説明

光周波数測定システム

【課題】高速且つ高分解能な光周波数測定を行う。
【解決手段】光周波数コム発生器43により、レーザ光を変調して、レーザ光の周波数を中心周波数とし、変調周波数f+Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムと変調周波数f間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムとを所定時間τ毎に交互に生成し、遅延ファイバ45により所定時間τの時間遅延を与え、+fの周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する検出器48Aからの第1の周波数信号と、光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を第2の検出器48Bからの第2の周波数信号と、−fの周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する第3の検出器48Cからの第3の周波数信号との間の差周波数又は和周波数を周波数カウンタ49により測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の波長における広いスペクトル幅を必要とする光周波数測定システムに関し、特に高速且つ高分解能な光周波数測定を実現するための光周波数測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光周波数を高精度に測定する場合に光周波数コム発生器(Optical Frequency Comb Generator)が使用されている。すなわち、2つのレーザ光をヘテロダイン検波してその差周波数を測定する場合、その帯域は受光素子の帯域で制限され、おおむね数十GHz程度であるので、光周波数コム発生器を用いて広帯域なヘテロダイン検波系を構築するようにしている。光周波数コム発生器は、入射したレーザ光の側帯波を等周波数間隔毎に数百本発生させるもので、発生される側帯波の周波数安定度はもとのレーザ光のそれとほぼ同等である。そこで、この側帯波と被測定レーザ光をヘテロダイン検波することにより、数THzに亘る広帯域なヘテロダイン検波系を構築することができる。
【0003】
例えば、図9に示す従来の光周波数測定システム100は、レーザ光L を出射するレーザ光源111と、このレーザ光源111からレーザ光L が入射される光周波数コム発生器112と、この光周波数コム発生器112に与える変調信号SMOD を発生する変調信号発生器113と、上記光周波数コム発生器112により発生された光周波数コムを参照光LREF として被測定レーザ光LOB と参照光LREF との合成を行う光合成器114と、上記光合成器114により合成された参照光LREF と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化すなわち周波数信号SDET を検出する光検出器115と、この光検出器115による検出出力信号の周波数を測定する周波数カウンタ116からなる。
【0004】
このような構成の従来の光周波数測定システム100において、光周波数コム発生器112により発生された光周波数コムのm次のサイトバンドと被測定レーザ光LOB とのビート周波数を周波数カウンタ116で測定し、その測定結果をΔf とするとき、被測定レーザ光LOB の周波数ν
ν =ν +mf ±Δf
である。ここで、ν は、レーザ光源111から出射されるレーザ光L 周波数、f は、変調信号発生器113により光周波数コム発生器112に与えられる変調信号SMOD の周波数すなわち変調周波数である。これらの値は、既知であるので±Δf の符号の決定及び整数である光周波数コムのサイドバンド次数mを知ることで、上記被測定レーザ光LOB の周波数ν を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−018074号公報
【特許文献2】特開平04−118534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の如き構成の従来の光周波数測定システム100では、±Δfの符号の決定及び整数である光周波数コムのサイドバンド次数mを知るために、例えば分解能がf 以下の波長計を用いてν の測定を行うなど、他の光周波数の測定装置を組み合わせて使用する必要があった。従来の光周波数測定システムでは、このように付加的な光周波数測定装置の使用によるコストの上昇を避けることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述の如き従来の光周波数測定システムにおける問題点に鑑み、付加的な光周波数測定装置の使用を必要とすることなく、しかも、被測定レーザの周波数揺らぎに影響されることなく、高速且つ高分解能な光周波数測定を行うことができるようにすることにある。
【0008】
本発明の他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光周波数測定システムは、レーザ光を出射するレーザ光源と、上記レーザ光源から出射されたレーザ光に周波数シフトを与える周波数シフト手段と、上記周波数シフト手段を介してレーザ光が入射される光周波数コム発生手段と、上記光周波数コム発生手段により生成された光周波数コムと被測定レーザ光とを合成する光合成手段と、上記光合成手段により合成された光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する検出手段と、上記検出手段による検出出力として得られる上記周波数シフト手段によるレーザ光の周波数シフトの有無、及び、上記光周波数コム発生手段における変調周波数のシフトの有無に応じた上記光周波数コム発生手段から得られる光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による各周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光周波数測定システムは、レーザ光を出射するレーザ光源と、上記レーザ光源からレーザ光を分離する第1の光分離手段と、上記光分離手段を介して入射されるレーザ光を変調して第1の変調周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムを生成する第1の光周波数コム発生手段と、上記光分離手段を介して入射されるレーザ光を変調して第2の変調周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムを生成する第2の光周波数コム発生手段と、上記第1の光周波数コム発生手段により発生された第1の光周波数コムを分離する第2の光分離手段と、上記第2の光分離手段により分離された第1の光周波数コムに+f の周波数シフトを与える第1の周波数シフト手段と、上記第2の光分離手段により分離された第1の光周波数コムに−f の周波数シフトを与える第2の周波数シフト手段と、被測定レーザ光を分離する第3の光分離手段と、上記第1の周波数シフト手段により+f の周波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第1の光合成手段と、上記第2の光周波数コム発生手段により発生された第2の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第2の光合成手段と、上記第2の周波数シフト手段により−f の周波数シフトが与えられた第2の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第3の光合成手段と、上記第1の光合成手段により合成された上記+f の周波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第1の周波数信号を出力する第1の検出手段と、上記第2の光合成手段により合成された上記第2の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第2の周波数信号を出力する第2の検出手段と、上記第3の光合成手段により合成された上記−f の周波数シフトが与えられた第3の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第2の周波数信号を出力する第3の検出手段と、上記第1乃至第3の検出手段により得られる第1乃至第3の周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る光周波数測定システムは、レーザ光を出射するレーザ光源と、変調周波数が第1の周波数f +Δfと第2の周波数f を所定時間τ毎に切り替わる変調信号を繰り返し生成する変調信号生成手段と、上記変調信号生成手段からの変調信号により上記レーザ光源からレーザ光を変調して、上記レーザ光の周波数を中心周波数とし、上記第1の周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムと上記第2の周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムとを所定時間τ毎に交互に生成する光周波数コム発生手段と、上記光周波数コム発生手段により生成された光周波数コムを分離する第1の光分離手段と、上記第1の光分離手段により分離された光周波数コムに所定時間τの時間遅延を与える光遅延手段と、上記光遅延手段により所定時間τの時間遅延が与えられた光周波数コムを分離する第2の光分離手段と、上記第2の光分離手段により分離された光周波数コムに+f の周波数シフトを与える第1の周波数シフト手段と、上記第2の光分離手段により分離された光周波数コムに−f の周波数シフトを与える第2の周波数シフト手段と、被測定レーザ光を分離する第3の光分離手段と、上記第1の周波数シフト手段により+f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第1の光合成手段と、上記光周波数コム発生手段により発生された光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第2の光合成手段と、上記第2の周波数シフト手段により−f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第3の光合成手段と、上記第1の光合成手段により合成された上記+f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第1の周波数信号を出力する第1の検出手段と、上記第2の光合成手段により合成された上記光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第2の周波数信号を出力する第2の検出手段と、上記第3の光合成手段により合成された上記−f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第3の周波数信号を出力する第3の検出手段と、上記第1乃至第3の検出手段により得られる第1乃至第3の周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る光周波数測定システムでは、レーザ光源から出射されたレーザ光に周波数シフト手段により与える周波数シフトの有無、及び、光周波数コム発生手段における変調周波数のシフトの有無に応じて、上記光周波数コム発生手段から得られる光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による各周波数信号間の差周波数又は和周波数を周波数測定手段により測定することによって、付加的な光周波数測定装置の使用を必要とすることなく、光周波数の高分解能測定を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る光周波数測定システムでは、第1及び第2の光周波数コム発生手段により、第1の光分離手段により分離されたレーザ光源からのレーザ光を変調して、上記レーザ光の周波数を中心周波数とし、上記第1の周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムと上記第2の周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムを生成し、第2の光分離手段によりさらに分離された第1の光周波数コムに第1及び第2の周波数シフト手段により+f の周波数シフト及び−f の周波数シフトを与え、第1の光合成手段により合成される上記+f の周波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する第1の検出手段により得られる第1の周波数信号と、第2の光合成手段により合成される上記第2の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を第2の検出手段により得られる第2の周波数信号と、第3の光合成手段により合成される上記−f の周波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する第3の検出手段により得られる第3の周波数信号との間の差周波数又は和周波数を周波数測定手段により測定することによって、2台の周波数コム発生器を用いて、被測定レーザの周波数揺らぎに影響されることなく、短時間に且つ安定に光周波数の高分解能測定を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明に係る光周波数測定システムでは、光周波数コム発生手段により、レーザ光源からレーザ光を変調して、上記レーザ光の周波数を中心周波数とし、上記第1の周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムと上記第2の周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムとを所定時間τ毎に交互に生成し、第1の光分離手段により分離された光周波数コムに光遅延手段により所定時間τの時間遅延を与えてから第2の光分離手段によりさらに分離された光周波数コムに第1及び第2の周波数シフト手段により+f の周波数シフト及び−f の周波数シフトを与え、第1の光合成手段により合成される上記+f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する第1の検出手段により得られる第1の周波数信号と、第2の光合成手段により合成される上記光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を第2の検出手段により得られる第2の周波数信号と、第3の光合成手段により合成される上記−f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する第3の検出手段により得られる第3の周波数信号との間の差周波数又は和周波数を周波数測定手段により測定することによって、1台の周波数コム発生器を用いた簡単な構成で、被測定レーザの周波数揺らぎに影響されることなく、短時間に且つ安定に光周波数の高分解能測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光周波数測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】光周波数コム発生器により発生された光周波数コムのm次のサイトバンドと被測定レーザ光とのビート周波数を測定する場合に、変調周波数f をΔfだけ変化させることにより生ずるビート周波数の変化を模式的に示す図である。
【図3】光周波数コム発生器により発生された光周波数コムのm次のサイトバンドと被測定レーザ光とのビート周波数を測定する場合に、変調周波数f をΔfだけ変化させる前の状態でf の周波数シフトを与えた場合と与えない場合を比較して、ビート周波数の変化を模式的に示す図である。
【図4】レーザ周波数や変調周波数を切り替えている間に、被測定レーザ光の周波数が揺らいでしまうと、ビート周波数の変化量が正確に測定できない状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明に係る光周波数測定システムの他の構成を示すブロック図である。
【図6】上記光周波数測定システムにおける第1及び第2の光周波数コム発生器の構造を模式的に示す斜視図である。
【図7】上記第1及び第2の光周波数コム発生器を構成する光導波路部の形成状態を模式的に示す平面図である。
【図8】本発明に係る光周波数測定システムのさらに他の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の光周波数測定システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係る光周波数測定システムは、例えば図1に示すように構成される。
【0017】
この光周波数測定システム10は、レーザ光L を出射するレーザ光源11と、このレーザ光源11からレーザ光L が光周波数シフタ12を介して入射される光周波数コム発生器13と、この光周波数コム発生器13に与える変調信号SMOD を発生する変調信号発生器14と、上記光周波数コム発生器13により発生された光周波数コムを参照光LREF として被測定レーザ光LOB と参照光LREF との合成を行う光合成器15と、上記光合成器15により合成された参照光LREF と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化すなわち周波数信号SDET を検出する光検出器16と、この光検出器16による検出出力信号の周波数を測定する周波数カウンタ17からなる。
【0018】
このような構成の光周波数測定システム10において、光周波数コム発生器13により発生された光周波数コムのm次のサイドバンドと被測定レーザ光LOB とのビート周波数を周波数カウンタ17で測定し、その測定結果をΔf とするとき、被測定レーザ光LOB の周波数ν
ν =ν +f +mf ±Δf (1)
である。ここで、ν は、レーザ光源11から出射されるレーザ光L 周波数、f は、光周波数シフタ12によるシフト周波数、f は、変調信号発生器14により光周波数コム発生器13に与えられる変調信号SMODの周波数すなわち変調周波数である。これらの値は、既知であるので±Δf の符号の決定及び整数である光周波数コムのサイドバンド次数mを知ることで、上記被測定レーザ光LOB の周波数ν を決定することができる。
【0019】
光周波数コム発生器13により発生された光周波数コムのm次のサイトバンドと被測定レーザ光とのビート周波数を測定する場合、図2に示すように、変調周波数f をΔfだけ変化させると、ビート周波数はmΔf変化しΔf 'となる。また、変調周波数f をΔfだけ変化させる前の状態でかつ図3に示すようにf の周波数シフトを与えた場合と与えない場合を比べると、ビート周波数はf 変化し、Δf ''なる。これらのビート周波数と被測定レーザ光の周波数ν との関係は、
ν =ν +f +m(f +Δf)±Δf ' (2)
ν =ν +mf ±Δf '' (3)
となる。Δf 'とΔf ''の符号が等しい場合には、上記(2)式及び(3)式より、
|Δf ''−Δf '|=f +mΔf (4)
となり、f >mΔfとなるようにΔfとf の値をf ≫Δfに設定しておくことにより、mを決定することができる。
【0020】
Δf ''とΔf 'の符号が異なる場合に は、負の周波数シフトを行ってf の代わりに−f とすることにより、ビート周波数Δf '''と被測定レーザ光の周波数ν との関係は、
ν =ν −f +m(f +Δf)±Δf ''' (5)
となる。Δf ''とΔf 'の符号が異なる場合には、Δf ''とΔf '''の符号が等しくなるので、上記(3)式及び(5)式より、
|Δf ''−Δf '''|=f −mΔf (6)
となり、mを決定することができる。
【0021】
この結果が正しいか否かの判別は、
|Δf ''−Δf '''|+|Δf ''−Δf '|=2f (7)
が成り立てば、Δf ',Δf '',Δf '''の符号が等しいので(4)式及び(6)式のどちらの式から得られた結果も正しい。
【0022】
また、(7)式が成り立たない場合、
|Δf ''−Δf '''|+|Δf ''+Δf '|=2f (8)
が正しければ、(6)式が正しくm及び±Δf の符号を決定することができる。
【0023】
さらに、
|Δf ''+Δf '''|+|Δf ''−Δf '|=2f (9)
が正しければ、(4)式が正しくm及び±Δf の符号を決定することができる。
【0024】
ここで、f 及びΔfに関して異なる(2)式、(3)式及び(5)式で表現される3つのパターンからm及び±Δf の符号を決定することができる場合を説明したが、これ以外のパターンであっても最低3つのパターンがあれば、またf 及びΔfの値は測定対象とするレーザ光の周波数範囲において解を複数与えないように設定しておけば、m及び±Δf の符号を決定し被測定レーザ光の周波数ν を決定することができる。例えばmの符号が明らかである場合(例えばνとν の大小関係が明確である場合)、f =0であって、Δfが異なる3つの値をとるとき、mの値とΔfの符号を決定することができる。
【0025】
なお、mの値とΔf の符号を決定するに当たり、レーザ光の波長の制限などの条件を付加するパターンは多数あり、パターンが2つで良い場合もあるが、ここでは、上記3つのパターンで行うものとして、実施の形態を説明する。
【0026】
ここで、被測定レーザ光に揺らぎがある場合、レーザ周波数や変調周波数を切り替えている間に、被測定レーザ光の周波数が揺らいでしまうと、図4に示すように、ビート周波数の変化量が正確に測定できないことがおこる。例えばf を変化させて、Δf を測定しようとすると、少なくともΔf を測定するための時間が必要であり、この間に被測定レーザ光の周波数が変化すると、正確に測定できなくなる。特に、光周波数コム発生器は、f の変化範囲を大きくとれないので、不正確な測定は致命的である。
【0027】
この問題は時間毎に条件を切り替えて測定を行うことにより発生するのであって、図5に示す実施の形態における光周波数測定システム20のように、2台の光周波数コム発生器すなわち第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bを用いて異なった条件での干渉による周波数信号を同時に測定することで解決することができる。
【0028】
この光周波数測定システム20では、被測定レーザ光が揺らいでいても、2台の光周波数コム発生器23A,23Bの出力と被測定レーザ光の間で得られたビートの相対的な周波数を同時測定することにより、被測定レーザ光の揺らぎをキャンセルすることができ、周波数カウンタ28で第1の周波数信号SAと第2の周波数信号SB、第1の周波数信号SAと第3の周波数信号SC、第2の周波数信号SBと第3の周波数信号SCの各信号間の差周波数及び和周波数を測定することにより、m及び±Δf の符号を決定し被測定レーザ光の周波数ν を決定することができる。
【0029】
すなわち、図5に示す光周波数測定システム20は、レーザ光源21、第1乃至第4の光分離器22A,22B,22C,22D、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23B、第1及び第2の変調信号発生器24A,24B、第1及び第2の光周波数シフタ25A,25B、第1乃至第3の光合成器26A,26B,26C、第1乃至第3の光検出器27A,27B,27C及び周波数カウンタ28からなる。
【0030】
この光周波数測定システム20において、レーザ光源21は、レーザ光L を出射する光源である。このレーザ光源21からのレーザ光L は、第1の光分離器22を介して第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bに入射される。
【0031】
第1の光周波数コム発生器23Aは、第1の変調信号発生器24Aからf +Δfの第1の変調周波数を有する第1の変調信号SMODA が与えられており、この第1の変調信号SMODA で上記レーザ光Lを変調することにより、レーザ光L の周波数を中心周波数ν として、第1の変調周波数f +Δfの等周波数間隔で側帯波を発生させ、中心周波数ν からk(f +Δf)(k=−m,−m+1,−m+2,・・・,0,1,2,・・・,n)の周波数成分の側帯波を有する光周波数コムを参照光LREF として出力する。この第1の光周波数コム発生器23Aにより発生された参照光LREF は、第2の光分離器22Bを介して第1及び第2の光周波数シフタ25A,25Bに入射される。
【0032】
第1の光周波数シフタ25Aは、上記第1の光周波数コム発生器23Aにより発生された参照光LREF に+f の周波数だけ周波数シフトを与えた第1の参照光LREFA を出力する。この第1の光周波数シフタ25Aにより得られた第1の参照光LREFA は、第1の光合成器26Aに入射される。
【0033】
第2の光周波数シフタ25Bは、上記第1の光周波数コム発生器23Aにより発生された参照光LREF に−f の周波数だけ周波数シフトを与えた第3の参照光LREFC を出力する。この第2の光周波数シフタ25Bにより得られた第3の参照光LREFC は、第3の光合成器26Cに入射される。
【0034】
第2の光周波数コム発生器23Bは、第2の変調信号発生器24Bからf の変調周波数を有する第2の変調信号SMODB が与えられており、この第2の変調信号SMODB で上記レーザ光L を変調することにより、レーザ光L の周波数を中心周波数ν として、第2の変調周波数f の等周波数間隔で側帯波を発生させ、中心周波数νからkf (k=−m,−m+1,−m+2,・・・,0,1,2,・・・,n)の周波数成分の側帯波を有する光周波数コムを第2の参照光LREFB として出力する。この第2の光周波数コム発生器23Bにより得られた第2の参照光LREFB は、第2の光合成器26Bに入射される。
【0035】
また、この光周波数測定システム20において、被測定レーザ光LOB は、第3及び第4の光分離器22C,22Dを介して、上記第1乃至第3の光合成器26A,26B,26Cに入射される。
【0036】
そして、第1の光合成器26Aは、上記第1の参照光LREFA と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第1の光合成器26Aにより得られた第1の合成光は、第1の光検出器27Aに入射される。また、第2の光合成器26Bは、上記第2の参照光LREFB と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第2の光合成器26Bにより得られた第2の合成光は、第2の光検出器27Bに入射される。さらに、第3の光合成器26Cは、上記第3の参照光LREFC と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第3の光合成器26Cにより得られた第3の合成光は、第3の光検出器27Cに入射される。
【0037】
第1の光検出器27Aは、第1の光合成器26Aにより得られた第1の合成光の光強度の変化、すなわち、第1の参照光LREFA と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を第1の周波数信号SAとして検出する。また、第2の光検出器27Bは、第2の光合成器26Bにより得られた第2の合成光の光強度の変化、すなわち、第2の参照光LREFB と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を第2の周波数信号SBとして検出する。さらに、第3の光検出器27Cは、第3の光合成器26Cにより得られた第3の合成光の光強度の変化、すなわち、第3の参照光LREFB と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を第3の周波数信号SCとして検出する。上記第1乃至第3の光検出器27A,27B,27Cにより検出された第1乃至第3の周波数信号SA,SB,SCは、周波数カウンタ28に入力される。
【0038】
上記周波数カウンタ28は、上記第1乃至第3の周波数信号SA,SB,SCの各信号間の差周波数及び和周波数を測定する。
【0039】
ここで、この光周波数測定システム20に使用する2台の光周波数コム発生器すなわち第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bは、変調周波数f +Δf,f の差周波数Δfを正確に決める必要がある。すなわち、光周波数コム発生器の変調周波数は結晶長で決定されるので、特定の結晶長を持った光周波数コム発生器が複数必要となる。
【0040】
そこで、この光周波数測定システム20では、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bとして、例えば図6に示すように、ニオブ酸リチウム(LiNbO )などの電気光学結晶基板30上に互いに平行に形成された2台の光導波路型光周波数コム発生器が用いられる。
【0041】
すなわち、図6に示す第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bは、ニオブ酸リチウム(LiNbO )などの電気光学結晶基板30上に、光導波路部31A,31Bを形成し、さらに、保護層32を介して電極33A,33Bを形成した光導波路型光周波数コム発生器である。光導波路部31A,31Bは、各両端面にはクロム,金,アルミニウムあるいは誘電体多層膜などを蒸着することにより、図示しない入射端反射膜と出射端反射膜が形成されており、入射されたレーザ光を内部で共振させるファブリペロエタロンを構成している。
【0042】
このような構造の第1の光周波数コム発生器23Aは、上記第1の変調信号発生器24Aからf+Δfの変調周波数を有する第1の変調信号SMODAが上記電極33Aに印加され、上記第1の変調信号SMODA に応じた電界が上記光導波路部31Aに印加されることにより、上記入射端から上記光導波路部31Aに入射されたレーザ光の周波数を上記第1の変調信号SMODA に応じて変調する。また、第2の光周波数コム発生器23Bは、上記第2の変調信号発生器24Bからf の変調周波数を有する第2の変調信号SMODB が上記電極33Bに印加され、上記第2の変調信号SMODB に応じた電界が上記光導波路部31Bに印加されることにより、上記入射端から上記光導波路部31Bに入射されたレーザ光の周波数を上記第2の変調信号SMODB に応じて変調する。
【0043】
このように電気光学結晶基板30上に形成された2台の光導波路型光周波数コム発生器を用いるようにした第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bでは、図7の(A)に示すように、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bを構成する光導波路部31A,31Bを長方形の電気光学結晶基板30上に互いに平行に形成し、上記長方形の電気光学結晶基板30互いに平行な2辺を共有させることにより、上記第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bの共振器長を一致させて、同じ変調周波数とすることができる。そして、変調周波数の差を1台の光導波路型光周波数コム発生器の調整可能範囲内で正確に調整することができる。また、このような構造を採用することにより、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bの全体を小型化することができる。
【0044】
ここで、図7の(A)に示した例では、第1及び第2の光周波数コム発生器3A,3Bを構成する光導波路部31A,31Bを長方形の電気光学結晶基板30上に互いに平行に形成したが、図7の(B)に示すように上記光導波路部31A,31Bを長方形の電気光学結晶基板30上に互いに非平行な状態に形成することにより、上記第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bの共振器長を不一致の状態にさせ、変調周波数を大きく異ならしめることができる。そして、変調周波数の差を1台の光導波路型光周波数コム発生器の調整可能範囲内で正確に調整することができる。
【0045】
また、上記第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bの変調周波数の差周波数を大きくするには、図7の(B)に示すように非平行な2辺を有する四角形状の電気光学結晶基板30Aを用い、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bを構成する光導波路部31A,31Bを上記電気光学結晶基板30Aの非平行な2辺を共有するように形成すればよい。このような構造を採用することにより上記第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bの各共振器長は、非平行な2辺を有する四角形状の電気光学結晶基板30A上における光導波路部31A,31Bの位置と、上記非平行な2辺なす角度の大きさで正確に決定することができる。
【0046】
さらに、上記光導波路型光周波数コム発生器の導波路作製時に、導波路の幅や深さを変えたり、ドープ量を変えて屈折率に変化させる等、導波路構造に変化を持たせることによって、差周波数を調整することができる。
【0047】
また、上述の図5に示した光周波数測定システム20では、第1及び第2の光周波数コム発生器23A,23Bを用いたが、図8に示すような構成を採用することにより、1台の光周波数コム発生器42を用いて上記光周波数測定システム20と同様な測定を行うことができる。
【0048】
すなわち、この図8に示す光周波数測定システム40は、レーザ光源41、光周波数コム発生器42、変調信号発生器43、第1乃至第4の光分離器44A,44B,44C,44D、遅延ファイバ45、第1及び第2の光周波数シフタ46A,46B、第1乃至第3の光合成器47A,47B,47C、第1乃至第3の光検出器48A,48B,48C及び周波数カウンタ49からなる。
【0049】
この光周波数測定システム40において、レーザ光源41は、レーザ光L を出射する光源である。このレーザ光源41からのレーザ光L は、光周波数コム発生器42に入射される。
【0050】
光周波数コム発生器42は、変調信号発生器43から与えられる変調信号S OD の変調周波数が第1の変調周波数f +Δfと第2の変調周波数f に時間τ毎に切り換えられており、この変調信号SMODで上記レーザ光L を変調することにより、レーザ光L の周波数を中心周波数ν として、第1の変調周波数f +Δfの等周波数間隔で側帯波を発生させ、中心周波数ν からk(f +Δf)(k=−m,−m+1,−m+2,・・・,0,1,2,・・・,n)の周波数成分の側帯波を有する光周波数コムと、レーザ光L の周波数を中心周波数ν として、第2の変調周波数周波数f の等周波数間隔で側帯波を発生させ、中心周波数νからkf (k=−m,−m+1,−m+2,・・・,0,1,2,・・・,n)の周波数成分の側帯波を有する光周波数コムを時間τ毎に交互に参照光LREFとして出力する。この光周波数コム発生器42により発生された参照光LREF は、第1の光分離器44Aに入射される。
【0051】
この第1の光分離器44Aにより分離された参照光LREF は、第1の光合成器47Aに第2の参照光LREF として入射されるとともに、τの遅延時間を有する遅延ファイバ45を介して第2の光分離器44Bに入射される。
【0052】
上記遅延ファイバ45により遅延時間τの時間遅延を与えられた参照光LRE FDL は、第2の光分離器44Bを介して第1及び第2の光周波数シフタ46A,46Bに入射される。
【0053】
第1の光周波数シフタ46Aは、上記参照光LREFDL に+f の周波数だけ周波数シフトを与えた第1の参照光LREFDLA を出力する。この第1の光周波数シフタ46Aにより得られた第1の参照光LREFDLA は、第1の光合成器47Aに入射される。
【0054】
また、第2の光周波数シフタ46Bは、上記参照光LREFDL に−f の周波数だけ周波数シフトを与えた第3の参照光LREFDLC を出力する。この第2の光周波数シフタ46Bにより得られた第3の参照光LREFDLC は、第3の光合成器47Cに入射される。
【0055】
また、この光周波数測定システム40において、被測定レーザ光LOB は、第3及び第4の光分離器44C,44Dを介して、上記第1及び第3の光合成器47A,47Cに入射される。
【0056】
そして、第1の光合成器47Aは、第1の参照光LREFDLA と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第1の光合成器47Aにより得られた第1の合成光は、第1の光検出器48Aに入射される。また、第2の光合成器47Bは、上記第2の参照光LREF と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第2の光合成器47Bにより得られた第2の合成光は、第2の光検出器48Bに入射される。また、第3の光合成器47Cは、上記第3の参照光LREFDLC と被測定レーザ光LOB との合成を行う。この第2の光合成器47Cにより得られた第3の合成光は、第3の光検出器48Cに入射される。
【0057】
第1の光検出器48Aは、第1の光合成器47Aにより得られた第1の合成光の光強度の変化、すなわち、第1の参照光LREFDLA と被測定レーザ光L との干渉による光強度の変化を第1の周波数信号SAとして検出する。また、第2の光検出器48Bは、第2の光合成器47Bにより得られた第2の合成光の光強度の変化、すなわち、第2の参照光LREF と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を第2の周波数信号SBとして検出する。さらに、第3の光検出器48Cは、第3の光合成器47Cにより得られた第3の合成光の光強度の変化、すなわち、第3の参照光LREFDLC と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を第3の周波数信号SCとして検出する。上記第1乃至第3の光検出器48A,48B,48Cにより検出された第1乃至第3の周波数信号SA,SB,SCは、周波数カウンタ49に入力される。
【0058】
上記周波数カウンタ49は、上記第1乃至第3の周波数信号SA,SB,SCの各信号間の差周波数及び和周波数を測定する。
【0059】
この光周波数測定システム40において、光周波数コム発生器42の変調周波数が時間τ毎にΔfの幅で切り替えられており、Δfが第2の参照光LREF として用いるレーザ光L の揺らぎよりも大きく設定されている。この変調周波数の関数をf (t)で表すと、被測定レーザ光の周波数が、上記光周波数コム発生器42から参照光LREF として時間τ毎に切り替えられて出力される各光周波数コムのm次のサイドバンドの周波数の間の周波数でない場合、すなわち符号が等しいときのビート周波数は、上記参照光LREFDL に+f の周波数だけ周波数シフトを与えた第1の参照光LREFDLA と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を検出する第1の光検出器48Aにより得られる第1の周波数信号SAでは、例えば、
ΔfbA =|ν −ν −f +mf (t−τ)| (10)
であるとき、第2の参照光LREF と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を検出する第2の光検出器48Bにより得られる第2の周波数信号SBでは、
ΔfbB =|ν −ν −f +mf (t)| (11)
となる。ここで、この差の周波数の信号は被測定レーザの揺らぎに関係なく
|ΔfbA −ΔfbB |=f +mf (t−τ)−mf (t) (12)
となる。すなわち、この信号の周波数は、f を中心として±mΔfの周波数変動が観測される。したがって、この信号より、m及び±ΔfbA 、±ΔfbB の符号を決定し被測定レーザ光の周波数ν を決定することができる。
【0060】
上記(12)式で示される信号は、被測定レーザの周波数揺らぎに影響される項はなくmを決定できることがわかる。また、このとき、被測定レーザの周波数変動の影響はキャンセルされ図4のようなビート周波数の変化量が正確に測定できなくなることが回避される。
【0061】
また、被測定レーザ光の周波数が、上記光周波数コム発生器42から参照光LREF として時間τ毎に切り替えられて出力される各光周波数コムのm次のサイドバンドの周波数の中間の周波数である場合には、第2の参照光LREF と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を検出する第2の光検出器48Bにより得られる第2の周波数信号SBと、上記参照光LREFDL に−f の周波数だけ周波数シフトを与えた第3の参照光LREFDLC と被測定レーザ光LOB との干渉による光強度の変化を検出する第3の光検出器48Cにより得られる第3の周波数信号SCを用いることにより、m及び±ΔfbA 、±ΔfbB の符号を決定し被測定レーザ光の周波数ν を決定することができる。
【0062】
なお、上記各実施の形態における光周波数測定システムでは、1つ被測定レーザ光の周波数を測定したが、参照光を複数に分離することにより、光通信用の複数のレーザ光源の周波数測定を行うこともできる。
【符号の説明】
【0063】
10,20,40 光周波数測定システム、11,21,41 レーザ光源、12,25A,25B,46A,46B 光周波数シフタ、13,23A,23B、42 光周波数コム発生器、14,24A,24B,43 変調信号発生器、15,26A,26B,26C,47A,47B,47C 光合成器、16,27A,27B,27C,48A,48B,48C 光検出器、17,28,49 周波数カウンタ、22A,22B,22C,22D,44A,44B,44C,44D 光分離器、45 遅延ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
上記レーザ光源から出射されたレーザ光に周波数シフトを与える周波数シフト手段と、
上記周波数シフト手段を介してレーザ光が入射される光周波数コム発生手段と、
上記光周波数コム発生手段により生成された光周波数コムと被測定レーザ光とを合成する光合成手段と、
上記光合成手段により合成された光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出する検出手段と、
上記検出手段による検出出力として得られる上記周波数シフト手段によるレーザ光の周波数シフトの有無、及び、上記光周波数コム発生手段における変調周波数のシフトの有無に応じた上記光周波数コム発生手段から得られる光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による各周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする光周波数測定システム。
【請求項2】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
上記レーザ光源からレーザ光を分離する第1の光分離手段と、
上記光分離手段を介して入射されるレーザ光を変調して第1の変調周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムを生成する第1の光周波数コム発生手段と、
上記光分離手段を介して入射されるレーザ光を変調して第2の変調周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムを生成する第2の光周波数コム発生手段と、
上記第1の光周波数コム発生手段により発生された第1の光周波数コムを分離する第2の光分離手段と、
上記第2の光分離手段により分離された第1の光周波数コムに+f の周波数シフトを与える第1の周波数シフト手段と、上記第2の光分離手段により分離された第1の光周波数コムに−f の周波数シフトを与える第2の周波数シフト手段と、
被測定レーザ光を分離する第3の光分離手段と、
上記第1の周波数シフト手段により+f の周波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第1の光合成手段と、
上記第2の光周波数コム発生手段により発生された第2の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第2の光合成手段と、
上記第2の周波数シフト手段により−f の周波数シフトが与えられた第2の光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第3の光合成手段と、
上記第1の光合成手段により合成された上記+f の周 波数シフトが与えられた第1の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第1の周波数信号を出力する第1の検出手段と、
上記第2の光合成手段により合成された上記第2の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第2の周波数信号を出力する第2の検出手段と、
上記第3の光合成手段により合成された上記−f の周波数シフトが与えられた第3の光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第3の周波数信号を出力する第3の検出手段と、
上記第1乃至第3の検出手段により得られる第1乃至第3の周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする光周波数測定システム。
【請求項3】
上記第1及び第2の光周波数コム発生手段として、四角形状の電気光学結晶基板上に、上記電気光学結晶基板の対向する2辺を共有する2つの光導波路と電極を形成した2つの光導波路型光周波数コム発生器を備えることを特徴とする請求項2記載の光周波数測定システム。
【請求項4】
上記2つの光導波路型光周波数コム発生器は、長方形の電気光学結晶基板上に、互いに平行な2つの光導波路を有することを特徴とする請求項3記載の光周波数測定システム。
【請求項5】
上記2つの光導波路型光周波数コム発生器は、長方形の電気光学結晶基板上に、互いに非平行な2つの光導波路を有することを特徴とする請求項3記載の光周波数測定システム。
【請求項6】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
変調周波数が第1の周波数f +Δfと第2の周波数f を所定時間τ毎に切り替わる変調信号を繰り返し生成する変調信号生成手段と、
上記変調信号生成手段からの変調信号により上記レーザ光源からのレーザ光を変調して、上記レーザ光の周波数を中心周波数とし、上記第1の周波数f +Δf間隔毎に側帯波を有する第1の光周波数コムと上記第2の周波数f 間隔毎に側帯波を有する第2の光周波数コムとを所定時間τ毎に交互に生成する光周波数コム発生手段と、
上記光周波数コム発生手段により生成された光周波数コムを分離する第1の光分離手段と、
上記第1の光分離手段により分離された光周波数コムに所定時間τの時間遅延を与える光遅延手段と、
上記光遅延手段により所定時間τの時間遅延が与えられた光周波数コムを分離する第2の光分離手段と、
上記第2の光分離手段により分離された光周波数コムに+f の周波数シフトを与える第1の周波数シフト手段と、
上記第2の光分離手段により分離された光周波数コムに−f の周波数シフトを与える第2の周波数シフト手段と、
被測定レーザ光を分離する第3の光分離手段と、
上記第1の周波数シフト手段により+f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第1の光合成手段と、
上記光周波数コム発生手段により発生された光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第2の光合成手段と、
上記第2の周波数シフト手段により−f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと上記第3の光分離手段により分離された被測定レーザ光とを合成する第3の光合成手段と、
上記第1の光合成手段により合成された上記+f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第1の周波数信号を出力する第1の検出手段と、
上記第2の光合成手段により合成された上記光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第2の周波数信号を出力する第2の検出手段と、
上記第3の光合成手段により合成された上記−f の周波数シフトが与えられた光周波数コムと被測定レーザ光との干渉による光強度の変化を検出して第3の周波数信号を出力する第3の検出手段と、
上記第1乃至第3の検出手段により得られる第1乃至第3の周波数信号間の差周波数又は和周波数を測定する周波数測定手段とを備えることを特徴とする光周波数測定システム。
【請求項7】
上記光遅延手段は光ファイバからなることを特徴とする請求項6記載の光周波数測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−7802(P2011−7802A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181797(P2010−181797)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【分割の表示】特願2000−370491(P2000−370491)の分割
【原出願日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】