光学ディスプレイデバイスおよびその方法
本発明は、光学ディスプレイデバイス、および画像を表示することに用いる方法を提供する。光学ディスプレイデバイスは、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、それによって、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を放出する、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に対する外部電場を生成するために、選択的にアドレス可能であるように構成され、動作可能である電極の配列であって、ナノ構造の前記領域および電極の前記配列は、前記ディスプレイデバイスの画素配列をともに規定する、電極の配列とを備え、前記外部電場は、前記出力電磁放射の放出を選択的に変調するために、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に影響を与え、前記出力電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である、光学ディスプレイデバイスを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ナノ粒子を使用するディスプレイなどの光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットスクリーンディスプレイは、コンピュータ、携帯電話およびテレビセットなどの多種多様の用途で広範囲に使用されている。これらのディスプレイの重要なセグメントは、液晶ディスプレイ(LCD)のセグメントである。LCDは、その少なくとも1つが液晶層である、様々な光学活性膜の複数の層を有する、裏面照射型のスクリーンに基づく。したがって、各画素からの光の透過は、液晶の偏光状態を変更することにより、制御かつ変調され得る。
【0003】
半導体ナノ結晶は、粒子のサイズ、組成および形状を制御することにより広範囲に調節可能である特性を有するナノ材料のクラスに関係する。このクラスの材料の最も明白なサイズ依存の特性の1つは、調節可能な蛍光放出である。この調節可能性は、量子閉じ込め効果によりもたらされ、そこでは、粒子のサイズを縮小することが、「箱の中の粒子」の挙動につながり、結果として、バンドギャップエネルギー、ひいては光放出のブルーシフトとなる。例えば、このようにして、CdSeナノ結晶の発光は、約6.5nmの直径の粒子に関しての660nmから、約2nmの直径の粒子に関しての500nmまで調節され得る。同様の挙動が、(例えばZnSe、CdSを使用する)UVから、(例えばCdSe、InPを使用する)可視部を通って、(例えばInAsを使用する)IR近傍までの広範囲のスペクトルの適用範囲を考慮する、ナノ結晶として製造される場合の、他の半導体に対して実現され得る。LCディスプレイの色調節のための半導体ナノ構造の使用は、特許文献1で示唆されている。
【0004】
ナノ結晶の形状を変更することが、いくつかの半導体システムに対して、最も重要な形状がロッドの形状であるとして説明された。ナノロッドは、球状粒子から修正される特性を示す。例えば、ナノロッドは、長いロッドの軸に沿って偏光される発光を示すが、球状粒子は、無偏光の発光を示す。さらには、ナノロッドは、光学利得での有利な特性を有し、例えば非特許文献1で示されるような、レーザ材料としてのそれらの潜在的な使用方法を示唆する。単一のナノロッドからの発光は、例えば非特許文献2に記載されるように、外部電場のもとで、反転可能に、スイッチオンおよびオフされることが、さらに説明された。
【0005】
コロイド状の半導体ナノ粒子の興味を引く特性は、様々な多様な手段でのそれらの処理を可能にする、それらの化学的な利用しやすさである。粒子は、溶液から堆積され、スピンコートされ、または膜に堆積され、プラスチックに埋め込まれるなどの場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0088225号
【特許文献2】米国特許第5537000号
【特許文献3】米国特許第7200318号
【特許文献4】国際特許出願番号WO05075339または米国特許出願公開第2008/0128761号
【特許文献5】国際特許出願番号WO06134599またはそれより導出される米国特許出願公開第2009/230382号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Baninら、Adv. Mater.、(2002)14、317
【非特許文献2】Baninら、Nano Letters.、(2005)5、1581
【非特許文献3】Bawendiら、Advanced Materials、(2002)14、1068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当業界には、標準的な光学ディスプレイと比較して、より良好なコントラストおよび改善された視角を有する、より大きく、かつより明るいスクリーンを可能にする、新規の光学ディスプレイに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある大局的な態様によれば、光学ディスプレイデバイスであって、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、それによって、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を放出する、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に対する外部電場を生成するために、選択的にアドレス可能であるように構成され、動作可能である電極の配列であって、ナノ構造の前記領域および電極の前記配列は、前記ディスプレイデバイスの画素配列をともに規定する、電極の配列とを備え、前記外部電場は、前記出力電磁放射の放出を選択的に変調するために、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に影響を与え、変調される出力電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力であり、前記画素配列は、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、入力電磁放射の選択的な波長変換および空間変調を実行する、光学ディスプレイデバイスが提供される。
【0010】
このように、本発明は、光学活性であり、発光するナノ粒子/ナノ構造により形成される媒体の光学ディスプレイでの使用を可能にする。これは、光学ディスプレイが、より大きなサイズを、およびより少ない層を有することを可能にし、さらには、標準的な光学ディスプレイと比較して、より良好な色および改善された視角を有する、より明るいスクリーンの構造を可能にする。
【0011】
特に、動作可能状態と非動作可能状態との間での、ナノ粒子のスイッチオンすることおよびスイッチオフすることを可能にする入力電磁放射により(応答して)励起性である、発光するナノ粒子を使用する光学ディスプレイデバイスが提供される。本明細書では、動作可能状態は、(照射後の)ナノ構造の励起、および、光学活性媒体を特徴付けるナノ構造による、電磁放射の後続の放出の状態を指す。活性媒体は、外部電場により影響を受け得るものであり、それにより、ナノ粒子が動作可能状態にあるときは、ナノ粒子の発光の選択的な変調が実現される。
【0012】
一部の実施形態では、ディスプレイデバイスは、電圧源によりアドレス可能である導電性電極の配列間に配列/組織化され、したがって画素のアドレッシングを可能にする、複数のナノ粒子を備える。
【0013】
「活性媒体」という用語は、電磁放射と相互作用可能であり、結果として放射を吸収し、より高いエネルギー準位への電子的、イオン的、または分子的な遷移を誘導し、その結果、それらがより低いエネルギー準位に戻るときに、それらが、放出されるエネルギーを発生させることにより、光学的放射のビームを生成する媒体を示すことが意図されている。
【0014】
「アドレス可能電極」という用語は、ディスプレイの1つの画素を構成する特定の領域に影響を与える局所的な電場の生成を指し、したがって、それが特定の領域に影響を与えることは、制御された方法で行われ得るものであり、一方では、デバイスの他の領域には影響を与えないということを理解されたい。これは、動作可能状態であるときの、一意的に識別可能なナノ粒子領域の変調を実行することを考慮している。
【0015】
ディスプレイデバイスは、例えば、裏面または表面の照射(例えば、UV、または青色などの可視光、ただし他の色もまた可能である)により励起される、直接の発光する実体として、ナノ粒子を使用するフラットスクリーンディスプレイであってよい。ナノ粒子のサイズおよび/または材料組成を調節することが、カラーディスプレイのために必要とされる色を実現する。
【0016】
半導体ナノ構造が、LCディスプレイの色調節のために使用される、特許文献1で示唆されているように、バックライトは変調される(および、ナノ粒子の発光ではない)ことに留意されたい。この技法は、バックライト変調用の液晶を利用する。そのようなシステムでは、画素のアドレッシングは、複雑かつ高価な配列である画素素子のアレイのバックライト照射により実行される。しかしながら、本発明では、発光変調は、外部電場をナノ粒子に印加することにより実現される。印加される外部場は、蛍光放出のクエンチングを引き起こすことができ、例えば、空間的な誘導される電子-正孔分離(すなわち、電荷分離)によって、ディスプレイのルミネセンス強度に影響を与える。
【0017】
外部電場の印加の後で、ナノ粒子は、非帯電のままである。これは、電荷注入が、帯電したナノ粒子の生成をもたらすことを示す、先の報告(非特許文献3)とは逆である。実際には、本発明の技法は、例えば特許文献2および特許文献3で報告されているような、ナノ結晶LEDに対して示されているような、典型的には複雑な手法である電荷注入の手法を必要としない。
【0018】
このように、本発明のナノ粒子画素配列は、バックライト(UVまたはVIS)により照射され得るとともに、光子の発生を引き起こすナノ粒子の励起をもたらし、その発光は制御され得る。この発光が、ディスプレイデバイスの出力である。本発明は、各画素でのこの発光の変調を可能にする。したがって、画像は、電圧を電極に印加することにより表示され得る。
【0019】
「ナノ構造/ナノ粒子」という用語は、好ましくは100nmより小さな、サブミクロンサイズの少なくとも1つの次元を有し、好ましくは、その最長の次元(長さ)として、数μm未満、より好ましくは、400nm未満、または100nm未満のサイズを有する、任意の個別の実体を指す。ナノ粒子のそれぞれは、任意の幾何学的形状を有してよく、対称または不対称であってよい。そのような幾何学的形状の非限定的な例には、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状、または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、量子ドットまたは量子ロッドである。
【0020】
そのようなナノ粒子の特定の例は、細長いナノ粒子(ナノロッドと呼ばれる)であり、それぞれは、(1つまたは複数の半導体を含む)半導体材料で構成される。一部の実施形態では、使用され得る半導体(SC)ナノロッドは、それらの端部の一方または両方に、金属または金属合金の領域を有するものである。そのような細長いSC/金属ナノ粒子およびそれらの製造の方法の例は、例えば、本明細書に参照により組み込まれている特許文献4で与えられる。他の可能な金属ナノ粒子は、例えば、やはり本明細書に参照により組み込まれている特許文献5で開示されている。
【0021】
一部の実施形態では、ナノ構造は、コア/シェルヘテロ構造、ナノロッド、シードロッド(seeded rod)、ドット、コア/マルチシェルドット、および、コア/シェルドットもしくはロッドを含む、コロイド状の半導体ナノ構造、または、コロイド状の半導体ヘテロ構造である。一部の実施形態では、半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である。ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択されてよい。
【0022】
一部の実施形態では、使用されるナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される半導体材料の半導体ナノ構造である。
【0023】
一部の実施形態では、半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である。
【0024】
一部の実施形態では、III-V族の材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0025】
一部の実施形態では、半導体材料は、IV-VI族から選択され、材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0026】
一部の実施形態では、ナノ構造は、上記の半導体の複合構造およびコア/シェル構造の中から選択される。
【0027】
一部の実施形態では、ナノ構造の少なくとも1つの領域は、異方性の、等方性のナノ粒子、およびそれらの混合物の中から選択されるナノ構造を備える。
【0028】
一部の実施形態では、異方性のナノ構造は、相互に対して既定の配向で配列される(例えば、整列される)。さらには、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに対して整列され得る。配向は、ナノ構造が、電極間で発生される電場ベクトルに、実質的に平行に、または直交して整列されるようにであってよい。他の配列もまた、可能である。
【0029】
一部の実施形態では、ナノ構造領域を構成するナノ構造の少なくとも1つは、電荷分離を受けることが可能であるように選択される。
【0030】
本発明のデバイスで使用されるナノ粒子または複数のそれらは、放出される出力電磁放射に影響を与える、少なくとも1つの非対称の特性を有する場合がある。非対称の特性は、非対称の幾何学的形状および不均質な材料分布の少なくとも1つである場合がある。非対称の特性は、例えば、ロッド状の幾何学的形状を形成する細長い構造を有するナノ粒子、すなわちナノロッドを提供するために、ナノ粒子の幾何学的設計を適切に構成することにより実現され得る。そのようなナノロッドは、偏光された光子の放射を放出することにより、入力電磁放射に応答する能力を有することができる。
【0031】
他の実施形態では、非対称の特性は、(半導体材料などの)第1の材料で構成される1つの領域、および(金属または第2のタイプの半導体などの)第2の材料で構成される別の領域を有する、ナノ粒子の不対称な(不均質な)組成に反映される。
【0032】
一部の実施形態では、電極の配列は、平面内である場合がある。これは、1つの平面上にパターン形成された、(例えば、Au、Pt、Al、ITOまたは他の導電性材料で作製される)様々な導電性電極の構成を含む。ナノ粒子は、それらが、電極間の領域もまた占有するように堆積され得る。導電性電極は、画素を規定するために、例えば、光学リソグラフィ、eビームリソグラフィ、蒸着方法、電気化学的方法、またはソフトリソグラフィを使用することにより、基板(例えばガラス、シリコン、プラスチック)上にパターン形成され得る。
【0033】
一部の実施形態では、電極の配列は、1対の導電層を備える。導電層の少なくとも1つは、画素のアレイに対応して、隔置される電極のアレイを規定するためにパターン形成され得る。(例えば、Au、Pt、ITOまたは他の材料で作製される)導電性電極が、基板上にパターン形成され得るとともに、ナノ粒子が、それらの中間に既定の配列で堆積され得る。導電性電極は、画素を規定するために、例えば、光学リソグラフィ、eビームリソグラフィ、蒸着方法、電気化学的方法、またはソフトリソグラフィを使用することにより、基板(例えばガラス、シリコン、プラスチック)上にパターン形成され得る。
【0034】
一部の実施形態では、画素配列は、隔置されるナノ構造を含む領域のアレイを備え、それぞれは、発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なる場合がある。ナノ構造を含む領域のそれぞれの構造は、以下のもの、すなわち、領域内に存在するナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる場合がある。各画素に堆積されるナノ粒子のサイズ、形状および組成の制御により、色調節が可能である。
【0035】
一部の実施形態では、発光するナノ粒子は、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdSロッド、CdSeロッド、CdSeドット、CdSロッド(シードロッド)内のCdSeドット、CdSロッド(シードロッド)内のZnSeドット、CdSe/CdS/ZnSコア/マルチシェルドット、InPドットもしくはロッド、InP/ZnSeコア/シェルドットもしくはロッド、ZnSeドットもしくはロッド、GaPドットもしくはロッド、ならびに他のものから選択される。
【0036】
一部の実施形態では、発光するナノ粒子は、例えば、電場誘導自己組織化(electric field induced self assembly)、低速蒸発(slow evaporation)または他の方法を使用して、電極間に既定の配列(例えば、所定のアライメント)で堆積される。これに関連して、低速蒸発は、基板がナノ粒子を含む溶媒に浸漬される技法であるということに留意されたい。次いで、溶液は、低速で蒸発し、基板の表面上に整列されたロッドを残す。ロッドは、それらの長軸に合わせてリボンの形に、溶液表面の同じ方向に適正に整列する。
【0037】
上記で開示されたように、ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの画素を備える。色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えばCdSeドット、CdSeロッド、CdSロッド内のCdSeドット、CdSロッド内のZnSeドット、CdSe/ZnSロッド、InPドット、InPロッド、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdS…)、緑色(CdSeドット、CdSeロッド、CdSe/ZnSロッド…)および青色(ZnSe、ZnS、ZnSe/ZnSコア/シェルドットまたはロッド、CdS…)で発光する異なるナノ粒子を含む。他の色の基準もまた、必要に応じて実現され得るとともに、近接する4画素以上の異なる色もまた、使用され得る。
【0038】
追加的な層(フィルタ、偏光板…)が、活性媒体(ナノ粒子を含む領域)の上部上に、ディスプレイの要求事項に応じて追加され得る。
【0039】
一部の実施形態では、ディスプレイデバイスは、画素配列の電磁伝搬出力に位置し、ナノ構造の少なくとも1つの領域からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である液晶(LC)配列をさらに備える。したがって、ナノ構造の領域は、LC配列に対して、偏光される、または偏光されない光源として動作可能である。
【0040】
一部の実施形態では、LC配列(LC配列の少なくとも1つの偏光板)は、発光を適切に変調するために、発生される出力電磁放射の偏光方向に応じて配設される。
【0041】
ナノ構造が特定の配向で整列されるとき、(発生される出力電磁放射に面する)LC配列の第1の偏光板は、必要とされず、ディスプレイデバイスの効率(明るさおよび励起損失)を改善する。
【0042】
ディスプレイデバイスは、画素素子のアレイにより形成される画素配列を備え、各画素素子は、ナノ構造を含む領域を含む。ナノ構造を含む領域は、以下のもの、すなわち、前記領域内に存在するナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる。それぞれのナノ構造を含む領域は、発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なり、前記画素配列は、前記LC配列の、偏光され、画素化された光源として動作可能である。
【0043】
ディスプレイデバイスは、ナノ粒子領域の上部上に(すなわち、ナノ粒子領域と液晶の配列との間に)、偏光板、液晶、構造化電極および色フィルタの少なくとも1つを備える層をさらに備えることができる。
【0044】
細長いナノ構造の領域が、相互に対して特定の配向で整列される場合には、それらは、偏光される発光を放出することができ、バックライトの前に配置される偏光板が不要になることに留意されたい。従来から、バックライトの前に配置される偏光板は、無偏光のバックライトの強度で50%を超える損失を発生させ、したがって、同じ強度のバックライトを使用すると、ディスプレイの出力は、はるかに明るい。さらには、ナノ粒子はバックライトにより直接励起されるので、励起光のより効率的な使用が実現される。
【0045】
上記で開示されたような、様々なタイプの発光するナノ粒子が、既定の配列で、例えば、電極間に、例えば、電場誘導自己組織化、低速蒸発または他の方法を使用して堆積され得る。したがって、細長いナノ構造が、特定の方向に整列されて堆積される。
【0046】
一部の実施形態では、ナノ粒子画素配列は、バックライト(UVまたはVIS)により照射され、光子放出を誘導するナノ粒子の励起をもたらす。この発光が、ディスプレイデバイスの出力である。この発光を各画素で変調することは、制御可能である。このように、画像は、偏光の変更に基づくLC光の制御原理により、発光を遮断すること、または部分的に遮断することにより表示され得る。
【0047】
他の実施形態では、ナノ粒子画素配列は、(UVまたはVISの)フロントライトにより(表側から)照射され、光拡散体(すなわち、配光層(distribution layer))が、光を活性媒体領域上に分散させるために、ナノ粒子画素配列の裏側に配置される。配光層は、光反射体で被覆される場合がある。
【0048】
本発明はさらに、そのようなナノ粒子に基づくフレキシブルディスプレイを提供する。
【0049】
本発明の別の大局的な態様によれば、画像を表示することに用いる方法が提供される。この方法は、決まった入力電磁放射による励起において、所定数の波長範囲で電磁放射を放出可能であるナノ構造を提供するステップと、入力電磁放射によりナノ構造を励起するステップであって、それによって、所定数の波長範囲の電磁放射を発生させるステップと、外部電場をナノ構造の少なくとも1つの領域に選択的に印加するステップであって、それによって、発生される電磁放射の変調を選択的に可能にし、したがって、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、入力電磁放射の変調を提供するステップとを含む。
【0050】
一部の実施形態では、ナノ構造は、裏面照射を使用して、入力電磁放射によりナノ構造を照射するステップにより励起される。
【0051】
一部の実施形態では、ナノ構造の以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つが選択され、それによって、各画素において、決まった波長範囲での発生および発光を可能にする。
【0052】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造の少なくとも1つの領域に影響を与える外部電場を選択的に印加するステップを含む。外部電場は、ナノ構造の領域に影響を与える、DC(当技術分野で周知のように、直流)またはAC(当技術分野で周知のように、交流)の電気的な信号/電圧から選択される。AC電圧をナノ構造の少なくとも1つの領域に印加するステップは、正方形状の、または正弦波状の波形を有するAC電圧を印加するステップなどの、AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御するステップを含むことができる。周知のように、AC電圧は、正(+)値と負(-)値との間で絶えず変化する電圧を指す。
【0053】
一部の実施形態では、この方法は、入力電磁放射の振幅を、時間に対して、周期的に変調するステップを含む。この方法はさらに、変調される入力電磁放射の周期を、AC電圧の周期に同期させるステップを含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、ナノ構造は、励起および場の印加に応答して、電荷分離が可能であるように選択される。ナノ構造の幾何学的形状および不均質な材料組成の少なくとも1つは、ロッド状の幾何学的形状を有するナノ構造の少なくとも1つを提供するなど、非対称の特性を有するナノ構造を提供するように適切に構成され得る。
【0055】
電場は、ナノ構造をそれらの間に囲む電極の少なくとも1つの領域の動作により印加され得る。電極の領域は、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するために、基板をパターン形成することにより設けられ得る。
【0056】
一部の実施形態では、様々なタイプの発光するナノ構造が、既定の配列で、電極間に堆積される。
【0057】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造の以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つを選択するステップであって、それによって、各画素において、前記決まった波長範囲での前記発生および発光を可能にするステップを含む。
【0058】
一部の実施形態では、この方法は、それぞれ、赤色の波長範囲、緑色の波長範囲および青色の波長範囲で発光するナノ構造の異なるグループを選択するステップであって、各グループは、異なる画素を形成し、少なくとも3つの画素を近接して配列するステップを含む。
【0059】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造をポリマーで封止するステップ、および/または、ポリマーをナノ構造上で成型するステップにより、ナノ構造を囲むポリマーキャリアを提供するステップを含む。
【0060】
本発明の別の態様によれば、光学ディスプレイデバイスであって、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、前記ナノ構造は、異方性であり、前記ナノ構造は、前記領域に既定の配向で配列され、その結果、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して、出力の偏光される電磁放射を放出し、前記出力の偏光される電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、前記少なくとも1つの画素素子の電磁放射出力の伝搬に位置する液晶(LC)配列であって、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの偏光される電磁放射の透過を変調し、それによって、偏光される光子放出の変調(例えば、ナノ粒子の蛍光変調)を誘導するように構成され、動作可能である、LC配列とを備える光学ディスプレイデバイスが、さらに提供される。例えば、ナノロッドにより放出される偏光された発光は、結晶層により遮断され得る。
【0061】
あるいは、異方性ナノ構造は、既定の配向では配列されず、したがって、出力電磁放射は、偏光されない。この場合には、システムは、ナノ構造から放出される出力の偏光される電磁放射を偏光する偏光板をさらに備える。
【0062】
本発明の別の大局的な態様によれば、ナノ構造のアライメントの方法が提供される。この方法は、複数のナノ構造を2つの基板間に設けるステップと、所定の場のベクトルのACまたはDCの外部場を、基板間の領域に印加するステップであって、それによって、ナノ構造を、電場ベクトルに対して特定の配向で配列するステップとを含む。
【0063】
一部の実施形態では、基板は、導電層と関連する。導電層の少なくとも1つが、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するためにパターン形成され得る。
【0064】
この方法はさらに、ナノ構造を基板の少なくとも1つの領域と相互作用させるステップを含む。ナノ構造は、基板の領域上に堆積され得る。基板は、ナノ構造および溶媒を含む溶液で濡らされ得る。次いで、溶媒が、任意に電場を印加するステップの間に蒸発させられ得るとともに、それによって、ナノ構造のアライメントを基板の表面上にもたらす。
【0065】
別の実施形態では、外部電場を隔置される電極に印加するステップは、DC電圧またはAC電圧を印加するステップを含む。AC電圧の周波数および波形のパラメータは、例えば、正方形状波形を有するAC電圧を印加することにより制御され得る。
【0066】
一部の実施形態では、細長いナノ粒子は、電場の向きの線に平行に整列される。これは、例えば、外部電場のもとでナノロッドを自己組織化させることにより、低速蒸発により、または他の好適な技法を使用することにより実現される。アライメント層または機械的なアライメントの使用もまた、可能である。例えば、機械的なアライメントは、ナノ粒子の膜をビロードの布で穏やかにラビングすることにより実現され得る。ナノ粒子は、ラビングの方向で整列する。
【0067】
本発明を理解し、それが実際にどのように実行され得るかを確認するために、次に、非限定的な例のみによって、添付図面を参照して、実施形態が記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】本発明のディスプレイデバイスでの、ディスプレイデバイスへの外部電場の印加の前の、1つの画素の動作の概略図である。
【図1B】本発明のディスプレイデバイスでの、ディスプレイデバイスへの外部電場の印加の後の、1つの画素の動作の概略図である。
【図2A】ディスプレイデバイスの全体的な構造の概略図である。
【図2B】ディスプレイデバイスの全体的な構造の概略図であり、特に、中央の活性媒体からの3つの画素の拡大図である。
【図3A】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3B】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3C】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3D】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3E】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3F】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図4】60nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の吸収および光ルミネセンスを表す。
【図5A】電極間のロッドのアライメントを表し、特に、2つの金電極間に整列される、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のSEM画像である。
【図5B】電極間のロッドのアライメントを表し、特に、溶媒蒸発を使用して2つの金電極間に整列される、40nmのCdSeロッドのSEM画像である。
【図6A】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6B】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6C】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6D】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図7A】CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の変調を表し、特に、表に示されるような、電極に印加される様々なDC電圧に対する光ルミネセンス強度を表すグラフであり、光ルミネセンス強度が表される。
【図7B】CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の変調を表し、測定7および8の蛍光画像を表す。
【図8】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図9】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図10】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図11】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図12】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図13】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図14】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図15】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図16A】整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像である。
【図16B】整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像である。
【図17】電圧に対する、27nmの緑色を放出するCdSe/CdSナノロッドの蛍光平均強度を表す。
【図18】400V pk-pkのACを8kHzで使用する、75×5.5nmのCdSe/CdSロッドのいくつかの連続する変調の測定での蛍光強度を表す。
【図19】入力電磁放射と、本発明の活性媒体に影響を与える電場との間の同期を表す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の教示による、ディスプレイデバイスおよびその動作の全体的な概略図を示す、図1Aおよび1Bに対する参照が行われる。この特定の図では、1つの画素の光学ディスプレイデバイス100が表されるが、これは、光学ディスプレイデバイスで使用される複数画素の配列の1つの画素とみなされ得ることを理解されたい。
【0070】
光学ディスプレイデバイス100は、電極の配列を規定する2つの導電層102の間に配設されるナノ構造104の光学活性媒体を備える。ナノ構造104の光学活性媒体は、入力電磁放射(例えば照射)106に応答して、出力電磁放射108(光子の放射)を発生させる。(例えば、電極の配列に対する電圧供給の結果としての)外部電場Eが、図1Bで示されるように、電極102の対の間に印加され、ナノ構造からの発光を変調し、さらには、クエンチする(すなわち、スイッチオフする)ことができる。電極間の外部電場ベクトルEは、黒い矢印により示される。外部場の印加は、例えば、空間的な誘導される電子-正孔分離(本明細書では「電荷分離」と呼ばれる効果)によって、蛍光放出のクエンチングを引き起こすことができる。この過程は、ルミネセンス強度に著しい影響を与える。
【0071】
上述のように、本発明のディスプレイデバイスは、例えば、裏面または表面の光(例えば、UVまたは可視光)により励起される、直接の発光する実体として、ナノ構造を使用する。ナノ粒子のサイズおよび組成を調節することが、カラーディスプレイのために必要とされる色を実現する。さらには、ナノ粒子が構造的に細長い、例えばナノロッドの形である場合は、それらは、色変調効果を実現または調節するように整列され得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、電極間の電場に対して既定の方法で配列され、例えば、それらは、電極に平行に、または直交して整列される。他の配列もまた、可能である。
【0072】
様々なタイプの発光するナノ粒子(例えばCdSe/CdSロッド、ZnSe/CdSロッド、CdSeロッド、CdSeドット、InPドットまたはロッド等)が、あらかじめ取り決められた方法で、例えば、電極間に、例えば、電場誘導自己組織化、低速蒸発または他の方法を使用して堆積され得る。ナノ構造は、特定の方向に整列されて堆積され得る。画素内のナノ粒子は、入力電磁放射(例えばバックライトのUVまたはVIS)により照射される。入力電磁放射は、光子放出により緩和される光学活性媒体での励起を生成する。この発光が、ディスプレイデバイスからの出力である。
【0073】
ディスプレイデバイスは、ナノ構造の光学(励起性)活性媒体の領域に加えて、偏光板、液晶、構造化電極および色フィルタの層などの要素の1つまたは複数を備えることができる。これらの追加的な要素は、ナノ構造により放出される放射の光学経路内にあることになる、ナノ構造を含む領域の上部に位置する。
【0074】
ディスプレイデバイスおよびその動作の全体的な側面図を示す、図2Aおよび2Bに対する参照が行われる。層106は、ディスプレイデバイス100の活性媒体が、それに対して露光される照射体を表す。これは、光源自体、または、入力電磁放射を透過する光学ウィンドウである場合がある。入力電磁放射を発生させる光源は、システムの一部であってよい。あるいは、外部光源が、本発明のシステムとともに使用される場合がある。したがって、ディスプレイデバイス100は、以下でさらに記載されることになるように、照射体と、本発明の一部の実施形態で使用されるフィルタおよび/または液晶層などの、追加的な1つまたは複数の要素112との間に収容される。ディスプレイデバイス100は、ナノ構造の活性媒体領域および電極を含む。図2Bは、3つの画素の配列により形成されるディスプレイ100の部分の拡大図である。画素配列部分は、異なる色を放出する3つの隔置される画素(すなわちセル)を含む(これらは、ディスプレイの画素のRGBサブピクセルの典型的な配列であり、そのようなサブピクセルの数は、所望の色組成に従って変動し得る)。本出願で使用されるナノ粒子の多様性は、可視スペクトル全体にわたり、NIR(近赤外)の表示が求められるならば、さらにNIRの範囲に及ぶ。この特定の例では、色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えばCdSeドット、CdSeロッド、CdSロッド内のCdSeドット、CdSロッド内のZnSeドット、CdSe/ZnSロッド、InPドット、InPロッド、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdS…)、緑色(CdSeドット、CdSeロッド、CdSe/ZnSロッド…)および青色(ZnSe、ZnS、ZnSe/ZnSコア/シェルドットまたはロッド、CdS…)の波長範囲で発光するナノ粒子の異なるグループを含む。他の色の基準もまた、必要に応じて実現され得るとともに、近接する4画素以上の異なる色もまた、使用され得る。
【0075】
色調節を可能にするために使用され得るとともに、以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および/または材料組成の少なくとも1つで異なり、各画素に入れられ得る、様々なタイプのナノ粒子を示す、図3Aから3Fに対する参照が行われる。そのような様々なタイプのナノ粒子およびそれらのパラメータは、適切に選択され、それによって、各画素内で決まった波長範囲での発生および発光を可能にする。光学ディスプレイデバイスで使用されるナノ構造は、湿式化学法により製造され得る。図3Aから3Fは、本発明の教示による、選択されたナノ構造の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。より具体的には、図3Aは、610nmで発光する、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子を示し、図3Bは、590nmで発光する、3.7nmのCdSeドットを示し、図3Cは、730で発光する、25nmのInPロッドを示し、図3Dは、590nmで発光する、50nmの、CdSロッド内のZnSeドットのナノ粒子を示し、図3Eは、400nmで発光する、3.7nmのZnSeドットを示し、図3Fは、620nmで発光する、25nmのCdSe/ZnSを示す。
【0076】
ナノ粒子の吸収および光ルミネセンスのスペクトルの例が、図4に示される。図4は、60nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の吸収(実線)および光ルミネセンス(破線)を示す。光ルミネセンスの特徴は、狭い(FWHM=約25nm)。吸収は、励起子(より大きな波長での第1のピーク)で開始する連続的なものであり、その光学密度は、より小さな波長で増加する。これは、様々な放出色に対する、バックライト照射の広範囲の使用を可能にする。さらには、放出ピークは、狭く、したがって、ディスプレイでの高い色コントラストを可能にする。
【0077】
電極間のロッドのアライメントを示す、図5Aおよび5Bに対する参照が行われる。特に、図5Aは、AC電場を使用して整列されるロッドのSEM画像である。次いで、ディスプレイの基板の表面は、ナノ結晶で被覆される。この特定の例では、ロッドは、2つの金電極102の間で整列される、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子である。電極102は、写真の上部および底部に確認される白い筋である。電極は、eビームリソグラフィ(または光学リソグラフィ、または他の方法)を使用して、金で作製され得る。ナノ構造は、自己組織化堆積法(self-assembly deposition technique)を使用して、電極間の領域に堆積される。より具体的には、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子を含むトルエン溶液の液滴が、シリコン基板上に堆積され、AC電圧を電極に印加している間に乾燥させられる。ロッドの大部分は、電極の長軸方向に垂直に、および、AC電圧を電極に印加することにより形成される電場の方向(黒い矢印)に平行に整列する。
【0078】
図5Bは、溶媒蒸発を使用して2つの金電極102の間に整列される、40nmのCdSeロッドのSEM画像である。ロッドは、電極に対して垂直に、および溶媒蒸発の方向(白い矢印)に整列する。この例では、アライメントは、低速蒸発を使用して実行される。シリコン基板は、トルエンに溶解された40nmのCdSeロッドの溶液を含むバイアルに挿入された。溶液は、低速に蒸発し(約4日)、基板の表面上に整列されたロッドを残す。ロッドは、それらの長軸に合わせてリボンの形に(すなわち、リボン状の構造を形成して)、溶液表面の同じ方向に適正に整列する。
【0079】
SEMの他にロッドのアライメントを明示する別の方法は、画素からの発光の偏光の程度を測定することによるものである。ロッドの発光はその長軸の方向で偏光されるので、整列されるロッドのアレイからの発光は、偏光された光を放出することを理解されたい。
【0080】
これに関連して、アライメントによるナノ構造の偏光された蛍光を示す、図6Aから6Dに対する参照が行われる。図は、CCDカメラの前に配置される偏光板を用いて撮影された、シリコン基板上の、長さが90nmで、電場を使用して整列された、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光のCCD画像を示す。偏光板の方向は、囲まれた白い矢印により示される。
【0081】
特に、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の図6Aから6Dの写真は、偏光板を用いて撮影されている。低速蒸発を使用してシリコン基板上に堆積される、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光が測定される。図6Aおよび図6Bでは、ロッドは、アライメントのための電場の印加のもとで、溶液から電極の上および中間に堆積される。このように、ロッドを伴う溶液が、基板の表面全体に堆積され、溶媒蒸発の後で、ロッドは、場が印加される場合は、電極間の隙間の中でのみ整列する。アライメント方向は、黒い矢印により示され、ロッド方向とも呼ばれる。より白い区域が、より強い蛍光を示す。図6Aでは、隙間区域(電極間の領域)がほとんど見られないが、図6Bでは、偏光板がロッドのアライメントに直交しているので、隙間が明確に知覚される(中間の暗い区域)。したがって、偏光板が、隙間内の整列されるロッドの全体的な方向(黒い矢印)に垂直であるときは、電極間の隙間はより暗い(図6Bを参照)。図6Aでの隙間区域の強度は、図6Bのそれよりも30%明るい。
【0082】
図6Cおよび図6Dでは、蒸発の方法を使用して、整列されたロッドが堆積された基板の同じ領域からの、2つの直交する偏光での発光が比較される。図6Dでは、偏光板がロッド方向に直交している場合は、区域全体は、図6Cでの同じ区域と比較して暗い。図6C(蒸発方向に平行な偏光)での蛍光強度は、図6D(蒸発方向に直交する偏光)のそれよりも、3倍大きい。
【0083】
本発明のディスプレイデバイスの蛍光の変調を示す、図7Aおよび7Bに対する参照が行われる。長さが90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子が、AC電圧を使用してガラス基板上に整列された。図6Aおよび6Bで確認されるように、ロッドは、電極間の隙間内で整列する。ロッドは、ガラス基板上の金電極間に堆積される。電極間の隙間は、6μmである。各測定では、右側の表に示されるように、様々なDC電圧が、電極に印加される。光ルミネセンス強度は、デバイスの劣化に対して補正かつ正規化される。画素が、連続する変調/スイッチングの後で動作可能状態にあるときは、デバイスの劣化は、典型的には、蛍光放出の低減である。「オン」(電圧が印加されない)の場合と「オフ」(電圧が印加される)の場合との間での蛍光強度は、100Vより上では、50%を超えるほど変化する。
【0084】
図7Bは、測定7および8の蛍光画像を示す。
【0085】
様々なディスプレイの構成が、図8から14に関連して以下で記載されるように、垂直な、または平面内の電極を用いて可能である。追加的な層(色フィルタ、偏光板…)が、活性媒体領域の上部上に、ディスプレイの要求事項に応じて追加され得る。各構成では、活性媒体領域は、入力電磁放射により励起される。活性媒体領域は、外部電場により変調されるナノ構造を含む。
【0086】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図8に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス200は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプまたはLEDのUV源2により照射される。ディスプレイデバイス200は、少なくとも1対の電極3(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、ナノロッドなどの光放出ナノ粒子を含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する保護層5を備える。
【0087】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図9に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス300は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプまたはLEDのUV源2により照射される。ディスプレイデバイス300は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。電極3および5は、電磁放射伝搬を透過させるために透明であってよい。
【0088】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図10に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス400は、UV放出蛍光ランプもしくはLED1のようなUV光源1、ならびに、UV配光のための光拡散体2により照射される。ディスプレイデバイス400は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0089】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図11に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス500は、表側からディスプレイデバイス500を照射する、UV放出蛍光ランプもしくはLED1のようなUV光源1、ならびに、裏側でのUV配光層のための光拡散体2により照射される。UV配光層は、光反射体2aで被覆される。ディスプレイデバイス500は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0090】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図12に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス600は、配光のための反射バックライト拡散体1、およびナノ粒子により放出される光子放出の反射により照射される。ディスプレイデバイス600は、構造化電極2および5、活性媒体領域3(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、UV光を、ナノ構造を含む領域3に放出する、例えばUV蛍光ランプもしくはLEDのUV源4、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0091】
本発明のディスプレイデバイス700の可能な構成の例を示す、図13に対する参照が行われる。この構成では、活性媒体3(例えば、ナノロッドを含む光放出膜)は、各電極対が、特定の波長範囲(例えば、光の色)に対応する特定のサイズのナノ粒子を含むことができる、活性媒体の1つの領域をアドレスしているように構造化される、2つの構造化電極1と4との間に囲まれる。活性媒体のアドレスされる領域は、カラーマトリクスの発光を形成するように発光する。構造化活性媒体3は、透明キャリア膜2上に配列され得る。
【0092】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図14に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス800は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプもしくはLEDのUV源2により照射され、構造化電極3および5、活性媒体4(例えば構造化領域)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備え、これに、液晶(LC)層7(例えば、従来のアクティブまたはパッシブマトリクスの液晶ディスプレイ)が続く。ディスプレイデバイス800は、液晶層7に対する、偏光されたバックライト源として動作可能である。液晶層7は、電極3と5との間に囲まれる活性媒体4により規定される、画素配列の電磁伝搬出力に位置する。液晶層7は、活性媒体4からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である。活性媒体4の、および液晶層7の画素配列は、発生/放出される光の色が、液晶層7の画素の色に対応するように配列される。この構成を使用することは、既存の液晶ディスプレイと比較して、高いコントラスト比を実現することを可能にする。
【0093】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図15に対する参照が行われる。この構成では、光学ディスプレイデバイス900は、バックライト1に露光される。ディスプレイデバイス900は、画素配列を形成する活性媒体2および液晶配列3を備える。可能な偏光板および/またはフィルタが、(活性媒体領域2と液晶の配列3との間の)活性媒体2の上部上に配置され得る。
【0094】
活性媒体2は、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域を備える。光学活性媒体としてのナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を発生させる。ナノ構造は、ロッド状の幾何学的形状(例えばナノロッド)を有し、それに応じて、任意に偏光され得る入力電磁放射に応答して、特定の偏光の出力電磁放射を発生させる。
【0095】
出力の偏光された電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である。したがって、活性媒体2は、偏光される光源として動作可能である。活性媒体2はさらに、電場に対して決まったアライメント(配向)で基板上に組織化されるナノロッドにより形成され得るとともに、それによって、放出される放射のコントラストを改善する。
【0096】
図15のこの特定の例では、液晶配列3は、少なくとも1つの画素素子の電磁放射出力の伝搬に位置する、少なくとも1つの液晶層を備える。LC層3は、LCモジュレータスクリーン配列を形成する。LC配列は、ナノ構造2の前記領域からの偏光された電磁放射の透過を変調するように構成され、動作可能である。このように、LC層は、例えば、画素素子に対して光子放出の変調される光伝搬の状況を実現するためのモジュレータとして使用され得る。LC層は、光モジュレータとして動作可能であり、ナノ構造配列は、そのようなLCモジュレータに対して、偏光され、画素化された光源を提供する。このように、液晶の(LCの)1つまたは複数の層が、活性媒体3の領域の上部上に堆積される。入力電磁放射(バックライト1)に対するナノロッド2の露光の後で、ナノロッド2は、変調される、すなわち、LC配列3により遮断される、部分的に遮断される、または透過される、出力の偏光された電磁放射(偏光された光)を発生させる。追加的な偏光板4が、任意に設けられ得る。これに関連して、本発明の一部の実施形態の教示によれば、LC配列は、ナノ構造ベースの活性媒体により発生かつ放出される電磁放射出力を受け取るように構成されて使用され得ることを理解されたい。したがって、ナノ構造領域は、バックライト伝搬に関して、LC配列の上流(前または下方)に位置する。したがって、LC配列の入力は、ナノ構造領域の発光である(そして、偏光板を通って透過されるバックライトではない)。このことは、ディスプレイデバイスの出力が、同じ強度の電磁放射の露光を使用する従来のディスプレイデバイスでよりも、著しく明るいという結果になる。
【0097】
上述のように、本発明の教示によれば、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列され得る。ナノ構造のアライメントは、DCまたはACの電場などの外部場を使用することにより実行され得る。これに関連して、外部AC電場を使用することによる、ナノ構造(この例ではナノロッド)のアライメントを示す、図16Aおよび16Bに対する参照が行われる。ここでは、トルエンに溶解された60nmのCdSe/CdS赤色放出ナノ構造が、隙間が15μmのくし型電極上にドロップキャストされる。液滴が蒸発する間に、50kHzでの8Vrms/μmの正弦波状波形が、電極に印加される。
【0098】
図16Aおよび16Bは、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより発生される、偏光された電磁放射(例えば蛍光)の、偏光板(偏光板は、CCDカメラの前に配置される)を通して撮影されたCCD画像である。偏光板の方向は、白い矢印により示される。ナノ構造のアライメント方向は、黒い矢印により示され、ロッド方向と呼ばれる。電極は、黒い長方形として見える。
【0099】
図16Aでは、偏光板は、ロッドのアライメント(すなわち、整列されたロッドの全体的な方向)に平行に配置され、電極間の明るい区域により示される、偏光板による、ナノ構造によって発生される出力放射の透過をもたらす。より白い区域は、より強い蛍光を示す。
【0100】
図16Bでは、偏光板は、ロッドのアライメントに直交して配置され、電極間の灰色の区域により示される、偏光板による、ナノ構造によって発生される出力放射の遮断をもたらす。
【0101】
図16Aでの隙間区域の強度は、図16Bのそれよりも4.7倍明るい。電極間のナノロッドの濃度は、2OD(光学密度)を超える。
【0102】
この例では、ナノ構造を含む溶液が、基板上にドロップキャストされる。電場の印加のもとで、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに応じて整列する。
【0103】
上述のように、ナノ構造は、出力電磁放射の放出を選択的に変調するように、外部電場により影響を受け得る。外部場は、DCまたはACの電場であってよい。AC電場が使用されるとき、周波数および変調モード(例えば、正弦波状、正方形、三角形、パルス等)などの追加的なパラメータが、規定されなければならない(異なる信号は、異なるスイッチング応答を招くことになる)。
【0104】
正方形波形のAC電圧に関する電圧に対する、(正規化された)蛍光平均強度を示す、図17に対する参照が行われる。図17は、強度(ナノロッド蛍光強度)が、AC電圧の上昇とともに徐々に減少することを示す。この例では、2kHzの正方形信号を印加する間に、27nmの緑色放出CdSe/CdSナノロッドの蛍光が測定される。ナノロッドは、隙間が10μmのくし型電極上にドロップキャストされた。
【0105】
偏光板がロッド方向に平行であるときに電極の領域内で測定される蛍光強度と、偏光板がロッド方向に垂直であるときに測定されるそれとの間の比である偏光比(PR)は、3であった。強度は、電圧の上昇とともに徐々に減少する。図17では、蛍光強度の減少が、偏光板がナノロッド方向に平行であるときの平行偏光(菱形の点)、および、偏光板がナノロッド方向に垂直であるときの垂直偏光(正方形の点)の、偏光の両方の構成に対して測定されている。平行の構成では、蛍光強度は、電圧が950V(pk-pk)に持ち上げられるときに78%だけ減少し、垂直の構成では、蛍光強度は、電圧が950V(pk-pk)に持ち上げられるときに58%だけ減少する。単一の偏光強度の変調の重み付け平均である全体の強度は、初期の偏光比が3であるので、72%だけ減少する。全体の蛍光強度の減少は、印加される電場とのナノロッドの相互作用が、平行の構成では、より強いということを示す。
【0106】
蛍光強度の変調は、再現性を証明するために、複数の連続する測定で、さらに測定された。図18は、8kHzの400V pk-pkのAC電圧を使用する、75×5.5nmのCdSe/CdSロッドの高い強度と低い強度との間での、繰り返される発光変調を示す。パターン形成された電極のタイプは、隙間が5μmの長方形の形状を有する。この例でのPR比は、1.2である。54%のスイッチング強度が、19回を超える測定に対して再現可能であることが見出された。
【0107】
DC電場の代わりにAC電場を使用することは、AC電圧の信号形状(波形)および周波数パラメータを制御する可能性を与える。正方形状波形の代わりに正弦波状波形を使用する、AC信号の正方形状波形の変調よりも小さな変調深度を有する正弦波状波形の変調は、1サイクルの間に、ナノロッドが、より低い場の値で影響を受けるということを意味するということを理解されたい。420Vppの2kHzの正弦波状波形信号を正方形波形に変更することは、測定されるスイッチングレベルを、それぞれ、20%から32%に改善する。正方形状波形は、正弦波状波形を有するAC信号よりも大きな変調深度を有する波形変調に適用される。
【0108】
単一極の電場(例えばDC)が、ナノ構造領域からの出力電磁放射の放出を選択的に変調するために使用されるときに、ナノ構造は、電極間を移動する可能性があることを理解されたい。交番極性電場(AC)を使用することは、この問題を解決することを可能にする。
【0109】
さらには、上述のように、正弦波状波形信号での電場は、長時間はその最高値にはないので、正弦波状波形の入力電気信号は、正方形状波形信号より効率的でない。変調の応答時間は、マイクロ秒の程度であり、さらに高速であるので、特に電気入力信号のゼロクロッシング領域の付近では、出力電磁放射は、効率的にスイッチオフされない。
【0110】
電場が、サイクルの大部分の時間の間、最高値で印加される場合は、最大限の光の減衰が保たれるが、それでもなお、ナノ構造の移動の影響を解決しない。
【0111】
しかしながら、電場の2つの極性の間の遷移は、画素の実効的なコンデンサ抵抗のRC定数により、有限の時間を必要とする。したがって、遷移時間は、例えば高速の電子回路を使用することにより、入力電気信号のサイクル時間と比較して最小化され得る。あるいは、電気駆動のサイクル時間が、より長くされる場合がある。しかしながら、長いサイクル時間は、サイクル周期の時間範囲を定める極性のスイッチングの移動のつり合わせを低下させる。活性媒体領域に印加される電場のレートは、表示レート(すなわちリフレッシュレート)(例えば120Hz)からはるかに速く(例えば50kHz)あるべきである。
【0112】
一部の実施形態では、入力電磁放射は変調され、入力電磁放射の変調の周期は、AC電圧の周期に同期される。より具体的には、入力電磁放射は、図19に示されるように、電場信号がゼロ軸を横切るときに、入力電磁放射がスイッチオフされるように変調され得る。(変調される励起光により表される)入力電磁放射、および、本発明の活性媒体に影響を与える、(正方形波により表される)外部電場の周期間の同期を表す、図19に対する参照が行われる。
【0113】
蛍光強度の低下もまた、AC信号を使用することにより改善された。8kHzの周波数に対しては、蛍光強度の低下は小さかった(1.1%未満)。同様に、200Hzより上の周波数は、非常に弱い低下の特徴を示す。
【0114】
蛍光変調は、整列されないナノロッド膜に対しても見られた。典型的には、整列されないナノロッド膜に関する蛍光変調は、整列された膜のそれよりも50%〜60%小さかった。
【0115】
一部の実施形態では、ナノ構造を囲む、それらを環境から保護するためのポリマーキャリアが提供される。ポリマーキャリアは、ナノ構造を封止することができる。典型的な封止手順では、ポリマー溶液が、ナノロッド膜上に、1000〜4000rpmで10〜60秒の間、スピンコートされた。典型的なポリマー層の厚さは、100〜1000μmである。封止は、ナノロッドの酸化を防止し、安定性および耐久性を向上させる。あるいは、ポリマーは、適切な成型機を使用して、膜で成型される場合がある。この場合には、ポリマーの最終的な厚さは、型に挿入されるポリマー溶液の量により決定される。次いで、ポリマーは、熱、UV光での照射、開始材料(initiation material)、もしくは他を用いた、またはそれらを用いない溶媒の蒸発により硬化される。型で援助される封止を使用することは、ポリマーの封止の無制限の厚さを可能にする。
【符号の説明】
【0116】
1 バックライト拡散体、LED、UV光源、反射バックライト拡散体、構造化電極、バックライト
2 UV源、光拡散体、構造化電極、透明キャリア膜、活性媒体、活性媒体領域、ナノ構造、ナノロッド
2a 光反射体
3 電極、活性媒体領域、ナノ構造を含む領域、活性媒体、構造化活性媒体、構造化電極、液晶配列、LC層、LC配列
4 活性媒体領域、UV源、構造化電極、活性媒体、偏光板
5 保護層、電極、構造化電極
6 層
7 液晶(LC)層、液晶層
100 光学ディスプレイデバイス、ディスプレイデバイス、ディスプレイ
102 導電層、電極、金電極
104 ナノ構造
106 入力電磁放射、層
108 出力電磁放射
112 要素
200、300、400、500、600、700、800 ディスプレイデバイス
900 光学ディスプレイデバイス、ディスプレイデバイス
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ナノ粒子を使用するディスプレイなどの光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットスクリーンディスプレイは、コンピュータ、携帯電話およびテレビセットなどの多種多様の用途で広範囲に使用されている。これらのディスプレイの重要なセグメントは、液晶ディスプレイ(LCD)のセグメントである。LCDは、その少なくとも1つが液晶層である、様々な光学活性膜の複数の層を有する、裏面照射型のスクリーンに基づく。したがって、各画素からの光の透過は、液晶の偏光状態を変更することにより、制御かつ変調され得る。
【0003】
半導体ナノ結晶は、粒子のサイズ、組成および形状を制御することにより広範囲に調節可能である特性を有するナノ材料のクラスに関係する。このクラスの材料の最も明白なサイズ依存の特性の1つは、調節可能な蛍光放出である。この調節可能性は、量子閉じ込め効果によりもたらされ、そこでは、粒子のサイズを縮小することが、「箱の中の粒子」の挙動につながり、結果として、バンドギャップエネルギー、ひいては光放出のブルーシフトとなる。例えば、このようにして、CdSeナノ結晶の発光は、約6.5nmの直径の粒子に関しての660nmから、約2nmの直径の粒子に関しての500nmまで調節され得る。同様の挙動が、(例えばZnSe、CdSを使用する)UVから、(例えばCdSe、InPを使用する)可視部を通って、(例えばInAsを使用する)IR近傍までの広範囲のスペクトルの適用範囲を考慮する、ナノ結晶として製造される場合の、他の半導体に対して実現され得る。LCディスプレイの色調節のための半導体ナノ構造の使用は、特許文献1で示唆されている。
【0004】
ナノ結晶の形状を変更することが、いくつかの半導体システムに対して、最も重要な形状がロッドの形状であるとして説明された。ナノロッドは、球状粒子から修正される特性を示す。例えば、ナノロッドは、長いロッドの軸に沿って偏光される発光を示すが、球状粒子は、無偏光の発光を示す。さらには、ナノロッドは、光学利得での有利な特性を有し、例えば非特許文献1で示されるような、レーザ材料としてのそれらの潜在的な使用方法を示唆する。単一のナノロッドからの発光は、例えば非特許文献2に記載されるように、外部電場のもとで、反転可能に、スイッチオンおよびオフされることが、さらに説明された。
【0005】
コロイド状の半導体ナノ粒子の興味を引く特性は、様々な多様な手段でのそれらの処理を可能にする、それらの化学的な利用しやすさである。粒子は、溶液から堆積され、スピンコートされ、または膜に堆積され、プラスチックに埋め込まれるなどの場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0088225号
【特許文献2】米国特許第5537000号
【特許文献3】米国特許第7200318号
【特許文献4】国際特許出願番号WO05075339または米国特許出願公開第2008/0128761号
【特許文献5】国際特許出願番号WO06134599またはそれより導出される米国特許出願公開第2009/230382号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Baninら、Adv. Mater.、(2002)14、317
【非特許文献2】Baninら、Nano Letters.、(2005)5、1581
【非特許文献3】Bawendiら、Advanced Materials、(2002)14、1068
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当業界には、標準的な光学ディスプレイと比較して、より良好なコントラストおよび改善された視角を有する、より大きく、かつより明るいスクリーンを可能にする、新規の光学ディスプレイに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある大局的な態様によれば、光学ディスプレイデバイスであって、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、それによって、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を放出する、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に対する外部電場を生成するために、選択的にアドレス可能であるように構成され、動作可能である電極の配列であって、ナノ構造の前記領域および電極の前記配列は、前記ディスプレイデバイスの画素配列をともに規定する、電極の配列とを備え、前記外部電場は、前記出力電磁放射の放出を選択的に変調するために、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に影響を与え、変調される出力電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力であり、前記画素配列は、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、入力電磁放射の選択的な波長変換および空間変調を実行する、光学ディスプレイデバイスが提供される。
【0010】
このように、本発明は、光学活性であり、発光するナノ粒子/ナノ構造により形成される媒体の光学ディスプレイでの使用を可能にする。これは、光学ディスプレイが、より大きなサイズを、およびより少ない層を有することを可能にし、さらには、標準的な光学ディスプレイと比較して、より良好な色および改善された視角を有する、より明るいスクリーンの構造を可能にする。
【0011】
特に、動作可能状態と非動作可能状態との間での、ナノ粒子のスイッチオンすることおよびスイッチオフすることを可能にする入力電磁放射により(応答して)励起性である、発光するナノ粒子を使用する光学ディスプレイデバイスが提供される。本明細書では、動作可能状態は、(照射後の)ナノ構造の励起、および、光学活性媒体を特徴付けるナノ構造による、電磁放射の後続の放出の状態を指す。活性媒体は、外部電場により影響を受け得るものであり、それにより、ナノ粒子が動作可能状態にあるときは、ナノ粒子の発光の選択的な変調が実現される。
【0012】
一部の実施形態では、ディスプレイデバイスは、電圧源によりアドレス可能である導電性電極の配列間に配列/組織化され、したがって画素のアドレッシングを可能にする、複数のナノ粒子を備える。
【0013】
「活性媒体」という用語は、電磁放射と相互作用可能であり、結果として放射を吸収し、より高いエネルギー準位への電子的、イオン的、または分子的な遷移を誘導し、その結果、それらがより低いエネルギー準位に戻るときに、それらが、放出されるエネルギーを発生させることにより、光学的放射のビームを生成する媒体を示すことが意図されている。
【0014】
「アドレス可能電極」という用語は、ディスプレイの1つの画素を構成する特定の領域に影響を与える局所的な電場の生成を指し、したがって、それが特定の領域に影響を与えることは、制御された方法で行われ得るものであり、一方では、デバイスの他の領域には影響を与えないということを理解されたい。これは、動作可能状態であるときの、一意的に識別可能なナノ粒子領域の変調を実行することを考慮している。
【0015】
ディスプレイデバイスは、例えば、裏面または表面の照射(例えば、UV、または青色などの可視光、ただし他の色もまた可能である)により励起される、直接の発光する実体として、ナノ粒子を使用するフラットスクリーンディスプレイであってよい。ナノ粒子のサイズおよび/または材料組成を調節することが、カラーディスプレイのために必要とされる色を実現する。
【0016】
半導体ナノ構造が、LCディスプレイの色調節のために使用される、特許文献1で示唆されているように、バックライトは変調される(および、ナノ粒子の発光ではない)ことに留意されたい。この技法は、バックライト変調用の液晶を利用する。そのようなシステムでは、画素のアドレッシングは、複雑かつ高価な配列である画素素子のアレイのバックライト照射により実行される。しかしながら、本発明では、発光変調は、外部電場をナノ粒子に印加することにより実現される。印加される外部場は、蛍光放出のクエンチングを引き起こすことができ、例えば、空間的な誘導される電子-正孔分離(すなわち、電荷分離)によって、ディスプレイのルミネセンス強度に影響を与える。
【0017】
外部電場の印加の後で、ナノ粒子は、非帯電のままである。これは、電荷注入が、帯電したナノ粒子の生成をもたらすことを示す、先の報告(非特許文献3)とは逆である。実際には、本発明の技法は、例えば特許文献2および特許文献3で報告されているような、ナノ結晶LEDに対して示されているような、典型的には複雑な手法である電荷注入の手法を必要としない。
【0018】
このように、本発明のナノ粒子画素配列は、バックライト(UVまたはVIS)により照射され得るとともに、光子の発生を引き起こすナノ粒子の励起をもたらし、その発光は制御され得る。この発光が、ディスプレイデバイスの出力である。本発明は、各画素でのこの発光の変調を可能にする。したがって、画像は、電圧を電極に印加することにより表示され得る。
【0019】
「ナノ構造/ナノ粒子」という用語は、好ましくは100nmより小さな、サブミクロンサイズの少なくとも1つの次元を有し、好ましくは、その最長の次元(長さ)として、数μm未満、より好ましくは、400nm未満、または100nm未満のサイズを有する、任意の個別の実体を指す。ナノ粒子のそれぞれは、任意の幾何学的形状を有してよく、対称または不対称であってよい。そのような幾何学的形状の非限定的な例には、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状、または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、量子ドットまたは量子ロッドである。
【0020】
そのようなナノ粒子の特定の例は、細長いナノ粒子(ナノロッドと呼ばれる)であり、それぞれは、(1つまたは複数の半導体を含む)半導体材料で構成される。一部の実施形態では、使用され得る半導体(SC)ナノロッドは、それらの端部の一方または両方に、金属または金属合金の領域を有するものである。そのような細長いSC/金属ナノ粒子およびそれらの製造の方法の例は、例えば、本明細書に参照により組み込まれている特許文献4で与えられる。他の可能な金属ナノ粒子は、例えば、やはり本明細書に参照により組み込まれている特許文献5で開示されている。
【0021】
一部の実施形態では、ナノ構造は、コア/シェルヘテロ構造、ナノロッド、シードロッド(seeded rod)、ドット、コア/マルチシェルドット、および、コア/シェルドットもしくはロッドを含む、コロイド状の半導体ナノ構造、または、コロイド状の半導体ヘテロ構造である。一部の実施形態では、半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である。ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択されてよい。
【0022】
一部の実施形態では、使用されるナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される半導体材料の半導体ナノ構造である。
【0023】
一部の実施形態では、半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である。
【0024】
一部の実施形態では、III-V族の材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0025】
一部の実施形態では、半導体材料は、IV-VI族から選択され、材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0026】
一部の実施形態では、ナノ構造は、上記の半導体の複合構造およびコア/シェル構造の中から選択される。
【0027】
一部の実施形態では、ナノ構造の少なくとも1つの領域は、異方性の、等方性のナノ粒子、およびそれらの混合物の中から選択されるナノ構造を備える。
【0028】
一部の実施形態では、異方性のナノ構造は、相互に対して既定の配向で配列される(例えば、整列される)。さらには、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに対して整列され得る。配向は、ナノ構造が、電極間で発生される電場ベクトルに、実質的に平行に、または直交して整列されるようにであってよい。他の配列もまた、可能である。
【0029】
一部の実施形態では、ナノ構造領域を構成するナノ構造の少なくとも1つは、電荷分離を受けることが可能であるように選択される。
【0030】
本発明のデバイスで使用されるナノ粒子または複数のそれらは、放出される出力電磁放射に影響を与える、少なくとも1つの非対称の特性を有する場合がある。非対称の特性は、非対称の幾何学的形状および不均質な材料分布の少なくとも1つである場合がある。非対称の特性は、例えば、ロッド状の幾何学的形状を形成する細長い構造を有するナノ粒子、すなわちナノロッドを提供するために、ナノ粒子の幾何学的設計を適切に構成することにより実現され得る。そのようなナノロッドは、偏光された光子の放射を放出することにより、入力電磁放射に応答する能力を有することができる。
【0031】
他の実施形態では、非対称の特性は、(半導体材料などの)第1の材料で構成される1つの領域、および(金属または第2のタイプの半導体などの)第2の材料で構成される別の領域を有する、ナノ粒子の不対称な(不均質な)組成に反映される。
【0032】
一部の実施形態では、電極の配列は、平面内である場合がある。これは、1つの平面上にパターン形成された、(例えば、Au、Pt、Al、ITOまたは他の導電性材料で作製される)様々な導電性電極の構成を含む。ナノ粒子は、それらが、電極間の領域もまた占有するように堆積され得る。導電性電極は、画素を規定するために、例えば、光学リソグラフィ、eビームリソグラフィ、蒸着方法、電気化学的方法、またはソフトリソグラフィを使用することにより、基板(例えばガラス、シリコン、プラスチック)上にパターン形成され得る。
【0033】
一部の実施形態では、電極の配列は、1対の導電層を備える。導電層の少なくとも1つは、画素のアレイに対応して、隔置される電極のアレイを規定するためにパターン形成され得る。(例えば、Au、Pt、ITOまたは他の材料で作製される)導電性電極が、基板上にパターン形成され得るとともに、ナノ粒子が、それらの中間に既定の配列で堆積され得る。導電性電極は、画素を規定するために、例えば、光学リソグラフィ、eビームリソグラフィ、蒸着方法、電気化学的方法、またはソフトリソグラフィを使用することにより、基板(例えばガラス、シリコン、プラスチック)上にパターン形成され得る。
【0034】
一部の実施形態では、画素配列は、隔置されるナノ構造を含む領域のアレイを備え、それぞれは、発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なる場合がある。ナノ構造を含む領域のそれぞれの構造は、以下のもの、すなわち、領域内に存在するナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる場合がある。各画素に堆積されるナノ粒子のサイズ、形状および組成の制御により、色調節が可能である。
【0035】
一部の実施形態では、発光するナノ粒子は、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdSロッド、CdSeロッド、CdSeドット、CdSロッド(シードロッド)内のCdSeドット、CdSロッド(シードロッド)内のZnSeドット、CdSe/CdS/ZnSコア/マルチシェルドット、InPドットもしくはロッド、InP/ZnSeコア/シェルドットもしくはロッド、ZnSeドットもしくはロッド、GaPドットもしくはロッド、ならびに他のものから選択される。
【0036】
一部の実施形態では、発光するナノ粒子は、例えば、電場誘導自己組織化(electric field induced self assembly)、低速蒸発(slow evaporation)または他の方法を使用して、電極間に既定の配列(例えば、所定のアライメント)で堆積される。これに関連して、低速蒸発は、基板がナノ粒子を含む溶媒に浸漬される技法であるということに留意されたい。次いで、溶液は、低速で蒸発し、基板の表面上に整列されたロッドを残す。ロッドは、それらの長軸に合わせてリボンの形に、溶液表面の同じ方向に適正に整列する。
【0037】
上記で開示されたように、ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの画素を備える。色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えばCdSeドット、CdSeロッド、CdSロッド内のCdSeドット、CdSロッド内のZnSeドット、CdSe/ZnSロッド、InPドット、InPロッド、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdS…)、緑色(CdSeドット、CdSeロッド、CdSe/ZnSロッド…)および青色(ZnSe、ZnS、ZnSe/ZnSコア/シェルドットまたはロッド、CdS…)で発光する異なるナノ粒子を含む。他の色の基準もまた、必要に応じて実現され得るとともに、近接する4画素以上の異なる色もまた、使用され得る。
【0038】
追加的な層(フィルタ、偏光板…)が、活性媒体(ナノ粒子を含む領域)の上部上に、ディスプレイの要求事項に応じて追加され得る。
【0039】
一部の実施形態では、ディスプレイデバイスは、画素配列の電磁伝搬出力に位置し、ナノ構造の少なくとも1つの領域からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である液晶(LC)配列をさらに備える。したがって、ナノ構造の領域は、LC配列に対して、偏光される、または偏光されない光源として動作可能である。
【0040】
一部の実施形態では、LC配列(LC配列の少なくとも1つの偏光板)は、発光を適切に変調するために、発生される出力電磁放射の偏光方向に応じて配設される。
【0041】
ナノ構造が特定の配向で整列されるとき、(発生される出力電磁放射に面する)LC配列の第1の偏光板は、必要とされず、ディスプレイデバイスの効率(明るさおよび励起損失)を改善する。
【0042】
ディスプレイデバイスは、画素素子のアレイにより形成される画素配列を備え、各画素素子は、ナノ構造を含む領域を含む。ナノ構造を含む領域は、以下のもの、すなわち、前記領域内に存在するナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる。それぞれのナノ構造を含む領域は、発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なり、前記画素配列は、前記LC配列の、偏光され、画素化された光源として動作可能である。
【0043】
ディスプレイデバイスは、ナノ粒子領域の上部上に(すなわち、ナノ粒子領域と液晶の配列との間に)、偏光板、液晶、構造化電極および色フィルタの少なくとも1つを備える層をさらに備えることができる。
【0044】
細長いナノ構造の領域が、相互に対して特定の配向で整列される場合には、それらは、偏光される発光を放出することができ、バックライトの前に配置される偏光板が不要になることに留意されたい。従来から、バックライトの前に配置される偏光板は、無偏光のバックライトの強度で50%を超える損失を発生させ、したがって、同じ強度のバックライトを使用すると、ディスプレイの出力は、はるかに明るい。さらには、ナノ粒子はバックライトにより直接励起されるので、励起光のより効率的な使用が実現される。
【0045】
上記で開示されたような、様々なタイプの発光するナノ粒子が、既定の配列で、例えば、電極間に、例えば、電場誘導自己組織化、低速蒸発または他の方法を使用して堆積され得る。したがって、細長いナノ構造が、特定の方向に整列されて堆積される。
【0046】
一部の実施形態では、ナノ粒子画素配列は、バックライト(UVまたはVIS)により照射され、光子放出を誘導するナノ粒子の励起をもたらす。この発光が、ディスプレイデバイスの出力である。この発光を各画素で変調することは、制御可能である。このように、画像は、偏光の変更に基づくLC光の制御原理により、発光を遮断すること、または部分的に遮断することにより表示され得る。
【0047】
他の実施形態では、ナノ粒子画素配列は、(UVまたはVISの)フロントライトにより(表側から)照射され、光拡散体(すなわち、配光層(distribution layer))が、光を活性媒体領域上に分散させるために、ナノ粒子画素配列の裏側に配置される。配光層は、光反射体で被覆される場合がある。
【0048】
本発明はさらに、そのようなナノ粒子に基づくフレキシブルディスプレイを提供する。
【0049】
本発明の別の大局的な態様によれば、画像を表示することに用いる方法が提供される。この方法は、決まった入力電磁放射による励起において、所定数の波長範囲で電磁放射を放出可能であるナノ構造を提供するステップと、入力電磁放射によりナノ構造を励起するステップであって、それによって、所定数の波長範囲の電磁放射を発生させるステップと、外部電場をナノ構造の少なくとも1つの領域に選択的に印加するステップであって、それによって、発生される電磁放射の変調を選択的に可能にし、したがって、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、入力電磁放射の変調を提供するステップとを含む。
【0050】
一部の実施形態では、ナノ構造は、裏面照射を使用して、入力電磁放射によりナノ構造を照射するステップにより励起される。
【0051】
一部の実施形態では、ナノ構造の以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つが選択され、それによって、各画素において、決まった波長範囲での発生および発光を可能にする。
【0052】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造の少なくとも1つの領域に影響を与える外部電場を選択的に印加するステップを含む。外部電場は、ナノ構造の領域に影響を与える、DC(当技術分野で周知のように、直流)またはAC(当技術分野で周知のように、交流)の電気的な信号/電圧から選択される。AC電圧をナノ構造の少なくとも1つの領域に印加するステップは、正方形状の、または正弦波状の波形を有するAC電圧を印加するステップなどの、AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御するステップを含むことができる。周知のように、AC電圧は、正(+)値と負(-)値との間で絶えず変化する電圧を指す。
【0053】
一部の実施形態では、この方法は、入力電磁放射の振幅を、時間に対して、周期的に変調するステップを含む。この方法はさらに、変調される入力電磁放射の周期を、AC電圧の周期に同期させるステップを含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、ナノ構造は、励起および場の印加に応答して、電荷分離が可能であるように選択される。ナノ構造の幾何学的形状および不均質な材料組成の少なくとも1つは、ロッド状の幾何学的形状を有するナノ構造の少なくとも1つを提供するなど、非対称の特性を有するナノ構造を提供するように適切に構成され得る。
【0055】
電場は、ナノ構造をそれらの間に囲む電極の少なくとも1つの領域の動作により印加され得る。電極の領域は、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するために、基板をパターン形成することにより設けられ得る。
【0056】
一部の実施形態では、様々なタイプの発光するナノ構造が、既定の配列で、電極間に堆積される。
【0057】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造の以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つを選択するステップであって、それによって、各画素において、前記決まった波長範囲での前記発生および発光を可能にするステップを含む。
【0058】
一部の実施形態では、この方法は、それぞれ、赤色の波長範囲、緑色の波長範囲および青色の波長範囲で発光するナノ構造の異なるグループを選択するステップであって、各グループは、異なる画素を形成し、少なくとも3つの画素を近接して配列するステップを含む。
【0059】
一部の実施形態では、この方法は、ナノ構造をポリマーで封止するステップ、および/または、ポリマーをナノ構造上で成型するステップにより、ナノ構造を囲むポリマーキャリアを提供するステップを含む。
【0060】
本発明の別の態様によれば、光学ディスプレイデバイスであって、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、前記ナノ構造は、異方性であり、前記ナノ構造は、前記領域に既定の配向で配列され、その結果、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して、出力の偏光される電磁放射を放出し、前記出力の偏光される電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、前記少なくとも1つの画素素子の電磁放射出力の伝搬に位置する液晶(LC)配列であって、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの偏光される電磁放射の透過を変調し、それによって、偏光される光子放出の変調(例えば、ナノ粒子の蛍光変調)を誘導するように構成され、動作可能である、LC配列とを備える光学ディスプレイデバイスが、さらに提供される。例えば、ナノロッドにより放出される偏光された発光は、結晶層により遮断され得る。
【0061】
あるいは、異方性ナノ構造は、既定の配向では配列されず、したがって、出力電磁放射は、偏光されない。この場合には、システムは、ナノ構造から放出される出力の偏光される電磁放射を偏光する偏光板をさらに備える。
【0062】
本発明の別の大局的な態様によれば、ナノ構造のアライメントの方法が提供される。この方法は、複数のナノ構造を2つの基板間に設けるステップと、所定の場のベクトルのACまたはDCの外部場を、基板間の領域に印加するステップであって、それによって、ナノ構造を、電場ベクトルに対して特定の配向で配列するステップとを含む。
【0063】
一部の実施形態では、基板は、導電層と関連する。導電層の少なくとも1つが、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するためにパターン形成され得る。
【0064】
この方法はさらに、ナノ構造を基板の少なくとも1つの領域と相互作用させるステップを含む。ナノ構造は、基板の領域上に堆積され得る。基板は、ナノ構造および溶媒を含む溶液で濡らされ得る。次いで、溶媒が、任意に電場を印加するステップの間に蒸発させられ得るとともに、それによって、ナノ構造のアライメントを基板の表面上にもたらす。
【0065】
別の実施形態では、外部電場を隔置される電極に印加するステップは、DC電圧またはAC電圧を印加するステップを含む。AC電圧の周波数および波形のパラメータは、例えば、正方形状波形を有するAC電圧を印加することにより制御され得る。
【0066】
一部の実施形態では、細長いナノ粒子は、電場の向きの線に平行に整列される。これは、例えば、外部電場のもとでナノロッドを自己組織化させることにより、低速蒸発により、または他の好適な技法を使用することにより実現される。アライメント層または機械的なアライメントの使用もまた、可能である。例えば、機械的なアライメントは、ナノ粒子の膜をビロードの布で穏やかにラビングすることにより実現され得る。ナノ粒子は、ラビングの方向で整列する。
【0067】
本発明を理解し、それが実際にどのように実行され得るかを確認するために、次に、非限定的な例のみによって、添付図面を参照して、実施形態が記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】本発明のディスプレイデバイスでの、ディスプレイデバイスへの外部電場の印加の前の、1つの画素の動作の概略図である。
【図1B】本発明のディスプレイデバイスでの、ディスプレイデバイスへの外部電場の印加の後の、1つの画素の動作の概略図である。
【図2A】ディスプレイデバイスの全体的な構造の概略図である。
【図2B】ディスプレイデバイスの全体的な構造の概略図であり、特に、中央の活性媒体からの3つの画素の拡大図である。
【図3A】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3B】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3C】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3D】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3E】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図3F】本発明のディスプレイデバイスの光学活性媒体のナノ粒子のTEM画像である。
【図4】60nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の吸収および光ルミネセンスを表す。
【図5A】電極間のロッドのアライメントを表し、特に、2つの金電極間に整列される、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のSEM画像である。
【図5B】電極間のロッドのアライメントを表し、特に、溶媒蒸発を使用して2つの金電極間に整列される、40nmのCdSeロッドのSEM画像である。
【図6A】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6B】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6C】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図6D】アライメントによる、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像を示す。
【図7A】CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の変調を表し、特に、表に示されるような、電極に印加される様々なDC電圧に対する光ルミネセンス強度を表すグラフであり、光ルミネセンス強度が表される。
【図7B】CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の変調を表し、測定7および8の蛍光画像を表す。
【図8】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図9】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図10】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図11】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図12】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図13】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図14】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図15】本発明のディスプレイデバイスの配列の可能な構成である。
【図16A】整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像である。
【図16B】整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光の、偏光板を通して撮影されたCCD画像である。
【図17】電圧に対する、27nmの緑色を放出するCdSe/CdSナノロッドの蛍光平均強度を表す。
【図18】400V pk-pkのACを8kHzで使用する、75×5.5nmのCdSe/CdSロッドのいくつかの連続する変調の測定での蛍光強度を表す。
【図19】入力電磁放射と、本発明の活性媒体に影響を与える電場との間の同期を表す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の教示による、ディスプレイデバイスおよびその動作の全体的な概略図を示す、図1Aおよび1Bに対する参照が行われる。この特定の図では、1つの画素の光学ディスプレイデバイス100が表されるが、これは、光学ディスプレイデバイスで使用される複数画素の配列の1つの画素とみなされ得ることを理解されたい。
【0070】
光学ディスプレイデバイス100は、電極の配列を規定する2つの導電層102の間に配設されるナノ構造104の光学活性媒体を備える。ナノ構造104の光学活性媒体は、入力電磁放射(例えば照射)106に応答して、出力電磁放射108(光子の放射)を発生させる。(例えば、電極の配列に対する電圧供給の結果としての)外部電場Eが、図1Bで示されるように、電極102の対の間に印加され、ナノ構造からの発光を変調し、さらには、クエンチする(すなわち、スイッチオフする)ことができる。電極間の外部電場ベクトルEは、黒い矢印により示される。外部場の印加は、例えば、空間的な誘導される電子-正孔分離(本明細書では「電荷分離」と呼ばれる効果)によって、蛍光放出のクエンチングを引き起こすことができる。この過程は、ルミネセンス強度に著しい影響を与える。
【0071】
上述のように、本発明のディスプレイデバイスは、例えば、裏面または表面の光(例えば、UVまたは可視光)により励起される、直接の発光する実体として、ナノ構造を使用する。ナノ粒子のサイズおよび組成を調節することが、カラーディスプレイのために必要とされる色を実現する。さらには、ナノ粒子が構造的に細長い、例えばナノロッドの形である場合は、それらは、色変調効果を実現または調節するように整列され得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、電極間の電場に対して既定の方法で配列され、例えば、それらは、電極に平行に、または直交して整列される。他の配列もまた、可能である。
【0072】
様々なタイプの発光するナノ粒子(例えばCdSe/CdSロッド、ZnSe/CdSロッド、CdSeロッド、CdSeドット、InPドットまたはロッド等)が、あらかじめ取り決められた方法で、例えば、電極間に、例えば、電場誘導自己組織化、低速蒸発または他の方法を使用して堆積され得る。ナノ構造は、特定の方向に整列されて堆積され得る。画素内のナノ粒子は、入力電磁放射(例えばバックライトのUVまたはVIS)により照射される。入力電磁放射は、光子放出により緩和される光学活性媒体での励起を生成する。この発光が、ディスプレイデバイスからの出力である。
【0073】
ディスプレイデバイスは、ナノ構造の光学(励起性)活性媒体の領域に加えて、偏光板、液晶、構造化電極および色フィルタの層などの要素の1つまたは複数を備えることができる。これらの追加的な要素は、ナノ構造により放出される放射の光学経路内にあることになる、ナノ構造を含む領域の上部に位置する。
【0074】
ディスプレイデバイスおよびその動作の全体的な側面図を示す、図2Aおよび2Bに対する参照が行われる。層106は、ディスプレイデバイス100の活性媒体が、それに対して露光される照射体を表す。これは、光源自体、または、入力電磁放射を透過する光学ウィンドウである場合がある。入力電磁放射を発生させる光源は、システムの一部であってよい。あるいは、外部光源が、本発明のシステムとともに使用される場合がある。したがって、ディスプレイデバイス100は、以下でさらに記載されることになるように、照射体と、本発明の一部の実施形態で使用されるフィルタおよび/または液晶層などの、追加的な1つまたは複数の要素112との間に収容される。ディスプレイデバイス100は、ナノ構造の活性媒体領域および電極を含む。図2Bは、3つの画素の配列により形成されるディスプレイ100の部分の拡大図である。画素配列部分は、異なる色を放出する3つの隔置される画素(すなわちセル)を含む(これらは、ディスプレイの画素のRGBサブピクセルの典型的な配列であり、そのようなサブピクセルの数は、所望の色組成に従って変動し得る)。本出願で使用されるナノ粒子の多様性は、可視スペクトル全体にわたり、NIR(近赤外)の表示が求められるならば、さらにNIRの範囲に及ぶ。この特定の例では、色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えばCdSeドット、CdSeロッド、CdSロッド内のCdSeドット、CdSロッド内のZnSeドット、CdSe/ZnSロッド、InPドット、InPロッド、CdSe/CdSロッド、ZnSe/CdS…)、緑色(CdSeドット、CdSeロッド、CdSe/ZnSロッド…)および青色(ZnSe、ZnS、ZnSe/ZnSコア/シェルドットまたはロッド、CdS…)の波長範囲で発光するナノ粒子の異なるグループを含む。他の色の基準もまた、必要に応じて実現され得るとともに、近接する4画素以上の異なる色もまた、使用され得る。
【0075】
色調節を可能にするために使用され得るとともに、以下のパラメータ、すなわち、サイズ、形状および/または材料組成の少なくとも1つで異なり、各画素に入れられ得る、様々なタイプのナノ粒子を示す、図3Aから3Fに対する参照が行われる。そのような様々なタイプのナノ粒子およびそれらのパラメータは、適切に選択され、それによって、各画素内で決まった波長範囲での発生および発光を可能にする。光学ディスプレイデバイスで使用されるナノ構造は、湿式化学法により製造され得る。図3Aから3Fは、本発明の教示による、選択されたナノ構造の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。より具体的には、図3Aは、610nmで発光する、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子を示し、図3Bは、590nmで発光する、3.7nmのCdSeドットを示し、図3Cは、730で発光する、25nmのInPロッドを示し、図3Dは、590nmで発光する、50nmの、CdSロッド内のZnSeドットのナノ粒子を示し、図3Eは、400nmで発光する、3.7nmのZnSeドットを示し、図3Fは、620nmで発光する、25nmのCdSe/ZnSを示す。
【0076】
ナノ粒子の吸収および光ルミネセンスのスペクトルの例が、図4に示される。図4は、60nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の吸収(実線)および光ルミネセンス(破線)を示す。光ルミネセンスの特徴は、狭い(FWHM=約25nm)。吸収は、励起子(より大きな波長での第1のピーク)で開始する連続的なものであり、その光学密度は、より小さな波長で増加する。これは、様々な放出色に対する、バックライト照射の広範囲の使用を可能にする。さらには、放出ピークは、狭く、したがって、ディスプレイでの高い色コントラストを可能にする。
【0077】
電極間のロッドのアライメントを示す、図5Aおよび5Bに対する参照が行われる。特に、図5Aは、AC電場を使用して整列されるロッドのSEM画像である。次いで、ディスプレイの基板の表面は、ナノ結晶で被覆される。この特定の例では、ロッドは、2つの金電極102の間で整列される、90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子である。電極102は、写真の上部および底部に確認される白い筋である。電極は、eビームリソグラフィ(または光学リソグラフィ、または他の方法)を使用して、金で作製され得る。ナノ構造は、自己組織化堆積法(self-assembly deposition technique)を使用して、電極間の領域に堆積される。より具体的には、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子を含むトルエン溶液の液滴が、シリコン基板上に堆積され、AC電圧を電極に印加している間に乾燥させられる。ロッドの大部分は、電極の長軸方向に垂直に、および、AC電圧を電極に印加することにより形成される電場の方向(黒い矢印)に平行に整列する。
【0078】
図5Bは、溶媒蒸発を使用して2つの金電極102の間に整列される、40nmのCdSeロッドのSEM画像である。ロッドは、電極に対して垂直に、および溶媒蒸発の方向(白い矢印)に整列する。この例では、アライメントは、低速蒸発を使用して実行される。シリコン基板は、トルエンに溶解された40nmのCdSeロッドの溶液を含むバイアルに挿入された。溶液は、低速に蒸発し(約4日)、基板の表面上に整列されたロッドを残す。ロッドは、それらの長軸に合わせてリボンの形に(すなわち、リボン状の構造を形成して)、溶液表面の同じ方向に適正に整列する。
【0079】
SEMの他にロッドのアライメントを明示する別の方法は、画素からの発光の偏光の程度を測定することによるものである。ロッドの発光はその長軸の方向で偏光されるので、整列されるロッドのアレイからの発光は、偏光された光を放出することを理解されたい。
【0080】
これに関連して、アライメントによるナノ構造の偏光された蛍光を示す、図6Aから6Dに対する参照が行われる。図は、CCDカメラの前に配置される偏光板を用いて撮影された、シリコン基板上の、長さが90nmで、電場を使用して整列された、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより放出される光のCCD画像を示す。偏光板の方向は、囲まれた白い矢印により示される。
【0081】
特に、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光の図6Aから6Dの写真は、偏光板を用いて撮影されている。低速蒸発を使用してシリコン基板上に堆積される、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子の蛍光が測定される。図6Aおよび図6Bでは、ロッドは、アライメントのための電場の印加のもとで、溶液から電極の上および中間に堆積される。このように、ロッドを伴う溶液が、基板の表面全体に堆積され、溶媒蒸発の後で、ロッドは、場が印加される場合は、電極間の隙間の中でのみ整列する。アライメント方向は、黒い矢印により示され、ロッド方向とも呼ばれる。より白い区域が、より強い蛍光を示す。図6Aでは、隙間区域(電極間の領域)がほとんど見られないが、図6Bでは、偏光板がロッドのアライメントに直交しているので、隙間が明確に知覚される(中間の暗い区域)。したがって、偏光板が、隙間内の整列されるロッドの全体的な方向(黒い矢印)に垂直であるときは、電極間の隙間はより暗い(図6Bを参照)。図6Aでの隙間区域の強度は、図6Bのそれよりも30%明るい。
【0082】
図6Cおよび図6Dでは、蒸発の方法を使用して、整列されたロッドが堆積された基板の同じ領域からの、2つの直交する偏光での発光が比較される。図6Dでは、偏光板がロッド方向に直交している場合は、区域全体は、図6Cでの同じ区域と比較して暗い。図6C(蒸発方向に平行な偏光)での蛍光強度は、図6D(蒸発方向に直交する偏光)のそれよりも、3倍大きい。
【0083】
本発明のディスプレイデバイスの蛍光の変調を示す、図7Aおよび7Bに対する参照が行われる。長さが90nmの、CdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子が、AC電圧を使用してガラス基板上に整列された。図6Aおよび6Bで確認されるように、ロッドは、電極間の隙間内で整列する。ロッドは、ガラス基板上の金電極間に堆積される。電極間の隙間は、6μmである。各測定では、右側の表に示されるように、様々なDC電圧が、電極に印加される。光ルミネセンス強度は、デバイスの劣化に対して補正かつ正規化される。画素が、連続する変調/スイッチングの後で動作可能状態にあるときは、デバイスの劣化は、典型的には、蛍光放出の低減である。「オン」(電圧が印加されない)の場合と「オフ」(電圧が印加される)の場合との間での蛍光強度は、100Vより上では、50%を超えるほど変化する。
【0084】
図7Bは、測定7および8の蛍光画像を示す。
【0085】
様々なディスプレイの構成が、図8から14に関連して以下で記載されるように、垂直な、または平面内の電極を用いて可能である。追加的な層(色フィルタ、偏光板…)が、活性媒体領域の上部上に、ディスプレイの要求事項に応じて追加され得る。各構成では、活性媒体領域は、入力電磁放射により励起される。活性媒体領域は、外部電場により変調されるナノ構造を含む。
【0086】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図8に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス200は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプまたはLEDのUV源2により照射される。ディスプレイデバイス200は、少なくとも1対の電極3(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、ナノロッドなどの光放出ナノ粒子を含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する保護層5を備える。
【0087】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図9に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス300は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプまたはLEDのUV源2により照射される。ディスプレイデバイス300は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。電極3および5は、電磁放射伝搬を透過させるために透明であってよい。
【0088】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図10に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス400は、UV放出蛍光ランプもしくはLED1のようなUV光源1、ならびに、UV配光のための光拡散体2により照射される。ディスプレイデバイス400は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0089】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図11に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス500は、表側からディスプレイデバイス500を照射する、UV放出蛍光ランプもしくはLED1のようなUV光源1、ならびに、裏側でのUV配光層のための光拡散体2により照射される。UV配光層は、光反射体2aで被覆される。ディスプレイデバイス500は、少なくとも1対の電極3および5(例えば、構造化電極配列)、活性媒体領域4(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0090】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図12に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス600は、配光のための反射バックライト拡散体1、およびナノ粒子により放出される光子放出の反射により照射される。ディスプレイデバイス600は、構造化電極2および5、活性媒体領域3(例えば、光放出ナノロッドを含む光放出素子膜)、UV光を、ナノ構造を含む領域3に放出する、例えばUV蛍光ランプもしくはLEDのUV源4、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備える。
【0091】
本発明のディスプレイデバイス700の可能な構成の例を示す、図13に対する参照が行われる。この構成では、活性媒体3(例えば、ナノロッドを含む光放出膜)は、各電極対が、特定の波長範囲(例えば、光の色)に対応する特定のサイズのナノ粒子を含むことができる、活性媒体の1つの領域をアドレスしているように構造化される、2つの構造化電極1と4との間に囲まれる。活性媒体のアドレスされる領域は、カラーマトリクスの発光を形成するように発光する。構造化活性媒体3は、透明キャリア膜2上に配列され得る。
【0092】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図14に対する参照が行われる。この構成では、ディスプレイデバイス800は、UV配光のためのバックライト拡散体1、例えばUV蛍光ランプもしくはLEDのUV源2により照射され、構造化電極3および5、活性媒体4(例えば構造化領域)、ならびに、可視範囲では透明であり、UV範囲では反射する、もしくは吸収する層6を備え、これに、液晶(LC)層7(例えば、従来のアクティブまたはパッシブマトリクスの液晶ディスプレイ)が続く。ディスプレイデバイス800は、液晶層7に対する、偏光されたバックライト源として動作可能である。液晶層7は、電極3と5との間に囲まれる活性媒体4により規定される、画素配列の電磁伝搬出力に位置する。液晶層7は、活性媒体4からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である。活性媒体4の、および液晶層7の画素配列は、発生/放出される光の色が、液晶層7の画素の色に対応するように配列される。この構成を使用することは、既存の液晶ディスプレイと比較して、高いコントラスト比を実現することを可能にする。
【0093】
本発明のディスプレイデバイスの可能な構成の例を示す、図15に対する参照が行われる。この構成では、光学ディスプレイデバイス900は、バックライト1に露光される。ディスプレイデバイス900は、画素配列を形成する活性媒体2および液晶配列3を備える。可能な偏光板および/またはフィルタが、(活性媒体領域2と液晶の配列3との間の)活性媒体2の上部上に配置され得る。
【0094】
活性媒体2は、光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域を備える。光学活性媒体としてのナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を発生させる。ナノ構造は、ロッド状の幾何学的形状(例えばナノロッド)を有し、それに応じて、任意に偏光され得る入力電磁放射に応答して、特定の偏光の出力電磁放射を発生させる。
【0095】
出力の偏光された電磁放射は、ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である。したがって、活性媒体2は、偏光される光源として動作可能である。活性媒体2はさらに、電場に対して決まったアライメント(配向)で基板上に組織化されるナノロッドにより形成され得るとともに、それによって、放出される放射のコントラストを改善する。
【0096】
図15のこの特定の例では、液晶配列3は、少なくとも1つの画素素子の電磁放射出力の伝搬に位置する、少なくとも1つの液晶層を備える。LC層3は、LCモジュレータスクリーン配列を形成する。LC配列は、ナノ構造2の前記領域からの偏光された電磁放射の透過を変調するように構成され、動作可能である。このように、LC層は、例えば、画素素子に対して光子放出の変調される光伝搬の状況を実現するためのモジュレータとして使用され得る。LC層は、光モジュレータとして動作可能であり、ナノ構造配列は、そのようなLCモジュレータに対して、偏光され、画素化された光源を提供する。このように、液晶の(LCの)1つまたは複数の層が、活性媒体3の領域の上部上に堆積される。入力電磁放射(バックライト1)に対するナノロッド2の露光の後で、ナノロッド2は、変調される、すなわち、LC配列3により遮断される、部分的に遮断される、または透過される、出力の偏光された電磁放射(偏光された光)を発生させる。追加的な偏光板4が、任意に設けられ得る。これに関連して、本発明の一部の実施形態の教示によれば、LC配列は、ナノ構造ベースの活性媒体により発生かつ放出される電磁放射出力を受け取るように構成されて使用され得ることを理解されたい。したがって、ナノ構造領域は、バックライト伝搬に関して、LC配列の上流(前または下方)に位置する。したがって、LC配列の入力は、ナノ構造領域の発光である(そして、偏光板を通って透過されるバックライトではない)。このことは、ディスプレイデバイスの出力が、同じ強度の電磁放射の露光を使用する従来のディスプレイデバイスでよりも、著しく明るいという結果になる。
【0097】
上述のように、本発明の教示によれば、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列され得る。ナノ構造のアライメントは、DCまたはACの電場などの外部場を使用することにより実行され得る。これに関連して、外部AC電場を使用することによる、ナノ構造(この例ではナノロッド)のアライメントを示す、図16Aおよび16Bに対する参照が行われる。ここでは、トルエンに溶解された60nmのCdSe/CdS赤色放出ナノ構造が、隙間が15μmのくし型電極上にドロップキャストされる。液滴が蒸発する間に、50kHzでの8Vrms/μmの正弦波状波形が、電極に印加される。
【0098】
図16Aおよび16Bは、整列されたCdSロッド内のCdSeドットのナノ粒子のアレイにより発生される、偏光された電磁放射(例えば蛍光)の、偏光板(偏光板は、CCDカメラの前に配置される)を通して撮影されたCCD画像である。偏光板の方向は、白い矢印により示される。ナノ構造のアライメント方向は、黒い矢印により示され、ロッド方向と呼ばれる。電極は、黒い長方形として見える。
【0099】
図16Aでは、偏光板は、ロッドのアライメント(すなわち、整列されたロッドの全体的な方向)に平行に配置され、電極間の明るい区域により示される、偏光板による、ナノ構造によって発生される出力放射の透過をもたらす。より白い区域は、より強い蛍光を示す。
【0100】
図16Bでは、偏光板は、ロッドのアライメントに直交して配置され、電極間の灰色の区域により示される、偏光板による、ナノ構造によって発生される出力放射の遮断をもたらす。
【0101】
図16Aでの隙間区域の強度は、図16Bのそれよりも4.7倍明るい。電極間のナノロッドの濃度は、2OD(光学密度)を超える。
【0102】
この例では、ナノ構造を含む溶液が、基板上にドロップキャストされる。電場の印加のもとで、ナノ構造は、電極間で発生される電場ベクトルに応じて整列する。
【0103】
上述のように、ナノ構造は、出力電磁放射の放出を選択的に変調するように、外部電場により影響を受け得る。外部場は、DCまたはACの電場であってよい。AC電場が使用されるとき、周波数および変調モード(例えば、正弦波状、正方形、三角形、パルス等)などの追加的なパラメータが、規定されなければならない(異なる信号は、異なるスイッチング応答を招くことになる)。
【0104】
正方形波形のAC電圧に関する電圧に対する、(正規化された)蛍光平均強度を示す、図17に対する参照が行われる。図17は、強度(ナノロッド蛍光強度)が、AC電圧の上昇とともに徐々に減少することを示す。この例では、2kHzの正方形信号を印加する間に、27nmの緑色放出CdSe/CdSナノロッドの蛍光が測定される。ナノロッドは、隙間が10μmのくし型電極上にドロップキャストされた。
【0105】
偏光板がロッド方向に平行であるときに電極の領域内で測定される蛍光強度と、偏光板がロッド方向に垂直であるときに測定されるそれとの間の比である偏光比(PR)は、3であった。強度は、電圧の上昇とともに徐々に減少する。図17では、蛍光強度の減少が、偏光板がナノロッド方向に平行であるときの平行偏光(菱形の点)、および、偏光板がナノロッド方向に垂直であるときの垂直偏光(正方形の点)の、偏光の両方の構成に対して測定されている。平行の構成では、蛍光強度は、電圧が950V(pk-pk)に持ち上げられるときに78%だけ減少し、垂直の構成では、蛍光強度は、電圧が950V(pk-pk)に持ち上げられるときに58%だけ減少する。単一の偏光強度の変調の重み付け平均である全体の強度は、初期の偏光比が3であるので、72%だけ減少する。全体の蛍光強度の減少は、印加される電場とのナノロッドの相互作用が、平行の構成では、より強いということを示す。
【0106】
蛍光強度の変調は、再現性を証明するために、複数の連続する測定で、さらに測定された。図18は、8kHzの400V pk-pkのAC電圧を使用する、75×5.5nmのCdSe/CdSロッドの高い強度と低い強度との間での、繰り返される発光変調を示す。パターン形成された電極のタイプは、隙間が5μmの長方形の形状を有する。この例でのPR比は、1.2である。54%のスイッチング強度が、19回を超える測定に対して再現可能であることが見出された。
【0107】
DC電場の代わりにAC電場を使用することは、AC電圧の信号形状(波形)および周波数パラメータを制御する可能性を与える。正方形状波形の代わりに正弦波状波形を使用する、AC信号の正方形状波形の変調よりも小さな変調深度を有する正弦波状波形の変調は、1サイクルの間に、ナノロッドが、より低い場の値で影響を受けるということを意味するということを理解されたい。420Vppの2kHzの正弦波状波形信号を正方形波形に変更することは、測定されるスイッチングレベルを、それぞれ、20%から32%に改善する。正方形状波形は、正弦波状波形を有するAC信号よりも大きな変調深度を有する波形変調に適用される。
【0108】
単一極の電場(例えばDC)が、ナノ構造領域からの出力電磁放射の放出を選択的に変調するために使用されるときに、ナノ構造は、電極間を移動する可能性があることを理解されたい。交番極性電場(AC)を使用することは、この問題を解決することを可能にする。
【0109】
さらには、上述のように、正弦波状波形信号での電場は、長時間はその最高値にはないので、正弦波状波形の入力電気信号は、正方形状波形信号より効率的でない。変調の応答時間は、マイクロ秒の程度であり、さらに高速であるので、特に電気入力信号のゼロクロッシング領域の付近では、出力電磁放射は、効率的にスイッチオフされない。
【0110】
電場が、サイクルの大部分の時間の間、最高値で印加される場合は、最大限の光の減衰が保たれるが、それでもなお、ナノ構造の移動の影響を解決しない。
【0111】
しかしながら、電場の2つの極性の間の遷移は、画素の実効的なコンデンサ抵抗のRC定数により、有限の時間を必要とする。したがって、遷移時間は、例えば高速の電子回路を使用することにより、入力電気信号のサイクル時間と比較して最小化され得る。あるいは、電気駆動のサイクル時間が、より長くされる場合がある。しかしながら、長いサイクル時間は、サイクル周期の時間範囲を定める極性のスイッチングの移動のつり合わせを低下させる。活性媒体領域に印加される電場のレートは、表示レート(すなわちリフレッシュレート)(例えば120Hz)からはるかに速く(例えば50kHz)あるべきである。
【0112】
一部の実施形態では、入力電磁放射は変調され、入力電磁放射の変調の周期は、AC電圧の周期に同期される。より具体的には、入力電磁放射は、図19に示されるように、電場信号がゼロ軸を横切るときに、入力電磁放射がスイッチオフされるように変調され得る。(変調される励起光により表される)入力電磁放射、および、本発明の活性媒体に影響を与える、(正方形波により表される)外部電場の周期間の同期を表す、図19に対する参照が行われる。
【0113】
蛍光強度の低下もまた、AC信号を使用することにより改善された。8kHzの周波数に対しては、蛍光強度の低下は小さかった(1.1%未満)。同様に、200Hzより上の周波数は、非常に弱い低下の特徴を示す。
【0114】
蛍光変調は、整列されないナノロッド膜に対しても見られた。典型的には、整列されないナノロッド膜に関する蛍光変調は、整列された膜のそれよりも50%〜60%小さかった。
【0115】
一部の実施形態では、ナノ構造を囲む、それらを環境から保護するためのポリマーキャリアが提供される。ポリマーキャリアは、ナノ構造を封止することができる。典型的な封止手順では、ポリマー溶液が、ナノロッド膜上に、1000〜4000rpmで10〜60秒の間、スピンコートされた。典型的なポリマー層の厚さは、100〜1000μmである。封止は、ナノロッドの酸化を防止し、安定性および耐久性を向上させる。あるいは、ポリマーは、適切な成型機を使用して、膜で成型される場合がある。この場合には、ポリマーの最終的な厚さは、型に挿入されるポリマー溶液の量により決定される。次いで、ポリマーは、熱、UV光での照射、開始材料(initiation material)、もしくは他を用いた、またはそれらを用いない溶媒の蒸発により硬化される。型で援助される封止を使用することは、ポリマーの封止の無制限の厚さを可能にする。
【符号の説明】
【0116】
1 バックライト拡散体、LED、UV光源、反射バックライト拡散体、構造化電極、バックライト
2 UV源、光拡散体、構造化電極、透明キャリア膜、活性媒体、活性媒体領域、ナノ構造、ナノロッド
2a 光反射体
3 電極、活性媒体領域、ナノ構造を含む領域、活性媒体、構造化活性媒体、構造化電極、液晶配列、LC層、LC配列
4 活性媒体領域、UV源、構造化電極、活性媒体、偏光板
5 保護層、電極、構造化電極
6 層
7 液晶(LC)層、液晶層
100 光学ディスプレイデバイス、ディスプレイデバイス、ディスプレイ
102 導電層、電極、金電極
104 ナノ構造
106 入力電磁放射、層
108 出力電磁放射
112 要素
200、300、400、500、600、700、800 ディスプレイデバイス
900 光学ディスプレイデバイス、ディスプレイデバイス
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ディスプレイデバイスであって、
光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、それによって、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を放出する、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に対する外部電場を生成するために、選択的にアドレス可能であるように構成され、動作可能である電極の配列であって、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域および電極の前記配列は、前記ディスプレイデバイスの画素配列をともに規定する、電極の配列とを備え、
前記外部電場は、前記出力電磁放射の放出を選択的に変調するために、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に影響を与え、前記変調される出力電磁放射は、前記画素配列のディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力であり、前記画素配列は、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、前記入力電磁放射の選択的な波長変換および空間変調を実行する、光学ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記画素配列は、ナノ構造の隔置される領域のアレイを備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記領域内に存在する前記ナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
各領域は、前記放出される出力放射の波長により、隣接する領域と異なる、請求項2または3のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記ナノ構造は、コロイド状のナノ結晶である、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記ナノ構造は、異方性の、および等方性のナノ粒子の中から選択される、請求項5に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記異方性のナノ構造は、相互に対して特定の配向で整列される、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記異方性のナノ構造は、前記電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列される、請求項7に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記特定の配向は、前記電極間で発生される前記電場ベクトルに、実質的に平行である、または直交している、請求項8に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記放出される出力電磁放射に影響を与える、少なくとも1つの非対称の特性を有する少なくとも1つのナノ構造を備え、前記非対称の特性は、非対称の幾何学的形状および不均質な材料分布から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記非対称の幾何学的形状は、ロッド状、円形、楕円形、角錐、ディスク状、枝状および網状から選択される、請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのナノ構造は、形状がロッド状である、請求項11に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記ロッド状のナノ構造は、偏光された光子の放射を放出することにより、前記入力電磁放射に応答する能力を有する、請求項12に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記外部電場は、前記ナノ構造の前記領域に影響を与える、DC電圧およびAC電圧から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記AC電圧は、正方形状の、および正弦波状の波形から選択される、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
ナノ構造の前記領域は、電極の前記配列の中間に配列される、請求項1から15のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
電極の前記配列は、1対の導電層を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記導電層の少なくとも1つは、画素のアレイに対応して、隔置される電極のアレイを規定するためにパターン形成される、請求項17に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの偏光板の少なくとも1つを備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記画素配列の電磁伝搬出力に位置する液晶(LC)配列を備え、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である、請求項1から19のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記ナノ構造は、半導体ナノ構造である、請求項1から20のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記半導体ナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される、請求項21に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項24】
半導体材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるIII-V族の材料である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項25】
半導体材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択されるIV-VI族の材料から選択される、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項27】
前記ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択される、請求項26に記載のディスプレイデバイス。
【請求項28】
画像を表示することに用いる方法であって、
決まった入力電磁放射による励起において、所定数の波長範囲で電磁放射を放出可能であるナノ構造を提供するステップと、
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起するステップであって、それによって、前記所定数の波長範囲の前記電磁放射を発生させるステップと、
外部電場を前記ナノ構造の少なくとも1つの領域に選択的に印加するステップであって、それによって、前記発生される電磁放射の変調を選択的に可能にし、したがって、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、前記入力電磁放射の変調を提供するステップと
を含む方法。
【請求項29】
外部電場を選択的に印加する前記ステップは、DC電圧またはAC電圧の少なくとも1つを、前記ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に印加するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
AC電圧を前記ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に印加する前記ステップは、前記AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御する前記ステップは、正方形状波形を有するAC電圧を印加するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起する前記ステップは、前記入力電磁放射の振幅を、時間の関数として、周期的に変調するステップを含む、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記変調される入力電磁放射の周期を、前記AC電圧の周期に同期させるステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つのナノ構造のパラメータを選択するステップであって、それによって、各画素において、決まった波長範囲での発光を可能にするステップを含む、請求項28から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、それぞれ、赤色の波長範囲、緑色の波長範囲および青色の波長範囲で発光するナノ構造の異なるグループを選択するステップであって、各グループは、異なる画素を形成し、少なくとも3つの画素を近接して配列するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、前記ナノ構造の幾何学的形状および不均質な材料組成の少なくとも1つを、非対称の特性を有するナノ構造を提供するように適切に構成するステップを含む、請求項28から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ナノ構造は、形状がロッド状である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記電場を印加する前記ステップは、前記ナノ構造をそれらの間に囲む電極の少なくとも領域の動作を含む、請求項28から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
電極の前記領域は、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するために、基板をパターン形成することにより設けられる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ナノ構造の提供する前記ステップは、様々なタイプの発光するナノ構造を、既定の配列で、前記電極間に堆積させるステップを含む、請求項38または39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ナノ構造の提供する前記ステップは、前記ナノ構造を囲むポリマーキャリアを提供するステップを含む、請求項28から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ポリマーキャリアを提供する前記ステップは、前記ナノ構造をポリマーで封止するステップ、および、前記ポリマーを前記ナノ構造上で成型するステップの少なくとも1つを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ナノ構造を提供する前記ステップは、前記ナノ構造を整列させるステップを含む、請求項28から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノ構造を整列させる前記ステップは、前記ナノ構造を前記外部場に実質的に平行に整列させるステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ナノ構造を提供する前記ステップは、基板と、前記ナノ構造および溶媒を含む溶液との間で相互作用させるステップ、ならびに、電場を印加するステップの間に前記溶媒を蒸発させるステップであって、それによって、前記ナノ構造を前記基板の表面上に整列させるステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
電場を印加する前記ステップは、DC電圧またはAC電圧を印加するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起する前記ステップは、裏面照射を使用することにより前記ナノ構造を照射するステップを含む、請求項28から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記ナノ構造は、半導体ナノ構造である、請求項28から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記半導体ナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
半導体材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるIII-V族の材料である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
半導体材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択されるIV-VI族の材料から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
光学ディスプレイデバイスであって、
光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、前記ナノ構造は、異方性であり、前記ナノ構造は、相互に対して特定の配向で整列され、その結果、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して、出力の偏光される電磁放射を放出し、前記出力の偏光される電磁放射は、前記ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、
前記少なくとも1つの画素素子の前記電磁放射出力の伝搬に位置する液晶(LC)配列であって、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの前記偏光される電磁放射の透過を変調し、それによって、偏光される光子放出の変調を誘導するように構成され、動作可能である、LC配列と
を備える光学ディスプレイデバイス。
【請求項56】
画素素子のアレイにより形成される画素配列を備え、各画素素子は、ナノ構造を含む領域を含む、請求項55に記載のディスプレイデバイス。
【請求項57】
ナノ構造の前記領域は、前記領域内に存在する前記ナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる、請求項56に記載のディスプレイデバイス。
【請求項58】
それぞれの領域は、前記発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なり、前記画素配列は、前記LC配列の、偏光され、画素化された光源として動作可能である、請求項57に記載のディスプレイデバイス。
【請求項59】
ナノ構造の前記領域は、不均質な材料分布特性を含む少なくとも1つの非対称の特性を有する少なくとも1つのナノ構造を備える、請求項55から58に記載のディスプレイデバイス。
【請求項60】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列されるナノ構造を備える、請求項55から59のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項61】
前記特定の配向は、前記電極間で発生される前記電場ベクトルに、実質的に平行である、または直交している、請求項60に記載のディスプレイデバイス。
【請求項62】
少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの偏光板の少なくとも1つを備える、請求項55から61のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項1】
光学ディスプレイデバイスであって、
光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、それによって、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して出力電磁放射を放出する、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に対する外部電場を生成するために、選択的にアドレス可能であるように構成され、動作可能である電極の配列であって、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域および電極の前記配列は、前記ディスプレイデバイスの画素配列をともに規定する、電極の配列とを備え、
前記外部電場は、前記出力電磁放射の放出を選択的に変調するために、ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に影響を与え、前記変調される出力電磁放射は、前記画素配列のディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力であり、前記画素配列は、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、前記入力電磁放射の選択的な波長変換および空間変調を実行する、光学ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記画素配列は、ナノ構造の隔置される領域のアレイを備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記領域内に存在する前記ナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
各領域は、前記放出される出力放射の波長により、隣接する領域と異なる、請求項2または3のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記ナノ構造は、コロイド状のナノ結晶である、請求項1から4のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記ナノ構造は、異方性の、および等方性のナノ粒子の中から選択される、請求項5に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記異方性のナノ構造は、相互に対して特定の配向で整列される、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記異方性のナノ構造は、前記電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列される、請求項7に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記特定の配向は、前記電極間で発生される前記電場ベクトルに、実質的に平行である、または直交している、請求項8に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記放出される出力電磁放射に影響を与える、少なくとも1つの非対称の特性を有する少なくとも1つのナノ構造を備え、前記非対称の特性は、非対称の幾何学的形状および不均質な材料分布から選択される少なくとも1つの特性を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記非対称の幾何学的形状は、ロッド状、円形、楕円形、角錐、ディスク状、枝状および網状から選択される、請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのナノ構造は、形状がロッド状である、請求項11に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記ロッド状のナノ構造は、偏光された光子の放射を放出することにより、前記入力電磁放射に応答する能力を有する、請求項12に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記外部電場は、前記ナノ構造の前記領域に影響を与える、DC電圧およびAC電圧から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記AC電圧は、正方形状の、および正弦波状の波形から選択される、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
ナノ構造の前記領域は、電極の前記配列の中間に配列される、請求項1から15のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
電極の前記配列は、1対の導電層を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記導電層の少なくとも1つは、画素のアレイに対応して、隔置される電極のアレイを規定するためにパターン形成される、請求項17に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの偏光板の少なくとも1つを備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記画素配列の電磁伝搬出力に位置する液晶(LC)配列を備え、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの変調される光子放出の透過を変調するように構成され、動作可能である、請求項1から19のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記ナノ構造は、半導体ナノ構造である、請求項1から20のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記半導体ナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される、請求項21に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項24】
半導体材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるIII-V族の材料である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項25】
半導体材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択されるIV-VI族の材料から選択される、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である、請求項22に記載のディスプレイデバイス。
【請求項27】
前記ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択される、請求項26に記載のディスプレイデバイス。
【請求項28】
画像を表示することに用いる方法であって、
決まった入力電磁放射による励起において、所定数の波長範囲で電磁放射を放出可能であるナノ構造を提供するステップと、
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起するステップであって、それによって、前記所定数の波長範囲の前記電磁放射を発生させるステップと、
外部電場を前記ナノ構造の少なくとも1つの領域に選択的に印加するステップであって、それによって、前記発生される電磁放射の変調を選択的に可能にし、したがって、表示されるべき画像に従って、特定のアドレスされる画素で、前記入力電磁放射の変調を提供するステップと
を含む方法。
【請求項29】
外部電場を選択的に印加する前記ステップは、DC電圧またはAC電圧の少なくとも1つを、前記ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に印加するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
AC電圧を前記ナノ構造の前記少なくとも1つの領域に印加する前記ステップは、前記AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記AC電圧の周波数および波形のパラメータを制御する前記ステップは、正方形状波形を有するAC電圧を印加するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起する前記ステップは、前記入力電磁放射の振幅を、時間の関数として、周期的に変調するステップを含む、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記変調される入力電磁放射の周期を、前記AC電圧の周期に同期させるステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、サイズ、形状および材料組成の少なくとも1つのナノ構造のパラメータを選択するステップであって、それによって、各画素において、決まった波長範囲での発光を可能にするステップを含む、請求項28から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、それぞれ、赤色の波長範囲、緑色の波長範囲および青色の波長範囲で発光するナノ構造の異なるグループを選択するステップであって、各グループは、異なる画素を形成し、少なくとも3つの画素を近接して配列するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノ構造の提供する前記ステップは、前記ナノ構造の幾何学的形状および不均質な材料組成の少なくとも1つを、非対称の特性を有するナノ構造を提供するように適切に構成するステップを含む、請求項28から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ナノ構造は、形状がロッド状である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記電場を印加する前記ステップは、前記ナノ構造をそれらの間に囲む電極の少なくとも領域の動作を含む、請求項28から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
電極の前記領域は、画素のアレイに対応して、隔置される電極の少なくとも1つのアレイを形成するために、基板をパターン形成することにより設けられる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ナノ構造の提供する前記ステップは、様々なタイプの発光するナノ構造を、既定の配列で、前記電極間に堆積させるステップを含む、請求項38または39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ナノ構造の提供する前記ステップは、前記ナノ構造を囲むポリマーキャリアを提供するステップを含む、請求項28から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ポリマーキャリアを提供する前記ステップは、前記ナノ構造をポリマーで封止するステップ、および、前記ポリマーを前記ナノ構造上で成型するステップの少なくとも1つを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ナノ構造を提供する前記ステップは、前記ナノ構造を整列させるステップを含む、請求項28から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ナノ構造を整列させる前記ステップは、前記ナノ構造を前記外部場に実質的に平行に整列させるステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ナノ構造を提供する前記ステップは、基板と、前記ナノ構造および溶媒を含む溶液との間で相互作用させるステップ、ならびに、電場を印加するステップの間に前記溶媒を蒸発させるステップであって、それによって、前記ナノ構造を前記基板の表面上に整列させるステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
電場を印加する前記ステップは、DC電圧またはAC電圧を印加するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記入力電磁放射により前記ナノ構造を励起する前記ステップは、裏面照射を使用することにより前記ナノ構造を照射するステップを含む、請求項28から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記ナノ構造は、半導体ナノ構造である、請求項28から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記半導体ナノ構造は、II-VI族、III-V族、IV-VI族、III-VI族、IV族の半導体の元素、および合金、および/または、それらの組み合わせから選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
半導体材料は、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnSe、ZnS、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdZnSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるII-VI族の材料である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
半導体材料は、InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、GaSb、AlP、AlN、AlAs、AlSb、CdSeTe、ZnCdSeおよびそれらの任意の組み合わせから選択されるIII-V族の材料である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
半導体材料は、PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5およびそれらの任意の組み合わせから選択されるIV-VI族の材料から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記半導体ナノ構造は、少なくとも1つのシェルを有するコア/シェル構成内の少なくとも2つの異なる半導体のヘテロ構造である、請求項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ヘテロ構造は、以下の構成、すなわち、ドット状の形状であり、細長い形状を有し、異なる半導体材料またはその合金で作製される少なくとも1つのシェルの内部に位置する、第1の半導体材料またはその合金から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
光学ディスプレイデバイスであって、
光学活性媒体として動作可能なナノ構造の少なくとも1つの領域であって、前記ナノ構造は、異方性であり、前記ナノ構造は、相互に対して特定の配向で整列され、その結果、前記ナノ構造は、入力電磁放射に応答して、出力の偏光される電磁放射を放出し、前記出力の偏光される電磁放射は、前記ディスプレイデバイスの少なくとも1つの画素素子の出力である、ナノ構造の少なくとも1つの領域と、
前記少なくとも1つの画素素子の前記電磁放射出力の伝搬に位置する液晶(LC)配列であって、前記LC配列は、ナノ構造の前記領域からの前記偏光される電磁放射の透過を変調し、それによって、偏光される光子放出の変調を誘導するように構成され、動作可能である、LC配列と
を備える光学ディスプレイデバイス。
【請求項56】
画素素子のアレイにより形成される画素配列を備え、各画素素子は、ナノ構造を含む領域を含む、請求項55に記載のディスプレイデバイス。
【請求項57】
ナノ構造の前記領域は、前記領域内に存在する前記ナノ構造のサイズ、材料組成および幾何学的形状の少なくとも1つにより、隣接する領域と異なる、請求項56に記載のディスプレイデバイス。
【請求項58】
それぞれの領域は、前記発生される出力放射の波長により、隣接する領域と異なり、前記画素配列は、前記LC配列の、偏光され、画素化された光源として動作可能である、請求項57に記載のディスプレイデバイス。
【請求項59】
ナノ構造の前記領域は、不均質な材料分布特性を含む少なくとも1つの非対称の特性を有する少なくとも1つのナノ構造を備える、請求項55から58に記載のディスプレイデバイス。
【請求項60】
ナノ構造の前記少なくとも1つの領域は、前記電極間で発生される電場ベクトルに対して特定の配向で整列されるナノ構造を備える、請求項55から59のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項61】
前記特定の配向は、前記電極間で発生される前記電場ベクトルに、実質的に平行である、または直交している、請求項60に記載のディスプレイデバイス。
【請求項62】
少なくとも1つのフィルタおよび少なくとも1つの偏光板の少なくとも1つを備える、請求項55から61のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【図5A】
【図6B】
【図6D】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5B】
【図6A】
【図6C】
【図7A】
【図17】
【図18】
【図19】
【図6B】
【図6D】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図4】
【図5B】
【図6A】
【図6C】
【図7A】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−518808(P2012−518808A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550703(P2011−550703)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000151
【国際公開番号】WO2010/095140
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(503083166)イサム・リサーチ・デベロツプメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシテイ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【出願人】(597003088)メルック・パテント・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000151
【国際公開番号】WO2010/095140
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(503083166)イサム・リサーチ・デベロツプメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシテイ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【出願人】(597003088)メルック・パテント・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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