光ピックアップ
【課題】複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップにおいて、3ビーム法でトラッキングエラー信号を正確に検出しつつ、低コスト化と小型化を図る。
【解決手段】2種類の対物レンズ11、12を光ディスクの径方向Raに配列し、ビーム光を反射させる光学膜F1、F3とビーム光を反射させまたは透過させる光学膜F2とが設けられた光束反射透過部材16を対物レンズ11、12の光ディスクと反対側に配置し、レーザダイオード1、4から発射されたビーム光を光束反射透過部材16に光ディスクの接線方向Taより入射させる。光束反射透過部材16に入射したビーム光を光学膜F1で反射させて径方向Raへ曲げ、該ビーム光のうち、BD用ビーム光を光学膜F2で反射させてBD用対物レンズ11へ入射させ、DVD/CD用ビーム光を光学膜F2で透過させた後、光学膜F3で反射させてDVD/CD用対物レンズ12へ入射させる。
【解決手段】2種類の対物レンズ11、12を光ディスクの径方向Raに配列し、ビーム光を反射させる光学膜F1、F3とビーム光を反射させまたは透過させる光学膜F2とが設けられた光束反射透過部材16を対物レンズ11、12の光ディスクと反対側に配置し、レーザダイオード1、4から発射されたビーム光を光束反射透過部材16に光ディスクの接線方向Taより入射させる。光束反射透過部材16に入射したビーム光を光学膜F1で反射させて径方向Raへ曲げ、該ビーム光のうち、BD用ビーム光を光学膜F2で反射させてBD用対物レンズ11へ入射させ、DVD/CD用ビーム光を光学膜F2で透過させた後、光学膜F3で反射させてDVD/CD用対物レンズ12へ入射させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップの光学系の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップには、例えばBD(Blu-ray Disc;登録商標)やDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)等の光ディスクに応じた複数種類の対物レンズを備えたものがある(例えば、下記の特許文献1〜5参照)。この種の光ピックアップは、光源から光ディスクの種類に応じたビーム光を発射し、該ビーム光を光ディスクの種類に応じた対物レンズで光ディスク上に集光して、光ディスクに対して情報の再生や記録を行う。軸摺動型の光ピックアップでは、複数の対物レンズを軸回りに回転させて、各ビーム光を入射させる対物レンズを切り替えている。また、ワイヤサスペンション型や板ばね支持型等の光ピックアップでは、各ビーム光の光路を光学部品で分離して、対応する対物レンズに入射させている。
【0003】
例えば特許文献1では、2種類の対物レンズの下方に偏光ビームスプリッタとミラーを配置し、ビーム光のS偏光成分を偏光ビームスプリッタで反射させて一方の対物レンズに入射させ、P偏光成分を偏光ビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献2では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、偏光性光束分離素子および光路変換素子であるビームスプリッタ付プリズムを対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの接線方向と厚み方向に配列し、ビーム光の一部をビームスプリッタ付プリズムの偏光面で透過させて一方の対物レンズに入射させ、ビーム光の別の一部をビームスプリッタ付プリズムの偏光面と反射面で反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0004】
また、特許文献3では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、ビームスプリッタとミラーとから成る光束分離立ち上げ部を対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの接線方向と厚み方向に配列し、波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光をビームスプリッタで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光をビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献4では、2種類の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、液晶素子または偏光ビームスプリッタとミラーから成る光路切り替えユニットを対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの径方向に配列し、一方のビーム光を液晶素子または偏光ビームスプリッタで反射して一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光を液晶素子または偏光ビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0005】
さらに、特許文献5では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、各対物レンズの下方に異なる高さでミラーを配置し、独立した2つの光学系ブロックを各ミラーと光ディスクの接線方向に並ぶように配置し、各光学系ブロックから出射された波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光を一方のミラーで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光を他方のミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献5では、対物レンズの下方にビームスプリッタ兼ミラーと別のミラーを配置し、光学系ブロックから出射された波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光をビームスプリッタ兼ミラーで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光をビームスプリッタ兼ミラーで透過させた後、別のミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−212905号公報
【特許文献2】特許第3031220号公報
【特許文献3】特開2005−327338号公報
【特許文献4】特開2006−24351号公報
【特許文献5】特開2004−295983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、軸摺動型の光ピックアップでは、対物レンズを回転させる複雑な機構が必要となり、その回転精度を高くしなければならないので、コストが高くなってしまう。また、特許文献2、3、5のように2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列した場合は、トラッキングエラー信号を原理的に単純で安定度が高い3ビーム法で検出しようとしても、光ディスクのトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が各対物レンズで異なるので、少なくとも一方の対物レンズでメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができなくなり、トラッキングエラー信号を正確に検出できなくなってしまう。また、特許文献1〜5のように多数の光学部品を光ディスクの接線方向や径方向や厚み方向に一直線に配列した場合は、該配列方向に光ピックアップが大型化してしまう。さらに、特許文献5のように光ディスクの種類に応じて独立した複数の光学系を設けた場合は、部品点数が多くなって、コストが高くなり、光ピックアップが大型化してしまう。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するものであって、その課題とするところは、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップにおいて、3ビーム法でトラッキングエラー信号を正確に検出しつつ、低コスト化と小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、光束反射透過部材を第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、光源から発射されたビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させる。そして、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、一方のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、他方のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。または、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、一方のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、他方のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。
【0010】
このようにすると、光源から発射された各ビーム光の光路を光束反射透過部材により光ディスクの接線方向から径方向と厚み方向へ曲げつつ分離して、光ディスクの種類に応じて各ビーム光を各対物レンズに入射させることができる。このため、対物レンズの可動構造として、比較的構造が簡単で製造し易いワイヤサスペンション型または板ばね支持型を採用し、かつ各対物レンズに対して他の光学部品を共通化して、光ピックアップの低コスト化を図ることが可能となる。また、光束反射透過部材の第1および第3の光学膜はビーム光を反射させるだけなので、該光学膜の構成枚数が少なくなり、設計と製造が容易になり、より低コスト化を図ることができる。また、2種類の対物レンズを光ディスクの径方向に配列するので、トラッキングエラー信号の検出方法として、原理的に単純で安定度が高い3ビーム法を採用しても、光ディスクのトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が両方の対物レンズで同一になって、両方の対物レンズでメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができ、トラッキングエラー信号を正確に検出することが可能となる。さらに、光ディスクの径方向に対物レンズを配列し、光ディスクの厚み方向に対物レンズと光束反射透過部材を配列し、ビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させるために、光ディスクの接線方向にそれ以外の光学部品を配列すればよいので、光ディスクの径方向と厚み方向と接線方向へ配列する部品点数がそれぞれ少なくなり、光ピックアップの小型化を図ることが可能となる。特に、各ビーム光の光路を第1の光学膜で光ディスクの接線方向から径方向へ曲げる光束反射透過部材の場合は、厚み方向の占有スペースを小さくして、光ピックアップのより小型化を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、第1、第2、および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る。これにより、各光学膜の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る。これにより、既存のミラーを用いて、より低コスト化を図ることができる。また、ミラーと複合プリズムの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。さらに、第2および第3の光学膜の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラーから成る。これにより、既存のミラーを用いて、一層低コスト化を図ることができる。また、各ミラーの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。
【0014】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材の第2の光学膜は、各ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成る。特許文献1、2、4のようにビーム光の光路を偏光により分離する場合は、偏光ビームスプリッタ等の偏光面の膜の構成枚数が多くなるので、波面収差が大きくなり、該膜の設計と製造が困難になり、コストが高くなってしまう。然るに、上記構成によると、各ビーム光の光路を第2の光学膜で波長により分離するので、該光学膜の構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0015】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射する。光束反射透過部材の第2の光学膜は、第1のビーム光を反射させ、第2および第3のビーム光を透過させる。または、光束反射透過部材の第2の光学膜は、第1のビーム光を透過させ、第2および第3のビーム光を反射させる。これにより、第1のビーム光と第2および第3のビーム光とを第2の光学膜で波長により反射と透過に分離して、対応する対物レンズにそれぞれ入射させることができる。また、光束反射透過部材に第2の光学膜として、波長の短い第1のビーム光を透過させる光学膜を設けるより、第1のビーム光を反射させる光学膜を設ける方が、第2の光学膜の枚数が少なくなって、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の典型的な実施形態では、BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、第1の光学膜と第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を備え、第1の光学膜と第3の光学膜は、ビーム光を反射させる全反射膜から成り、第2の光学膜は、ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、光束反射透過部材を第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、光源から発射されたビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させる。そして、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、第1のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、第2または第3のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。または、第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を備え、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、第2または第3のビーム光を第2の光学膜で透過させて第2の対物レンズへ入射させ、第1のビーム光を第2の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げた後、第3の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させる。
【0017】
このようにすると、各対物レンズで3ビーム法によりトラッキングエラー信号を正確に検出することと、光ピックアップの低コスト化と小型化を図ることとが可能となる。また、1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を用いることで、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。また、1つのミラーと1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を用いることで、既存のミラーを用いてより低コスト化を図り、ミラーと複合プリズムの取り付けの位置や角度を独立に調節し、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。さらに、光束反射透過部材の第1および第3の光学膜が全反射膜から成り、第2の光学膜が波長の短い第1のビーム光を反射するダイクロイック膜から成るので、各光学膜の構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層の低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップにおいて、3ビーム法でトラッキングエラー信号を正確に検出しつつ、低コスト化と小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ10を示す図である。光ピックアップ10は、BD、DVD、またはCDの各光ディスク30に対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う。光ディスク30は、光ピックアップ10の上方に設置される。30aは光ディスク30の外周縁であり、30bは光ディスク30の内周縁であり、30cは光ディスク30の中心である。送り台21は、リードスクリュー41とガイドシャフト42に支持されている。リードスクリュー41とガイドシャフト42は、光ディスク30の径方向Raと平行になっている。固定部22は、送り台21上に固定されている。固定部22には、ワイヤまたは板ばねから成る弾性部材24がディスク30の接線方向Taと平行に取り付けられている。弾性部材24は、可動部23を片持ち状に支持している。図では、便宜上、光ディスク30の接線方向Taと径方向Raの一方側を指し示すように矢印を付けている。
【0020】
可動部23には、2種類の対物レンズ11、12が取り付けられている。対物レンズ11、12の光軸は、静止状態で光ディスク30の厚み方向と平行になる。BD用対物レンズ11は、BDに応じたBD用ビーム光をBD上に集光する。DVD/CD用対物レンズ12は、DVDに応じたDVD用ビーム光またはCDに応じたCD用ビーム光をDVD上またはCD上に集光する。対物レンズ11、12は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。
【0021】
可動部23の両側面には、磁石25が取り付けられている。送り台21上には、磁石25と対向するようにフォーカスコイル26とトラッキングコイル27が取り付けられている。磁石25とフォーカスコイル26の磁力により、可動部23と対物レンズ11、12はフォーカシング方向(ディスク30の厚み方向)へ微小に往復移動する。磁石25とトラッキングコイル27の磁力により、可動部23と対物レンズ11、12はトラッキング方向(ディスク30の径方向Ra)へ微小に往復移動する。つまり、光ピックアップ10の対物レンズ11、12の可動構造は、ワイヤサスペンション型または板ばね支持型である。リードスクリュー41とガイドシャフト42と図示しないモータとギヤ群とから成る送り機構によって送り台21が送られることにより、光ピックアップ10は光ディスク30の径方向Raへ往復移動する。
【0022】
図2は、光ピックアップ10の光学系を示す図である。図示していないが、光ディスク30は対物レンズ11、12の上方に設置される。DVD/CD用対物レンズ12は、BD用対物レンズ11より光ディスク30の内周側に配置されている。BD用レーザダイオード1、BD用回折格子2、BD用λ/2板3、ダイクロイックプリズム7、および前方散乱光検出器15は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。DVD/CD用レーザダイオード4、DVD/CD用回折格子5、DVD/CD用λ/2板6、ダイクロイックプリズム7、偏光ビームスプリッタ8、λ/4板9、コリメートレンズ17、および光束反射透過部材16は、光ディスク30の接線方向Taに配列されている。光束反射透過部材16と各対物レンズ11、12は、光ディスク30の厚み方向Thに配列されている。偏光ビームスプリッタ8、シリンドリカルレンズ13、および光検出器14は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。
【0023】
BD用レーザダイオード1は、BDに応じたBD用ビーム光を発射する光源である。DVD/CD用レーザダイオード4は、DVDに応じたDVD用ビーム光とCDに応じたCD用ビーム光とを発射する光源である。BD用ビーム光は、405nmの波長を有する青色光である。DVD用ビーム光は、650nmの波長を有する赤色光である。CD用ビーム光は、780nmの波長を有する近赤外光である。つまり、波長の順位は短い方からBD用ビーム、DVD用ビーム光、CD用ビーム光の順となる。光ピックアップ10に備わる図示しない制御部は、設置された光ディスク30の種類に応じて、レーザダイオード1、4からいずれかのビーム光を発射させる。
【0024】
一点鎖線で示すようにBD用レーザダイオード1から径方向Raに発射されたBD用ビーム光は、BD用回折格子2、BD用λ/2板3、およびダイクロイックプリズム7を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。この際、BD用ビーム光は、BD用回折格子2によりメインビームとサブビーム(±1次回折光)に分けられ、BD用λ/2板3により偏光方向を90°回転させられ、ダイクロイックプリズム7により光路を接線方向Taに曲げられる。また、BD用ビーム光の散乱光が前方散乱光検出器15に受光される。前方散乱光検出器15は、受光した散乱光を電気信号に変換して、該光量を示す信号を検出し、光ピックアップ10の制御部へ出力する。光ピックアップ10の制御部は、前方散乱光検出器15から出力される光量信号に基づいて、BD用レーザダイオード1の駆動を制御して、発射するBD用ビーム光のパワーを一定に保つ。
【0025】
二点鎖線で示すようにDVD/CD用レーザダイオード4から接線方向Taに発射されたDVD/CD用ビーム光(DVD用ビーム光またはCD用ビーム光)は、DVD/CD用回折格子5、DVD/CD用λ/2板6、およびダイクロイックプリズム7を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。この際、DVD/CD用ビーム光は、DVD/CD用回折格子5によりメインビームとサブビームに分けられ、DVD/CD用λ/2板6により偏光方向を90°回転させられる。BD用レーザダイオード1からのBD用ビーム光の光路と、DVD/CD用レーザダイオード4からのDVD/CD用ビーム光の光路は、ダイクロイックプリズム7で一致する。
【0026】
ダイクロイックプリズム7から偏光ビームスプリッタ8に入射したBD/DVD/CD用ビーム光(BD用ビーム光、DVD用ビーム光、またはCD用ビーム光)は、偏光ビームスプリッタ8を透過した後、λ/4板9を透過して偏光方向を45°回転させられ、コリメートレンズ17を透過して平行光に変換され、光束反射透過部材16に接線方向Taから入射する。光束反射透過部材16は、1つの複合プリズム16aから成る。光束反射透過部材16に入射したBD/DVD/CD用ビーム光は、後述するように光束反射透過部材16により光路を接線方向Taから径方向Raと厚み方向Thへ曲げられつつ分離される。そして、BD用ビーム光は、光束反射透過部材16からBD用対物レンズ11に入射して、BD用対物レンズ11によりBDから成る光ディスク30上に集光される。DVD/CD用ビーム光は、光束反射透過部材16からDVD/CD用対物レンズ12に入射して、DVD/CD用対物レンズ12によりDVDまたはCDから成る光ディスク30上に集光される。
【0027】
BD/DVD/CD用ビーム光が光ディスク30の記録層で反射すると、該反射光は、光束反射透過部材16により光路を厚み方向Thから径方向Raと接線方向Taへ曲げられつつ一致させられ、コリメートレンズ17とλ/4板9を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。そして、反射光は、偏光ビームスプリッタ8により光路を接線方向Taから径方向Raに曲げられ、シリンドリカルレンズ13を透過して、光検出器14に受光される。光検出器14は、受光した反射光を電気信号に変換して、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、再生信号、およびその他の収差や光量に関する信号を検出し、光ピックアップ10の制御部へ出力する。フォーカスエラー信号は、非点収差法により検出される。トラッキングエラー信号は、3ビーム法により検出される。光ピックアップ10の制御部は、光検出器14から出力される各信号に基づいて、フォーカスやトラッキングのサーボを行いつつ、各光ディスク30に対して情報の再生または記録を行う。
【0028】
図3は、光束反射透過部材16を示す図である。詳しくは、図3(a)は、光束反射透過部材16の上面図(対物レンズ11、12側から見た図)である。図3(b)は、光束反射透過部材16の側面図(コリメートレンズ17側から見た図)である。図3では、BD/DVD/CD用ビーム光の光軸を実線で示し、BD用ビーム光の光軸を一点鎖線で示し、DVD/CD用ビーム光の光軸を二点鎖線で示している。上述した図2、後述する図4、図5、図7、図8、図10〜図12、および図14も同様である。
【0029】
光束反射透過部材16を構成する複合プリズム16aには、3つの光学膜F1〜F3が一体的に設けられている。第1光学膜F1と第3光学膜F3は、BD/DVD/CD用ビーム光を全て反射させる全反射膜から成る。第2光学膜F2は、BD/DVD/CD用ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成る。具体的には、第2光学膜F2は、波長選択膜の一例であるダイクロイック膜から成り、波長の短いBD用ビーム光を反射させ、波長の長いDVD/CD用ビーム光を透過させる。第1光学膜F1は、光ディスク30の接線方向Taと径方向Raに対して45°の角度で、かつコリメートレンズ17(図2)と光学膜F2、F3に向き合うように設けられている。第2光学膜F2と第3光学膜F3は、光ディスク30の径方向Raと厚みThに対して45°の角度で、かつ第1光学膜F1と各対物レンズ11、12(図2)に向き合うように設けられている。光学膜F1〜F3は、光ディスク30の外周縁30aから内周縁30bに向かう径方向Raへ、第1光学膜F1、第2光学膜F2、第3光学膜F3の順で配列されている。
【0030】
コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図3の(a)に実線で示すように複合プリズム16aに接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(b)に示すように第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図6は、上記の光学膜F1〜F3の特性を一覧表示した図である。
【0031】
上記では、1つの複合プリズム16aから成る光束反射透過部材16を用いたが、これに代えて、図4に示すように1つのミラー16bと1つの複合プリズム16cとから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16bには、第1光学膜F1が一体的に設けられている。複合プリズム16cには、第2光学膜F2と第3光学膜F3とが一体的に設けられている。光学膜F1〜F3の構成、機能、および設置状態は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図4の(a)に実線で示すようにミラー16bの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(a)、(b)に示すように複合プリズム16cおよび第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。上記の光学膜F1〜F3の特性は図6に示すとおりである。
【0032】
また、上記に代えて、図5に示すように3つのミラー16d〜16fから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16d〜16fには、第1光学膜F1、第2光学膜F2、および第3光学膜F3がそれぞれ一体的に設けられている。光学膜F1〜F3の構成、機能、および設置状態は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図5の(a)に実線で示すようにミラー16dの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(a)、(b)に示すようにミラー16eの第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、ミラー16fの第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。上記の光学膜F1〜F3の特性は図6に示すとおりである。
【0033】
さらに、上記に代えて、図7および図8に示すように1つのミラー16gと1つの複合プリズム16hとから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16gと前述した光学部品4〜9、17は、光ディスク30の接線方向Taに配列されている。ミラー16g、複合プリズム16h、および対物レンズ11、12は、光ディスク30の厚み方向Thに配列されている。ミラー16gには、第1光学膜F1が設けられている。複合プリズム16hには、第2光学膜F2と第3光学膜F3とが設けられている。第1光学膜F1は、光ディスク30の接線方向Taと厚み方向Thに対して45°の角度で、かつコリメートレンズ17と第2光学膜F2に向き合うように設けられている。第2光学膜F2は、光ディスク30の径方向Raと厚み方向Thに対して45°の角度で、かつ第1光学膜F1と第3光学膜F3とに向き合うように設けられている。第3光学膜F3は、第2光学膜F2より光ディスク30の内周側に、第2光学膜F2と平行で、かつ第2光学膜F2に向き合うように設けられている。光学膜F1〜F3の構成および機能は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。
【0034】
上記の場合、図7に示すように複合プリズム16hの第2光学膜F2の上方(光ディスク30側)にDVD/CD用対物レンズ12を配置し、第3光学膜F3の上方にBD用対物レンズ11を配置する。つまり、BD用対物レンズ11がDVD/CD用対物レンズ12より光ディスク30の内周側に位置するように、対物レンズ11、12を光ディスク30の径方向Raに配列する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図8の(a)、(b)に実線と破線で示すようにミラー16gの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、(b)に示すように複合プリズム16hの第2光学膜F2に入射する。そして、DVD/CD用ビーム光は、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過して、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD用ビーム光は、(a)、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して径方向Raへ90°曲げられ、複合プリズム16hの第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図9は、上記の光学膜F1〜F3の特性を一覧表示した図である。
【0035】
上記では、波長の短いBD用ビーム光を反射させかつ波長の長いDVD/CD用ビーム光を透過させる第2光学膜F2を光束反射透過部材16に設けたが、これに代えて、図10〜図15に示すように波長の短いBD用ビーム光を透過させかつ波長の長いDVD/CD用ビーム光を反射させる第2光学膜F2aを光束反射透過部材16に設けてもよい。第2光学膜F2aは、ダイクロイック膜から成る。
【0036】
図10に示すように複合プリズム16aに第2光学膜F2aを設けた場合や、図11に示すように複合プリズム16cに第2光学膜F2aを設けた場合や、図12に示すようにミラー16eに第2光学膜F2aを設けた場合は、図7に示したように対物レンズ11、12を配列して、第2光学膜F2aの上方にDVD/CD用対物レンズ12を配置し、第3光学膜F3の上方にBD用対物レンズ11を配置する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図10〜図12の(a)に実線で示すように第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、各図の(a)、(b)に示すように第2光学膜F2aに入射する。そして、DVD/CD用ビーム光は、各図の(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2aで反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD用ビーム光は、各図の(a)、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2aを透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図13は、上記の光学膜F1、F2a、F3の特性を一覧表示した図である。
【0037】
また、図14に示すように複合プリズム16hに第2光学膜F2aを設けた場合は、図2に示したように対物レンズ11、12を配列して、第2光学膜F2aの上方にBD用対物レンズ11を配置し、第3光学膜F3の上方にDVD/CD用対物レンズ12を配置する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図14の(a)、(b)に実線と破線で示すように第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、(b)に示すように第2光学膜F2aに入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2aを透過して、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2aで反射して径方向Raへ90°曲げられ、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図15は、上記の光学膜F1、F2a、F3の特性を一覧表示した図である。
【0038】
以上によると、レーザダイオード1、4から発射されたBD/DVD/CD用ビーム光の光路を光束反射透過部材16により光ディスク30の接線方向Taから径方向Raと厚み方向Thへ曲げつつ分離して、光ディスク30の種類に応じて各ビーム光を各対物レンズ11、12に入射させることができる。このため、対物レンズ11、12の可動構造として、比較的構造が簡単で製造し易いワイヤサスペンション型または板ばね支持型を採用し、かつ各対物レンズ11、12に対して他の光学部品7〜9、13、14、16、17等を共通化して、光ピックアップ10の低コスト化を図ることが可能となる。また、光束反射透過部材16の第1光学膜F1と第3光学膜F3はビーム光を反射させるだけなので、該光学膜F1、F3の構成枚数が少なくなり、設計と製造が容易になり、より低コスト化を図ることができる。
【0039】
また、2種類の対物レンズ11、12を光ディスク30の径方向Raに配列するので、トラッキングエラー信号の検出方法として、原理的に単純で安定度が高い3ビーム法を採用しても、光ディスク30のトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が両方の対物レンズ11、12で同一になって、両方の対物レンズ11、12でメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができ、トラッキングエラー信号を正確に検出することが可能となる。
【0040】
また、光ディスク30の径方向Raに対物レンズ11、12を配列し、光ディスク30の厚み方向Thに対物レンズ11、12と光束反射透過部材16を配列し、ビーム光を光束反射透過部材16に光ディスク30の接線方向Taより入射させるために、接線方向Taにそれ以外の光学部品4〜9、17等を配列すればよいので、径方向Raと厚み方向Thと接線方向Taへ配列する部品点数がそれぞれ少なくなり、光ピックアップ10の小型化を図ることが可能となる。特に、図3〜図5と図10〜図12に示したように各ビーム光の光路を第1光学膜F1で接線方向Taから径方向Raへ曲げる光束反射透過部材16の場合は、厚み方向Thの占有スペースを小さくして、光ピックアップ10のより小型化を図ることが可能となる。
【0041】
また、図3と図10に示したように3つの光学膜F1〜F3が全て一体的に設けられた1つの複合プリズム16aから成る光束反射透過部材16を用いることで、各光学膜F1〜F3の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材16の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0042】
また、図4、図8、図11、および図14に示したように第1光学膜F1が一体的に設けられた1つのミラー16b/16gと、第2光学膜F2/F2aおよび第3光学膜F3が一体的に設けられた1つの複合プリズム16c/16hとから成る光束反射透過部材16を用いることで、ミラー16b/16gとして既存のミラーを用いて、より低コスト化を図ることができる。また、ミラー16b/16gと複合プリズム16c/16hの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。さらに、第2光学膜F2/F2aと第3光学膜F3の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材16の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0043】
また、図5と図12に示したように3つの光学膜F1〜F3がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラー16d〜16fから成る光束反射透過部材16を用いることで、ミラー16d〜16fとして既存のミラーを用いて、一層低コスト化を図ることができる。また、各ミラー16d〜16fの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。
【0044】
また、特許文献1、2、4のようにビーム光の光路を偏光により分離する場合は、偏光ビームスプリッタ等の偏光面の膜の構成枚数が多くなるので、波面収差が大きくなり、該膜の設計と製造が困難になり、コストが高くなってしまう。然るに、上述したように光束反射透過部材16の第2光学膜F2/F2aで各ビーム光の光路を波長により分離すると、該光学膜F2/F2aの構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。特に、第2光学膜F2/F2aをダイクロイック膜から構成することで、より一層、該光学膜F2/F2aの構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0045】
さらに、光束反射透過部材16に第2光学膜として、図10〜図12と図14に示したように波長の短いBD用ビーム光を透過させる光学膜F2aを設けるより、図3〜図5と図8に示したようにBD用ビーム光を反射させる光学膜F2を設ける方が、第2光学膜の枚数が少なくなって、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0046】
本発明は、以上の実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、1つの複合プリズム、1つのミラーと1つの複合プリズム、または3つのミラーから光束反射透過部材を構成した例を挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、これ以外に、例えば2つのミラーと1つのプリズム、2つのプリズムと1つのミラー、または3つのプリズム等から光束反射透過部材を構成するようにしてもよい。また、ミラーとプリズム以外の光学部品から光束反射透過部材を構成するようにしてもよい。
【0047】
また、以上の実施形態では、BD用レーザ光を発射する1つのレーザダイオード1と、DVD用レーザ光およびCD用レーザ光を発射する1つのレーザダイオード4とを光源として用いた例を挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、これ以外に、例えばBD用レーザ光、DVD用レーザ光、およびCD用レーザ光を全て発射する1つのレーザダイオード等を光源として用いてもよい。また、2種類または4種類以上の光ディスクに対応する2種類または4種類以上のレーザ光を発射する1つまたは複数のレーザダイオード等の光源を用いるようにしてもよい。
【0048】
さらに、以上の実施形態では、BD、DVD、CDという3種類の光ディスクに対して情報の再生や記録が可能な光ピックアップに本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、BD、DVD、CD、またはこれら以外の光ディスクのうち、少なくとも2種類以上の光ディスクに対して情報の再生や記録が可能な光ピックアップにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】光ピックアップを示す図である。
【図2】光ピックアップの光学系を示す図である。
【図3】光束反射透過部材を示す図である。
【図4】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図5】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図6】光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図7】光ピックアップの他の光学系を示す図である。
【図8】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図9】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図10】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図11】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図12】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図13】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図14】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図15】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 BD用レーザダイオード
4 DVD/CD用レーザダイオード
11 BD用対物レンズ
12 DVD/CD用対物レンズ
16 光束反射透過部材
16a、16c、16h 複合プリズム
16b、16d、16e、16f、16g ミラー
10 光ピックアップ
30 光ディスク
F1 第1光学膜
F2、F2a 第2光学膜
F3 第3光学膜
Ra 光ディスクの径方向
Ta 光ディスクの接線方向
Th 光ディスクの厚み方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップの光学系の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップには、例えばBD(Blu-ray Disc;登録商標)やDVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)等の光ディスクに応じた複数種類の対物レンズを備えたものがある(例えば、下記の特許文献1〜5参照)。この種の光ピックアップは、光源から光ディスクの種類に応じたビーム光を発射し、該ビーム光を光ディスクの種類に応じた対物レンズで光ディスク上に集光して、光ディスクに対して情報の再生や記録を行う。軸摺動型の光ピックアップでは、複数の対物レンズを軸回りに回転させて、各ビーム光を入射させる対物レンズを切り替えている。また、ワイヤサスペンション型や板ばね支持型等の光ピックアップでは、各ビーム光の光路を光学部品で分離して、対応する対物レンズに入射させている。
【0003】
例えば特許文献1では、2種類の対物レンズの下方に偏光ビームスプリッタとミラーを配置し、ビーム光のS偏光成分を偏光ビームスプリッタで反射させて一方の対物レンズに入射させ、P偏光成分を偏光ビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献2では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、偏光性光束分離素子および光路変換素子であるビームスプリッタ付プリズムを対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの接線方向と厚み方向に配列し、ビーム光の一部をビームスプリッタ付プリズムの偏光面で透過させて一方の対物レンズに入射させ、ビーム光の別の一部をビームスプリッタ付プリズムの偏光面と反射面で反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0004】
また、特許文献3では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、ビームスプリッタとミラーとから成る光束分離立ち上げ部を対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの接線方向と厚み方向に配列し、波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光をビームスプリッタで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光をビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献4では、2種類の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、液晶素子または偏光ビームスプリッタとミラーから成る光路切り替えユニットを対物レンズの下方に配置し、その他の光学部品を光ディスクの径方向に配列し、一方のビーム光を液晶素子または偏光ビームスプリッタで反射して一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光を液晶素子または偏光ビームスプリッタで透過させた後、ミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0005】
さらに、特許文献5では、2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列し、各対物レンズの下方に異なる高さでミラーを配置し、独立した2つの光学系ブロックを各ミラーと光ディスクの接線方向に並ぶように配置し、各光学系ブロックから出射された波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光を一方のミラーで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光を他方のミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。また、特許文献5では、対物レンズの下方にビームスプリッタ兼ミラーと別のミラーを配置し、光学系ブロックから出射された波長の異なるビーム光のうち、一方のビーム光をビームスプリッタ兼ミラーで反射させて一方の対物レンズに入射させ、他方のビーム光をビームスプリッタ兼ミラーで透過させた後、別のミラーで反射させて他方の対物レンズに入射させている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−212905号公報
【特許文献2】特許第3031220号公報
【特許文献3】特開2005−327338号公報
【特許文献4】特開2006−24351号公報
【特許文献5】特開2004−295983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、軸摺動型の光ピックアップでは、対物レンズを回転させる複雑な機構が必要となり、その回転精度を高くしなければならないので、コストが高くなってしまう。また、特許文献2、3、5のように2種類の対物レンズを光ディスクの接線方向に配列した場合は、トラッキングエラー信号を原理的に単純で安定度が高い3ビーム法で検出しようとしても、光ディスクのトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が各対物レンズで異なるので、少なくとも一方の対物レンズでメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができなくなり、トラッキングエラー信号を正確に検出できなくなってしまう。また、特許文献1〜5のように多数の光学部品を光ディスクの接線方向や径方向や厚み方向に一直線に配列した場合は、該配列方向に光ピックアップが大型化してしまう。さらに、特許文献5のように光ディスクの種類に応じて独立した複数の光学系を設けた場合は、部品点数が多くなって、コストが高くなり、光ピックアップが大型化してしまう。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するものであって、その課題とするところは、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップにおいて、3ビーム法でトラッキングエラー信号を正確に検出しつつ、低コスト化と小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、光束反射透過部材を第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、光源から発射されたビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させる。そして、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、一方のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、他方のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。または、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、一方のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、他方のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。
【0010】
このようにすると、光源から発射された各ビーム光の光路を光束反射透過部材により光ディスクの接線方向から径方向と厚み方向へ曲げつつ分離して、光ディスクの種類に応じて各ビーム光を各対物レンズに入射させることができる。このため、対物レンズの可動構造として、比較的構造が簡単で製造し易いワイヤサスペンション型または板ばね支持型を採用し、かつ各対物レンズに対して他の光学部品を共通化して、光ピックアップの低コスト化を図ることが可能となる。また、光束反射透過部材の第1および第3の光学膜はビーム光を反射させるだけなので、該光学膜の構成枚数が少なくなり、設計と製造が容易になり、より低コスト化を図ることができる。また、2種類の対物レンズを光ディスクの径方向に配列するので、トラッキングエラー信号の検出方法として、原理的に単純で安定度が高い3ビーム法を採用しても、光ディスクのトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が両方の対物レンズで同一になって、両方の対物レンズでメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができ、トラッキングエラー信号を正確に検出することが可能となる。さらに、光ディスクの径方向に対物レンズを配列し、光ディスクの厚み方向に対物レンズと光束反射透過部材を配列し、ビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させるために、光ディスクの接線方向にそれ以外の光学部品を配列すればよいので、光ディスクの径方向と厚み方向と接線方向へ配列する部品点数がそれぞれ少なくなり、光ピックアップの小型化を図ることが可能となる。特に、各ビーム光の光路を第1の光学膜で光ディスクの接線方向から径方向へ曲げる光束反射透過部材の場合は、厚み方向の占有スペースを小さくして、光ピックアップのより小型化を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、第1、第2、および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る。これにより、各光学膜の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る。これにより、既存のミラーを用いて、より低コスト化を図ることができる。また、ミラーと複合プリズムの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。さらに、第2および第3の光学膜の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラーから成る。これにより、既存のミラーを用いて、一層低コスト化を図ることができる。また、各ミラーの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。
【0014】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光束反射透過部材の第2の光学膜は、各ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成る。特許文献1、2、4のようにビーム光の光路を偏光により分離する場合は、偏光ビームスプリッタ等の偏光面の膜の構成枚数が多くなるので、波面収差が大きくなり、該膜の設計と製造が困難になり、コストが高くなってしまう。然るに、上記構成によると、各ビーム光の光路を第2の光学膜で波長により分離するので、該光学膜の構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0015】
また、本発明では、上記光ピックアップにおいて、光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射する。光束反射透過部材の第2の光学膜は、第1のビーム光を反射させ、第2および第3のビーム光を透過させる。または、光束反射透過部材の第2の光学膜は、第1のビーム光を透過させ、第2および第3のビーム光を反射させる。これにより、第1のビーム光と第2および第3のビーム光とを第2の光学膜で波長により反射と透過に分離して、対応する対物レンズにそれぞれ入射させることができる。また、光束反射透過部材に第2の光学膜として、波長の短い第1のビーム光を透過させる光学膜を設けるより、第1のビーム光を反射させる光学膜を設ける方が、第2の光学膜の枚数が少なくなって、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の典型的な実施形態では、BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、第1の光学膜と第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を備え、第1の光学膜と第3の光学膜は、ビーム光を反射させる全反射膜から成り、第2の光学膜は、ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、光束反射透過部材を第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、光源から発射されたビーム光を光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させる。そして、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、第1のビーム光を第2の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させ、第2または第3のビーム光を第2の光学膜で透過させた後、第3の光学膜で反射させて第2の対物レンズへ入射させる。または、第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を備え、光束反射透過部材は、入射したビーム光を第1の光学膜で反射させて光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、第2または第3のビーム光を第2の光学膜で透過させて第2の対物レンズへ入射させ、第1のビーム光を第2の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げた後、第3の光学膜で反射させて第1の対物レンズへ入射させる。
【0017】
このようにすると、各対物レンズで3ビーム法によりトラッキングエラー信号を正確に検出することと、光ピックアップの低コスト化と小型化を図ることとが可能となる。また、1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を用いることで、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。また、1つのミラーと1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を用いることで、既存のミラーを用いてより低コスト化を図り、ミラーと複合プリズムの取り付けの位置や角度を独立に調節し、光束反射透過部材の精度と組み立て性を向上させることができる。さらに、光束反射透過部材の第1および第3の光学膜が全反射膜から成り、第2の光学膜が波長の短い第1のビーム光を反射するダイクロイック膜から成るので、各光学膜の構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層の低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類の対物レンズを備えた光ピックアップにおいて、3ビーム法でトラッキングエラー信号を正確に検出しつつ、低コスト化と小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ10を示す図である。光ピックアップ10は、BD、DVD、またはCDの各光ディスク30に対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う。光ディスク30は、光ピックアップ10の上方に設置される。30aは光ディスク30の外周縁であり、30bは光ディスク30の内周縁であり、30cは光ディスク30の中心である。送り台21は、リードスクリュー41とガイドシャフト42に支持されている。リードスクリュー41とガイドシャフト42は、光ディスク30の径方向Raと平行になっている。固定部22は、送り台21上に固定されている。固定部22には、ワイヤまたは板ばねから成る弾性部材24がディスク30の接線方向Taと平行に取り付けられている。弾性部材24は、可動部23を片持ち状に支持している。図では、便宜上、光ディスク30の接線方向Taと径方向Raの一方側を指し示すように矢印を付けている。
【0020】
可動部23には、2種類の対物レンズ11、12が取り付けられている。対物レンズ11、12の光軸は、静止状態で光ディスク30の厚み方向と平行になる。BD用対物レンズ11は、BDに応じたBD用ビーム光をBD上に集光する。DVD/CD用対物レンズ12は、DVDに応じたDVD用ビーム光またはCDに応じたCD用ビーム光をDVD上またはCD上に集光する。対物レンズ11、12は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。
【0021】
可動部23の両側面には、磁石25が取り付けられている。送り台21上には、磁石25と対向するようにフォーカスコイル26とトラッキングコイル27が取り付けられている。磁石25とフォーカスコイル26の磁力により、可動部23と対物レンズ11、12はフォーカシング方向(ディスク30の厚み方向)へ微小に往復移動する。磁石25とトラッキングコイル27の磁力により、可動部23と対物レンズ11、12はトラッキング方向(ディスク30の径方向Ra)へ微小に往復移動する。つまり、光ピックアップ10の対物レンズ11、12の可動構造は、ワイヤサスペンション型または板ばね支持型である。リードスクリュー41とガイドシャフト42と図示しないモータとギヤ群とから成る送り機構によって送り台21が送られることにより、光ピックアップ10は光ディスク30の径方向Raへ往復移動する。
【0022】
図2は、光ピックアップ10の光学系を示す図である。図示していないが、光ディスク30は対物レンズ11、12の上方に設置される。DVD/CD用対物レンズ12は、BD用対物レンズ11より光ディスク30の内周側に配置されている。BD用レーザダイオード1、BD用回折格子2、BD用λ/2板3、ダイクロイックプリズム7、および前方散乱光検出器15は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。DVD/CD用レーザダイオード4、DVD/CD用回折格子5、DVD/CD用λ/2板6、ダイクロイックプリズム7、偏光ビームスプリッタ8、λ/4板9、コリメートレンズ17、および光束反射透過部材16は、光ディスク30の接線方向Taに配列されている。光束反射透過部材16と各対物レンズ11、12は、光ディスク30の厚み方向Thに配列されている。偏光ビームスプリッタ8、シリンドリカルレンズ13、および光検出器14は、光ディスク30の径方向Raに配列されている。
【0023】
BD用レーザダイオード1は、BDに応じたBD用ビーム光を発射する光源である。DVD/CD用レーザダイオード4は、DVDに応じたDVD用ビーム光とCDに応じたCD用ビーム光とを発射する光源である。BD用ビーム光は、405nmの波長を有する青色光である。DVD用ビーム光は、650nmの波長を有する赤色光である。CD用ビーム光は、780nmの波長を有する近赤外光である。つまり、波長の順位は短い方からBD用ビーム、DVD用ビーム光、CD用ビーム光の順となる。光ピックアップ10に備わる図示しない制御部は、設置された光ディスク30の種類に応じて、レーザダイオード1、4からいずれかのビーム光を発射させる。
【0024】
一点鎖線で示すようにBD用レーザダイオード1から径方向Raに発射されたBD用ビーム光は、BD用回折格子2、BD用λ/2板3、およびダイクロイックプリズム7を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。この際、BD用ビーム光は、BD用回折格子2によりメインビームとサブビーム(±1次回折光)に分けられ、BD用λ/2板3により偏光方向を90°回転させられ、ダイクロイックプリズム7により光路を接線方向Taに曲げられる。また、BD用ビーム光の散乱光が前方散乱光検出器15に受光される。前方散乱光検出器15は、受光した散乱光を電気信号に変換して、該光量を示す信号を検出し、光ピックアップ10の制御部へ出力する。光ピックアップ10の制御部は、前方散乱光検出器15から出力される光量信号に基づいて、BD用レーザダイオード1の駆動を制御して、発射するBD用ビーム光のパワーを一定に保つ。
【0025】
二点鎖線で示すようにDVD/CD用レーザダイオード4から接線方向Taに発射されたDVD/CD用ビーム光(DVD用ビーム光またはCD用ビーム光)は、DVD/CD用回折格子5、DVD/CD用λ/2板6、およびダイクロイックプリズム7を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。この際、DVD/CD用ビーム光は、DVD/CD用回折格子5によりメインビームとサブビームに分けられ、DVD/CD用λ/2板6により偏光方向を90°回転させられる。BD用レーザダイオード1からのBD用ビーム光の光路と、DVD/CD用レーザダイオード4からのDVD/CD用ビーム光の光路は、ダイクロイックプリズム7で一致する。
【0026】
ダイクロイックプリズム7から偏光ビームスプリッタ8に入射したBD/DVD/CD用ビーム光(BD用ビーム光、DVD用ビーム光、またはCD用ビーム光)は、偏光ビームスプリッタ8を透過した後、λ/4板9を透過して偏光方向を45°回転させられ、コリメートレンズ17を透過して平行光に変換され、光束反射透過部材16に接線方向Taから入射する。光束反射透過部材16は、1つの複合プリズム16aから成る。光束反射透過部材16に入射したBD/DVD/CD用ビーム光は、後述するように光束反射透過部材16により光路を接線方向Taから径方向Raと厚み方向Thへ曲げられつつ分離される。そして、BD用ビーム光は、光束反射透過部材16からBD用対物レンズ11に入射して、BD用対物レンズ11によりBDから成る光ディスク30上に集光される。DVD/CD用ビーム光は、光束反射透過部材16からDVD/CD用対物レンズ12に入射して、DVD/CD用対物レンズ12によりDVDまたはCDから成る光ディスク30上に集光される。
【0027】
BD/DVD/CD用ビーム光が光ディスク30の記録層で反射すると、該反射光は、光束反射透過部材16により光路を厚み方向Thから径方向Raと接線方向Taへ曲げられつつ一致させられ、コリメートレンズ17とλ/4板9を透過して、偏光ビームスプリッタ8に入射する。そして、反射光は、偏光ビームスプリッタ8により光路を接線方向Taから径方向Raに曲げられ、シリンドリカルレンズ13を透過して、光検出器14に受光される。光検出器14は、受光した反射光を電気信号に変換して、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、再生信号、およびその他の収差や光量に関する信号を検出し、光ピックアップ10の制御部へ出力する。フォーカスエラー信号は、非点収差法により検出される。トラッキングエラー信号は、3ビーム法により検出される。光ピックアップ10の制御部は、光検出器14から出力される各信号に基づいて、フォーカスやトラッキングのサーボを行いつつ、各光ディスク30に対して情報の再生または記録を行う。
【0028】
図3は、光束反射透過部材16を示す図である。詳しくは、図3(a)は、光束反射透過部材16の上面図(対物レンズ11、12側から見た図)である。図3(b)は、光束反射透過部材16の側面図(コリメートレンズ17側から見た図)である。図3では、BD/DVD/CD用ビーム光の光軸を実線で示し、BD用ビーム光の光軸を一点鎖線で示し、DVD/CD用ビーム光の光軸を二点鎖線で示している。上述した図2、後述する図4、図5、図7、図8、図10〜図12、および図14も同様である。
【0029】
光束反射透過部材16を構成する複合プリズム16aには、3つの光学膜F1〜F3が一体的に設けられている。第1光学膜F1と第3光学膜F3は、BD/DVD/CD用ビーム光を全て反射させる全反射膜から成る。第2光学膜F2は、BD/DVD/CD用ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成る。具体的には、第2光学膜F2は、波長選択膜の一例であるダイクロイック膜から成り、波長の短いBD用ビーム光を反射させ、波長の長いDVD/CD用ビーム光を透過させる。第1光学膜F1は、光ディスク30の接線方向Taと径方向Raに対して45°の角度で、かつコリメートレンズ17(図2)と光学膜F2、F3に向き合うように設けられている。第2光学膜F2と第3光学膜F3は、光ディスク30の径方向Raと厚みThに対して45°の角度で、かつ第1光学膜F1と各対物レンズ11、12(図2)に向き合うように設けられている。光学膜F1〜F3は、光ディスク30の外周縁30aから内周縁30bに向かう径方向Raへ、第1光学膜F1、第2光学膜F2、第3光学膜F3の順で配列されている。
【0030】
コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図3の(a)に実線で示すように複合プリズム16aに接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(b)に示すように第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図6は、上記の光学膜F1〜F3の特性を一覧表示した図である。
【0031】
上記では、1つの複合プリズム16aから成る光束反射透過部材16を用いたが、これに代えて、図4に示すように1つのミラー16bと1つの複合プリズム16cとから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16bには、第1光学膜F1が一体的に設けられている。複合プリズム16cには、第2光学膜F2と第3光学膜F3とが一体的に設けられている。光学膜F1〜F3の構成、機能、および設置状態は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図4の(a)に実線で示すようにミラー16bの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(a)、(b)に示すように複合プリズム16cおよび第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。上記の光学膜F1〜F3の特性は図6に示すとおりである。
【0032】
また、上記に代えて、図5に示すように3つのミラー16d〜16fから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16d〜16fには、第1光学膜F1、第2光学膜F2、および第3光学膜F3がそれぞれ一体的に設けられている。光学膜F1〜F3の構成、機能、および設置状態は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図5の(a)に実線で示すようにミラー16dの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、(a)、(b)に示すようにミラー16eの第2光学膜F2に入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して厚み向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過し、ミラー16fの第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。上記の光学膜F1〜F3の特性は図6に示すとおりである。
【0033】
さらに、上記に代えて、図7および図8に示すように1つのミラー16gと1つの複合プリズム16hとから成る光束反射透過部材16を用いてもよい。ミラー16gと前述した光学部品4〜9、17は、光ディスク30の接線方向Taに配列されている。ミラー16g、複合プリズム16h、および対物レンズ11、12は、光ディスク30の厚み方向Thに配列されている。ミラー16gには、第1光学膜F1が設けられている。複合プリズム16hには、第2光学膜F2と第3光学膜F3とが設けられている。第1光学膜F1は、光ディスク30の接線方向Taと厚み方向Thに対して45°の角度で、かつコリメートレンズ17と第2光学膜F2に向き合うように設けられている。第2光学膜F2は、光ディスク30の径方向Raと厚み方向Thに対して45°の角度で、かつ第1光学膜F1と第3光学膜F3とに向き合うように設けられている。第3光学膜F3は、第2光学膜F2より光ディスク30の内周側に、第2光学膜F2と平行で、かつ第2光学膜F2に向き合うように設けられている。光学膜F1〜F3の構成および機能は、上述したのと同様であり、重複説明を省略する。
【0034】
上記の場合、図7に示すように複合プリズム16hの第2光学膜F2の上方(光ディスク30側)にDVD/CD用対物レンズ12を配置し、第3光学膜F3の上方にBD用対物レンズ11を配置する。つまり、BD用対物レンズ11がDVD/CD用対物レンズ12より光ディスク30の内周側に位置するように、対物レンズ11、12を光ディスク30の径方向Raに配列する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図8の(a)、(b)に実線と破線で示すようにミラー16gの第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、(b)に示すように複合プリズム16hの第2光学膜F2に入射する。そして、DVD/CD用ビーム光は、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2を透過して、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD用ビーム光は、(a)、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2で反射して径方向Raへ90°曲げられ、複合プリズム16hの第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図9は、上記の光学膜F1〜F3の特性を一覧表示した図である。
【0035】
上記では、波長の短いBD用ビーム光を反射させかつ波長の長いDVD/CD用ビーム光を透過させる第2光学膜F2を光束反射透過部材16に設けたが、これに代えて、図10〜図15に示すように波長の短いBD用ビーム光を透過させかつ波長の長いDVD/CD用ビーム光を反射させる第2光学膜F2aを光束反射透過部材16に設けてもよい。第2光学膜F2aは、ダイクロイック膜から成る。
【0036】
図10に示すように複合プリズム16aに第2光学膜F2aを設けた場合や、図11に示すように複合プリズム16cに第2光学膜F2aを設けた場合や、図12に示すようにミラー16eに第2光学膜F2aを設けた場合は、図7に示したように対物レンズ11、12を配列して、第2光学膜F2aの上方にDVD/CD用対物レンズ12を配置し、第3光学膜F3の上方にBD用対物レンズ11を配置する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図10〜図12の(a)に実線で示すように第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して径方向Raへ90°曲げられて、各図の(a)、(b)に示すように第2光学膜F2aに入射する。そして、DVD/CD用ビーム光は、各図の(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2aで反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD用ビーム光は、各図の(a)、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2aを透過し、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、BD用対物レンズ11に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図13は、上記の光学膜F1、F2a、F3の特性を一覧表示した図である。
【0037】
また、図14に示すように複合プリズム16hに第2光学膜F2aを設けた場合は、図2に示したように対物レンズ11、12を配列して、第2光学膜F2aの上方にBD用対物レンズ11を配置し、第3光学膜F3の上方にDVD/CD用対物レンズ12を配置する。これにより、コリメートレンズ17から出射したBD/DVD/CD用ビーム光は、図14の(a)、(b)に実線と破線で示すように第1光学膜F1に接線方向Taから入射し、第1光学膜F1で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、(b)に示すように第2光学膜F2aに入射する。そして、BD用ビーム光は、(b)に一点鎖線で示すように第2光学膜F2aを透過して、BD用対物レンズ11に入射する。DVD/CD用ビーム光は、(a)、(b)に二点鎖線で示すように第2光学膜F2aで反射して径方向Raへ90°曲げられ、第3光学膜F3で反射して厚み方向Thへ90°曲げられて、DVD/CD用対物レンズ12に入射する。BD/DVD/CD用ビーム光の光ディスク30からの反射光は、上記と逆の順序でコリメートレンズ17に入射する。図15は、上記の光学膜F1、F2a、F3の特性を一覧表示した図である。
【0038】
以上によると、レーザダイオード1、4から発射されたBD/DVD/CD用ビーム光の光路を光束反射透過部材16により光ディスク30の接線方向Taから径方向Raと厚み方向Thへ曲げつつ分離して、光ディスク30の種類に応じて各ビーム光を各対物レンズ11、12に入射させることができる。このため、対物レンズ11、12の可動構造として、比較的構造が簡単で製造し易いワイヤサスペンション型または板ばね支持型を採用し、かつ各対物レンズ11、12に対して他の光学部品7〜9、13、14、16、17等を共通化して、光ピックアップ10の低コスト化を図ることが可能となる。また、光束反射透過部材16の第1光学膜F1と第3光学膜F3はビーム光を反射させるだけなので、該光学膜F1、F3の構成枚数が少なくなり、設計と製造が容易になり、より低コスト化を図ることができる。
【0039】
また、2種類の対物レンズ11、12を光ディスク30の径方向Raに配列するので、トラッキングエラー信号の検出方法として、原理的に単純で安定度が高い3ビーム法を採用しても、光ディスク30のトラックに対するメインビームとサブビームのスポットの並び方向の角度が両方の対物レンズ11、12で同一になって、両方の対物レンズ11、12でメインビームとサブビームを全て同一周のトラック上に照射することができ、トラッキングエラー信号を正確に検出することが可能となる。
【0040】
また、光ディスク30の径方向Raに対物レンズ11、12を配列し、光ディスク30の厚み方向Thに対物レンズ11、12と光束反射透過部材16を配列し、ビーム光を光束反射透過部材16に光ディスク30の接線方向Taより入射させるために、接線方向Taにそれ以外の光学部品4〜9、17等を配列すればよいので、径方向Raと厚み方向Thと接線方向Taへ配列する部品点数がそれぞれ少なくなり、光ピックアップ10の小型化を図ることが可能となる。特に、図3〜図5と図10〜図12に示したように各ビーム光の光路を第1光学膜F1で接線方向Taから径方向Raへ曲げる光束反射透過部材16の場合は、厚み方向Thの占有スペースを小さくして、光ピックアップ10のより小型化を図ることが可能となる。
【0041】
また、図3と図10に示したように3つの光学膜F1〜F3が全て一体的に設けられた1つの複合プリズム16aから成る光束反射透過部材16を用いることで、各光学膜F1〜F3の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材16の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0042】
また、図4、図8、図11、および図14に示したように第1光学膜F1が一体的に設けられた1つのミラー16b/16gと、第2光学膜F2/F2aおよび第3光学膜F3が一体的に設けられた1つの複合プリズム16c/16hとから成る光束反射透過部材16を用いることで、ミラー16b/16gとして既存のミラーを用いて、より低コスト化を図ることができる。また、ミラー16b/16gと複合プリズム16c/16hの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。さらに、第2光学膜F2/F2aと第3光学膜F3の相対位置と相対角度の誤差を抑えて、光束反射透過部材16の精度と組み立て性を向上させることができる。
【0043】
また、図5と図12に示したように3つの光学膜F1〜F3がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラー16d〜16fから成る光束反射透過部材16を用いることで、ミラー16d〜16fとして既存のミラーを用いて、一層低コスト化を図ることができる。また、各ミラー16d〜16fの取り付けの位置や角度をそれぞれ独立して調節することができる。
【0044】
また、特許文献1、2、4のようにビーム光の光路を偏光により分離する場合は、偏光ビームスプリッタ等の偏光面の膜の構成枚数が多くなるので、波面収差が大きくなり、該膜の設計と製造が困難になり、コストが高くなってしまう。然るに、上述したように光束反射透過部材16の第2光学膜F2/F2aで各ビーム光の光路を波長により分離すると、該光学膜F2/F2aの構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。特に、第2光学膜F2/F2aをダイクロイック膜から構成することで、より一層、該光学膜F2/F2aの構成枚数が少なくなり、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0045】
さらに、光束反射透過部材16に第2光学膜として、図10〜図12と図14に示したように波長の短いBD用ビーム光を透過させる光学膜F2aを設けるより、図3〜図5と図8に示したようにBD用ビーム光を反射させる光学膜F2を設ける方が、第2光学膜の枚数が少なくなって、波面収差が小さくなり、設計と製造が容易になり、一層低コスト化を図ることができる。
【0046】
本発明は、以上の実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、1つの複合プリズム、1つのミラーと1つの複合プリズム、または3つのミラーから光束反射透過部材を構成した例を挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、これ以外に、例えば2つのミラーと1つのプリズム、2つのプリズムと1つのミラー、または3つのプリズム等から光束反射透過部材を構成するようにしてもよい。また、ミラーとプリズム以外の光学部品から光束反射透過部材を構成するようにしてもよい。
【0047】
また、以上の実施形態では、BD用レーザ光を発射する1つのレーザダイオード1と、DVD用レーザ光およびCD用レーザ光を発射する1つのレーザダイオード4とを光源として用いた例を挙げたが、本発明はこれのみに限定するものではなく、これ以外に、例えばBD用レーザ光、DVD用レーザ光、およびCD用レーザ光を全て発射する1つのレーザダイオード等を光源として用いてもよい。また、2種類または4種類以上の光ディスクに対応する2種類または4種類以上のレーザ光を発射する1つまたは複数のレーザダイオード等の光源を用いるようにしてもよい。
【0048】
さらに、以上の実施形態では、BD、DVD、CDという3種類の光ディスクに対して情報の再生や記録が可能な光ピックアップに本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、BD、DVD、CD、またはこれら以外の光ディスクのうち、少なくとも2種類以上の光ディスクに対して情報の再生や記録が可能な光ピックアップにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】光ピックアップを示す図である。
【図2】光ピックアップの光学系を示す図である。
【図3】光束反射透過部材を示す図である。
【図4】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図5】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図6】光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図7】光ピックアップの他の光学系を示す図である。
【図8】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図9】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図10】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図11】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図12】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図13】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【図14】他の光束反射透過部材を示す図である。
【図15】他の光束反射透過部材の膜の特性を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 BD用レーザダイオード
4 DVD/CD用レーザダイオード
11 BD用対物レンズ
12 DVD/CD用対物レンズ
16 光束反射透過部材
16a、16c、16h 複合プリズム
16b、16d、16e、16f、16g ミラー
10 光ピックアップ
30 光ディスク
F1 第1光学膜
F2、F2a 第2光学膜
F3 第3光学膜
Ra 光ディスクの径方向
Ta 光ディスクの接線方向
Th 光ディスクの厚み方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、前記第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、前記第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、前記各光ディスクに対してそれぞれに応じた前記ビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
第1の光学膜と第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を備え、
前記第1および第3の光学膜は、前記ビーム光を反射させる全反射膜から成り、
前記第2の光学膜は、前記ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、
前記第1および第2の対物レンズを前記光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの前記光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射された前記ビーム光を前記光束反射透過部材に前記光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて前記光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記第1のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記第2または第3のビーム光を前記第2の光学膜で透過させた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、前記第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、前記第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、前記各光ディスクに対してそれぞれに応じた前記ビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を備え、
前記第1および第3の光学膜は、前記ビーム光を反射させる全反射膜から成り、
前記第2の光学膜は、前記ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、
前記第1および第2の対物レンズを前記光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの前記光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に前記光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて前記光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記第2または第3のビーム光を前記第2の光学膜で透過させて前記第2の対物レンズへ入射させ、前記第1のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記光ディスクの径方向へ曲げた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
前記ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、前記ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、
前記第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記一方のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記他方のビーム光を前記第2の光学膜で透過させた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、前記第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラーから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
前記ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、前記ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、
前記第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記一方のビーム光を前記第2の光学膜で透過させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記他方のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項8】
請求項7に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、前記第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項9】
請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記各ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項10】
請求項9に記載の光ピックアップにおいて、
前記光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、前記第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、前記第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射し、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記第1のビーム光を反射させ、前記第2および第3のビーム光を透過させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項11】
請求項9に記載の光ピックアップにおいて、
前記光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、前記第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、前記第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射し、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記第1のビーム光を透過させ、前記第2および第3のビーム光を反射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項1】
BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、前記第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、前記第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、前記各光ディスクに対してそれぞれに応じた前記ビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
第1の光学膜と第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムから成る光束反射透過部材を備え、
前記第1および第3の光学膜は、前記ビーム光を反射させる全反射膜から成り、
前記第2の光学膜は、前記ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、
前記第1および第2の対物レンズを前記光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの前記光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射された前記ビーム光を前記光束反射透過部材に前記光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて前記光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記第1のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記第2または第3のビーム光を前記第2の光学膜で透過させた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
BDに応じた第1のビーム光とDVDに応じた第2のビーム光とCDに応じた第3のビーム光とを発射する光源と、前記第1のビーム光をBD上に集光する第1の対物レンズと、前記第2または第3のビーム光をDVD上またはCD上に集光する第2の対物レンズとを備え、前記各光ディスクに対してそれぞれに応じた前記ビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、第2の光学膜と第3の光学膜とが一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成る光束反射透過部材を備え、
前記第1および第3の光学膜は、前記ビーム光を反射させる全反射膜から成り、
前記第2の光学膜は、前記ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させるダイクロイック膜から成り、
前記第1および第2の対物レンズを前記光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの前記光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に前記光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて前記光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記第2または第3のビーム光を前記第2の光学膜で透過させて前記第2の対物レンズへ入射させ、前記第1のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記光ディスクの径方向へ曲げた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
前記ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、前記ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、
前記第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記一方のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記他方のビーム光を前記第2の光学膜で透過させた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項4】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項5】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、前記第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項6】
請求項3に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1、第2、および第3の光学膜がそれぞれ一体的に設けられた3つのミラーから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
種類が異なる光ディスクのそれぞれに応じたビーム光を発射する光源と、一方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第1の対物レンズと、他方の光ディスクに応じたビーム光を該光ディスク上に集光する第2の対物レンズとを備え、各光ディスクに対してそれぞれに応じたビーム光により情報の再生または記録を行う光ピックアップにおいて、
前記ビーム光を反射させる第1の光学膜および第3の光学膜と、前記ビーム光を反射させまたは透過させる第2の光学膜とが設けられた光束反射透過部材を備え、
前記第1および第2の対物レンズを光ディスクの径方向に配列し、
前記光束反射透過部材を前記第1および第2の対物レンズの光ディスクと反対側に配置し、
前記光源から発射されたビーム光を前記光束反射透過部材に光ディスクの接線方向より入射させ、
前記光束反射透過部材は、前記入射したビーム光を前記第1の光学膜で反射させて光ディスクの厚み方向へ曲げ、該ビーム光のうち、前記一方のビーム光を前記第2の光学膜で透過させて前記第1の対物レンズへ入射させ、前記他方のビーム光を前記第2の光学膜で反射させて光ディスクの径方向へ曲げた後、前記第3の光学膜で反射させて前記第2の対物レンズへ入射させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項8】
請求項7に記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材は、前記第1の光学膜が一体的に設けられた1つのミラーと、前記第2および第3の光学膜が一体的に設けられた1つの複合プリズムとから成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項9】
請求項3ないし請求項8のいずれかに記載の光ピックアップにおいて、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記各ビーム光を波長により選択的に反射させまたは透過させる波長選択膜から成ることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項10】
請求項9に記載の光ピックアップにおいて、
前記光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、前記第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、前記第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射し、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記第1のビーム光を反射させ、前記第2および第3のビーム光を透過させることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項11】
請求項9に記載の光ピックアップにおいて、
前記光源は、第1の波長を有する第1のビーム光と、前記第1の波長より長い第2の波長を有する第2のビーム光と、前記第2の波長より長い第3の波長を有する第3のビーム光とをそれぞれ発射し、
前記光束反射透過部材の前記第2の光学膜は、前記第1のビーム光を透過させ、前記第2および第3のビーム光を反射させることを特徴とする光ピックアップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−181626(P2008−181626A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15919(P2007−15919)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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