説明

光学ローパスフィルタを備えたデジタルカメラ

【課題】 フィルム状の光学LPFをデジタルカメラ機器内の金属体に接触する構造とし、フィルム状光学LPFに帯電した静電気を、その金属体に除電できるようにすることでゴミや埃の付着を出来る限り回避することを目的とするものである。
【解決手段】 フィルム状光学LPFが撮影装置の受光面近傍で進退する進退手段と、フィルム状光学LPFと略平行な面に位置する電気的に接続される導電部材とを備え、フィルム状光学LPFが進退時、帯電により生じる電荷を中和する導電手段を有するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCCDやCMOS等よりなる撮像素子などに用いられる光学的ローパスフィルタ(以後光学LPFという)で、中でもフィルム状の光学LPFに関し、それをデジタルカメラ等の機器内に実装する場合に問題になるゴミ・ほこりの付着を防止する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDやCMOS等よりなる撮像素子を使用した撮像光学系においては、被写体光の高空間周波数成分を制限し、擬似信号の発生に伴う被写体による光とは異なる色成分を除去するために、光学LPFが用いられている。
【0003】
この光学LPFとして、従来一般的には、水晶板などによる複屈折タイプのものが広く使われている。
【0004】
この水晶板は屈折率の異方性がさほど大きくなく、制限すべき所定の空間周波数を得るためには、水晶板の厚さが通常1mm程度必要となる。それを複数枚貼り合わせて使用するために、トータルの厚みが厚くなり、その結果、機器の小型化や軽量化を阻害するばかりでなく、収差やゴーストなど光学的性能の低下の要因ともなる。
【0005】
また、ニオブ酸リチウムなど屈折率の異方性が大きい材料が知られている。この材料の場合は屈折率の異方性が大きいため、制限すべき所定の空間周波数を得るための厚みは水晶に比べて極めて薄くできるが、反面、厚み加工上あるいは貼り合わせ加工上の技術的困難さがあり、その結果、コストが高くなる。
【0006】
一方、高分子製光学LPFに関する提案が特開平08−122708でされている。これは、光学異方性高分子フィルムよりなるもので、製造が容易であり、特定の光学的特性を有するものであることにより、光学LPFとして優れた機能を有し、小型化、軽量化が図れると共に、コスト的にも有利と言えるものである。
【0007】
この光学異方性高分子フィルムを使えば、水晶やニオブ酸リチウムを使う場合のデメリットを回避することが可能となるが、フィルム製であるために静電気が帯電しやすく、ゴミ・ほこり等が付着し易いため、撮像素子に撮像する場合、そのゴミやほこりが写り込んでしまうという欠点がある。また、光学異方性高分子フィルム等のフィルム状光学LPFをデジタルカメラ等の機器内に実装する際、上記欠点の解決手段として、フィルム状光学LPFをあらかじめ巻き込んである部材から、撮影光路上に入れたり、または撮影光路外に退避させたり、といった動作を行わせる退避手段を有する提案がなされている。これは撮影者が意図的に、フィルム状光学LPFを使用するか、もしくは使用しないかを選択でき、選択されたモードによってフィルム状光学LPFを退避させるものである。しかし、この提案においても静電気の帯電によるゴミ・埃等の付着についての根本的な解決には至っていない。
【特許文献1】特開平08−122708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたもので、光学異方性高分子フィルム等のフィルム状の光学LPFをデジタルカメラ等の機器内に実装する際に、機器内の金属体(GND)に接触する構造とし、フィルム状光学LPFに帯電した静電気を、その金属体(GND)に除電できるようにすることでゴミや埃の付着を出来る限り回避することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために構成された本発明に係る請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、被写体像を形成する撮影光学系と、前記撮影光学系が形成する被写体像を電気信号に変換する固体撮像素子と、前記撮影光学系と前記固体撮像素子との間に配置され、前記撮影装置の受光面と略平行な面に位置するフィルム状の光学LPFと、前記フィルム状光学LPFが前記撮影装置の受光面近傍で進退する進退手段と、前記フィルム状光学LPFと略平行な面に位置する電気的に接続される導電部材とを備え、前記フィルム状光学LPFが進退時、帯電により生じる電荷を中和する導電手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、帯電により生じる電荷を中和させる導電手段を、少なくとも1つ以上配置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のデジタルカメラによれば、フィルム状光学的LPFが退避する際に、第1導電ローラー及び第2導電ローラーに接触して移動し、導電保持部材及びを介して導電性を有する内部筐体に固定ビスで固定される。これにより、導電性を有する内部筐体(GND)に除電できることで、静電気等の帯電による生じる電荷を中和することができるので、フィルム状光学的LPFへのゴミ・埃等の付着を出来る限り回避することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るデジタルカメラの実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明のフィルム状光学LPFを備えたデジタルカメラの中央断面図を示した説明図である。
【0014】
図2は、図1のフィルム状光学LPFの退避機構及び導電部材の構成を説明した図である。
【0015】
図3は、図2のフィルム状光学LPFの退避機構のフィルム検知に関する説明図である。
【0016】
図4は、図1のフィルム状光学LPFの導電部材の接続部に関する説明図である。
【0017】
図5は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの電気回路ブロック図である。
【0018】
図6は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【0019】
以下本発明のデジタルカメラの概要について説明する。
【0020】
図1のカメラ1に対して着脱可能な交換レンズ2は複数枚の撮影レンズ群3及び、絞り径を変化させることで光量をコントロールする絞り4からなり、カメラ1のマウント5によって装着固定される。不図示のカメラ1の接点部と不図示の交換レンズ2の接点部が接触することによって電気的な接続がなされ、この接点部を介してカメラ1から交換レンズ2への電力の供給やレンズを制御するための通信を行う。交換レンズ2の撮影レンズ群3を透過した光束はカメラ1のメインミラー6に入射する。メインミラー6はハーフミラーとなっており反射した光束はファインダーへと導かれ、透過した光束はサブミラー7にて下方へ反射し、焦点検出装置8へと導かれる。焦点検出装置8は撮影レンズ群3のデフォーカス量を検出し、撮影レンズ群3が合焦状態となるようにレンズ駆動量を演算し、演算より求められたレンズ駆動量を接点部を介して交換レンズ2へ送出すると、交換レンズ2は不図示のモーターを制御して撮影レンズ群3を駆動して焦点調節を行う。メインミラー6によってファインダーへと導かれた光束はピント板9に被写体像を結像し、撮影者はペンタプリズム10および接眼レンズ11を介してこのピント板上の被写体像を観察するように構成されている。ペンタプリズム10の後方には、カメラ1の観察画面内の被写体輝度を測定するための測光レンズ12と測光センサ13が配置されている。14、15はシャッターを構成する後幕と先幕で、これら後幕15、先幕14の開放によって、後方に配置されている固体撮像素子であるCCD(固体撮像素子)20に必要な露光を与える。撮影時に固体撮像素子20に蓄積された画像データは、別に設けられた不図示の画像処理回路を通して後述する外部記憶装置に送られる。ここからは、本考案に係る構成について述べるが、後述で詳細に記するため、ここでは簡単に構成についてだけ述べる。27は、フィルム状光学LPFであり、図3(a)に示すように、被写体像を水平分離する複屈折フィルム27aと、被写体像を垂直分離する複屈折フィルム27bと、その間に複屈折フィルム27aを通った直線偏光を円偏光に変換する位相フィルム27cを挟み込むように接合されている。16はフィルム状光学LPFの退避手段の一部である第2プーリーである。18は同じく退避手段の一部である第1プーリーである。第1プーリー18の回転軸18a及び第2プーリー16の回転軸16aは、いずれもその回転軸が撮影光軸と略直交する方向に配置されている。25はフィルム状光学LPFの導電手段の一部であり、前述した第2プーリー16の近傍に略平行に配置された金属体からなる第2導電ローラーである。26は、同じく導電手段の一部であり、第1プーリー18の近傍に略平行に配置された金属体からなる第1導電ローラーである。第1プーリー18の下方にはモーター30が第1プーリー18と略平行に配置されている。19は固体撮像素子20の表面を保護する保護ガラスであり、17は保護ガラス19の表面に接合された、赤外波長域の光線を遮断する赤外カットフィルタである。21は基板(A)で、固体撮像素子20が保持されており、固体撮像素子20を駆動するための駆動回路が実装されている。この基板(A)21の後方にもう1枚の基板(B)22が配置してあり、これにはLCDモニター装置23を駆動させるための駆動回路が実装されている。この基板(A)21及び基板(B)22は不図示のフレキシブルプリント基板で接続されて通信を行っている。基板(B)22の外側の面には撮影された画像を表示するLCDモニター装置23及び画像を視認させるためのバックライト照明装置24が配置してある。28は画像データを記録するための、着脱可能な外部記憶装置(記録手段)で、29はカメラの電源である着脱可能なバッテリーである。
【0021】
以上が本考案であるデジタルカメラの主な構成である。
【0022】
次に、前述したデジタルカメラの構成を基に、フィルム状光学LPFを有する導電手段について具体的に説明する。図2〜4は、本発明の実施の形態に係るフィルム状光学LPFの退避手段及び帯電により生じる電荷を中和する導電手段の構成を説明した図である。図2において、18は第1プーリーであり、第1プーリーの外周にはフィルム状光学LPF27と同幅形状の開口部が設けられている。更に、外周の一端には、回転軸18aと同軸上に配置された回転ギヤ18bがあり、回転ギヤ18bと回転軸18aは結合されており、共に回転可能に構成してある。更に第1プーリー18の内部では、フィルム状光学LPF27の一端が回転軸18aに固定されている。第1プーリー18の下方にはモーター30が配置されており、回転ギヤ18bの歯車とモーター30の歯車が噛み合って動力を伝達するように構成されている。16は第2プーリーであり、第2プーリーの外周には第1プーリー18と同様に、フィルム状光学LPF27と同幅形状の開口部が設けられており、第2プーリー16の内部では、フィルム状光学LPF27の一端が回転軸16aに固定されていて、回転軸16aは、不図示の付勢部材により、図2中の時計方向に常時付勢されている。更に、フィルム状光学LPF27は、第2プーリー16内の回転軸16aにあらかじめ所定量巻き付けて付勢されている。第1プーリー18と第2プーリー16の間には、固体撮像素子20が配置されており、表面には保護ガラス19及び赤外カットフィルタ17が接合してある。31はフィルム状光学的LPF27の位置を検出するためのフォトセンサーであり、フィルム状光学的LPF27に形成された位置割出し用のマーカー32aと32bとにより、フィルム状光学的LPF27の位置出しを行うことができる。25はフィルム状光学LPFとの接触がなされる金属体からなる第2導電ローラーであり、同じく金属体からなる導電保持部材33aに回転可能に軸支されている。26は同様にフィルム状光学LPFとの接触がなされる金属体からなる第1導電ローラーであり、保持部材33bに回転可能に軸支されている。
【0023】
図3(a)は、フィルム状光学的LPF27の断面を示したものである。フィルム状光学的LPF27は、前述したように被写体像を水平分離する複屈折フィルム27aと、被写体像を垂直分離する複屈折フィルム27bと、その間に複屈折フィルム27aを通った直線偏光を円偏光に変換する位相フィルム27cを挟み込むように接合されている。図3(b)は、フィルム状光学的LPF27の平面図であり、退避手段の位置検出を説明するための図である。位置割り出し用マーカー32a、同じく位置割り出し用マーカー32bは前述した通りフィルム状光学的LPF27の退避位置を決定するためのマーカーで、遮光性の印刷が施してある。このマーカーが図2にいうフォトセンサー31の検出光軸を遮ると電気信号が発生し、第1プーリー18の下方に配置してあるモーター30の駆動を停止して、フィルム状光学的LPF27の位置を決定する。34はフィルム状光学的LPF27のLPF形成部である。つまり、フォトセンサー31でフィルム状光学的LPF27の位置割り出し用マーカー32a及び32bの位置を検出して、固体撮像素子20の前面にてフィルム状光学的LPF27のLPF形成部34を停止するように制御している。
【0024】
なお、図3の(c)及び(d)に示すように、フィルム状光学的LPF27の全面にLPF形成部34を施しても良い。
【0025】
図4は、本発明の実施形態であるフィルム状光学LPFの退避機構を有する導電手段についての説明図である。
【0026】
同図において、1aはデジタルカメラの外装部であり、外装部1aの内側には前述した導電保持部材33a及び33bを保持する導電性を有する内部筐体1bが構成されている。18は第1プーリー、16は第2プーリー、27はフィルムフィルム状光学的LPFであり、モーター30の回転により回転ギヤ18bが駆動され、これによりフィルム状光学的LPF27は図中下方へ移動され、第1プーリー18内に挿入される構成となる。なお、第1プーリー18、第2プーリー16は内部筐体1bとは別部材の不図示の枠体に保持されている。26は第1導電ローラーであり、導電保持部材33bに回転可能に保持され、導電保持部材33bは導電性を有する内部筐体1bに固定ビス35bで締結される。また、同様に第2導電ローラー25は導電保持部材33aに回転可能に保持され、導電保持部材33aは導電性を有する内部筐体1bに固定ビス35aで締結される。この構成により、フィルム状光学的LPF27が退避する際に、第1導電ローラー26及び第2導電ローラー25に接触して移動し、導電保持部材33a及び33bを介して導電性を有する内部筐体1bに固定ビス35bで固定される。これにより、導電性を有する内部筐体1b(GND)に除電できることで、静電気等の帯電による生じる電荷を中和することができるので、フィルム状光学的LPF27へのゴミ・埃等の付着を出来る限り回避することが出来る。
【0027】
図5は、本発明の実施の形態であるデジタルカメラの電気回路構成を示すブロック図である。同図において、101はプリント基板で、カメラの動作の全てを制御するマイクロコンピューター102、固体撮像素子115の出力である画像データを処理したり、LCDモニター装置117に画像を表示する画像表示制御回路(画像表示手段)116等が搭載されている。マイクロコンピューター102の内部には、退避手段の構成の一部である制御プログラムが実装されている。103はSW1で、不図示のレリーズ釦の半押し状態でオン(ON)するスイッチであり、このSW1/103がオン(ON)するとデジタルカメラは撮影準備状態になる。104はSW2で、不図示のレリーズ釦が最後まで押された状態でオン(ON)するスイッチであり、このSW2/104がオン(ON)するとデジタルカメラは撮影動作を開始する。105はレンズ制御回路で、本実施の形態は、レンズ交換式のデジタルカメラであるので、交換レンズ2(図1参照)との通信及びAF(オートフォーカス)時の交換レンズ2の駆動や絞り羽根の駆動の制御をこのレンズ制御回路105が受け持っている。また図5において、106は外部表示の制御回路で外部表示装置107や、ファインダー内の表示装置(不図示)の制御を行う。108はスイッチセンス回路で、カメラ内に設けられた電子ダイヤル109や、サブ電子ダイヤル110を含む多数のスイッチ類の信号をマイクロコンピューター102に伝える働きをしている。111はストロボ発光調光制御回路で、X接点111aを介して接地されており、外部ストロボの制御を行う。112は測距回路で、AF(オートフォーカス)のための被写体に対するディフォーカス量を検出する機能を有する。113は測光回路で、被写体の輝度を測定する機能を有する。114はシャッターの制御を行う回路で、固体撮像素子115に対して適正な露光を行う。LCDモニター装置117とバックライト照明装置118は画像表示手段を構成している。119は記録手段であるところの外部記憶装置である。120は本発明に係るところの退避手段の構成の一部である退避機構制御回路である。121は同じく退避手段の構成の一部であるモーター、122は同じく退避手段の構成の一部であるフォトセンサーである。123は同じく退避手段の構成の一部である退避スイッチである。
【0028】
次に本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの動作を図6に基づき説明する。図6は本実施の形態に係るデジタルカメラの動作の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示される制御プログラムは、図5に示すマイクロコンピューター102の内部に実装されている。まず、ステップS201で不図示のデジタルカメラのメインスイッチがオン(ON)したか否かを判断する。不図示のメインスイッチがオン(ON)の場合はステップS202に進む。不図示のメインスイッチがオフ(OFF)の状態であれば、そのままステップS201へ戻る。ステップS202で、いずれかの操作スイッチがオン(ON)されれば、ステップS203に進み、オン(ON)した操作スイッチに対応した処理をマイクロコンピューター102(図5参照)により行う。この処理は、例えば、デジタルカメラの各操作部材を操作して、撮影モードを変えたり、撮影済の画像を読み出したり、フィルム状光学的LPF27(図2参照)の退避を設定したりする処理である。ステップS203を実行した結果、フィルム状光学的LPF27(図2参照)の位置を変更(退避)するための退避スイッチ123(図5参照)がオン(ON)されたか否かをステップS204で判断する。ステップS204でフィルム状光学的LPF27(図2参照)の位置を変更(退避)するための、退避スイッチ123(図5参照)がオン(ON)されていなければ、通常の撮影となるので、ステップS209へ進み、退避スイッチ123(図5参照)がオン(ON)された場合はステップS205へ進む。ステップS209において、SW1/103がオン(ON)したか否かを判断する。このSW1/103は不図示のレリーズ釦の半押し状態のことであり、このSW1/103がオン(ON)するとデジタルカメラは撮影準備状態になる。そして、SW1/103がオフ(OFF)していれば前記ステップS201へ戻り、またSW1/103がオン(ON)であれば、デジタルカメラは次のステップS210へ進む。ステップS210では、測光(AE)動作及び測距(AF)動作がそれぞれ行われ、撮影手段である交換レンズ2(図1参照)が駆動されて焦点合わせが行われる。次に、ステップS211でSW2/104がオン(ON)されたか否かを判断する。このSW2/104は、不図示のレリーズボタンが最後まで押された状態のことであり、このSW2/104がオン(ON)すると次のステップS212へ進んでデジタルカメラは撮影動作を開始する。一方、SW2/104がオフ(OFF)していれば前記ステップS209へ戻り、ステップS209からステップS211を繰り返す。ステップS212では、メインミラー6(図1参照)が作動して、いわゆるミラーアップして、撮影光路外にメインミラー6(図1参照)が退避する。次に、ステップS213で撮像手段である固体撮像素子20(図1参照)の蓄積が開始され、次のステップS214では、シャッターの露光、即ち、先膜14(図1参照)、後膜15(図1参照)がそれぞれ走行する。そして、ステップS215で固体撮像素子20(図1参照)の蓄積が終了され、次のステップS216で、固体撮像素子20(図1参照)から画像信号が読み出されて、プリント基板101(図5参照)に内蔵されている内部メモリーに一時記憶される。ステップS217でメインミラー6(図1参照)が作動して、いわゆるミラーダウンして、メインミラー6(図1参照)が被写体光をファインダー光学系に導く位置(斜設位置)に戻り、一連の撮像動作が終了する。一方、退避スイッチ123(図5参照)がオン(ON)された場合はステップS205へ進む。ステップS205で図5の退避機構制御回路120(図5参照)からの信号により、モーター121(図2参照)に通電がなされる。ステップS206で、通電がなされると、図2のモーター30が回転し、第1プーリー18(図2参照)の回転ギヤ18b(図2参照)に駆動力が伝達され、フィルム状光学的LPF27(図2参照)は回転軸18a(図2参照)の回転により、第1プーリー18(図2参照)内に巻き込まれる。この際、フィルム状光学的LPF27(図2参照)は退避する時に第1導電ローラー26(図2参照)及び第2導電ローラー25(図2参照)に接触して移動し、導電保持部材33a(図2参照)及び導電保持部材33b(図2参照)を介して導電性を有する内部筐体1b(GND(図4参照))に静電気等により帯電した電荷を除電することができる。これにより、静電気等の帯電による生じる電荷を中和することができるので、フィルム状光学的LPF27(図2参照)へのゴミ・埃等の付着を出来る限り回避することが出来る。ステップS207において、図2のフィルム状光学的LPF27に遮光性のギャップ(黒パターン印刷)を施してある位置割り出し用マーカー32b(図2参照)がフォトセンサー31(図2参照)の検出光軸を遮ると電気信号が発生する。この電気信号は退避機構制御回路120(図5参照)へ送られる。ステップS208において、図5の退避機構制御回路120からの信号により、フォトセンサー31(図2参照)の検出光軸の前面に位置割り出し用マーカー32b(図2参照)が移動してきたことを検出する。次に、図2の第1プーリー18の下方に配置してあるモーター30(図2参照)の駆動を停止して、フィルム状光学的LPF27(図2参照)の位置を決定し、固体撮像素子20(図2参照)の前面にフィルム状光学的LPF27(図2参照)の形成部34(図3参照)を停止するように制御している。ここでフィルム状光学的LPF27(図2参照)の退避が完了する。
【0029】
なお、本実施形態によれば、フィルム状光学的LPF27と接触して移動する導電ローラー及び導電保持部材は2つ構成での実施形態で説明したが、少なくとも1つ以上配置されていれば構わない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のフィルム状光学LPFを備えたデジタルカメラの中央断面図を示した説明図である。
【図2】図1のフィルム状光学LPFの退避機構及び導電部材の構成を説明した図である。
【図3】図2のフィルム状光学LPFの退避機構のフィルム検知に関する説明図である。
【図4】図1のフィルム状光学LPFの導電部材の接続部に関する説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの電気回路ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 カメラ
1a 外観部
1b 内部筐体
2 交換レンズ
3 撮影レンズ群
4 絞り
5 マウント
6 メインミラー
7 サブミラー
8 焦点検出装置
9 ピント板
10 ペンタプリズム
11 接眼レンズ
12 測光レンズ
13 測光センサ
14 先幕
15 後幕
16 第2プーリー
16a 固定軸
17 赤外カットフィルタ
18 第1プーリー
18a 固定軸
18b 回転ギヤ
19 保護ガラス
20 固体撮像素子
21 基板(A)
22 基板(B)
23 LCDモニター装置
24 バックライト照明装置
25 第2導電ローラー
26 第1導電ローラー
27 フィルム状光学LPF
27a、27b 複屈折フィルム
27c 位相フィルム
28 外部記憶装置
29 バッテリー
30 モーター
31 フォトセンサー
32a、32b 位置割り出し用マーカー
33a、33b 導電保持部材
34 LPF形成部
35a、35b 固定ビス
101 プリント基板
102 マイクロコンピューター
103 SW1
104 SW2
105 レンズ制御回路
106 外部表示制御回路
107 外部表示装置
108 スイッチセンス回路
109 電子ダイヤル
110 サブ電子ダイヤル
111 ストロボ発光調光制御回路
111a X接点
112 測距回路
113 測光回路
114 シャッター制御回路
115 固体撮像素子
116 画像表示制御回路
117 LCDモニター装置
118 バックライト照明装置
119 外部記憶装置
120 退避機構制御回路
121 モーター
122 フォトセンサー
123 退避スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を形成する撮影光学系と、前記撮影光学系が形成する被写体像を電気信号に変換する固体撮像素子と、前記撮影光学系と前記固体撮像素子との間に配置され、前記撮影装置の受光面と略平行な面に位置するフィルム状の光学的ローパスフィルタと、前記フィルム状の光学的ローパスフィルタが前記撮影装置の受光面近傍で進退する進退手段と、前記フィルム状の光学的ローパスフィルタと略平行な面に位置する電気的に接続される導電部材とを備え、前記フィルム状の光学的ローパスフィルタが進退時、帯電により生じる電荷を中和する導電手段を有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記、帯電により生じる電荷を中和する導電手段は、少なくとも1つ以上配置されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−173830(P2006−173830A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360852(P2004−360852)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】