説明

光信号送信装置および偏波多重光信号の制御方法

【課題】伝送特性の良好な偏波多重光信号を送信する光信号送信装置を提供する。
【解決手段】第1、第2の変調部は、それぞれ、1組の光パスに位相差を与える第1、第2の位相シフト部を備え、第1、第2の光変調信号を生成する。結合部は、第1、第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する。第1、第2の変調部がそれぞれ第1、第2の制御データ信号により駆動されるとき、位相制御部は、第1、第2の位相シフト部による位相差をそれぞれA−Δφ、A+Δφに制御し、パワー制御部は、偏波多重光信号のAC成分に基づいて第1、第2の変調部の少なくとも一方を制御する。第1の制御データ信号のデータパターンは第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、第2の制御データ信号の逆相と同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号送信装置および偏波多重光信号の制御方法に係わり、例えば、偏波多重伝送システムにおいて使用される光信号送信装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
40Gbit/sを超える超高速光伝送システム(例えば、100Gbit/s)の実現の要求は急速に高まってきている。このため、無線システムに適用されている多値変調方式(例えば、4値の位相変調を用いるQPSK変調方式)を適用した光伝送システムの実用化に向けた開発が進められている。しかし、伝送信号速度の高速化に伴い、電気信号回路の実現性に係わる課題、光伝送信号の劣化に係わる課題(光フィルタによる伝送信号スペクトル劣化、波長分散や光雑音の累積による信号劣化など)の解決は、ますます困難になる。
【0003】
これらの課題を解決する技術の1つとして、光偏波多重が注目されている。偏波多重光信号は、例えば、図1(a)に示す光信号送信装置により生成される。この光信号送信装置は、光源(LD)、1組の変調器、偏波ビーム結合器(PBC)を備える。光源から出力される連続光は、分岐されて1組の変調器に導かれる。1組の変調器は、それぞれデータ信号で連続光を変調し、1組の光変調信号を生成する。そして、偏波ビーム結合器は、1組の光変調信号を結合して図1(b)に示す偏波多重光信号を生成する。すなわち、偏波多重では、同一波長の互いに直交する2つの偏波(X偏波、Y偏波)を利用して、2つのデータストリームが伝送される。
【0004】
このため、偏波多重技術では、変調速度が2分の1になり、電気信号生成回路の特性向上、低コスト化、小型化、低消費電力化が実現される。また、光伝送路上での分散等の品質劣化要因による影響が低減され、光伝送システム全体として特性が向上する。なお、特許文献1〜3には、偏波多重技術を用いた伝送システムが開示されている。また、関連する技術として特許文献4、5に記載の構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−24731号公報
【特許文献2】特開2002−344426号公報
【特許文献3】特開2008−172799号公報
【特許文献4】特開2009−63835号公報
【特許文献5】特開2008−172714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
偏波多重光信号を生成する光信号送信装置においては、図1(a)に示すように、各偏波信号に対して変調器が設けられる。このため、変調器間での特性(例えば、LN変調器の損失)のばらつき、光分岐部および/または光結合部の特性のばらつき等により、出力信号中の偏波間で光パワーに差が発生することがある。そして、偏波間で光パワーが異なると、伝送信号の特性が劣化してしまう。
【0007】
本発明の課題は、伝送特性の良好な偏波多重光信号を送信する光信号送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様の光信号送信装置は、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部と、前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御する位相制御部と、前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するパワー制御部、を有する。前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである。
【0009】
本発明の1つの態様の偏波多重光信号の制御方法は、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において使用される。第1の期間に、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御し、前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の制御データ信号を生成し、前記偏波多重光信号のAC成分が最小化されるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、前記第1および第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成する。ここで、前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである。第2の期間に、前記第1および第2の位相シフト部による位相差をそれぞれ前記Aに制御し、前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の送信データ信号を生成し、前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する。
【0010】
本発明の他の態様の偏波多重光信号の制御方法は、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において使用される。第1の期間に、前記第1の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーと前記第2の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーとの差分をほぼゼロにするように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、前記第1の光変調信号の光パワーおよび前記第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成する。第2の期間に、前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本出願において開示される構成または方法によれば、伝送特性の良好な偏波多重光信号を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】偏波多重について説明する図である。
【図2】実施形態の光信号送信装置の構成を示す図である。
【図3】光信号送信装置の第1の実施例を示す図である。
【図4】LN変調器の動作を説明する図である。
【図5】第1の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果(Δφ=90度)である。
【図6】第1の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果(Δφ=45度)である。
【図7】第1の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果(ランダムデータ入力)である。
【図8】光信号送信装置の第2の実施例を示す図である。
【図9】第2の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果(Δφ=90度)である。
【図10】第2の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果(Δφ=45度)である。
【図11】光信号送信装置の第3の実施例を示す図である。
【図12】光信号送信装置の第4の実施例を示す図である。
【図13】駆動データが互いに逆相である場合のLN変調器の入出力を説明する図である。
【図14】位相シフト部を制御する方法を説明する図(その1)である。
【図15】位相シフト部を制御する方法を説明する図(その2)である。
【図16】位相シフト部を制御する方法を説明する図(その3)である。
【図17】オンライン制御を行う光信号送信装置の構成を示す図である。
【図18】図17に示す制御部の動作を示すフローチャートである。
【図19】他の実施形態の光信号送信装置の構成を示す図である。
【図20】図19に示す制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2は、実施形態の光信号送信装置の構成を示す図である。実施形態の光信号送信装置は、第1および第2の光変調信号を結合することにより得られる偏波多重光信号を送信する。偏波多重光信号は、互いに直交するX偏波およびY偏波を利用して受信局へデータを伝送する。ここで、X偏波およびY偏波のパワーが互いに異なっていると、偏波多重光信号の特性が劣化する。したがって、実施形態の光信号送信装置においては、X偏波およびY偏波のパワー差を小さく(望ましくは、最小化)するための制御が行われる。
【0014】
光源(LD)1は、例えばレーザーダイオードであり、所定の周波数の光信号を生成する。この光信号は、例えば連続光(CW:Continuous Wave)であり、例えば光スプリッタにより分岐されて変調器10、20に導かれる。
【0015】
変調器10、20は、この実施例では、それぞれ、駆動電圧に応じて出力光のパワーが周期的に変化する変調器(例えば、マッハツェンダ型のLN変調器)である。ここで、変調器10は、1組の光パスおよびその1組の光パスに位相差を与える位相シフト部11を備える。そして、変調器10は、データXに従って入力光信号を変調して光変調信号Xを生成する。同様に、変調器20は、1組の光パスおよびその1組の光パスに位相差を与える位相シフト部21を備える。そして、変調器20は、データYに従って入力光信号を変調して光変調信号Yを生成する。
【0016】
駆動部12は、データXを表す駆動電圧信号を生成して変調器10に与え、駆動部22は、データYを表す駆動電圧信号を生成して変調器20に与える。また、変調器10、20は、それぞれ、LN変調器の動作点(すなわち、バイアス)を制御するために、不図示のバイアス回路を備える。バイアス回路は、例えば、ABC(Auto Bias Control)回路である。ABC回路は、例えば、対応するLN変調器に対して低周波電圧信号を印加し、変調器10、20の出力光に含まれる低周波成分に基づいて、対応するLN変調器の動作点の位置(すなわち、DCバイアス電圧)を調整する。
【0017】
なお、この明細書においては、光変調器の一例としてLN変調器を記載しているが、これに限定されるものではない。すなわち、光変調器は、LN変調器に限定されるものではなく、電気光学材料を用いた変調器、例えば、InP等の半導体材料で構成される変調器であってもよい。
【0018】
光アッテネータ13、23は、それぞれ光変調信号X、Yのパワーを調整する。なお、光アッテネータ13、23は、必須の構成要素ではない。また、光アッテネータ13、23は、変調器10、20の入力側に設けられてもよいし、変調器10、20の内部に設けられてもよいし、変調器10、20の出力側に設けられてもよい。
【0019】
上記構成において、光変調信号Xを生成する変調部は、変調器10、駆動部12、不図示のバイアス回路、光アッテネータ13を含むようにしてもよい。同様に、光変調信号Yを生成する変調部は、変調器20、駆動部22、不図示のバイアス回路、光アッテネータ23を含むようにしてもよい。
【0020】
偏波ビーム結合器(PBC:Polarization Beam Combiner)31は、光変調信号Xおよび光変調信号Yを偏波多重して偏波多重光信号を生成する。ここで、偏波多重においては、図1(b)に示すように、互いに直交するX偏波およびY偏波が使用される。すなわち、X偏波を利用して光変調信号Xが伝搬され、Y偏波を利用して光変調信号Yが伝搬される。
【0021】
上記構成において、光信号送信装置がデータを送信するときは、位相シフト部11、21は、変調方式に応じて決まる位相を生成するように制御される。例えば、QPSK(DQPSKを含む)では、位相シフト部11、21の位相φは、いずれもπ/2に制御される。また、データ生成部40は、送信データX、Yを生成する。そして、送信データX、YがそれぞれデータX、Yとして変調器10、20に与えられると、光変調信号X、Yが生成され、それらの光変調信号X、Yを伝送する偏波多重光信号が出力される。
【0022】
実施形態の光信号送信装置は、X偏波およびY偏波のパワー差をゼロまたはほぼゼロに制御するために、以下の制御系を備える。すなわち、受光器(PD)51は、光スプリッタにより分岐された偏波多重光信号を電気信号に変換する。AC成分抽出器52は、受光器51により得られる電気信号からAC成分を抽出する(或いは、DC成分を除去する)。ローパスフィルタ53は、上記電気信号からデータX、Yのシンボル周波数成分を除去する。AC成分パワー検出部54は、ローパスフィルタ53によりフィルタリングされた電気信号のAC成分パワーを検出し、その検出結果をモニタ信号として出力する。制御部55は、偏波多重光信号のAC成分パワーを表すモニタ信号に基づいて、少なくとも一方の変調部(変調器、駆動部、バイアス回路、光アッテネータ)を制御する。なお、図2に示す例では、受光器51とAC成分パワー検出部54との間にローパスフィルタ53が設けられているが、このローパスフィルタ53の代わりに変調速度に対して十分に低い帯域を有する電気回路が設けられるようにしてもよい。
【0023】
X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する際には、制御データ生成部41は、制御データX、Yを生成する。ここで、制御データXのデータパターンは、制御データYのデータパターンと同じである。生成された制御データX、Yは、それぞれデータX、Yとして駆動部12、22を介して変調器10、20に与えられる。すなわち、変調器10、20は、互いに同じ制御データで駆動される。
【0024】
また、X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する際には、位相制御部56は、位相シフト部11、21の位相を、それぞれ「A−Δφ」「A+Δφ」に制御する。すなわち、変調器10の1組の光パスに対して位相差A−Δφが与えられ、変調器20の1組の光パスに対して位相差A+Δφが与えられる。ここで、「A」は、データ送信時の最適位相であり、例えば、QPSKまたはDQPSKではπ/2である。また、「Δφ」は、ゼロでない任意の位相である。位相シフト部12、22の位相は、最適位相に対して互いに逆方向に同じ量だけずらして設定される。なお、位相制御部56は、制御部55の中に設けられてもよいし、制御部55の外部にもうけられてもよい。
【0025】
このような設定において、制御部55は、偏波多重光信号のAC成分パワーを小さく(好ましくは、最小化)するように、制御信号C1〜C3のうちの1つ以上を生成する。なお、「AC成分パワーを小さく」とは、AC成分パワーを予め決められた閾値よりも小さくするように制御する動作を含む。制御信号C1は、駆動部12、22が生成する駆動電圧の振幅を制御する。なお、変調器10、20の出力パワーは、駆動電圧に依存する。すなわち、駆動振幅が大きければ出力パワーが大きく、駆動振幅が小さければ出力パワーは小さい。制御信号C2は、変調器10、20のバイアスを制御する。なお、変調器10、20の出力パワーは、バイアス点を制御するDCバイアス電圧に依存する。一般に、バイアスが最適点に制御されていれば、出力パワーは最大になる。制御信号C3は、光アッテネータ13、23の減衰量を制御する。
【0026】
上記設定において、偏波多重光信号のAC成分パワーが最小化されると、後で詳しく説明するが、偏波多重光信号に含まれるX偏波およびY偏波のパワー差が最小化される。したがって、偏波多重光信号のAC成分パワーを最小化するように制御信号C1〜C3の中の1つ以上を生成すれば、X偏波およびY偏波のパワー差が最小化され、偏波多重光信号の特性が改善される。
【0027】
このように、実施形態の光信号送信装置は、偏波多重光信号のAC成分パワーを利用して変調部を制御するフィードバック系を備え、このフィードバック系がX偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する。すなわち、光変調信号X、Yのパワーを個々にモニタするのではなく、光送信装置から出力される偏波多重光信号をモニタして偏波間のパワー差が調整される。このため、光変調信号X、Yのパワーを個々にモニタする受光器の特性、あるいは偏波ビーム結合器の特性のばらつきに依存することなく、実際に出力される偏波多重光信号に基づいて、X、Y偏波間のパワーバランスを最適化することができる。
【0028】
ただし、実施形態の制御方法は、データX、Yとして制御データが与えられ、また、位相シフト部11、21の位相はそれぞれ最適位相から外れている。したがって、この制御方法は、光信号送信装置のオフライン時(システム導入時、波長切替え時など)に実行される。そして、データ送信時には、光信号送信装置は、上述のフィードバック制御により得られた状態(駆動電圧、バイアス、または減衰量)で動作する。このとき、位相シフト部11、21の位相は、それぞれ最適位相に制御される。
【0029】
図3は、光信号送信装置の第1の実施例を示す図である。この実施例では、NRZ−DQPSK変調方式でデータが送信される。なお、変調方式は、QPSK/DQPSKに限定されるものではなく、他のDPSK変調、あるいは他の多値変調方式であってもよい。例えば、米国特許出願公開2006/0127102の明細書に開示されているように、データ信号をフィルタ処理することにより光位相をベクトルとして変化させる光変調器を備える光送信装置であってもよい。
【0030】
図3において、変調器10は、マッハツェンダ型DQPSK光変調器であり、この実施例では、LN変調器10a、10b、位相シフト部11を備える。LN変調器10a、10bは、この実施例では、マッハツェンダ干渉計である。LN変調器10aは、1組の光パス(Iアーム、Qアーム)の一方に設けられ、LN変調器10bは、1組の光パスの他方に設けられる。位相シフト部11は、IアームとQアームとの間に位相差π/2を与える。位相シフト部11は、例えば、電圧または温度に応じて光パス長が変化する材料により実現されるようにしてもよい。ただし、位相シフト部11の位相は、偏波間のパワーバランスの調整時には、π/2−Δφに調整される。
【0031】
駆動部12は、駆動信号DataI、DataQを用いてLN変調器10a、10bを駆動する。ここで、駆動信号DataI、DataQは、例えば、DQPSKエンコーダでデータXを符号化することにより生成される。また、駆動部12は、増幅器を備え、駆動信号DataI、DataQの振幅を制御することができる。なお、図3に示す駆動部12は、差動信号を出力するようになっているが、シングル出力でも構わない。
【0032】
図4は、LN変調器の動作を説明する図である。LN変調器の出力光のパワーは、駆動電圧に対して周期的に変化する。ここで、駆動振幅は「2Vπ」である。なお、「Vπ」は、半波長電圧であり、LN変調器の出力光のパワーが極小値から極大値まで変化するための電圧である。したがって、図3において、駆動信号DataIの振幅を小さくすれば、LN変調器10aの出力光信号の振幅は小さくなり、LN変調器10aの出力光の平均パワーは低下する。同様に、駆動信号DataQの振幅を小さくすれば、LN変調器10bの出力光の平均パワーは低下する。駆動信号DataI、DataQの振幅は、駆動部12が備える増幅器の利得を調整することにより制御される。また、利得一定の増幅器が使用される場合は、増幅器入力信号振幅を調整することでも同様の効果を得ることができる。なお、LN変調器10a、10bの出力光のパワーは、互いに同じになるように制御される。
【0033】
また、LN変調器10a、10bに印加するDCバイアス電圧を調整することにより、変調器の動作点をシフトさせると、LN変調器10a、10bの出力光の平均パワーが変化する。すなわち、例えば、図4において、駆動信号のDC電圧を調整すると、対応する出力光信号が変化し、出力光の平均パワーが変化する。したがって、LN変調器10a、10bに印加するDCバイアス電圧を調整することにより、出力光のパワーを制御することができる。
【0034】
変調器20の構成および動作は、基本的には、変調器10と同じである。すなわち、変調器20は、LN変調器20a、20b、および位相シフト部21を備える。位相シフト部21は、位相シフト部11と同様に、IアームとQアームとの間に位相差π/2を与える。ただし、位相シフト部21の位相は、偏波間のパワーバランスの調整時には、π/2+Δφに調整される。
【0035】
上記構成の光信号送信装置は、偏波多重光信号を利用して、1組のデータX、Yを送信する。すなわち、データXに従って変調器10が駆動され、光変調信号Xが生成される。同様に、データYに従って変調器20が駆動され、光変調信号Yが生成される。光変調信号X、Yは、偏波ビーム結合器31に導かれる。そして、偏波ビーム結合器31は、光変調信号X、Yを偏波多重して偏波多重光信号を生成する。偏波多重光信号は、光ファイバ伝送路を介して伝送される。
【0036】
図3に示す光信号送信装置は、図2を参照しながら説明した制御系(受光器51、AC成分抽出部52、ローパスフィルタ53、AC成分パワー検出部54、制御部55)を備える。受光器51は、例えばフォトダイオードであり、光スプリッタにより分岐された偏波多重光信号を電気信号に変換する。
【0037】
ローパスフィルタ53は、上記電気信号からデータX、Yのシンボル周波数成分を除去する。すなわち、例えば、データX、Yのシンボル周波数が20Gsymbol/sである場合、ローパスフィルタ53は、少なくとも20GHz成分を除去する。AC成分抽出器52は、上記電気信号からDC成分を除去し、AC成分を抽出する。AC成分抽出器は、例えば、DC成分を除去するコンデンサにより実現される。なお、ローパスフィルタ53、AC成分抽出部52を設ける順番は、特に限定されるものではない。ローパスフィルタ53の入力側にAC成分抽出部52が設けられてもよいし、ローパスフィルタ53の出力側にAC成分抽出部52が設けられてもよい。
【0038】
AC成分パワー検出部54は、上述のようにして得られる電気信号のパワーを検出し、その検出結果をモニタ信号として出力する。したがって、モニタ信号は、偏波多重光信号に対応する電気信号のAC成分パワーを表す。AC成分パワー検出部54は、アナログ回路で実現されてもよいし、デジタル演算を行うプロセッサで実現されてもよい。AC成分パワー検出部54がプロセッサで実現される場合は、上記電気信号は、不図示のA/D変換器によりデジタルデータに変換されてAC成分パワー検出部54に入力されるようにしてもよい。
【0039】
制御部55は、モニタ信号を最小化するための制御信号C1〜C3の1つ以上を生成する。制御信号C1は、駆動部12、22に与えられる。すなわち、変調器10を駆動する駆動信号の振幅、および/または、変調器20を駆動する駆動信号の振幅は、制御信号C1によって制御される。また、制御信号C2は、変調器10、20のバイアスを制御するバイアス回路に与えられる。すなわち、変調器10のバイアス点の位置、および/または、変調器20のバイアス点の位置は、制御信号C2によって制御される。さらに、制御信号C3は、光アッテネータ13、23に与えられる。すなわち、光アッテネータ13の減衰量、および/または、光アッテネータ23の減衰量は、制御信号C3によって制御される。
【0040】
第1の実施例の光信号送信装置においては、上記制御信号C1〜C3の1つ以上を利用してフィードバック制御が行われる。すなわち、第1の実施例においては、駆動電圧の振幅、変調器のバイアス、光アッテネータの減衰量の1つ以上を制御することにより、X偏波とY偏波とのパワー差が制御される。
【0041】
上記構成の光信号送信装置において、X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する際には、図2を参照しながら説明したように、以下の状態が設定される。
(1)データX、Yとして、互いに同じデータパターンを有する制御データX、Yが与えられる。データX、Yは、互いに同期して同じタイミングで変調器10、20に入力されることが好ましい。ただし、データX、Yの入力タイミングは、1シンボル時間よりも短い誤差を含んでいてもよい。
(2)位相シフト部11、21の位相は、それぞれ「A−Δφ」「A+Δφ」に設定される。なお、この実施例では、変調方式はDQPSKなので、A=π/2である。
【0042】
図5は、偏波間のパワー差とモニタ信号との関係を示すシミュレーション結果である。このシミュレーションでは、X偏波とY偏波とのパワー差がゼロ、3dB、6dBである場合が比較されている。また、Δφ=90度である。すなわち、変調器10においてLN変調器10a、10b間の位相差φはゼロであり、変調器20においてLN変調器20a、20b間の位相差φは180度である。なお、図5に示す「X偏波」「Y偏波」「偏波多重光信号」は、光パワーを表している。また、図5に示す「モニタ信号」は、AC成分パワー検出部54の入力信号を表している。
【0043】
変調器10、20に与えられる制御データX、Yは、上述したように、互いに同じデータパターンを有する。このため、変調器10の位相差φがゼロであり、変調器20の位相差φが180度であるときは、変調器10から出力される光変調信号X(以下、X偏波データ)のデータパターンと、変調器20から出力される光変調信号Y(以下、Y偏波データ)のデータパターンとは、互いに逆位相である。すなわち、X偏波データが「1(発光状態)」であるときはY偏波データは「0(消光状態)」であり、X偏波データが「0」であるときはY偏波データは「1」である。
【0044】
このため、X偏波およびY偏波のパワー差が小さければ、偏波ビーム結合器31から出力される偏波多重光信号の各シンボルの光レベルがほぼ同じになる。すなわち、偏波多重光信号のパワー変動(すなわち、AC成分パワー)は小さくなる。反対に、X偏波およびY偏波のパワー差が大きくなると、偏波多重光信号においてシンボル間で光パワー差が生じている。すなわち、偏波多重光信号のパワー変動も大きくなる。このように、X偏波およびY偏波のパワー差が小さければ、偏波多重光信号のAC成分パワーを表すモニタ信号も小さくなり、そのパワー差が大きくなると、モニタ信号も大きくなる。なお、AC成分パワー検出部54から出力されるモニタ信号は、図5に示す「モニタ信号」の平均値または積分値である。
【0045】
このように、実施形態の光信号送信装置においては、X偏波およびY偏波のパワー差が小さければ、モニタ信号も小さくなる。したがって、制御部55がフィードバック制御でモニタ信号を最小化すれば、X偏波およびY偏波のパワー差も最小化される。モニタ信号を最小化するためには、上述したように、駆動部12、21の駆動電圧、変調器10、20のバイアス、または光アッテネータ13、23の減衰量が制御される。
【0046】
図6は、Δφ=45度の場合のシミュレーション結果である。すなわち、変調器10の位相差φは45度であり、変調器20の位相差φは135度である。変調器10、20の位相差がこのように設定されても、X偏波およびY偏波のパワー差が小さいときに、モニタ信号が小さくなる。したがって、Δφは、ゼロ以外の値であれば、特に限定されるものではない。ただし、モニタ信号の感度は、QPSK/DQPSKにおいては、Δφ=90度のときに最も良好である。
【0047】
図7は、データX、Yが互いに同じでない(すなわち、ランダムパターン)ときのシミュレーション結果である。なお、Δφ=90である。この場合、X偏波とY偏波のパワー差がゼロであっても、偏波多重光信号のパワー変動は大きい。すなわち、モニタ信号のAC成分パワーは、X偏波とY偏波のパワー差にはほとんど依存することはない。したがって、データX、Yが互いに異なると、偏波多重光信号のAC成分パワーを利用してX偏波とY偏波のパワー差を制御することは困難である。
【0048】
ここで、位相シフト部11、21の位相をそれぞれA−Δφ、A+Δφに制御し、変調器10、20に同じ制御データを与えることについて説明する。なお、以下の説明では、変調方式がDQPSKであり、A=π/2であるものとする。また、パワーバランスの調整時には、Δφ=90度であるものとする。すなわち、パワーバランスの調整時には、変調器10の位相シフト部11の位相φはゼロであり、変調器20の位相シフト部21の位相φは180度である。さらに、光信号送信装置を構成する光デバイスは理想的な特性を有しているものとする。
【0049】
DQPSKでは、1シンボル毎に2ビットのデータが伝送される。そして、データ送信時(すなわち、φ=π/2)に、各シンボルは以下の状態で送信されるものとする。
シンボル(1,1):キャリアの位相=π/4、光パワー=√2
シンボル(0,1):キャリアの位相=3π/4、光パワー=√2
シンボル(0,0):キャリアの位相=5π/4、光パワー=√2
シンボル(1,0):キャリアの位相=7π/4、光パワー=√2
【0050】
この場合、パワーバランスの調整時には、変調器10(φ=0)により得られる光変調信号Xの状態は下記のようになる。
シンボル(1,1):キャリアの位相=0、光パワー=2
シンボル(0,1):光パワー=0
シンボル(0,0):キャリアの位相=π、光パワー=2
シンボル(1,0):光パワー=0
【0051】
このとき、変調器20(φ=180)により得られる光変調信号Yの状態は下記のようになる。
シンボル(1,1):光パワー=0
シンボル(0,1):キャリアの位相=0、光パワー=2
シンボル(0,0):光パワー=0
シンボル(1,0):キャリアの位相=π、光パワー=2
【0052】
ここで、説明を簡単にするために、偏波多重光信号のパワーは、光変調信号X、Yの光パワーの和であるものとする。また、パワーバランス調整時には、変調器10、20に同じ制御データが与えられる。そうすると、偏波多重光信号のパワーは下記のようになる。
シンボル(1,1):光パワー=2
シンボル(0,1):光パワー=2
シンボル(0,0):光パワー=2
シンボル(1,0):光パワー=2
【0053】
このように、実施形態の光信号送信装置において、位相シフト部11、21の位相をそれぞれA−Δφ、A+Δφに制御し、変調器10、20に同じ制御データを与えると、偏波多重光信号のパワーの変動は小さい(理想的には、ゼロ)。すなわち、偏波多重光信号のAC成分パワーが小さくなる。
【0054】
このとき、例えば、変調器20(φ=180)により得られる光変調信号Yのパワーが3dBだけ低下したものとする。この場合、光変調信号Yの状態は下記のようになる。
シンボル(1,1):光パワー=0
シンボル(0,1):キャリアの位相=0、光パワー=1
シンボル(0,0):光パワー=0
シンボル(1,0):キャリアの位相=π、光パワー=1
【0055】
そうすると、そうすると、偏波多重光信号のパワーは下記のようになる。
シンボル(1,1):光パワー=2
シンボル(0,1):光パワー=1
シンボル(0,0):光パワー=2
シンボル(1,0):光パワー=1
【0056】
このように、光変調信号X、Yのパワー差(すなわち、X偏波、Y偏波のパワー差)が発生すると、偏波多重光信号のパワーの変動が大きくなる。したがって、実施形態の光信号送信装置は、偏波多重光信号のAC成分パワーを表すモニタ信号を最小化するように、変調器10、20の少なくとも一方を制御する。これにより、偏波間のパワー差が最小化される。
【0057】
また、実施形態の光信号送信装置では、偏波多重後の光信号を利用してフィードバック制御が行われるので、光源1から偏波ビーム結合器31までに生じる偏波間光パワー差を制御することが可能である。したがって、各変調器10、20が備える受光器の特性、或いは偏波ビーム結合器31の特性に起因した発生し得る数dBの偏波間パワー差(制御誤差)が補償される。また、受光器51からAC成分パワー検出部54までの回路要素は、変調器10、20のバイアスを制御する回路、および/または、位相シフト部11、21を制御する回路の一部と共用可能である。これにより、光信号送信装置の小型化または簡素化が実現される。
【0058】
図8は、光信号送信装置の第2の実施例を示す図である。第2の実施例の光信号送信装置は、DQPSK光変調器の前段または後段にRZ光変調器を備える。図8に示す例においては、変調器(DQPSK光変調器)10、20の後段に、それぞれ、RZ光変調器61、71が設けられている。したがって、第2の実施例では、RZ−DQPSK変調方式でデータが送信される。なお、変調器10、20は位相変調器として動作し、RZ光変調器61、71は強度変調器として動作する。
【0059】
RZ光変調器61、71は、例えば、マッハツェンダ型のLN変調器であり、ドライバ回路62、72により生成される駆動信号に従ってRZ変調を行う。ここで、ドライバ回路62、72は、シンボルクロックに同期した駆動信号を生成する。駆動信号は、特に限定されるものではないが、例えば、シンボルクロックと同じ周波数のサイン波である。また、駆動信号の振幅は、例えば、Vπである。
【0060】
RZ光変調器61、71は、変調器10、20と同様に、それぞれ、LN変調器の動作点を制御するために、不図示のバイアス回路(ABC回路)を備える。そして、RZ光変調器61、71に印加するDCバイアス電圧を調整することにより、出力光のパワーを制御することができる。
【0061】
なお、光アッテネータ13、23は、必須の構成要素ではない。また、光アッテネータ13、23は、変調器10、20の入力側に設けられてもよいし、変調器10、20とRZ光変調器61、71との間に設けられてもよい。
【0062】
上記構成の光送信装置において、偏波間のパワー差を制御する制御系の構成および動作は、基本的に、第1の実施例と同じである。すなわち、制御部55は、偏波多重光信号に対応するモニタ信号を最小化するための制御信号を生成する。ただし、第2の実施例の制御部55は、上述した制御信号C1〜C3だけでなく、制御信号C4も生成することができる。制御信号C4は、RZ光変調器61、71のバイアスを制御する。すなわち、制御信号C4は、RZ光変調器61の出力光パワー、および/または、RZ光変調器71の出力光パワーを調整することができる。したがって、制御信号C4を利用したフィードバック制御により、X偏波およびY偏波のパワー差が最適化される。なお、第2の実施例の構成においても、制御信号C1〜C3を利用してパワー差を制御することも可能である。
【0063】
図9および図10は、第2の実施例におけるパワー差とモニタ信号の関係を示すシミュレーション結果である。図9および図10は、それぞれ、Δφ=90度およびΔφ=45度である場合のシミュレーション結果を示している。
【0064】
第2の実施例(RZ−DQPSK)においても、第1の実施例(NRZ−DQPSK)と同様に、X偏波とY偏波とのパワー差が小さくなると、モニタ信号も小さくなる。したがって、モニタ信号を最小化するようにフィードバック制御を行えば、X偏波とY偏波とのパワー差を小さくすることができる。なお、第2の実施例においても、Δφ(≠0)の値は、特に限定されるものではない。また、RZ−DQPSKにおいては、X偏波とY偏波とのパワー差がゼロになると、モニタ信号もゼロに近い値になる。したがって、RZ−DQPSKにおいては、モニタ信号に対する調整の感度が高くなる。
【0065】
図11は、光信号送信装置の第3の実施例を示す図である。第3の実施例の光信号送信装置は、同期検波を利用してAC成分パワーの最小点を検出する構成を採用する。なお、図11では、制御信号C3を利用して光アッテネータ13、23の減衰量を制御する構成を示す。
【0066】
低周波信号発生部81は、低周波信号を生成する。この低周波信号の周波数は、シンボル周波数に対して十分に低速であり、例えば、数100Hz〜数MHzである。重畳部82は、制御部55により生成される制御信号C3に低周波信号を重畳する。そして、この低周波信号が重畳された制御信号C3が、光アッテネータ13、23に与えられる。そうすると、光変調信号X、Yのパワーは低周波信号の周波数で振動し、偏波多重光信号のパワーも低周波信号の周波数で振動する。したがって、AC成分パワー検出部54から出力されるモニタ信号も、低周波信号の周波数で振動することになる。
【0067】
制御部55には、低周波信号発生部81から低周波信号が与えられる。そして、制御部55は、この低周波信号を利用して、モニタ信号を同期検波する。すなわち、制御部55は、同期検波によりモニタ信号を検出する。なお、検出したモニタ信号を最小化するための制御部55のフィードバック制御は、第1の実施例と同じである。また、同期検波方式は、制御信号C1、C2を利用する構成にも適用することができ、また、図8に示すRZ−DQPSKにも適用することができる。
【0068】
図12は、光信号送信装置の第4の実施例を示す図である。第4の実施例の光信号送信装置においては、変調器10、20に対してそれぞれ光源2、3が設けられている。そして、変調器10は、光源2の出力光を利用して光変調信号Xを生成し、変調器20は、光源3の出力光を利用して光変調信号Yを生成する。
【0069】
上記構成の光信号送信装置において、制御部55は、上述した制御信号C1〜C3だけでなく、制御信号C5を生成することができる。制御信号C5は、光源2、3に与えられる。そして、光源2、3は、制御信号C5に応じて、発光パワーを制御する。このとき、制御部55は、モニタ信号が最小化されるようにフィードバック制御を行いながら制御信号C5を生成する。これにより、偏波多重光信号のX偏波およびY偏波の光パワーを互いにほぼ同じにすることができる。このように、第4の実施例においては、駆動電圧の振幅、変調器のバイアス、光アッテネータの減衰量、光源の発光パワーの1つ以上を制御することにより、偏波間のパワー差が制御される。
【0070】
なお、第1〜第4の実施例では、X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する際には、互いに同じデータパターンを有する制御データX、Yがそれぞれ変調器10、20に入力される。しかし、制御データX、Yは、互いに同じでなくてもよい。すなわち、制御データXのデータパターンは、制御データYの逆相のデータパターンと同じであってもよい。この場合、制御データYは、例えば、制御データXの各シンボルを反転させることにより生成されるようにしてもよい。
【0071】
図13は、駆動データが互いに逆相である場合のLN変調器の入出力を説明する図である。ここでは、LN変調器の駆動電圧の振幅が2×Vπであるものとする。すなわち、DQPSK変調器として動作する変調器10、20の駆動電圧の振幅が2×Vπである。また、図13は、DQPSK変調器の一方のアーム(IアームまたはQアーム)の入出力を示している。
【0072】
2×Vπで駆動されるLN変調器においては、図13に示すように、駆動信号が互いに逆相である場合、変調器から出力される光変調信号のパターンは、互いに同じになる。すなわち、変調器10、20においては、制御データX、Yが互いに同じパターンである場合、および制御データX、Yが互いに逆相である場合に、同じ光変調信号が得られることになる。
【0073】
また、第1〜第4の実施例の光信号送信装置では、X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整する際に、位相シフト部11、21の位相がそれぞれ「A−Δφ」「A+Δφ」に設定される。以下、図14〜図16を参照しながら、位相シフト部11、21の制御方法について説明する。なお、図14〜図16では、図面を見やすくするために、パワーバランスを制御するための制御系は省略されている。
【0074】
位相シフト部11、21は、特に限定されるものではないが、例えば、各変調器が備える1組の光パスの一方または双方に電圧を印加し、その光パスの光パス長を制御することで、1組の光パス間の位相差を調整する。図14〜図16に示す例では、制御部から与えられる位相シフト制御信号の電圧に応じて、位相差が調整される。
【0075】
また、DQPSK光変調器である変調器10、20においては、1組の光パス間の位相差がゼロ、π/2、π、または3π/2であるときに、出力光パワーのAC成分が極小になる。すなわち、変調器10、20においては、出力光パワーのAC成分が極小になるように位相シフト部11、21に印加する電圧を制御すれば、1組の光パス間の位相差は、ゼロ、π/2、π、または3π/2のいずれかに収束する。ここで、変調器10、20の光パスを提供する光導波路の設計などに基づいて、1組の光パス間の位相差を約π/2に設定する位相シフト制御電圧(Vs)が予め得られているものとする。
【0076】
この場合、位相シフト制御電圧がVsであれば、出力光パワーのAC成分は極小である。そして、位相シフト制御電圧をVsから徐々に大きくしたときに、出力光パワーのAC成分の極小点が検出されると、1組の光パス間の位相差は、ゼロまたはπの一方である。また、位相シフト制御電圧をVsから徐々に小さくしたときに、出力光パワーのAC成分の極小点が検出されると、1組の光パス間の位相差は、ゼロまたはπの他方である。
【0077】
実施形態の光信号送信装置では、例えば、dithering法で上述の極小点が検出される。すなわち、図14に示す構成では、制御部91は、位相シフト制御信号を生成する。この位相シフト部制御信号は、例えば、DC電圧である。低周波信号発生部92は、低周波信号を生成する。低周波電圧信号の周波数(f0)は、データX、Yのシンボルレートに対して十分に低い。重畳部93は、位相シフト制御信号に低周波信号を重畳する。したがって、位相シフト部11、21には、低周波信号が重畳された位相シフト制御信号が与えられる。そうすると、位相シフト部11、21により提供される位相は、低周波信号の周波数で変動する。この結果、変調器10、20の出力光パワーのAC成分も、低周波信号の周波数で変動する。
【0078】
受光器(PD)94X、94Yは、それぞれ、変調器10、20の出力光を電気信号に変換する。ここで、受光器94X、94Yは、変調器10、20に内蔵されていてもよいし、変調器10、20の外に設けられてもよい。切替部95は、制御部91からの指示に応じて、受光器94X、94Yにより得られる電気信号を選択する。ローパスフィルタ96は、切替部95により選択された電気信号の高周波成分(例えば、シンボル周波数)を除去する。AC成分抽出部97は、上記電気信号のDC成分を除去する。AC成分パワー検出部98は、上記フィルタリングされた電気信号のAC成分パワーを検出する。このとき、AC成分パワー検出部98は、f0成分を含んでいる。
【0079】
制御部91は、AC成分パワー検出部98の出力信号に含まれるf0成分を利用して、AC成分パワーが極小になるように、位相シフト制御信号を生成する。このとき、変調器10の位相シフト部11を制御するときは、切替部95は、受光器94Xの電気信号を選択する。そして、制御部91は、生成した位相シフト制御信号を位相シフト部11に与える。また、変調器20の位相シフト部21を制御するときは、切替部95は、受光器94Yの電気信号を選択する。そして、制御部91は、生成した位相シフト制御信号を位相シフト部21に与える。
【0080】
図14に示す構成では、位相シフト部11、21を制御するために、ローパスフィルタ96、AC成分抽出部97、AC成分パワー検出部98が共用されている。これに対して図15に示す構成では、位相シフト部11を制御するために、ローパスフィルタ96X、AC成分抽出部97X、AC成分パワー検出部98Xが設けられ、位相シフト部21を制御するために、ローパスフィルタ96Y、AC成分抽出部97Y、AC成分パワー検出部98Yが設けられている。なお、図14および図15に示す構成において、制御手順は基本的に互いに同じである。
【0081】
なお、図14および図15に示す制御部91は、第1〜第4の実施例の制御部55の機能の一部として実現されてもよい。また、図14および図15に示す受光器94X、94Yは、他の目的(例えば、変調器10、20のバイアス制御)のために設けられている受光器を利用するようにしてもよい。
【0082】
図16に示す構成では、偏波多重光信号を利用して位相シフト部11、21がフィードバック制御される。この構成では、制御部55が位相シフト制御信号を生成することができる。すなわち、制御部55は、位相シフト部11、21を制御する機能、および偏波間のパワーバランスを制御する機能の双方を備えるようにしてもよい。
【0083】
次に、光信号送信装置がデータを送信している期間に、X偏波およびY偏波のパワーバランスを定期的または継続的に制御する方法について説明する。
上述の実施例では、光信号送信装置がデータを送信していない期間に、X偏波およびY偏波のパワーバランスが調整される。そして、光信号送信装置は、パワーバランスが調整された後に、データの送信を開始する。しかし、X偏波およびY偏波のパワーバランスは、温度や経年劣化などに起因して変化する。そこで、以下に示す構成では、上述の実施例の方法で得られる制御結果を利用しながら、データの送信中にX偏波およびY偏波のパワーバランスが定期的または継続的に制御される。なお、以下の説明では、光信号送信装置が受信局へデータを送信していない期間に行われる制御を「オフライン制御」と呼び、光信号送信装置が受信局へデータを送信している期間に行われる制御を「オンライン制御」と呼ぶことがある。
【0084】
図17は、オンライン制御を行う光信号送信装置の構成を示す図である。図17に示す光信号送信装置の構成は、この実施例では、基本的に、図3に示す第1の実施例と同じである。すなわち、光信号送信装置は、受光器51、AC成分抽出部52、ローパスフィルタ53、AC成分パワー検出部54、制御部101を備えている。制御部101は、第1の実施例の制御部55により提供される制御機能を備える。なお、オンライン制御を行う光信号送信装置は、第2〜第4の実施例の構成にも適用することができる。
【0085】
この光信号送信装置は、変調器10、20から出力される光変調信号X、Yの光パワーに基づいて、X偏波およびY偏波のパワーバランスを制御することもできる。すなわち、受光素子111は、例えばフォトダイオードであり、変調器10により生成される光変調信号Xを電気信号に変換する。ここで、変調器10は、1組の互いに相補的な光信号を出力するものとする。この場合、1組の光信号の一方が偏波ビーム結合器31に導かれ、他方の光信号が受光器111に導かれるようにしてもよい。なお、受光器111は、変調器10に内蔵されてもよい。また、変調器10の出力合波部の漏れ光が受光器111に導かれるようにしてもよい。そして、受光器111の出力信号のDC成分が制御部101に与えられる。なお、受光器111の出力信号のAC成分は、変調器制御部112に与えられる。変調器制御部112は、例えば、変調器10のバイアスを制御する。この場合、変調器制御部112は、ABC(Auto Bias Control)回路として動作する。
【0086】
受光器121は、変調器20により生成される光変調信号Yを電気信号に変換する。そして、受光器121の出力信号のDC成分が制御部101に与えられる。また、受光器121の出力信号のAC成分は、変調器制御部122に与えられる。
【0087】
制御部101には、上述のように、受光器111、121の出力信号が与えられる。ここで、受光器111、121の出力信号は、変調器10、20の平均出力光パワーに相当する。したがって、受光器111、121の出力信号の差分は、X偏波およびY偏波のパワー差を表すパラメータとなり得る。すなわち、受光器111、121の出力信号の差分をゼロにする制御を行えば、X偏波およびY偏波のパワー差は小さくなる。
【0088】
しかし、この方法では、光パワーの調整点(例えば、変調器10、20、光アッテネータ13、23)の出力側で発生する要因を補償することはできない。例えば、受光器111、121の特性が互いに異なっている場合は、受光器111、121の出力信号の差分がゼロに制御されても、偏波多重光信号に含まれるX偏波およびY偏波のパワー差はゼロにならない。また、偏波ビーム結合器31が結合特性のばらつきによっても同様も問題が生じ得る。
【0089】
この問題を解決するために、図17に示す光信号送信装置は、第1制御系(偏波多重光信号を利用する制御系)および第2制御系(光変調信号X、Yを利用する制御系)を備える。そして、制御部101は、図18に示すフローチャートの処理を実行する。
【0090】
ステップS1〜S5は、光信号送信装置がデータを送信していない期間に実行されるオフライン制御である。ステップS1では、第1制御系を利用してX偏波およびY偏波のパワーバランスが制御される。なお、ステップS1では、図2および図3を参照しながら説明したように、以下の手順でパワーバランスが制御される。
(1)位相シフト部11、21の位相は、それぞれ「A−Δφ」「A+Δφ」に設定される。DQPSKにおいては、A=π/2である。また、Δφは、例えば90度である。
(2)互いに同じデータパターンを有する制御データX、Yが変調器10、20に与えられる。
(3)AC成分パワー検出部54により得られるモニタ信号が最小になるように、制御信号C1〜C3の中の1つ以上を生成する。
【0091】
ステップS2では、ステップS1の制御結果(init_adj_1)が所定のメモリ領域に記憶される。記憶される制御結果は、パワー調整要素の設定値である。パワー調整要素は、この実施例では、変調器10、20のバイアス、駆動部12、22の出力振幅、光アッテネータ13、23の減衰量である。また、変調器10、20に対してそれぞれ光源2、3が設けられる場合には、光源2、3の発光パワーもパワー調整要素の1つである。そして、例えば、光アッテネータの減衰量を制御することでX偏波および/またはY偏波のパワーを調整する場合には、光アッテネータの減衰量を制御するための制御電圧を表す情報が記憶される。
【0092】
ステップS3では、第2制御系を利用してX偏波およびY偏波のパワーバランスが制御される。なお、ステップS3では、上述したように、受光器111、121から得られる電気信号(すなわち、光変調信号X、Yのパワー)の差分がゼロになるように、制御信号C1〜C3の中の1つ以上を生成する。このとき、位相シフト部11、21の位相は、それぞれ「A−Δφ」「A+Δφ」であってもよいし、それぞれ最適位相(すなわち、A)であってもよい。また、データX、Yは、互いに同じであってもよいし、互いにことなっていてもよい。ただし、第1制御系と第2制御系との誤差を測定するためには、ステップS1およびS3において同じ条件でパワーバランスの調整が行われることが好ましい。また、ステップS3では、ステップS1と同じパワー調整要素が制御されるものとする。すなわち、ステップS1において光アッテネータが制御された場合には、ステップS3においても光アッテネータが制御される。
【0093】
ステップS4では、ステップS3の制御結果(init_adj_2)が所定のメモリ領域に記憶される。記憶される制御結果は、ステップS2と同じパワー調整要素の設定値である。そして、ステップS5において、ステップS2で記憶したinit_adj_1とステップS4で記憶したinit_adj_2との誤差を表す補正値offsetが所定のメモリ領域に記憶される。このように、ステップS1〜S5においては、第1制御系と第2制御系との間の誤差が測定される。
【0094】
ステップS6〜S7は、光信号送信装置がデータを送信している期間に実行されるオンライン制御である。ステップS6では、まず、ステップS5で記憶した補正値offsetが第2制御系に設定される。1つの実施例においては、制御部55が制御信号C1〜C3を算出する際に参照するメモリ領域に、上記補正値offsetが書き込まれる。
【0095】
ステップS7では、第2制御系が、補正値offsetを利用してパワーバランスを調整する。このとき、位相シフト部11、21は、それぞれ最適位相に制御される。また、データX、Yは、受信局へ送信されるデータストリームである。
【0096】
例えば、オフライン制御において、init_adj_1として「10」が得られ、init_adj_2として「9.3」が得られたものとする。この場合、補正値offsetとして「0.7」が得られる。そうすると、光信号送信装置は、受信局へデータを送信する際に、補正値offsetを利用して第1制御系と第2制御系との間の誤差を補償する。すなわち、例えば、受信局へデータが送信されているときに第2制御系で得られたinit_adj_2が「9.4」であれば、制御部55は、光パワー調整要素を調整するために「10.1(=9.4+0.7)」を出力する。
【0097】
上記手順において、第1制御系は、偏波ビーム結合器31の特性、あるいは受光器111、121の特性の影響を受けることがないので、第1制御系で得られる制御信号の精度は高い。そこで、実施形態の制御方法においては、データ送信時においても得られる第2制御系の測定値を、第1制御系と第2制御系との誤差で補償する。したがって、実施形態の制御方法によれば、常に、X偏波とY偏波とのパワー差を小さく制御でき、良好な伝送品質が得られる。
【0098】
<他の実施形態>
図19は、他の実施形態の光信号送信装置の構成を示す図である。図19に示す光信号送信装置は、この実施例では、偏波多重光信号を生成する構成および第2制御系は、図17に示す構成と同じである。ただし、図19に示す第1制御系は、図17に示す第1制御系とは異なっている。
【0099】
図19に示す光信号送信装置は、受光器131、DC成分検出器132、制御部133を備える。受光器131は、受光器51と同様に、光スプリッタにより分岐された偏波多重光信号を電気信号に変換する。DC成分検出器132は、受光器131により得られる電気信号のDC成分を抽出する。DC成分は、例えば、受光器131からの入力信号を積分または平均化することにより検出される。そして、DC成分検出器132は、検出結果を、偏波多重光信号の平均パワーを表すモニタ信号として出力する。
【0100】
制御部133は、モニタ信号を利用して、X偏波とY偏波とのパワー差を最小化するようにパワー調整要素(変調器10、20のバイアス、駆動部12、22の出力振幅、光アッテネータ13、23の減衰量(光源2、3の発光パワー))を制御する。なお、制御部133は、第2制御系の動作も提供する。
【0101】
図20は、図19に示す制御部133の動作を示すフローチャートである。ステップS11〜S20は、オフライン制御である。なお、この実施形態では、位相シフト部11、21の位相は、オフライン制御においても、最適位相に保持される。すなわち、例えば、DQPSKにおいては、位相シフト部11、21共にπ/2に保持される。また、データX、Yも、互いに同じである必要はなく、送信データはたは任意のデータパターンが入力される。
【0102】
ステップS11では、パワー調整要素を制御することにより、光変調信号X(X偏波)を発光状態に制御すると共に、光変調信号Y(Y偏波)を消光状態にする。パワー調整要素が光アッテネータ13、23である場合は、例えば、光アッテネータ13の減衰量が最小に制御され、光アッテネータ23の減衰量が最大に制御される。このとき、偏波ビーム結合器31から出力される偏波多重光信号は、実質的に、X偏波のみを伝搬する。ステップS12では、DC成分検出器132により検出されるDC成分DC_Xが所定のメモリ領域に記憶される。ここで、偏波多重光信号は実質的にX偏波のみを伝搬するので、DC成分検出器132による検出値(すなわち、DC_X)は、X偏波のパワーを表す。
【0103】
ステップS13では、パワー調整要素を制御することにより、光変調信号X(X偏波)を消光状態に制御すると共に、光変調信号Y(Y偏波)を発光状態にする。上記実施例においては、光アッテネータ13の減衰量が最大に制御され、光アッテネータ23の減衰量が最小に制御される。ステップS14では、DC成分検出器132により検出されるDC成分DC_Yが記憶される。なお、ステップS13〜S14において、偏波ビーム結合器31から出力される偏波多重光信号は、実質的に、Y偏波のみを伝搬する。よって、検出値DC_Yは、Y偏波のパワーを表す。
【0104】
ステップS15では、DC成分DC_XとDC成分DC_Yとの差分を小さくするようにパワー調整要素が制御される。例えば、「DC_X− DC_Y >0」であれば、光アッテネータ13の減衰量を大きくする制御、および/または、光アッテネータ23の減衰量を小さくする制御が実行される。なお、制御部133は、最新のパワー調整要素の設定値を保持しており、ステップS15では、その保持している設定値が更新される。
【0105】
ステップS16では、上記差分と予め決められた閾値とが比較される。この閾値は、十分に小さい値である。すなわち、ステップS16では、DC成分DC_XとDC成分DC_Yとの差分がほぼゼロに収束したか否かが判定される。上記差分が閾値よりも大きければ、ステップS11に戻る。すなわち、上記差分が閾値よりも小さくなるまで、ステップS11〜S15が繰り返し実行される。そして、上記差分が閾値よりも小さくなると、ステップS17において、更新されたパワー調整部の設定値init_adj_1が所定のメモリ領域に記憶される。
【0106】
続いて、ステップS18〜S19において、第2制御系を利用してX偏波およびY偏波のパワーバランスが制御される。この処理は、図18に示すステップS3〜S4と同じである。すなわち、第2制御系において得られる設定値init_adj_2が記憶される。
【0107】
ステップS20では、ステップS17で記憶したinit_adj_1とステップS19で記憶したinit_adj_2との誤差を表す補正値offsetが所定のメモリ領域に記憶される。このように、ステップS11〜S20において、第1制御系と第2制御系との間の誤差が測定される。
【0108】
ステップS21〜S22は、オンライン制御であり、基本的に、図18に示すステップS6〜S7と同じである。すなわち、ステップS20で記憶した補正値offsetが第2制御系に設定される。そして、第2制御系が、上記補正値offsetを利用してパワーバランスを調整する。このように、図19〜図20に示す構成および方法では、X偏波およびY偏波のパワーバランスを調整するために、位相シフト部の位相を変える必要はなく、また、データX、Yとして特定のデータパターンを使用する必要もない。
【0109】
なお、上記オフライン制御は、例えば、通信システムの初期設定時、あるいはWDMシステムにおいて波長が切り替えられる際に実行される。また、上記オンライン制御は、例えば、定期的に繰り返し実行される。或いは、所定の条件下(例えば、光信号送信装置の温度が変化したとき)で上述のオンライン制御を実行するようにしてもよい。
【0110】
また、上記説明では、主にQPSK(DQPSKを含む)信号を送信する構成を示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、実施形態の光信号送信装置は、他の方式の光変調信号を送信するようにしてもよい。
【0111】
さらに、実施形態の光信号送信装置により生成される偏波多重光信号を受信する受信器の構成または方式は、特に限定されるものではなく、例えば、デジタルコヒーレント受信であってもよいし、干渉計を用いる直接受信であってもよい。
【0112】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、
前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御する位相制御部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するパワー制御部、を有し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記2)
付記1に記載の光信号送信装置であって、
前記パワー制御部は、前記偏波多重光信号のAC成分の平均を小さくするように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記3)
付記1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、光信号を変調するための駆動信号を生成するドライバ回路を備え、
前記第1および第2の制御データ信号がそれぞれ前記第1および第2の変調部に与えられるときは、前記ドライバ回路は、それぞれ、前記第1および第2の制御データ信号から対応する駆動信号を生成し、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の駆動信号の振幅を制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記4)
付記1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、電気光学効果を利用して光信号を変調する変調器を備え、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の変調器のバイアスを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記5)
付記1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、光アッテネータを備え、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の光アッテネータを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記6)
付記1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、位相変調器および前記位相変調器に直列的に接続される強度変調器を備え、
各強度変調器は、電気光学効果を利用して光信号を変調する変調器であり、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の強度変調器のバイアスを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記7)
付記1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部に低周波信号を与え、前記偏波多重光信号に含まれている前記低周波信号成分を利用して同期検波を行うことにより、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記8)
第1の光源と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、前記第1の光源により生成される光信号を変調して第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、
第2の光源と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、前記第2の光源により生成される光信号を変調して第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、
前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御する位相制御部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の光源の少なくとも一方を制御するパワー制御部、を有し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記9)
付記1に記載の光信号送信装置であって、
前記第1の変調部から出力される前記第1の光変調信号の光パワーを表す第1のモニタ値を得る第1のモニタ部と、
前記第2の変調部から出力される前記第2の光変調信号の光パワーを表す第2のモニタ値を得る第2のモニタ部、をさらに備え、
前記位相制御部は、前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の送信データ信号により駆動されるときに、前記第1および第2の位相シフト部による位相差を前記Aに制御し、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の送信データ信号により駆動されるときに、前記第1および第2のモニタ値が互いにほぼ同じになるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する制御信号を、前記第1および第2の制御データ信号の使用時に前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて得られる制御結果に応じて補正する
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記10)
付記1〜9のいずれか1つに記載の光信号送信装置であって、
前記Aは、前記第1および第2の変調部の変調方式に応じて決まる最適位相である
ことを特徴とする光信号送信装置。
(付記11)
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の制御データ信号を生成し、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに生成される前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。
(付記12)
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
第1の期間に、
前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の制御データ信号を生成し、
前記偏波多重光信号のAC成分が最小化されるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、
前記第1および第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じであり、
第2の期間に、
前記第1および第2の位相シフト部による位相差をそれぞれ前記Aに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の送信データ信号を生成し、
前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。
(付記13)
第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
第1の期間に、
前記第1の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーと前記第2の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーとの差分をほぼゼロにするように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、
前記第1の光変調信号の光パワーおよび前記第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成し、
第2の期間に、前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。
【符号の説明】
【0113】
1、2、3 光源(LD)
10、20 変調器
11、21 位相シフト部
12、22 駆動部
13、23 光アッテネータ
31 偏波ビーム結合器
41 制御データ生成部
51 受光器
52 AC成分抽出部
53 ローパスフィルタ
54 AC成分パワー検出部
55 制御部
61、71 RZ光変調器
101 制御部
111、121、131 受光器
132 DC成分検出器
133 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、
前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御する位相制御部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するパワー制御部、を有し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光信号送信装置であって、
前記パワー制御部は、前記偏波多重光信号のAC成分の平均を小さくするように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、光信号を変調するための駆動信号を生成するドライバ回路を備え、
前記第1および第2の制御データ信号がそれぞれ前記第1および第2の変調部に与えられるときは、前記ドライバ回路は、それぞれ、前記第1および第2の制御データ信号から対応する駆動信号を生成し、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の駆動信号の振幅を制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、電気光学効果を利用して光信号を変調する変調器を備え、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の変調器のバイアスを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、光アッテネータを備え、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の光アッテネータを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光信号送信装置であって、
前記第1および第2の変調部は、それぞれ、位相変調器および前記位相変調器に直列的に接続される強度変調器を備え、
各強度変調器は、電気光学効果を利用して光信号を変調する変調器であり、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方の強度変調器のバイアスを制御する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項7】
第1の光源と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、前記第1の光源により生成される光信号を変調して第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、
第2の光源と、
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、前記第2の光源により生成される光信号を変調して第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、
前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御する位相制御部と、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに、前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の光源の少なくとも一方を制御するパワー制御部、を有し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光信号送信装置であって、
前記第1の変調部から出力される前記第1の光変調信号の光パワーを表す第1のモニタ値を得る第1のモニタ部と、
前記第2の変調部から出力される前記第2の光変調信号の光パワーを表す第2のモニタ値を得る第2のモニタ部、をさらに備え、
前記位相制御部は、前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の送信データ信号により駆動されるときに、前記第1および第2の位相シフト部による位相差を前記Aに制御し、
前記パワー制御部は、前記第1および第2の変調部がそれぞれ第1および第2の送信データ信号により駆動されるときに、前記第1および第2のモニタ値が互いにほぼ同じになるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する制御信号を、前記第1および第2の制御データ信号の使用時に前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて得られる制御結果に応じて補正する
ことを特徴とする光信号送信装置。
【請求項9】
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の制御データ信号を生成し、
前記第1および第2の変調部がそれぞれ前記第1および第2の制御データ信号により駆動されるときに生成される前記偏波多重光信号のAC成分に基づいて、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じである
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。
【請求項10】
1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第1の位相シフト部を備え、第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、1組の光パスおよび前記1組の光パスに位相差を与える第2の位相シフト部を備え、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
第1の期間に、
前記第1の位相シフト部による位相差をA−Δφに制御すると共に、前記第2の位相シフト部による位相差をA+Δφに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の制御データ信号を生成し、
前記偏波多重光信号のAC成分が最小化されるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、
前記第1および第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成し、
前記第1の制御データ信号のデータパターンは、前記第2の制御データ信号と同じであるか、或いは、前記第2の制御データ信号の逆相と同じであり、
第2の期間に、
前記第1および第2の位相シフト部による位相差をそれぞれ前記Aに制御し、
前記第1および第2の変調部の駆動信号としてそれぞれ第1および第2の送信データ信号を生成し、
前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。
【請求項11】
第1の光変調信号を生成する第1の変調部と、第2の光変調信号を生成する第2の変調部と、前記第1および第2の光変調信号を結合して偏波多重光信号を生成する結合部、を有する光信号送信装置において、前記偏波多重光信号を制御する方法であって、
第1の期間に、
前記第1の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーと前記第2の変調部を消光したときに得られる前記偏波多重光信号の光パワーとの差分をほぼゼロにするように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第1の制御パラメータを生成し、
前記第1の光変調信号の光パワーおよび前記第2の光変調信号の光パワーが互いにほぼ同じになるように、前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御するための第2の制御パラメータを生成し、
第2の期間に、前記第1の制御パラメータと前記第2の制御パラメータとの誤差に基づいて前記第2の制御パラメータを補正し、その補正された第2の制御パラメータで前記第1および第2の変調部の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする偏波多重光信号の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図12】
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【図18】
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【図20】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−28087(P2011−28087A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175212(P2009−175212)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人情報通信研究機構、「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】