説明

光学走査装置

光エネルギービームを通して送出するようになっている光ファイバーの束と、光ファイバーの束に結合されており、走査動作中に光ファイバーの束を曲げるようになっている、アクチュエータと、を備えている光学走査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、光学走査装置に関するものであり、特に、曲げることができ且つ動かすことができる光ファイバー束の移動によって走査する光学走査装置に関するものであり、特に、皮膚治療や脱毛にとって有用であるが、それらに限るものではない。
【背景技術】
【0002】
レーザー装置は、長い間、皮膚切除及び/又は体毛除去、及び、皮膚科学分野におけるその他の多くの用途に、用いられてきた。例えば、皮膚科学的治療が体毛除去である場合には、毛嚢球を加熱して破壊するとことが望まれる。
【0003】
そのようなレーザー装置の多くの例のうちの一つが、アルトシュラー(Altshuler)他の米国特許6,511,475である。前記米国特許は、例えば、不要な体毛、入れ墨、ポートワイン母斑、クモ状静脈、又は、その他の血管病変などの、除去のような、皮膚科学治療のための、方法や装置について、記述されている。その装置は、3つのセクションを持ったハンドピースを含んでいる。3つのセクションとは、光学チャンネル(すなわち導波管)と、導波管の前に治療範囲を通過する誘導セクションと、導波管の後に治療範囲を通過する後セクションと、である。光学的放射は、導波管(又はファイバー束)、又は、その他の適切な光伝送コンポーネントに利用される。レーザーダイオード又はその他の適切なコンポーネントは、導波管と接触していてもよい。導波管は、レンズ、又は、その他の適切な集束又は非集束の光伝送コンポーネントと、交換できる。(導波管、レンズ、又は、その他の適切な集束又は非集束の光伝送コンポーネントは、以下では、時々、まとめて“光学チャンネル”として呼ばれる。)光伝送コンポーネントは、利用される放射源から、適切な光伝送路を通して放射線を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体毛除去装置の作動は、連続波(CW)放射の使用、治療容積の余熱、予冷、治療中の冷却、及び治療容積上の表皮の治療後冷却、を含み、且つ、散乱を減らして光学的放射の送出を改善するための様々なビーム集束技術、を含んでいる。
【0005】
光ファイバー束は、固定された状態であり、走査装置の一部ではない。
【0006】
グレース(Grace)の米国特許5,400,428は、光ファイバーの配列を横切ってエネルギーを相対的に移動させるための、方法及び装置について、記述している。エネルギーは、ファイバー配列を横切って走査される。ガルバノメータースキャナーに取り付けられた誘導体反射鏡は、光ファイバー配列の別の部分に照射するために、連続パルスを生じさせるよう移動させられる。結果的に、各々のファイバーは、パルス(又はCW相当物)毎のエネルギーを減らしながら、十分な流束を有する放射線を受ける。ファイバー配列を横切ってエネルギーを移動させるのではなく、ファイバー配列自体が移動させられてもよい。移動の一つの可能な方法は、圧電スタックの使用である。
【0007】
グレース(Grace)がファイバー配列自体を移動させることを意図しているが、ファイバー配列が固定スティックの束であるかのように移動することに、注目することが重要である。言い換えれば、ファイバーは、個々のファイバー又はファイバー群が曲がることなく、移動する。
【0008】
本発明は、更に以下に詳細に記述されるように、新しい光学走査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、光エネルギービームを通して送出するようになっている光ファイバーの束と、光ファイバーの束に結合されており、走査動作中に光ファイバーの束を曲げるようになっている、アクチュエータと、を備えた光学走査装置である。
【0010】
光学走査装置は、一つ以上の下記特徴を含むことができる。例えば、固定部材は、光ファイバーの束の第一部分に取り付けられる。また、アクチュエータは、光ファイバーの束の第二部分に取り付けられており、アクチュエータは、固定部材によって光ファイバーの束の第一部分が固定された状態に保たれているのに対して、走査動作中に光ファイバーの束の第二部分を曲げる。アクチュエータは、ステップモーター、発振器、及び/又は、ソレノイド、又は、それらの幾つかの組合せを含む。センサー及びコントローラーは、アクチュエータと作動的に連絡しており、コントローラーは、センサーによって感知された情報に従って、アクチュエータの作動を制御する。ビーム調節装置は、光エネルギービームを調節するために光ファイバーの束に対して配置される。光ファイバーの束は、皮膚科学的手術を行うための十分な光エネルギー源と接続できる。
【0011】
光エネルギー源は、コヒーラント又は非コヒーラントの光源を備えてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、図面と共に述べられている下記の詳細な説明から、より十分に理解される。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に従って構成され且つ作動する、光学走査装置10を示している。
【0014】
光走査装置10は、皮膚科学的手術を行うための十分なエネルギーを出力する能力がある光エネルギー源14に接続された、光ファイバー12の束を備えている。例えば、限定するものではないが、光エネルギー源14は、レーザーダイオードのようなレーザー源に結合されたファイバーを、含んでもよく、そのファイバーの作動は、コントローラー16によって制御できる。レーザーダイオードは、調節可能であってもよく、必要に応じて、ドライバー及びコリメータを備えてもよい。光エネルギー源14は、コヒーラント光に限定されず、非コヒーラント光源(例えばフラッシュランプ)を備えてもよい。光ファイバー12の束は、限定するものではないが、単一モード又はマルチモードのファイバーを含んでもよく、そのファイバーは、ドープ(例えば、希土類ドーピング)されていてもされていなくてもよい。
【0015】
光ファイバー12の束は、源14から発生している光エネルギービーム18を送る。限定されるものではないが、ミラーやレンズのようなビーム調節装置20は、光エネルギービーム18を調節するために、光ファイバー12の束に対して配置される。
【0016】
アクチュエータ22は、光ファイバー12の束に結合されており、走査動作中に光ファイバー12の束を曲げる。非限定的に示された実施形態において、固定部材24は、光ファイバー12の束の第一部分26に取り付けられており、アクチュエータ22は、光ファイバー12の束の第二部分28に取り付けられている。アクチュエータ22は、光ファイバー12の束の第一部分26が固定部材24によって固定された状態に保たれているのに対して、走査動作中に光ファイバー12の束の第二部分28を曲げる。固定部材24は、限定するものではないが、縛り付け要素、機械的留め具などでもよい。アクチュエータ22は、限定するものではいが、スッテプモーター、発信器、及び/又は、ソレノイドでもよい。
【0017】
コントローラー30は、アクチュエータ22と作動的に連絡して設けられ、閉鎖制御ループにおいてセンサー32によって感知された情報と連携してアクチュエータ22の動作を制御する。例えば、センサー32は、治療されている組織の温度を感知する温度センサー(例えば、サーモカップル又はサーミスタ)でもよい。その温度は、治療部位に送られているエネルギーを増加させたり減少させたりするのに使用される。また、コントローラー30は、タイマーと共に作動して、振動及び走査の継続時間を制御する。(コントローラー16は、コントローラー30の機能性を提供し、余分なコントローラーの必要性を取り除く。また、コントローラーは、手術の安全性も確保する。)
【0018】
光学走査装置10は、限定されるもではないが、体毛除去のような皮膚科学的手術を行うために用いられる。例えば、光学エネルギー源14は、少なくとも20J/cmのエネルギー束を送出することが可能である。そのエネルギー束は、体毛除去のために十分な量であると考えられる。光エネルギーは、治療範囲に送出されるエネルギー束を調節するために、(コントローラーによって)調節できる。エネルギー束は、(光学ビームの)出力と時間分の積に等しい。時間分は、走査速度の関数である。したがって、(例えば、アクチュエータ22やコントローラー16によって)、走査速度を変えることによって、エネルギー束を変えて、所望の治療にとって最適なエネルギー束に到達することが可能である。
【0019】
明確にするために個々の実施形態との関連で記載されている本発明の様々な特徴は、単一の実施形態において、組み合わせて提供できる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態との関連で記載されている本発明の様々な特徴は、別々に、又は、いくつかの適切なサブコンビネーションで、供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に従って構成され且つ作動する光学走査装置の簡略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学走査装置であって、
光エネルギービームを通して送出するようになっている光ファイバーの束と、
光ファイバーの上記束に結合されており、走査動作中に光ファイバーの上記束を曲げるようになっている、アクチュエータと、
を備えていることを特徴とする光学走査装置。
【請求項2】
固定部材が、光ファイバーの上記束の第一部分に取り付けられており、
上記アクチュエータが、光ファイバーの上記束の第二部分に取り付けられており、上記固定部材によって光ファイバーの上記束の第一部分が固定された状態に保たれているのに対して、走査動作中に光ファイバーの上記束の第二部分を曲げるようになっている、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項3】
上記アクチュエータが、スッテプモーター、発振器、及び、ソレノイドの、少なくとも一つを備えている、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項4】
上記アクチュエータと作動的に連絡しているセンサー及びコントローラーを、更に備えており、該コントローラーは、上記センサーによって感知された情報に従って上記アクチュエータの作動を制御する、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項5】
光エネルギービームを調節するために、光ファイバーの上記束に対して配置されたビーム調節装置を、更に備えている、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項6】
上記ビーム調節装置は、ミラー及びレンズの少なくとも一つを備えている、請求項5記載の光学走査装置。
【請求項7】
光ファイバーの上記束が、皮膚科学的手術を行うための十分な光エネルギー源と接続されている、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項8】
上記皮膚科学的手術が、体毛除去を含んでいる、請求項7記載の光学走査装置。
【請求項9】
上記光エネルギー源が、少なくとも20J/cmのエネルギー束を送出することができる、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項10】
上記光エネルギー源が、コヒーラント光源を含んでいる、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項11】
上記光エネルギー源が、非コヒーラント光源を含んでいる、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項12】
上記アクチュエータが、上記走査動作の走査速度を変えることによって、光ファイバーの上記束によって送出されるエネルギー束を変えるようになっている、請求項1記載の光学走査装置。
【請求項13】
光学走査装置であって、
光エネルギービームを通して送出するようになっており、体毛除去を行うための十分な光エネルギー源と接続されており、少なくとも20J/cmのエネルギー束を送出することが可能である、光ファイバーの束と、
光ファイバーの上記束の第一部分に取り付けられた固定部材と、
光ファイバーの上記束の第二部分に取り付けられており、上記固定部材によって光ファイバーの上記束の第一部分が固定された状態に保たれているのに対して、走査動作中に光ファイバーの上記束の第二部分を曲げるようになっている、アクチュエータと、
上記アクチュエータと作動的に連絡しているセンサー及びコントローラーと、
光エネルギービームを調節するために、光ファイバーの上記束に対して配置されたビーム調節装置と、を備えており、
上記コントローラーは、上記センサーによって感知された情報に従って上記アクチュエータの作動を制御すること、を特徴とする光学走査装置。

【図1】
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【公表番号】特表2008−508926(P2008−508926A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524463(P2007−524463)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000835
【国際公開番号】WO2006/013567
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504359488)シネロン メディカル リミテッド (25)
【Fターム(参考)】