光学式磁気ディスク欠陥検査方法及びその装置
【課題】
ガウシアン分布を有する照明光で検査領域よりも広い領域を照明しても微細な欠陥の位置をより正確に求めることが可能にする光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】
光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を備えた正反射光検出手段と、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した検出器の各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに欠陥の種類を判定する処理手段とを備えて構成した。
ガウシアン分布を有する照明光で検査領域よりも広い領域を照明しても微細な欠陥の位置をより正確に求めることが可能にする光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】
光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を備えた正反射光検出手段と、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した検出器の各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに欠陥の種類を判定する処理手段とを備えて構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクの表面の欠陥を光学的に検査する方法及びその装置に係り、特に、従来の磁気ディスク表面の凹みや傷及び両面に付着した異物を検出するのに適した磁気ディスクの光学式欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の連続記録磁性媒体の磁気ディスク表面の欠陥を検査する装置は、例えば特許文献1(特開2002−257742号公報)や特許文献2(特開2008−268189号公報)に記載されている。この特許文献1には、回転している磁気ディスクにレーザビームを斜め方向から照射して、ディスク表面からの正反射光を複数の受光素子を備えた検出器上に結像させ、その検出信号を処理して欠陥を検出する構成が開示されている。 また特許文献2には、回転している磁気ディスクにレーザビームを斜め方向から照射して、ディスク表面からの正反射光と散乱光とを検出し、正反射光と散乱光とのそれぞれの検出信号を処理することによりディスク表面の欠陥を検出して分類する検査装置が開示されている。
【0003】
一方、磁気ディスクを照明するレーザは、そのビームの断面における強度分布がガウス分布であることが知られているが、特許文献3(特開平6−347418号公報)には、ガウス分布を有するレーザ光を被検物体の複数断面にそってレーザ光束の半径にほぼ等しい間隔で移動させて各断面における光束を重畳させることにより均一な照明強度による観察を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−257742号公報
【特許文献2】特開2008−268189号公報
【特許文献3】特開平6−347418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気ディスクの記録容量の増大化に伴い、磁気ディスク上の記録密度が高くなり、検出すべき欠陥のサイズがより小さくなってきている。
【0006】
図10に、本発明で検査対象とする試料(磁気ディスク)100の外観を示す。(a)は磁気ディスク100を示し、(b)にその断面の一部を拡大した模式図を示す。磁気ディスク100は基板1011の両面に磁性膜1012(実際には、下地膜上に形成された多層膜で構成されている)が均一に形成されその表面が保護膜1013で覆われた構造になっている。したがって、表面が無欠陥の理想的な状態では、磁気ディスク100の表面にレーザを斜め方向から照射したときに、磁気ディスク100の表面からは照射したレーザの断面内の光量の分布に応じた分布を持つ反射光が検出される。
【0007】
一方、磁気ディスク100の表面に照射するレーザの光軸に直角な断面内の光量の分布1101は、図11に示すように中央(光軸の中心)が強く、中央部から離れるに従って弱くなるいわゆるガウス分布形状を持つ。
【0008】
一般に磁気ディスク100の検査においては、磁気ディスク100を回転させながら1回転につき磁気ディスク表面の半径方向に隣り合う領域からの反射光を検出器で検出して欠陥を抽出している。このとき磁気ディスク表面のレーザの照射位置は前回の照射位置と一部が重なり合うようにして、即ち検出器で検出する領域よりも広い領域に照射している。
【0009】
その結果、ある時点での検査においては、1回転前の照射領域に存在する欠陥であって当該時点での検査領域には存在しない欠陥からの反射光(散乱光)の影響を受けてしまい、欠陥位置の検出をより正確に求めようとする場合に、検出位置に誤差を生じさせてしまう原因となっている。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決して、微細な欠陥の位置をより正確に求めることを可能にする光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、磁気ディスクにレーザを照射し正反射光と散乱光とを検出して欠陥を検出する光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を、正反射光を検出する手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有する正反射光検出手段と、磁気ディスクを1回転させたときに検出手段の検出器で検出する磁気ディスクの検査領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させるように制御する制御手段と、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した検出器の各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに欠陥の種類を判定する信号処理手段とを備えて構成した。
【0012】
また上記目的を達成するために、本発明では、磁気ディスクにレーザを照射し正反射光と散乱光とを検出して欠陥を検出する光学式の磁気ディスク欠陥検査方法において、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で磁気ディスクの表面からの正反射光を検出し、磁気ディスクを1回転させたときに検出器で検出する磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともにこの欠陥の種類を判定するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、磁気ディスク表面の孤立欠陥の位置をより正確に求めることを可能にするとともに、孤立欠陥の凹凸の判定精度を向上させることを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)および(b)は磁気ディスク欠陥検査装置の全体の構成を示すブロック図、(c)は実施例1に係る光学式の磁気ディスク欠陥検出部の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】非球面レンズの断面図及びそれに対応する非球面フレネルレンズの断面図である。
【図3】光電変換器の受光面の平面図である。
【図4】(a)は磁気ディスク上のレーザによる照明領域と検出器の各画素で検出する検査領域との関係を示す磁気ディスクの照明領域の平面図、(b)は照明領域における光量の分布を示す図である。
【図5】実施例1における欠陥検出処理の流れを示すフロー図である。
【図6】欠陥に応じた反射光の分布の状態を模式的に示した図である。
【図7】磁気ディスク上の半径方向に隣り合うレーザによる照明領域と検出器で検出する検査領域との関係を示す磁気ディスクの照明領域の平面図である。
【図8】(a)磁気ディスク上の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号とそれから算出された欠陥の中心位置を示したグラフ,(b)磁気ディスク上の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号に更に半径方向に隣接する前後の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号のうち検査領域に隣接する側のそれぞれ2画素分の出力信号を加えた検出信号波形とそれから算出された欠陥の中心位置を示したグラフである。
【図9】実施例1における検査結果をマップで表示した表示画面の図である。
【図10】磁気ディスクの平面図(a)とその断面図(b)である
【図11】レーザビームの光軸に直角な断面における光量の分布を示すグラフである。
【図12】(a)は実施例2における磁気ディスク両面欠陥検出部の概略の構成を示すブロック図、(b)は実施例2における磁気ディスク欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例2における裏面側の検査光学系の概略の構成を示す(a)正面図と、(b)A−A方向から見た側面図である。
【図14】実施例2における検査結果をマップで表示した表示画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、磁気ディスク表面の欠陥の凹凸の判定精度を向上させるとともに、孤立欠陥および連続欠陥の位置をより正確に求めることを可能にするために、光学式の磁気ディスク表面欠陥検査装置において、磁気ディスク表面の1回転ごとに半径方向に隣り合う検査領域の検出信号も用いて反射光から欠陥の中心位置を算出し、更に、欠陥の中心位置における基準信号と検出信号とを比較して欠陥の凹凸を判定するようにした。以下に、本発明を磁気ディスクを片面ずつ検査する検査装置に適用した例と、磁気ディスクの両面を同時に検査する両面同時検査装置に適用した例とを、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a)は、磁気ディスクを片面ずつ検査する検査装置に本発明を適用した例を説明するための磁気ディスク検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
103は検査対象の磁気ディスク100を受け入れる搬入部、101は磁気ディスク100の一方の面を検査する第1の磁気ディスク表面欠陥検出部、104は第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101で片側の面の検査を追えた磁気ディスク100を反転させる磁気ディスク反転部、102は反転させた磁気ディスク100の他方の面を検査する第2の磁気ディスク表面欠陥検出部、105は検査が終わった磁気ディスク100を搬出する搬出部である。第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101と第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102とは、基本的に同じ構成となっている。
【0018】
図1(b)には各部の配置を変更した例を示す。搬入部103’と搬出部105’とが第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101’と第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102’及び磁気ディスク反転部104’に対して同じ側に配置した点が図1(a)に示した構成と異なる。
【0019】
図1(c)は、第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101を例としてその詳細な構成を説明する図である。第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101は大きくは、検査対象の試料を載置するテーブル部110、照明光学系120、散乱光検出光学系130、正反射光検出光学系140、信号処理・制御系150で構成されている。
【0020】
テーブル部110は、試料(磁気ディスク)100を載置して回転可能なスピンドル111、スピンドル111を回転の主軸に直角な方向に移動させるステージ112を備えている。
【0021】
照明光学系120はレーザ光源121、レーザ光源121から発射されたレーザのビーム径を拡大する拡大レンズ122、ビーム径が拡大されたレーザを集光する集光レンズ123、集光されたレーザを試料100の表面に集束させる集束レンズ124を備える。
【0022】
散乱光検出系130は、試料100の表面からの反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第1の非球面フレネルレンズ131、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第2の非球面フレネルレンズ132、第2の非球面フレネルレンズ132で集束された散乱光を通過させるピンホール134を有して散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板135、ピンホール板135のピンホール134を通過した散乱光を高感度に検出する第1の光電変換器136(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)又は光電子増倍管(PMT)など)を備える。
【0023】
正反射光検出系140は、試料100からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光を反射して光路を切替えるミラー141、光路を切替えられた正反射光を第2の光電変換器146(PIN photo diode)で受光させる。ミラー141は、正反射光以外の光(散乱光)を反射しないように、十分に小さい形状に形成されている。第2の光電変換器146は、複数の検出素子(例えば複数の画素を有するフォトダイオードアレイまたはアバランシェ・フォトダイオード(APD)アレイ)を備えている。
【0024】
図2の(a)は通常の光学レンズ210を示し、(b)にはそれと同じ開口を有する非球面フレネルレンズ220の例を示す。この図からもわかるように、非球面フレネルレンズ220は、同じ開口を有する通常の光学レンズ210と比べて、比較的薄い寸法で形成することができる。本実施例においては、このような特性を持つ非球面フレネルレンズを、第1の非球面フレネルレンズ131及び第2の非球面フレネルレンズ132として用いる。
【0025】
信号処理・制御系150は、第1の光電変換器136からの出力をA/D変換し増幅する第1のA/D変換部151と第2の光電変換器145からの出力をA/D変換し増幅する第2のA/D変換部152とを備えた光電変換部158、第1のA/D変換部151と第2のA/D変換部152との出力を受けて信号処理する信号処理部153、信号処理部153で処理された結果を記憶する記憶部154、信号処理部153で処理された結果を出力する表示画面156を備えた出力部155、全体を制御する全体制御部157を備えている。
【0026】
次に、各部の動作を説明する。
テーブル部110は全体制御部157で制御されて、試料100を載置した状態でスピンドル111を回転させると共に、スピンドル111の回転と同期してステージ112をスピンドル111の回転の主軸に直角な方向に移動させる。
【0027】
テーブル部110により試料100を回転、移動させながら、全体制御部157で制御されている照明光学系120のレーザ光源121から発射したレーザを集束レンズ124で試料100の表面に集束させて照射する。
【0028】
レーザが照射された試料100の表面1001からは、表面の欠陥や傷、面の微小な凹凸(荒れ)などの状態に応じた反射光(散乱光と正反射光)が発生する。このとき、散乱光は試料100の表面の欠陥の大きさに応じて分布する。すなわち、大きな欠陥や傷からの散乱光は比較的強い強度で指向性を持って分布し、微小な欠陥や傷からの散乱光は比較的弱い強度で大きな広がりを持って分布する。
【0029】
レーザが照射された試料100の表面1001からの反射光のうち正反射光は、試料100の表面1001に入射するレーザの入射角度と同じ出射角度側(正反射光の光路上)に配置されたミラー141で反射されて集光レンズ142の方向に進む。集光レンズ142に入射した試料100からの正反射光は集光レンズ142を透過して集光され、結像レンズ143により集光位置に設置されたピンホール板144のピンホール145を通過して第2の光電変換器146の受光面147上に試料100の表面1001の像を結像する。
【0030】
図3に示すように、第2の光電変換器146の受光面147(試料100の表面1001からの正反射光が入射する面)には複数の画素147-1から147-n(図3はn=7の場合を示す)がアレイ状に配列されており、結像レンズ143で形成された試料100の表面1001からの正反射光による表面1001の像を検出する。
【0031】
図4(a)には、第2の光電変換器146で撮像する試料100の表面1001の領域147’と試料100の表面1001でレーザで照射される領域148の関係を示している。図4(b)には、レーザで照射される領域148における光量の分布149と第2の光電変換器146の受光面147の各画素147-1から147-7の撮像範囲との関係を示す。レーザの光量の分布149はガウス分布になる。試料100の表面1001のレーザで照射される範囲(領域148の長さ)401は、第2の光電変換器146の撮像範囲402よりも大きい。
【0032】
一方、レーザが照射された試料100の表面1001からの反射光でミラー141で反射されなかった光(散乱光)のうち対物レンズの役目をする第1の非球面フレネルレンズ131に入射した光は集光され、集束レンズの役目をする第2の非球面フレネルレンズ132に入射して第1の光電変換器136の検出面(図示せず)上に集束し、高感度な第1の光電変換器136で検出される。
【0033】
第1の非球面フレネルレンズ131及び第2の非球面フレネルレンズ132は従来の光学レンズに比べて薄く軽量であるために、それらを収納する鏡筒(図示せず)を従来の光学レンズの鏡筒に比べて比較的コンパクトに作ることが可能になり、試料上面における設置位置の自由度が増して開口数(NA)を0.6以上(従来の光学レンズを用いた場合のNAは0.4以下)で設計することが可能になる。その結果、前述したように微小な欠陥からの散乱光は基板の上方にほぼ等方的に分布するために、検出感度が同じであれば検出信号のレベルは検出面の面積に比例するので、従来の光学レンズ系で構成した検出光学系で検出する場合に比べて大きい検出信号を得ることができる。したがって、従来と比べてより小さい欠陥からの散乱光を検出できることになる。
【0034】
A/D変換部151と152とは、それぞれ第1の光電変換器136または第2の光電変換器146から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、増幅して出力する。
【0035】
A/D変換部151と152から出力されたデジタル信号は信号処理部153に入力し、信号処理部153においては、デジタルに変換された第1の光電変換器136からの出力信号と第2の光電変換器146からの出力信号とを両方又はその一方を用いて処理して試料100の表面1001に存在する欠陥を検出し、テーブル部110を制御する全体制御部157から得られる試料100上のレーザ照射位置情報を用いて、検出した欠陥の基板100上の位置を特定する。さらに、信号処理部153においては、第1の光電変換器136と第2の光電変換器146とからの検出信号の特徴にもとづいて検出した欠陥の種類を特定する。
【0036】
本実施例においては、散乱光検出光学系130に非球面フレネルレンズ131と非球面フレネルレンズ132とを用いた構成について説明したが、これらのレンズの代わりに、図2(a)に示したような非球面レンズまたは通常の球面レンズを組合わせたもので構成しても良い。
【0037】
次に、信号処理部153で行う欠陥の抽出と抽出した欠陥を分類する処理について図5を用いて説明する。
【0038】
正反射光検出光学系140の第2の光電変換器146で試料100の表面からの正反射光を検出した信号は、A/D変換部152でデジタル信号に変換されて信号処理部153に入力される(S501)。信号処理部153において入力された信号は一旦記憶部(図示せず)に記憶され、順次入力した各画素からの出力信号の値を予め記憶しておいた欠陥のない領域からの正反射光の検出信号(第2の光電変換器146の各画素147からの出力)の値で割って正規化する(S502)。
【0039】
次に、この正規化した信号波形(正規化した各画素の値をプロットしたもの)から欠陥の有無を判定する(S503)。この正規化した信号波形が全領域(第2の光電変換器146の全画素147−1〜147−7)において1±ε(εは誤差の範囲)の範囲に入っていればその領域には欠陥がないと判定し、次の領域の検査を行う。一方、この正規化した信号波形の一部の領域又は全領域が1±εの範囲外に有るときには欠陥ありと判定する。
【0040】
次に、欠陥ありと判定された場合に、その欠陥が孤立欠陥か連続した線状の欠陥であるかを判定する(S504)。ここでは、この正規化した信号波形の一部の領域が1±εの範囲外に有るときには孤立欠陥と判定し、正規化した信号波形の全領域が1±εの範囲外に有るときには線状欠陥と判定する。
【0041】
孤立欠陥と判定された場合には、後述するような方法で第2の光電変換器146の各画素147−1〜147−7の正規化された信号波形から欠陥の中心位置を求め(S505)、重心位置の正規化信号のレベルから欠陥の凹凸を判定する(S506)。
【0042】
線状の欠陥であると判定された欠陥については、記憶部に記憶しておいて、試料100が1回転したときの試料100の半径方向に1ピッチ分ずれた領域からの反射光を検出して得た信号と組合せて欠陥のサイズを算出する(S507)。このような検査を試料100の全面に亘って行い(S508)、その結果を入出力装置155の表示画面156に表示する(S509)。
【0043】
試料100の一方の面の検査を終了すると試料100は図1(a)又は(b)に示すように、第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101から、磁気ディスク反転部104又は104’に送られて反転させられ、未だ検査されていない側の面が上面になる。次に反転させられた試料100は第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102また波102’に搬送されて上記に説明したS501からS509までのステップが実行される。
【0044】
このようにして両面が検査された試料100は搬出部105股波105’に送られて装置の外部に取り出される。
【0045】
信号処理部153で判定した結果は、欠陥の位置情報と共に記憶部154に記憶されると共に、図9に示すように、出力部155の画面156上にマップ形式で表面の欠陥の分布1561と裏面の欠陥の分布1562、及び欠陥表示選択部1563で選択した欠陥を種類ごと、及びサイズごとに表面の欠陥マップ1561と裏面の欠陥マップ1562上で識別できるようにして表示する。
【0046】
つぎに、(S504)で孤立欠陥と判定された欠陥の検出信号から欠陥の中心位置を求め(S505)欠陥の凹凸を判定する(S506)処理について説明する。
【0047】
正反射光検出光学系140においては、前述したように、試料100の表面1001に照射するレーザの光軸に直角な断面内の光量の分布1002は、図11に示すように中央(光軸の中心)が強く、中央部から離れるに従って弱くなるいわゆるガウス分布をしている。このような光量に分布を持つレーザで照明された領域からの反射光による像を検出して欠陥を抽出するためには、欠陥のない領域をレーザで照明したときの正反射光の像を検出した第2の光電変換器146の各画素からの出力信号を基準として、試料100上の各領域を照明したときの正反射光による像を検出した第2の光電変換器146の各画素の出力信号の割合を各画素ごとに求める(正規化する)ことにより得ることができる。
【0048】
即ち、試料100上で欠陥がない領域からの正反射光を検出したときの各画素からの出力は基準の出力信号に対してそれぞれ1になるが、試料100上の欠陥がある部分からの正反射光を検出した信号は基準の出力信号に対して大きくなる場合(主に凹状の欠陥)や小さくなる場合(主に凸状の欠陥)、即ち欠陥がない領域からの正反射光を検出したときの画素毎の出力信号を基準として画素ごとに正規化(各画素の出力信号を画素毎の基準の出力信号で割る)した値が1よりも大きくなったり小さくなったりする。このように各画素の出力信号を基準信号と比較することにより欠陥の有無や種類を判定することができる。
【0049】
図6に欠陥にレーザ光源601から発射したレーザを試料610に照射したときの散乱光の発生の状態と検出器602との関係を模式的に示す。図6(b)は試料610上に欠陥のない状態を示す。レーザ光源601から発射されたレーザを欠陥がない面612に照射した場合、入射時と同じ光量分布で反射して検出器602に到達する。図6(a)は試料610上の凹状の欠陥611にレーザを照射した場合を示す。凹状の欠陥611に照射されたレーザは、レンズ作用により検出器602の側に集束するように反射する。即ち、凹状の欠陥611からの反射光は周囲よりも光の強度が強くなる傾向がある。また、欠陥からの反射光が収束することにより、欠陥の周辺部からの反射光量は減少し、検出信号レベルが低下する傾向にある。一方、図6(c)は試料610上の凸状の欠陥613にレーザを照射した場合を示す。凸状の欠陥613に照射されたレーザは、広い角度で散乱して検出器602に到達する光量は図6(b)の欠陥がない部分に比べて減少する。また、散乱した光の影響を受けて、欠陥の周辺部の領域の検出信号のレベルが上昇する。即ち、凸状の欠陥を含む領域を撮像した画像では、凸状の欠陥部が暗く、その周辺部が多少明るい像として撮像される。欠陥に照射されたレーザの反射に関するこのような性質を利用して、反射光量の分布を調べることにより、凹状の欠陥と凸状の欠陥とを識別することができる。
【0050】
図7には、試料100が1回転する毎の表面上のレーザ照射位置と第2の光電変換器146の受光面147の複数の画素147-1から147-7で検出する領域の関係を示す。全体制御部157によりステージ112が制御されて、スピンドルがn回転したときの撮像領域(検査領域)401は(n−1)回転時の撮像領域(検査領域)402及び(n+1)回転時の撮像領域(検査領域)403とそれぞれ境界を接するように半径方向への撮像領域が移動するように設定されているが、n回転時の照明領域701(照明光の光量の分布を711に示す)は、(n−1)回転時の照明領域702(照明光の光量の分布を712に示す)及び(n+1)回転時の照明領域703(照明光の光量の分布を713に示す)とそれぞれ一部が重なり合っている。
【0051】
図6を用いて説明したように、凹状の欠陥611がある場合、欠陥からの反射光が収束することにより欠陥の周辺部からの反射光量は減少し、凸状の欠陥612が有る場合、欠陥からの反射光が広い角度で散乱することにより欠陥の周辺部からの反射光量が多少増加する。
【0052】
即ち、図7の場合、検査領域401には存在しない欠陥720の影響により、検査領域401を撮像して得た画像信号のうち領域403に近い部分を検出した画素からの信号は、欠陥720が凹状の欠陥の場合には周囲よりも低いレベルとなり、欠陥720が凸状の欠陥の場合には周囲よりも高いレベルとなる。その結果、n回転時に第2の光電変換器146の画素147-1乃至147-7で検出する試料100の表面1001の像のうち周辺の画素、147−1,147−2および147−6、147−7で検出する画像には隣接する領域からの反射光(欠陥からの散乱光)の影響を受けてしまう可能性がある。
【0053】
これにより、n回転時の検出領域401には欠陥が存在しない場合であっても、n回転時の照明領域701で(n+1)回転時の検出領域703に存在する欠陥720からの反射光の一部が第2の光電変換器146の受光面147の複数の画素147-6及び147-7に入り込んでそれぞれの画素の検出信号に影響を与えてしまう。
【0054】
欠陥検査領域401と欠陥720の位置の関係が図7に示したようなときに、n回転時の第2の光電変換器146の画素147-1乃至147-7の検出信号だけを用いて欠陥を検出した場合(図8(a))と、(n−1)回転時の検出領域602のうちn回転時の検出領域601と重なる領域形の正反射光を検出した画素の出力信号と、(n+1)回転時の検出領域603のうちn回転時の検出領域601と重なる領域形の正反射光を検出した画素の出力信号とを用いて欠陥を検出した場合(図8(b))について説明する。
【0055】
図8(a)および(b)においては、第2の光電変換器146の7つの画素のうち中央の画素位置を中心(0)とし、一方の側を+、他方の側を−として表示した。
【0056】
検出信号における欠陥の中心位置Gを、中央の画素の位置を0とし、各画素をこの中央の画素から数えた番号を+n又は−nとし、各画素の出力を正規化した値から1を引いた値の絶対値をSnとしたときに、(数1)で定義する。
【0057】
【数1】
【0058】
図8(a)のn回転時の第2の光電変換器146の検出信号だけを用いて欠陥を検出した場合には、欠陥の中心位置を−3の画素の位置と判定し、そのときの受光信号レベルが負なので、−3の画素の位置に凸の欠陥が存在すると判定してしまう。
【0059】
そこで、本実施例においては、撮像範囲(検査領域)から外れた照明領域からの反射光の影響を低減するために、n回転時の第2の光電変換器146の各画素147−1〜7の検出信号に(n−1)回転時及び(n+1)回転時の検出信号のうちn回転時の検出領域に近い側の画素2つずつの信号も用いてn回転時の欠陥の抽出と欠陥位置の算出とを行うようにした。なお、画素数は2に限らず、3以上でも良い。図8(b)に、欠陥位置の算出に用いた信号の一例を示す。
【0060】
図8(b)は、欠陥がない領域からの正反射光を検出した各画素からの出力信号を基準としてn回転時の検査領域からの正反射光による画像を第2の光電変換器145で検出して各画素147−1〜7から出力された検出信号を正規化した値から1を引いた場合を示し、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号のうちn回転時の検査領域に近いほうの2画素分ずつの出力信号も加えた結果を示す。図8(b)においても、第2の光電変換器146の7つの画素のうち中央の画素位置を中心とし、一方の側を+、他方の側を−として表示し、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号を+4と+5及び−4と−5として表示した。
【0061】
図8(b)の(n−1)回転時と(n+1)回転時の検出信号の一部も用いて画素位置−5から+5までの出力を用いて欠陥の中心位置を算出すると、欠陥の中心位置は−4の画素の位置となる。これは画素位置−3〜+3の範囲から外れた検出領域外であるので、n回転時の検出領域内には欠陥が存在しないと判定する。
【0062】
このように、検査対象領域に隣接する領域の検出信号を用いて欠陥位置を求めることにより、検査対象領域の近傍にある欠陥からの反射光の影響を低減して欠陥を抽出することが可能になる。
【0063】
また、図6で説明した凹欠陥、凸欠陥からの散乱光の光量分布特性の違いを用いることにより、算出した欠陥の中心位置における出力信号レベルから欠陥の凹凸を判断することができる。すなわち、欠陥部からの反射光の上記したような性質を用いることにより、算出した欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定することができる。
【0064】
このように検出した欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定する場合、n回転時の検出信号だけを用いると周辺部の147−1、147−2及び147−6,147−7の画素はn回転時の撮像領域外にあってn回転時にレーザが照射された領域に存在する欠陥からの反射光の影響を受けて検出光量が変化し、その結果算出される欠陥の中心位置がずれてしまい、欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定する場合に、例えば凸状の欠陥を凹状の欠陥と誤判定してしまう恐れがあった。
【0065】
これに対して本実施例においては、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号も用いて欠陥の中心位置を算出するために、n回転時の撮像領域外にあってn回転時にレーザが照射された領域に存在する欠陥からの反射光を検出した信号も欠陥の中心位置の算出に用いるので、欠陥の誤判定を防止でき、より正確に欠陥の形状を判定することが可能になった。
【実施例2】
【0066】
次に、本発明の第二の実施例として、磁気ディスクの両面の欠陥を同時に検出する両面欠陥検査装置に適用した例を、図を用いて説明する。
【0067】
図12(a)は、本実施例による磁気ディスクの両面の欠陥を同時に検出する両面欠陥検出部1200の全体構成を示す図である。両面欠陥検出部1200は大きくは、検査対象の試料を載置するテーブル部1110、表面側検査光学系1120、裏面側検査光学系1130、信号処理・制御系1140で構成されている。
【0068】
テーブル部1110は、試料(磁気ディスク)100を載置して回転可能なテーブル(スピンドル)1111、テーブル1111を回転の主軸に直角な方向に移動可能なステージ1112を備えている。また、テーブル部は、図示していない試料100をチャックして保持する機構を備えている。
【0069】
図12(b)に本実施例による両面欠陥検出部1200を備えた磁気ディスク検査装置の全体構成を示すブロック図である。装置全体は、両面欠陥検出部1200と磁気ディスク搬入・搬出部1210とで構成され、図1(a),(b)に示した磁気ディスクの片面ずつを検査する装置に比べてよりシンプルな構成になっている。
【0070】
両面欠陥検出部1200のうち、試料100の表面側1001の欠陥を検出する表面側検査光学系1120の基本的な構成は実施例1で説明したものと同じであるので説明を省略する。
【0071】
試料100の裏面側1002の欠陥を検出する裏面側検査光学系1130の概略の構成を図13(a)及び(b)に示す。裏面側検査光学系130は照明系1301と散乱光検出系1302及び正反射光検出系1303で構成される。
【0072】
裏面側検査光学系1230の照明系11301は、図13(a)に示すように、第2のレーザ光源1231、第2のレーザ光源1231から発射したレーザを拡大する拡大レンズ1232、拡大されたレーザを集光する集光レンズ1233、集光されたレーザを試料100の裏面に集束させる集束レンズ1234、集光レンズ1234を透過したレーザの光路を折り曲げるプリズム1235を備えて構成される。プリズム1235の面1236でレーザを反射して光路を折り曲げる構成としたので第2のレーザ光源1231を基板100の下部の比較的狭い空間から離れた場所に設置することができ、従来の片面ずつ検査する装置に比べてテーブル部110に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
裏面側の散乱光検出系1240は、レーザが照射された試料100の裏面1002から発生した反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ1241、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第4の非球面フレネルレンズ1242、第4の非球面フレネルレンズ1242を透過してプリズム1235の面1237で反射して光路を切替えられた散乱光を通過させるピンホール1252を有して試料100の裏面1001からの散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板1251、ピンホール板1251のピンホール1252を通過した散乱光を高感度に検出する第3の光電変換器1260(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)や光電子増倍管(PMT)など)を備えて構成される。
【0073】
裏面側の散乱光検出系1240に非球面フレネルレンズ1241及び1242とプリズム1235とを組合せて用いたことにより、基板100の下部の比較的狭い空間にNA(開口数)が比較的大きい光学系を設置することが可能になり、更に、プリズム1235で散乱光の光路を折り曲げて検出する構成としたので、従来の片面だけを検査する装置に比べてテーブル部110に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
【0074】
裏面側の正反射光検出系1270は、図13(b)に示すように、レーザが照射された試料100の裏面1002からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光の光路を切替えるミラー1243(図13(a)の構成では、紙面に垂直な方向に反射する)、光路を切替えられた正反射光を集光する集光レンズ1272、集光された正反射光を結像させる結像レンズ1273、結像レンズ1273を透過した正反射光を通過させて正反射光以外の迷光を遮光するピンホール1275が形成されたピンホール板1274、結像レンズ1273で結像された試料100の裏面1002の像を検出する第4の光電変換器1276(アバランシェ・フォトダイオード(APD))を備えている。第4の光電変換器1276の構成は、実施例1で説明した第2の光電変換器146と同じである。
【0075】
図12において、信号処理系1140は、表面側検査光学系1120(図1の101に相当)の散乱光検出系130の第1の光電変換器136から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第1のA/D変換器151と正反射光検出光学系140の第2の光電変換器146から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第2のA/D変換器152とを備えた第1のA/D変換部1141(図1(c)に示した構成におけるA/D変換部158に相当)、裏面側検査光学系1130の散乱光検出系1240の第3の光電変換器1260から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第3のA/D変換器1281と正反射光検出光学系1270の第4の光電変換器1276から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第4のA/D変換器1282とを備えた第2のA/D変換部1142、第1のA/D変換部1141からの出力を受けて信号処理する第1の信号処理部1143(図1(c)に示した構成における信号処理部153に相当)と、第2のA/D変換部1142からの出力を受けて信号処理する第2の信号処理部1144と、第1の信号処理部1143で処理された信号と第2の信号処理部1144で処理された信号とを統合して処理する統合信号処理部1145、統合信号処理部1145で処理された結果を記憶する記憶部1146と、統合信号処理部1145で処理された結果を出力するとともに検査条件を入力する表示画面1148を備えた入出力部1147、全体を制御する全体制御部1149、全体制御部1149の制御信号を受けてテーブル部1110を制御するテーブル制御部1150、全体制御部1149の制御信号を受けて表面側の検査光学系1120と裏面側の検査光学系1130とを制御する検査光学系制御部1151とを備えている。
【0076】
次に、上記した構成において磁気ディスクの両面を同時に検査する場合の各部の動作を説明する。
【0077】
先ず、図示していないロード機構で試料100をテーブル部1110のテーブル1111に載置し図示していないチャック機構でチャックして保持した状態で、テーブル部1110はテーブル制御部1150で制御されてテーブル1111を回転させると共に、テーブル1111の回転と同期してステージ1112をテーブル1111の回転の主軸に直角な方向に移動させる。
【0078】
テーブル部1110により試料100を回転、移動させながら、検査光学系制御部1151で制御されている表面側検査光学系1120の第1のレーザ光源121及び裏面側検査光学系1130の第2のレーザ光源1231を作動させてそれぞれレーザを発射させる。
【0079】
表面側検査光学系1120における試料100の表面1001側の欠陥検査方法は実施例1で説明したものと基本的には同じであるので、説明を省略する。表面側検査光学系1120で検出された信号はA/D変換部1141でA/D変換されて信号処理部1143(図1の信号処理部153に相当)で処理される。信号処理部1143における処理の方法は、実施例1で図3から図8を用いて説明した方法と同じである。信号処理部1143で処理された結果は、欠陥の位置情報と共に統合処理部1145に送られる。
【0080】
次に、裏面側検査光学系1130においては、図13(a)に示すように、第2のレーザ光源1231から発射されたレーザは、拡大レンズ1232でレーザのビーム径が拡大され、この径が拡大されたレーザは集光レンズ1233で集光されて平行光となり集束レンズ1234に入射する。集束レンズ1234を透過したレーザはプリズム1235の面1236で反射されて光路が切替えられ、集束レンズ1234の焦点位置に配置された試料100の裏面1002に集束させられる。
【0081】
プリズム1235の面1236は、反射されたレーザが試料100の裏面1002に所望の角度(30度前後)で入射するように設定されている。集束したレーザが照射された試料100の裏面1002からは反射光(正反射光と散乱光)が発生するが、そのうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ1241の方向に向かった反射光は、焦点の位置が試料100の裏面1002のレーザ照射位置に合うように設置された第3の非球面フレネルレンズ1241に入射し、集光されて平行光として第3の非球面フレネルレンズ1241から出斜する。一方、第3の非球面フレネルレンズ1241の方向に向かった反射光のうち正反射光は第3の非球面フレネルレンズ1241の前方に配置したミラー1243で反射されて光路が切替えられて、第3の非球面フレネルレンズ1241には入射しない。
【0082】
第3の非球面フレネルレンズ1241に入射して集光されて平行光となった試料100の裏面1002からの散乱光は、第4の非球面フレネルレンズ1242に入射し、第4の非球面フレネルレンズ1242を透過した後にプリズム1235の面1237で反射されて光路が切替えられ第4の非球面フレネルレンズ1242の焦点位置に集束させられる。プリズム1235の面1237は、反射した散乱光が所望の方向(試料100の裏面1002と平行な方向)に光路が切替るように角度が設定されている。なお、本実施例においては、第2のレーザ光源1231から発射されたレーザはプリズム1235の面1236に到達するまで試料100の裏面1002に対して平行に進むように裏面側の照明系を設定して、面1236と面1237とは同じ傾斜角度に設定されている。プリズム1235の面1236と面1237とは、それぞれミラーで構成されていてもよい。
【0083】
第4の非球面フレネルレンズ1242の焦点位置にはピンホール板1251が配置されており、焦点位置に集束した試料からの散乱光を通過させるようにピンホール1252が空けられている。一方、散乱光以外の光(プリズム1235など光学部品からの反射光:迷光)の大部分はピンホール1252を通過できずにピンホール板1251で遮光されるため、第3の光電変換器1260で検出される光のほとんどはピンホール1252を通過した試料100の裏面1002からの散乱光になる。
【0084】
第3の光電変換器1260で試料100の裏面1002からの散乱光を検出して得た信号はA/D変換部1141のA/D変換器1281に入力してデジタル信号に変換されて増幅された後、裏面側検出信号処理部1144に入力される。
【0085】
一方、ミラー1243で反射されて光路が切替えられて裏面側正反射光検出光学系1270に入った試料100からの正反射光は、図13(b)に示すように、集光レンズ1272に入射して集光され、結像レンズ1273に入射する。結像レンズ1273に入射して透過した正反射光が集光される位置にはピンホール1275が穿たれたピンホール板1274が設置されている。結像レンズ1273を透過した正反射光は、ピンホール1275を通過して迷光が除去された後、第4の光電変換器1276の検出面上に試料100の裏面1002の像を結像し第4の光電変換器1276で検出される。第4の光電変換器1276で検出した正反射光の検出信号はA/D変換部1142のA/D変換器1282に入力して増幅されデジタル信号に変換された後、裏面側検出信号処理部1144に入力される。
【0086】
裏面側検出信号処理部1144に入力した第3の光電変換器1260からの検出信号と第4の光電変換器1276からの検出信号とはそれぞれ前述した表面側検出信号処理部1143(実施例1における信号処理部153に相当)と同様に処理されて試料100の裏面側1002の欠陥が検出され、欠陥の種類と大きさを判定し、その結果が欠陥の位置情報と共に統合処理部1145に送られる。
【0087】
本実施例に拠れば、非球面フレネルレンズを組合せて高NAの検出光学系をコンパクトに構成できるようになったので、装置を大型化することなくより微細な欠陥を基板の両面同時に検出することが可能になった。
【0088】
表面側検出信号処理部1143と裏面側検出信号処理部1144とで処理されたデータは統合処理部1145へ送られて処理され、試料100の両面の欠陥情報として記憶部1146に送られて格納されると共に、入出力部1147にも送られて画面1148上に検査結果の情報を出力する。
【0089】
本実施例2において出力部1147から出力される検査結果の情報の一例を図14に示す。この例は、表示画面1148上に試料100の表面で検出された欠陥の種類ごとの分布1401と裏面で検出された欠陥の種類ごとの分布1402の状態をマップ形式で並べて表示し、その脇に欠陥のリスト1403を表形式で表示した画面1400の例を示す。ユーザは、欠陥リスト1403上で任意の欠陥種類を指定することにより、指定された種類の欠陥の表面側の分布1401と裏面側の分布1402との状態を視覚的に把握することができる。
【0090】
図14に示した表示画面の構成は図9で説明した実施例1における表示画面の構成と実質的に同じであるが、本実施例2においては試料100の表面1001と裏面1002とを同時に検査しているので、表面1001の側で検出された欠陥と裏面1002の側で検出された欠陥との相対的な位置関係を把握することが可能になり、製造プロセスを管理する上で有効な情報として使うことができる。
【符号の説明】
【0091】
110・・・テーブル部 111・・・テーブル(スピンドル) 112・・・ステージ 120・・・照明光学系 121・・・第1のレーザ光源 122・・・拡大レンズ 123・・・集光レンズ 124・・・集束レンズ 130・・・散乱光検出光学系 131・・・第1の非球面フレネルレンズ 132・・・第2の非球面フレネルレンズ 136・・・第1の光電変換器 140・・・正反射光検出光学系 141・・・ミラー 142・・・集光レンズ 143・・・結像レンズ 146・・・第2の光電変換器 150・・・信号処理・制御系 153・・・信号処理部 154・・・記憶部 157・・・全体制御部 1110・・・テーブル部 1120・・・表面側検査光学系 1130・・・裏面側検査光学系。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクの表面の欠陥を光学的に検査する方法及びその装置に係り、特に、従来の磁気ディスク表面の凹みや傷及び両面に付着した異物を検出するのに適した磁気ディスクの光学式欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の連続記録磁性媒体の磁気ディスク表面の欠陥を検査する装置は、例えば特許文献1(特開2002−257742号公報)や特許文献2(特開2008−268189号公報)に記載されている。この特許文献1には、回転している磁気ディスクにレーザビームを斜め方向から照射して、ディスク表面からの正反射光を複数の受光素子を備えた検出器上に結像させ、その検出信号を処理して欠陥を検出する構成が開示されている。 また特許文献2には、回転している磁気ディスクにレーザビームを斜め方向から照射して、ディスク表面からの正反射光と散乱光とを検出し、正反射光と散乱光とのそれぞれの検出信号を処理することによりディスク表面の欠陥を検出して分類する検査装置が開示されている。
【0003】
一方、磁気ディスクを照明するレーザは、そのビームの断面における強度分布がガウス分布であることが知られているが、特許文献3(特開平6−347418号公報)には、ガウス分布を有するレーザ光を被検物体の複数断面にそってレーザ光束の半径にほぼ等しい間隔で移動させて各断面における光束を重畳させることにより均一な照明強度による観察を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−257742号公報
【特許文献2】特開2008−268189号公報
【特許文献3】特開平6−347418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気ディスクの記録容量の増大化に伴い、磁気ディスク上の記録密度が高くなり、検出すべき欠陥のサイズがより小さくなってきている。
【0006】
図10に、本発明で検査対象とする試料(磁気ディスク)100の外観を示す。(a)は磁気ディスク100を示し、(b)にその断面の一部を拡大した模式図を示す。磁気ディスク100は基板1011の両面に磁性膜1012(実際には、下地膜上に形成された多層膜で構成されている)が均一に形成されその表面が保護膜1013で覆われた構造になっている。したがって、表面が無欠陥の理想的な状態では、磁気ディスク100の表面にレーザを斜め方向から照射したときに、磁気ディスク100の表面からは照射したレーザの断面内の光量の分布に応じた分布を持つ反射光が検出される。
【0007】
一方、磁気ディスク100の表面に照射するレーザの光軸に直角な断面内の光量の分布1101は、図11に示すように中央(光軸の中心)が強く、中央部から離れるに従って弱くなるいわゆるガウス分布形状を持つ。
【0008】
一般に磁気ディスク100の検査においては、磁気ディスク100を回転させながら1回転につき磁気ディスク表面の半径方向に隣り合う領域からの反射光を検出器で検出して欠陥を抽出している。このとき磁気ディスク表面のレーザの照射位置は前回の照射位置と一部が重なり合うようにして、即ち検出器で検出する領域よりも広い領域に照射している。
【0009】
その結果、ある時点での検査においては、1回転前の照射領域に存在する欠陥であって当該時点での検査領域には存在しない欠陥からの反射光(散乱光)の影響を受けてしまい、欠陥位置の検出をより正確に求めようとする場合に、検出位置に誤差を生じさせてしまう原因となっている。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決して、微細な欠陥の位置をより正確に求めることを可能にする光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、磁気ディスクにレーザを照射し正反射光と散乱光とを検出して欠陥を検出する光学式の磁気ディスク欠陥検査装置を、正反射光を検出する手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有する正反射光検出手段と、磁気ディスクを1回転させたときに検出手段の検出器で検出する磁気ディスクの検査領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させるように制御する制御手段と、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した検出器の各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに欠陥の種類を判定する信号処理手段とを備えて構成した。
【0012】
また上記目的を達成するために、本発明では、磁気ディスクにレーザを照射し正反射光と散乱光とを検出して欠陥を検出する光学式の磁気ディスク欠陥検査方法において、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で磁気ディスクの表面からの正反射光を検出し、磁気ディスクを1回転させたときに検出器で検出する磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た各画素からの出力信号に加えて半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともにこの欠陥の種類を判定するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、磁気ディスク表面の孤立欠陥の位置をより正確に求めることを可能にするとともに、孤立欠陥の凹凸の判定精度を向上させることを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)および(b)は磁気ディスク欠陥検査装置の全体の構成を示すブロック図、(c)は実施例1に係る光学式の磁気ディスク欠陥検出部の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】非球面レンズの断面図及びそれに対応する非球面フレネルレンズの断面図である。
【図3】光電変換器の受光面の平面図である。
【図4】(a)は磁気ディスク上のレーザによる照明領域と検出器の各画素で検出する検査領域との関係を示す磁気ディスクの照明領域の平面図、(b)は照明領域における光量の分布を示す図である。
【図5】実施例1における欠陥検出処理の流れを示すフロー図である。
【図6】欠陥に応じた反射光の分布の状態を模式的に示した図である。
【図7】磁気ディスク上の半径方向に隣り合うレーザによる照明領域と検出器で検出する検査領域との関係を示す磁気ディスクの照明領域の平面図である。
【図8】(a)磁気ディスク上の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号とそれから算出された欠陥の中心位置を示したグラフ,(b)磁気ディスク上の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号に更に半径方向に隣接する前後の検査領域からの正反射光を検出した各画素の出力信号のうち検査領域に隣接する側のそれぞれ2画素分の出力信号を加えた検出信号波形とそれから算出された欠陥の中心位置を示したグラフである。
【図9】実施例1における検査結果をマップで表示した表示画面の図である。
【図10】磁気ディスクの平面図(a)とその断面図(b)である
【図11】レーザビームの光軸に直角な断面における光量の分布を示すグラフである。
【図12】(a)は実施例2における磁気ディスク両面欠陥検出部の概略の構成を示すブロック図、(b)は実施例2における磁気ディスク欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。
【図13】実施例2における裏面側の検査光学系の概略の構成を示す(a)正面図と、(b)A−A方向から見た側面図である。
【図14】実施例2における検査結果をマップで表示した表示画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、磁気ディスク表面の欠陥の凹凸の判定精度を向上させるとともに、孤立欠陥および連続欠陥の位置をより正確に求めることを可能にするために、光学式の磁気ディスク表面欠陥検査装置において、磁気ディスク表面の1回転ごとに半径方向に隣り合う検査領域の検出信号も用いて反射光から欠陥の中心位置を算出し、更に、欠陥の中心位置における基準信号と検出信号とを比較して欠陥の凹凸を判定するようにした。以下に、本発明を磁気ディスクを片面ずつ検査する検査装置に適用した例と、磁気ディスクの両面を同時に検査する両面同時検査装置に適用した例とを、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(a)は、磁気ディスクを片面ずつ検査する検査装置に本発明を適用した例を説明するための磁気ディスク検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【0017】
103は検査対象の磁気ディスク100を受け入れる搬入部、101は磁気ディスク100の一方の面を検査する第1の磁気ディスク表面欠陥検出部、104は第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101で片側の面の検査を追えた磁気ディスク100を反転させる磁気ディスク反転部、102は反転させた磁気ディスク100の他方の面を検査する第2の磁気ディスク表面欠陥検出部、105は検査が終わった磁気ディスク100を搬出する搬出部である。第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101と第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102とは、基本的に同じ構成となっている。
【0018】
図1(b)には各部の配置を変更した例を示す。搬入部103’と搬出部105’とが第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101’と第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102’及び磁気ディスク反転部104’に対して同じ側に配置した点が図1(a)に示した構成と異なる。
【0019】
図1(c)は、第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101を例としてその詳細な構成を説明する図である。第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101は大きくは、検査対象の試料を載置するテーブル部110、照明光学系120、散乱光検出光学系130、正反射光検出光学系140、信号処理・制御系150で構成されている。
【0020】
テーブル部110は、試料(磁気ディスク)100を載置して回転可能なスピンドル111、スピンドル111を回転の主軸に直角な方向に移動させるステージ112を備えている。
【0021】
照明光学系120はレーザ光源121、レーザ光源121から発射されたレーザのビーム径を拡大する拡大レンズ122、ビーム径が拡大されたレーザを集光する集光レンズ123、集光されたレーザを試料100の表面に集束させる集束レンズ124を備える。
【0022】
散乱光検出系130は、試料100の表面からの反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第1の非球面フレネルレンズ131、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第2の非球面フレネルレンズ132、第2の非球面フレネルレンズ132で集束された散乱光を通過させるピンホール134を有して散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板135、ピンホール板135のピンホール134を通過した散乱光を高感度に検出する第1の光電変換器136(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)又は光電子増倍管(PMT)など)を備える。
【0023】
正反射光検出系140は、試料100からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光を反射して光路を切替えるミラー141、光路を切替えられた正反射光を第2の光電変換器146(PIN photo diode)で受光させる。ミラー141は、正反射光以外の光(散乱光)を反射しないように、十分に小さい形状に形成されている。第2の光電変換器146は、複数の検出素子(例えば複数の画素を有するフォトダイオードアレイまたはアバランシェ・フォトダイオード(APD)アレイ)を備えている。
【0024】
図2の(a)は通常の光学レンズ210を示し、(b)にはそれと同じ開口を有する非球面フレネルレンズ220の例を示す。この図からもわかるように、非球面フレネルレンズ220は、同じ開口を有する通常の光学レンズ210と比べて、比較的薄い寸法で形成することができる。本実施例においては、このような特性を持つ非球面フレネルレンズを、第1の非球面フレネルレンズ131及び第2の非球面フレネルレンズ132として用いる。
【0025】
信号処理・制御系150は、第1の光電変換器136からの出力をA/D変換し増幅する第1のA/D変換部151と第2の光電変換器145からの出力をA/D変換し増幅する第2のA/D変換部152とを備えた光電変換部158、第1のA/D変換部151と第2のA/D変換部152との出力を受けて信号処理する信号処理部153、信号処理部153で処理された結果を記憶する記憶部154、信号処理部153で処理された結果を出力する表示画面156を備えた出力部155、全体を制御する全体制御部157を備えている。
【0026】
次に、各部の動作を説明する。
テーブル部110は全体制御部157で制御されて、試料100を載置した状態でスピンドル111を回転させると共に、スピンドル111の回転と同期してステージ112をスピンドル111の回転の主軸に直角な方向に移動させる。
【0027】
テーブル部110により試料100を回転、移動させながら、全体制御部157で制御されている照明光学系120のレーザ光源121から発射したレーザを集束レンズ124で試料100の表面に集束させて照射する。
【0028】
レーザが照射された試料100の表面1001からは、表面の欠陥や傷、面の微小な凹凸(荒れ)などの状態に応じた反射光(散乱光と正反射光)が発生する。このとき、散乱光は試料100の表面の欠陥の大きさに応じて分布する。すなわち、大きな欠陥や傷からの散乱光は比較的強い強度で指向性を持って分布し、微小な欠陥や傷からの散乱光は比較的弱い強度で大きな広がりを持って分布する。
【0029】
レーザが照射された試料100の表面1001からの反射光のうち正反射光は、試料100の表面1001に入射するレーザの入射角度と同じ出射角度側(正反射光の光路上)に配置されたミラー141で反射されて集光レンズ142の方向に進む。集光レンズ142に入射した試料100からの正反射光は集光レンズ142を透過して集光され、結像レンズ143により集光位置に設置されたピンホール板144のピンホール145を通過して第2の光電変換器146の受光面147上に試料100の表面1001の像を結像する。
【0030】
図3に示すように、第2の光電変換器146の受光面147(試料100の表面1001からの正反射光が入射する面)には複数の画素147-1から147-n(図3はn=7の場合を示す)がアレイ状に配列されており、結像レンズ143で形成された試料100の表面1001からの正反射光による表面1001の像を検出する。
【0031】
図4(a)には、第2の光電変換器146で撮像する試料100の表面1001の領域147’と試料100の表面1001でレーザで照射される領域148の関係を示している。図4(b)には、レーザで照射される領域148における光量の分布149と第2の光電変換器146の受光面147の各画素147-1から147-7の撮像範囲との関係を示す。レーザの光量の分布149はガウス分布になる。試料100の表面1001のレーザで照射される範囲(領域148の長さ)401は、第2の光電変換器146の撮像範囲402よりも大きい。
【0032】
一方、レーザが照射された試料100の表面1001からの反射光でミラー141で反射されなかった光(散乱光)のうち対物レンズの役目をする第1の非球面フレネルレンズ131に入射した光は集光され、集束レンズの役目をする第2の非球面フレネルレンズ132に入射して第1の光電変換器136の検出面(図示せず)上に集束し、高感度な第1の光電変換器136で検出される。
【0033】
第1の非球面フレネルレンズ131及び第2の非球面フレネルレンズ132は従来の光学レンズに比べて薄く軽量であるために、それらを収納する鏡筒(図示せず)を従来の光学レンズの鏡筒に比べて比較的コンパクトに作ることが可能になり、試料上面における設置位置の自由度が増して開口数(NA)を0.6以上(従来の光学レンズを用いた場合のNAは0.4以下)で設計することが可能になる。その結果、前述したように微小な欠陥からの散乱光は基板の上方にほぼ等方的に分布するために、検出感度が同じであれば検出信号のレベルは検出面の面積に比例するので、従来の光学レンズ系で構成した検出光学系で検出する場合に比べて大きい検出信号を得ることができる。したがって、従来と比べてより小さい欠陥からの散乱光を検出できることになる。
【0034】
A/D変換部151と152とは、それぞれ第1の光電変換器136または第2の光電変換器146から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、増幅して出力する。
【0035】
A/D変換部151と152から出力されたデジタル信号は信号処理部153に入力し、信号処理部153においては、デジタルに変換された第1の光電変換器136からの出力信号と第2の光電変換器146からの出力信号とを両方又はその一方を用いて処理して試料100の表面1001に存在する欠陥を検出し、テーブル部110を制御する全体制御部157から得られる試料100上のレーザ照射位置情報を用いて、検出した欠陥の基板100上の位置を特定する。さらに、信号処理部153においては、第1の光電変換器136と第2の光電変換器146とからの検出信号の特徴にもとづいて検出した欠陥の種類を特定する。
【0036】
本実施例においては、散乱光検出光学系130に非球面フレネルレンズ131と非球面フレネルレンズ132とを用いた構成について説明したが、これらのレンズの代わりに、図2(a)に示したような非球面レンズまたは通常の球面レンズを組合わせたもので構成しても良い。
【0037】
次に、信号処理部153で行う欠陥の抽出と抽出した欠陥を分類する処理について図5を用いて説明する。
【0038】
正反射光検出光学系140の第2の光電変換器146で試料100の表面からの正反射光を検出した信号は、A/D変換部152でデジタル信号に変換されて信号処理部153に入力される(S501)。信号処理部153において入力された信号は一旦記憶部(図示せず)に記憶され、順次入力した各画素からの出力信号の値を予め記憶しておいた欠陥のない領域からの正反射光の検出信号(第2の光電変換器146の各画素147からの出力)の値で割って正規化する(S502)。
【0039】
次に、この正規化した信号波形(正規化した各画素の値をプロットしたもの)から欠陥の有無を判定する(S503)。この正規化した信号波形が全領域(第2の光電変換器146の全画素147−1〜147−7)において1±ε(εは誤差の範囲)の範囲に入っていればその領域には欠陥がないと判定し、次の領域の検査を行う。一方、この正規化した信号波形の一部の領域又は全領域が1±εの範囲外に有るときには欠陥ありと判定する。
【0040】
次に、欠陥ありと判定された場合に、その欠陥が孤立欠陥か連続した線状の欠陥であるかを判定する(S504)。ここでは、この正規化した信号波形の一部の領域が1±εの範囲外に有るときには孤立欠陥と判定し、正規化した信号波形の全領域が1±εの範囲外に有るときには線状欠陥と判定する。
【0041】
孤立欠陥と判定された場合には、後述するような方法で第2の光電変換器146の各画素147−1〜147−7の正規化された信号波形から欠陥の中心位置を求め(S505)、重心位置の正規化信号のレベルから欠陥の凹凸を判定する(S506)。
【0042】
線状の欠陥であると判定された欠陥については、記憶部に記憶しておいて、試料100が1回転したときの試料100の半径方向に1ピッチ分ずれた領域からの反射光を検出して得た信号と組合せて欠陥のサイズを算出する(S507)。このような検査を試料100の全面に亘って行い(S508)、その結果を入出力装置155の表示画面156に表示する(S509)。
【0043】
試料100の一方の面の検査を終了すると試料100は図1(a)又は(b)に示すように、第1の磁気ディスク表面欠陥検出部101から、磁気ディスク反転部104又は104’に送られて反転させられ、未だ検査されていない側の面が上面になる。次に反転させられた試料100は第2の磁気ディスク表面欠陥検出部102また波102’に搬送されて上記に説明したS501からS509までのステップが実行される。
【0044】
このようにして両面が検査された試料100は搬出部105股波105’に送られて装置の外部に取り出される。
【0045】
信号処理部153で判定した結果は、欠陥の位置情報と共に記憶部154に記憶されると共に、図9に示すように、出力部155の画面156上にマップ形式で表面の欠陥の分布1561と裏面の欠陥の分布1562、及び欠陥表示選択部1563で選択した欠陥を種類ごと、及びサイズごとに表面の欠陥マップ1561と裏面の欠陥マップ1562上で識別できるようにして表示する。
【0046】
つぎに、(S504)で孤立欠陥と判定された欠陥の検出信号から欠陥の中心位置を求め(S505)欠陥の凹凸を判定する(S506)処理について説明する。
【0047】
正反射光検出光学系140においては、前述したように、試料100の表面1001に照射するレーザの光軸に直角な断面内の光量の分布1002は、図11に示すように中央(光軸の中心)が強く、中央部から離れるに従って弱くなるいわゆるガウス分布をしている。このような光量に分布を持つレーザで照明された領域からの反射光による像を検出して欠陥を抽出するためには、欠陥のない領域をレーザで照明したときの正反射光の像を検出した第2の光電変換器146の各画素からの出力信号を基準として、試料100上の各領域を照明したときの正反射光による像を検出した第2の光電変換器146の各画素の出力信号の割合を各画素ごとに求める(正規化する)ことにより得ることができる。
【0048】
即ち、試料100上で欠陥がない領域からの正反射光を検出したときの各画素からの出力は基準の出力信号に対してそれぞれ1になるが、試料100上の欠陥がある部分からの正反射光を検出した信号は基準の出力信号に対して大きくなる場合(主に凹状の欠陥)や小さくなる場合(主に凸状の欠陥)、即ち欠陥がない領域からの正反射光を検出したときの画素毎の出力信号を基準として画素ごとに正規化(各画素の出力信号を画素毎の基準の出力信号で割る)した値が1よりも大きくなったり小さくなったりする。このように各画素の出力信号を基準信号と比較することにより欠陥の有無や種類を判定することができる。
【0049】
図6に欠陥にレーザ光源601から発射したレーザを試料610に照射したときの散乱光の発生の状態と検出器602との関係を模式的に示す。図6(b)は試料610上に欠陥のない状態を示す。レーザ光源601から発射されたレーザを欠陥がない面612に照射した場合、入射時と同じ光量分布で反射して検出器602に到達する。図6(a)は試料610上の凹状の欠陥611にレーザを照射した場合を示す。凹状の欠陥611に照射されたレーザは、レンズ作用により検出器602の側に集束するように反射する。即ち、凹状の欠陥611からの反射光は周囲よりも光の強度が強くなる傾向がある。また、欠陥からの反射光が収束することにより、欠陥の周辺部からの反射光量は減少し、検出信号レベルが低下する傾向にある。一方、図6(c)は試料610上の凸状の欠陥613にレーザを照射した場合を示す。凸状の欠陥613に照射されたレーザは、広い角度で散乱して検出器602に到達する光量は図6(b)の欠陥がない部分に比べて減少する。また、散乱した光の影響を受けて、欠陥の周辺部の領域の検出信号のレベルが上昇する。即ち、凸状の欠陥を含む領域を撮像した画像では、凸状の欠陥部が暗く、その周辺部が多少明るい像として撮像される。欠陥に照射されたレーザの反射に関するこのような性質を利用して、反射光量の分布を調べることにより、凹状の欠陥と凸状の欠陥とを識別することができる。
【0050】
図7には、試料100が1回転する毎の表面上のレーザ照射位置と第2の光電変換器146の受光面147の複数の画素147-1から147-7で検出する領域の関係を示す。全体制御部157によりステージ112が制御されて、スピンドルがn回転したときの撮像領域(検査領域)401は(n−1)回転時の撮像領域(検査領域)402及び(n+1)回転時の撮像領域(検査領域)403とそれぞれ境界を接するように半径方向への撮像領域が移動するように設定されているが、n回転時の照明領域701(照明光の光量の分布を711に示す)は、(n−1)回転時の照明領域702(照明光の光量の分布を712に示す)及び(n+1)回転時の照明領域703(照明光の光量の分布を713に示す)とそれぞれ一部が重なり合っている。
【0051】
図6を用いて説明したように、凹状の欠陥611がある場合、欠陥からの反射光が収束することにより欠陥の周辺部からの反射光量は減少し、凸状の欠陥612が有る場合、欠陥からの反射光が広い角度で散乱することにより欠陥の周辺部からの反射光量が多少増加する。
【0052】
即ち、図7の場合、検査領域401には存在しない欠陥720の影響により、検査領域401を撮像して得た画像信号のうち領域403に近い部分を検出した画素からの信号は、欠陥720が凹状の欠陥の場合には周囲よりも低いレベルとなり、欠陥720が凸状の欠陥の場合には周囲よりも高いレベルとなる。その結果、n回転時に第2の光電変換器146の画素147-1乃至147-7で検出する試料100の表面1001の像のうち周辺の画素、147−1,147−2および147−6、147−7で検出する画像には隣接する領域からの反射光(欠陥からの散乱光)の影響を受けてしまう可能性がある。
【0053】
これにより、n回転時の検出領域401には欠陥が存在しない場合であっても、n回転時の照明領域701で(n+1)回転時の検出領域703に存在する欠陥720からの反射光の一部が第2の光電変換器146の受光面147の複数の画素147-6及び147-7に入り込んでそれぞれの画素の検出信号に影響を与えてしまう。
【0054】
欠陥検査領域401と欠陥720の位置の関係が図7に示したようなときに、n回転時の第2の光電変換器146の画素147-1乃至147-7の検出信号だけを用いて欠陥を検出した場合(図8(a))と、(n−1)回転時の検出領域602のうちn回転時の検出領域601と重なる領域形の正反射光を検出した画素の出力信号と、(n+1)回転時の検出領域603のうちn回転時の検出領域601と重なる領域形の正反射光を検出した画素の出力信号とを用いて欠陥を検出した場合(図8(b))について説明する。
【0055】
図8(a)および(b)においては、第2の光電変換器146の7つの画素のうち中央の画素位置を中心(0)とし、一方の側を+、他方の側を−として表示した。
【0056】
検出信号における欠陥の中心位置Gを、中央の画素の位置を0とし、各画素をこの中央の画素から数えた番号を+n又は−nとし、各画素の出力を正規化した値から1を引いた値の絶対値をSnとしたときに、(数1)で定義する。
【0057】
【数1】
【0058】
図8(a)のn回転時の第2の光電変換器146の検出信号だけを用いて欠陥を検出した場合には、欠陥の中心位置を−3の画素の位置と判定し、そのときの受光信号レベルが負なので、−3の画素の位置に凸の欠陥が存在すると判定してしまう。
【0059】
そこで、本実施例においては、撮像範囲(検査領域)から外れた照明領域からの反射光の影響を低減するために、n回転時の第2の光電変換器146の各画素147−1〜7の検出信号に(n−1)回転時及び(n+1)回転時の検出信号のうちn回転時の検出領域に近い側の画素2つずつの信号も用いてn回転時の欠陥の抽出と欠陥位置の算出とを行うようにした。なお、画素数は2に限らず、3以上でも良い。図8(b)に、欠陥位置の算出に用いた信号の一例を示す。
【0060】
図8(b)は、欠陥がない領域からの正反射光を検出した各画素からの出力信号を基準としてn回転時の検査領域からの正反射光による画像を第2の光電変換器145で検出して各画素147−1〜7から出力された検出信号を正規化した値から1を引いた場合を示し、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号のうちn回転時の検査領域に近いほうの2画素分ずつの出力信号も加えた結果を示す。図8(b)においても、第2の光電変換器146の7つの画素のうち中央の画素位置を中心とし、一方の側を+、他方の側を−として表示し、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号を+4と+5及び−4と−5として表示した。
【0061】
図8(b)の(n−1)回転時と(n+1)回転時の検出信号の一部も用いて画素位置−5から+5までの出力を用いて欠陥の中心位置を算出すると、欠陥の中心位置は−4の画素の位置となる。これは画素位置−3〜+3の範囲から外れた検出領域外であるので、n回転時の検出領域内には欠陥が存在しないと判定する。
【0062】
このように、検査対象領域に隣接する領域の検出信号を用いて欠陥位置を求めることにより、検査対象領域の近傍にある欠陥からの反射光の影響を低減して欠陥を抽出することが可能になる。
【0063】
また、図6で説明した凹欠陥、凸欠陥からの散乱光の光量分布特性の違いを用いることにより、算出した欠陥の中心位置における出力信号レベルから欠陥の凹凸を判断することができる。すなわち、欠陥部からの反射光の上記したような性質を用いることにより、算出した欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定することができる。
【0064】
このように検出した欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定する場合、n回転時の検出信号だけを用いると周辺部の147−1、147−2及び147−6,147−7の画素はn回転時の撮像領域外にあってn回転時にレーザが照射された領域に存在する欠陥からの反射光の影響を受けて検出光量が変化し、その結果算出される欠陥の中心位置がずれてしまい、欠陥の中心位置における正規化信号レベルに基づいて欠陥の種類を判定する場合に、例えば凸状の欠陥を凹状の欠陥と誤判定してしまう恐れがあった。
【0065】
これに対して本実施例においては、隣接する(n−1)回転時と(n+1)回転時の各画素からの出力信号も用いて欠陥の中心位置を算出するために、n回転時の撮像領域外にあってn回転時にレーザが照射された領域に存在する欠陥からの反射光を検出した信号も欠陥の中心位置の算出に用いるので、欠陥の誤判定を防止でき、より正確に欠陥の形状を判定することが可能になった。
【実施例2】
【0066】
次に、本発明の第二の実施例として、磁気ディスクの両面の欠陥を同時に検出する両面欠陥検査装置に適用した例を、図を用いて説明する。
【0067】
図12(a)は、本実施例による磁気ディスクの両面の欠陥を同時に検出する両面欠陥検出部1200の全体構成を示す図である。両面欠陥検出部1200は大きくは、検査対象の試料を載置するテーブル部1110、表面側検査光学系1120、裏面側検査光学系1130、信号処理・制御系1140で構成されている。
【0068】
テーブル部1110は、試料(磁気ディスク)100を載置して回転可能なテーブル(スピンドル)1111、テーブル1111を回転の主軸に直角な方向に移動可能なステージ1112を備えている。また、テーブル部は、図示していない試料100をチャックして保持する機構を備えている。
【0069】
図12(b)に本実施例による両面欠陥検出部1200を備えた磁気ディスク検査装置の全体構成を示すブロック図である。装置全体は、両面欠陥検出部1200と磁気ディスク搬入・搬出部1210とで構成され、図1(a),(b)に示した磁気ディスクの片面ずつを検査する装置に比べてよりシンプルな構成になっている。
【0070】
両面欠陥検出部1200のうち、試料100の表面側1001の欠陥を検出する表面側検査光学系1120の基本的な構成は実施例1で説明したものと同じであるので説明を省略する。
【0071】
試料100の裏面側1002の欠陥を検出する裏面側検査光学系1130の概略の構成を図13(a)及び(b)に示す。裏面側検査光学系130は照明系1301と散乱光検出系1302及び正反射光検出系1303で構成される。
【0072】
裏面側検査光学系1230の照明系11301は、図13(a)に示すように、第2のレーザ光源1231、第2のレーザ光源1231から発射したレーザを拡大する拡大レンズ1232、拡大されたレーザを集光する集光レンズ1233、集光されたレーザを試料100の裏面に集束させる集束レンズ1234、集光レンズ1234を透過したレーザの光路を折り曲げるプリズム1235を備えて構成される。プリズム1235の面1236でレーザを反射して光路を折り曲げる構成としたので第2のレーザ光源1231を基板100の下部の比較的狭い空間から離れた場所に設置することができ、従来の片面ずつ検査する装置に比べてテーブル部110に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
裏面側の散乱光検出系1240は、レーザが照射された試料100の裏面1002から発生した反射光(正反射光と散乱光)のうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ1241、集光された散乱光を集束させる集束レンズに相当する第4の非球面フレネルレンズ1242、第4の非球面フレネルレンズ1242を透過してプリズム1235の面1237で反射して光路を切替えられた散乱光を通過させるピンホール1252を有して試料100の裏面1001からの散乱光以外の迷光を遮光するピンホール板1251、ピンホール板1251のピンホール1252を通過した散乱光を高感度に検出する第3の光電変換器1260(例えば、アバランシェ・フォトダイオード(APD)や光電子増倍管(PMT)など)を備えて構成される。
【0073】
裏面側の散乱光検出系1240に非球面フレネルレンズ1241及び1242とプリズム1235とを組合せて用いたことにより、基板100の下部の比較的狭い空間にNA(開口数)が比較的大きい光学系を設置することが可能になり、更に、プリズム1235で散乱光の光路を折り曲げて検出する構成としたので、従来の片面だけを検査する装置に比べてテーブル部110に大きな変更を加えることなく裏面側の検査を可能にした。
【0074】
裏面側の正反射光検出系1270は、図13(b)に示すように、レーザが照射された試料100の裏面1002からの反射光(正反射光と散乱光)のうち正反射光の光路を切替えるミラー1243(図13(a)の構成では、紙面に垂直な方向に反射する)、光路を切替えられた正反射光を集光する集光レンズ1272、集光された正反射光を結像させる結像レンズ1273、結像レンズ1273を透過した正反射光を通過させて正反射光以外の迷光を遮光するピンホール1275が形成されたピンホール板1274、結像レンズ1273で結像された試料100の裏面1002の像を検出する第4の光電変換器1276(アバランシェ・フォトダイオード(APD))を備えている。第4の光電変換器1276の構成は、実施例1で説明した第2の光電変換器146と同じである。
【0075】
図12において、信号処理系1140は、表面側検査光学系1120(図1の101に相当)の散乱光検出系130の第1の光電変換器136から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第1のA/D変換器151と正反射光検出光学系140の第2の光電変換器146から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第2のA/D変換器152とを備えた第1のA/D変換部1141(図1(c)に示した構成におけるA/D変換部158に相当)、裏面側検査光学系1130の散乱光検出系1240の第3の光電変換器1260から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第3のA/D変換器1281と正反射光検出光学系1270の第4の光電変換器1276から出力される検出信号を増幅してA/D変換する第4のA/D変換器1282とを備えた第2のA/D変換部1142、第1のA/D変換部1141からの出力を受けて信号処理する第1の信号処理部1143(図1(c)に示した構成における信号処理部153に相当)と、第2のA/D変換部1142からの出力を受けて信号処理する第2の信号処理部1144と、第1の信号処理部1143で処理された信号と第2の信号処理部1144で処理された信号とを統合して処理する統合信号処理部1145、統合信号処理部1145で処理された結果を記憶する記憶部1146と、統合信号処理部1145で処理された結果を出力するとともに検査条件を入力する表示画面1148を備えた入出力部1147、全体を制御する全体制御部1149、全体制御部1149の制御信号を受けてテーブル部1110を制御するテーブル制御部1150、全体制御部1149の制御信号を受けて表面側の検査光学系1120と裏面側の検査光学系1130とを制御する検査光学系制御部1151とを備えている。
【0076】
次に、上記した構成において磁気ディスクの両面を同時に検査する場合の各部の動作を説明する。
【0077】
先ず、図示していないロード機構で試料100をテーブル部1110のテーブル1111に載置し図示していないチャック機構でチャックして保持した状態で、テーブル部1110はテーブル制御部1150で制御されてテーブル1111を回転させると共に、テーブル1111の回転と同期してステージ1112をテーブル1111の回転の主軸に直角な方向に移動させる。
【0078】
テーブル部1110により試料100を回転、移動させながら、検査光学系制御部1151で制御されている表面側検査光学系1120の第1のレーザ光源121及び裏面側検査光学系1130の第2のレーザ光源1231を作動させてそれぞれレーザを発射させる。
【0079】
表面側検査光学系1120における試料100の表面1001側の欠陥検査方法は実施例1で説明したものと基本的には同じであるので、説明を省略する。表面側検査光学系1120で検出された信号はA/D変換部1141でA/D変換されて信号処理部1143(図1の信号処理部153に相当)で処理される。信号処理部1143における処理の方法は、実施例1で図3から図8を用いて説明した方法と同じである。信号処理部1143で処理された結果は、欠陥の位置情報と共に統合処理部1145に送られる。
【0080】
次に、裏面側検査光学系1130においては、図13(a)に示すように、第2のレーザ光源1231から発射されたレーザは、拡大レンズ1232でレーザのビーム径が拡大され、この径が拡大されたレーザは集光レンズ1233で集光されて平行光となり集束レンズ1234に入射する。集束レンズ1234を透過したレーザはプリズム1235の面1236で反射されて光路が切替えられ、集束レンズ1234の焦点位置に配置された試料100の裏面1002に集束させられる。
【0081】
プリズム1235の面1236は、反射されたレーザが試料100の裏面1002に所望の角度(30度前後)で入射するように設定されている。集束したレーザが照射された試料100の裏面1002からは反射光(正反射光と散乱光)が発生するが、そのうち散乱光を集光する対物レンズに相当する第3の非球面フレネルレンズ1241の方向に向かった反射光は、焦点の位置が試料100の裏面1002のレーザ照射位置に合うように設置された第3の非球面フレネルレンズ1241に入射し、集光されて平行光として第3の非球面フレネルレンズ1241から出斜する。一方、第3の非球面フレネルレンズ1241の方向に向かった反射光のうち正反射光は第3の非球面フレネルレンズ1241の前方に配置したミラー1243で反射されて光路が切替えられて、第3の非球面フレネルレンズ1241には入射しない。
【0082】
第3の非球面フレネルレンズ1241に入射して集光されて平行光となった試料100の裏面1002からの散乱光は、第4の非球面フレネルレンズ1242に入射し、第4の非球面フレネルレンズ1242を透過した後にプリズム1235の面1237で反射されて光路が切替えられ第4の非球面フレネルレンズ1242の焦点位置に集束させられる。プリズム1235の面1237は、反射した散乱光が所望の方向(試料100の裏面1002と平行な方向)に光路が切替るように角度が設定されている。なお、本実施例においては、第2のレーザ光源1231から発射されたレーザはプリズム1235の面1236に到達するまで試料100の裏面1002に対して平行に進むように裏面側の照明系を設定して、面1236と面1237とは同じ傾斜角度に設定されている。プリズム1235の面1236と面1237とは、それぞれミラーで構成されていてもよい。
【0083】
第4の非球面フレネルレンズ1242の焦点位置にはピンホール板1251が配置されており、焦点位置に集束した試料からの散乱光を通過させるようにピンホール1252が空けられている。一方、散乱光以外の光(プリズム1235など光学部品からの反射光:迷光)の大部分はピンホール1252を通過できずにピンホール板1251で遮光されるため、第3の光電変換器1260で検出される光のほとんどはピンホール1252を通過した試料100の裏面1002からの散乱光になる。
【0084】
第3の光電変換器1260で試料100の裏面1002からの散乱光を検出して得た信号はA/D変換部1141のA/D変換器1281に入力してデジタル信号に変換されて増幅された後、裏面側検出信号処理部1144に入力される。
【0085】
一方、ミラー1243で反射されて光路が切替えられて裏面側正反射光検出光学系1270に入った試料100からの正反射光は、図13(b)に示すように、集光レンズ1272に入射して集光され、結像レンズ1273に入射する。結像レンズ1273に入射して透過した正反射光が集光される位置にはピンホール1275が穿たれたピンホール板1274が設置されている。結像レンズ1273を透過した正反射光は、ピンホール1275を通過して迷光が除去された後、第4の光電変換器1276の検出面上に試料100の裏面1002の像を結像し第4の光電変換器1276で検出される。第4の光電変換器1276で検出した正反射光の検出信号はA/D変換部1142のA/D変換器1282に入力して増幅されデジタル信号に変換された後、裏面側検出信号処理部1144に入力される。
【0086】
裏面側検出信号処理部1144に入力した第3の光電変換器1260からの検出信号と第4の光電変換器1276からの検出信号とはそれぞれ前述した表面側検出信号処理部1143(実施例1における信号処理部153に相当)と同様に処理されて試料100の裏面側1002の欠陥が検出され、欠陥の種類と大きさを判定し、その結果が欠陥の位置情報と共に統合処理部1145に送られる。
【0087】
本実施例に拠れば、非球面フレネルレンズを組合せて高NAの検出光学系をコンパクトに構成できるようになったので、装置を大型化することなくより微細な欠陥を基板の両面同時に検出することが可能になった。
【0088】
表面側検出信号処理部1143と裏面側検出信号処理部1144とで処理されたデータは統合処理部1145へ送られて処理され、試料100の両面の欠陥情報として記憶部1146に送られて格納されると共に、入出力部1147にも送られて画面1148上に検査結果の情報を出力する。
【0089】
本実施例2において出力部1147から出力される検査結果の情報の一例を図14に示す。この例は、表示画面1148上に試料100の表面で検出された欠陥の種類ごとの分布1401と裏面で検出された欠陥の種類ごとの分布1402の状態をマップ形式で並べて表示し、その脇に欠陥のリスト1403を表形式で表示した画面1400の例を示す。ユーザは、欠陥リスト1403上で任意の欠陥種類を指定することにより、指定された種類の欠陥の表面側の分布1401と裏面側の分布1402との状態を視覚的に把握することができる。
【0090】
図14に示した表示画面の構成は図9で説明した実施例1における表示画面の構成と実質的に同じであるが、本実施例2においては試料100の表面1001と裏面1002とを同時に検査しているので、表面1001の側で検出された欠陥と裏面1002の側で検出された欠陥との相対的な位置関係を把握することが可能になり、製造プロセスを管理する上で有効な情報として使うことができる。
【符号の説明】
【0091】
110・・・テーブル部 111・・・テーブル(スピンドル) 112・・・ステージ 120・・・照明光学系 121・・・第1のレーザ光源 122・・・拡大レンズ 123・・・集光レンズ 124・・・集束レンズ 130・・・散乱光検出光学系 131・・・第1の非球面フレネルレンズ 132・・・第2の非球面フレネルレンズ 136・・・第1の光電変換器 140・・・正反射光検出光学系 141・・・ミラー 142・・・集光レンズ 143・・・結像レンズ 146・・・第2の光電変換器 150・・・信号処理・制御系 153・・・信号処理部 154・・・記憶部 157・・・全体制御部 1110・・・テーブル部 1120・・・表面側検査光学系 1130・・・裏面側検査光学系。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の磁気ディスクを保持して回転と移動が可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に保持された磁気ディスクの表面にレーザを照射する照明手段と、
該照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち正反射光を検出する正反射光検出手段と、
前記照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち散乱光を検出する散乱光検出手段と、
前記正反射光検出光学系で前記正反射光を検出して得られた検出信号と前記散乱光検出光学系で前記散乱光を検出して得られた検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出する処理手段と、
該処理手段で処理した結果を出力する出力手段と、
前記テーブル手段と前記照明手段と前記正反射光検出手段と前記散乱光検出手段と前記処理手段とを制御する制御手段と
を備えた磁気ディスクの欠陥を光学的に検査する装置であって、
前記正反射光検出手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有し、前記制御手段は前記テーブル手段を制御して前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出手段の検出器で検出する前記磁気ディスクの検査領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させ、前記処理手段は前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項2】
検査対象の磁気ディスクを保持して回転と移動が可能なテーブル手段と、前記磁気ディスクの表面の欠陥を検出する表面欠陥検出部と前記磁気ディスクの裏面の欠陥を検出する裏面欠陥検出部と前記表面欠陥検出部で検出した結果と前記裏面欠陥検出部で検出した結果とを用いて前記磁気ディスクの表面の欠陥と裏面の欠陥とを統合して出力する統合信号処理部と、前記テーブル手段と前記表面欠陥検出部と前記裏面欠陥検出部と前記統合信号処理部とを制御する制御手段とを備えて磁気ディスクの表面と裏面の欠陥を同時に光学的に検査する装置であって、
前記表面欠陥検出部と前記裏面欠陥検出部とはそれぞれ
前記テーブル手段に保持された磁気ディスクにレーザを照射する照明手段と、
該照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち正反射光を検出する正反射光検出手段と、
前記照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち散乱光を検出する散乱光検出手段と、
前記正反射光検出光学系で前記正反射光を検出して得られた検出信号と前記散乱光検出光学系で前記散乱光を検出して得られた検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出する処理手段とを備え、
前記正反射光検出手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有し、前記制御手段は前記テーブル手段を制御して前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出手段の検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させ、前記処理手段は前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて出力信号の重心位置を求め、該求めた重心位置における画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの当該検査時点における検査領域からの正反射光を検出した前記検出器の各画素からの出力信号に加えて、前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域のうち前記当該検査時点における検査領域を前記レーザで照明したときに照明された領域からの正反射光を検出した画素の出力信号も用いて前記検査領域における出力信号の重心位置を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に基づいて該検査領域に存在する欠陥が孤立欠陥であるか連続欠陥であるかを判定し、孤立欠陥であると判定したときには前記検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて前記検査領域における孤立欠陥の中心位置を求め、該求めた中心位置における前記画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して該孤立欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項6】
前記散乱光検出手段は、前記レーザが照射された磁気ディスクからの散乱光を集光する第1の非球面レンズと、該第1の非球面レンズで集光された散乱光を集光させ第2の非球面レンズと、前記散乱光が該第2の非球面レンズで集光された位置に配置されて該集光された散乱光を通過させるピンホールを有するピンホール板と、該ピンホールを通過した散乱光を受光する検出器とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項7】
回転と移動が可能なテーブルに保持された磁気ディスクの表面にレーザを照射し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離して検出し、
該分離して検出した正反射光の検出信号と散乱光の検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出し、
該処理した結果を出力する
磁気ディスクの欠陥を光学的に検査する方法であって、
複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で前記磁気ディスクの表面からの正反射光を検出し、前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項8】
回転と移動が可能なテーブルに保持された磁気ディスクの表面と裏面とにそれぞれレーザを照射し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの正反射光を検出した信号と散乱光を検出した検出信号とを処理して前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの裏面からの正反射光を検出した信号と散乱光を検出した検出信号とを処理して前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出し、
前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出した結果と前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出した結果とを統合して出力する
磁気ディスクの表面と裏面との欠陥を光学的に同時に検査する方法であって、
前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出すること及び前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出することを、
前記レーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離して検出し、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で前記分離した正反射光を検出し、前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項9】
前記欠陥の位置を求めることを、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて出力信号の重心位置を求め、該求めた重心位置における画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項5又は6に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項10】
前記磁気ディスクの当該検査時点における検査領域からの正反射光を検出した前記検出器の各画素からの出力信号に加えて、前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域のうち前記当該検査時点における検査領域を前記レーザで照明したときに照明された領域からの正反射光を検出した画素の出力信号も用いて前記検査領域における出力信号の重心位置を求めることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項11】
前記磁気ディスクからの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に基づいて該検査領域に存在する欠陥が孤立欠陥であるか連続欠陥であるかを判定し、孤立欠陥であると判定したときには前記検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて前記検査領域における孤立欠陥の中心位置を求め、該求めた中心位置における前記画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して該孤立欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項12】
前記レーザが照射された前記磁気ディスクの検査領域からの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離し、該分離した散乱光を第1の非球面レンズで集光し、該第1の非球面レンズで集光した散乱光を第2の非球面レンズで集光させてピンホールを通過させ、該ピンホールを通過させた散乱光を検出器で受光することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項1】
検査対象の磁気ディスクを保持して回転と移動が可能なテーブル手段と、
該テーブル手段に保持された磁気ディスクの表面にレーザを照射する照明手段と、
該照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち正反射光を検出する正反射光検出手段と、
前記照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち散乱光を検出する散乱光検出手段と、
前記正反射光検出光学系で前記正反射光を検出して得られた検出信号と前記散乱光検出光学系で前記散乱光を検出して得られた検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出する処理手段と、
該処理手段で処理した結果を出力する出力手段と、
前記テーブル手段と前記照明手段と前記正反射光検出手段と前記散乱光検出手段と前記処理手段とを制御する制御手段と
を備えた磁気ディスクの欠陥を光学的に検査する装置であって、
前記正反射光検出手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有し、前記制御手段は前記テーブル手段を制御して前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出手段の検出器で検出する前記磁気ディスクの検査領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させ、前記処理手段は前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項2】
検査対象の磁気ディスクを保持して回転と移動が可能なテーブル手段と、前記磁気ディスクの表面の欠陥を検出する表面欠陥検出部と前記磁気ディスクの裏面の欠陥を検出する裏面欠陥検出部と前記表面欠陥検出部で検出した結果と前記裏面欠陥検出部で検出した結果とを用いて前記磁気ディスクの表面の欠陥と裏面の欠陥とを統合して出力する統合信号処理部と、前記テーブル手段と前記表面欠陥検出部と前記裏面欠陥検出部と前記統合信号処理部とを制御する制御手段とを備えて磁気ディスクの表面と裏面の欠陥を同時に光学的に検査する装置であって、
前記表面欠陥検出部と前記裏面欠陥検出部とはそれぞれ
前記テーブル手段に保持された磁気ディスクにレーザを照射する照明手段と、
該照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち正反射光を検出する正反射光検出手段と、
前記照明手段によりレーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち散乱光を検出する散乱光検出手段と、
前記正反射光検出光学系で前記正反射光を検出して得られた検出信号と前記散乱光検出光学系で前記散乱光を検出して得られた検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出する処理手段とを備え、
前記正反射光検出手段は複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器を有し、前記制御手段は前記テーブル手段を制御して前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出手段の検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検査領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させ、前記処理手段は前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて出力信号の重心位置を求め、該求めた重心位置における画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの当該検査時点における検査領域からの正反射光を検出した前記検出器の各画素からの出力信号に加えて、前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域のうち前記当該検査時点における検査領域を前記レーザで照明したときに照明された領域からの正反射光を検出した画素の出力信号も用いて前記検査領域における出力信号の重心位置を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に基づいて該検査領域に存在する欠陥が孤立欠陥であるか連続欠陥であるかを判定し、孤立欠陥であると判定したときには前記検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて前記検査領域における孤立欠陥の中心位置を求め、該求めた中心位置における前記画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して該孤立欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項6】
前記散乱光検出手段は、前記レーザが照射された磁気ディスクからの散乱光を集光する第1の非球面レンズと、該第1の非球面レンズで集光された散乱光を集光させ第2の非球面レンズと、前記散乱光が該第2の非球面レンズで集光された位置に配置されて該集光された散乱光を通過させるピンホールを有するピンホール板と、該ピンホールを通過した散乱光を受光する検出器とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査装置。
【請求項7】
回転と移動が可能なテーブルに保持された磁気ディスクの表面にレーザを照射し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離して検出し、
該分離して検出した正反射光の検出信号と散乱光の検出信号とを処理して前記磁気ディスク上の欠陥を抽出し、
該処理した結果を出力する
磁気ディスクの欠陥を光学的に検査する方法であって、
複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で前記磁気ディスクの表面からの正反射光を検出し、前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項8】
回転と移動が可能なテーブルに保持された磁気ディスクの表面と裏面とにそれぞれレーザを照射し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの表面からの正反射光を検出した信号と散乱光を検出した検出信号とを処理して前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出し、
該レーザが照射された前記磁気ディスクの裏面からの正反射光を検出した信号と散乱光を検出した検出信号とを処理して前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出し、
前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出した結果と前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出した結果とを統合して出力する
磁気ディスクの表面と裏面との欠陥を光学的に同時に検査する方法であって、
前記磁気ディスクの表面の欠陥を抽出すること及び前記磁気ディスクの裏面の欠陥を抽出することを、
前記レーザが照射された前記磁気ディスクからの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離して検出し、複数の画素を並べて配列した検出面を有する検出器で前記分離した正反射光を検出し、前記磁気ディスクを1回転させたときに前記検出器で検出する前記磁気ディスクの検出領域が1回転前の検出領域と半径方向に隣り合う領域になるように前記磁気ディスクを半径方向に連続的に移動させながら、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出して得た前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて欠陥の位置を求めるとともに該欠陥の種類を判定することを特徴とする光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項9】
前記欠陥の位置を求めることを、前記磁気ディスクの検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて出力信号の重心位置を求め、該求めた重心位置における画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項5又は6に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項10】
前記磁気ディスクの当該検査時点における検査領域からの正反射光を検出した前記検出器の各画素からの出力信号に加えて、前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域のうち前記当該検査時点における検査領域を前記レーザで照明したときに照明された領域からの正反射光を検出した画素の出力信号も用いて前記検査領域における出力信号の重心位置を求めることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項11】
前記磁気ディスクからの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に基づいて該検査領域に存在する欠陥が孤立欠陥であるか連続欠陥であるかを判定し、孤立欠陥であると判定したときには前記検査領域からの正反射光を検出した前記各画素からの出力信号に加えて前記半径方向に隣り合う1回転前及び1回転後の検査領域をからの正反射光を検出した前記複数の画素のうちの一部の画素の出力信号も用いて前記検査領域における孤立欠陥の中心位置を求め、該求めた中心位置における前記画素の出力信号のレベルを基準信号レベルと比較して該孤立欠陥の凹凸を判定することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【請求項12】
前記レーザが照射された前記磁気ディスクの検査領域からの反射光のうち正反射光と散乱光とを分離し、該分離した散乱光を第1の非球面レンズで集光し、該第1の非球面レンズで集光した散乱光を第2の非球面レンズで集光させてピンホールを通過させ、該ピンホールを通過させた散乱光を検出器で受光することを特徴とする請求項7又は8に記載の光学式磁気ディスク欠陥検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−137721(P2011−137721A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298014(P2009−298014)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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