説明

光学特性測定装置

【課題】蛍光物質を含む複数の試料を走査し、各試料の光学特性を、短時間で正確に測定できる光学特性測定装置を提供する。
【解決手段】照明部2、3と、放射光1aの分光分布を測定する分光部5と、試料の光学特性を算出する演算制御部6とを備えた光学特性測定装置10であって、照明光2aおよび3aは、蛍光物質の励起光の励起波長域と蛍光波長域との相対分光分布において、互いに異なる分光分布を有し、分光部は、放射光の異なる波長成分を受光する複数の受光素子を有し、受光素子ごとに異なる位相で受光した各波長成分を積分して読み出す電荷蓄積型センサアレイを備え、センサアレイは、各受光素子が受光した各波長成分を積分して読み出す動作を繰り返し複数回行い、演算制御部は、試料に照明光3aを照射する期間が、蛍光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間内であるように、照明光2a、3aの照射を制御することで試料1の光学特性を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光現象を伴う試料の分光特性を測定する光学特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産されている白色の紙や繊維の多くは、蛍光増白剤によって蛍光増白されている。そこで、蛍光の影響を無視して白さ(白色度、ブライトネス)や色彩を精度よく評価することはできないという事情から、蛍光の影響を配慮した当該紙や繊維の測色技術の向上が求められている。
【0003】
一般的に、反射試料の視覚的な光学特性は、白色との相対比によって表される。具体的には、ある照明・受光条件における反射試料からの放射光の、同一照明・受光条件における完全拡散反射体からの放射光に対する波長λ毎の比である全分光放射率係数B(λ)で表される。
【0004】
ところで、蛍光増白された試料、つまり蛍光物質を含む試料(以下、蛍光試料という)では、蛍光は反射光に重畳されて物体色として観察される。すなわち、蛍光試料からの放射光は、蛍光試料からの反射光(反射光成分)と蛍光(蛍光成分)との和として与えられる。したがって、蛍光試料の全分光放射率係数B(λ)は、上記と同様、ある照明・受光条件において照明、受光された蛍光試料からの反射光及び蛍光それぞれの、同一照明・受光条件における完全拡散反射体からの放射光に対する比である、反射分光放射率係数R(λ)および蛍光分光放射率係数F(λ)の和として与えられる。
【0005】
ただし、完全拡散反射体は蛍光を放射せず、その反射率は照明光の波長に依存しない。したがって、比例定数を別にすれば、これら全分光放射率係数B(λ)、反射分光放射率係数R(λ)および蛍光分光放射率係数F(λ)は、それぞれ波長λの放射光、反射光、および蛍光の、同じ波長の照明光に対する強度比として表される。なお、測色の目的は目視に準じる測定値を得ることにあり、物体色として感じられる蛍光試料の場合、求められるべきは全分光放射率係数B(λ)であり、このB(λ)から色彩値等が導かれる。
【0006】
測色用の照明光としては、CIE(国際照明委員会)が分光分布(分光強度)を定義しているD65、D50(昼光)やA(白熱光源)、あるいは、F1〜F12(蛍光灯)などの標準照明光が用いられる(蛍光試料には通常、標準照明光D65が用いられる)。蛍光試料の励起・蛍光特性は、蛍光試料面を単位強度で照明する波長μの単波長光により励起される波長λの蛍光の強度を表すマトリクスデータ、二分光蛍光放射率係数(Bispectral Luminescent Radiance Factor)F(μ,λ)によって記述される。
【0007】
全分光放射率係数B(λ)を求める実用的な方法として、例えば、特許文献1に開示された方法がある。特許文献1に開示された方法は、試料に近似する二分光蛍光放射率係数または二分光放射率係数と、評価用照明光の分光分布と、励起波長域と蛍光波長域との相対的な分光分布が異なる第1および第2の実照明光の分光分布と、第1および第2の実照明光により照明された試料の放射光の実測分光分布とから、評価用照明光により照明された試料の全分光放射率係数を算出するものである。なお、評価用照明光とは、標準照明光D65など光学特性の評価に用いる照明光のことをいう。ここで、放射光の分光分布は、例えばポリクロメータ(分光装置)により測定される。より具体的には、試料からの放射光は、ポリクロメータ内の回折格子で波長ごとに分散され、分散された波長成分がセンサアレイの配列された複数の受光素子に入射する。各受光素子に入射した波長成分は、その光量に応じて電荷を蓄積し、蓄積された電荷が電気信号に変換されて出力される。なお、センサアレイは、CCD(Charge-Coupled Devices)やMOS(Metal Oxide Semiconductor)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子である。
【0008】
特許文献1に記載の方法に係る光学特性測定装置は、蛍光基準試料およびこれを用いた煩雑な校正作業が不要であり、測定方法の簡略化あるいは測定作業の高効率化を図ることができる。
【特許文献1】特開2006−292510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カラープリンタによる印刷色の校正を行うためには、配列された印刷色校正用の複数の色サンプルを走査し、各サンプルの光学特性を測定することが行われている。蛍光増白紙上に印刷により配列された色サンプルについても同様に、これら複数の色サンプルを走査することで、例えば、特許文献1に記載の方法を用いて、蛍光の影響を反映した各色サンプルの光学特性を順次測定することが好ましい。一方、上記特許文献1に記載の方法では、試料からの放射光を光学特性測定装置に内蔵するポリクロメータで測定する必要がある。しかし、低コストの逐次読み出し型の電荷蓄積型センサアレイを搭載したポリクロメータでは、以下のような問題が生じる。なお、逐次読み出し型とは、受光素子アレイの蓄積電荷を同時に並列転送する転送用アレイを有さず、蓄積電荷を各受光素子から直接、順次読み出す方式のものをいう。つまり、各受光素子での電荷蓄積が、その受光素子に対する読み出しから次の読み出しまでの積分期間に行われるものをいう。
【0010】
特許文献1に記載の発明に係る光学特性測定装置は、紫外光および白色光をそれぞれ照射する照明部を有し、それらの照明タイミングを制御して、白色光のみを照射した場合の被測定試料からの放射光の分光分布と、白色光および紫外光をともに照射し、それらの混合光を照射した場合の被測定試料からの放射光の分光分布とを取得する。図7は紫外光および白色光における波長と強度との関係を示すグラフである。紫外光と白色光との分光分布は、例えば図7に示されるような特性である。
【0011】
逐次読み出し型電荷蓄積型センサアレイは各受光素子に読み出しパルスを順次送信して各受光素子を読み出す。読み出しパルスを受けた受光素子は、前回の読み出し周期の終了から現在の読み出し周期の開始までの積分期間に入射した、光の積分光量を電気信号に変換して出力する。したがって、各受光素子の積分期間はそれぞれ同一の長さであり、それは読み出し周期で決まる。そして、読み出しのタイミングに応じてそれぞれの位相は異なる。なお、読み出し周期は、先頭から末尾まで全ての受光素子に読み出しパルスが送信される期間である。また、複数の色サンプルを走査して測定を行う場合は、走査中に同一の色サンプルに対し、20回程度の読み出し動作を繰り返し行い、得られた測定データのうち有効なものを複数個選択し、平均化してその測定値を求める。
【0012】
特許文献1に記載の発明に係る方法は、励起波長域と蛍光波長域との相対分光分布が互いに異なる2つの照明光を照射して、被測定試料からの放射光の分光分布をそれぞれ求める。なお、求められた2つの放射光の分光分布の各波長成分は、同じ分光分布の照明光によるものである必要がある。ここで、特許文献1に記載の発明に係る光学特性測定装置に、前記逐次読み出し型電荷蓄積型センサアレイを用い、複数の色サンプルを走査して測定を行う場合は、白色光のみの照射時間あるいは混合光の照射時間が、被測定試料からの放射光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間において同一となるように、2つの照明光の照射タイミングを各受光素子の積分期間に合わせて調整する必要がある。以下に、各照明部の切り替えタイミングについて具体的に説明する。
【0013】
図8は光学特性測定装置により被測定試料を走査して測定する従来の第1の測定方法のタイミングチャートである。図8に示す、従来の第1の測定方法のタイミングチャートについて説明する。なお、簡単にするため、図8では受光素子P〜Pを8個としている(n=7)。読み出し周期Trの間に、λ〜λの波長成分がそれぞれ入射する受光素子P〜Pの出力を読み出すよう、各読み出しパルスp〜pがそれぞれ受光素子P〜Pに送られる。そして、読み出しパルスp〜pのパルス幅の間にそれぞれの出力が読み出される。また、読み出しパルスの終了から次の読み出しパルスの開始までの期間である積分期間T〜Tの間に受光素子P〜Pに入射したλ〜λの波長成分は、電荷として受光素子P〜Pに蓄積され電気信号として出力される。したがって、受光素子P〜Pの出力信号は、積分期間T〜T内に受光素子P〜Pに入射した各波長成分の積分光量に比例する。
【0014】
図8に示すように、白色LED(Light Emitting Diode)を常時駆動して、UVLED(紫外発光ダイオード:Ultraviolet Light Emitting Diode)(以下、紫外LEDという)を奇数番目の読み出しパルスpで始まる奇数番目の読み出し周期Tr中は駆動し、偶数番目の読み出しパルスpで始まる偶数番目の読み出し周期Tr中は停止することを繰り返す。それにより、混合光と白色光が読み出し周期Trの2倍の周期で、交互に被測定試料に照射されることになる。この場合、受光素子Pについては、奇数番目の積分期間Tのすべてにおいて混合光が照射され、偶数番目の積分期間Tのすべてにおいて白色光のみが照射されて、混合光または白色光が交互に積分期間Tの全期間において照射される。しかし、それ以外の受光素子P〜Pについては、それぞれの奇数番目の読み出しパルスp〜pで始まる奇数番目の積分期間T〜Tは紫外LEDの駆動期間と一致せず、積分期間T〜Tの一部で混合光が照射され、残りの期間は白色光のみが照射されることになる。さらに、各受光素子P〜Pに送られる読み出しパルスp〜pが、それぞれ時間的にずれていることから、奇数番目の積分期間T〜Tにおいて、混合光が照射されている期間はそれぞれ異なる割合を占める。必然的に、偶数番目の読み出しパルスp〜pで始まる偶数番目の積分期間T〜Tにおいても、混合光が照射されている期間がそれぞれ異なる割合で含まれ、残りの期間に白色光のみが照射される。この結果、積分期間中の照明光の分光分布が、放射光の波長成分ごとに異なることになるため、特許文献1に記載の方法を適用できない。さらに、例えば受光素子Pの積分期間Tにおいては、奇数番目の積分期間でも偶数番目の積分期間でも、混合光が照射されている期間の割合が50%程度でほとんど変化しない。したがって、受光素子Pが奇数番目および偶数番目の積分期間に受光する放射光の波長成分λについては、異なる相対分光分布の照明光によるものにならず、特許文献1に記載の方法によって評価用照明光で照明された蛍光増白試料の全分光放射率係数を正しく求めることができない。
【0015】
そこで、放射光の各波長成分の積分期間中の照明光の分光分布を一定にし、全分光放射率係数を正しく求める方法として、以下の方法が考えられる。図9は光学特性測定装置で被測定試料を走査して測定する従来の第2の測定方法におけるタイミングチャートであって、図9(A)は1回目の走査によるタイミングチャートを示し、図9(B)は2回目の走査によるタイミングチャートを示している。図9に示す、従来の第2の測定方法のタイミングチャートについて説明する。
【0016】
まず、図9(A)に示された、1回目の走査においては、紫外LEDは駆動せずに、白色LEDのみ駆動して、白色光のみを試料に照射し、その放射光の分光分布を測定する。そして、図9(B)に示された、2回目の走査においては、紫外LEDおよび白色LEDをともに駆動し、紫外光および白色光の混合光を試料に照射し、その放射光の分光分布を測定する。これにより、どちらの照明光も、各受光素子P〜Pの積分期間T〜Tの全期間において照射される。したがって、白色光および混合光の照明による放射光の各波長成分の積分期間中の照明光の分光分布を一定にすることができる。しかし、この方法は、照明光を変えて2回の走査を行わなければならず、煩雑で作業時間も2倍になるという問題がある。
【0017】
また、別の方法としては、白色LEDを常時駆動させておいて、紫外LEDを読み出し周期Trの2倍の期間駆動し、駆動した期間と同じ期間停止することを繰り返すことで、全分光放射率係数を正しく求める方法がある。この場合、白色光および混合光の交番周期は、読み出し周期Trの4倍となる。図10は光学特性測定装置により被測定試料を走査により測定する従来の第3の測定方法におけるタイミングチャートである。具体的には、上記方法である従来の第3の測定方法におけるタイミングチャートである。図10に示すように、白色LEDを常時駆動しておき、読み出し周期Trの4倍の周期で、読み出し周期Trの2倍の期間の紫外LEDの駆動と停止とを繰り返す。これにより、受光素子Pは、その積分期間Tの2周期分において混合光または白色光が照射されることなる。また、それ以外の受光素子P〜Pについても、紫外光LEDを駆動している期間または停止している期間中に、1つの積分期間T〜T(図10では奇数番目の積分期間)が含まれ、その積分期間では全期間において混合光または白色光が照射される。したがって、図10における各受光素子P〜Pの奇数番目の積分期間T〜Tについては、放射光の各波長成分の積分期間中の照明光の分光分布は一定であり、その積分期間T〜Tにおいて取得した放射光の分光分布を用いて特許文献1に記載の方法を適用することができる。
【0018】
しかし、この方法では、全期間において混合光あるいは白色光が照射されている奇数番目の積分期間T〜T以外に、混合光および白色光が受光素子P〜Pごとに異なる割合で照射される偶数番目の積分期間T〜Tが存在する。この積分期間に測定されたデータは特許文献1に記載の方法で用いることはできない。つまり、取得したデータのうち、半分は不要なデータであることとなり、有効データが半減して測定精度が低下するという問題がある。有効データを増加させるためには、さらに多くの回数読み出しを行うしかない。
【0019】
上述のように、従来の第1の測定方法においては、各照明光の分光分布が放射光の各波長成分について一定とならない。また、従来の第2および第3の測定方法においては、測定時間が長くなる、測定精度が低いといった問題がある。
【0020】
本発明は、上述の事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、蛍光物質を含む複数の試料を走査し、各試料の光学特性を、短時間で正確に測定できる光学特性測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明に係る一態様に係る光学特性測定装置は、第1および第2照明光を照射し、蛍光物質を含む試料を照明するための照明部と、前記試料からの放射光の分光分布を測定する分光部と、前記第1および第2照明光をそれぞれ順次照射し、前記分光部により測定して得た情報に基づいて、前記放射光の光学特性を算出する演算制御部とを備えた光学特性測定装置であって、前記第1照明光および前記第2照明光は、前記蛍光物質の励起波長域と蛍光波長域との相対分光分布において、互いに異なる分光分布を有し、前記分光部は、前記放射光の異なる波長成分をそれぞれ受光する複数の受光素子を有し、前記受光素子ごとに異なる位相で受光した各波長成分を積分して読み出す逐次読み出し型の電荷蓄積型センサアレイを備え、前記電荷蓄積型センサアレイは、前記各受光素子が受光した各波長成分を積分して読み出す動作を繰り返し複数回行い、前記演算制御部は、前記試料に前記第2照明光を照射する期間が、前記蛍光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間内であるように、前記第1および第2照明光の照射を制御することで前記試料の光学特性を測定する。
【0022】
これにより、2つの照明光を用いて蛍光物質を含む試料の光学特性を短時間で正確に測定できる光学特性測定装置を実現できる。より具体的には、例えば蛍光増白剤を含む複数の印刷サンプルを走査し、各サンプルの光学特性を、短時間で正確に測定できる。
【0023】
また、上述の光学特性測定装置によれば、繰り返し複数回行われる前記各受光素子が受光した各波長成分を積分して読み出す動作の周期において、蛍光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間中に前記第2照明光が照射される周期と、当該積分期間中に前記第2照明光が照射されない周期とが、交互に繰り返し行われることが好ましい。
【0024】
これにより、異なる照明光による放射光の分光分布を交互に連続的に正確に測定できる。したがって、多数の試料の配列を走査して測定する場合に、隣接試料の影響を受けない有効なデータを各照明光について効率よく抽出でき、試料の光学特性を正確に測定することができる。
【0025】
また、上述の光学特性測定装置によれば、配列された複数の前記試料を走査することで、前記試料の光学特性を測定する。
【0026】
これにより、例えば、カラープリンタにおける印刷色校正のための、配列された蛍光増白剤を含む紙等に印刷された、複数の色サンプルの光学特性が測定できる。また、この光学特性測定装置は、複数回走査することなく、一回の走査であっても十分な有効データを得ることができ、短時間で正確な測定ができる。
【0027】
また、上述の光学特性測定装置によれば、前記第1照明光は紫外光を含まない照明光であり、前記第2照明光は紫外光を含む照明光であることが好ましい。
【0028】
これにより、第1照明光および第2照明光が蛍光物質の励起波長域と蛍光波長域において異なる相対分光強度をもつので、蛍光物質を含む試料であっても、正確に光学特性測定が可能である。
【0029】
また、上述の光学特性測定装置における、紫外光を照射する第2照明部と、白色光を照射する第1照明部とを備え、前記第1照明部のみ駆動させて、前記第1照明光を照射し、前記第1照明部および前記第2照明部を同時に駆動させて、前記第2照明光を照射することが好ましい。
【0030】
これにより、容易に、紫外光を含む照明光および紫外光を含まない照明光の照射が実現できる。
【0031】
また、上述の光学特性測定装置における、前記第2照明部は紫外LEDであることが好ましい。
【0032】
これにより、紫外光の照射を容易に制御できる。また、紫外LEDは寿命が長く、安定性と効率が高いという効果を奏する。
【0033】
また、上述の光学特性測定装置における、前記演算制御部は、前記第1および第2照明光を前記試料に照射した場合のそれぞれの放射光を、前記分光部により測定して得た情報からそれぞれの前記照明光による分光放射率係数を求め、当該求められたそれぞれの分光放射率係数を波長ごとに異なる重みで線形結合して、前記試料の所定の照明光による分光放射率係数を求めることが好ましい。
【0034】
これにより、蛍光基準試料およびこれを用いた煩雑な校正作業が不要となり、測定方法の簡略化あるいは測定作業の高効率化を図ることができる。具体的には、上記特許文献1に記載の方法を用いることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、蛍光物質を含む複数の試料を走査し、各試料の光学特性を、短時間で正確に測定できる光学特性測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0037】
本実施の形態に係る光学特性測定装置について説明する。図1は、本実施の形態に係る光学特性測定装置の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、光学特性測定装置10は、白色照明部(第1照明部)2、紫外照明部(第2照明部)3、対物レンズ4、ポリクロメータ(分光部)5および演算制御装置(演算制御部)6を備えて構成され、被測定試料1の光学特性を測定する。
【0038】
被測定試料1は、蛍光物質を含む繊維や紙等からなる試料である。例えば、カラープリンタにおける印刷色校正のための印刷サンプルである。具体的には、蛍光増白剤を含む蛍光増白紙上に印刷された、複数の色サンプルの配列で構成される。このような被測定試料1の各色サンプルの光学特性は走査により順に測定することが好ましい。
【0039】
白色照明部(第1照明部)2および紫外照明部(第2照明部)3は、それぞれ白色光2aおよび紫外光3aを照射する。白色照明部2は、白色照明駆動回路21および白色LED22を有している。白色LED22は白色光2aを出射し、被測定試料1を照明するものである。白色照明駆動回路21は白色LED22の動作を制御し、その駆動および停止を制御する。なお、白色LED22の代わりに、白熱ランプ等を用いてもよい。また、紫外照明部3は、紫外照明駆動回路31および紫外LED32を有している。紫外LED32は紫外光3aを出射し、白色LED22と同様、被測定試料1を照明するものである。また、紫外照明駆動回路31は、紫外LED32の動作を制御し、その駆動および停止を制御する。なお、紫外LED32の代わりに、キセノンフラッシュランプなど、紫外域の光束を出力する光源を用いてもよい。白色照明駆動回路21および紫外照明駆動回路31は、例えばパルス点灯駆動するための回路等とすればよい。なお、LEDは制御が容易であり、安定性と効率が高い。
【0040】
演算制御装置6は、各制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)や、演算処理や制御処理用のデータを格納するRAM(Random Access Memory)、当該制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(中央演算処理装置)等からなる。演算制御装置6は、制御部61、演算部62および記憶部63を有している。制御部61は光学特性測定装置10の各部の制御を司り、光学特性測定装置10の動作制御を行う。また、演算部62は、ポリクロメータ5から送信されたデータに、校正や重み付け線形結合等の演算処理を施して、試料の光学特性を算出する。記憶部63は光学特性測定装置10の動作プログラムや、前記演算に用いる校正用のデータや重み付け用のデータ等を記憶している。
【0041】
対物レンズ4は、照明光に照射された被測定試料1の放射光を集光して、ポリクロメータ5に導く。ポリクロメータ5は、入射された光を波長分散し、波長成分ごとの光量を電気信号に変換して出力する。図2は本実施の形態に係るポリクロメータの構成を説明するための図である。図2に示すように、ポリクロメータ5は、放射光1aが入射するスリット51と、入射した放射光1aを分散させる回折格子52と、回折格子52の分散方向と同一方向に配列された複数の受光素子P〜Pを有し、各受光素子P〜Pに入射したλ〜λの波長成分の光量に応じた電気信号を出力する電荷蓄積型センサアレイ53とを備えて構成されている。また、センサアレイ53は逐次読み出し型であり、入射光量に応じて各受光素子P〜Pに蓄積された電荷は、転送用アレイに並列転送されることなく、直接各受光素子から、順次、読み出される。電荷を蓄積する積分期間は読み出しパルスの終了から次の読み出しパルスの開始までであるため、積分期間の位相は受光素子ごとに異なる。なお、センサアレイ53は、例えば128個の受光素子P〜P127を備えていることとすればよい。
【0042】
なお、図1には図示していないが、例えば、光学特性測定装置10は、表示装置や印刷機等の出力装置を備えていることが好ましい。この出力装置により、演算制御装置6により算出された測定値等を表示あるいは印刷することができる。また、光学特性測定装置10は配列された被測定試料上を走査するものであるため、走査用の駆動装置等を備えていてもよい。なお、駆動装置がなくとも、操作者が光学特性測定装置10を把持して、被測定試料1上を走査することができる。
【0043】
次に、本実施の形態に係る光学特性測定装置10の動作について説明する。図3は本実施の形態に係る光学特性測定装置の動作状態を説明するための図である。図3において、上段は、被測定試料1および光学特性測定装置10の側面図であり、下段は被測定試料1の平面図である。図3の下段に示すように、被測定試料10は、蛍光増白紙上に印刷された複数の色サンプルS〜S(Nは自然数)が配列されて構成される。このような、各色サンプルS〜Sの光学特性の測定は、光学特性測定装置10を、色サンプルS〜Sの配列方向(図3中の矢印の方向)に沿って走査することで行う。なお、本実施の形態に係る光学特性測定装置10は、特許文献1に記載の方法に係る光学特性測定装置のように、紫外光と白色光をそれぞれ照射する2つの照射部を有し、白色光のみを照射した場合と、紫外光と白色光の双方からなる混合光を照射した場合の被測定試料からの放射光の分光分布と、白色光および混合光の分光分布とから、被測定試料の光学特性を算出する光学特性装置である。
【0044】
まず、操作者は、被測定試料1上に光学特性測定装置10を設置し、被測定試料1を走査していく。走査が開始された場合に、制御部61は所定のタイミングで白色光2aおよび紫外光3aが被測定試料1に照射されるよう、白色照明駆動回路21および紫外照明駆動回路31を制御する。被測定試料1に白色光1aのみが照射された場合は、主として反射光からなる被測定試料の放射光1aが対物レンズ4を介して、ポリクロメータ5に入射する。また、被測定試料1に白色光2aおよび紫外光3aの混合光が照射されている場合は、その反射光と主として紫外光3aで励起された蛍光とを含む放射光1aが対物レンズ4を介して、ポリクロメータ5に入射する。色サンプルS〜Sごとに、主として反射光である放射光1aと、反射光および蛍光を含む放射光1aとが分光測定され、各放射光1aの分光分布が電気信号として、演算制御装置6に送信される。演算制御装置6の演算部62ではこれらポリクロメータ5から送信された分光分布を用いて、各色サンプルS〜Sの光学特性を算出する。
【0045】
次に、白色LED22および紫外LED32の駆動タイミングについて説明する。図4は本実施の形態に係る光学特性測定装置を走査して被測定試料を測定する場合のタイミングチャートである。なお、図4の左端には、各受光素子P〜Pにより読み出される波長に対する蛍光分光放射率係数F(λ)のグラフを示している。図4においては、簡単にするため、受光素子P〜Pは8個としている(n=7)。読み出し周期Trの間に、λ〜λの波長成分が入射する各受光素子P〜Pに対して読み出しパルスp〜pが送られ、読み出しパルスp〜pのパルス幅の間に各受光素子P〜Pが読み出される。また、読み出しパルスの終了から次の読み出しパルスの開始までの間である積分期間T〜Tに各受光素子P〜Pに入射したλ〜λの波長成分が、電荷として蓄積され、各波長成分の積分光量に対応する電気信号として読み出される。また、走査により測定を行うことから、同一の色サンプルにおいて、積分と読み出し動作が複数回繰り返される。電荷蓄積型センサアレイ53が逐次読み出し型であることから、図4に示すように、繰り返される各受光素子P〜Pの読み出しと積分開始はTr/8ずつ位相がずれている。なお、実際に用いられる128素子のセンサアレイの読み出し周期Trは、数msec程度であり、同一の色サンプルあたり、20周期程度の読み出しを行うことができる。これらの測定データのうち有効なものを複数個選択し、さらに平均化等をして、分光分布測定値とする。
【0046】
図4に示すように、白色LED22は常時駆動され、紫外LED32は、読み出し周期Trの1周期おきに、具体的には奇数番目の読み出し周期Trの後半に、積分期間の1/2の期間において駆動される。これにより、紫外LED32の全駆動期間(紫外光の照射期間)が、受光素子P〜Pの積分期間T〜Tに収まる。偶数番目の読み出し周期Trでは紫外LED32は停止される。これにより、受光素子P〜Pの奇数番目の積分期間T〜Tでは、白色光2aが全積分期間で、紫外光3aが1/2積分期間で被測定試料1に照射される。これは、白色照明光と駆動時の1/2の強度の紫外照明光とからなる混合光が全積分期間にわたって照射されることと等価であり、受光素子P〜Pの奇数番目の読み出し周期では、この混合光を照射された被測定試料1からの放射光に対応する信号が読み出される。ここでは紫外LED32の駆動期間を、積分期間の1/2としたが、1/2以外の割合でもよく、その場合は、その割合に応じた強度の紫外照明光を加えられた混合光が、全積分期間にわたって被測定試料1に照射されることと等価である。一方、受光素子P〜Pの偶数番目の積分期間T〜Tでは、白色照明光のみが全積分期間にわたって被測定試料1に照射される。このように、受光素子P〜Pの積分期間T〜Tにおいては、それぞれ同じ分光分布をもつ混合光あるいは白色光を照射された被測定試料1の放射光が交互に入射する。
【0047】
しかし、図4に示すように、受光素子P〜Pについては、紫外LED32の駆動期間は、連続する奇数番目と偶数番目の積分期間T〜Tにまたがっていて、奇数番目と偶数番目の積分期間T〜Tにおいてそれぞれ異なる期間を占める。そのため、受光素子P〜Pの積分期間T〜Tにおいて入射する放射光は、受光素子P〜Pのように、同じ分光分布の照明光を照射された被測定試料1の放射光とはならない。
【0048】
ここで、蛍光増白された試料が放射する蛍光の分光特性について検討する。図5は蛍光の波長と強度との関係を示すグラフである。図5に示すように、一般的な蛍光増白試料が放射する蛍光の相対分光強度分布は、波長が590nm以上ではほとんど強度をもたない。
【0049】
一方、特許文献1の方法は、蛍光増白された被測定試料の反射特性を、蛍光の影響を反映して精度よく求める方法であり、蛍光の影響を受けない590nm以上の波長域で用いる必要はない。そこで、例えば受光素子P〜Pの受光波長域を590nm以上、すなわち、蛍光がほとんど存在しない波長域とすると、紫外光が被測定試料1に照射されて、蛍光が励起され放射されても、受光素子P〜Pには入射しない。なお、蛍光と各受光素子P〜Pとの関係は、図4の左端に示した蛍光分光放射率係数F(λ)のグラフに示されている。つまり、受光波長域が590nm以上の受光素子に関しては、被測定試料1に照射される光が白色光であれ、混合光であれ受光光量に変化がなく、その分光分布から特許文献1の方法を用いることなく、被測定試料1の590nm以上の波長域の光学特性を求めることができる。
【0050】
また、前述のように、受光波長域に蛍光が存在する590nm以下の受光素子P〜Pには、同じ分光分布の白色光あるいは同じ分光分布の混合光の照射による被測定試料1の放射光1aが入射し、それらの分光分布から特許文献1の方法を用いて、被測定試料1の590nm以下の波長域の光学特性を求めることができる。つまり、受光素子P〜Pの受光波長域を590nm以上とすればよい。それにより、全ての受光素子P〜Pの全受光波長域について、被測定試料1の光学特性を求めることができる。
【0051】
このように、本実施の形態に係る光学特性測定装置10は、分光分布の異なる2つの照明光を用いて、蛍光増白剤を含む複数の試料を走査して光学特性を測定する場合に、より正確な測定を行うことができる。また、この光学特性測定装置10は、複数回走査することなく、一度の走査で十分な有効データを得ることができ、正確な測定ができるので、例えば、カラープリンタにおける印刷色校正のために、蛍光増白剤を含む紙等に印刷された複数の色サンプルの配列を短時間で測定できる。
【0052】
以下に、より具体的に、本発明の実施の形態に係る光学特性測定装置10について説明する。例えば、受光素子P〜Pを128個(128画素)とし、受光ラインセンサ53の受光する波長範囲をおよそ340nm〜840nmとすればよい。この波長範囲は、図7に示す白色光2aおよび紫外光3aの波長域をすべて含んでいる。そして、前半の受光素子P〜P63は、およそ340nm〜590nmの波長成分を受光し、後半の受光素子P64〜P127は、およそ590nm〜840nmの波長成分を受光することとすればよい。そして、白色LED22を常時駆動し、紫外LED32を1つおきの読み出し周期Trの後半部に駆動する。つまり、受光素子P〜P63の1つおきの各積分期間T〜T63に、紫外LED32の全駆動期間が含まれるように紫外LED32が駆動される。一方、受光素子P64〜P127については、連続する各積分期間T64〜T127にまたがって紫外LED32が駆動する。つまり、どの積分期間T64〜T127にも、紫外LED32の全駆動期間が含まれることはない。
【0053】
これにより、受光素子P〜P63の1つおきの各積分期間T〜T63については、等しく紫外LED32の全駆動期間が含まれるので、受光素子P〜P63からは、白色光2aのみによる被測定試料1からの放射光と、白色光2aおよび紫外光3aの同じ分光分布の混合光による被測定試料1の放射光1aの分光分布を得ることができる。一方、受光素子P64〜P127については、連続する2つの積分期間T64〜T127の双方に異なる割合で紫外LED32の駆動期間が含まれることになる。しかし、蛍光が強度をもたない波長成分を受光する受光素子P64〜P127が出力する電気信号は、紫外LED32の点灯には影響を受けないので、全ての積分期間T64〜T127で同じ放射光の分光分布が得られる。したがって、本実施の形態に係る光学特性測定装置10は、590nm以下の波長域については特許文献1の方法を適用して、590nm以下の波長域については特許文献1の方法を用いることなく、被測定試料1の光学特性を正確に測定することができる。
【0054】
本実施の形態に係る光学特性測定装置10により、複数の色サンプルが配列された試料を測定する場合の受光素子の読み出しタイミングについて、さらに図6を用いて説明する。図6は本実施の形態に係る光学特性測定装置の色サンプルごとの読み出しタイミングについて説明するための図である。簡単のために受光素子数を8とし、色サンプル数を4としている。本実施の形態に係る光学特性測定装置10は、1つの色サンプル上を移動する間に複数回の読み出し動作を行い、色サンプルの複数の測定域を測定する。図6は、各色サンプルS〜Sの配列と、この各色サンプルS〜Sの複数の測定域Aと、その読み出しタイミングについて示している。上述のように、光学特性測定装置10は、白色LED22を常時駆動し、紫外LED32を奇数番目の読み取り周期Trの後半に駆動する。そして、測定域Aには各回の読み出しにおいて、白色光2aのみ、あるいは白色光2aと紫外光3aとの混合光が交互に照射される。例えば、色サンプルSを走査する間に、受光ラインセンサ53の受光素子P〜Pに対して8回の読み出し動作M〜Mが行われる。1つの色サンプルを8箇所で測定した後、隣接する色サンプルの影響を受けている可能性のある始めと終わりの数箇所分の測定データを削除し、色サンプルの中央付近の数箇所分の測定データが有効データとされ、有効データについて混合光を照射した奇数番目と白色光を照射した偶数番目のデータの平均がそれぞれ求められ、各照明光による測定値とされる。なお、実際には、1つの色サンプルあたり、20回程度測定が行われ、隣接色サンプルの影響を受けないように、始めと終わりのそれぞれ数回分ずつが削除され、残りの測定データが有効データとして扱われる。
【0055】
このようにして得られた測定値は、例えば上述の特許文献1の方法を用いて、演算部62によって演算され、色彩値等が算出される。具体的には、前記第1および第2照明光を前記試料に照射した場合のそれぞれの放射光を、前記分光部により測定して得た情報からそれぞれの照明による放射光の分光放射率係数を求め、当該求められたそれぞれの分光放射率係数を波長ごとに異なる重みで線形結合して、前記試料の所定の照明光による分光放射率係数を求める。さらに、この値を用いて、色彩値等を求める。これにより、蛍光基準試料あるいはこれを用いた煩雑な校正作業を不要とし、測定方法の簡略化あるいは測定作業の高効率化を図ることができる。また、走査による試料の測定においても、正確な測定が短時間でできる。
【0056】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態に係る光学特性測定装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るポリクロメータの構成を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係る光学特性測定装置の操作状態を説明するための図である。
【図4】本実施の形態に係る光学特性測定装置における走査により被測定試料を測定する場合のタイミングチャートである。
【図5】蛍光の波長と強度との関係を示すグラフである。
【図6】本実施の形態に係る光学特性測定装置の色サンプルごとの読み出しタイミングについて説明するための図である。
【図7】紫外光および白色光における波長と強度との関係を示すグラフである。
【図8】光学特性測定装置により被測定試料を走査により測定する従来の第1の測定方法におけるタイミングチャートである。
【図9】光学特性測定装置により被測定試料を走査により測定する従来の第2の測定方法におけるタイミングチャートであって、図9(A)は1回目の走査によるタイミングチャートを示し、図9(B)は2回目の走査によるタイミングチャートを示している。
【図10】光学特性測定装置により被測定試料を走査により測定する従来の第3の測定方法におけるタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 被測定試料
1a 放射光
2 白色照明部
2a 白色光
3 紫外照明部
3a 紫外光
4 対物レンズ
5 ポリクロメータ
6 演算制御装置
10 光学特性測定装置
21 白色照明駆動回路
22 白色LED
31 紫外照明駆動回路
32 紫外LED
51 スリット
52 回折格子
53 受光ラインセンサ
61 制御部
62 演算部
63 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2照明光を照射し、蛍光物質を含む試料を照明するための照明部と、前記試料からの放射光の分光分布を測定する分光部と、前記第1および第2照明光をそれぞれ順次照射し、前記分光部により測定して得た情報に基づいて、前記放射光の光学特性を算出する演算制御部とを備えた光学特性測定装置であって、
前記第1照明光および前記第2照明光は、前記蛍光物質の励起波長域と蛍光波長域との相対分光分布において、互いに異なる分光分布を有し、
前記分光部は、前記放射光の異なる波長成分をそれぞれ受光する複数の受光素子を有し、前記受光素子ごとに異なる位相で受光した各波長成分を積分して読み出す逐次読み出し型の電荷蓄積型センサアレイを備え、
前記電荷蓄積型センサアレイは、前記各受光素子が受光した各波長成分を積分して読み出す動作を繰り返し複数回行い、
前記演算制御部は、前記試料に前記第2照明光を照射する期間が、前記蛍光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間内であるように、前記第1および第2照明光の照射を制御することで前記試料の光学特性を測定する光学特性測定装置。
【請求項2】
繰り返し複数回行われる前記各受光素子が受光した各波長成分を積分して読み出す動作の周期において、蛍光の波長成分を受光する各受光素子の積分期間中に前記第2照明光が照射される周期と、当該積分期間中に前記第2照明光が照射されない周期とが、交互に繰り返し行われる、請求項1に記載の光学特性測定装置。
【請求項3】
配列された複数の前記試料を走査することで、前記試料の光学特性を測定する、請求項2に記載の光学特性測定装置。
【請求項4】
前記第1照明光は紫外光を含まない照明光であり、前記第2照明光は紫外光を含む照明光である、請求項1に記載の光学特性測定装置。
【請求項5】
紫外光を照射する第2照明部と、白色光を照射する第1照明部とを備え、
前記第1照明部のみ駆動させて、前記第1照明光を照射し、
前記第1照明部および前記第2照明部を同時に駆動させて、前記第2照明光を照射する、請求項4に記載の光学特性測定装置。
【請求項6】
前記第2照明部は、紫外LEDである、請求項5に記載の光学特性測定装置。
【請求項7】
前記演算制御部は、前記第1および第2照明光を前記試料に照射した場合のそれぞれの放射光を、前記分光部により測定して得た情報からそれぞれの前記照明光による分光放射率係数を求め、当該求められたそれぞれの分光放射率係数を波長ごとに異なる重みで線形結合して、前記試料の所定の照明光による分光放射率係数を求める、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の光学特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−107316(P2010−107316A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278795(P2008−278795)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】