説明

光学測定器用の本体モジュール

光学測定器の本体モジュールは、サンプルを受け入れる受入装置201と、第1のプレート202と、第1のプレートに実質的に平行であると共に、第1のプレート及び第2のプレートに対して垂直な方向において第1のプレートに対して移動可能に支持される第2のプレート203と、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁とを備える。受入装置は、壁と第1のプレート及び第2のプレートとによって構成される測定チャンバー内に配置される。少なくとも第2のプレートは、開口部が設けられた締結インターフェースを備える。締結インターフェースは、第2のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している。測定チャンバーは、周囲からの望ましくない迷光に対する保護を提供する。第2のプレートの可動性により、サンプルと第2のプレートに取り付けられた光学モジュールとの距離の調整が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学測定器用の本体モジュールに関する。本体モジュールを、たとえばレンズ、ファイバー、検出器、光源等を含むことができる種々の光学モジュールを用いて種々の光学測定器を構成するのを可能にする、プラットフォームとして用いることができる。光学測定を、限定されないがたとえば、吸収測定、光ルミネセンス(photoluminescence:フォトルミネセンス、光発光)測定又は化学ルミネセンス(chemiluminescence:ケミルミネセンス、化学発光)測定とすることができる。さらに、本発明は、光学測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
分析生化学研究室及び臨床検査室における作業は、検査中の高分子に結合された種々のタグ又は標識に基づくことが多い。使用される典型的な標識は、種々の放射性同位体、酵素、種々の蛍光性分子、及びたとえば希土類金属の蛍光キレートである。酵素標識の検出を、その自然な生化学的機能を利用することにより、すなわち分子の物理特性を変更するように行うことができる。酵素免疫測定法では、酵素が、無色物質に対して色彩豊かな物質になるように、又は無蛍光物質に対して蛍光物質になるように触媒作用を及ぼす。
【0003】
色彩豊かな物質を、吸収測定、すなわち光度測定で測定することができる。吸収測定では、まず、いかなるサンプルもなしで、フィルタリングされかつ安定化されたビームの強度を測定し、次いで、1つのプレート内のサンプルを測定する。そして、吸収度、すなわち吸収値を計算する。
【0004】
蛍光物質を、一般に、サンプルにおける蛍光標識物質の量を測定するために用いられる蛍光測定によって測定することができる。最大の光ルミネセンス標識は、分子光ルミネセンスプロセスに基づく。このプロセスでは、輻射光は、分子の基底状態によって吸収される。エネルギーの吸収により、量子分子は、上昇してより高い励起状態になる。高速振動緩和の後、分子は、その基底状態に戻り、余剰エネルギーが光量子として放出される。このプロセスにおける損失のために、平均吸収エネルギーは平均放射エネルギーより高い。
【0005】
さらなる測定方法は、化学ルミネセンス測定であり、そこでは、物質の発光が、照明による励起なしにサンプルから測定される。したがって、光ルミネセンス測定に適している光照度計(photoluminometer)を、化学照度計(chemiluminometer)として用いることも可能である。
【0006】
さらに、増幅ルミネセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)又はAlphaScreen(商標名)と呼ばれる分析方法がある。AlphaScreen(商標名)法の作用は、研究中の分子に付着する小さいビーズの使用に基づく。一重項状態酸素のドナー(donor:供与体)又はアクセプター(acceptor:受容体)のいずれかとして作用する材料で覆われている2つのタイプのビーズがある。測定は、液体サンプルが、適当な波長、たとえば680nmの波長の光で照明されると開始する。この後、ドナービーズ内の材料が、周囲の酸素を一重項状態酸素に変換する。その一重項状態の分子は寿命が短く、液体における拡散により、約200nmの距離にしか達することができない。問題の化学反応が発生した場合、ドナービーズ及びアクセプタービーズは共に、同じ分子に結合されるため、互いに十分に緊密になる。この場合、一重項状態酸素は、一連の反応が開始されるアクセプタービーズに到達することができる。反応の最後の段階として、アクセプタービーズにおける被覆材料が、500nm〜700nm範囲で光子を放射する。化学反応が発生しなかった場合、一重項状態酸素はアクセプタービーズに達することができず、放射光は検出されない。光の強度を測定することにより、化学反応の効率を結論付けることができる。
【0007】
上述した種類の測定のうちのいくつか又はすべてを行うのに適している光学測定器は、通常、各時点で測定される1つ又は複数のサンプルに対して励起ビームを生成する少なくとも1つの励起光源を備えている。各励起光源は、たとえばフラッシュランプ又はレーザー光源であり得る。励起光源からサンプルへの光路には、たとえばレンズ、ファイバー、ミラー、ダイクロイックミラー、光学フィルター、モノクロメーター及び/又は他の光学素子があり得る。光学測定器は、各時点で測定されるサンプルによって放射される放射ビームを検出すると共に、検出された放射ビームに応じて検出信号を生成する、少なくとも1つの検出器をさらに備えている。各検出器を、たとえば、フォトダイオード又は光電子増倍管とすることができる。サンプルから検出器までの光路には、たとえばレンズ、ファイバー、ミラー、ダイクロイックミラー、光学フィルター、モノクロメーター及び/又は他の光学素子があり得る。光学測定器は、測定される各サンプルに対し、そのサンプルに関連する検出信号に基づいて測定結果を生成する処理装置をさらに備えることができる。
【0008】
光学測定器は、測定されるサンプルを受け入れる受入装置を備えている。測定される各サンプルは、たとえば微量滴定プレート(microtitration plate)又は他の何らかのサンプル支持要素上に構築される複数のサンプルウエルのうちの1つに保持される。受入装置を、たとえば、微量滴定プレート又は他のサンプル支持要素を受け入れるように適合された可動スレッジとすることができる。受入装置によって、微量滴定プレート又は他のサンプル支持要素を移動させることができるという事実により、各サンプルが順にその時点で測定されているサンプルとなるように、サンプルを時間的に連続して測定することができる。適切な光学測定値を提供するために、測定されているサンプルと測定ヘッドとして用いられる光学モジュールとの間の距離を、十分正確に調整しなければならない。さらに、光学測定器の外側ケーシング及び/又は光学測定器の他の機械的構造は、周囲からサンプルへの、及びレンズ、ファイバー、検出器等の光学素子への望ましくない迷光及び熱放射に対して十分な保護を提供しなければならない。
【0009】
特許文献1は、測定されるサンプルを受け入れる受入装置を包囲するように構成された筐体を有する、光学測定器を開示している。筐体は、微量滴定プレート又は別のサンプル支持要素を筐体内に挿入するのを可能にするドア要素を備えている。筐体は、測定されるサンプルを、周囲からの望ましくない迷光及び熱放射に対して保護するように構成された測定チャンバーを構成する。筐体の上面には、開口部が設けられており、そこを通して、連続したレンズを有する管等の光学モジュールの端部を、測定されているサンプルの付近に押し込むことができる。上述した構造に関連する問題は、筐体と筐体の開口部内に押し込まれる光学モジュールとの間のインターフェース(interface:接合面)が、周囲からの迷光に対して十分に緊密であるべきであり、さらに、光学素子の端部と測定されているサンプルとの間の距離の調整を可能とするべきである、ということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6977722号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、光学測定器用の新しい本体モジュールが提供される。この本体モジュールを、たとえばレンズ、ファイバー、検出器、光源等を含むことができる種々の光学モジュールを用いて種々の光学測定器を構成するのを可能にするプラットフォームとして用いることができる。光学測定器用の本体モジュールが、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに実質的に平行であると共に、前記第1のプレートに対して移動可能に支持される第2のプレートであって、前記第1のプレート及び該第2のプレートに対して実質的に垂直な方向に移動可能であると共に、開口部が設けられかつ該第2のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している少なくとも1つの締結インターフェースを備える、第2のプレートと、
前記第1のプレートの外縁から前記第2のプレートの外縁まで延在する壁であって、前記第1のプレート及び前記第2のプレートと共に測定チャンバーを構成し、測定されるサンプルを前記測定チャンバー内に挿入するのを可能にするドア要素を備える壁と、
測定される前記サンプルを受け入れる受入装置であって、前記測定チャンバー内に配置されると共に、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに平行な平面において移動可能であるように、移動可能な支持レールに機械的に接続される、受入装置と、
を具備する。
【0012】
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記壁は、たとえば、前記第2のプレートが前記第1のプレートに対して移動するのを可能にする光不透過性の可撓性材料を備えることができ、又は別の例では、前記壁は、前記第2のプレートの前記第1のプレートに対する移動に応じて互いに対して摺動するように構成された、重なる部分を備えることができる。
【0013】
前記測定チャンバーの1つの表面を表す前記第2のプレートが上述したように移動可能であるため、前記第2のプレートに取り付けられた光学モジュールと測定されるサンプルとの間の距離を、前記光学モジュールを前記第2のプレートに対して移動させる必要がないように調整することができる。したがって、本文書で上述した従来技術による光学測定器に関連する場合より、前記測定チャンバーと前記光学モジュールとの間の接合部を光に対して緊密にすることが容易である。必須ではないが、前記第1のプレートに、該第1のプレートに取り付けられる前記光学モジュールに適した少なくとも1つの締結インターフェースを設けることも可能である。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、新しい光学測定器が提供される。本発明による光学測定器は、光学モジュールを備え、該光学モジュールのうちの少なくとも1つは、測定されるサンプルのうちの少なくとも1つに対して励起ビームを生成するように構成された励起光源を有し、前記光学モジュールのうちの少なくとも1つは、測定される前記サンプルのうちの1つによって放射される放射ビームを検出しかつ該検出された放射ビームに応じて検出信号を生成するように構成された検出器を有し、前記光学測定器は、
第1のプレートと、
前記第1のプレートに実質的に平行であると共に、前記第1のプレートに対して移動可能に支持される第2のプレートであって、前記第1のプレート及び該第2のプレートに対して実質的に垂直な方向に移動可能であると共に、開口部が設けられかつ該第2のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している少なくとも1つの締結インターフェースを備える、第2のプレートと、
前記第1のプレートの外縁から前記第2のプレートの外縁まで延在する壁であって、前記第1のプレート及び前記第2のプレートと共に測定チャンバーを構成し、測定されるサンプルを前記測定チャンバー内に挿入するのを可能にするドア要素を備える壁と、
測定される前記サンプルを受け入れる受入装置であって、前記測定チャンバー内に配置されると共に、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに平行な平面において移動可能であるように、移動可能な支持レールに機械的に接続される、受入装置と、
を備える本体モジュールをさらに備え、
前記光学モジュールのうちの少なくとも1つは、前記本体モジュールの前記第2のプレートに取り付けられ、前記第2のプレートに取り付けられた前記少なくとも1つの光学モジュールは、前記励起ビームのルートの一部、前記放射ビームのルートの一部のうちの少なくとも一方にある。
【0015】
本発明の複数の例示する実施の形態を、添付の従属クレームにおいて述べる。
【0016】
特定の例示的な実施形態の以下の説明を添付図面に関連して読んだときに、該説明から、本発明の構造及び動作方法両方に関するさまざまな例示的な実施形態は、本発明のさらなる目的及び利点と共に、最もよく理解されよう。
【0017】
この文書では、「備える、有する、含む(to comprise)」という動詞を、列挙していない特徴の存在についても排除しない開かれた限定(open limitation)として用いる。従属請求項に列挙する特徴は、特に明示的に述べない限り、相互に自由に組合せ可能である。
【0018】
本発明の例示する実施形態及びそれらの利点を、例という意味でかつ添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】本発明の一実施形態による本体モジュールを備える光学測定器の断面図の概略図である。
【図1b】図1aの線A−Aから下方に見た図の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による本体モジュールを備える光学測定器の断面図の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図である。
【図6a】本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図である。
【図6b】図6aの線A−Aから下方に見た図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1aは、本発明の一実施形態による光学測定器の断面図の概略図を示す。光学測定器は、第1のプレート102と、第1のプレートと実質的に平行であると共に、第1のプレートに対して垂直な方向において第1のプレートと重なる、第2のプレート103とを備える、本体モジュール100を備えている。第2のプレート103は、第1のプレート及び第2のプレートに対して実質的に垂直な方向に移動可能であるように、すなわち、第2のプレートが座標系190の正及び負のz方向に移動可能であるように、第1のプレート102に対して移動可能に支持されている。第2のプレート103は、第1のプレート102に、ねじ棒111及びそれぞれの相手方部品112によって移動可能に支持されている。相手方部品には、たとえば、第2のプレート103を正又は負のz方向に移動させるように構成されたサーボモーターを設けることができる。本体モジュールは、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁を備えている。それらの壁は、第1のプレートの外縁に締結された剛性部分104と、その剛性部分と第2のプレートの外縁との間に締結された可撓性部分105とを備えている。壁のその可撓性部分により、第2のプレートが第1のプレートに対して移動することができる。壁と第1のプレート及び第2のプレートとは、測定チャンバーを構成し、その内側に、測定されるサンプル151、152、153、154、155、156、157を受け入れる受入装置101がある。壁と第1のプレート及び第2のプレートとによって構成される測定チャンバーは、周囲からの不都合な迷光及び熱放射に対してサンプルを保護することができる。壁は、測定されるサンプルを測定チャンバー内に挿入することを可能にするドア要素106を備えている。第2のプレート103は、開口部が設けられている締結インターフェース107を備えている。締結インターフェースは、第2のプレート103に取り付けられている光学モジュール117に適している。光学モジュール117と測定されているサンプルとの間の距離を、正又は負のz方向に第2のプレート103を移動させることによって調整することができる。
【0021】
測定されるサンプル151、152、153、154、155、156、157は、それぞれサンプルウエル161、162、163、164、165、166、167に保持される。図1bは、図1aの線A−Aから下方に見た図の概略図を示す。図1bからわかるように、サンプルウエルは、この例示的な場合では、7×7アレイを構成する。しかしながら、多くの場合、アレイにより多くのサンプルウエル、たとえば96個のサンプルウエルがある。受入装置101は、複数のサンプルウエルを有する、交換可能な別個の要素110、たとえば微量滴定プレートを受け入れるインターフェースを有している。受入装置101は、サンプルプレートスレッジと呼ばれることが多い。受入装置101は、支持レール140に機械的に接続されており、支持レール140は、図1bに示す双方向矢印141によって定義される方向に移動可能である。そして、受入装置101は、図1bに示す双方向矢印142によって定義される方向において支持レール140に沿って移動可能である。このため、受入装置101、したがってサンプルウエルもまた、第1のプレート102及び第2のプレート103、すなわち受入装置101に平行に移動可能であり、サンプルウエルは、座標系190によって画定されるxy平面において移動可能である。したがって、各サンプルを、受入装置101の機械的位置を変更することによって順に測定することができる。図1aに示す例示的な状況では、現時点で測定されているサンプルは、サンプルウエル163に保持されているサンプル153である。原則的に、サンプルウエルを有する要素110は、受入装置の一体部分である、すなわち、受入装置がサンプルウエルを備えることが可能であるが、複数のサンプルウエルを有する交換可能な要素を有することにより、いくつかの利点が提供される。
【0022】
図1aを参照すると、光学測定器は、励起光ビームを生成するように構成されている励起光源120を備えている。励起光源120を、たとえばフラッシュランプとすることができる。励起光源120によって放射される励起光ビームは、レンズ121によって平行にされ、光学フィルター122を通るように向けられる。種々の波長に対して種々の光学フィルターを選択することができる。そして、励起光ビームは、レンズ123によって光ファイバーガイド124の端部に集束され、光ファイバーガイド124は、励起光ビームを光学モジュール117まで導く。光ファイバーガイドを、たとえば、直径が約100μmである200片のファイバー等、ファイバーの束とすることができる。ファイバーの束を、測定されるサンプル上で光が不均一に分散することを回避するために励起光ビームを混合するのに用いることができる。励起光ビームは、ダイクロイックミラー125によりコリメートレンズ126に反射される。そして、励起光ビームは、レンズ127によりサンプル153に集束される。
【0023】
サンプル153からの光ルミネセンス放射ビームは、レンズ127及び126によりダイクロイックミラー125に向けられる。ダイクロイックミラーは、好ましくは、励起波長を反射するが、放射波長を透過させるように設計されている。そして、放射ビームは、第2のミラー128によって2つのビームに分割される。ミラー128は、好ましくはダイクロイックミラーであり、第1の放射波長の放射ビームがミラーを透過し、第2の放射波長の放射ビームがミラーによって反射されるように、フィルターとして機能する。ミラー128を透過する放射ビームは、レンズ129によって平行にされ、光学フィルター130によってフィルタリングされ、レンズ131によって検出器132の開口部内に集束される。ミラー128によって反射される放射ビームは、レンズ133によって平行にされ、光学フィルター134によってフィルタリングされ、レンズ135によって検出器136の開口部内に集束される。検出器132を、たとえば光電子増倍管とすることができ、検出器136を、たとえばフォトダイオードとすることができる。検出器132及び136は、第1の放射波長の検出されたビームと、第2の放射波長の検出されたビームとに応じて、第1の検出信号及び第2の検出信号を生成するように構成されている。そして、第1の検出信号及び第2の検出信号は、第1の放射波長の放射ビーム及び第2の放射波長の放射ビームの強度に対する値に達するように、増幅され処理される。光学測定器は、当該サンプルに関連する検出信号に基づいて測定される、各サンプル151〜167の測定結果を生成する処理装置139を備える。
【0024】
AlphaScreen(商標名)測定モードでは、励起光ビームは、レーザー光源である励起光源137から受け取られる。励起光ビームは、光路138を介してダイクロイックミラー125に導かれる。AlphaScreen(商標名)測定では、1つの検出器132、好ましくは光電子増倍管のみが用いられる。AlphaScreen(商標名)測定では、サンプルウエル161〜167の開口部を封止するために、好ましくは、透明なサーモプレート(thermo plate)(図示せず)が用いられる。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態による本体モジュール200を備える光学測定器の断面図の概略図を示す。光学測定器は、2つのサンプルの同時測定を可能にする。本体モジュールは、第1のプレート202と、第1のプレートと実質的に平行であると共に、第1のプレートに対して垂直な方向において第1のプレートと重なる、第2のプレート203とを備えている。第2のプレート203は、第1のプレート及び第2のプレートに対して実質的に垂直な方向に移動可能であるように、すなわち、第2のプレートが座標系290の正及び負のz方向に移動可能であるように、第1のプレート202に対して移動可能に支持されている。本体モジュールは、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁を備えている。第2のプレート203は、第2のプレートに取り付けられる光学モジュール217及び217aに適している締結インターフェース207及び207aを備え、第1のプレート202は、第1のプレートに取り付けられる光学モジュール217b及び217cに適している締結インターフェース207b及び207cを備えている。光学モジュール217及び217は、たとえば、励起ビームを生成し現時点で測定されているサンプルに向ける光学素子を備えることができ、光学モジュール217b及び217cは、たとえば検出器を備えることができる。本体モジュールは、測定されるサンプルを受け入れる受入装置201を備えている。受入装置、したがってサンプルもまた、第1のプレート202及び第2のプレート203に平行に、すなわち座標系290のxy平面において移動可能である。光学モジュール217及び217aから測定されているサンプルまでの距離を、第2のプレート203を正又は負のz方向に移動させることによって調整することができる。
【0026】
図3は、本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図を示す。本体モジュールは、第1のプレート302と、第2のプレート303と、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁304とを備えている。壁304は、第1のプレート302の外縁に締結され、第2のプレート303の外縁には、座標系390の正又は負のz方向における第1のプレート302に対する第2のプレート303の移動に応じて、壁に沿って摺動するように構成された、シール308が設けられている。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図を示す。本体モジュールは、第1のプレート402と、第2のプレート403と、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁とを備えている。壁は、第1のプレート402の外縁に締結された第1の部分404と、第2のプレート403の外縁に締結された第2の部分409とを備えている。第2の部分409は、座標系490の正又は負のz方向における第2のプレート403の第1のプレート403に対する移動に応じて、第1の部分404に対して摺動するように構成されている。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図を示す。本体モジュールは、第1のプレート502と、第2のプレート503と、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁とを備えている。壁は、第1のプレート502の外縁と第2のプレート503の外縁とに締結された可撓性材料505を備えている。可撓性材料は、第2のプレート503が、座標系590の正又は負のz方向において第1のプレート502に対して移動するのを可能にする。
【0029】
図6aは、本発明の一実施形態による本体モジュールの断面図の概略図を示す。図6bは、図6aの線A−Aから下方に見た図の概略図を示す。本体モジュールは、第1のプレートと、第2のプレートと、第1のプレートの外縁から第2のプレートの外縁まで延在する壁とを備えている。第2のプレートは、外縁が壁と接触する第1の部分603と、第1の部分の開口部に脱着可能に締結される第2の部分615とを備えている。第2の部分615は、1つ又は複数の締結インターフェース607及び607bを備え、それらの各々は、第2のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している。種々の第2の部分615を用いることにより、種々の光学測定機器を構成するのを可能にするプラットフォームとして同じ本体モジュールを用いることができる。第2のプレートは、第1のプレートに、摺動要素613及び歯付き棒614によって移動可能に支持されている。たとえば、第2のプレートを移動させるように構成されたサーボモーターを有する要素615を設けることができる。
【0030】
本発明の一実施形態による本体モジュールでは、第1のプレートは、外縁が壁と接触する第1の部分602と、第1の部分の開口部に脱着可能に締結された第2の部分616とを備えている。第2の部分は、第1のプレートに取り付けられる1つ又は複数の光学モジュールに適している1つ又は複数の締結インターフェースを備えている。
【0031】
上述した説明で提供した特定の例は、限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプレート(102、202、302、402、502)と、
前記第1のプレートに実質的に平行であると共に、前記第1のプレートに対して移動可能に支持される第2のプレート(103、203、303、403、503)であって、前記第1のプレート及び該第2のプレートに対して実質的に垂直な方向に移動可能であると共に、開口部が設けられかつ該第2のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している少なくとも1つの締結インターフェース(107、207、207a)を備える、第2のプレートと、
前記第1のプレートの外縁から前記第2のプレートの外縁まで延在する壁(104、105、304、404、409、505)であって、前記第1のプレート及び前記第2のプレートと共に測定チャンバーを構成し、測定されるサンプルを前記測定チャンバー内に挿入するのを可能にするドア要素(106)を備える、壁と、
を具備する光学測定器用の本体モジュールであって、
測定される前記サンプルを受け入れる受入装置(101、201、301、401、501)であって、前記測定チャンバー内に配置されると共に、前記第1のプレート及び前記第2のプレートに平行な平面において移動可能であるように、移動可能な支持レール(140)に機械的に接続される、受入装置
をさらに具備することを特徴とする、本体モジュール。
【請求項2】
前記壁は、前記第1のプレートの前記外縁と前記第2のプレートの前記外縁とに締結される可撓性材料(505)を備え、該可撓性材料は、前記第2のプレートの前記第1のプレートに対する移動を可能にする、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項3】
前記壁(304)は、前記第1のプレート(302)の前記外縁に締結され、前記第2のプレート(303)の前記外縁には、前記第2のプレートの前記第1のプレートに対する移動に応じて前記壁に沿って摺動するように構成されたシール(308)が設けられる、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項4】
前記壁は、前記第1のプレートの前記外縁に締結された剛性部分(104)と、該剛性部分と前記第2のプレートの前記外縁との間に締結された可撓性部分(105)とを備え、該可撓性部分は、前記第2のプレートの前記第1のプレートに対する移動を可能にする、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項5】
前記壁は、前記第1のプレートの前記外縁に締結された第1の部分(404)と、前記第2のプレートの前記外縁に締結された第2の部分(409)とを備え、前記第2の部分は、前記第2のプレートの前記第1のプレートに対する移動に応じて前記第1の部分に対して摺動するように構成される、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項6】
前記受入装置は、複数のサンプルウエル(161〜167)を含む別個の要素(110)を受け入れるインターフェースを備える、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項7】
前記受入装置は複数のサンプルウエルを備える、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項8】
前記第2のプレートは、前記第1のプレートに対して少なくとも1つのねじ棒(111)によって移動可能に支持される、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項9】
前記第2のプレートは、前記第1のプレートに対して少なくとも1つの歯付き棒(614)によって移動可能に支持される、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項10】
前記第2のプレートは、外縁が前記壁に接触する第1の部分(603)と、前記第1の部分の開口部に脱着可能に締結された第2の部分(615)とを備え、前記第2の部分は、前記第2のプレートに取り付けられる前記光学モジュールに適している締結インターフェース(607、607a)を備える、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項11】
前記第1のプレート(202)は、開口部が設けられた少なくとも1つの締結インターフェース(207b、207c)を備え、該締結インターフェースは前記第1のプレートに取り付けられる光学モジュールに適している、請求項1に記載の本体モジュール。
【請求項12】
前記第1のプレートは、外縁が前記壁に接触する第1の部分(602)と、前記第1の部分の開口部に脱着可能に締結された第2の部分(616)とを備え、前記第2の部分は、前記第1のプレートに取り付けられる前記光学モジュールに適している締結インターフェースを備える、請求項11に記載の本体モジュール。
【請求項13】
光学モジュール(117、120、137、127、217a、217b、217c)を具備し、該光学モジュールのうちの少なくとも1つは、測定されるサンプル(151〜157)のうちの少なくとも1つに対して励起ビームを生成するように構成された励起光源を有し、前記光学モジュールのうちの少なくとも1つは、測定される前記サンプルのうちの1つによって放射される放射ビームを検出すると共に、該検出された放射ビームに対して検出信号を生成するように構成された検出器を有する、光学測定器であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の本体モジュールをさらに具備し、前記光学モジュールのうちの少なくとも1つは前記本体モジュールの前記第2のプレート(103、203)に取り付けられ、前記第2のプレートに取り付けられた前記少なくとも1つの光学モジュールは、前記励起ビームのルートの一部、前記放射ビームのルートの一部のうちの少なくとも一方にあることを特徴とする、光学測定器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2012−515910(P2012−515910A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546892(P2011−546892)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050020
【国際公開番号】WO2010/084243
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(507077950)
【Fターム(参考)】