説明

光学素子パッケージ及びその製造方法

【課題】構成部材の熱膨張率の相違に基づく反りやクラック等の不具合の発生の防止を安価に実現することができる光学素子パッケージ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基部105の上方に光学素子103が設けられた光学素子パッケージ110は、前記基部105と前記光学素子103との間に、熱膨張係数が異なる材料の層210、220が複数接合されて成る熱膨張緩和構造体200が配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子パッケージ及びその製造方法に関し、より具体的には、MEMS型光スイッチ、LN光変調器、光導波路デバイス等の光学素子パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた光スイッチ(以下では、「MEMS型光スイッチ」という)は、波長依存性が少なく、広い波長帯域の光信号をスイッチングすることが可能であり、また、温度依存性が小さく温度制御を要しないことから、光通信用部品として利用される。
【0003】
MEMS型光スイッチにおいては、出力光ファイバアレイからの光信号が、マイクロレンズを介してMEMS素子に出射され、予め所定の方向に向いて設けられたMEMS素子により、光信号は反射されて、マイクロレンズを介して、所定の入力光ファイバアレイに結合される。また、MEMS素子の配設角度を適時変えることにより、出力ファイバが切換えられる。
【0004】
図1を参照して、このようなMEMS型光スイッチの構造を説明する。ここで、図1は、従来のMEMS型光スイッチの構造を示す断面図である。
【0005】
図1に示すように、MEMS型光スイッチ10にあっては、シリコン(Si)から成る基板1の上面にMEMS素子2が形成されたMEMS部品3と、MEMS部品3がエポキシ系樹脂等の接着剤4を介して固着された底部5と、底部5の外周部分に沿って載置されてなる第1金属フレーム部6−1と、第1金属フレーム部6−1上に設けられた端子部7と、端子部7上に設けられた第2金属フレーム部6−2と、第2金属フレーム部6−2上に設けられた板部8等から大略構成される
MEMS部品3の基板1の構成材料であるシリコン(Si)は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であり、MEMS部品3が固着された底部5は、熱膨張係数が2.0×10−6/℃であるインバー材(Fe-Ni)から成る。インバー材(Fe-Ni)は、主として鉄(Fe)及びニッケル(Ne)から成る。
【0006】
金属フレーム部6−1及び6−2は、熱膨張係数が5.0×10−6/℃であるコバール材(Fe-Ni-Co)から成る。コバール材(Fe-Ni−Co)は、主として鉄(Fe)、ニッケル(Ne)及びコバルト(Co)等から成る合金である。
【0007】
第1金属フレーム部6−1と第2金属フレーム部6−2との間に設けられた端子部7は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。端子部7には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子9が設けられている。端子部7のリード端子9とMEMS部品3とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング11により接続されている。
【0008】
MEMS部品3の上方に位置する板部8は、コバール材(Fe-Ni−Co)及び外周をニッケル(Ni)のめっき処理を施した金属板部8において、基板1の上面に形成されたMEMS素子2の形成領域に対応する箇所には、熱膨張係数が7.0×10−6/℃であるサファイアから成る窓部12が金−錫(Au−Sn)により半田付けされている。
【0009】
第2金属フレーム部6−2と板部8とが互いに接している箇所(点線Aで囲んだ箇所)は、シーム溶接により固定されている。これによって、底部5に接着され、金属フレーム部6−1及び6−2及び端子部7が囲繞されたMEMS部品3は、窒素(N)雰囲気中に気密保持されている。外部光は、窓部12を透過して、MEMS部品3のMEMS素子2に入射する。
【0010】
また、点線Bで囲んだ箇所、即ち、底部5と第1金属フレーム部6−1との接合、第1金属フレーム部6−1と端子部7との接合、及び端子部7と第2金属フレーム部6−2との接合には、銀(Ag)がロウ付けで接合されており、外周にニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0011】
かかる構造を有するMEMS型光スイッチ10は、以下の方法により形成される。
【0012】
まず、シリコン(Si)から成る半導体ウエハから周知の方法により作成したMEMS部品3を用意する。一方、銀(Ag)のロウ付けにより、上方に第1金属フレーム部6−1、端子部7、及び第2金属フレーム部6−2が設けられた底部5の上面にMEMS部品3を接着させるための接着剤4を塗布する。
【0013】
次いで、MEMS部品3を、接着剤4を介して底部5の上面に載置し、約160℃に加熱して接着剤4を硬化させて、MEMS部品3を底部5に接着させる。
【0014】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部7のリード端子9とMEMS部品3とを、ワイヤボンディング11により接続する。
【0015】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、窓部12を備えた板部8を、第2金属フレーム部6−2の上面に載置し、シーム溶接により第2金属フレーム部6−2と板部8とが互いに接している箇所(点線Aで囲んだ箇所)を固定して、MEMS型光スイッチ10の完成となる。
【0016】
ところで、幹線系陸上光通信システムや海底光通信システム用の光変調器として、ニオブ酸リチウム光変調器(LN光変調器)が利用されている。LN光変調器は、電気光学効果を持つ、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)の結晶を用いた光変調器であり、電気信号を光の強度信号に変換する光学部品である。LN光変調器は、光信号を生成する際に付随的に発生する波長変動成分が非常に小さく、長距離伝送に適している。
【0017】
図2に、このようなLN光変調器の構造を示す。ここで、図2(a)は、従来のLN光変調器の上面図であり、図2(b)は、図2(a)の線A−Aにおける断面図である。なお、図2(a)において、板部28及びワイヤボンディング30の図示は省略している。
【0018】
図2に示すように、LN光変調器20にあっては、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)からなるLN光変調素子21と、LN光変調素子21がエポキシ系樹脂等の接着剤22を介して固着され、平面視、外周形状が略矩形状である基部23と、基部23の外周を構成する辺のうち長手方向に形成された辺に設けられた端子部24と、基部23の外周を構成する辺のうち短手方向に形成された辺に設けられ、光ファイバ25が接続されたレンズ部26が接合された窓部27と、基部23の外周部分上に設けられた板部28等から大略構成される。
【0019】
LN光変調素子21の構成材料であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)は、熱膨張係数が17.3×10−6/℃であり、LN光変調素子21がその底部に固着された基部23は、前記ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)と同一の値の熱膨張係数(17.3×10−6/℃)を有するステンレス材から成り、外周にニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0020】
基部23の外周を構成する辺のうち長手方向に形成された辺に設けられた端子部24は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。端子部24には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子29が設けられている。端子部24のリード端子29とLN光変調素子21とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング30により接続されている。
【0021】
基部23の外周を構成する辺のうち短手方向に形成された2つの辺に設けられた窓部27は、例えば熱膨張係数が7.0×10−6/℃であるサファイアから成る。窓部27には、光ファイバ25が接続されたレンズ部26がレーザ溶接で固定されている。基部23と端子部24及び窓部27とは、金−錫(Au-Sn)等の半田付けで接合されている。外部光は、窓部27を透過して、LN光変調素子21に入射する。
【0022】
板部28は、ステンレス材から成り、外周にニッケル(Ni)のめっき処理を施している。板部28は、基部23の外周部分上に設けられ、シーム溶接により固定されている。これにより、基部23の内部に設けられたLN光変調素子21は、窒素(N)雰囲気に気密保持されている。
【0023】
かかる構造を有するLN光変調器20は、以下の方法により形成される。
【0024】
金−錫(Au-Sn)等の半田付けにより端子部24及び窓部27に接合されて成る基部23の底部の上面に、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)から成るLN光変調素子21を接着させるための接着剤22を塗布する。
【0025】
次いで、LN光変調素子21を接着剤22を介して基部23の底部の上面に載置し、加熱して接着剤22を硬化させて、LN光変調素子21を基部23の底部の上面に接着させる。
【0026】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部24のリード端子29とLN光変調素子21の電極部32とを、ワイヤボンディング30により接続する。
【0027】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、板部28を、基部23の上面に載置し、シーム溶接により板部28と基部23とが互いに接している箇所を固定する。そして、LN光変調素子21に対して、レンズ26及び光ファイバ25の光軸を調整し、レーザ溶接により、レンズ26及び光ファイバ25を固定して、LN光変調器20の完成となる。
【0028】
また、同様の構造を有する光学部品として、図3に示す光導波路を備えた光部品も提案されている。ここで、図3(a)は、従来の光導波路デバイスの上面図であり、図3(b)は、図3(a)の線A−Aにおける断面図である。なお、図3(a)において、板部36の図示は省略している。
【0029】
図3に示すように、光導波路デバイス30にあっては、シリコン(Si)から成る光導波路部31と、光導波路部31がエポキシ系樹脂等の接着剤32を介して固着され、外周部分が鉛直方向に延在形成された光導波路搭載部33と、光導波路搭載部33の上面に設けられた端子部34と、端子部34上に設けられた板部支持部35と、板部支持部35上に設けられた板部36等から大略構成されている。
【0030】
光導波路搭載部33及び板部支持部35は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃でるインバー材(Fe-Ni)から成り、外周にニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0031】
光導波路搭載部33と板部支持部35との間に設けられた端子部34は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。端子部34には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子37が設けられている。端子部34のリード端子37と光導波路部31とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング38により接続されている。光導波路搭載部33と端子部34とは、及び板部支持部35と端子部34とは、金−錫(Au-Sn)等から成る半田39により接合されている。
【0032】
光導波路部31の上方に位置する板部36は、コバール材(Fe-Ni−Co)から成る。
【0033】
板部支持部35と板部36とが互いに接している箇所(点線Aで囲んだ箇所)は、シーム溶接により固定されている。これによって、光導波路搭載部33の底部に固着され、光導波路搭載部33の外周部分に囲繞された光導波路部31は、窒素(N)雰囲気に気密保持されている。なお、光導波路部31の長手方向の両端面は、多芯光ファイバ40に接合されており、光信号が光導波路部31に導かれる。
【0034】
かかる構造を有する光導波路デバイス30は、以下の方法により形成される。
【0035】
まず、シリコン(Si)から成る光導波路部31を用意する。そして、金−錫(Au-Sn)等から成る半田39を用い、約300℃に加熱して半田39を硬化させることにより端子部34に接合された光導波路搭載部33と板部支持部35とを用意する。
【0036】
次いで、光導波路搭載部33の底部の上面に光導波路部31を接着させるための接着剤32を塗布する。
【0037】
次に、光導波路部31を、接着剤32を介して光導波路搭載部33の底部の上面に載置し、約160℃に加熱して接着剤32を硬化させて、光導波路部31を光導波路搭載部33の底部の上面に接着させる。
【0038】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部34のリード端子37と光導波路部31とを、ワイヤボンディング38により接続する。
【0039】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、板部36を板部支持部35の上面に載置し、シーム溶接により板部36と板部支持部35とが互いに接している箇所を固定する。そして、光導波路部31に対して、光ファイバ40の光軸を調整し、図示を省略する接着剤で固定して、光導波路デバイス30の完成となる。
【0040】
なお、その他、MEMS回路が形成されたシリコン基板とこれを封止する石英基板とを仮貼り合わせし、加圧治具で加圧しながら、シリコン基板に吸収されるが加圧治具及び石英基板に吸収されない波長の光を、ランプによりシリコン基板と石英基板との界面に照射して、界面を加熱することにより、接合を行う態様が提案されている(特許文献1参照)。
【0041】
また、上面にMEMS活性素子が形成された素子用基板と、素子用基板のMEMS活性素子の両側に位置し、第1及び第2パッドが一定の間隔をおいて対向された構造の内部電極パッドと、内部電極パッドの外側に位置するシーリングパッドを介して素子用基板と結合し、内部電極パッドの間隔が位置する部分にビアホールが形成されたカバー用基板と、一端が内部電極パッドと接触するようビアホールの内側面に形成された連結部材と、連結部材の他端と接するようカバー用基板の上面に形成された外部電極パッドと、を含むMEMS素子パッケージが提案されている(特許文献2参照)。
【0042】
更に、電気機械的機能デバイスの動作部を囲み中空部を形成する枠に、中空部に面した部分を残して、斜めに多数の間隙を設け、該枠を形成するとき発生するガスを放出するとともに、前記微小電気機械的機能デバイスの基板と前記取付け基板との膨張係数の差によって加熱時あるいは冷却時に生ずる応力による機械的歪みを吸収するマイクロパッケージが提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−235465号公報
【特許文献2】特開2006−186362号公報
【特許文献3】特開平10−12757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
図1に示すMEMS型光スイッチ10、図2に示すLN光変調器20、及び図3に示す光導波路デバイス30は、いずれも高温状況下においても安定度が要求される光学素子パッケージである。
【0044】
しかるに、図1に示すMEMS型光スイッチ10にあっては、MEMS部品3の構成材料であるシリコン(Si)は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であり、端子部7の構成材料であるセラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃であり、窓部12の構成材料であるサファイアは、熱膨張係数が7.0×10−6/℃である。
【0045】
これら熱膨張係数が相違する部材を固定するため、インバー材又はコバール部材を用いて、底部5、金属フレーム部6、及び板部8を切削加工し、銀(Ag)のロウ付け又はシーム溶接等により、これらを固定している。従って、MEMS型光スイッチ10の製造費用を低く抑えるのは困難である。
【0046】
また、MEMS型光スイッチ10の製造工程において、上述の銀(Ag)のロウ付けを用いた各部材の接合にあっては、約400℃等の高温の下で、熱硬化を行う。従って、かかる熱硬化に起因する膨張及び収縮の際に、各部材の熱膨張率の相違に基づく応力が発生し、反りやクラック等が形成され、所望の機能を備えた良好なMEMS型光スイッチ10を製造することは困難である。
【0047】
また、図2に示すLN光変調器20にあっても、LN光変調素子21の構成材料であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)は、熱膨張係数が17.3×10−6/℃であり、端子部24の構成材料であるセラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃であり、窓部27の構成材料であるサファイアは、熱膨張係数が7.0×10−6/℃である。
【0048】
これら熱膨張係数が相違する部材を固定するため、ステンレス材という、LN光変調素子21の構成材料であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)と熱膨張係数が略等しい金属材料を用いて、基部23及び板部28を切削加工し、金−錫(Au−Sn)の半田付け等により、これらを固定している。従って、MEMS型光スイッチ10の製造費用を低く抑えるのは困難である。
【0049】
また、LN光変調器20の製造工程において、金−錫(Au−Sn)の半田付け等を用いた各部材の接合にあっては、高温の下で熱硬化を行う。従って、かかる熱硬化に起因する膨張及び収縮の際に、各部材の熱膨張率の相違に基づき、反りやクラック等が発生するため所望の機能を備えた良好なLN光変調器20を製造することは困難である。
【0050】
更に、図3に示す光導波路デバイス30にあっても、光導波路部31の構成材料であるシリコン(Si)は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であり、端子部34の構成材料であるセラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。
【0051】
これら熱膨張係数が相違する部材を固定するため、インバー材又はコバール部材を用いて、光導波路搭載部33、板部支持部35及び板部36を切削加工し、金−錫(Au−Sn)の半田付け等により、これらを固定している。従って、光導波路デバイス30の製造費用を低く抑えるのは困難である。
【0052】
また、光導波路デバイス30の製造工程において、金−錫(Au−Sn)の半田付け等を用いた各部材の接合にあっては、高温の下で、熱硬化を行う。従って、かかる熱硬化に起因する膨張及び収縮の際に、各部材の熱膨張率の相違に基づき、反りやクラック等が発生し、所望の機能を備えた良好な光導波路デバイス30を製造することは困難である。
【0053】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、構成部材の熱膨張率の相違に基づく反りやクラック等の不具合の発生の防止を安価に実現することができる光学素子パッケージ及びその製造方法を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0054】
本発明の一観点によれば、基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージであって、前記基部と前記光学素子との間に、熱膨張係数が異なる材料の層が複数接合されて成る熱膨張緩和構造体が配設されていることを特徴とする光学素子パッケージが提供される。
【0055】
前記基部は、セラミックを含む材料から構成されていてもよい。また、前記熱膨張緩和構造体を構成する前記複数の層は、層間接着剤により互いに接合されていてもよい。更に、前記熱膨張緩和構造体を構成する前記層のうち、一の層と、前記一の層上に設けられた他の層とを接合する前記層間接着剤は、前記一の層を構成する材料を含むこととしてもよい。
【0056】
本発明の別の観点によれば、基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージの製造方法であって、熱膨張係数が異なる材料から成る板状部材を、接着剤を介して積層することにより、熱膨張緩和構造体を前記基部上に形成し、前記熱膨張緩和構造体上に、前記光学素子を配設することを特徴とする光学素子パッケージの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、構成部材の熱膨張率の相違に基づく反りやクラック等の不具合の発生の防止を安価に実現することができる光学素子パッケージ及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、本発明の実施の形態について説明する。以下では、MEMS型光スイッチ、LN光変調器、又は光導波路デバイスを、本発明の光学素子パッケージの例として説明するが、本発明はかかる例に限定されず、他の種類の光学素子パッケージに対しても本発明を適用することができる。
【0059】
1.第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態は、本発明を、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた光スイッチ(以下では、「MEMS型光スイッチ」という)に適用した例である。
【0060】
図4に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るMEMS型光スイッチ110にあっては、シリコン(Si)から成る基板101の上面にMEMS素子102が形成されたMEMS部品103と、MEMS部品103が内部の底部105a上に設けられ、当該底部105aの外周部分から鉛直方向に側部105bが形成された基部105と、基部105の側部105b内に設けられた端子部107と、基部105の側部105bの上面上に設けられた金属フレーム部106と、金属フレーム部106上に設けられた板部108等から大略構成される。
【0061】
MEMS部品103の基板101は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であるシリコン(Si)から成る。
【0062】
また、基部105は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。
【0063】
セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。基部105の底部105aには、凹部201が形成されており、当該凹部201内に、詳細を後述する熱膨張緩和構造体200が収容されている。熱膨張緩和構造体200の上面に、エポキシ系樹脂等の接着剤104を介して、MEMS部品103が固着されている。
【0064】
ここで、熱膨張緩和構造体200の構造について説明する。図5は、熱膨張緩和構造体200が設けられた基部105の底部105aの部分拡大図を示す。図5にあっては、説明の便宜上、熱膨張緩和構造体200の上面設けられるエポキシ系樹脂等の接着剤104及びMEMS部品103の図示を省略している。
【0065】
図5を参照するに、基部105の底部105aには、凹部201が形成されており、当該凹部201内に、熱膨張緩和構造体200が収容されている。但し、基部105の底部105aに凹部201を形成することなく、基部105の底部105aの上面上に熱膨張緩和構造体200を設けてもよい。
【0066】
熱膨張緩和構造体200は、基部105の底部105a側から、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部210と、第1層部210に積層され、インバー材(Fe-Ni)から成る第2層部220から大略構成されている。
【0067】
第1層部210の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)は、主として鉄(Fe)、ニッケル(Ne)及びコバルト(Co)等から成る合金であり、熱膨張係数は5.0×10−6/℃である。第2層部220の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)は、主として鉄(Fe)及びニッケル(Ne)から成り、熱膨張係数は2.0×10−6/℃である。
【0068】
上述のように、熱膨張緩和構造体200が載置される基部105は、熱膨張係数が7.3×10−6/℃であるセラミックから成り、熱膨張緩和構造体200上に設けられるMEMS部品103の基板101は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であるシリコン(Si)から成る。従って、基部105の底部105aとMEMS部品103との間に設けられる熱膨張緩和構造体200は、基部105の底部105a側から段階的にMEMS部品103の熱膨張係数に近づくよう、基部105の底部105a側に第1層部210が設けられ、当該第1層部210に第2層部220が積層されて成る構造となっている。
【0069】
第1層部210と、熱膨張緩和構造体200が配設される基部105の底部105aの上面との間には、第1層部210の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(層間接着剤)225が設けられており、接着剤225を介して、熱膨張緩和構造体200と当該熱膨張緩和構造体200が配設される基部105の底部105aとが接着されている。
【0070】
また、熱膨張緩和構造体200の第1層部210と第2層部220との間には、第2層部220の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(構造体接合用接着剤)230が設けられており、接着剤230を介して、第1層部210と第2層部220とが接着されている。
【0071】
基部105の側部105b内に設けられた端子部107は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。端子部107には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子109が設けられている。端子部107のリード端子109とMEMS部品103とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング111により接続されている。
【0072】
金属フレーム部106は、コバール材(Fe-Ni-Co)から成り、かかる金属フレーム部106上に設けられた板部108も、コバール材(Fe-Ni−Co)から成り、外周にニッケル(Ni)のめっき処理を施している。
【0073】
板部108において、基板101の上面に形成されたMEMS素子102の形成領域に対応する箇所には、熱膨張係数が7.0×10−6/℃であるサファイアから成る窓部112が設けられている。
【0074】
金属フレーム部106と板部108とが互いに接している箇所(点線Aで囲んだ箇所)は、シーム溶接により固定されている。これによって、熱膨張緩和構造体200を介して基部105の底部105aに設けられたMEMS部品103を、窒素(N)雰囲気に気密保持されている。外部光は、窓部112を透過して、MEMS部品103のMEMS素子102に入射する。
【0075】
また、金属フレーム部106と端子部107との接合には、銀(Ag)がロウ付けされており、基部105と金属フレーム部106と端子部107の内周及び外周に、ニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0076】
このように、本発明の第1の実施の形態に係るMEMS型光スイッチ110においては、熱膨張緩和構造体200は、セラミックから成る基部105の底部105a側から段階的にMEMS部品103の熱膨張係数に近づくよう、基部105の底部105a側にコバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部210が設けられ、当該第1層部210にインバー材(Fe-Ni)から成る第2層部220が積層されて成る。
【0077】
即ち、基部105の底部105aとMEMS部品103との間に設けられる熱膨張緩和構造体200は、熱膨張係数が異なる材料を複数層結合し、更に、基部105の底部105a側から段階的にMEMS部品103の熱膨張係数に近づくよう積層構造が形成されている。従って、基部105の底部105aからMEMS部品103に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、MEMS型光スイッチ110を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因るMEMS部品103の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0078】
なお、本例では、熱膨張緩和構造体200は、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部210とインバー材(Fe-Ni)から成る第2層部220との2層構造としているが、基部105の底部105a側から段階的にMEMS部品103の熱膨張係数に近づく積層構造となる限り、3層以上の積層構造であってもよい。
【0079】
また、本例では、第1層部210と基部105の底部105aの上面とは、第1層部210の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤225により接着され、第1層部210と第2層部220とは、第2層部220の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤230により、接着されている。
【0080】
このような接着剤を用いることにより、基部105の底部105aからMEMS部品103に至るまでの熱膨張係数の差を小さくすることができ、よって、第1層部210と基部105の底部105aの上面とが接合している部分、及び、第1層部210と第2層部220が接合している部分における応力を緩和することができる。従って、第1層部210及び第2層部220の反りの発生を防止することができ、MEMS型光スイッチ110の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、第1層部210と基部105の底部105aの上面との接合、及び第1層部210と第2層部220との接合は、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等、高い硬化温度が要求される態様ではなく、160℃と硬化温度が低い接着剤を用いた態様によるため、接合時における膨張・収縮の割合が小さくてすみ、応力を小さくさせることができる。従って、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等を用いた態様に比し、熱歪みを緩和させることができる。
【0082】
このように、本発明の第1の実施の形態に係るMEMS型光スイッチ110においては、基部105の底部105aからMEMS部品103に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、MEMS型光スイッチ110を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因るMEMS部品103の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。よって、MEMS型光スイッチ110の信頼性及び特性を向上させることができる。
【0083】
また、基部105は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックという単一の材料から構成されるため、MEMS型光スイッチ110の製造費用を低く抑えることができる。
【0084】
次に、このような構造を有するMEMS型光スイッチ110の製造方法を説明する。
【0085】
まず、シリコン(Si)から成る半導体ウエハから周知の方法により作成したMEMS部品103と、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る基部105とを用意する。そして、基部105の底部105aに形成された凹部201に、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る板状の第1層部210を、コバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤225を介して設け、更に、第1層部210上には、インバー材(Fe-Ni)から成る板状の第2層部220を、インバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤230を介して設ける。そして、第2層部220の上面には、エポキシ系樹脂等の接着剤104を介して、MEMS部品103が設ける。この状態で、約160℃に加熱して接着剤104、225、及び230を熱硬化させる。なお、基部105の側部105b内には、端子部107が設けられている。
【0086】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部107のリード端子109とMEMS部品103とを、ワイヤボンディング111により接続する。一方、基部105の側部105bの上面上に設けられた金属フレーム部106と端子部107とを、銀(Ag)のロウ付けにより接合する。
【0087】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、窓部112を備えた板部108を、金属フレーム部106の上面に載置し、シーム溶接により金属フレーム部106と板部108とが互いに接している箇所(図4において点線Aで囲んだ箇所)を固定して、MEMS型光スイッチ110の完成となる。
【0088】
2.第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態は、本発明をLN光変調器に適用した例である。
【0089】
図6に、本発明の第2の実施の形態に係るLN光変調器の構造を示す。ここで、図6(a)は、LN光変調器の上面図であり、図6(b)は、図6(a)の線A−Aにおける断面図である。なお、図6(a)において、板部128、金属フレーム部206、及びワイヤボンディング130の図示は省略している。
【0090】
図6に示すように、LN光変調器120にあっては、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)からなるLN光変調素子121と、LN光変調素子121が内部の底部123a上に設けられ、当該底部123aの外周部分から鉛直方向に側部123bが形成された基部123と、側部123bのうち基部123の外周を構成する辺のうち長手方向に形成されたに設けられた端子部124と、側部123bのうち基部123の外周を構成する辺のうち短手方向に形成された辺に設けられ、光ファイバ125が接続されたレンズ部126が接合された窓部127と、基部123の側部123b上に設けられた金属フレーム部2200と、金属フレーム部206の上面に設けられた板部128等から大略構成される。
【0091】
LN光変調素子21は、熱膨張係数が17.3×10−6/℃であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)から成る。
【0092】
また、基部123は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。基部123の底部123aには、凹部260が形成されており、当該凹部260内に、詳細を後述する熱膨張緩和構造体255が収容されている。熱膨張緩和構造体255の上面に、エポキシ系樹脂等の接着剤122を介して、LN光変調素子121が固着されている。
【0093】
ここで、熱膨張緩和構造体255の構造について説明する。図7は、熱膨張緩和構造体255が設けられた基部123の底部123aの部分拡大図を示す。図7にあっては、説明の便宜上、熱膨張緩和構造体255の上面設けられるエポキシ系樹脂等の接着剤122及びLN光変調素子121の図示を省略している。
【0094】
図7を参照するに、基部123の底部123aには、凹部260が形成されており、当該凹部260内に、熱膨張緩和構造体255が収容されている。但し、基部123の底部123aに凹部260を形成することなく、基部123の底部123aの上面上に熱膨張緩和構造体255を設けてもよい。
【0095】
熱膨張緩和構造体255は、基部123の底部123a側から、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金から成る第1層部265と、第1層部265に積層され、ステンレス304から成る第2層部270から大略構成されている。
【0096】
第1層部265の構成材料である鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金の熱膨張係数は12.1×10−6/℃である。第2層部270の構成材料であるステンレス304の熱膨張係数は、LN光変調素子21の構成材料であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)の熱膨張係数と同じ17.3×10−6/℃である。
【0097】
上述のように、熱膨張緩和構造体255が載置される基部123は、熱膨張係数が7.3×10−6/℃であるセラミックから成り、熱膨張緩和構造体255上に設けられるLN光変調素子121は、熱膨張係数が17.3×10−6/℃であるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)から成る。従って、基部123の底部123aとLN光変調素子121との間に設けられる熱膨張緩和構造体255は、基部123の底部123a側から段階的にLN光変調素子121の熱膨張係数に近づくよう、基部123の底部123a側に第1層部265が設けられ、当該第1層部265に第2層部270が積層されて成る構造となっている。
【0098】
第1層部265と、熱膨張緩和構造体255が配設される基部123の底部123aの上面との間には、第1層部265の構成材料である鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(構造体接合用接着剤)275が設けられており、接着剤275を介して、熱膨張緩和構造体255と当該熱膨張緩和構造体255が配設される基部123の底部123aとが接着されている。
【0099】
また、熱膨張緩和構造体255の第1層部265と第2層部270との間には、第2層部270の構成材料であるステンレス304の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(層間接着剤)280が設けられており、接着剤280を介して、第1層部265と第2層部270とが接着されている。
【0100】
基部123の側部123bのうち基部123の外周を構成する辺のうち長手方向に形成されたに設けられた端子部124は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。端子部124には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子129が設けられている。端子部124のリード端子129とLN光変調素子121とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング130により接続されている。
【0101】
基部123の外周を構成する辺のうち短手方向に形成された2つの辺に設けられた窓部127は、例えば熱膨張係数が7.0×10−6/℃であるサファイアから成る。窓部127には、光ファイバ125が接続されたレンズ部126がレーザ溶接で固定されている。外部光は、窓部127を透過して、LN光変調素子121に入射する。
【0102】
板部128は、主として鉄(Fe)、ニッケル(Ne)及びコバルト(Co)等から成る合金であるコバール材(Fe-Ni−Co)から成り、外周にニッケル(Ni)のめっき処理を施している。
【0103】
基部123の外周部分上に設けられ、シーム溶接により固定されている。これにより、基部123の内部に設けられたLN光変調素子121は、窒素(N)雰囲気に気密保持されている。
【0104】
なお、金属フレーム部206と端子部124との接合には、銀(Ag)がロウ付けされており、基部123と金属フレーム部206と端子部124の内周及び外周に、ニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0105】
このように、本発明の第2の実施の形態に係るLN光変調器120においては、熱膨張緩和構造体255は、セラミックから成る基部123の底部123a側から段階的にLN光変調素子121の熱膨張係数に近づくよう、基部123の底部123a側に鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金から成る第1層部265が設けられ、当該第1層部265にステンレス304から成る第2層部270が積層されて成る。
【0106】
即ち、基部123の底部123aとLN光変調素子121との間に設けられる熱膨張緩和構造体255は、熱膨張係数が異なる材料を複数層結合し、更に、基部123の底部123a側から段階的にLN光変調素子121の熱膨張係数に近づくよう積層構造が形成されている。従って、基部123の底部123aからLN光変調素子121に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、LN光変調器120を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因るLN光変調素子121の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0107】
なお、本例では、熱膨張緩和構造体255は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金から成る第1層部265とステンレス304から成る第2層部270との2層構造としているが、基部123の底部123a側から段階的にLN光変調素子121の熱膨張係数に近づく積層構造となる限り、3層以上の積層構造であってもよい。
【0108】
また、本例では、第1層部265と基部123の底部123aの上面とは、第1層部265の構成材料である鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤275により接着され、第1層部265と第2層部270とは、第2層部270の構成材料であるステンレス304の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤280により、接着されている。
【0109】
このような接着剤を用いることにより、基部123の底部123aからLN光変調素子121に至るまでの熱膨張係数の差を小さくすることができ、よって、第1層部265と基部123の底部123aの上面とが接合している部分、及び、第1層部265と第2層部270が接合している部分における応力を緩和することができる。従って、第1層部265及び第2層部270の反りの発生を防止することができ、LN光変調器120の信頼性を向上させることができる。
【0110】
また、第1層部265と基部123の底部123aの上面との接合、及び第1層部265と第2層部270との接合は、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等、高い硬化温度が要求される態様ではなく、160℃と硬化温度が低い接着剤を用いた態様によるため、接合時における膨張・収縮の割合が小さくてすみ、応力を小さくさせることができる。従って、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等を用いた態様に比し、熱歪みを緩和させることができる。
【0111】
このように、本発明の第2の実施の形態に係るLN光変調器120においては、基部123の底部123aからLN光変調素子121に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、LN光変調器120を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因るLN光変調素子121の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。よって、LN光変調器120の信頼性及び特性を向上させることができる。
【0112】
また、基部123は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックという単一の材料から構成されるため、LN光変調器120の製造費用を低く抑えることができる。
【0113】
次に、このような構造を有するLN光変調器120の製造方法を説明する。
【0114】
まず、ニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)から成るLN光変調素子121と、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る基部123とを用意する。そして、基部123の底部123aに形成された凹部260に、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金から成る板状の第1層部265を、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)の合金の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤275を介して設け、更に、第1層部265上には、ステンレス304から成る板状の第2層部270を、ステンレス304の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤280を介して設ける。そして、第2層部270の上面には、エポキシ系樹脂等の接着剤122を介して、LN光変調素子121が設ける。この状態で、約160℃に加熱して接着剤122、275、及び280を熱硬化させる。なお、基部123の側部123bのうち基部123の外周を構成する辺のうち長手方向に形成された箇所には端子部124が設けられている。
【0115】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部124のリード端子129とLN光変調素子121の電極部132とを、ワイヤボンディング130により接続する。一方、基部123の側部123bの上面上に設けられた金属フレーム部206と端子部124とを、銀(Ag)のロウ付けにより接合する。
【0116】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、板部128を、金属フレーム206の上面に載置し、シーム溶接により板部128と金属フレーム206とが互いに接している箇所を固定する。そして、LN光変調素子121に対して、レンズ126及び光ファイバ125の光軸を調整し、レーザ溶接により、レンズ126及び光ファイバ125を固定して、LN光変調器120の完成となる。
【0117】
3.第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態は、本発明を光導波路デバイスに適用した例である。
【0118】
図8に、本発明の第3の実施の形態に係る光導波路デバイスの構造を示す。ここで、図8(a)は、光導波路デバイスの上面図であり、図8(b)は、図8(a)の線A−Aにおける断面図である。なお、図8(a)において、板部136及び金属フレーム部305の図示は省略している。
【0119】
図8に示すように、光導波路デバイス130にあっては、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であるシリコン(Si)から成る光導波路部131と、光導波路部131が内部の底部133a上に設けられ、当該底部133aの外周部分から鉛直方向に側部133bが形成された基部133と、基部133の側部133b内に設けられた端子部134と、基部133の側部133bの上面上に設けられた金属フレーム部305と、金属フレーム部305上に設けられた板部136等から大略構成される。
【0120】
また、基部133は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。セラミックは、熱膨張係数が7.3×10−6/℃である。基部133の底部133aには、凹部301が形成されており、当該凹部301内に、詳細を後述する熱膨張緩和構造体300が収容されている。熱膨張緩和構造体300の上面に、エポキシ系樹脂等の接着剤132を介して、光導波路部131が固着されている。
【0121】
ここで、熱膨張緩和構造体300の構造について説明する。図9は、熱膨張緩和構造体300が設けられた基部133の底部133aの部分拡大図を示す。図9にあっては、説明の便宜上、熱膨張緩和構造体300の上面設けられるエポキシ系樹脂等の接着剤132及び光導波路部131の図示を省略している。
【0122】
図9を参照するに、基部133の底部133aには、凹部301が形成されており、当該凹部301内に、熱膨張緩和構造体300が収容されている。但し、基部133の底部133aに凹部301を形成することなく、基部133の底部133aの上面上に熱膨張緩和構造体300を設けてもよい。
【0123】
熱膨張緩和構造体300は、基部133の底部133a側から、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部310と、第1層部310に積層され、インバー材(Fe-Ni)から成る第2層部320から大略構成されている。
【0124】
第1層部310の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)は、主として鉄(Fe)、ニッケル(Ne)及びコバルト(Co)等から成る合金であり、熱膨張係数は5.0×10−6/℃である。第2層部320の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)は、主として鉄(Fe)及びニッケル(Ne)から成り、熱膨張係数は2.0×10−6/℃である。
【0125】
上述のように、熱膨張緩和構造体300が載置される基部133は、熱膨張係数が7.3×10−6/℃であるセラミックから成り、熱膨張緩和構造体300上に設けられる光導波路部131は、熱膨張係数が2.6×10−6/℃であるシリコン(Si)から成る。従って、基部133の底部133aと光導波路部131との間に設けられる熱膨張緩和構造体300は、基部133の底部133a側から段階的に光導波路部131の熱膨張係数に近づくよう、基部133の底部133a側に第1層部310が設けられ、当該第1層部310に第2層部320が積層されて成る構造となっている。
【0126】
第1層部310と、熱膨張緩和構造体300が配設される基部133の底部133aの上面との間には、第1層部310の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(構造体接合用接着剤)325が設けられており、接着剤325を介して、熱膨張緩和構造体300と当該熱膨張緩和構造体300が配設される基部133の底部133aとが接着されている。
【0127】
また、熱膨張緩和構造体300の第1層部310と第2層部320との間には、第2層部320の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤(層間接着剤)330が設けられており、接着剤330を介して、第1層部310と第2層部320とが接着されている。
【0128】
基部133の側部133b内に設けられた端子部134は、例えば、絶縁材である酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る。端子部134には、図示を省略する外部電気回路に接続されたリード端子137が設けられている。端子部134のリード端子137と光導波路部131とは、金(Au)等から成るワイヤボンディング138により接続されている。
【0129】
金属フレーム部305は、コバール材(Fe-Ni-Co)から成り、かかる金属フレーム部305上に設けられた板部136も、コバール材(Fe-Ni−Co)から成り、外周に、ニッケル(Ni)のめっき処理を施している。
【0130】
金属フレーム部305と板部136とが互いに接している箇所(点線Aで囲んだ箇所)は、シーム溶接により固定されている。これによって、光導波路部131を、窒素(N)雰囲気に気密保持されている。なお、光導波路部131の長手方向の両端面は、多芯光ファイバ140に接合されており、光信号が、光導波路部131に導かれる。
【0131】
また、金属フレーム部301と端子部134との接合には、銀(Ag)がロウ付けされており、基部133と金属フレーム部301と端子部134の内周及び外周に、ニッケル(Ni)めっき及び金(Au)めっきのめっき処理を施している。
【0132】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る光導波路デバイス130においては、熱膨張緩和構造体300は、セラミックから成る基部133の底部133a側から段階的に光導波路部131の熱膨張係数に近づくよう、基部133の底部133a側にコバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部310が設けられ、当該第1層部310にインバー材(Fe-Ni)から成る第2層部320が積層されて成る。
【0133】
即ち、基部133の底部133aと光導波路部131との間に設けられる熱膨張緩和構造体300は、熱膨張係数が異なる材料を複数層結合し、更に、基部133の底部133a側から段階的に光導波路部131の熱膨張係数に近づくよう積層構造が形成されている。従って、基部133の底部133aから光導波路部131に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、光導波路デバイス130を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因る光導波路部131の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0134】
なお、本例では、熱膨張緩和構造体300は、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る第1層部310とインバー材(Fe-Ni)から成る第2層部320との2層構造としているが、基部133の底部133a側から段階的に光導波路部131の熱膨張係数に近づく積層構造となる限り、3層以上の積層構造であってもよい。
【0135】
また、本例では、第1層部310と基部133の底部133aの上面とは、第1層部310の構成材料であるコバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤325により接着され、第1層部310と第2層部320とは、第2層部320の構成材料であるインバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤330により、接着されている。
【0136】
このような接着剤を用いることにより、基部133の底部133aから光導波路部131に至るまでの熱膨張係数の差を小さくすることができ、よって、第1層部310と基部133の底部133aの上面とが接合している部分、及び、第1層部310と第2層部320が接合している部分における応力を緩和することができる。従って、第1層部310及び第2層部320の反りの発生を防止することができ、光導波路デバイス130の信頼性を向上させることができる。
【0137】
また、第1層部310と基部133の底部133aの上面との接合、及び第1層部310と第2層部320との接合は、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等、高い硬化温度が要求される態様ではなく、160℃と硬化温度が低い接着剤を用いた態様によるため、接合時における膨張・収縮の割合が小さくてすみ、応力を小さくさせることができる。従って、Ag(銀)のロウ付け又は金−錫(Au−Sn)の半田付け等を用いた態様に比し、熱歪みを緩和させることができる。
【0138】
このように、本発明の第3の実施の形態に係る光導波路デバイス130においては、基部133の底部133aから光導波路部131に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、光導波路デバイス130を構成する部材間の熱膨張係数の相違に因る光導波路部131の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。よって、光導波路デバイス130の信頼性及び特性を向上させることができる。
【0139】
また、基部133は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックという単一の材料から構成されるため、光導波路デバイス130の製造費用を低く抑えることができる。
【0140】
かかる構造を有する光導波路デバイス130は、以下の方法により形成される。
【0141】
まず、シリコン(Si)から成る光導波路部131と、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックから成る基部133とを用意する。そして、基部133の底部133aに形成された凹部301に、コバール材(Fe-Ni-Co)から成る板状の第1層部310を、コバール材(Fe-Ni−Co)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤325を介して設け、更に、第1層部310上には、インバー材(Fe-Ni)から成る板状の第2層部320を、インバー材(Fe-Ni)の粉末を混入したエポキシ系樹脂の接着剤330を介して設ける。そして、第2層部320の上面には、エポキシ系樹脂等の接着剤132を介して、光導波路部131が設ける。この状態で、約160℃に加熱して接着剤132、325、及び330を熱硬化させる。なお、基部133の側部133b内には、端子部107が設けられている。
【0142】
しかる後、ワイヤボンディング法により、端子部134のリード端子137と光導波路部131とを、ワイヤボンディング138により接続する。一方、基部133の側部133bの上面上に設けられた金属フレーム部305と端子部134とを、銀(Ag)のロウ付けにより接合する。
【0143】
次いで、窒素(N)雰囲気の下、板部136を金属フレーム305の上面に載置し、シーム溶接により板部136と金属フレーム305とが互いに接している箇所(図8において点線Aで囲んだ箇所)を固定する。そして、光導波路部131に対して、光ファイバ140の光軸を調整し、図示を省略する接着剤で固定して、光導波路デバイス130の完成となる。
【0144】
このように、本発明の実施の形態によれば、MEMS部品、LN光変調素子又は光導波路部等の光学素子が設けられる基部の底部と前記光学素子との間に配設される熱膨張緩和構造体は、熱膨張係数が異なる材料を複数層結合し、更に、基部の底部側から段階的に前記光学素子の熱膨張係数に近づくよう積層構造が形成されている。従って、基部の底部から前記光学素子に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、前記光学素子の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0145】
また、基部は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックという単一の材料から構成されるため、MEMS型光スイッチ、LN光変調器、又は光導波路デバイス等の光学素子パッケージの製造費用を低く抑えることができる。
【0146】
更に、上述のように、各実施の形態における基部はセラミックから構成され、当該基部の底部に形成された熱膨張緩和構造体上に設けられるMEMS部品は当該セラミックよりも熱膨張係数が小さいシリコンから構成され、LN光変調素子は当該セラミックよりも熱膨張係数が大きいニオブ酸リチウム(LN:LiNbO)から構成され、更に、光導波路部は当該セラミックよりも熱膨張係数が小さいシリコンから構成されている。
【0147】
つまり、本発明は、基部の熱膨張係数が、基部に設けられる光学素子の熱膨張係数よりも大きい場合及び小さい場合のいずれの場合にも本発明を適用することができる。即ち、基部の熱膨張係数が、基部に設けられる光学素子の熱膨張係数よりも大きい場合には、基部側から光学素子に向けて熱膨張係数が段階的に小さくなる熱膨張緩和構造体を基部と光学素子との間に設ければよく、基部の熱膨張係数が、基部に設けられる光学素子の熱膨張係数よりも小さい場合には、基部側から光学素子に向けて熱膨張係数が段階的に大きくなる熱膨張緩和構造体を基部と光学素子との間に設ければよい。これにより、基部の底部から光学素子に至るまでの熱膨張係数の相違に基づく応力歪みを段階的に緩和することができ、光学素子の反りやクラック等の不具合の発生を抑制することができる。
【0148】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0149】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージであって、
前記基部と前記光学素子との間に、熱膨張係数が異なる材料の層が複数接合されて成る熱膨張緩和構造体が配設されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記2)
付記1記載の光学素子パッケージであって、
前記基部は、セラミックを含む材料から構成されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記3)
付記1又は2記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記層の熱膨張係数は、前記基部側から前記光学素子に向けて小さくなることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記4)
付記3記載の光学素子パッケージであって、
前記光学素子は、MEMS部品であることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記5)
付記3記載の光学素子パッケージであって、
前記光学素子は、光導波路部であることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記6)
付記1又は2記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記層の熱膨張係数は、前記基部側から前記光学素子に向けて大きくなることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記7)
付記6記載の光学素子パッケージであって、
前記光学素子は、LN光変調素子であることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記8)
付記1乃至7いずれか一項記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記複数の層は、層間接着剤により互いに接合されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記9)
付記8記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記層のうち、一の層と、前記一の層上に設けられた他の層とを接合する前記層間接着剤は、前記一の層を構成する材料を含むことを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記10)
付記8又は9記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体の最下層と前記基部とは、構造体接合用接着剤により接合されており、
前記構造体接合用接着剤は、前記熱膨張緩和構造体の前記最下層を構成する材料を含むことを特徴とする光学素子パッケージ。
(付記11)
基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージの製造方法であって、
熱膨張係数が異なる材料から成る板状部材を、接着剤を介して積層することにより、熱膨張緩和構造体を前記基部上に形成し、
前記熱膨張緩和構造体上に、前記光学素子を配設することを特徴とする光学素子パッケージの製造方法。
(付記12)
付記11記載の光学素子パッケージの製造方法であって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記複数の層を、層間接着剤により互いに接合することを特徴とする光学素子パッケージの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】従来のMEMS型光スイッチの構造を示す断面図である。
【図2】従来のLN光変調器の構造を示す図である。
【図3】従来の光導波路デバイスの構造を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るMEMS型光スイッチの構造を示す断面図である。
【図5】図4に示すMEMS型光スイッチの熱膨張緩和構造体を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るLN光変調器の構造を示す図である。
【図7】図6に示すLN光変調器の熱膨張緩和構造体を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る光導波路デバイスの構造を示す図である。
【図9】図8に示す光導波路デバイスの熱膨張緩和構造体を示す図である。
【符号の説明】
【0151】
105 基部
103 MEMS部品
110 MEMS型光スイッチ
120 光導波路デバイス
121 光導波路部
130 LN光変調器
131 LN光変調素子
200、255、300 熱膨張緩和構造体
210、265 第1層部
220、270 第2層部
225、230、275、280、325、330 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージであって、
前記基部と前記光学素子との間に、熱膨張係数が異なる材料の層が複数接合されて成る熱膨張緩和構造体が配設されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
【請求項2】
請求項1記載の光学素子パッケージであって、
前記基部は、セラミックを含む材料から構成されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記複数の層は、層間接着剤により互いに接合されていることを特徴とする光学素子パッケージ。
【請求項4】
請求項3記載の光学素子パッケージであって、
前記熱膨張緩和構造体を構成する前記層のうち、一の層と、前記一の層上に設けられた他の層とを接合する前記層間接着剤は、前記一の層を構成する材料を含むことを特徴とする光学素子パッケージ。
【請求項5】
基部の上方に光学素子が設けられた光学素子パッケージの製造方法であって、
熱膨張係数が異なる材料から成る板状部材を、接着剤を介して積層することにより、熱膨張緩和構造体を前記基部上に形成し、
前記熱膨張緩和構造体上に、前記光学素子を配設することを特徴とする光学素子パッケージの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69629(P2009−69629A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239554(P2007−239554)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】