説明

光学ガラス検査装置および検査方法

【課題】本発明は、光学ガラスを透過した光の反射光等の影響を排除できる光学ガラス検査装置および検査方法を実現する。
【解決手段】ガラス35を保持した治具30を搭載する搭載部21、搭載部21を変位させてガラス35を検査領域に位置づける駆動装置22、搭載部21の一方側に配設された光源15および光学系10、及び搭載部21の他方側に配設され反射面が光学系の光軸に対し傾斜した反射部40を有し、治具30として、表・裏面を連通する治具開口31c、および治具開口31cの隣接領域にガラス35を保持するためのガラス保持手段32を有するものを使用することで、光源15から検査領域に照射された光がガラス35、治具開口31cおよび搭載部開口21cを通過して更に反射部40に入射して反射する反射光の光路が、検査領域と交叉しない構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の光学機器において使用されるカバーガラスやカバーレンズ等の光学ガラス検査装置および検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の光学機器、特に携帯電話と一体化され小型化されたデジタルカメラは、ンズの前方にカバーガラス等(以下光学ガラスまたはガラスと表記することがある)を配設して、レンズを保護している。こうしたガラスでは、撮像素子の小型化に伴って、小さな傷やしみがあると撮像された影像にしみ等を生じることがある。またガラスは、赤外線カットフィルター等の光学フィルタとなる干渉膜をコーティングしたものや、透過率を高めるための無反射コーティング膜を形成したものもある。これらコーティング膜等の傷等も像にしみ等を生じさせるため、傷等を確実かつ迅速に検査する技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、ビデオカメラを使用してガラスの表面画像と裏面画像を得て、傷や汚れの有無を検査する技術である(特許文献1)。この検査技術では、治具に保持されたガラスに光を照射してガラスの傷等の有無が判断される。ここで治具はテーブル上に搭載され、ガラスの鉛直線方向の上方にはビデオカメラが配設され、ガラスの斜め上方に複数の光源が配設され、ビデオカメラはこれら光源の照射光で得られた影像を電気信号に変換して映像信号とし、この映像信号に所定の処理を施すことで傷等の検査が行なわれる。
【0004】
この検査では、治具の縦横方向に多数のガラスが載置されており、テーブルは縦横方向に移動して、任意のガラスをビデオカメラの撮像位置に位置づける。ガラスに照射された光は、ガラスに傷等がなければ、ガラスを透過するからビデオカメラで検出されない。しかしガラスに傷等があると、傷等で反射または散乱した光による影像がビデオカメラで検出される。目視の場合には顕微鏡で傷等を検出できる。
【0005】
しかしガラスの裏面と相対する治具の表面領域において、ガラスを透過した光がわずかであるが反射または散乱する。治具に無反射黒色加工等を施しても、反射率を数%(例えば2〜4%)程度以下にすることは困難だからである。しかも、多数のガラスを短時間に検査するための治具はトレイのような形状となって、ガラス裏面と治具の表面領域との間隔が数mm(例えば1〜2mm)程度となる。従って治具の表面領域での反射光や散乱光等(以下、背景ノイズと表記することがある)が傷等の検出を妨げることもある。
【0006】
ここで背景ノイズと傷等の影像との分別性を向上させようとすると、目視の場合には、検査員の技量に依存することになって検査時間がかり、また検査員の疲労原因となる等の問題が生じる。ビデオカメラで得た映像信号で検査する場合には、映像処理を工夫することで分別性が高まるが、処理時間の増加や、装置の複雑化等が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−085617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題を解消するため、治具に搭載された光学ガラスを透過した光の、治具の表面領域における反射光または散乱光の影響を排除することができて、光学ガラスの傷等の検査の精度向上と、迅速化を図ることができる(検査コストを低減できる)光学ガラス検査装置および検査方法を実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる光学ガラス検査装置は、ガラスを保持した治具を搭載するための搭載部(例えば治具を搭載するテーブル)と、搭載部を変位させることで搭載部に搭載された治具に保持された光学ガラスを所定の検査領域に位置づけるための駆動装置と、搭載部の一方側(例えば上方)から検査領域に光を照射するための光源と、検査領域に位置づけられた光学ガラスからの反射光を検出するための光学系(例えば目視検査の場合には顕微鏡であり、自動検査の場合にはビデオカメラ等である)と、搭載部の他方側(例えば下方)に配設され、その反射面が光学系の光軸に対し傾斜した反射部とを有している。ここで搭載部は、その一方側と他方側とを連通する搭載部開口を有している。
【0010】
該光学ガラス検査装置は、治具として、その表面と裏面とを連通する一または複数の治具開口、および治具開口の隣接領域に光学ガラスを保持するためのガラス保持手段を有した治具を搭載するもので、そのとき治具開口が搭載部開口と相対する位置に位置づけられるようになっている。
【0011】
該光学ガラス検査装置では、ガラスに傷やしみ等があれば、光源から検査領域に照射された光が傷等で反射または散乱されて光学系によって傷として検出される。一方、ガラスの傷やしみ等で反射または散乱されなかった光は、ガラス、治具開口および搭載部開口を通過して反射部に入射する。反射部への入射光は反射面で吸収される一方、その一部が反射するが、反射光の光路は検査領域と交叉していない。
【0012】
例えば、反射面と光学系の光軸との交叉角が45度の場合には、光軸と平行する光路を通過して反射面に入射した光は、その入射角および反射角が45度となって反射されて、治具に保持された光学ガラスの検査領域に戻らない。検査領域を光学系の光軸と直交させた場合には、反射面からの反射光は、入射光と直交する反射光路(治具と平行する光路)上を通過することになって治具に戻らない。このようにガラスを透過して、反射部へと向かった光は、ガラスからの反射光および散乱光を検出する光学系に戻らないから、ガラスの傷等の検査に影響を与えない。もちろん反射部は、低反射率(数%)の黒色等に塗装等することが望ましい。
【0013】
さらに反射光路上には、低反射率の光吸収部を配設して反射部からの反射光を吸収することが望ましい。加えて検査の際には、目視であれビデオカメラによる検査であれ、ガラスに焦点を合わすから、反射部および光吸収部からの反射光等は光学系の結像位置に結像せず背景ノイズとなりにくい。
【0014】
また反射部を配設する位置に、反射部に替えて反射光と散乱光の光量が極めて小さい光吸収面を有する光吸収部を配設してもよい。そうすれば検査領域に戻る光は、ごく僅かだから、また光吸収部が光学系の焦点から外れているから、背景ノイズとなりにくい。
【0015】
ところで該ガラス検査装置は遮光環境下で使用されることが望ましく、少なくともガラスを透過した光が通る光路側(搭載部の他方の側)空間は遮光環境下にあることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり本発明によれば、治具に搭載された光学ガラスを透過した光の、治具の表面領域における反射光または散乱光等の影響を排除することができて、光学ガラスの傷等の検査の精度向上、および迅速化を図ることができる(検査コストを低減できる)光学ガラス検査装置および検査方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる光学ガラス検査装置の一実施例(実施例1)における概略構成(一部は断面概略構成)の一例を示す図である。
【図2】図1に示す光学ガラス検査装置で使用される治具の概略構成の一例を示す図であり、同図(a)は、その平面視の概略構成を示し、同図(b)はそのガラス載置部の平面視の概略構成を示し、同図(c)はガラス載置部の断面概略構造を示す図である。
【図3】図1に示す光学ガラス検査装置における反射部の一変形例における概略構成を示す図である。
【図4】図1に示す光学ガラス検査装置における反射部の他の変形例における概略構成を示す図である。
【図5】本発明にかかる光学ガラス検査装置の他の実施例(実施例2)における概略構成(一部は断面概略構成)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明にかかる光学ガラス検査装置および検査方法の一実施例を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1に示す本発明にかかる光学ガラス検査装置1(実施例1)は、顕微鏡(光学系)10、光源15、水平に位置づけられたテーブル21と、テーブル21を駆動する駆動装置22とを有する位置決め機構20、黒色の反射部40および黒色の光吸収部50を有している。
【0020】
(顕微鏡)
顕微鏡10は、対物レンズ11(以下、レンズ11と表記する)、顕微鏡本体12および接眼レンズ13を有して、水平に位置づけられたテーブル21の上方に配設され、レンズ11の光軸11xがテーブル21と直交している。
【0021】
光軸11x近傍には、2つの光源15aおよび15bを有する光源15が顕微鏡本体12と一体になって配設されている。光源15aおよび15bが照射する光は、光軸11xと略平行する領域内(図1中、1点鎖線15xおよび15yで示す領域内)を比較的狭い光ビームとなって、テーブル21に照射される。
【0022】
(位置決め機構)
位置決め機構20は、テーブル21と、このテーブル21を水平面上で直交する2方向に変位させるための駆動装置22を有している。テーブル21は、その略中央部領域に、表面(一方側の面)21aと裏面(他方側の面)21bとを連通するテーブル開口21cを有している。テーブル21の表面21aでは、テーブル開口21cを囲むように治具位置決め部21dが突出して形成されている。なお駆動装置22は、コピューター等を備えた制御装置で制御される装置、あるいは手動でテーブル21を変位させる装置等であればよく、その趣旨はテーブル21を変位させて位置を定めるための可動部等を有するものであればよい。
【0023】
(治具)
治具30は、その平面視を図2(a)に示すように、平面視で略長方形状をなし、その長辺および短辺方向に整列して配列されたガラス載置部31n(n=1、2・・・n)を有している。ガラス載置部31nは、平面視で長方形状をなしている。ガラス載置部31nは、その平面視を図2(b)に、そしてその断面構成を図2(c)に示すように、治具30の表面30aと裏面30bとを連通する長方形状の治具開口31c、および治具開口31cの周辺部において表面30aから突出して形成されたガラス保持枠32aを有している。ガラス保持枠32aと治具開口31cとの間には、治具30の表面30aと平行したガラス支持部32bが形成されている。
【0024】
これらガラス保持枠32a、およびガラス支持部32bが、図2(b)に示すように、長方形状のガラス保持手段32を形成しており、このガラス保持手段32で規定された位置にガラス35を位置づけることができる。ここでガラス35の4つの辺部を支えるガラス支持部32bは、極力狭いことが望ましい。なぜならばガラス支持部32bを極力狭くすることで、ガラス35とガラス支持部32bとが接する面積を極力狭くして、ガラス35の表面に傷等が生じることを防げるからである。またガラス保持枠32aの壁面とガラス35の4辺周面との間は、若干の隙間が形成されて、ガラス保持手段32へのガラス35の載置等が円滑に行われるようになっている。
【0025】
治具30は、テーブル21に搭載されるとき、その搭載位置が治具位置決め部21dで規定されて、すべての治具開口31cが、テーブル開口21cの上方(図1中において)に位置づけられる。もちろん駆動装置22でテーブル21を変位させることで、すべてのガラス載置部31nのうちの任意のガラス載置部を光軸11x上に位置づけることができる。
【0026】
(反射部)
黒色の反射部(反射板)40は、テーブル21の下方で、かつ光軸11x上の位置Pにおいて、光軸11xと交叉角θ(例えばθ=45度)で、交叉している。ここで反射部40の反射面40aは、平面をなしている。従って、位置Pでは、入射角および反射角が45度で、反射光の光軸40xがテーブル21と平行する。反射面40aは、例えば反射率2〜4%程度であり、さらに光源15から照射された光ビームを殆どとらえることができる面積を有している(光源15からの光ビーム幅を示す1点鎖線15xおよび15yが何れも反射部40と交叉する)ことが望ましい。
【0027】
(光吸収部)
反射光の光軸40x方向には、光軸40xと直交する低反射率(黒色)の光吸収面50aを有した光吸収部50が配設されており、反射面40aからの反射光は、光吸収部50で殆ど吸収される。光学ガラス検査装置1は、遮光環境下で使用されることが望ましく、図1中で、少なくともテーブル21の下方側の空間は遮光環境とすることが望ましい。なおこのような遮光環境では、反射部40で反射された光は、黒色の遮光幕等(光吸収部として機能する)で殆ど吸収されるから、光吸収部50を省略してもよい。
【0028】
(光学ガラス検査)
光学ガラス検査装置1によるガラス35の検査は以下の手順で行われる。所定の形状にカットされたガラス35は、図示しないピックアップ装置によって、治具30のガラス載置部31nに載置される。次にガラス35を保持した治具30がテーブル21の治具位置決め部21dで規定された位置に搭載される。このときテーブル21に搭載された治具30では、すべてのガラス載置部31nがテーブル開口21cの上方に位置づけられる。
【0029】
検査員(自動検査の場合には図示しない制御装置)は、レンズ11の焦点をガラス35に合わせた状態で、ガラス35の傷、しみ等による像を検出する。このときレンズ11の焦点深度は、浅い方が望ましい。例えばガラス35の表面および裏面を焦点深度の範囲内に含み、反射部40はその範囲外であることが望ましい。
【0030】
傷等の検出は、治具30のガラス載置部31nについて、例えばn=1、2・・・nの順番で行われる。具体的には、駆動装置22によってテーブル21を水平方向で2次元的に変位させることで、すべてのガラス載置部31nを順番に光軸11x上に位置づける。光源15が照射した光ビームは、光軸11xと交叉するガラス載置部31nに、あるいはその近傍の複数のガラス載置部31nに、ほぼ均一に照射される。
【0031】
ガラス35を1枚ごとに検査する場合には、光軸11x上に位置づけられたガラス載置部31nの領域が検査領域となる。光軸11x上に位置づけられたガラス載置部31nおよびその隣接領域の複数のガラス載置部に保持された複数のガラス35を、一度に検査する場合には、これらガラス載置部を含む領域が検査領域となる。なおいずれの検査領域であっても、光源15が照射した光ビームは、検査領域以外に照射されない方が望ましい。
【0032】
傷等の検出は、次のように行われる。検査領域に位置づけられたガラス35に傷やしみがある場合には、これら傷やしみの性状に応じた反射光や散乱光が生じる。これら反射光等を顕微鏡10でとらえて傷等を検査する。または傷等の影像をビデオカメラで映像信号へ変換し、これに所定の処理を施すことで自動的に傷等を検査してもよい。
【0033】
検査領域に位置づけられたガラス35に傷やしみがない場合には、照射された光はガラス35を透過し、治具開口31cおよびテーブル開口21cを通過して反射部40へ到達する。ここで反射面40aは、例えば黒色で反射率が2〜4%程度だから、入射光の殆どを吸収するが、吸収されなかった光は反射光や散乱光となる。ここで反射光は、光軸40xとその近傍を通過して光吸収部50の光吸収面50a(例えば黒色で反射率が2〜4%程度)に到達して吸収される。
【0034】
一方、反射面40aで生じた散乱光は、その一部が検査領域方向に散乱され得る。しかし検査領域方向への散乱光は極めてわずかな光量だから、加えて反射面40aはレンズ11の焦点外にあるから、傷等の検査は妨げられない。
【0035】
光吸収部50で反射または散乱された光で、反射部40および検査領域に向かうものもあり得るが、低反射率の反射面40aおよび光吸収面50aで二度反射等した光の光量は極めて僅かである。加えて反射部40と光吸収部50がレンズ11の焦点外にあるから、こうした反射光や散乱光は傷等の検査の妨げとはならない。
【0036】
なお光吸収面50aと光軸40xとの交叉角を適宜設定して光吸収面50aでの反射方向を検査領域ではない方向(例えば図1中で下方)にしてもよい。光軸40xについても、反射面40aと光軸11xとの交叉角θを45度以下として、テーブル21と遠ざかる方向としてもよい(図1中、下方に向けてもよい。)。
【0037】
なお反射面40aを平面として例示したが、反射面40aを曲面としてもよい。曲面は、微少平面領域の集合と考えることができるから、それらの微少平面領域における反射光の光軸方向に検査領域が配設されていなければよい。
【0038】
(変形例1)
図3は、反射部40の一変形例である反射部41の概略構成を示す図である。反射部41は、略直方体形状をなす黒色の反射部本体42と、反射部本体42の表面42aにV字状に穿設された溝部43n(n=1、2・・)を有している。溝部43nの一方の斜面は黒色の反射面44n、それと相対する他方の斜面は反射面45nが設けられており、何れの反射面も黒色である。ここで反射面44nおよび反射面45nは、表面42aと例えば60度程度で交叉している。
【0039】
反射部41は、テーブル21の下方に配設されて、その表面42aがテーブル21の裏面21bと相対するように位置づけられ、また光軸11xと直交するように位置づけられる。また反射部41の溝部43nは、図1における位置Pで、光源15からの光ビームの殆どをとらえるように位置づけられる。
【0040】
従って、ガラス35を透過し、治具開口31cおよびテーブル開口21cを通過して反射部41へ到達した光は、溝部43nの反射面44nまたは反射面45nで吸収される。ここでわずかな反射光や散乱光が生じ得るが、反射面44nでの反射光等は反射面45nで、反射面45nでの反射光等は反射面44nで、それぞれ殆ど吸収されて、検査領域に戻る光を無視することができる。
【0041】
(変形例2)
図4は、反射部40の他の変形例である反射部41’の概略構成を示す図である。 反射部41’は、略平板形状をなす黒色の反射部本体46と、その表面46aに斜めに立設された反射板47n(n=1、2・・)を有している(例えば反射部本体46と反射板47nとは60度で交叉している。)。反射板47nの一方の斜面は反射面48nとなって、またそれと相対する側の斜面は反射面49nとなっており、何れの反射面も黒色である。
【0042】
反射部41’は、光軸11xと直交し、かつテーブル21の下方に配設されて、反射部本体46の表面46aがテーブル21の裏面21bと相対するように位置づけられる。また反射板47nは、図1における位置Pで、光源15からの光ビームの殆どをとらえるように位置づけられる。ここで反射部本体46を光軸11xにおいて上方から平面視すると、反射部本体46の表面46aが反射板47nで遮られている。
【0043】
従って、ガラス35を透過し、治具開口31cおよびテーブル開口21cを通過して反射部41’へ到達した光は、反射板47nの反射面48nで吸収される。このとき数%の反射光や散乱光が生じるが、反射面48nでの反射光等は反射面49nで吸収される。反射面48nと反射面49nとで2度以上反射された光は、僅かな光量であるが、やがて反射部本体46の表面46aに到達して吸収されるから、検査領域方向に戻る散乱光等を無視することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明にかかる光学ガラス検査装置2(実施例2)について説明する。なお実施例1と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0045】
図5に示すように光吸収部50は、光軸11xと直交し、かつテーブル21の下方に配設されて、その表面50aがテーブル21の裏面21bと相対するように位置づけられている。例えば表面50aは黒色のフェルトによって覆われている。表面50aでは入射した光は、殆ど吸収され、僅かな散乱光が散乱するが、検査領域に戻る光は殆どない。またレンズ11の焦点が光吸収部50から外れているから、散乱光によって傷等の検査が妨げられない。光吸収部50は、テーブル21と平行に配設されてもよいし、あるいはテーブル21に対し傾斜するように配設されてもよい。
【0046】
以上、本発明にかかる光学ガラス検査装置と検査方法について説明したが、本発明は、各実施例の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱することなく変形して実施できるものである。例えば、各実施例では、小型のデジタルカメラ等に使用される小型の光学ガラスを検査対象として説明したが、本発明にかかる光学ガラス検査装置と検査方法は、ガラスの大きさに依存するものではなく、光学ガラス検査装置の寸法を適切に設定することで、例えば平面型映像ディスプレイディバイスの表面を保護するためのガラス等の検査に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかる光学ガラス検査装置は、それを製造、販売および使用等できるものだから、また本発明にかかる光学ガラス検査方法は、光学ガラスの検査において使用できるから、いずれも経済的価値を有して産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0048】
1、2 光学ガラス検査装置
10 顕微鏡(光学系)
11 対物レンズ
11x レンズの光軸(光学系の光軸)
15 光源
21 テーブル(搭載部)
21a テーブルの表面(搭載部の一方側の面)
21b テーブルの裏面(搭載部の他方側の面)
21c テーブル開口(搭載部開口)
22 駆動装置
30 治具
30a 治具の表面
30b 治具の裏面
32 ガラス保持手段
31c 治具開口
31n ガラス載置部
35 光学ガラス(ガラス)
40、41、41’ 反射部
40a 反射面
50 光吸収部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ガラス検査装置であって、
光学ガラスを保持した治具を搭載する搭載部と、
前記搭載部を変位させて、前記搭載部に搭載された治具で保持された前記光学ガラスを所定の検査領域に位置づける駆動装置と、
前記搭載部の一方側から前記検査領域に光を照射する光源と、
前記搭載部の一方側に配設され、前記検査領域に位置づけられた前記光学ガラスからの反射光を検出する光学系と、
前記搭載部の他方側に配設され、その反射面が前記光学系の光軸に対し傾斜した反射部とを有し、前記搭載部がその一方側と他方側とを連通する搭載部開口を有しており、
前記治具として、その表面と裏面とを連通する一または複数の治具開口、および前記治具開口の隣接領域に前記光学ガラスを保持するためのガラス保持手段を有する治具を使用することで、
前記光源から前記検査領域に照射されて、前記光学ガラス、前記治具開口および前記搭載部開口を通過して更に前記反射部に入射して反射する光の反射光の光路が、前記検査領域と交叉しないことを特徴とする光学ガラス検査装置。
【請求項2】
前記反射部の反射面が黒色であることを特徴とする請求項1に記載の光学ガラス検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学ガラス検査装置において、更に前記反射光の光路上に光吸収部を配設したことを特徴とする光学ガラス検査装置。
【請求項4】
光学ガラス検査装置であって、
光学ガラスを保持した治具を搭載する搭載部と、
前記搭載部を変位させて、前記搭載部に搭載された治具で保持された前記光学ガラスを所定の検査領域に位置づける駆動装置と、
前記搭載部の一方側から前記検査領域に光を照射する光源と、
前記搭載部の一方側に配設され、前記検査領域に位置づけられた前記光学ガラスからの反射光を検出する光学系と、
前記搭載部の他方側に配設された光吸収部とを有し、前記搭載部がその一方側と他方側とを連通する搭載部開口を有しており、
前記治具として、その表面と裏面とを連通する一または複数の治具開口、および前記治具開口の隣接領域に前記光学ガラスを保持するためのガラス保持手段を有する治具を使用することで、
前記光源から前記検査領域に照射されて、前記光学ガラス、前記治具開口および前記搭載部開口を通過した光が、前記光吸収部に入射することを特徴とする光学ガラス検査装置。
【請求項5】
光学ガラス検査方法であって、
治具の表面と裏面とを連通する治具開口の隣接領域に設けられたガラス保持手段に光学ガラスを保持させる工程と、
前記治具を、その治具開口が搭載部の搭載部開口と相対するように、搭載部に搭載する工程と、
前記搭載部を変位させて、前記搭載部に搭載された治具で保持された前記光学ガラスを所定の検査領域に位置づける工程と、
前記搭載部の一方側から前記検査領域に光を照射する工程と、
前記検査領域に位置づけられた前記光学ガラスからの反射光または散乱光を、前記搭載部の一方側に配設された光学系で検出する工程とを有しており、
前記検査領域に照射された光で、前記光学ガラスを透過して更に治具開口および搭載部開口を通過した光を、前記搭載部の他方側に配設され、その反射面が前記光学系の光軸に対し傾斜した反射部によって反射させ、この反射光の光路が前記検査領域と交叉させないこと、
または、前記検査領域に照射された光で、前記光学ガラスを透過して更に治具開口および搭載部開口を通過した光を、前記搭載部の他方側に配設された光吸収部によって吸収させることを特徴とする光学ガラス検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−198071(P2012−198071A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61682(P2011−61682)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(511072116)株式会社サンテック (3)
【Fターム(参考)】