説明

光学フィルム用樹脂組成物およびこれからなる光学フィルム

【課題】本発明は、透明性に優れる光学フィルム用樹脂組成物およびこれを加工することで得られるフィルムの面内位相差が大きく、波長依存性が小さい光学フィルムを提供することにある。
【解決手段】少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)5〜50重量%、透明性ポリマー(B)35〜94.95重量%及び高分子分散剤(C)0.05〜15重量%からなることを特徴とする光学フィルム用樹脂組成物およびこれからなる光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム用樹脂組成物及び複屈折の制御を必要とする液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)の位相差フィルム用として同樹脂組成物を用いた光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は表示特性の向上のために多くの光学フィルムが必要であり、表示特性の視認性を広げるための視野角の拡大や色調の補償などのために位相差フィルムなどの光学フィルムが用いられている。
【0003】
透明樹脂材料は光学フィルムとして軽量性、生産性及びコストの面から多用される状況にある。
【0004】
近年、LCDの特性の向上のために、位相差フィルムにも広帯域性として幅広く可視光領域の位相差制御できるような特性が重要視されている。例えば、反射型LCDにおいては、広帯域にて1/4波長の位相差を示すフィルム(円偏光板とも称する)が利用されている。
【0005】
例えば、これらには、単一波長において1/4波長の位相差を示すポリカーボネートや環状ポリオレフィンなどからなる1枚の位相差フィルムに、波長分散特性を相殺するように1/2波長の位相差フィルムを積層させれば広帯域性が発現することが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、この方法はフィルムを2枚積層するために、厚さと重量が増えてしまう。また、製造工程が非常に複雑になるなどの課題がある。
【0006】
そこで、1枚のフィルムで位相差の波長依存性を改良し、広帯域性を示す方法として、正の複屈折性を示す分子構造単位と負の複屈折性を示す分子構造単位を組み合わせた共重合体、あるいは正の複屈折性を示すポリマーと負の複屈折性を示すポリマーとのブレンド物などを利用したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0007】
しかし、特許文献1〜3において提案されたものは、位相差の波長依存性が改良されているが、十分ではない。
【0008】
また、光学異方性粒子を用いた光学フィルムや光学接着剤などの光学材料が提案されている(例えば、特許文献4〜7、非特許文献2参照。)。
【0009】
特許文献4及び非特許文献2において提案されたものは、ゼロ複屈折材料に関するものであるが、分散剤についての言及はない。
【0010】
特許文献5〜7は位相差フィルムに関するものであり、光学異方性粒子を用いた光学フィルムの提案として、粒子のアスペクト比と上限粒子サイズに関する記述と、配合量などについて言及するが、分散剤についての言及はない。
【0011】
特許文献4〜7に提案された方法においては、これらの光学異方性粒子がフィルム製造工程において凝集を生じやすい。光学異方性粒子の凝集が生じると得られるフィルムの位相差や透明性などの光学特性が低下する、フィルム表面性が悪化するなどの問題が有する。これらの光学フィルムを工業的に安定に製造するためには、光学異方性粒子の凝集を抑制することが大きな課題である。
【0012】
光学異方性を有する微粒子に分散剤を添加し、溶媒中に分散させ微粒子分散液とした後、透明性高分子を溶解させて得た光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、特許文献8には、リン酸エステル分散剤の記載はあるものの高分子分散剤についての記載はない。また、リン酸エステル分散剤を用いた場合、透明性ポリマーおよび分散剤が溶解性を示す溶媒に溶解し攪拌混合することで粒子を分散させた溶液(以下、ドープ溶液と称する。)の安定性が悪く経時的に凝集を生じ易いため、得られたフィルムの位相差が悪化するという課題がある。
【0013】
【特許文献1】特開2000−137116号公報
【特許文献2】特開2001−337222号公報
【特許文献3】特開2001−235622号公報
【特許文献4】特開平11−293116号公報
【特許文献5】特開2005−156862号公報
【特許文献6】特開2005−156863号公報
【特許文献7】特開2005−156864号公報
【特許文献8】特開2007−140011号公報
【非特許文献1】SID‘02 Digest ,p862(2002)
【非特許文献2】高分子学会予稿集 Vol.52,No.4,p748(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上述の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、分散性、分散安定性に優れ、光学異方性粒子の凝集を生じにくいことから、安定なドープ溶液が得られ、そのため透明性に優れる光学フィルム用樹脂組成物およびこれを加工することで得られるフィルムの面内位相差が大きく、波長依存性が小さい光学フィルムを安定的に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討した結果、光学フィルム用樹脂組成物として、少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)を用いることで、粒子が効率よく分散した光学フィルム用樹脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)5〜50重量%、透明性ポリマー(B)35〜94.95重量%及び高分子分散剤(C)0.05〜15重量%からなる光学フィルム用樹脂組成物、及びこれを加工することで得られる光学フィルムに関するものである。
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物における光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)は、負の光学異方性を有する粒子であることが好ましく、具体的粒子としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、炭酸マンガン等の鉱物;セラミックス等の無機化合物及びスチレンオリゴマー、ベンジルメタクリレートのオリゴマー等の有機化合物を挙げることができ、その中でも鉱物、セラミックス等の無機化合物が好ましく、特に炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸マンガンが好ましい。また、これらの粒子は1種類以上を用いることができる。
【0019】
また、該粒子の形状は短軸径と長軸径の比(アスペクト比)が1.5以上であることが好ましく、特に3以上であることが好ましい。さらに、該粒子の長軸径の平均寸法が50nm以上400nm未満であることが好ましく、特に50nm以上300nm以下、更に100nm以下であることが好ましい。
【0020】
該粒子は透明性ポリマー中に分散させる際に、表面処理を行ってもよい。表面処理としては、例えば脂肪酸処理、アルキルアンモニウム処理、エポキシ樹脂処理、シラン処理、チタネート処理、ウレタン処理などが挙げられる。
【0021】
本発明における透明性ポリマー(B)は、正の複屈折性を有する透明樹脂であることが好ましく、例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フルオレン系ポリエステル、フルオレン系ポリカーボネート、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン、マレイミド系共重合体などが挙げられ、その中でもポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、環状ポリオレフィン、マレイミド系共重合体が好ましく、特にポリカーボネート、ポリアリレート、マレイミド系共重合体が好ましい。
【0022】
また、透明性ポリマー(B)は耐熱性に優れる光学フィルム用樹脂組成物となることからガラス転移温度(以下、Tgと称する)120℃以上であることが好ましく、特に130℃以上であることが好ましい。
【0023】
本発明における高分子分散剤(C)は光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子の溶媒への分散性および透明性ポリマーへの親和性を向上させる目的で配合し、例えばリン酸エステル系重合物、リン酸エステル塩系重合物、カルボン酸系重合物、カルボン酸塩系重合物、アミン系重合物、アミン塩系重合物などが挙げられ、その中でも光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子の分散性に優れることからリン酸エステル系重合物、リン酸エステル塩系重合物、カルボン酸系重合物、カルボン酸塩系重合物などが好ましく、特にリン酸エステル塩系重合物、カルボン酸系重合物、アミン系重合物が好ましい。これらは1種以上を用いることができる。また、高分子分散剤(C)の分子量は、粒子の分散性及び透明性ポリマーへの親和性に優れることから、重量平均分子量500〜30,000が好ましく、特に1,000〜20,000であることが好ましい。該高分子分散剤としては、Disperbyk110、Disperbyk140(BYK−Chemie社製)、マリアリムAAB−0851(日本油脂株式会社製)などの市販品を用いることができる。
【0024】
本発明における少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)の配合割合は、少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)5〜50重量%、透明性ポリマー(B)35〜94.95重量%及び高分子分散剤(C)0.05〜15重量%であり、その中でも光学フィルム樹脂組成物の光学異方性を制御する目的から1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)の配合量は、5〜40重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。透明性ポリマー(B)の配合量は、40〜94.95重量%が好ましく、特に50〜94.25重量%が好ましい。高分子分散剤の配合量は、0.1〜12重量%が好ましい。
【0025】
また、高分子分散剤(C)の配合量は、得られる光学フィルム用樹脂組成物に安定した複屈折性を付与可能であることから、光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)と高分子分散剤(C)の重量比が、3.3〜100であることが好ましく、特に5〜20であることが好ましい。
【0026】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物の製造方法としては、例えば光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子と高分子分散剤とを溶媒中において攪拌混合することで微細化し、また再凝集し難いように安定化した後、これに透明性ポリマー或いは透明性ポリマーを溶剤にて溶解させた溶液を加えて攪拌混合させて製造する方法(製造方法1);光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子を予め溶媒中にて高分子分散剤処理を施して乾燥せしめて調整した粉体を透明樹脂モノマーに分散し重合する方法(製造方法2);光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子を予め溶媒中にて高分子分散剤処理を施して乾燥せしめて調整した粉体と透明性ポリマーとを押出し機、ロール等で溶融混練する方法(製造方法3);などが挙げられる。
【0027】
製造方法1における攪拌混合する方法としては、広く知られている方法を用いることができ、例えばホモジナイザー、ビーズミル攪拌装置、高速攪拌ミキサー、薄膜旋回型ミキサーなどを用いることができる。
【0028】
また、製造方法1における透明性ポリマーを溶解させる溶液としては、透明性ポリマーが溶解する溶液であれば特に制限はなく、例えばトルエン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン等を挙げることができる。
【0029】
製造方法2における重合方法としては、公知の重合法が利用でき、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などにより製造することが可能である。
【0030】
製造方法3における溶融混練の方法としては、例えば一軸混練押出機、二軸混練押出機、インターナルミキサー、プラネタリーミキサー等の装置を用いて混合分散可能の温度、剪断速度条件下で溶融混練する方法が挙げられる。
【0031】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、フィルムの成形加工性を高めるために可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル類およびその重縮合体、アジピン酸などの脂肪酸エステルおよびその重縮合体、スチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ターフェニル化合物およびその置換誘導体などが挙げられ、その中でもガラス転移温度100℃未満かつ分子量30,000未満であるフタル酸エステル類、アジピン酸などの脂肪族エステルの重縮合体、スチレン系およびアクリル系ポリマーならびにこれらの共重合体などが特に好ましい。
【0032】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、フィルム成形時または位相差フィルム自体の熱安定性を高めるために酸化防止剤などを配合してもよい。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他の酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独または併用して用いてもよく、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
【0033】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、フィルムの熱着色および光劣化抑制のために光安定剤を配合してもよい。光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤などがあり、熱着色および光安定化に優れる光学フィルム用樹脂組成物となることから分子量1,000以上のヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
【0034】
更に本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、フィルムの紫外線劣化を抑制するために紫外線防止剤を配合してもよい。紫外線防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0035】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、光学フィルムとすることが好ましく、該光学フィルムの製造方法としては、例えば、光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)を溶剤に分散溶解し、これを製膜及び乾燥してフィルム化する方法(溶液キャスティング法);光学異方性を有する針状または紡錘状粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)からなる光学フィルム用樹脂組成物を溶融押出成形にてフィルム化する方法(溶融キャスティング法)により製造することができる。また、得られたフィルムは、必要に応じて該フィルムを一軸または二軸以上に延伸することにより製造することができる。
【0036】
溶液キャスティング法では、より詳細には、ドープ溶液を支持基板上に流延した後に、加熱などにより溶媒を除去しフィルムを得る方法を挙げることができる。ドープを流延する方法としては、フィルム化を可能とする方法であれば如何なる方法でもよく、例えばTダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法などが挙げられる。用いる支持基板としては、フィルム化した際のフィルム表面平滑性、光学的均一性を可能とするものであれば如何なるものでもよく、例えばガラス基板、金属基板、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等のプラスチックフィルムなどを用いることができる。また、用いる溶剤としては、透明性ポリマーが溶解可能であればよく、例えばトルエン、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン等を挙げることができる。
【0037】
溶液キャスティング法により高透明性、高厚み精度、表面平滑性に優れたフィルムを製膜するには、ドープの溶液粘度を700〜30,000cpsが好ましく、特に1,000〜10,000cpsであることが好ましい。また、溶液キャスティング法によりフィルム化した際のフィルム厚さは、機械的特性、生産性に優れる光学フィルムとなることから10〜500μmが好ましく、特に20〜300μmが好ましい。
【0038】
また、溶融キャスティング法では、より詳細には、例えば光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子を予め溶媒中にて高分子分散剤処理を施して乾燥せしめて調整した粉体と透明性ポリマーからなる光学フィルム用樹脂組成物を押出し機内で溶融し、Tダイなどの狭いスリットダイからフィルム状に押出した後に、冷却ロールやエアーなどで冷却しつつ成形する方法などが挙げられる。この際、ダイ内部の溶融樹脂の流路を最適化し、ダイリップのクリアランスを制御することで高精度のフィルム厚さ制御ができる。
【0039】
このようにして得られたフィルムは、必要に応じて一軸または二軸以上に延伸することにより位相差が制御された光学フィルムとすることができる。その際、延伸加工方法はフィルムの延伸が可能であれば如何なる方法でもよく、例えば、溶融キャスティング法であるTダイ溶融押出し工程に連なる工程として実施する方法;巻き取った後で延伸装置により延伸加工する方法;溶液キャスティング法に連なる工程として延伸加工を実施する方法;乾燥し巻き取った後で延伸装置により延伸加工する方法などが挙げられる。
【0040】
フィルムの延伸加工方法として、一軸または二軸以上に延伸加工方法を挙げることができ、一軸延伸方法としては、例えば自由幅一軸延伸、テンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などが挙げられ、二軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、チューブ状に膨らませて延伸する方法などがある。また、これら一軸およびまたは二軸延伸を可能とする実験用の小型延伸装置を用いることもできる。延伸加工方法における延伸条件としては、あつみムラが発生し難く、機械的特性、光学的特性に優れる光学フィルムとなることから透明性ポリマー(B)のガラス転移温度に対して+10℃〜+40℃の延伸温度条件のもとで、延伸倍率が1.1倍〜5倍の範囲に延伸することが好ましい。
【0041】
光学フィルムの面内位相差は、目的とする用途に応じて適宜選択すればよく、通常20nm以上であることが好ましく、特に50nm以上であることが好ましく、更に80nm以上であることが好ましい。円偏光フィルムとして用いる際にはフィルムの面内位相差が100〜200nmの範囲であることが好ましく、1/2波長フィルムとして用いる際にはフィルムの面内位相差が200〜400nmの範囲であることが好ましい。なお、ここでいうフィルムの面内位相差は測定波長589nmにおける値である。
【0042】
該フィルムの面内位相差としては、フィルム面内の直交する2軸のうち、遅相軸方向をx軸、これに直行する軸をy軸としてそれぞれの軸に対応する屈折率をnx、ny、としフィルムの厚さをdとした場合に、フィルムの面内位相差Re=(nx−ny)×d、として表わすことができる。
【0043】
また、光学フィルムの波長依存性は、基準波長550nm、450nm及び630nmの波長における位相差を測定し、これらの基準波長の位相差の比としてそれぞれRe(450)/Re(550)、Re(630)/Re(550)として表すことができる。1/4波長板、1/2波長板として用いる場合には、Re(450)/Re(550)は、1.0以下が好ましく、特に好ましくは0.99、さらに好ましくは0・98以下である。また、Re(650)/Re(550)は、1.0以上が好ましく、特に好ましくは1.01以上である。
【0044】
更に本発明の光学フィルム用樹脂組成物のドープ溶液を1週間室温で放置後、前記方法と同様の方法により製造した光学フィルムのフィルムの面内位相差及び波長依存性が、1週間後の測定でも変化は小さいという特徴を持っている(ドープ溶液の安定性に優れる)。
【0045】
本発明の光学フィルムは、フィルムの面内位相差が大きく、波長依存性が小さいことから位相差フィルムとすることが好ましい。該位相差フィルムは、偏光板と積層し楕円偏光板とすることも出来る。その際、該楕円偏光板は、反射型液晶ディスプレイの他に有機ELディスプレイなどの反射防止フィルム、輝度向上フィルムなどにも有用である。該位相差フィルムどうしまたは他の位相差フィルムと積層することもできる。また、ポリビニルアルコール/ヨウ素などの二色性色素からなる偏光子と積層した偏光板とすることも可能であり、該位相差フィルムをプラスチック基板とした液晶素子とすることも可能である。該位相差フィルムを積層する際に、接着層を介して貼合してもよく、該接着層としては公知の水溶性または油溶性接着剤を用いることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、特定の粒子サイズの光学異方性粒子を高濃度に配合し、粒子の分散性を改良することで得られる透明性に優れる光学フィルム用樹脂組成物であり、これを加工することで得られるフィルムの面内位相差が大きく、波長依存性が小さい光学フィルム、特に位相差フィルムは液晶ディスプレイの補償フィルムや有機ELディスプレイなどの反射防止フィルムなどに有用である。
【実施例】
【0047】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0048】
以下、実施例の評価・測定に用いた方法を示す。
【0049】
〜高分子分散剤の重量平均分子量の測定〜
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製 HLC8020)を用い、クロロホルムを溶媒として、40℃で測定し標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0050】
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/min.にて測定した。
【0051】
〜フィルム中の凝集物の有無判定〜
目視により判別可能なサイズとして数十μmの凝集粒子の有無を評価した。
【0052】
〜フィルムの光線透過率の測定〜
JIS−K−7361−1に準拠してヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名NDH−2000)により測定した。
【0053】
〜フィルムの位相差の測定〜
自動複屈折計(王子計測器株式会社製、商品名KOBRA−WR)を用いて、フィルムの面内位相差Reを測定し、60μm厚でのフィルムの面内位相差に換算した。
【0054】
位相差の波長依存性は、基準波長550nm、450nm及び630nmの波長における位相差を測定し、これらの基準波長の位相差の比としてそれぞれRe(450)/Re(550)、Re(630)/Re(550)を評価することで波長依存性を判定した。
【0055】
実施例1
ジクロロメタン89重量%、負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウム粒子(ステアリン酸処理品、長軸系の平均寸法250nm、アスペクト比3.5、平均固有複屈折=na−((nb+nc)/2)=−0.1475)10重量%、高分子分散剤としてリン酸エステル塩系重合物(BYK−Chemie社製、商品名Disperbyk−140(重量平均分子量20,000))1重量%からなる混合物をビーズミル攪拌装置を用いて攪拌させることで炭酸ストロンチウム分散液を得た。
【0056】
この炭酸ストロンチウム分散液にポリカーボネート(帝人化成製、商品名パンライト、ガラス転移温度141℃)を、炭酸ストロンチウム20重量%、ポリカーボネート78重量%、高分子分散剤(リン酸エステル塩系重合物)2重量%となるように配合し光学フィルム用樹脂組成物を得た。さらにこの光学フィルム用樹脂組成物100重量部に対して、フタル酸ジエチルヘキシル5重量部を配合した混合物を得た。この混合物をジクロロメタン溶媒中25重量%となるようにビーズミル攪拌装置を用いて溶解、分散させた溶液(ドープ溶液)をポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に製膜した後に、160℃で乾燥しフィルム状の光学フィルム用樹脂組成物を得た。得られたフィルムのTgは157℃であった。得られたフィルムを二軸延伸装置(井元製作所製、型式16A1)を用いて自由幅一軸延伸にて、170℃2.0倍に延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。
【0057】
得られたフィルムの全光線透過率は90%であった。また、フィルムの面内位相差Reは85nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.01であった。
【0058】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は90%であった。フィルムの面内位相差Re85nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.01と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても殆ど変化しなかった。
【0059】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0060】
実施例2
実施例1の溶解・分散装置をビーズミル攪拌装置の代わりにプライミクス社製TK−ロボミクスホモジナイザーに変えた以外は、同様の操作を実施してフィルムを得た。得られたフィルム外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。
【0061】
得られたフィルムの全光線透過率は89%であった。また、フィルムの面内位相差Reは80nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.00であった。
【0062】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は90%であった。フィルムの面内位相差Re80nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.00と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても変化しなかった。
【0063】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0064】
実施例3
実施例1の溶解・分散装置をビーズミル攪拌装置の代わりにプライミクス社製薄膜旋回型ミキサー(商品名:フィルミクス56−50)に変えた以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。得られたフィルム外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。
【0065】
得られたフィルムの全光線透過率は90%であった。また、フィルムの面内位相差Reは130nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.00であった。
【0066】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は90%であった。フィルムの面内位相差Re130nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.00と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても変化しなかった。
【0067】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0068】
実施例4
実施例1で、炭酸ストロンチウム40重量%、ポリカーボネート48重量%、高分子分散剤12重量%とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。得られたフィルム外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。
【0069】
得られたフィルムの全光線透過率は82%であった。また、フィルムの面内位相差Reは200nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.95、Re(630)/Re(550)=1.05であった。
【0070】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は80%であった。フィルムの面内位相差Re180nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.96、Re(630)/Re(550)=1.05と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても殆ど変化しなかった。
【0071】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0072】
実施例5
実施例1の高分子分散剤としてBYK−Chemie社製Disperbyk−140の代わりにカルボン酸系重合物(日本油脂株式会社製、商品名マリアリムAAB−0851(重量平均分子量16,000)用い、炭酸ストロンチウム10重量%、ポリカーボネート89.9重量%、高分子分散剤0.1重量%とし、フタル酸ジエチルヘキシルを用いなかった以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0073】
得られたフィルムの全光線透過率は90%であった。また、フィルムの面内位相差Reは80nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=1.00、Re(630)/Re(550)=1.00であった。
【0074】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は90%であった。フィルムの面内位相差Re80nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=1.00、Re(630)/Re(550)=1.00と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても変化しなかった。
【0075】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0076】
実施例6
実施例1で、ポリカーボネートの代わりに、N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体(数平均分子量120,000、ガラス転移温度159℃)、高分子分散剤としてBYK−Chemie社製Disperbyk−140の代わりにアミン系重合物(BYK−Chemie社製Disperbyk−112(重量平均分子量17,000)ジクロロメタンの代わりにクロロホルムを用い、延伸温度を200℃とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0077】
得られたフィルムの全光線透過率は88%であった。また、フィルムの面内位相差Reは120nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.95、Re(630)/Re(550)=1.02であった。
【0078】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は85%であった。フィルムの面内位相差Re120nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.95、Re(630)/Re(550)=1.02と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても変化しなかった。
【0079】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0080】
実施例7
実施例1で、ポリカーボネートの代わりに、ポリアリレート(ユニチカ製、商品名UポリマーP−3001、ガラス転移温度159℃)、高分子分散剤としてBYK−Chemie社製Disperbyk−140の代わりにアミン系重合物(BYK−Chemie社製Disperbyk−112(重量平均分子量17,000)、炭酸ストロンチウムの代わりに炭酸カルシウム(ステアリン酸処理品、長軸径の平均寸法160nm、アスペクト比4.0、平均固有複屈折=na−((nb+nc)/2)=−0.172)を用い、延伸温度を200℃とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0081】
得られたフィルムの全光線透過率は90%であった。また、フィルムの面内位相差Reは75nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.01であった。
【0082】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜、延伸したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は88%であった。フィルムの面内位相差Re75nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=0.97、Re(630)/Re(550)=1.01と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過しても変化しなかった。
【0083】
これらの結果から、得られたフィルムは、フィルムの面内位相差が大きいこと、波長依存性が小さいことから、光学フィルム、特に位相差フィルムに適したものである。
【0084】
比較例1
実施例1で、高分子分散剤を用いず炭酸ストロンチウム20重量%、ポリカーボネート80重量%とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0085】
得られたフィルム中には凝集粒子が多数確認された。
【0086】
得られたフィルムの全光線透過率は80%であった。また、フィルムの面内位相差Reは−10nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=1.05、Re(630)/Re(550)=0.99
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜したフィルムは、粒子の凝集が激しく、均一なフィルムを得ることは出来なかった。
【0087】
高分子分散剤を用いなかったことから、凝集粒子が多く、フィルムの面内位相差が小さく光学フィルムに適したものではなかった。
【0088】
比較例2
実施例1の高分子分散剤BYK−Chemie社製Disperbyk−140の代わりにリン酸エステル分散剤(ユニケミカル株式会社製、商品名PhosmerM(分子量271))を用いた以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0089】
得られたフィルム外観は良好であったが、凝集粒子が確認された。
【0090】
得られたフィルムの全光線透過率は87%であった。また、フィルムの面内位相差Reは65nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=0.99、Re(630)/Re(550)=1.01であった。
【0091】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜したフィルムは凝集物が多数確認された。また、全光線透過率は85%であった。フィルムの面内位相差Re30nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=1.03、Re(630)/Re(550)=0.99と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過により大きく変動した。
【0092】
リン酸エステル分散剤を用い高分子分散剤を用いなかったことから、凝集粒子が多く、フィルムの面内位相差が小さく光学フィルムに適したものではなかった。
【0093】
比較例3
実施例1で、炭酸ストロンチウム40重量%、ポリカーボネート44重量%、高分子分散剤16重量%とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0094】
得られたフィルムに凝集物は確認されなかったが、濁りが激しかった。
【0095】
得られたフィルムの全光線透過率は80%であった。また、フィルムの面内位相差Reは30nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=1.01、Re(630)/Re(550)=0.99であった。
【0096】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜したフィルムは凝集物が多数確認された。また、全光線透過率は80%であった。フィルムの面内位相差Re20nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=1.01、Re(630)/Re(550)=0.99と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過により大きく変動した。
【0097】
高分子分散剤の量が多いことから、凝集粒子が多く、フィルムの面内位相差が小さく光学フィルムに適したものではなかった。
【0098】
比較例4
実施例1で、炭酸ストロンチウム4重量%、ポリカーボネート95.6重量%、高分子分散剤0.4重量%とし、フタル酸ジエチルヘキシルを用いなかった以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0099】
得られたフィルム外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。
【0100】
得られたフィルムの全光線透過率は92%であった。また、フィルムの面内位相差Reは20nmであった。位相差の波長依存性は、Re(450)/Re(550)=1.03、Re(630)/Re(550)=0.97であった。
【0101】
ドープ溶液を1週間後に同様に製膜したフィルムの外観は良好であり、凝集物は確認されなかった。また、全光線透過率は90%であり、フィルムの面内位相差Re20nm、位相差の波長依存性Re(450)/Re(550)=1.03、Re(630)/Re(550)=0.97と、フィルムの面内位相差及び波長依存性が1週間経過により大きく変動した。
【0102】
光学異方性粒子の量が少なく、フィルムの面内位相差が小さく光学フィルムに適したものではなかった。
【0103】
比較例5
実施例1で、炭酸ストロンチウム55重量%、ポリカーボネート39.5重量%、高分子分散剤5.5重量%とした以外は同様の操作を実施してフィルムを得た。
【0104】
得られたフィルム外観に凝集物は確認されなかったが、濁りがはげしかった。
【0105】
また、延伸を行うことは出来なかった。
【0106】
光学異方性粒子の量が多いことから、成形加工性に劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類以上の光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)5〜50重量%、透明性ポリマー(B)35〜94.95重量%及び高分子分散剤(C)0.05〜15重量%からなることを特徴とする光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項2】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)と高分子分散剤(C)の重量比が、3.3〜100であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項3】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)が、負の複屈折性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項4】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)が、鉱物、セラミックスの無機化合物からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項5】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)が、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸マンガンからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項6】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)の短軸径と長軸径の比(アスペクト比)が1.5以上、その長軸径の平均寸法が50nm以上400nm未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項7】
透明性ポリマー(B)が、正の複屈折性を有するポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、環状ポリオレフィン、マレイミド系共重合体からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項8】
透明性ポリマー(B)が、ガラス転移温度120℃以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項9】
高分子分散剤(C)が、リン酸エステル系重合物、リン酸エステル塩系重合物、カルボン酸系重合物、カルボン酸塩系重合物、アミン系重合物、アミン塩系重合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルム用樹脂組成物からなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項11】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)を溶剤に分散溶解し、これを製膜及び乾燥してフィルム化することを特徴とする請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
光学異方性を有する針状または紡錘状の粒子(A)、透明性ポリマー(B)及び高分子分散剤(C)からなる光学フィルム用樹脂組成物を溶融押出成形にてフィルム化することを特徴とする請求項10又は11に記載の光学フィルム。
【請求項13】
1軸以上に延伸加工することを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の光学フィルム。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載の光学フィルムからなることを特徴とする位相差フィルム。

【公開番号】特開2009−145735(P2009−145735A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324587(P2007−324587)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】