説明

光学部品

【課題】クラッドモード光による影響を低減することができる光学部品を提供する。
【解決手段】光学部品7は、増幅用光ファイバ12と、増幅用光ファイバ12に光学的に接続された光ファイバ15と、貫通孔に裸ファイバ部12b,15bがそれぞれ挿入されたガラス管25,26と、を備えている。ガラス管25,26の光屈折率及び光ファイバ12,15のクラッド21,23の光屈折率は、互いに略等しくなっており、且つ、ガラス管25,26の他端部25b,26bにおいて貫通孔の内周面29,32がクラッド21,23に融着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1光ファイバと当該第1光ファイバに光学的に接続された第2光ファイバとを含んで構成される光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学部品として、被覆層が除去された裸ファイバ部を端末部に有する光ファイバの端末装置において裸ファイバ部に接触囲繞する光漏洩部材を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような光学部品では、加工部位からの戻り光を光漏洩部材で漏洩させ、当該戻り光による光ファイバ被覆層の焼損防止が図られている。
【特許文献1】特開2001−066483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、第1光ファイバと当該第1光ファイバに光学的に接続された第2光ファイバとを含んで構成される光学部品が知られている。このような光学部品では、以下の問題がある。すなわち、第1光ファイバから第2光ファイバへの光伝送の際に、第1及び第2光ファイバの接続部にて散乱光が生じ、当該散乱光がクラッド内を伝播しながら増幅するいわゆるクラッドモード光が発生する。このクラッドモード光は、例えば金属加工を目的としたファイバレーザ装置での光伝送のように伝送される光の出力が高出力であると、数W程度からそれ以上の大きな出力のものになる。そのため、クラッドモード光により、ファイバ被覆材が焼損したり接続部の前段又は後段の他の光学部品が損傷したりする問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、クラッドモード光による影響を低減することができる光学部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る光学部品は、第1光ファイバと、第1光ファイバに光学的に接続された第2光ファイバと、貫通孔を有し当該貫通孔に第1及び第2光ファイバが挿入されたガラス体と、を備え、ガラス体の光屈折率及び第1及び第2光ファイバのクラッドの光屈折率は、互いに略等しく、ガラス体の貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、第1及び第2光ファイバのクラッドに融着していることを特徴とする。
【0006】
この光学部品では、ガラス体の光屈折率及び第1及び第2光ファイバのクラッドの光屈折率が互いに略等しく、且つ、ガラス体の貫通孔における内壁面の少なくとも一部が第1及び第2光ファイバのクラッドに融着している。これにより、第1及び第2光ファイバのクラッド内を伝播する散乱光(クラッドモード光)は、内壁面と第1及び第2光ファイバのクラッドとが互いに融着している部分を介してガラス体へと積極的に伝播され、当該ガラス体を通じて外部へ放射される。従って、クラッドモード光による影響を低減することが可能となる。
【0007】
また、貫通孔の長手方向における両端部において内壁面と第1及び第2の光ファイバのクラッドとの間には、間隙がそれぞれ設けられていることが好ましい。ガラス体に伝播されたクラッドモード光にあっては、ガラス体において第1及び第2光ファイバが接続された接続部から離れる向きで貫通孔の長手方向に沿って伝播し、ガラス体の長手方向における両端から外部へ放射され易い。よって、上記のように、貫通孔の長手方向における両端部において内壁面と第1及び第2の光ファイバのクラッドとの間に間隙がそれぞれ設けられることにより、クラッドから離れた位置で、クラッドモード光を外部へ放射させることができる。
【0008】
また、内壁面は、第1及び第2光ファイバのクラッドにおいて第1及び第2光ファイバが接続された接続部近傍に融着していないことが好ましい。このように、ガラス体の内壁面が第1及び第2光ファイバの接続部近傍のクラッドに融着しないため、例えばガラス体を加熱してその内壁面をクラッドに融着する場合に、接続部までも加熱してしまうことを抑止することができる。
【0009】
ガラス体は、第1貫通孔を有し当該第1貫通孔に第1光ファイバが挿入された第1ガラス体と、第2貫通孔を有し当該第2貫通孔に第2光ファイバが挿入された第2ガラス体と、を備えたものであって、第1ガラス体及び第2ガラス体は、接続位置を挟んで互いに離れて配置され、第1貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、第1光ファイバのクラッドに融着しており、第2貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、第2光ファイバのクラッドに融着していることが好ましい。このように、第1ガラス体及び第2ガラス体は、接続位置を挟んで互いに離れて配置されるため、例えばガラス体を加熱してその内壁面をクラッドに融着する場合に、接続部までも加熱してしまうことを一層抑止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クラッドモード光による影響を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部品を含む2段増幅MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)型のファイバレーザ装置の構成図である。図1に示すように、このファイバレーザ装置1は、光増幅器2、種光源3、及び光アイソレータ4を備え、種光源3から出力されて光アイソレータ4を経た種光を光増幅器2にて光増幅し、この増幅した光を出力するものである。
【0013】
光増幅器2は、種光が入射される初段光増幅器5と、増幅された光をレーザ出力として出力する終段光増幅器6と、初段光増幅器5と終段光増幅器6とを光学的に接続する光学部品7と、を有している。
【0014】
初段光増幅器5は、6個の励起光源8〜8、6本の光ファイバ9〜9、光ファイバ10、光コンバイナ11、及び増幅用光ファイバ12により構成されている。光ファイバ9の一端は励起光源8の光出射端に接続されており、光ファイバ9の他端は光コンバイナ11の光入射端に接続されている。なお、nは1以上6以下の任意の整数である。光ファイバ10の一端は光アイソレータ4の光出射端に接続されており、光ファイバ10の他端は光コンバイナ11の光入射端に接続されている。また、増幅用光ファイバ12の一端は光コンバイナ11の光出射端に接続されており、増幅用光ファイバ12の他端は光学部品7に接続されている。
【0015】
他方、終段光増幅器6は、上記の初段光増幅器5と同様に、6個の励起光源13〜13、6本の光ファイバ14〜14、光ファイバ15、光コンバイナ16、及び増幅用光ファイバ17により構成されている。光ファイバ14の一端は励起光源13の光出射端に接続されており、光ファイバ14の他端は光コンバイナ16の光入射端に接続されている。光ファイバ15の一端は光学部品7の光出射端に接続されており、光ファイバ15の他端は光コンバイナ16の光入射端に接続されている。また、増幅用光ファイバ17の一端は光コンバイナ16の光出射端に接続されており、増幅用光ファイバ17の他端は終段光増幅器6の光出射端とされている。
【0016】
増幅用光ファイバ12,17は、Er元素やYb元素などの希土類元素が添加された石英ガラスからなる光ファイバであり、添加されている希土類元素を励起し得る波長の励起光が供給されることで、利得を有する波長帯域に含まれる波長の被増幅光を光増幅する。また、この増幅用光ファイバ12,17は、クラッドが内側クラッド及び外側クラッドからなるダブルクラッド構造を呈している。
【0017】
励起光源8,13は、増幅用光ファイバ12,17に添加されている希土類元素を励起し得る波長の励起光を出力するものであり、好適にはレーザダイオードを含む。
【0018】
光学部品7は、初段光増幅器5と終段光増幅器6との接続部であって、増幅用光ファイバ12により増幅された光を光ファイバ15へ光伝送する。
【0019】
図2は図1の光学部品を示す断面図であり、図3は図1の光学部品の要部を示す断面図である。図2に示すように、この光学部品7は、第1光ファイバ12と、第2光ファイバ15と、ガラス管(ガラス体)18と、保護管19と、を含んで構成されている。
【0020】
図3に示すように、増幅用光ファイバ12は、上述したように、石英ガラスからなる光ファイバであり、コア20とクラッド21とを有している。ここでは、コア20の直径を25μmとし、クラッド21直径を250μmとしている。この増幅用光ファイバ12において先端面12aから所定範囲は、被覆層が除去されてクラッド21が露出している(図2参照)。なお、以下の説明において、このクラッド21が露出する所定範囲を裸ファイバ部12bと称す。
【0021】
光ファイバ15は、増幅用光ファイバ12に同様の石英ガラスからなる光ファイバであり、コア22とクラッド23とを有している。ここでは、増幅用光ファイバ12に同様に、コア22の直径を25μmとし、クラッド23の直径を250μmとしている。この光ファイバ15において先端面15aから所定範囲は、被覆層が除去されてクラッド23が露出している(図2参照)。なお、以下の説明において、このクラッド23が露出する所定範囲を裸ファイバ部15bと称す。そして、この光ファイバ15の先端面15aと増幅用光ファイバ12の先端面12aとは、融着されて光学的に接続されている。つまり、先端面12a,15aは、増幅用光ファイバ12と光ファイバ15とを結合して光学的に接続する接続部24に相当する。
【0022】
ガラス管18は、光ファイバ12,15に同様の石英ガラスからなり、光ファイバ12,15の光屈折率と略等しい光屈折率にされている。このガラス管18の外周面27は、例えば荒ズリ加工により曇りガラス状になっている。ガラス管18は、第1ガラス管(第1ガラス体)25と第2ガラス管(第2ガラス体)26とで構成されている。ガラス管25,26は、その長手方向における一端部25a,26aの内径が、他端部25b,26bの内径よりも大きくなるように拡がっている。そして、ガラス管25,26の長手方向における中央部において、他端部25b,26bの内径と一端部25a,26aの内径とが滑らかに連続するようになっている。
【0023】
第1ガラス管25は、貫通孔を有している。貫通孔は、長手方向断面が円形を呈している。この貫通孔には、上述した裸ファイバ部12bが挿入されている。具体的には、第1ガラス管25の他端部25bが接続部24側になる向きで、裸ファイバ部12bが貫通孔に挿入されている。つまり、第1ガラス管25の一端部25aにおいて貫通孔の内周面(内壁面)29は、クラッド21と離れており、貫通孔の内周面29とクラッド21との間に間隙30が設けられている。換言すると、第1ガラス管25の一端部25a側の端面25cは、クラッド21から離れている。また、第1ガラス管25は、接続部24が第1ガラス管25に覆われないように、当該接続部24から所定距離だけ離れた接続部24の近傍位置に配置されている。
【0024】
一方、第1ガラス管25の他端部25bにおいて貫通孔の内周面29は、クラッド21に融着して光学的に結合している。すなわち、第1ガラス管25の貫通孔における内周面29の少なくとも一部は、増幅用光ファイバ12のクラッド21に融着している。
【0025】
第2ガラス管26は、貫通孔を有している。貫通孔は、第1ガラス管25と同様に、長手方向断面が円形を呈している。この貫通孔には、上述した裸ファイバ部15bが挿入されている。具体的には、第2ガラス管26の他端部26bが接続部24側になる向きで、裸ファイバ部15bが挿入されている。つまり、第2ガラス管26の一端部26aにおいて貫通孔の内周面(内壁面)32がクラッド23と離れており、貫通孔の内周面32とクラッド23との間に間隙33が設けられている。換言すると、第2ガラス管26の一端部26a側の端面26cは、クラッド23から離れている。また、第2ガラス管26は、接続部24が第2ガラス管26に覆われないように、当該接続部24から所定距離だけ離れた接続部24の近傍位置に配置されている。
【0026】
一方、第2ガラス管26の他端部26bにおいて貫通孔の内周面32は、クラッド23に融着して光学的に結合している。すなわち、第2ガラス管26の貫通孔における内周面32の少なくとも一部は、光ファイバ15のクラッド23に融着している。
【0027】
図2に戻り、保護管19は、熱膨張係数が比較的小さい金属からなり、ここでは、コバール(ウェスティング・ハウス社製:商品名)により形成されている。保護管19は、その内部に光ファイバ12,15及びガラス管18を収納している。具体的には、保護管19は、ガラス管18よりも屈折率が小さい透明な紫外線硬化樹脂により、当該ガラス管18を固定して収納している。この保護管19の両端部には、封止部34がそれぞれ設けられている。各封止部34,34は、エポキシ系の樹脂からなり、光ファイバ12,15を固定して封止する。保護管19の内部において両端面から所定距離だけ長手方向内側の位置には、径方向内側に凸状に突出する凸部35,35がそれぞれ形成されている。すなわち、保護管19の内部には、収納されたガラス管18の端面25c,26c(図3参照)に対向する面35a,35aが形成されている。
【0028】
図4は図1の光学部品における製造工程の一部を示す図である。図4(a)に示すように、まず、光ファイバ12,15の先端面12a,15a側の被覆をそれぞれ除去し、裸ファイバ部12b,15bを形成する。続いて、裸ファイバ部12b,15bを、例えば外径600μm、内径500μm、長さ10mmの円筒状のガラス管25,26の貫通孔にそれぞれ挿入する。続いて、ファイバクリーバを用いて先端面12a,15aを処理して融着接続に適する端面とし、融着接続器を用いて先端面12a,15aを融着する。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、ガラス管25,26を接続部24から所定距離だけ離れた接続部24の近傍位置に移動させる。そして、図4(c)に示すように、例えば出力12W、出力波長10.6μmの炭酸ガスレーザを用いてガラス管25,26の他端部25b,26bを加熱する。これにより、他端部25b,26bが軟化して、その表面張力により内径が徐々に縮小する共に、クラッド21,23に融着することとなる。
【0030】
以上のように構成されたファイバレーザ装置1では、ファイバレーザ装置1を作動させると、種光源3から種光が出力され、当該種光が光アイソレータ4を経て、光増幅器2に入力される。光増幅器2では、初段光増幅器5にて、光アイソレータ4から出力された種光が光ファイバ10により伝搬され、光コンバイナ11を経て、増幅用光ファイバ12に入力されると共に、励起光源8から出力された励起光が光ファイバ9より伝搬され、光コンバイナ11を経て、増幅用光ファイバ12に入力される。続いて、この増幅用光ファイバ12において種光が光増幅され、その増幅された光が光学部品7を経て、終段光増幅器6に入力される。
【0031】
そして、終段光増幅器6にて、初段光増幅器5から出力された光が光ファイバ15により伝搬され、光コンバイナ16を経て、増幅用光ファイバ17に入力されると共に、励起光源13から出力された励起光が光ファイバ14より伝搬され、光コンバイナ16を経て、増幅用光ファイバ17に入力される。そして、増幅用光ファイバ17において光がさらに増幅され、ファイバレーザ装置1のレーザ出力として外部に出力される。
【0032】
このとき、光学部品7においては、ファイバレーザ装置1を作動させると、初段光増幅器5において増幅された光を、増幅用光ファイバ12から光ファイバ15へと光伝送する。ここで、一般的に、光ファイバ同士が光学的に接続されてなる光ファイバを用いて光伝送するに際しては、その接続部では僅かに散乱光が生じ、当該散乱光が光ファイバのクラッドを伝播し、クラッドモード光となる。ダブルクラッド構造の光ファイバにおいては、このクラッドモード光も増幅されることになる。例えば光通信分野では、光伝送される光の出力が小さいため、このクラッドモード光が問題視されることが少ない。一方で、高出力のファイバレーザ装置1においては、光伝送される光の出力が高出力であり、且つクラッドモード光も増幅されることにより、クラッドモード光の平均出力が数W程度からそれ以上の大きな出力になるため、当該クラッドモード光の影響でファイバ被覆が焼損したり接続部の前段又は後段の励起光源等が損傷したりするおそれがある。
【0033】
そこで、光学部品7によれば、上述したように、ガラス管25,26の光屈折率及び光ファイバ12,15のクラッド21,23の光屈折率が互いに略等しくなっており、且つ、ガラス管25,26の他端部25b,26bにおいて貫通孔の内周面29,32がクラッド21,23に融着している。これにより、クラッドモード光Cは、内周面29,32とクラッド21,23とが互いに融着している部分を介して,ガラス管25,26へと積極的にそれぞれ伝播され、ガラス管25,26内を伝播して外部へ放射される(図3参照)。従って、クラッドモード光を充分に低減することができる。
【0034】
また、このように、内周面29,32とクラッド21,23とが互いに融着されていることから、例えば樹脂によりこれらを接着するのに比して、次の効果を奏する。すなわち、これらが光学的に強く結合するため、クラッドモード光がガラス管25,26に伝播し易い。また、樹脂の屈折率やその温度変化を考慮する必要も無い。さらに、高出力の光を光伝送する場合であっても、クラッドモード光による影響を充分に低減することができる。これは、樹脂により内周面29,32とクラッド21,23とを接着する場合では、クラッドモード光の出力が大きいと、一般的に透明樹脂として扱われる樹脂であっても当該クラッドモード光が樹脂を焼損させることがあるためである。なお、この融着による効果は、後述する実施形態においても同様に奏される。
【0035】
一方、ガラス管25,26に伝播されたクラッドモード光にあっては、ガラス管25,26において接続部24から離れる向きで貫通孔の長手方向に沿って伝播する。そして、ガラス管25,26の端面25c,26cから外部へ放射される。
【0036】
そこで、光学部品7では、上述したように、ガラス管25,26の端面25c,26cがクラッド21,23から離れていることにより、クラッドから離れた位置でクラッドモード光を外部へ放射させることができる。なお、上述のように、ガラス管25,26の外周面27が曇りガラス状のため、ガラス管25,26の端面25c,26cからクラッドモード光が特に放射され易くなっている。
【0037】
さらに、クラッドモード光が端面25c,26cから外部へ放射されるとき、上述したように、保護管19には、端面25c,26cに対向する面35a,35aが設けられていることから、放出されたクラッドモード光を好適に保護管19で吸収し、当該保護管19にて外部へ放熱することができる。つまり、上述した効果、すなわち、ガラス管25,26の端面25c,26cがクラッド21,23から離れていることでクラッドから離れた位置でクラッドモード光を外部へ放射させるという効果と連関して、放射されたクラッドモード光の処理を容易にすることもできる。なお、保護管19の外表面に放熱器を設けることにより、保護管19の放熱を一層促進させる場合もある。
【0038】
また、光学部品7では、上述したように、ガラス管18が第1ガラス管25と第2ガラス管26とで構成されることにより、光ファイバ12,15を融着して接続した後に、ガラス管25,26を接続部24の近傍位置に移動させ、ガラス管25,26を光ファイバ12,15のクラッド21,23にそれぞれ融着することができる。つまり、かかる接続作業及び融着作業を容易に行うことができる。
【0039】
これに加え、上述したように、ガラス管25,26が接続部24から所定距離だけ離れた位置にそれぞれ配置されている(接続部24を挟んで互いに離れて配置されている)ことにより、ガラス管25,26を加熱して融着する際に、接続部24を追加加熱してしまうのを抑止することができる。
【0040】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。図5に示すように、第2実施形態の光学部品40が上記第1実施形態の光学部品7と異なる点は、ガラス管25,26からなる別体構造のガラス管18(図3参照)に代えて、一体構造のガラス管41を備えた点である。
【0041】
ガラス管41は、その貫通孔に裸ファイバ部12b,15bが挿入されている。具体的には、ガラス管41の中央部41bが接続部24の近傍に位置するように、裸ファイバ部12b,15bが挿入されている。すなわち、接続部24がガラス管41で覆われている。
【0042】
ガラス管41は、その一端部41a及び他端部41cが径方向外側に拡がっている。つまり、ガラス管41の一端部41a及び他端部41cおいては、貫通孔の内周面43がクラッド21,23と離れており、内周面43とクラッド21,23との間に間隙44がそれぞれ設けられている。
【0043】
また、ガラス管41は、その中央部41bが径方向外側に膨らんでいる。つまり、ガラス管41の中央部41bおいては、ガラス管41の内周面43と接続部24の近傍のクラッド21,23との間には、間隙45が設けられている。
【0044】
一方、ガラス管41の一端部41aと中央部41bとの間において貫通孔の内周面43は、クラッド21に融着して光学的に結合している。また、ガラス管41の中央部41bと他端部41cとの間において貫通孔の内周面43は、クラッド23に融着して光学的に結合している。
【0045】
すなわち、このガラス管41は、その長手方向における一端部41a、中央部41b、及び他端部41cの内径が、一端部41aと中央部41bとの間及び中央部41bと他端部41cとの間の内径よりも大きくなっている。
【0046】
このように構成された光学部品40であっても、上記効果と同様の効果、すなわち、クラッドモード光による影響を低減する効果、クラッドから離れた位置でクラッドモード光を外部へ放射させる効果、及び放射されたクラッドモード光の処理を容易にする効果を奏する。
【0047】
さらに、光学部品40では、上述したように、内周面43と接続部24の近傍のクラッド21,23との間に間隙45が設けられていることにより、ガラス管41の内周面43がクラッド21,23に融着しないため、ガラス管41を加熱して融着する際に、接続部24を追加加熱してしまうことを抑止することができる。
【0048】
これに加えて、上述したように、接続部24がガラス管41に覆われていることにより、周囲部品との干渉等による衝撃から接続部24を保護することができる。
【0049】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。図6に示すように、第3実施形態の光学部品50が上記第2実施形態の光学部品40と異なる点は、一端部41a及び他端部41cが径方向外側に拡がるガラス管41(図5参照)に代えて、一端部51a及び他端部51cにおいて貫通孔の内周面52がクラッド21,23に融着するガラス管51を備えた点である。
【0050】
このように構成された光学部品50であっても、上記効果と同様の効果、すなわち、クラッドモード光による影響を低減する効果、ガラス管51を加熱して融着する際に接続部24を追加加熱するのを抑止する効果、及び周囲部品との干渉等による衝撃から接続部24を保護する効果を奏する。
【0051】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。図7に示すように、第4実施形態の光学部品60が上記第1実施形態の光学部品7と異なる点は、第1ガラス管25及び第2ガラス管26からなるガラス管18(図3参照)に代えて、第1ガラス管61及び第2ガラス管62からなるガラス管63を備えた点である。
【0052】
第1ガラス管61の一端部61aにおいて貫通孔の内周面65は、クラッド21に融着しており、また、第2ガラス管62の一端部62aにおいて貫通孔の内周面67は、クラッド21に融着している。
【0053】
このように構成された光学部品60であっても、上記効果と同様の効果、すなわち、クラッドモード光による影響を低減する効果、ガラス管63を加熱して融着する際に接続部24を追加加熱するのを抑止する効果を奏する。
【0054】
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。図8に示すように、第5実施形態の光学部品70が上記第4実施形態の光学部品60と異なる点は、ガラス管61,62からなる別体構造のガラス管63(図7参照)に代えて、一体構造のガラス管71を備えた点である。このガラス管71は、その貫通孔の内周面73における略全面とクラッド21,23とが互いに融着している。
【0055】
このように構成された光学部品70であっても、上記効果と同様の効果、すなわち、クラッドモード光による影響を低減する効果、及び周囲部品との干渉等による衝撃から接続部24を保護する効果を奏する。さらに、上述したように、貫通孔の内周面73における略全面とクラッド21,23とが融着しているため、クラッドモード光を一層充分に低減することができる。
【0056】
[第6実施形態]
図9は、本発明の第6実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。図9に示すように、第6実施形態の光学部品80が上記第2実施形態の光学部品40と異なる点は、中央部41bおいて内周面43と接続部24の近傍のクラッド21,23との間に間隙45が設けられたガラス管41(図5参照)に代えて、中央部81bおいて内周面82とクラッド21,23とが互いに融着しているガラス管81を備えた点である。
【0057】
このように構成された光学部品80であっても、上記効果と同様の効果、すなわち、クラッドモード光による影響を低減する効果、クラッドから離れた位置でクラッドモード光を外部へ放射させる効果、放射されたクラッドモード光の処理を容易にする効果、及び周囲部品との干渉等による衝撃から接続部24を保護する効果を奏する。さらに、上述したように、中央部81bおいても内周面82とクラッド21,23とが互いに融着しているため、クラッドモード光を一層充分に低減することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施形態では、ガラス体としてガラス管を用いたが、例えば貫通孔を有するガラスブロック等を用いてもよい。また、上記実施形態では、貫通孔の長手方向断面を円形形状としたが、矩形形状等の多角形形状としてもよい。
【0060】
また、上記第5実施形態では、ガラス管71の貫通孔の内周面73における略全面とクラッド21,23とを互いに融着したが、内周面と接続部の近傍のクラッドとを融着しない場合もある。さらに、上記第6実施形態では、ガラス管81の中央部81bおいて内周面82とクラッド21,23とを互いに融着したが、内周面と接続部の近傍のクラッドとを融着しない場合もある。これらの場合、ガラス管を加熱して融着する際に、接続部を追加加熱してしまうことを抑止する効果を奏する。
【0061】
また、上記実施形態では、2段増幅MPOA型のファイバレーザ装置に本発明の一実施形態の光学部品を組み込んだ例を挙げたが、高出力ファイバレーザ装置を直列接続して、より高出力のファイバレーザ装置を構成するような場合においても、本発明の光学部品はクラッドモードの除去に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学部品を含む2段増幅MOPA型のファイバレーザ装置の構成図である。
【図2】図1の光学部品を示す断面図である。
【図3】図1の光学部品の要部を示す断面図である。
【図4】図1の光学部品における製造工程の一部を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る光学部品の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
7,40,50,60,70,80…光学部品、12…増幅用光ファイバ(第1光ファイバ)、15…光ファイバ(第2光ファイバ)、18,41,51,63,71,81…ガラス管(ガラス体)、21,23…クラッド、24…接続部、25,61…第1ガラス管(第1ガラス体)、26,71…第2ガラス管(第2ガラス体)、29,32,43,52,65,67,73,82…内周面(内壁面)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバと、
前記第1光ファイバに光学的に接続された第2光ファイバと、
貫通孔を有し当該貫通孔に前記第1及び第2光ファイバが挿入されたガラス体と、を備え、
前記ガラス体の光屈折率及び前記第1及び第2光ファイバのクラッドの光屈折率は、互いに略等しく、
前記ガラス体の前記貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、前記第1及び第2光ファイバの前記クラッドに融着していることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記貫通孔の長手方向における両端部において前記内壁面と前記第1及び第2の光ファイバの前記クラッドとの間には、間隙がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学部品。
【請求項3】
前記内壁面は、前記第1及び第2光ファイバの前記クラッドにおいて前記第1及び第2光ファイバが接続する接続部の近傍に融着していないことを特徴とする請求項1又は2記載の光学部品。
【請求項4】
前記ガラス体は、
第1貫通孔を有し当該第1貫通孔に前記第1光ファイバが挿入された第1ガラス体と、
第2貫通孔を有し当該第2貫通孔に前記第2光ファイバが挿入された第2ガラス体と、を備えたものであって、
前記第1ガラス体及び前記第2ガラス体は、前記接続部を挟んで互いに離れて配置され、
前記第1貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、前記第1光ファイバの前記クラッドに融着しており、
前記第2貫通孔における内壁面の少なくとも一部は、前記第2光ファイバの前記クラッドに融着していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の光学部品。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−158096(P2008−158096A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344725(P2006−344725)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】