説明

光学的欠陥検出装置および検出方法

【課題】透明板状体の光学的歪を測定する際に生じるノイズ成分を削減し、微小な歪量も検出することを可能とする光学的歪検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】CCDラインセンサーを用いて撮像する撮像手段と、検査対象物をCCDラインセンサーの画素が配列されている方向と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置において、検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら検査対象物を撮像して、検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された複数の画像データを積算して平均化することにより、画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物、特にガラス板等の透明板状体に存在する欠陥を検出する装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明板、例えばガラス板に存在する欠陥には、ガラス板の成形時に生じる筋状の表面凹凸、内部組成に起因する屈折率の不均一な欠陥部分、表面に異物が落下することによって生じる落下異物、落下異物跡に存在するクレータ状の凹凸、ガラス板の内部に存在する異物、泡等がある。また、表面に透明膜が被覆されたガラス板の場合、透明膜の欠陥には、ピンホールなどがある。
【0003】
これらの欠陥があると、光学的歪を生じて、光が屈折する。このため、光学的歪を伴うガラス板等は、光学基板として利用できないので、検査により欠陥を検出し、欠陥を有する透明板を排除する必要がある。
【0004】
文献1に透明板状体の欠陥を検出する装置と方法が開示されている。
文献1に開示されている透明板状体の欠陥を検出する装置と方法は、一定ピッチで一定幅の明部と暗部とが一方向に交互に繰り返されるグリッドパターンを、グリッドパターンの配列方向と同じ方向に複数のCCD画素が配列されたラインセンサーカメラを用いて撮像するに当たり、グリッドパターンに含まれるn個のグリッド(明部と暗部とのペア)に対して、X×n±α個の画素を対応させて、透明板状体を、グリッドパターンの配列方向に直交する方向に移動しながら、透明板状体を通してラインセンサーカメラで撮像し、得られた画像データから、90°位相のずれた正弦波を得て、これらの正弦波からリサージュ図形を得て、リサージュ図形上で、各画素の位相角度を算出し、各画素間の位相角度の差から光学的歪みを検出するものである。
【特許文献1】特開2004−251878
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法では、検査対象物が含んでいる光学的歪みを定量的に測定することはできるが、ラインセンサーカメラのCCD素子が有しているホワイトノイズ、およびグリッド照明の明部と暗部の幅とピッチのばらつき、さらにグリッド上のほこりなどが原因となって、測定対象である透明板状体の歪量の測定値にノイズとしての信号が生じる。このノイズのために、板ガラスの表面うねり又は表面の凹凸などに起因する歪量を測定しようとしても、この歪量は非常に微小なために、このノイズに埋もれてしまって、測定することができない。
【0006】
そこで、本発明は、透明板状体の光学的歪を測定する際に生じるノイズ成分を削減し、微小な歪量も検出することを可能とする光学的歪検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、このノイズ成分を削減するためには、検査対象物の同じ箇所について、複数回異なる画素によって撮像して、複数の画像データについて、平均化処理を行うことによりノイズ成分を減少させることができ、微小な歪みも検出できるとの知見を得た。
【0008】
請求項1に記載の発明は、CCDラインセンサーを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向(以下「CCDラインセンサー画素配列方向」ともいう)と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、CCDラインセンサーを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持する検査対象物支持手段と、前記撮像手段を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向(以下「CCDラインセンサー画素配列方向」ともいう)と平行に前記撮像手段を移動する移動手段と、前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記移動手段が移動する速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、CCDラインセンサーを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、前記グリッドパターンから前記CCDラインセンサーまでの光路内において検査対象である透明板状体(以下「透明検査対象物」ともいう)を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた透明板状体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記CCDラインセンサーとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを前記CCDラインセンサーで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行に配列され、
前記搬送手段は、前記透明板状体を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記透明板状体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明板状体を通して前記グリッドパターンを撮像し、
前記画像処理手段は、前記透明板状体の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、
CCDラインセンサーを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した前記画像データを処理する画像処理手段と、を備えた鏡面体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記CCDラインセンサーとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて前記グリッドパターンの反射像を前記CCDラインセンサーで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行に配列し、
前記搬送手段は、前記鏡面体を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記鏡面体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記鏡面体からの反射光により前記グリッドパターンの反射像を撮像し、
前記画像処理手段は、前記撮像手段が前記鏡面体の同じ位置からの反射光により複数のCCD画素により複数回撮像された前記グリッドパターンの反射像の前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、検査対象物の光学的欠陥を検出する方法であって、
前記検査対象物をCCDラインセンサーの画素の配列方向と平行な方向に搬送する工程と、
前記CCDラインセンサーで、画像スキャンのタイミングと前記検査対象物の搬送速度とを同期させながら、搬送中の前記検査対象物を撮像する工程と、
前記検査対象物の同じ位置について、複数回撮像された前記画像データを積算して平均化する工程と、を有することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、CCDラインセンサーを用いて、搬送装置により搬送中の透明検査対象物を通して、グリッドパターンを撮像することにより透明検査対象物の光学的歪を検出する光学的歪検出方法であって、
前記CCDラインセンサーによりグリッドパターンを前記透明板状体を通して撮像すると、n個のグリッドに対してX×n±α個のCCD画素が対応することによりα個のモアレ縞が生じせしめる位置に、グリッドパターン照射装置と、搬送装置と、撮像装置と、を配置する工程と、
前記透明検査対象物を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記透明検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを撮像し、前記モアレ縞の画像データを取得する工程と、
前記モアレ縞の画像データに所定の演算処理を施して、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を得る正弦波作成工程と、
求められた前記複数種類の正弦波から各画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出工程と、
各画素間について求められた前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出工程と、
前記撮像装置が、前記透明検査対象物の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数回の前記光学的歪み量を求め、それら複数回の前記光学的歪み量を積算して平均化する工程と、を有することにより透明板状体の同じ位置を通して、複数のCCD画素により複数回撮像された画像データから複数種類の正弦波を作成し、前記位相角度を求め、位相角度の差を積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、CCDラインセンサーを用いて、グリッドパターンからの光線を搬送装置により搬送中の検査対象物に反射させて前記グリッドパターンの反射像を撮像することにより前記検査対象物の光学的歪を検出する光学的歪検出方法であって、
前記グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて、CCDラインセンサーにより前記グリッドパターンの反射像を撮像すると、n個のグリッドに対してX×n±α個のCCD画素が対応することによりα個のモアレ縞が生じせしめる位置に、グリッドパターン照射装置と、搬送装置と、撮像装置と、を配置する工程と、
前記透明検査対象物を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記透明検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて、前記グリッドパターンの反射像を撮像し、前記モアレ縞の画像データを取得する工程と、
前記モアレ縞の画像データに所定の演算処理を施して、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を得る正弦波作成工程と、
求められた前記複数種類の正弦波から各画素における位相角度を求める位相角度算出工程と、
各画素間について求められた前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出工程と、
前記撮像装置が前記透明検査対象物の同じ位置からの反射光により複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化する工程と、を有することにより前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、2次元CCDカメラを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記2次元CCDカメラ画素が配列されている直交2軸(X軸、Y軸)のうちX軸の方向に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、 前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記検査対象物が前記X軸方向に搬送される速度と2次元画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、前記X軸方向に対して複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データをX軸方向に積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、
2次元CCDカメラを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、
前記グリッドパターンから前記2次元CCDカメラまでの光路内において検査対象である透明板状体を支持して、前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた透明板状体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記2次元CCDカメラとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを前記2次元CCDカメラで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向と平行に配列され、
前記搬送手段は、前記透明板状体を前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記透明板状体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明板状体を通して前記グリッドパターンを撮像し、
前記画像処理手段は、前記透明板状体の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光学的歪検出装置または検出方法によれば、透明板状体の歪を対象とする従来の光学的歪検出装置または検出方法では、測定装置を構成するラインセンサーカメラのCCD素子が有しているホワイトノイズ、および/またはグリッド照明の明部と暗部の幅とピッチのばらつき、さらにグリッド上のほこり、などに起因するノイズに隠れて検出することができなかった微小な歪をも検出することができる。
【0018】
また、透明でない検査対象物についても、同じ箇所を複数の画素により複数回撮像し、画像データを平均化することにより、欠陥量が微小であり、通常の検出装置では、ノイズに隠れてしまう欠陥までも検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図を参照しつつ、発明を実施するための最良の形態につき説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る欠陥検出装置の主要部分の概略を示す斜視図である。
図1において、101はラインセンサーカメラであり、102はグリッドパターンであり、103はグリッドパターン照射手段を構成する照明部であり、104は検査対象物である。
105は検査対象物が搬送部によって搬送される方向を示す矢印であり、106はラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印である。
【0021】
なお、図1においては、検査対象物104を透明体として、描いているので、わかりにくいが、ラインセンサーカメラ101に近いほうから、検査対象物104(ガラス)があり、その向こうにグリッドパターン102があり、その次に、照明部103が置かれている。
【0022】
グリッドパターン102は明部(図1では白部)と暗部(図1では黒部)が交互に並んでいる。また、グリッドパターンの配列の方向は、検査対象物が搬送部(図1には図示されていない)によって搬送される方向と同じである。本発明の実施の形態においては、検査対象物104はガラス板である。
【0023】
ラインセンサーカメラ101の画素はグリッドパターンの配列の方向と同じ(平行)であり、検査対象物が搬送部によって搬送される方向と同じものとなる。したがって、検査対象物104を搬送する速度とラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする速度を同期させることにより、検査対象物104上の同じ場所を、ラインセンサーカメラ101の異なる画素によって、複数回撮像することができる。図を参照して、説明する。
【0024】
図6は図1の斜視図に係る欠陥検出装置を別の角度から視た図であり、検査対象物104の側面が見える角度から視た側面図である。
図6において、104は検査対象物であり、側面が示されている。102はグリッドパターンであり、これも側面が示されている。
【0025】
図2は本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置を側面から視た側面図である。
図2においては、検査対象物104の側面が見えている。
図2において、101はラインセンサーカメラであり、G1はラインセンサーカメラ101の画素であり、G2は画素G1の隣の画素である。106はラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印である。211は画素G1から検査対象物104を通ってグリッドパター102に至る視線である。212は画素G2からグリッドパターン102に至る視線である。221は検査対象物104の端の部分であり、検査対象物104を通って、ラインセンサーカメラ101が撮像できる範囲である視野に最初に到達した部分である。
視線211は画素G1から検査対象物104の部分221を通って、グリッドパター102に至る。この結果、視線211による撮像により画素G1には部分221に関する画像データが保持される。
【0026】
図3は検査対象物104がラインセンサーカメラ101の視野の中により深く搬送された様子を示す側面図である。
図3において、222は検査対象物104の一部であり、部分221に隣接する部分である。図3において、視線211は画素G1から部分222を通ってグリッドパターン102に至る。この結果、画素G1には検査対象物104の部分222に関する画像データが保持される。
【0027】
また、図3において、視線212は画素G2から検査対象物104の部分221を通って、グリッドパター102に至る。この結果、視線212による撮像により画素G2には部分221に関する画像データが保持される。
【0028】
このように、検査対象物104を搬送する速度とラインセンサーカメラ101が画像をスキャンするタイミングとを同期させて、検査対象物104をラインセンサーカメラ101の画素が配列している方向と同じ方向に搬送しながら、ラインセンサーカメラ101により、検査対象物104を通して、グリッドパターン102を撮像することにより、ラインセンサーカメラ101の各画素には、時間が進むとともに、検査対象物104の端(先端部)から、順次奥のほう(図3の向かって右側)に向かう部分についての画像データが保持される。また、検査対象物104上の同じ位置(部分)についての画像データが、時間が進むとともに、ラインセンサーカメラ101の図3の最も右側の画素から左側の画素に移動しながら保持される。
【0029】
図に基づいて説明する。
図4は、ラインセンサーカメラ101の各画素に保持される検査対象物の各部分についての画像データと時間の推移との関係を示す説明用のグラフである。
図4において、404は時間の推移を示す横軸であり、時間がT1からT2に向かって進んで行く。403はラインセンサーカメラ101の画素の配列を示す縦軸であり、縦軸403の下のG1が図3のラインセンサーカメラ101の最も右側の画素であり、次のG2が画素G1の左隣の画素であり、縦軸403の下方が、ラインセンサーカメラ101の右側に対応し、縦軸403の上方がラインセンサーカメラ101の左側に対応する。
【0030】
411は画素G1に時間の推移に伴って保持される画像データの集合(以下「画像データ群」ともいう)である。画像データ群411に属する11は、画素G1が時間T1に部分221を撮像した画像データ(以下「画像データ11」ともいう)である。画像データ群411に属する12は、画素G1が時間T2に部分222を撮像した画像データ(以下「画像データ12」ともいう)である。以下、画像データ群411の画像データ13以降についても同様であり、時間T3、時間T4、と時間が推移するにつれて、検査対象物104のより奥の部分を画素G1が撮像した画像データとなる。
【0031】
412も411と同様に時間の推移に伴って画素G2に保持された画像データの集合である。画像データ群412に属する21は、画素G2が時間T2に部分221を撮像した画像データである。画像データ群412に属する22は、画素G2が時間T3において部分222を撮像した画像データである。
【0032】
413乃至419もそれぞれ画素G3乃至G9が時間の推移に伴って撮像した画像データの集合である。各画像データ群の中には、各画素が検査対象物104について先端部分から終端部分に向かって順次、撮像した画像データが配置されている。
【0033】
451は各画像データ群411乃至419の中で、それぞれ1番目の位置に存在する画像データを結ぶ線である。452は各画像データ群411乃至419の中で、それぞれ2番目の位置に存在する画像データを結ぶ線(以下、各画像データ群の中の同じ位置に存在する画像データを結ぶ線を「画像データ連結線」ともいう。)である。
【0034】
図2に示されている、検査対象物の位置と画素G1の関係は、図4の時間T1における画像データ11に対応している。すなわち、画像データ411の11は、画素G1が図2の状態(時間T1のとき)で部分221を撮像した画像データであり、検査対象物104の部分221の光学的特性を有する。
【0035】
画像データ411の12は、画素G1が図3の状態(時間T2のとき)で部分222を撮像した画像データであり、検査対象物104の部分222の光学的特性を有する。
【0036】
画像データ412の21は、画素G2が図3の状態(時間T2のとき)で部分221を撮像した画像データであり、検査対象物104の部分221の光学的特性を有する。
【0037】
検査対象物104の部分221に関する画像データは時間がT1、T2、T3と推移していくに伴って、画像データ411の11、画像データ412の21、画像データ413の31に順次保持される。同様に、検査対象物104の部分222に関する画像データは時間がT2、T3と推移していくに伴って、画像データ411の12、画像データ412の22、画像データ413の32に順次保持される。
【0038】
各画像データ群411乃至419の中で、それぞれ1番目の位置に存在する画像データを結ぶ画像データ連結線451上に位置する複数の画像データは、検査対象物104の部分221について画素G1乃至画素G9が順次撮像した画像データである。
【0039】
同様に、各画像データ群411乃至419の中で、それぞれ2番目の位置に存在する画像データを結ぶ画像データ連結線452上に位置する画像データは、検査対象物104の部分222について画素G1乃至画素G9が順次撮像した画像データである。
【0040】
すなわち、各画像データ群411乃至419の中で、同じ位置に存在する画像データを結ぶ画像データ連結線上に位置する画像データは、検査対象物104の同じ部分について画素G1乃至画素G9が検査対象物の同じ位置(部分)について撮像した、検査対象物の同じ位置(部分)についての光学的特性を有する画像データである。
【0041】
このように、画像データ連結線上の画像データは、検査対象物104の同じ位置について、異なるタイミングで画素G1乃至G9が撮像した画像データであり、それぞれが検査対象物104の同じ位置の光学的な特性を含んでいる。したがって、該画像データを処理することによって検査対象物104の対応する位置の光学的な歪み量を測定したり、欠陥を検出することができる。また、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置または検出方法においては、検査対象物104の特定の位置(言い換えれば箇所)の光学的な特性を表す画像データが異なる時間に異なる画素によって撮像されて保持されているので、それらを平均化し、ノイズ成分を軽減化できる。その結果、従来の検出装置や検出方法では、測定ノイズに埋もれてしまって検出できなかったような微小な欠陥を検出することが可能となった。
【0042】
本発明に係る検出装置と検出方法と従来の検出装置と検出方法との相違を明確にするために、従来の検出装置と検出方法について簡単に説明する。
【0043】
図8は文献1に開示されている検出装置の概略を示すブロック図である。
図8において、101はラインセンサーカメラであり、102はグリッドパターンであり、103はグリッドパターン照射手段を構成する照明部であり、104は検査対象物である。
【0044】
図9は文献1に開示されている検出装置の概略を示す斜視図である。
図9において、101はラインセンサーカメラであり、102はグリッドパターンであり、104は検査対象物である。また105は検査対象物が搬送部によって搬送される方向を示す矢印であり、106はラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印である。
文献1に開示されている検出装置においては、図9に示されているように、検査対象物104が搬送される方向とラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向とは直交している。したがって、文献1に開示されている検出装置は検査対象物104のうちラインセンサーカメラ101の視野に入る部分のすべての部分についてスキャンできる。しかし、広くスキャンできる半面、検査対象物104の特定の位置(箇所)については1回しかスキャンされない。そのため、測定ノイズが生じてしまった場合に特定の位置(箇所)について、複数の画像データを得て平均化するというようなことはできない。よって、文献1に開示されている検出装置においては、一般的に測定する際にはノイズ成分が生じるので、検査対象物が板ガラスである場合に、板ガラスの表面うねり又は表面の凹凸等に起因する歪みの量を測定しようとしても、この歪み量は微小であることにより、ノイズに埋もれてしまって、測定できなかった。
【0045】
この点、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置においては、特定の位置(箇所)について、複数の画像データを得ることができるので、これらの画像データを平均化することができ、結果として、ノイズ成分を軽減できる。
【0046】
本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置と文献1に開示された従来の検出装置との第1の相違である検査対象物104を搬送する方向とラインセンサーカメラが画像をスキャンする方向の関係について具体的に、図に基づいて説明する。
図7は図9に示された文献1に開示された従来の検出装置の斜視図と同じ態様で示した本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置の斜視図である。
図7において、101はラインセンサーカメラであり、102はグリッドパターンであり、104は検査対象物である。105は検査対象物が搬送部によって搬送される方向を示す矢印であり、106はラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印である。
【0047】
図7に示されているように、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置においては検査対象物104が搬送される方向とラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向とは同じ方向(平行)である。したがって、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置は検査対象物104のうちラインセンサーカメラ101がスキャンする方向で線状にしかスキャンしない。しかし、広くスキャンしない半面、検査対象物104の特定の位置(箇所)について複数回スキャンする。そのため、測定ノイズが生じても、特定の位置(箇所)について、複数の画像データを得て平均化することが可能であり、ノイズ成分を軽減できる。
【0048】
すなわち、従来の検査装置では、検査対象に対して、面で検査するが、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置では、検査対象に対して、線で検査する。面でなく、線で検査することにより、同じ箇所を重複して検査することにより、検査データを平均化することができ、ノイズ成分を軽減化している。
【0049】
次に、本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置と文献1に開示された従来の検出装置との第2の相違である特定の位置(箇所)について、複数の画像データを得て平均化することについて説明する。
【0050】
図4の画像連結線451上の画像データである、画像データ11、画像データ21、画像データ31、画像データ41、画像データ51、画像データ61、画像データ71、画像データ81および画像データ91は、すべて、検査対象物104の特定の部分である部分221の光学的な特性に関する画像データである。したがって、画像データ11、画像データ21、画像データ31、画像データ41、画像データ51、画像データ61、画像データ71、画像データ81および画像データ91を平均化すれば、部分221の光学的特性の平均値を得られる。平均化の方法としては、これらの画像データの値を積算して画像データの数で除算して求める方法がある。ただし、具体的な平均化の方法は求めようとする光学的特性に適した平均化方法を用いる。なお、平均化の方法については公知の方法でよいので、説明は省略する。
【0051】
また、平均化は、図4の画像連結線上にある画像データの群(以下「画像連結線上画像データ群」ともいう)のすべてを、対象とするのではなく、平均化対象とする画像データの範囲を定めて、かかる範囲に属する画像の集合に属する画像データの集合(以下「平均化対象群」ともいう)のみを平均化する方法も有効である。ラインセンサーカメラによって撮像された画像データのうち、より的確に検査対象物の光学的特性を捕らえた画像データを用いて、ノイズ成分を軽減等するためである。一般的には、ラインセンサーカメラの画素のうち、中央部分の画素によって撮像された画像データがより的確に検査対象物の光学的特性を捕らえている場合が多い。
【0052】
図5は図4の画像連結線451上にある画像データの集合を説明するための説明図である。
図5において、511は図2の画素G1によって撮像された画像データ11であり、512は図3の画素G2によって撮像された画像データ21であり、513は画素G3によって撮像された画像データ31であり、519は画素G9によって撮像された画像データ91である。527は画像連結線451上にある画像連結線上画像データ群である。また、537は平均化対象群である。
画像データ11は画素G1により、画像データ12は画素G1の隣の画素G2というように、画像連結線上の画像データ群527の画像データはラインセンサーカメラの異なる複数の画素によって撮像された画像データであり、画素の配列順に並んでいる。
【0053】
したがって、画像連結線上の画像データ群527の中央部分の画像データはラインセンサーカメラの画素のうち中央部分に位置する画素によって撮像されたものであり、平均化対象群537は中央に位置する画素G4、G5、G6によって撮像された画像データである。
【0054】
中央に位置する画素が検査対象物を撮像する様子を、図に基づいて説明する。
図10は図3における検査対象物104がさらに搬送されて、検査対象物104の先端部分221がラインセンサーカメラ101の真正面にまで、到達した様子を示す側面図である。
図10において、215は画素G5から検査対象物104の端の部分221を通ってグリッドパター102に至る視線である。
図5の画像データ51は図10の視線215に沿って画素G5によって撮像されたものである。図10に示されているように、ラインセンサーカメラ101の画素のうち中央部分に位置する画素G5によって部分221を撮像するときには、視線215は検査対象物と直交し、良い画像データが得られやすい。
【0055】
平均化する対象を、画像連結線上画像データ群527の中央部分の3個とする場合には、画像データ41、51、61を平均化対象群として、この画像データ41、51、61のデータのみを平均化する。
【0056】
なお、図4と図5に基づいた説明においては、画素の数は9個であったが、画素の数は9個に限定されるものではない。また、平均化対象群に属する画像データの個数も3個に限定されるものではない。
【0057】
平均化する場合には、ラインセンサーカメラが有するすべての画素が撮像した画像データを平均化してもよいし、ラインセンサーカメラが有する画素のうち任意の画素を選択して、選択された画素が撮像した画像データを平均化してもよい。
【0058】
図11は、ラインセンサーカメラの画素と、画像データと、平均化する画素の対象の関係を概念的に説明するための説明図である。
図11において、G1、G2、G3、G4、GL、GMおよびGXは画素であり、T1は検査対象物104の先端(図2の部分221)がラインセンサーカメラ101の視野に入り、撮像されたタイミングであり、TQは検査対象物104の終端が画素G1によって撮像されて、ラインセンサーカメラ101の視野から出て行くタイミングである。よって、時間T1と時間TQとの間の期間は、検査対象物104が搬送されて、検査対象物104の先端(図2の部分221)がラインセンサーカメラ101の視野に入った時間から、検査対象物104の終端が画素G1によって撮像されるまでの期間となる。1111(図4の451に対応する)は検査対象物の先端部分である部分221について、画素G1乃至GXが撮像した画像データを結ぶ画像データ連結線である。よって、画像データ連結線1111上の画像データは検査対象物104の先端について画素G1から画素GXが撮像した画像データである。また、111Hは、検査対象物の部分であって時間THに視線211によって画素G1により撮像された部分(以下「部分22H」ともいう)について、画素G1乃至GXが撮像した画像データを結ぶ画像データ連結線である。よって、画像データ連結線1111の場合と同様に画像データ連結線111H上の画像データは、検査対象物104の部分22Hについて画素G1から画素GXが撮像した画像データである。1151は画素GLから画素GMの範囲に存在する画素が、検査対象物の先端部分である部分221から終端部分について撮像した画像データの集合である。1121は画像データ連結線1111のうち画像データ群1151に含まれる部分連結線である。同様に1122は画像データ連結線111Hのうち画像データ群1151に含まれる部分である。
【0059】
図16は図11の時間THにおいて、欠陥検査装置が検査対象物を撮像している様子を側面から視た側面図ある。
図16において、画素GLは図11の縦軸に示されている画素であり、ラインセンサーカメラ101の中央部分に位置する。21Hは画素GLから検査対象物104への視線である。また22Hは検査対象物104の部分のうち、時間THの時に視線211を経路として画素G1によって撮像される部分である。
【0060】
画素GLから画素GMによって撮像された画像データを平均化するには、検査対象物104の個々の位置について、該位置に関する画像データ連結線上の画像データを平均化する。例えば、検査対象物104の先端部分については、部分連結線1121上の画像データを平均化する。また、時間THに対応する部分については、部分連結線1122上の画像データを平均化する。このように画像データを平均化することにより、ノイズ成分を軽減できる。
【0061】
本発明に係る検出装置の効果については、実際にラインセンサーカメラ101と、グリッドパターン102と、検査対象物104を、ラインセンサーカメラ101で検査対象物104を通してグリッドパターン102を撮像するとモアレ縞を生じるような位置関係に配置し、検査対象物に板ガラスを用いて、評価した結果、本発明に係る光学的歪検出装置または検出方法による場合には、微小な欠陥を検出することができた。一方、図9に示される文献1に開示されている従来の光学的歪検出装置または検出方法によっては、この微小な欠陥を検出することはできなかった。
【0062】
なお、モアレ縞を利用した欠陥の検出装置または検出方法については、文献1に開示されているので、説明は省略する。
【0063】
また、本発明に係る、検査対象物の同じ位置について、複数の画素により撮像した画像データを平均化することによりノイズ成分を軽減して、微小な欠陥を検出するという光学的歪検出装置または検出方法は、検査対象物を通してグリッドパターンを撮像するという構成以外であっても有効であり、グリッドパターンを用いないで、直接、検査対象物を撮像する形態もある。また、検査対象物に光線を反射させて、グリッドパターンの反射像を撮像した画像データを用いる形態もある。
【0064】
(実施の形態2)
図13は本発明の実施の形態2に係るグリッドパターンを用いないで、直接、検査対象物を撮像する構成の本発明に係る欠陥検出装置の概略を示す側面図である。図13に示される検出装置においては、グリッドパターンは用いられず、ラインセンサーカメラ101は検査対象物104にピントを合わせて、検査対象物104を撮像して、画像データを得る。そして、検査対象上の同じ位置について、複数の画素により撮像して、複数の画像データを取得し平均化することにより、ノイズ成分を軽減して、微小な欠陥を検出する。
【0065】
図13において、101はラインセンサーカメラであり、G1はラインセンサーカメラ101の画素であり、G2は画素G1の隣の画素である。106はラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印である。211は画素G1から検査対象物104の先端部である部分221に至る視線である。212は、次のタイミングで画素G2から、検査対象物104の先端部である部分221に至る視線である。
【0066】
図13の場合も図2の場合と同様に、検査対象物104を搬送する速度とラインセンサーカメラ101が画像をスキャンするタイミングとを同期させて、検査対象物104をラインセンサーカメラ101の画素が配列している方向と同じ方向に搬送しながら、ラインセンサーカメラ101により、検査対象物104を撮像することにより、ラインセンサーカメラ101の各画素には、時間が進むとともに、検査対象物104の端から、順次奥のほう(図13に向かって右側)に向かう部分に関する画像データが保持される。
【0067】
図2に示される実施の形態1の場合と図13に示される実施の形態2の場合との相違は、図2の場合は画像データが検査対象物104を通して、グリッドパターンを撮像したものであるのに対して、図13の場合は、画像データが検査対象物104を直接撮像したものであることである。よって画像データの特性は異なるが平均化する方法等については同様であり、図13に示される実施の形態2の場合においても、図2に示される実施の形態1の場合と同様な効果を得られるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
図14は図13に示された本発明の実施の形態2に係る欠陥検出装置の概略を示す斜視図である。
図14において、104は検査対象物であり、1401は検査対象物104のうちラインセンサーカメラ101により撮像される部分である。本発明の実施の形態2に係る欠陥検出装置によって、検査対象物104のなかで、線状の部分1401のみが検査され、微小な欠陥が検出される。
【0069】
(実施の形態3)
図15は本発明の実施の形態3に係る、検査対象物からの反射光により、グリッドパターンの反射像を撮像するという構成の本発明に係る光学的歪検出装置の概略を示す側面図である。図15に示される検出装置においては、ラインセンサーカメラ101は検査対象物からの反射光線により、グリッドパターンの反射像にピントを合わせて、グリッドパターンを撮像して、画像データを得る。
【0070】
図2に示される実施の形態1に係る光学的歪検出装置と図15に示される実施の形態3に係る光学的歪検出装置との相違は、図2の場合は画像データが検査対象物104を通して、グリッドパターンを撮像したものであるのに対して、図15の場合は、画像データが検査対象物104からの反射光線により、グリッドパターンの反射像を撮像したものであることである。よって画像データの特性は異なるが平均化する方法と効果は同様であるので、詳細な説明は省略する。また、ラインセンサーカメラによる撮像についても公知であるので、説明は省略する。
【0071】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3に係る装置においては、検査対象物を搬送している。しかしながら、本発明の特徴は、撮像手段と検査対象物の相対的な位置関係を変化させながら、撮像手段が撮像手段と検査対象物の相対的な位置関係の変化と、画像をスキャンするタイミングとを同期させながら検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減することにある。
【0072】
そのため、実施の形態1乃至3と同様の効果は、検査対象物を搬送し、移動して撮像手段と検査対象物の相対的な位置関係を変化させるのではなく、検査対象物は移動しないで、撮像手段を移動させても得られる。
【0073】
したがって、実施の形態4に係る欠陥検出装置においては、検査対象物を搬送するのではなく、撮像手段を移動して撮像手段と検査対象物の相対的な位置関係を変化させ、撮像手段と検査対象物の相対的な速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら検査対象物を撮像して画像データを前記画像処理手段へ送り、検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化するように構成している。移動させる対象が変わっても、撮像手段と検査対象物の相対的な速度については同様であるので、説明は省略する。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態1乃至4に係る欠陥検出装置は撮像手段にラインセンサーカメラを用いて、検査対象物を線で切ったようにスキャンして検査しているが、本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置においては、撮像手段に2次元CCDカメラを用いることにより、検査対象物を面でスキャンして検査する。
【0074】
図17は、本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置の主要部分の概略を示す斜視図である。
図17において、701は2次元CCDカメラであり、702は幅広グリッドパターンであり、703はグリッドパターン照射手段を構成する照明部であり、104は検査対象物である。なお、2次元CCDカメラ701はX軸方向にe個、Y軸方向にf個の画素が配列されている2次元CCDカメラとして説明する。
105は検査対象物が搬送部によって搬送される方向を示す矢印であり、706は2次元CCDカメラ701が画像をスキャンする方向を示す矢印である。この2次元CCDカメラ701が画像をスキャンする方向は、CCDカメラ701の画素が配列している直交2軸(X軸、Y軸)のうちX軸の方向と同じである。707はY軸の方向である。
【0075】
幅広グリッドパターン702は幅が広い点以外は本発明の実施の形態1乃至4に係る欠陥検出装置のグリッドパターン102と同じである。照明部703も幅が広い点以外は本発明の実施の形態1乃至4に係る欠陥検出装置の照明部103と同じである。照明部703は面光源によって構成する。
本発明の実施の形態5においても、検査対象物104はガラス板である。ただし、検査対象はガラス以外でもよい。
【0076】
なお、図17においては、検査対象物104を透明体として、描いているので、わかりにくいが、2次元CCDカメラ701に近いほうから、検査対象物104(ガラス)があり、その向こうに幅広グリッドパターン702があり、その次に、照明部703が置かれている。
【0077】
2次元CCDカメラ701の画素配列のX軸の方向706はグリッドパターンの配列の方向と同じ(平行)であり、検査対象物が搬送部によって搬送される方向105とも同じものとなる。したがって、検査対象物104を搬送する速度と2次元CCDカメラ701が画像をスキャンする速度を同期させることにより、検査対象物104上の同じ場所を、2次元CCDカメラ701のY軸における位置が同じで、X軸の位置が異なる画素によって、複数回撮像する。
【0078】
すなわち、本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置は、本発明の実施の形態1乃至4に係る欠陥検出装置のラインセンサーが、Y軸の方向にY軸の画素数と同じ本数配列されているものである。
【0079】
したがって、本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置によれば、Y軸の画素数に対応する間口で、検査対象物をX軸の方向に同時にスキャンして、X軸方向に配列した1行の画素に、検査対象物の同じ位置について、複数の画素により複数回撮像された画像データを取得し、それを積算して、平均化できる。図に基づいて説明する。
【0080】
図17において、Y1は横一列のCCD画素である。言い換えれば、XY座標における座標値が(1,1)、(2,1)、(3,1)乃至(e,1)の画素である。同様に、Y2はY1に隣接する横一列のCCD画素である。言い換えれば、XY座標における座標値が(1,2)、(2,2)、(3,2)乃至(e,2)の画素である。Yfも、同様に横一列のCCD画素である。言い換えれば、XY座標における座標値が(1,f)、(2,f)、(3,f)乃至(e,f)の画素である。
【0081】
横一列のCCD画素Y1はラインセンサーと考えられる。したがって、横一列のCCD画素Y1によって、検査対象物のY1に対応する位置の部分が線状にスキャンされ、検査対象物の同じ位置について、Y1の複数の画素により、複数回撮像された画像データを取得し、それを積算して、平均化できる。詳細な説明は、実施の形態1乃至4の説明と同じであるので省略する。横一列のCCD画素Y2乃至Yfについても同様である。
【0082】
その結果、本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置によれば、Y軸の間口の幅で、検査対象物の同じ位置について、複数の画素によって、複数回撮像して、データを取得し、それを積算して、平均化することにより、ノイズ成分を軽減し、微細な欠陥をも検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1に係る欠陥検出装置の主要部分の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置を側面から視た側面図ある。
【図3】検査対象物104がさらに先に搬送された様子を示す側面図である。
【図4】ラインセンサーカメラ101の各画素に保持される検査対象物の各部分についての画像データと時間の推移との関係を示す説明用のグラフである。
【図5】図4の画像連結線451上にある画像連結線上画像データ群を示す説明図である。
【図6】図1の斜視図に係る欠陥検出装置を別の角度から視た図であり、検査対象物104の側面が見える角度から視た側面図である。
【図7】図9に示された文献1に開示された従来の検出装置の斜視図と同じ態様の本発明の実施の形態に係る欠陥検出装置の斜視図である。
【図8】文献1に開示されている検出装置の概略を示すブロック図である。
【図9】文献1に開示されている検出装置の概略を示す斜視図である。
【図10】図3における検査対象物104がさらに、搬送されて、検査対象物104の先端部分221がラインセンサーカメラ101の真正面にまで、到達した様子を示す側面図である。
【図11】ラインセンサーカメラの画素と、画像データと、平均化する画素の対象の関係を説明するための説明図である。
【図12】板ガラスと撮像装置の構成部分であるラインセンサーカメラとの位置関係と、移動する方法とを説明するために、板ガラスとラインセンサーカメラを横から見た説明用側面図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係るグリッドパターンを用いないで、直接、検査対象物を撮像する構成の本発明に係る欠陥検出装置の概略を示す側面図である
【図14】図13に示された本発明の実施の形態2に係る欠陥検出装置の概略を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る、検査対象物からの反射光により、グリッドパターンの反射像を撮像する構成の本発明に係る光学的歪検出装置の概略を示す側面図である。
【図16】図11の時間THにおいて、欠陥検査装置が検査対象物を撮像している様子を側面から視た側面図ある。
【図17】本発明の実施の形態5に係る欠陥検出装置の主要部分の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
101 ラインセンサーカメラ
102 グリッドパターン
103 グリッドパターン照射手段を構成する照明部
104 検査対象物
105 検査対象物が搬送部によって搬送される方向を示す矢印
106 ラインセンサーカメラ101が画像をスキャンする方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDラインセンサーを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向(以下「CCDラインセンサー画素配列方向」ともいう)と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
CCDラインセンサーを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持する検査対象物支持手段と、
前記撮像手段を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向(以下「CCDラインセンサー画素配列方向」ともいう)と平行に前記撮像手段を移動する移動手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記移動手段が移動する速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データを積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項3】
一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、
CCDラインセンサーを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、
前記グリッドパターンから前記CCDラインセンサーまでの光路内において検査対象である透明板状体(以下「透明検査対象物」ともいう)を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた透明板状体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記CCDラインセンサーとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを前記CCDラインセンサーで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行に配列され、
前記搬送手段は、前記透明板状体を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記透明板状体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明板状体を通して前記グリッドパターンを撮像し、
前記画像処理手段は、前記透明板状体の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする光学的歪み検出装置。
【請求項4】
一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、
CCDラインセンサーを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記CCDラインセンサーの画素が配列されている方向と平行に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した前記画像データを処理する画像処理手段と、を備えた鏡面体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記CCDラインセンサーとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて前記グリッドパターンの反射像を前記CCDラインセンサーで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行に配列し、
前記搬送手段は、前記鏡面体を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記鏡面体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記鏡面体からの反射光により前記グリッドパターンの反射像を撮像し、
前記画像処理手段は、前記撮像手段が前記鏡面体の同じ位置からの反射光により複数のCCD画素により複数回撮像された前記グリッドパターンの反射像の前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする光学的歪み検出装置。
【請求項5】
検査対象物の光学的欠陥を検出する方法であって、
前記検査対象物をCCDラインセンサーの画素の配列方向と平行な方向に搬送する工程と、
前記CCDラインセンサーで、画像スキャンのタイミングと前記検査対象物の搬送速度とを同期させながら、搬送中の前記検査対象物を撮像する工程と、
前記検査対象物の同じ位置について、複数回撮像された前記画像データを積算して平均化する工程と、を有することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出することを特徴とする光学的欠陥検出方法。
【請求項6】
CCDラインセンサーを用いて、搬送装置により搬送中の透明検査対象物を通して、グリッドパターンを撮像することにより透明検査対象物の光学的歪を検出する光学的歪検出方法であって、
CCDラインセンサーによりグリッドパターンを前記透明板状体を通して撮像すると、n個のグリッドに対してX×n±α個のCCD画素が対応することによりα個のモアレ縞が生じせしめる位置に、グリッドパターン照射装置と、搬送装置と、撮像装置と、を配置する工程と、
前記透明検査対象物を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記透明検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを撮像し、前記モアレ縞の画像データを取得する工程と、
前記モアレ縞の画像データに所定の演算処理を施して、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を得る正弦波作成工程と、
求められた前記複数種類の正弦波から各画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出工程と、
各画素間について求められた前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出工程と、
前記撮像装置が、前記透明検査対象物の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数回の前記光学的歪み量を求め、それら複数回の前記光学的歪み量を積算して平均化する工程と、を有することにより透明板状体の同じ位置を通して、複数のCCD画素により複数回撮像された画像データから複数種類の正弦波を作成し、前記位相角度を求め、位相角度の差を積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出することを特徴とする光学的歪み検出方法。
【請求項7】
CCDラインセンサーを用いて、グリッドパターンからの光線を搬送装置により搬送中の検査対象物に反射させて前記グリッドパターンの反射像を撮像することにより前記検査対象物の光学的歪を検出する光学的歪検出方法であって、
グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて、CCDラインセンサーにより前記グリッドパターンの反射像を撮像すると、n個のグリッドに対してX×n±α個のCCD画素が対応することによりα個のモアレ縞が生じせしめる位置に、グリッドパターン照射装置と、搬送装置と、撮像装置と、を配置する工程と、
前記透明検査対象物を前記CCDラインセンサー画素配列方向と平行な方向に搬送し、
前記透明検査対象物が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記グリッドパターンからの光線を前記検査対象物に反射させて、前記グリッドパターンの反射像を撮像し、前記モアレ縞の画像データを取得する工程と、
前記モアレ縞の画像データに所定の演算処理を施して、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を得る正弦波作成工程と、
求められた前記複数種類の正弦波から各画素における位相角度を求める位相角度算出工程と、
各画素間について求められた前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出工程と、
前記撮像装置が前記透明検査対象物の同じ位置からの反射光により複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化する工程と、を有することにより前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出することを特徴とする光学的歪み検出方法。
【請求項8】
2次元CCDカメラを用いて撮像する撮像手段と、
検査対象物を支持して、前記2次元CCDカメラ画素が配列されている直交2軸(X軸、Y軸)のうちX軸の方向に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、
を備えた検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
前記撮像手段は前記検査対象物が前記X軸方向に搬送される速度と2次元画像をスキャンするタイミングとを同期させながら前記検査対象物を撮像して、画像データを前記画像処理手段へ送り、
前記画像処理手段は、前記検査対象物の同じ位置について、前記X軸方向に対して複数のCCD画素により複数回撮像された前記画像データをX軸方向に積算して平均化することにより、前記画像データに含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い欠陥まで検出するように構成されていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項9】
一定ピッチかつ一定幅の明部と暗部とが配列されたグリッドパターンを照射するグリッドパターン照射手段と、
2次元CCDカメラを用いて前記グリッドパターンを撮像する撮像手段と、
前記グリッドパターンから前記2次元CCDカメラまでの光路内において検査対象である透明板状体を支持して、前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向に前記検査対象物を搬送する搬送手段と、
前記撮像手段が撮像した画像データを処理する画像処理手段と、を備えた透明板状体の光学的歪みを検出する光学的歪み検出装置であって、
前記画像処理手段は、
前記グリッドパターンと前記2次元CCDカメラとの間で発生するモアレ縞の画像データから、90°ずつ位相のずれた複数種類の正弦波を作成する正弦波作成サブ手段と、
前記複数種類の正弦波から各CCD画素におけるモアレ縞の位相角度を求める位相角度算出サブ手段と、
各CCD画素間の前記位相角度の差から光学的歪を検出する光学的歪検出サブ手段と、を有し、
前記グリッドパターン照射手段と、前記撮像手段との配置は、前記透明検査対象物を通して前記グリッドパターンを前記2次元CCDカメラで撮像するとき、n(nは1以上の整数)個のグリッドに対してX×n±α(Xとαは1以上の整数)個のCCD画素が対応するような位置関係にすることによりα個のモアレ縞が生じるように配置し、
前記グリッドパターン照射手段の前記グリッドパターンは、前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向と平行に配列され、
前記搬送手段は、前記透明板状体を前記2次元CCDカメラの画素が配列されている直交2軸のうちX軸の方向と平行な方向に搬送し、
前記撮像手段は前記透明板状体が搬送される速度と画像をスキャンするタイミングとを同期させながら、前記透明板状体を通して前記グリッドパターンを撮像し、
前記画像処理手段は、前記透明板状体の同じ位置を通して前記グリッドパターンを複数のCCD画素により複数回撮像した前記画像データから、複数の前記光学的歪み量を求め、それら複数の前記光学的歪み量を積算して平均化することにより、前記光学的歪み量に含まれるノイズ成分を軽減して、信号レベルの低い歪の量まで検出するように構成されていることを特徴とする光学的歪み検出装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−42113(P2009−42113A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208323(P2007−208323)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(507183066)株式会社ケー・デー・イー (3)
【Fターム(参考)】