説明

光モジュール

【課題】QSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバにおいて高密度実装を可能とする構造を備えた光モジュールを提供する。
【解決手段】筐体の端部に取り付けられた光アダプタと、筐体内に搭載される光送受信アセンブリとを備え、複数の発光素子を有するTOSAと、受光素子を有するROSAと、TOSA及びROSAと電気的に接続される回路基板20とを備え、TOSAは、筐体内において、光アダプタ側に配置され、前記複数の発光素子が対向する側面に少なくとも一組以上対向配置されたTOSAベースを有し、回路基板は、TOSAが実装される第1のフレキシブル基板22及び第1のフレキシブルと連結される第1のリジッド基板21を備え、第1のフレキシブル基板は、TOSAベースと対向するTOSAベース対向部22aと、TOSAベース対向部の両端部から延びる、複数の発光素子と接続される接合部22Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関し、特にWDM(Wavelength Division Multiplexing)用の小型光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光モジュールのWDM化が求められている。例えば、複数の光源から発光された異なる波長の光信号を結合して波長多重化する光送信サブアセンブリ(TOSA:Transmitter Optical Sub Assembly)を備えた光モジュールに用いられるTOSAとして、LD(レーザーダイオード)を収納したCANパッケージを4つ同じ方向に向けて一列に並べて配置させたTOSAが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
一方、近年、光トランシーバ等の光モジュールの更なる小型化が求められている。例えば、40〜100GbE接続に対応する光ファイバのトランシーバ規格である「QSFP+(Quad Small Form-factor Pluggable Plus)」に対応した、小型光トランシーバが求められており、特にWDM用の小型光トランシーバが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279507号公報
【特許文献2】特開2008−203427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、WDM用小型光トランシーバ、例えばQSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバに、従来のTOSA、例えば上記の特許文献1等に記載のTOSAを用いようとすると、所定の大きさのCANパッケージを4つ横に並べるスペースを要するため、その部分に基板を置くことができず、基板面積が減るので、部品の高密度実装が難しくなる。また、基板が横長となるため、横方向に部品を配置することになり、縦方向への部品配置が難しく、配線効率が悪い。さらに、QSFP+規格に準拠した小型光トランシーバは、カードエッジをインターフェースとして外部とやり取りを行うが、小型化によりカードエッジ部までの基板面積が狭いため、配線が困難であり、このような場合に、狭ピッチで配線をするとクロストークの影響が懸念される。
【0006】
すなわち、従来のTOSAを、WDM用小型光トランシーバ、例えばQSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバに用いることは困難であった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、WDM用小型光トランシーバ、例えばQSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバにおいても高密度実装を可能とする構造を備えた光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[7]の光モジュールを提供する。
【0009】
[1]筐体と、前記筐体の端部に取り付けられた光アダプタと、前記筐体内に搭載される光送受信アセンブリとを備えた光モジュールにおいて、
前記光送受信アセンブリは、光信号を出射する複数の発光素子を有するTOSAと、光信号を入射する受光素子を有するROSAと、前記TOSA及び前記ROSAと電気的に接続される回路基板とを備え、
前記TOSAは、前記筐体内において、前記光アダプタ側に配置され、前記複数の発光素子が対向する側面に少なくとも一組以上対向配置されたTOSAベースを有し、
前記回路基板は、前記TOSAが実装される第1のフレキシブル基板及び前記第1のフレキシブルと連結される第1のリジッド基板を備え、前記第1のフレキシブル基板は、前記TOSAベースと対向するTOSAベース対向部と、前記TOSAベース対向部の両端部から延びる、前記複数の発光素子と接続される接合部とを備えることを特徴とする光モジュール。
【0010】
[2]前記回路基板は、2階建て構造を有しており、2階部分として、前記第1のフレキシブル基板及び前記第1のリジッド基板を備え、1階部分として、連結フレキシブル基板を介して前記第1のリジッド基板と連結される第2のリジッド基板を備えることを特徴とする前記[1]に記載の光モジュール。
【0011】
[3]前記複数の発光素子は、それぞれCANパッケージに収納された形態で前記TOSAベースに配置されていることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の光モジュール。
【0012】
[4]前記第1のリジッド基板には、送信用の部品が配置され、配線がなされており、前記第2のリジッド基板には、受信用の部品が配置され、配線がされていることを特徴とする前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の光モジュール。
【0013】
[5]前記ROSAが実装される第2のフレキシブル基板が前記第2のリジッド基板に連結されていることを特徴とする前記[1]乃至[4]の何れか1つに記載の光モジュール。
【0014】
[6]前記第2のリジッド基板は、その端部にエッジコネクタを備えることを特徴とする前記[1]乃至[5]の何れか1つに記載の光モジュール。
【0015】
[7]前記TOSAベースは、側面が階段状に形成されており、各段部に前記発光素子が設置されることを特徴とする前記[1]乃至[6]の何れか1つに記載の光モジュール。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、WDM用小型光トランシーバ、例えばQSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバにおいても高密度実装を可能とする構造を備えた光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュール(上ケースを外した状態)の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールに用いられる光送受信アセンブリを示す斜視図である。
【図4】(a)は、図3の光送受信アセンブリの上面図であり、(b)は、図3の光送受信アセンブリの下面図である。
【図5】図3の光送受信アセンブリに使用される回路基板の展開図である。
【図6】図3の光送受信アセンブリに使用されるTOSAの斜視図である。
【図7】図6のTOSAの断面図である。
【図8】(a)は、図6のTOSAを構成するTOSAベースと光部品の斜視図であり、(b)は、(a)から光部品を外した状態におけるTOSAベースの斜視図である。また、(c)は、(a)のTOSAベースを別の方向から見た場合の斜視図であり、(d)は、(a)のTOSAベースの断面上面図である。
【図9】(a)は、図8のTOSAベースと光部品の変形例を示す斜視図であり、(b)は、(a)から光部品を外した状態におけるTOSAベースの斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔本発明の第1の実施の形態〕
(光モジュールの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュール(上ケースを外した状態)の外観を示す斜視図である。
【0019】
本発明の第1の実施の形態に係る光モジュール1は、QSFP+規格に準拠したWDM用の光トランシーバである。
【0020】
光モジュール1は、光モジュール1の筐体を構成する上ケース2及び下ケース3と、下ケース3に取り付けられた光アダプタ4と、筐体内に搭載される光送受信アセンブリ10とを備える。
【0021】
上ケース2及び下ケース3は、QSFP+規格に準拠した大きさで形成されている。光アダプタ4は、光モジュール1のフロント側の端部に設置されており、光コネクタが差し込まれる差し込み口(TX:送信、RX:受信)を有する。
【0022】
(光送受信アセンブリの構成)
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールに用いられる光送受信アセンブリを示す斜視図である。また、図4(a)は、図3の光送受信アセンブリの上面図であり、(b)は、図3の光送受信アセンブリの下面図である。
【0023】
光送受信アセンブリ10は、4波WDM用の光送受信アセンブリであり、回路基板20と、回路基板20に電気的に接続されるTOSA30及びROSA40とを備える。
【0024】
回路基板20は、図2に示すように、光モジュール1の筐体内において、光アダプタ4とは離れて配置され、TOSA30及びROSA40は、光アダプタ4側に配置される。
【0025】
回路基板20には、外部装置と着脱可能なカードエッジ型のエッジコネクタ26が設けられており、エッジコネクタ26は、光モジュール1において、図2に示すように、光アダプタ4が設けられた端部とは逆側の端部に配置される。
【0026】
回路基板20の構造の詳細は後述するが、回路基板20は、2階建て構造を有しており、2階部分(第1のリジッド基板としての上側リジッド基板21、第1のフレキシブル基板としての上側フレキシブル基板22)と1階部分(第2のリジッド基板としての下側リジッド基板23、第2のフレキシブル基板としての下側フレキシブル基板24)とは屈曲させた連結フレキシブル基板25により連結されている。
【0027】
図2に示すように、光モジュール1の筐体内において、上側リジッド基板21及び下側リジッド基板23は、光アダプタ4とは逆側に配置され、上側フレキシブル基板22及び下側フレキシブル基板24は、光アダプタ4側に配置される。
【0028】
TOSA30は、上側フレキシブル基板22に実装され、上側フレキシブル基板22と下側フレキシブル基板24とに挟まれた状態で、光モジュール1の筐体内に収納される。ROSA40は、下側フレキシブル基板24に実装される。
【0029】
(回路基板の構成)
図5は、図3の光送受信アセンブリに使用される回路基板の展開図である。
【0030】
回路基板20は、上側リジッド基板21、上側フレキシブル基板22、下側リジッド基板23、下側フレキシブル基板24(図4に示す。図5では省略)、連結フレキシブル基板25、及びエッジコネクタ26を備える。
【0031】
回路基板20の大きさは、QSFP+規格に準拠した大きさで形成された上ケース2及び下ケース3に収納できるような大きさに調整される。
【0032】
上側リジッド基板21は、回路基板の2階部分を構成し、その両面には送信用の部品が実装され、配線がなされている。
【0033】
上側フレキシブル基板22は、上側リジッド基板21と共に回路基板の2階部分を構成し、その下面(連結フレキシブル基板25を屈曲させた際に下側フレキシブル基板24と対向する内側面)側にTOSA30が実装され、下面には送信用の配線がなされている。光モジュール1の長手方向に上側リジッド基板21と並んで下ケース3に収納できるように、上側フレキシブル基板22の一端部が上側リジッド基板21の光アダプタ4寄りの端部に連結される。
【0034】
上側フレキシブル基板22は、TOSA30のTOSAベース31の上面と対向する面(TOSAベース対向面)を有するTOSAベース対向部22aと、TOSAベース対向部22aから外側(図5における上側と下側)に向かって延びる4本のCANパッケージ接合部22A〜Dとを備える。
【0035】
CANパッケージ接合部22A,22Bは、対向配置されており、CANパッケージ接合部22C,22Dも対向配置されている。CANパッケージ接合部22A,22Bは、CANパッケージ32C,32D間の距離よりも相互間の距離が長い位置に配置されたCANパッケージ32A,32Bと接続できるように、CANパッケージ接合部22C,22Dよりも長く形成されている。
【0036】
CANパッケージ接合部22A〜Dのそれぞれには、CANパッケージの4本のリードピン32aを挿入するための孔が4つ設けられている。CANパッケージ接合部22A〜Dは、略90°折り曲げられて、CANパッケージ32A〜Dと接合されることで、CANパッケージ32A〜Dと電気的に接続される。
【0037】
なお、CANパッケージ接合部22A〜Dは、4本別々に設けたが、22A、22Cは一体として設けることもでき、22B、22Dも一体として設けることもできる。動きの自由度を増すために、4本別々に設けることが好ましい。
【0038】
下側リジッド基板23は、回路基板の1階部分を構成し、上面(連結フレキシブル基板25を屈曲させた際に上側リジッド基板21と対向する内側面)には制御系の部品が実装され、配線がなされており、下面(連結フレキシブル基板25を屈曲させた際に上側リジッド基板21と対向する内側面とは反対側の外側面)には受信用の部品が実装され、配線がなされている。
【0039】
下側フレキシブル基板24は、下側リジッド基板23と共に回路基板の1階部分を構成し、その上面(連結フレキシブル基板25を屈曲させた際に上側フレキシブル基板22と対向する内側面)側にROSA40が実装され、上面には受信用の配線がなされている。光モジュール1の長手方向に下側リジッド基板23と並んで下ケース3に収納できるように、下側フレキシブル基板24の一端部が下側リジッド基板23の光アダプタ4寄りの端部に連結される。
【0040】
なお、下側フレキシブル基板24は、下側リジッド基板と接続するフレキシブル基板であることが好ましいが、下側リジッド基板23を延長したリジッド基板、又は下側リジッド基板23からフレキ部を延長したリジッドフレキシブル基板とすることもできる。
【0041】
連結フレキシブル基板25は、上側リジッド基板21と下側リジッド基板23とを長手方向のそれぞれの一側面で連結するものであり、本実施の形態においては、送信用の配線がなされている。
【0042】
(TOSAの構成)
図6は、図3の光送受信アセンブリに使用されるTOSAの斜視図である。図7は、図6のTOSAの断面図である。また、図8(a)は、図6のTOSAを構成するTOSAベースと光部品の斜視図であり、(b)は、(a)から光部品を外した状態におけるTOSAベースの斜視図であり、(c)は、(a)のTOSAベースを別の方向から見た場合の斜視図であり、(d)は、(a)のTOSAベースの断面上面図である。
【0043】
TOSA30は、TOSAベース31と、TOSAベース31に形成された4つのCANパッケージ設置部31A〜D(円形凹状孔)に設置される4つのCANパッケージ32A〜Dと、TOSAベース31内に設置されるミラー34A〜D,34F及びコリメータレンズ35A〜Dと、TOSAベース31の光出射面(光アダプタ4側)に形成された光部品設置部311に設置されるフィルタ36A,36C,36D及びミラー34Eと、TOSAベース31の光出射面(光アダプタ4側)に形成されたスリーブ設置部312に設置されるスリーブ33とを備える。
【0044】
TOSA30の大きさは、回路基板20の配置スペースを考慮しつつ、QSFP+規格に準拠した大きさで形成された上ケース2及び下ケース3に収納できるような大きさに調整される。
【0045】
TOSAベース31は、例えばSUS等の金属からなり、直方体形状の両側面を階段状に切削した形状を有し、階段状に切削した階段部分にCANパッケージ設置部31A〜Dが形成されている。CANパッケージ32A,32Bが対向配置されるように、CANパッケージ設置部31A,31Bが対向して形成されており、CANパッケージ32C,32Dが対向配置されるように、CANパッケージ設置部31C,31Dが対向して形成されている。
【0046】
階段形状は、TOSAベース31から光が出射する方向とは逆側に向かうほど階段が低くなる形状となるように切削形成されている。すなわち、TOSAベース31の光出射面から遠くなるほど、対向するCANパッケージ設置部の距離が短くなる。ゆえに、TOSAベース31の光出射面から遠くなるほど、対向するCANパッケージの距離が短くなる。本実施の形態においては、CANパッケージ32A,32B間の距離よりも、CANパッケージ32C,32D間の距離の方が短い。
【0047】
階段の高さは、TOSAベース31内部に形成される各CANパッケージから出射された光の通路が重ならないように調整される。例えば、0.5mm〜1.5mmとする。
【0048】
なお、TOSAベース31の形状は、上記の通り、側面を階段状にした形状であることが好ましいが、これに限られるものではなく、そのまま平面状の側面であってもよい。
【0049】
CANパッケージ32A〜Dはそれぞれ、光信号を出射する発光素子としてのLD(レーザーダイオード)(図示省略)と、CANパッケージ接合部22A〜Dの孔に挿入され接合されるリードピン32aと、発光された光を集光するレンズ32bとを備える。市販のCANパッケージをCANパッケージ32A〜Dとして使用することができる。
【0050】
4つのCANパッケージ32A〜Dは、CANパッケージ設置部が設けられた側面に対し垂直方向かつTOSAベース31の外側にリードピン32aが向くように、CANパッケージ設置部31A〜Dに設置される。
【0051】
光部品であるミラー34A〜D,34F及びコリメータレンズ35A〜Dは、TOSAベース31内に形成された光通路内に設置される。詳細については、TOSAの動作説明にて後述する。
【0052】
また、同じく光部品であるフィルタ36A,36C,36D及びミラー34Eは、図8(a)等に示すように、スリーブ設置部312に近い方からこの順番で光部品設置部311に設置される。また、各光部品(フィルタ36A,36C,36D及びミラー34E)の長さは、その設置箇所がスリーブ設置部312に近づくほど短くする。これらの光部品は、光合波器を構成するものである。
【0053】
光部品設置部311は、階段状に切削形成されたものである。光部品設置部311の切削の深さ(階段の高さ)は、スリーブ設置部312に近づくほど深くする。また、光部品設置部311の切削の幅(各階段の幅)は、スリーブ設置部312に近づくほど狭くする。このように光部品設置部311を形成することにより、各光部品(フィルタ36A,36C,36D及びミラー34E)の側端の辺の全部が、段差部に載せられるようにしている。
【0054】
また、光部品設置部311には、図8(b)に示すように、光の通路となる開口部313が形成されている。開口部313からなる通路において、CANパッケージ32A〜Dから出射された各光が合波されて波長多重光とされる。
【0055】
図9(a)は、図8のTOSAベースと光部品の変形例を示す斜視図であり、(b)は、(a)から光部品を外した状態におけるTOSAベースの斜視図である。
【0056】
図9の変形例では、図8の場合とは異なり、各光部品(フィルタ360A,360C,360D及びミラー340E)の長さは、その設置箇所がスリーブ設置部312に近づくほど短くされておらず、すべて同じ長さである。また、光部品設置部3110の切削の深さ(階段の高さ)は、スリーブ設置部312に近づくほど深くされておらず、同じ深さとされている。さらに、光部品設置部3110の切削の幅(各階段の幅)は、スリーブ設置部312に近づくほど狭くされておらず、同じ幅とされている。
【0057】
本実施の形態において、図9の変形例を採用することもできるが、当該変形例では、各光部品(フィルタ360A,360C,360D及びミラー340E)の側端の辺の全部が、段差部に載せられず、側端の辺の一部しか段差部に載せられないため、フィルタが傾いてしまうおそれがあり、安定して設置することが容易でないので、前述の図8の形態とすることが好ましい。
【0058】
スリーブ33は、光アダプタ4のTXに挿入された光コネクタと光接続される。
【0059】
(TOSAの動作説明)
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【0060】
図10において、各CANパッケージから出射された光の経路を矢印で示しており、当該経路に沿ってTOSAベース31内部に光通路が形成されている。
【0061】
以下に、光の経路を具体的に説明する。
CANパッケージ32Aから出射された光は、ミラー34Aで反射されて方向を変え、光通路に設置されたコリメータレンズ35Aを通過して平行光とされ、フィルタ36Aで反射されて方向を変え、ミラー34Fへ向かう。
【0062】
CANパッケージ32Cから出射された光は、ミラー34Cで反射されて方向を変え、光通路に設置されたコリメータレンズ35Cを通過して平行光とされ、フィルタ36Cで反射されて方向を変え、フィルタ36Aを透過してミラー34Fへ向かう。
【0063】
CANパッケージ32Dから出射された光は、ミラー34Dで反射されて方向を変え、光通路に設置されたコリメータレンズ35Dを通過して平行光とされ、フィルタ36Dで反射されて方向を変え、フィルタ36C及びフィルタ36Aを透過してミラー34Fへ向かう。
【0064】
CANパッケージ32Bから出射された光は、ミラー34Bで反射されて方向を変え、光通路に設置されたコリメータレンズ35Bを通過して平行光とされ、ミラー34Eで反射されて方向を変え、フィルタ36D、フィルタ36C及びフィルタ36Aを透過してミラー34Fへ向かう。
【0065】
CANパッケージ32A〜32Dから出射された各光信号は、図10に示す通り、光部品設置部311に設置された光部品に到達するまでそれぞれ異なる光通路を通る。
【0066】
フィルタ36D〜ミラー34F間で4波が合波され、波長多重光となり、これがミラー34Fで反射されて方向を変え、スリーブ33を経て出射される。
【0067】
ミラー34A,34Bの代わりに、フィルタを使用することで、光部品設置部311に設置された光部品に到達するまでの光通路を共通させることもできるが、設置精度が要求されるフィルタを出射面の光部品設置部311のみにまとめて設置できる点において、切削加工が容易となる、かつ、設置精度が高まるので、前述の通り、各光信号が光部品設置部311に設置された光部品に到達するまでそれぞれ異なる光通路を通るように光通路を形成することが好ましい。
【0068】
(ROSAの構成)
ROSA40は、公知のROSAを用いることができる。
【0069】
(本発明の第1の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)WDM用小型光トランシーバ、例えばQSFP+規格に準拠したWDM用小型光トランシーバにおいても高密度実装を可能とする構造を備えた光モジュールを提供することができる。
【0070】
(2)リジッド基板間にはTOSAを配置せず、リジッド基板(例えば1.0mm)よりも薄いフレキシブル基板(例えば0.2mm)にTOSAを実装するため、厚さ方向の小型化が可能となる、或いはTOSAの寸法を大きく取れる。また、リジッド基板の面積を縦横に広く取ることができるため、部品の配置の自由度が増し、かつ配線効率が良い。また、特にカードエッジに配線をするときに、狭ピッチ配線を減らせるため、クロストークの影響を軽減できる。
【0071】
(3)送信側高速配線(上側リジッド基板両面)と、受信側高速配線(下側リジッド基板の下面(上側リジッド基板と対向しない面))との間を離すことができるため、クロストークの影響が軽減できる。
【0072】
(4)上側リジッド基板との連結部位において上側フレキシブル基板に曲げを加えることでTOSAの大きさに合わせて高さ調節ができる。
【0073】
(5)TOSAベースにおいてCANパッケージを対向配置させ、かつ階段状に配置する構成としたため、部品配置をコンパクト化できる。また、フィルタを出射面の光部品設置部のみにまとめて設置できるため、切削加工が容易となり、かつ設置精度が高まる。また、フィルタの設置間隔も狭めることができるため、小型化ができる。
【0074】
(6)TOSAベースにおいてCANパッケージを対向配置させる構成としたため、送信側高速配線長を短くできる。
【0075】
〔本発明の第2の実施の形態〕
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【0076】
本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールは、TOSA及び回路基板の構造が上記第1の実施の形態に係る光モジュールと異なる。
【0077】
すなわち、本発明の第2の実施の形態では、図10において、CANパッケージ32Aと同じ側に階段状に設置されていたCANパッケージ32Cに代えて、CANパッケージ32B,32D側の側面にさらに階段を一つ増やし、CANパッケージ132Cを設置した点で上記第1の実施の形態と相違する。また、TOSAベース形状及びCANパッケージ設置位置が変更されたことにより、これに合わせて上側フレキシブル基板22の形状も変更される。さらに、ミラー34C及びコリメータレンズ35Cの設置位置も、CANパッケージ設置位置の変更に伴い、図11におけるミラー134C及びコリメータレンズ135Cの位置に変更される。
【0078】
動作は、上記第1の実施の形態と同様に説明できるので、説明を省略する。
【0079】
(本発明の第2の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏するほか、以下の効果を奏する。
(1)光源(CANパッケージ)の位置を変更しても、フィルタの設置位置を変更せずに済むため、光源の配置に自由度が増す。また、TOSAベースの形状を最適かつ自由に変更できる。
【0080】
(2)2×2で対向配置させている第1の実施の形態の方がより小型化できる点においては第2の実施の形態よりも好ましい。
【0081】
〔本発明の第3の実施の形態〕
図12は、本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールに使用されるTOSAの構成と動作を説明する図である。
【0082】
本発明の第3の実施の形態に係る光モジュールは、TOSA及び回路基板の構造が上記第1の実施の形態に係る光モジュールと異なる。
【0083】
すなわち、本発明の第3の実施の形態では、図10において、CANパッケージ32Aと同じ側に階段状に設置されていたCANパッケージ32Cに代えて、出射面と対向する面にCANパッケージ232Cを設置した点で上記第1の実施の形態と相違する。また、TOSAベース形状及びCANパッケージ設置位置が変更されたことにより、これに合わせて上側フレキシブル基板22の形状も変更される。さらに、ミラー34Cは不要となり、コリメータレンズ35Cの設置位置も、CANパッケージ設置位置の変更に伴い、図12におけるコリメータレンズ235Cの位置に変更される。
【0084】
動作は、上記第1の実施の形態と同様に説明できるので、説明を省略する。
【0085】
(本発明の第3の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏するほか、以下の効果を奏する。
(1)光源(CANパッケージ)の位置を変更しても、フィルタの設置位置を変更せずに済むため、光源の配置に自由度が増す。また、TOSAベースの形状を最適かつ自由に変更できる。
【0086】
(2)2×2で対向配置させている第1の実施の形態の方がより小型化できる点においては第3の実施の形態よりも好ましい。
【0087】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1:光モジュール、2:上ケース、3:下ケース、4:光アダプタ
10:光送受信アセンブリ
20:回路基板、30:TOSA、40:ROSA
21:上側リジッド基板(第1のリジッド基板)
22:上側フレキシブル基板(第1のフレキシブル基板)
23:下側リジッド基板(第2のリジッド基板)
24:下側フレキシブル基板(第2のフレキシブル基板)
25:連結フレキシブル基板、26:エッジコネクタ
22a:TOSAベース対向部
22A〜D:CANパッケージ接合部
31:TOSAベース
31A〜D:CANパッケージ設置部
311:光部品設置部、312:スリーブ設置部、313:開口部
32A〜D:CANパッケージ
32a:リードピン、32b:レンズ
33:スリーブ
34A〜F:ミラー、36A,C,D:フィルタ
35A〜D:コリメータレンズ
340E:ミラー、360A,C,D:フィルタ
3110:光部品設置部、3130:開口部
132C,232C:CANパッケージ
134C:ミラー、135C,235C:コリメータレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の端部に取り付けられた光アダプタと、前記筐体内に搭載される光送受信アセンブリとを備えた光モジュールにおいて、
前記光送受信アセンブリは、光信号を出射する複数の発光素子を有するTOSAと、光信号を入射する受光素子を有するROSAと、前記TOSA及び前記ROSAと電気的に接続される回路基板とを備え、
前記TOSAは、前記筐体内において、前記光アダプタ側に配置され、前記複数の発光素子が対向する側面に少なくとも一組以上対向配置されたTOSAベースを有し、
前記回路基板は、前記TOSAが実装される第1のフレキシブル基板及び前記第1のフレキシブルと連結される第1のリジッド基板を備え、前記第1のフレキシブル基板は、前記TOSAベースと対向するTOSAベース対向部と、前記TOSAベース対向部の両端部から延びる、前記複数の発光素子と接続される接合部とを備えることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記回路基板は、2階建て構造を有しており、2階部分として、前記第1のフレキシブル基板及び前記第1のリジッド基板を備え、1階部分として、連結フレキシブル基板を介して前記第1のリジッド基板と連結される第2のリジッド基板を備えることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、それぞれCANパッケージに収納された形態で前記TOSAベースに配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1のリジッド基板には、送信用の部品が配置され、配線がなされており、前記第2のリジッド基板には、受信用の部品が配置され、配線がされていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記ROSAが実装される第2のフレキシブル基板が前記第2のリジッド基板に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第2のリジッド基板は、その端部にエッジコネクタを備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記TOSAベースは、側面が階段状に形成されており、各段部に前記発光素子が設置されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の光モジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図8(d)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−104982(P2013−104982A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248082(P2011−248082)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】