられることが好ましい。これにより、第2導波路16の延伸方向のチップサイズを小さくできる。
【0040】
また、一部32と並んで設けられた箇所での第2DC電極26の幅Wca2は、一部32と並んで設けられた箇所以外の第2DC電極26の幅Wcaより狭くなっていることが好ましい。これにより、例えばボンディングパットを設ける場所を確保しつつ、第2導波路16に印加される電界を大きくすることができる。
【実施例6】
【0041】
実施例6は、第2導波路16が屈曲した例である。図8は、比較例2に係る光デバイスの上面図である。図8のように、比較例2においては、チップの長さを短くするため、高周波電極30の入力側で第2導波路16が屈曲している。屈曲部38における第2導波路16の曲げ角度θin、第2導波路16の間隔Swinとすると、屈曲部38の外側の第2導波路16は内側の第2導波路16よりSwin×sin(θin)長くなる。そこで、第2導波路16の出力側で、曲げ角度θoutの屈曲部39を設ける。屈曲部39における第2導波路16の曲げ角度θout、第2導波路16の間隔Swoutとすると、屈曲部39の外側の第2導波路16は内側の第2導波路16よりSwout×sin(θout)長くなる。Swin×sin(θin)とSwout×sin(θout)とを等しくすることにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることができる。
【0042】
しかしながら、比較例2と同様に、実施例1に屈曲部39を設けると、実施例1では、Swoutが小さいため、一対の第2導波路16の長さを等しくすることが難しい。
【0043】
図9は、実施例6の上面図である。図9のように、実施例6においては、複数の第2マッハツェンダ部52の少なくとも1つは、屈曲部38において第2導波路16が屈曲している。高周波電極30が設けられた領域の第2導波路16間隔は、第2DC電極26が設けられた領域の第2導波路16間隔より広い。第2導波路16間隔が変化する変化部36において、屈曲部38において内側となる第2導波路16は曲がっており、屈曲部38において外側となる第2導波路16は直線であることが好ましい。これにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることができる。
【0044】
また、変化部36において、一対の第2導波路16間の曲率半径を異ならせる。または、一対の第2導波路16間の曲がり角度を異ならせることにより、一対の第2導波路16の長さを等しくすることもできる。
【実施例7】
【0045】
実施例7は、DC電極用パッドを設けた例である。図10は、実施例7に係る光デバイスの上面図である。図10のように、第1DC電極24および第2DC電極26を引き出すパッド58(例えばボンディングパッド)が第1マッハツェンダ部50横から、複数の第2マッハツェンダ部52の一部の横まで長辺に沿って設けられている。これにより、パッド58を長くすることができる。第2マッハツェンダ部52の一部横までパッド58が設けられているため、複数の第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間隔S10、S20は、第1マッハツェンダ部50から離れるに従い広くなる。
【0046】
また、複数の第2マッハツェンダ部52間にグランド電極34が設けられている場合、グランド電極34の幅は、第1マッハツェンダ部50から離れるに従い広くなる。これにより、第2導波路16とグランド電極34との幅を一定に保つことができる。
【実施例8】
【0047】
実施例8は、DP−QPSK(Dual Polarization Differential Quadrature Phase Shift Keying)変調器の例である。図11は、実施例8に係る光デバイスの上面図である。図11のように、第2マッハツェンダ部52が4つ、第1マッハツェンダ部50が2つ設けられている。各第2マッハツェンダ部52は、偏波直交した信号のそれぞれI相信号およびQ相信号を強度変調している。第1DC電極24には電圧Pa+、Pa−、Pb+およびPb−が印加される。第2DC電極26には電圧C1a+、C1a−、C2a+、C2a−、C1b+、C1b−、C2b+がC2b−印加される。高周波電極30は、信号電極RF1、RF2、RF3およびRF4を含む。
【0048】
図11のように、第2マッハツェンダ部52が3つ以上並列している場合、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔S11、S12およびS13が等しく、かつ間隔S21、S22およびS23が等しくなるように設定する。例えば、第2導波路16の延伸方向にわたり、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔が全て等しくなるように設定する。これにより、各第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【0049】
また、各第2マッハツェンダ部52の第2導波路16間の間隔が全て等しくなるように設定することが難しい場合、第2マッハツェンダ部52間の第2DC電極26が設けられた第2導波路16の間隔の第2導波路16の延伸方向の平均を等しくする。これにより、各第2マッハツェンダ部52間のクロストークを抑制することができる。
【実施例9】
【0050】
実施例9は、実施例1〜実施例8に係る光デバイスを含む光送信装置の例である。図12は実施例9に係る光送信装置のブロック図である。図12のように、光送信装置110は、光デバイス100およびデータ生成部102を備えている。データ生成部102で生成されたデータは、光デバイス100によりQPSK変調された光信号として光ファイバ106に出力される。
【0051】
実施例9のように、光送信装置110に実施例1〜実施例8に係る光デバイスを用いることができる。
【0052】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0053】
実施例1〜9を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
付記1:
電気光学効果を有する基板と、
前記基板に設けられたメイン導波路と、
前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、
前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、
を具備し、
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイス。
付記2:
前記第2DC電極は、前記第2導波路上と前記複数の第2マッハツェンダ部間とに設けられたことを特徴とする付記1記載の光デバイス。
付記3:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記第2導波路上に設けられた第1電極と前記第2導波路の外側に設けられた第2電極とを備え、前記第1電極の間隔は、前記第1電極と前記第2電極との間隔より広いことを特徴とする付記1または2の光デバイス。
付記4:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記第1マッハツェンダ部の第1DC電極と第1導波路との相互作用長より大きいことを特徴とする付記1から3のいずれか一項記載の光デバイス。
付記5:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの前記第2DC電極の本数は、前記第1マッハツェンダ部の前記第1DC電極の本数より少ないことを特徴とする付記1から4のいずれか一項記載の光デバイス。
付記6:
前記複数の第2マッハツェンダ部間に設けられた前記第2DC電極の幅は、前記複数の第2マッハツェンダ部の外側に設けられた前記第2DC電極より狭いことを特徴とする付記1から5のいずれか一項記載の光デバイス。
付記7:
前記第1導波路に沿って設けられた前記第1DC電極の幅は、前記第2導波路に沿って設けられた前記第2DC電極の幅より広いことを特徴とする付記1から6のいずれか一項記載の光デバイス。
付記8:
前記複数の第2マッハツェンダ部は、それぞれ前記第2導波路上に設けられ前記第2導波路に高周波電界を印加する高周波電極を備えることを特徴とする付記1から7のいずれか一項記載の光デバイス。
付記9:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする付記8記載の光デバイス。
付記10:
前記第1DC電極が設けられた領域の前記第1導波路間隔は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする付記9記載の光デバイス。
付記11:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路と前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路との間に位置する前記第2導波路間隔が変化する変化部まで延伸して設けられていることを特徴とする付記9または10記載の光デバイス。
付記12:
前記第2DC電極は、前記変化部内の前記第2導波路間に設けられていることを特徴とする付記11記載の光デバイス。
付記13:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記一方の前記第2導波路は、前記複数の第2マッハツェンダ部のうち他方の前記第2導波路より長く前記高周波電極が設けられ、
前記一方の前記第2導波路間には、前記第2DC電極が設けられ、前記一方の第2マッハツェンダ部の第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記他方の第2マッハツェンダ部より短いことを特徴とする付記8から12のいずれか一項記載の光デバイス。
付記14:
前記複数の第2マッハツェンダ部間にグランド電極が設けられ、
前記変化部における前記第2導波路間隔は、前記グランド電極と前記第2DC電極間隔より広いことを特徴とする付記11記載の光デバイス。
付記15:
前記高周波電極の一部が前記第2DC電極側に突出し、前記一部は前記第2DC電極と並んで設けられていることを特徴とする付記8から14記載の光デバイス。
付記16:
前記第2DC電極は、前記一部と並んで設けられた箇所において前記箇所以外より幅が狭くなっていることを特徴とする付記15記載の光デバイス。
付記17:
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つは、屈曲部において前記第2導波路が屈曲しており、
前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広く、
前記第2導波路間隔が変化する変化部において、前記屈曲部において内側となる第2導波路は曲がっており、前記屈曲部において外側となる第2導波路は直線であることを特徴とする付記8から16のいずれか一項記載の光デバイス。
付記18:
前記第1DC電極および前記第2DC電極を引き出すパッドが前記第1マッハツェンダ部横から、前記複数の第2マッハツェンダ部の一部横まで設けられ、
前記複数の第2マッハツェンダ部の一方と他方との間の前記第2導波路間隔は、前記第1マッハツェンダ部から離れるに従い広くなることを特徴とする付記1から17のいずれか一項記載の光デバイス。
付記19:
前記第2マッハツェンダ部が3つ以上設けられ、
前記第2マッハツェンダ部間の前記第2DC電極が設けられた前記第2導波路の間隔の平均は等しいことを特徴とする付記1から18のいずれか一項記載の光デバイス。
付記20:
付記1から19のいずれか一項記載の光デバイスを含む光送信装置。
【符号の説明】
【0054】
10 基板
12 メイン導波路
14 第1導波路
16 第2導波路
24 第1DC電極
26 第2DC電極
30 高周波電極
34 グランド電極
36 変化部
38 屈曲部
50 第1マッハツェンダ部
52 第2マッハツェンダ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板に設けられたメイン導波路と、
前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、
前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、
を具備し、
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第2DC電極は、前記第2導波路上と前記複数の第2マッハツェンダ部間とに設けられたことを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項3】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記第1マッハツェンダ部の第1DC電極と第1導波路との相互作用長より大きいことを特徴とする請求項1または2記載の光デバイス。
【請求項4】
前記複数の第2マッハツェンダ部間に設けられた前記第2DC電極の幅は、前記複数の第2マッハツェンダ部の外側に設けられた前記第2DC電極より狭いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項5】
前記複数の第2マッハツェンダ部は、それぞれ前記第2導波路上に設けられ前記第2導波路に高周波電界を印加する高周波電極を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項6】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする請求項5記載の光デバイス。
【請求項7】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路と前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路との間に位置する前記第2導波路間隔が変化する変化部まで延伸して設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の光デバイス。
【請求項8】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つは、屈曲部において前記第2導波路が屈曲しており、
前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広く、
前記第2導波路間隔が変化する変化部において、前記屈曲部において内側となる第2導波路は曲がっており、前記屈曲部において外側となる第2導波路は直線であることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第1DC電極および前記第2DC電極を引き出すパッドが前記第1マッハツェンダ部横から、前記複数の第2マッハツェンダ部の一部横まで設けられ、
前記複数の第2マッハツェンダ部の一方と他方との間の前記第2導波路間隔は、前記第1マッハツェンダ部から離れるに従い広くなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載の光デバイスを含む光送信装置。
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板に設けられたメイン導波路と、
前記基板に設けられ前記メイン導波路に結合された複数の第1導波路と、少なくとも前記第1導波路間と前記第1導波路上とに設けられ前記第1導波路内にDC電界を発生させる第1DC電極と、を備える第1マッハツェンダ部と、
前記第1導波路それぞれに対応し、前記基板に設けられ前記第1導波路のそれぞれに複数結合された第2導波路と、前記第2導波路内にDC電界を発生させる第2DC電極と、を備える複数の第2マッハツェンダ部と、
を具備し、
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち少なくとも1つは、前記第2DC電極が前記第2導波路間に設けられておらず少なくとも前記第2導波路上に設けられていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第2DC電極は、前記第2導波路上と前記複数の第2マッハツェンダ部間とに設けられたことを特徴とする請求項1記載の光デバイス。
【請求項3】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つの第2DC電極と第2導波路との相互作用長は、前記第1マッハツェンダ部の第1DC電極と第1導波路との相互作用長より大きいことを特徴とする請求項1または2記載の光デバイス。
【請求項4】
前記複数の第2マッハツェンダ部間に設けられた前記第2DC電極の幅は、前記複数の第2マッハツェンダ部の外側に設けられた前記第2DC電極より狭いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項5】
前記複数の第2マッハツェンダ部は、それぞれ前記第2導波路上に設けられ前記第2導波路に高周波電界を印加する高周波電極を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項6】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広いことを特徴とする請求項5記載の光デバイス。
【請求項7】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つにおいて、前記第2DC電極は、前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路と前記第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路との間に位置する前記第2導波路間隔が変化する変化部まで延伸して設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の光デバイス。
【請求項8】
前記複数の第2マッハツェンダ部のうち前記少なくとも1つは、屈曲部において前記第2導波路が屈曲しており、
前記高周波電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔は、第2DC電極が設けられた領域の前記第2導波路間隔より広く、
前記第2導波路間隔が変化する変化部において、前記屈曲部において内側となる第2導波路は曲がっており、前記屈曲部において外側となる第2導波路は直線であることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第1DC電極および前記第2DC電極を引き出すパッドが前記第1マッハツェンダ部横から、前記複数の第2マッハツェンダ部の一部横まで設けられ、
前記複数の第2マッハツェンダ部の一方と他方との間の前記第2導波路間隔は、前記第1マッハツェンダ部から離れるに従い広くなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の光デバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載の光デバイスを含む光送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−158652(P2011−158652A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19347(P2010−19347)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
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