説明

光合成有機体を成長させる方法

光合成有機体を成長させる方法において、化石燃料発電所からの排ガスを有機体に提供するステップを具え、ガスは前もって脱硫処理されている。排ガスの二酸化炭素(CO)は、発電所から放出される二酸化炭素濃度を超えて上昇する。さらに、化石燃料発電所からの排ガスを前記微小藻類に提供することによって、微小藻類を成長させるステップを具える、ω脂肪酸およびバイオ燃料を生成する方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所からの排ガス(flue gas)中にある二酸化炭素の光合成有機体によるバイオコンバージョンに関する。
【背景技術】
【0002】
近い将来および将来の両方で、最も関心のある環境問題の1つは、特に二酸化炭素(CO)など、空気中の温室効果ガスの劇的な上昇である。大気の二酸化炭素濃度は、産業革命以来、着実に増えている。産業革命以前、大気の二酸化炭素濃度は約280ppmだったが、1959年には315ppm、2001年には370ppmに上昇していることが広く認められている。上昇する二酸化炭素濃度は、地球温暖化を引き起こす温室効果の半分を占めると報告されている。人間の活動による二酸化炭素排気量は、自然界のサイクルで交換される二酸化炭素量に比べると小さいが、大気中での二酸化炭素の長い寿命(50−200年)と、天然の二酸化炭素の隔離(seequestration)プロセスの速度が低いこととの間の不一致によって、大気中に二酸化炭素が蓄積することとなる。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「証拠を比較検討(balance)すると、地球の気候に関する人為的影響が識別可能である」と考えている。従って、二酸化炭素の排出を抑制するための費用対効果の高い二酸化炭素管理スキームを開発する必要がある。
【0003】
これらのガスの主な供給源は、自動車の排気や化石燃料燃焼型発電所の排ガスである。大気中に排気されるガス中の二酸化炭素量を低減する方法を発見するために、ここ20年間で徹底した研究が行われている。予想される二酸化炭素管理スキームの大半は、二酸化炭素の分離、移動、隔離の3つの部分からなる。二酸化炭素の分離および圧縮(液体状態で二酸化炭素を移動するための)コストは、二酸化炭素1トンあたり30−50ドルになると見積もられ、移動および隔離は、二酸化炭素1トンあたり約25ドルかかる。現在の二酸化炭素隔離技術と関連する巨額の費用は、経済的代案の展開を必要としている。
【0004】
歴史的に、二酸化炭素の分離は、原油増進回収法(enhanced oil recovery)がきっかけであった。現在、石灰岩焼成、アンモニアおよび水素生成物の合成などの産業プロセスは、二酸化炭素分離を必要としている。吸収プロセスは、SelexolおよびRectisol、MEAおよびKS−2などの物理および化学的溶媒を使用する。吸収システムは、吸収性材料のベッドに二酸化炭素を捕獲する。二酸化炭素は、低温で凝縮することで他のガスから分離可能である。ポリマ、パラジウムなどの金属、および、分子篩は、膜ベースの分離法について評価される。
【0005】
大気中の二酸化炭素濃度の上昇および地球規模の気候変動におけるその影響に対する関心が、二酸化炭素排気を低減する認識および研究調査を増大させている。二酸化炭素の低減方法のほとんどは、濃縮形態の二酸化炭素を必要とするが、石炭燃焼発電所からの二酸化炭素は、窒素、水蒸気、酸素および他の不純物と混合しており、約12−15%の低濃度である。従って、濃縮形態で排ガスから二酸化炭素を捕獲することは、提案されている多様な隔離方法を進展するための重要なステップである。
【0006】
発電所の排ガスから二酸化炭素を隔離するための、最も検討された方法の1つは、光合成によって、二酸化炭素と太陽エネルギをバイオコンバージョンでバイオマスにすることである。発電所の二酸化炭素排気のバイオコンバージョンは、地中海諸国など、太陽の活動が活発な諸国で特に効率がよいだろう。西欧では、排ガスが温室効果となるように、天然ガス燃焼型発電所によって供給される場合、二酸化炭素排気は、天候変動の問題となる供給源から農業に適した材料に変換される。化石燃料燃焼型発電所は、海岸または河口付近に設置される場合が多い。光触媒は、陸生(terrestrial)植物よりも藻類(algae)での効率が大幅に高いことが周知であり、太陽エネルギの変換効率は9−10%に達する。微小藻類は、石炭燃焼型火力発電所によって排出される排ガスから二酸化炭素を固定するのに使用されている。クロレラ種は、上記条件下で成長することがわかっている(Maeda、K;Owada,M;Kimura,N;Omata,K;Karube,I;微小藻類による石炭燃焼型火力発電所の排ガスからの二酸化炭素固定、第2回二酸化炭素除去国際会議の議事録、1995年、エネルギ変換および管理、V.36、no.6−9、p717−720)。
【0007】
米国特許第4,398,926号、第4,595,405号、第4,681,612号、および第7,153,344号は、ガスから不純物を除去する方法を開示している。
【0008】
WO2007/011343は、光合成有機体の少なくとも1の種を具えた液体培地を含有する光バイオリアクタ装置を開示している。この装置は、燃料精製システムの一部として、または、ガス処理装置中で使用され、ガス流から好ましくない汚染因子を除去する。
【0009】
農作物、農業および林業の残り分(収穫物および回収物)、エネルギー穀物(草、藻類および樹木)および動物の排泄物形態のバイオマスは、熱化学前処理、酵素加水分解、発酵、燃焼/共燃焼、ガス化/触媒、ガス化/発酵または熱分解によって、燃料(バイオエタノール/バイオディーゼル/バイオガス)、動力(電気および熱)、および、化学物質(有機酸、フェノール類/溶媒、化学物質中間体、プラスチック、塗料および染料)に変換可能である。
【0010】
オメガ−3脂肪酸およびその対応物、n−6脂肪酸は、必須のポリ不飽和脂肪酸(PUFA)であるのは、それらが、体内では新規に合成されないからである。18−炭素n−3必須脂肪酸(リノレン酸[LNA])の主な供給源は、アマニ、大豆、カノーラ(canola)、小麦麦芽、および、クルミ油である。リノール酸(LA)、18炭素n−6必須脂肪酸は、ベニバナ、コーン、大豆および綿実油にみられ;肉製品は、LCn−6脂肪酸、アラキドン酸(AA)(C20:4n−6)の供給源である。C20およびC22−PUFAの供給源は、魚および魚油である。
【0011】
植物由来のC(炭素数)18のPFUAは、より長い鎖、より代謝活性のある形態:AA、エイコサペンタエン酸(EPA)(C20:5n−3)、および、ドコサヘキサエン酸(DHA)(C22:6n−3)に変換可能である(効率的ではないが)。n−3およびn−6脂肪酸の変換は、同一酵素プールを使用する。AAおよびEPA、両方ともC20脂肪酸は、多種多様なエイコサノイドの前駆体である。多くの研究は、AAおよびEPA由来のプロスタグランジン、トロンボキサン、および、ロイコトリエンに着目している。AAは、活性の高いエイコサノイドの有名な前駆体であり、EPAは、代謝活性の低いエイコサノイドの前駆体である。AAおよびEPAは、細胞の膜リン脂質二重層に存在する。AAは、シリーズ2プロスタグランジンおよびトロンボキサン、ならびにシリーズ4ロイコロトリエンの前駆体である。AAから代謝されたシリーズ2および4エイコサノイドは、燃焼(inflammation)を促進し、血管収縮神経薬(vasoconstrictor)として作用することができ、血小板凝集を刺激し、体内でエイコサノイドが活性化されるところに依存する潜在的な化学毒性剤である。EPAは、シリーズ3プロスタグランジンおよびトロンボキサンならびにシリーズ5ロイコトリエンの前駆体である;これらは、シリーズ2および4の対応物よりも潜在能力が低く、血管拡張神経薬および抗凝集薬として作用する。EPAは、抗炎症薬と考えられる。
【0012】
DHAは、C22脂肪酸であり、従って、エイコサノイドに直接変換されない;しかしながら、DHAは、EPAに逆変換可能である。DHAは、有名な細胞膜の脂肪酸であり、全ての組織に存在し、神経(ヒトの脳の60%は、主としてDHAであるPUFAから構成される)および網膜組織中に豊富にあり、視覚および神経の発達に必須である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、化石燃料発電所からの排ガスを用いて光合成有機体を成長させる方法を提供する。
【0014】
本発明の第1の態様において、光合成有機体を成長させる方法は、化石燃料発電所からの排ガスを光合成有機体に提供するステップを具え、ガスは脱硫処理される。
【0015】
本発明のこの態様の好適な実施例においては、排ガスの二酸化炭素(CO)濃度が、発電所から放出されるときのCO濃度を超えて上昇する。
【0016】
本発明の第2の態様において、光合成有機体を成長させる方法は、化石燃料発電所からの排ガスを前記光合成有機体に提供するステップを具え、前記排ガスの二酸化炭素濃度は、発電所から放出されるときの二酸化炭素濃度を超えて上昇する。
【0017】
化石燃料は、石炭(例えば、亜炭)、石油(油)、天然ガス、バイオマスなど各種化石燃料でもよい。石油の例としては、原油、軽油および重油を含む。好適な実施例においては、化石燃料は石炭である。本発明の方法に使用され得る各種石炭の非限定的な例は、南アフリカ、TCOA;南アフリカ、KFT;南アフリカ、Amcoal;南アフリカ、Glencore;南アフリカ、Middlegurg;オーストラリア、Ensham;オーストラリア、Saxonvale;オーストラリア、MIM;コロンビア、Carbocol;コロンビア、Drummond;インドネシア、KPC;南アフリカ、Anglo;Consol、USA;およびオーストラリア、Warkworthを含む。
【0018】
用語「脱硫」は、ガス混合体から二酸化硫黄(SO)を除去する方法を含む。脱硫は、時には、「排ガス脱硫(FGD)」として呼ばれており、化石燃料発電所から放出された排気ガスからSOを除去するのに使用される現状の当分野の技術が多数ある。FGD方法の例としては、(1)ガスを洗浄するために、石灰岩または石灰など吸着剤のスラリを用いた湿式洗浄(scrubbing);(2)同様の吸着剤スラリを用いたスプレ−乾式洗浄;および(3)乾式吸着剤インジェクションシステムを含む。好適な実施例においては、FGDが湿式洗浄によるものである。
【0019】
化石燃料発電所から放出される排ガス(スタックガスと呼ばれる)は、通常、二酸化炭素および水蒸気、ならびに、吸気用燃焼空気から残った窒素および過剰な酸素から構成される。さらに、これは、特定の物質、一酸化炭素、酸化窒素、酸化硫黄、揮発性有機化合物(VOC)およびガス相のごく少量の重金属など、小さな割合の汚染物質を含む可能性がある。石炭燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度は、一般的に、12−16%である。全てのパーセントは、他に特段の指示がなければ、Vol/Vol(体積)である。
【0020】
本発明の方法によれば、排ガスの二酸化炭素濃度は、発電所から放出される二酸化炭素濃度を超えて上昇する。一実施例においては、排ガスの二酸化炭素濃度は、発電所から放出されるときの二酸化炭素濃度を超えて大幅に上昇する。用語「大幅に上昇」は、少なくとも1.5倍(50%)、好ましくは少なくとも2倍(100%)、より好ましくは少なくとも3または4倍(200−300%)、さらに好ましくは少なくとも5または6倍(400−500%)の上昇を意味する。上昇した二酸化炭素濃度の範囲は、17−22%、23−27%、28−35%または36−50%でもよい。各々の特別な場合においては、二酸化炭素濃度の上昇する利点は、そのコストとバランスしていなければならない。
【0021】
排ガスの二酸化炭素濃度は、当分野の平均的な技術者に十分に周知な多数の従来の方法によって上昇(または分離)可能である。一実施例においては、分離は膜を使用して行われる。米国特許第4,398,926号は、透過膜を使用して、高圧流からの水素分離を教示している。米国特許第4,681,612号は、埋立地(landfill)ガスの分離を扱っており、低温カラムでの不純物及び二酸化炭素の除去を開示している。メタンは、次いで、膜処理によって分離される。膜の温度は、80°Fである。米国特許第4,595,405号も、低温分離ユニットと膜分離ユニットを組み合わせている。膜ユニットは、周囲温度またはその付近で機能する。上述した全ての特許の内容は、参照することによって本明細書に組み込むものとする。
【0022】
別の実施例においては、二酸化炭素濃度は、炭素分子篩膜を用いて上昇する。炭素分子篩膜は中空の繊維タイプでもよい。このような二酸化炭素分離のための分子篩膜などの使用例は、米国特許第7,153,344号に開示されており、その全内容は、参照することによって本明細書に組み込むものとする。本発明の一実施例における分離方法を用いた一例は、以下に記載する。
【0023】
本発明の態様の一実施例においては、二酸化炭素濃度を上昇させるシステムは、FGD処理したガスから水を除去するための、低圧予備凝縮タンクを具える。
【0024】
別の実施例においては、このシステムは、膜が適用される場合、膜保護用の硫黄および/または酸化窒素を低減するための、特定の活性化炭素を有するタンク(フィルタ)を具える。
【0025】
更なる実施例においては、このシステムは、制御装置、バルブ、パイプ、器具および速度制御設備の1又はそれ以上を有する圧縮機ステーションを具える。
【0026】
更なる実施例においては、このシステムは、凝縮体の回収および排出設備を設置した高圧凝縮タンクを具える。
【0027】
更なる実施例においては、このシステムは、ブースター圧縮器、膜モジュール、制御設備および器具の1又はそれ以上を含む膜ユニットを具える。
【0028】
別の実施例においては、このシステムは、ガスレシーバタンクを具える。
【0029】
別の実施例においては、このシステムは、微小藻類ポンド(pond)に二酸化炭素リッチなガスを分散するための、多孔性エアレーション装置などエアレーション装置(アトマイザとして周知)を具える。このような装置は、KREAL社によって製造される。
【0030】
更なる実施例においては、このシステムは、藻類ファーム(farm)に上記凝縮体を供給する個々のパイプラインと、ポンドに亘って分散するシステムとを具える。
【0031】
潜在的能力を有するように見える2つの膜機能は、ガス分離およびガス吸収である。二酸化炭素は、ガス分離膜およびガス吸収膜の補助を有する各プロセスによって除去される(モノエタノールアミン(MEA)との選択的組み合わせ)。使用され得るガス分離膜の例は、ポリフェニレンオキシドおよびポリジメチルシロキサンである。前者は、優れたCO/N分離特性を有し(ガス流中の二酸化炭素濃度が極めて低い)、費用は、約150米国ドル/mである。300米国ドル/mの後者は、CO/Oセパレータである。ガス吸収膜について、多孔性ポリプロピレンを使用してもよい。
【0032】
本発明の方法に使用される光合成有機体は、好ましくは微小藻類である。微小藻類は、水中に懸濁され、通常成長する微細な植物であり、光合成を行い、これにより、水、二酸化炭素および日光を酸素とバイオマスに変換する。本発明の実施例においては、藻類は、海洋性の微小藻類または植物性プランクトンであり、すなわち、これらは、海水または塩水で成長する。海洋性微小藻類の例としては、珪藻類(Bacillariophyta)、渦鞭毛虫(Dinophyta)、緑色藻類(Chlorophyta)および青緑藻類(Cyanophta)を含む。他の微小藻類は、種Phaeodactylum、Isochrysis、Monodus、Porphyridium、Spirulina、Chlorella、Botryococcus、Cyclotella、NitzschiaおよびDunaliellaの1又はそれ以上である。別の実施例においては、海洋性微小藻類は、Bacillariophyta綱(class)由来のものであり、好適な実施例においては、Skeletonema目(order)由来のものである。別の実施例においては、海洋性微小藻類は、綱Eustigmatophytes由来のものであり、好適な実施例においては、Nannochloropsis種、目、由来のもである。さらなる実施例においては、海洋性藻類は、綱Chlorophyta由来のものであり、好適な実施例においては、Chlorococcum、Dunaliella、Nannochloris、および、Tetraselmis種由来のものである。
【0033】
海洋性微小藻類は、ω(オメガ)3脂肪酸の供給源である。微小藻類は、液体中に広範囲の脂肪酸を含む。特に重要なのは、必須ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)、ω6−リノール酸(C18:2)およびω3−リノレン酸(C18:3)および高度ポリ不飽和ω3脂肪酸、オクタデカテトラエン酸(C18:4)、エイコサペンタエン酸(EPA,C20:5)およびドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6)の有意な量の存在である。さらに、微小藻類は、バイオディーゼルおよびバイオエタノールなど、バイオ燃料の供給源として機能する。
【0034】
従って、本発明の更なる態様は、次の方法を含む:
・化石燃料発電所からの排ガスを微小藻類に提供することによって微小藻類を成長させるステップと、微小藻類からω脂肪酸を分離するステップとを具えるω脂肪酸を生成する方法。
・化石燃料発電所からの排ガスを微小藻類に提供することによって微小藻類を成長させるステップと、微小藻類からバイオ燃料を分離するステップとを具える、バイオディーゼルおよびバイオエタノールなどバイオ燃料を生成する方法。
【0035】
本発明の別の態様は、培地から特にSkeletonemaなど、微小藻類を回収する方法に関し、微小藻類は、化石燃料発電所からの排ガスを使用して成長する。このような微小藻類は、自動凝集および沈降することが明らかになった。
【0036】
スタックガスにより集中したリッチな二酸化炭素で微小藻類を培養することは、太陽エネルギを有用なバイオマスに変換することと、発電所の炭素エミッションの軽減との双方に効率的な方法である。培養効率を上げるために、日光を最大限に藻類に当て(混合しながら)、二酸化炭素の供給源として化石燃料燃焼型発電所燃料ガスを使用しなくてはならない。
【0037】
混合は、種々の波生成装置(wave maker)によって形成された、ポンド(pond)における波生成によって行われる。
【0038】
排ガスは、安価で大量の二酸化炭素供給源であるが、二酸化炭素濃度が低いことおよび液化するための難しさは、これら排ガスの用途を制限する。純粋な二酸化炭素と比較した排ガスの使用の不利な点は、大量のガスを供給し、分散する必要性があることである;上記ポンドが発電所スタックから所定の距離に設置される場合、この安価な二酸化炭素供給源を利用することの利点が再考されるべきである。このような問題は、培養部位への排ガス流の二酸化炭素濃度を相当上昇可能な膜技術の応用によって解決可能である。水頭損失を低くした海水ポンド中へのガスの効率的な分散は、ディフューザの応用によって実現可能である。
【0039】
本発明のさらなる態様は、培地から微小藻類を回収する方法に関する。この方法は、化石燃料発電所から排ガスを用いて微小藻類を成長させるステップを具え、ガスは脱硫によって分離され、さらにこの方法は、微小藻類を沈殿させるステップと、沈殿した微小藻類を培地から回収するステップとを具える。
【0040】
好適な実施例においては、微小藻類はSkeletonemaである。
【0041】
本発明の更なる態様においては、微小藻類を具える水性培地から、原性動物汚染因子を除去する方法を提供し、培地は第1のpH値を有する。この方法は、培地のpHを、所定時間、第2のpH値まで、あるいは、それ以下に低下させるステップと、これに続いて、pHを第1のpH値まで回復させるステップとを具える。
【0042】
好適な実施例においては、第2のpH値は、pH3.5、3.0、2.5、2.0、1.5および1.0から選択される。別の好適な実施例においては、所定時間は、2、1.5、1.0および0.5時間から選択される。更なる好適な実施例においては、微小藻類は、Nannochloropsis、ChlorococcumおよびNannochlorisから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明を理解し、本発明が実際にどのように実施されるかをみるために、添付の図面を参照しながら、例示のみを目的とする好適な実施例を以下に記載する。
【図1】図1は、本発明の方法の一実施例を示すフローダイアグラムである。
【図2】図2は、FGDプロセスを例示する概略図である。
【図3】図3は、排ガス中の二酸化炭素濃度を上昇させるためのプロセスの一実施例を示す概略図である。
【図4】図4は、分子篩タイプの中空炭素繊維フィルタの作用を示す概略図である。
【図5】図5は、フィルタを通る各種ガスの動きを示している図4のフィルタの側断面図である。
【図6】図6は、距離およびコストの関数として、藻類ファームへの二酸化炭素供給オプションを示すグラフである。
【図7】図7は、下記の藻類中の総脂肪酸の%として、PUFAアラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の平均濃度を示す棒グラフである:Chlorphyte(CHLOR)、Prasinophyte(PRAS)、Cryptophyte(CRYPT)、Diatoms(DIAT)、Rhodophyte(RHOD)、Eustigmatophyte(EUST)、Prymnesiophyte−Pavlova spp.(PYRM−1)およびPrymnesiophyte−Isochrysis sp、(PYRM−2)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の方法は、Israel Electric Co.(IEC)のRuthenberg発電所(Ashkelon、Israel)で構築された設備を参考にして例示する。しかしながら、これは、本発明の例示的な実施例のみであり、他の実施例も当分野の当業者には明らかであろう。
【0045】
本発明の方法の全体像
図1は、本発明の方法に関する大まかな全体像を提供する。(石炭ベースの)発電所で生じた排ガスは、スモークスタック20を介して大気中に放出される前に、通常、FGD(湿式洗浄(scrub))を受ける。本発明の方法の実施例によれば、排ガスは、凝縮タンク22、ブロワー24および後段冷却器25を介してスタックから微小藻類ポンド26へと分流される。FGDプロセスの例は、図2に示されている。FGDプロセス(石膏ベース)は、約600ppmから60ppm未満に、すなわち90%、SOを低減する。
【0046】
図3は、Rutenberg発電所に設置された実験的二酸化炭素濃縮システムのスキームを示す。
【0047】
排ガス(1)は、冷却器(2)で冷却され、ミスト除去器(3)と、特定の活性化炭素EcoSorb(登録商標)粒子を含み、NOとSOを吸収するフィルタ(4)とを通過する。その後、レシーバタンク(6)と乾燥ガス(7)とともにコンプレッサ(5)によって圧力が上昇する。圧力(8bar)は、圧力レギュレータ(8)によって制御され、圧力計(9)によって測定される。フローは、ニードルバルブ(10)によって制御され、ロタメータ(rotameter)(11)によって測定される。ガス分離が、カーボン膜(CMSM)(12)によってなされる。カーボン膜でのフローガスの圧力低下は、約6barである。洗浄され、水分を除去し、濃縮した排ガスは、ガスを微小藻類プールに供給するのに必要な出力圧力を形成可能なコンプレッサによって、パイプラインを介して送出される。
【0048】
膜を用いた分離
膜分離法は、二酸化炭素選択性の高さ、達成されるフラックス(flux)および好ましいプロセスの経済的側面により、発電所の排ガスなど純度の低い供給源から特に二酸化炭素を確実に分離する。多孔性の膜は微小な篩であり、分子の大きさ、または、分子と膜表面との相互作用の強さに応じて、分子を分離することができる。膜孔の大きさおよび表面特性を適宜に選択することによって、膜に亘る二酸化炭素の移動が、窒素および酸素の移動に対して促進されるので、これにより、効率的な二酸化炭素分離プロセスとなる。
【0049】
本発明の一実施例によれば、「Carbon Membranes Ltd」(CML)(イスラエル)の好意により提供されたカーボン分子篩膜(CMSM)は、本発明の方法の使用に適していることが分かった。CMLの設計および製造ガス分離システムは、特有の中空繊維カーボン分子篩技術に基づいている。
【0050】
図4および5に示されるように、分子篩は、これにより異なる分子が主に種々の分子寸法に基づいて分離される機構である。ガス混合体30が中空繊維のシェル32に供給されるとき、ガスは、繊維の壁34に沿って流れ、その壁を浸透して内腔(bore)36に入ろうとする。CMSMの独自性は、オングストロームの10分の1の分解度(resolution)となるように、壁のポア(pore)38の大きさを制御する能力にある。従って、実質的にポアの直径全てがガス混合体の大きい分子と小さい分子の寸法間に収まるように、ポア寸法分布が管理されるとき、分離が可能となる。ガス混合体が分子篩40の周囲を流されると、ポア42よりも小さな分子は、繊維壁を容易に通り抜け、ファイバ(繊維)ルーメン中に濃縮される。一方、大きな分子44は、ポアを通過することができず、繊維の外側で濃縮される。このプロセスは、十分な駆動力によってのみ発生し、すなわち、膜の外側の「より早い」ガスの分圧が、常に内側の分圧よりも高くなる必要がある。
【0051】
分離モジュールは、ステンレススチールシェル内で、多数(通常、10,000)の繊維からなる。このモジュールは、フィールド条件に耐えられる耐久性とともに、分離プロセスを最適化するために、供給ガスの最大循環を確実にするように注意深く設計される。
【0052】
分離モジュールは、当該分離モジュールが作動しているシステムと同様の性能となる。潜在的な構成は複数あり:一般的なシステムは、同時並行的に、カスケード的に、または、その両方で、複数のモジュールを作動することを必要とする。分離機構の鍵となる分圧差は、システムを最適化するように注意深く制御される。周辺機器は、個人ユーザにとって最適な解決法に至るように選択され、費用と各々選択肢の技術的性能とのバランスをとることができる。
【0053】
実験例I−膜分離
CMSM製造技術の特有の特徴の1つは、膜透過性/選択性の組み合わせを厳密に制御する能力であり、各種用途にそれを調節できることである。この点に関し、この実験で試験された膜は、空気分離についての最適な透過性/選択性の組み合わせに到達するように調製される。
【0054】
以下の結果は、3.4mの活性分離エリアを有する約10,000の中空炭素繊維から構成される一方が開口している(one−end−open)タイプのパイロットモジュールから得られた。
【0055】
浸透測定および空気濃縮実験を、1つのガス:N、O、COおよびSFを用いて行った。(最後のガスを使用して膜の分子篩特性を示した)。これらの実験は、室温、最大5barまでの供給圧力で行った。
【0056】
2つのセットの実験を行った:
・純粋なガスを用いた透過性測定
・空気分離(air separation)
【0057】
炭素繊維が10bar以上の圧力に耐えることができることを考慮すると、このモデルを、適用される圧力がより高い分離プロセスを予測するのに使用することもできる。
【0058】
CMSM膜を使用し、あるいは使用せずFGDシステムによって洗浄される、Ruthenberg発電所IVユニットの排ガス中の二酸化炭素および汚染物質濃度を測定した結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例II−輸送システム
処理した排気ガスを微小藻類培地エリアに送達する輸送システムの一実施例において、以下のコンポーネントを必要とする:
1)二酸化炭素含有ガスを輸送するように構成された主ガスパイプライン;
2)藻類フィールドに近接して配置された主要ガスマニホールド;
3)主ガスパイプラインから主要ガスマニホールドへと二酸化炭素含有ガスを送達するトランクライン;
4)主要ガスマニホールドからポンドまで延在し、二酸化炭素リッチなガスを藻類へと送達する排気ポートを備える複数の第2排気パイプライン。
【0061】
主な商業的検討要件の1つは、二酸化炭素を供給する発電ユニット(Power Unit)と藻類ファーム(Algae Farm)との距離である。この距離は、選択すべきオプションを要求する。輸送される「寄生的(parastic)」ガスの量が大きいほど、使用しなければならないパイプは高価になり、ガス圧縮によるエネルギの消費も多くなる。
【0062】
一方、純粋な二酸化炭素の生成は、モノ−エタノール−アミン(MEA)プラントの構成を含む。
【0063】
以下の計算において、藻類ファームエリアは、1000haであると仮定される。効果的な藻類培養を行うために、100t/時間の二酸化炭素が供給される。
【0064】
可能性のある供給源は以下のものである:
・発電ユニットスタックからのMEA抽出プロセス後の純粋な二酸化炭素。パイプの直径がより小さいので輸送は比較的安価であるが、二酸化炭素分離プラントは、主な投資である。
・FGDプラント後の14.5%の二酸化炭素と部分的な蒸気凝縮体である排ガス供給。
・膜分離手段による50%二酸化炭素の豊富な排ガス組成物。
【0065】
上述した可能性は、発電所と藻類ファームとの間の距離による、輸送される二酸化炭素1トンのコストの範囲を示す図6に要約される。この計算は、表2に要約されたデータに基づいている。
【0066】
【表2】

【0067】
特筆すべきことは、二酸化炭素の濃度が高い排ガス(>90%)を使用することによって、海水ポンド中の有害な汚染物質(SOおよびNOなど)の濃度レベルが、濃度の低い排ガス(<20重量%)が使用されるときよりも大幅に低下することである。Ruthenberg発電所のFGDシステムを用いた実験は、SOおよび他の汚染物質の含有率が、設計値、すなわち製造者の仕様の値よりも大幅に低下する(約200ppmのかわりに約30ppm)ことを示している。
【0068】
FGD前後で測定されたガス量の例示的な結果を下記に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
FGD前後での金属濃度の例示的な結果を以下に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
FGDによって処理された後のガスは、次に、凝縮タンク、送風機および後段冷却器を通過して、藻類ポンドに注入される。一実施例においては、このように処理されたガスのコンポーネントガス濃縮度が測定された。
【0073】
【表5】

【0074】
実施例III−エアレーション
排ガスのポンドへの供給は、エアレーション設備の補助を用いて行われる。
【0075】
エアレーション設備は、エアレーションモジュールとして化学的に安定なポリマ材料から製造される。エアレーション設備の好適な例は、KREALチューブエアレータ(多孔性)である(ロシア特許第32487号)。エアレーションモジュールは、LPP(低圧ポリエチレン)パイプの形態で製造され、その中でエアレータは、ポリアミドT字管(plyamide tee)によって一対で固定される。
【0076】
エアレーションモジュールは、エアレータがプラスチックトリリング(plastic trilling)を介して一対で固定されるLPPパイプ(d=110−160mm)を用いて実施される。モジュール幅は、1.1mであり;エアレータ間のステップは1.5−4mである。エアレータ間のステップを変更することで、最適な二酸化炭素モードが保証されるように広域に亘って放出強度を変更可能である。
【0077】
エアレーションモジュール内でポリマ材料を使用することで、アッセンブリング時間が低減し、エアレータ作動期間が増える。KREAL多孔性エアレータ(d=3mm)は、ポンド内で、微細気泡エアレーションを行う。このような排ガスから二酸化炭素の質量輸送の効率は、穴のあいたパイプからのエアレータよりも3倍高かった。
【0078】
【表6】

【0079】
実施例IV−藻類
本発明の方法に従い藻類を成長させる間に、2つの藻類種が、標準的な培養条件下で通常みられるよりも大幅に高い速度で成長することが予期せずに明らかになった。これらの種は、Skeletonema costatumおよびNannochloropsis sp.だった。FGD後の石炭燃焼排気ガスで成長したNannochloropsisおよびSkeletonemaの平均的な生産性は、約20g×m×日−1であることがわかり、これとは対照的に、純粋二酸化炭素で成長したDunaliellaは4g×m×日−1であった。
【0080】
2005年3月から2006年11月の期間中での成長条件及び特性を、以下に要約する:

Skeletonema costatum
(バイオマックス(bio−max)でのデータ)
藻類バイオマス、0.5−1.5g×L−1
細胞数、ノーカウント
クロロフィルa、15mg×L−1;カロテノイド、3−15mg×L−1
Car/chl、0.3−1.0(濃褐色)
最大でのタービン海水;450,000m/時間、12−35℃
最大でのFGD後の排ガス、CO−431トン/時間、10,344トンCO/日;
培養pH、5−8(IEC排気ガス、pH1)
総溶存炭素(TDC)、IEC排気ガス二酸化炭素で2−5mM
N,P;要求に応じて最適に
Feおよびミネラル、FGDガスによる必須ミネラルの供給。

Nannochloropsis
(バイオマックスでのデータ)
藻類バイオマス、0.5−1g×L−1
細胞数、80−250×10×L−1
クロロフィルa、10−20mg×L−1;カロテノイド、3−5mg×L−1
Car/chl、0.3(濃緑色、highly green、光−阻害を避けるため)
最大でのタービン海水;450,000m/時間、12−35℃
最大でのFGD後の排ガス、CO−431トン/時間、10,344トンCO/日;
ガス水分のpH、約1(IEC排気ガス)
培養pH、約6.5
要求されるTDC、2−5mM
N,P;要求に応じて最適に
Feおよびミネラル、FGDガスによる必須ミネラルの供給。
【0081】
【表7】

【0082】
多くの微小藻類は、一般的にPUFAの供給源であり、特に、ω−3脂肪酸ついては図6にみることができる。Nannochloropsis(図6のEUSTメンバ)は、Skeletonema(図6のDIATのメンバ)と同様に、ω−3脂肪酸の供給源として周知である(例えば、その全体を本明細書に組み込むものとする米国特許第6,140,365号参照)。ω−3脂肪酸は、ヒトの食餌にとても重要なものとして知られており、心臓血管の疾患、炎症、自己免疫疾患および寄生虫病の治療など、種々の治療効果および予防効果がある。
【0083】
本発明の一実施例に従って培養されたNannochloropsisの脂肪酸含有率の分析が行われ、その結果が、表8に示されている。
【0084】
【表8】

【0085】
Nannochloropsisは、例外的に高い割合のEPAを含むことが理解されるであろう(総脂肪酸の25%、乾燥重量(DW)の4%に等しい)。従って、本発明の方法は、ω−3脂肪酸についての供給源として微小藻類を調製するために使用することができる。
【0086】
同様の分析が、本発明の方法に従って培養されたSkeletonemaについて実施された。これらの結果は、表9に示される。
【0087】
【表9】

【0088】
ω−3脂肪酸に加えて、微小藻類は、バイオディーゼルおよびバイオエタノールなどバイオ燃料の供給源であってもよい。以下の結果は、本発明に従って培養された6種の細胞性脂質、タンパク質および炭化水素含有率(DWの%)について得られた。脂質含有量は、バイオディーゼル生成物について重要であり、炭化水素レベルは、バイオエタノール生成物について重要である。
【0089】
【表10】

【0090】
従って、本発明の方法は、バイオディーゼルおよびバイオエタノールなどのバイオ燃料の供給源として、微小藻類を調製するために使用することができることを理解されるであろう。
【0091】
Skeletonemaを回収するとき、Skeletonemaは、遠心分離せずに速やかに沈殿することが明らかになった。本発明の方法に従って成長させた藻類のこのような予期せぬ特性は、大量の培養液の遠心分離ステップを回避できるという点で、藻類を回収するのに重大な利点を与える。これは、回収プロセスにおける大幅な経済的節約を示している。
【0092】
藻類を成長させるとき、汚染因子が増長するのを阻止するために、海水を処理することが重要であることがわかった。この処理は、藻類を加える前、ならびに、藻類の存在しているときの両方で重要であることがわかった。
【0093】
従って、本発明の付加的な側面は、微小藻類を含む水性培地から、特定の原性動物など、汚染因子を除去することである。前記培地は第1のpH値を有し、前記方法は、所定期間、第2のpH値またはそれ以下にpHを低下させるステップと、続いてpHを第1のpH値に戻すステップとを具える。一実施例においては、第2のpH値は、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5および1.0から選択される。別の実施例においては、所定時間は、2、1.5、1.0および0.5時間から選択される。更なる実施例においては、微小藻類はNannochloropsis、ChlorococcumおよびNannochlorisから選択される。
【0094】
以下にあるのは、藻類を加える前のオープンポンドの海水の例示的な処理プロトコルである。
ストック溶液:
次亜塩素酸ナトリウム13%;
チオ硫酸ナトリウム0.76M
工程:
20ppm次亜塩素酸ナトリウムを加える;
継続的に混合しながら、少なくとも1時間培養する;
次亜塩素酸ナトリウムに1:1でチオ硫酸ナトリウムを加える;
継続的に混合しながら少なくとも10分間培養する;
中和を確認するために海水塩素濃度をチェックする。
【0095】
以下にあるのは、Nannochloropsis藻類の存在するオープンポンド中の海水ついての例示的な処理プロトコルである。
塩素処理
ストック溶液:
次亜塩素酸ナトリウム13%;
工程:
60−300有機体−1ppm次亜塩素酸ナトリウムを加える
300−600有機体−2ppm次亜塩素酸ナトリウムを加える
>600有機体−3ppm次亜塩素酸ナトリウムを加える
*光と熱が次亜塩素酸ナトリウムの分解を加速する;従って、日光で処理するのは望ましくない。
*pHが低いほど、消毒効果のある次亜塩素酸の比は高くなる;従って、pHが5−6の範囲の時に処理を行うことが推奨される。
【0096】
pH処理
ストック溶液:
5M HCl;5M NaOH
工程
HClを加えて終濃度を2.5mMとして、ポンドの水のpHを2−3.5にする;
1時間培養する;
NaOHを加えて終濃度を2.5mMとして、もともとのpH値を回復する。
【0097】
当分野の当業者であれば、通常の実験によって上記プロトコルを他の微生物および条件に適応可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成有機体を成長させる方法において、
化石燃料発電所からの排ガスを前記光合成有機体に提供するステップを具え、
前記ガスが脱硫処理されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記排ガスの二酸化炭素(CO)濃度が、前記発電所から放出されるときのCO濃度を超えて上昇することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光合成有機体を成長させる方法において、
化石燃料発電所からの排ガスを前記光合成有機体に提供するステップを具え、前記排ガスのCO濃度が、前記発電所から放出されるときのCO濃度を超えて上昇することを特徴とする方法。
【請求項4】
前記化石燃料が、石炭、石油、天然ガスおよびバイオマスから選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化石燃料が石炭であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記脱硫が、湿式洗浄、スプレー乾式洗浄および乾式吸収剤インジェクションから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO濃度が、1.5、2、3、4、5および6から選択される倍数分、上昇することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記CO濃度が、FGD処理したガス流から水を取り除くための低圧予備凝縮タンクを用いるプロセスによって上昇することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記CO濃度が膜ユニットを用いて上昇することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記膜ユニットが、カーボン分子篩型の膜であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボン分子篩が、中空繊維型であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記CO濃度が、特定の活性化炭素を有するタンク(フィルタ)を用いたプロセスによって上昇することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記排ガスが、硫黄酸化物および/または窒素酸化物を除去するためのフィルタリングシステムを通過することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記CO濃度が、前記膜ユニットの一部として、制御装置、バルブ、パイプ、器具および速度制御設備の1又はそれ以上を有するコンプレッサステーションを用いたプロセスによって上昇することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記CO濃度が、ガスレシーバタンクを用いたプロセスによって上昇することを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記光合成有機体が水の集合体で成長し、前記排ガスが前記水の集合体に分散されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記水が海水であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
エアレーション装置が、前記水の集合体に排ガスを分散するのに使用されることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記エアレーション装置が、多孔性のエアレーション装置であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記排ガスの前処理(pretreatment)中に回収された凝縮体(液体)が、前記排ガスと同時に前記水の集合体に分散されることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記光合成有機体が、微小藻類であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記微小藻類が海洋性微小藻類であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記海洋性微小藻類が、Bacillariophyta、Dinophyta、Chlorophyta、CyanophytaおよびEustigmatophytaから選択されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記海洋性微小藻類が、Skeletonema、Nannochloropsis、Chlorococcum、Dunaliella、NannochlorisおよびTetraselmisから選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ω脂肪酸を生成する方法において、
化石燃料発電所からの排ガスを微小藻類に提供することによって、ω脂肪酸の供給源である微小藻類を成長させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記微小藻類から前記ω脂肪酸を分離するステップを更に具えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
バイオ燃料を生成する方法において、
化石燃料発電所からの排ガスを微小藻類に提供することによって、バイオ燃料の供給源である微小藻類を成長させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記微小藻類から前記バイオ燃料を分離するステップを更に具えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バイオ燃料が、バイオディーゼルまたはバイオエタノールであることを特徴とする請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
培地から微小藻類を回収する方法において、
化石燃料発電所からの排ガスを用いて前記微小藻類を成長させるステップであって、前記ガスは脱硫によって分離される、ステップと、
前記微小藻類を沈殿させるステップと、
前記沈殿した微小藻類を回収するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項31】
前記微小藻類がSkeletonemaであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
微小藻類を含み、第1のpH値を有する水性培地から原性動物汚染因子を除去する方法において、
所定時間、第2のpH値またはそれ以下に培地のpHを低下させるステップと、続いて前記第1のpH値にpHを回復させるステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項33】
前記第2のpHが、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5および1.0から選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記所定時間が、2、1.5、1.0および0.5時間から選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記微小藻類が、Nannochloropsis、ChlorococcumおよびNannochlorisから選択されることを特徴とする請求項32乃至34のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−519926(P2010−519926A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552327(P2009−552327)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000302
【国際公開番号】WO2008/107896
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509248028)シームバイオティック エルティディ. (1)
【Fターム(参考)】