説明

光学位相差素子、その製造方法、並びにその光学位相差素子を用いたセキュリティ製品、真贋判定方法、セキュリティ製品の製造方法

【課題】 高精緻かつ複雑な配向パターンの光学異方性層を有し、かつ製造が容易で実用性に優れた光学位相差素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体(11)上に、配向膜(12、14、16)と光学異方性層(13、15、17)とを有する光学位相差素子であって、該配向膜(12、14、16)が光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有し、且つ該光学異方性層13、15、17)が進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有する光学位相差素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精緻かつ複雑な配向パターンの光学異方性層を有し、かつ製造が容易で実用性に優れた光学位相差素子の製造方法、及び、それによって製造された光学位相差素子の、低コストで偽造防止効果の高いセキュリティ製品への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
金券や有価証券、プリペイドカード等の有価物、権利証書、IDカード等の証明書は、偽造されることによって種々の損害を被る可能性がある。又、コンピュータソフト、音楽ソフト、映像ソフト等、著作権によって保護されるべきものは、偽造、変造あるいは複製を防止するための種々の工夫がなされている。
【0003】
このような、IDカードや音楽ソフト等において、その偽造を防止する方法は、大きく分けて、従来次のような三種類に分類することができる。
第1の方法は、透かし、マイクロ文字、ホログラムに代表される高度な印刷技術を用いるものであり、これは紙幣、商品券、株券、クレジットカード、音楽CD等に使われている。
第2の方法は、磁気記録媒体、IC、光記録媒体等に暗号情報を記録して偽造防止を図るものであり、プリペイドカード、乗車券、定期券等に用いられている。
第3の方法は、パンチ穴等の、修復ができないように物理的な力で変形させる方法で、テレフォンカード等に用いられている。
【0004】
しかしながら、前記第1の方法では、複写技術の発達により、複写物の真贋の判定が困難になってきており、その対策のためには更に高度な印刷技術が要求されるため、コストが上昇してしまうという問題点がある。
前記第2の方法は、暗号情報を読み取るための高価な専用読取り装置が必要であるばかりでなく、一旦暗号が解読されてしまうと無制限に偽造や複製が可能となるという危険性がある。
又、前記第3の方法では、例えばパンチ穴の場合、これを物理的に塞ぐ方法を用いることによって容易に変造可能であるという問題点がある。
【0005】
上記従来の偽造防止方法に対して、例えば特許文献1または2に記載されているように、光配向膜と二色性色素層を有し、この二色性色素層に偏光情報を記録して、この記録部分を、偏光を照射するか又は偏光板を通して観察することによって真贋を判別する方法が提案されている。
特許文献1および2に記載されている発明においては、二色性色素層に偏光情報を記録するために、光反応性基を有する光配向膜に偏光で露光して配向能を付与する光配向技術が提案されている。この方法では、例えば、フォトマスクを配向層に被覆して(直線偏光)紫外線を照射することで、所望の部分に所望の配向パターンを有する配向層が形成でき、よって、二色性色素を含む液晶層も同様に所望の部分に所望の配向パターンを有するものとなる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている偽造防止方法では、情報を記録するための二色性色素層が単層であり、複雑な情報を記録することができない上、観察されうる記録情報がモノクロであるので複製の難易度が高くないという問題点があった。
また、特許文献2に記載されている偽造防止方法では、二色性色素を含む液晶層に記録される情報記録領域の遅相軸が一種しかないため、偽造防止効果を高めるため、記録情報を複雑化できないという問題があった。
さらに、光配向膜は液晶分子に対する配向規制力が弱く、光学異方性層に配向欠陥(シュリーレン欠陥)が生じ易いという問題がある。光学異方性層にシュリーレン欠陥が生じると光散乱が起こり、光学特性を損なう。前記偽造防止効果を高めるため、光配向により高精緻かつ複雑な配向パターンの光学異方性層を容易に製造するのは困難であった。
【0007】
【特許文献1】特開平9−183287号広報
【特許文献2】特開2001−256531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高精緻かつ複雑な配向パターンの光学異方性層を有し、かつ製造が容易で実用性に優れた光学位相差素子を提供することを主目的とするものである。また、本発明は、かかる光学位相差素子の簡易な製造方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、簡易に偽造品等を識別することのできるセキュリティ製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
[1] 支持体上に配向膜と光学異方性層とを有する光学位相差素子であって、該配向膜が光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有し、且つ該光学異方性層が進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有する光学位相差素子。
[2] 前記光反応性基が、アゾベンゼン誘導体又は桂皮酸誘導体の残基である[1]の光学位相差素子。
[3] 前記光学異方性層が、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物から形成された層である[1]又は[2]の光学位相差素子。
[4] 前記組成物が、少なくとも一種の二色性色素を含有する[3]の光学位相差素子。
[5] 前記液晶性化合物が重合性基を有する[3]または[4]の光学位相差素子。
[6] [1]〜[5]のいずれかの光学位相差素子を含むセキュリティ製品。
[7] 前記光学位相差素子が有する支持体の裏面に接着剤層を有し、貼付可能である[6]のセキュリティ製品。
[8] 前記光学位相差素子が有する支持体の表面上に剥離層、及び最表面にヒートシール層が設けられ、前記光学異方性層が転写可能である[6]のセキュリティ製品。
【0010】
[9] [6]〜[8]のいずれかのセキュリティ製品を表面の一部に有するセキュリティ製品付き物品。
[10] 支持体の上に光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有する組成物を塗布して膜を形成する第1の工程と、前記光反応性基を有する化合物が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光を前記膜に照射して、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種有する配向膜を形成する第2の工程と、少なくとも一種の二色性色素と少なくとも一種の重合性液晶を含有する組成物を該配向膜の表面に塗布する第3の工程と、前記配向膜上に塗布された前記組成物に紫外線を照射して、前記重合性液晶及び二色性色素の分子の配向を固定させる第4の工程とを含む光学位相差素子の製造方法。
[11] 前記第2の工程において、前記配向膜が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光をn回照射して、進相軸または遅相軸が異なる領域を、少なくとも(n+1)(ただし、nは3以上の整数である)種以上形成する[10]の光学位相差素子の製造方法。
[12] [6]〜[8]のいずれかのセキュリティ製品の前記情報記録領域に記録された情報を、偏光照射または偏光板を用いて観察して、真正品か否かを判別することを特徴とする真贋判定方法。
[13] [6]〜[8]のいずれかのセキュリティ製品に直線偏光を照射するか、または偏光板を用いて観察して、その反射光から前記情報記録領域に記録された情報を観察して、真正品か否かを判別することを特徴とする真贋判定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学位相差素子は、従来の光学位相差素子と比較し、高精緻かつ複雑な配向パターンの光学異方性層を有し、かつ製造が容易で実用性に優れる。また、本発明の光学位相差素子をセキュリティ製品として用いることで、低コストで高い偽造防止効果が得られる。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0013】
本発明の光学位相差素子は、支持体と、配向膜と、光学異方性層とを少なくとも有し、該配向膜が光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有するとともに、該光学異方性層が進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有することを特徴とする。なお、本発明の光学位相差素子は、光学異方性層を複数有していてもよいが、複数ある態様では、少なくとも一の光学異方性層が、同一層中に進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有する。
以下、本発明の光学位相差素子の作製に用いられる種々の材料及び製造方法について説明する。
1−1.液晶性化合物
本発明においては、前述したように光学異方性層に液晶性化合物が用いられる。本発明でいう液晶性化合物とは、所定の温度で液晶相となり得る化合物を示すものでありる。後述する光学位相差素子の製造方法の欄でも説明するが、液晶に対して配向能を有する配向膜上で、液晶性化合物を液晶相とすることにより液晶分子の方向を特定の方向に配向し、それによって、屈折率異方性を有する光学異方性層が形成される。液晶相に転移する温度については特に制限はないが、支持体および配向膜がダメージを受けない温度範囲内で液晶相に転移する液晶性化合物を用いるのが好ましい。具体的には、プロセス温度のコントロールの容易性と寸法精度維持の観点から、150℃以下、好ましくは130℃以下の温度で液晶相となる液晶性化合物が好適に用いられる。一方、液晶相に転移する温度の下限については特に制限されず、光学位相差素子として用いる場合の温度条件において、液晶性化合物が配向状態を保持し得る温度であればよいし、液晶性分子の配向が乱れないように固定して用いる場合は、転移温度が使用温度と大きく異なっていてもよい。
【0014】
光学異方性層に用いる液晶性化合物の例には、棒状液晶性化合物及びディスコティック液晶性化合物が含まれる。棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物は、高分子液晶性化合物でも低分子液晶性化合物でもよく、さらに、低分子液晶性化合物が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。棒状液晶性化合物とディスコティック液晶性化合物を併用しても構わない。液晶性化合物は棒状液晶性化合物であることがより好ましい。
【0015】
[棒状液晶性化合物]
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。なお、棒状液晶性化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性化合物として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。棒状液晶性化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。また、棒状液晶性化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基またはカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報中の段落番号[0064]〜[0086]に記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
【0016】
[ディスコティック液晶性化合物]
ディスコティック液晶性化合物の例には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
【0017】
ディスコティック液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造である液晶性を示す化合物も含まれる。分子または分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物がディスコティック液晶性化合物である必要はなく、例えば、低分子のディスコティック液晶性化合物が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失った化合物も含まれる。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
【0018】
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物のディスコティックコアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ディスコティックコアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報中の段落番号[0151]〜[0168]に記載の化合物等が挙げられる。
【0019】
1−2.二色性色素
本発明において、前記光学異方性層は二色性色素の少なくとも一種を含有しているのが好ましい。前記二色性色素は、分子の長軸方向とこれと直交する方向の吸光度が大きく異なる色素のことであり、この二色性色素が液晶性化合物の配向に伴い異方的に配向されていると、二色性色素を含む光学異方性層を通過した後の光は、二色性色素の分子長軸方向と平行な直線偏光成分と分子長軸方向に垂直な直線偏光成分の比率が大きく異なっていて、前者の大部分が吸収される。
【0020】
本発明に使用可能な二色性色素は、前記液晶性化合物と相溶性のある二色性色素であればよく、例えば、「90年代機能性色素の開発と市場動向、シーエムシー、p10−21」に記載される種々の二色性色素を使用することができる。また、二色性色素の含有量については特に制限はないが、一般的には液晶性化合物に対して、0.1〜20質量%であるのが好ましく、1〜10質量%であるのがより好ましい。
【0021】
前記光学異方性層は、液晶性化合物及び所望により二色性色素を含有する組成物を、後述する所定の配向膜上に塗布して、液晶性化合物の分子を配向させることによって形成することができる。製造方法の詳細については後述する。前記組成物中には、所望により他の添加剤を添加してもよい。
1−3.重合開始剤
前記組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合性液晶性化合物を用いる場合は、配向させた液晶性化合物の分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれ、光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の固形分)の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0022】
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい
【0023】
1−4.配向膜
本発明の光学位相差素子は、光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有する配向膜を有する。該化合物は、光照射、例えば照射光の偏光面に応じて配向する光配向素材であるのが好ましく、光反応性基を有する光配向性ポリマーであるのが好ましい。ここで、「光反応性基」とは、例えば、単一方向からの光の照射によって官能基の化学構造または該官能基を有する分子の配向状態に変化が起こり、これにより配向膜表面に配置された液晶性化合物の分子を所定の方向に配向させることができる官能基を意味する。具体的には、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、カルコン誘導体、スチルベン類、スチリルピリジン誘導体、α-ヒドラゾノ-β-ケトエステル類、クマリン誘導体、ベンジリデンフタルイミジン類、レチノイン酸誘導体、スピロピラン類、スピロオキサジン類、アントラセン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ポリイミドなどが挙げられる。このうち、好ましいのはクマリン誘導体、スチリルピリジン誘導体、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、カルコン誘導体であり、さらに好ましくはアゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、カルコン誘導体である。特に好ましいのは桂皮酸誘導体である。
【0024】
光配向素材は低分子化合物であっても高分子であっても良い。より好ましくは高分子である。また、前記の高分子の種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があるポリマー種のいずれであってもよく、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、四フッ化エチレン(PTFE)類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。ポリオレフィン類であることが好ましい
【0025】
前記光配向素材としては、下記一般式(1)に表されるモノマーの少なくとも一種から導かれる繰り返し単位を含む重合体が好ましく用いられる。
【0026】
【化1】

【0027】
一般式(1)中、R1は水素原子または置換基を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Aは光反応性基を表す。また、Y1は−NRa−(Raは炭素原子数1〜5のアルキル基または水素原子を表す。)または−O−を表す。
【0028】
前記一般式(1)中のR1で表される置換基は、下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
上記置換基群としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
【0029】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)
【0030】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0031】
上記一般式(1)においてR1は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、水素原子またはメチル基であることがさらに好ましい。
【0032】
上記一般式(1)においてL1は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基である場合には、アルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族基、2価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、可能であれば、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基などによって置換されていてもよい。一般式(1)におけるL1としては単結合、−O−、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)またはアルキレン基を含んでいることが好ましく、単結合、−O−、またはアルキレン基を含んでいることが特に好ましい。
【0033】
以下にL1の具体的体的な構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。また、下記具体例の組み合わせも好ましい。具体例中、L1は、好ましくは、L−1〜L−12であり、より好ましくはL−1、L−2、L−4、L−7〜L−12である。
【0034】
【化2】

【0035】
一般式(1)中のAは、光反応性基であり、好ましくは、クマリン誘導体、スチリルピリジン誘導体、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体又はカルコン誘導体の残基であり、さらに好ましくはアゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体又はカルコン誘導体の残基である。特に好ましいのは桂皮酸誘導体の残基である。
【0036】
本発明に光反応性化合物として用いられる前記桂皮酸誘導体としては、下記一般式C−1で表される誘導体が好ましい。
【0037】
【化3】

【0038】
前記式において、Ar1及びAr2はそれぞれ、置換基を有していてもよい、炭素数6〜10の芳香環又は炭素数5〜10の複素環を表す。Ar1及びAr2はそれぞれ、置換もしくは無置換の、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環またはチオフェン環であるのが好ましく、置換もしくは無置換のベンゼン環であるのが特に好ましい。X及びYはそれぞれ、単結合又は二価の連結基を表す。X及びYはそれぞれ、単結合、又はC=C、C≡C、COO、OCO、CONH、NHCO、OCOO、OCONH及びNHCOOからなる群より選ばれる二価の連結基であるのが好ましく、単結合であるのがより好ましい。R1及びR2はそれぞれ、Ar1およびAr2の置換基である。R1及びR2はそれぞれ、アルキル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン基等であるのが好ましく、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アルカノイルオキシ基又はシアノ基等であるのが特に好ましい。また、R1及びR2が重合性基を有していることが好ましい。好ましい重合性基の例としては、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、グリシジル基及びオキセタン基等を挙げることができる。さらに、R1及びR2はそれぞれ、高分子の主鎖に連結し、側鎖型高分子を形成していてもよい。R3及びR4はそれぞれ、ベンゼン環の置換基を示し、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基又はハロゲン基等を挙げることができる。n及びmは独立して0〜3の整数を示す。好ましくは、0又は1であり、少なくともn及びmのいずれかが1であることが特に好ましい。o及びpは独立して0〜4の整数を示す。o及びpはそれぞれ、0〜2であることが好ましく、o及びpがそれぞれ0〜2であり、かつo+pが1〜3であることが特に好ましい。また、q及びrは、それぞれ0〜4の整数を示し、0又は1であるのが好ましい。
【0039】
本発明に光反応性化合物として用いられるクマリン誘導体としては、下記一般式C−2で表される誘導体が好ましい。
【0040】
【化4】

【0041】
前記一般式C−2において、Ar1、R1、R2、X、n、p及びqはそれぞれ、前記一般式C−1中のそれぞれと同義である。
【0042】
本発明に光反応性化合物として用いられるアゾベンゼン誘導体としては、下記一般式C−3で表される誘導体が好ましい。
【0043】
【化5】

【0044】
前記一般式C−3において、Ar1、Ar2、R1、R2、R3、R4、X、Y、m、n、o、p、q及びrはそれぞれ、前記一般式C−1中のそれぞれと同義である。
【0045】
本発明に光反応性化合物として用いられるカルコン誘導体としては、下記一般式C−4で表される誘導体が好ましい。
【0046】
【化6】

【0047】
前記一般式C−4において、Ar1、Ar2、R1、R2、R3、R4、X、Y、m、n、o、p、q及びrはそれぞれ、前記一般式C−1中のそれぞれと同義である。
【0048】
本発明に光反応性化合物として用いられるスチリルピリジン誘導体としては、下記一般式C−5で表される誘導体が好ましい。
【0049】
【化7】

【0050】
前記一般式C−5において、Ar1、Ar2、R1、R2、R3、R4、X、Y、m、n、o、p、q及びrはそれぞれ、前記一般式C−1中のそれぞれと同義である。
【0051】
光反応性化合物において、光分解反応を起こす化合物としては、光分解性ポリイミド(第22回液晶討論会講演予稿集、1672頁A17(1996))に記載があり、本発明に用いることができる。
【0052】
本発明における重合性基とは、例えば村橋俊介編著「高分子化学」(共立出版 1966年刊)2〜5章に記された重合法に用いられる官能基であり、例えば多重結合(構成原子は、炭素原子、非炭素原子のいずれでもよい)、オキシラン、アジリジンなどの複素小員環、イソシアナートとそれに付加するアミンなど異種官能基の組合せが挙げられる。R.A.M.Hikmet らの研究報告〔Macromolecules,25巻,4194頁(1992)〕及び〔Polymer ,34巻,8号,1763頁(1993年)〕、D.J.Broer らの研究報告〔Macromolecules,26巻,1244頁(1993)〕に記載されているように、二重結合すなわち、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基およびエポキシ基が好ましい例として挙げられ、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
【0053】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
【0054】
【化8】

【0055】
本発明における光配向素材は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種のみ含むポリマーであってもよいし、2種以上含むポリマーであってもよい。また、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種または2種以上有していてもよい。上記以外の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。本発明において、光配向素材として用いられるポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種または2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
【0056】
(モノマー群)
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエンおよび2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
【0057】
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
【0058】
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2〜100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
【0059】
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
【0060】
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
【0061】
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレンおよびその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
【0062】
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなどが挙げられる。
【0063】
本発明における光配向素材中、上記一般式(1)で表されるモノマーは、該光配向素材の構成モノマー総量の50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのがさらに好ましい。
【0064】
本発明における光反応性基を有する光配向素材の質量平均分子量は1,000〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜500,000であることがより好ましく、5,000〜100,000であることがさらに好ましい。上記質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定できる。
【0065】
光反応性基を有する光配向素材が前記一般式(1)で表されるモノマー由来の繰り返し単位を有するポリマーである場合、該ポリマーの製造方法については特に限定されるものではない。例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、または、アニオン重合などの重合方法を用いることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用でき、特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤やラジカル光重合開始剤などの公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなど)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなど)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイドなど)パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレートなど)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなど)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、一種を単独で使用することもできるし、或いは二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0066】
上記ラジカル重合方法は、特に制限されるものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などを取ることができる。典型的なラジカル重合方法である溶液重合については、さらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子化学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)などに記載されている。
【0067】
上記溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機溶媒が望ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
【0068】
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で10分〜30時間加熱することが望ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも不活性ガスパージを行うことが望ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
【0069】
本発明における光反応性基を有する光配向素材を好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。上記連鎖移動剤としては、メルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノールなど)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマーなど)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され、精密な制御が必要であるが、通常は使用するモノマーの全モル数に対して0.01mol%〜50mol%程度であり、好ましくは0.05mol%〜30mol%、特に好ましくは0.08mol%〜25mol%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
【0070】
本発明に用いられる光反応性基を有する光配向素材の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる光反応性基を有する化合物は、これらに限定されるものではない。なお式中の数字は各モノマー成分の質量百分率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
【0071】
【化9】

【0072】
【化10】

【0073】
【化11】

【0074】
前記配向膜は、例えば、支持体表面に、光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有する組成物を塗布し、該塗布膜に光を照射して、前記光反応性基を有する化合物を光配向させて、液晶性化合物の配向規制力を付与することで作製することができる。光の照射方法としては塗布膜に対して単一な方向から光を照射されたものであることが好ましい。この際、照射光としてはX線、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)が用いられ、紫外線を用いることが特に好ましい。紫外線の波長は400nm以下であることが好ましく、250nm〜360nmであることがさらに好ましい。光源としては低圧水銀ランプ、高圧放電ランプ、あるいはショートアーク放電ランプが好ましく用いられる。
【0075】
光は可能な限り単一方向に揃えて膜に照射することが好ましい。この「単一方向」とは、膜平面(光の方向を膜平面に投影した向き)において単一の方向であることを意味し、膜平面に対して水平または垂直の方向も含む。本発明では、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有する光学異方性層を形成するために、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種有する配向膜を用いるのが好ましい。例えば、膜面に対して法線方向から光を照射し、且つ法線に対して±α°(0<α<90)だけ傾斜した方向から光を照射して、進相軸または遅相軸が異なる三種の領域を有する配向膜を作製することができる。光学異方性層形成用の塗布液を、形成した配向膜に塗布すると、各領域の遅相軸等の方向に対応して液晶性分子が配向し、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種有する光学異方性層を形成することができる。
さらに、例えば、後述する真贋判定方法より、進相軸または遅相軸の異なる領域が容易に識別できるよう、進相軸または遅相軸が少なくとも互いにβ°以上異なっていることが好ましい。ここで、0°<β<90°の範囲が好ましい。0°<β<45°の範囲がさらに好ましく、15°<β<45°の範囲が特に好ましい。
光照射は、非偏光照射または偏光照射のいずれであってもよい。照射量は10mJ/cm2〜30000mJ/cm2が好ましく、50mJ/cm2〜6000mJ/cm2であることがさらに好ましい。
【0076】
1−5.支持体
本発明に用いられる支持体は、例えば、本発明の光学位相差素子を透過型のセキュリティ製品として利用する場合は、透明なものが望ましく、ガラス、石英等の無機物の他、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン等の各種プラスチックを用いることができる。
【0077】
又、本発明の光学位相差素子を、反射型セキュリティ製品として利用する場合(後述)には、不透明でいいので、上記のような材料の支持体表面に金属酸化物や反射能の高い金属薄膜を被覆したもの、金属材料そのもの等を用いることができる。
【0078】
2.光学位相差素子
以下本発明の実施形態の例に係る光学位相差素子について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る光学位相差素子10の概略断面図を示す。図1に示す光学位相差素子10は、支持体11と、この支持体11上に形成された3層の光配向膜12、14、16と、これら光配向膜12、14、16により配向を制御された、液晶性化合物及び互いに異なる色相の二色性色素を含む光学異方性層13、15、17と、光学異方性層17の外側に更に積層された保護層18と、を有する。
【0079】
ここで、光学異方性層13は、イエロー色を呈する二色性色素を含み、光学異方性層15はマゼンタ色を呈する二色性色素を含み、光学異方性層17はシアン色を呈する二色性色素を含むことにより、それぞれ構成されている。
【0080】
図2(A)に、光学異方性層13の概略上面図の一例を示す。図2(A)に示す様に、光学異方性層13は、バックグランド領域13Dと、3個の円形領域13A〜13Cを有する。背景となるバックグラウンド領域13Dでは液晶および二色性色素の分子を、その下に位置する光配向膜13の配向能によって水平方向に異方的に配向させる。同様に光配向膜13の配向能によって、液晶および二色性色素の分子は、円形の領域13Aにおいては、垂直方向に、領域13Bにおいては右斜め約60°方向に、領域13Cにおいては右斜め約30°方向に、配向させる。所定の方向に配向させた液晶分子は、その配向状態に固定するのが好ましく、上記した様に、重合性液晶性化合物を用いて、重合により固定するのが好ましい。
【0081】
図2(B)に、光学異方性層15の概略上面図の一例を示す。図2(B)に示す様に、光学異方性層13の円形領域13A〜13Cと重ならない様に、3個の円形の領域15A〜15Cを設け、ここに前述の領域13A〜13Cと同様に垂直方向または斜め方向に液晶および二色性色素の分子を配向させる。残りのバックグラウンド領域15Dにおいては、平行方向に液晶および二色性色素の分子を配向させる。光学異方性層13と同様に、所定の方向に配向させた液晶分子は、その配向状態に固定するのが好ましい。
【0082】
図2(C)に、光学異方性層17の概略上面図の一例を示す。図2(C)に示す様に、光学異方性層13の3個の円形の領域13A〜13C及び光学異方性層15の3個の円形の領域15A〜15Cと重ならない様に、3個の円形の領域17A〜Cを設け、ここに前述の領域13A〜13C(及び15A〜15C)と同様に、垂直方向または斜め方向に液晶および二色性色素を配向させる。残りのバックグラウンド領域17Dにおいては、平行方向に液晶および二色性色素の分子を配向させる。光学異方性層13と同様に、所定の方向に配向させた液晶分子は、その配向状態に固定するのが好ましい。
【0083】
光学位相差素子10は、支持体11の上に、光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有する組成物を塗布して膜を形成する第1の工程と、前記膜に、前記光反応性基を有する化合物が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光の一方を照射して、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上形成して配向膜を形成する工程と、少なくとも二色性色素及び重合性液晶を含有する組成物を該配向膜に塗布する工程と、前記組成物に紫外線を照射して配向状態を固定させる工程とを、3回繰り返すことにより作製することができる。
より具体的には、前記第1の工程で形成された塗布膜に、所定の波長の偏光を照射すると、膜中に含有される光反応性基を有する化合物の分子が反応して、照射した偏光の偏光軸と平行な方向に液晶分子を配向させ得る配向能が光照射領域に発現され、配光膜となる。例えばフォトマスク等を利用して、13A〜13Dのそれぞれ対応する領域のみに、互いに異なる方向に偏光軸を有する偏光を照射すれば、遅相軸または進相軸の異なる領域13A〜13Dを有する光学異方性層13を形成することができる。同様の方法で、光学異方性層15および17を形成することができる。
【0084】
また、例えば、上記光配向素材の例示化合物であるP−1,P−2,P−3,P−13,P−17,P−19等を配向膜の作製に用いると、偏光軸が互いに直交する偏光を複数回照射された領域は、最後に照射した偏光の偏光軸方向に液晶分子を配向可能な領域となり、また偏光軸が互いに平行でも直交もしていない偏光を照射複数回照射された領域は、複数の偏光軸を平均した方向に液晶分子を配向可能な領域となる。また、上記光配向素材の例示化合物であるP−5,P−6,P−10、P11,P−16等を配向膜の作製に用いると、偏光軸が互いに異なる偏光を複数回照射された領域は、最初に照射した偏光の偏光軸方向に液晶分子を配向可能な領域となる。従って、フォトマスク等のマスキング技術に代えて及び/又はマスキング技術とともに、種々の方向の偏光を複数回照射することによって、所望の配向領域を形成することができる。
上記では、偏光を利用した具体例を示したが、斜め非偏光を利用しても同様に作製することができる。
【0085】
前記のような光学位相差素子10に対して、支持体11の側から自然光を照射すると、透過光は、偏光成分に偏りはあるものの透過光量の総和は同量であり、肉眼では前記情報記録領域13A〜C、15A〜C、17A〜Cの形状及び色彩を認識することができず、一様に灰色として観察される(図3(A)参照)。
【0086】
しかし、上記のような光学位相差素子10を、前記と同様に、支持体11の側から自然光を照射しつつ、バックグラウンド領域の配向方向に対して直交する方向に透過軸を有するように設置した偏光板を通して観察すると、透過光の偏光成分に偏りがあるため、前記情報記録領域13Aでは黄色(Y)の円形、情報記録領域13Bでは薄黄色の円形、情報記録領域13Cでは13Bよりもさらに薄い黄色の円形が確認される。前記情報記録領域15Aではマゼンダ色(M)の円形、情報記録領域15Bでは薄マゼンダの円形、情報記録領域15Cでは15Bよりもさらに薄いマゼンダの円形が確認される。前記情報記録領域17Aではシアン色(C)の円形、情報記録領域17Bでは薄いシアンの円形、情報記録領域17Cでは17Bよりもさらに薄いシアンの円形が確認される。すなわち、色調とその濃淡の異なる9個の円形を観察することができる(図3(B)参照)。
【0087】
また、前記と同様に、支持体11の側から自然光を照射しつつ、バックグラウンド領域の配向方向に対して平行の方向に透過軸を有するように設置した偏光板を通して観察すると、透過光の偏光成分に偏りがあるため、前記情報記録領域13Aでは青色(B)の円形、情報記録領域13Bでは暗い青の円形、情報記録領域13Cでは13Bよりもさらに暗い青の円形が確認される。前記情報記録領域15Aでは緑色(G)の円形、情報記録領域15Bでは暗い緑の円形、情報記録領域15Cでは15Bよりもさらに暗い緑の円形が確認される。前記情報記録領域17Aでは赤色(R)の円形、情報記録領域17Bでは暗い赤の円形、情報記録領域17Cでは17Bよりもさらに暗い赤の円形が確認される。(図3C参照)
【0088】
また、図3の情報記録領域13A〜C、15A〜C、17A〜Cの色の濃淡は、前記情報記録領域における遅相軸または進相軸と、バックグラウンド領域の遅相軸または進相軸を相互に任意の角度で変化させることにより、制御することができる。
【0089】
又、上記のような光学位相差素子10では、偏光板を横方向と縦方向においた場合、バックグラウンド領域の色は、黒(横方向)と白(縦方向)に変わるが、前記光配向素材が光化学反応を起こす波長の直線偏光を全面に照射する工程を省略し、無配向状態にすることによって、偏光板の向きを変えても色が変わらないようにすることができる。このときのバックグラウンド領域の色は灰色になる。
【0090】
又、情報記録領域とバックグラウンド領域とは相対的なものであり、必ずしもパターン内を情報記録領域としなくても、例えば前記円形パターン領域の外側部分を情報記録領域、円形パターン内をバックグラウンド領域としてもよい。
【0091】
上記実施の形態の例における二色性色素を含む光学異方性層13、15、17は、色材としての色はイエロー、マゼンタ、シアンであるが、前記二色性色素を含む光学異方性層13、15、17は、前記の二色性色素の組み合わせに限定されるものでなく、各々の分光特性が異なるようにして、異なる色が観察されるようにしてもよい。
【0092】
又、上記実施の形態の例における光学位相差素子は、いずれも透過型であって、支持体11側から自然光を照射するものであるが、これは、例えば図4に示される本発明の実施形態の第2例に係るセキュリティ製品10Aのように、反射型としてもよい。
【0093】
このセキュリティ製品10Aは、図1に示されるセキュリティ製品10における支持体11の光配向膜12側に、金属薄膜等からなる反射層20を形成したものであり、他の構成は、図1に示されるセキュリティ製品10におけると同一であるので、同一部分に同一符号を付することにより説明を省略するものとする。
【0094】
なお、上記セキュリティ製品10、10Aに、図1及び図4に示されるように、予め支持体11の裏面(下面)に接着剤層19を設けておくことで、IDカード等の物品に貼付け固定することが容易にすることができる。
【0095】
又、図5に示されるセキュリティ製品10Bのように、支持体11のすぐ上に剥離層21と保護層18A、更に、上記セキュリティ製品10、10Aにおける保護層18の代わりにヒートシール層22を設けて転写箔化しておけば、IDカード等の物品に熱転写して固定化するのに容易である。更に、図6に示されるセキュリティ製品10Cのように、前記セキュリティ製品10Bと同様の構成において、最も外側のヒートシール22の内側に隣接して、前記反射層20と同様の反射層20Aを設けて反射型としてもよい。
【0096】
なお、上記の実施の形態の例に係るセキュリティ製品10、10A、10B、10Cは、支持体11の上に形成された3層の配向膜12、14、16と、二色性色素を含む光学異方性層13、15、17と、保護層18、18Aと、接着剤層19と、反射層20、20Aと、剥離層21と、ヒートシール層22と、を備えて構成されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、セキュリティ製品として利用する場合は、配向膜と二色性色素を含む光学異方性層は2組以上であればよく、又、紫外線照射により硬化した二色性色素を含む光学異方性層の耐久性が十分であれば、保護層18、18Aは必ずしも設けなくても良い。
【0097】
本発明のセキュリティ製品を利用した真贋判定方法について、詳細に説明する。
本発明のセキュリティ製品は、前記光学位相差素子からなる。即ち、支持体上に形成された光学異方性層は、遅相軸又は進相軸が互いに異なる領域を少なくとも3つ有する、即ち、前記光学異方性層はそれぞれ異なる偏光情報が記録された3つ以上の領域を有する。人間の目は透過または反射してきた光の総量で明るさや色を認識しているが、その光が自然光であるか偏光であるかは認識できない。本発明のセキュリティ製品を、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射することによって、潜在として記録された偏光情報が認識される。
【0098】
より具体的に説明する。
本発明のセキュリティ製品の全面を透過あるいは反射してきた光の総量は等しいが、セキュリティ製品が含む光学異方性層は、遅相軸又は進相軸が互いに異なる領域を三種以上有するので、ある領域を透過又は反射した光は垂直方向の偏光成分が多く、また他の領域を透過又は反射した光は水平方向の偏光成分が多いなど偏光情報が記録されている。従って、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射することによって、ある方向の直線偏光のみを人間の目に届かせることができる。即ち、潜像として記録されていた偏光情報を認識することが可能となる。これらの情報は、複写機によるコピー等では複写できないので、例えば、金券、有価証券、権利証書、証明書類、チケットまたはカードなどにこの原理を利用したセキュリティ製品を貼付しておけば、偏光板を通しての観察や直線偏光照射によって容易に真贋判定が可能となる。
【0099】
また、前述のように、接着剤層21を設けてラベル化したセキュリティ製品や、剥離層21及びヒートシール層22を設けて転写箔化したセキュリティ製品を、コンピュータソフトやビデオソフト、音楽CD等に張り付ければ模造品でないことの証明として利用することも可能である。
【実施例】
【0100】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0101】
(実施例1)
光配向素材である例示化合物P−10のTHF溶液(1wt%)を、ガラス(支持体)上にスピンコーターで塗布し、室温で乾燥後、厚さ0.1μmの乾燥塗膜を得た。これに、200mW/cmの高圧水銀灯を用いて、紫外線用偏光フィルタを通して直線偏光を取り出し、フォトマスクを介して図7(A)に示される円形の情報記録領域30Aに、縦方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。同様に右斜め60°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射してなる情報記録領域30B、及び、右斜め30°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射してなる情報記録領域30Cを形成した。最後に、バックグラウンド領域30Dに、横方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。
【0102】
光配向素材P−10は、偏光紫外線照射により異性化反応と二量化反応を起こし、照射した紫外線の偏光軸と平行な方向に液晶の配向能を生じる。偏光を二重に照射した場合、その配向方向は最初に照射した偏光の偏光軸によって決定される。即ち、上記の偏光紫外線照射条件では、図7(A)に示される円形の情報記録領域30Aでは縦方向に、情報記録領域30Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域30Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域30Dでは横方向に配向能を有する光配向膜を得た。
【0103】
重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、イエロー色を呈する二色性色素SI−486(三井東圧化学社製を2wt%溶解し、前記光配向膜表面にスピンコーターで塗布した後液晶を配向させ、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第1層目)。
【0104】
第1層目と同様に、光配向膜を塗布し、図7(B)に示される円形の情報記録領域31Aに、縦方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。同様に右斜め60°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射してなる情報記録領域31B、及び、右斜め30°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射してなる情報記録領域31Cを形成した。このとき、情報記録領域31Aは縦方向に、情報記録領域31Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域31Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域31Dでは横方向に配向能を有する光配向膜が得られた。
【0105】
重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、マゼンタ色を呈する二色性色素M−86(三井東圧化学社製)を2wt%溶解し、前記光配向膜表面にスピンコーターで塗布した後、液晶と二色性色素を配向させ、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第2層目)。
【0106】
第一層目、第二層目と同様に、光配向膜を塗布し、偏光照射することにより図9(C)に示される、情報記録領域32Aは縦方向に、情報記録領域32Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域32Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域32Dでは横方向に配向能を有する光配向膜を得た。そして、重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、)シアン色を呈する二色性色素SI−497(三井東圧化学社製)を2wt%溶解し、前記光配向膜表面にスピンコーターで塗布した後、液晶と二色性色素を配向させ、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第3層目)。
【0107】
こうして得られた光学位相差素子は、自然光の下では図8(A)のように灰色を呈していた。しかし、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射して観察した場合、偏光板の透過軸又は照射直線偏光の偏光軸がバックグラウンド領域30D、31D、32Dの配向方向に対して直交方向のとき、図8(B)に示されるように、前記情報記録領域30Aでは黄色(Y)の円形、情報記録領域30Bでは薄黄色の円形、情報記録領域30Cでは30Bよりもさらに薄い黄色の円形が確認された。前記情報記録領域31Aではマゼンダ色(M)の円形、情報記録領域31Bでは薄マゼンダの円形、情報記録領域31Cでは31Bよりもさらに薄いマゼンダの円形が確認された。前記情報記録領域32Aではシアン色(C)の円形、情報記録領域32Bでは薄いシアンの円形、情報記録領域32Cでは32Bよりもさらに薄いシアンの円形が確認された。すなわち、色調とその濃淡の異なる9個の円形を観察することができた(図8B参照)。
【0108】
また、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射して観察した場合において、偏光板の透過軸又は照射する直線偏光の偏光軸がバックグラウンド領域30D、31D、32Dの配向方向に対して平行方向になるようにして観察した場合、前記情報記録領域30Aでは青色(B)の円形、情報記録領域30Bでは暗青の円形、情報記録領域30Cでは30Bよりもさらに暗い青の円形が確認された。前記情報記録領域31Aでは緑色(G)の円形、情報記録領域31Bでは暗緑の円形、情報記録領域31Cでは31Bよりもさらに暗い緑の円形が確認された。前記情報記録領域32Aでは赤色(R)の円形、情報記録領域32Bでは暗赤の円形、情報記録領域32Cでは32Bよりもさらに暗い赤の円形が確認された(図8C参照)。
【0109】
(実施例2)
光配向素材である例示化合物P−2のTHF溶液(1wt%)をガラス(支持体)上にスピンコーターで塗布し、室温で乾燥後、厚さ0.1μmの乾燥塗膜を得た。これに、200mW/cmの高圧水銀灯を用いて、紫外線用偏光フィルタを通して直線偏光を取り出し、図9(A)に示される領域40A〜Dすべてに、縦方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。さらに、正方形の情報記録領域40Aおよび40Bに、フォトマスクを通して、横方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。同様に正方形の情報記録領域40Bおよび40Cにフォトマスクを通して左斜め60°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。
【0110】
光配向素材P−2は、偏光紫外線照射により異性化反応と二量化反応を起こし、照射した紫外線の偏光軸と直交する方向に液晶の配向能を生じる。偏光を二重に照射し、その偏光軸が互いに直交する場合、その配向方向は最後に照射した偏光の偏光軸によって決定される。また、偏光を二重に照射し、その偏光軸が互いに直交しない場合、その配向方向は照射した偏光軸の中間の方向となる。上記の偏光紫外線照射条件では、図9(A)に示される正方形の情報記録領域40Aでは縦方向に、情報記録領域40Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域40Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域40Dでは横方向に配向能を有する光配向膜が得られた。すなわち、三回の偏光照射により、進相軸または遅相軸が異なる四種類の領域を形成することができた。
【0111】
重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、イエロー色を呈する二色性色素SI−486(三井東圧化学社製)を2wt%溶解し、前記光配向処理したガラス基板にスピンコーターで塗布した後液晶を配向させ、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第1層目)。
【0112】
第1層目と同様に、光配向膜を塗布し、図9(B)に示される領域41A〜Dすべてに、縦方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。さらに、正方形の情報記録領域41Aおよび41Bに、フォトマスクを通して、横方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。同様に正方形の情報記録領域41Bおよび41Cにフォトマスクを通して左斜め60°方向の偏光軸を有する偏光紫外線を照射した。これにより、図9(B)に示される正方形の情報記録領域41Aでは縦方向に、情報記録領域41Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域41Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域41Dでは横方向に配向能を有する光配向膜が得られた。
【0113】
重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、マゼンタ色を呈する二色性色素M−86(三井東圧化学社製)を2wt%溶解し、前記光配向処理したガラス基板にスピンコーターで塗布した後、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第2層目)。
【0114】
第一層目、第二層目と同様に、光配向膜を塗布し、偏光照射することにより図9(C)に示される正方形の情報記録領域42Aでは縦方向に、情報記録領域42Bでは右斜め60°方向に、情報記録領域42Cでは右斜め30°方向に、バックグラウンド領域42Dでは横方向に配向能を有する光配向膜が得られた。そして、重合性液晶UCL−001−K1(大日本インキ化学工業社製)に、シアン色を呈する二色性色素SI−497(三井東圧化学社製)を2wt%溶解し、前記光配向処理したガラス基板にスピンコーターで塗布した後、無偏光紫外線を照射することにより硬化させた(第3層目)。
【0115】
こうして得られた光学位相差素子は、自然光の下では図10(A)のように灰色を呈していた。しかし、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射して観察した場合、偏光板の透過軸又は照射直線偏光の偏光軸がバックグラウンド領域40D、41D、42Dの配向方向に対して直交方向のとき、図10(B)に示されるように、前記情報記録領域40Aでは黄色(Y)の正方形、情報記録領域40Bでは薄黄色の正方形、情報記録領域40Cでは40Bよりもさらに薄い黄色の正方形が確認された。前記情報記録領域41Aではマゼンダ色(M)の正方形、情報記録領域41Bでは薄マゼンダの正方形、情報記録領域41Cでは41Bよりもさらに薄いマゼンダの正方形が確認された。前記情報記録領域42Aではシアン色(C)の正方形、情報記録領域42Bでは薄いシアンの正方形、情報記録領域42Cでは42Bよりもさらに薄いシアンの正方形が確認された。すなわち、色調とその濃淡の異なる9個の円形を観察することができた(図10B参照)。
【0116】
また、偏光板を通して観察するか、直線偏光を照射して観察した場合であって、偏光板の透過軸又は照射直線偏光の偏光軸がバックグラウンド領域40D、41D、42Dの配向方向に対して平行方向になるようにして観察した場合、前記情報記録領域40Aでは青色(B)の正方形、情報記録領域40Bでは暗青の正方形、情報記録領域40Cでは40Bよりもさらに暗い青の正方形が確認された。前記情報記録領域41Aでは緑色(G)の正方形、情報記録領域41Bでは暗緑の正方形、情報記録領域41Cでは41Bよりもさらに暗い緑の正方形が確認された。前記情報記録領域42Aでは赤色(R)の正方形、情報記録領域42Bでは暗赤の正方形、情報記録領域42Cでは42Bよりもさらに暗い赤の正方形が確認された(図10C参照)。
【0117】
実施例1および実施例2で作製した光学位相差素子をカラーコピー機で複写した。肉眼での観察では、ほとんど違いは見られないが、偏光板を通して観察しても直線偏光を照射しても、カラーコピーで複写したものには実施例1および実施例2で示した光学位相差素子が有する記録したパターンは浮かび上がって見えなかった。このことから、本発明の光学位相差素子の偽造や変換、複製の防止効果は高いことが示された。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の光学位相差素子の一実施形態の概略断面図である。
【図2】図1の実施形態が有する光学異方性層の一例の概略上面図である。
【図3】図1の実施形態に偏光を照射したときのカラー画像を示す平面図である。
【図4】本発明の光学位相差素子の他の実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明の光学位相差素子の他の実施形態の概略断面図である。
【図6】本発明の光学位相差素子の他の実施形態の概略断面図である。
【図7】実施例1で作製したセキュリティ製品における偏光情報を記録した光学異方性層の概略上面図である。
【図8】実施例1で作製したセキュリティ製品に自然光及び偏光を照射したときのカラー画像を示す平面図である。
【図9】実施例2で作製したセキュリティ製品における偏光情報を記録した光学異方性層の概略上面図である。
【図10】実施例2で作製したセキュリティ製品に自然光及び偏光を照射したときのカラー画像を示す平面図である。
【符号の説明】
【0119】
10、10A、10B、10C…光学位相差素子(セキュリティ製品)
11…支持体
12、14、16…配向膜
13、15、17、30、31、32、40、41、42…光学異方性層
13A〜C、15A〜C、17A〜C、30A〜C、31A〜C、32A〜C、40A〜C、41A〜C、42A〜C…情報記録領域
13D、15D、17D、30D、31D、32D、40D、41D、42D…バックグラウンド領域
18、18A…保護層
19…接着剤層
20、20A…反射層
21…剥離層
22…ヒートシール層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に配向膜と光学異方性層とを有する光学位相差素子であって、該配向膜が光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有し、且つ該光学異方性層が進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種以上有する光学位相差素子。
【請求項2】
前記光反応性基が、アゾベンゼン誘導体又は桂皮酸誘導体の残基である請求項1に記載の光学位相差素子。
【請求項3】
前記光学異方性層が、少なくとも一種の液晶性化合物を含有する組成物から形成された層である請求項1または2に記載の光学位相差素子。
【請求項4】
前記組成物が、少なくとも一種の二色性色素を含有する請求項3に記載の光学位相差素子。
【請求項5】
前記液晶性化合物が、重合性基を有する請求項3または4に記載の光学位相差素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学位相差素子を含むセキュリティ製品。
【請求項7】
前記光学位相差素子が有する支持体の裏面に接着剤層を有し、貼付可能である請求項6に記載のセキュリティ製品。
【請求項8】
前記光学位相差素子が有する支持体の表面上に剥離層、及び最表面にヒートシール層が設けられ、前記光学異方性層が転写可能である請求項6に記載のセキュリティ製品。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のセキュリティ製品を表面の一部に有するセキュリティ製品付き物品。
【請求項10】
支持体の上に光反応性基を有する化合物の少なくとも一種を含有する組成物を塗布して膜を形成する第1の工程と、前記光反応性基を有する化合物が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光を前記膜に照射して、進相軸または遅相軸が異なる領域を少なくとも三種有する配向膜を形成する第2の工程と、少なくとも一種の二色性色素と少なくとも一種の重合性液晶とを含有する組成物を該配向膜の表面に塗布する第3の工程と、前記配向膜上に塗布された前記組成物に紫外線を照射して、前記重合性液晶及び二色性色素の分子の配向を固定させる第4の工程とを含む光学位相差素子の製造方法。
【請求項11】
前記第2の工程において、前記配向膜が光化学反応を起こす波長の直線偏光又は斜め非偏光をn回照射して、進相軸または遅相軸が異なる領域を、少なくとも(n+1)(ただし、nは3以上の整数である)種以上形成する請求項10に記載の光学位相差素子の製造方法。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のセキュリティ製品の前記情報記録領域に記録された情報を、偏光照射または偏光板を用いて観察して、真正品か否かを判別することを特徴とする真贋判定方法。
【請求項13】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のセキュリティ製品に直線偏光を照射するか、または偏光板を用いて観察して、その反射光から前記情報記録領域に記録された情報を観察して、真正品か否かを判別することを特徴とする真贋判定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−25202(P2007−25202A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206653(P2005−206653)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】