光学ミクロ構造体を有する有機発光ダイオードデバイス
光学ミクロ構造体を有する端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイス及びそれらの製作方法。端部放射OLEDは、基材と、基材表面にオーバーレイする有機エレクトロルミネセント層と、変向光学体として機能し、OLEDから分離した光学ミクロ構造体とを包含する。変向光学体は、端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させ、基材の上部から離すか、又は基材の下部を通し及びそれから離す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ミクロ構造体を有する端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイス、及びそれらの製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体照明は、伝統的な白熱及び蛍光電球の代わりに、発光ダイオード(LED)又はOLEDを光源として使用する。LED又はOLEDは、白熱及び蛍光照明よりはるかに高いエネルギー効率を提供し、これは電気消費量の低下を通じて、有意な省エネルギーをもたらすことになる。それらはまた、更に多くの照明効果を提供することができる。例えば、それらは、可撓性基材の中に形成され、ひいては3次元の物体の周囲に形成され得る。また、それらは光の様々な色を選択的に提供するように制御され得る。
【0003】
固体照明の1つの課題は、LED又はOLEDの光抽出である。光のかなりの損失が、全反射(TIR)による基材中の導光、及び高指数層中の導波路損失の結果として生じる。TIRによる損失は典型的には、指数勾配、表面又はバルクディフューザー、多層光学積み重ね体、及びマイクロレンズのような反射防止の従来方法を使用して解決される。しかしながら、導波モードにおける光のおよそ50%の損失に対する解決法は、より困難である。OLEDの高光学指数の有機及び透明導電酸化物(TCO)層は、ガラスクラッディングを有する光ファイバーと同じように作用する。デバイス平面の中に放射されたエバネセントモードは、この層内に捕捉され、自己吸収及び光エネルギーの熱への変換前に非常に短い距離だけを進む。
【0004】
固体照明中の導光に対処するための幾つかの手法が開発されてきた。この光の抽出に対するこれらの解決法には、酸化インジウムスズ(ITO)とガラスとの間の低指数の疎水性エアロゲル層の使用、分布帰還型(DFB)回折格子の使用、及びマイクロキャビティ効果の最適化が挙げられる。
【0005】
別の手法には、高指数TCO/ガラス境界面における2次元(2D)のフォトニック結晶回折格子の使用(DFB回折格子に関連する)が挙げられる。この方法は、当初は、無機LEDからの光を抽出するために開発されており、OLED用に改良されてきている。この方法は、ガラス基材中のナノホールの規則的配列をパターン付けするためのフォトリソグラフィーの使用、及び高指数の窒化ケイ素によるそれらの充填を伴う。最後に、窒化ケイ素に格子整合したITOが、基材を完成するために蒸着される。
【0006】
更に別の手法は、端部放射光を捕捉するために蛍光染料要素の使用を伴う。この方法は、蛍光物質のストライプが組み入れられている、ストライプに構成された標準的なOLEDの配列からなる。蛍光物質は、任意の端部放射光を吸収し、より低いエネルギーでそれを再放射する。結果は、2色ではあるが、より効率的なOLEDデバイスである。
【0007】
最後に、別の手法は、金属電極及び誘電体層を有する、垂直円筒形のOLEDデバイスの使用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、固体照明デバイス及び他の発光素子中の光抽出を高めることに対する他の解決法への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従う、端部放射OLEDデバイスは、基材と、基材表面にオーバーレイする有機エレクトロルミネセント層とを包含する。有機エレクトロルミネセント層は、端部放射OLEDを形成する。基材上に、有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体が形成される。光学ミクロ構造体の各々は、端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している。
【0010】
本発明に従う、端部放射OLEDデバイスを製作する方法は、次の、基材を提供する工程と、端部放射OLEDを形成する際に使用するために基材表面に硬化可能な有機層を適用する工程と、基材の上に、有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体を形成する工程と、硬化可能な有機層を硬化する工程と、金属層を有機エレクトロルミネセント層を覆って適用して電極を形成し、光学ミクロ構造体を覆って適用して端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を形成する工程とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は本明細書の一部に組み込まれ、及びそれを構成するものであって、本発明の利点と原則を、その記述と共に説明する。図面中、
【図1】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図2】光学ミクロ構造体を有する端部放射及び上部放射OLEDを例示する断面図。
【図3】図光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図4】光学ミクロ構造体を有する端部放射及び下部放射OLEDを例示する断面図。
【図5】凹状光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図6】凸状光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図7a】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための第1の代表的なパターンを例示する断面図。
【図7b】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための第2の代表的なパターンを例示する断面図。
【図8a】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8b】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8c】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8d】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図9a】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9b】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9c】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9d】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9e】光学ミクロ構造体の蛇行レイアウトの平面図。
【図10a】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10b】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10c】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10d】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10e】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10f】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10g】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10h】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10i】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10j】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図11】光学ミクロ構造体を有する空間変調された端部放射OLEDを例示する図。
【図12】LCDバックライトユニットとして使用される光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態は、固体照明又はディスプレイのような他のデバイスにおいて、より高い光出力のためのOLEDデバイス中の高められた光抽出を提供できる。ミクロ複製された基材は、光を抽出し。導光による損失量を低減するために、端部放射OLED及びミクロ構造化された変向光学体を包含する。この種類のミクロ複製された基材は、例えば固体照明用途のための剛性又は可撓性シートとして提供され得る。
【0013】
端部放射OLED
OLEDは、典型的には、ガラス、透明な可撓性フィルム、又は可撓性金属ホイルのような基材上に形成された薄いフィルム構造である。OLEDのための基材は、例えば、次の:有機ポリマー物質;ポリエチレンテレフタレート(「PET」);ポリアクリレート;ポリカーボネート;シリコーン;エポキシ樹脂;シリコーン官能化エポキシ樹脂;ポリエステル;ポリイミド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリエチレンナフタレート(「PEN」);又は他の不透明若しくは半透明の物質のうちの1つを含んでもよい。基材はまた、例えば、ステンレス鋼及び金属ホイルのような不浸透性物質を含んでもよい。可撓性金属ホイルを包含する、ディスプレイデバイス基材の例は、次の論文に記載されており、それらのすべてが、本明細書に参考として組み込まれる:H.S.シン(H.S. Shin)ら、「可撓性金属ホイル上の4.1インチ上部放射AMOLED(10.4 cm (4.1 inch)Top-Emission AMOLED on Flexible Metal Foil)」、SID 05 DIGEST、1642〜1645ページ(2005);X.L.チュー(X.L. Zhu)ら、「有効な電子注入器として極薄Ybを有する非常に明るい及び効率的な上部放射OLED(Very Bright and Efficient Top-Emitting OLED with Ultra-Thin Yb as Effective Electron Injector)」、SID 06 DIGEST、1292〜1295ページ(2006);J.H.チェオン(J.H. Cheon)ら、「SOG平坦化を有する可撓性金属ホイル上の2.2インチの上部放射AMOLED(A 2.2-in. Top-Emission AMOLED on Flexible Metal Foil with SOG Planarization)」、SID 06 DIGEST、1354〜1357ページ(2006);H.K.チャン(H.K. Chung)ら、「モバイルディスプレイのためのAMOLED技術(AMOLED Technology for Mobile Displays)」、SID 06 DIGEST、1447〜1450ページ(2006);D.U.チン(D.U. Jin)ら、「ステンレス鋼ホイル上の5.6インチ可撓性フルカラー上部放射AMOLEDディスプレイ(14.2 cm(5.6-inch)Flexible Full Color Top Emission AMOLED Display on Stainless Steel Foil)」、SID 06 DIGEST、1855〜1857ページ(2006);及びA.クワン(A. Chwang)ら、「可撓性ステンレス鋼基材上のフルカラー100dpi AMOLEDディスプレイ(Full Color 100 dpi AMOLED Displays on Flexible Stainless Steel Substrates)」、SID 06 DIGEST、1858〜1861ページ(2006)。
【0014】
有機エレクトロルミネセント(EL)物質、例えば発光ポリマーの発光層、及び任意の隣接した半導体層は、カソードとアノードとの間に位置する。発光ポリマー層の例は、米国特許第6,605,483号に記載されており、これは本明細書に参考として組み込まれる。EL物質は、例えば、カソードとアノードとの間に挟まれ得るか、又は相互嵌合され得る。半導体層は、正孔注入(正電荷)、電子注入(負電荷)、正孔ブロッキング、電子ブロッキング、正孔輸送、又は電子輸送であってもよく、及びそれらはまた有機物質を含む。発光層のための物質は、多くの有機EL物質から選択されてもよい。発光有機層自体が、各々が異なる有機EL物質を含む複数の副層を包含してもよい。有機EL物質は、可視スペクトル中に波長の狭い範囲を有する電磁(「EM」)放射線を放射することができる。
【0015】
1つの特定例では、白色光を実現するために、デバイスは、青、緑、及び赤の光、又は光の補色(例えば、青及び黄)を放射する、近密に配置されたOLEDを組み込む。これらの色は、混合されて白色光を生成する。米国特許第5,294,869号、及び同第5,294,870号に記載される1つの構成では、これらのOLEDは、個々に指定可能な隣接したピクセルとして形成される。1つ以上の有機EL物質の分離された区域及びそれらに連結された色変換層は、個々のピクセルを電気的に制御する能力を提供するパターン付き電極上に蒸着される。これらの層の蒸着は、フォトリソグラフィーにより基材上に最初に形成される複数個の壁を含むシャドーマスクにより達成される。壁のシャドー中の表面の部分は、こうした表面に対して斜めに向けられた蒸気を受け取らない。したがって、蒸着される区域の位置は、壁の高さ及び蒸着の角度によって制御される。
【0016】
OLEDは、地形的機構を包含することができ、及び横列と縦列のマトリックスとして、又は一連の長い横列として形成され得る。各地形的機構の寸法、及び2つの隣接した機構間の距離は、典型的には、マトリックスディスプレイのピクセルの所望の寸法に対応している。高密度、高解像度の情報ディスプレイのためには、ピクセル寸法は、約5ミクロン〜約100ミクロンの範囲であり得る。一方、一般の照明目的のためには、ピクセル区域は数平方センチメートル以上であり得る。隆起した機構の高さは、典型的には、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲であり、より特には10ミクロン未満である。変向光学体を有するOLEDはまた、任意に空間変調された、液晶ディスプレイ(LCD)デバイスのためのバックライトユニットとして使用され得る。
【0017】
個々のOLEDは、隆起部(隆起した機構)の上か、又はそれらの間の谷部の中に構築され得る。このように構築されたOLEDは、ディスプレイデバイスのために、アクティブ化OLEDの集まりによって表される情報又は画像を表示するために個々に指定され得る。典型的には、OLEDは、少なくとも有機EL層を含み、この有機EL層は、電流によりアクティブ化されたときに発光でき、アノード及びカソードとしての役割を果す2つの導体層間に挟まれるか又は相互嵌合されている。
【0018】
OLEDを作製するために、アノードに続く層、有機EL、及びカソード物質が基材上に蒸着される。ITOはアノード物質として典型的には使用され、これは典型的には、約4.5eV〜約5.5eVの範囲の高仕事関数であることが必要である。ITOは、光透過に対して実質的に透明であり、少なくとも80%の光透過率を可能にする。そのため、有機エレクトロルミネセント層から放射された光は、実質的に減衰されずに、ITOアノード層を通って容易に脱出できる。アノード層として使用するために好適な他の物質には、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化カドミウムスズ、及びこれらの混合物が挙げられる。加えて、アノード用に使用される物質は、電荷注入特性を改善するためにアルミニウム又はフッ素をドープされてもよい。電極層は、物理蒸着、化学蒸着、イオンビームに援助された蒸着、又はスパッタリングによって、下層の要素上に蒸着されてもよい。薄い金属の実質的に透明な層もまた好適である。
【0019】
1超過の有機EL層が、1つの上にもう1つを積み重ねて形成されてもよく、各層は、異なる波長範囲で放射する異なる有機EL物質を含む。こうした構成は、全体の発光ディスプレイデバイスから放射された光の色の波長調整を容易にできる。更に、1つ以上の追加層が、全体のデバイスの効率を高めるために電極間に包含されてもよい。これらの追加層はまた、物理蒸着又は化学蒸着により蒸着されてもよい。例えば、これらの追加層は注入を改善する役割を果すこともできる(電子又は正孔注入強化層)し、又は有機EL層中への電荷の輸送を改善する役割を果すこともできる(電子又は正孔輸送層)。これらの層の各々の厚さは、典型的には、約500ナノメートル(nm)未満、より好ましくは約100nm未満に保たれる。これらの追加層のための物質は、典型的には、低分子量から中分子量(約2000未満)の有機分子である。時には、正孔注入強化層は、所与の順方向バイアスにおいて、より高い注入電流を、及び/又はデバイスの故障の前に、より高い最大電流を提供できるように、アノード層と有機EL層との間に形成される。したがって、正孔注入強化層は、アノードからの正孔の注入を促進する。正孔注入強化層のための好適な物質には、例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,998,803号に開示される物質が挙げられる。
【0020】
別の方法として、各OLEDは更に、正孔注入強化層と有機EL層との間に配置される正孔輸送層を包含することができる。正孔輸送層は、正孔と電子とが有機EL層中で最適に組み合わされるように、正孔を輸送し及び電子の輸送を阻止する機能を有する。正孔輸送層に好適な物質には、例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,023,371号に開示される物質が挙げられる。
【0021】
もう1つの別の方法として、各OLEDは、カソード層と有機EL層との間に配置される追加層を包含することができる。この追加層は、有機EL層に電子を注入し、輸送する組み合わされた機能を有する。電子注入及び輸送層に好適な物質には、例えば、米国特許第6,023,371号に開示される物質が挙げられる。
【0022】
別の態様では、有機EL物質及び染料(ホスト及び放射体)の混合物が、個々のOLEDの電極間に配置される。染料は、有機EL物質によって放射されたEM放射線の一部分を吸収し、異なる波長範囲でEM放射線を放射する。異なる染料が、異なるOLEDに対して、異なる色を生成するために使用される。例えば、染料は、3つの隣接したOLEDが、青、緑、及び赤色を放射するように選択されることができ、これらの色は組み合わせにより結果として白色光を生じる。
【0023】
次の論文は、本明細書に参考として組み込まれるが、側面に沿って発光するOLEDを記載している:A.ミカミ(A. Mikami)ら、「側面の色変換層と一体となった、高効率リン光性有機発光素子(High Efficiency Phosphorescent Organic Light-Emitting Devices Coupled with Lateral Color Conversion Layer)」、SID 06 DIGEST、1376〜1379ページ(2006)。
【0024】
次の論文は、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれるが、OLEDのキャビティ寸法を伸ばすための方法を記載している:L.−S.リヤオ(L.-S. Liao)ら、「高効率のタンデム青色OLED(High-Efficiency Tandem Blue OLEDs)」、SID 06 DIGEST、1197〜1200ページ(2006);T.マインドロン(T. Maindron)ら、「高性能及び高安定性PIN OLED(High Performance and High Stability PIN OLED)」、SID 06 DIGEST、1189〜1192ページ(2006);及びT.K.ハットワー(T. K. Hatwar)ら、「RGBW AMOLEDディスプレイを製作するための低電圧白色タンデム構造体(Low-Voltage White Tandem Structures for Fabricating RGBW AMOLED Displays)」、SID 06 DIGEST、1964〜1967ページ(2006)。
【0025】
次の論文は、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれるが、端部放射の厚膜エレクトロルミネセント(TFEL)デバイスの使用を記載している:Y.−H.リー(Y.-H. Lee)ら、「マイクロチップ(Micro-Tip)反射体により反射された端部放射を使用する新しい発光構造体(A New Light Emitting Structure Using Edge Emission Reflected by Micro-Tip Reflectors)」、韓国科学技術研究所(Korean Institute of Science and Technology)、41〜42ページ;Z.クン(Z. Kun)ら、「光学像バー用途のためのTFEL端部放射体配列(TFEL Edge Emitter Array for Optical Image Bar Applications)」、SID 86 DIGEST、270〜272ページ(1986);及びY.H.リー(Y.H. Lee)ら、「ミクロ機械加工構造を使用する白色発光薄膜エレクトロルミネセントデバイス(White-Light Emitting Thin-Film Electroluminescent Device Using Micromachined Structure)」、電子デバイスについてのIEEE議事録(IEEE Transaction on Electronic Devices)、44巻、1号、40〜44ページ(1997)。
【0026】
光学ミクロ構造体を有する端部放射OLED
図1〜6は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDデバイスを例示する断面図である。図1〜6は、縮尺比に従って示されておらず、及び寸法は特定の実施に基づいて調整され得る。図1は、デバイスのユニットセル100の代表的な断面を表しており、ユニットセルが繰り返されて、完全なOLED固体照明又はディスプレイデバイスを作製する。ユニットセル100は、光108を生成する端部放射OLED 104を包含する。ユニットセル100はまた、光108の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ103を有する任意の隙間101によりOLED 104から分離された、光学ミクロ構造体102を包含する。光学ミクロ構造体102は、OLEDからの光をユニットセル100の上部から外へと再指向させるための変向光学体として機能できる。変向光学体102は、OLED 104から放射された光に関して角度105で配置され、角度105はデバイス区域にわたって一定であってもよいし又は一定でなくてもよく、変向光学体はすべてが実質的に同じ角度105を有し得るし、又はそれらは異なる角度105も有し得ることを意味する。このようにして、変向光学体について様々な角度を微調整することによって、全体のデバイスは、光を異なる方向に指向させるように構成され得る。角度105は、例えば、光108の所望の反射及び再指向のために選択され得る。
【0027】
この構造体の態様は、ユニットセル100によって例示されるように、自己整合であり、OLED物質の真空蒸着と適合性がある。蒸着プロセスの間、任意の隙間101は、OLED 104の発光端部、並びに光学ミクロ構造体102の電気的遮蔽を作り出すことができる。時には、OLED物質は、ミクロ構造化区域を覆って不均一に蒸着され、光学ミクロ構造体102のプリズム表面上においてさえ不均一に蒸着され、次いで金属層がOLED物質を覆って蒸着される。金属層は、OLED 104のための電極、及びプリズム、光学ミクロ構造体102のための反射面の両方として、二重用途を提供する。光学ミクロ構造体102上の電極の1つ又は両方は、反射面として機能してもよく、変向光学体小面上のOLED層は、不活性である。
【0028】
図2は、自己整合したOLEDの別の代表的なユニットセル200を例示しており、その中でカソードは、放射がカソードを通って及び端部に沿っての両方において起こるように半透明である。ユニットセル200は、光206及び208を生成する端部及び上部放射OLED 204を包含する。ユニットセル200はまた、光208の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ203を有する任意の隙間201によりOLED 204から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体202を包含する。この場合、カソードは薄い金属層及びより厚いITOの層を含んでもよい。ユニットセル200において具体化されるように、この様態は、導波光並びにデバイス平面に対して垂直に放射された光を効率的に捕捉する。この構成により作製されたデバイスは、自己吸収又は減衰の態様に関わらず、非発光区域に対する発光区域の高い比率を有する場合がある。
【0029】
図3及び4は、放射された光を下に指向させて基材を通すような方式で、光学ミクロ構造プリズムが角度を成すことを除いて、図1及び2に示されるユニットセルに類似した様態を例示している。図3は、光308を生成する端部放射OLED 304を包含するユニットセル300を例示している。ユニットセル300はまた、光308の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ303を有する任意の隙間301によりOLED 304から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体302を包含する。図4は、光406及び408を生成する端部及び下部放射OLED 404を包含するユニットセル400を例示している。ユニットセル400はまた、光408の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ403を有する任意の隙間401によりOLED 404から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体402を包含する。図3及び4のユニットセルは、端部及び下部放射の両方を可能にするために透明又は半透明の下部電極を有する。プリズムは、基材を通して端部放射された光を集束するか又は拡散するかのいずれかであるように成形される。
【0030】
図5及び6はユニットセルを例示しており、そこでは光は基材に関して実質的に90°以外の角度で再指向される。図5は、光508を生成する端部放射OLED 504を包含するユニットセル500を例示している。ユニットセル500はまた、基材に関して内向きの角度で光508の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ503を有する任意の隙間501によりOLED 504から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体502を包含する。図6は、光608を生成する端部放射OLED 604を包含するユニットセル600を例示している。ユニットセル600はまた、基材に関して外向きの角度で光608の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ603を有する任意の隙間601によりOLED 604から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体602及び606を包含する。加えて、ユニットセル600に例示されるように、変向光学体は、光学ミクロ構造体602のような球面、光学ミクロ構造体606のような平面の組み合わせであることもでき、又は非球面若しくは他の種類の形状を有することもできる。
【0031】
図1〜6に例示されるユニットセルの構成は、複数の方式において異なることができる。基材は、異なるプリズムの種類の配列又は分布によって設計され得る。多くのユニットセルから形成されるデバイス表面にわたって、全体的な発光が制御されるように、例えば、変向光学体小面は、フレネルレンズのような複合レンズの要素として設計され得る。変向光学体小面は、共に複合レンズを形成するということもある。このようにして、放射された光は、コリメート、拡散、又は集束され得る。
【0032】
OLEDと光学ミクロ構造体との間の隙間(101、201、301、401、501、及び601)のサイズは、OLED端部から放射された光線の発散に基づいて調整され得る。発散が大きい場合、隙間は相対的に小さいことが必要である。隙間はまた蒸着の間に観察される蒸着の角度及びシャドーイングに基づいて調整されてもよい。隙間のサイズは、例えば、約0.01ミクロン〜100ミクロンであり得る。ある場合には、隙間は必要なく、隙間はゼロ又は実質的にゼロの距離を有し得ることを意味する。
【0033】
使用されるとき、光学ミクロ構造体の基部と隙間の下部との間の深さ(103、203、303、403、503、及び603)のサイズは調整され得る。深さのサイズは、例えば、約0.01ミクロン〜100ミクロンであり得る。ある場合には、深さは必要なく、特に隙間が使用されない場合に深さはゼロ又は実質的にゼロの距離を有し得ることを意味する。
【0034】
ユニットセル(100、200、300、400、500、及び600)の各々の中の変向光学体の角度、例えば角度105は、各ユニットセル中のOLEDからの光の所望の反射し、再指向させるために調整され得る。また、角度は、デバイス区域にわたって一定であっても又は可変でもあってもよく、変向光学体は、すべてが実質的に同じ角度を有することもでき、又はそれらは異なる角度を有することもできることを意味する。このようにして、変向光学体について様々な角度を微調整することによって、全体のデバイスは、光を異なる方向に指向させるように構成され得る。加えて、フレネルレンズを形成するために、図5及び6に示されるように、凹状又は凸状の変向光学体の使用と共に、角度は、デバイスの全域で選択的に異なることができる。
【0035】
ユニットセルのための変向光学体(102、202、302、402、502、602、及び606)は、多様な物質から形成され得る。例えば、それらは金属層から形成されることができ、OLEDからの光を反射し、再指向させるための反射面を提供する。あるいは、それらは、TIRを提供するための任意の物質から形成され得る。例えば、OLED 104からの光108が、TIRのための臨界角未満の角度で、光学ミクロ構造体102に衝突する場合、光学ミクロ構造体102は、図1に示されるように、光108を反射し、再指向させることができる。この場合、基材が、以上で識別された代表的な基材の1つを使用する光学フィルムから形成される場合、光学ミクロ構造体はTIRを通して光を反射し、再指向させることを提供でき、金属物質によってパターン付けされる必要はない。TIRの使用は、図3に示されるユニットセル300のように、基材を通って光を反射し、指向させる光学ミクロ構造体と共に使用されることさえできる。特に、光学ミクロ構造体302は、光308を、それがフィルムの下部表面におよそ90°の角度で衝突するように反射し、再指向させることができ、この角度はTIRについての臨界角より大きく、ひいては光308が基材を脱出できるようにする。
【0036】
OLEDの光生成領域のサイズは、放射区域が全表面の大きな割合を占めるように最適化され得、大きな口径比のデバイスを有効に作り出す。デバイス又はデバイス内の領域の輝度は、隙間、光生成領域、及び光学ミクロ構造体のサイズを考慮することにより、並びに金属カソードの光学密度を変えることにより発光領域の面及び端部から放射された光の比を変更することにより、幾何学的に決定され得る。デバイス又は領域の輝度を決定するための別の方法は、デバイスの2次元設計の端部対ランド比を変えること、例えば、端部を構造化された形状、例えばジグザグパターンにすることにより端部対ランド比を高めることを伴う。構造化端部の使用はまた、デバイスの平面の端部を通して放射される光の量を高める。こうした構造体により、放射点から最も近い端部への距離は低減され、そのため端部から光が逃れる前の反射の数は減少される。これらの方法の使用により、単一の電流密度及び電圧で動作する単一デバイス内の一連の輝度を可能にする。この一連の輝度は、例えば固体照明において有用であり得る。
【0037】
ユニットセルの別の変異型は、端部放射構造と、タンデム又は積み重ねOLEDデバイス構成との組み合わせを伴う。この構造は、赤、緑、及び青の発光層から白色発光素子を作り出す方式として使用され得る。それはまた、単色放射体のための、垂直のキャビティ寸法を伸ばすための方式であり、その結果、反射アノードとカソードとの間のキャビティは、放射の波長に調整される。単色放射体は、例えば、屋内照明用途のための白色光を得るために、固体照明において有用であり得る。あるいは、特定の色が所望されるとき、ユニットセルは、固体照明のための1つの実質的に均一な色を放射するOLEDの構成であり得る。加えて、ユニットセルが、赤、緑、及び青の発光OLEDの繰り返しミクロ複製構造体により作製される場合、個々のユニットセルは、固体照明における照明効果のために多様な色を生成するように制御され得る。例えば、どのユニットセルがアクティブ化されるかの制御を通して、多様な色が選択的に生成され、固体照明用途における光の特定色選択の柔軟性をユーザーに提供することができる。
【0038】
デバイス製作
図7aに示されるように、同じ構造モチーフ700に基づく端部放射ミクロ構造化OLEDデバイスのために、幾つかのパターンが可能である。1次元パターンは、向かい合う各端部に変向光学体702を有する一連の線状OLEDの波701を含む。各波及び変向光学体は共に、図1〜6に例示されるもののようなユニットセルを形成する。隙間が使用されるとき、図1〜6に関して記載される隙間に対応するトラフ703は、波を分離して、2つの要素間に放射OLED端部を形成する。
【0039】
図7bは、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための、別のパターンである、構造モチーフ705を例示する断面図である。1次元の代替的パターン705は、各OLEDの波の向かい合う1つの端部に変向光学体709を有する一連の線状OLEDの波707を含む。各OLEDの波の1つの側のみの上に変向光学体を有することを除いて、各波及び変向光学体は共に、図1〜6に例示されるもののようなユニットセルを形成する。隙間が使用されるとき、図1〜6に関して記載される隙間に対応するトラフ711は、波を分離して、2つの要素間に放射OLED端部を形成する。各OLEDの波についてのただ1つの変向光学体の使用は、矢印713により表されるように、例えば、変向光学体及び電極のための物質を蒸着するために、傾斜した蒸着を使用する、より容易な製作を提供する場合がある。OLEDデバイスを作製するために物質を蒸着するための傾斜蒸着(angle evaporation)プロセスは、米国特許第6,965,198号、及び同第6,791,258号に記載されており、それらの両方が本明細書に参考として組み込まれる。
【0040】
構造モチーフ700及び705は、多数の2次元パターンを生成するために使用されることができ、多数の2次元パターンには、線状配列、円形配列、及びその中でプリズム要素が孤立したグリッド様構造体である幾つかの配列が挙げられる。円形配列の場合には、デバイスの周囲に電流を導く手段として、線状グリッドが、配列を覆って重ね合わされる。
【0041】
構造モチーフ700及び705は、例えば基材のようなミクロ複製されたシートとして形成され得る。特に、図1〜6に示されるユニットセル、又は他のユニットセルは、ミクロ複製プロセスを使用して基材全域に繰り返されて、ミクロ複製されたツールからシートを作製することができる。ユニットセルを有するミクロ複製されたシートは、固体照明デバイスにおいて有用であり得る。光学フィルムを作製するのに使用するための、ミクロ複製されたツールを作製するためのプロセスは、米国特許第6,354,709号及び同第6,581,286号に記載されており、それらの両方が本明細書に参考として組み込まれる。固体照明のために使用されるとき、シートは例えば、天井タイルであることも可能であり、それはまた屋内照明用途のための光を提供するようにも機能する。シートが可撓性物質から作成され、固体照明のために使用される場合、例えば、シートは物体の回りに巻かれて、場合によっては様々な色を包含する装飾的照明効果を提供することができる。シートが耐候性である場合、それはまた屋外の固体照明を提供するようにも使用され得る。
【0042】
図8a〜8dは、様々なOLED実施形態によるユニットセル中に使用するための、様々な光学ミクロ構造体の外観の例を例示する平面図である。特に、図8a〜8dは、それぞれ、線状プリズム800、円形プリズム802、角錘プリズム804、及び円錐プリズム806を例示している。図9a〜9dは、図8a〜8dに対応し、これらの代表的な光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図である。特に、図9a〜9dは、それぞれ、線状OLED配列902、円形OLED配列904、角錘OLED配列906、及び円錐OLED配列908を例示している。図9eは、光学ミクロ構造体の蛇行レイアウトの平面図である。蛇行レイアウトでは、三角形の隆起機構が変向光学体を形成し、OLEDはそれらの間の対応するレイアウトに配置される。
【0043】
図7a、7b、8a〜8d、及び9a〜9eは、縮尺比に従って示されておらず、寸法は特定の実施に基づいて調整され得る。
【0044】
光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための代表的なデバイス製作方法は、各層、アノード及びカソードコンタクト、EL物質、並びに変向光学体の従来のシャドーマスク蒸着の使用を伴うことができる。
【0045】
表1は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための別の代表的なデバイス製作方法のための工程を記載しており、図10a〜10jは、製作工程の代表的順序を例示するブロック図である。他の好適な手順も可能である。
【0046】
【表1】
【0047】
この代表的な製作方法のために、基材は、任意のバリア基材、例えば、ステンレス鋼、ホイルがラミネートされたポリイミド、ガラス、セラミック、又は上記のような他のものであり得る。有機コーティングは、光重合可能なポリイミド、光重合可能なベンゾシクロブタン、又はミクロ複製プロセス及びOLEDの両方に適合性がある任意の他の物質であってもよい。物質は、熱的に安定であること及び揮発性成分を含まないことが必要である。
【0048】
ミクロ構造化デバイスはカプセル化されてもよい。上部及び下部放射OLEDのために当該技術分野において既知のカプセル化技術、例えば、多層コーティング又は蒸着された無機コーティングが使用されてもよい。端部の限定された露光は、カプセル化技術に関わりなく、デバイスの劣化を減少するはずである。
【0049】
表2は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための、レーザー誘起サーマルイメージング(LITI)プロセスを使用する、別の代表的なデバイス製作方法のための工程を記載している。LITIプロセスは、ドナー基材、基材を覆う光熱変換(LTHC)層、及びLTHC層を覆う転写層を有するドナーフィルムの使用を伴う。LITIプロセスにおける放射線(例えば、光)を使用する熱転写用には、多様な放射線の発生源が、LITIドナーフィルムと共に使用され得る。アナログ技術(例えば、マスクを通しての露光)用には、強力光源(例えば、キセノン閃光電球及びレーザー)が有用である。デジタル画像化技術用には、赤外線、可視光線、及び紫外線レーザーが特に有用である。好適なレーザーには、例えば、強力(例えば、≧100mW)単一モードの半導体レーザー、ファイバー連結半導体レーザー、及びダイオード励起の固体状レーザー(例えば、Nd:YAG及びNd:YLF)が挙げられる。レーザー露光のドウェル時間は、例えば、約0.1マイクロ秒〜100マイクロ秒の範囲であることができ、及びレーザーフルエンスは、例えば約0.01J/cm2〜約1J/cm2の範囲であることができる。画像化の間、熱転写層は典型的には、転写層の少なくとも一部分を受容するように適合された永久的レセプター(ユニットセルのための基材)と、密接に接触させられる。少なくとも幾つかの場合には、熱転写層とレセプターの密接な接触を保持するために、圧力又は真空が使用されてもよい。放射線源は次に、像様方式で(例えば、デジタルにより、又はマスクを通したアナログ露光により)、LTHC層又は放射吸収体を含有する他の層を加熱して、パターンにしたがって熱転写層からレセプターに、転写層の像様転写を実行するために使用されてもよい。
【0050】
代表的なLITIドナーフィルムの様々な層、及びそれを画像化する方法は、米国特許第6,866,979号;同第6,586,153号;同第6,468,715号;同第6,284,425号;及び同第5,725,989号に、より詳細に記載されており、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれる。
【0051】
【表2】
【0052】
空間変調及びバックライト
図11は、光学ミクロ構造体を有する空間変調された端部放射OLEDを有するデバイス1101を例示する図である。デバイス1101は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDの複数個1103、1104、1105、及び1106を支持する基材1102を包含し、それらの各々は、図1〜6、7a、及び7bに関して上記の構造体に対応してもよい。OLEDデバイス1103〜1106の各々は、線1107及び1108によって表されるように、個々に制御され得、これらの線はデバイス1103〜1106中のアノード及びカソードへの電気接続を提供する。デバイス1101は、電気接続を有するOLEDデバイス1103〜1106のいずれかの数を包含することができ、基材1102は、それらを収容するような大きさにすることができる。接続1107及び1108を介するデバイス1103〜1106の個々の制御は、それらが個々に又はグループとして特定の順序又はパターンにおいて光を発するように、それらの空間変調を提供できる。デバイス1101は、固体照明中に使用されることができ、例えば剛性の又は可撓性の基材1102の上に使用されることができる。
【0053】
図12は、LCDパネル1201のためのLCDバックライトユニット1202として使用される、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する図である。バックライトユニット1202は、図1〜6、7a、及び7bに関して上記の構造体に対応してもよく、それはディフューザー又は他のフィルムをバックライトユニット1202とLCDパネル1201との間に包含することができる。バックライトユニット1202は、あるいは、図11に示される空間変調された光パネルにより実施されることができる。LCDパネル1201は、典型的には、バックライト及びドライブエレクトロニクスを除いてLCDデバイスの全体を包含する。例えば、LCDパネル1201は、典型的には、バックプレーン(サブピクセル電極)、フロント及びバックプレート、液晶層、カラーフィルター層、偏光フィルター、並びに場合によっては他の種類のフィルムを包含する。光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDのバックライトとしての使用は、LCDのための薄い、低電力のバックライトを提供する場合がある。LCDパネルコンポーネント及び変調されたバックライトユニットの例は、次の論文に記載されており、それらは本明細書に参考として組み込まれる:「高ダイナミックレンジ液晶ディスプレイ(High Dynamic Range Liquid Crystal Displays)」、LCDホワイトペーパーV1.1用HDR(HDR for LCD Whitepaper V1.1)、ブライトサイド・テクノロジーズ社(BrightSide Technologies Inc.)、カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)(2006年2月)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ミクロ構造体を有する端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイス、及びそれらの製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体照明は、伝統的な白熱及び蛍光電球の代わりに、発光ダイオード(LED)又はOLEDを光源として使用する。LED又はOLEDは、白熱及び蛍光照明よりはるかに高いエネルギー効率を提供し、これは電気消費量の低下を通じて、有意な省エネルギーをもたらすことになる。それらはまた、更に多くの照明効果を提供することができる。例えば、それらは、可撓性基材の中に形成され、ひいては3次元の物体の周囲に形成され得る。また、それらは光の様々な色を選択的に提供するように制御され得る。
【0003】
固体照明の1つの課題は、LED又はOLEDの光抽出である。光のかなりの損失が、全反射(TIR)による基材中の導光、及び高指数層中の導波路損失の結果として生じる。TIRによる損失は典型的には、指数勾配、表面又はバルクディフューザー、多層光学積み重ね体、及びマイクロレンズのような反射防止の従来方法を使用して解決される。しかしながら、導波モードにおける光のおよそ50%の損失に対する解決法は、より困難である。OLEDの高光学指数の有機及び透明導電酸化物(TCO)層は、ガラスクラッディングを有する光ファイバーと同じように作用する。デバイス平面の中に放射されたエバネセントモードは、この層内に捕捉され、自己吸収及び光エネルギーの熱への変換前に非常に短い距離だけを進む。
【0004】
固体照明中の導光に対処するための幾つかの手法が開発されてきた。この光の抽出に対するこれらの解決法には、酸化インジウムスズ(ITO)とガラスとの間の低指数の疎水性エアロゲル層の使用、分布帰還型(DFB)回折格子の使用、及びマイクロキャビティ効果の最適化が挙げられる。
【0005】
別の手法には、高指数TCO/ガラス境界面における2次元(2D)のフォトニック結晶回折格子の使用(DFB回折格子に関連する)が挙げられる。この方法は、当初は、無機LEDからの光を抽出するために開発されており、OLED用に改良されてきている。この方法は、ガラス基材中のナノホールの規則的配列をパターン付けするためのフォトリソグラフィーの使用、及び高指数の窒化ケイ素によるそれらの充填を伴う。最後に、窒化ケイ素に格子整合したITOが、基材を完成するために蒸着される。
【0006】
更に別の手法は、端部放射光を捕捉するために蛍光染料要素の使用を伴う。この方法は、蛍光物質のストライプが組み入れられている、ストライプに構成された標準的なOLEDの配列からなる。蛍光物質は、任意の端部放射光を吸収し、より低いエネルギーでそれを再放射する。結果は、2色ではあるが、より効率的なOLEDデバイスである。
【0007】
最後に、別の手法は、金属電極及び誘電体層を有する、垂直円筒形のOLEDデバイスの使用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、固体照明デバイス及び他の発光素子中の光抽出を高めることに対する他の解決法への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従う、端部放射OLEDデバイスは、基材と、基材表面にオーバーレイする有機エレクトロルミネセント層とを包含する。有機エレクトロルミネセント層は、端部放射OLEDを形成する。基材上に、有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体が形成される。光学ミクロ構造体の各々は、端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している。
【0010】
本発明に従う、端部放射OLEDデバイスを製作する方法は、次の、基材を提供する工程と、端部放射OLEDを形成する際に使用するために基材表面に硬化可能な有機層を適用する工程と、基材の上に、有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体を形成する工程と、硬化可能な有機層を硬化する工程と、金属層を有機エレクトロルミネセント層を覆って適用して電極を形成し、光学ミクロ構造体を覆って適用して端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を形成する工程とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は本明細書の一部に組み込まれ、及びそれを構成するものであって、本発明の利点と原則を、その記述と共に説明する。図面中、
【図1】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図2】光学ミクロ構造体を有する端部放射及び上部放射OLEDを例示する断面図。
【図3】図光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図4】光学ミクロ構造体を有する端部放射及び下部放射OLEDを例示する断面図。
【図5】凹状光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図6】凸状光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する断面図。
【図7a】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための第1の代表的なパターンを例示する断面図。
【図7b】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための第2の代表的なパターンを例示する断面図。
【図8a】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8b】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8c】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図8d】端部放射OLEDと共に使用するための様々な光学ミクロ構造体の外観を例示する平面図。
【図9a】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9b】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9c】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9d】図8a〜8dに示される光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図。
【図9e】光学ミクロ構造体の蛇行レイアウトの平面図。
【図10a】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10b】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10c】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10d】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10e】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10f】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10g】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10h】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10i】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図10j】光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製造するための製作工程の代表的な順序を例示するブロック図。
【図11】光学ミクロ構造体を有する空間変調された端部放射OLEDを例示する図。
【図12】LCDバックライトユニットとして使用される光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態は、固体照明又はディスプレイのような他のデバイスにおいて、より高い光出力のためのOLEDデバイス中の高められた光抽出を提供できる。ミクロ複製された基材は、光を抽出し。導光による損失量を低減するために、端部放射OLED及びミクロ構造化された変向光学体を包含する。この種類のミクロ複製された基材は、例えば固体照明用途のための剛性又は可撓性シートとして提供され得る。
【0013】
端部放射OLED
OLEDは、典型的には、ガラス、透明な可撓性フィルム、又は可撓性金属ホイルのような基材上に形成された薄いフィルム構造である。OLEDのための基材は、例えば、次の:有機ポリマー物質;ポリエチレンテレフタレート(「PET」);ポリアクリレート;ポリカーボネート;シリコーン;エポキシ樹脂;シリコーン官能化エポキシ樹脂;ポリエステル;ポリイミド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリエチレンナフタレート(「PEN」);又は他の不透明若しくは半透明の物質のうちの1つを含んでもよい。基材はまた、例えば、ステンレス鋼及び金属ホイルのような不浸透性物質を含んでもよい。可撓性金属ホイルを包含する、ディスプレイデバイス基材の例は、次の論文に記載されており、それらのすべてが、本明細書に参考として組み込まれる:H.S.シン(H.S. Shin)ら、「可撓性金属ホイル上の4.1インチ上部放射AMOLED(10.4 cm (4.1 inch)Top-Emission AMOLED on Flexible Metal Foil)」、SID 05 DIGEST、1642〜1645ページ(2005);X.L.チュー(X.L. Zhu)ら、「有効な電子注入器として極薄Ybを有する非常に明るい及び効率的な上部放射OLED(Very Bright and Efficient Top-Emitting OLED with Ultra-Thin Yb as Effective Electron Injector)」、SID 06 DIGEST、1292〜1295ページ(2006);J.H.チェオン(J.H. Cheon)ら、「SOG平坦化を有する可撓性金属ホイル上の2.2インチの上部放射AMOLED(A 2.2-in. Top-Emission AMOLED on Flexible Metal Foil with SOG Planarization)」、SID 06 DIGEST、1354〜1357ページ(2006);H.K.チャン(H.K. Chung)ら、「モバイルディスプレイのためのAMOLED技術(AMOLED Technology for Mobile Displays)」、SID 06 DIGEST、1447〜1450ページ(2006);D.U.チン(D.U. Jin)ら、「ステンレス鋼ホイル上の5.6インチ可撓性フルカラー上部放射AMOLEDディスプレイ(14.2 cm(5.6-inch)Flexible Full Color Top Emission AMOLED Display on Stainless Steel Foil)」、SID 06 DIGEST、1855〜1857ページ(2006);及びA.クワン(A. Chwang)ら、「可撓性ステンレス鋼基材上のフルカラー100dpi AMOLEDディスプレイ(Full Color 100 dpi AMOLED Displays on Flexible Stainless Steel Substrates)」、SID 06 DIGEST、1858〜1861ページ(2006)。
【0014】
有機エレクトロルミネセント(EL)物質、例えば発光ポリマーの発光層、及び任意の隣接した半導体層は、カソードとアノードとの間に位置する。発光ポリマー層の例は、米国特許第6,605,483号に記載されており、これは本明細書に参考として組み込まれる。EL物質は、例えば、カソードとアノードとの間に挟まれ得るか、又は相互嵌合され得る。半導体層は、正孔注入(正電荷)、電子注入(負電荷)、正孔ブロッキング、電子ブロッキング、正孔輸送、又は電子輸送であってもよく、及びそれらはまた有機物質を含む。発光層のための物質は、多くの有機EL物質から選択されてもよい。発光有機層自体が、各々が異なる有機EL物質を含む複数の副層を包含してもよい。有機EL物質は、可視スペクトル中に波長の狭い範囲を有する電磁(「EM」)放射線を放射することができる。
【0015】
1つの特定例では、白色光を実現するために、デバイスは、青、緑、及び赤の光、又は光の補色(例えば、青及び黄)を放射する、近密に配置されたOLEDを組み込む。これらの色は、混合されて白色光を生成する。米国特許第5,294,869号、及び同第5,294,870号に記載される1つの構成では、これらのOLEDは、個々に指定可能な隣接したピクセルとして形成される。1つ以上の有機EL物質の分離された区域及びそれらに連結された色変換層は、個々のピクセルを電気的に制御する能力を提供するパターン付き電極上に蒸着される。これらの層の蒸着は、フォトリソグラフィーにより基材上に最初に形成される複数個の壁を含むシャドーマスクにより達成される。壁のシャドー中の表面の部分は、こうした表面に対して斜めに向けられた蒸気を受け取らない。したがって、蒸着される区域の位置は、壁の高さ及び蒸着の角度によって制御される。
【0016】
OLEDは、地形的機構を包含することができ、及び横列と縦列のマトリックスとして、又は一連の長い横列として形成され得る。各地形的機構の寸法、及び2つの隣接した機構間の距離は、典型的には、マトリックスディスプレイのピクセルの所望の寸法に対応している。高密度、高解像度の情報ディスプレイのためには、ピクセル寸法は、約5ミクロン〜約100ミクロンの範囲であり得る。一方、一般の照明目的のためには、ピクセル区域は数平方センチメートル以上であり得る。隆起した機構の高さは、典型的には、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲であり、より特には10ミクロン未満である。変向光学体を有するOLEDはまた、任意に空間変調された、液晶ディスプレイ(LCD)デバイスのためのバックライトユニットとして使用され得る。
【0017】
個々のOLEDは、隆起部(隆起した機構)の上か、又はそれらの間の谷部の中に構築され得る。このように構築されたOLEDは、ディスプレイデバイスのために、アクティブ化OLEDの集まりによって表される情報又は画像を表示するために個々に指定され得る。典型的には、OLEDは、少なくとも有機EL層を含み、この有機EL層は、電流によりアクティブ化されたときに発光でき、アノード及びカソードとしての役割を果す2つの導体層間に挟まれるか又は相互嵌合されている。
【0018】
OLEDを作製するために、アノードに続く層、有機EL、及びカソード物質が基材上に蒸着される。ITOはアノード物質として典型的には使用され、これは典型的には、約4.5eV〜約5.5eVの範囲の高仕事関数であることが必要である。ITOは、光透過に対して実質的に透明であり、少なくとも80%の光透過率を可能にする。そのため、有機エレクトロルミネセント層から放射された光は、実質的に減衰されずに、ITOアノード層を通って容易に脱出できる。アノード層として使用するために好適な他の物質には、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化カドミウムスズ、及びこれらの混合物が挙げられる。加えて、アノード用に使用される物質は、電荷注入特性を改善するためにアルミニウム又はフッ素をドープされてもよい。電極層は、物理蒸着、化学蒸着、イオンビームに援助された蒸着、又はスパッタリングによって、下層の要素上に蒸着されてもよい。薄い金属の実質的に透明な層もまた好適である。
【0019】
1超過の有機EL層が、1つの上にもう1つを積み重ねて形成されてもよく、各層は、異なる波長範囲で放射する異なる有機EL物質を含む。こうした構成は、全体の発光ディスプレイデバイスから放射された光の色の波長調整を容易にできる。更に、1つ以上の追加層が、全体のデバイスの効率を高めるために電極間に包含されてもよい。これらの追加層はまた、物理蒸着又は化学蒸着により蒸着されてもよい。例えば、これらの追加層は注入を改善する役割を果すこともできる(電子又は正孔注入強化層)し、又は有機EL層中への電荷の輸送を改善する役割を果すこともできる(電子又は正孔輸送層)。これらの層の各々の厚さは、典型的には、約500ナノメートル(nm)未満、より好ましくは約100nm未満に保たれる。これらの追加層のための物質は、典型的には、低分子量から中分子量(約2000未満)の有機分子である。時には、正孔注入強化層は、所与の順方向バイアスにおいて、より高い注入電流を、及び/又はデバイスの故障の前に、より高い最大電流を提供できるように、アノード層と有機EL層との間に形成される。したがって、正孔注入強化層は、アノードからの正孔の注入を促進する。正孔注入強化層のための好適な物質には、例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,998,803号に開示される物質が挙げられる。
【0020】
別の方法として、各OLEDは更に、正孔注入強化層と有機EL層との間に配置される正孔輸送層を包含することができる。正孔輸送層は、正孔と電子とが有機EL層中で最適に組み合わされるように、正孔を輸送し及び電子の輸送を阻止する機能を有する。正孔輸送層に好適な物質には、例えば、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,023,371号に開示される物質が挙げられる。
【0021】
もう1つの別の方法として、各OLEDは、カソード層と有機EL層との間に配置される追加層を包含することができる。この追加層は、有機EL層に電子を注入し、輸送する組み合わされた機能を有する。電子注入及び輸送層に好適な物質には、例えば、米国特許第6,023,371号に開示される物質が挙げられる。
【0022】
別の態様では、有機EL物質及び染料(ホスト及び放射体)の混合物が、個々のOLEDの電極間に配置される。染料は、有機EL物質によって放射されたEM放射線の一部分を吸収し、異なる波長範囲でEM放射線を放射する。異なる染料が、異なるOLEDに対して、異なる色を生成するために使用される。例えば、染料は、3つの隣接したOLEDが、青、緑、及び赤色を放射するように選択されることができ、これらの色は組み合わせにより結果として白色光を生じる。
【0023】
次の論文は、本明細書に参考として組み込まれるが、側面に沿って発光するOLEDを記載している:A.ミカミ(A. Mikami)ら、「側面の色変換層と一体となった、高効率リン光性有機発光素子(High Efficiency Phosphorescent Organic Light-Emitting Devices Coupled with Lateral Color Conversion Layer)」、SID 06 DIGEST、1376〜1379ページ(2006)。
【0024】
次の論文は、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれるが、OLEDのキャビティ寸法を伸ばすための方法を記載している:L.−S.リヤオ(L.-S. Liao)ら、「高効率のタンデム青色OLED(High-Efficiency Tandem Blue OLEDs)」、SID 06 DIGEST、1197〜1200ページ(2006);T.マインドロン(T. Maindron)ら、「高性能及び高安定性PIN OLED(High Performance and High Stability PIN OLED)」、SID 06 DIGEST、1189〜1192ページ(2006);及びT.K.ハットワー(T. K. Hatwar)ら、「RGBW AMOLEDディスプレイを製作するための低電圧白色タンデム構造体(Low-Voltage White Tandem Structures for Fabricating RGBW AMOLED Displays)」、SID 06 DIGEST、1964〜1967ページ(2006)。
【0025】
次の論文は、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれるが、端部放射の厚膜エレクトロルミネセント(TFEL)デバイスの使用を記載している:Y.−H.リー(Y.-H. Lee)ら、「マイクロチップ(Micro-Tip)反射体により反射された端部放射を使用する新しい発光構造体(A New Light Emitting Structure Using Edge Emission Reflected by Micro-Tip Reflectors)」、韓国科学技術研究所(Korean Institute of Science and Technology)、41〜42ページ;Z.クン(Z. Kun)ら、「光学像バー用途のためのTFEL端部放射体配列(TFEL Edge Emitter Array for Optical Image Bar Applications)」、SID 86 DIGEST、270〜272ページ(1986);及びY.H.リー(Y.H. Lee)ら、「ミクロ機械加工構造を使用する白色発光薄膜エレクトロルミネセントデバイス(White-Light Emitting Thin-Film Electroluminescent Device Using Micromachined Structure)」、電子デバイスについてのIEEE議事録(IEEE Transaction on Electronic Devices)、44巻、1号、40〜44ページ(1997)。
【0026】
光学ミクロ構造体を有する端部放射OLED
図1〜6は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDデバイスを例示する断面図である。図1〜6は、縮尺比に従って示されておらず、及び寸法は特定の実施に基づいて調整され得る。図1は、デバイスのユニットセル100の代表的な断面を表しており、ユニットセルが繰り返されて、完全なOLED固体照明又はディスプレイデバイスを作製する。ユニットセル100は、光108を生成する端部放射OLED 104を包含する。ユニットセル100はまた、光108の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ103を有する任意の隙間101によりOLED 104から分離された、光学ミクロ構造体102を包含する。光学ミクロ構造体102は、OLEDからの光をユニットセル100の上部から外へと再指向させるための変向光学体として機能できる。変向光学体102は、OLED 104から放射された光に関して角度105で配置され、角度105はデバイス区域にわたって一定であってもよいし又は一定でなくてもよく、変向光学体はすべてが実質的に同じ角度105を有し得るし、又はそれらは異なる角度105も有し得ることを意味する。このようにして、変向光学体について様々な角度を微調整することによって、全体のデバイスは、光を異なる方向に指向させるように構成され得る。角度105は、例えば、光108の所望の反射及び再指向のために選択され得る。
【0027】
この構造体の態様は、ユニットセル100によって例示されるように、自己整合であり、OLED物質の真空蒸着と適合性がある。蒸着プロセスの間、任意の隙間101は、OLED 104の発光端部、並びに光学ミクロ構造体102の電気的遮蔽を作り出すことができる。時には、OLED物質は、ミクロ構造化区域を覆って不均一に蒸着され、光学ミクロ構造体102のプリズム表面上においてさえ不均一に蒸着され、次いで金属層がOLED物質を覆って蒸着される。金属層は、OLED 104のための電極、及びプリズム、光学ミクロ構造体102のための反射面の両方として、二重用途を提供する。光学ミクロ構造体102上の電極の1つ又は両方は、反射面として機能してもよく、変向光学体小面上のOLED層は、不活性である。
【0028】
図2は、自己整合したOLEDの別の代表的なユニットセル200を例示しており、その中でカソードは、放射がカソードを通って及び端部に沿っての両方において起こるように半透明である。ユニットセル200は、光206及び208を生成する端部及び上部放射OLED 204を包含する。ユニットセル200はまた、光208の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ203を有する任意の隙間201によりOLED 204から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体202を包含する。この場合、カソードは薄い金属層及びより厚いITOの層を含んでもよい。ユニットセル200において具体化されるように、この様態は、導波光並びにデバイス平面に対して垂直に放射された光を効率的に捕捉する。この構成により作製されたデバイスは、自己吸収又は減衰の態様に関わらず、非発光区域に対する発光区域の高い比率を有する場合がある。
【0029】
図3及び4は、放射された光を下に指向させて基材を通すような方式で、光学ミクロ構造プリズムが角度を成すことを除いて、図1及び2に示されるユニットセルに類似した様態を例示している。図3は、光308を生成する端部放射OLED 304を包含するユニットセル300を例示している。ユニットセル300はまた、光308の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ303を有する任意の隙間301によりOLED 304から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体302を包含する。図4は、光406及び408を生成する端部及び下部放射OLED 404を包含するユニットセル400を例示している。ユニットセル400はまた、光408の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ403を有する任意の隙間401によりOLED 404から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体402を包含する。図3及び4のユニットセルは、端部及び下部放射の両方を可能にするために透明又は半透明の下部電極を有する。プリズムは、基材を通して端部放射された光を集束するか又は拡散するかのいずれかであるように成形される。
【0030】
図5及び6はユニットセルを例示しており、そこでは光は基材に関して実質的に90°以外の角度で再指向される。図5は、光508を生成する端部放射OLED 504を包含するユニットセル500を例示している。ユニットセル500はまた、基材に関して内向きの角度で光508の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ503を有する任意の隙間501によりOLED 504から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体502を包含する。図6は、光608を生成する端部放射OLED 604を包含するユニットセル600を例示している。ユニットセル600はまた、基材に関して外向きの角度で光608の少なくとも一部分を反射し、再指向させるために、任意の深さ603を有する任意の隙間601によりOLED 604から分離された、変向光学体として機能する光学ミクロ構造体602及び606を包含する。加えて、ユニットセル600に例示されるように、変向光学体は、光学ミクロ構造体602のような球面、光学ミクロ構造体606のような平面の組み合わせであることもでき、又は非球面若しくは他の種類の形状を有することもできる。
【0031】
図1〜6に例示されるユニットセルの構成は、複数の方式において異なることができる。基材は、異なるプリズムの種類の配列又は分布によって設計され得る。多くのユニットセルから形成されるデバイス表面にわたって、全体的な発光が制御されるように、例えば、変向光学体小面は、フレネルレンズのような複合レンズの要素として設計され得る。変向光学体小面は、共に複合レンズを形成するということもある。このようにして、放射された光は、コリメート、拡散、又は集束され得る。
【0032】
OLEDと光学ミクロ構造体との間の隙間(101、201、301、401、501、及び601)のサイズは、OLED端部から放射された光線の発散に基づいて調整され得る。発散が大きい場合、隙間は相対的に小さいことが必要である。隙間はまた蒸着の間に観察される蒸着の角度及びシャドーイングに基づいて調整されてもよい。隙間のサイズは、例えば、約0.01ミクロン〜100ミクロンであり得る。ある場合には、隙間は必要なく、隙間はゼロ又は実質的にゼロの距離を有し得ることを意味する。
【0033】
使用されるとき、光学ミクロ構造体の基部と隙間の下部との間の深さ(103、203、303、403、503、及び603)のサイズは調整され得る。深さのサイズは、例えば、約0.01ミクロン〜100ミクロンであり得る。ある場合には、深さは必要なく、特に隙間が使用されない場合に深さはゼロ又は実質的にゼロの距離を有し得ることを意味する。
【0034】
ユニットセル(100、200、300、400、500、及び600)の各々の中の変向光学体の角度、例えば角度105は、各ユニットセル中のOLEDからの光の所望の反射し、再指向させるために調整され得る。また、角度は、デバイス区域にわたって一定であっても又は可変でもあってもよく、変向光学体は、すべてが実質的に同じ角度を有することもでき、又はそれらは異なる角度を有することもできることを意味する。このようにして、変向光学体について様々な角度を微調整することによって、全体のデバイスは、光を異なる方向に指向させるように構成され得る。加えて、フレネルレンズを形成するために、図5及び6に示されるように、凹状又は凸状の変向光学体の使用と共に、角度は、デバイスの全域で選択的に異なることができる。
【0035】
ユニットセルのための変向光学体(102、202、302、402、502、602、及び606)は、多様な物質から形成され得る。例えば、それらは金属層から形成されることができ、OLEDからの光を反射し、再指向させるための反射面を提供する。あるいは、それらは、TIRを提供するための任意の物質から形成され得る。例えば、OLED 104からの光108が、TIRのための臨界角未満の角度で、光学ミクロ構造体102に衝突する場合、光学ミクロ構造体102は、図1に示されるように、光108を反射し、再指向させることができる。この場合、基材が、以上で識別された代表的な基材の1つを使用する光学フィルムから形成される場合、光学ミクロ構造体はTIRを通して光を反射し、再指向させることを提供でき、金属物質によってパターン付けされる必要はない。TIRの使用は、図3に示されるユニットセル300のように、基材を通って光を反射し、指向させる光学ミクロ構造体と共に使用されることさえできる。特に、光学ミクロ構造体302は、光308を、それがフィルムの下部表面におよそ90°の角度で衝突するように反射し、再指向させることができ、この角度はTIRについての臨界角より大きく、ひいては光308が基材を脱出できるようにする。
【0036】
OLEDの光生成領域のサイズは、放射区域が全表面の大きな割合を占めるように最適化され得、大きな口径比のデバイスを有効に作り出す。デバイス又はデバイス内の領域の輝度は、隙間、光生成領域、及び光学ミクロ構造体のサイズを考慮することにより、並びに金属カソードの光学密度を変えることにより発光領域の面及び端部から放射された光の比を変更することにより、幾何学的に決定され得る。デバイス又は領域の輝度を決定するための別の方法は、デバイスの2次元設計の端部対ランド比を変えること、例えば、端部を構造化された形状、例えばジグザグパターンにすることにより端部対ランド比を高めることを伴う。構造化端部の使用はまた、デバイスの平面の端部を通して放射される光の量を高める。こうした構造体により、放射点から最も近い端部への距離は低減され、そのため端部から光が逃れる前の反射の数は減少される。これらの方法の使用により、単一の電流密度及び電圧で動作する単一デバイス内の一連の輝度を可能にする。この一連の輝度は、例えば固体照明において有用であり得る。
【0037】
ユニットセルの別の変異型は、端部放射構造と、タンデム又は積み重ねOLEDデバイス構成との組み合わせを伴う。この構造は、赤、緑、及び青の発光層から白色発光素子を作り出す方式として使用され得る。それはまた、単色放射体のための、垂直のキャビティ寸法を伸ばすための方式であり、その結果、反射アノードとカソードとの間のキャビティは、放射の波長に調整される。単色放射体は、例えば、屋内照明用途のための白色光を得るために、固体照明において有用であり得る。あるいは、特定の色が所望されるとき、ユニットセルは、固体照明のための1つの実質的に均一な色を放射するOLEDの構成であり得る。加えて、ユニットセルが、赤、緑、及び青の発光OLEDの繰り返しミクロ複製構造体により作製される場合、個々のユニットセルは、固体照明における照明効果のために多様な色を生成するように制御され得る。例えば、どのユニットセルがアクティブ化されるかの制御を通して、多様な色が選択的に生成され、固体照明用途における光の特定色選択の柔軟性をユーザーに提供することができる。
【0038】
デバイス製作
図7aに示されるように、同じ構造モチーフ700に基づく端部放射ミクロ構造化OLEDデバイスのために、幾つかのパターンが可能である。1次元パターンは、向かい合う各端部に変向光学体702を有する一連の線状OLEDの波701を含む。各波及び変向光学体は共に、図1〜6に例示されるもののようなユニットセルを形成する。隙間が使用されるとき、図1〜6に関して記載される隙間に対応するトラフ703は、波を分離して、2つの要素間に放射OLED端部を形成する。
【0039】
図7bは、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを製作するための、別のパターンである、構造モチーフ705を例示する断面図である。1次元の代替的パターン705は、各OLEDの波の向かい合う1つの端部に変向光学体709を有する一連の線状OLEDの波707を含む。各OLEDの波の1つの側のみの上に変向光学体を有することを除いて、各波及び変向光学体は共に、図1〜6に例示されるもののようなユニットセルを形成する。隙間が使用されるとき、図1〜6に関して記載される隙間に対応するトラフ711は、波を分離して、2つの要素間に放射OLED端部を形成する。各OLEDの波についてのただ1つの変向光学体の使用は、矢印713により表されるように、例えば、変向光学体及び電極のための物質を蒸着するために、傾斜した蒸着を使用する、より容易な製作を提供する場合がある。OLEDデバイスを作製するために物質を蒸着するための傾斜蒸着(angle evaporation)プロセスは、米国特許第6,965,198号、及び同第6,791,258号に記載されており、それらの両方が本明細書に参考として組み込まれる。
【0040】
構造モチーフ700及び705は、多数の2次元パターンを生成するために使用されることができ、多数の2次元パターンには、線状配列、円形配列、及びその中でプリズム要素が孤立したグリッド様構造体である幾つかの配列が挙げられる。円形配列の場合には、デバイスの周囲に電流を導く手段として、線状グリッドが、配列を覆って重ね合わされる。
【0041】
構造モチーフ700及び705は、例えば基材のようなミクロ複製されたシートとして形成され得る。特に、図1〜6に示されるユニットセル、又は他のユニットセルは、ミクロ複製プロセスを使用して基材全域に繰り返されて、ミクロ複製されたツールからシートを作製することができる。ユニットセルを有するミクロ複製されたシートは、固体照明デバイスにおいて有用であり得る。光学フィルムを作製するのに使用するための、ミクロ複製されたツールを作製するためのプロセスは、米国特許第6,354,709号及び同第6,581,286号に記載されており、それらの両方が本明細書に参考として組み込まれる。固体照明のために使用されるとき、シートは例えば、天井タイルであることも可能であり、それはまた屋内照明用途のための光を提供するようにも機能する。シートが可撓性物質から作成され、固体照明のために使用される場合、例えば、シートは物体の回りに巻かれて、場合によっては様々な色を包含する装飾的照明効果を提供することができる。シートが耐候性である場合、それはまた屋外の固体照明を提供するようにも使用され得る。
【0042】
図8a〜8dは、様々なOLED実施形態によるユニットセル中に使用するための、様々な光学ミクロ構造体の外観の例を例示する平面図である。特に、図8a〜8dは、それぞれ、線状プリズム800、円形プリズム802、角錘プリズム804、及び円錐プリズム806を例示している。図9a〜9dは、図8a〜8dに対応し、これらの代表的な光学ミクロ構造体の外観を例示する斜視図である。特に、図9a〜9dは、それぞれ、線状OLED配列902、円形OLED配列904、角錘OLED配列906、及び円錐OLED配列908を例示している。図9eは、光学ミクロ構造体の蛇行レイアウトの平面図である。蛇行レイアウトでは、三角形の隆起機構が変向光学体を形成し、OLEDはそれらの間の対応するレイアウトに配置される。
【0043】
図7a、7b、8a〜8d、及び9a〜9eは、縮尺比に従って示されておらず、寸法は特定の実施に基づいて調整され得る。
【0044】
光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための代表的なデバイス製作方法は、各層、アノード及びカソードコンタクト、EL物質、並びに変向光学体の従来のシャドーマスク蒸着の使用を伴うことができる。
【0045】
表1は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための別の代表的なデバイス製作方法のための工程を記載しており、図10a〜10jは、製作工程の代表的順序を例示するブロック図である。他の好適な手順も可能である。
【0046】
【表1】
【0047】
この代表的な製作方法のために、基材は、任意のバリア基材、例えば、ステンレス鋼、ホイルがラミネートされたポリイミド、ガラス、セラミック、又は上記のような他のものであり得る。有機コーティングは、光重合可能なポリイミド、光重合可能なベンゾシクロブタン、又はミクロ複製プロセス及びOLEDの両方に適合性がある任意の他の物質であってもよい。物質は、熱的に安定であること及び揮発性成分を含まないことが必要である。
【0048】
ミクロ構造化デバイスはカプセル化されてもよい。上部及び下部放射OLEDのために当該技術分野において既知のカプセル化技術、例えば、多層コーティング又は蒸着された無機コーティングが使用されてもよい。端部の限定された露光は、カプセル化技術に関わりなく、デバイスの劣化を減少するはずである。
【0049】
表2は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを作製するための、レーザー誘起サーマルイメージング(LITI)プロセスを使用する、別の代表的なデバイス製作方法のための工程を記載している。LITIプロセスは、ドナー基材、基材を覆う光熱変換(LTHC)層、及びLTHC層を覆う転写層を有するドナーフィルムの使用を伴う。LITIプロセスにおける放射線(例えば、光)を使用する熱転写用には、多様な放射線の発生源が、LITIドナーフィルムと共に使用され得る。アナログ技術(例えば、マスクを通しての露光)用には、強力光源(例えば、キセノン閃光電球及びレーザー)が有用である。デジタル画像化技術用には、赤外線、可視光線、及び紫外線レーザーが特に有用である。好適なレーザーには、例えば、強力(例えば、≧100mW)単一モードの半導体レーザー、ファイバー連結半導体レーザー、及びダイオード励起の固体状レーザー(例えば、Nd:YAG及びNd:YLF)が挙げられる。レーザー露光のドウェル時間は、例えば、約0.1マイクロ秒〜100マイクロ秒の範囲であることができ、及びレーザーフルエンスは、例えば約0.01J/cm2〜約1J/cm2の範囲であることができる。画像化の間、熱転写層は典型的には、転写層の少なくとも一部分を受容するように適合された永久的レセプター(ユニットセルのための基材)と、密接に接触させられる。少なくとも幾つかの場合には、熱転写層とレセプターの密接な接触を保持するために、圧力又は真空が使用されてもよい。放射線源は次に、像様方式で(例えば、デジタルにより、又はマスクを通したアナログ露光により)、LTHC層又は放射吸収体を含有する他の層を加熱して、パターンにしたがって熱転写層からレセプターに、転写層の像様転写を実行するために使用されてもよい。
【0050】
代表的なLITIドナーフィルムの様々な層、及びそれを画像化する方法は、米国特許第6,866,979号;同第6,586,153号;同第6,468,715号;同第6,284,425号;及び同第5,725,989号に、より詳細に記載されており、それらのすべてが本明細書に参考として組み込まれる。
【0051】
【表2】
【0052】
空間変調及びバックライト
図11は、光学ミクロ構造体を有する空間変調された端部放射OLEDを有するデバイス1101を例示する図である。デバイス1101は、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDの複数個1103、1104、1105、及び1106を支持する基材1102を包含し、それらの各々は、図1〜6、7a、及び7bに関して上記の構造体に対応してもよい。OLEDデバイス1103〜1106の各々は、線1107及び1108によって表されるように、個々に制御され得、これらの線はデバイス1103〜1106中のアノード及びカソードへの電気接続を提供する。デバイス1101は、電気接続を有するOLEDデバイス1103〜1106のいずれかの数を包含することができ、基材1102は、それらを収容するような大きさにすることができる。接続1107及び1108を介するデバイス1103〜1106の個々の制御は、それらが個々に又はグループとして特定の順序又はパターンにおいて光を発するように、それらの空間変調を提供できる。デバイス1101は、固体照明中に使用されることができ、例えば剛性の又は可撓性の基材1102の上に使用されることができる。
【0053】
図12は、LCDパネル1201のためのLCDバックライトユニット1202として使用される、光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDを例示する図である。バックライトユニット1202は、図1〜6、7a、及び7bに関して上記の構造体に対応してもよく、それはディフューザー又は他のフィルムをバックライトユニット1202とLCDパネル1201との間に包含することができる。バックライトユニット1202は、あるいは、図11に示される空間変調された光パネルにより実施されることができる。LCDパネル1201は、典型的には、バックライト及びドライブエレクトロニクスを除いてLCDデバイスの全体を包含する。例えば、LCDパネル1201は、典型的には、バックプレーン(サブピクセル電極)、フロント及びバックプレート、液晶層、カラーフィルター層、偏光フィルター、並びに場合によっては他の種類のフィルムを包含する。光学ミクロ構造体を有する端部放射OLEDのバックライトとしての使用は、LCDのための薄い、低電力のバックライトを提供する場合がある。LCDパネルコンポーネント及び変調されたバックライトユニットの例は、次の論文に記載されており、それらは本明細書に参考として組み込まれる:「高ダイナミックレンジ液晶ディスプレイ(High Dynamic Range Liquid Crystal Displays)」、LCDホワイトペーパーV1.1用HDR(HDR for LCD Whitepaper V1.1)、ブライトサイド・テクノロジーズ社(BrightSide Technologies Inc.)、カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)(2006年2月)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスであって、
基材と、
前記基材の表面にオーバーレイする有機エレクトロルミネセント層であって、前記有機エレクトロルミネセント層が端部放射OLEDを形成する、有機エレクトロルミネセント層と、
前記基材上に形成され、前記有機エレクトロルミネセント層から分離した複数個の光学ミクロ構造体と、を含み、前記光学ミクロ構造体の各々が、前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している、端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイス。
【請求項2】
前記基材が、次の物質、金属、ポリマーフィルムにラミネートされた金属ホイル、金属コーティングされたポリマーフィルム、セラミック、ガラス、又は可撓性金属ホイルのうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
前記基材が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
前記有機エレクトロルミネセント層が、光重合可能な化合物から得られる、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
前記複数個の光学ミクロ構造体が、次の、プリズムの線状配列、プリズムの円形配列、角錘プリズムの矩形配列、又は円錘プリズムの矩形配列のうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
前記光学ミクロ構造体が、前記有機エレクトロルミネセント層から、約0.01ミクロン〜100ミクロンの隙間により分離される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
前記変向光学体の各々が、次の、凹状の変向光学体、又は凸状の変向光学体のうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネセント層にオーバーレイする電極コンタクト層を更に含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
前記電極コンタクト層が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項8に記載のOLEDデバイス。
【請求項10】
前記有機エレクトロルミネセント層にオーバーレイするカプセル化層を更に含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項11】
前記カプセル化層が、光学的に透過可能である、請求項10に記載のOLEDデバイス。
【請求項12】
前記エレクトロルミネセント層が、前記基材、前記カプセル化層、又は前記端部放射光要素のうちの少なくとも1つを通して発光するように構造化される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項13】
前記基材が、ミクロ複製されたシートを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項14】
前記有機エレクトロルミネセント層が、固体照明のための実質的に均一な色の光を放射する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項15】
前記複数個の光学ミクロ構造体が共に複合レンズを形成する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項16】
端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスを製作する方法であって、
基材を提供する工程と、
端部放射OLEDを形成する際に使用するために、前記基材の表面に硬化可能な有機層を適用する工程と、
前記基材の上に、前記有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体を形成する工程と、
前記硬化可能な有機層を硬化する工程と、
金属層を、前記有機エレクトロルミネセント層を覆って適用して電極コンタクト層を形成し、及び前記光学ミクロ構造体を覆って適用して前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を形成する工程と、を含む、端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスを製作する方法。
【請求項17】
前記基材が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数個の光学ミクロ構造体が、次の、プリズムの線状配列、プリズムの円形配列、角錐プリズムの矩形配列、又は円錘プリズムの矩形配列のうちの1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記変向光学体の各々が、次の、凹状の変向光学体、又は凸状の変向光学体のうちの1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記電極コンタクト層が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記硬化可能な有機層にオーバーレイするカプセル化層を適用する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記カプセル化層が、光学的に透過可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記硬化可能な有機層が、前記基材、前記カプセル化層、又は前記端部放射光要素のうちの少なくとも1つを通して発光するように構造化される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
液晶ディスプレイ(LCD)デバイスであって、
LCDパネルと、
前記LCDパネルに隣接したバックライトユニットと、を含み、前記バックライトユニットが、
基材と、
前記基材の表面にオーバレイする有機エレクトロルミネセント層であって、前記有機エレクトロルミネセント層が端部放射有機発光ダイオード(OLED)を形成する、有機エレクトロルミネセント層と、
前記基材上に形成され、前記有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体と、を含み、前記光学ミクロ構造体の各々が、前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス。
【請求項1】
端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスであって、
基材と、
前記基材の表面にオーバーレイする有機エレクトロルミネセント層であって、前記有機エレクトロルミネセント層が端部放射OLEDを形成する、有機エレクトロルミネセント層と、
前記基材上に形成され、前記有機エレクトロルミネセント層から分離した複数個の光学ミクロ構造体と、を含み、前記光学ミクロ構造体の各々が、前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している、端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイス。
【請求項2】
前記基材が、次の物質、金属、ポリマーフィルムにラミネートされた金属ホイル、金属コーティングされたポリマーフィルム、セラミック、ガラス、又は可撓性金属ホイルのうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
前記基材が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
前記有機エレクトロルミネセント層が、光重合可能な化合物から得られる、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
前記複数個の光学ミクロ構造体が、次の、プリズムの線状配列、プリズムの円形配列、角錘プリズムの矩形配列、又は円錘プリズムの矩形配列のうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
前記光学ミクロ構造体が、前記有機エレクトロルミネセント層から、約0.01ミクロン〜100ミクロンの隙間により分離される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
前記変向光学体の各々が、次の、凹状の変向光学体、又は凸状の変向光学体のうちの1つを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネセント層にオーバーレイする電極コンタクト層を更に含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
前記電極コンタクト層が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項8に記載のOLEDデバイス。
【請求項10】
前記有機エレクトロルミネセント層にオーバーレイするカプセル化層を更に含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項11】
前記カプセル化層が、光学的に透過可能である、請求項10に記載のOLEDデバイス。
【請求項12】
前記エレクトロルミネセント層が、前記基材、前記カプセル化層、又は前記端部放射光要素のうちの少なくとも1つを通して発光するように構造化される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項13】
前記基材が、ミクロ複製されたシートを含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項14】
前記有機エレクトロルミネセント層が、固体照明のための実質的に均一な色の光を放射する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項15】
前記複数個の光学ミクロ構造体が共に複合レンズを形成する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項16】
端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスを製作する方法であって、
基材を提供する工程と、
端部放射OLEDを形成する際に使用するために、前記基材の表面に硬化可能な有機層を適用する工程と、
前記基材の上に、前記有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体を形成する工程と、
前記硬化可能な有機層を硬化する工程と、
金属層を、前記有機エレクトロルミネセント層を覆って適用して電極コンタクト層を形成し、及び前記光学ミクロ構造体を覆って適用して前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を形成する工程と、を含む、端部放射有機発光ダイオード(OLED)デバイスを製作する方法。
【請求項17】
前記基材が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数個の光学ミクロ構造体が、次の、プリズムの線状配列、プリズムの円形配列、角錐プリズムの矩形配列、又は円錘プリズムの矩形配列のうちの1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記変向光学体の各々が、次の、凹状の変向光学体、又は凸状の変向光学体のうちの1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記電極コンタクト層が、光学的に透過可能な物質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記硬化可能な有機層にオーバーレイするカプセル化層を適用する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記カプセル化層が、光学的に透過可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記硬化可能な有機層が、前記基材、前記カプセル化層、又は前記端部放射光要素のうちの少なくとも1つを通して発光するように構造化される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
液晶ディスプレイ(LCD)デバイスであって、
LCDパネルと、
前記LCDパネルに隣接したバックライトユニットと、を含み、前記バックライトユニットが、
基材と、
前記基材の表面にオーバレイする有機エレクトロルミネセント層であって、前記有機エレクトロルミネセント層が端部放射有機発光ダイオード(OLED)を形成する、有機エレクトロルミネセント層と、
前記基材上に形成され、前記有機エレクトロルミネセント層から分離された複数個の光学ミクロ構造体と、を含み、前記光学ミクロ構造体の各々が、前記端部放射OLEDからの光を反射し、再指向させるための変向光学体を画定している、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−510628(P2010−510628A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537270(P2009−537270)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083738
【国際公開番号】WO2008/063864
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083738
【国際公開番号】WO2008/063864
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]