説明

光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランまたはその薬学的に許容される塩の製造方法

【課題】cis立体配置の式I


〔式中、R、R、Rは特定の基〕の化合物及びその光学活性体の製造方法の提供。
【解決手段】当該化合物のジアステレオマー塩の製造、回収および変換。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に活性な化合物の製造分野、特に、光学的に活性なオキサチオランヌクレオシドの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
2−置換−4−置換−1,3−オキサチオランとして知られる化合物群は、強力な抗ウイルス性活性を有することが知られている。とりわけ、これらの化合物は当該技術分野で知られている他の化合物よりも細胞毒性副作用が少なく、長期間に亘ってT−リンパ球のHIV−1複製の強力な阻害剤として作用することが知られている。これらの化合物は、3TC−耐性HIV株に対して活性であることも知られている。これらの化合物はB型肝炎ウイルス感染の予防および処置にも有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、Mansourらの「Anti-Human Immunodeficiency Virus and Anti-Hepatitis-B Virus Activities and Toxicities of the Enantiomers of 2’-Deoxy-3’-oxa-4’-thiacytidine and Their 5-Fluoro Analogues in vitro」、J. Med. Chem., (1995), Vol. 38, No. 1, pp. 1-4、ならびにUS 6, 228, 860またはNucleosides and Nucleotides, (1995) 14(3-5) pp. 627-735に記載の方法によって製造することができる(これらの文献を参照により本明細書の一部とする)。
【0004】
典型的には、化合物が1種類のエナンチオマーとして望まれるとき、2個のcisエナンチオマーの混合物をキラルHPLCで分割するか、またはアイソメトリックに純粋な出発物質もしくは任意の簡便な中間体から立体特異的に合成することによって得ることができる。既知の技術の完全な参照を、J. Jacques、A. ColletおよびS.H. Wilenによる「Enantiomers, Racemates and Resolutions」(John Wiley & Sons, 1981)に見出すことができる。あるいは、化合物または任意の簡便な中間体を、シチジンデアミナーゼのような好適な酵素による酵素的分割、または好適な誘導体の選択的酵素的分解によって、分割することができる。例えばStorerらの「The resolution and Absolute Stereochemistry of the Enantiomers of cis-1[2(Hydroxymethyl)-1,3-Oxathiolan-5-Yl)Cytosine (BCH-189): Equipotent Anti-HIV Agents」、Nucleosides & Nucleotides, 12(2), 225-236 (1993)を参照のこと。
【0005】
ジアステレオマー化合物の形成による分割法として知られる他の方法には、キラル試薬の介入が必要である。エナンチオマーとは異なり、ジアステレオマーは互いに分離することができるような顕著に異なる物理化学的特性を有することがある。かかる技術の一つの変法には、ラセミ物質と光学的に活性な分割用酸もしくは塩基の間でジアステレオマー塩を形成して分離することが含まれる。Pasteurは、光学的に活性な塩基を使用したラセミ酸の分割を最初に報告した(Pasteur, L., C.R Acad. Sci. (1853) 37 p.162;Pasteur, L., Ann. Chim (Paris) (1853) 3, 38 p. 437)。非化学量論的量のキラル試薬を使用した分割は、Marckwaldによって1896年に研究され、そして後に、「method of half-quantity」と呼ばれた(Marckwald, W., Ber. (1896), 29, p. 42;Marckwald, W., Ber. (1896), 29, p. 43)。酒石酸の、そのシンコニン塩の結晶化による分割法は、酒石酸塩の形成に必要なシンコニンの半分のみを使用することで、Marckwaldによって改善された。分割は、2種類のジアステレオマー塩を等量形成させての分離というよりもむしろ、1個のジアステレオマーと1種類のエナンチオマーの分離に基づく。半量の方法を使用したとき、ラセミ体は典型的には光学的に活性な分割用試薬によって中和される。PopeおよびPeacheyによって記載された方法では(Pope, W.J., Peachey, S.J. J, Chem. Soc. (1899) 75, p.1066)、分割用試薬によって中和されなかった過剰のラセミ体を、必要量の非キラル酸または塩基(分割用試薬が酸又は塩基のいずれであったかにより)の添加によって中和する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
一つの局面において、本発明は光学的に活性な式IまたはII:
【化1】

〔式中:
はH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル(例えばC7−12アリールアルキル)、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキル(例えば(CO)C7−12アリールアルキル)であり;
はH、C1−6アルキルまたはCO−Rであり;ここでRはHまたはC1−6アルキルであり;
はH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFである〕
の化合物の製造方法であって、
a)cis立体配置の式III
【化2】

の化合物を、キラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法に関する。
【0007】
他の局面において、cis立体配置の式III:
【化3】

〔式中、
はH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル(例えばC7−12アリールアルキル)、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)O−C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキル(例えば(CO)C7−12アリールアルキル)であり;
はH、C1−6アルキル、C1−6アシルまたはCO−Rであり;ここでRはHまたはC1−6アルキルであり;
はH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFである〕
の化合物を製造する方法であって、
a)前記式IIIの化合物をキラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を式IまたはII
【化4】

の化合物に変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0008】
更なる局面において、本発明は、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)キラル酸をcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランと反応させて2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を前記光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む方法を提供する。
【0009】
さらに更なる局面において、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランを、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対するモル比として半モル量のキラル酸と反応させて、実質的に(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を形成させる工程;
b)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収する工程;
c)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0010】
さらに更なる局面において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランをキラル酸および非キラル酸と反応させて、実質的に1種類のジアステレオマー塩および実質的に1種類のエナンチオマー塩を形成させる工程;
b)前記ジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記ジアステレオマー塩を光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0011】
更なる局面において、本発明はさらに新規なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
したがって、本発明は光学的に活性な式IまたはII:
【化5】

〔式中:
はH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル(例えばC7−12アリールアルキル)、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキル(例えば(CO)C7−12アリールアルキル)であり;
はH、C1−6アルキルまたはCO−Rであり;ここでRはHまたはC1−6アルキルであり;
はH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFである〕
の化合物の製造方法であって、
a)cis立体配置の式III
【化6】

の化合物を、キラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法に関する。
【0013】
本発明の技術的範囲には、所望のエナンチオマーの全体収率が25%以上(100gのラセミ体から少なくとも25gの所望のエナンチオマーを得る)である上記方法を含む。
【0014】
本発明の態様は、実質的に1種類のエナンチオマーの形態である最終生成物を生成する方法に関する。さらに、本発明の態様には99%以上のエナンチオマー過剰の生成物を得る上記方法を含む。
【0015】
本発明の態様は、光学的に活性な式IまたはII
【化7】

〔式中:R、R、Rは上記定義のとおりである〕
の化合物の製造方法であって、
a)cis立体配置の式III
【化8】

の化合物を、キラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法に関する。
【0016】
cis立体配置の式III:
【化9】

〔式中:R、R、Rは上記定義のとおりである〕
の化合物を分割する方法であって、
a)前記式IIIの化合物をキラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を式IまたはII
【化10】

の化合物に変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0017】
ある態様において、RはH、C1−6アルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールである。
【0018】
更なる態様において:
はH、(CO)C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールであり、
はHであり、
は(CO)C6−12アリールである。
【0019】
さらに更なる態様において:
はHまたはC1−6アルキルであり、
はCO−Rであり、ここでRはHまたはC1−6アルキルであり、
はホルミルまたはアセチルである。
【0020】
ある態様において、RはH、C1−6アルキルまたはフルオライドである。
【0021】
更なる態様において:
はHまたはフルオライドであり、
はHであり、
はフルオライドである。
【0022】
ある態様において、キラル酸は(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である。
【0023】
ある態様において、キラル酸は(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である。
【0024】
他の態様において、光学的に活性な化合物は
【化11】

である。
【0025】
他の態様において、光学的に活性な化合物は
【化12】

である。
【0026】
ある態様において、2種類のジアステレオマー塩は溶解性の高い第1のジアステレオマー塩と、溶解性の低い第2のジアステレオマー塩を含む。
【0027】
更なる態様において、上記工程b)はさらに、第2のジアステレオマー塩を回収する工程を含む。
【0028】
本発明はさらに、光学的に活性な式IV
【化13】

〔式中、RはHまたはフルオライドである〕
の化合物の製造方法であって;
a)cis立体配置の式III:
【化14】

の化合物を、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸から選択されるキラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0029】
ある局面において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)キラル酸をcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランと反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0030】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは結晶性である。
【0031】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは(−)エナンチオマーである。
【0032】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは(+)エナンチオマーである。
【0033】
ある態様において、キラル酸は(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である。
【0034】
ある態様において、キラル酸は(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である。
【0035】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、60%以上エナンチオマー過剰である。
【0036】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、70%以上エナンチオマー過剰である。
【0037】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、80%以上エナンチオマー過剰である。
【0038】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、90%以上エナンチオマー過剰である。
【0039】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、95%以上エナンチオマー過剰である。
【0040】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、98%以上エナンチオマー過剰である。
【0041】
ある態様において、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは、99%以上エナンチオマー過剰である。
【0042】
ある局面において、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩の製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランをキラル酸と反応させて、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩および(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を形成させる工程;
b)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収する工程;
を含む、方法を提供する。
【0043】
ある態様において、前記工程b)はさらに、(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収することを含む。
【0044】
ある態様において、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、30%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含む。
【0045】
更なる態様において:
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、20%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含む;
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、10%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含む;
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、5%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含む;
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、1%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含む;
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩は、実質的に(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を含まない。
【0046】
ある態様において、当該方法はさらに、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割用酸付加塩を再結晶化することを含む。
【0047】
ある態様において、前記キラル酸は、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対して化学量論的モル比である。
【0048】
ある態様において、前記キラル酸は、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対して非化学量論的モル比である。
【0049】
ある局面において、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランを、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対するモル比として半モル量のキラル酸と反応させて、実質的に(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を形成させる工程;
b)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収する工程;
c)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0050】
ある態様において、前記工程a)はさらに、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対するモル比として半モル量の非キラル酸を加えて、実質的に(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・非キラル酸塩を形成させることを含む。
【0051】
ある態様において、前記キラル酸は、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である。
【0052】
ある態様において、前記キラル酸は、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である。
【0053】
ある態様において、前記非キラル酸は、塩酸である。
【0054】
更なる局面において、結晶性の光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランを、キラル酸および非キラル酸と反応させて、実質的に1種類のジアステレオマー塩と、実質的に1種類のエナンチオマー塩を形成させる工程;
b)前記ジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記ジアステレオマー塩を光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法を提供する。
【0055】
ある態様の本発明の方法は、全体収率25%以上で所望のエナンチオマーを生成する。
【0056】
更なる態様の本発明の方法は、95%以上エナンチオマー過剰である所望のエナンチオマーを生成する。
【0057】
他の態様の本発明の方法は、全体収率25%以上かつ99%以上エナンチオマー過剰である所望のエナンチオマーを生成する。
【0058】
ある態様において、前記ジアステレオマー塩は、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホネートである。
【0059】
ある態様において、前記エナンチオマー塩は、(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・塩酸塩である。
【0060】
「オキサチオラン環」は、酸素原子を1位に有し、かつ硫黄原子を3位に有する置換または非置換5員単環式環であり、下に図示するものである:
【化15】

【0061】
当業者には明らかなことであるが、これらの例に記載の反応条件は改変することができ、そうしてなお成功することができる。
【0062】
典型的には、反応の溶媒、温度および時間は変化し得る。適当な溶媒は、反応条件下で反応に有害な影響をもたらすことなく方法を進行させることができる。溶媒は1種以上の溶媒であってよく、有機(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、エーテル精、エチルエーテル)、水または水/有機(例えば、メタノール−水、イソプロパノール−水)であってよい。溶媒はまた、様々な比(例えば、1:1、2:1、5:1、10:1または1:1:1、1:2:1)で存在してもよい。
【0063】
温度は変化し得て、反応条件下で方法を進行させることができる。適当な温度では、反応に有害な影響をもたらすことなく所望の化合物を得ることができる。
【0064】
当業者は理解していることであるが、適当な時間は出発物質の十分な化学変化が得られ、反応生成物の所望の純度もしくは所望の収率が得られ、またはそれらの組合せの、時間である。反応は典型的には、所望により、薄層クロマトグラフィー、反応媒質の光吸収(例えばU.V.)、ガスクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニターすることができる。
【0065】
cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランは様々な比のエナンチオマーとして存在する。
【化16】

【0066】
例えば、エナンチオマーはラセミ体(すなわち、割合が等しい)または任意の他の比率、例えば1:1、2:1、5:1、10:1、100:1または1:2、1:5、1:10、1:100のエナンチオマーとして存在し得る。本発明においてcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに関する言及には、全ての可能性のある比でのエナンチオマーを含む。
【0067】
他に定義がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は本発明の属する技術分野における当業者が通常理解するとおりの意味を有する。本明細書において言及する全ての公表物、特許出願、特許および他の文献を、その全体の参照により本明細書の一部とする。矛盾するときは、定義を含め、本願明細書が優先される。さらに、物質、方法および例は説明のためのみにされ、限定することを意図しない。
【0068】
本願で使用される「アルキル」なる用語は、直鎖または分枝鎖状炭化水素基であって、所望によりハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル(例えば、C7−12アラルキル)、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル(例えば、C(O)C7−12アラルキル)、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドによって1個以上置換されていてもよい基を意味する。使用し得るアルキルの例には、各々非置換であるかまたは例えばハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、スルホネート、アミド、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノもしくはグアニドの1個以上によって置換されている、イソプロピル、プロピル、エチル、メチル、ヘキシルまたはシクロプロピルが含まれる。アルキルなる用語はまた、1個以上の水素原子が各々ハロゲン、好ましくはフルオロによって置換されたアルキル(例えば、CF−またはCFCH−)を含むことを意味する。
【0069】
「アリール」なる用語は、少なくとも1個のベンゼノイド型環を含む炭素環式基であって、所望によりハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドの1個以上によって置換されていてもよい基を意味する。アリールの例には、各々非置換であるかまたは例えば、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、スルホネート、アミド、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノもしくはグアニドによって1個以上置換されていてもよいフェニルおよびナフチルが含まれる。
【0070】
「アラルキル」なる用語は、アルキルによって隣接した原子と結合しているアリール基を意味する。使用し得る例には、非置換であるかまたは例えばハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、スルホネート、アミド、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノもしくはグアニドによって1個以上置換されているベンジルが含まれる。
【0071】
「ヘテロ環」なる用語は、環状基が少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄または窒素原子)によって中断されている、飽和または不飽和環状基であって、所望によりハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドによって置換されていてもよい基を意味する。ヘテロ環式環なる用語は、単環または多環式(例えば、二環式)環を意味することが理解される。ヘテロ環式環の例には、限定するものではないが、各々非置換であるかまたは例えばハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、スルホネート、アミド、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノもしくはグアニドによって1個以上置換されているエポキシド;フラン;ベンゾフラン;イソベンゾフラン;オキサチオラン;ジチオラン;ジオキソラン;ピロール;ピロリジン;イミダゾール;ピリジン;ピリミジン;インドール;ピペリジン;モルホリン;チオフェンおよびチオモルホリンが含まれる。
【0072】
「独立して」なる用語は、置換基が各項目について同一または異なる定義を有していてもよいことを意味する。
【0073】
「光学的に活性な」なる用語は、エナンチオマー過剰が0より大きいことを意味する。
【0074】
光学的な純粋さは、「エナンチオマー過剰」と数字的に対応する。「エナンチオマー過剰」または「ee」は、以下の百分率値と定義される:[モル分率(メジャーエナンチオマー)−モル分率(マイナーエナンチオマー)]×100。
(例えば、99%のeeは99.5%の片方のエナンチオマーと、0.5%の逆のエナンチオマーの比を意味する)。
【0075】
「キラル酸」なる用語は、式IIIの化合物、例えば2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランとジアステレオマーを形成することができる光学的に活性な酸性化合物を意味する。かかる酸の例には、限定するものではないが:酒石酸、O,O’−ジベンゾイル酒石酸、O,O’−ジ−p−トルオイル酒石酸、2−ニトロタートラニル酸、マンデル酸、リンゴ酸、2−フェノキシプロピオン酸、10−カンファースルホン酸、ヒドロアトロパ酸、N−アセチルロイシン、N−(α−メチルベンジル)スクシンアミド酸、N−(α−メチルベンジル)フタム(phthamic)酸、3−ブロモカンファー−9−スルホン酸、カンファー−3−スルホン酸、キナ酸、ジ−O−イソプロピリデン−2−オキソ−L−グロン酸、ラサロシド、1,1’−ビナフチル−2,2/−リン酸、コレステノンスルホン酸が含まれる。さらなる例には、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸および(−)−L−リンゴ酸が含まれる。
【0076】
当業者は、「非キラル酸」なる用語が様々な酸、例えば無機酸(例えば、HCl、HBr、H2SO4、HBF4);スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ヒドロキシトルエンスルホン酸、スルファニル酸、p−クロロベンゼンスルホン酸);置換された酢酸(例えば、グリコール−、クロロ−、ジクロロ−、トリクロロ−酢酸);ポリカルボン酸、オキシ酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸)を含むことを理解する。
【0077】
また、本発明の化合物の薬学的に許容される塩を提供する。「薬学的に許容される塩」なる用語は、薬学的に許容される無機および有機酸、ならびに塩基に由来する塩を意味する。好適な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、システイン酸およびベンゼンスルホン酸が含まれる。オキサル酸のような他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得るにあたって中間体として有用であり得る。適当な塩基に由来する塩には、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩)、アンモニウム塩およびNR塩(RはC1−4アルキルである)が含まれる。
【0078】
以後、本発明の化合物についての言及には当該化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0079】
Dowex(登録商標)Marathon A−OHは、DOW Chemical Companyの標章(mark)である。
【0080】
ある局面において、本発明は表1に記載の新規な化合物を提供する:
【表1】

【0081】
ある態様において、本発明の製造方法は、独立してまたは組み合わせて、続く態様が存在するものを含む。
【0082】
本明細書に記載の全ての出願、特許および公表物の全開示を、参照により本明細書の一部とする。
【実施例】
【0083】
実施例
下記実施例を本発明の様々な態様を説明するために提供し、範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0084】
実施例1:キラル分割剤のスクリーニング
実験条件:
cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン100mgを1当量の分割剤と、溶媒(95%エタノール−5%水)1mlを合わせる。溶液を単離し、秤量する。有意な試験には、結晶重量が全ジアステレオマー量の50%を超えないことが必要である。この条件を満たさない場合には、溶媒の量または種類を変更する。
【表2】

【0085】
実施例2:分割実験
一般的な実験条件:
cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランおよびキラル酸を約室温〜50℃で溶媒に攪拌しながら溶解し、次いで約室温〜−10℃に2〜4時間冷却した。固体生成物をろ過によって回収した。組成をキラルHPLCによって決定し、水性バッファーをHPLC水1L中トリエチルアミン0.5ml(氷酢酸でpHを6.88に調整)で希釈することによって製造した。移動相を、水性バッファーとメタノールを90:10の比で合わせて製造し、気体を除いた。以下の条件を使用した:
カラム:Astec Cyclobond I 2000 RSP、5ミクロン、250×4.5mm
ガードカラム:Astec Cyclobond I 2000 RSP、20×4.0mm
流速:0.6ml/分
サンプル製造:移動相中0.5mg/mlの溶液を製造
注入体積:5μL
モード:アイソクラティック
UV−Vis検出:270nm
カラム温度:0℃
実行時間:40分
【0086】
【表3】

【0087】
スキーム1
【化17】

【0088】
実施例3:cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランのジアステレオマー塩光学分割
cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン(1.03g、4.3mmol)および(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸(1.03g、4.3mmol)をイソプロピルアルコールと水1:1(v/v)32mLに50℃で溶解した。溶液を0℃に冷却した。固体をろ過して、乾燥結晶0.55gを得た。ジアステレオマー組成をHPLCで87:13[(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩)]と測定した。
【0089】
母液を蒸発乾固してジアステレオマー組成35:65[(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩)]の乾燥固体1.38gを得た。組成は実施例2に示すとおりに分析した。
【0090】
実施例4:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩に対する(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩のジアステレオマー比を増加させるための再結晶化
実施例2の表3の4番で生成した90.9:9.1のエナンチオマー比[(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩]を有する粗cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホネート塩を、イソプロピルアルコール−水1:1(v/v)に、70℃で溶解した。冷却後、結晶を収率76%、エナンチオマー比99.1:0.9[(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩]で回収した。
【0091】
実施例5:キログラムスケールでのジアステレオマー塩光学分割
イソプロパノール(2274kg)、蒸留水(2905kg)、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン(193.7kg)の混合物をリアクター(モデルR06 5700L GLMS)に入れた。希塩酸(水380kg中41.57kgとして製造)を入れ、続いて(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸(100kg)を入れた。得られたスラリーの温度を50℃に調節し、全固体が溶解するまで攪拌した。溶液を約−10℃(−13℃〜−7℃)に冷却し、4〜6時間攪拌した。
【0092】
得られたスラリーをろ過し、イソプロピルアルコールおよび水1:1(v/v)60Lでリンスする。生成物をエナンチオマー比91:9[(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩:(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩)]で吸引乾燥する。
【0093】
イソプロパノール(228kg)および水(291kg)を湿潤粗生成物に加え、得られた溶液の温度を70℃に調節し、全固体が溶解するまで攪拌する。スラリーを加熱し、全固体が溶解するまで攪拌する。溶液を約22℃(19℃〜25℃)、次いで0℃(−3℃〜3℃)に冷却する。
【0094】
得られたスラリーをろ過し、イソプロピルアルコールおよび水1:1(v/v)70Lを2部でリンスする。生成物をろ液の流出が本質的に停止するまでスピン乾燥する。エナンチオマー純度98%以上の生成物90.8kgを回収する(収率87%、サンプルの乾燥減量で補正)。
【0095】
スキーム2
【化18】

【0096】
実施例6:(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩から(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸の除去
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩(90.8kg)を、メタノール(601kg)に、混合物を40℃に加熱し、溶液が得られるまで攪拌して溶解する。
【0097】
加熱した溶液を、Dowex(登録商標)Marathon A−OH(133.6kg)およびメタノール(200kg)を含むイオン交換カラム中に、温度を40℃に保ちながら、残渣のカンファースルホン酸がNMR分析で検出されなくなるまで、そしてpHを7以上で(水−湿潤pH試験紙を使用して測定)、循環させる。
【0098】
溶離剤をろ過し、メタノール(200kg)でリンスする。
【0099】
ろ液を真空下で約140Lに部分濃縮する。
【0100】
濃縮液を約−10℃に1時間冷却し、攪拌する。得られたスラリーをろ過し、メタノール(−10℃)18kgを2部でリンスする。生成物を、35〜40℃に加熱しながら真空下で乾燥する。
【0101】
上記実施例を、本発明の一般的または具体的に記載した反応および/または操作条件を、上記実施例で使用したものに置換することによって同様の成果で反復することができる。
【0102】
上記記載から、当業者は容易に本発明の本質的な特徴を確認することができ、そしてその精神および範囲から離れることなく、様々な用途および条件に適合させるため、本発明の様々な変化および修飾を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に活性な式IまたはII:
【化1】

〔式中:
はH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキルであり;
はH、C1−6アルキルまたはCO−Rであり;
はH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFであり;そして
はHまたはC1−6アルキルであり;
ここで、R、R、RおよびRの定義中の「アルキル」は、各々、非置換であるかまたは、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドから選択される1個以上によって置換され;そして
、R、RおよびRの定義中の「アリール」は、各々、非置換であるかまたは、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドの1個以上によって置換されている〕
の化合物の製造方法であって、
a)cis立体配置の式III
【化2】

の化合物を、キラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
がH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキルであり;
がH、C1−6アルキルまたはCO−Rであり;
がH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFであり;そして
がHまたはC1−6アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がH、C1−6アルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
がH、(CO)C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
が(CO)C6−12アリールである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
がHまたはC1−6アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
がCO−Rであり、RがHまたはC1−6アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
がホルミルまたはアセチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
がH、C1−6アルキルまたはフルオライドである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
がHまたはフルオライドである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
がフルオライドである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
光学的に活性な化合物が、
【化3】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
光学的に活性な化合物が、
【化4】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
2種類のジアステレオマー塩が、溶解性の高い第1のジアステレオマー塩と溶解性の低い第2のジアステレオマー塩である、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
工程b)が、さらに第2のジアステレオマー塩を回収することを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
光学的に活性な式IV:
【化5】

〔式中:RはHまたはフルオライドである〕
の化合物の製造方法であって、
a)cis立体配置の式III:
【化6】

の化合物を、
(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸から選択されるキラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、前記光学的に活性な化合物に変換する工程;
を含む、方法。
【請求項21】
cis立体配置の式III:
【化7】

〔式中、
はH、C1−6アルキル、C6−12アリール、C6−12アリールアルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキル、(CO)C6−12アリール、または(CO)C6−12アリールアルキルであり;
はH、C1−6アルキルまたはCO−Rであり;
はH、C1−6アルキル、ブロマイド、クロライド、フルオライド、アイオダイドまたはCFであり;そして
はHまたはC1−6アルキルであり;
ここで、「アルキル」は、各々、非置換であるかまたは、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドの1個以上によって置換され;
「アリール」は、各々、非置換であるかまたは、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、サルフェート、サルフェートエステル、スルホネート、スルホネートエステル、ホスホネートエステル、アミド、C1−6アルキル、C6−12アラルキル、C6−12アリール、C1−6アルキルオキシ、C6−12アリールオキシ、C(O)−C1−6アルキル、C(O)−C6−12アリール、C(O)C6−12アラルキル、3〜10個の環員を有するヘテロ環、ヒドロキシル、アミノ、エステル、シアノ、アジド、アミジノまたはグアニドの1個以上によって置換されている〕
の化合物を分割する方法であって、
a)前記式IIIの化合物をキラル酸と反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を式IまたはII
【化8】

の化合物に変換する工程;
を含む、方法。
【請求項22】
がH、C1−6アルキル、(CO)C1−6アルキル、(CO)O−C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
がH、(CO)C1−6アルキルまたは(CO)C6−12アリールである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
がHである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
が(CO)C6−12アリールである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
がHまたはC1−6アルキルである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
がCO−Rであり、RがHまたはC1−6アルキルである、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
がホルミルまたはアセチルである、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
がH、C1−6アルキルまたはフルオライドである、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
がHまたはフルオライドである、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
がHである、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
がフルオライドである、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
2種類のジアステレオマー塩が、溶解性の高い第1のジアステレオマー塩と溶解性の低い第2のジアステレオマー塩である、請求項21〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
工程b)が、さらに第2のジアステレオマー塩を回収することを含む、請求項21〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)キラル酸をcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランと反応させて、2種類のジアステレオマー塩を形成させる工程;
b)実質的に1種類のジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記1種類のジアステレオマー塩を、光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法。
【請求項38】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが結晶性である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが(−)エナンチオマーである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが(+)エナンチオマーである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項41】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが60%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが70%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが80%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが90%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが95%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが98%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランが99%以上エナンチオマー過剰である、請求項37〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩の製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランをキラル酸と反応させて、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩および(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸塩を形成させる工程;
b)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収する工程;
を含む、方法。
【請求項51】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
工程b)が、さらに(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収することを含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が30%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が20%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が10%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が5%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が1%未満の(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含む、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩が実質的に(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を含まない、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
さらに(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル分割酸付加塩を再結晶化することを含む、請求項50〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
キラル酸がcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対して化学量論的モル比である、請求項50〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
キラル酸がcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対して非化学量論的モル比である、請求項50〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランを、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対するモル比として半モル量のキラル酸と反応させて、実質的に(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を形成させる工程;
b)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を回収する工程;
c)(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・キラル酸塩を、(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法。
【請求項64】
工程a)がさらに、cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに対するモル比として半モル量の非キラル酸を加えて、実質的に(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・非キラル酸塩を形成させることを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項63または64に記載の方法。
【請求項67】
非キラル酸が塩酸である、請求項63〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
結晶性の光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランの製造方法であって:
a)cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランをキラル酸および非キラル酸と反応させて、実質的に1種類のジアステレオマー塩および実質的に1種類のエナンチオマー塩を形成させる工程;
b)前記ジアステレオマー塩を回収する工程;
c)前記ジアステレオマー塩を光学的に活性なcis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオランに変換する工程;
を含む、方法。
【請求項69】
キラル塩が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(−)−2,3−ジベンゾイル−L−酒石酸、(+)−L−酒石酸または(−)−L−リンゴ酸である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
キラル酸が(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
ジアステレオマー塩が(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホネートである、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホネート;
(−)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1S)−(+)−10−カンファースルホネート;
(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1R)−(−)−10−カンファースルホネート;または
(+)−cis−2−ヒドロキシメチル−4−(シトシン−1’−イル)−1,3−オキサチオラン・(1S)−(+)−10−カンファースルホネートから選択される化合物。

【公開番号】特開2012−136526(P2012−136526A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−26020(P2012−26020)
【出願日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【分割の表示】特願2008−501117(P2008−501117)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(592107462)シャイアー カナダ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Shire Canada Incorporated
【Fターム(参考)】