説明

光学系及び光学デバイス

【課題】光学素子の配置をより簡便に調整することが可能な光学系を提供する。光学素子の配置をより簡便に調整することを可能にする光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学素子を含む光学系は、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含む。光学素子を含む光学系は、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に含む。光学素子を配置する光学デバイスは、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含む。光学素子を配置する光学デバイスは、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系及び光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ライトバルブ、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)、及びDLP(digital Light Processor)のようなライトバルブ素子の画素で形成された画像を、投射光学系を用いて、スクリーンのような画像表示部に拡大投射するプロジェクタのような画像表示装置が、知られている。通常、このような画像表示装置においては、ライトバルブと投射光学系との間に、プリズム及び偏光板のような光学素子からなる作像光学系が設けられる。このような作像光学系を構成する光学素子は、ライトバルブと投射光学系との間に設けられるので、画像表示部に画像を投射する画像表示装置の性能に影響を及ぼす。すなわち、作像光学系の光学素子の波面収差特性は、画像表示部に投射された画像の解像度に影響を及ぼす。このため、作像光学系の光学素子の波面収差特性が、所定の性能に満たない場合には、そのような光学素子を用いることができなかった。
【0003】
一方、波面補償を精密に行うことができる様々な技術が開示されている。例えば、特開2005−292662号公報(特許文献1)には、複数の制御点が2次元状に配列され、読み出し光を制御点毎に制御データに基づいて位相変調して位相パターンを生成する電気アドレス型空間光位相変調装置と、複数のレンズが2次元状に配列されたレンズアレイを備え、前記電気アドレス型空間光位相変調装置から出力された位相パターンを複数のスポットからなる多点スポット画像に変換し、前記多点スポット画像の光強度分布を検出する波面検出手段と、検出された前記光強度分布に基づき前記複数のスポットの重心位置を示す複数のスポット重心を算出し、前記複数のスポット重心と予め設定された理想波面に対応する複数の参照重心との差を示す複数の重心差に基づき前記電気アドレス型空間光位相変調装置より出力された前記位相パターンと前記理想波面との位相差を表す波面方程式を算出し、前記波面方程式に前記制御点の座標に対応する値を代入して前記制御点毎の位相差を残差波面として算出する算出手段と、前記残差波面と収差波面とを前記制御点毎に足し算し、その結果を前記制御点毎の新たな収差波面として記憶する収差波面算出記憶手段と、前記新たな収差波面と前記理想波面とを前記制御点毎に足し算し、その結果に基づいて帰還制御データを作成する波面合成手段と、前記帰還制御データを前記制御データとして前記電気アドレス型空間光位相変調装置に出力する制御手段とを有し、前記電気アドレス型空間光位相変調装置が前記制御手段から入力される前記帰還制御データに基づき読み出し光の位相変調を繰り返すことを特徴とする波面補償装置が、開示されている。
【0004】
しかしながら、特開2005−292662号公報に開示されるような波面補償装置を、画像表示装置又は画像表示装置の作像光学系に用いた場合には、画像表示装置の構成が複雑になると共に画像表示装置のコストが増加することが予想される。
【特許文献1】特開2005−292662号公報(請求項8及び段落番号0038)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能な光学系を提供することである。
【0006】
本発明の第二の目的は、光学素子の配置をより簡便に調整することを可能にする光学デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、光学素子を含む光学系において、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことを特徴とする光学系である。
【0008】
本発明の第二の態様は、光学素子を含む光学系において、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に含むことを特徴とする光学系である。
【0009】
本発明の第三の態様は、光学素子を配置する光学デバイスにおいて、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含むことを特徴とする光学デバイスである。
【0010】
本発明の第四の態様は、光学素子を配置する光学デバイスにおいて、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材を含むことを特徴とする光学デバイス。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第一の又は第二の態様によれば、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能な光学系を提供することができる。
【0012】
本発明の第三の又は第四の態様によれば、光学素子の配置をより簡便に調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0014】
[本発明の第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態は、光学素子を含む光学系であって、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含む。
【0015】
本発明の第一の実施形態において、光学系は、単数又は複数の光学素子を含む光学系であり、例えば、物体の像を単数又は複数の光学素子によって結像させる結像光学系であってもよい。結像光学系は、例えば、物体の像を像面に投射する投射光学系であってもよい。さらに、投射光学系は、例えば、プロジェクタのような、物体に形成された画像を表示面に表示する画像表示装置であってもよい。画像を形成する物体としては、例えば、液晶ライトバルブ、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)、及びDLP(digital Light Processor)のようなライトバルブ素子が挙げられる。また、表示面としては、スクリーンなどが挙げられる。
【0016】
また、光学系に含まれる単数又は複数の光学素子は、特に限定されず、例えば、レンズ及びプリズムのような光を屈折させる光学素子、平行平面板のような光を透過させる光学素子、ミラーのような光を反射させる光学素子、偏光ビームスプリッター及び偏光板のような光の偏光に基づいて光を制御する偏光制御素子、フィルター及び位相板のような光の振幅及び/又は位相を変調する光変調素子、又は、光の光路をシフトさせる光路シフト素子であってもよい。
【0017】
本発明の第一の実施形態による光学系は、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含む。言い換えれば、本発明の第一の実施形態による光学系に含まれる単数又は複数の光学素子のうち、少なくとも一つの光学素子は、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含まれる。ここで、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸は、例えば、その少なくとも一つの光学素子の光軸であってもよく、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する単数又は複数の軸であってもよい。また、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むということは、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることができるものであればよく、その少なくとも一つの光学素子を固定することができるものであってもよく、及び/又は、その少なくとも一つの光学素子をその光軸の方向に及び/又はその光軸に対して直交する少なくとも一つの方向に平行移動させることができるものであってもよい。なお、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことは、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに一方向に回転可能に含むこと、及び、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに両方向に回転可能に含むことの両方を含む。また、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことは、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに360°以上の角度にわたって回転可能に含むこと、及び、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに360°未満の角度にわたって連続的に又は離散的に回転可能に含むことの両方を含む。加えて、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことは、例えば、その少なくとも一つの光学素子を固定する部材を回転可能に含むことであってもよく、その少なくとも一つの光学素子を回転させた後に固定させることができる部材を含むことであってもよい。
【0018】
なお、その少なくとも一つの光学素子の輪郭の形状は、特に限定されないが、好ましくは、正多角形である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに離散的に一定の角度ごとに回転させることが可能になる。その結果、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能となる。
【0019】
また、その少なくとも一つの光学素子の輪郭の形状は、好ましくは、円形である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに連続的に回転させることが可能になる。その結果、光学素子の配置をより簡便に且つより精度良く調整することが可能となる。
【0020】
本発明の第一の実施形態による光学系によれば、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能な光学系を提供することができる。ここで、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置であってもよい。例えば、光学系に含まれる単数又は複数の光学素子において、光学素子は、通常、その光学素子の製造誤差等により、厳密には、その光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転対称な形状を有さないので、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることによって、その光学系によって生じる収差を調整することができる。この場合には、より簡易に、及び/又は、より低いコストで、その光学系によって生じる収差を調整し、その光学系によって得られる像の解像度を調整することができる。また、この場合には、光学系に含まれる光学素子の歩留まりを改善することができることもある。さらに、この場合には、光学系の本体に特殊な収差を評価する又は測定する装置を設ける必要がなく、光学系をより小型化、軽量化、及び/又は、簡略化することができることもある。
【0021】
なお、その少なくとも一つの軸のまわりに回転可能な少なくとも一つの光学素子が、その少なくとも一つの光学素子の光軸の方向に及び/又はその光軸に対して直交する少なくとも一つの方向に平行移動させることができる場合には、光学素子の配置をより簡便に且つより精度良く調整することが可能な光学系を提供することができる。
【0022】
本発明の第一の実施形態である光学系において、好ましくは、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。ここで、少なくとも一つの光学素子の光軸は、その少なくとも一つの光学素子が、その設計値に従って得られる場合におけるその少なくとも一つの光学素子の光軸である。
【0023】
少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸が、その少なくとも一つの光学素子の光軸を含む場合には、光学系は、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも光軸のまわりに回転可能に含むことになる。この場合には、例えば、その光学系の光軸をほとんど変更させることなく、その少なくとも一つの光学素子の配置を、その少なくとも一つの光学素子の光軸のまわりの角度に応じて、調整することができるので、光学素子の配置をより簡便に且つより精度良く調整することが可能な光学系を提供することができる。
【0024】
本発明の第一の実施形態である光学系において、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸(単数又は複数の軸)を含むこともある。
【0025】
少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸が、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む場合には、光学系は、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも光軸に対して直交する少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことになる。この場合には、例えば、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸に対して反転させることによって、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能となる。なお、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸が多いほど、光学素子のより多くの配置の調整が可能となる。
【0026】
特に、本発明の第一の実施形態である光学系において、好ましくは、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸(単数又は複数の軸)を含む。この場合には、例えば、その少なくとも一つの光学素子の配置を、その少なくとも一つの光学素子の光軸のまわりの角度に応じて、調整することによって、調整すること、及び、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸に対して反転させることができるので、光学素子の配置をより簡便に且つさらに精度良く調整することが可能な光学系を提供することができる。なお、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸が多いほど、光学素子のより多くの配置の調整が可能となる。
【0027】
また、本発明の第一の実施形態である光学系において、前記少なくとも一つの光学素子は、好ましくは、光の光路をシフトさせる光路シフト素子を含む。ここで、光の光路をシフトさせることは、光の光路を連続的にシフトさせること、及び、光の光路を離散的にシフトさせることの両方を含む。この場合には、光路シフト素子の配置をより簡便に且つより適切に調整することが可能な光学系を提供することができる。
【0028】
なお、本発明の第一の実施形態である光学系は、後述する本発明の第三の実施形態である光学デバイスを含んでもよい。
【0029】
[本発明の第二の実施形態]
本発明の第二の実施形態は、光学素子を含む光学系であって、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に含む。
【0030】
本発明の第二の実施形態における、光学素子を含む光学系は、本発明の第一の実施形態における、光学素子を含む光学系と同様である。また、本発明の第二の実施形態における、少なくとも一つの光学素子は、特に限定されず、例えば、レンズ及びプリズムのような光を屈折させる光学素子、平行平面板のような光を透過させる光学素子、ミラーのような光を反射させる光学素子、偏光ビームスプリッター及び偏光板のような光の偏光に基づいて光を制御する偏光制御素子、フィルター及び位相板のような光の振幅及び/又は位相を変調する光変調素子、又は、光の光路をシフトさせる光路シフト素子であってもよい。なお、その少なくとも一つの光学素子の輪郭の形状は、特に限定されない。
【0031】
また、少なくとも一つの光学素子としては、例えば、その光軸に対して互いに直交する二つの軸の一方の方向において曲率を有すると共にその他方の方向において曲率を持たない面(シリンドリカルな面)を有する光学素子、互いに直交する二つの軸について異なる曲率を有する面を有する光学素子などが挙げられる。また、少なくとも一つの光学素子の面の曲率は、小さいことが好ましい。
【0032】
本発明の第二の実施形態において、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に含むことは、光学系にその少なくとも一つの光学素子を取り付けること及び取り外すことができるのであればよく、その少なくとも一つの光学素子が、一時的に固定されていてもよい。
【0033】
本発明の第二の実施形態による光学系によれば、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能な光学系を提供することができる。ここで、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置であってもよい。
【0034】
また、本発明の第二の実施形態において、少なくとも一つの光学素子を光学系に着脱させることによって、少なくとも一つの光学素子の各々を、別の少なくとも一つの光学素子と交換することができる。その結果、光学素子の配置を、より簡便に且つより広範囲に調整することが可能な光学系を提供することも可能となる。例えば、光学系に含まれる単数又は複数の光学素子において、少なくとも一つの光学素子を、別の少なくとも一つの光学素子と交換することによって、その光学系によって生じる収差を調整することができる。この場合には、より簡易に、及び/又は、より低いコストで、その光学系によって生じる収差を調整し、その光学系によって得られる像の解像度を調整することができる。また、この場合には、光学系に含まれる光学素子の歩留まりを改善することができることもある。さらに、この場合には、光学系の本体に特殊な収差を評価する又は測定する装置を設ける必要がなく、光学系をより小型化、軽量化、及び/又は、簡略化することができることもある。
【0035】
本発明の第二の実施形態である光学系において、好ましくは、前記少なくとも一つの光学素子は、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する光学素子を含む。
【0036】
ここで、少なくとも一つの軸は、特に限定されず、少なくとも一つの光学素子の軸であればよい。例えば、少なくとも一つの軸は、その少なくとも一つの光学素子の光軸であってもよく、又は、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸であってもよい。また、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面は、その少なくとも一つの光学素子が、その設計値に従って得られる場合において、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面である。少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する光学素子としては、例えば、その少なくとも一つの軸の方向に傾斜する傾斜面を有する光学素子、少なくとも一つの軸に対して非対称な(例えば、左右非対称な)形状の面を有する光学素子などが挙げられる。また、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面の曲率は、小さいことが好ましい。
【0037】
本発明の第二の実施形態である光学系において、好ましくは、前記少なくとも一つの光学素子は、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能な光学素子である。
【0038】
ここで、本発明の第二の実施形態における、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能な光学素子は、本発明の第一の実施形態における、少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含まれる少なくとも一つの光学素子と同様である。ただし、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能な光学素子における、少なくとも一つの軸は、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子における、少なくとも一つの軸と同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0039】
本発明の第二の実施形態である光学系において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である光学系におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。
【0040】
本発明の第二の実施形態である光学系において、本発明の第一の実施形態である光学系におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含むこともある。
【0041】
特に、本発明の第二の実施形態である光学系において、好ましくは、本発明の第一の実施形態である光学系におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む。
【0042】
また、本発明の第二の実施形態である光学系において、前記少なくとも一つの光学素子は、好ましくは、光の光路をシフトさせる光路シフト素子を含む。ここで、光の光路をシフトさせることは、光の光路を連続的にシフトさせること、及び、光の光路を離散的にシフトさせることの両方を含む。この場合には、光路シフト素子の配置をより簡便に且つより適切に調整することが可能な光学系を提供することができる。
【0043】
なお、本発明の第二の実施形態である光学系は、後述する本発明の第四の実施形態である光学デバイスを含んでもよい。
【0044】
[本発明の第三の実施形態]
本発明第三の実施形態は、光学素子を配置する光学デバイスであって、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含む。
【0045】
本発明の第三の実施形態における光学デバイスは、光学系に含まれる光学素子を配置する光学系の部材である。ここで、光学系は、単数又は複数の光学素子を含む光学系であり、例えば、物体の像を単数又は複数の光学素子によって結像させる結像光学系であってもよい。結像光学系は、例えば、物体の像を像面に投射する投射光学系であってもよい。結像光学系は、例えば、物体の像を像面に投射する投射光学系であってもよい。さらに、投射光学系は、例えば、プロジェクタのような、物体に形成された画像を表示面に表示する画像表示装置であってもよい。画像を形成する物体としては、例えば、液晶ライトバルブ、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)、及びDLP(digital Light Processor)のようなライトバルブ素子が挙げられる。また、表示面としては、スクリーンなどが挙げられる。
【0046】
また、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光軸に直交する少なくとも一つの軸に沿った軸方向における配置及び/又は光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置を含むこともある。
【0047】
本発明の第三の実施形態における、光学デバイスに配置される単数又は複数の光学素子は、特に限定されず、例えば、レンズ及びプリズムのような光を屈折させる光学素子、平行平面板のような光を透過させる光学素子、ミラーのような光を反射させる光学素子、偏光ビームスプリッター及び偏光板のような光の偏光に基づいて光を制御する偏光制御素子、フィルター及び位相板のような光の振幅及び/又は位相を変調する光変調素子、又は、光の光路をシフトさせる光路シフト素子であってもよい。
【0048】
本発明の第三の実施形態による光学デバイスは、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含む。ここで、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸は、例えば、その少なくとも一つの光学素子の光軸であってもよく、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する単数又は複数の軸であってもよい。また、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材は、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることができる部材であればよく、その少なくとも一つの光学素子を固定することができる部材であってもよく、及び/又は、その少なくとも一つの光学素子をその光軸の方向に及び/又はその光軸に対して直交する少なくとも一つの方向に平行移動させることができる部材であってもよい。なお、少なくとも一つの光学素子を、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材は、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに一方向に回転させることが可能な部材、及び、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに両方向に回転させることが可能な部材の両方を含む。また、少なくとも一つの光学素子を、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材は、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに360°以上の角度にわたって回転させることが可能な部材、及び、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに360°未満の角度にわたって連続的に又は離散的に回転させることが可能な部材の両方を含む。加えて、少なくとも一つの光学素子を、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材は、例えば、その少なくとも一つの光学素子を固定する部材であって、その少なくとも一つの軸のまわりに回転させることができる部材であってもよく、その少なくとも一つの光学素子を回転させた後に固定させることができる部材であってもよい。
【0049】
なお、その少なくとも一つの光学素子の輪郭の形状は、特に限定されないが、好ましくは、正多角形である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに離散的に一定の角度ごとに回転させることが可能になる。その結果、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能となる。
【0050】
また、その少なくとも一つの光学素子の輪郭の形状は、好ましくは、円形である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに連続的に回転させることが可能になる。その結果、光学素子の配置をより簡便に且つより精度良く調整することが可能となる。
【0051】
同様に、少なくとも一つの光学素子を、少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材の輪郭の形状も、特に限定されないが、好ましくは、正多角形である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに離散的に一定の角度ごとに回転させることが可能になる。その結果、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能となる。
【0052】
本発明の第三の実施形態による光学デバイスによれば、光学素子の配置をより簡便に調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。ここで、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置であってもよい。例えば、光学デバイスに配置される単数又は複数の光学素子において、光学素子は、通常、その光学素子の製造誤差等により、厳密には、その光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転対称な形状を有さないので、なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を用いて、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることによって、その光学系によって生じる収差を調整することが可能となる。この場合には、より簡易に、及び/又は、より低いコストで、その光学系によって生じる収差を調整することが可能となり、その光学系によって得られる像の解像度を調整することが可能となる。また、この場合には、光学デバイスに配置される光学素子の歩留まりを改善することができることもある。さらに、この場合には、光学デバイスの本体に特殊な収差を評価する又は測定する装置を設ける必要がなく、光学デバイスをより小型化、軽量化、及び/又は、簡略化することができることもある。
【0053】
なお、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材が、その少なくとも一つの光学素子をその光軸の方向に及び/又はその光軸に対して直交する少なくとも一つの方向に平行移動させることができる部材である場合には、光学素子の配置をより簡便に且つさらに精度良く調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。
【0054】
本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおいて、好ましくは、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。ここで、少なくとも一つの光学素子の光軸は、その少なくとも一つの光学素子が、その設計値に従って得られる場合におけるその少なくとも一つの光学素子の光軸である。
【0055】
少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸が、その少なくとも一つの光学素子の光軸を含む場合には、光学デバイスは、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも光軸のまわりに回転させることが可能な部材を含むことになる。この場合には、例えば、光学デバイスに配置される光学素子で構成される光学系の光軸をほとんど変更させることなく、その少なくとも一つの光学素子の配置を、その少なくとも一つの光学素子の光軸のまわりの角度に応じて、調整することができるので、光学素子の配置をより簡便に且つより精度良く調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。
【0056】
本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおいて、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸(単数又は複数の軸)を含むこともある。
【0057】
少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸が、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む場合には、光学デバイスは、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも光軸に対して直交する少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含むことになる。この場合には、例えば、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸に対して反転させることによって、光学素子の配置をより簡便に調整することが可能となる。なお、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸が多いほど、光学素子のより多くの配置の調整が可能となる。
【0058】
特に、本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおいて、好ましくは、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸(単数又は複数の軸)を含む。この場合には、例えば、その少なくとも一つの光学素子の配置を、その少なくとも一つの光学素子の光軸のまわりの角度に応じて、調整することによって、調整すること、及び、その少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸に対して反転させることができるので、光学素子の配置をより簡便に且つさらに精度良く調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。なお、その少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸が多いほど、光学素子のより多くの配置の調整が可能となる。
【0059】
また、本発明の第三の実施形態である光学系において、前記少なくとも一つの光学素子は、好ましくは、光の光路をシフトさせる光路シフト素子を含む。ここで、光の光路をシフトさせることは、光の光路を連続的にシフトさせること、及び、光の光路を離散的にシフトさせることの両方を含む。この場合には、光路シフト素子の配置をより簡便に且つより適切に調整することが可能な光学デバイスを提供することができる。
【0060】
[本発明の第四の実施形態]
本発明の第四の実施形態は、光学素子を配置する光学デバイスであって、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材を含む。
【0061】
本発明の第四の実施形態における、光学素子を配置する光学デバイスは、本発明の第三の実施形態における、光学素子を配置する光学デバイスと同様である。
【0062】
ここで、少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材を含むことは、光学デバイスにその少なくとも一つの光学素子を取り付けること及び取り外すことができる部材であればよく、その少なくとも一つの光学素子を一時的に固定することができる部材であってもよい。
【0063】
本発明の第四の実施形態による光学デバイスによれば、光学素子の配置をより簡便に調整することを可能にする光学デバイスを提供することができる。ここで、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置であってもよい。例えば、光学デバイスに配置される単数又は複数の光学素子において、少なくとも一つの光学素子を、別の少なくとも一つの光学素子と交換することによって、その光学系によって生じる収差を調整することが可能となる。なお、少なくとも一つの光学素子は、本発明の第二の実施形態における、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する光学素子を含んでもよい。
【0064】
この場合には、より簡易に、及び/又は、より低いコストで、その光学系によって生じる収差を調整し、その光学系によって得られる像の解像度を調整することが可能となる。また、この場合には、光学デバイスに配置される光学素子の歩留まりを改善することができることもある。さらに、この場合には、光学デバイスの本体に特殊な収差を評価する又は測定する装置を設ける必要がなく、光学デバイスをより小型化、軽量化、及び/又は、簡略化することができることもある。
【0065】
また、少なくとも一つの光学素子を光学デバイスに着脱させることによって、少なくとも一つの光学素子の各々を、別の少なくとも一つの光学素子と交換することができるため、光学素子の配置を、より簡便に且つより広範囲に調整することを可能にする光学デバイスを提供することも可能となる。
【0066】
本発明の第四の実施形態である光学デバイスにおいて、好ましくは、前記部材は、前記少なくとも一つの光学素子を、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含む。
【0067】
本発明の第四の実施形態における、前記少なくとも一つの光学素子を、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材は、本発明の第三の実施形態における、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材と同様である。
【0068】
本発明の第四の実施形態である光学デバイスにおいて、好ましくは、本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。
【0069】
本発明の第四の実施形態である光学デバイスにおいて、本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含むこともある。
【0070】
特に、本発明の第四の実施形態である光学デバイスにおいて、好ましくは、本発明の第三の実施形態である光学デバイスにおけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む。
【0071】
また、本発明の第四の実施形態である光学系において、前記少なくとも一つの光学素子は、好ましくは、光の光路をシフトさせる光路シフト素子を含む。ここで、光の光路をシフトさせることは、光の光路を連続的にシフトさせること、及び、光の光路を離散的にシフトさせることの両方を含む。この場合には、光路シフト素子の配置をより簡便に且つより適切に調整することが可能な光学デバイスを提供することができる。
【0072】
[本発明の第五の実施形態]
本発明の第五の実施形態は、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法又は光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整する方法であって、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることを含む。
【0073】
本発明の第五の実施形態における、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法は、また、光学デバイスにおける光学素子の配置を調整する方法でもある。また、光学素子の配置は、例えば、光学素子の光軸及び/又は光軸に直交する少なくとも一つの軸に沿った軸方向における配置及び/又は光学素子の光軸及び/又は光学素子の光軸に直交する少なくとも一つの軸まわりの角度方向における配置を含むこともある。
【0074】
本発明の第五の実施形態における、光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整する方法において、光学素子を含む光学系によって生じる収差は、光学素子を含む光学系によって生じる光線収差であってもよく、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差であってもよい。
【0075】
なお、本発明の第五の実施形態における光学系、及び光学デバイスは、それぞれ、本発明の第一の又は第二の実施形態における光学系、及び、本発明の第三の又は第四の実施形態における光学デバイスと同様のものである。
【0076】
また、本発明の第五の実施形態において、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることは、本発明の第一の実施形態における、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転(させること)及び本発明の第三の実施形態における、少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることと同様のものである。
【0077】
本発明の第五の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。
【0078】
本発明の第五の実施形態である方法において、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含むこともある。
【0079】
特に、本発明の第五の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む。
【0080】
本発明の第五の実施形態である方法において、好ましくは、前記収差は、前記光学系によって生じる波面収差(Wave Front Error)である。すなわち、光学素子を含む光学系によって生じる収差は、好ましくは、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差である。この場合には、少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることによって、より有効に、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差を調整することができる。
【0081】
なお、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差の調整のために、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差を評価又は測定する手段としては、光学素子を含む光学系の本体又は光学素子を配置する光学デバイスの本体の外部に提供される、周知の波面収差の評価又は測定手段を用いることができる。また、波面収差の評価又は測定手段を用いて、光学素子を含む光学系によって生じる波面収差を評価又は測定する代わりに、光学素子を含む光学系によって形成される像のMTF(Modulation Transfer Function)の値を評価してもよい。
【0082】
光学素子を含む光学系によって生じる、物体の像における波面収差を調整することによって、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。なお、以下において、物体における物点及び像の点は、それぞれ、無限に小さい点のみならず、適当な有限の大きさを備えた領域を含むものとする。すなわち、無限に小さい点である物点の座標の微小な変位に対しては、物点からの光に生じる波面収差の変動は、ほとんど微小であるため、物点を、多くの場合、有限の大きさを備えた領域とすることができる。また、無限に小さい点である物点の数は、無限であるが、物点は、多くの場合、有限の大きさを備えた領域とすることができるので、それに応じて、物点の数もまた、有限の数とすることができる。
【0083】
例えば、物体におけるある物点から射出される光束が、光学系に含まれる光学素子の第k面(k=1,…N;Nは、自然数である)を透過又は反射するときに、その光学素子の第k面によってその光束に与えられる波面収差をWFR(k)と表示することにすると、式(1)
【0084】
【数1】

によって示される、その物点から射出される光束について、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和が、小さくなるように、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する。例えば、物体におけるある物点から射出される光束について、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面のうち一部の面によってその光束に与えられる波面収差の符号が、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面のうち残りの面によってその光束に与えられる波面収差の符号が、反対になるように、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する。その結果、例えば、物体におけるある物点から射出される光束について、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和を低減することができるため、その物点に対応する像の点における像の解像度を向上させることができる。
【0085】
また、例えば、物体におけるある物点の座標を(i,j)(i=1…L;j=1…M;L,Mは、それぞれ、互いに独立な有限の数である)と表示し、その座標(i,j)の物点から射出される光束が、光学系に含まれる光学素子の第k面(k=1,…N;Nは、自然数である)を透過又は反射するときに、その光学素子の第k面によってその光束に与えられる波面収差をWFR(i,j,k)と表示することにすると、式(2)
【0086】
【数2】

によって示される、物体における対象とする全ての物点から射出される全ての光束についての総和であって、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和が、小さくなるように、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する。その結果、例えば、物体における対象とする全ての物点から射出される全ての光束について、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和のバランスを調整することができるため、物体における対象となる全ての物点に対応する像の点における像の解像度のバランスを向上させることができる。
【0087】
さらに、例えば、物体におけるある特定の物点の座標を(i,j)と表示し、その特定の座標(i,j)の物点から射出される光束が、光学系に含まれる光学素子の第k面(k=1,…N;Nは、自然数である)を透過又は反射するときに、その光学素子の第k面によってその光束に与えられる波面収差をWFRi,j(k)と表示することにすると、式(3)
【0088】
【数3】

によって示される、物体における対象とする全ての物点から射出される全ての光束のうち、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和が、最大となる光束について、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和が、小さくなるように、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する。例えば、物体における対象とする全ての物点に対応する全ての像の点のうち、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによって光束に与えられる波面収差の総和が最大となる、像の点における、その波面収差の総和を低減することができるため、その像の点における像の相対的に低い解像度を選択的に向上させることができる。なお、物点の座標の微小な変位に対して、物点からの光に生じる波面収差の変動が、微小である場合には、物体における対象とする全ての物点から射出される全ての光束のうち、光学系を構成する光学素子の第1面から第N面の全てによってその光束に与えられる波面収差の総和が、最大となる光束を射出する物点又はその物点に共役な像点を、厳密に求める必要はなく、相対的に低い解像度又は画質を備えた像について、その像の解像度を調整するように、光学系を構成する光学素子の配置を調整すればよい。
【0089】
なお、本発明の第五の実施形態である方法を、本発明の第一の実施形態である光学系又は本発明の第三の実施形態である光学デバイスに適用することができる。
【0090】
[本発明の第六の実施形態]
本発明の第六の実施形態は、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法又は光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整する方法であって、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子を用いて、前記収差を調整することを含む。
【0091】
本発明の第六の実施形態における、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法又は光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整する方法は、それぞれ、本発明の第五の実施形態における、光学系に含まれる光学素子の配置を調整する方法又は光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整する方法と同様のものである。
【0092】
本発明の第六の実施形態において、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子は、本発明の第二の実施形態における、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子と同様のものである。
【0093】
本発明の第六の実施形態においては、例えば、光学系に含まれる単数又は複数の光学素子において、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子を、その少なくとも一つの軸のまわりに又はその少なくとも一つの軸と異なる軸のまわりに回転させることによって、及び/又は、別の少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する少なくとも一つの光学素子と交換することによって、その光学素子を含む光学系によって生じる収差を調整することができる。
【0094】
本発明の第六の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第一の及び第三の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの光学素子を、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることを含む。
【0095】
本発明の第六の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含む。
【0096】
本発明の第六の実施形態である方法において、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含むこともある。
【0097】
特に、本発明の第六の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第一の〜第四の実施形態におけるのと同様に、前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸及び前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む。
【0098】
本発明の第六の実施形態である方法において、好ましくは、本発明の第五の実施形態におけるのと同様に、前記収差は、前記光学系によって生じる波面収差である。
【0099】
なお、本発明の第六の実施形態である方法を、本発明の第二の実施形態である光学系又は本発明の第四の実施形態である光学デバイスに適用することができる。
【実施例1】
【0100】
図1は、本発明のある実施形態に係る画像表示装置の例を示す図である。
【0101】
図1に示す画像表示装置10は、少なくとも、ライトバルブ11を照明する図示されない照明光学系、図示されないスクリーンに投射される画像を形成するライトバルブ11、ライトバルブで形成された画像を投射光学系に伝達する作像光学系、及び、ライトバルブ11で形成された画像を拡大すると共にスクリーンに投射する図示されない投射光学系を含む。なお、例えば、画像表示装置10の全体を、本発明の第一の又は第二の実施形態における光学系の例として考えることもでき、作像光学系を、本発明の第一の又は第二の実施形態における光学系の例として考えることもできる。
【0102】
図1に示す画像表示装置10における作像光学系は、波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム(光合成プリズム)15、及び光路シフト素子16を含む。なお、図1におけるO−O'は、作像光学系の光軸を示す。画像表示装置10においては、照明光学系から照射される赤色、緑色、及び青色の一つの光が、ライトバルブ11に入射し、ライトバルブ11において、スクリーンに投射される画像が、形成される。そして、ライトバルブ11において形成された画像を伴った光が、物点としてのライトバルブ11の画素から、光束として射出される。次に、ライトバルブの画素から射出された光のP偏光成分及びS偏光成分の位相が、波長板12によって微調整され、波長板12を通過した光の光束は、偏光ビームスプリッター13に入射し、波長板12を通過した光のP偏光成分及びS偏光成分が、分離される。例えば、主として、光のS偏光成分が、偏光ビームスプリッター13を透過するとすれば、光のP偏光成分のほとんどが、偏光ビームスプリッター13によって反射される。次に、偏光ビームスプリッター13を通過した、主としてS偏光成分を備えた光は、偏光板14に入射する。そして、偏光板14によって、偏光ビームスプリッター13を通過した光かに含まれる残余のP偏光成分が、その光のS偏光成分から除去される。次に、偏光板14を通過した光は、クロスプリズム15に入射し、他の色の光と混合させられて、クロスプリズム15から射出する。次に、クロスプリズム15を通過した光は、光路シフト素子16及び投射光学系を通じて、スクリーンへ投射される。なお、図1に示す画像表示装置10においては、光路シフト素子16は、クロスプリズム15と投射光学系との間に配置されているが、必要に応じて、ライトバルブ11とクロスプリズム15との間のいずれの位置にも配置され得る。
【0103】
ここで、光路シフト素子16について説明する。光路シフト素子は、入射する光の光路を連続的に又は離散的に変位させることが可能な光学素子である。例えば、光路シフト素子16は、液晶及びその液晶に電圧を印加する電極を有する素子である。このような光路シフト素子においては、液晶に印加する電圧を切り替えることによって、液晶の配向の方向を切り替えて、液晶を通過する光の光路を変位させることができる。ここで、液晶に印加する電圧を、フレーム周波数よりも速い速さで切り替えることによって、液晶を通過する光の光路を、その速さで変位させて、スクリーンに投射される像の位置を、その速さで変位させることができる。その結果、スクリーンに投射される像のみかけの画素を増加させて、投射される画像の情報量を増加させること、及び/又は、投射される画像の解像度を向上させることができる。
【0104】
図1に示す画像表示装置10の作像光学系においては、波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子は、その光学素子の光軸及び/又はその光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに回転可能に設けられる。その結果、これらの光学素子の各々を、その光学素子の光軸まわりに回転させること、及び/又は、その光学素子の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに反転(180°の回転)させることができる。ただし、クロスプリズム15については、クロスプリズム15の機能を維持するために、クロスプリズム15を、作像光学系の光軸まわりに回転させることは、困難であるので、クロスプリズム15を、作像光学系の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに回転させることが、現実的である。
【0105】
また、図1に示す画像表示装置10の作像光学系においては、好ましくは、波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子は、着脱可能に含まれる。その結果、これらの光学素子の各々を、その光学素子の光軸まわりに回転させること、及び/又は、その光学素子の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに反転(180°の回転)させることが容易となる。
【0106】
なお、図1に示す画像表示装置10の作像光学系において、波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子を平行移動させる機構を加えてもよい。
【0107】
そして、図1に示す画像表示装置10の作像光学系において、波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子の各々を、その光学素子の光軸まわりに回転させること、及び/又は、その光学素子の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに反転させることによって、画像表示装置10の作像光学系によって生じる波面収差を低減させることができる。
【0108】
ここで、画像表示装置10の作像光学系を構成する上記光学素子の各々が、その光学素子の光軸まわりに回転すること、及び/又は、その光学素子の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに反転(180°の回転)することを可能にするためには、例えば、上記光学素子を回転させることが可能な光学素子を保持するホルダーを有する画像表示装置10の光学デバイス(光学表示装置10における光学素子以外の部分)に、上記光学素子を配置してもよい。例えば、上記光学素子の輪郭が正方形である場合には、光学素子を保持するホルダーは、上記正方形の輪郭を有する光学素子の端部を受容する溝を有するものであってもよい。この場合には、上記光学素子を、その光学素子の光軸のまわりに90°毎に回転させて、その光学素子を保持するホルダーに配置することができる。あるいは、例えば、上記光学素子の輪郭が円形である場合には、その光学素子を連続的に回転させることができ、画像表示装置10の作像光学系によって生じる波面収差を低減するように、上記光学素子の配置を、より容易に且つより精度良く調整することが可能になる。
【0109】
また、例えば、上記光学素子を、上記光学素子の光軸まわりに回転する光学素子を保持するホルダーに配置してもよい。この場合には、上記光学素子を保持するホルダーを回転させることによって、その光学素子を保持するホルダーに配置された光学素子を回転させることができる。
【0110】
さらに、上記の光学素子を、その光学素子の光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに反転(180°の回転)させるためには、上記光学素子を保持するホルダーが、画像表示装置10の光学デバイスに対して着脱可能であり、上記光学素子を保持するホルダーを180°毎に回転させると共に保持することができることが好ましい。
【0111】
なお、上記光学素子の中で、光路シフト素子16の光軸及び/又はその光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりにおける光路シフト素子16の角度的な配置によって生じる波面収差を低減することは、スクリーンに投射される画像の画質を改善する点において、特に有効である。このため、光路シフト素子16を、光路シフト素子16の光軸及び/又はその光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに回転可能に設けることは、特に有効である。なお、光路シフト素子16には、光路シフト素子16に含まれる液晶に電圧を印加するための電極に、配線がなされていることもある。よって、光路シフト素子16の光軸及び/又はその光軸に直交すると共に図1の紙面に平行な軸のまわりに回転させる際に、光路シフト素子16の電極への配線が、切断されないように、光路シフト素子16を回転させることが要求されることもある。
【0112】
図2は、画像表示装置の作像光学系に含まれる光学素子を回転させることが可能な回転調整機構を説明する図である。
【0113】
図2に示す画像表示装置においては、画像表示装置の光学デバイスの一部であるベース部分22に台座23が設けられており、偏光板14を備えたクロスプリズム15が台座13に配置されている。偏光板14を備えたクロスプリズム15以外には、例えば、光路シフト素子16及び後述する波面収差補正レンズが、それぞれ、少なくとも一つの光学素子をその少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材且つ少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材としての回転調整機構21に配置されている。また、図2に示していないが、波長板12、及び、偏光ビームスプリッター13は、図2における偏光板14を備えたクロスプリズム15の左側において、回転調整機構21と同様の回転調整機構21に配置される。また、図2に示していないが、投射光学系に含まれる投射レンズが、図2における二つの回転調整機構21の右側に配置される。なお、図2に示されないライトバルブ11もまた、台座23と同様の台座に設けられる。
【0114】
ここで、回転調整機構21は、画像表示装置の光学デバイスのベース部分22にねじ留めによって固定されている。これにより、画像表示装置の光学デバイスのベース部分22に対して着脱可能である。
【0115】
図3は、回転調整機構の構成を説明する図である。
【0116】
図3において、回転調整機構21は、第一の回転部材32、光路シフト素子16のような光学素子31を保持する保持部材33、第二の回転部材34を含む。まず、光学素子31は、光学素子を保持する保持部材33によって、第一の調整機構32に保持されると共に固定されている。次に、第一の回転部材32は、第二の回転部材34に搭載され、第一の回転部材32に対して、光学素子31の光軸Oのまわりに回転することができる。
【0117】
図3に示すように、光路シフト素子16のような正方形の光学素子31が、例えば、二つの電極端子35を有する場合には、光学素子31の二つの電極端子35と電気的に接続することが可能な四組みの導電性の接続部36の対を、第二の回転部材34の四方に設けることができる。ここで、第二の回転部材34に対して第一の回転部材32を光学素子31の光軸Oのまわりに回転させるとき、第一の回転部材32に保持された正方形の光学素子31もまた、第二の回転部材34に対して光学素子31の光軸Oのまわりに回転する。このとき、二つの電極端子35の対を備えた正方形の光学素子31を保持する第一の回転部材32を、四組みの導電性の接続部36の対を有する第二の回転部材34に対して、光学素子31の光軸Oのまわりに90°毎に回転させるとき、正方形の光学素子31の二つの電極端子35の対が、第二の回転部材34の導電性の接続部36の対と接触する。これにより、光学素子31を光学素子31の光軸Oのまわりに回転させる場合にも、光路シフト素子16のような光学素子31へ電圧を印加することを可能とする。
【0118】
また、第二の回転部材34は、画像表示装置の光学デバイスのベース部分22に接触する固定部材37に対して一体的に設けられている。さらに、固定部材37には、ねじ穴38が設けられており、回転調整機構21の固定部材37を、ねじで画像表示装置の光学デバイスのベース部分22に固定することができる。
【0119】
図4は、回転調整機構の第一の回転部材の構成を説明する図である。
【0120】
図4に示す第一の回転部材32には、図示されない光学素子31を保持する六つの保持部材33が設けられている。ここで、保持部材33の数及び配置は、特に限定されない。また、保持部材33の代わりに、光学素子31をねじで固定することも可能である。
また、第一の回転部材32の中央には、例えば、光学素子31を透過する光を通過させる開口が設けられている。さらに、第一の回転部材32の輪郭は、円形であるため、第一の回転部材32を、第二の回転部材34に対して、光学素子31の光軸Oのまわりに連続的に且つ容易に回転させることができる。また、第一の回転部材32は、第二の回転部材34と勘合すると共に第二の回転部材34に搭載される。
【0121】
図5は、回転調整機構の第二の回転部材の構成を説明する図である。
【0122】
図5に示す第二の回転部材34には、八つの導電性の接続部36が設けられているが、第一の回転部材32に搭載される光学素子31が、二つの電極端子35の対のような電極を持たない、すなわち、光学素子31に電圧を供給することが必要ではないときには、導電性の接続部36は、不要である。第一の回転部材32を、第二の回転部材34に対して、光学素子31の光軸Oのまわりに回転させる際に、第一の回転部材32が、導電性の接続部36と衝突することを防止するために、導電性の接続部36は、それらが第一の回転部材32と接触しないような構造を有する。また、第二の回転部材34には、第一の回転部材32用の勘合穴39が設けられており、第一の回転部材32は、図5の側面図に示すように、第二の回転部材34の勘合穴39に勘合され、第二の回転部材34に搭載される。
【0123】
図6は、別の回転調整機構の構成を説明する図である。
【0124】
図6に示す回転調整機構は、図3に示す回転調整機構21に類似するものであるが、図6に示す回転調整機構においては、図3に示す第一の回転部材32に対応する第一の回転部材32'の外周面と図3に示す第二の回転部材34に対応する第二の回転部材34'の内周面との間に溝部41が、設けられている。この溝部41には、例えば、図7(a)に示すボールベアリング42が設けられる。
【0125】
図7は、第二の回転部材に対する第一の回転部材の配置の例を説明する図である。図7(a)は、溝部及びボールベアリングを設ける例を示す図であり、図7(b)は、溝部を設けずに勘合を用いる例を示す図である。
【0126】
図7(a)に示すように、図6に示す回転調整機構において、図6に示す第一の回転部材32'の外周面と図6に示す第二の回転部材34'の内周面との間には、溝部41が設けられている。図6に示す第一の回転部材32'の外周面と図6に示す第二の回転部材34'の内周面との間の溝部41には、複数のボールベアリング42が設けられている。このように、第一の回転部材32'と第二の回転部材34'との間の溝部41にボールベアリングを設けることによって、第一の回転部材32'と第二の回転部材34'との間の摩擦を低減し、第二の回転部材34'に対して第一の回転部材32'を滑らかに回転させることができる。その結果、第一の回転部材32'に搭載された光学素子を滑らかに回転させることができ、第一の回転部材32'に搭載された光学素子によって生じる波面収差を滑らかに調整することが可能となる。
【0127】
また、図7(b)に示すように、図6に示す回転調整機構において、図6に示す第一の回転部材32'の外周面と図6に示す第二の回転部材34'の内周面との間に溝部を設けることなく、図6に示す第一の回転部材32'の外周面を、図6に示す第二の回転部材34'の内周面に勘合させてもよい。図7(b)に示す例においては、図6に示す第一の回転部材32'の外周面及び図6に示す第二の回転部材34'の内周面は、それぞれ、光学素子の光軸方向に対して垂直である、第一の回転部材32'及び第二の回転部材34'の平面に対して傾斜した面である。この場合には、第一の回転部材32'を第二の回転部材34'により容易に勘合させることができる。
【0128】
図8は、光学素子に設けられた電極端子と第二の回転部材に設けられた導電性の接続部との接触の構成の例を説明する図である。図8(a)は、電極端子を導電性の接続部に点接触させる構成の例を示す図であり、図8(b)は、電極端子を導電性の接続部に面接触させる構成の例を示す図であり、図8(c)は、電極端子を導電性の接続部に勘合させる構成の例を示す図である。
【0129】
図8(a)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36と点接触するように、光学素子に設けられた電極端子35及び第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36を構成してもよい。例えば、図8(a)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35及び第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36の両方が、円柱状の凸部を有するものであってもよい。この場合には、光学素子に設けられた電極端子35における円柱状の凸部の頂上付近の領域が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36における円柱状の凸部の頂上付近の領域と接触する。このようにして、光学素子に設けられた電極端子35に電圧を印加させることができる。また、この場合には、光学素子に設けられた電極端子35と第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36との接触、すなわち、摩擦を低減して、第二の回転部材に対して光学素子を滑らかに回転させることが可能となる。
【0130】
また、図8(b)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36と面接触するように、光学素子に設けられた電極端子35及び第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36を構成してもよい。例えば、図8(b)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35が、円柱状の凸部を有するものであり、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36が、円柱状の凸部の曲率半径に対応する曲率半径を有する円柱状の凹部を有するものであってもよい。この場合には、光学素子に設けられた電極端子35における円柱状の凸部の領域の一部が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36における円柱状の凹部の底部付近の領域の一部と接触する。このようにして、光学素子に設けられた電極端子35に電圧を印加させることができる。この場合には、光学素子に設けられた電極端子35と第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36との接触を改善して、光学素子に設けられた電極端子35に対する電圧の印加の信頼性を向上させることができる。
【0131】
さらに、図8(c)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36と勘合するように、光学素子に設けられた電極端子35及び第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36を構成してもよい。例えば、図8(c)に示すように、光学素子に設けられた電極端子35が、三角柱状の凸部を有するものであり、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36が、三角柱状の凸部の曲率半径に対応する曲率半径を有する三角柱状の凹部を有するものであってもよい。この場合には、光学素子に設けられた電極端子35における三角柱状の凸部が、第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36における円柱状の凹部と勘合する。このようにして、光学素子に設けられた電極端子35に電圧を印加させることができる。この場合には、光学素子に設けられた電極端子35と第二の回転部材に設けられた導電性の接続部36との接触をさらに改善して、光学素子に設けられた電極端子35に対する電圧の印加の信頼性をさらに向上させることができる。
【0132】
このような回転調整機構21などを用いることによって、波長板12、偏光ビームスプリッター13、光路シフト素子16、及び、波面収差補正レンズのような光学素子を、その光学素子の光軸のまわりに回転させることができる。そして、これらの光学素子を、それらの光学素子の光軸のまわりに回転させて、これらの光学素子の光軸まわりのそれら光学素子の角度的な配向を調整することによって、画像表示装置によって投射される光の波面収差を低減することができる。その結果、スクリーンに投射される画像の解像度を向上させることができる。また、回転調整機構21を、画像表示装置の光学デバイスのベース部分22に対して着脱させて、回転調整機構21を、従って、回転調整機構21に配置された光学素子を、その光学素子の光軸に直交すると共に図2の紙面に平行な軸のまわりに、反転させることができる。このようにして、画像表示装置によって投射される光の波面収差を低減し、スクリーンに投射される画像の解像度を向上させることもできる。
【0133】
図9は、本発明のある実施形態に係る別の画像表示装置の例を示す図である。
【0134】
図9に示す画像表示装置10'は、図1に示す画像表示装置10に加えて、さらに波面収差補正レンズ17を含む。波面収差補正レンズは、波面収差補正レンズを除く光学系によって生じる残余の波面収差を補正又は低減するレンズである。例えば、波面収差補正レンズ17は、画像表示装置10'における波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子(画像表示装置10に含まれる光学素子)によって生じる(例えば、光学素子を回転調整機構によって回転調整した後の)残余の波面収差を補正又は低減するレンズである。この場合には、画像表示装置10'における波長板12、偏光ビームスプリッター13、偏光板14、クロスプリズム15、及び光路シフト素子16のような光学素子(画像表示装置10に含まれる光学素子)によって生じる残余の波面収差を補正又は低減することができる。その結果、画像表示装置10'によってスクリーンに表示される画像の解像度を向上させることができる。なお、波面収差補正レンズ17を用いることによって、波面収差補正レンズ17を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子によって生じる波面収差を、特殊な波面収差補正手段を用いることなく、補正又は低減することが可能となる。その結果、画像表示装置10'の構成を、より単純化すると共に、画像表示装置10'のコストを低減することが可能となる。
【0135】
また、波面収差補正レンズ17は、画像表示装置10'の光学デバイスに対して着脱可能であることが好ましい。この場合には、一つの波面収差補正レンズ17を、別の波面収差補正レンズ17と交換することによって、波面収差補正レンズ17を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子によって生じる波面収差をより簡便に且つより広範囲に補正又は低減することが可能となる。その結果、画像表示装置10'によってスクリーンに表示される画像の解像度をより精度良く向上させることができる。
【0136】
波面収差補正レンズ17は、上述した回転調整機構21のような回転調整機構に設けられてもよい。この場合には、波面収差補正レンズ17を、回転調整機構21によって、例えば、波面収差補正レンズ17の光軸及び/又は波面収差補正レンズ17の光軸に直交する少なくとも一つの軸のまわりに回転させることによって、波面収差補正レンズ17を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子によって生じる波面収差をより精度良く補正又は低減することが可能となる。その結果、画像表示装置10'によってスクリーンに表示される画像の解像度をさらに精度良く向上させることができる。
【0137】
波面収差補正レンズ17は、少なくとも一つの軸に対して回転対称な面を有するレンズであってもよく、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有するレンズであってもよい。例えば、光軸に対して直交する一方の軸の方向において弱いパワーを有すると共に光軸及びその一方の軸に対して直交する軸の方向に全く又は実質的にパワーを有さないレンズ(シリンドリカルレンズ)、光軸に対して直交する一方の軸においてあるパワーを有すると共に光軸及びその一方の軸に対して直交する軸の方向にそのパワーと異なるパワーを有するアナモルフィックレンズ、光軸に対して直交する少なくとも一つの軸の方向に沿って傾斜した面を有するレンズ、光軸及び光軸に対して直交する軸のいずれに対しても非対称な面を有するレンズ、光軸に対して回転対称であるが光軸に対して直交する軸のいずれに対しても非対称な面を有するレンズなどが挙げられる。
【0138】
波面収差補正レンズ17'を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子によって生じる残余の波面収差の空間的な分布は、多様であるが、それらの多様な空間的分布を備えた波面収差の全てに対応可能な波面収差補正レンズを用意することは現実的ではない。実際には、波面収差補正レンズ17'を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子の製造誤差の特性を考慮して、波面収差補正レンズ17'を除く画像表示装置10'に含まれる光学素子を組み付けたときに残留する波面収差を補正又は低減することが、好ましい。例えば、波長板のフィルム及び偏光板のような光学素子については、それら光学素子を透過する光波の等位相面は、光の進行方向に垂直な方向において、楕円状に分布する(楕円状の位相ずれ)場合、及び、ある方向において傾斜して分布する(ある方向に傾斜した位相ずれ)場合がある。よって、これらの光学素子によって生じる波面収差(位相ずれ)を補正又は低減するような、波面収差補正レンズ17を用意すればよい。
【0139】
図10は、波面収差補正レンズの例を示す図である。図10(a)は、アナモフィックレンズの例を示す図であり、図10(b)は、傾斜面を有するレンズの例を示す図である。なお、図10(a)及び(b)において、点線は、回転対称軸を表す。
【0140】
図10(a)に示すように、光学素子を透過する光波の等位相面が、光の進行方向に垂直な方向において、楕円状に分布する場合には、光軸に直交する第一の軸の方向においてある第一の曲率半径r1を有すると共に光軸及び第一の軸に対して直交する第二の軸の方向において第一の曲率半径r1と異なる第二の曲率半径r2を有するレンズ(アナモフィックレンズ)を用いる。このようなアナモフィックレンズである波面収差補正レンズ17を、アナモフィックレンズの光軸のまわりに回転させることによって、光学素子を透過した光の楕円状に分布する波面収差(位相ずれ)を補正又は低減することができるように、アナモフィックレンズの第一の曲率半径r1を有する第一の軸及び第二の曲率半径r2を有する第二の軸の配向を調整する。このようにして、その光学素子によって生じる楕円状に分布する波面収差を補正又は低減することが可能となる。
【0141】
また、図10(b)に示すように、それら光学素子を透過する光波の等位相面が、光の進行方向に垂直な方向において、ある方向において傾斜して分布する場合には、光軸に対して直交する一つの軸の方向に沿って(穏やかに)傾斜した面を有するレンズ(傾斜面を有するレンズ)を用いる。このような傾斜面を有するレンズである波面収差補正レンズ17を、傾斜面を有するレンズの光軸のまわりに回転させることによって、光学素子を透過した光のある方向に傾斜して分布する波面収差(位相ずれ)を補正又は低減することができるように、傾斜面を有するレンズの傾斜面の傾斜方向(回転対称軸の方向)を調整する。このようにして、その光学素子によって生じるある方向に傾斜して分布する波面収差を補正又は低減することが可能となる。
【0142】
図11は、波面収差補正レンズの別の例を示す図である。図11(a)は、光軸に対して回転非対称な面を有するレンズを示す図であり、図11(b)は、光軸に対して回転対称であるが光軸に直交する軸に対しては回転非対称なレンズである。なお、図11(a)及び(b)において、点線は、回転対称軸を表す。
【0143】
波面収差補正レンズ17は、例えば、光軸に対して回転非対称な面を有するレンズであってもよい。図11(a)に示すように、光軸に対して回転非対称な面を有するレンズとしては、例えば、凸面及び/又は凹面及び傾斜面の組み合わせの面を有するレンズが挙げられる。
【0144】
また、波面収差補正レンズ17は、例えば、光軸に対して回転対称であるが光軸に直交する軸に対しては回転非対称なレンズであってもよい。図11(b)に示すように、光軸に対して回転対称であるが光軸に直交する軸に対しては回転非対称なレンズとしては、例えば、中央に凹部(又は凸部)及び周辺部に凸部(又は凹部)を有するレンズが挙げられる。
【0145】
上記の画像表示装置によれば、比較的簡便な手段によって、よって、比較的低いコストで、画像表示装置によって生じる波面収差、特に、画像表示装置の作像光学系によって生じる波面収差を低減することができる。例えば、画像表示装置の本体に、波面収差を測定する特別な手段を設けることが、必要ではないので、画像表示装置の作像光学系などに含まれる光学素子によって生じる波面収差を、低いコストで低減することができる。その結果、画像表示装置によって表示される画像の解像度の低下を、低いコストで、軽減することができ、その画像の画質を、従来の画像表示装置と比較して、向上させることができる。また、画像表示装置の作像光学系などに含まれる光学素子の歩留まりを向上させることができる。すなわち、画像表示装置の作像光学系などに含まれる光学素子の製造誤差によって生じる波面収差を低減することができるので、光学素子の製造誤差の許容範囲を広げることができる。その結果、画像表示装置自体のコストも低減させることが可能となる。また、画像表示装置の作像光学系などに含まれる光学素子の製造誤差に起因する表示された画像の画質の低下を抑制することもできる。
【0146】
次に、上記の画像表示装置における波面収差を低減する方法について説明する。
【0147】
図12は、画像表示装置における作像光学系に含まれる光学素子の面を説明する図である。図13は、ライトバルブ上の画素の座標を説明する図である。
【0148】
図12は、光路シフト素子16を除く、図1に示す画像表示装置を示している。図12に示すように、図12に示す画像表示装置において、ライトバルブ11におけるある画素は、物点とみなすことができ、ライトバルブ11における物点としての画素から射出された光の光束は、作像光学系を通過して、スクリーン上の像面に結像されて、像点を形成する。ここで、ライトバルブ11上の画素の座標を(i,j)と表示すると、ライトバルブ11上の画素の座標は、図13に示すように、(1,1)…(L,M)で表される(L及びMは、それぞれ、独立に自然数を表す。)。すなわち、ライトバルブ11には、図13における垂直方向には、L個の画素を有し、図13における水平方向には、M個の画素を有する。
【0149】
ライトバルブ11上のある座標(i,j)の画素から射出された光の光束は、図12に示すように、所定の立体角を備えた光束として、作像光学系の光路に沿って、作像光学系を伝播する。また、作像光学系に含まれる光学素子の面を、第k面と表示することにすると、図12に示すように、ライトバルブ側から、波長板12の第一面及び第二面、偏光ビームスプリッター13の第一面、偏光分離面、及び最終面、偏光板14の第一面及び第二面、並びに、クロスプリズム15の第一面、二色性の二つの面、及び最終面は、それぞれ、第1面〜第10面となる。また、作像光学系に含まれる光学素子の面の総数をNとして表示すると、ライトバルブ上のある座標(i,j)の画素から射出された光の光束は、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面を、順次通過する。なお、図12に示す作像光学系においては、N=10である。また、作像光学系に含まれる第k面によって生じる波面収差をWFR(k)と表示することにする。
【0150】
ここで、例えば、ライトバルブ11上のある座標(i,j)の画素から射出された光の光束について、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が、小さくなるように、上記の回転調整機構を用いて、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させる。これにより、ある座標(i,j)の画素から射出された光の光束が光学素子を通過する光学素子の面の位置を変更することができる。このとき、光学素子の面は、通常、製造誤差を有するので、その光束が光学素子を通過する面の位置に依存して、その光束に与えられる波面収差が、変動する。よって、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、ある座標(i,j)の画素から射出された光の光束について、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和を調整することができる。作像光学系に含まれる二つの光学素子に注目すると、二つの光学素子のいずれか一方の光学素子を、他方の光学素子に対して、これらの光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、それら光学素子の光軸のまわりにおける二つの光学素子の相対的な角度的な配置を変更して、作像光学系に含まれる光学素子の面によって生じる波面収差の総和を調整することができる。これにより、ライトバルブ11上のある座標(i,j)の画素から射出された光によって形成される像の解像度又は画質を調整することができる。
【0151】
例えば、偏光ビームスプリッター13に対して、偏光板14を、偏光板14の光軸のまわりに回転させることができる場合、偏光ビームスプリッター13が、直線偏光の一方(例えば、S偏光)を透過させるとき、通常は、偏光板14もその直線偏光(例えば、S偏光)を通過させるように、偏光板14を配置することが必要であるので、偏光ビームスプリッター13及び偏光板14の相対的な角度的な配置は、制限される。しかしながら、実際には、偏光板14を、その直線偏光(例えば、S偏光)を通過させる偏光板の配向から、偏光板14の光軸のまわりに90°回転させたとしても、その直線偏光(例えば、S偏光)を透過させることが可能である。このため、例えば、偏光板14を、偏光板14の光軸のまわりに90°毎に回転させると、偏光板14の光軸のまわりにおける偏光板14の4通りの角度的な配置を選択することができる。また、偏光板14の第一面及び第二面を入れ替える、すなわち、偏光板14を、偏光板14の光軸に対して垂直な軸のまわりに反転させると、偏光板14の光軸に垂直な軸のまわりにおける偏光板14の2通りの角度的な配置を選択することができる。このようにして、例えば、偏光板14の8通りの角度的な配置を選択することができる。
【0152】
図14は、偏光板の角度的な配置を説明する図である。図14(a)〜(h)は、偏光板14の8通りの角度的な配置の各々を示す図である。図14における"B"の文字は、偏光板14の光軸まわりにおける偏光板14の角度的な向きを示すために、便宜的に示すものである。図14(a)〜(h)に示すように、偏光板14の光軸のまわりにおける偏光板14の4通りの角度的な配置及び偏光板14の光軸に垂直な軸のまわりにおける偏光板14の2通りの角度的な配置を選択することによって、偏光板14の8通りの角度的な配置を選択することができる。図14(a)〜(h)に示される偏光板14の8通りの角度的な配置の中で、ある座標(i,j)の画素から射出された光の光束について、作像光学系に含まれる光学素子によって生じる波面収差の総和が、最も小さくなるような、偏光板14の角度的な配置を選択する。これにより、ある座標(i,j)の画素から射出された光の光束によって形成された像の解像度又は画質を改善することが可能となる。
【0153】
あるいは、例えば、ライトバルブ11上の複数の座標(i,j)(i=1…Lの少なくとも一つ,j=1…Mの少なくとも一つ)の画素から射出された複数の光の光束についての、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和の合計が、小さくなるように、上記の回転調整機構を用いて、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させる。これにより、複数の座標(i,j)の画素から射出された光の光束が光学素子を通過する光学素子の面の位置を変更することができる。このとき、光学素子の面は、通常、製造誤差を有するので、それらの光束が光学素子を通過する面の位置に依存して、それらの光束に与えられる波面収差が、変動する。よって、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、複数の座標(i,j)の画素から射出された光の光束についての、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和の合計を調整することができる。作像光学系に含まれる二つの光学素子に注目すると、二つの光学素子のいずれか一方の光学素子を、他方の光学素子に対して、これらの光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、それら光学素子の光軸のまわりにおける二つの光学素子の相対的な角度的な配置を変更して、複数の座標(i,j)の画素から射出された光の光束についての、作像光学系に含まれる光学素子の面によって生じる波面収差の総和の合計を調整することができる。これにより、ライトバルブ11上の複数の座標(i,j)の画素から射出された光によって形成される像の解像度又は画質を調整することができる。特に、ライトバルブ11上の複数の座標(i,j)の画素から射出された光によって形成される像の全体における平均的な解像度又は画質を向上させることができる。言い換えれば、イトバルブ11上の複数の座標(i,j)の画素から射出された光によって形成される像の全体のバランスを向上させることができる。
【0154】
あるいは、例えば、ライトバルブ11上の複数の座標(i,j)(i=1…Lの少なくとも一つ,j=1…Mの少なくとも一つ)の画素から射出された複数の光の光束のうち、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が最も大きい、光の光束について、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が、小さくなるように、上記の回転調整機構を用いて、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させる。これにより、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が最も大きい、光の光束が、光学素子を通過する光学素子の面の位置を変更することができる。このとき、光学素子の面は、通常、製造誤差を有するので、その光束が光学素子を通過する面の位置に依存して、その光束に与えられる波面収差が、変動する。よって、作像光学系に含まれる光学素子の少なくとも一つを、その光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が最も大きい、光の光束についての、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和を調整することができる。作像光学系に含まれる二つの光学素子に注目すると、二つの光学素子のいずれか一方の光学素子を、他方の光学素子に対して、これらの光学素子の光軸のまわりに回転させることによって、それら光学素子の光軸のまわりにおける二つの光学素子の相対的な角度的な配置を変更して、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が最も大きい、光の光束についての、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和を調整することができる。これにより、作像光学系に含まれる第1面から第N面までの面で生じる波面収差の総和が最も大きい光によって形成される像の解像度又は画質を調整することができる。例えば、ライトバルブ11上の画素から射出された光によって形成された像の一部の領域における像の解像度が、相対的に低い、例えば、仕様の解像度(解像度の下限値)より低い場合に、その領域における像の解像度を改善して、像の領域の全体にわたって、像の解像度の仕様を満足させることができる。なお、解像度が相対的に低く且つ解像度を改善しようとする像の領域が、厳密に、光束の波面収差が最大である画素に対応しない場合であっても、画素の差異による光束に生じる波面収差の変動が、微小であれば、特に問題ない。特に、スクリーンに表示される画像の全域にわたって画像の解像度の一様性を要求する(プロジェクタのような)画像表示装置においては、上記の方法は、特に効果的である。
【0155】
なお、上記画像表示装置において、ある画素から射出された光の光束に生じる波面収差を評価する方法としては、例えば、ライトバルブ11側から参照光を作像光学系に入射させて、市販の測定装置を用いて、作像光学系を透過する光の波面収差を測定することができる。このように測定された波面収差の結果から、ライトバルブ11における測定領域から射出される光の光束に生じた波面収差の分布を知ることができる。また、ライトバルブ11における測定領域内の特定の領域のみをマスキングすることによって、ライトバルブ11におけるマスキングされた領域からの光の光束に生じる波面収差を、二次的に算出することができる。
【0156】
例えば、ライトバルブ11上の領域を、所定の数の、例えば、3個×3個=9個のサブ領域に分割して、それらのサブ領域からの光の光束に生じる波面収差を測定する。そして、例えば、光束に生じる波面収差が最大となるサブ領域からの光について、その光の光束の波面収差を低減するように、上述した回転調整機構を用いて、作像光学系等に含まれる光学素子の配置を調整する。この場合には、光束に生じる波面収差が最大となるサブ領域からの光によって形成される像についてのMTF値を改善することができる。なお、ライトバルブ11上の領域におけるサブ領域の数が多いほど、サブ領域からの光の光束に生じる波面収差の低減の精度は、向上する。あるいは、例えば、サブ領域からの光の光束に生じる波面収差の平均値を低減するように、上述した回転調整機構を用いて、作像光学系等に含まれる光学素子の配置を調整する。光束に生じる波面収差が最大となるサブ領域からの光によって形成される像についてのMTF値の平均値を改善することができる。また、サブ領域からの光の光束に生じる波面収差の測定の代わりに、その光によって形成される像のMTF値を測定し、得られるMTF値の値を改善するように、上述した回転調整機構を用いて、作像光学系等に含まれる光学素子の配置を調整してもよい。
【0157】
ここで、面内に光軸に対して回転非対称性の波面収差の分布を有する二つの光学素子を用いて、これら二つの光学素子の一方を、その光学素子の光軸のまわりに回転させる、又は、その光軸に直交する軸のまわりに反転させることによって、それら二つの光学素子の面の相対的な配置を変化させ、これらの光学素子を通過する光によって、スクリーンに形成される画像の解像度の変化を評価した。
【0158】
図15は、スクリーンに形成される画像の解像度を評価した、スクリーンの位置を示す図である。図15に示すように、スクリーンにおける9つの位置(F1〜F9)で、スクリーンに形成される画像の解像度として、その画像のMTF値を評価した。なお、F1〜F9は、9つに分割されたスクリーンのサブ領域の中心を表す。ここで、一方の光学素子に対して他方の光学素子を、二つの光学素子の光軸まわりに所定の相対的な回転角度で回転させると共に、二つの光学素子の光軸に直交する軸のまわりに所定の反転角度で反転させた。なお、上記の所定の相対的な回転角度及び所定の反転角度の組み合わせは、(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(0°,0°)、(90°,0°)、(180°,0°)、(270°,0°)、(0°,180°)、(90°,180°)、(180°,180°)、(270°,180°)(8通り)である。
【0159】
図16〜23は、それぞれ、(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(0°,0°)、(90°,0°)、(180°,0°)、(270°,0°)、(0°,180°)、(90°,180°)、(180°,180°)、(270°,180°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。図16〜23において、横軸は、図15に示すスクリーンのサブ領域における位置F1〜F9及び位置F1〜F9についての値の平均Ave.を表し、縦軸は、その位置における像のMTFの測定値を表す。また、図16〜23において、菱形のマークは、光学素子の半径方向におけるMTF値を表し、正方形のマークは、光学素子の接線方向におけるMTF値を表す。
【0160】
図16〜23に示される像のMTF値の測定結果を比較すると、図16に示す(0°,0°)の配置及び図22に示す(180°,180°)の配置については、それぞれ、F3及びF7の位置でのラジアル方向についてのMTF値が、50%であるが、図18に示す(180°,0°)の配置については、全ての位置及び方向において、MTF値の最低値が、78%である。すなわち、(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)の組み合わせ、言い換えれば、二つの光学素子の相対的な配置の組み合わせによって、スクリーンに形成された像のMTF値の最低値を向上させることが可能であることが確認された。また、図16に示す(0°,0°)の配置については、全ての位置におけるMTF値の平均値が、66%又はそれ以上であるが、図18に示す(180°,0°)の配置については、全ての位置におけるMTF値の平均値は、80%程度である。すなわち、(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)の組み合わせ、言い換えれば、二つの光学素子の相対的な配置の組み合わせによって、スクリーンに形成された像のMTF値の平均値を向上させることが可能であることが確認された。このように、作像光学系に含まれる光学素子について、ある特定の配置の条件においては、得られる像のMTF値の値が仕様の値より低い場合であっても、光学素子の配置の組み合わせを変更することによって、仕様を満足するMTF値を示す、作像光学系を得ることが可能となる。また、画像表示装置によって表示される画像の解像度の試験は、一般に行われているものであるため、画像表示装置によって表示される画像の解像度の試験に関するコストの増加は、ほとんどない。さらに、上述したような、作像光学系に含まれる光学素子の相対的な配置の調整は、作像光学系によって形成される像の性能が、仕様よりも低い場合に行えばよいため、作像光学系に含まれる光学素子の配置に関する調整費用を抑制することもできる。
【0161】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明のある実施形態に係る画像表示装置の例を示す図である。
【図2】画像表示装置の作像光学系に含まれる光学素子を回転させることが可能な回転調整機構を説明する図である。
【図3】回転調整機構の構成を説明する図である。
【図4】回転調整機構の第一の回転部材の構成を説明する図である。
【図5】回転調整機構の第二の回転部材の構成を説明する図である。
【図6】別の回転調整機構の構成を説明する図である。
【図7】第二の回転部材に対する第一の回転部材の配置の例を説明する図である。
【図8】光学素子に設けられた電極端子と第二の回転部材に設けられた導電性の接続部との接触の構成の例を説明する図である。
【図9】本発明のある実施形態に係る別の画像表示装置の例を示す図である。
【図10】波面収差補正レンズの例を示す図である。
【図11】波面収差補正レンズの別の例を示す図である。
【図12】画像表示装置における作像光学系に含まれる光学素子の面を説明する図である。
【図13】ライトバルブ上の画素の座標を説明する図である。
【図14】偏光板の角度的な配置を説明する図である。
【図15】スクリーンに形成される画像の解像度を評価した、スクリーンの位置を示す図である。
【図16】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(0°,0°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図17】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(90°,0°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図18】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(180°,0°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図19】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(270°,0°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図20】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(0°,180°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図21】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(90°,180°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図22】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(180°,180°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【図23】(所定の相対的な回転角度,所定の反転角度)=(270°,180°)で二つの光学素子の一方を回転又は反転させたときのMTF値の測定値を示す図である。
【符号の説明】
【0163】
10,10' 画像表示装置
11 ライトバルブ
12 波長板
13 偏光ビームスプリッター
14 偏光板
15 クロスプリズム
16 光路シフト素子
17 波面収差補正レンズ
21 回転調整機構
22 ベース部分
23 台座
31 光学素子
32,32' 第一の回転部材
33 保持部材
34,34' 第二の回転部材
35 電極端子
36 導電性の接続部
37 固定部材
38 ねじ穴
39 勘合穴
41 溝部
42 ボールベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を含む光学系において、
少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能に含むことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
光学素子を含む光学系において、
少なくとも一つの光学素子を着脱可能に含むことを特徴とする光学系。
【請求項5】
前記少なくとも一つの光学素子は、少なくとも一つの軸に対して回転非対称な面を有する光学素子を含むことを特徴とする請求項4に記載の光学系。
【請求項6】
前記少なくとも一つの光学素子は、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転可能な光学素子であることを特徴とする請求項4又は5に記載の光学系。
【請求項7】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含むことを特徴とする請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む請求項7に記載の光学系。
【請求項9】
光学素子を配置する光学デバイスにおいて、
少なくとも一つの光学素子を、該少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含むことを特徴とする請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
光学素子を配置する光学デバイスにおいて、
少なくとも一つの光学素子を着脱可能に設ける部材を含むことを特徴とする光学デバイス。
【請求項13】
前記部材は、前記少なくとも一つの光学素子を、前記少なくとも一つの光学素子の少なくとも一つの軸のまわりに回転させることが可能な部材を含むことを特徴とする請求項12に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸を含むことを特徴とする請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも一つの軸は、前記少なくとも一つの光学素子の光軸に対して直交する少なくとも一つの軸を含む請求項14に記載の光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−197498(P2008−197498A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34130(P2007−34130)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】