説明

光学式位置測定装置

【課題】相対移動可能な2つの物体の位置を測定する光学式位置測定装置において、基準信号を適切に発生させる。
【解決手段】一方の物体と結合された目盛本体が、基準位置に、鏡像対称に配置された2つの部分区域を含む基準マークを含み、該区域はそれぞれ、目盛周期が変化し移動方向に配列する格子構造パターンで構成されている。他方の物体には走査ユニットが結合され、該ユニットは光源と、1又は複数の格子と、基準信号検出装置と備えている。基準信号検出装置は、検出器アレイ22.1〜22.4を有し、基準マークを走査して検出器アレイで検出して、第1の対の逆相関係にある部分基準信号、該部分基準信号からオフセットされている第2の対の逆相関係にある部分基準信号を形成する。検出器アレイに接続された後段の処理回路において、第1及び第2の対の部分基準信号を処理して、基準信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人によるドイツ特許公開第102008044858 A1号には、少なくとも1つの測定方向内において相互に相対的に移動可能な2つの物体の位置を測定するために適した光学式位置測定装置が開示されている。該位置測定装置は、2つの物体の位置を測定するために、その一方と結合された目盛本体を備えている。該目盛本体は、測定方向に伸長する増分目盛と、基準位置における少なくとも1つの基準マークとを有している。基準マークを介して高解像度の増分位置測定のための基準点が提供され、基準マークを通過したときに基準信号が発生され、そしてその後に、この基準点に関して増分測定が行われる。さらに、位置測定装置は、2つの物体の他方と結合された走査ユニットを含み、走査ユニットは、発散放射する光源と1又は複数の格子と基準信号検出装置とを有している。この文献には、光学式位置測定装置において、発散照明を用いた走査原理に基づき、高解像度の基準信号を発生するためのいわゆる連続変動基準マークがどのように使用可能であるかが記載されている。
【0003】
この光学式位置測定装置においては、基準マークは、目盛本体上において、増分目盛を有する増分トラックに隣接して別個の基準トラック内に配置されている。この理由から、基準信号の増分信号に対する相対位置は、目盛本体の平面に対して垂直方向の軸の周りの、目盛本体及び走査ユニット間のねじれ角の関数である。このようなねじれに対する感度は、この場合、増分目盛の目盛周期が小さくなればなるほど、及び、測定方向に対して垂直方向の、増分トラック及び基準トラックに対する走査重心の間隔が大きくなればなるほど、それだけ大きくなる。しかしながら、基準信号の正確な後続処理のために、発生された基準信号の増分信号に関する位置及び幅がきわめて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102008044858A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した光学式位置測定装置において、基準信号の位置は、通常、走査ユニットの費用のかかる機械的調節により設定されてきた。基準信号の幅は、基準信号の投入勾配ないしは遮断勾配を発生させるために、信号変化においてそれぞれのアナログ電流パルス又はアナログ電圧パルスが超えなければならない又は下回らなければならない、比較器のトリガしきい値の適切な変化により決定可能である。しかしながら、特に高解像度の光学式位置測定装置においては、このような機械的及び電気的調節に対する費用は著しく高いものである。
本発明の目的は、このような照明を用いた走査原理に基づき且つ増分信号に関する所定の位置及び幅を有する基準信号を発生するための簡単な手段を有する光学式位置測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した本発明の目的は、請求項1の特徴を有する光学式位置測定装置により達成される。また、本発明による光学式位置測定装置の有利な形態が従属請求項に記載された手段から得られる。
少なくとも1つの測定方向内において相互に相対的に可動な2つの物体の位置を測定するための本発明による光学式位置測定装置は、2つの物体の一方と結合された目盛本体を含み、目盛本体は、測定方向に伸長する増分目盛と、基準位置における少なくとも1つの基準マークとを有している。基準マークは、基準マーク対称軸に対して鏡像対称に配置された2つの基準マーク部分区域を含み、2つの基準マーク部分区域はそれぞれ場所によって変化する目盛周期を有して測定方向に伸長する格子構造パターンから構成されている。さらに、本発明による光学式位置測定装置は、2つの物体の他方と結合された走査ユニットを含み、走査ユニットは、発散放射する光源と、1又は複数の格子と、基準信号検出装置と、を有している。基準信号検出装置は、それぞれ複数の検出要素を含む少なくとも4つの検出器アレイを有している。検出器アレイは、基準マークの走査から基準信号検出装置を介してそれぞれ逆相の信号経過を含む部分基準信号の第1及び第2の対が形成され且つ部分基準信号の第1の対は測定方向に沿って部分基準信号の第2の対に対してオフセット値だけオフセットされているように形成され且つ配置されている。
【0007】
第1及び第2の検出器アレイの検出要素は、第1の検出器対称軸から出発して、測定方向内において、隣接する検出要素間の中心間隔が、基準マーク対称軸から出発して基準マーク部分区域内の格子構造パターンの目盛周期が変化するのと同じ方向に変化するように配置されていることが好ましい。第3及び第4の検出器アレイの検出要素は、第2の検出器対称軸から出発して、測定方向内において、隣接する検出要素間の中心間隔が、基準マーク対称軸から出発して基準マーク部分区域内の格子構造パターンの目盛周期が変化するのと同じ方向に変化するように配置されていることが好ましい。
この場合、第2の検出器対称軸は、第1の検出器対称軸に対して、部分基準信号の第1及び第2の対の間のオフセット値の2倍に対応する値だけオフセットされて配置されることが好ましい。
【0008】
さらに、目盛本体上の基準マークの光学式走査から得られる調節信号の発生手段であって、この場合、調節信号は、基準信号を求めるための部分基準信号の後続処理において、1又は複数のトリガ信号を発生するように働く、調節信号の発生手段を設けることが可能である。
この場合、例えば、調節信号の発生手段として、検出器アレイの検出要素間に一定光検出要素が配置されていてもよい。
さらに、調節信号の発生手段として、検出器アレイの全ての部分基準信号を加算するように働く加算要素を設けることが可能である。
【0009】
また、部分基準信号の第1及び第2の対が、2つの差動増幅器の入力端に存在し、且つ両方の差動増幅器の出力端にそれぞれ、パルス状信号が後続処理のために提供され、
両方の差動増幅器の後方に加算器及び減算器が配置され、加算器及び減算器を介してパルス状信号から和信号及び差信号が形成され、
和信号及び差信号が複数の比較器の第1の入力端に入力され、複数の比較器のそれぞれ第2の入力端に調節信号から導かれたトリガ信号が入力され、
複数の比較器の後段に論理結合要素が配置され、論理結合要素の出力端において基準信号が形成されるように、構成されてもよい。
【0010】
可能な一実施形態においては、調節信号が入力増幅器を介して増幅され且つ次に増幅された調節信号は可変の異なる利得を有する3つの増幅器に供給され、及び調節信号から導かれた3つの異なる増幅信号がトリガ信号として3つの比較器の第2の入力端に供給される。
さらに、加算から形成された調節信号が、可変の異なる利得を有する3つの増幅器に供給され、調節信号から導かれた3つの異なる増幅信号がトリガ信号として3つの比較器の第2の入力端に供給されるように設計されてもよい。
さらに、光源と目盛本体との間に、送光スリットを有するシールドが配置されていることが可能である。
さらに、検出要素の一部上にカバー格子が配置され、カバー格子の格子ラインは検出要素の縦伸長方向に対して直角に向けられていてもよい。
【0011】
目盛本体上の基準トラック内に、基準マークに隣接して測定方向両側に格子構造パターンが配置され、格子構造パターンは、それに入射したビーム束に光学的拡散作用を与えることが好ましい。
この場合、基準トラック内の格子構造パターンは、目盛本体上における増分トラック内に配置されている増分目盛の目盛周期の半分に対応する目盛周期を有していてもよい。
基準トラック内の格子構造パターンは0.25のライン目盛周期比を有していることが有利である。
【0012】
さらに、検出装置が4つの検出器アレイを含み、
第1及び第2の検出器アレイは第1の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第1の検出器対称軸は検出平面内において測定方向に対して直角に伸長し、この場合、第1及び第2の検出器アレイは検出平面内において測定方向に対して直角に相互にオフセットされて配置され、
第3及び第4の検出器アレイは第2の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第2の検出器対称軸は検出平面内において測定方向内に対して直角に伸長し且つ測定方向において第1の検出器対称軸に対してオフセットされて配置され、この場合、第3及び第4の検出器アレイは検出平面内において測定方向に対して直角に相互にオフセットされて配置されている、
ように設計されていてもよい。
【0013】
この代替態様として、検出装置が4つの検出器アレイを含み、
第1及び第2の検出器アレイは第1の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第1の検出器対称軸は検出平面内において測定方向に対して直角に伸長し、この場合、第1及び第2の検出器アレイは測定方向内において相互に隣接して配置され、
第3及び第4の検出器アレイは第2の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第2の検出器対称軸は測定方向に対して直角に伸長し且つ測定方向内において第1の検出器対称軸に対してオフセットされて配置され、この場合、第3及び第4の検出器アレイは測定方向内において相互に隣接して配置され、
第1及び第2の検出器アレイは、検出器対称軸の伸長方向内において、第3及び第4の検出器アレイに対してオフセットされて配置されている
ように設計されていてもよい。
【0014】
本発明により、発散照明を用いた走査原理に基づき且つ発生された基準信号の電子式調節を可能にする光学式位置測定装置が提供される。増分信号に関する基準信号の位置のみならずその幅もまた、費用のかかる機械的調節を必要としないで、電子式方法で設定可能である。
特に、それぞれ逆相の信号経過を有する部分基準信号の2つの対を発生することにより、極端な妨害に対してきわめて感度の低い信号処理が得られる。
基準信号の位置及び幅の所定の設定のために必要な比較器のトリガしきい値は、基準マークの光学式走査から得られる調節信号から導かれる。このようにして、例えば、汚れ、光源の劣化又は温度変化により信号振幅が変化してしまう可能性があったが、本発明によれば、基準信号発生の高い安定性が得られる。
【0015】
本発明による光学式位置測定装置は、直線運動を測定するための距離測定装置として形成可能であるのみならず、回転軸の周りの回転運動を測定するための回転位置測定装置としてもまた形成可能である。
さらに、本発明による光学式位置測定装置は、透過光方式のみならず入射光方式としても形成することが可能である。
本発明のその他の詳細及び利点は、本発明による光学式位置測定装置の実施例の図面に関する以下の記載により明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による位置測定装置の一実施例における基準パルス信号を発生させるための走査ビーム通路のきわめて簡略化した図を示す。
【図2】増分目盛及び基準マークを有する、図1の光学式位置測定装置の目盛本体の平面図を示す。
【図3a】適切な基準信号検出装置の第1の実施例による本発明の光学式位置測定装置の検出平面の概略部分図を示す。
【図3b】図3aの拡大図を示す。
【図4a】図3aの検出平面を備えた基準信号検出装置により発生された、基準位置の範囲内における部分基準信号の第1の対を示すグラフである。
【図4b】図3aの検出平面を備えた基準信号検出装置を介して発生された、基準位置の範囲内における部分基準信号の第2の対を示すグラフである。
【図5a】部分基準信号の第1の対から導かれた信号を示すグラフである。
【図5b】部分基準信号の第2の対から導かれた信号を示すグラフである。
【図6a】図5a、5bの信号から導かれた和信号を示すグラフである。
【図6b】図5a、5bの信号から導かれた差信号を示すグラフである。
【図7】図6a、6bの和信号及び差信号から導かれた基準信号を示すグラフである。
【図8】図3aの検出平面を備えた基準信号検出装置により発生された光学式調節信号を示すグラフである。
【図9】図3aの検出平面を備えた基準信号検出装置からの部分基準信号を処理するための回路装置を示すブロック図である。
【図10】図3aの検出平面の一変更態様を示す図である。
【図11】適切な基準信号検出装置の第2の実施例による本発明の光学式位置測定装置の検出平面の概略部分図を示す。
【図12】図11の検出平面を備えた基準信号検出装置による部分基準信号を処理するための回路装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図1−9を参照して、本発明による光学式測定装置の第1の実施形態を詳細に説明する。なお、図1は、基準パルス信号を発生するための走査ビーム通路をきわめて簡略化した形で示し、図2は、基準マークの範囲内の目盛本体の平面図を示し、図3aは、検出平面の部分図を示し、図3bは、図3aからの拡大図を示し、図4a−8は、信号処理を説明するための種々の信号経過を示し、図9は、基準信号を発生するための適切な回路装置を示す。
【0018】
図示の実施例において、本発明による光学式位置測定装置は透過光方式の距離測定装置として形成され、走査ユニット20を含み、該走査ユニット20は、測定方向xにおいて目盛本体10(図2)に対して移動可能に配置されている。目盛本体10及び走査ユニット20は、例えば測定方向xにおいて相互に移動可能に配置された2つの物体と結合されている。これら2つの物体は、例えば相互に可動な2つの機械部分であってもよい。本発明による光学式位置測定装置の、発生された位置の関数としての出力信号(増分信号、基準パルス信号)を介して、従属の制御ユニットが、これらの機械部分の運動を既知のように適切に制御可能である。
【0019】
図1は、著しく簡略化されており、特に、透過光方式の装置に対して必要な走査ユニット20による目盛本体は、単に原理的に、走査ユニット20の光源側部分と検出側部分との鎖線結合によって示され、同様に、図1では、目盛本体の側には走査される基準マークのみが略図で示されている。
この例においては、図2に示すように、目盛本体10は測定方向xに延在する線形増分目盛12を含み、増分目盛12は目盛ホルダ13上に配置されている。増分目盛12は測定方向xに目盛周期TPINC=8μmで周期的に配置された、異なる光学特性を有する部分領域から構成され、この部分領域は目盛平面内においてy方向に伸長する。図示の例においては、増分目盛12は、180°の位相偏差及び1:1の目盛比を有する透過光位相格子として形成されている。
【0020】
増分目盛12を有するトラックに隣接して、目盛本体10の側面に、基準トラックが設けられ、基準トラック内において目盛ホルダ13上の特定の基準位置XREFに基準マーク11が配置されているが、基本的には、複数の基準位置において対応する基準マークが配置されてもよいことは明らかである。基準マーク11は、増分目盛12と同様に、180°の位相偏差を有する位相格子として形成され、左右に配置された部分領域11、11を有する構造パターンとして構成され、部分領域11、11は入射ビーム束に対して異なる位相シフト作用を行う。
【0021】
さらに、基準トラック内に、基準マーク11に隣接して測定方向xの両側にそれぞれ、周期的格子構造パターン14が配置されている。図示の実施例においては、格子構造パターン14は基準トラックの全長にわたり存在し、すなわち基準トラック内全てにわたり配置されているが、格子構造パターン14には、基準マーク11は設けられていない。基準トラック内の格子構造パターン14は目盛周期TPを有し、目盛周期TPは増分目盛12の目盛周期TPINCとは異なり、例えば格子構造パターン14の目盛周期TPは増分目盛TPINCの目盛周期の半分に等しく選択される。ライン目盛周期比は、格子構造パターン14に対して値0.25を有している。格子構造パターン14は、類似の回折効率を有する複数の回折次数(0、±1、±2)が得られるように形成されている。即ち、格子構造パターン14は、それに入射するビーム束に対して光学的分散作用を与える。この結果、場合によって、目盛本体10上の汚れが検出平面内に不鮮明状態に形成され、このようにして、僅かではあるが基準信号発生に悪影響を与える。さらに、格子構造パターン14の与えられた寸法を介して、増分トラック及び基準トラックから形成された信号の相互間の影響がきわめて少ないことが保証される。
【0022】
図1及び2に示されているように、基準マーク11は、基準位置XREFにおいて基準マーク対称軸RSに鏡像対称に配置された2つの基準マーク部分区域11、11を含む。2つの基準マーク部分区域11、11の各々は、それぞれ場所によって変化する目盛周期を有して測定方向xに延在する構造パターンすなわち格子目盛構造パターンから構成されている。図示の例においては、基準マーク対称軸RSに隣接する構造パターンは、それぞれ最小目盛周期を有し、測定方向xに対称軸RSから外方に向かってそれぞれ、次第に大きくなる目盛周期が設けられている。この結果、基準マーク11の2つの基準マーク部分区域11、11内の構造パターンはいわゆる連続変動目盛構造パターンとして形成され、基準マーク対称軸RSに対して鏡像対称の連続変化状態が2つの基準マーク部分区域11、11内に設けられている。連続変化の基準マーク部分区域11、11の詳細な形成に関しては、さらに、冒頭に既に記載された本出願人によるドイツ特許公開第102008044858A1号を参照されたい。この文献中、式1.1、1.2により、目盛本体側の目盛周波数fMS(x)に関する基準マーク11内の連続変化が示されている。
−L/2≦x<0の場合、fMS(x)=2f(2x/L+1) (式1.1)
0≦x<L/2の場合、 fMS(x)=2f(2x/L−1) (式1.1)

この文献での実施例においては、式1.1及び1.2内の特性変数として、f=7.2 1/mm及びL=1.25mmが選択されている。なお、fは平均目盛本体側目盛周波数を与え、Lは測定方向xにおける基準マーク部分区域11、11内の構造パターンの長さを示している。
【0023】
周期的増分信号及び少なくとも1つの特定の基準位置XREFにおける少なくとも1つの基準パルス信号RIの形の変位の関数としての出力信号を発生させるために、走査ユニット20内に1組の構成要素が配置され、この1組の構成要素は図面を簡単にするためにまとめて走査手段として表わされている。基準パルス信号RIを発生させるために必要な走査手段に、この例においては、目盛本体10の方向に発散放射する光源21と、1又は複数の格子並びに特殊に形成され且つ基準マーク11に同調された基準信号検出装置22とが備えられている。基準信号を発生させるための走査ビーム経路を示している図1に示す実施例においては、走査ユニット20内の格子として、送光スリットを有するシールド23が設けられ、シールド23は光源21と測定本体10との間に配置されている。
【0024】
図3aの平面図に示されている基準信号検出装置22は、本発明において、少なくとも4つの検出器アレイ22.1〜22.4から構成されている。4つの検出器アレイ22.1〜22.4は、それぞれ、測定方向xに伸長するように配置されている、ホトダイオードからなる複数の長方形の光電検出要素22a〜22eを含む。検出要素22a−22eの長方形縦軸は、与えられたy方向に、即ち検出平面内の測定方向xに対して直交方向に向けられている。
【0025】
図3aに示されているように、基準信号検出装置22の第1の検出器アレイ22.1及び第2の検出器アレイ22.4は、第1の検出器対称軸DS1に関して鏡像対称に形成され、第1の検出器対称軸DS1は、検出平面内において測定方向xに対して直角に伸長している。第1の検出器アレイ22.1及び第2の検出器アレイ22.4は、検出平面内において、測定方向xに対して直角に即ちy方向内において相互にオフセットされて配置されている。図3bに示す検出装置22の中央範囲の拡大図からわかるように、第1の検出器対称軸DS1がその中を通過する検出要素を除いて、第2の検出器アレイ22.4の全ての検出要素22a、22b、22eは、第1の検出器アレイ22.1に対して、y方向にオフセットされて配置されている。
【0026】
これと同様に、図3aに示す基準信号検出装置22の第3の検出器アレイ22.3及び第4の検出器アレイ22.2が配置されている。即ち、第4の検出器アレイ22.2は、第2の検出器対称軸DS2に関して、第3の検出器アレイ22.3に対して鏡像対称に形成され、第2の検出器対称軸DS2は、同様に、検出平面内において測定方向xに対して直交して伸長しているが、第1の検出器対称軸DS1に対して測定方向に値ΔDSだけオフセットされている。第3の検出器アレイ22.3及び第4の検出器アレイ22.2は、検出平面内において、同様に測定方向xに対して直交して即ちy方向に相互にオフセットされて配置されている。同様に、図3b内の検出装置22の中央範囲の拡大図からわかるように、第2の検出器対称軸DS2がその中を通過する検出要素を除いて、第4の検出器アレイ22.2の全ての検出要素22c、22d、22eは、第3の検出器アレイ22.3に対して、y方向にオフセットされて配置されている。
【0027】
このように、この実施形態においては、本発明による基準信号検出装置22内において、鏡像対称に形成された第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4、並びに、第3及び第4の検出器アレイ22.3、22.2の交差配置が形成される。この交差配置は、例えば発散照明を用いた走査において存在するような、特に検出平面内の不均一光強度分布において有利であることがわかる。
【0028】
第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4の検出要素22a、22b、22eは、図3aに示すように、測定方向xに沿って、第1の検出器対称軸DS1から出発して、測定方向x内において、隣接する検出要素22a、22b、22e間の中心間隔が、基準マーク対称軸RSから出発して両方の基準マーク部分区域11、11内の構造パターンの目盛周期が変化するのと同じ方向に変化するように配置されている。その結果、基準信号検出装置22の第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4は、基準マーク11と同様に、対応する検出要素22a、22b、22eの配置に関して対称連続変動構造パターンを有している。
【0029】
基準信号検出装置22内の第3及び第4の検出器アレイ22.3、22.2の形成もまたこれと同様に行われ、第2の検出器対称軸DS2に関して検出要素22c、22d、22eの対称的かつ連続変動構造パターンすなわち配置が形成されている。既に記載したように、第2の検出器対称軸DS2は、第1の検出器対称軸DS1に対して値ΔDSだけ測定方向にオフセットされて配置されている。
【0030】
第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4内において、及び第3及び第4の検出器アレイ22.3、22.2内において、検出要素22a〜22eの対称連続変動配置が、目盛本体10上の基準マーク11の対称連続変動形成に同調されて行われる。これは、検出器アレイ22.1〜22.4内の隣接する検出要素22a〜22eの間の間隔が、基準マーク部分区域11、11内の目盛構造パターンの間隔と類似して変化することを意味する。両方の検出器アレイ対内の、位相シフト部分基準信号を検出するための個々の検出要素22a〜22dの具体的な配置に関しては、再び本出願人によるドイツ特許公開第102008044858 A1号、特にその中の式2.1及び2.2を参照されたい。特性変数として、検出器アレイ22.1〜22.4のこのような形成に対して、式2.1及び2.2において、f=7.2 1/mm、L=1.25mm及びk=1が選択される。ここで、fは平均目盛本体側目盛周波数を与え、Lは測定方向xにおける基準マーク部分区域11、11内の構造パターンの長さを与え、kは光学式走査のタイプ(k=1:±1の回折次数に関する信号ゲイン;k=2:0、±1の回折次数に関する信号ゲイン)を示している。
【0031】
図3aにそれぞれ同じように示されている検出要素22a〜22dから、基準トラックの走査の結果としてそれぞれ同じ部分基準信号が得られ、これらの部分基準信号はそれに続いて基準信号RIを発生するために後続処理される。即ち、第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4の検出要素22aは、以下において符号S1_Tで表わされる部分基準信号を提供し、第1及び第2の検出器アレイ22.1、22.4の検出要素22bは部分基準信号S1_GTを提供する。第3及び第4の検出器アレイ22.3、22.2の検出要素22cは部分基準信号S2_Tを提供し、第3及び第4の検出器アレイ22.3、22.2の検出要素22dは部分基準信号S2_GTを提供する。したがって、図示された基準信号検出装置を介して、全体として4つの部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTが発生され、4つの部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTは、次に最後に形成される基準信号RIを得るために後続処理される。
【0032】
異なる部分基準信号S1_T、S1_GT及びS2_T、S2_GTを提供する検出器アレイ22.1〜22.4の種々の検出要素22a〜22dの間に、この実施例においては、基準信号検出装置22内にそれぞれさらに一定光検出要素22eが配置されている。一定光検出要素22eから、ほとんど変調されていない調節信号が得られる信号が発生され、且つこの信号は信号の後続処理において基準信号RIを発生するように働く。具体的な信号処理に関しては、以下の説明を参照されたい。
【0033】
基準信号検出装置22の図示の実施例においては、部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTを発生する検出要素22a〜22dは、測定方向xにおいてそれぞれ、それぞれの検出器アレイ22.1〜22.4の局部目盛周期の約1/3に対応する幅を有している。図3a、3bに示されているように、検出器アレイ22.1〜22.4の局部目盛周期当たりそれぞれ2つの一定光検出要素22eが設けられ、2つの一定光検出要素22eはそれぞれ、測定方向xにおいて、それぞれの検出器アレイ22.1〜22.4の局部目盛周期の約1/6に対応する幅を有している。
【0034】
基準信号検出装置22のこのような構成により、基準マーク11の走査から基準信号検出装置22を介して部分基準信号S1_T及びS1_GTの第1の対、並びに、局部基準信号S2_T及びS2_GTの第2の対が形成されている。部分基準信号S1_T、S1_GTの第1の対は、測定方向xに沿って、部分基準信号S2_T、S2_GTの第2の対に対してオフセット値だけオフセットされている。通常、部分基準信号S1_T、S1_GTの第1の対及び部分基準信号S2_T、S2_GTの第2の対の間のオフセット値は、増分トラック12の走査から得られる増分信号の信号周期の数倍を有している。1つの対の部分基準信号S1_T、S1_GT又は、S2_T、S2_GTの信号はそれぞれ逆相であり相互に反転している。このことは、基準位置XREFの範囲内における第1の対の部分基準信号S1_T又は第2の対の部分基準信号S2_Tが信号値が最大値の場合、ここでは、付属の部分基準信号S1_GT又はS2_GTは、最小の信号値を有するか又は反転している。このように発生された4つの異なる部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTの基準位置XREFの範囲内における経過状態が、図4a及び4bに示されている。
【0035】
検出器アレイ22.1、22.4の第1の対の対称軸DS1、並びに、検出器アレイ22.3、22.2の第2の対の対称軸DS2の所定のオフセットΔDSに基づき、部分基準信号S1_T、S1_GTは、部分基準信号S2_T、S2_GTに対して、上記のように、測定方向xにおいて、使用された光学的走査原理から得られるオフセット値ΔDS/2を有している。
出力側に形成される高解像度の基準信号RIを得るための、このように発生された部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTの後続処理は、図9及び5a−8を参照して以下に説明する。なお、図9は信号処理のための適切な回路装置を示し、図5a−8は、信号処理の経過中に形成される種々の信号を示す。
【0036】
検出要素22a〜22dを介して発生された部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTは、図9に示されているように、対をなして2つの差動増幅器30.1、30.2に供給される。この場合、相互に逆相の部分基準信号S1_T、S1_GT、又は、S2_T、S2_GTはそれぞれ、両方の差動増幅器30.1、30.2の対応する入力端に入力される。両方の差動増幅器30.1、30.2の出力端からそれぞれ、パルス状信号S1、S2が得られる。基準位置XREFの範囲内におけるパルス状信号S1、S2の経過が図5a、5bに表わされている。
【0037】
両方の差動増幅器30.1、30.2の後方に配置されている加算器31及び減算器32を介して、パルス状信号S1、S2から、このとき、和信号S1+S2並びに差信号S1−S2が形成される。基準位置XREFの範囲内における和信号S1+S2が図6aに示され、差信号S1−S2が図6bに示されている。
【0038】
和信号S1+S2は次に、第1の比較器33.1の第1の入力端に供給される。差信号S1−S2は、第2及び第3の比較器33.2、33.3のそれぞれの第1の入力端に供給される。比較器33.1、33.2、33.3のそれぞれの第2の入力端にトリガ信号TS1、TS3、TS2が供給される。該トリガ信号TS1、TS3、TS2は、一定光検出要素22eを介して得られる調節信号から導かれている。一定光検出要素22eから発生された信号は、増幅器要素34を介して調節信号SAに増幅される。図8に、基準位置XREFの範囲内における調節信号SAのほとんど変調されていない経過が示されている。調節信号SAは次に、他の異なる増幅係数a、c、bを有する他の増幅器要素34.1、34.2、34.3を介して、3つのトリガ信号TS1=a・SA、TS2=b・SA、TS3=c・SAに増幅され、3つのトリガ信号TS1=a・SA、TS2=b・SA、TS3=c・SAは、3つの比較器33.1、33.3、33.2のそれぞれの第2の入力端に供給される。比較器33.1、33.2、33.3の後方に論理結合要素35がAND回路として形成されている。論理結合要素35の出力端に、種々のトリガ信号TS1、TS2、TS3の適切な設定において、基準位置XREFの対応する位置に、図7に示されている基準信号RIが形成される。
【0039】
基準信号RIの出力は、この場合、次の3つの条件
i) S1+S2>TS1
ii) S1−S2>TS3
iii) S1−S2<TS2
の全てが満たされているとき、論理結合要素(AND回路)35を介して行われる。
したがって、トリガ信号TS2、TS3の所定の設定を介して、即ち、増幅器要素34.3、34.2の増幅係数b、cの選択により、本発明による光学式位置測定装置における基準信号RIの位置及び幅が電子式に定義されて設定可能である。
このために、トリガ信号TS1は、0付近に存在するが正の値を有するように選択されることが好ましい。図6aには、対応するトリガ信号TS1が和信号S1+S2と共に示されている。このようにすることにより、光源のスイッチを切ったときに基準信号RIが誤って発生されることはないことが保証される。
【0040】
本発明による光学式位置測定装置の第1の実施例とは僅かに異なる実施態様の基準信号検出装置22′が、図10に略図で示されている。種々の検出器アレイ22.1′〜22.4′の配置及び形成並びに検出要素22a′〜22e′の配置は、この場合、図3aに示されたものと対応している。しかしながら、検出要素22a′〜22e′の一部にカバー格子25が追加して配置され、カバー格子25の格子ラインは、x方向に、即ち検出要素22a′〜22e′の縦伸長方向に対して直角に向けられている。この場合、対称軸に関して外方に存在する基準信号検出装置22′の検出要素22a′〜22e′のみに、このようなカバー格子25が設けられている。検出要素22a′〜22e′の光検知面のマスキング率は約50%の値である。このようにして、検出器アレイ22.1′〜22.4′の外方に存在する検出要素22a′〜22e′の信号発生における機能は低減される。これは、例えば目盛本体上の基準マークの範囲内において汚れがある場合に有利であることを示し、その理由は、この場合には、外方の検出要素22a′〜22e′の信号部分が非対称に削除され且つ信号処理が悪影響を受けないからである。
【0041】
カバー格子25は、例えば、走査ユニット内の基準信号検出装置22′の上方に配置されている走査プレート上に配置されていてもよい。さらに、カバー格子25を、メタル構造として、対応する範囲内の基準信号検出装置22′上に直接装着することが可能である。さらに、この範囲内の検出要素22a′〜22e′を縦方向に形成し、これにより同様にカバー格子25の光学的効果を達成するように設計してもよい。
【0042】
最後に、図11及び12を参照して、本発明による光学式位置測定装置の第2の実施形態を説明する。図11は基準信号検出装置の平面図を示し、図12は基準信号RIを発生するための回路装置を示す。
以下においては、第1の実施例との本質的な相違のみを説明する。この相違は、本質的に、調節信号を発生する形式及び方法にある。第1の実施例においては、調節信号を発生するための手段として、種々の検出器アレイ内に分離する一定光検出要素が設けられてきたが、この例においては、調節信号は、検出器アレイからの検出要素の全ての部分基準信号を加算することにより得られる。
【0043】
図11に示されている基準信号検出装置に対しては、4つの検出器アレイ122.1〜122.4内に分離する一定光検出要素が設けられてなく、部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTを発生する検出要素122a〜122dのみが設けられている。一定光検出要素が設けられていない結果として、部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTを発生する検出要素122a〜122dはそれぞれ、測定方向xにおいて、それぞれの検出器アレイ122.1〜122.4の局部目盛周期の半分に対応する幅を有している。
【0044】
調節信号SAの発生手段として、図12の回路装置内に加算要素136が設けられ、調節信号SAを求めるべく加算するために、加算要素136に4つの部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTが供給される。第1の実施例に類似して、増幅器要素134.1〜134.3を介しての調節信号SAの後続処理及び増幅されたトリガ信号TS1〜TS3としての種々の信号の3つの比較器133.1〜133.3のそれぞれ第2の入力端への供給が行われる。
【0045】
検出要素122a〜122dから発生される4つの部分基準信号S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GTは、増幅器要素130.1−130.4を介して増幅され、且つそれに続いて図示されているように減算器137.1、137.2を介して一対の差信号が形成され、両方の減算器137.1、137.2の出力端にパルス状信号S1、S2が形成される。パルス状信号S1、S2は、次に、第1の実施例と同様に、加算器131及び減算器132を介して処理され、その後に、図示されているように、和信号S1+S2及び差信号S1−S2が3つの比較器133.1〜133.3の第1の入力端に入力される。論理結合要素(AND回路)135の出力端に、同様に基準信号RIが形成される。
【0046】
具体的に説明された実施例のほかに、本発明の範囲内において、さらに他の実施形態が可能であることは当然である。
即ち、代替実施態様として、例えばトリガ信号TS1〜TS3が完全に静的な電圧源から発生されていてもよい。さらに、上記のように調節信号からトリガ信号TS1のみを発生し且つ他の両方のトリガ信号TS2、TS3を静的電圧源から発生することもまた可能である。
さらに、基準信号検出装置内において、4つの検出器アレイの上記の交差的な配置の代わりに、代替配置を選択することもまた可能である。即ち、この場合、同様に、第1及び第2の検出器アレイは、検出平面内において、測定方向に対して垂直に伸長する第1の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成されてもよい。しかしながら、この場合、第1及び第2の検出器アレイは、上記の実施例とは異なり、測定方向において相互に隣接して配置され且つy方向にはオフセットされていない。さらに、第3及び第4の検出器アレイは、検出平面内において、測定方向に対して直角に伸長し且つ測定方向において第1の検出器対称軸に対してオフセットされて配置されている第2の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成される。第3及び第4の検出器アレイもまた、上記の実施例とは異なり、測定方向において相互に隣接して配置され、即ち、同様にy方向にオフセットされていない。第1及び第2の検出器アレイは、この変更態様においては、検出器対称軸の伸長方向内において、第3及び第4の検出器アレイに対してオフセットされて配置される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定方向(x)において相互に相対的に移動可能な2つの物体の位置を測定するための光学式位置測定装置において、
2つの物体の一方と結合された目盛本体(10)であって、目盛本体(10)は、測定方向(x)に伸長する増分目盛(12)と基準位置(XREF)における少なくとも1つの基準マーク(11)とを有し、基準マーク(11)は、基準マーク対称軸(RS)に対して鏡像対称に配置された2つの基準マーク部分区域(11、11)を含み、2つの基準マーク部分区域(11、11)はそれぞれ、場所によって変化する目盛周期を有して測定方向(x)に伸長する格子構造パターンから構成されている、目盛本体(10)と、
2つの物体の他方と結合された走査ユニット(20)であって、発散放射する光源(21)と、1又は複数の格子(23)と、基準信号検出装置(22;22′;122)と備えている走査ユニット(20)と
を含み、
基準信号検出装置(22;22′;122)は、複数の検出要素(22a〜22d;22a′〜22d′;122a〜122d)をそれぞれ含む少なくとも4つの第1〜第4の検出器アレイ(22.1〜22.4;22.1′〜22.4′;122.1〜122.4)を有し、第1〜第4の検出器アレイ(22.1〜22.4;22.1′〜22.4′;122.1〜122.4)は、基準マーク(11)の走査によって基準信号検出装置(22;22′;122)を介してそれぞれ逆相の信号経過を含む部分基準信号(S1_T、S1_G、S2_T、S2_GT)の第1及び第2の対が形成され、且つ第1の対の部分基準信号(S1_T、S1_GT)は測定方向(x)に沿って第2の対の部分基準信号(S2_T、S2_GT)に対してオフセット値だけオフセットされて配置されている
ことを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の光学式位置測定装置において、
第1及び第2の検出器アレイ(22.1、22.4;22.1′、22.4′;122.1、122.4)の検出要素(22a、22b;22a′、22b′;122a、122b)は、第1の検出器対称軸(DS1)から出発して、測定方向(x)において、隣接する検出要素(22a、22b;22a′、22b′;122a、122b)間の中心間隔が、基準マーク対称軸(RS)から出発して基準マーク部分区域(11、11)内の格子構造パターンの目盛周期が変化するのと同じ方向に変化するように配置され、
第3及び第4の検出器アレイ(22.3、22.2;22.3′、22.2′;122.3、122.2)の検出要素(22c、22d;22c′、22d′;122c、122d)が、第2の検出器対称軸(DS2)から出発して、測定方向(x)において、隣接する検出要素(22c、22d;22c′、22d′;122c、122d)間の中心間隔が、基準マーク対称軸(RS)から出発して基準マーク部分区域(11、11)内の格子構造パターンの目盛周期が変化するのと同じ方向に変化するように配置されている
ことを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項3】
請求項2記載の光学式位置測定装置において、第2の検出器対称軸(DS2)は、第1の検出器対称軸(DS1)に対して、部分基準信号(S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GT)の第1及び第2の対の間のオフセット値の2倍に対応する値(ΔDS)だけオフセットされて配置されていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項4】
請求項1記載の光学式位置測定装置において、該装置は更に、
目盛本体(10)上の基準マーク(11)の光学式走査から得られる調節信号(SA)であって、基準信号(RI)を求めるための部分基準信号(S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GT)の後続処理において、1又は複数のトリガ信号(TS1、TS2、TS3)を発生させるための調節信号(SA)を発生する発生手段を備えている
ことを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の光学式位置測定装置において、調節信号(SA)の発生手段は、検出器アレイ(22.1〜22.4;22.1′〜22.4′)の検出要素(22a〜22d;22a′〜22d′)間に配置されている一定光検出要素(22e;22e′)を含んでいることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項6】
請求項4記載の光学式位置測定装置において、調節信号(SA)の発生手段は、検出器アレイ(122.1−122.4)の全ての部分基準信号(S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GT)を加算する加算要素(136)を含んでいることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項7】
請求項4記載の光学式位置測定装置において、該装置は更に、
部分基準信号(S1_T、S1_GT、S2_T、S2_GT)の第1及び第2の対が、入力端にそれぞれ印加される2つの差動増幅器(30.1、30.2)であって、出力端からそれぞれパルス状信号(S1、S2)が後続処理のために出力される2つの差動増幅器(30.1、30.2)と、
これら2つの差動増幅器(30.1、30.2)の後段に接続された加算器(31)及び減算器(32)であって、それぞれの差動増幅器からのパルス状信号(S1、S2)から和信号及び差信号(S1+S2、S1−S2)を生成する加算器(31)及び減算器(32)と、
和信号及び差信号(S1+S2、S1−S2)がそれぞれの第1の入力端に印加され、それぞれの第2の入力端に調節信号(SA)により生成されたトリガ信号(TS1、TS2、TS3)が印加される3つ比較器(33.1〜33.3)と、
これら3つの比較器(33.1〜33.3)の出力端に接続された論理結合要素(35)であって、基準信号(RI)を出力する論理結合要素(35)と
を備えていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項8】
請求項7記載の光学式位置測定装置において、該装置は更に、
入力増幅器(34)を介して調節信号(SA)が印加され、利得(a、b、c)がそれぞれ制御可能な3つの増幅器3つの増幅器(34.1〜34.3)であって、トリガ信号(TS1、TS2、TS3)を3つの比較器(33.1〜33.3)の第2の入力端に供給する3つの増幅器(34.1〜34.3)
を備えていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項9】
請求項6記載の光学式位置測定装置において、該装置は更に、
加算要素(136)を介して調節信号(SA)が印加され、利得(a、b、c)がそれぞれ制御可能な3つの増幅器(134.1〜134.3)であって、トリガ信号(TS1、TS2、TS3)を3つの比較器(133.1〜133.3)の第2の入力端に供給する3つの増幅器(134.1〜134.3)
を備えていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載の光学式位置測定装置において、光源(21)と目盛本体(10)との間に、送光スリットを有するシールド(23)が配置されていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項11】
請求項1〜10いずれかに記載の光学式位置測定装置において、検出要素(22a′〜22d′)の一部の上にカバー格子(25)が配置され、カバー格子(25)の格子ラインは検出要素(22a′〜22d′)の縦伸長方向に対して直角に向けられていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項12】
請求項1〜11いずれかに記載の光学式位置測定装置において、目盛本体(10)上の基準トラック内に、基準マーク(11)に隣接して測定方向(x)両側に、入射されたビーム束に光学的拡散作用を与える格子構造パターン(14)が配置されていることを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項13】
請求項12記載の光学式位置測定装置において、基準トラック内の格子構造パターン(14)は、目盛本体(10)上における増分トラック内に配置されている増分目盛(12)の目盛周期(TPINC)の半分に対応する目盛周期(TP)を有することを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項14】
せいきゅうこう12記載の光学式位置測定装置において、基準トラック内の格子構造パターン(14)は0.25のライン目盛周期比を有することを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項15】
請求項1記載の光学式位置測定装置において、
検出装置が第1〜第4の検出器アレイを含み、
第1及び第2の検出器アレイ(22.1、22.4;22.1′、22.4′;122.1、122.4)は、第1の検出器対称軸(DS1)に対して鏡像対称に形成され、第1の検出器対称軸(DS1)は検出平面内において測定方向(x)に対して直角に伸長し、第1及び第2の検出器アレイ(22.1、22.4;22.1′、22.4′;122.1、122.4)は検出平面内において測定方向(x)に対して直角に相互にオフセットされて配置され、
第3及び第4の検出器アレイ(22.3、22.2;22.3′、22.2′;122.3、122.2)は、第2の検出器対称軸(DS2)に対して鏡像対称に形成され、第2の検出器対称軸(DS2)は検出平面内において測定方向(x)に対して直角に伸長し、かつ測定方向(x)において第1の検出器対称軸(DS1)に対してオフセットされて配置され、第3及び第4の検出器アレイ(22.3、22.2;22.3′、22.2′;122.3、122.2)は、検出平面内において測定方向(x)に対して直角に相互にオフセットされて配置されている
ことを特徴とする光学式位置測定装置。
【請求項16】
請求項1記載の光学式位置測定装置において、
検出装置が第1〜第4の検出器アレイを含み、
第1及び第2の検出器アレイは第1の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第1の検出器対称軸は検出平面内において測定方向に対して直角に伸長し、第1及び第2の検出器アレイは測定方向内において相互に隣接して配置され、
第3及び第4の検出器アレイは、第2の検出器対称軸に対して鏡像対称に形成され、第2の検出器対称軸は、測定方向に対して直角に伸長し、かつ測定方向において第1の検出器対称軸に対してオフセットされて配置され、第3及び第4の検出器アレイは測定方向において相互に隣接して配置され、
第1及び第2の検出器アレイは、検出器対称軸の伸長方向において、第3及び第4の検出器アレイに対してオフセットされて配置されている
ことを特徴とする光学式位置測定装置。

【図1】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図2】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−242395(P2012−242395A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113454(P2012−113454)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【出願人】(390014281)ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】