説明

光モジュール

【課題】基板やマウントの熱変形によってPLCチップにかかる応力を小さく抑え、PLCチップの光学特性劣化を防止する低コストの光モジュールを提供すること。
【解決手段】PLCチップ2は、基板1上に固定され、PLCチップ2と等しい熱膨張係数を持つマウントA10に直接固定されている。PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bはPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aと光結合するように接続されている。また、PLCチップ3は、熱膨張係数が調整されたマウントB11上に盛られた弾性接着剤9a、9bによって保持されている。マウントA10とマウントB11は、基板1からの応力によって変形しないように、固定ネジ12a、13aで完全に基板1に固定され、固定ネジ12a、13aでマウントA10とマウントB11の上面と平行な平面内で可動できるように基板1に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関し、より詳細には、基板、あるいは、マウントの熱変形によってPLCチップにかかる応力を抑制し、光学特性劣化を防止する光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを中心としたトラフィック量の増大により、波長分割多重を用いた大容量光通信システムの要求がますます高まっている。大容量光通信システムを実現する光通信用部品として、平面光波回路(PLC)技術により作製され、複数の機能を備えた光機能素子を組み合わせた高機能光モジュールが期待を集めており、例えば、波長合分波器であるアレイ導波路回折格子(AWG)と可変光減衰器(VOA)アレイとモニタPDアレイを集積した可変光減衰器付き合分波器(V−AWG)などが実現されている。これらの高機能光モジュールは、最近特に大容量光通信システムのメトロネットワークへの適用が開始されたことから、小型化、高密度化、高機能化が強く求められている。これらの要求に応えるべく、1つの基板上に複数の機能を有する光機能素子を集積化したシングルチップ集積型高機能光モジュールも開発されている。しかし、シングルチップ集積型高機能光モジュールは、1つの基板上に異なる機能を有する複数の光機能素子を集積化するため、製造工程が複雑になり、個々の光機能素子を最適な製造プロセスや導波路構造で作製できないといった問題があるため、光機能素子を複数のPLC基板上にそれぞれの最適な製造プロセスと導波路構造で形成し、それらを光結合するように接続した光モジュールが主に製造されている。
【0003】
図3に、複数のPLCチップの光導波路端面を突き合わせて光接続した光モジュールの構成例を示す。図3(a)が上面図、図3(b)が側面図である。PLCチップ2とPLCチップ3が、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aとが光結合されるように接続されている。PLCチップ2の入力光導波路アレイ5aが光ファイバアレイ4aと光結合されるように接続され、PLCチップ3の出力光導波路7bが光ファイバ4bと光結合されるように接続されている。入力光導波路アレイ5aと出力光導波路アレイ5bはVOAアレイ6を介して接続され、入力光導波路アレイ7aと出力光導波路7bはAWG8を介して接続されている。基板1には凸部が形成され、PLCチップ2が基板1の凸部に直接固定され、マウント1から浮いて配置されたPLCチップ3がPLCチップ2と接続されているPLC接続部と基板1上に盛られた弾性接着剤9a、9bとによって保持されている。
【0004】
この方法では、PLCチップ間を光ファイバで接続しないため、ファイバ接続工程数が減少し、ファイバ部材も不要になるため低コスト化が可能となり、また、ファイバの取り回し等がなくなるため、小型化が可能となる。また、一方のPLCチップ2が基板1の凸部上に直接固定され、もう一方のPLCチップ3がマウント1に浮かせた形で配置されていることにより、PLCチップ間の接続損失の安定性が改善されている。すなわち、マウントの熱変形やマウント外部から加えられた力などによって、PLCチップ同士の接続部に過度の負荷が掛かって2つのPLCチップ上の導波路間に軸ずれが生じて損失が変動することが抑制される。さらに、浮かせたPLCチップ3が基板1上に盛られた弾性接着剤9a、9bで両端を保持されているため、振動・衝撃耐力が改善されている。さらに、PLCチップ3と基板1の間に、充填材を充填して、より振動・衝撃耐力を改善することもできる。(特許文献1参照)。
【0005】
PLCチップを固定する基板1は、熱変形によってPLCチップに応力をかけることによりPLCチップの光学特性を劣化させないように、その熱膨張係数をPLCチップと一致させることが望ましい。PLCチップは一般的にシリコンや石英など、アルミなどの一般的な金属材料に比べて熱膨張係数が小さい無機材料からなる基板上に形成されるが、これらシリコンや石英などと同等の低熱膨張係数を有する金属材料は一般に高価である。そのため、PLCチップと熱膨張係数を一致させるために、単純に低熱膨張係数を有する材料で基板全体を製造すると製造コストを上昇させてしまう。そこで図4に示すように、基板1から凸部を削除し、基板材料とは別の低熱膨張係数を有する材料でマウントA10を製造して基板1上に固定して凸部を形成し、その上にPLCチップ2を固定する実装方法が用いられる。図4において、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。上記以外は図3の光モジュールの構成例と同じである。この実装方法では、マウントA10のみを低熱膨張係数を有する材料で製造すればよく、低熱膨張係数を有する材料で基板1全体を製造する場合よりも、低熱膨張係数を有する材料の使用量を少なく抑えることができ、製造コストを低く抑えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−243391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3、4に示す構造の場合、PLCチップ2を固定する基板1、あるいは、マウントA10を低熱膨張係数の材料に変更すると、一般的に弾性接着剤の熱膨張係数は基板1、あるいは、マウントA10を構成する金属材料の熱膨張係数よりも大きいため、温度変化が生じた場合に、基板1、あるいは、マウントA10と弾性接着剤9a、9bとの上下方向の熱変形の違いから、PLCチップ2とPLCチップ3の上下方向の位置が一致しなくなるという課題があった。すなわち、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aに上下方向の軸ずれが生じ、損失安定性が劣化するという課題があった。
【0008】
また、熱膨張係数の異なる基板1とマウントA10を固定しているため、温度変化が生じた場合に、バイメタル効果によって固定された基板1とマウントA10が反り、それに伴ってマウントA10上に固定されたPLCチップ2にも反りが発生する。これにより、PLCチップ2に応力が加わり、PLCチップの特性が劣化するという課題があった。また、PLCチップ2のPLCチップ3と接続部付近が反りによって傾き、それに伴ってPLC3も傾こうとするが、PLCチップ3は弾性接着剤9a、9bで基板1上に保持されているために、自由に傾くことができずに、PLCチップ2とPLCチップ3の接続部に力が加わって、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aに上下方向の軸ずれが生じ、損失安定性が劣化するという課題があった。
【0009】
また、基板1にPLCチップ2、3と同等の低熱膨張係数の材料を使用しない場合、温度変化が生じたときに、基板1の水平方向の熱膨張と、PLCチップ2、PLCチップ3の水平方向の熱膨張が異なるため、PLCチップ2とPLCチップ3の接続面に、PLCチップ2とPLCチップ3を引き剥がす方向の力が加わり、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aに上下方向の軸ずれや剥離が生じて、損失安定性が劣化するという課題があった。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、基板やマウントの熱変形によってPLCチップ、ないし、PLCチップの接続部にかかる力を小さく抑え、損失や特性の安定性が高く、低コストの光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光モジュールであって、第1の平面光波回路(PLC)チップと第1のマウントと基板を有し、前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、前記第1のマウントが、前記第1のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定されたことを特徴とする。
【0012】
別の態様では、請求項1に記載の光モジュールにおいて、前記第1のPLCチップと前記第1のマウントの熱膨張整数が等しいことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光モジュールにおいて、第2のPLCチップをさらに有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記基板に固定されたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光モジュールにおいて、第2のPLCチップと第2のマウントをさらに有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、前記第2のマウントが、前記第2のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のマウントを前記基板に固定した固定位置のうちで最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記第2のマウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の光モジュールにおいて、第2のPLCチップと第2のマウントをさらに有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の光モジュールにおいて、前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光モジュールにおいて、前記熱膨張係数ka、kb、kc、ke及びkfが、式(C)の関係を満たすことを特徴とする。
(式C)kc>ka、kb、ke、kf
【0018】
請求項7に記載の発明は、光モジュールであって、第1のPLCチップと第2のPLCチップとマウントと基板を有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記基板が凸部を有し、前記第1のPLCチップが前記凸部に固定され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、前記マウントが、前記マウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のPLCチップを前記基板に固定した固定位置の内で最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記マウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記マウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【0019】
請求項8に記載の発明は、光モジュールであって、第1のPLCチップと第2のPLCチップと第1のマウントと第2のマウントと基板とを有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、前記第1のマウントが基板に固定され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、前記第2のマウントが、前記第2のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のマウントを前記基板に固定した固定位置の内で最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記第2のマウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【0020】
別の態様では、請求項8に記載の光モジュールにおいて、前記第1のPLCチップと前記第1のマウントの熱膨張整数が等しいことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、光モジュールであって、第1のPLCチップと第2のPLCチップとマウントと基板を有し、前記第1のPLCチップの端面に第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記基板が凸部を有し、前記第1のPLCチップが前記凸部に固定され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記マウントに固定され、前記マウントが基板に固定され、前記凸部の厚さda、前記マウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記マウントの対向する面間の距離dd、前記凸部の熱膨張係数ka、前記マウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【0022】
請求項10に記載の発明は、光モジュールであって、第1のPLCチップと第2のPLCチップと第1のマウントと第2のマウントと基板とを有し、前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、前記第1のマウントが基板に固定され、前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤よって前記第2のマウントに固定され、前記第2のマウントが基板に固定され、前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【0023】
別の態様では、請求項10に記載の光モジュールにおいて、前記第1のPLCチップと前記第1のマウントの熱膨張整数が等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板やマウントの熱変形によってPLCチップ、ないし、PLCチップの接続部にかかる力を小さく抑え、損失や特性の安定性が高く、低コストの光モジュールを実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1(a)に、本発明の実施形態に係る光モジュールの上面図を示し、(b)に、(a)の光モジュールの側面図を示す。PLCチップ2とPLCチップ3が、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aとが光結合されるように接続されている。PLCチップ2の入力光導波路アレイ5aが光ファイバアレイ4aと光結合されるように接続され、PLCチップ3の出力光導波路7bが光ファイバ4bと光結合されるように接続されている。入力光導波路アレイ5aと出力光導波路アレイ5bはVOAアレイ6を介して接続され、入力光導波路アレイ7aと出力光導波路7bはAWG8を介して接続されている。
【0027】
基板1の上面にマウントA10とマウントB11が固定され、マウントA10の上面にPLCチップ2が固定されている。マウントA10の厚みは、マウントB11の厚みよりも薄くなっており、PLCチップ2に接続され、マウントB11から浮いて配置されたPLCチップ3が、マウントB11上に盛られた弾性接着剤9a、9bによって保持されている。マウントA10は、固定ネジ12aで基板1に完全に固定され、固定ネジ12bでマウントA10の上面と水平な平面内で自由に可動できるように基板1に固定されている。また、マウントB11は、固定ネジ13aで基板1に完全に固定され、固定ネジ13bでマウントB11の上面と水平な平面内で自由に可動できるように基板1に固定されている。
【0028】
本実施形態において得られる効果について、詳細に説明する。以下、温度がT0からT0+ΔTに変化した場合を考える。
【0029】
まず、基板1とマウントA10の異なる熱変形により生じる、PLCチップ2、3のPLC接続部での上下方向の軸ずれを抑制する方法について説明する。温度Tで基板1とマウントA10が、固定ネジ12a、12bで完全に固定された場合、基板1とマウントA10の熱膨張係数をそれぞれk1、k2として、温度Tでの基板1の固定ネジ12a用の穴から固定ネジ12b用の穴までの長さをl1とすると、温度T0+ΔTでの基板1とマウントA10の固定ネジ12a用の穴から固定ネジ12b用の穴までの長さは、それぞれl1・k1・ΔT、l1・k2・ΔTだけ伸びる。ここで、k1>k2、ΔT>0とすると、基板1の固定ネジ12a用の穴から固定ネジ12b用の穴までの長さは、マウントA10の固定ネジ12a用の穴から固定ネジ12b用の穴までの長さのよりも、l1・(k1−k2)・ΔTだけ大きく伸びて、基板1とマウントA10はともに下に凸の反りを生じる。この場合、PLCチップ2はPLCチップ3との接続面でPLCチップ3側が上方となる方向に傾き、それに伴って、PLCチップ3も傾こうとするが、PLCチップ3は弾性接着剤9a、9bで保持されているため、自由に傾くことができず、その歪みがPLCチップ2とPLCチップ3の接続部分にかかり、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aの間に軸ずれを発生させて接続損失を変動させる。
【0030】
一方、本実施形態のように、マウントA10が、固定ネジ12aで基板1に完全に固定され、固定ネジ12bでマウントA10の上面と水平な平面内で自由に可動できるように基板1に固定された場合には、基板1とマウントA10の熱変形が異なっても、基板1とマウントA10に反りを生じないため、PLCチップ2の出力光導波路アレイ5bとPLCチップ3の入力光導波路アレイ7aの間に軸ずれは発生せず、接続損失の変動が発生しない。
【0031】
ここで、本発明により得られる、基板1とマウントA10の異なる熱変形により生じる、PLCチップ2、3のPLC接続部での上下方向の軸ずれの抑制効果について、具体的な数値を用いて説明する。基板1の材質をアルミとし、その熱膨張係数は23×10-6[1/℃]とする。マウントA10の材質をSi−SiCとし、その熱膨張係数をPLCチップの基板として使用したシリコンと等しく、3×10-6[1/℃]とする。温度20℃での、基板1の固定ネジ12a用の穴から固定ネジ12b用の穴までの長さl1を50mmとする。この状態から温度を70℃に変化すると、基板1は50mmが50.0575mmに伸び、マウントA10は50mmが50.0075mmに伸びる。固定ネジ12bで、マウントA10を、マウントA10の上面と水平な平面内で自由に可動できるように基板1に固定した場合には、基板1とマウントA10の伸びが異なっても、基板1とマウントA10が反らない。そのため、PLCチップ2に接続されたPLCチップ3の傾きには変化が生じず、PLCチップ2とPLCチップ3の接続部に軸ずれを発生させるような力は加わらない。一方、固定ネジ12bの位置でも、マウントA10を基板1に完全に固定した場合、基板1とマウントA10に反りが発生して、固定ネジ12aから固定ネジ12bまでの距離の中央の位置でのマウントA10の上面の高さは、固定ネジ12a、12bの位置でのマウントA10の上面の高さよりも低くなる。マウントA10に固定されているPLCチップ2は、マウントA10と同じように反るため、PLCチップ3との接続部が上向きに傾く。そのため、PLCチップ2に接続されたPLCチップ3もPLCチップ2に接続される側が低くなる方向に傾こうとするが、PLCチップ3は弾性接着剤9a、9bでマウントB11に保持されて、自由に傾くことが出来ないので、その歪みによってPLCチップ2とPLCチップ3の接続部に軸ずれを発生させる力が加わる。
【0032】
次に、基板1とマウントB11、PLCチップ2、3の異なる熱変形により生じる、PLCチップ2とPLCチップ3を引き剥がす力を抑制する方法について説明する。温度Tでの、PLCチップ2とPLCチップ3との接続面から、マウントA10の固定ネジ12a、マウントB11の固定ネジ13a、弾性接着剤9a、9bまでの長さをそれぞれl2、l3、l4とし、マウントB11の固定ネジ13aから弾性接着剤9a、9bまでの長さをl5とする。また、基板1、PLCチップ2、PLCチップ3、マウントB11の熱膨張係数をそれぞれk1、k2、k3、k11とする。
【0033】
温度がT+ΔTに変化して、PLCチップ2とPLCチップ3が無応力状態で熱変形した時、マウントA10の固定ネジ12aから弾性接着剤9a、9bまでの長さは、
2・k2・ΔT+l4・k3・ΔT ・・・(a)
だけ変化する。一方、基板1とマウントB11が無応力状態で熱変形した時に、マウントA10の固定ネジ12aから弾性接着剤9a、9bまでの長さは、l4≧l3の場合、即ち、PLCチップ2とPLCチップ3の接続面からみて、弾性接着剤9a、9bまでの長さがマウントB11の固定ネジ13aまでの長さよりも大きい場合には、
(l2+l3)・k1・ΔT+l5・k11・ΔT ・・・(b1)
だけ変化する。l4<l3の場合、即ち、PLCチップ2とPLCチップ3の接続面からみて、弾性接着剤9a、9bまでの長さがマウントB11の固定ネジ13aまでの長さよりも小さい場合には、
(l2+l3)・k1・ΔT−l5・k11・ΔT ・・・(b2)
だけ変化する。PLCチップ2、3、及び、PLCチップ2とPLCチップ3の接続面に力が加わらないようにするためには、PLCチップ2とPLCチップ3の変化量(a)、および、基板1とマウントB11が無応力状態で熱変形した時の、マウントA10の固定ネジ12aから弾性接着剤9a、9bまでの長さの変化量(b1)または(b2)を等しくすれば良い。即ち、
2・k2・ΔT+l4・k3・ΔT
=(l2+l3)・k1・ΔT+l5・k11・ΔT(l4≧l3の場合)
=(l2+l3)・k1・ΔT−l5・k11・ΔT(l4<l3の場合)・・・(1)
の関係を満たすように設計すればよい。
【0034】
ここで、本発明により得られる、基板1とマウントB11、PLCチップ2、3の異なる熱変形により生じる、PLCチップ2とPLCチップ3を引き剥がす力の抑制効果について、具体的に数値を用いて説明する。基板1の材質をアルミとし、その熱膨張係数k1を23×10-6[1/℃]とする。マウントB11の材質をタングステン酸ジルコニウム(ZrW23)とし、その熱膨張係数k11を−9×10-6[1/℃]とする。PLCチップ2、3は基板材料としてシリコンを使用し、その熱膨張係数k2、k3は、シリコンの熱膨張係数と同等の3×10-6[1/℃]とする。温度20℃での、PLCチップ2とPLCチップ3との接続面からの、マウントA10の固定ネジ12aまでの長さl2と、マウントB11の固定ネジ13aまでの長さl3をそれぞれ5mm、10mmとし、マウントB11の固定ネジ13aから弾性接着剤9a、9bまでの長さをl5とする。式(1)の(l4≧l3の場合)の式に、
4=l3+l5・・・(c)
を代入して、l5について整理すると、
5={(l2+l3)・k1−(l2・k2+l3・k3)}/(k3−k11)・・・(d)
が得られ、前述した各部材の熱膨張係数と寸法を式(d)に代入すると、
5=25[mm]・・・(e)
が得られる。この状態で温度が70℃に変化すると、PLCチップ2とPLCチップ3が無応力状態で熱変形した時の、マウントA10の固定ネジ12aから弾性接着剤9a、9bまでの長さの伸びと、基板1とマウントB11が無応力状態で熱変形した時に、マウントA10の固定ネジ12aから弾性接着剤9a、9bまでの長さの伸びは、前述した各部材の熱膨張係数と寸法を式(a)と式(b1)に代入して求めると、ともに0.006mmとなる。したがって、PLCチップ2とPLCチップ3を引き剥がす力が発生しない。
【0035】
次に、マウントA10とマウントB11と弾性接着剤9a、9bの異なる熱変形によるPLCチップ2、3のPLC接続部での上下方向の軸ずれを抑制する方法について説明する。図1(c)に、本発明の実施形態に係る各部材の高さを示す。マウントA10、マウントB11の高さをd10、d11、熱膨張係数をk10、k11、弾性接着剤9a、9bのマウントB11上面からPLCチップ3の底面までの高さをd9、熱膨張係数をk9とすると、
10=d11+d9 ・・・(2)
10′=d10+d10・k10・ΔT ・・・(3)
11′+d9′=d11+d9+(d11・k11+d9・k9)・ΔT ・・・(4)
が成り立つ。式(3)はマウントA10の高さの温度変化ΔTに伴う高さの変化を表し、式(4)はマウントB11と弾性接着剤9a、9bのマウントB11上面からPLCチップ3の底面までの高さの温度変化ΔTに伴う高さの変化を表している。熱変形後もこれらPLCチップ2、3の高さが一致するように設計すればよいので、
10′=d11′+d9′ ・・・(5)
の関係式を満たすように、それぞれの高さ、熱膨張係数の関係を
10・k10=d11・k11+d9・k9 ・・・(6)
となるように設計する。
【0036】
このように、基板1上にマウントA10、マウントB11を固定し、マウントB11の上面に盛った弾性接着剤9a、9bでPLCチップ3を保持し、かつ、マウントA10、マウントB11、弾性接着剤9a、9bの高さと熱膨張係数を上記の通りに調整することによって、低コストで、PLCチップ2、3のPLC接続部の軸ずれよる損失変動を抑制することができる。
【0037】
ここで、本発明により得られる、マウントA10とマウントB11と弾性接着剤9a、9bの異なる熱変形によるPLCチップ2、3のPLC接続部での上下方向の軸ずれの抑制効果について、具体的に数値を用いて説明する。マウントA10の材質をSi−SiCとし、温度20℃での高さd10を3mmとし、その熱膨張係数k10を3×10-6[1/℃]とする。マウントB11の材質をタングステン酸ジルコニウム(ZrW23)とし、温度20℃での高さd11を2mmとし、その熱膨張係数k11を−9×10-6[1/℃]とする。弾性接着剤9a、9bは、温度20℃でのマウントB11の上面からPLCチップ3の底面までの高さを1mm、その熱膨張係数をk9とする。式(6)をk9について整理すると、
9=(d10・k10−d11・k11)/d9・・・(f)
が得られ、前述した各部材の熱膨張係数と寸法を式(f)に代入すると、
9=27×10-6[1/℃]・・・(e)
が得られる。この状態で温度が70℃に変化した場合の、基板1の上面からPLCチップ2とPLCチップ3の下面までの高さを、前述した各部材の熱膨張係数と寸法をそれぞれ式(3)と式(4)に代入して求めると、PLCチップ2とPLCチップ3の下面の高さはともに3.00045mmとなり、PLCチップ2、3のPLC接続部に上下方向の軸ずれを生じさせる力が発生しない。
【0038】
それに対して、マウントB11を使用せずに、基板1の上面に盛った弾性接着剤9a、9bでPLCチップ3を保持し、温度20℃での弾性接着剤9a、9bの基板1の上面からPLCチップ3の底面までの高さを3mmとし、それ以外は前述と等しくした場合を考える。この場合、温度を70℃に変化すると、基板1の上面からPLCチップ3の下面までの高さは3.00405mmとなり、基板1の上面からPLCチップ2の下面までの高さとの間に0.0036mmの差が生じ、PLCチップ2、3のPLC接続部に上下方向の軸ずれを生じさせる力が発生する。
【0039】
本実施形態では、固定ネジ12b、13bで、マウントA10、マウントB11を基板1にネジで固定する際に、基板1にはネジ穴を形成し、マウントA10、マウントB11にはネジの径よりも大きな貫通穴を形成している。そして、マウントA10、マウントB11が、マウントA10、マウントB11の上面に水平な平面に対しては、自由に可動でき、かつ、マウントA10、マウントB11の上面に垂直な方向には移動できないような強さになる様にネジの締め付け量を調整しながら、トルクドライバーを使用してネジ固定している。但し、本発明はこの固定方法に制限されるものではなく、例えば、基板に貫通穴を形成して、マウントにネジ穴を形成しても良いし、マウントを別に用意した平板と基板で挟み込み、平板と基板をネジで固定する方法など、別の固定方法でも同様の効果を奏することができる。また、本実施形態では、l4≧l3の場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、l4<l3の場合についても前述の式(1)を満たすようにすることで、本実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態では、マウントA10とマウントB11の両方を、一部の固定ネジで完全に基板1に固定し、それ以外の固定ネジでマウントA10とマウントB11の上面に平行な平面内に可動できるように基板1に固定した場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2(a)、(b)のように、マウントA10とマウントB11の片方のみを、一部の固定ネジで完全に基板1に固定し、それ以外の固定ネジでマウントA10とマウントB11の上面に平行な平面内に可動できるように基板1に固定した場合でも、それぞれについて本実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態では、各部材の熱膨張係数と寸法が上記で記述したある特定の値に設定されている場合についてのみ示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、式(1)、式(6)を満たすように各部材の熱膨張係数と寸法を設定すれば、それぞれについて本実施形態と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係る光モジュールの上面図であり、(b)は、(a)の光モジュールの側面図であり、(c)は、各部材の高さを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光モジュールの上面図であり、(a)はマウントA10を、その一部がマウントA10の上面に平行な平面内に可動できるように固定した場合を示す図であり、(b)はマウントB11を、その一部がマウントB11の上面に平行な平面内に可動できるように固定した場合を示す図である。
【図3】(a)は、従来の一方のPLCチップを弾性接着剤で固定した光モジュールの上面図であり、(b)は、(a)に示す光モジュールの側面図である。
【図4】(a)は、従来の一方のマウントを異なる熱膨張率の部材とした光モジュールの上面図であり、(b)は、(a)に示す光モジュールの側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 基板
2、3 PLCチップ
4a 光ファイバアレイ
4b 光ファイバ
5a、7a 入力光導波路アレイ
5b 出力光導波路アレイ
6 VOAアレイ
7b 出力光導波路
8 AWG(アレイ導波路回折格子)
9a、9b 弾性接着剤
10 マウントA
11 マウントB
12a、12b、13a、13b 固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面光波回路(PLC)チップと第1のマウントと基板を有し、
前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、
前記第1のマウントが、前記第1のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定されたことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
第2のPLCチップをさらに有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記基板に固定されたことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
第2のPLCチップと第2のマウントをさらに有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、
前記第2のマウントが、前記第2のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、
前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のマウントを前記基板に固定した固定位置のうちで最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記第2のマウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【請求項4】
第2のPLCチップと第2のマウントをさらに有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、
前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【請求項5】
前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の光モジュール。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【請求項6】
前記熱膨張係数ka、kb、kc、ke及びkfが、式(C)の関係を満たすことを特徴とする請求項5に記載の光モジュール。
(式C)kc>ka、kb、ke、kf
【請求項7】
第1のPLCチップと第2のPLCチップとマウントと基板を有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記基板が凸部を有し、前記第1のPLCチップが前記凸部に固定され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によってマウントに固定され、
前記マウントが、前記マウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、
前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のPLCチップを前記基板に固定した固定位置の内で最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記マウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記マウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする光モジュール。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【請求項8】
第1のPLCチップと第2のPLCチップと第1のマウントと第2のマウントと基板とを有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、
前記第1のマウントが基板に固定され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記第2のマウントに固定され、
前記第2のマウントが、前記第2のマウントの一端において前記基板に固定され、他端において水平面内に可動自在に前記基板に固定され、
前記第1のPLCチップと前記第2のPLCチップの接続面から、前記第1のマウントを前記基板に固定した固定位置の内で最も前記接続面に近い第1の固定位置までの長さle、前記第1のPLCチップの熱膨張係数ke、前記接続面から前記弾性接着剤までの長さlf、前記第2のPLCチップの熱膨張係数kf、前記第2のマウントを前記基板に固定した第2の固定位置から前記接続面までの長さlc、前記基板の熱膨張係数kc、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、前記第2の固定位置から前記弾性接着剤までの長さlbが、式(B)の関係を満たすことを特徴とする光モジュール。
(式B)le・ke+lf・kf=(le+lc)・kc+lb・kb(lf≧lcの場合)
e・ke+lf・kf=(le+lc)・kc−lb・kb(lf<lcの場合)
【請求項9】
第1のPLCチップと第2のPLCチップとマウントと基板を有し、
前記第1のPLCチップの端面に第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記基板が凸部を有し、前記第1のPLCチップが前記凸部に固定され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤によって前記マウントに固定され、
前記マウントが基板に固定され、
前記凸部の厚さda、前記マウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記マウントの対向する面間の距離dd、前記凸部の熱膨張係数ka、前記マウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする光モジュール。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd
【請求項10】
第1のPLCチップと第2のPLCチップと第1のマウントと第2のマウントと基板とを有し、
前記第1のPLCチップの端面に前記第2のPLCチップが光結合するように接続され、
前記第1のPLCチップが前記第1のマウントに固定され、
前記第1のマウントが基板に固定され、
前記第2のPLCチップの前記第1のPLCチップが接続された端面と反対側の端部が、弾性接着剤よって前記第2のマウントに固定され、
前記第2のマウントが基板に固定され、
前記第1のマウントの厚さda、前記第2のマウントの厚さdb、前記第2のPLCチップと前記第2のマウントの対向する面間の距離dd、前記第1のマウントの熱膨張係数ka、前記第2のマウントの熱膨張係数kb、及び前記弾性接着剤の熱膨張係数kdが、式(A)の関係を満たすことを特徴とする光モジュール。
(式A) da・ka=db・kb+dd・kd

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−265188(P2009−265188A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111778(P2008−111778)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】