説明

光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子

【課題】従来の吸水性樹脂は、吸収能、特に吸収速度が小さく、必ずしも満足する性能でない。従来の吸水性樹脂を光ファイバー止水テープに用いた場合、海水等の吸水速度が小さく、ケーブル内の劣化を引き起こす。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有してなる光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子において、吸水性樹脂粒子の見掛け密度が0.48〜0.63g/mlであり、吸水性樹脂粒子のフラクタル次数が1.87〜1.92であり、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が65〜500であり、吸水性樹脂粒子の人工海水吸収速度(g/g/s)が0.33〜1.67である光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子(B)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバー用止水テープは、光ファイバーのケーブル内に侵入した、水や特に海水などの高濃度の塩の水溶液を吸収することによって、ケーブル内の劣化を防止する。
光ファイバー用止水テープに用いられる吸水性樹脂としては、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の中和物(特許文献1)、ポリアクリル酸部分中和物(特許文献2)、アミノ基含有水溶性エチレン性不飽和単量体−アクリル酸部分中和物の共重合体(特許文献3)等が、知られている。
【特許文献1】特開昭51−125468号公報
【特許文献2】特開昭62−172006号公報
【特許文献3】特開2002−30270号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの吸水性樹脂は、吸収能、特に吸収速度が小さく、必ずしも満足する性能でない。これらの吸水性樹脂を光ファイバー止水テープに用いた場合、海水等の吸水速度が小さく、ケーブル内の劣化を引き起こす。よって、本発明は吸収速度、特に人工海水吸収速度に優れた光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有してなる光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子において、吸水性樹脂粒子の見掛け密度が0.48〜0.63g/mlであり、吸水性樹脂粒子のフラクタル次数が1.87〜1.92であり、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が65〜500であり、吸水性樹脂粒子の人工海水吸収速度(g/g/s)が0.33〜1.67であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子は、水、食塩水等、特に海水の吸収速度が極めて大きい。また、本発明の光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子を含有してなる光ファイバー止水テープは、光ファイバーケーブル内に侵入した水、海水等を素早く吸収しケーブル内の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
水溶性ビニルモノマー(a1)とは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次にさらに好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等)、特に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸を意味し、アクリル酸(塩)とは、アクリル酸及び/又はアクリル酸塩を意味し、以降においても同様である。
【0007】
塩としては、カリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、オニウム塩が含まれる。
オニウム塩としては、特開2003−251178号公報、特開2005−95357号公報等に記載されているものが使用でき、オニウムカチオンとしては第4級アンモニウムカチオン(I)、第3級ホスホニウムカチオン(II)、第4級ホスホニウムカチオン(III)、第3級オキソニウムカチオン(IV)アルキルピリジニウムカチオン(V)、第4級アンモニウムカチオンを除くアンモニウムカチオン(VI)等が挙げられる(以下カチオンという語句は省略)。
【0008】
第4級アンモニウム(I)としては、アルキル及び/又はアルケニル基を有する炭素数4〜30又はそれ以上の脂肪族第4級アンモニウム(I1)、炭素数9〜30又はそれ以上の芳香族第4級アンモニウム(I2)、炭素数6〜30又はそれ以上の脂環式第4級アンモニウム(I3)、炭素数6〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム(I4)、炭素数5〜30又はそれ以上のイミダゾリウム(I5)、炭素数6〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム(置換基が結合してビシクロ環を形成していてもよい)、(I6)、炭素数6〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム(I7)及び炭素数8〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム骨格を有するグアニジウム(I8)等が挙げられる。
【0009】
アルキル及び/又はアルケニル基を有する炭素数4〜30又はそれ以上の脂肪族第4級アンモニウム(I1)としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム等が挙げられる。
【0010】
炭素数9〜30又はそれ以上の芳香族第4級アンモニウム(I2)としては、トリメチルフェニルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0011】
炭素数6〜30又はそれ以上の脂環式第4級アンモニウム(I3)としては、N,N−ジメチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロリジニウム、N,Nジメチルモルホリニウム等が挙げられる。
【0012】
炭素数6〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム(I4)としては、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
【0013】
炭素数5〜30又はそれ以上のイミダゾリウム(I5)としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0014】
炭素数6〜30又はそれ以上のテトラヒドロピリミジニウム(置換基が結合してビシクロ環を形成していてもよい)(I6)としては、1,3−ジメチルテトラヒドロピリジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリジニウム、1,2,3,4−テトラメチルテトラヒドロピリジニウム等が挙げられる。
【0015】
炭素数6〜30又はそれ以上のジヒドロピリミジニウム(I7)としては、1,3−ジメチル−2,4−もしくは−2,6−ジヒドロピリミジニウム[これらを1,3−ジメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウムと表記し、以下同様の表現を用いる。];1,2,3−トリメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−2,4,(6)−ジヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0016】
炭素数8〜30又はそれ以上のイミダゾリニウム骨格を有するグアニジウム(I8)としては、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
【0017】
第4級アンモニウムカチオンを除くアンモニウムカチオン(VI)としては、第3級アンモニウム(VI1)、第2級アンモニウム(VI2)、第1級アンモニウム(VI3)およびアンモニウムカチオン(VI4)等が挙げられる。
第3級アンモニウム(VI1)としては、アルキルアンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等)、アルカノールアンモニウム(トリメタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等)及びピリジニウム等が挙げられる。
第2級アンモニウム(VI2)としては、アルキルアンモニウム(ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム等)及びアルカノールアンモニウム(ジメタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等)等が挙げられる。
第1級アンモニウム(VI3)としては、アルキルアンモニウム(モノメチルアンモニウム、モノエチルアンモニウム等)及びアルカノールアンモニウム(モノメタノールアンモニウム、モノエタノールアンモニウム等)等が挙げられる。
【0018】
これらの中で、好ましいオニウムカチオンは(I)であり、さらに好ましくは(I1)、(I4)及び(I5)である。これらオニウムカチオンは、1種又は2種以上を併用しても良い。
【0019】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単位としてもよく、2種以上を構成単位としてもよい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)のうち、吸収性等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で構成単位とすることである。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の両方を構成単位とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0020】
架橋剤(b)としては、少なくとも2個の重合性二重結合を有しカルボキシル基との反応性を有する官能基を有さない架橋剤(b1)、少なくとも1個の重合性二重結合と少なくとも1個のカルボキシル基との反応性を有する官能基とを有する架橋剤(b2)並びに重合性二重結合を有さず少なくとも2個のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する架橋剤(b3)が挙げられる。
【0021】
重合性二重結合としては、アクリロイル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。カルボキシル基との反応性を有する官能基とは、カルボキシル基と反応してエステル結合やアミド結合を形成する官能基のことであり、水酸基、エポキシ基及びアミノ基等が挙げられる。
【0022】
架橋剤(b1)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤(b11)、2個以上のビニルエーテル基を有する架橋剤(b12)および2個以上のアリルエーテル基を有する架橋剤(b13)等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0023】
架橋剤(b11)としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアクリレート等の分子内に2〜10のアクリロイル基を有する共重合性の架橋剤が挙げられる。
架橋剤(b11)のうち、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、特に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。
【0024】
架橋剤(b12)としては、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル(重合度2〜5)、ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ソルビトールトリビニルエーテル及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリビニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
架橋剤(b13)としては、分子内にアリルエーテル基を2個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b131)、分子内にアリルエーテル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b132)等が挙げられる。
【0026】
分子内にアリルエーテル基を2個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b131)としては、ジアリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、アルキレン(炭素数2〜5)グリコールジアリルエーテル、及びポリエチレングリコール(重量平均分子量:100〜4000)ジアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b132)としては、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びテトラアリルオキシエタン等が挙げられる。
【0027】
少なくとも1個の重合性二重結合と少なくとも1個のカルボキシル基との反応性を有する官能基とを有する架橋剤(b2)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用でき、非イオン性基を有する架橋剤(b21)並びにカチオン性基を有する架橋剤(b22)が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
架橋剤(b21)としては、分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する架橋剤(b211)、分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b212)、分子内にアリル基を有さずかつ水酸基を有する架橋剤(b213){N−メチロール(メタ)アクリルアミド等}及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び分子内にアリル基を有さずかつエポキシ基を有する架橋剤(b214)等{グリシジル(メタ)アクリレート等}が挙げられる。
【0028】
分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する架橋剤(b211)としては、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールジアリルエーテル、ポリグリセリン(重合度2〜5)ジアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b212)としては、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びジグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテル、ポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を有さずかつ水酸基を有する架橋剤(b213)としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子内にアリル基を有さずかつエポキシ基を有する架橋剤(b214)としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
架橋剤(b22)としては、第4級アンモニウム塩を有する架橋剤{N,N,N−トリメチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)及びN,N,N−トリエチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)等}及び第3級アミノ基を有する架橋剤{(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等}が挙げられる。
【0030】
架橋剤(b2)としては、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、(b21)が好ましく、より好ましくは(b211)及び(b212)、さらに好ましくは(b212)、特に好ましくはアリル基が3〜5個で且つ水酸基を1〜3個有する架橋剤、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテルである。
【0031】
重合性二重結合を有さず少なくとも2個のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する架橋剤(b3)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用できる。例えば、多価グリシジル化合物(b31)、多価イソシアネート化合物(b32)、多価アミン化合物(b33)及び多価アルコール化合物(b34)が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
多価グリシジル化合物(b31)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(b32)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
多価アミン化合物(b33)としては、エチレンジアミン等が挙げられる。
多価アルコール化合物(b34)としては、(ポリ)アルキレングリコール、グリセリン及びソルビトール等が挙げられる。
架橋剤(b3)のうち、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、好ましくは多価グリシジル化合物(b31)であり、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
架橋剤(b3)を使用する場合は、架橋剤添加後、任意の段階で、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜160℃に加熱し架橋反応を進行させるのが一般的である。また、架橋剤(b3)は、所定量の範囲で2種以上、更には(b1)及び(b2)と併用しても良い。
【0032】
(b)としては、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、(b1)及び(b3)が好ましく、さらに好ましくは(b11)、(b13)及び(b3)である。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0033】
架橋重合体(A)を構成する架橋剤(b)の割合は、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、(メタ)アクリル酸(塩)と(b)との合計重量に対して、0.05〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%、特に好ましくは0.1〜0.6重量%である。
【0034】
架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を従来公知の方法(特開平1−103615号公報、特開2000−26510号公報、特開2001−220415号公報等)等で水溶液重合すること等により得られる。この架橋重合体(A)を、(1)乾燥する工程、(2)粉砕する工程で、乾燥及び/又は粉砕することで、吸水性樹脂粒子が得られる。また必要により、(1)の工程の前に、(3)(A)の架橋重合体を中和する工程、(2)の工程の後に、(4)表面架橋処理を行う工程、(6)追加乾燥を行う工程、(7)追加粉砕を行う工程を実施してもよい。さらに必要により、(5)各種添加剤を混合する工程を、(1)の工程前、(1)の工程と(2)の工程の間、(2)の工程の後のいずれかで実施してもよい。
【0035】
架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位として重合させることにより得られる。
重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、水溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。
これらの重合方法のうち、本発明の吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から水溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が好ましく、さらに好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合及び乳化重合、特に好ましくは水溶液重合である。これらの重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び溶媒等が使用できる。
【0036】
最も好ましいのは、(メタ)アクリル酸(塩)を主体とするモノマー水溶液に架橋剤(b)を添加溶解し重合させる水溶液重合法である。この重合方法であると、吸収能に優れた吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【0037】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)を水溶液重合法で重合させる方法は、通常の方法でよく、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合させる方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、この開始剤としては、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
【0038】
重合温度は使用する開始剤の種類等によっても異なるが、好ましくは−10℃〜100℃、より好ましくは重合度の観点から−10℃〜80℃である。
開始剤の量に関しても、特に限定はないが、不飽和単量体{すなわち、(a1)、(a2)及び(b)}の合計重量に対して、重合度の観点から、好ましくは0.000001〜3.0%、更に好ましくは0.000001〜0.5%である。
【0039】
水溶液重合の場合、不飽和単量体{すなわち、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)(塩)、並びに(b)}の重合濃度(重量%)は、他の重合条件によっても種々異なるが、吸水性樹脂粒子の吸収能及び重合温度の調整のし易さの観点から、10〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。重合時の溶存酸素量に関しては、ラジカル開始剤の添加量等にもよるが、重合度の観点から、0〜2ppmが好ましく、0〜0.5ppmがより好ましい。
【0040】
(a1)として塩を使用する場合、所定量の(b)がモノマー水溶液に完全に溶解できるのであれば特に限定はないが、(b)の水溶性が乏しく、また特に水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)水溶液に対する溶解度が極めて低く所定量の(b)を添加しても(b)がモノマー水溶液から分離し所定の架橋が行えない場合があるので、重合時の水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)の中和度は0〜30モル%で重合を行ない、必要により重合後に更に中和するのが好ましく、未中和の状態で重合した後必要により重合後に中和するのがより好ましい。
【0041】
また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)は、同一条件で重合を行った場合、中和度が低い方が重合度が上がりやすいため、ポリマーの重合度を大きくするためにも、中和度が低い状態で重合を行った方が好ましい。
【0042】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)を中和する場合、アルカリ(C)を混合して中和物を得る。アルカリ(C)としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、オニウムカチオンの水酸化物及びオニウムカチオンの炭酸塩が含まれる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。オニウムカチオンの水酸化物としては、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。オニウムカチオンの炭酸塩としては、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムモノメチル炭酸塩等が挙げられる。
【0043】
架橋重合体(A)の製造において、架橋剤を使用しないこと以外は全く同じ重合条件で重合体を製造した場合のポリマーの平均重合度が、好ましくは5,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜1,000,000となる重合条件(開始剤の種類、開始剤の量、不飽和単量体の重合濃度、重合温度及び溶存酸素量等)で重合するとさらに好ましい。
平均重合度が、5,000以上となる条件で重合を行うと、適量の架橋剤を使用することにより吸水性樹脂粒子の吸収能がさらに優れる。上記平均重合度の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法にて行うことができる。
【0044】
水溶液重合により得た架橋重合体(A)は、水を含むゲル(含水ゲル)として得られる。含水ゲルは、必要により中和及び破断した上で、通常乾燥した後に吸水性樹脂粒子として使用する。
含水ゲルの中和を行う場合には、(A)の含水ゲルにアルカリ(C)を混合して、含水ゲルの中和物を得る。この工程で得られる含水ゲルの中和度は、含水ゲルの粘着性及び吸水性樹脂粒子の人体の皮膚に対する安全性の観点から、(A)中のカルボキシル基の60〜80モル%が好ましく、さらに好ましくは65〜78モル%である。
(A)の含水ゲルをアルカリ(C)で中和する方法としては、(A)の含水ゲルを約1cm3以下の小片に細断しながらアルカリ(C)又は(C)の水溶液を添加し混合する方法が挙げられる。
【0045】
(C)との混合装置としては、従来この工程で用いられるカッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター式の砕断機、所定の口径の目皿と回転刃を備えたミートチョッパー等が使用できる。
混合する際の温度としては、従来この工程で行われる範囲でよく、好ましくは10〜80℃である。また、混合するシアも、従来公知の方法でよく、機器の回転数は、好ましくは20〜100rpmである。
【0046】
含水ゲルの破断を行う場合には、従来この工程で用いられるカッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター式の砕断機、所定の口径の目皿と回転刃を備えたミートチョッパー等が使用できる。
破断する際の温度としては、従来この工程で行われる範囲でよく、好ましくは10〜80℃である。また、混合するシアも、従来公知の方法でよく、機器の回転数は、好ましくは20〜100rpmである。
【0047】
含水ゲルの乾燥方法に関しては、含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要により水酸化アルカリ金属等を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に80〜210℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法を例示できる。これらの中で、透気乾燥が短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
【0048】
含水ゲルの他の乾燥方法としては、例えば、ドラムドライヤー上に含水ゲルを圧縮延伸して乾燥する接触乾燥法等があるが、含水ゲルは熱伝導が悪いため、乾燥を行うためにドラム上等に含水ゲルの薄膜を作成する必要がある。
【0049】
本発明において、含水ゲル乾燥時の乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、80〜210℃、より好ましくは100〜180℃である。乾燥温度が、210℃以下であると乾燥時の熱によりポリマーが架橋しにくく、熱架橋により架橋度が上がりすぎることがなく、吸収量が低下しない。80℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。乾燥時間に関しても、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。
このようにして得られた架橋重合体(A)の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、通常の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕機(ジェット粉砕機等)で行うことができる。
粉末化して得られる樹脂粒子(A1)の重量平均粒子径は、65〜500μm、好ましくは100〜400μmであり、90重量%以上の粒子が10〜850μmの範囲であることが好ましい。
【0050】
粉末化して得られる樹脂粒子(A1)をカルボキシル基及び/又はカルボン酸塩と反応しうる基を少なくとも2個有する化合物(D)でさらに架橋せしめることもでき、その方法は、例えば、樹脂粒子(A1)に化合物(D)を添加、混合し、加熱して架橋反応を行い、粉砕して粒子状の吸水性樹脂粒子を得る方法である。
【0051】
化合物(D)としては、特開平1−103615号公報に記載されているものが使用できる。例えば、エポキシ基、水酸基、アミノ基及びイソシアナート基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも2個有する化合物(D1)並びにイオン架橋を形成しうる多価金属化合物(D2)が挙げられる。
【0052】
エポキシ基、水酸基、アミノ基及びイソシアナート基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも2個有する化合物(D1)としては、ポリエポキシ又はポリグリシジルエーテル化合物(D11)、ポリオール化合物(D12)、(ポリ)アルキレンポリアミン化合物(D13)等が挙げられる。
ポリエポキシ又はポリグリシジルエーテル化合物(D11)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン−1,3−ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリオール化合物(D12)としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
(ポリ)アルキレンポリアミン化合物(D13)としては、エチレンジアミン等が挙げられる。
【0053】
イオン架橋を形成しうる多価金属化合物(D2)としては、例えば、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、亜鉛、アルミニウム、チタンなどの、水酸化物、塩(ハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩など)等が挙げられる。
具体的には、塩化カルシウム、ジ酢酸亜鉛、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
【0054】
これらのうち好ましいものは、ポリグリシジルエーテル化合物及びイオン架橋を形成しうる多価金属化合物である。
【0055】
化合物(D)の添加量は、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、(A1)の重量に対し、0.005〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2重量%、特に好ましくは0.05〜1重量%である。
【0056】
この官能基を少なくとも2個有する化合物(D)でさらに架橋させる方法を例示すると、例えば、樹脂粒子(A1)に化合物(D)を添加、混合し、必要により加熱して架橋反応を行う。さらに必要により、粉砕して粒子状の吸水性樹脂粒子を得る。
【0057】
化合物(D)の添加、混合は、必要なら水溶液にして添加し、通常ニーダー、万能混合機などの混錬機で行われる。加熱する方法は、100〜230℃の温度の熱風で加熱する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤーなどの使用による薄膜乾燥法、減圧乾燥法、凍結乾燥法など通常の方法でよい。また架橋して得られた吸水性樹脂粒子は、必要により篩別、粉砕して粒度調整を行う。粉砕方法についても特に限定はなく、前述した粉砕方法と同様である。
【0058】
本発明の吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、光ファイバー止水テープ用に適した人工海水の吸収速度の観点から、65〜500μm、好ましくは100〜400μmであり、90重量%以上の粒子が10〜850μmの範囲であることがさらに好ましい。重量平均粒子径(μm)が65未満では、人工海水を吸収する際にブロッキングを生じ、500を超えると人工海水の吸収速度が遅くなる。
【0059】
重量平均粒子径は、通常の方法、例えば、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2000)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から850μm、710μm、500μm、300μm、250μm、150μm、106μm、75μm、45μm及び32μm、並びに受け皿の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0060】
本発明の吸水性樹脂粒子(B)は、光ファイバー止水テープ用に適した人工海水の吸収速度の観点から、見掛け密度が0.48〜0.63g/mlであり、好ましくは0.50〜0.62g/ml、さらに好ましくは0. 52〜0.60g/mlである。見掛け密度が0.48未満では、人工海水を吸収する際にブロッキングを生じ、0.63を超えると人工海水の吸収速度が遅くなる。
【0061】
なお、上記の見掛け密度は以下の方法で測定する。
<見掛け密度の測定方法>
JIS K3362−1998に準拠して見掛け密度を測定する。
【0062】
本発明の吸水性樹脂粒子(B)は、吸水性の観点から、フラクタル次数が1.87〜1.92であり、好ましくは1.89〜1.91、さらに好ましくは1.90〜1.91である。
フラクタル次数が1.87未満では、人工海水を吸収する際にブロッキングを生じ、1.92を超えると人工海水の吸収速度が遅くなる。
【0063】
本発明において、フラクタル次数とは粒子の形状をすなわち粒子表面の凹凸を表わす指標の一つである。フラクタル次数が小さいことは、粒子の外部表面積が大きいことを意味する。樹脂粒子が表面に凹凸の全くない真球状であればフラクタル次数は2となる。
【0064】
なお、上記のフラクタル次数は特開2001−2935号公報に記載されている以下の方法で測定できる。
<フラクタル次数の測定方法>
走査電子顕微鏡(例えば、日本電子データム社製JSM−7000F)を用いて、25、30、50及び100倍の各倍率で1個の吸水性樹脂粒子の写真を撮影する。これらの各写真について画像解析ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて、粒子輪郭長及び粒子投影面積を求める。次に各写真の粒子輪郭長と粒子投影面積の常用対数を求める。得られた値を粒子輪郭長の常用対数をX軸、粒子投影面積の常用対数をY軸とするX−Y座標図プロットし、最小二乗法で直線を引く。無作為に取出した5個の吸水性樹脂粒子の各々について上記の直線を引き、その傾きの平均値をフラクタル次数とする。
【0065】
本発明の吸水性樹脂粒子(B)は、人工海水吸収速度が0.33〜1.67g/g/sであり、好ましくは0.35〜1.67g/g/s、さらに好ましくは0.47〜1.38g/g/s、特に好ましくは0.57〜1.38g/g/sである。人工海水吸収速度が0.33未満では、侵入した水、海水等でケーブル内が劣化する。
【0066】
なお、上記の人工海水吸収速度は以下の方法で測定する。
<人工海水吸収速度の測定方法>
JIS K7224−1996に準拠する0.9M/vol%食塩水吸収速度の測定方法において、0.9M/vol%食塩水を人工海水に、吸水性樹脂粒子の重量を3.0gとする以外は同様にして測定する。
人工海水は、アクアマリン(八洲薬品株式会社製)を使用し下記の通り作製する。
(人工海水の作製方法)
アクアマリンのA(粉剤)を約19Lの純水に溶解し、次にB(液剤)を混入し、よく混ぜ全量を20Lにする。次に、0.13N水酸化ナトリウム溶液を加え攪拌しpHを8.2に調製する。
【0067】
吸水性樹脂粒子(B)の形状については特に限定はなく、吸水速度の観点から、粒子状が好ましく、この粒子状としては不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。
【0068】
本発明の吸水性樹脂粒子(B)における、架橋重合体(A)の含有量は、吸収性能の観点から、(B)の重量を基準として、80重量%以上が好ましく、さらに好ましくは85重量%以上、次にさらに好ましくは90重量%以上である。
【0069】
本発明の吸水性樹脂粒子は、(A)以外に、無機粉末を含んでいてもよい。無機粉末としては、シリカ、アルミナ、合成珪酸塩、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ベントナイト、カオリナイト、カーボンブラック、ゼオライト、炭酸カルシウム、活性白土、酸化物{二酸化珪素(斜方晶、立法晶、六方晶及び単斜晶等)、酸化珪素(無定形等)、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等}、炭化物{炭化珪素及び炭化アルミニウム等}、窒化物{窒化チタン等}又はこれらの複合組成物からなる微粒子等が挙げられる。それぞれの(B)中の含有量は、吸収性能の観点から、(A)の重量を基準として、20重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15重量%以下、次にさらに好ましくは10重量%以下である。
【0070】
上記条件を満たす本発明の吸水性樹脂粒子の作り方として、以下のものが挙げられ、好ましい。すなわち、従来公知の水溶液重合による吸水性樹脂粒子の製造方法において、下記第1工程〜第4工程からなる群から選ばれる1工程又は2工程以上を含むことで発泡剤(E)を(A)と混合する製造方法である。
第1工程:(A)の含水ゲルと(E)とを混合する工程
第2工程:(A)の含水ゲルを乾燥しながら(E)と混合する工程。
第3工程:乾燥した(A)を粉砕しながら(E)と混合する工程
第4工程:(A)からなる樹脂粒子(A1)と(E)とを混合する工程
【0071】
発泡剤(E)は、70〜210℃の温度に(E)を加熱した場合に、1〜300分間で、(E)1gに対して50〜300mlの量(0℃、1atm)の気体を発生する化合物を意味する。
本発明の吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(E)が上記気体を発生する温度は80〜190℃が好ましく、さらに好ましくは90〜170℃である。また、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(E)は、2〜120分の加熱で上記気体を発生することが好ましい。また、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、発生する気体の量は、60〜290ml/gが好ましく、さらに好ましくは70〜280ml/g、特に好ましくは80〜250ml/gである。
【0072】
発泡剤(E)としては、加熱により窒素を発生する発泡剤(E1)及び加熱により二酸化炭素を発生する発泡剤(E2)等が挙げられる。
【0073】
発泡剤(E1)としては、アゾ化合物(E11)、スルホニルヒドラジド化合物(E12)及びニトロソ化合物(E13)等が挙げられる。
アゾ化合物(E11)としては、アゾジカルボンアミド及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
スルホニルヒドラジド化合物(E12)としては、p−トルエンスルホニルヒドラジン及びp、p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられる。
ニトロソ化合物(E13)としては、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げられる。
(E1)のうち、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(E11)及び(E12)が好ましく、さらに好ましくはアゾジカルボンアミド及びp,p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)である。
【0074】
発泡剤(E2)としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
(E2)のうち、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0075】
発泡剤(E)としては、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(E1)が好ましい。また、(E1)及び/又は(E2)は、単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
【0076】
発泡剤(E)の使用量は、該吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(a1)、(a2)及び(b)の合計重量に対して、0.1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1.0〜13重量%、最も好ましくは2.0〜10重量%である。
【0077】
発泡剤(E)を使用する際には、(E)の分散液として使用してもよい。この場合、分散媒としては、水及び水性溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピレン、アセトン等)等が使用できる。
【0078】
第1工程は、(A)の含水ゲルと(E)とを混合する工程である。
この工程は、前記(3)(A)の含水ゲルを中和する工程と同時に行ってもよい。
この工程において、(E)の混合方法としては、(A)の含水ゲルを約1cm3以下の小片に細断しながら(E)又は(E)の分散液を添加し混合する方法が挙げられる。
(A)の含水ゲルと(E)とを混合する工程を、(A)の含水ゲルを中和する工程と同時に行う場合、(A)の含水ゲルと(C)とを混合する直前の段階、(A)の含水ゲルを中和する段階、(A)の含水ゲルを中和した直後の段階のいずれの段階で混合してもよい。
【0079】
(E)の分散液を用いる場合、(E)の濃度は、(E)の分散液の重量を基準として10〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。
混合装置としては、従来の含水ゲルと(C)とを混合する工程で用いられるカッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター式の砕断機、所定の口径の目皿と回転刃を備えたミートチョッパー等が使用できる。
混合する際の温度としては、従来の含水ゲルと(C)とを混合する工程で行われる範囲でよく、好ましくは10〜80℃である。また、混合するシアも、従来の含水ゲルと(C)とを混合する場合と同様でよく、機器の回転数は、好ましくは20〜100rpmである。
【0080】
本発明において、(A)の含水ゲルの砕断時及び乾燥時の(A)の含水ゲル同士の付着並びに混合装置、乾燥機への(A)の含水ゲルの付着を防ぐ目的で、必要により公知の離型剤を(E)の分散液に混合してもよい。
離型剤としては、無機粉末[炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、表面を疎水化処理した二酸化ケイ素、酸化チタンなど]、天然物由来の粉末[小麦粉、米粉、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、合成高分子または合成樹脂の粉末[ポリビニルアルコール、ポリエステル、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂など]、アニオン性界面活性剤 [ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリルオキシポリエチレンオキシ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ラウロイルザルコシンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル燐酸ナトリウム、N−椰子油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸モノナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなど]、非イオン性界面活性剤[1:1型椰子油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリルジメチルアミンオキシド、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ノニルフェノールポリオキシエチレン、オクチルフェノールポリオキシエチレン、ドデシルフェノールポリオキシエチレンなど]、カチオン性界面活性剤[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなど]、両性活性剤[椰子油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど]、高分子活性剤[カチオン化セルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウムなど]、公知のシリコン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤などを例示できる。これらの離型剤の中で好ましいものは、無機粉末類、アニオン性界面活性剤類及び非イオン性界面活性剤である。
【0081】
離型剤の添加量は、離型剤が粉末状の場合、(a1)、(a2)及び(b)の合計重量に対して、吸水性樹脂粒子の発塵低下及び吸収性能の観点から、0〜50重量%、好ましくは0.001〜30重量%である。尚、粉末状の離型剤を用いた場合、ゲル砕断後の任意の段階で過剰の離型剤を分離、回収してもよい。添加する離型剤が液状の場合の添加量は、吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、(a1)、(a2)及び(b)の合計重量に対して0〜5重量%、好ましくは0.0001〜3重量%である。
【0082】
第2工程は、(A)の含水ゲルを接触乾燥(ドラムドライヤー上に含水ゲルを圧縮延伸して乾燥する等)、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に80〜210℃の熱風を通気させて乾燥する等)及び通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法で乾燥しながら(E)と混合する工程である。これらの中で、透気乾燥が短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
【0083】
乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、乾燥時間及び吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、80〜210℃が好ましく、より好ましくは100〜180℃である。乾燥時間に関しても、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、乾燥時間及び吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、5〜300分が好ましく、より好ましくは、5〜120分である。
【0084】
この工程において、(E)の混合方法としては、(A)の含水ゲルを乾燥しながら(E)、または(E)の分散液を添加し混合する方法が挙げられる。
(E)を(A)の含水ゲルと混合する場合、(A)の含水ゲルを乾燥する直前の段階、(A)の含水ゲルを乾燥している段階、(A)の含水ゲルを乾燥した直後の段階のいずれの段階で混合してもよく、好ましくは(A)の含水ゲルを乾燥する直前の段階である。
(E)の分散液を用いる場合、(E)の濃度は、(E)の分散液の重量を基準として10〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。
【0085】
混合装置としては、(A)の含水ゲルを乾燥する直前の段階の場合、従来の含水ゲルと(C)とを混合する工程で用いられるカッター刃を備えた縦切り型スリッター、カッター刃を備えた横切り型スリッター、回転刃を備えたカッター式の砕断機、所定の口径の目皿と回転刃を備えたミートチョッパー等が使用できる。混合する際の温度としては、従来の含水ゲルと(C)とを混合する工程で行われる範囲でよく、好ましくは10〜80℃である。また、混合するシアも従来の含水ゲルと(C)とを混合する場合と同様でよく、機器の回転数は、好ましくは20〜100rpmである。
(A)の含水ゲルを乾燥している段階での混合装置としては、乾燥した(A)の含水ゲルと(E)とが均一に混合できれば特に制限はないが、例えば、従来の乾燥工程で使用する乾燥機に(E)の仕込みラインを設けて、添加する等の装置が使用できる。混合する際の温度としては、従来の乾燥工程で行われる範囲でよい。
(A)の含水ゲルを乾燥した直後の段階としては、乾燥した(A)の含水ゲルと(E)とが均一に混合できれば特に制限はないが、例えば従来の乾燥工程直後の移送ライン中に(E)の仕込みラインを設けて、添加する等の装置等が使用できる。混合する際の温度としては、従来の乾燥工程で行われる範囲でよい。
【0086】
第3工程は、乾燥した(A)を粉砕しながら(E)と混合する工程である。
粉砕方法は、従来公知の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕機(ジェット粉砕機等)で行うことができる。
この工程において、(E)の混合方法としては、乾燥した(A)を約1mm3以下の小片に粉砕しながら(E)の分散液を添加し混合する方法が挙げられる。
(E)を乾燥した(A)と粉砕しながら混合する場合、乾燥した(A)を粉砕する直前の段階、乾燥した(A)を粉砕している段階、乾燥した(A)を粉砕した直後の段階のいずれの段階で混合してもよく、好ましくは、乾燥した(A)を粉砕する直前の段階及び乾燥した(A)を粉砕している段階である。
(E)の分散液の濃度は、(E)の分散液の重量を基準として10〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。
粉砕する直前の段階で混合する混合装置としては、乾燥した(A)と(E)とが均一に混合できれば特に制限はないが、例えば、従来粉砕装置において、乾燥した(A)を粉砕する直前の部分に(E)の仕込みラインを設けて、添加する等の装置が使用できる。混合する際の温度としては、従来の乾燥した(A)を粉砕する工程で行われる範囲でよい。
乾燥した(A)を粉砕しながら混合する装置としては、粉砕された樹脂粒子(A1)と(E)とが均一に混合できれば特に制限はないが、従来の粉砕工程で使用される粉砕機に(E)の仕込みラインを設けて、添加する等の装置が使用できる。混合する際の温度並びにシアとしては、従来の乾燥した(A)を粉砕する工程で行われる公知の範囲でよい。
粉砕した直後の段階で混合する混合装置としては、ナウター式混合機、ニーダー式混合機、パドル型混合機、V型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、気流型混合機等が使用できる。混合する際の温度並びにシアとしては、従来表面架橋する工程で行われる公知の範囲でよい。
【0087】
第4工程は、(A)からなる樹脂粒子(A1)と(E)とを混合する工程である。
この工程は、前記(4)表面架橋処理を行う工程と同時に行ってもよい。
この工程において、(E)の混合方法としては、(A)からなる樹脂粒子(A1)と(E)、または(E)の分散液を添加し混合する方法が挙げられる。
(E)を(A)からなる樹脂粒子(A1)と混合する段階としては、(A1)を表面架橋する場合には、(A1)を表面架橋する直前の段階、(A1)を表面架橋している段階、(A1)を表面架橋した直後の段階のいずれの段階で混合してもよく、好ましくは(A1)を表面架橋する直前の段階及び(A1)を表面架橋している段階、さらに好ましくは(A1)を表面架橋する直前の段階である。(A1)を表面架橋しない場合は、(A1)を得た後の工程であれば、いずれの段階で行ってもよい。
(E)の分散液を用いる場合、(E)の濃度は、(E)の分散液の重量を基準として10〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。
(A1)を表面架橋している段階での混合装置としては、従来この工程で用いられるナウター式混合機、ニーダー式混合機、パドル型混合機、V型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、気流型混合機等が使用できる。混合する際の温度並びにシアとしては、従来表面架橋する工程で公知の範囲でよい。
(A1)を表面架橋する直前の段階および直後の段階での混合装置としては、(A1)を表面架橋している段階で使用できる混合装置と同様であり、混合する条件も同様である。
【0088】
これらのうち、吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、(A)と(E)とを混合する工程として、第1工程および第4工程が好ましく、さらに好ましくは第1工程である。
【0089】
(E)を混合した後、必要により加熱する工程を経る製造方法が、本発明の吸水性樹脂粒子を得られやすく好ましい。(E)を混合した後、加熱する工程は、いずれのタイミングでも良く、加熱装置については特に限定されず、熱風乾燥機、流動層乾燥機、ナウター式乾燥機、ロータリーキルンなど、通常の加熱乾燥機等が使用できる。加熱温度は、使用する機種や加熱時間等により種々異なるが、70〜210℃であり、(E)から気体を発生させる効率および吸水性樹脂粒子の吸収能の観点から、好ましくは80〜190℃、さらに好ましくは、90〜170℃である。加熱時間に関しても、使用する機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは1〜300分、より好ましくは、2〜120分である。
乾燥工程の前に混合する場合は、乾燥工程がこの加熱工程として利用できるので、特に別途加熱する工程は必要ない。
また、表面架橋処理をする工程の前に混合する場合は、表面架橋処理の加熱工程が加熱工程として利用できるので、特に加熱する工程は必要ない。
【0090】
本発明の吸水性樹脂粒子は、地下及び海底の光ファイバーケーブル用止水剤等として優れた性能を発揮する。
【0091】
吸水性樹脂粒子は、そのまま、あるいはこれをゴム及び/または熱可塑性樹脂等と混練したのち成形したものや、不織布あるいは紙に保持させる等して光ファイバーケーブル用止水剤に使用する。
本発明の吸水性樹脂粒子は、公知(特開平8−283697号公報、特開平9―297248等)の吸水性樹脂粒子と同様に、光ファイバーケーブル用止水材として使用できる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0093】
実施例1
2リットルのビーカーに、アクリル酸300g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g及びイオン交換水660gを入れて撹拌混合してアクリル酸水溶液を調整し、8℃に温調した。
アクリル酸水溶液を1.5リットルの断熱重合槽に入れ、水溶液に窒素を通じてアクリル酸水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とした。この断熱重合層に、2.0重量%2,2’−アゾビス{2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド}(和光純薬工業株式会社製、商品名:VA−086)水溶液4.65g、1.0重量%過酸化水素水1.23g、1.0重量%L−アスコルビン酸水溶液4.65g及び0.1重量%硫酸鉄(II)七水和物水溶液0.45gを添加し、重合が開始するまで水溶液中への窒素通気を継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたのを確認後、窒素通気を停止して6時間重合した。打点温度計でアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、98℃であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを室温下、60rpmで3〜10mmの太さのヌードル状になるように細分化した後、48重量%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液250g(架橋重合体中のアクリル酸由来のカルボキシル基の中和度が72モル%となる)を加え、前記ミートチョッパー、同一条件で混合及び細分化し架橋重合体中のポリアクリル酸のカルボキシル基を中和した。さらに、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)(永和化成工業製:ネオセルボンN♯5000)36.7g{アクリル酸(塩)と架橋剤との合計重量に対して10重量%}を加え、前記ミートチョッパー、同一条件で含水ゲルと均一混合及び細分化した。
この含水ゲルを、目開き850μmのSUS製のスクリ−ンの上に、厚さ5cmで積層し、小型透気乾燥機(八光電機製作所社製)を用い、供給風温160℃、風速1.5m/秒の条件下で、40分間含水ゲルに透気させて、含水ゲルを加熱乾燥し、水分含有量が約4%の乾燥物を得た。
この乾燥物を家庭用ミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて32〜710μm(400メッシュ〜22メッシュ)の粒径のものを採取して、樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子100gを撹拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.01g、水0.9g及びプロピレングリコール0.46gからなる溶液をナウター式混合機(ホソカワミクロン株式会社社製)を用いて、室温、50rpmの条件で、添加混合し、順風乾燥機(タバイエスペック株式会社社製)を用い、140℃、40分間加熱反応を行って、本発明の吸水性樹脂粒子(1)を得た。
【0094】
実施例2
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)を家庭用ミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて300μm(50メッシュ)以下の粒径のものを採取して本発明の吸水性樹脂粒子(2)を得た。
【0095】
実施例3
実施例1において、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)を73.4g{アクリル酸(塩)と架橋剤との合計重量に対して20重量%}とする以外は実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(3)を得た。
【0096】
実施例4
1リットルのビーカーにアクリル酸100g、イオン交換水272.2g及びエチレングリコールジグリシジルエーテル0.13gを入れ混合し均一な溶液を得た。ビーカーを氷浴で冷却しながら、40重量%水酸化ナトリウム水溶液100gを添加し、アクリル酸の一部(72モル%)を中和した。中和したモノマー溶液を5℃に冷却した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2gを添加してモノマー水溶液とした。
攪拌機とコンデンサー(冷却器)を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、シクロヘキサン1000ml及び分散剤としてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社製、商品名:プライサーフA210G)2.5gを仕込み、湯浴を用いて60℃に温調しながら攪拌して、シクロヘキサンに分散剤を溶解させた。
セパラブルフラスコ中のシクロヘキサン液中に窒素を通じてシクロヘキサンの溶存酸素を0.1ppm以下とした後、攪拌機を用いてシクロヘキサンを攪拌しながら、滴下ロートを用いて上記モノマー水溶液400gを6.6g/分で1時間かけて滴下し、重合温度60℃で逆相懸濁重合を行い、モノマー水溶液の滴下終了後、更に2時間60℃に温調し、懸濁重合を完結させた後、30℃まで冷却し、シクロヘキサン中で球状の含水ゲルを得た。
攪拌機の回転を停止し、生成した含水ゲルを沈降させた後、デカンテーションによりシクロヘキサンを除去し、残った含水ゲルを2回シクロヘキサンで洗浄し、含水ゲルに付着した分散剤を除去した。
得られた球状の含水ゲルを、離型紙の上に広げ、80℃の減圧乾燥機(減圧度:10,000〜20,000Pa)で2時間乾燥させた。
得られた乾燥物100gに30重量%アゾジカルボンアミド水分散液48.3g{アクリル酸(塩)と架橋剤との合計重量に対して15重量%}を添加し、小型透気乾燥機で、供給風温205℃、風速1.5m/秒の条件下で、30分間透気させた後、家庭用ミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて32〜710μm(400メッシュ〜22メッシュ)の粒径のものを採取して、本発明の吸水性樹脂粒子(4)を得た。
【0097】
実施例5
実施例1において、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)36.7gをアゾジカルボンアミド(永和化成工業製、商品名:ビニホールAC♯3)1.23g{アクリル酸(塩)と架橋剤との合計重量に対して0.5重量%}とする以外は実施例1と同様にして、本発明の吸水性樹脂粒子(5)を得た。
【0098】
実施例6
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)をフルイを用いて150〜710μm(100メッシュ〜22メッシュ)の粒径のものを採取して本発明の吸水性樹脂粒子(6)を得た。
【0099】
実施例7
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)を家庭用ミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて150μm(100メッシュ)以下の粒径のものを採取して本発明の吸水性樹脂粒子(7)を得た。
【0100】
実施例8
実施例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)に、吸水性樹脂粒子重量に対して2重量%の二酸化珪素{日本アエロジル株式会社製、商品名:アエロジル200PE}を添加して均一に配合し、本発明の吸水性樹脂粒子(8)を得た。
【0101】
比較例1
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)をフルイを用いて500μm(30メッシュ)以上の粒径のものを採取して比較用の吸水性樹脂粒子(H1)を得た。
【0102】
比較例2
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)を家庭用ミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて32μm(400メッシュ)以下の粒径のものを採取して比較用の吸水性樹脂粒子(H2)を得た。
【0103】
比較例3
実施例1において、p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)36.7gを加えない以外は同様にして、比較用の吸水性樹脂粒子(H3)を得た。
【0104】
比較例4
特開平1−294703号公報記載の方法、すなわち以下の方法で作製した。攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び窒素導入管を付した500mlの四つ口セパラブルフラスコにノルマルヘプタン180mlをとり、エリスリトールステアレート3.0gを添加した。窒素ガスを導入しつつ溶液を60℃まで加熱し、エステルを溶解した後25℃まで冷却した。これとは別に20.1重量%水酸化ナトリウム水溶液41.5gによりアクリル酸20gを中和した後、過硫酸カリウム0.03gを溶解させた。このアクリル酸塩水溶液を上記セパラブルフラスコに加えて十分に分散させた後、液温60℃まで昇温し、その後2時間保持し重合反応をおこなった。水とノルマルへプタンを共沸させ水を除去した後、系内温度を40℃以下にし減圧乾燥により溶媒を留去することにより、粒径が40〜50μmの比較用の吸水性樹脂粒子(H4)を得た。
【0105】
比較例5
特開2001−2935号公報に示される方法、すなわち以下の方法で作製した。アクリル酸207.7gと水13.5gとの混合液に、冷却しながら25重量%水酸化ナトリウム水溶液346.2gを添加した。生成した溶液に過硫酸カリウム0.104g及び次亜リン酸ソーダ0.021gを添加してモノマー水溶液を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた容量3リットルの四つ口丸底フラスコに、シクロヘキサン624gを入れ、これにポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸(第一工業製薬社製品、プライサーフA210G)1.56gを添加して溶解させたのち、400rpmで攪拌しつつ窒素ガスを導入した。次いで加熱して75℃とし、これに上記で調製したモノマー水溶液を60分間かけてほぼ一定速度で導入した。モノマー水溶液の導入終了後さらに30分間75℃で重合させたのち、水をシクロヘキサンとの共沸によって除去した。生成した樹脂の含水率が約20%となった時点で攪拌を中止すると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより樹脂粒子とシクロヘキサンとを分離した。得られた樹脂粒子40g(乾量基準)とシクロヘキサン140gとを容量300mlのナスフラスコに入れ、これにグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセ化成工業社製品、デナコールEX314)0.35重量%を含むシクロヘキサン溶液3.4gを添加したのち、60℃で加熱して30分間保持した。次いで加熱してシクロヘキサンの還流下に30分間保持した。濾過して樹脂粒子を取得し、80℃で減圧乾燥し、吸水性樹脂粒子(H5)を得た。
【0106】
実施例9〜16
ウレタン系塗料用樹脂[ポリエステル系ウレタン樹脂、商品名:サンプレンIB−1700D、三洋化成工業株式会社製]29.0g、ジブチル錫ジラウレート1.0g、実施例1〜8で得られた吸水性樹脂粒子(1)〜(8)60.0g、及びメチルエチルケトン10.0gを配合し、70℃で3時間加熱混合して各塗料を得た。これをバーコーターで支持基材であるポリエステル系不織布[目付け40g/m2:東レ(株)製]に塗布し、105℃で3分間乾燥して、固形分で50g/m2の被膜及び厚さ500μmを有する止水テープ(1)〜(8)を得た。
【0107】
比較例6〜10
実施例9において、吸水性樹脂粒子(1)に代えて吸水性樹脂粒子(H1)〜(H5)を用いる以外は実施例9と同様にして、止水テープ(H1)〜(H5)を得た。
【0108】
実施例1〜8及び比較例1〜5で得られた吸水性樹脂粒子(1)〜(8)及び吸水性樹脂粒子(H1)〜(H5)について、人工海水吸収速度、見掛け密度、フラクタル次数及び重量平均粒子径を測定した。その結果を表1に示した。
【0109】
【表1】

【0110】
実施例9〜16及び比較例6〜10で作製した止水テープ(1)〜(5)及び(H1)〜(H5)の吸水速度を評価した。評価方法は以下の通りである。
【0111】
1)吸水速度(sec)の評価方法
止水テープを10cm×10cmの大きさに裁断し試験サンプルを得た。この試験サンプルを吸水性樹脂組成物の塗布面が上になるようにして水平な台の上に置き、試験サンプルのほぼ中央部に上から1mlの人工海水〔アクアマリン;八洲製薬(株)製〕をピペット2秒以内で垂らし、垂らし始めてから人工海水の全量が吸水されるまでの時間を測定した。
【0112】
その評価結果を表2に示す。
表2において、実施例の止水テープは良好な人工海水の吸水速度を持つことが分かる。すなわち、光ファイバーケーブル内に侵入した水、海水等を素早く吸収しケーブル内の劣化を防ぐことができ、地下及び海底の光ファイバーケーブル用止水剤等として優れた性能を発揮する。
【0113】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子は、水、食塩水等、特に海水の吸収速度に優れた吸水性樹脂粒子である。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を光ファイバー用止水テープに使用した場合、光ファイバーケーブル内に侵入した水、海水等を素早く吸収しケーブル内の劣化を防ぐことが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有してなる光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子において、吸水性樹脂粒子の見掛け密度が0.48〜0.63g/mlであり、吸水性樹脂粒子のフラクタル次数が1.87〜1.92であり、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)が65〜500であり、吸水性樹脂粒子の人工海水吸収速度(g/g/s)が0.33〜1.67である光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子(B)。
【請求項2】
前記吸水性樹脂粒子が、架橋重合体(A)と加熱により気体を発生する発泡剤(E)との混合工程を含む製造方法で製造されてなる吸水性樹脂粒子である請求項1に記載の光ファイバー止水テープ用吸水性樹脂粒子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された吸水性樹脂粒子を含有してなる光ファイバー止水テープ。

【公開番号】特開2010−106049(P2010−106049A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276225(P2008−276225)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】