説明

光学的座標入力装置

【課題】操作面を操作する操作者の指の位置を精度良く検出でき、且つ耐久性に優れた光学的座標入力装置を提供する。
【解決手段】操作者が指し示す指Yの座標位置を光学的に検出して入力する光学的座標入力装置であって、環境光の照度を検出し、照度に応じた照度信号を出力する照度センサ2と、この照度センサ2を保護する透光性の保護フィルタ5とを備え、前記照度信号に基づき、照度センサ2に入射する環境光を遮光する操作者の指Yの位置を求めることによって、操作者が指し示す指Yの位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の指が指し示す座標位置を光学的に入力する光学的座標入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機やATM等においては、入力手段としてフィルム式のタッチパネルが用いられている。しかし、フィルム式のタッチパネルは不特定多数の人によって接触使用されるために、強く接触されることが頻繁に繰り返される場合には、タッチパネルのフィルムは損傷し易く、耐久性に問題があった。また、パチンコやスロットマシン等の遊技機において、画面上のキャラクター等を遊技客が操作するために設置されているフィルム式のタッチパネルは、安価であるという利点はあるものの、遊技客により傷つけられ、破損させられる等の問題点を有していた。
【0003】
また、非接触の入力手段として光学式の入力装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の遊技機は図32に示すように、発光部100と受光部101とを設けた構成である。そして、タッチパネルに操作者の指が接触した場合、発光部100から受光部101に到達するべき光が操作者の指で遮光されて受光部101に到達しないために、光を受光しない受光部101の位置を検出することで、操作者の指の位置を検出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の遊技機では、一対の発光部100と受光部101とを高精度に位置合わせしながら配置しなければならず、高価で、構成が複雑であるといった問題点がある。また、上記構成を遊技機盤面上に配置することによって、遊技客が遊技機盤面を保護する保護ガラスを破損させる可能性があるといった問題点を有していた。
【0006】
また、タッチパネルの操作面102が大型化した場合には、発光部100から照射された光が受光部101に到達するまでの間に途中で散乱したり、拡散し易く、その結果、発光部100から照射された光が受光部101に精度よく到達しない場合があり、こういった場合には、操作者の指の位置を高精度に検出できないといった問題があった。
【0007】
そして、前述のように、タッチパネル102が大型化し、図32に示すように、操作者が受光部101から離れた位置Pを指で操作した場合には、当該指の位置を精度よく検出できない場合があるといった問題もあった。さらに、指の位置の検出は、XY軸方向の平面的な位置検出では、奥行き感がないので、Z軸方向の指の位置の検出を行い、奥行き感のある演出ができないか検討された。
本発明は、前記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、操作面を操作する操作者の指の位置を精度良く検出でき、且つ耐久性に優れ、奥行き感を表現することができる光学的座標入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、操作者が指し示す指の座標位置を光学的に検出して入力する光学的座標入力装置であって、環境光の照度を検出し、照度に応じた照度信号を出力する照度センサと、該照度センサを保護する透光性の保護フィルタとを備え、前記照度信号に基づき、前記照度センサに入射する環境光を操作者の指が遮光することによって、操作者が指し示す指の位置を検出することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記指の位置の検出は、操作者の指が前記照度センサから離間した距離を検出することであることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、環境光が照射される操作面を有し、操作者が操作面上の任意の位置を指し示す指で環境光を遮光することによって操作面上の指の位置を認識するようにした光学的座標入力装置であって、環境光が照射され、その照度を検出する複数個の照度センサが前記操作面に、任意に、又は格子状に、配置され、複数個の照度センサの上面は透光性の保護フィルタで覆われ、環境光が、操作者の指で遮光された照度センサの位置を検出することで、操作者が指し示す操作面上の指の位置を検出することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記環境光は、室内光であることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記指の位置は、前記環境光の明暗に応じて変動する閾値と、前記照度信号の値とを比較して決定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、操作者の指が、照度センサに入射する環境光を遮光すると、照度センサが出力する照度信号が変化する。従って、照度信号に基づき、操作者の指の位置を検出することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、照度センサが出力する照度信号に基づき、操作面から遠ざかる方向、又は、操作面に近づく方向の指の位置を検出することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、操作者の指で環境光の入射が遮光された照度センサを、任意に、又は格子状に配置された複数の照度センサのうちから検出することで、操作者の指のXY座標を検出することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、光学的座標入力装置を室内に設置して利用することが出来る。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、操作者の指の位置は、環境光の明暗に応じて変動する閾値と、前記照度信号の値とを比較して決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】光学的座標入力装置の構成の一例を示す分解斜視図である。(第1実施形態)
【図2】照度センサの構成図である。(第1実施形態)
【図3】保護フィルタと環境光との関係を示す図である。(第1実施形態)
【図4】動作を説明する図である。(第1実施形態)
【図5】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。(第1実施形態)
【図6】照度センサの構成図である。(第2実施形態)
【図7】作用を説明する図である。(第2実施形態)
【図8】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。(第2実施形態)
【図9】照度センサの配置の一例を示す図である。(第3実施形態)
【図10】光学的座標入力装置の構成の一例を示す分解斜視図である。(第3実施形態)
【図11】光学的座標入力装置のブロック図の一例である。(第3実施形態)
【図12】作用を説明する図である。(第3実施形態)
【図13】作用を説明する図である。(第3実施形態)
【図14】作用を説明する図である。(第3実施形態)
【図15】判定レベル、基準値、オン・レベル、オフ・レベルの関係を示す図表である。(第3実施形態)
【図16】照度センサの配置の一例を示す外観図である。(第3実施形態)
【図17】タイムチャートを示す図である。(第3実施形態)
【図18】シリアルデータの内容の一例を示す図である。(第3実施形態)
【図19】XY座標データの一例を示す図である。(第3実施形態)
【図20】動作を示す図表である。(第3実施形態)
【図21】動作を示す図表である。(第3実施形態)
【図22】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。
【図23】フローチャートを示す。
【図24】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。
【図25】フローチャートを示す。
【図26】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。
【図27】フローチャートを示す。
【図28】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。
【図29】フローチャートを示す。
【図30】光学的座標入力装置の利用を説明する図である。
【図31】フローチャートを示す。
【図32】背景技術の概略説明図である。(背景技術)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図5は第1実施形態を示す。光学的座標入力装置Sは、基板1上に設けられた照度センサ2及び判定部3と、照度センサ2の上部を覆う遮光板4と保護フィルタ5とを備えている。尚、図1において図示していないが、各構成は、所定の厚みを有するものである。
【0020】
図2に示すように、照度センサ2は、フォトトランジスタ6とフォトトランジスタ6のエミッタ側に設けられた検出用抵抗7とフォトトランジスタ6の電源8を備えた構成である。
【0021】
また、前記判定部3は、前記照度センサ2の検出用抵抗7の両端電圧を測定し、その両端電圧を照度信号とする共に当該照度信号の値をメモリ(図示せず)に記憶された閾値と比較し、照度信号の値が閾値以下の時にオン信号を出力し、照度信号の値が閾値以上の時にオフ信号を出力するものである。即ち、照度センサ2が一定の照度以上の照度を検出している時には、前記判定部3はオフ信号を出力し、照度センサ2が一定の照度以下の照度を検出した時には、オン信号を出力するものである。
【0022】
前記遮光板4は、遮光性の素材で形成された所定の厚みを有する板体であって、前記フォトトランジスタ6を露出させるための孔9が開けられた形状である。ここで、図3に示すように、前記孔9は所定の深さに形成されることで、主として、図3中実線で示すように、上部からの環境光がフォトトランジスタ6に照射するが、図3中、点線で示すように、左右からの環境光がフォトトランジスタ6に照射しないように構成されている。
【0023】
ここで、環境光とは、室内光、太陽光などのように、光学的座標入力装置Sの外部に光源が存在する光を意味するものとする。又、環境光は、過度に点滅するような光ではなく、安定的な照度の光が好ましい。具体的には、照度が、200ルクス〜1500ルクス程度の光で、光源が短時間で点滅するようなものではないものが好ましい。
【0024】
前記保護フィルタ5は、透光性の素材で形成された所定の厚みを有する板体であって、例えば、ナイフのような刃物が押し付けられても傷つかない程度の硬さを有している。保護フィルタ5の素材としては、例えばアクリル板等の合成樹脂材料が好適である。
【0025】
次に、図4に基づき作用について説明する。尚、図4においては、遮光板4を省略している。先ず、図4(a)に示す状態においては、照度センサ2には室内の環境光が照射されて照度信号の値が閾値以上のために、判定部3はオフ信号を出力している。
【0026】
一方、図4(b)に示すように、操作者が指Yを照度センサ2の上に位置させた場合、照度センサ2のフォトトランジスタ6の受光量が低下するために、照度信号の値が閾値以下になり、判定部3はオン信号を出力する。つまり、操作者の指Yが照度センサ2の上に位置していることを検出することができる。
【0027】
次に、以上のように構成された光学的座標入力装置Sの利用について説明する。例えば、図5に示すように、遊技機等の操作面10にスタートボタン11が表示されている場合、このスタートボタン11の下に照度センサ2を配置しておくことで、操作者がスタートボタン11に指Yを位置させると、遊技機をスタートさせることができる。尚、この場合、指Yを所定時間スタートボタン11に位置合わせすることが必要である。
【0028】
次に、図6〜図8は、第2実施形態を示す。第2実施形態の特徴は、第1実施形態の判定部3の代わりに、変化検出部21を備えた点にある。変化検出部21は、照度センサ2の照度信号の変化を検出できるものである。この第2実施形態においては、操作者が指Yを照度センサ2に近づけたり、遠ざけたりする動きを検出できるものである。
【0029】
つまり、図7中、実線で示すように、操作者が指Yを照度センサ2から遠ざけた場合、指Yと保護フィルタ5との間の距離が開いて多量の環境光が照度センサ2に入射するためにフォトトランジスタ6に流れる電流が増加して検出用抵抗7の照度信号が増加する。したがって、変化検出部21は、操作者が指Yを遠ざけたことを検出できる。
【0030】
一方、図7中、点線で示すように、操作者が指Yを照度センサ2に近づけた場合、指Yと照度センサ2との間の距離が短くなって隙間が狭まるために、指Yと照度センサ2との間から入射する環境光が減少するためにフォトトランジスタ6に流れる電流が減少して検出用抵抗7の照度信号が低下する。したがって、変化検出部21は、操作者が指Yを近づけたことを検出できる。
【0031】
次に、以上のように構成された第2実施形態の利用について説明する。例えば、図8に示すように、遊技機の演出画面22に数字「7」が表示されているとする。そして、操作面10には、照度センサ2が配置されている。この状態において、操作者が指Yを「7」の上に位置させた後、例えば、指Yを操作面10から遠ざけた場合には、指Yの動きに同調して演出画面22の「7」が図示のように拡大し、一方、指Yを操作面10に近づけた場合には、指Yの動きに同調して演出画面22の「7」が縮小するといったような用い方に利用することが出来る。
【0032】
次に、図9〜図21に基づき、第3実施形態について説明する。この第3実施形態においては、図9に示すように、照度センサ2を格子状に配置した場合を示す。この第3実施形態では、横方向(X方向)には6個、縦方向(Y方向)には4個を配列し、各照度センサ同士の間隔は、8mmとした。
【0033】
図10に示すように、第3実施形態の光学的座標入力装置Sは、基板1、保護フィルタ5の2層構造になっている。後述するように、基板1には、照度センサ2、アナログスイッチ部31、及び信号処理部が搭載されている。尚、図10において図示していないが、各構成は、所定の厚みを有するものである。
【0034】
また、前記保護フィルタ5は、透光性の素材で形成された所定の厚みを有する板体であって、例えば、ナイフのような刃物が押し付けられても傷つかない程度の硬さを有している。保護フィルタ5の素材としては、例えばアクリル板等の合成樹脂材料が好適である。
【0035】
図11は、ブロック図を示す。操作面10には、フォトトランジスタ6で構成された照度センサ2が格子状に配列され、第1実施形態と同様に、フォトトランジスタ6のエミッタ側に設けられた検出用抵抗の検出電圧を照度信号としてアナログスイッチ部31を介して、信号処理部としての演算処理装置32に入力する構成になっている。
【0036】
前記信号処理部としての演算処理装置32は、アナログスイッチ31の出力をA/D変換するA/D変換器33と、レジスタRと、基準値設定処理部34と、オン/オフ判定部35と、補間処理部36と、データ出力部37を備えている。
【0037】
レジスタRは、A/D変換器33が出力した値を記憶する機能を有している。
【0038】
前記基準値設定処理部34は、基準値を設定する機能を有している。基準値は、例えば、1/60秒毎に全ての照度センサ2の検出用抵抗7の照度信号をA/D変換して最大値を選び出すことで決定される。
【0039】
尚、図12に示すように、操作者が操作面10を操作する際、操作面10の一部が操作者の手Tの影になるが、操作面10の全面が影になるものではないために、影に隠れない面に存在する照度センサ2の照度信号の値のうちで最大の照度信号の値を基準値とする。したがって、環境光が明るくなるにつれて基準値は大きくなり、環境光が暗くなるにつれて基準値は小さくなる。
【0040】
オン/オフ判定部36は、各照度センサ2の照度信号の値と閾値とを比較し、図13に示すように、照度信号の値がオン・レベルの閾値よりも小さい時にその照度センサ2がオン状態にあると判定し、一方、当該照度信号の値がオフ・レベルの閾値よりも大きい時にその照度センサ2がオフ状態にあると判定するものである。
【0041】
同図13に示すように、閾値は、前記基準値に対して一定の比率で設定されるのではなく、明るさに応じて変化させている。絶対的な照度に対して閾値を設定するのではなく、基準値に対して相対的に変化させることで、環境光の変化に対して安定したオン/オフが可能になるものである。
【0042】
ここで、図14に示すように、操作者が操作面10を指Yでなぞると、照度センサ2に入射する環境光を指Yが遮光する。この時、照度センサ2の照度信号が非常に小さくなるために、各照度センサ2の照度信号の値と閾値との大小を比較することで、操作者の指Yがいずれの照度センサ2上に存在するかを検出できるものである。
【0043】
次に、図15に基づいて、前記閾値を設定する手法について説明する。同図15は、判定レベル、基準値、オン・レベル、オフ・レベルの関係について示している。同図15に従うと、仮に、基準値、即ち、全ての照度センサ2で測定された照度信号の値のうちの最大値が975の場合、オン・レベルの閾値が53で、オフ・レベルの閾値が348で、判定レベルは9とされる。
【0044】
そして、以上のように、照度信号の値が53以下のためにオン状態にあると判断された照度センサ2のうちの最小値の照度信号の照度センサ2の上に操作者の指Yが存在すると判断される。
【0045】
前記補間処理座標作成部36の機能を図16に示す。同図16中、黒塗りの四角は、実際に存在する照度センサ2を示し、白抜きの四角は、補間処理した、見せかけの照度センサを示す。ここで、補間処理とは、実際の照度センサ2で検出された既知の照度信号に基づき、実際の照度センサ2同士の間の領域の照度を計算で求める処理をいうものである。以上のように補間処理をすることで、見かけの解像度が2倍になる。
【0046】
次に、図17は、前記演算処理装置32が処理するタイムチャートを示す。演算処理装置32は、1/60秒毎に全ての照度センサをA/D変換し、基準値設定、オン/オフ判定、補間処理、データの出力を行うものである。
【0047】
また、図18は、演算処理装置32から出力されるシリアルデータのフォーマットを示す。同図中、DTA1、DTA2、・・・DTB1、・・・・DTC1、・・・、DTD1、・・DTD5、DTD6は、照度センサ2の照度信号を示し、演算処理装置32では処理できない判定を後段の制御装置で処理する場合に備えて送信するものである。尚、照度信号は8ビットである。
【0048】
また、図18中、X,Yは、オン状態にある照度センサ2の座標値を示す。但し、全ての照度センサ2がオフ状態にある場合には、ゼロが入るものである。
【0049】
また、図18中、SUMはセキュリティチェック用の数字であって、24個の照度センサ2の照度信号の値と、X,Y座標値の2つの値を合計した26個の合計値が入るものである。又、同図18中、デリミタは、シリアルデータの区画を識別するための値である。
【0050】
そして、図19は、前述の図18に示すシリアルデータフォーマットが送信された後段の上位装置の動作を示す。同図19中の値は、シリアルデータフォーマット中のX,Y座標を示す。そして、後段の上位装置は、X,Y座標が、(3,3)、(3,4)、(4,4)の場合、座標データがゼロ以外なので演出に応じた処理を行い、X,Y座標が(0,0)になると座標データゼロになるので操作や演出を終わる処理をするものである。
【0051】
次に、作用について説明する。図20は、横座標が1から6、縦座標がAからDで設定された座標に配置された照度センサ2の照度信号の値であるとする。この場合において、操作者の指Yの位置を検出する場合について説明する。同図20に示すように、最大値は、908(D−5の照度センサ)、最小値は、24(B−3の照度センサ)である。この場合は、図15に従い、判定レベルは9であって、53以下の照度センサ2がオン状態にあり、348以上の照度センサ2がオフ状態にある。そして、B−3とC−3の照度センサの値が、53以下のためにオン状態にあると判定され、しかも、B−3に位置する照度センサの値の方がC−3に位置する照度センサの値よりも小さいために、操作者の指Yは、B−3に位置すると判定する。
【0052】
また、上記の場合に、補間処理を更に施すことによって、2倍の解像度が可能になる。
【0053】
次に、図21に基づき、別の場合について説明する。図21は、横座標が1から6、縦座標がAからDで設定された座標に配置された照度センサ2の照度信号の値であるとする。この場合において、操作者の指Yの位置を検出する場合について説明する。同図21に示すように、最大値は、842(C−1の照度センサ)、最小値は、69(B−3の照度センサ)である。この場合、図15に基づき、判定レベル9によって処理される。しかし、この場合においては、53以下の照度センサ2が存在しないために、オン状態の照度センサ2が存在しない。一方、348以下の照度センサ2が存在するために、全ての照度センサ2がオフ状態になっていない。つまり、この場合、操作者の指Yが未だ、操作面10上に存在するものとして、検出作業を継続する。
【0054】
図22及び図23を用いて、以上のように説明した光学的座標入力装置Sをスライドパッド入力装置に適用した場合について説明する。先ず、演出画面31の座標と、操作面32の座標とが、1対1の対応をしているものとする。そして、演出画面31に地球が表示され、この地球を操作面32上の指示に基づいてスライドさせるものとする。また、操作面32上において、地球の表示位置に対応する座標が操作された場合、地球が選択されたものとして、演出画面31上の地球の輪郭を赤丸で強調するようになっているものとする。
【0055】
図23のフローチャートにおいて、スタートした後、ステップS1において、光学的座標入力装置Sを作動させ、データ入力処理をする。ステップS2において、操作者の指Yの座標を検出した場合、ステップS3において、操作者の指Yの位置が地球の座標と対応する場合には、ステップS4において地球を操作者の指Yのスライド位置へ移動させる。
【0056】
ステップS2において、操作者の指Yの座標を検出しない場合、ステップS5において、1/60秒前に操作者の指の座標を検出した場合、ステップS6において操作者の指Yのスライド方向へ地球を移動させ、ステップS7において、地球の移動速度を徐々に落として停止させる。
【0057】
次に、図24は光学的座標入力装置Sの操作面10を水平方向へ3分割し、演出画面41のリールと対応するように処理する場合について説明する。但し、操作者の指Yが操作面10を上から下へスライドした場合に、演出画面41のリールを回転させるものとする。また、リールは操作者の操作の速度に応じた速度で回転させるが、次に、操作者の指Yのオンを検出した時にリールを停止させるものとする。また、操作者の指Yによる指示がない場合であっても、リールは徐々に速度を落として自動的に停止するものとする。
【0058】
図25は、スロットゲームの3つのリールのうちの左側のリールを制御する場合について説明し、真ん中のリールと、右側のリールの制御は、同様のために省略する。
ステップS11において、操作者の手Tによる指示でリールが回転すると共に、データ入力処理を行う。次に、ステップS12において、操作者の手Tを検出しない場合、ステップS13において、回転中のリールの速度を徐々に遅くする。一方、ステップS12において、操作者の手Tを検出し、ステップS14において、リールが停止している場合、ステップS15においてリールを回転させる。又、ステップS14において、リールが回転している場合、リールを停止させる。
【0059】
次に、図26及び図27に基づき、演出画面51に地球が表示され、この地球を光学的座標入力装置Sの操作面10の操作で、拡大・縮小を行う場合について説明する。先ず、光学的座標入力装置Sの全ての照度センサ2の平均値を求めて基準値とし、図26(a)に示すように、地球を最大サイズに表示する。そして、基準値から80%の照度に変化した場合、光学的座標入力装置Sが操作されているとみなして、照度センサの照度に応じた大きさに地球を拡大・縮小する。
【0060】
図26(a)においては、操作者の手Tが操作面10から離れているために、地球は最大サイズに表示されている。次に、(b)においては、操作者の手Tと操作面10との距離が、やや近くなったために、地球のサイズを中ほどの大きさに表示する。次に、(c)において、操作者の手Tと操作面10との距離が近くなった場合には、地球のサイズを縮小して表示する。
【0061】
次に、図26に示す地球のサイズを拡大・縮小する場合のフローチャートについて説明する。図27に示すステップS21において、データの入力処理を行う。ステップS22において、照度センサ2の照度信号の平均値を求める。S23において、基準値を設定すると共に地球を最大に表示する。次に、ステップS24においてデータの入力処理を行い、ステップS25において照度が暗くなった場合、ステップS26において照度センサ2の照度信号に応じた比率で地球の表示を行う。次に、ステップ27において、明るさが10秒以上変化していない場合、ステップS24に戻る。
【0062】
図28及び図29は、光学的座標入力装置Sの操作に応じて、演出画面61上の地球を回転させる場合について説明する。この場合、操作面10上で、操作者の手Tを移動させることで、その手Tの動きに応じて、地球を回転させるものである。図29に示すフローチャートにおいて、ステップS31において、データの入力処理を行う。次に、ステップS32において、操作面10上において、照度の重心を計算する。ステップS33において、照度の重心が操作面10の中央から移動した場合、ステップS34において、照度の重心位置を左右の速度に変換する。ステップS35において、地球を回転表示させる。又、ステップS33において、照度の重心が操作面10の中央から移動しない場合、ステップS36において地球の回転を遅くし、又は停止させる。
【0063】
図30及び図31は、前述の図6〜図8に示す第2実施形態と、図22及び図23に示す応用例とを合体した例を示す。この例においては、演出画面71に表示されている地球の画像をXY座標面上において移動させたり、拡大、縮小させる場合の例を示す。先ず、演出画面71と操作面10とが1対1の対応がなされているとする。図30(a)に示す座標選択時において、操作者の指を、地球の画像が位置するXYZ座標(1,1,0)に位置合わせをする。
【0064】
次に、図30(b)に示す移動時において、操作者が指を操作面10上のXYZ座標(5,4、3)に移動させると、地球は演出画面71上のXY座標(5,4)に移動すると共に、拡大して表示される。地球の拡大の程度は、Z座標の数値の大きさに応じて決定される。
【0065】
次に、図31のフローチャートについて説明する。ステップS41において、データを入力する。次に、ステップS42において、XY座標のみであって、Z座標が0であるとすると、ステップS43において、演出画面71上の地球の画像を入力されたXY座標の位置に移動させる。
【0066】
次に、ステップS42において、XYZの座標の入力があった場合には、ステップS44を実行する。ステップS44において、センサ値の低い座標がある場合、即ち、操作者の手が操作面上にあって、手が環境光を遮光している場合には、ステップS45において、センサ値のZ座標に応じて、地球の画像を拡大・縮小させる。
【0067】
一方、ステップS44において、センサ値の低い座標が無い場合、即ち、操作者の手が操作面上に無く、手が環境光を遮光していない場合には、ステップS46において、演出画面71を最初の状態に戻すべく、地球の画像を徐々に小さくする。
【符号の説明】
【0068】
1:基板
2:照度センサ
3:アナログ入力回路
4:遮光板
5:保護フィルタ
6:フォトトランジスタ
7:抵抗
8:電源
10:操作面
11:スタートボタン
22:演出画面
32:演算処理装置
S:光学的座標入力装置
Y:操作者の指
T:操作者の手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が指し示す指の座標位置を光学的に検出して入力する光学的座標入力装置であって、
環境光の照度を検出し、照度に応じた照度信号を出力する照度センサと、
該照度センサを保護する透光性の保護フィルタとを備え、
前記照度信号に基づき、前記照度センサに入射する環境光を操作者の指が遮光することによって、操作者が指し示す指の位置を検出することを特徴とする光学的座標入力装置。
【請求項2】
前記指の位置の検出は、操作者の指が前記照度センサから離間した距離を検出することであることを特徴とする請求項1に記載の光学的座標入力装置。
【請求項3】
環境光が照射される操作面を有し、操作者が操作面上の任意の位置を指し示す指で環境光を遮光することによって操作面上の指の位置を認識するようにした光学的座標入力装置であって、
環境光が照射され、その照度を検出する複数個の照度センサが前記操作面に、任意に、又は格子状に、配置され、
複数個の照度センサの上面は透光性の保護フィルタで覆われ、
環境光が、操作者の指で遮光された照度センサの位置を検出することで、操作者が指し示す操作面上の指の位置を検出することを特徴とする光学的座標入力装置。
【請求項4】
前記環境光は、室内光であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光学的座標入力装置。
【請求項5】
前記指の位置は、前記環境光の明暗に応じて変動する閾値と、前記照度信号の値とを比較して決定されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光学的座標入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図27】
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【図29】
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【図31】
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【図32】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
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【図28】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−221028(P2012−221028A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83566(P2011−83566)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(511086412)泉化成産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】