説明

光学フィルムの製造方法、位相差フィルム及び偏光板

【課題】塩素系溶媒を含むセルロース系樹脂溶液を流延してなる光学フィルムの製造方法であって、溶液流延法における乾燥条件、乾燥設備を最適化することにより、透明性及び光学的等方性に優れ、かつ、塩素系溶媒の含有量を低減した光学フィルムを提供する。
【解決手段】温度調整可能な2ゾーン以上の乾燥炉からなる第1乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のフィルムが支持体に保持された状態で、入口側の乾燥炉が露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥することにより、解決する光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機EL等の自発光型表示装置等の画像表示装置に用いることができる透明性を有する光学フィルムの製造方法に関するものである。さらに本発明は、それからなる位相差フィルム、偏光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の表示特性を向上させるために種々の光学シート及びフィルムが必要とされている。例えば、バックライトの光をパネル全体に拡散させる拡散フィルム、拡散された光を集光させるプリズムシート、液晶の位相差を光学補償し、斜め方向の視野角を改善する位相差フィルム、偏光子を保護する偏光子保護フィルム、液晶パネル表面の外光の反射を抑制する反射防止フィルムが挙げられる。
【0003】
光学シート及びフィルムの製造方法としては、主に、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂や、ポリカーボネート系樹脂等に用いられる溶液流延法、あるいは、シクロオレフィン系樹脂や、アクリル系樹脂で用いられる溶融流延法が挙げられる(例えば、特許文献1、2及び3)。2つの流延方法は、一長一短であり、それぞれに適した製膜法が選ばれる。溶融流延法は、厚膜のフィルムやシートの生産、及び大量生産に適しているが、膜厚の精度の観点から、薄膜の生産、切替ロス及び洗浄の煩雑さの観点から、少量多品種の切替生産には適していない。一方、溶液流延法は、溶融流延法では不向きな薄膜の生産、少量多品種の生産に適しており、また、溶媒に溶解すれば製膜が可能という点でも簡便に用いられる製膜方法である。セルロース系樹脂及びポリカーボネート樹脂は、溶解性に優れた低沸点の溶媒として、塩化メチレン等の塩素系溶媒を好んで使用している。しかしながら、近年環境保護の側面から、廃棄焼却時に有害な塩化水素ガスやダイオキシン等の発生の可能性がある塩素系化合物を低減、あるいは使用しない動きが見られ、塩素系溶媒を用いた溶液流延法からなるフィルムの塩素系溶媒及び塩素濃度を低減させる技術確立が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−39885
【特許文献2】特開2007−241151
【特許文献3】特開2003−266520
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、前記課題を解決するために見出されたものであり、塩素系溶媒を含むセルロース系樹脂溶液を流延してなる光学フィルムの製造方法であって、溶液流延法における乾燥条件を最適化することにより、透明性及び光学的等方性に優れ、塩素系溶媒の含有量を低減した光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、下記の1〜9に関するものである。
1.塩素系溶媒を含むセルロース系樹脂溶液を支持体に流延し、乾燥してなる光学フィルムの製造方法であって、温度調整可能な2ゾーン以上の乾燥炉からなる第1乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のフィルムが支持体に保持された状態で、入口側の乾燥炉が露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する乾燥工程(1)を含み、塩素系溶媒の含有量を800ppm以下とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記セルロース系樹脂のフィルムを支持体から剥がした後、第2乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のTgより30℃以上低い温度で乾燥する乾燥工程(2)を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
3.乾燥工程(1)において、入口側の乾燥炉の温度(T1)と、出口側の乾燥炉の温度(T2)が、下記一般式(1)の関係を満たす条件により乾燥することを特徴とする光学フィルムの製造方法;
(T1)−(T2)≧20℃ (1)
(3ゾーン以上の乾燥炉からなる場合、T1は露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する入口側の乾燥炉の最も出口側、T2は露点0℃以下の除湿エアーを使用しない出口側の乾燥炉の最も入口側の炉の温度を表す)。
4.前記支持体が、プラスチックフィルムであることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
5.前記セルロース系樹脂が、セルロースアシレートからなることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
6.前記セルロース系樹脂が、セルロースエーテルからなることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
7.前記セルロース系樹脂が、下記一般式(2)及び(3)を満たすセルロースアシレート80〜99重量%と、下記一般式(4)を満たすセルロースエーテル1〜20重量部からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法;
2.20≦DSac+DSay≦2.90 (2)
DSay/DSac≧2 (3)
1.9≦DSet≦2.6 (4)
(DSacはセルロースアシレートのアセチル置換度、DSayはセルロースアシレートの炭素数3または炭素数4のアシル基による置換度の合計、DSetはセルロースエーテルのエトキシル置換度を示す)。
8.前記製造方法により得られた光学フィルムを延伸することを特徴とする位相差フィルム。
9.前記製造方法により得られた光学フィルムを少なくとも1層含んでなることを特徴とする偏光板。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塩素系溶媒を含む樹脂溶液を流延してなる光学フィルムを製造するにあたり、溶液流延法における乾燥条件、乾燥設備を最適化することにより、生産性を維持しながら、塩素系溶媒の含有量を低減し、透明性及び等方性に優れた光学フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の光学フィルムの製造方法は、塩素系溶媒を含むセルロース系樹脂溶液を支持体に流延し、温度調整可能な2ゾーン以上の乾燥炉からなる第1乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のフィルムが支持体に保持された状態で、入口側の乾燥炉が露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する乾燥工程(1)を含み、塩素系溶媒の含有量を800ppm以下とすることを特徴とするものである。
【0009】
まず、乾燥工程(1)の説明を行う。乾燥工程(1)は第1乾燥装置を使用する。第1乾燥装置は温度調整可能な2ゾーン以上の乾燥炉からなる。入口側の乾燥炉は露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥させることを特徴とし、さらに好ましくは、露点−20℃以下の除湿エアーにより乾燥させることを特徴とするものである。露点が0℃より高いエアーが乾燥炉内に供給されると、塩化メチレンのような塩素系溶媒では、フィルム乾燥時の気化熱によりフィルムの熱が奪われることになり、その結果、フィルムの温度は下がり、フィルム近傍の水分が結露するため、フィルムが白化する場合がある。一方、出口側の乾燥炉は、入口側の乾燥炉で水分によるフィルム白化が発生しない程度に乾燥されていれば、除湿エアーを供給する必要はない。なお、フィルムは溶液流延され、入口側の乾燥炉、次に出口側の乾燥炉という順に乾燥される。
【0010】
第1乾燥装置は下記一般式(1)であることが好ましい。
(T1)−(T2)≧20℃ (1)
(3ゾーン以上の乾燥炉からなる場合、T1は露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する入口側の乾燥炉の最も出口側、T2は露点0℃以下の除湿エアーを使用しない出口側の乾燥炉の最も入口側の炉の温度を表す)。
【0011】
前記のように、入口側の乾燥炉では除湿エアーにより乾燥する必要がある一方、出口側の乾燥炉では乾燥させすぎると支持体から剥離するということが問題となる場合がある。これらの課題を解決するために、入口側の乾燥炉では、温度を高く、出口側の乾燥炉では、温度を低く設定することが好ましい。具体的には、(T1)−(T2)≧20℃であることが好ましく、ラインスピードをさらに早くするためには、(T1)−(T2)≧30℃であることがさらに好ましい。(T1)は50〜120℃であることが好ましく、さらに60〜110℃であることが生産性と外観欠陥低減のために好ましい。第1乾燥装置の入口側の温度制御可能な乾燥炉の数は、1ゾーン以上、5ゾーン以下であることが好ましい。入口側の乾燥炉が1ゾーンの場合、流延後すぐに高温環境下にさらされることになり、気泡等の外観欠陥が発生しやすいため、徐々に昇温し、乾燥することが好ましい。つまり、温度制御可能な炉の数は2つ以上、3つ以下であることが好ましい。4つ以上の場合、乾燥炉及び除湿設備の投資費用が高くなるため、好ましくない。2つ以上設置した場合、流延後すぐの炉では温度を低く設定し、その後昇温することが好ましい。一方、T2は20〜80℃であることが好ましく、さらに、30〜70℃であることが好ましい。第1乾燥装置の出口側の温度制御可能な炉の数は、1ゾーン以上、5ゾーン以下であることが好ましい。ここでいう温度は、乾燥炉内の雰囲気温度を指し、支持体の下側(流延の反対側)の雰囲気温度を測定すればよく、支持体から3〜30cm程度の位置を測定すればよい。金属ベルト等、支持体の下側の雰囲気温度が測定できない場合は、支持体の上側の雰囲気温度を測定すればよい。
【0012】
次に乾燥工程(2)の説明を行う。本発明の製造方法は、前記セルロース系樹脂のフィルムを支持体から剥がした後、第2乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のTgより30℃以上低い温度で乾燥する乾燥工程(2)を含むことが好ましい。
【0013】
乾燥工程(2)は第2乾燥装置を使用する。第1乾燥装置は支持体と一緒に乾燥するが、第2乾燥装置は支持体から剥離し、フィルムのみを乾燥させることが特徴である。第2乾燥装置でのフィルムの乾燥は、フロート法、テンター法またはロール搬送法等によって搬送しながら、乾燥することができる。搬送方法に限定はないが、フロート法の場合、フィルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支えているピンまたはクリップの距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均衡させる必要があるが、張力が過大であると厚み方向の複屈折が生じやすく、張力が過小であると、フィルムの自重を支えられずにフィルムに弛みが生じる場合がある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送のための張力は原則的にフィルムの流れ方向(MD方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすく、面内、厚み方向ともに複屈折も生じにくい。また、ロールの位置を乾燥炉内の上下に配置することにより、乾燥炉をコンパクトとしても、乾燥炉内に滞留する時間(距離)を長くすることが可能となる。従って、フィルムの乾燥には、ロール搬送法を用いることが最も好ましい。第2乾燥装置では、MD方向に張力をかけながら乾燥するため、樹脂のTgより30℃以上低い温度で乾燥することが好ましく、正面レターデーションをより小さくするためには、樹脂のTgより35℃以上低い温度で乾燥することがさらに好ましい。
【0014】
また、第1乾燥装置及び第2乾燥装置の乾燥時間は下記一般式(5)の関係を示すことが好ましい。
【0015】
1.0≦(HT2)/(HT1)≦5.0 (5)
(HT1は第1乾燥装置の乾燥時間、HT2は第2乾燥装置の乾燥時間)
【0016】
第1及び第2乾燥装置の乾燥時間とは、フィルムが乾燥装置内に滞在する時間のことを指す。乾燥時間は、乾燥炉中のフィルム長さとラインスピードの商から求められる。つまり、塩素系溶媒の含有量をより小さくするためには、乾燥炉中のフィルム長さを長く、ラインスピードを遅くすればよいということが分かる。しかしながら、乾燥炉中のフィルム長さを長くすると、その分大型設備が必要となることが問題となり、ラインスピードを遅くするのは生産性の観点から問題である。一方、生産効率の観点から考えると、第1乾燥装置のラインスピードと第2乾燥装置のラインスピードは同程度であることが好ましい。例えば、第2乾燥装置のラインスピードを速くしすぎても、第1乾燥装置のラインスピードが遅く、その結果、第1乾燥装置で生産されるフィルムが少なく、第2乾燥装置で乾燥させるフィルムがなくなってしまうため、ラインスピードと相関のあるHT1とHT2のバランスをとった生産条件を設定する必要がある。一方、第2乾燥装置は、前記したようにロール搬送法を適用できるため、乾燥炉内のフィルム長さを長くすることができる。従って、同じラインスピードでも乾燥時間HT2を長くすることができるため、
1.0≦(HT2)/(HT1)≦5.0 (5)
であることが好ましく、さらに、
1.5≦(HT2)/(HT1)≦3.0 (6)
であることが生産性の観点から好ましい。
【0017】
第1乾燥装置及び第2乾燥装置で乾燥した本発明の塩素系溶媒の含有量は、800ppmで以下である。さらに500ppm以下であることが好ましい。環境面からは、フィルムに含有する溶媒量だけでなく、含塩素量の低減が重要であり、含塩素量は500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがさらに好ましい。また、これら塩素系溶媒の含有量は、残存していると徐々に揮発し、長期使用時の位相差変動の要因となるため、上記範囲内であることが好ましい。
【0018】
本発明には塩素系溶媒が使用される。塩素系溶媒は樹脂の溶解性が高く、塩素系溶媒自体の引火点が非常に高いという特徴があるため、溶液流延法に好適に使用される。これらのバランスに優れ、かつ、低沸点で乾燥効率が優れるという観点から塩化メチレンが使用される。塩化メチレンは単独で使用しても併用で使用してもかまわない。溶媒の回収の観点からは塩化メチレン100%で使用することが好ましい。塩化メチレンだけでは十分な溶解性を得られない場合には、その他溶媒を使用してもかまわない。併用する溶媒は生産性の観点から、沸点が100℃以下の溶媒が好適に使用される。例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチルやプロピオン酸エチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒などが使用可能である。これら溶媒を併用する場合、混合溶媒として非危険物として取り扱うことができる範囲であることが好ましく、具体的には、70重量%以上の塩化メチレンからなることが好ましい。また、本発明で言う溶媒とは乾燥工程や延伸工程においてフィルムにかかる最大温度よりも沸点が低い溶剤の事を指し、乾燥工程や延伸工程における最大温度より沸点が高い液体は可塑剤と言う。
【0019】
本発明の光学フィルムはセルロース系樹脂が使用される。偏光子保護フィルムに使用する場合には光学的等方性に優れ、また、位相差フィルムに使用する場合には逆波長分散特性(波長が大きくなるにつれて、位相差が大きくなる特性)を示す点において、セルロースアシレートが好適に使用される。本発明のセルロースアシレートとは、セルロースの2,3,6位に、炭素数2〜4のアシル基が置換されたものをいう。置換されるアシル基は単独の置換基(例えば、炭素数3のプロピオニル基のみ)であってもかまわないし、併用の置換基(例えば、炭素数2のアセチル基と炭素数4のブチリル基の併用)であってもかまわない。また、全部の位置にアシル基が置換されている必要はなく、セルロース由来のヒドロキシル基があってもかまわない。
【0020】
また、塩素系溶媒への溶解性の観点及び入手性の観点から、セルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートが好適に使用される。偏光子保護フィルム等に一般的に使用されているトリアセチルセルロースは塩化メチレン単独で溶解せず、エタノール等のアルコールを併用しなければ、溶解させることができないため、溶媒の回収を考えると、塩化メチレン単独で溶解するセルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートが好適に使用される。これらの樹脂は単独で使用しても、併用してもかまわない。具体的には、下記(2)及び(3)式を満たすセルロースアシレートを含むことを特徴とする。
【0021】
2.20≦DSac+DSay≦2.90 (2)
DSay/DSac≧2 (3)
【0022】
DSacはセルロースアシレートのアセチル置換度、DSayはセルロースアシレートの炭素数3または炭素数4のアシル基による置換度の合計を示す。アシル基の置換度はASTM−D817−96に記載の方法にて定量することができる。アシル基は、炭素数3のプロピオニル基、または炭素数4のブチリル基が工業的に容易に得られるため好ましい。特にプロピオニル基を用いた場合は、臭気の点で好ましい。本発明において(2)式が意味するところは、次の通りである。DSac+DSayを2.20以上2.90以下とすることにより、延伸した際に、延伸方向に遅相軸を有する位相差フィルムを作成することができる。また得られる位相差フィルムは長波長側ほど正面レターデーションが大きくなる(逆波長分散性)。DSac+DSayが2.90よりも大きいと、延伸方向と直交する方向に遅相軸を有する位相差フィルムが得られるため好ましくない。またDSac+DSayが2.20よりも小さいと、水酸基が増えることにより、特に耐湿熱環境下での特性変化が起こるため、好ましくない場合がある。従って、DSac+DSayは、2.20以上2.90以下の値であることが好ましい。さらに、DSac+DSayは、2.50以上2.90以下の値であることが好ましい。また、溶解性の観点から、DSprは2.50以上2.90以下の値であることが好ましい。
【0023】
上述した、逆波長分散性の観点から言えば、セルロースの水酸基は、アセチル基で置換してもプロピオニル基で置換しても目的を達成できる。しかしながら、溶液流延法で厚み精度の良いフィルムを製膜するためには、高濃度溶液の調製が可能であることが好まれる。このような観点から、アセチル置換度(DSac)の高いセルロースアシレートよりも、炭素数3または炭素数4のアシル基の置換度(DSay)の高いセルロースアシレートの方が有機溶剤に対する溶解性が高く、特に塩化メチレンを用いる場合においては顕著な差が認められる。従って、DSayは高い方が好ましく、すなわち、セルロースアシレートは(3)式である、DSpr/DSac≧2を満足することが好ましく、さらに、DSpr/DSac≧4を満足することが好ましい。
【0024】
また、塩素系溶媒への優れた溶解性を示すという観点から、セルロースエーテルも好適に使用することができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。位相差フィルムとして使用する場合、低波長分散特性(光の波長によって、位相差値が変化しない)、さらに、優れた位相差発現性の観点から、エチルセルロースが好適に使用される。エチルセルロースのエトキシル基の置換度は、多くなればなるほど、疎水性が高くなり、少なくなればなるほど、水酸基が多くなるため、水への親和性が高くなる。つまり、エトキシル置換度が低いエチルセルロースは水への親和性が高くなるため、耐湿熱環境での位相差等の特性変化が大きくなる。一方、エトキシル置換度が高くなればなるほど、位相差発現性が悪くなるため、エトキシル置換度は、
1.9≦DSet≦2.6 (4)
であることが好ましく、位相差発現性と耐湿熱環境の安定性のバランスから、
2.2≦DSet≦2.5 (7)
であることが特に好ましい。ここで、DSetはセルロースエーテルのエトキシル置換度を示す。
【0025】
セルロースアシレートとセルロースエーテルは単独で使用してもよく、併用してもかまわない。併用する場合、セルロースエーテルとセルロースアシレートの含有量は、セルロースエーテルとセルロースアシレートの合計を100重量%とすると、特に制限はないが、狙いの波長分散値、位相差発現性に合わせて、好適に組み合わせることができ、逆波長分散特性を有するためには、セルロースアシレート80〜99重量%、セルロースエーテル1〜20重量%であることが好ましく、さらに、薄膜の逆波長分散フィルムとするためには、セルロースアシレート85〜97重量%、セルロースエーテル3〜15重量%であることが好ましい。
【0026】
使用する樹脂の分子量は特に制限はなく、フィルム化したときに十分な靭性を付与できていればよい。例えば、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのようなセルロースアシレート、エチルセルロースのようなセルロースエーテルの場合、数平均分子量30,000〜150,000(ポリスチレン換算)のものが好適に使用される。分子量が30,000より小さいと、フィルムが脆くなるため、好ましくない。また、分子量が150,000より大きいと、溶媒への溶解性が悪く、溶解時間がかかり、また、樹脂溶液の固形分濃度が低くなりすぎるため、溶剤使用量が多くなるため、製造上好ましくない。
【0027】
また、フィルム化の際に、必要に応じて少量の可塑剤、熱安定剤、紫外線安定剤や離形剤等の添加剤を加えてもよい。得られたフィルムが脆い場合、延伸などの加工特性を改善する目的で可塑剤を加えることは有効である。可塑剤は、乾燥工程、延伸工程においてフィルムにかかる最大温度より沸点が高いもので、使用する樹脂及び溶媒に相溶すれば特に限定されるものではない。ただし、可塑剤を多く含有すると、ブリードアウトの原因となるため、添加量は全固形分の5重量%以内であることが好ましい。また芳香環が多い可塑剤はリターデーション上昇剤として作用してしまい、所望の光学特性が得難くなる場合があるため、可塑剤の光学特性を考慮した処方設計とする必要がある。
【0028】
溶液流延法によりフィルム化する際、樹脂を溶媒に溶解したのち、支持体にキャストし、乾燥してフィルムとする。溶液の好ましい粘度は1.0Pa・s以上10.0Pa・s以下、さらに好ましくは1.5Pa・s以上5.0Pa・s以下である。
【0029】
本発明では前記樹脂溶液を支持体に流延してフィルム化する。支持体としては、ステンレス鋼などのエンドレスベルトや、ポリイミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなプラスチックフィルム等が挙げられる。使用する樹脂によっては、支持体との密着性が強すぎる場合、弱すぎる場合がある。支持体をプラスチックフィルムとした場合、支持体の表面処理(例えば、易接着コーティングやコロナ処理等)により、フィルムとの密着性を制御することができるため、特に好適に使用することができる。支持体として用いられるプラスチックフィルムの厚みは特に制限されないが、50μm以上、300μm以下であることが好ましく、80μm以上、250μm以下であることがより好ましく、100μm以上、200μm以下であることがさらに好ましい。支持体が上記範囲より薄いと、自己支持性が低くなくなるため、溶液を流延した際に弛みが生じ、得られる光学フィルムにも弛みが生じやすくなる。また、支持体が上記範囲より厚いと、支持体の柔軟性が失われ、ハンドリング性に劣る他、支持体のコストが増大するといった問題がある。また、支持体として用いられるフィルムは、その強度を保つために、二軸延伸されたものであることが好ましい。前記の要件を満たす支持体として、具体的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルからなるフィルムや、ポリイミドかなるフィルムおよびこれらの二軸延伸品等が挙げられる。特に溶液流延法に適した広幅のものを安価に入手でき、かつセルロース系樹脂と適宜な剥離性を有することから二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
【0030】
本発明の光学フィルムの厚みは、フィルム自体の支持性、位相差フィルムとして使用するときの位相差、波長分散等の光学特性を狙いの値とするために、適宜決定される。20μmから200μmが好ましく、より好ましくは30μmから100μmである。さらに、延伸後に逆波長分散に優れ、かつ、λ/4板としての位相差を発現させるためには、40μmから100μmであることが好ましい。フィルムの光線透過率は85%以上が好ましく、より好ましくは、90%以上である。
【0031】
また、本発明の光学フィルムを延伸することにより、液晶ディスプレイ等に使用される位相差フィルムに好適に使用される。延伸方法としては2本のニップロールの周速比を変化させて延伸する縦一軸延伸、テンタークリップにより光学フィルムの端部をクリップし拡縮する横延伸等の一軸延伸が挙げられる。横延伸時は、縦方向が拘束されているため、実質的には二軸延伸となっているため、特開5−11111に示されているような延伸を行うことにより、横方向に光学的に一軸な位相差フィルムを得ることができる。また、これらの組み合わせにより二軸延伸も可能である。さらに、特開平5−157911号公報に示されるような特殊な二軸延伸を施し、フィルム厚み方向の屈折率を大きくすることも可能である。また、円偏光板として使用する場合は、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸をある角度(例えば45°)に積層する必要がある。通常は、位相差フィルムを遅相軸を45°となるように長尺のフィルムをカットする必要があるが、特開2002−22944に示されるような斜め延伸を行うことにより、ロールトゥロールで積層することができる。
【0032】
一般には延伸倍率は1.01倍から4倍であり、延伸温度はガラス転移温度Tgに対して、(Tg−30)℃以上、(Tg+30)℃以下が好ましい範囲である。特に好ましい延伸温度は(Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下までの範囲であり、さらに好ましくは(Tg−10)℃以上、(Tg+15℃)以下である。ただし、ここでいう延伸温度とは、延伸を実施する炉内の温度がすべてこの温度で均一なければならないということを意味するのではなく、延伸を実施する炉内の最高温度を表しており、炉内の他の点が前記温度範囲から外れていてもよい。また、ガラス転移温度は示差熱分析法(DSC)を用い、JIS K−7121に記載の方法にて測定することができる。延伸温度が前記範囲より低いと、延伸時にフィルムが破断したり、ヘイズが上昇する傾向がある。また、前記範囲より高いと、十分な位相差を得ることができない傾向にある。この温度範囲よりとすることにより、延伸時のフィルム白化を防止でき、また、得られた位相差フィルムの位相差のバラツキを小さくすることができる。
【0033】
本発明により得られる位相差フィルムの実用に際しては、例えば位相差フィルムの片面又は両面に粘着層を設けたものや、その粘着層を介して偏光フィルム、および/または、等方性の透明な樹脂層やガラス層等からなる保護層を接着積層したものなどの2層又は3層以上の積層体からなる適宜な形態の光学部材、特に光学補償板として適用することもできる。特に本発明の位相差フィルムと偏光板を積層することで、光学補償偏光板とすることができる。中でも、本発明の位相差フィルムと偏光板をロール・ツゥー・ロールで積層してなる光学補償偏光板は、低コスト、高生産性を有するため好ましい構成である。また、本発明の光学フィルムは偏光子保護フィルムとして、位相差フィルムは偏光子保護兼用の位相差フィルムとして、偏光子と直接積層して好適に用いられる。また、本発明の位相差フィルムは、偏光板の吸収軸と略45°に積層して、円偏光板としての機能を付与することができる。特に、ポリカーボネートのような正常分散(R0(450)/R0(550)>1.05、R0(λ)は波長λnmで測定したときの正面レターデーション)を示す位相差フィルムは、円偏光板を通した反射光の着色があるが、例えば、セルロースアシレートを用いると、逆波長分散特性を発現し、略λ/4の位相差値に設定すると、反射光の着色を抑制することができる。
【0034】
前記偏光板として使用されるものは特に限定されず、適宜なものを用いることができる。例えば、偏光フィルムとしてはポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムのような親水性高分子フィルムにヨウ素及び/ 又は二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物のようなポリエン配向フィルム等からなるもの等があげられる。偏光フィルムの配向方法は特に限定されないが、一般には、フィルムを長手方向および/ または幅方向に延伸したものが用いられる。前記偏光フィルムが、フィルム長手方向に延伸を行ったものである場合は、偏光板の透過軸と位相差フィルムの遅相軸が略平行となり、偏光フィルムが幅方向に延伸を行ったものである場合は、偏光板の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸が略平行となる。これらはいずれも好ましい構成であるが、生産性の観点から、偏光フィルムはフィルム長手方向に延伸を行ってなるものがより好ましい。
【0035】
偏光板、特に偏光フィルムは、その片側又は両側に透明保護層を有するものであってもよい。また偏光板は、反射層を有する反射型のものであってもよい。反射型の偏光板は、視認側(表示側) からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化をはかりやすいなどの利点を有する。
【0036】
前記の透明保護層は、ポリマーの塗布層や保護フィルムの積層物などとして適宜に形成でき、その形成には透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。その例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。透明保護層は、微粒子の含有によりその表面が微細凹凸構造に形成されていてもよい。特に、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いる場合は、接着性を上昇させるために、フィルム表面をケン化処理して用いることもできる。さらにまた、本発明の位相差フィルムを偏光フィルムの透明保護層と用いることで、光学補償偏光板を形成することもできる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
(測定及び評価方法)
本明細書に記載の特性値等は、以下の評価法によって得られたものである。
【0039】
(1)乾燥途中での支持体からの剥離
第1乾燥装置での乾燥中に、フィルムが支持体から剥がれないものを○、部分的に剥がれるものを△、完全に剥がれるものを×とした。
【0040】
(2)フィルム外観
第1乾燥装置での乾燥後のフィルム外観を観察した。目視で白化していないものを○、一部分が白化しているものを△、全面に白化しているもの×とした。
【0041】
(3)正面リターデーション測定
フィルムの略中央部より50mm角のサンプルを切り出し、シンテック社製OPTIPROにより、590nmでの正面リターデーションを測定した。
【0042】
(4)フィルム中の塩化メチレン含有量の測定
フィルムの略中央部より10mm角のサンプルを切り出し、1wt%の濃度でジオキサンに溶解し、この溶液中の塩化メチレン濃度をガスクロマトグラフィーにて測定を行った。ガスクロマトグラフィーの装置は、Hp6890series GC System、HP6890series AutoSampler(HEWLETT PACKARD製)、HG−2500(GL Scteaces製)、KAPSEL−CON Ye−3R(八重崎空圧製)を使用し、カラムは123−7032(J&W製)を用いた。サンプルの注入量は2μl、注入口の温度は225℃、圧力は9.5psiとした。オーブンの初期温度は35℃とし、5分間保持した後、昇温速度20℃/分で155℃まで昇温した。キャリアガスはHeとし、圧力9.5psi、流量2.2ml/分とした。検出器はFIDで、H2流量40ml/分、AIR流量450ml/分とした。
【0043】
(5)ガラス転移温度の測定
セイコー電子工業製示差走査熱量計DSC220Cにより、JIS K−7121に記載の方法にて測定した。
【0044】
(溶液1の調製)
アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.7であるセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製セルロースエステルCAP482−20)を100重量部、塩化メチレンを670重量部含む溶液を調製した。これを溶液1とした。
【0045】
(溶液2の調整)
アセチル基の置換度が0.1、プロピオニル基の置換度が2.7であるセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル製、CAP482−20)を90重量部、エトキシル基の置換度が2.3であるエチルセルロース(ダウケミカル製、MED−70)を10重量部、塩化メチレンを670重量部含む溶液を調製した。これを溶液2とした。
【0046】
(溶液3の調整)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン成分を有するポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック製、ユーピロンK4100)を100重量部、塩化メチレンを400重量部含む溶液を調整した。これを溶液3とした。
【0047】
(実施例1〜6、比較例1〜5)
溶液1を23℃、湿度25%の環境下で、流れ方向に1×106N/m2の応力を付与した状態の厚み125μmのPET(東レ製、U426)支持体上に、乾燥後の厚みが80μmとなるようにコンマコーターと支持体のギャップを設定し、連続的に流延した。表1のように設定された第1乾燥装置により、流延された溶液を支持体とともに乾燥させ、1次乾燥フィルムとした。このときのフィルム外観及び乾燥後の支持体からの剥離の有無に関して、表1に示した。その後、1次乾燥フィルムをPETより剥離し、流れ方向に1×105N/m2の応力を付与した状態で、表2のように設定された第2乾燥装置により乾燥させ、評価用フィルムを得た。フィルム中の塩化メチレン含有量、正面レターデーション及びガラス転移温度を表2に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素系溶媒を含むセルロース系樹脂溶液を支持体に流延し、乾燥してなる光学フィルムの製造方法であって、温度調整可能な2ゾーン以上の乾燥炉からなる第1乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のフィルムが支持体に保持された状態で、入口側の乾燥炉が露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する乾燥工程(1)を含み、塩素系溶媒の含有量を800ppm以下とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記セルロース系樹脂のフィルムを支持体から剥がした後、第2乾燥装置を使用し、セルロース系樹脂のTgより30℃以上低い温度で乾燥する乾燥工程(2)を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
乾燥工程(1)において、入口側の乾燥炉の温度(T1)と、出口側の乾燥炉の温度(T2)が、下記一般式(1)の関係を満たす条件により乾燥することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法;
(T1)−(T2)≧20℃ (1)
(3ゾーン以上の乾燥炉からなる場合、T1は露点0℃以下の除湿エアーにより乾燥する入口側の乾燥炉の最も出口側、T2は露点0℃以下の除湿エアーを使用しない出口側の乾燥炉の最も入口側の炉の温度を表す)。
【請求項4】
前記支持体が、プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記セルロース系樹脂が、セルロースアシレートからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記セルロース系樹脂が、セルロースエーテルからなることを特徴とする請求項1〜5にいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記セルロース系樹脂が、下記一般式(2)及び(3)を満たすセルロースアシレート80〜99重量%と、下記一般式(4)を満たすセルロースエーテル1〜20重量部からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法;
2.20≦DSac+DSay≦2.90 (2)
DSay/DSac≧2 (3)
1.9≦DSet≦2.6 (4)
(DSacはセルロースアシレートのアセチル置換度、DSayはセルロースアシレートの炭素数3または炭素数4のアシル基による置換度の合計、DSetはセルロースエーテルのエトキシル置換度を示す)。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた光学フィルムを延伸することを特徴とする位相差フィルム。
【請求項9】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた光学フィルムを少なくとも1層含んでなることを特徴とする偏光板。

【公開番号】特開2011−56787(P2011−56787A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208806(P2009−208806)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】