説明

光学式センサ汚損防止装置

【課題】汚れ防止のために光学式センサの前方に発生させるガスの流量を、汚損物サイズに応じて変化させることが可能な光学式センサ汚損防止装置を提供すること。
【解決手段】光学式センサ10の前方にガス流Sを発生させるガス流発生手段30を備える構成とし、光学式センサ10の前方を飛来する汚損物Pの大きさを検出する汚損物サイズ検出手段10を設ける。検出された汚損物Pの大きさに応じて、ガス流発生手段30によるガス流Sの流量を変化させるガス量調節手段20,30を備える構成とする。そして、汚損物Pのサイズが大きい場合に、ガス流Sの流量を増加することで、汚損物Pが光学式センサ10に付着することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式センサの受光面に汚損物が付着することを防止する光学式センサ汚損防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両などでは、進行方向の前方に存在する物体を検出するためレーダ装置を搭載しているものが知られている。下記特許文献1に記載の車両用物体検知手段の水滴付着抑制装置は、物体検知手段である光学式センサの検知部の前方側に流れる空気流を形成し、光学式センサへの雨滴の付着を防止している。これにより、光学式センサの雨滴による汚損を防止することで、検出精度が低下することを予防している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74299号公報
【特許文献2】実開昭62−112960号公報
【特許文献3】特開2008−1326号公報
【特許文献4】特開2008−288720号公報
【特許文献5】特開2001−142139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、光学式センサに向かって飛来する汚損物のサイズを考慮していないため、例えば、汚損物のサイズが大きい場合に、光学式センサの汚れを防止するために流すガスの流量が不足してしまい、汚損物の付着を防止することができないおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、光学式センサの前方に発生させるガス流の流量を、汚損物のサイズに応じて変化させることが可能な光学式センサの汚損防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学式センサへの汚損物の付着を防止する光学式センサ汚損防止装置において、光学式センサの前方にガス流を発生させるガス流発生手段と、光学式センサの前方を飛来する汚損物の大きさを検出する汚損物サイズ検出手段と、当該汚損物サイズ検出手段によって検出された汚損物の大きさに応じて、ガス流発生手段によるガス流の流量を変化させるガス量調節手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
このような光学式センサ汚損防止装置は、汚損物サイズ検出手段によって汚損物の大きさを検出し、検出された汚損物の大きさに応じて、ガス流発生手段によるガス流量を変化させることができる。これにより、光学式センサに向かって飛来する汚損物のサイズに応じて、ガス流量を変化させることで、汚損物の流れ方向を変更し、汚損物が光学式センサの受光部に付着することが防止できる。その結果、汚損物が付着することで発生する検出精度の低下を防止することができ、光学式センサの性能を維持することができる。汚損物サイズが大きい場合にガス量を増加させることで、充分なガス量を確保し、確実に汚損物を除去することができる。
【0008】
ここで、ガス量調節手段は、汚損物のサイズが大きい場合に、汚損物のサイズが小さい場合と比較して、ガス流の流量を増加させることが好適である。このように、サイズの大きい汚損物が光学式センサへ飛来しても、ガス流を強めることで、光学式センサを避けるように汚損物の流れ方向を変化させ、汚損物Pの付着を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学式センサ汚損防止装置によれば、光学式センサへ飛来する汚損物のサイズを検出し、汚損物のサイズに応じてガス量を変化させることができるので、ガス量の不足を防止して、光学式センサへの汚損物の付着を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。
【図2】図1の光学式センサ汚損防止装置における処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。
【図4】図3の光学式センサ汚損防止装置における処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。
【図6】図5の光学式センサ汚損防止装置における処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。
【図8】図7の光学式センサ汚損防止装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。光学式センサ汚損防止装置10は、例えば、車両に搭載された光学式センサ10の汚損を防止するものである。光学式センサ10としては、自車両周辺の環境情報を取得するためのカメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダなどが挙げられる。自車両周辺の環境情報を取得するカメラは、例えば、自車両の前面に設けられ、自車両前方の対象物(他車両、歩行者など)を検出する。また、光学式センサ10の前面側には、汚損物Pの光学式センサ10への付着を防止するためガード11が設けられている。ガード11は、例えば、光を透過する透明板によって構成することができる。
【0013】
本実施形態の光学式センサ汚損防止装置1は、光学式センサ10から出力された信号を入力するコントローラ20と、光学式センサ10の前方に空気流を発生させるエアー噴出機構30とを備えている。コントローラ20は、光学式センサ10およびエアー噴出機構30と電気的に接続されている。
【0014】
コントローラ20は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROMおよびRAM、入力信号回路、出力通信回路、電源回路などにより構成されている。コントローラ20は、光学式センサ10から出力された信号を入力して、対象物の大きさ、位置など対象物に関する情報を演算する。コントローラ20は、例えばCAN(Controll Area Network)等の通信回路で接続されることにより、車両制御を司る他のECU(電子制御ユニット)と相互にデータ交換が可能な構成とされている。光学式センサ10によって検出された対象物に関する情報は、他のECUへ出力されて車両制御に利用される。
【0015】
エアー噴出機構30は、空気を昇圧するためのエアーポンプ31、噴出される空気流の流量を制御する流量制御弁32、および空気流を噴出させるノズル33A,Bを有する。これらのエアーポンプ31、流量制御弁32、およびノズル33A,Bは、配管によって接続されている。エアー噴出機構30は、光学式センサ10の前面側に空気流を形成し、光学式センサ10へ飛来する汚損物Pの付着を防止するためのものである。汚損物Pとしては、ちり、埃、雨滴、泥、などがある。汚損物Pは、光学式センサ10に付着して、センサの性能低下を引き起こす可能性があるものである。エアー噴出機構30は、光学式センサ10の前方に空気流を発生させる本発明のガス流発生手段に相当する。
【0016】
エアー噴出機構30は、第1ノズル33Aおよび第2ノズル33Bを備えている。第1ノズル33Aは、光学式センサ10の受光部の直前で、光学式センサ10に向かって接近する汚損物Pの進行方向に対して直交する空気流Sを形成する。第2ノズル33Bは、光学式センサ10に向かって接近する汚損物Pの進行方向に対して傾斜する空気流Sを形成する。
【0017】
ここで、本実施形態の光学式センサ汚損防止装置1は、汚損物Pの大きさを検出し、検出された汚損物Pの大きさに応じて空気流S,Sの流量Q,Qを変更可能な構成とされている。光学式センサ汚損防止装置1は、光学式センサ10によって汚損物Pの大きさを検出し、コントローラ20が汚損物Pの大きさに応じて、流量制御弁32を制御し、ノズル33A,Bから噴出される空気流S,Sの流量Q,Qを変化させる。光学式センサ10は、光学式センサ10の前方を飛来する汚損物Pの大きさ検出する本発明の汚損物サイズ検出手段として機能する。コントローラ20および流量制御弁32は、汚損物Pの大きさに応じて、ガス流の流量を変化させるガス量調節手段として機能する。
【0018】
コントローラ20では、光学式センサ10からの信号に基づいて汚損物Pの大きさを算出する。例えば、コントローラ20は、正面視における対象物Pの面積を演算する。コントローラ20は、流量制御弁32に指令信号を送信して、流量制御弁32のバルブ開度を調整する。汚損物Pが大きい場合には、汚損物Pが小さい場合と比較して、空気流S,Sの流量Q,Qを増加させる。流量制御弁32は、ノズル33A,Bに対してそれぞれ設けられていてもよく、ノズル33A,Bの両方に共通のものであってもよい。ノズル33A,Bによる空気流のうち一方のみの流量を変化させてもよく、両方の流量を変化させてもよい。
【0019】
次に、図2のフローチャートを参照して、光学式センサ汚損防止装置1における動作について説明する。ここでは、第2ノズル33Bによって形成される空気流Sの流量Qのみを制御する場合について説明する。まず、コントローラ20は、光学式センサ10から出力された信号を入力する(ステップS1)。次に、コントローラ20は、光学式センサ10から出力された信号に基づいて、光学式センサ10へ向かって飛来する汚損物Pの大きさを算出する(ステップS2)。
【0020】
続いて、コントローラ20は、記憶部に記憶されたデータを参照して空気流Sの流量制御量を決定する(ステップS3)。コントローラ20は、汚損物Pの大きさに比例して空気流Sの流量を増加させるように制御量を決定する。なお、汚損物Pの大きさと空気流の流量とが正比例していない場合でもよい。
【0021】
次に、コントローラ20は、流量制御弁23に指令信号を送信し、決定された流量となるように弁開度を制御する。ここでは、第1ノズル33Aによる空気流Sの流量Qを一定とし、第2ノズル33Bによる空気流Sの流量Qを変更する。第2ノズル33Bから噴出する空気流Sを強くすることで、汚損物Pを吹き飛ばし、汚損物Pによる光学式センサ10の汚損を防止する。
【0022】
このような光学式センサ汚損防止装置1によれば、光学式センサ10によって汚損物Pの大きさを検出し、検出された汚損物Pの大きさに応じて、エアー噴出機構30による空気流Sの流量Qを変化させることができる。これにより、光学式センサ10に向かって飛来する汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを調整することで、汚損物Pの進行方向を変更し、汚損物Pが光学式センサ10の受光部(ガード11)に付着することが防止される。その結果、光学式センサ10の汚損を予防し、光学式センサ10の検出精度の低下を防止することができ、光学式センサ10の性能を維持することができる。汚損物Pのサイズが大きい場合にガス流(エアカーテン)の流量を増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。
【0023】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。図3に示す第2実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置1Bが、第1実施形態の光学式センサ汚損防止装置1と違う点は、ワイパの作動状態を検出するワイパ作動検出器41、および自車両の車速を検出する車輪速センサ42を備えている点である。これらのワイパ作動検出器41および車輪速センサ42は、コントローラ20に電気的に接続されている。
【0024】
光学式センサ汚損防止装置1Bは、ワイパの作動状況、および自車速を検出し、ワイパの作動状況および自車速に応じて空気流の流量を変更可能な構成とされている。光学式センサ汚損防止装置1Bは、汚損物Pの大きさに応じて、第2ノズル33Bから噴出される空気流Sの流量Qを変化させると共に、ワイパの作動状態および自車速に応じて、第1ノズル33Aから噴出される空気流Sの流量Qを変化させる。
【0025】
ワイパ作動検出器41は、ワイパスイッチのON/OFF信号を検知し、ワイパの作動状況を示すワイパ信号をコントローラ20に送信する。コントローラ20では、ワイパ作動検出器41から出力されたワイパ信号に基づいて、ワイパが作動しているか否かを判定する。一般的に、雨が降っている場合には、雨滴、泥などの汚損物Pによって、光学式センサ10が汚損しやすくなる傾向にある。コントローラ20は、ワイパが作動している場合には、光学式センサ10が汚損しやすいと判定し、空気流Sの流量Qを増加するように制御する。一方、ワイパが作動していない場合には、光学式センサ10が汚損しにくいと判定し、空気流Sの流量Qを減少させるように制御する。なお、ワイパ作動検出器41からの信号に代えて、雨滴を感知する雨滴感知センサからの信号を受信し、光学式センサ10が汚損しやすい状態であるか否かを判定し、空気流の流量を制御してもよい。また、雨滴感知センサからの信号に基づいて、雨量を推定し、雨の激しさの程度に応じて、空気流の流量を変更する構成としてもよい。
【0026】
車輪速センサ42は、自車速を検知し、自車速を示す車速信号をコントローラ20に送信する。コントローラ20では、車輪速センサ42から出力された車速信号に基づいて、自車速を判定する。一般的に、高速で走行する場合には、飛来する汚損物Pによって、光学式センサ10が汚損しやすくなる傾向にある。コントローラ20は、自車速が速い場合には、自車速が遅い場合と比較して、空気流Sの流量Qを増加するように制御する。
【0027】
次に、光学式センサ汚損防止装置1Bにおける動作について説明する。まず、コントローラ20は、第1実施形態の光学式センサ汚損防止装置1と同様に、図2に示す処理を行い汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを制御する。
【0028】
また、光学式センサ汚損防止装置1Bでは、図4に示す処理を行う。コントローラ20は、車輪速センサ42から出力された車速信号を入力する(ステップS11)。続いて、コントローラ20は、記憶部に記憶されたデータを参照して空気流Sの流量制御量を決定する(ステップS12)。コントローラ20は、自車速に比例して空気流Sの流量Qを増加させるように制御量を決定する。なお、自車速と空気流の流量とが正比例していない場合でもよい。
【0029】
次に、コントローラ20は、ワイパ作動検知器41から出力されたワイパ信号を入力する(ステップS13)。続いて、コントローラ20は、ワイパ作動検知器41から出力されたワイパ信号に基づいて、ワイパが作動しているか否かを判定する(ステップS14)。コントローラ20は、ワイパ信号がONである場合には、ワイパが作動していると判定し、ステップS15に進む。一方、コントローラ20は、ワイパ信号がOFFである場合には、ワイパが作動していないと判定し、ステップS16に進む。
【0030】
ステップS15では、コントローラ20は、空気流Sの制御量を補正するための補正係数Kに、「補正係数K=K」を設定し、ステップS17に進む。ステップS16では、コントローラ20は、補正係数Kに、「補正係数K=K」を設定し、ステップS17に進む。なお、補正係数Kは、例えば、K>Kと設定されている。すわなち、ワイパが作動状態である場合には、空気流Sの流量Qが増加するように補正され、ワイパが作動状態ではない場合には、空気流Sの流量Qが減少するように補正される。
【0031】
ステップS17では、コントローラ20は、制御目標となる流量Q(=QA1×K)を演算する。次に、コントローラ20は、流量制御弁23に指令信号を送信し、決定された流量Qとなるように弁開度を制御し、第1ノズル33Aによる空気流Sの流量Qを変更する。
【0032】
このような光学式センサ汚損防止装置1Bによれば、光学式センサ10によって汚損物Pの大きさを検出し、検出された汚損物Pの大きさに応じて、第2ノズル33Bから噴出される空気流Sの流量Qを変更することができる。これにより、光学式センサ10に向かって飛来する汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを変化させることで、汚損物Pの進行方向を変更し、汚損物Pが光学式センサ10の受光部に付着することが防止される。その結果、光学式センサ10の汚損を予防し、光学式センサ10の検出精度の低下を防止することができ、光学式センサ10の性能を維持することができる。汚損物Pのサイズが大きい場合にガス流の流量を増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。
【0033】
また、光学式センサ汚損防止装置1Bによれば、車輪速センサ42によって自車速を検出し、検出された自車速に応じて、第1ノズル33Aから噴出される空気流Sの流量Qを変更することができる。これにより、自車速が速い場合に、遅い場合と比較して、空気流Sの流量Qを増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。また、自車速が遅い場合に、速い場合と比較して、空気流Sの流量Qを減少させることで、汚損防止効果を維持しつつ、省エネ(燃費改善)、騒音低減効果との両立を図ることができる。
【0034】
また、光学式センサ汚損防止装置1Bによれば、ワイパ作動検知器41によってワイパの作動状態を検出し、ワイパの作動状態に応じて、第2ノズル33Bから噴出される空気流SAの流量Qを変更することができる。これにより、ワイパが作動している場合に、空気流SAの流量Qを増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。また、ワイパが作動していない場合に、空気流SAの流量Qを減少させることで、汚損防止効果を維持しつつ、省エネ(燃費改善)、騒音低減効果との両立を図ることができる。
【0035】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。図5に示す第3実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置1Cが、第1実施形態の光学式センサ汚損防止装置1と違う点は、ウォッシャー機構50を備えている点、エアー噴出機構30が第2ノズル33Bを備えていない点である。
【0036】
光学式センサ汚損防止装置1Cのエアー噴出機構30は、汚損物Pの大きさに応じて、第1ノズル33Aから噴出される空気流Sの流量Qを変更可能な構成とされている。
【0037】
ここで、本実施形態の光学式センサ汚損防止装置1Cは、イグニッションスイッチを作動させた際に、起動状態における光学式センサ10からの入力値に応じて、ウォッシャー機構50のON/OFFを設定可能な構成とされている。
【0038】
ウォッシャー機構50は、洗浄液を供給するウォッシャーポンプ51、および洗浄液を噴射するウォッシャーノズル52を備えている。ウォッシャーポンプ51は、コントローラ20から出力された指令信号に従って作動し、洗浄液をウォッシャーノズル52へ供給する。ウォッシャーノズル52は、光学式センサ10の前面側に設けられ、ガード11に洗浄液を噴射することで、ガード11に付着している汚れを除去する。
【0039】
また、コントローラ20は、イグニッションスイッチ43と電気的に接続されている。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43のOFF状態からON状態への切り替えを示すイグニッション信号(以下、「IG」信号という。)を受信する。コントローラ20では、受信したIG信号に基づいて、イグニッションスイッチ43のOFF状態からON状態への切り替えを検知する。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43がON状態へ切り替えられた際に、光学式センサ10からの入力値Gを記憶部に記憶する。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43がON状態へ切り替えられた際に、前回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gと、今回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gとを比較し、入力値の減衰量G(=G−G)を算出する。コントローラ20では、算出された減衰量Gに基づいて、ウォッシャー機構50の作動の有無を制御する。
【0040】
次に、図6のフローチャートを参照して、光学式センサ汚損防止装置1Cにおける動作について説明する。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43から出力された信号を入力し(ステップS21)、イグニッションスイッチ43のOFF状態からON状態への切り替えを示すIG信号を受信したか否かを判定する。イグニッションスイッチ43がOFF状態からON状態へ切り替えられたと判定された場合には、ステップS23に進み、イグニッションスイッチ43がOFF状態からON状態へ切り替えられたと判定されなかった場合には、ステップS24に進む。
【0041】
ステップS23では、コントローラ20は、記憶部に記憶されている前回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gを読み込み、ステップS25に進む。ステップS24では、コントローラ20は、今回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gを記憶部へ格納し、ステップS25に進む。
【0042】
ステップS25では、コントローラ20は、光学式センサ10から出力された信号の減衰値G(=G−G)を算出する。
【0043】
続くステップS26では、コントローラ20は、減衰値Gが所定の判定基準値Gより大きいか否かを判定する。減衰値Gが判定基準値Gより大きいと判定された場合には、ステップS27に進み、減衰値Gが判定基準値Gより大きいと判定されなかった場合には、ステップS28に進む。
【0044】
ステップS27では、コントローラ20は、ウォッシャー機構50の作動をON状態とする。コントローラ20は、指令信号を送信し、ウォッシャーポンプ51を駆動させて、光学式センサ10のガード11に付着している汚れの除去を行い、ステップS28に進む。
【0045】
ステップS28では、エアー噴出機構駆動制御を実行する。コントローラ20は、図2に示す処理と同様の処理を行い、汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを制御する。
【0046】
このような光学式センサ汚損防止装置1Cによれば、光学式センサ10によって汚損物Pの大きさを検出し、検出された汚損物Pの大きさに応じて、第1ノズル33Aから噴出される空気流Sの流量Qを変更することができる。これにより、光学式センサ10に向かって飛来する汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを変化させることで、汚損物Pの進行方向を変更し、汚損物Pが光学式センサ10の受光部に付着することが防止される。その結果、光学式センサ10の汚損を予防し、光学式センサ10の検出精度の低下を防止することができ、光学式センサ10の性能を維持することができる。汚損物Pのサイズが大きい場合にガス流の流量を増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。
【0047】
また、光学式センサ汚損防止装置1Cによれば、光学式センサ10からの入力値の減衰値Gに応じて、ウォッシャー機構50の作動の有無を決定することができる。これにより、例えば、車両の停止中に光学式センサ10が汚れてしまった場合に、ウォッシャー機構50を作動して洗浄を実施することで、光学式センサ10の性能を回復することができる。また、入力値の減衰が認められない場合には、ウォッシャー機構50による洗浄を実施しないことで、洗浄液の使用量を削減することができ、洗浄液の補充のための作業頻度を低減することができる。したがって、汚損防止効果を維持しつつ、メンテナンス作業の煩わしさを低減することができる。ウォッシャー機構50の作動回数の適正化を図ることで、燃費を改善することができる。
【0048】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置の概略構成図である。図7に示す第4実施形態に係る光学式センサ汚損防止装置1Dが、第1実施形態の光学式センサ汚損防止装置1と違う点は、ガード回動機構61、およびガードクリーナ62を備えている点である。ガード回動機構61は、コントローラ20に電気的に接続されている。
【0049】
光学式センサ汚損防止装置1Dのエアー噴出機構30は、汚損物Pの大きさに応じて、第2ノズル33Bから噴出される空気流Sの流量Qを変更可能な構成とされている。
【0050】
ここで、本実施形態の光学式センサ汚損防止装置1Dは、イグニッションスイッチを作動させた際に、起動状態における光学式センサ10からの入力値に応じて、ガード回動機構61のON/OFFを設定可能な構成とされている。
【0051】
ガード回動機構61は、コントローラ20から出力された指令信号に従って作動し、ガード11を回動させる。ガード11は、外面が湾曲形状とされ、例えば平面視においてC型形状とされている。ガード11は、所定の軸周りに回動可能とされている。また、ガード11の正面側には、ガード11の表面の汚れを除去するための一対のガードクリーナ62が設けられている。ガードクリーナ62は、ガード11の表面に密着して配置され、ガード11表面の汚れを拭き取り可能な構成とされている。ガード11は、ガード回動機構61によって所定の軸周りに回動されることで、ガード11の表面に付着した汚れが拭き取られる。
【0052】
また、コントローラ20は、イグニッションスイッチ43と電気的に接続されている。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43のOFF状態からON状態への切り替えを示すイグニッション信号(以下、「IG」信号という。)を受信する。コントローラ20では、受信したIG信号に基づいて、イグニッションスイッチ43のOFF状態からON状態への切り替えを検知する。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43がON状態へ切り替えられた際に、光学式センサ10からの入力値Gを記憶部に記憶する。コントローラ20は、イグニッションスイッチ43がON状態へ切り替えられた際に、前回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gと、今回の起動時における光学式センサ10からの入力値Gとを比較し、入力値の減衰量G(=G−G)を算出する。コントローラ20では、算出された減衰量Gに基づいて、ウォッシャー機構50の作動の有無を制御する。
【0053】
図8は、光学式センサ汚損防止装置1Dにおける処理を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートが図6に示すフローチャートと違う点は、ステップS27に代えて、ステップS37を実行する点である。光学式センサ汚損防止装置1Dでは、ステップS26で、減衰値Gが判定基準値Gより大きいと判定された場合に、ステップS37に進む。
【0054】
ステップ37では、コントローラ20は、ガード回動機構61を作動させ、ガード11の汚れ除去を実施する。コントローラ20は、ガード回動機構61に指令信号を送信し、を駆動して、ガード11を所定の軸周りに回転させ、ステップS28に進む。ガード11の回転することで、ガードクリーナ62がガード11表面に付着した汚れを取り除く。
【0055】
このような光学式センサ汚損防止装置1Dによれば、光学式センサ10によって汚損物Pの大きさを検出し、検出された汚損物Pの大きさに応じて、第2ノズル33Bから噴出される空気流Sの流量Qを変更することができる。これにより、光学式センサ10に向かって飛来する汚損物Pの大きさに応じて、空気流Sの流量Qを変化させることで、汚損物Pの進行方向を変更し、汚損物Pが光学式センサ10の受光部に付着することが防止される。その結果、光学式センサ10の汚損を予防し、光学式センサ10の検出精度の低下を防止することができ、光学式センサ10の性能を維持することができる。汚損物Pのサイズが大きい場合にガス流の流量を増加させることで、充分な流量を確保し、確実に汚損物Pを除去することができる。
【0056】
また、光学式センサ汚損防止装置1Dによれば、光学式センサ10からの入力値の減衰値Gに応じて、ガード回動機構61の作動の有無を決定することができる。これにより、例えば、車両の停止中に光学式センサ10が汚れてしまった場合に、ガード回動機構61を作動してガード11の汚れを除去することで、光学式センサ10の性能を回復することができる。また、入力値の減衰が認められない場合には、ガード回動機構61を作動させないことで、ガードクリーナ62の長寿命化を図ることができる。したがって、汚損防止効果を維持しつつ、メンテナンス作業の煩わしさを低減することができる。ガード回動機構61の作動回数の適正化を図ることで、燃費を改善することができる。
【0057】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、車両に搭載された光学式センサ汚損防止装置について、説明しているが、光学式センサ汚損防止装置は、その他の移動体に搭載され光学式センサの汚損を防止するものでもよく、移動体ではなく、例えば固定構造物に設置された光学式センサの汚損を防止するものに適用してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、光学式センサ汚損防止装置1が空気流を発生させているが、ガス流は、空気以外の気体でもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、汚損予防の対象である光学式センサ10を用いて、汚損物Pの大きさ検出しているが、光学式センサ10とは異なる他のセンサを用いて、汚損物Pの大きさを検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1B,1C,1D…光学式センサ汚損防止装置、10…光学式センサ(汚損物サイズ検出手段)、11…ガード、20…コントローラ(ガス量調節手段)、30…エアー噴出機構(ガス流発生手段)、31…エアーポンプ、32…流量制御弁、33A…第1ノズル、33B…第2ノズル、41…ワイパ作動検出器、42…車輪速センサ、43…イグニッションスイッチ、50…ウォッシャー機構(洗浄手段)、51…ウォッシャーポンプ、52…ウォッシャーノズル、61…ガード回動機構、62…ガードクリーナ、P…汚損物、S,S…空気流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式センサへの汚損物の付着を防止する光学式センサ汚損防止装置において、
前記光学式センサの前方にガス流を発生させるガス流発生手段と、
前記光学式センサの前方を飛来する前記汚損物の大きさを検出する汚損物サイズ検出手段と、
前記汚損物サイズ検出手段によって検出された前記汚損物の大きさに応じて、前記ガス流発生手段によるガス流の流量を変化させるガス量調節手段と、を備える光学式センサ汚損防止装置。
【請求項2】
前記ガス量調節手段は、前記汚損物のサイズが大きい場合に、汚損物のサイズが小さい場合と比較して、前記ガス流の流量を増加させることを特徴とする請求項1記載の光学式センサ汚損防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−194361(P2011−194361A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66355(P2010−66355)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】