説明

光ファイバ水素センサ及びそれを用いた水素検知システム

【課題】
光学的セッティングが不要で、応答速度が早く、高感度で、量産容易な水素センサおよび水素検知システムを実現する。
【解決手段】
部分的に細くなった括れ部12と、括れ部12を含む長手方向にわたり、側面の一部に付着させた水素吸蔵膜13と、括れ部12に近い端面に反射手段14を具備する光ファイバ11により、水素吸蔵膜13の水素吸蔵による体積膨張によって括れ部12で発生する曲げ損失変化を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを使って水素を検知する光ファイバ水素センサ及びそれを用いた水素検知システムに関し、より具体的には、光ファイバの曲げ損失を検出して水素を検知する光ファイバ水素センサ及びそれを用いた水素検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバセンサは、防爆性、耐電磁ノイズ特性に優れ、遠隔、多点モニタリングが容易なことから今後幅広い分野での利用が期待されており、光ファイバ水素センサもそれらの利点のため開発が望まれている。
【0003】
光ファイバ、或いは、光学的手段により水素を検知するセンサが、特許文献1、2、3、4、非特許文献1に記載されている。
【0004】
非特許文献1には、光ファイバのクラッドに、水素により着色するWO3等の調光ガラス材料を用いて、エバネッセント波の光吸収より水素を検知するライン状水素センサが開示されている。
【0005】
特許文献1には、水素感応調光ミラーの水素化に伴う光の透過率や反射率の変化を光学的に検知する水素センサが開示されている。
【0006】
特許文献2には、白金、ロジウムなど水素ガスを吸着解離する触媒金属膜の透過率や反射率の変化を光学的に検出する水素センサが開示されている。
【0007】
特許文献3には、Mg-Ni合金薄膜の水素化を、表面の光学反射率の変化により検知する水素センサが開示されている。
【0008】
特許文献4には、水素吸蔵合金膜の体積膨張によって起こるガラス基板の歪みを光学的手法で検出する水素センサが開示されている。
【特許文献1】特開2005−265590号公報
【特許文献2】特開平5−196569号公報
【特許文献3】特開2005−83832号公報
【特許文献4】特許第3866001号公報
【非特許文献1】岡崎ら、“光ファイバを使ったライン状水素センサの検討”、第23回光波センシング技術研究会、LST23-22,pp.147-152(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1に開示されている水素センサでは、酸化タングステンの耐水性が悪いため、センサ寿命が短く、また水素に対する反応特性の経時変化が著しいという問題があった。
【0010】
特許文献1、2、3、で開示されている水素感応調光ミラー、白金、ロジウムなどの触媒金属、Mg-Ni合金薄など、水素感応材料の透過率や反射率変化を検知するセンサでは、基板上に製膜した水素感応膜の透過率や反射率変化を検出するための精密な光学的セッティングが必要であり、光学部品の僅かな位置ずれで検出光強度が変化してしまうという問題があった。
【0011】
このような光学的セッティングの煩雑さをなくすために、水素感応膜を光ファイバ端面に直接製膜して反射率変化を測定する方法が考えられるが、このような方法は応答速度が遅くなるという問題があった。特許文献3に開示されているように、透過率測定は、膜全体が水素化するのに時間を要すため応答が遅く、膜表面の変化を直ぐに反映できる反射率測定のほうが速い応答が得られる。しかしながら、光ファイバ端面に水素感応膜を直接製膜した場合は、水素に暴露されている膜表面から水素化が起こり、光ファイバ端面に達するまで時間を要すため、反射率測定であっても応答が遅くなってしまうという問題が生じる。
【0012】
特許文献4に開示されている水素吸蔵合金膜の体積膨張によって起こるガラス基板の歪みを光学的手法で検出する水素センサでは、基板の歪み測定に光テコ法のような複雑な光学装置を必要とするため、精密な光学的セッティングが必要であり、装置が複雑で高価になるという問題があった。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、煩雑な光学的セッティングが不要で、応答速度が早く、高感度で、量産容易な水素センサおよびそれを用いた水素検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、本発明は、(1)部分的に細くなった括れ部と、当該括れ部を含む長手方向にわたり、側面の一部に付着させた水素吸蔵膜と、当該括れ部に近い端面に反射手段を具備した光ファイバ(11)からなることを特徴とする光ファイバ水素センサを提供する。
【0015】
また、(2)当該水素吸蔵膜がPd、Pd合金、La−Ni合金、希土類金属−Ni合金、Mg−Ni合金であることを特徴とする光ファイバ水素センサを提供する。
【0016】
また、(3)熱膨張率が当該水素吸蔵膜と類似し、且つ、水素により体積変化を起こさない材質からなる熱膨張相殺膜を、当該水素吸蔵膜と対称的に配置することにより、温度による曲げ損失変化の影響を軽減したことを特徴とする光ファイバ水素センサを提供する。
【0017】
また、(4)当該水素吸蔵膜の材質がPdであり、当該熱膨張相殺膜が炭素鋼或いは純鉄であることを特徴とする光ファイバ水素センサを提供する。
【0018】
また、(5)光ファイバ水素センサと、当該光ファイバ水素センサと計測部の間の光伝送を行う伝送用光ファイバと、当該光ファイバ水素センサに供給すべき測定光を発生する発光手段と、当該光ファイバ水素センサで光量変化を受けた測定光を受光する受光手段と、当該受光手段の出力を閾値処理或いは水素濃度変換する演算処理手段を備えたことを特徴とする水素検知システムを提供する。
【0019】
また、(6)当該水素検知システムに、温度センサ、温度信号伝送路、温度計測部を付加し、予め取得しておいた反射光量の温度依存性データに基づき、当該演算処理手段の温度による影響を除去するようにしたことを特徴とする水素検知システムを提供する。
【0020】
更に、特定の波長の光を特定の当該光ファイバ水素センサに分波し、当該光ファイバ水素センサからの反射光を合波する合分波フィルタを介して当該伝送用光ファイバに複数配置した当該光ファイバ水素センサと、当該光ファイバ水素センサに供給すべき複数の波長の測定光を発生する発光手段と、当該光ファイバ水素センサで光量変化を受けた複数の波長からなる測定光を各波長に分岐する波長分岐フィルタと、分岐された各波長の光を受光する複数の当該受光手段と、複数の当該受光手段の出力を閾値処理或いは水素濃度変換するための当該演算処理手段とを具備したことを特徴とする多点水素検知システムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、煩雑な光学的セッティングが不要で、応答速度が早く、高感度で、量産容易な水素センサを実現できる。また、それを用いて、複数地点の水素をリアルタイムで検知できる水素検知システムを簡易な構成で安価に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1(a)は本発明の第一実施例である光ファイバ水素センサの構成側面図、(b)は切断面図である。
【0024】
図中、1は水素センサ部で、構成側面図(a)、切断面図(b)に示すように、光ファイバ11の一部を細くした括れ部12、水素吸蔵膜13、及び反射ミラー14を具備している。
【0025】
光ファイバ11は、線形性のよい応答を得るためにシングルモードファイバであるのが望ましく、また、伝送距離、コスト面から光通信波長帯に適合したものが望まれる。
【0026】
括れ部12は、光ファイバ11に、微小な力で、再現性よく、大きな曲率の曲げを与える役割をし、括れ部12の中央の径が細いほど高感度となる。以下、括れ部12の中央の径を括れ径と称す。しかし、括れ径が細すぎると光出力が非線形となりやすいため、細すぎる括れ径は望ましくない。例えば、クラッド径が125μm、MFD(モードフィールド径)が10μm(波長:1.55μm)程度である通常のシングルモードファイバの場合、括れ径は50〜90μmの範囲であることが望ましい。括れ径が90μm以上の場合は、曲げによる光の漏洩が殆ど起こらず、50μm以下の場合は、曲げがない場合でも光の漏洩が大きく、また、光出力が非線形で不安定となりやすい。
【0027】
13は水素吸蔵膜で、図1(a)、(b)に示すように、括れ部12を含むファイバ側面の一部に形成する。水素吸蔵膜13の長手方向の幅は、括れ部12の幅よりやや広い程度でよい。また、水素吸蔵膜13は、水素を吸蔵して体積膨張が起こったときに、括れ部12に曲げの変化を与えるよう、ファイバ側面の一部に形成する。最も効率よく曲げを起こすには、ファイバ側面の半分に水素吸蔵膜13を形成するのがよい。水素吸蔵膜13の材質は、水素を吸蔵して体積膨張が起こる素材であり、例えば、Pd、Pd合金、La−Ni合金などの希土類金属合金、Mg−Ni合金等を用いることができる。当然、水素吸蔵に対して体積膨張が大きい材質ほど高感度のセンサとなる。水素吸蔵膜13の形成は、スパッタリグ装置、イオンアシスト蒸着装置など通常の製膜装置で容易に形成でき、膜厚は0.1〜0.5μm程度である。
【0028】
14は反射ミラーであり、括れ部12の曲げ動作に支障を与えないよう軽量のほうがよく、光ファイバ11の端面にスパッタリング、蒸着などの製膜手段により直接形成するのが望ましい。括れ部12の中央から反射ミラー14までの距離は、やはり軽量化のため短いほうが望ましく、通常、10mm以下である。
【0029】
本実施例の光ファイバ水素センサの動作を図2を用いて説明する。図2は、水素センサ部1の曲げの変化を示している。括れ部12を具備する光ファイバ11の側面に水素吸蔵膜13を形成する際、製膜温度を室温より高くしておくと、(a)に示すように、製膜時にセンサ部分1を直線状にしておいても、水素吸蔵膜は光ファイバ(石英)より熱膨張率が大きいので、室温では水素吸蔵膜13がより収縮して水素センサ部1は(b)のように適度に曲がり、一定の漏洩光を発生する状態となる。この漏洩光の強さは、製膜時の温度で調節可能であり、線形的応答性、ダイナミックレンジの観点から、通常、5〜10dB程度の漏洩光が発生するようにするのが望ましい。
【0030】
(b)に示すような適度な曲げを持つ水素センサ部1を水素含有ガスに暴露すると、水素吸蔵膜13が水素を吸蔵して体積膨張を起こすため、センサ部分1の曲げの曲率が小さくなり、漏洩光が減少し、反射光強度が増大するので、この反射光強度の変化を検出すれば、水素漏洩検知器とすることができる。
【0031】
水素の吸蔵は、水素吸蔵膜13の表面から起こり、奥に浸透していくが、水素センサ部1の曲率変化は水素吸蔵膜13表面に水素が吸蔵された時点から始まるので、応答速度の速い水素漏洩検知器となる。
【0032】
また、曲率は水素濃度の増大と共に小さくなるので、水素濃度と反射光強度の関係を予め取得しておけば、水素濃度測定に使用することも可能である。
【0033】
以上、説明したように、括れ部12を具備する光ファイバ11と、光ファイバ11側面に直接形成した水素吸蔵膜13と、反射ミラー14で水素センサ部1を構成することにより、部品が一体化したセンサとなるため煩雑な光部品のセッティングが不要であり、薄膜製造プロセスで製造できるため量産容易で、曲げに極めて敏感な括れ部(12)の曲げロスを利用するため高感度で、簡易な構造で製造容易なため安価な水素センサを実現できる。
【実施例2】
【0034】
図3は、図1(a)(b)に示す水素センサの第一実施例を発展させた形態を示す。15は、熱膨張相殺膜で、水素吸蔵膜13と熱膨張率が類似し、且つ、水素により体積変化を起こさない材質からなる。図3では、括れ部12を含む長手方向にわたり、光ファイバ11の側面半分を熱膨張相殺膜15、残りの側面半分を水素吸蔵膜13として描いてあるが、両膜は対称的に配置されていればよく、必ず半分ずつ配置される必要はない。これら両膜の膜厚はほぼ同等にする。
【0035】
具体的な材質の例としては、水素吸蔵膜13を熱膨張率が11.8×10−6/KのPdとした場合、熱膨張率11.7×10−6/Kの炭素鋼や純鉄を熱膨張率相殺膜15として使用できる。
【0036】
このように、水素吸蔵膜13と熱膨張率が類似し、且つ、水素により体積変化を起こさない材質の熱膨張相殺膜15を、水素吸蔵膜13と対称的に配することにより、温度による水素センサ部1の曲げ変化を減少できるので、温度変化の影響を受けにくい水素センサとなる。
【0037】
熱膨張相殺膜15を具備した水素センサの動作を説明する。
【0038】
水素吸蔵膜13、熱膨張相殺膜15を同じ製膜温度で形成すると、室温においても水素センサ部1はほぼ直線状態であり、括れ部12における漏洩光強度はほぼ最小となる。
【0039】
水素センサ部1を水素含有気体中に暴露すると水素吸蔵膜13が水素を吸蔵して体積膨張するので、括れ分12に曲げが生じて漏洩光が増大、反射光強度が減少する。従って、反射光強度を測定することにより水素を検知できる。
【実施例3】
【0040】
図4は、本発明の第三実施例である水素検知システムの概略構成を示す図である。
【0041】
図中、2は水素センサ部1への光の伝送および反射してくる信号光を計測部3に導くための伝送用光ファイバである。計測部3の主要構成部品は、発光素子4、光カプラ5、受光素子6、光アイソレータ7、演算処理回路8である。発光素子4は光ファイバに入射可能な光源であり、より遠隔まで信号を伝送するためには、波長帯が1.5μm帯、1.3μm帯など通信波長帯であることが望ましく、例えば、通信波長帯の半導体レーザを利用できる。
【0042】
発光素子4から出射した測定光は、光アイソレータ7、光カプラ5を通過して光伝送用ファイバ2に送られ、水素センサ部1に入射される。括れ部12で一部の光を漏洩した後、測定光は反射ミラー14で反射され、括れ部12で再度光を漏洩した後、伝送用光ファイバ2を経て光カプラ5に達し、受光素子6で受光される。発光素子4側に戻る一部の光は光アイソレータ7でブロックされる。反射光強度と水素濃度の相関を予め演算処理回路8に入力しておき、受光素子6の出力を演算処理すれば水素濃度検知システムとして動作する。
【0043】
また、計測部3の主要構成部品は何れも光通信で使用されている市販品を安価に購入できるため安価なシステムが構成できる。
【実施例4】
【0044】
図5は、図4に示す水素検知システムの第三実施例を発展させ、温度特性を向上させた構成を示す。図中、31は温度センサ、32は温度信号伝送路、33は温度計測部である。温度センサには、光ファイバセンサシステムの特徴を最大限活かすため、例えば、特開2007−24527に本願発明者等により開示されているような光ファイバ式温度センサが望ましいが、熱電対、白金抵抗体などの一般的センサを利用することも可能である。信号伝送路32は、温度センサ32の種類によって異なり、例えば、光ファイバ式温度センサでは光ファイバであり、熱電対では補償導線となる。温度計測部33も同様に温度センサに適合したものとする。
【0045】
予め測定しておいた水素センサ部1の出力の温度依存性を、演算処理回路8に入力しておき、温度センサ21で測定した温度データを用いて温度の影響を補正することにより、温度の影響を受けない正確な水素検知システムとなる。
【実施例5】
【0046】
図6は、本発明の第五実施例である多点水素検知システムの概略構成を示す図である。以下、システムの動作を説明する。光源21は、ASE光源、チューナブルレーザなどのように複数の波長を発光する光源で、光源21から発光された光は、光アイソレータ7、2個の光カプラ5を経て伝送用光ファイバ2に入射される。光アイソレータ7を出た光の一部は、光カプラ5で分岐され光源21の光強度変化をモニターするパワーモニタ用受光素子24に入射され、光源の変動を補正するデータとして使われる。
【0047】
測定光が合分波フィルタ22−1に到達すると、波長λの光のみ温度センサ部1−1側に分岐され、残りの波長の光は伝送用光ファイバ2を先に進む。合分波フィルタ22−2ではλ、合分波フィルタ22−3ではλというように各水素センサ部1−(1〜n)に割り当てられた波長が分岐されていく。各水素センサ部1−(1〜n)で反射された各波長の光は、再度合分波フィルタ22を経て伝送用光ファイバ2に入射され、光カプラ5を経て波長分岐フィルタ23に達する。波長分岐フィルタ23で光は各波長に分岐され、各々割り当てられた受光素子6に入射される。
【0048】
演算処理回路8に光量レベルの閾値を設定しておき、各受光素子6の出力が閾値に到達したときに警報を発するようにすれば多点水素漏洩検知システムとして動作する。
【0049】
演算処理回路8に予め取得しておいた水素濃度と反射光強度の関係式を入力しておき、各受光素子6の出力を演算処理すれば、各水素センサ部1−(1〜n)の水素濃度を検知する多点水素濃度検知システムとして動作する。
【0050】
各水素センサ部1−(1〜n)の識別に異なる波長の光λ〜λを用い、各波長に割り当てた複数の受光素子PD〜PDで並列に受光することにより、計測時間が短くなり、リアルタイム測定ができる。
【0051】
また、伝送用光ファイバ2、光カプラ5、光アイソレータ7、合分波フィルタ22、波長分岐フィルタ23、受光素子6など、上記各種の構成部品には光通信用に開発された安価で信頼性の高い市販品を利用できるため、安価で信頼性の高いシステムを構成できる。
【0052】
特定の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更を加えることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修正も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施例である水素センサの構成を示す図である。
【図2】センサ部の動作を説明する側面図である。
【図3】本発明の第2実施例であるセンサ部の側面図と切断面図である。
【図4】本発明の第3実施例である水素検知システムの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第4実施例である水素検知システムの概略構成を示す図である。
【図6】本発明の第5実施例である水素検知システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1:水素センサ部
2:伝送用光ファイバ
3:計測部
4:発光素子
5:光カプラ
6:受光素子
7:光アイソレータ
8:演算処理回路
11:光ファイバ
12:括れ部
13:水素吸蔵膜
14:反射ミラー
15:熱膨張率相殺膜
20:多点計測部
21:光源
22:(1〜n):合分波フィルタ
23:波長分岐フィルタ
24:パワーモニタ用受光素子
31:温度センサ
32:温度信号伝送路
33:温度計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に細くなった括れ部(12)と、当該括れ部(12)を含む長手方向にわたり、側面の一部に付着させた水素吸蔵膜(13)と、当該括れ部(12)に近い端面に反射手段(14)を具備した光ファイバ(11)からなることを特徴とする光ファイバ水素センサ。
【請求項2】
当該水素吸蔵膜(13)がPd、Pd合金、La−Ni合金、希土類金属−Ni合金、Mg−Ni合金であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ水素センサ。
【請求項3】
熱膨張率が当該水素吸蔵膜(13)と類似し、且つ、水素による体積変化を起こさない材質からなる熱膨張相殺膜(15)を、当該水素吸蔵膜(13)と対称的に配置したことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ水素センサ。
【請求項4】
当該水素吸蔵膜(13)の材質がPdであり、当該熱膨張相殺膜(15)の材質が炭素鋼或いは純鉄であることを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ水素センサ。
【請求項5】
当該光ファイバ水素センサと、当該光ファイバ水素センサと計測部(3)の間の光伝送を行う伝送用光ファイバ(2)と、当該光ファイバ水素センサに供給すべき測定光を発生する発光手段(4)と、当該光ファイバ水素センサで光量変化を受けた測定光を受光する受光手段(6)と、当該受光手段(6)の出力を水素濃度に変換する演算処理手段(8)とを備えたことを特徴とする水素検知システム。
【請求項6】
当該光ファイバ水素センサに加え、温度センサ(31)、温度信号伝送路(32)、温度計測部(33)を具備し、予め取得しておいた温度に対する反射光量変化データに基づき、前記演算処理手段(8)で温度補正を行うようにしたことを特徴とする請求項5に記載の水素検知システム。
【請求項7】
特定の波長の光を特定の当該光ファイバ水素センサに分波し、当該光ファイバ水素センサからの反射光を合波する合分波フィルタ(22)を介して当該伝送用光ファイバ(2)に複数配置した当該光ファイバ水素センサと、当該当該光ファイバ水素センサに供給すべき複数の波長の測定光を発生する発光手段(21)と、当該当該光ファイバ水素センサで光量変化を受けた複数の波長からなる測定光を各波長に分岐する波長分岐フィルタ(23)と、分岐された各波長の光を受光する複数の当該受光手段(6)と、複数の当該受光手段(6)の出力を閾値処理或いは水素濃度変換するための当該演算処理手段(8)とを具備したことを特徴とする多点水素検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−53045(P2009−53045A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220097(P2007−220097)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(707001768)ファイバーラボ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】