説明

光モジュール及びその製造方法、光送信器

【課題】0チャープ動作及び正又は負チャープ動作を行なう光モジュールを、同じ構造のMZ型変調素子を用いて実現する。
【解決手段】光モジュールを、マッハツェンダ干渉計を構成する第1光カプラ16、第2光カプラ17、第1光導波路12及び第2光導波路13と、第1光導波路12及び第2光導波路13のそれぞれに設けられた電極14,15と、第1光導波路12及び第2光導波路13の少なくとも一方に設けられ、電極14,15よりも短い短電極18,19とを備えるマッハツェンダ型変調素子7と、第1及び第2の高周波コネクタ1,2とを備えるものとし、一方の第2光導波路13に設けられた短電極19を、一方の第2高周波コネクタ2に接続し、他方の第1光導波路12に設けられた電極14を、他方の第1高周波コネクタ1に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール及びその製造方法、光送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光通信システムでは、1本の光ファイバの中に複数の異なる波長の光信号を伝播させるWDM通信方式が用いられており、これにより、伝送容量を飛躍的に増加させることができるようになってきている。
このような光通信システムでは、広い波長範囲で任意の波長の光信号を送信することができる光送信器が必要であり、これを実現するためには、広い波長範囲で高速に(例えば10Gbpsの変調速度で)動作する光変調器が必要である。
【0003】
広い波長範囲で動作する変調器として、マッハツェンダ(MZ)型変調器がある(図13参照)。
また、MZ型変調器では、作製誤差などの影響で干渉計を構成する2つの導波路で位相を完全に合わせることが難しい。このため、高周波信号電圧を印加するための電極とは別に、これよりも長さが短い位相調整用電極を設けたものもある(図14参照)。
【0004】
また、チャープを調整するために、干渉計を構成する2つの導波路間で高周波信号電圧を印加するための高周波電極の長さを変えたものもある(図15参照)。
【特許文献1】米国特許第5991471号明細書
【特許文献2】特表2007−531022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように高周波信号電圧を印加するための電極の長さを変える場合、MZ型変調素子として、0チャープ動作用の素子と正又は負チャープ動作用の素子とで異なる構造の素子を用意することが必要となる。つまり、0チャープ動作用の素子として、干渉計を構成する2つの導波路上の電極の長さを同一にしたものを用意し、正又は負チャープ動作用の素子として、干渉計を構成する2つの導波路上の電極の一方を他方に対して短くしたものを用意することが必要となる。
【0006】
しかしながら、一般に、素子の作製には数ヶ月程度の時間がかかるため、異なる構造(仕様)の素子を用意するのは歩留まりや在庫管理の点で好ましくない。
そこで、0チャープ動作及び正又は負チャープ動作を行なう光モジュールを、同じ構造のMZ型変調素子を用いて実現できるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本光モジュールは、少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、第1の光カプラの第1の出力ポートに一端が接続され、第2の光カプラの第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、第1の光カプラの第2の出力ポートに一端が接続され、第2の光カプラの第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、第1の光導波路及び第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、第1の光導波路及び第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子と、第1及び第2の高周波コネクタとを備え、第1の光導波路及び第2の光導波路の一方に設けられた短電極が、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの一方に接続されており、第1の光導波路及び第2の光導波路の他方に設けられた電極が、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの他方に接続されていることを要件とする。
【0008】
本光送信器は、上記のマッハツェンダ型変調素子と、第1の光導波路及び第2の光導波路の一方に設けられた短電極、及び、第1の光導波路及び第2の光導波路の他方に設けられた電極に接続された高周波電源とを備えることを要件とする。
本光モジュールの製造方法は、上記のマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタを備える筐体内に配置し、第1の光導波路及び第2の光導波路の一方に設けられた短電極を、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、第1の光導波路及び第2の光導波路の他方に設けられた電極を、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの他方に接続することを要件とする。
【0009】
本光モジュールの製造方法は、上記のマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタとを備える筐体内に配置し、0チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、電極を、それぞれ、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタに接続し、正チャープ動作用又は負チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、第1の光導波路及び第2の光導波路の一方に設けられた短電極を、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、第1の光導波路及び第2の光導波路の他方に設けられた電極を、第1の高周波コネクタ及び第2の高周波コネクタの他方に接続することを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本光モジュール及びその製造方法、光送信器によれば、0チャープ動作及び正又は負チャープ動作を、同じ構造のMZ型変調素子を用いて実現できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる光モジュール及びその製造方法、光変調器、光送信器について、図1〜図11を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる光モジュールは、例えば大容量の通信が可能であるWDMシステムの通信用光源として用いることができ、広い波長範囲で高速に動作するマッハツェンダ型変調器(MZ型変調器)を構成する光モジュール(変調器モジュール)である。
【0012】
本光モジュールは、図1に示すように、2つの高周波コネクタ1,2及び複数のDCコネクタ(直流コネクタ)3を有する筐体4と、筐体4内に配置された配線5を有するキャリア6と、キャリア6上に実装されたマッハツェンダ型変調素子(MZ型変調素子)7とを備える。
また、図1に示すように、筐体4内には、筐体4の入出力側に接続される各光ファイバ8,9とMZ型変調素子7との間に位置するようにレンズ10,11が配置されている。そして、入力側光ファイバ8から入力された入力信号は、入力側レンズ10を介して、MZ型変調素子7に入力される一方、MZ型変調素子7からの出力信号は、出力側レンズ11を介して、出力側光ファイバ9へ出力されるようになっている。
【0013】
本実施形態では、図3に示すように、MZ型変調素子7として、MZ干渉計を構成する2つの導波路(アーム)12,13に高周波信号(高周波信号電圧)を印加するための電極(高周波電極)14,15の長さを同一にした、0チャープ動作用のMZ型変調素子を用いる。
本MZ型変調素子7は、位相調整用電極付きのMZ型変調素子であって、図3に示すように、MZ干渉計を構成する第1の光導波路12、第2の光導波路13、入力側光カプラ(第1の光カプラ)16、出力側光カプラ(第2の光カプラ)17を備え、第1の光導波路12及び第2の光導波路13のそれぞれに、高周波信号を印加するための高周波電極14,15及び位相を調整するための位相調整用電極(位相制御電極)18,19が設けられている。
【0014】
ここで、入力側光カプラ16は、2つの入力ポート20,21と、2つの出力ポート22,23とを有する光カプラ(例えば2×2MMIカプラ)である。
出力側光カプラ17は、2つの入力ポート24,25と、2つの出力ポート26,27とを有する光カプラ(例えば2×2MMIカプラ)である。
第1の光導波路12は、一端が入力側光カプラ16の一の出力ポート(第1の出力ポート)22に接続されており、他端が出力側光カプラ17の一の入力ポート(第1の入力ポート)24に接続されている。
【0015】
第2の光導波路13は、一端が入力側光カプラ16の他の出力ポート(第2の出力ポート)23に接続されており、他端が出力側光カプラ17の他の入力ポート(第2の入力ポート)25に接続されている。
高周波電極14,15は、高周波信号を印加するのに適した構造に設計された進行波型の電極である。ここでは、高周波電極14,15は、例えばコプレーナ型の進行波電極であり、図3に示すように、シグナル電極14A,15Aと、このシグナル電極14A,15Aに沿ってその両側に設けられたグランド電極14B,14C,15Bとから構成されている。
【0016】
また、第1の光導波路12に設けられている高周波電極(第1の電極)14と、第2の光導波路13に設けられている高周波電極(第2の電極)15とは、光導波路に沿う方向の長さ(作用長)が同一になっている。つまり、第1の光導波路12及び第2の光導波路13には一対の高周波電極14,15が設けられている。
位相調整用電極18,19は、例えば集中定数型の電極である。また、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の両方に設けられた位相調整用電極18,19は、光導波路に沿う方向の長さ(作用長)が同一になっている。つまり、第1の光導波路12及び第2の光導波路13には一対の位相調整用電極18,19が設けられている。これらの位相調整用電極18,19は、高周波電極14,15とは独立に設けられており、高周波電極14,15よりも長さが短くなっている。このため、高周波電極14,15を長電極(大電極)といい、位相調整用電極18,19を短電極(小電極)という。
【0017】
ここで、図4,図5は、本実施形態のMZ型変調素子7の断面構造(高周波電極部分及び位相調整用電極部分)を示す模式的断面図である。
本MZ変調素子7は、図4,図5に示すように、例えば、n−InP基板28上に、MOCVD法などによって、n−InPバッファ層29、InGaAsP−MQW導波路コア層30、p−InPクラッド層31、p−InGaAsPコンタクト層32を順に積層させた層構造(導波路構造)を有する。
【0018】
また、図4,図5に示すように、一般的なドライエッチングの手法によって導波路形成領域のみに導波路コア層30を含む上記導波路構造が残るように他の部分が除去され、除去された部分が例えばBCBなどの低誘電体樹脂33で埋め込まれている。
また、図4に示すように、p−InGaAsPコンタクト層32の表面に形成された低誘電体樹脂33のうち、高周波電極形成領域に形成されているものは、ドライエッチングなどの手法によって除去され、この領域に高周波電極14,15を構成するシグナル電極14A,15Aが形成されている。つまり、導波路構造の直上に高周波信号を印加するためのシグナル電極14A,15Aが形成されている。
【0019】
さらに、n−InP基板28の表面に形成された低誘電体樹脂33のうち、上部グランド電極形成領域に形成されているものは、ドライエッチングなどの手法によって除去され、この領域に上部グランド電極14B,14C,15Bが形成されている。つまり、上部にシグナル電極14A,15Aが形成されている導波路構造の両側のn−InP基板28の表面が露出している部分に、シグナル電極14A,15Aに沿うようにグランド電極14B,14C,15Bが形成されており、コプレーナ型の進行波電極を構成している。
【0020】
また、図5に示すように、p−InGaAsPコンタクト層32の表面に形成された低誘電体樹脂33のうち、位相調整用電極形成領域に形成されているものは、ドライエッチングなどの手法によって除去され、この領域に位相調整用電極18,19が形成されている。つまり、導波路構造の直上のみに位相調整用電極18,19が形成されており、集中定数型の電極を構成している。
【0021】
さらに、図4,図5に示すように、n−InP基板28の裏面側には、グランド電極34が形成されている。
なお、半導体表面と低誘電体樹脂33との間や低誘電体樹脂33の表面に、パッシベーション膜として、SiO膜やSiN膜などを形成しても良い。
ところで、本実施形態では、上述のように構成される0チャープ動作用のMZ型変調素子7を用いて負チャープ(又は正チャープ)動作用の変調器モジュールを製造すべく、高周波コネクタ1,2とMZ型変調素子7とを以下のように接続している。
【0022】
つまり、本実施形態では、図1に示すように、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた短電極19は、2つの高周波コネクタ1,2の一方(ここでは第2の高周波コネクタ2)に接続されている。
また、図1に示すように、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた第1の電極14は、2つの高周波コネクタ1,2の他方(ここでは第1の高周波コネクタ1)に接続されている。
【0023】
そして、第2の光導波路(アーム)13に設けられた短電極19及び第1の光導波路(アーム)12に設けられた第1の電極14に、これらの高周波コネクタ1,2を介して、外部に設けられた1つの高周波電源(共通高周波電源;高周波信号電源)35から同一振幅の高周波信号及びその反転信号が供給されるようになっている。なお、この高周波信号には適切なDCバイアスが付加されている。この場合、短電極19は、高周波電極として機能し、位相調整用電極としては機能しない。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、MZ型変調素子7は、キャリア6上に実装されており、MZ型変調素子7の各電極14,19は、キャリア6上に形成された配線5を介して、各高周波コネクタ1,2に接続されている。
具体的には、コプレーナ電極を構成するシグナル電極14Aは、図1、図2に示すように、一側(入力側部分)が、キャリア6上の高周波信号が入力される部分(シグナル配線)5Aに接続され、他側(光導波路の軸方向に対して入力側部分とは反対側の出力側部分)が、キャリア6上の終端抵抗36を介してグランド配線5Cに接続される部分(シグナル配線)5Bに接続されている。そして、キャリア6上の高周波信号が入力される部分5Aが高周波コネクタ1を介して高周波電源35に接続されている。
【0025】
また、コプレーナ電極を構成するグランド電極14Bは、キャリア6上のグランド配線5Cに接続されており、このグランド配線5Cは高周波コネクタ1を介して接地されている。
さらに、コプレーナ電極のシグナル電極14Aとグランド電極14Cとの間に直列に終端抵抗(ここでは50Ω)36が接続されている。ここでは、終端抵抗36は、例えば、コプレーナ電極のシグナル電極14Aとグランド電極14Cのそれぞれが接続されているキャリア6上のシグナル配線5Bとグランド配線5Cとを接続する薄膜抵抗によって構成される。
【0026】
一方、短電極19は、図1、図2に示すように、キャリア6上の高周波信号が入力される部分(シグナル配線)5Dに接続され、この部分5Dが高周波コネクタ2を介して高周波電源35に接続されている。
また、短電極19には並列に終端抵抗(ここでは50Ω)37が接続されている。ここでは、終端抵抗37は、例えば、短電極19が接続されているキャリア6上のシグナル配線5Dとグランド配線5Cとを接続する薄膜抵抗によって構成される。
【0027】
ところで、本実施形態では、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた第2の電極15は、一のDCコネクタ3Aに接続されている。
また、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた短電極18は、他のDCコネクタ3Bに接続されている。
そして、第2の光導波路13に設けられた第2の電極15及び第1の光導波路12に設けられた短電極18に、これらのDCコネクタ3A,3Bを介して、外部に設けられた異なるDC電源(直流電源;DC電流源又はDC電圧源)38,39から異なるDC電流(直流電流)又はDC電圧(直流電圧)が供給されるようになっている。この場合、第2の電極15は、位相調整用電極として機能し、高周波電極としては機能しない。
【0028】
このようにして、位相調整用電極として機能する短電極18及び第2の電極15を介して、第1の光導波路12及び第2の光導波路13にDC電流を注入し、又は、DC電圧を印加することで、各導波路12,13の屈折率を変化させ、各導波路12,13を伝播する光の位相を変化させて、作製誤差などの影響によって各導波路12,13間に生じる位相差を調整できるようにしている。これにより、作製誤差などによって各導波路12,13を伝播する光に生じる位相差が、DC電流注入量又はDC電圧印加量に応じて調整されることになる。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、MZ型変調素子7は、キャリア6上に実装されており、MZ型変調素子7の各電極15,18は、キャリア6上に形成された配線5を介して、各DCコネクタ3A,3Bに接続されている。
具体的には、コプレーナ電極を構成するシグナル電極15Aは、図1、図2に示すように、キャリア6上のDC電流又はDC電圧が入力される部分(シグナル配線)5Eに接続され、この部分5EがDCコネクタ3Aを介してDC電源39に接続されている。
【0030】
また、短電極18は、図1、図2に示すように、キャリア6上のDC電流又はDC電圧が入力される部分(シグナル配線)5Fに接続され、この部分5FがDCコネクタ3Bを介してDC電源38に接続されている。
このように、本実施形態では、0チャープ動作をする変調器モジュールを製造する場合に位相調整用電極として用いる一方の短電極19を高周波電極として用いるとともに、0チャープ動作をする変調器モジュールを製造する場合に高周波電極として用いる第2の電極15を位相調整用電極として用いるようにして、MZ干渉計を構成する2つの導波路(第1の光導波路12及び第2の光導波路13)に高周波信号を印加するための高周波電極の長さが異なるようにして、負チャープ動作(又は正チャープ動作)をする変調器モジュールを実現している。
【0031】
特に、本実施形態では、上述のように、MZ干渉計を構成する両方のアーム(第1光導波路12及び第2光導波路13)に印加する高周波信号電圧の振幅を同一にしているため、第1光導波路12及び第2光導波路13のそれぞれを伝播する光の位相変化量の比率は、それぞれの光導波路12,13上に形成される電極14(14A),19の長さの比率で決まることになる。このため、第1光導波路12及び第2光導波路13のそれぞれに設けられる電極14(14A),19の長さを調整するだけで、所望の位相変化量の比率が得られ、所望の負チャープ動作(又は正チャープ動作)を実現できることになる。
【0032】
これについて、以下に詳細に説明する。
MZ型変調器では、MZ干渉計を構成する2つの導波路(アーム)に高周波信号電圧を印加することによって各導波路を伝播する光の位相を変えて干渉の状態を変え、例えば、両アームの位相がそろったときにon、πずれたときにoffというように変調をかける。
【0033】
このようなMZ型変調器では、駆動方法の調整によって変調器から出力される信号光のチャープの状態を制御することが可能である。
チャープの程度はαパラメータの値で表すことが可能であり、αパラメータは、図6に示すように、各アームで発生する位相変化量の比率で変化する。なお、図6では、一方のアームの位相変化量をΔφ1とし、他方のアームの位相変化量をΔφ2とし、これらの位相変化量の比率をΔφ1/(Δφ1+Δφ2)としている。
【0034】
例えば、図7(A)に示すように、位相調整用電極に供給するDC電流の調整などによって両アームの位相を合わせた状態から、一方のアームの位相変化量を+π/2とし、他方のアームの位相変化量を−π/2とし、両方のアームの位相変化量を同一にして、位相差πをつける駆動方法では、両アームの位相変化量が相殺されるため、図7(B)に示すように、出力光(出力信号)の強度をon、offさせた場合に、図7(C)に示すように、出力光の位相の変化が少ない0チャープ動作(α=0)が得られる。
【0035】
一方、図8(A)に示すように、一方のアームの位相変化量を+0.85πとし、他方のアームの位相変化量を−0.15πとし、両方のアームの位相変化量が互いに異なるようにして、位相差πをつける駆動方法では、両アームの位相変化量が相殺されないため、図8(B)に示すように、出力光(出力信号)の強度をon、offさせた場合に、図8(C)に示すように、出力光の位相が変化し、チャープが発生する負チャープ動作(α=負の値)が得られる。なお、各アームの位相変化量を逆にすることで、正チャープ動作が得られる(α=正の値)。
【0036】
このように、MZ型変調器では、両アームの位相変化量の比率を変化させることによってチャープの量を調整することができる。これにより、現在、実際に用いられている0チャープ動作、負チャープ動作(又は正チャープ動作)の両方に対応することが可能となる。
両アームの位相変化量の比率を調整する方法としては、例えば、両アームに印加する高周波信号電圧の振幅の比率を変える方法がある。
【0037】
導波路に高周波信号電圧を印加した場合の位相変化量は、振幅が大きいほど大きくなるため、各アームに印加する高周波信号電圧の振幅を調整することで、両アームの位相変化量の比率を変化させることができる。
他の方法としては、高周波信号電圧を印加するための電極の長さを2つのアーム間で異なるものとする方法がある。
【0038】
導波路に高周波信号電圧を印加した場合の位相変化量は、電圧が印加される領域が長いほど大きくなるため、高周波信号電圧を印加するための電極の長さを調整することで、両アームの位相変化量の比率を変化させることができる。
しかしながら、上述の高周波信号電圧の振幅の比率を変える方法では、2つのアームのそれぞれに振幅の異なる高周波信号電圧を印加する必要がある。この場合、別個の2つの高周波電源を用いることが必要となる。この場合、高周波信号電圧を印加するために複雑な制御回路を構成することが必要となり、好ましくない。
【0039】
特に、MZ型変調素子7を半導体材料によって構成する場合、印加電圧に対する位相変化が非線形であるため、高周波信号電圧の振幅の大きさによって位相変化量が変わってしまうだけではなく[図9(A),(B)参照]、バイアス電圧の値によっても位相変化量が変わってしまう[図9(C)参照]。このため、より複雑な制御が必要となる。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、MZ干渉計を構成する2つの導波路(第1の光導波路12及び第2の光導波路13)に高周波信号を印加するための高周波電極14(14A),19の長さを変えることで、所望の位相変化量の比率が得られるようにし、所望の負チャープ動作(又は正チャープ動作)をする変調器モジュールを実現している。
【0040】
特に、α=−0.7付近での負チャープ動作は現状もっと多く使われている負チャープ動作の条件である。本実施形態では、図6に示すように、第1の電極(大電極;長電極)14(14A)の長さに対する短電極(小電極)19の長さの比率を、1/9〜1/4の範囲内(2:18から4:16の範囲内)とすることで、αパラメータが−0.7付近の負チャープ動作をする変調器モジュールを実現することができる。
【0041】
このように、第1の光導波路12及び第2の光導波路13のそれぞれに設けられる高周波電極14(14A),19の長さを調整することで、位相変化量の比率を調整するようにすれば、MZ干渉計を構成する光導波路を半導体材料によって構成する場合で、印加電圧に対する位相変化が非線形であっても、上述のように、第1の光導波路12及び第2の光導波路13のそれぞれに印加される高周波信号電圧の振幅を同一にし、さらにバイアス電圧も同一にすることができるため、複雑な駆動条件の調整が不要となり、簡単な制御回路を構成すれば良いことになる。
【0042】
次に、本実施形態にかかる光モジュールの製造方法について説明する。
まず、上述のように構成される0チャープ動作用のMZ型変調素子7を、第1及び第2の高周波コネクタ1,2及び複数の直流コネクタ3を備える筐体4内に配置する。
ここでは、筐体4内に、配線5を有するキャリア6を配置した後、このキャリア6上に、上述のように構成され0チャープ動作用のMZ型変調素子7を配置する。
【0043】
次に、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた短電極19を、キャリア6上に形成された配線5を介して、第1の高周波コネクタ1及び第2の高周波コネクタ2の一方(ここでは第2の高周波コネクタ2)に接続する。
また、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた第1の電極14を、キャリア6上に形成された配線5を介して、第1の高周波コネクタ1及び第2の高周波コネクタ2の他方(ここでは第1の高周波コネクタ1)に接続する。
【0044】
さらに、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた第2の電極15を、キャリア6上に形成された配線5を介して、一の直流コネクタ3Aに接続する。
また、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた短電極18を、キャリア6上に形成された配線5を介して、他の直流コネクタ3Bに接続する。
【0045】
このように、モジュール外部から供給される高周波信号電圧が、一方の光導波路(ここでは第1の光導波路12)では長電極側(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の高周波電極14側)に、他方の光導波路(ここでは第2の光導波路13)では短電極側(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の位相調整用電極19側)に印加されるように配線する。これにより、MZ干渉計を構成する2つの導波路(第1の光導波路12及び第2の光導波路13)において、異なる長さの電極を介して高周波信号電圧が印加されることになる。この結果、それぞれの電極14,19に同一振幅の高周波信号電圧及びその反転信号を印加した場合、長電極14側の光導波路(ここでは第1の光導波路12)の方が位相変化量が大きくなるため、両導波路12,13での位相変化量が一致しないことになり、負チャープ動作(あるいは正チャープ動作)を実現できることになる。
【0046】
また、高周波電極として用いられていない長電極(ここでは第2の光導波路13に設けられた長電極;0チャープ動作用のMZ型変調素子7の高周波電極15)及び短電極(ここでは第1の光導波路12に設けられた短電極;0チャープ動作用のMZ型変調素子7の位相調整用電極18)には位相を制御するためのDC電流又はDC電圧が供給されるように配線する。
【0047】
このようにして、0チャープ動作用のMZ型変調素子7を用いて、負チャープ動作用(又は正チャープ動作用)の光モジュール(変調器モジュール)を製造する。
ところで、上述のように構成される0チャープ動作用のMZ型変調素子7を用いて、0チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、図10、図11に示すように、第1の電極(高周波電極;長電極)14及び第2の電極(高周波電極;長電極)15を、それぞれ、キャリア6上に形成された配線5を介して、第1の高周波コネクタ1及び第2の高周波コネクタ2に接続するとともに、2つの短電極(位相調整用電極)18,19を、それぞれ、キャリア6上に形成された配線5を介して、一の直流コネクタ3B及び他の直流コネクタ3Aに接続すれば良い。なお、図10、図11では、上述の実施形態のもの(図1、図2参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0048】
つまり、MZ干渉計を構成する2つの導波路12,13のそれぞれに設けられている同一の長さの長電極(高周波電極)14,15に、モジュール外部の高周波電源35から供給される同一振幅の高周波信号及びその反転信号が印加されるように配線し、同一の長さの短電極(位相調整用電極)18,19に、モジュール外部のDC電源38,40からDC電流又はDC電圧が供給されるように配線すれば良い。
【0049】
ところで、本実施形態にかかる光変調器(光送信器)は、図1に示すように、上述のように構成される光モジュール(変調器モジュール)と、モジュール外部に設けられた、同一振幅の高周波信号及びその反転信号を供給するための1つの高周波電源35、及び、位相を調整するためのDC電流又はDC電圧を供給するための2つのDC電源38,39(40)とを備える。
【0050】
つまり、本光変調器(光送信器)は、上述のように構成される0チャープ動作用のMZ型変調素子7を備え、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた短電極19、及び、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた第1の電極14のそれぞれに、1つの高周波電源(共通高周波電源;高周波信号電源)35が接続されており、同一振幅の高周波信号及びその反転信号が供給されるようになっている。
【0051】
具体的には、本光変調器(光送信器)は、第1及び第2の高周波コネクタ1,2を有する筐体4内に、上述のように構成される0チャープ動作用のMZ型変調素子7を実装するための配線5を有するキャリア6を備える。
そして、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた短電極19が、キャリア6上に形成された配線5並びに第1の高周波コネクタ1及び第2の高周波コネクタ2の一方(ここでは第2の高周波コネクタ2)を介して、高周波電源35に接続されている。
【0052】
また、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた第1の電極(長電極)14が、キャリア6上に形成された配線5並びに第1の高周波コネクタ1及び第2の高周波コネクタ2の他方(第1の高周波コネクタ1)を介して、高周波電源35に接続されている。
このように、第2の光導波路13に設けられた短電極19及び第1の光導波路12に設けられた第1の電極(長電極)14に、第1及び第2の高周波コネクタ1,2を介して、外部に設けられた1つの高周波電源35から同一振幅の高周波信号及びその反転信号が供給されるようになっている。
【0053】
また、本光変調器(光送信器)は、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の一方(ここでは第2の光導波路13)に設けられた第2の電極15に、直流電流又は直流電圧を供給するための一の直流電源39が接続されており、第2の光導波路13を伝播する光の位相を調整することができるようになっている。
さらに、本光変調器(光送信器)は、MZ型変調素子7の第1の光導波路12及び第2の光導波路13の他方(ここでは第1の光導波路12)に設けられた短電極18に、直流電流又は直流電圧を供給するための他の直流電源38が接続されており、第1の光導波路12を伝播する光の位相を調整することができるようになっている。
【0054】
したがって、本実施形態にかかる光モジュール及びその製造方法、光変調器、光送信器によれば、0チャープ動作及び正又は負チャープ動作を、簡単な制御回路で、かつ、同じ構造のMZ型変調素子7を用いて実現できるという利点がある。
つまり、上述のように、高周波信号を印加するための電極が異なる長さになっている正又は負チャープ動作用のMZ型変調素子をあえて用意することなく、高周波信号を印加するための電極が同一の長さになっている0チャープ動作用のMZ型変調素子7を用いて負チャープ動作をする変調器モジュールを実現することができるため、MZ型変調素子7として1種類の素子を用意すれば良い。また、モジュール作製段階で、0チャープ動作用MZ型変調器モジュール(図10参照)と、正又は負チャープ動作用MZ型変調器モジュール(図1参照)とを作り分けるようにしており、これらのモジュールの作製は数日で可能であるため、例えば0チャープ動作用変調器モジュール、あるいは、正又は負チャープ動作用変調器モジュールの注文状況に応じて迅速に必要なモジュールを作製することができる。このため、歩留まりや在庫管理の点で好ましいという利点がある。
【0055】
また、MZ型変調素子7を構成する2つの導波路12,13に同一振幅の高周波信号及びその反転信号を供給すれば良いため、これらの高周波信号を供給して変調器を駆動するために、1つの高周波電源35を用い、簡単な制御回路を構成すれば良いという利点もある。
なお、例えば図12に示すように、上述の実施形態にかかる光モジュール(変調器モジュール)を、その内部に、MZ型変調素子7に光を入力するレーザ素子41を実装するものとして構成しても良い。このように、レーザ素子41を変調器モジュール内部に実装することで、レーザと変調器とを別のモジュールとして用意する場合と比較して、レーザ、変調器及びこれらの制御回路などを含む送信器モジュール全体の小型化を図ることが可能となる。なお、図12では、上述の実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0056】
ここで、レーザ素子41としては、例えば、DFBレーザ、DBRレーザ、SG−DBRやDFBレーザアレイ型の波長可変レーザなど、いわゆる光通信用の光源として用いられている半導体レーザ素子を用いることができる。
また、ここでは、レーザ素子41とMZ型変調素子(光変調器)7との間に、レーザ素子41から出射された光をMZ型変調素子(光変調器)7の入力ポートに結合させるためのレンズ42を配置している。さらに、レーザ素子41は、筐体4に設けられたDCコネクタ3Cを介して、DC電源43に接続されている。
【0057】
なお、ここでは、MZ型変調素子7とレーザ素子41とを別個独立に構成したものを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、レーザ素子とMZ型変調素子とをモノリシックに集積したMZ型変調器集積半導体レーザ素子として構成しても良い。この場合、光モジュール内部の部品点数が減るため、モジュールの組み立てが容易になり、また、小型化を図ることも可能となる。
【0058】
また、ここでは、レーザ素子41を変調器モジュールの内部に実装する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上述の実施形態にかかる変調器モジュール又は上述の実施形態にかかる光変調器と、光変調器に光を入力するレーザ(例えば半導体レーザ)とを別個独立に構成し、これらを備えるものとして光送信器を構成しても良い。
【0059】
また、上述の実施形態では、大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の高周波電極14,15)を、上面にグランド電極があるコプレーナ型の電極とした場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、上面にグランド電極がないマイクロストリップライン型の電極、集中定数型の電極としても良い。ただし、コプレーナ型の電極の方が、より高い周波数帯域での動作が可能となるため、望ましい。
【0060】
また、上述の実施形態のように、0チャープ動作用のMZ型変調素子7を用いて負チャープ(あるいは正チャープ)動作用の変調器モジュールを製造する場合、この小電極を高周波電極として用いることになる。しかし、小電極は電極長が短いため、特に進行波型の電極を採用しなくても、10Gbps程度の十分高い帯域での動作が可能である。このため、上述の実施形態では、小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の位相調整用電極18,19)を、集中定数型の電極としている。しかし、これに限られるものではなく、小電極を、大電極と同様に、進行波型の電極として構成しても良い。
【0061】
また、上述の実施形態では、小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の位相調整用電極18,19)が大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の高周波電極14,15)に対して入力側に配置されている場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、逆に大電極を入力側に配置しても良い。
また、上述の実施形態では、MZ型変調素子7を、第1の光導波路12及び第2の光導波路13の両方に小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子7の位相調整用電極18,19)を備えるものとし、一方の小電極19に高周波電源35を接続し、他方の小電極18にDC電源38を接続する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。
【0062】
例えば、MZ型変調素子は、第1の光導波路及び第2の光導波路の少なくとも一方に小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)を備えるものとして構成しても良い。この場合、負チャープ動作用(又は正チャープ動作用)MZ型変調器モジュールを製造するときには、小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)には高周波電源が接続されることになり、一方の大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の高周波電極)だけが位相調整用電極として機能することになる。
【0063】
また、例えば、MZ型変調素子を、第1の光導波路及び第2の光導波路の両方に位相調整用電極(小電極)を備えるものとし、一方の小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)に高周波電源を接続し、他方の小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)には電源を接続しないようにしても良い。この場合、負チャープ動作用(又は正チャープ動作用)MZ型変調器モジュールを製造するときには、一方の大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の高周波電極)だけが位相調整用電極として機能することになる。
【0064】
また、例えば、MZ型変調素子を、第1の光導波路及び第2の光導波路の両方に位相調整用電極(小電極)を備えるものとし、一方の小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)に高周波電源を接続し、他方の小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)にDC電源を接続し、高周波電源が接続されていない大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の高周波電極)には電源を接続しないようにしても良い。この場合、負チャープ動作用(又は正チャープ動作用)MZ型変調器モジュールを製造するときには、他方の小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)だけが位相調整用電極として機能することになる。
【0065】
要するに、上述の実施形態では、高周波電極として用いられていない小電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の位相調整用電極)及び大電極(0チャープ動作用のMZ型変調素子の高周波電極)の両方に直流電源を接続し、両方を位相調整用電極として用いるようにしているが、これに限られるものではなく、位相調整用電極は両方の導波路に必要ではないため、どちらか一方のみにDCコネクタを介して直流電源を接続し、位相調整用電極として用いるようにしても良い。この場合、DC電源を1つだけ使えば良いという利点がある。また、大電極のみにDCコネクタを介してDC電源を接続するようにすれば、DC電流又はDC電圧の供給によって効率良く位相を調整することが可能となる。 また、上述の実施形態では、入出力の光カプラとして2×2のMMIカプラを用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、入力側光カプラは、少なくとも1つの入力ポートと、2つの出力ポートとを有する光カプラ(1×2の光カプラ)であれば良い。また、出力側光カプラは、2つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する光カプラ(2×1の光カプラ)であれば良い。また、Y分岐カプラ、方向性結合器カプラ、スターカプラなどを用いても良い。
【0066】
また、上述の実施形態では、MZ型変調素子を、InP基板上に形成する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、GaAs基板上に形成しても良く、この場合にも同様の効果が得られる。また、上述の実施形態では、導電性のInP基板を用いたものを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば半絶縁性の半導体基板を用いても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では、MZ型変調素子として、InGaAsP系の半導体材料を用いた導波路構造を有するものを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、AlGaAsP系、GaInNAs系などの他の半導体材料を用いた導波路構造を有するものとして構成しても良い。また、導波路コア層をMQW構造以外の他の構造を備えるものとして構成しても良い。
【0068】
また、上述の実施形態では、導波路コア層の側面(メサ構造の側面)をBCBなどの低誘電体樹脂で埋め込む構造を採用した場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、導波路コア層の側面を半絶縁性の半導体材料(例えばInPなど)で埋め込む構造を採用しても良い。
また、上述の実施形態では、高周波電極の終端として抵抗を用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、容量性の終端を用いても良い。
【0069】
また、上述の実施形態の変調器モジュールにおいて、電気的なノイズの対策のために、必要に応じてキャリア上にコンデンサなどを配置しても良い。
また、高周波電源として、DCバイアスが付加されている高周波信号を供給する高周波電源を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、高周波コネクタとは別に筐体(パッケージ)にバイアス用DCコネクタを設ける。そして、高周波コネクタを介して高周波信号を供給するとともに、バイアス用DCコネクタを介してDCバイアスを供給し、パッケージ内部で高周波信号にDCバイアスを印加するようにしても良い。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子と、
第1及び第2の高周波コネクタとを備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続されており、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続されていることを特徴とする光モジュール。
【0071】
(付記2)
直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記電極が、前記直流コネクタに接続されていることを特徴とする、付記1に記載の光モジュール。
(付記3)
前記短電極が、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の両方に設けられていることを特徴とする、付記1又は2に記載の光モジュール。
【0072】
(付記4)
他の直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記短電極が、前記他の直流コネクタに接続されていることを特徴とする、付記3に記載の光モジュール。
(付記5)
前記電極は、進行波型の電極であることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【0073】
(付記6)
前記短電極は、集中定数型の電極又は進行波型の電極であることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載の光モジュール。
(付記7)
前記電極の長さに対する前記短電極の長さの比率が、1/9〜1/4の範囲内であることを特徴とする、付記1〜6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【0074】
(付記8)
前記第1及び第2の高周波コネクタが、筐体に設けられており、
前記マッハツェンダ型変調素子が、前記筐体内に配置された配線を有するキャリア上に実装されていることを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載の光モジュール。
(付記9)
半導体レーザ素子をさらに備えることを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項に記載の光モジュール。
【0075】
(付記10)
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極、及び、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極に接続された高周波電源とを備えることを特徴とする光送信器。
【0076】
(付記11)
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記電極に接続された直流電源をさらに備えることを特徴とする、付記10に記載の光送信器。
(付記12)
前記短電極が、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の両方に設けられており、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記短電極に接続された他の直流電源をさらに備えることを特徴とする、付記11に記載の光送信器。
【0077】
(付記13)
第1及び第2の高周波コネクタを有する筐体を備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方を介して、前記高周波電源に接続されており、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方を介して、前記高周波電源に接続されていることを特徴とする、付記10〜12のいずれか1項に記載の光送信器。
【0078】
(付記14)
前記筐体内に、前記マッハツェンダ型変調素子を実装するための配線を有するキャリアを備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極が、前記キャリア上に形成された配線並びに前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方を介して、前記高周波電源に接続されており、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極が、前記キャリア上に形成された配線並びに前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方を介して、前記高周波電源に接続されていることを特徴とする、付記13に記載の光送信器。
【0079】
(付記15)
半導体レーザをさらに備えることを特徴とする、付記10〜14のいずれか1項に記載の光送信器。
(付記16)
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタを備える筐体内に配置し、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続することを特徴とする光モジュールの製造方法。
【0080】
(付記17)
前記筐体が、直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記電極を、前記直流コネクタに接続することを特徴とする、付記16に記載の光モジュールの製造方法。
(付記18)
前記短電極が、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の両方に設けられており、
前記筐体が、他の直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記短電極を、前記他の直流コネクタに接続することを特徴とする、付記17に記載の光モジュールの製造方法。
【0081】
(付記19)
前記筐体内に配線を有するキャリアを配置し、
前記キャリア上に前記マッハツェンダ型変調素子を配置し、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極を、前記キャリア上に形成された配線を介して、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極を、前記キャリア上に形成された配線を介して、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続することを特徴とする、付記16〜18のいずれか1項に記載の光モジュールの製造方法。
【0082】
(付記20)
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタとを備える筐体内に配置し、
0チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、前記電極を、それぞれ、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタに接続し、
正チャープ動作用又は負チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続することを特徴とする光モジュールの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施形態にかかる光モジュール[負チャープ(又は正チャープ)動作用変調器モジュール]及び光送信器(光変調器)の構成を示す模式的平面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)を用いて製造される負チャープ(又は正チャープ)動作用変調器モジュール(光モジュール)の制御回路(駆動回路)の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)の構成を示す模式的平面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)における大電極部分における構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)における小電極部分における構成を示す模式的断面図である。
【図6】MZ型変調器の各アームで発生する位相変化量の比率とαパラメータとの関係を示す図である。
【図7】(A)〜(C)は、MZ型変調器の0チャープ動作を説明するための図である。
【図8】(A)〜(C)は、MZ型変調器の負チャープ動作を説明するための図である。
【図9】MZ型変調器(MZ型変調素子)を半導体材料からなる光導波路を用いて構成する場合の印加電圧と位相変化の関係及び駆動条件による位相変化量の変化を示す図であって、(A)は基準となる駆動条件におけるバイアス電圧及び高周波信号電圧の振幅と位相変化量との関係を示す図であり、(B)は基準となる駆動条件に対して高周波信号電圧の振幅を小さくした場合の位相変化量を示す図であり、(C)は基準となる駆動条件に対してバイアス電圧を高くした場合の位相変化量を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)を用いて製造される0チャープ動作用変調器モジュール(光モジュール)及び光送信器(光変調器)の構成を示す模式的平面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかるMZ型変調素子(0チャープ動作用MZ型変調素子)を用いて製造される0チャープ動作用変調器モジュール(光モジュール)の制御回路(駆動回路)の構成を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかる光モジュール[負チャープ(又は正チャープ)動作用変調器モジュール]及び光送信器(光変調器)の変形例の構成を示す模式的平面図である。
【図13】一般的なMZ型変調器(MZ型変調素子)の構成を示す模式的平面図である。
【図14】位相調整用電極を備えるMZ型変調器(MZ型変調素子)の構成を示す模式的平面図である。
【図15】チャープを制御するために電極の長さが調整されたMZ型変調器(MZ型変調素子)の構成を示す模式的平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 高周波コネクタ(第1の高周波コネクタ)
2 高周波コネクタ(第2の高周波コネクタ)
3,3C DCコネクタ
3A 一のDCコネクタ
3B 他のDCコネクタ
4 筐体
5 配線
5A,5B,5D,5E,5F シグナル配線
5C グランド配線
6 キャリア
7 マッハツェンダ型変調素子(MZ型変調素子)
8,9 光ファイバ
10,11 レンズ
12 第1の光導波路
13 第2の光導波路
14 高周波電極(第1の電極)
15 高周波電極(第2の電極)
14A,15A シグナル電極
14B,14C,15B グランド電極
16 入力側光カプラ(第1の光カプラ)
17 出力側光カプラ(第2の光カプラ)
18 位相調整用電極(短電極)
19 位相調整用電極(短電極)
20,21 入力ポート
22 出力ポート(第1の出力ポート)
23 出力ポート(第2の出力ポート)
24 入力ポート(第1の入力ポート)
25 入力ポート(第2の入力ポート)
26,27 出力ポート
28 n−InP基板
29 n−InPバッファ層
30 InGaAsP−MQW導波路コア層
31 p−InPクラッド層
32 p−InGaAsPコンタクト層
33 低誘電体樹脂(BCB)
34 グランド電極
35 高周波電源
36 終端抵抗
37 終端抵抗
38,39,40 DC電源
41 レーザ素子
42 レンズ
43 DC電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子と、
第1及び第2の高周波コネクタとを備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続されており、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極が、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記電極が、前記直流コネクタに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記短電極が、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の両方に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
他の直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記短電極が、前記他の直流コネクタに接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記電極の長さに対する前記短電極の長さの比率が、1/9〜1/4の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
半導体レーザ素子をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極、及び、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極に接続された高周波電源とを備えることを特徴とする光送信器。
【請求項8】
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタを備える筐体内に配置し、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続することを特徴とする光モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記短電極が、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の両方に設けられており、
前記筐体が、一の直流コネクタ及び他の直流コネクタをさらに備え、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記電極を、前記一の直流コネクタに接続し、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記短電極を、前記他の直流コネクタに接続することを特徴とする、請求項8に記載の光モジュールの製造方法。
【請求項10】
少なくとも1つの入力ポートと、第1の出力ポート及び第2の出力ポートとを有する第1の光カプラと、
第1の入力ポート及び第2の入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを有する第2の光カプラと、
前記第1の光カプラの前記第1の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第1の入力ポートに他端が接続された第1の光導波路と、
前記第1の光カプラの前記第2の出力ポートに一端が接続され、前記第2の光カプラの前記第2の入力ポートに他端が接続された第2の光導波路と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路のそれぞれに設けられた電極と、
前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の少なくとも一方に設けられ、前記電極よりも短い短電極とを備えるマッハツェンダ型変調素子を、第1及び第2の高周波コネクタとを備える筐体内に配置し、
0チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、前記電極を、それぞれ、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタに接続し、
正チャープ動作用又は負チャープ動作用の光モジュールを製造する場合には、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の一方に設けられた前記短電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの一方に接続するとともに、前記第1の光導波路及び前記第2の光導波路の他方に設けられた前記電極を、前記第1の高周波コネクタ及び前記第2の高周波コネクタの他方に接続することを特徴とする光モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−145973(P2010−145973A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326381(P2008−326381)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】